特許第5737526号(P5737526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5737526レジスト下層膜形成組成物及びそれを用いたレジストパターンの形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737526
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】レジスト下層膜形成組成物及びそれを用いたレジストパターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20150528BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   G03F7/11 503
   H01L21/30 573
   H01L21/30 574
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-527652(P2012-527652)
(86)(22)【出願日】2011年7月13日
(86)【国際出願番号】JP2011065984
(87)【国際公開番号】WO2012017790
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2014年4月24日
(31)【優先権主張番号】特願2010-173543(P2010-173543)
(32)【優先日】2010年8月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂本 力丸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴文
(72)【発明者】
【氏名】大西 竜慈
(72)【発明者】
【氏名】何 邦慶
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−003484(JP,A)
【文献】 特開2009−098639(JP,A)
【文献】 特開2009−208458(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/053832(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造単位及び架橋部位を有する構造単位を含むポリマーと、架橋剤と、架橋反応を促進させる化合物と、有機溶媒とを含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Aは炭素原子数1乃至13のアルキレン基又はフェニレン基を表し、Yは窒素原子又はリン原子を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1乃至13のアルキル基、又はフェニル基を表し、X-は炭素原子数1乃至13のアルキルスルホン酸アニオン、炭素原子数1乃至13のアルキルスルファートアニオン、クロリドアニオン、ブロミドアニオン、炭素原子数1乃至13のフルオロアルキルスルホン酸アニオン、4フッ化ホウ素アニオン、6フッ化リンアニオン及び炭素原子数1乃至13のアルキルカルボン酸アニオンからなる群から選択されるアニオンを表す。)
【請求項2】
前記ポリマーの架橋部位を有する構造単位は、下記式(2)で表されることを特徴とする、請求項1に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【化2】
(式中、R5は水素原子又はメチル基を表し、
Dは直鎖状、分岐状又は環状の炭素原子数1乃至13の炭化水素基を表し、該炭化水素基は少なくとも1つのヒドロキシ基を置換基として有する。)
【請求項3】
前記ポリマーが、さらに下記式(3)で表される構造単位を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物。
【化3】
(式中、R6は水素原子又はメチル基を表し、
1は単結合又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素原子数1乃至13のアルキレン基を表し、
Eは置換基を有していてもよいラクトン環又はアダマンタン環を表す。)
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト下層膜と前記レジスト膜で被覆された半導体基板をKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、極端紫外線及び電子線からなる群から選択される放射線により露光する工程、露光後にアルカリ性現像液によって現像する工程を含む、レジストパターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板加工時に有用なリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物、並びに該レジスト下層膜形成組成物を用いるレジストパターン形成方法に関するものである。より詳細には、半導体装置製造のリソグラフィープロセスにおいて、レジストとの密着性の向上を図った、レジスト下層膜形成組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体装置の製造において、レジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工は、シリコンウェハー等の半導体基板上にレジスト組成物の薄膜を形成し、その上にデバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理することにより、基板表面に、前記パターンに対応する微細凹凸を形成する加工法である。近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もi線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー(波長248nm)からArFエキシマレーザー(波長193nm)、さらにはF2レーザー(波長157nm)へと、より短波長化されている。これに伴い、活性光線の半導体基板からの乱反射や定在波の影響が大きな問題となり、そこでこの問題を解決すべく、レジストと半導体基板の間に反射防止膜(Bottom Anti−Reflective Coating:BARC)を設ける方法が広く検討されてきている。かかる反射防止膜としては、その使用の容易さなどから、吸光基(クロモフォア)を有するポリマーを含む組成物から形成される有機反射防止膜について数多くの検討が行われている(例えば、特許文献1)。
