特許第5737291号(P5737291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737291
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】ジアミン前駆体化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 269/06 20060101AFI20150528BHJP
   C07C 271/22 20060101ALI20150528BHJP
   C07C 271/20 20060101ALI20150528BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150528BHJP
【FI】
   C07C269/06CSP
   C07C271/22
   C07C271/20
   !C07B61/00 300
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-529605(P2012-529605)
(86)(22)【出願日】2011年8月17日
(86)【国際出願番号】JP2011068624
(87)【国際公開番号】WO2012023570
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年7月25日
(31)【優先権主張番号】特願2010-182555(P2010-182555)
(32)【優先日】2010年8月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(72)【発明者】
【氏名】高山 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】長尾 将人
【審査官】 上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/50523(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/52962(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/51909(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/104082(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 269/06
C07C 271/20
C07C 271/22
C07B 61/00
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の反応式(1)に従って、式1で表わされる化合物(式中、R1は、−CHCOOR、又は−CHPh(-Z)(Zは、フェニル基(Ph)の置換基であり、mは0〜5である。)であり、Rは低級アルキル基またはアルカリ金属原子である。)を、二炭酸ジ−tert−ブチル((Boc)O)と反応させて式2で表わされる化合物を製造し、
得られた式2で表わされる化合物を、下記の反応式(2)に従って、塩基の存在下に、H−A−CH-X(式中、Aは、−C≡C−又は-CH=CH-であり、Xは、脱離性置換基である。)で表わされる化合物と反応させて式3で表わされる化合物を製造し、
次いで、得られた式3で表わされる化合物を、下記の反応式(3)に従って、式4で表わされる化合物(式中、Yは、脱離性置換基である。)とカップリング反応させて式5で表わされるジアミン前駆体化合物を製造する方法。
【化1】
【請求項2】
式1で表わされる化合物が、グリシンtert−ブチルエステル若しくはその塩、又は、ベンジルアミン若しくはその塩である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カップリング反応が、金属錯体、配位子、及び塩基の共存下に行われる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記カップリング反応が、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子として含むパラジウム錯体の共存下に行われる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
式4で表される化合物におけるYが、Br、 I、又は トリフルオロメタンスルホン酸エステル基である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
H−A−CH−Xで表わされる化合物におけるXが、ハロゲン、又はスルホン酸エステル基である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
H−A−CH−Xで表わされる化合物が、プロパルギルハライド、又はアリルハライドである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法で得られる式5で表わされる化合物を、下記の反応式(4)に従って、還元して式6(式中、Rは、水素原子又は−CHCOORであり、Rは、低級アルキル基である。)で表わされるジアミン化合物を製造する方法。
【化2】
【請求項9】
下記式で表わされるエステル化合物。
【化3】
【請求項10】
下記のいずれかの式で表わされるニトロ化合物。
【化4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤などに使用されるポリイミドの製造原料である、特定のジアミン化合物の前駆体であるニトロ化合物を、安価な原料から、簡便かつ効率的に製造する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは、その特長である高い機械的強度、耐熱性、絶縁性、耐溶剤性のために、液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料、カラーフィルターなどの電子材料として広く用いられている。特に、最近では、ポリイミドは、液晶テレビ、液晶ディスプレイなどに用いられる液晶表示素子において液晶の配列状態を制御するための液晶配向膜を形成する液晶配向剤としても広く使用されている。
液晶配向膜は、ポリアミド酸(ポリアミック酸)などのポリイミド前駆体や可溶性ポリイミドを主成分とする液晶配向剤溶液をガラスなどの電極基板に塗布し焼成することにより得られるポリイミド膜の表面を、綿、ナイロン、ポリエステルなどの布で一方向に擦る、いわゆるラビング処理を行うことにより形成される。
ポリイミド膜のラビング処理は、液晶配向膜の特性を発揮するうえで必要であるが、このラビング処理においては、液晶配向膜の表面の傷、発塵、機械的な力や静電気による影響による配向処理の面内不均一性などの様々な問題が発生することが明らかとなってきている。特に、最近は、液晶表示素子の高性能化、高精細化、大型化への要求などから、ラビング処理において発生する問題への対応が、ますます厳しく要求されてきている。
【0003】
一方で、ポリイミド系の液晶配向膜のラビング処理において、傷の発生や、膜の剥離を抑制した液晶配向膜を得る方法が種々提案されている。例えば、ポリアミド酸及び/又はポリイミドにエポキシ基を有する化合物、エポキシ基とエポキシ基以外の反応性基とを有する化合物などの架橋剤を添加した液晶配向剤を用いた方法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
本出願人は、先に、かかるラビング処理においても傷がつきにくいポリイミドとして、特定のジアミン化合物を使用するポリイミド系の液晶配向剤を提案した(特許文献3参照)。この液晶配向剤は、加熱により脱離するt−ブトキシカルボニル基で保護されたジアミン化合物を使用し、これをテトラカルボン酸ニ無水物と反応して得られるポリアミド酸及び/又はポリイミドを含むものである。この液晶配向剤の場合、その製造における焼成過程において、加熱によりt−ブトキシカルボニル基が脱離し、反応性の高い脂肪族アミンが生成し、この脂肪族アミンが架橋点となって膜の表面を強固なものとし、ラビング処理によっても傷がつきにくい液晶配向膜を提供できる。
【0004】
上記特許文献3に開示されるポリアミド酸及び/又はポリイミドの製造では、tert−ブトキシカルボニル基(第3級ブトキシカルボニル基、以下、Boc基ともいう。)を有するジアミン化合物として、下記式21で示されるジアミン化合物が使用される。このジアミン化合物の出発原料は、下記に示されるように、高価であり、入手性の乏しいプロパルギルアミン(HC≡CCHNH)である。その上、ジアミン化合物の前駆体化合物であるニトロ化合物の精製では、工業的製造の実施には不向きのカラム操作が必要とされている。
