【実施例】
【0050】
図4に示す実験装置を準備した。
図4(a)に示すように、実験装置の主な構成は、温調装置51、保冷材21、試験体(外装材)32、放射制御板61である。
【0051】
図4(b)に示すように、約200mm×200mmの貼合わせ面をもつ試験体32と保冷材21、および保冷材21と温調装置51の温調面とを注意深く貼り合わせて、均一かつ十分に熱接触させるようにした。貼合わせは、シリコンシート71(厚さ0.5mm、熱伝導率1W/m・K)を介して行い、シリコンシート71と保冷材21とは熱伝導性グリース72(熱伝導率2.2W/m・K)によって密着させた。保冷材21は、硬質ウレタンボード(厚さ10mm、熱伝導率0.032W/m・K)である。
【0052】
また、放射による熱伝達を制御するため、試験体32の表面から一定厚み(50mm)の空気層43を介して放射制御板61を対峙させた。放射制御板61として、高放射率(ε
b=0.92)の板を用いた。また、放射制御板61として低放射率(ε
b=0.04)の板を用いて、放射制御板の効果を確認するための参照実験を同様の手順にて行った。放射制御板61の板面サイズを500mm×500mmとした。それにより、放射制御板61以外の周辺からの試験体32への放射の影響をできるだけ抑制した。具体的には、その影響の小ささの指標となる形態係数(範囲0〜1で値をとる)が、0.9以上になるようにした。ここでの形態係数とは、試験体32の放射のやりとりの全てのうち、放射制御板61とのやりとりが占める割合を示す。形態係数に関するより具体的な説明は、「最新建築環境工学(田中俊六 他共著、井上書院)、pp.185-188」に記載されている。
【0053】
空気層43の温度を約20℃、湿度を50%に制御して、試験体32の表面が結露しない雰囲気を維持した。準備した実験装置で、表面熱伝達率h
cを求めるために必要な、1)温調装置51の温調表面の温度θ
si、2)試験体32の外装表面温度θ
se、3)空気層43の温度θ
a、4)放射制御板61の温度θ
bを計測した。温調装置51の温調面の温度θ
siを、−20℃あるいは+60℃近傍で一定に制御しながら、保冷材21を通して冷却または加熱された試験体32の表面温度θ
seを測定した。
【0054】
次に、表面熱伝達率、熱流、温度の関係について述べる。全表面熱伝達率h
seは、基本的に放射成分h
rと対流成分h
cによる二つに分類され、下記式(3)の通り、近似的に足し合わせで表される。
【数3】
【0055】
試験体32の外装表面温度θ
se、温調装置51の温調温度(温調表面−保冷材間の温度)θ
si、空気層43の温度θ
a、放射制御板61の温度θ
b(≒θ
a)で平衡状態に達している場合には、試験体32への熱の流入出は空気層43−試験体32の表面間と、保冷材21−試験体32の表面間で等しくなり、下記式(4)が成立する。
【数4】
【0056】
式(4)における左辺は、試験体32の表面と空気層43との間で生じる熱流であり、温度差と表面熱伝達率との積である。一方、式(4)における右辺は、試験体32の表面と温調装置51の温調面との間で保冷材21を通して生じる熱流である。ここで、λは保冷材の熱伝導率であり、dは保冷材の厚みである。
【0057】
式(4)を変形することで、全表面熱伝達率h
seを求める式(5)が得られる。
【数5】
【0058】
一方、本実施例で放射制御板61の温度θ
bと空気層43の温度θ
aとが、絶対温度で見てほぼ同じ(θ
b≫θ
a)であるとすると、放射熱伝達率h
rを用いて、放射熱伝達は式(6)で表される。
【数6】
【0059】
式(6)における右辺の第一項は、空気層43と試験体32の表面との間で行われる正味の放射熱流であり;第二項は、放射制御板61と試験体32の表面との間で行われる正味の放射熱流である。ここで、εは試験体32の放射率、ε
aは空気層43の放射率、ε