一方、さらなる微細加工技術に適用されるEUV(極端紫外線、波長13.5nm)では、半導体基板からの反射の問題は生じないが、パターン微細化に伴うレジストパターン倒れが問題となるため、レジストとの高い密着性を有するレジスト下層膜の検討が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−501985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の有機反射防止膜(レジスト下層膜)に要求される特性としては、レジストとのインターミキシングが起こらないこと(レジスト溶剤に不溶であること)、裾引きなどのないレジストパターンが形成できること、レジストとの密着性に優れること、レジストに比べて大きなドライエッチング速度を有すること等が挙げられる。
さらに、フォーカス深度マージンを広くとることができるという特性や、高い解像度を達成できるという特性への要求も高まっている。フォーカス深度マージンとは、露光時に最適なフォーカス位置に対して上方又は下方にフォーカスがずれた際にレジストパターンが実用可能な状態で維持できる全深度領域の幅のことであり、すなわち、フォーカス深度マージンの拡張は、製造工程における余裕度を大きくすることに寄与する。
しかしながら、これら種々の要求特性を満足できる下層膜材料は未だ見出されていない。
【0005】
本発明は、レジスト膜との密着性が高く、レジストの薄膜化に対応してレジスト下層膜が薄膜でも良好な(矩形の)レジストパターンを形成でき、そしてフォーカス深度マージンの拡張を達成できる、新たな下層膜形成組成物、並びに該下層膜形成組成物を用いるレジストパターン形成法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、硬化膜のベースとなるポリマーの骨格内にカチオン部位を導入することにより、硬化膜形成後、上側に設けられるレジスト層との密着性を格段に向上できるレジスト下層膜形成組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、第1観点として、下記式(1)で表される構造単位及び架橋部位を有する構造単位を含むポリマーと、架橋剤と、架橋反応を促進させる化合物と、有機溶媒とを含むリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Aは炭素原子数1乃至13のアルキレン基又はフェニレン基を表し、Yは窒素原子又はリン原子を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1乃至13のアルキル基、又はフェニル基を表し、X-は炭素原子数1乃至13のアルキルスルホン酸アニオン、炭素原子数1乃至13のアルキルスルファートアニオン、クロリドアニオン、ブロミドアニオン、炭素原子数1乃至13のフルオロアルキルスルホン酸アニオン、4フッ化ホウ素アニオン、6フッ化リンアニオン及び炭素原子数1乃至13のアルキルカルボン酸アニオンからなる群から選択されるアニオンを表す。)
【0008】
第2観点として、前記ポリマーの架橋部位を有する構造単位は、下記式(2)で表されることを特徴とする、第1観点に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。
【化2】
(式中、R5は水素原子又はメチル基を表し、
Dは直鎖状、分岐状又は環状の炭素原子数1乃至13の炭化水素基を表し、該炭化水素基は少なくとも1つのヒドロキシ基を置換基として有する。)
【0009】
第3観点として、前記ポリマーが、さらに下記式(3)で表される構造単位を有することを特徴とする、第1観点又は第2観点に記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に関する。
【化3】
(式中、R6は水素原子又はメチル基を表し、
1は単結合又は直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素原子数1乃至13のアルキレン基を表し、
Eは置換基を有していてもよいラクトン環又はアダマンタン環を表す。)
【0010】
第4観点として、第1観点乃至第3観点のうちいずれかに記載のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成してレジスト下層膜を形成する工程、前記レジスト下層膜上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト下層膜と前記レジスト膜で被覆された半導体基板をKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、極端紫外線及び電子線からなる群から選択される放射線により露光する工程、露光後にアルカリ性現像液によって現像する工程を含む、レジストパターンの形成方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は、当該レジスト下層膜形成組成物に含まれるポリマーの側鎖末端にカチオン部位を組み込んだ点を特徴とするものであり、斯かるポリマーと、架橋剤、架橋反応を促進させる化合物及び有機溶媒とを含有する組成物である。このような構成としたことにより、下層膜の上側に設けられるレジスト層との密着性に優れ、パターン剥れやパターン消失のない良好なレジストパターンを形成することができる。
【0012】
また本発明のレジスト下層膜形成組成物は、下部にすそ引き形状をほとんど有さない良好な形状を有し、寸法制御性に優れるレジストパターンを形成できるレジスト下層膜を提供することができる。
さらに、本発明のレジスト下層膜形成組成物は、広いフォーカス深度マージンを達成できるレジスト下層膜を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例3、実施例4及び比較例2のレジスト下層膜形成組成物を用いて得られたレジストパターンの断面SEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[ポリマー]
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれるポリマーは前記式(1)で表される構造単位及び架橋部位を有する構造単位を必須の構造単位として含むポリマーである。
