【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、メガソニック洗浄の場合に問題となるようなガラス基板内部に潜傷が発生することを抑制でき、しかも基板主表面やマスクブランクの転写パターン形成用薄膜の表面に存在するパーティクル、特に、例えば100nm相当未満の微粒子のパーティクルをも確実に排除することができる基板の洗浄方法として、気泡又は洗浄用粒子を含む加圧した洗浄液体を用いる洗浄方法を見出した。すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
【0021】
本発明は、下記の構成1〜5であることを特徴とする基板の洗浄方法である。
【0022】
(構成1)
液体中に配置された基板の少なくとも一つの表面に向かって、気泡又は洗浄用粒子を含む加圧した洗浄液体を噴射ノズルから噴射し、前記基板の少なくとも一つの表面を洗浄することを含むことを特徴とする、基板の洗浄方法である。
【0023】
(構成2)
前記洗浄液体が、純水であることを特徴とする、構成1に記載の基板の洗浄方法である。
【0024】
(構成3)
前記洗浄液体が、さらに界面活性剤を含むことを特徴とする、構成2に記載の基板の洗浄方法である。
【0025】
(構成4)
前記洗浄液体が、さらに酸性物質又はアルカリ性物質を含むことを特徴とする、構成2又は3に記載の基板の洗浄方法である。
【0026】
(構成5)
前記噴射ノズルの開口部の形状が、スリット状又はピンホール状であることを特徴とする、構成1〜4のいずれか一項に記載の基板の洗浄方法である。
【0027】
本発明は、下記の構成6〜8であることを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法である。
【0028】
(構成6)
構成1〜5のいずれか一項に記載の基板の洗浄方法によって、前記基板の少なくとも一つの表面を洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とする、マスクブランク用基板の製造方法である。
【0029】
(構成7)
前記基板が、ガラス材料からなることを特徴とする、構成6に記載のマスクブランク用基板の製造方法である。
【0030】
(構成8)
前記基板が、合成石英ガラス又は低熱膨張ガラスからなることを特徴とする、構成7に記載のマスクブランク用基板の製造方法である。
【0031】
本発明は、下記の構成9〜12であることを特徴とする、マスクブランク又はマスクの製造方法である。
【0032】
(構成9)
本発明は、構成6〜8のいずれか一項に記載のマスクブランク用基板の製造方法により得られるマスクブランク用基板の表面に、転写パターンを形成するための薄膜を成膜することを特徴とする、マスクブランクの製造方法である。
【0033】
(構成10)
本発明は、構成6〜8のいずれか一項に記載のマスクブランク用基板の製造方法により得られるマスクブランク用基板の表面に、露光光を反射する多層反射膜を形成し、前記多層反射膜上に転写パターンを形成するための薄膜を形成することを特徴とする、反射型マスクブランクの製造方法である。
【0034】
(構成11)
本発明は、構成9に記載のマスクブランクの製造方法により得られるマスクブランクの前記薄膜をパターニングして前記転写パターンを形成することを特徴とする、転写用マスクの製造方法である。
【0035】
(構成12)
本発明は、構成10に記載の反射型マスクブランクの製造方法により得られる反射型マスクブランクの前記薄膜をパターニングして前記転写パターンを形成することを特徴とする、反射型マスクの製造方法である。
【0036】
本発明は、下記の構成13〜17であることを特徴とする、基板洗浄装置である。
【0037】
(構成13)
洗浄容器と、前記洗浄容器内に配置され、基板を固定するための基板固定台と、洗浄液体を前記洗浄容器内に供給するための、噴射ノズルを有する洗浄液体管であって、前記噴射ノズルが前記基板固定台に固定された前記基板に対して前記洗浄液体を噴射するように配置される、洗浄液体管と、前記洗浄液体管に接続され、前記洗浄液体を加圧するための洗浄液体加圧装置と、前記洗浄液体に、気泡又は洗浄用粒子を混入するための混入部と、を有することを特徴とする、基板洗浄装置である。