bは放射制御板61の放射率である。σはステファン・ボルツマン定数である。式(6)の右辺は、試験体32の表面の放射熱伝達の相手が、空気層43と放射制御板61の二つあることを示している。
【0060】
図5には、FT-IRによって測定した空気(相対湿度50%,厚み2.4m)の赤外分光透過率と、それから見積もった本実施例の実験系における空気層43(厚み5cm)の赤外分光放射率とが示されている。また、
図5における塗りつぶし領域は、室温での大気の放射エネルギー分布を示している。
図5に示される測定結果から、大気層(本実験では厚み5cm)の放射率ε
aは、ε
a=10
−3しかないことがわかる。そのため、式(6)における右辺第一項は無視でき;その結果、放射熱伝達率h
rは下記式(7)で表され、各部材における測定温度と、試験体32の放射率および放射制御板61の放射率とから算出されうる。
【数7】
【0061】
本実施例では、冷却あるいは加熱試験で測定した各温度から式(5)と(7)を用いて、全表面熱伝達率h
seと放射熱伝達率h
rをそれぞれ求め、これらの値を式(3)に適用して最終的に、対流熱伝達率h
cを求めた。
【0062】
表1には、試験体32として用意した試験体(外装材)A〜Nの作製条件を示す。
【0063】
試験体(外装材)A〜Mでは、板厚0.6mmの溶融アルミニウムめっき鋼板を基材として使用した。基材をアルカリ脱脂した後、クロメートフリー塗装前処理として、フッ化チタン酸アンモニウム20g/Lとタンニン酸5g/Lを含有する処理液を塗布し、水洗することなく乾燥して、Ti付着量10mg/m
2の処理皮膜をめっき表面に形成した。この処理皮膜上に、下塗り塗料をロールコーターにて塗装し、板面風速5m/秒の焼付けオーブン内に投入して、到達板温度200℃で30秒間焼き付けることで膜厚5μmの乾燥塗膜を得た。下塗塗料は、イソシアネート架橋型エポキシ変性ポリエステル樹脂をベースに、防錆顔料としてリン酸水素マグネシウム(塗料固形分中5重量%)、リン酸亜鉛(10重量%)およびトリポリリン酸アルミニウム(10重量%)を配合し、体質顔料として酸化チタン(15重量%)および硫酸バリウム(10重量%)を配合した塗料とした。
【0064】
(試験体A)
下塗り塗膜を形成した表面に、上塗り塗料としてポリエステル系縮み塗料を塗装した。100重量部のポリエステル樹脂(分子量3000)と、30重量部のメチル化メラミンと、ドデシルベンセンスルホン酸0.6重量部とジ-n-ブチルアミン2.4重量部とを室温で混合して得た反応混合物3重量部を有機溶剤に溶解してベース塗料(a)を得た。色調をグレーとするため、ベース塗料(a)に着色顔料を添加して分散し、ポリエステル系縮み塗料を得た。
添加した着色顔料には、塗料固形分中の比率で、酸化チタン(平均粒径 0.23μm)を38重量%、カーボンブラック(平均粒径 0.02μm)を0.5重量%、酸化鉄(黄)(平均粒径 0.09μm)を0.3重量%、フタロシアニンブルー(平均粒径 0.05μm)を0.1重量%となるよう配合した。
【0065】
得られたポリエステル系縮み塗料を、下塗り塗膜に塗布し、板面風速2m/秒の焼付けオーブン内に投入し、到達板温度220℃で50秒焼き付けることにより、平均膜厚22μmの縮み塗膜を形成し、試験体Aを作製した。
【0066】
(試験体E)
試験体Aの作製において、焼付け時の板面風速を7m/秒としたこと以外は、試験体Aと同様の手順で試験体Eを得た。板面風速を制御することで、異なる縮み柄を形成し、算術平均粗さR
aおよび平均うねり間隔S
mを変えた(試験体Aと試験体Eとの比較など)。
【0067】
(試験体B〜DおよびF,G)
試験体Aに使用したグレー色のポリエステル系縮み塗料に、表1に示したように、さらに骨材を添加して塗料を調製した。骨材には、平均粒径30μmのポリアクリロニトリル粒子(東洋紡株式会社製 タフチックYK−30)、または平均粒径20μmのガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ株式会社製 EGB731)を使用した。焼付け時のオーブン内での板面風速は、表1に示す条件で実施した。塗膜の平均膜厚はいずれも22μmであった。