【0015】
<式(1)で表される構造単位>
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれるポリマーにおいて、必須の構造単位として含まれる構造単位の1つは、下記式(1)で表されるカチオン部位を有する構造単位である。
【化4】
式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、Aは炭素原子数1乃至13のアルキレン基又はフェニレン基を表し、Yは窒素原子又はリン原子を表し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1乃至13のアルキル基、又はフェニル基を表し、X-は炭素原子数1乃至13のアルキルスルホン酸アニオン、炭素原子数1乃至13のアルキルスルファートアニオン、クロリドアニオン、ブロミドアニオン、炭素原子数1乃至13のフルオロアルキルスルホン酸アニオン、4フッ化ホウ素アニオン、6フッ化リンアニオン及び炭素原子数1乃至13のアルキルカルボン酸アニオンからなる群から選択されるアニオンを表す。
【0016】
前記式(1)で表される構造単位を形成するモノマーとしては、例えば[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムメチルスルファート、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド、が挙げられる。
【0017】
<式(2)で表される構造単位及びその他の構造単位>
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物に含まれるポリマーは、前記式(1)で表される構造単位に加え、架橋部位を有する構造単位を必須の構造単位として含むポリマーである。前記架橋部位を有する構造単位は、例えば下記式(2)で表される。
前記ポリマーは、さらに下記式(3)で表される構造単位を含んでいてもよく、さらに光吸収部位を有する下記式(4)で表される構造単位を含んでいてもよい。
【化5】
式中、R5乃至R7はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、
Dは直鎖状、分岐状又は環状の炭素原子数1乃至13の炭化水素基を表し、該炭化水素基は少なくとも1つのヒドロキシ基を置換基として有するものであり、
1は単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1乃至13のアルキレン基を表し、
2は−C(=O)O−基、−CONH−基又は単結合を表し、
Eは置換基を有していてもよいラクトン環又はアダマンタン環を表し、そして
Bは置換基を有していてもよい芳香環又は複素環を含む基を表す。
【0018】
前記環状の炭素原子数1乃至13の炭化水素基としては、例えばアダマンチル基を挙げることができる。
前記芳香環として、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環を挙げることができる。前記複素環として、例えば、トリアジン環を挙げることができる。
【0019】
前記式(2)で表される構造単位は、架橋剤と反応し、溶剤耐性を備えたレジスト下層膜を形成する部位である。
前記式(2)で表される構造単位を形成するモノマーとしては、例えば以下のヒドロキシ基を有するモノマーを挙げることができる。:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、1−ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレート等。
【0020】
前記式(3)で表される構造単位を形成するモノマーのうち、好ましい一例として、以下の構造式で表される化合物が挙げられる。
【化6】
前記式中、Raは水素原子又はメチル基を表し、Rbはそれぞれ独立して水素原子又は直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1乃至5のアルキル基を表し、Rcは直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1乃至5のアルキル基を表し、Rdはそれぞれ独立して直鎖状又は分岐鎖状の炭素原子数1乃至5のアルキル基を表す。
【0021】
より具体的には、例えば以下のγ−ブチロラクトン環又はアダマンタン環を有するモノマーを挙げることができる。:
【化7】
【化8】
【0022】
前記式(4)で表される光吸収部位を有する構造単位は、形成されるレジスト下層膜の光学パラメーター(n値及びk値)を調整する。
前記式(4)で表される構造単位を形成するモノマーとしては、例えば以下の芳香環を有するモノマーを挙げることができる。:ベンジル(メタ)アクリレート、(9−フェナントリル)メチル(メタ)アクリレート、(1−ピレニルメチル)(メタ)アクリレート、3−(トリフルオロメチル)ベンジル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペンタブロモベンジル(メタ)アクリレート、3−ヨードベンジル(メタ)アクリレート、トリフェニルメチル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、2,6−ジ−第三ブチル−4−((メタ)アクリロイルアミノメチル)フェノール)、スチレン、1−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、N−(1−アリルアミノ−2,2,2−トリクロロ−エチル)−3−フェニル−(メタ)アクリルアミド、1−アリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、1−アリル−3,5−ジグリシジル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、アントラセンメチル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等。
【0023】
本発明のレジスト下層膜形成組成物に用いるのに好ましいポリマーとしては、下記式(1−1)乃至式(4−1)で表される構造単位を含む共重合体、或いは、下記式(1−1)乃至式(3−1)及び式(4−2)で表される構造単位を含む共重合体である。