【0005】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特開平9−146100号公報
【特許文献2】日本特開2007−11221号公報
【特許文献3】国際公開WO2010/050523号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、液晶配向剤などに使用されるポリアミド酸及び/又はポリイミドの原料であるtert−ブトキシカルボニル基(Boc基)を有するジアミン化合物の前駆体であるニトロ化合物を、安価な原料から、簡便、かつ効率的に製造する新規な方法を提供することを目的とする。
更に、本発明は、ジアミン化合物の前駆体化合物であるニトロ化合物から、tert−ブトキシカルボニル基を有するジアミン化合物を製造する方法も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために鋭意研究を進めたところ、以下を要旨とする新規な製造方法に達したものである。かかる製造方法は、後記するように、その過程では、新規な化合物を包含するものである。
1.下記の反応式(1)に従って、式1で表わされる化合物(式中、Rは、−CHCOOR、又は−CHPh(-Z)(Zは、フェニル基(Ph)の置換基であり、mは0〜5である。)であり、Rは低級アルキル基若しくはアルカリ金属原子であり、Phはフェニル基である。)を、二炭酸ジ−tert−ブチル((Boc)O)と反応させて式2で表わされる化合物を製造し、
得られた式2で表わされる化合物を、下記の反応式(2)に従って、塩基の存在下に、H−A−CH-X(式中、Aは、−C≡C−又は-CH=CH-であり、Xは、脱離性置換基である。)で表わされる化合物と反応させて式3で表わされる化合物を製造し、
次いで、得られた式3で表わされる化合物を、下記の反応式(3)に従って、式4で表わされる化合物(式中、Yは、脱離性置換基である。)とカップリング反応させて式5で表わされるジアミン前駆体化合物を製造する方法。
【0009】
【化2】
2.式1で表わされる化合物が、グリシンtert−ブチルエステル若しくはその塩、又は、ベンジルアミン若しくはその塩である上記1に記載の方法。
3.前記カップリング反応が、金属錯体、配位子、及び塩基の共存下に行われる上記1又は2に記載の方法。
4.前記カップリング反応が、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを配位子として含むパラジウム錯体の共存下に行われる上記1〜3のいずれかに記載の方法。
5.式4で表される化合物におけるYが、Br、 I、又は トリフルオロメタンスルホン酸エステル基である上記1〜4のいずれかに記載の方法。
6.H−A−CH−Xで表わされる化合物におけるXが、ハロゲン、又はスルホン酸エステル基である上記1〜5のいずれかに記載の方法。
7.H−A−CH−Xで表わされる化合物が、プロパルギルハライド、又はアリルハライドである上記1に記載の方法。
8.上記1〜7のいずれかに記載の方法で得られる式5で表わされる化合物を、下記の反応式(4)に従って、還元して式6(式中、Rは、水素原子又は−CHCOORであり、Rは、低級アルキル基である。)で表わされるジアミン化合物を製造する方法。
【0010】
【化3】
9.下記で表わされるエステル化合物。
【0011】
【化4】
10.下記のいずれかの式で表わされるニトロ化合物。
【0012】
【化5】
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安価な出発原料から、簡便、かつ効率的に液晶配向剤などに使用されるポリアミド酸及び/又はポリイミドの原料であるtert−ブトキシカルボニル基を有するジアミン化合物の前駆体化合物である、ニトロ化合物を製造する新規な方法が提供される。
また、本発明によれば、製造されたジアミン化合物の前駆体化合物のニトロ化合物からtert−ブトキシカルボニル基を有するジアミン化合物を製造する方法が提供される。
さらに、本発明によれば、下記の新規な化合物が提供される。
【0014】
【化6】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明についてさらに詳細に説明する。
A.下記式1で表わされる化合物を原料にした下記式2で表わされる化合物の製造
式1で表わされる化合物を原料にし、これを(Boc)O(二炭酸ジ-tert-ブチル)と反応させることにより、反応式(1)にしたがって、式2で表わされる化合物が製造される。
式1中、Rは、−CHCOOR、又は−CHPh(-Z)(Zはフェニル基(Ph)上の置換基であり、mは0〜5である。)であり、Rは低級アルキル基またはアルカリ金属原子であり、Phはフェニル基である。
ここで、低級アルキル基とは、炭素数1〜6のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、特に、-CHCO2-tert-Bu(tert-ブチル基)が好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムが好ましく、特に、ナトリウム又はカリウムが好ましい。
Zは、フェニル基上の置換基であり、フッ素原子、ニトロ基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基またはC1−4アルコキシカルボニル基であり、メトキシ基またはニトロ基が好ましい。
mは、0〜5であり、0〜2が好ましい。
式1で表わされる化合物は、Rが-CHCO2-tert-Buの場合、グリシン-tert-ブチルエステルもしくはその塩であり、R1が-CH2Phの場合、ベンジルアミンもしくはその塩である。これらのグリシン-tert-ブチルエステルもしくはその塩、及び、ベンジルアミンもしくはその塩は、プロパルギルアミン(HC≡CCHNH)などと異なり、入手が容易であり、安価である。
【0016】
【化7】
【0017】
上記の式2で表わされる化合物を得る反応は、好ましくは塩基の存在下に行われる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、コリジンなどのアミン類;水素化ナトリウム、水素化カリウム、tert-ブトキシナトリウム、tert-ブトキシカリウムなどが使用できる。
【0018】
式1で表わされる化合物として、遊離のアミンを使用する場合には、塩基の存在がなくとも反応は進行するが、塩基を使用する場合は、反応の後処理の操作性を考慮し、アミン類の使用が好ましい。
反応溶媒としては、反応条件下において安定であり、不活性で、目的とする反応を妨げない溶媒であればいずれも使用できる。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセテート、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性有機溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)、TBME(tert−ブチルメチルエーテル)、CPME(シクロペンチルメチルエーテル)、ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどの低級脂肪酸エステル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリルなどが使用できる。
これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。上記溶媒は、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて水を含有しない溶媒として用いることもできる。
【0019】
反応温度は、好ましくは、−100 ℃以上から使用する反応溶媒の沸点の温度までの温度範囲を選ぶことができるが、より好ましくは、−50〜150 ℃、特に好ましくは0〜60℃である。反応時間は、0.1〜1000時間、より好ましくは0.5〜50時間である。
上記反応式(1)により得られた式2で表わされる化合物は、蒸留、再結晶、又はシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製してもよいが、精製せずにそのまま次工程に用いてもよい。
このようにして製造される式2で表わされる化合物の好ましい例は、Boc−NHCHCOOtert−Bu、またはBoc−NHCHPh(-Z)m(ただし、Zはフェニル基上の置換基であって、フッ素原子、ニトロ基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基またはC1−4アルコキシカルボニル基であり、mは0〜5である。)である。