【0038】
(構成14)
前記混入部が、加圧された前記洗浄液体管の前記洗浄液体内に、前記洗浄液体よりも高い圧力の気体を供給して前記気泡を発生するための気泡発生用ノズルであることを特徴とする、構成13に記載の基板洗浄装置である。
【0039】
(構成15)
前記混入部が、前記洗浄用粒子を前記洗浄液体に混入するための洗浄用粒子混入部であり、前記洗浄用粒子を混入した前記洗浄液体が前記洗浄液体加圧装置へと移動可能なように、前記洗浄用粒子混入部が前記洗浄液体加圧装置に接続されることを特徴とする、構成13に記載の基板洗浄装置である。
【0040】
(構成16)
前記噴射ノズルの開口部の形状が、スリット状又はピンホール状である、構成13〜15のいずれか一項に記載の基板洗浄装置である。
【0041】
(構成17)
前記基板が、ガラス材料からなることを特徴とする、構成13〜16のいずれか一項に記載の基板洗浄装置である。
【0042】
次に、本発明の基板の洗浄方法の構成1〜5について説明する。
【0043】
本発明は、構成1にあるように、液体中に配置された基板の少なくとも一つの表面に向かって、気泡又は洗浄用粒子を含む加圧した洗浄液体を噴射ノズルから噴射し、前記基板の少なくとも一つの表面を洗浄することを含むことを特徴とする、基板の洗浄方法である。
【0044】
構成1にあるように、本発明の洗浄方法は、液体中に配置された基板の少なくとも一つの表面に向かって、気泡又は洗浄用粒子を含む加圧した洗浄液体を噴射ノズルから噴射することに特徴がある。洗浄液体は加圧された状態で噴射ノズルから噴射されるので、基板の表面に付着している比較的サイズの大きな異物などのパーティクルを、基板から引き剥がし、除去することができる。さらに、洗浄液体は気泡又は洗浄用粒子を含むので、気泡又は洗浄用粒子が基板の表面に付着している比較的サイズの小さな異物(例えば、100nm未満のサイズ)などのパーティクルに直接衝突することができる。その結果、本発明の洗浄方法によれば、基板の表面に付着しているパーティクルの除去を確実に行うことができる。
【0045】
本発明の洗浄方法において、加圧した洗浄液体が気泡を含む場合には、加圧した洗浄液体が、比較的低圧の基板の配置された液体中に噴射ノズルから加速されて噴射される。このとき、圧縮された気泡は、加圧によるエネルギーを放出しながら急激に膨張して基板の表面に付着している比較的サイズの小さな異物などのパーティクルにも直接衝突する。その結果、基板の表面に付着しているパーティクルの除去を確実に行うことができる。気体としては、空気、窒素、不活性ガス等を用いることができるが、コストの点から、除塵フィルタでパーティクルを除去した空気を用いることが好ましい。
【0046】
また、本発明の洗浄方法において、加圧した洗浄液体が洗浄用粒子を含む場合には、加圧した洗浄液体が、比較的低圧の基板の配置された液体中に、加速されて噴射ノズルから噴射される。このとき、洗浄用粒子は、洗浄液体と同様に加速されるので大きな運動量を有することになる。この洗浄用粒子が基板の表面に付着している異物などのパーティクルに衝突することにより、基板の表面に付着しているパーティクルの除去を確実に行うことができる。
【0047】
洗浄用粒子としては、基板を損傷しない程度の硬度を有し、酸等の化学薬品に容易に溶解可能な粒子を用いることができる。具体的には、洗浄用粒子としてラテックス粒子を用いることが好ましい。ラテックス粒子を用いる場合には、仮に、ラテックス粒子が残留した場合にも、後の工程において酸等による洗浄を行う際に、残留したラテックス粒子を溶解することができる。
【0048】
基板を配置する液体は、洗浄液体と同種の液体を用いることができる。具体的には、洗浄液体と同様に、マスクブランク用基板の洗浄の際に一般的に用いられる液体、例えば、超純水、純水、イオン交換水等を用いることができるが、それらに限られない。
【0049】
