(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記(b)の層がポリエステル層、金属層及びポリエチレン層からなる群から選ばれる少なくとも1層である、請求項1に記載の自動車インスツルメントパネル用積層体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の自動車インスツルメントパネル用積層体は(a)の層を備える。(a)の層は塩化ビニル樹脂層である。塩化ビニル樹脂層は塩化ビニル樹脂組成物の粉体成形により得られるものであることがより好ましい。当該塩化ビニル樹脂組成物が含有する塩化ビニル樹脂は、塩化ビニルの単独重合体の他、塩化ビニル単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する共重合体を含む。塩化ビニル共重合体において塩化ビニルと共重合させる単量体は特に限定されないが、その具体例は、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル−3−クロロ−2−オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミンおよびその誘導体類;などである。以上に例示される単量体は、塩化ビニルと共重合可能な単量体の一部に過ぎず、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)第75〜104頁に例示されている各種単量体が使用され得る。これらの単量体の1種又は2種以上が使用され得る。上記塩化ビニル樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、(1)塩化ビニルまたは(2)塩化ビニルと前記される共重合可能な単量体がグラフト重合された樹脂も含む。
【0012】
上記塩化ビニル樹脂は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合など、従来から知られているいずれの製造法によっても製造され得る。特に、懸濁重合法により製造された塩化ビニル樹脂が好ましい。
【0013】
上記塩化ビニル樹脂の平均重合度は好ましくは1000以上であり、より好ましくは1500〜3000である。上記塩化ビニル樹脂の平均重合度が1000以上であれば、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が向上する。
【0014】
上記塩化ビニル樹脂組成物が含有する塩化ビニル樹脂の平均粒径は特に限定されない。当該平均粒径は好ましくは50〜500μm、より好ましくは50〜250μm、更に好ましくは100〜200μmである。塩化ビニル樹脂粒子の平均粒径が50μm以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が向上する。一方、塩化ビニル樹脂粒子の平均粒径が500μm以下であれば、上記塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる(a)塩化ビニル樹脂層が良好な平滑性を有する。
【0015】
上記塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂の加工に従来慣用されている可塑剤を含有する。当該可塑剤は特定の化合物に限定されない。当該可塑剤として好適に用いられるものの具体例は、下記式(1)で示されるトリメリテート系可塑剤である。
【0016】
【化1】
式(1)中、R
1〜R
3はアルキル基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。R
1〜R
3の直鎖率は95モル%以上である。直鎖率は、R
1〜R
3の全アルキル基に対する直鎖状アルキル基の割合である。直鎖状アルキル基の具体例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−ステアリル基である。分岐状アルキル基の具体例は、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ペンチル基、i−ヘキシル基、i−ヘプチル基、i−オクチル基、i−ノニル基、i−デシル基、i−ウンデシル基、i−ドデシル基、i−トリデシル基、i−ヘキサデシル基、i−ペンタデシル基、i−ヘキサデシル基、i−ヘプタデシル基、i−オクタデシル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−ヘキシル基、t−ヘプチル基、t−オクチル基、t−ノニル基、t−デシル基、t−ウンデシル基、t−ドデシル基、t−トリデシル基、t−ヘキサデシル基、t−ペンタデシル基、t−ヘキサデシル基、t−ヘプタデシル基、t−オクタデシル基、2−エチルヘキシル基である。R
1〜R
3の全アルキル基に対する炭素数7以下のアルキル基の割合は0〜10モル%である。R
1〜R
3の全アルキル基に対する炭素数8及び9のアルキル基の割合が0〜85モル%であり、好ましくは0〜75モル%である。R
1〜R
3の全アルキル基に対する炭素数10のアルキル基の割合が15〜100モル%であり、好ましくは25〜100モル%である。R
1〜R
3の全アルキル基に対する炭素数11以上のアルキル基の割合は0〜10モル%である。
【0017】
当該トリメリテート系可塑剤は、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。通常、市販されているものは、混合物であり、市販の混合物において、上記の規定を満足するものを選択するのが好ましい。