【化9】
【化10】
【0024】
本発明のレジスト下層膜形成組成物に用いるポリマーにおける前記式(1)乃至式(4)で表される構造単位の総計を100質量%とすると、式(1)で表される構造単位の割合は0.5質量%〜10質量%(モノマーの仕込み比換算)であり、好ましくは0.5質量%〜5質量%、より好ましくは1質量%〜3質量%である。
また、式(2)乃至式(4)で表される構造単位の割合は、それぞれ、20質量%〜50質量%、0質量%〜40質量%、0質量%〜40質量%である。
【0025】
本発明のレジスト下層膜形成組成物に用いるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体のいずれであってもよい。本発明のレジスト下層膜を形成する樹脂は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの方法により合成することができる。その重合方法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合など種々の方法が可能であり、適宜重合触媒等を用いてもよい。
【0026】
一例として、有機溶媒中で、上記式(1)乃至式(4)の構造単位を形成するモノマーに重合開始剤を加えて加熱重合を行い合成することができる。
ここで使用する有機溶媒は、後述する本発明のレジスト下層膜形成組成物に含まれる有機溶媒として好ましい例示の中より適宜選択できる。
当該重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等を挙げることができ、通常50℃乃至80℃に加熱して重合できる。反応時間としては通常2時間乃至100時間、又は5時間乃至30時間である。
【0027】
本発明のレジスト下層膜形成組成物におけるポリマーの割合は、当該レジスト下層膜形成組成物に対し例えば0.5質量%以上30質量%以下の割合とすることができる。
また、後述する溶媒を除いた成分を固形分と定義すると、その固形分はポリマー及び、架橋剤、その他必要に応じて添加される後述する添加剤を含む。固形分中のポリマーの割合は、例えば60質量%以上98質量%以下である。
【0028】
[架橋剤及び架橋反応を促進させる化合物]
本発明のレジスト下層膜形成組成物はさらに架橋剤を含む。その架橋剤として特に制限はないが、少なくとも二つの架橋形成置換基を有する架橋性化合物が好ましく用いられる。当該架橋剤としては、例えば、メチロール基、メトキシメチル基といった架橋形成置換基を有するメラミン系化合物、置換尿素系化合物、エポキシ基を含有するポリマー系化合物等が挙げられる。好ましくは、メチロール基又はアルコキシメチル基で置換された窒素原子を2乃至4つ有する含窒素化合物である。
【0029】
当該架橋剤の具体例としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素及び1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素が挙げられる。
【0030】
本発明のレジスト下層膜形成組成物における上記架橋剤の含有量は、後述する有機溶媒を除いた成分を固形分と定義する(すなわち固形分はポリマー及び、架橋剤、架橋反応を促進させる化合物、その他必要に応じて添加される後述する添加剤を含む。)と、当該レジスト下層膜形成組成物の固形分の含有量に基づいて、1質量%乃至50質量%であり、又は8質量%乃至40質量%であり、又は15質量%乃至30質量%である。
【0031】
これら架橋剤は自己縮合による架橋反応を起こすこともあるが、前記ポリマー、特に、架橋剤と反応して架橋を形成する構造単位である式(2)で表される構造単位中の架橋官能基(ヒドロキシ基)と架橋反応を起こす事ができる。
【0032】
また本発明のレジスト下層膜形成組成物は、さらに架橋反応を促進させる化合物(架橋触媒)を含む。
そのような架橋反応を促進させる化合物としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホンナート、カンファースルホン酸、5−スルホサリチル酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸化合物を挙げることができ、クエン酸、サリチル酸、安息香酸、及びヒドロキシ安息香酸等のカルボン酸化合物も使用できる。
これら架橋反応を促進させる化合物は、一種のみを使用することができ、また、二種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明のレジスト下層膜形成組成物における上記架橋反応を促進させる化合物の含有量は、当該レジスト下層膜形成組成物の固形分の含有量に基づいて、0.01質量%乃至10質量%であり、又は0.1質量%乃至8質量%であり、又は0.5質量%乃至5質量%である。
【0033】
[有機溶媒]
本発明のレジスト下層膜形成組成物はさらに有機溶媒を含む。本発明において使用される有機溶媒としては、前述のポリマーを溶解することができれば特に制限されず、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、メトキシブタノール類、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等を用いることができる。これらの有機溶媒は単独で、又は2種以上の組合せで使用される。
【0034】
さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶媒を上記有機溶媒に混合して使用することができる。
【0035】
これらの有機溶媒の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノンが好ましい。
そして、本発明のレジスト下層膜形成組成物に対する有機溶媒の割合は、例えば50質量%以上99.5質量%以下である。
【0036】
[その他の添加剤]
本発明のレジスト下層膜形成組成物には、前記以外に必要に応じて界面活性剤、接着補助剤、レオロジー調整剤等の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない限りにおいてさらに含んでもよい。
【0037】
界面活性剤は、基板に対するレジスト下層膜形成組成物の塗布性を向上させるための添加物である。ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤のような公知の界面活性剤を用いることができる。