洗浄対象の基板は液体中に配置されているため、加圧された洗浄液体は液体中で基板の表面に対して噴射される。このため、噴射される洗浄液体の圧力と基板表面近傍の液体の圧力との間である程度以上の差圧が必要となる。洗浄液体加圧装置による洗浄液体の加圧の圧力と基板表面近傍の液体の圧力との間の差圧は、少なくとも1気圧以上、好ましくは3気圧以上、より好ましくは5気圧以上とすることにより、基板に付着したパーティクルの除去を効果的に行うことができる。また、前記差圧は高いほど効果的ではあるが、洗浄液体加圧装置に非常に高い性能が必要となってしまう。この点を考慮すると、前記差圧は、20気圧以下、好ましくは15気圧以下、より好ましくは12気圧以下とするとよい。
【0050】
本発明は、構成2にあるように、前記洗浄液体が、純水であることを特徴とする、構成1に記載の基板の洗浄方法である。
【0051】
構成2にあるように、洗浄液体としては純水を用いることが好ましい。洗浄液体としては純水を用いることにより、洗浄液体中の異物等の存在を排除することができ、洗浄の際の二次汚染を防止することができる。純水としては、例えば、超純水、イオン交換水等をあげることができるが、それらに限られない。
【0052】
また、構成3にあるように、本発明の基板の洗浄方法は、前記洗浄液体が、さらに界面活性剤を含むことを特徴とすることもできる。
【0053】
構成3にあるように、純水等の洗浄液体が界面活性剤を含むことにより、パーティクル基板の表面からのパーティクルの除去をより確実に行うことができる。
【0054】
また、構成4にあるように、本発明の基板の洗浄方法は、前記洗浄液体が、さらに酸性物質又はアルカリ性物質を含むことを特徴とすることもできる。
【0055】
構成4にあるように、洗浄液体が、酸性物質又はアルカリ性物質を含むことにより、酸又はアルカリによる基板表面の洗浄効果を得ることができる。
【0056】
また、構成5にあるように、本発明の基板の洗浄方法は、前記噴射ノズルの開口部の形状が、スリット状又はピンホール状であることを特徴とすることが好ましい。
【0057】
構成5にあるように、本発明の基板の洗浄方法において、噴射ノズルの形状は、細長い矩形のノズル形状であるスリット状、微小な円形等のノズル形状であるピンホール状などの形状のものを用いることができる。ノズル形状がスリット状の場合には、直線的に広い範囲にわたり洗浄処理を行うことができるので、洗浄処理のスループットを向上することができる。ノズル形状がピンホール状の場合には、小さい断面積のノズルから、高い圧力で洗浄液体を噴射することができるので、基板に対して比較的強固に付着しているパーティクルを除去することができる。また、複数のピンホール状のノズルを一列に並べた配置としたもの又はその他の配置にしたものを噴射ノズルとして用いることもできる。また、噴射ノズルの形状は、流体力学的に、キャビテーションを防止することができる形状であることが好ましい。
【0058】
次に、本発明のマスクブランク用基板の製造方法の構成6〜8について説明する。
【0059】
本発明は、構成6にあるように、構成1〜5のいずれか一項に記載の基板の洗浄方法によって、前記基板の少なくとも一つの表面を洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とする、マスクブランク用基板の製造方法である。
【0060】
構成6にあるように、本発明のマスクブランク用基板の製造方法では、上述の構成1〜5のいずれか一項に記載の基板の洗浄方法によって、基板の少なくとも一つの表面を洗浄する洗浄工程を含む。上述の構成1〜5のいずれか一項に記載の基板の洗浄方法によれば、基板の表面に付着しているパーティクルの除去を確実に行うことができる。その結果、本発明のマスクブランク用基板の製造方法によれば、パーティクルに起因する欠陥を大幅に低減したマスクブランク用基板を得ることができる。
【0061】
本発明は、構成7にあるように、前記基板が、ガラス材料からなることを特徴とする、構成6に記載のマスクブランク用基板の製造方法であることが好ましい。
【0062】
構成7にあるように、基板が、ガラス材料であることにより、マスクブランク用基板の製造を確実に行うことができる。
【0063】