【0020】
B.下記式2で表わされる化合物から 下記式3で表わされる化合物の製造
上記反応式(1)で得られた式2で表わされる化合物からは、塩基の存在下に、H−A−CH-X(式中、Aは、−C≡C−又は−CH=CH−であり、Xは脱離能力のある置換基である。)と反応させることにより、下記の反応式(2)にしたがって、式3で表わされる化合物が製造される。
【0021】
【化8】
【0022】
上記H−A−CH−Xは、Aが−C≡C−である場合はプロパルギル化剤であり、また、Aが−CH=CH−である場合は、アリル化剤である。Xは、脱離能力のある置換基であり、例えば、F、 Cl、 Br、 Iなどのハロゲン;p-トルエンスルホン酸エステル基(−OSO−p−CH)、メタンスルホン酸エステル基(−OSOCH)、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基(−OSOCF)などのスルホン酸エステル基類;酢酸エステル基(−OCOCH)、安息香酸エステル基(−OCOPh)などの有機酸エステル基;メトキシカルボニルオキシ基(−OCOCH)、エトキシカルボニルオキシ基(−OCOCHCH)、i-プロピロキシカルボニルオキシ基(−OCOCH(CH)、フェノキシカルボニルオキシ基(−OCOPh)に代表される炭酸エステル基などである。なかでも、反応性の点から、ハロゲン又はスルホン酸エステル基が好ましい。
【0023】
反応に使用する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基;tert-ブトキシナトリウム、tert-ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、キノリン、コリジンなどのアミンを使用できる。なかでも、tert-ブトキシナトリウム、tert-ブトキシカリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどが好ましい。
【0024】
反応溶媒としては、反応条件下において安定であり、不活性で、目的とする反応を妨げない溶媒であればいずれも使用できる。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセテート、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性有機溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、THF、TBME、CPME、ジオキサンなどのエーテル類;ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどの低級脂肪酸エステル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリルが使用できる。
これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、上記溶媒は、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて水を含有しない溶媒として用いることもできる。
【0025】
また、上記の反応をより効率的に進行させるため、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどのヨウ化物を添加することもできる。
反応温度は、好ましくは、−100 ℃以上から使用する反応溶媒の沸点の温度までの温度範囲を選ぶことができるが、より好ましくは、−50〜150 ℃、特に好ましくは−20〜100℃である。反応時間は、0.1〜1000時間、より好ましくは0.5〜50時間である。
上記反応式(2)により得られた式3で表わされる化合物は、蒸留、再結晶、又はシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製してもよいが、精製せずにそのまま次工程に用いてもよい。
このようにして製造される式3で表わされる化合物の好ましい例は、Boc−N(CHC≡CH)CHCOOt−Bu、Boc−N(CHC≡CH)CHPh(−Z)m、Boc−N(CHCH=CH)CHCOOt−Bu、またはBoc−N(CHCH=CH)CHPh(−Z)mである。ここで、Zはフェニル基上の置換基であって、フッ素原子、ニトロ基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基またはC1−4アルコキシカルボニル基であり、mは0〜5である。
【0026】
式3で表わされる化合物のうち、以下のエステル化合物は、本出願前において新規な化合物である。
【0027】
【化9】
【0028】
C.下記式3で表わされる化合物から下記式5で表わされる化合物の製造
上記反応式(2)で得られた式3で表わされる化合物からは、金属錯体、配位子、及び塩基の共存下に、式4で表わされる化合物と、薗頭反応若しくはヘック反応などのカップリング反応を行うことにより、式5で表わされる化合物が製造される。
【0029】
【化10】
【0030】
式4で表わされる化合物において、Yは、脱離能力のある置換基であり、例えば、F、 Cl、 Br、 Iのハロゲン;p-トルエンスルホン酸エステル基(−OSO−p−CH)、メタンスルホン酸エステル基(−OSOCH)、トリフルオロメタンスルホン酸エステル基(−OSOCF)などのスルホン酸エステル基などが用いられる。なかでも、反応性の点から、Br、 I、又は トリフルオロメタンスルホン酸エステル基が好ましい。
本反応においては、適当な金属錯体と配位子を用いて金属錯体触媒を形成し、使用する。通常、金属錯体としては、パラジウム錯体やニッケル錯体が使用され、反応によっては、銅触媒を助触媒として共存させることが好ましい。
金属錯体触媒としては、種々の構造のものを用いることができるが、いわゆる低原子価のパラジウム錯体又はニッケル錯体を用いることが好ましく、特に3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とするゼロ価金属錯体触媒が好ましい。また、反応系中で容易にゼロ価金属錯体触媒に変換される適当な前駆体を用いることもできる。さらに、反応系中で、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まない金属錯体と、配位子である3級ホスフィンや3級ホスファイトとを混合し、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子とする低原子価金属錯体触媒を生成させることもできる。
【0031】
配位子である3級ホスフィン又は3級ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト等が挙げられる。これらの配位子の2種以上を混合して含む金属錯体触媒も好適に用いられる。
【0032】
金属錯体触媒として、3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まないパラジウム錯体と、3級ホスフィン又は3級ホスファイトを含む金属錯体とを組み合わせて用いることも好ましい。この場合、上記配位子をさらに組み合わせてもよい。3級ホスフィンや3級ホスファイトを含まないパラジウム錯体としては、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(アセトニトリル)ジクロロパラジウム、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、パラジウム−活性炭等が挙げられる。また、3級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含むパラジウム錯体としては、(エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム等が挙げられる。
これらパラジウム錯体の使用量は、いわゆる触媒量で良く、好ましくは、式4で表わされる化合物に対して20モル%以下であり、特に好ましくは10モル%以下である。同時に助触媒として使用される銅触媒は1価のものが好ましく、例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)などが挙げられる。
【0033】