【0038】
前記界面活性剤の具体例としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ[登録商標]EF301、EF303、EF352((株)ジェムコ製)、メガファック[登録商標]F171、F173、R30(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード[登録商標]AG710、サーフロン[登録商標]S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
【0039】
上記界面活性剤が使用される場合、本発明のレジスト下層膜形成組成物における含有量は、本発明のレジスト下層膜形成組成物の固形分中の含有量に基づいて、例えば3質量%以下であり、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0040】
次に本発明のレジストパターン形成法について説明する。
【0041】
まず、精密集積回路素子の製造に使用される基板(例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被覆されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素基板、石英基板、ガラス基板(無アルカリガラス、低アルカリガラス、結晶化ガラスを含む)、ITO膜が形成されたガラス基板)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明のレジスト下層膜(反射防止膜)形成組成物を塗布し、その後、ホットプレート等の加熱手段を用いて焼成(ベーク)して硬化させレジスト下層膜(反射防止膜)を作製する。
【0042】
塗布後、焼成する条件としては、例えば焼成温度:80℃乃至250℃、焼成時間:0.3分乃至60分間の中から適宜選択され、好ましくは例えば、焼成温度150℃乃至250℃、焼成時間:0.5分乃至5分間である。
また、レジスト下層膜(反射防止膜)の膜厚としては、例えば0.005μm乃至3.0μmであり、好ましくは0.01μm乃至1.0μmであり、より好ましくは0.01μm乃至0.5μmである。
【0043】
次に、レジスト下層膜上にレジスト膜を形成する。レジスト膜の形成は一般的な方法、すなわち、レジスト溶液のレジスト下層膜上への塗布及びベークによって行うことができる。
【0044】
本発明におけるレジスト下層膜(反射防止膜)の上層に塗布されるレジストとしては露光光に感光するものであれば、特に限定はなく、ネガ型、ポジ型いずれも使用できる。
当該レジストとしては、例えば、ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型レジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型レジスト、酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型レジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤とからなる化学増幅型レジスト等がある。
【0045】
具体的には、住友化学(株)製、商品名 PAR710、同PAR855;JSR(株)製、商品名 AR2772JN;信越化学工業(株)製、商品名 SEPR430;ダウケミカル社(旧ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ社)製、商品名 APEX−X等が挙げられる。
また、Proc.SPIE,Vol.3999,330−334(2000)、Proc.SPIE,Vol.3999,357−364(2000)、やProc.SPIE,Vol.3999,365−374(2000)に記載されているような、含フッ素原子ポリマー系レジストも挙げることができる。
【0046】
続いて、レジスト下層膜の上層に形成されたレジスト層に対して、所定のマスクを通して露光する。露光には、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等を使用することができる。また露光後、必要に応じて露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)を行うこともできる。
露光後加熱の条件としては、加熱温度80℃乃至150℃、加熱時間0.3分乃至60分間の中から適宜選択される。
【0047】
露光後、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを得る。
【0048】
本発明のレジスト下層膜(反射防止膜)形成組成物を使用して形成したレジスト下層膜(反射防止膜)を有するポジ型レジストの現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、前記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩の水溶液、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液である。
【0049】
現像の条件としては、現像温度5℃乃至50℃、現像時間10秒乃至300秒から適宜選択される。本発明のレジスト下層膜形成組成物から形成されるレジスト下層膜は、レジストの現像に汎用されている2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、室温で容易に現像を行うことができる。
【0050】
そして、レジストが前記工程により現像除去された部分のレジスト下層膜(反射防止膜)をドライエッチングにより除去し、所望のパターンを基板上に形成することができる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明について実施例を挙げて詳述するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0052】
<合成例1:PQMA/HPMA/GBLMA=34/33/33(質量%)>