また、構成8にあるように、本発明のマスクブランク用基板の製造方法は、前記基板は、合成石英ガラス又は低熱膨張ガラスからなることを特徴とすることが好ましい。
【0064】
構成8にあるように、基板の材料として合成石英ガラス又は低熱膨張ガラスを用いることが好ましい。合成石英ガラスは化学的に安定で、他の工業材料と比較して熱膨張係数が極めて小さいなどの特徴を有する。また、合成石英ガラスは、FPD製造用途の転写用マスクで使用される超高圧水銀灯の露光光に対する光透過性も高い。さらには、合成石英ガラスは、半導体デバイス製造用途の転写用マスクで使用されるKrFエキシマレーザ(波長:約248nm)やArFエキシマレーザ(波長:約193nm)の露光光に対する光透過性も高い。これらのことからもわかるように、マスクブランク用基板の材料として、合成石英ガラスを好適に用いることができる。
【0065】
低熱膨張ガラスは、露光光にEUV光を用いる反射型マスクブランク用基板として好適である。低熱膨張ガラスとしては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10
−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10
−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましい。この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えばアモルファスガラスであれば、SiO
2に例えば5〜10重量%程度の範囲内でTiO
2を添加したSiO
2−TiO
2系ガラス基板が好ましく挙げられる。TiO
2を添加したSiO
2−TiO
2系ガラス基板は、化学薬品による洗浄が困難な場合があるので、本発明の洗浄方法により、好適に洗浄を行うことができる。
【0066】
次に、本発明のマスクブランクの製造方法の構成9及び10について説明する。
【0067】
本発明は、構成9にあるように、構成6〜8のいずれか一項に記載のマスクブランク用基板の製造方法により得られるマスクブランク用基板の表面に、転写パターンを形成するための薄膜を成膜することを特徴とする、マスクブランクの製造方法である。
【0068】
構成9にあるように、上記構成6〜8のいずれか一項のマスクブランク用基板の製造方法では、所定の基板の洗浄方法により、基板の表面に付着しているパーティクルの除去を確実に行うことができる。その結果、パーティクルに起因する欠陥を大幅に低減したマスクブランク用基板を得ることができる。そのため、上記構成6〜8のいずれか一項のマスクブランク用基板の製造方法により得られたマスクブランク用基板にパターン形成用の薄膜を成膜したマスクブランクも、パーティクルに起因する欠陥を大幅に低減することができ、高い歩留まりとすることができる。なお、マスクブランク用基板への転写パターンを形成するための薄膜の成膜は、公知の方法を用いて行うことができる。
【0069】
また、本発明は、構成10にあるように、構成6〜8のいずれか一項に記載のマスクブランク用基板の製造方法により得られるマスクブランク用基板の表面に、露光光を反射する多層反射膜を形成し、前記多層反射膜上に転写パターンを形成するための薄膜を形成することを特徴とする、反射型マスクブランクの製造方法である。
【0070】
構成10にあるように、上記構成6〜8のいずれか一項のマスクブランク用基板の製造方法では、所定の基板の洗浄方法により、反射型マスクブランクの基板の表面に付着しているパーティクルの除去を確実に行うことができる。その結果、パーティクルに起因する欠陥を大幅に低減したマスクブランク用基板を得ることができる。そのため、構成6〜8のいずれか一項に記載のマスクブランク用基板の製造方法により得られるマスクブランク用基板の表面に、露光光を反射する多層反射膜を形成し、前記多層反射膜上に転写パターンを形成するための薄膜(吸収体膜)を形成した反射型マスクブランクも、パーティクルに起因する欠陥を大幅に低減することができ、高い歩留まりの反射型マスクブランクを得ることができる。なお、マスクブランク用基板への多層反射膜を形成及び転写パターンを形成するための薄膜を形成は、公知の方法を用いて行うことができる。