【0018】
当該トリメリテート系可塑剤以外の可塑剤の具体例は、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレートなどのフタル酸誘導体;ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸誘導体、ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸誘導体;ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸誘導体;ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケートなどのセバシン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエートなどのマレイン酸誘導体;ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸誘導体;トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテートなどのトリメリット酸誘導体;テトラ−(2−エチルヘキシル)ピロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテートなどのピロメリット酸誘導体;トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレートなどのクエン酸誘導体;モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸誘導体;ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエートなどのオレイン酸誘導体;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体;n−ブチルステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸誘導体;ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸誘導体;トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェートなどのリン酸誘導体;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール誘導体;グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体;エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシルなどのエポキシ誘導体;アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤などのいわゆる一次可塑剤;ならびに塩素化パラフィン、トリエチレングリコールジカプリレートなどのグリコールの脂肪酸エステル、ブチルエポキシステアレート、フェニルオレエート、ジヒドロアビエチン酸メチルなどの二次可塑剤;などである。1種又は2種以上の可塑剤が使用できる。二次可塑剤を用いる場合、それと等質量以上の一次可塑剤を好ましくは併用する。
【0019】
可塑剤の配合量は特定の範囲に限定されない。好ましい当該配合量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して50〜150質量部である。
【0020】
上記塩化ビニル系樹脂組成物は、水酸基を有する飽和脂肪酸及び/又は金属石鹸を含有し得る。水酸基を有する飽和脂肪酸の具体例は、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシミリスチン酸、ヒドロキシラウリン酸等である。金属石鹸の具体例は、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛などである。金属石鹸としては、脂肪酸の金属塩が好ましく、脂肪酸の多価金属塩がより好ましく、脂肪酸の亜鉛塩が更に好ましい。1種又は2種以上の水酸基を有する飽和脂肪酸及び/又は金属石鹸を配合する。水酸基を有する飽和脂肪酸及び/又は金属石鹸の配合量は特定の範囲に限定されない。好ましい当該配合量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部である。
【0021】
上記塩化ビニル樹脂組成物は、ハイドロタルサイトを含有し得る。ハイドロタルサイトは、一般式 [Mg
1−xAl
x(OH)
2]
x+ [(CO
3)
x/2・mH
2O]
x−で表される不定比化合物で、プラスに荷電した基本層 [Mg
1−xAl
x(OH)
2]
x+と、マイナスに荷電した中間層 [(CO
3)
x/2・mH
2O]
x−とからなる層状の結晶構造を有する無機物質である。ここで、xは0より大で0.33以下の範囲の数である。天然のハイドロタルサイトはMg
6Al
2(OH)
16CO
3・4H
2Oである。合成されたハイドロタルサイトMg
4.5Al
2(OH)
13CO
3・3.5H
2Oが市販されている。合成ハイドロタルサイトの合成方法は、日本国特許公告「特公昭61−174270号公報」に記載されている。
【0022】