【0068】
(試験体H)
下塗り塗膜を形成した表面に、通常の平滑な塗膜を得るためのポリエステル系塗料を塗布した。100重量部のポリエステル樹脂(分子量3000)と、10重量部のメチル化メラミンおよび40重量部のブチル化メラミンを有機溶剤に溶解してベース塗料(b)を作製した。さらに、色調をグレーとするため、ベース塗料(b)に着色顔料を添加して分散し、ポリエステル系塗料を得た。添加した着色顔料の配合は、ベース塗料(a)に添加された着色顔料と同様とした。
【0069】
得られたポリエステル系塗料をロールコーターにて、下塗り塗膜に塗装し、板面風速5m/秒の焼付けオーブン内に投入して到達板温度220℃で50秒焼き付けることにより平滑な塗膜を形成した。塗膜の平均膜厚は、重量法により20μmと測定された。
【0070】
(試験体I〜K)
試験体Hに使用したグレー色のポリエステル系塗料に、表1に示したように、さらに骨材を添加して塗料を調製した。調製した塗料を、試験体Hと同様に、下塗り塗膜に塗布・焼付けて塗膜を形成した。骨材には、平均粒径30μmのポリアクリロニトリル粒子(東洋紡株式会社製 タフチックYK−30)を使用した。塗膜の平均膜厚は、20μmであった。
【0071】
(試験体L)
ベース塗料(b)に、平均粒径16μmのアルミフレーク(昭和アルミパウダー株式会社製 561ER)を、塗料固形分中の比率で11重量%添加し、シルバーの色調とした塗料を調製した。試験体Hと同様に塗布・焼付けて試験体Lを得た。平均膜厚は20μmであった。
【0072】
(試験体M)
ベース塗料(a)に、平均粒径16μmのアルミフレーク(昭和アルミパウダー株式会社製 561ER)を、塗料固形分中の比率で11重量%添加し、シルバーの色調とした塗料を調製した。試験体Aと同様に塗布・焼付けて試験体Mを得た。板面風速は2m/秒とした。平均膜厚は22μmであった。
【0073】
(試験体N)
試験体Nには、板厚0.2mmのアルミニウム板をそのまま使用した。
【0074】
【表1】
【0075】
各外装板の日射反射率、赤外放射率、試験体表面の凹凸の算術平均粗さ、および試験体表面の凹凸の平均うねり間隔が表2に示されている。形成された樹脂塗膜の表面粗さを表面形状測定レーザ顕微鏡(VK−8500,キーエンス社製)で測定し、凹凸の算術平均粗さR
a,凹凸の平均うねり間隔S
mを求めた。また、赤外線放射率を、FTIR分光装置(GX1P, パーキンエルマー社製)で測定した。更に、紫外可視光分光光度計(U−4100, 日立ハイテクノロジーズ社製)で日射反射率を測定した。
【0076】
【表2】
【0077】
図6(a)から(c)には、用意した試験体のうちのそれぞれ参考例H,参考例A,実施例Cの表面形状のレーザ顕微鏡写真が示されている。
【0078】
例として、
参考例Gと参考例Nについての前述の温調実験における、各部材の温度(Y軸)と経過時間(X軸)との関係を
図7および
図8に示す。つまり、高放射率(ε
b=0.92)の放射制御板61を用いた場合(
図7)の結果と、低放射率(ε
b=0.04)の放射制御板61を用いた場合(
図8)の結果とが示される。また、各実験について、温調装置51の温調表面の温度を−20℃または+60℃の二通りの設定で行った。
【0079】
温調装置51の温度θ
siを一定に保持すると、徐々に試験体32の表面温度θ
seおよび放射制御板温度θ
bが、それぞれ一定温度に近づき平衡に達する。本実験では、温調装置51の温調表面温度θ
siが一定温度に到達してから10分以後に、全部材の温度が平衡に達した。
【0080】
図7に示すように、放射制御板61の放射率が高い場合には(ε
b=0.92)、放射率が比較的高い