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、燐酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの無機塩基;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、イミダゾール、キノリン、コリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、N−メチルモルフォリンなどのアミン;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウムなどが使用できる。
原料である式3で表わされる化合物のAが、-C≡C-である末端アセチレン化合物の場合には、予め、塩基として、有機リチウム、有機マグネシウム、有機亜鉛などを用いて金属アセチリド(LM-C≡C-、式中Mは金属、Lは配位子、nはゼロでない整数。)としておき、この金属アセチリドを反応に用いることも可能である。Mとしては、Li、 Mg、 Zn、 Sn、 Bなどが挙げられる。Lとしては、F、Cl、Br、I、OH、C1−6アルコキシなどが挙げられる。
【0034】
反応溶媒としては、当該反応条件下において安定であって、不活性で、反応を妨げないものであればいずれも使用できる。反応溶媒として、水、アルコール類、アミン類、非プロトン性極性有機溶媒(DMF(ジメチルホルムアミド), DMSO(ジメチルスルホキシド), DMAc(ジメチルアセトアミド), NMP(N−メチルピロリドン)など)、エーテル類(Et2O、i-Pr2O、 TBME、 CPME、 THF、 ジオキサンなど)、脂肪族炭化水素類(ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなど)、ハロゲン系炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなど)、低級脂肪酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなど)などが使用できる。これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、上記溶媒は、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて水を含有しない溶媒として用いることもできる。
【0035】
反応温度は、好ましくは、−100 ℃以上から使用する反応溶媒の沸点の温度までの温度範囲を選ぶことができるが、より好ましくは、−50〜200℃、特に好ましくは20〜150℃である。反応時間は、0.1〜1000時間、より好ましくは0.5〜100時間である。
上記反応式(3)により得られた式5で表わされる化合物は、蒸留、再結晶、又はシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製するのが好ましい。なお、再結晶はできるだけ低温で行うのが好ましい。
このようにして製造される式5で表わされる化合物のうち、以下の3種の化合物は、本出願前において新規な化合物である。
【0036】
【化11】
【0037】
D.下記式5で表わされる化合物からの下記式6で表わされるジアミンの製造
【0038】
【化12】

上記反応式(3)で得られた式5で表わされる化合物からは、そのベンゼン環が有するニトロ基、及びその側鎖部分の不飽和結合、さらに、構造によってはベンジル基が還元され、上記反応式(4)にしたがって、式6で表わされるジアミンが製造される。式6で表わされる化合物において、式5で表される化合物のRがベンジル基の場合は、Rは水素原子であり、RがCHCOORの場合は、RもCHCOORである。Rは、低級アルキル基であり、この場合の低級アルキル基については、Rの場合と同じ説明が適用される。
【0039】
上記式5で表わされる化合物の還元の方法としては、触媒として、パラジウム−活性炭や白金−活性炭などを利用する水素添加反応、Fe、Sn、Znやこれらの塩とプロトンの共存下で行う還元反応、蟻酸を水素源とする還元反応、ヒドラジンを水素源とする反応などがある。また、これらの反応を組み合わせて実施することもできる。
上記に例示の還元反応のうち、基質が式5で表わされる化合物の構造と還元反応の反応性を考慮すると、水素添加反応の使用が好ましい。
使用する触媒としては、市販品として入手できる活性炭担持金属、例えば、パラジウム−活性炭、白金−活性炭、ロジウム−活性炭などがある。また、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケルなど必ずしも活性炭担持型の金属触媒でなくてもよい。一般的に広く使用されているパラジウム−活性炭の使用でも良好な結果が得られる。
【0040】
反応溶媒としては、反応条件下において安定であり、不活性で、目的とする反応を妨げない溶媒であればいずれも使用できる。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセテート、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性有機溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、THF、TBME、CPME、ジオキサンなどのエーテル;ペンタン、へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどの低級脂肪酸エステル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどのニトリルが使用できる。
これらの溶媒は、反応の起こり易さなどを考慮して適宜選択することができ、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。また場合によっては、上記溶媒は、適当な脱水剤や乾燥剤を用いて水を含有しない溶媒として用いることもできる。
【0041】
上記の還元反応をより効果的に進行させるため、活性炭の共存下で反応を実施することもできる。この場合に使用する活性炭の量は特に限定されないが、式5で表わされる化合物に対して1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
さらに、反応をより効果的に進行させるため、加圧下で反応を実施することもできる。この場合、ベンゼン核の還元を避けるため、好ましくは20気圧(kgf)程度の加圧範囲、より好ましくは10気圧までの範囲で反応を実施する。
反応温度は、好ましくは、−100 ℃以上から使用する反応溶媒の沸点の温度までの温度範囲を選ぶことができるが、より好ましくは、−50〜150 ℃、特に好ましくは0〜80℃である。反応時間は、0.1〜1000時間、より好ましくは1〜200時間である。
上記反応式(4)により得られた式6で表わされる化合物は、蒸留、再結晶、又はシリカゲルなどのカラムクロマトグラフィーなどで精製するのが好ましい。
このようにして製造される式6で表わされる化合物の好ましい例は、Rが水素原子またはCHCOOt−Buで表わされる化合物である。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例によって本発明の解釈が限定されるものではない。なお、実施例にて採用した分析装置及び分析条件は、下記のとおりである。
1H-NMR及び13C-NMR;
装置: Varian NMR System 400 NB (400 MHz)
測定溶媒: CDCl3, DMSO-d6
基準物質: テトラメチルシラン(TMS) (TMSの1Hのδ値を0.0 ppm とする。)
CDCl3 (CDCl313Cのδ値を77.0 ppm とする。)
【0043】
実施例1(反応式(1)の例)
【0044】
【化13】
グリシンtert-ブチルエステル塩酸塩9 (10.0 g, 59.7 mmol)のトルエン(46.2 mL)懸濁液を60 ℃に保ち、トリエチルアミン(6.51 g, 64.3 mmol)を加え、0.5時間撹拌した。次に、二炭酸ジ-tert-ブチル(10.0 g, 45.9 mmol)のトルエン(11.6 mL)溶液を反応混合液に滴下し、6時間反応させた。
次いで、水(30 mL)を加えた後、有機層を分離した。その後、有機層から溶媒を留去し、n-ヘキサンで再結晶を行い、N-Boc-グリシン-tert-ブチルエステル10を得た(10.6 g, 45.9 mmol, 100%収率)。生成物の構造は、1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl3): δ 4.98 (b-s, 1H, NH), 3.79 (d, 2H, J=5.6 Hz, NCH2CO-tert-Bu), 1.52-1.40 (m, 18H, (tert-Bu) ×2).