ハイドロタルサイトの配合量は特定の範囲に限定されない。好ましい当該配合量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部である。
【0023】
上記塩化ビニル樹脂組成物は、ゼオライトを安定剤として含有し得る。ゼオライトは、一般式
M
x/n・[(AlO
2)
x・(SiO
2)
y]・zH
2O
(式中のMは原子価nの金属イオン、x+yは単子格子当たりの四面体数、zは水のモル数である)で表されるものであって、該式中のMの種類としてはNa、Li、Ca、Mg、Znなどの一価又は二価の金属及びこれらの混合型が挙げられる。
【0024】
ゼオライトの配合量は特定の範囲に限定されない。好ましい当該配合量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部である。
【0025】
上記塩化ビニル樹脂組成物は、ダスティング剤(粉体流動性改良剤)を含有し得る。ダスティング剤の具体例は、炭酸カルシウム、タルク、酸化アルミニウムなどの無機微粒子;塩化ビニル系樹脂微粒子、ポリアクリロニトリル系樹脂微粒子、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリエチレン系樹脂微粒子、ポリプロピレン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子などの有機微粒子である。特に、平均粒径が10〜100nmの無機微粒子、平均粒径が0.1〜10μmの塩化ビニル系樹脂微粒子が好ましい。ダスティング剤である塩化ビニル系樹脂微粒子を構成する塩化ビニル系樹脂の重合度は500〜2000であり、好ましくは800〜1500である。ダスティング剤である塩化ビニル系樹脂微粒子の添加量は特定の範囲に限定されない。当該添加量は、好ましくは上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して30質量部以下であり、更に好ましくは25質量部以下である。
【0026】
上記塩化ビニル樹脂組成物は、着色剤、耐衝撃性改良剤、過塩素酸化合物(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等)、酸化防止剤、防黴剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、発泡剤、β−ジケトン類等の添加剤を含有し得る。
【0027】
着色剤の具体例は、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ポリアゾ縮合顔料、イソインドリノン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、チタンホワイト、カーボンブラックである。1種又は2種以上の顔料が使用される。キナクリドン系顔料は、p−フェニレンジアントラニル酸類が濃硫酸で処理されて得られ、黄みの赤から赤みの紫の色相を示す。キナクリドン系顔料の具体例は、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレットである。ペリレン系顔料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸無水物と芳香族第一級アミンの縮合反応により得られ、赤から赤紫、茶色の色相を示す。ペリレン系顔料の具体例は、ペリレンレッド、ペリレンオレンジ、ペリレンマルーン、ペリレンバーミリオン、ペリレンボルドーである。ポリアゾ縮合顔料は、アゾ色素が溶剤中で縮合されて高分子量化されて得られ、黄、赤系顔料の色相を示す。ポリアゾ縮合顔料の具体例は、ポリアゾレッド、ポリアゾイエロー、クロモフタルオレンジ、クロモフタルレッド、クロモフタルスカーレットである。イソインドリノン系顔料は、4,5,6,7−テトラクロロイソインドリノンと芳香族第一級ジアミンの縮合反応により得られ、緑みの黄色から、赤、褐色の色相を示す。イソインドリノン系顔料の具体例は、イソインドリノンイエローである。銅フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン類に銅を配位した顔料で、黄みの緑から鮮やかな青の色相を示す。銅フタロシアニン系顔料の具体例は、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーである。チタンホワイトは、二酸化チタンからなる白色顔料で、隠蔽力が大きく、アナタース型とルチル型がある。カーボンブラックは、炭素を主成分とし、酸素、水素、窒素を含む黒色顔料である。カーボンブラックの具体例は、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、ボーンブラックである。
【0028】
耐衝撃性改良剤の具体例は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体への塩化ビニルグラフト共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレンなどである。1種又は2種以上の耐衝撃性改良剤が使用できる。耐衝撃性改良剤は、塩化ビニル樹脂組成物中で微細な弾性粒子の不均一相となって分散する。当該弾性粒子にグラフト重合した鎖及び極性基が塩化ビニル系樹脂と相溶し、塩化ビニル樹脂組成物の耐衝撃性が向上する。
【0029】
酸化防止剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤である。
【0030】
防黴剤の具体例は、脂肪族エステル系防黴剤、炭化水素系防黴剤、有機窒素系防黴剤、有機窒素硫黄系防黴剤などである。