参考例Gでは、放射制御板61と試験体32の間で放射熱伝達が積極的に行われるため、θ
seはθ
aに近い値となる(
図7(a)および(b))。また、放射制御板61の温度θ
bも放射熱伝達により僅かにθseに近づく傾向を示す。それに対して、放射率が比較的低い参考例Nでは、放射制御板との間で生じる放射熱伝達が比較的小さく、その結果、θ
seとθ
aとの差は、
図7(a)および(b)の場合に比べ大きくなる(
図7(c)および
図7(d))。
【0081】
一方、
図8に示すように、放射制御板61の放射率が低い場合には(ε
b=0.04)、試験体32の放射率が高い
参考例Gでも(
図8(a)および
図8(b))、放射率が低い参考例Nでも(
図8(c)および
図8(d))、放射制御板61の温度θbは試験体32の表面温度θ
seに近づかず、空気層43の温度θ
aにほぼ一致したままとなる(θ
b≫θ
a)。
【0082】
図7および
図8で示したように、放射制御板61を用いることで放射熱伝達の様子がはっきり見えるが、このように放射が制御された状況にして平衡状態に達した各部材の温度を正確に調べることで、放射および対流による熱伝達を明確に分けて決定することができ、対流熱伝達を求めることが可能となる。具体的には、平衡状態に達した後の各部材の温度を、式(5)、式(7)、式(3)に順次適用して、それぞれの表面熱伝達率h
se、h
r、h
cを求めた。本実施例では、温調装置の設定温度θ
siを−20、60℃と変えて測定を行ったが、それら温度の違いに拘らず得られた表面熱伝達率はほぼ同じ値であった。表3に各試験体での測定値を記載した。一般的に、熱伝達する互いの物体の温度やそれら物体間の温度差によって、表面熱伝達率は僅かに異なる値を取る傾向があり、一意に決めることは容易ではない。しかし、本実施例では、このように極端に温調装置の温度設定変えて外装表面温度と気温との差(θ
se−θ
a)を−12〜+12℃と変えても、一定の表面熱伝達率h
se、h
r、h
cを求めるに至った。このことは、これら得られた表面熱伝達率の信頼性が高いことを示唆するものである。
【0083】
【表3】
【0084】
図9には、全表面熱伝達率h
seと、凹凸の算術平均粗さR
aおよび凹凸の平均うねり間隔S
mとの関係を示す(●参照)。
図9には、参考のため、特開2001-270031の実施例に記載の結果から、JIS A9501の条件に準じて見積もったh
seの結果も示す(○参照)。
図9に示されるように、本実施例における結果は、総じて全表面熱伝達率h
seが高く、特に、凹凸の平均うねり間隔S
mが大きい(45μm以上)と、従来よりも明らかに表面熱伝達率h
seが高まっている。
【0085】
図10には、各試験体の赤外放射率と、各熱伝達率(全表面熱伝達率h
se、放射熱伝達率h
r、対流熱伝達率h
c)との関係を示す。赤外放射率を広範囲に亘って見た場合、赤外放射率と全表面熱伝達率h
se(■)との関係を表す点線の傾きは、放射熱伝達率h
r(▲)の赤外放射率依存性を表す点線の傾きに一致している。よって、本熱試験の信頼性が確保できていると考えられる。なぜならば、全表面熱伝達率h
seの傾きと放射熱伝達率h
rの傾きとが一致することは、従来の知見(特開2004-276483、特開2001-270031を参照)に一致するからである。
【0086】
このように、放射熱伝達率h
rは、全表面熱伝達率h
seを決める一要因であり、周囲に比較的高温の対象物がある場合に限って表面の放射率を高めることが有効であることを示している。
【0087】
図10には、全表面熱伝達率h
seと放射熱伝達率h
rとから、式(3)を用いて求めた対流熱伝達率h
c(■)の結果も示されている。本実験例において、対流熱伝達率h
cは、5.8〜7.4(W/m
2/K)の範囲の値を取り、それらは放射率に依存していないように見える。
【0088】
次に、
図11に示すように、対流熱伝達率h