p−ヒドロキシフェニルメタクリレート(PQMAと略称、昭和高分子株式会社製)2.72g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMAと略称、東京化成工業株式会社製)2.64g及びγ−ブチロラクトンメタクリレート(GBLMAと略称、大阪有機化学工業株式会社製)2.64gを乳酸エチル22.64gに溶解させ、加熱撹拌しながら80℃に昇温した。乳酸エチル10gに溶解させたアゾビスイソブチロニトリル0.16gを1時間かけて滴下し、滴下後24時間反応させた。反応後冷却して、固形分20質量%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液の粘度は66.0cP(東機産業株式会社製、VISCOMETER TV−20)であった。
【0053】
<合成例2:PQMA/HPMA/GBLMA/Salt=34/33/30/3(質量%)>
p−ヒドロキシフェニルメタクリレート2.72g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート2.64g、γ−ブチロラクトンメタクリレート2.40g及び2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム・メチルスルファート(Saltと略称、和光純薬工業株式会社製)0.24gを乳酸エチル22.64gに溶解させ、加熱撹拌しながら80℃に昇温した。乳酸エチル10gに溶解させたアゾビスイソブチロニトリル0.16gを1時間かけて滴下し、滴下後24時間反応させた。反応後冷却して、固形分20質量%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液の粘度は63.1cP(東機産業株式会社製、VISCOMETER TV−20)であった。
【0054】
<合成例3:PQMA/HPMA/GBLMA/Salt=34/33/28/5(質量%)>
p−ヒドロキシフェニルメタクリレート2.72g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート2.64g、γ−ブチロラクトンメタクリレート2.24g及び2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム・メチルスルファート0.40gを乳酸エチル22.64gに溶解させ、加熱撹拌しながら80℃に昇温した。乳酸エチル10gに溶解させたアゾビスイソブチロニトリル0.16gを1時間かけて滴下し、滴下後24時間反応させた。反応後冷却して、固形分20質量%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液の粘度は89.6cP(東機産業株式会社製、VISCOMETER TV−20)であった。
【0055】
<合成例4:BMA/HPMA/GBLMA=34/33/33(質量%)>
ベンジルメタクリレート(BMAと略称、東京化成工業株式会社製)2.72g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート2.64g及びγ−ブチロラクトンメタクリレート2.64gを乳酸エチル22.64gに溶解させ、加熱撹拌しながら80℃に昇温した。乳酸エチル10gに溶解させたアゾビスイソブチロニトリル0.16gを1時間かけて滴下し、滴下後24時間反応させた。反応後冷却して、固形分20質量%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液の粘度は59.4cP(東機産業株式会社製、VISCOMETER TV−20)であった。
【0056】
<合成例5:BMA/HPMA/GBLMA/Salt=34/33/30/3(質量%)>
ベンジルメタクリレート2.72g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート2.64g、γ−ブチロラクトンメタクリレート2.40g及び2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム・メチルスルファート0.24gを乳酸エチル22.64gに溶解させ、加熱撹拌しながら80℃に昇温した。乳酸エチル10gに溶解させたアゾビスイソブチロニトリル0.16gを1時間かけて滴下し、滴下後24時間反応させた。反応後冷却して、固形分20質量%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液の粘度は40.1cP(東機産業株式会社製、VISCOMETER TV−20)であった。
【0057】
<合成例6:BMA/HPMA/GBLMA/Salt=34/33/28/5(質量%)>
ベンジルメタクリレート2.72g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート2.64g、γ−ブチロラクトンメタクリレート2.24g及び2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム・メチルスルファート0.40gを乳酸エチル22.64gに溶解させ、加熱撹拌しながら80℃に昇温した。乳酸エチル10gに溶解させたアゾビスイソブチロニトリル0.16gを1時間かけて滴下し、滴下後24時間反応させた。反応後冷却して、固形分20質量%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液の粘度は34.6cP(東機産業株式会社製、VISCOMETER TV−20)であった。
【0058】
<実施例1>
前記合成例2で得たポリマー1gを含有する溶液5gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ株式会社、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.25g及びピリジニウム−p−トルエンスルホナート0.0156gを混合し、乳酸エチル20.43g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.47gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0059】
<実施例2>
前記合成例3で得たポリマー1gを含有する溶液5gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ株式会社、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.25g及びピリジニウム−p−トルエンスルホナート0.0156gを混合し、乳酸エチル20.43g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.47gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0060】