【0031】
難燃剤の具体例は、塩素化パラフィン等のハロゲン系難燃剤;リン酸エステル等のリン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;などである。
【0032】
帯電防止剤の具体例は、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、スルホン酸塩類等のアニオン系帯電防止剤;脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類のカチオン系帯電防止剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類等のノニオン系帯電防止剤;などである。
【0033】
充填剤の具体例は、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレーなどである。
【0034】
光安定剤の具体例は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ニッケルキレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤などである。
【0035】
発泡剤の具体例は、アゾカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物などの有機発泡剤;フロンガスや炭酸ガス、水、ペンタン等の揮発性炭化水素化合物、これらを内包したマイクロカプセルなどの、ガス系の発泡剤;などである。
【0036】
β−ジケトン類は、上記塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形して得られる成形体の初期色調の変動をより効果的に抑えるために用いられる。β−ジケトン類の具体例は、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタンなどである。これらのβ−ジケトン類は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
β−ジケトン類の配合量は特定の範囲に限定されない。好ましい当該配合量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部である。
【0038】
上記塩化ビニル樹脂と添加剤の混合方法は限定されない。好ましい混合方法はドライブレンドである。
【0039】
本発明の自動車インスツルメントパネル用積層体が備える(a)の層、即ち、塩化ビニル樹脂層は、上記塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形して得られるものが好ましい。粉体成形法の具体例は、流動浸漬法、静電塗装法、粉体溶射法、粉体回転成形法、粉体スラッシュ成形法等の従来の粉体成形法である。
【0040】
(a)の層である塩化ビニル樹脂層の厚みは特定の範囲に限定されない。塩化ビニル樹脂層の好ましい厚みは100μm〜3mm、更に好ましい厚みは500μm〜2mm、特に好ましい厚みは800μm〜1.5mmである。
【0041】
本発明の自動車インスツルメントパネル用積層体は、(b)の層を備える。(b)の層は、ポリエステル層、金属層、紙層、ポリエチレン層及びポリプロピレン層からなる群から選ばれる少なくとも1層である。また、(b)の層は、好ましくは、(b)ポリエステル層、金属層及びポリエチレン層からなる群から選ばれる少なくとも1層であり、より好ましくは、(b)ポリエステル層及び金属層からなる群から選ばれる少なくとも1層であり、さらに好ましくは、(b)ポリエステル層を有する。好ましい(b)ポリエステル層はポリエチレンテレフタレート層である。金属層は好ましくはアルミニウム層である。
【0042】
更に、本発明の自動車インスツルメントパネル用積層体は、必要に応じて(c)の層として発泡ゴム層を有する。(c)の層、即ち、発泡ゴム層を設ける位置は任意である。従って、発泡ゴム層が設けられた自動車インスツルメントパネル用積層体の構成の具体例は、(1)(a)の層/(c)の層/(b)の層、(2)(c)の層/(a)の層/(b)の層、並びに、(3)(a)の層/(b)の層/(c)の層、である。その中でも、(1)(a)の層/(c)の層/(b)の層、の構成が好ましい。
【0043】
(b)の層は、[ポリエステルフィルム又はシート、金属箔、紙、ポリエチレンフィルム又はシート、及びポリプロピレンフィルム又はシート]からなる群から選ばれる少なくとも1層を、接着剤を介して又は介さずに(a)の層及び/又は(c)の層に積層して形成される。
【0044】
(a)の層と(b)の層を(c)の層を介して積層する場合、(c)の層である発泡ゴム層の両面が吸盤の如く作用し、各層をシワを寄らせずに容易に貼付できるため、貼付作業性に優れ、好ましい。
【0045】
ポリエステル層に含まれるポリエステルのジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、その具体例は、テレフタル酸、イソフタル酸、不飽和脂肪酸の二量体などである。ジカルボン酸成分の1種又は2種以上が使用される。上記ポリエステルのジオール成分としては、特に限定されないが、その具体例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−アルキル−1,3−プロパンジオールなどである。ジオール成分の1種又は2種以上が使用される。