c(■)を、凹凸の算術平均粗さR
aおよび凹凸の平均うねり間隔S
mごとにプロットした。つまり、
図11(a)には、対流熱伝達率h
cと算術平均粗さR
aとの関係が示され;
図11(b)には、対流熱伝達率h
cと平均うねり間隔S
mとの関係が示される。算術平均粗さR
aおよび平均うねり間隔S
mのいずれにおいても、数値の増加とともに対流熱伝達率h
cが増加しているのが確認される。
【0089】
外装表面は、様々なR
aとS
mの組み合わせの形状を有しているため、これらが対流熱伝達率h
cに及ぼす寄与を
図11からは正確に見極められない。
図12は、算術平均粗さR
aまたは平均間隔S
mの増大により、対流熱伝達率h
cが増加することをより明確に示す。
図12(a)には、対流熱伝達率h
cと、(R
a,S
m)との関係を三次元的にプロットした。これから、算術平均粗さR
aと平均うねり間隔S
mの両者ともに、対流熱伝達率h
cの増加に寄与していることがわかる。図中のメッシュで示した平面は、本実施例の測定データを平面フィッティングした結果であり、この面の傾きから凹凸の算術平均粗さR
aおよび平均うねり間隔S
mの対流熱伝達率h
cへの寄与の大きさが求められる。また、
図12(b)は、このフィット平面を断面方向(図中の直線に対応)から見たときのデータを表している。
【0090】
図12(a)に示された平面の傾き、言い換えれば
図12(b)の横軸のR
aとS
mの線形式の係数から、算術平均粗さR
aおよび平均うねり間隔S
mの対流熱伝達率h
cへの影響は、それぞれ0.0568(W/m
2/K/μm)、0.000627(W/m
2/K/μm)と見積もられる。このように、外装材の外装表面に凹凸形状を形成する場合に、凹凸の算術平均粗さR
aを大きくすることで効率的にh
cを高めることができ、かつ平均うねり間隔S
mを高めることで、緩やかであるがh
cを高める傾向が見られる。これら二つの形状因子が温度境界層厚さひいては対流熱伝達率に寄与していることが、本実施例で見出された。式(3)で明らかなように、外装材表面の対流熱伝達率h
cを高めることで、全表面熱伝達率h
seを向上することができる。そしてこのことは、式(5)から期待されるように、保冷材厚dの低減、あるいは、より高い露点に対応した外装材の開発に繋がると言える。一方、従来例(特開2004−276483号公報、特開2001−270031号公報)では、赤外放射率の制御という本件と異なる目的であるが、表面形状(R
a、S
m)の制御が行われており、この例においても結果的に対流熱伝達率h
cは高められていたと考えられる。しかしながら、従来のR
aとS
mの制御範囲で見ると、Sm>45μmに限れば、h
c≦6.51(W/m
2/K)までの達成に留まっている。これはR
aとS
mの両者を同時に高くすることが難しかったためであり、本発明で外装材表面でこれを初めて実現した。
【0091】
上記のようにR
aとS
mを同時に高めることできれば、日中の日射吸収による外装鋼板内部昇温の問題を回避することができる。
図13(a)には、日射反射率R
solと算術平均粗さR
aとの関係が示されており;
図13(b)には、日射反射率R
solと平均うねり間隔S
mとの関係が示されており;
図13(c)には、日射反射率R
solと、(R
a,S
m)との関係を三次元的にプロットした。
図13(a)に示されているように、塗膜を構成する成分が基本的に同じ場合は、算術平均粗さR
aが上昇すると日射反射率R
solが急激に低下することがわかる。一方で、
図13(b)に示されるように、日射反射率R
solは、平均うねり間隔S
mに依存しないか、または平均うねり間隔S
mが大きいと高まることがわかる。
【0092】
このように、対流熱伝達率h
cを高めながら、日射反射率R
solを維持しようとする場合には、特に算術平均粗さR
aおよび平均うねり間隔S
mの両方を高めることが好ましいことがわかる。