【0071】
次に、本発明のマスクの製造方法の構成11及び12について説明する。
【0072】
本発明は、構成11にあるように、構成9に記載のマスクブランクの製造方法により得られるマスクブランクの前記薄膜をパターニングして前記転写パターンを形成することを特徴とする、転写用マスクの製造方法である。
【0073】
構成11にあるように、構成9に記載のマスクブランクの製造方法により得られたマスクブランクは、パーティクルに起因する欠陥を大幅に低減することができ、高い歩留まりとすることができる。そのため、構成9により得られたマスクブランクの薄膜に転写パターンを形成した転写用マスクも、パーティクルに起因する欠陥を大幅に低減することができ、高い歩留まりとすることができる。なお、マスクブランクの薄膜への転写パターンの形成は、公知の方法を用いて行うことができる。
【0074】
また、本発明は、構成12にあるように、構成10に記載の反射型マスクブランクの製造方法により得られる反射型マスクブランクの前記薄膜をパターニングして前記転写パターンを形成することを特徴とする、反射型マスクの製造方法である。
【0075】
構成12にあるように、構成10に記載の反射型マスクブランクの製造方法により得られた反射型マスクブランクは、パーティクルに起因する欠陥を大幅に低減することができ、高い歩留まりとすることができる。そのため、構成10により得られた反射型マスクブランクの薄膜に転写パターンを形成した反射型マスクも、パーティクルに起因する欠陥を大幅に低減することができ、高い歩留まりとすることができる。なお、反射型マスクブランクの薄膜への転写パターンの形成は、公知の方法を用いて行うことができる。
【0076】
次に、本発明の基板洗浄装置の構成13〜17について説明する。
【0077】
本発明は、構成13にあるように、洗浄容器と、前記洗浄容器内に配置され、基板を固定するための基板固定台と、洗浄液体を前記洗浄容器内に供給するための、噴射ノズルを有する洗浄液体管であって、前記噴射ノズルが前記基板固定台に固定された前記基板に対して前記洗浄液体を噴射するように配置される、洗浄液体管と、前記洗浄液体管に接続され、前記洗浄液体を加圧するための洗浄液体加圧装置と、前記洗浄液体に、気泡又は洗浄用粒子を混入するための混入部と、を有することを特徴とする、基板洗浄装置である。
【0078】
構成13にあるように、本発明の基板洗浄装置は、洗浄容器と、基板固定台と、洗浄液体管と、洗浄液体加圧装置と、混入部とを有する。
【0079】
洗浄容器は、液体を保持し、基板固定台に配置した基板を有するのに十分な大きさを有することが好ましい。液体に対する汚染を避けるため、洗浄容器の材料は、汚染物や粒子などを液体中に放出しない材料であることが好ましい。
【0080】
基板固定台は、洗浄容器内に配置される。基板固定台によって、洗浄容器内に基板を固定することができる。基板固定台による基板の固定は、公知の機構、例えば公知のスピンチャック等により行うことができる。また、基板固定台は、電動モータにより回転可能な構造とすることができる。また、2つの噴射ノズルを用いることにより、基板の2つの主表面(
図3に示す、対向する2つの「主表面71」)を同時に洗浄することも可能である。
【0081】
洗浄液体管は、洗浄液体を前記洗浄容器内に供給するための噴射ノズルを有する。噴射ノズルは、基板固定台に固定された基板に対して洗浄液体を噴射するように配置される。洗浄時には、基板を所定の回転数で回転させながら、噴射ノズルの位置を、基板1の中央から端面までの間で移動(スイング)することができるように構成することができる。この結果、基板固定台が回転可能な構造である場合には、基板固定台の回転と、噴射ノズルの移動により、基板の全面にわたって噴射ノズルから洗浄液体を噴射することができる。なお、噴射ノズルを固定し、基板のみを回転及び/又は移動させる構造とすることもできる。また、基板を固定し、基板表面を走査するように噴射ノズルを移動させることで洗浄液体を噴射する構造とすることもできる。さらに、基板を固定し、基板全体に対して洗浄液体を噴射することができるように噴射ノズルのみを移動させる構造とすることもできる。