【0046】
好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と表記することがある。)、ポリブチレンテレフタレート、これらの芳香族ポリエステル樹脂のテレフタル酸成分の一部がイソフタル酸で置換されたポリエステル共重合体、これらの芳香族ポリエステル樹脂のエチレングリコール又はテトラメチレングリコール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノール又はポリアルキレングリコールで置換されたポリエステル共重合体である。ポリエステルの1種又は2種以上が使用される。
【0047】
金属層を構成する金属は、特定の金属に限定されない。当該金属の具体例は、アルミニウム、鉄、ステンレス、銀、金などである。特に好ましい金属はアルミニウムである。
【0048】
紙層を構成する紙は特定の紙に限定されない。紙の具体例は、上質紙、アート紙、コート紙、微塗工紙などである。
【0049】
ポリエチレン層を構成するポリエチレン(以下、「PE」と表記することがある。)は特定のポリエチレンに限定されない。ポリエチレンの具体例は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、上記各種ポリエチレンの2種以上の混合物、などである。
【0050】
ポリプロピレン層を構成するポリプロピレン(以下、「PP」と表記することがある。)は特定のポリプロピレンに限定されない。ポリプロピレンの具体例は、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、上記各種ポリプロピレンの2種以上の混合物、などである。
【0051】
(b)の層の厚みは特定の範囲に限定されない。(b)の層の好ましい厚みは5〜200μm、特に好ましい厚みは7〜150μm、更に好ましい厚みは10〜100μmである。
【0052】
(c)の層である発泡ゴム層に含まれるゴムは特定のゴムに限定されない。当該ゴムの具体例は、アクリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム及びその水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム及びその水素添加物、イソプレンゴム、スチレン−イソプレン共重合ゴム及びその水素添加物、アクリロニトリル−イソプレン共重合ゴム及びその水素添加物、天然ゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、エピハロヒドリンゴムなどである。特に好ましいゴムはアクリルゴムである。
【0053】
(c)の層である発泡ゴム層を構成する発泡ゴムの作製方法は特定の方法に限定されない。当該作製方法の具体例は、ゴムの水分散液に増粘剤等を添加した後にガスを混合して発泡させ、その後乾燥する方法、ゴムを加熱溶融した後にガスを混合して発泡させ、その後冷却する方法、ゴムを溶媒に溶解した後にガスを混合して発泡させ、その後溶媒を除去する方法、ゴムの重合途中で発泡剤を添加し、その後発泡させながら重合を継続する方法、などである。所望により、架橋剤を添加し、発泡ゴムを架橋してもよい。
【0054】
(c)の層である発泡ゴム層の形成方法は特定の方法に限定されない。当該形成方法の具体例は、発泡ゴムをフィルム状又はシート状に成形したものを、接着剤を介して又は介さずに、(a)の層、及び/又は、(b)の層、に積層する方法である。
【0055】
(c)の層の厚みは特定の範囲に限定されない。(c)の層の好ましい厚みは10〜500μm、特に好ましい厚みは50〜300μm、更に好ましい厚みは100〜200μmである。
【0056】
本発明に係る自動車インスツルメントパネル用積層体は、(d)の層として、発泡ポリウレタン層を備えることがより好ましい。(d)の層である発泡ポリウレタン層が、本発明の自動車インスツルメントパネル用積層体に積層され得る。(d)の層は、(a)の層が積層されている側と反対側に積層される。例えば、(b)の層からみて(a)の層とは反対側の面に積層される。(d)の層を積層する方法の具体例は、(I)(a)の層と(b)の層、必要に応じて(c)の層を備える積層体と、発泡ポリウレタン層とを別途作製した後に、熱融着あるいは熱接着又は公知の接着剤などを用いることにより貼り合わせる方法、(II)発泡ポリウレタン層の原料となるイソシアネート類とポリオール類などを含有する組成物を、(a)の層と(b)の層、必要に応じて(c)の層を備える積層体上にて反応させて重合を行うと共に、公知の方法によりポリウレタンの発泡を行って積層する方法である。
【0057】
(付記事項)
以上のように、本発明に係る自動車インスツルメントパネル用積層体は、上記(b)の層がポリエステル層、金属層及びポリエチレン層からなる群から選ばれる少なくとも1層であることがより好ましい。
【0058】
また、上記(b)の層がポリエステル層及び金属層からなる群から選ばれる少なくとも1層であることがより好ましい。
【0059】
また、上記(b)の層がポリエステル層であることがより好ましい。
【0060】
また、(c)の層を備え、上記(c)の層が発泡ゴム層であり、上記(c)の層が、上記(a)の層と、上記(b)の層との間に設けられていることがより好ましい。
【0061】
また、上記塩化ビニル樹脂層が、塩化ビニル樹脂組成物の粉体成形により得られるものであることがより好ましい。
【0062】
また、上記ポリエステル層がポリエチレンテレフタレート層であることがより好ましい。
【0063】