<実施例3>
前記合成例5で得たポリマー1gを含有する溶液5gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ株式会社、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.25g及びピリジニウム−p−トルエンスルホナート0.0156gを混合し、乳酸エチル20.43g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.47gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0061】
<実施例4>
前記合成例6で得たポリマー1gを含有する溶液5gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ株式会社、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.25g及びピリジニウム−p−トルエンスルホナート0.0156gを混合し、乳酸エチル20.43g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.47gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0062】
<比較例1>
前記合成例1で得たポリマー1gを含有する溶液5gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ株式会社、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.25g及びピリジニウム−p−トルエンスルホナート0.0156gを混合し、乳酸エチル20.43g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.47gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0063】
<比較例2>
前記合成例4で得たポリマー1gを有する溶液5gに、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ株式会社、商品名:POWDERLINK〔登録商標〕1174)0.25g及びピリジニウム−p−トルエンスルホナート0.0156gを混合し、乳酸エチル20.43g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.47gに溶解させ溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して、レジスト下層膜形成組成物を調製した。
【0064】
<レジストパターンの形成>
前記実施例1乃至実施例4及び比較例1乃至比較例2で得たレジスト下層膜形成組成物を、それぞれスピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上で、205℃で1分間加熱し、レジスト下層膜(膜厚100nm)を形成した。
このレジスト下層膜の上層に、市販のレジスト溶液(住友化学株式会社製、商品名:PAR855)をスピナーにより塗布し、ホットプレート上で100℃にて1分間ベークすることによりレジスト膜(膜厚:120nm)を形成した。
このレジスト膜に株式会社ニコン製、NSR307Eスキャナー(波長193nm、NA,σ:0.85、0.92/0.65(Annular))を用い、現像後にレジストのライン幅が80nm、スペースの幅が100nmであり(すなわち80nmL/S=1/1.25)、そのようなラインが9本形成されるように設定されたマスクを通して、露光を行った。
その後、ホットプレート上で、105℃、1分間ベークし、冷却後、工業規格の60秒シングルパドル式工程にて0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド現像液で現像した。
実施例3、実施例4及び比較例2のレジスト下層膜形成組成物を用いて作製したレジストパターンの場合の断面SEM像を図1に示す。
【0065】
<フォーカス深度マージン評価>
フォーカス深度マージンは次のようにして決定した。すなわち、前記<レジストパターンの形成>における露光を、最適フォーカス位置を基準としてフォーカスの位置を上下に0.05μmずつずらしながら行い、その後の現像処理によりレジストパターンを形成した。そして、形成されるべきレジストのライン9本のうち、7本以上のラインが形成されている場合を合格とし、残っているラインの数が6本以下の場合を不合格とした。そして、その合格の結果を得ることのできるフォーカス位置のずれの上下の幅をフォーカス深度マージンとした。
得られた結果を表1に示す。
【表1】
【0066】
表1に示すとおり、本発明に係る各実施例1乃至実施例4で得たレジスト下層膜形成組成物を用いた場合、比較例1及び比較例2の場合と比較して、フォーカス深度マージンが広く、製造工程における余裕度が広いことが確認された。
また、形成されたレジストパターンの裾形状は、いずれの例もほぼストレート形状であった。
【0067】
<レジストとのインターミキシング試験>
本発明の実施例1乃至実施例4で得たレジスト下層膜形成組成物を、それぞれスピナーにより、シリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上で、205℃で1分間加熱し、レジスト下層膜(膜厚:100nm)を形成した。
【0068】
このレジスト下層膜の上層に、市販のレジスト溶液(住友化学株式会社製、商品名:PAR855)をスピナーにより塗布し、ホットプレート上で100℃にて1分間ベークすることにより、レジスト膜(膜厚:120nm)を形成した。このレジスト膜に露光装置を用いて露光した後、露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)を105℃で1分間行い、その後、現像した。現像後に残ったレジスト下層膜の膜厚を測定し、実施例1乃至実施例4で得たレジスト下層膜形成組成物を用いて形成したレジスト下層膜と、前記レジスト膜とのインターミキシングが生じないことを確認した。
図1