【0045】
実施例2(反応式(1)の例)
【0046】
【化14】
グリシンtert-ブチルエステル塩酸塩9 (1.258 Kg, 7.505 mol)のトルエン(10 L)懸濁液を10 ℃に保ち、トリエチルアミン(0.9113 Kg, 9.006 mol)を加え、1時間撹拌した。次に、二炭酸ジ-tert-ブチル(1.474 Kg, 6.754 mol)を反応混合液に滴下し、3時間反応させた。
次いで、水(5 L)を加えて反応を停止させた後、有機層を分離した。その後、有機層から溶媒を留去させ、目的のN-Boc-グリシン-tert-ブチルエステル10 (1.551 Kg, 6.706 mol, 99%収率)を得た。得られたN-Boc-グリシン-tert-ブチルエステル10を1H-NMR分析で確認したところ、上述の実施例1において得られたN-Boc-グリシン-tert-ブチルエステルの1H-NMRと完全に一致した。
【0047】
実施例3(反応式(2)の例)
【0048】
【化15】
N-Boc-グリシンtert-ブチルエステル10 (150.0 g, 0.6485 mol)のトルエン(550 mL)溶液に、tert-ブトキシカリウム(80.05 g, 0.7134 mol)のTHF (550 mL)懸濁液を室温で滴下し、その混合液を10分間室温で撹拌した。次に、得られた反応混合液を氷冷し、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(7.186 g, 0.01946 mol)とプロパルギルブロミド(84.86 g, 0.7134 mol)のトルエン(200 mL)溶液を、この順番で反応混合液に加えた。
【0049】
得られた反応混合物を室温で3時間撹拌した後、8重量%の塩化アンモニウム水溶液(500 mL)を加えて反応を停止させ、有機層を分離した。その後、有機層から溶媒を留去して、目的の末端アセチレン化合物11を得た(153.4 g, 0.5695 mol, 88%収率)。
生成物である末端アセチレン化合物11の構造は、1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl3): δ 4.20-4.10 (m, 2H, HC≡CCH2N), 4.00-3.90 (m, 2H, NCH2CO2-tert -Bu), 2.23 (t, 1H, J=2.6 Hz, HC≡C), 1.50-1.40 (m, 18H, (tert-Bu) ×2).
【0050】
実施例4(反応式(2)の例)
【0051】
【化16】
水素化ナトリウム(55重量%ミネラルオイル分散、0.8490 g, 19.46 mmol, 使用前に10 mLのヘキサンで洗浄し、ミネラルオイルを除去した。)のDMF (6 mL)懸濁液を氷冷し、この溶液にN-Boc-グリシンtert-ブチルエステル10 (3.000 g, 12.97 mmol)のDMF (12 mL)溶液をゆっくり滴下した。
【0052】
得られた反応混合液を室温で1時間撹拌した後、同温度にてプロパルギルブロミド(1.697 g, 14.27 mmol)のDMF (12 mL)溶液を反応混合液に加えた。反応混合液を室温に保ち、18時間反応させた後、氷冷下で水(60 mL)を加え反応を停止させた。次いで、ヘキサン(50 mL)を加え、分液して有機層を分離し、水層はヘキサン(50 mL)で2回抽出した。得られた有機層をまとめて飽和食塩水(50 mL)で洗浄し、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ取し、得られた有機層から溶媒を留去すると、目的の化合物11が得られた(2.605 g, 9.672 mmol, 75%収率)。
得られた化合物の構造を1H-NMR分析で確認したところ、上記の実施例3において、t-BuOKを使用して得られた化合物11の1H-NMRと完全に一致した。
【0053】
実施例5(反応式(3)の例)
【0054】
【化17】
2-ヨード-4-ニトロアニリン12 (111.7 g, 0.4231 mol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム ジクロリド(2.970 g, 0.004231 mol)及びヨウ化銅(I) (1.611 g, 0.008461 mol)の THF(500 mL)懸濁液に、室温でジエチルアミン(37.13 g, 0.5077 mol)と末端アセチレン11 (152.9 g, 0.5680 mol)の THF(370 mL)溶液を、この順番で添加した。次いで、この反応混合液を40 ℃に昇温して24時間撹拌した。反応を停止させるため、反応混合液を水(3850 mL)に注ぐと目的物は結晶化したが、さらにそのまま3時間撹拌した。
【0055】
得られた反応混合液から目的物をろ取し、乾燥させ粗物を得た。得られた粗物はトルエンを使って再結晶を行い、目的とするニトロ体13を得た(144.6 g, 0.3566 mol, 84%収率)。ニトロ化合物13の構造は1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl3): δ 8.16 (d, 1H, J=2.4 Hz, Ar-H), 7.99 (dd, 1H, J=9.2, 2.4 Hz, Ar-H), 6.62 (d, 1H, J=9.2 Hz, Ar-H), 5.15 (s, 2H, NH2), 4.45-4.32 (m. 2H, C≡CCH2N), 4.04-3.88 (m, 2H, NCH2CO2tert-Bu), 1.55-1.40 (m, 18H, (tert-Bu) ×2).