また、上記金属層がアルミニウム層であることがより好ましい。
【0064】
また、上記発泡ゴム層が発泡アクリルゴム層であることがより好ましい。
【0065】
また、自動車インスツルメントパネル用積層体は自動車インスツルメントパネル用表皮に好適に適用できる。
【0066】
また、本発明に係る自動車インスツルメントパネル用積層体は、(d)の層を備え、上記(d)の層が発泡ポリウレタン層であり、上記(d)の層が本発明に係る自動車インスツルメントパネル用積層体の上記(a)の層が積層されている側と反対側に積層されているものであることがより好ましい。
【実施例】
【0067】
以下、本発明が実施例により詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。各種の物性は以下のように測定された。
【0068】
(1)熱老化後の低温下での破断伸び
試料となる積層体をオーブンに入れ、130℃で250時間と600時間それぞれ加熱した後、発泡ポリウレタン層を当該積層体から剥離し、得られたシートを1号ダンベルで打ち抜き、当該シートの破断伸びをJIS−K−6301に基づいて−35℃で測定した。破断伸びが70%以上であると、耐熱老化性は良好である。
【0069】
(2)貼付作業性
表皮を構成する各層を塩化ビニル樹脂層に貼付する作業を、下記基準に従って評価した。
A;各層をシワを寄らせずに塩化ビニル樹脂層に容易に貼付できる。
B;各層をシワをほとんど寄らせずに塩化ビニル樹脂層に容易に貼付できる。
C;各層をシワを寄らせずに塩化ビニル樹脂層に貼付できるが、貼付作業は困難である。
D;多数のシワが各層を塩化ビニル樹脂層に貼付する際に発生し、貼付作業は困難である。
【0070】
〔実施例1〕
固形分換算で100質量部のアクリル酸エステル共重合体水分散液(カルボン酸変性アクリル酸エチル/アクリル酸ブチル共重合体、ガラス転移温度−40℃:DIC(株)製MFP−20)、固形分換算で2.73質量部のオキサゾリン系架橋剤水分散液(オキサゾリン基含有ポリマー、DIC(株)製DICNAL GX)及び固形分換算で2.7質量部の酸化チタン水分散体(DIC(株)製DISPERSE WHITE HG−701)を混合容器に添加し、ディスパーで攪拌した。次に攪拌を継続しながら、固形分換算で1.2部の増粘剤水溶液(カルボン酸変性アクリル酸エステル重合体、東亜合成(株)製アロンB−300)及び固形分換算で3.55質量部の製泡剤(アルキルベタイン両性化物・脂肪酸アルカノールアミド混合物、DIC(株)製DICNAL M−20)/スルホン酸型アニオン界面活性剤、DIC(株)製DICNAL M−40)の1/1混合物)をこの順に添加し、150メッシュで濾過した後、最後にアンモニアを添加して粘度を4,500mPa・sに調整して発泡性樹脂組成物を得た。この発泡性樹脂組成物を泡立て器で攪拌し、発泡倍率が2.0倍になるように泡立て、発泡倍率が1.6倍になったところで攪拌速度を落として、更に5分間攪拌を続行した。得られた発泡性混合物をポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製メリネックス545)に0.5mmのアプリケーターを用いて塗布した。これをオーブン中に入れ、80℃で2分間、その後130℃で2分間保持して、乾燥と架橋を行ってポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚さ150μmの発泡アクリルゴム層を得た。
【0071】
表1に示す配合成分のうち可塑剤及びペースト塩化ビニル樹脂を除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合し、混合物の温度が80℃に上昇した時点で可塑剤を添加後、ドライアップ(可塑剤が塩化ビニル系樹脂粒子に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)し、その後、組成物が70℃以下に冷却された時点でダスティング剤であるペースト塩化ビニル樹脂を添加し、粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を調製した。その後、上記粉体成形用塩化ビニル樹脂組成物を250℃に加熱したシボ付き金型に振りかけ、10秒間放置して溶融させ、余剰の当該組成物を振り落とした。当該組成物を金型に振りかけてから60秒経過した時点で金型を冷却水により冷却し、金型温度が40℃まで冷却された時点で145mm×175mm×1mmのシートを金型から脱型した。当該シートと上記発泡アクリルゴム層を積層し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製メリネックス545)を、当該シートが積層されている側と反対側の発泡アクリルゴム層面に積層して積層体を得た。当該積層体を210mm×300mm×10mmの金型の中に敷き、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアナート(MDI)45質量部とポリエーテルポリオール(旭硝子ウレタン(株)製エクセノール820、3官能性、水酸基価34mgKOH/g、トリエチレンジアミン1.0質量%、水1.6質量%含有)95質量部との混合物を当該積層体のポリエチレンテレフタレート層上に注ぎ、金型を密閉し、10分後、積層体に9mm厚の発泡ポリウレタン層が裏打ちされた試料を金型から取り出し、その耐熱老化性を測定した。結果を表2に示す。
【0072】
〔実施例2〕