【0082】
洗浄液体加圧装置は、洗浄液体を加圧するための装置である。洗浄液体加圧装置には洗浄液体管が接続されている。この結果、洗浄液体加圧装置で加圧された洗浄液体は、洗浄液体管を通して噴射ノズルから洗浄容器内に噴射することができる。
【0083】
混入部は、洗浄液体に、気泡又は洗浄用粒子を混入するように構成される。混入部は、加圧された洗浄液体に対して気泡又は洗浄用粒子を混入するように構成することができる。また、混入部は、加圧する前の洗浄液体に対して気泡又は洗浄用粒子を混入するように構成することができる。
【0084】
本発明は、構成14にあるように、本発明の基板洗浄装置は、前記混入部が、加圧された前記洗浄液体管の前記洗浄液体内に、前記洗浄液体よりも高い圧力の気体を供給して前記気泡を発生するための気泡発生用ノズルであることを特徴とすることが好ましい。
【0085】
構成14にあるように、本発明の基板洗浄装置では、洗浄液体内に、洗浄液体よりも高い圧力の気体を気泡発生用ノズルから供給することにより、洗浄液体内に気泡を発生することができる。気泡は、洗浄液体とともに噴射ノズルから基板に対して噴射される。その結果、基板表面に付着したパーティクルを除去することができる。気体の加圧は、公知のコンプレッサー等の気体加圧装置を用いて行うことができる。
【0086】
また、構成15にあるように、本発明の基板洗浄装置は、前記混入部が、前記洗浄用粒子を前記洗浄液体に混入するための洗浄用粒子混入部であり、前記洗浄用粒子を混入した前記洗浄液体が前記洗浄液体加圧装置へと移動可能なように、前記洗浄用粒子混入部が前記洗浄液体加圧装置に接続されることを特徴とすることが好ましい。
【0087】
構成15にあるように、本発明の基板洗浄装置は、洗浄用粒子を洗浄液体に混入するための洗浄用粒子混入部を有することにより、洗浄液体に洗浄用粒子を混入することができる。洗浄用粒子混入部は洗浄液体加圧装置に接続されているので、洗浄用粒子を混入した洗浄液体を加圧し、噴射ノズルから基板に対して噴射することができる。その結果、基板表面に付着したパーティクルを除去することができる。洗浄用粒子は使用直前に洗浄液体に対して混入することもできるし、あらかじめ洗浄用粒子を混入した洗浄液体を基板洗浄装置にセットして用いることもできる。
【0088】
また、構成16にあるように、本発明の基板洗浄装置は、前記噴射ノズルの開口部の形状が、スリット状又はピンホール状であることが好ましい。
【0089】
構成16にあるように、本発明の基板の洗浄方法において、噴射ノズルの形状は、細長い矩形のノズル形状であるスリット状、微小な円形等のノズル形状であるピンホール状などの形状のものを用いることができる。ノズル形状がスリット状の場合には、直線的に広い範囲にわたり洗浄処理を行うことができるので、洗浄処理のスループットを向上することができる。ノズル形状がピンホール状の場合には、小さい断面積のノズルから、高い圧力で洗浄液体を噴射することができるので、基板に対して比較的強固に付着しているパーティクルを除去することができる。また、複数のピンホール状のノズルを一列に並べた配置としたもの又はその他の配置にしたものを噴射ノズルとして用いることもできる。また、噴射ノズルの形状は、流体力学的に、キャビテーションを防止することができる形状であることが好ましい。
【0090】
噴射ノズルの材料は、公知の金属材料、高分子材料から適宜選択することができる。洗浄液体が洗浄用粒子を含む場合には、洗浄用粒子の硬さ等に応じて、耐摩耗性の材料を選択することができる。ただし、洗浄用粒子として、比較的やわらかいラテックス粒子等を用いる場合には、高分子材料等の耐摩耗性をそれほど有しない材料を用いることができる。
【0091】
また、構成17にあるように、本発明の基板洗浄装置は、前記基板が、ガラス材料からなることを特徴とすることが好ましい。
【0092】
構成17にあるように、本発明の基板洗浄装置は、マスクブランク用基板のようなガラス材料からなる基板の洗浄に対して、好ましく用いることができる。