【0056】
実施例6(反応式(3)の例)
【0057】
【化18】
2-ヨード-4-ニトロアニリン12 (7.50 g, 28.4 mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム ジクロリド(99.6 mg, 0.142 mmol)及びヨウ化銅(I) (54.1 mg, 0.284 mmol)の 酢酸エチル(49.9 mL)の懸濁液に、室温でジエチルアミン(10.4 g, 142 mmol)と末端アセチレン11 (11.5 g, 42.6 mmol)のトルエン(28.9 mL)溶液を、この順番で添加した。次いで、この反応混合液を50 ℃に昇温して6時間撹拌した。
得られた反応混合液に活性炭(0.750 g)を加え、50 ℃で活性炭と反応残渣をろ過除去し、ろ液に水(22.5 mL)を加え、有機相を分離した。次に、有機相の溶媒を減圧留去し、得られた粗物にトルエン(46.2 mL)、活性炭(1.15 g)を加え、80℃を超えない温度で活性炭をろ過除去し、ろ液から目的物を再結晶してニトロ体13を得た(10.3 g, 25.2 mmol, 89%収率)。ニトロ化合物13の構造は1H-NMR分析にて確認したところ、上述の実施例5において得られたニトロ化合物13の1H-NMRと完全に一致した。
【0058】
実施例7(反応式(3)の例)
【0059】
【化19】
2-ヨード-4-ニトロアニリン12 (8.03 g, 30.4 mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム ジクロリド(213 mg, 0.304mmol)及びヨウ化銅(I) (116 mg, 0.608 mmol)のトルエン(10.3 mL)の懸濁液に、室温でジエチルアミン(11.1 g, 152 mmol)と末端アセチレン11 (12.3 g, 45.6 mmol)のトルエン(34.2 mL)溶液を、この順番で添加した。次いで、この反応混合液を40 ℃に昇温して1時間撹拌した。
得られた反応混合液に酢酸エチル(53.4 mL)及び活性炭(0.803 g)を加え、50 ℃で活性炭と反応残渣をろ過除去し、ろ液に水(24.1 mL)を加え、有機相を分離した。次に、有機相の溶媒を減圧留去し、得られた粗物にトルエン(35.6 mL)、活性炭(1.23 g)を加え、100 ℃で活性炭をろ過除去し、ろ液から目的物を再結晶してニトロ体13を得た(10.2 g, 25.2 mmol, 83%収率)。ニトロ化合物13の構造は1H-NMR分析にて確認したところ、上述の実施例5において得られたニトロ化合物13の1H-NMRと完全に一致した。
【0060】
実施例8(反応式(3)の例)
【0061】
【化20】
2-ヨード-4-ニトロアニリン12 (5.00 g, 18.9 mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム ジクロリド(133 mg, 0.189 mmol)及びヨウ化銅(I) (72.0 mg, 0.378 mmol)の トルエン(7.6 mL)懸濁液に、室温でジ(n-ブチル)アミン(2.93 g, 22.7 mmol)と末端アセチレン11 (7.65 g, 28.4 mmol)のトルエン(21.2 mL)溶液を、この順番で添加した。次いで、この反応混合液を40 ℃に昇温して27時間撹拌した。
得られた反応混合液に酢酸エチル(33.3 mL)及び活性炭(0.500 g)を加え、50 ℃で活性炭と反応残渣をろ過除去し、ろ液に水(15.0 mL)を加え、有機相を分離した。次に、有機相の溶媒を減圧留去し、得られた粗物にトルエン(20.8 mL)、活性炭(0.766 g)を加え、100 ℃で活性炭をろ過除去し、ろ液から目的物を再結晶してニトロ体13を得た(5.48 g, 13.5 mmol, 72%収率)。ニトロ化合物13の構造は1H-NMR分析にて確認したところ、上述の実施例5において得られたニトロ化合物13の1H-NMRと完全に一致した。
【0062】
実施例9(反応式(1〜3)の例)
【0063】
【化21】
グリシンtert-ブチルエステル塩酸塩9 (10.02 g, 59.77 mmol)のトルエン(46.2 mL)懸濁液を20 ℃に保ち、トリエチルアミン(6.680 g, 66.01 mmol)を加え、1時間撹拌した。次に、二炭酸ジ-tert-ブチル(10.01 g, 45.86 mmol)のトルエン(11.6 mL)溶液を反応混合液に滴下し、5時間反応させた。反応終了を確認し、水(40 mL)を加えた後、有機層を分離した。その後、有機層から溶媒を一部留去させ、目的のN-Boc-グリシン-tert-ブチルエステル10 を含むトルエン溶液(43.47 g)を得た。
次に、上記で得られたN-Boc-グリシンtert-ブチルエステル10のトルエン溶液に、tert-ブトキシカリウム(5.490 g, 48.93 mol)のテトラヒドロフラン(26.7 mL)懸濁液を室温で滴下し、その混合液を10分間室温で撹拌した。この反応混合液を氷冷し、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(0.4864 g, 13.17 mmol)とプロパルギルブロミド(5.820 g, 48.95 mmol)のトルエン(10.0 mL)溶液を、この順番で反応混合液に加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した後、13重量%の塩化アンモニウム水溶液(23.7 mL)を加えて反応を停止させ、有機層を分離した。その後、有機層から溶媒を一部留去して、目的の末端アセチレン化合物11を含むトルエン溶液を得た(32.71 g)。