発泡アクリルゴム層を設けない以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
【0073】
〔実施例3〕
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて厚さ11μmのアルミホイル(住軽アルミ箔(株)製マイホイル)を使用する以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
【0074】
〔実施例4〕
発泡アクリルゴム層を設けず、ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えてアルミホイル(住軽アルミ箔(株)製マイホイル)を使用する以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
【0075】
〔実施例5〕
発泡アクリルゴム層を設けず、ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて厚さ100μmの紙(富士ゼロックス(株)製V−Paper)を使用する以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
【0076】
〔実施例6〕
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて厚さ30μmのポリエチレンフィルム(東セロ(株)製トーセロHC)を使用する以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
【0077】
〔実施例7〕
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(東セロ(株)製トーセロS)を使用する以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
【0078】
〔比較例1〕
発泡アクリルゴム層を設けず、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用しない以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
【0079】
〔比較例2〕
ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用しない以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
【0080】
〔比較例3〕
ポリ塩化ビニル樹脂(POLYONE(株)製、商品名「GEON178」、重合度1800)100質量部、ポリエステル系可塑剤((株)ADEKA製、商品名「アデカサイザーPN350」)15質量部、バリウム亜鉛系安定剤((株)ADEKA製、商品名「AC303」)6質量部、紫外線吸収剤((株)ADEKA製、「アデカスタブ1413」)4質量部、ブチルグリコールエーテル(三菱化学(株)製、商品名「BG」)23質量部、芳香族系溶剤(エクソン化学(株)製、商品名「ソルベッソ#150」)23質量部を混合し十分攪拌分散させ、オルガノゾル液を調整した。次に支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルム上に上記オルガノゾル液を塗布し、120℃に加熱して溶剤を揮散し、ゲル化させて膜厚50μmの塩化ビニル樹脂フィルムを製膜した。ポリエチレンテレフタレートフィルムから塩化ビニル樹脂フィルムを引き剥がし、厚さ50μmの塩化ビニル樹脂フィルムを作製した。
【0081】
発泡アクリルゴム層を設けず、ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、上記の方法で作製した、厚さ50μmの塩化ビニル樹脂フィルムを使用する以外は実施例1と同様にした。結果を表2に示す。
【0082】
【表1】
1)新第一塩ビ(株)製ZEST2000Z(平均重合度2000、平均粒子径125μm)
2)花王(株)製トリメリックスNSK
3)(株)ADEKA製O−130P
4)協和化学工業(株)製アルカマイザー5
5)水澤化学工業(株)製ミズカライザーDS
6)昭和電工(株)製カレンズDK−1
7)チバスペシャリティーケミカルズ(株)製IRGANOX1010
8)(株)ADEKA製アデカスタブLA−67
9)チバスペシャリティーケミカルズ(株)製TINUVIN571
10)ペースト塩化ビニル樹脂(重合度800、平均粒子径1μm)新第一塩ビ(株)製ZEST PQLT
11)0.6質量部の大日精化(株)製DA P 1050ホワイト及び3.8質量部の大日精化(株)製DA PX 1720(A)ブラック
【0083】
【表2】
実施例1〜7の積層体の250時間加熱後及び600時間加熱後の低温下での破断伸びは良好であった。しかし、ポリエステル層、金属層、紙層、ポリエチレン層及びポリプロピレン層からなる群から選ばれる少なくとも1層が設けられていない比較例2の250時間加熱後の低温下での破断伸びは低かった。更に、比較例1〜3の積層体の600時間加熱後の低温下での破断伸びは低かった。
【0084】
発泡アクリルゴム層を介して塩化ビニル樹脂層とPET層、アルミホイル層、ポリエチレン層又はポリプロピレン層が積層されている実施例1、3、6及び7の積層体を構成する各層の貼付作業性は非常に優れていた。
【0085】
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内において、いろいろと変更して実施することができるものである。