2-ヨード-4-ニトロアニリン12 (6.84 g, 25.9 mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム ジクロリド(90.0 mg, 0.130 mmol)及びヨウ化銅(I) (49.3 mg, 0.25.9 mmol)の酢酸エチル(45.5 mL)の懸濁液に、室温でジエチルアミン(9.47 g, 129 mmol)と上記で得られた末端アセチレン11のトルエン溶液を、この順番で添加した。次いで、この反応混合液を50 ℃に昇温して6時間撹拌した。この反応混合液に活性炭(0.68 g)を加え、50 ℃で活性炭と反応残渣をろ過除去し、ろ液に水(20.5 mL)を加え、有機相を分離した。有機相の溶媒を減圧留去し、得られた粗製物にトルエン(42.5 mL)、活性炭(1.05 g)を加え、80℃を超えない温度で活性炭をろ過除去し、ろ液から目的物を再結晶してニトロ体13を得た(7.86 g, 19.4 mmol, 75%収率)。ニトロ化合物13の構造は1H-NMR分析にて確認したところ、上述の実施例5において得られたニトロ化合物13の1H-NMRと完全に一致した。
【0064】
実施例10(反応式(4)の例):
【0065】
【化22】
ニトロ化合物13 (144.0 g, 0.3552 mol)のトルエン(1.500 L)懸濁液に5%パラジウム−活性炭(14.40 g)を加えた。この反応混合液を水素雰囲気にした後、50 ℃で48時間反応させた。反応終了後、反応混合液中の触媒をろ過除去し、得られたろ液から溶媒を留去させ、粗物を得た。
【0066】
得られた粗物をTHF(0.7400 L)に溶解させ、活性炭(13.09 g)を加え室温で1時間撹拌した。その後、活性炭をろ過除去し、ろ液から溶媒を留去してジアミン14の精製品を得た(129.8 g, 0.3420 mol, 96%収率)。ジアミン14の構造は1H-NMRにより確認した。
1H-NMR (DMSO-d6): δ 6.54-6.42 (m, 3H, Ar-H), 3.51-3.45 (m, 2H, NCH2CO2tert-Bu), 3.38-3.30 (m, 2H, CH2CH2N), 2.51-2.44 (m, 2H, ArCH2), 1.84-1.76 (m, 2H, CH2CH2CH2), 1.48-1.44 (m, 18H, (tert-Bu) ×2).
【0067】
実施例11(反応式(4)の例)
【0068】
【化23】
ニトロ化合物13 (2.002 g, 4.938 mmol)のトルエン(18.5 mL)懸濁液に活性炭(0.2006 g)、5%パラジウム−活性炭(0.2000 g)を加えた。この反応混合液を0.5 MPaの水素雰囲気にした後、50 ℃で10分反応させた。反応終了後、反応混合液中の活性炭、触媒をろ過除去し、得られたろ液から溶媒を留去させ、ジアミン14を得た(1.790 g, 4.717 mol, 97%収率)。得られたジアミン化合物の構造を1H-NMR分析で確認したところ、上述の実施例10において得られたジアミン化合物14の1H-NMRと完全に一致した。
【0069】
実施例12(反応式(2)の例):
【0070】
【化24】
tert-ブトキシカリウム(31.53 g, 281.0 mmol)のトルエン(100 mL)懸濁液に室温でN-Boc-グリシンtert-ブチルエステル10 (50.00 g, 216.2 mmol)のトルエン(200 mL)溶液を滴下し、30分間撹拌した。次いで、反応混合液にヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(7.985 g, 21.62 mmol)とアリルブロミド(28.77 g, 237.8 mmol)のトルエン(200 mL)溶液を、この順番で加えた。
【0071】
得られた反応混合液を室温で2時間撹拌した後、水(300 mL)を加えて反応を停止させ、トルエン(100 mL)と水(200 mL)を更に加えて分液した。分離した水層はトルエン(200 mL)で抽出し、有機層をまとめ、飽和食塩水(200 mL)で洗浄し、有機層を分離後、硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、硫酸マグネシウムをろ取した後、得られた有機層の溶媒を留去して、目的物15を得た(57.62 g, 212.3 mmol, 98%収率)。目的物15の構造は1H-NMRにより確認した。
1H-NMR (CDCl3): δ 5.84-5.73 (m, 1H, -CH=CH2), 5.20-5.08 (m, 2H, -CH=CH2), 3.95-3.71 (m, 4H, -NCH2CO2tert-Bu及び-NCH2CH=), 1.55-1.38 (m, 18H, (tert-Bu) ×2).
【0072】
実施例13(反応式(3)の例)
【0073】
【化25】
末端オレフィン化合物15 (5.000 g, 18.43 mmol)と2-ヨード-4-ニトロアニリン12 (3.243 g, 12.28 mmol)のN, N-ジメチルアセタミドDMAc (41 mL)の混合溶液に、室温で酢酸ナトリウム(2.015 g, 24.57 mmol)と酢酸パラジウム(0.02758 g, 0.1228 mmol)を加え、110 ℃で3時間反応させた(ヘック反応)。
【0074】
得られた反応混合液はセライトを用いてろ過し、得られたろ液に酢酸エチル(60 mL)と水(60 mL)を加えて分液した。分離した水層は、さらに酢酸エチル(60 mL)で抽出し、有機層をまとめ、水(60 mL)で洗浄し、その後、有機層を分離した。次いで、有機層の溶媒を留去し、粗物を得た。得られた粗物はトルエンで再結晶を行い、目的のニトロ化合物16を得た(3.093 g, 7.591 mmol, 62%収率)。ニトロ化合物16の構造は1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl3): δ 8.10 (d, 1H, J=2.4 Hz, Ar-H), 7.96 (dd, 1H, J=8.8, 2.4 Hz, Ar-H), 6.61 (d, 1H, J=8.8 Hz, Ar-H), 6.53 (d, 1H, J=15.6 Hz, Ar-CH=C), 6.18 (dt, 1H, J=15.6, 6.0 Hz, C=CH-CH2-), 4.72-4.60 (m, 2H, NH2), 4.12-4.02 (m, 2H, C=CHCH2N), 3.94-3.88 (m, 2H, NCH2CO2tert-Bu ), 1.55-1.39 (m, 18H,( tert-Bu) ×2).
【0075】
実施例14(反応式(4)の例)
【0076】
【化26】
ニトロ化合物16 (3.767 g, 9.245 mmol)のトルエン(37 mL)懸濁液に5%パラジウム−活性炭(0.3767 g)を加えた。この反応混合液を水素雰囲気にした後、50 ℃で7時間反応させた。反応終了後、反応混合液中の触媒はセライトを用いてろ過除去し、得られたろ液から溶媒を留去させ、粗物を得た。
【0077】
得られた粗物をTHF(36 mL)に溶解させ、活性炭(0.35 g)を加え室温で30分間撹拌した。次いで、活性炭をろ過除去し、ろ液から溶媒を留去して、ジアミン化合物14の精製物を得た(3.477 g, 9.162 mmol, 99%収率)。得られたジアミン化合物の構造を1H-NMR分析で確認したところ、上述の実施例10において得られたジアミン化合物14の1H-NMRと完全に一致した。
【0078】
実施例15(反応式(1)の例)
【0079】
【化27】
ベンジルアミン17 (107.0 g, 0.9986 mol)のトルエン(780 mL)溶液に室温で二炭酸ジ-tert-ブチル(217.9 g, 0.9986 mol)を滴下し、1時間反応させた。その後、水(300 mL)を加えて反応を停止させた後、トルエン(60 mL)をさらに加えて有機層を分離し、溶媒を留去させて目的物の粗製物を得た。
【0080】
次いで、得られた粗製物をヘキサンで再結晶を行い、目的のN-Boc-ベンジルアミン18 (183.0 g, 0.8829 mol, 88%収率)を得た。化合物18の構造は1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.35-7.23 (m, 5H, -Ph), 4.88 (b-s, 1H, NH), 4.31 (d, 2H, J=5.6 Hz, NCH2Ph), 1.46 (s, 9H, tert-Bu).
【0081】
実施例16(反応式(2)の例)
【0082】
【化28】
tert-ブトキシカリウム(14.50 g, 129.2 mmol)のトルエン(80 mL)懸濁液に、室温でN-Boc-ベンジルアミン18 (20.60 g, 99.39 mmol)のトルエン(40 mL)溶液を滴下し、60 ℃に昇温後に2時間撹拌した。次いで、反応混合液を氷浴につけて冷却し、ヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(1.836 g, 4.969 mmol)とプロパルギルブロミド(13.01 g, 109.3 mmol)のトルエン(80 mL)溶液を、この順番で反応混合液に加えた。
【0083】
その後、室温で4時間撹拌させ、水(100 mL)を加えて反応を停止した。その後、有機層と水層とを分離し、水層は酢酸エチル(50 mL)でさらに抽出して分離し、有機層をまとめ、飽和食塩水(30 mL)で洗浄後に有機層を分離した。溶媒を留去して目的物19を得た(22.86 g, 93.18 mmol, 94%収率)。目的物19の構造は1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl3): δ 7.35-7.23 (m, 5H, -Ph), 4.56 (s, 2H, CH2), 4.10-3.82 (b-m, 2H, CH2), 2.21 (b-s, 1H, H-C≡C), 1.58-1.39 (b-m, 9H, tert-Bu).
【0084】
実施例17(反応式(3)の例)
【0085】
【化29】
2-ヨード-4-ニトロアニリン12 (1.499 g, 5.678 mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム ジクロリド(0.03985 g, 0.05678 mmol)及びヨウ化銅(I) (0.02163 g, 0.1135 mmol)のTHF(7 mL)懸濁液に、室温でジエチルアミン(0.4983 g, 6.813 mmol)と末端アセチレン化合物19 (2.089 g, 8.516 mmol)のTHF (2 mL)溶液をこの順番で添加した。その後、40 ℃に昇温して6時間撹拌した。
【0086】
得られた反応混合液に水(10 mL)と酢酸エチル(10 mL)を加えて反応を停止させた。次いで、その反応混合液は、セライトを用いてろ過した。得られたろ液から有機層を分離し、溶媒を留去して粗物を得た。次いで、粗物はトルエンとヘキサンを使って再結晶を行い、目的物20を得た(1.807 g, 4.737 mmol, 83%収率)。目的物20の構造は1H-NMR分析にて確認した。
1H-NMR (CDCl3): δ 8.11 (d, 1H, J=2.4 Hz, Ar-H), 8.00 (dd, 1H, J=9.2, 2.4 Hz, Ar-H), 7.40-7.23 (m, 5H, NCH2Ph), 6.63 (d, 1H, J=9.2 Hz, Ar-H), 5.10-4.67 (b-m, 2H, NH2), 4.59 (s, 2H, CH2), 4.25 (b-s, 2H, CH2), 1.51 (s, 9H, tert-Bu).
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に従えば、液晶配向剤の原料として有用なジアミン化合物を、安価な原料から、簡便かつ効果的に製造することができる。また、本発明の製造方法は、大規模での生産が実施可能であり、工業的に有用である。
なお、2010年8月17日に出願された日本特許出願2010−182555号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。