特許第5737538号(P5737538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5737538-樹脂組成物 図000020
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737538
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/36 20060101AFI20150528BHJP
   C08F 222/40 20060101ALI20150528BHJP
   C08F 220/26 20060101ALI20150528BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20150528BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   C08F220/36
   C08F222/40
   C08F220/26
   C08L33/04
   G02B1/04
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-532542(P2013-532542)
(86)(22)【出願日】2012年8月27日
(86)【国際出願番号】JP2012071582
(87)【国際公開番号】WO2013035569
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2014年6月4日
(31)【優先権主張番号】特願2011-192794(P2011-192794)
(32)【優先日】2011年9月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】荘田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】坂口 崇洋
【審査官】 上前 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−169601(JP,A)
【文献】 特開2007−072412(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/073742(WO,A1)
【文献】 特開平07−258354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00−246/00
C08F 301/00
C08L 1/00−101/14
G02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構造単位を有する共重合体及び溶剤を含有するマイクロレンズ用樹脂組成物。
【化1】

(式中、Xは炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数5又は6のシクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表し、該アルキル基、該シクロアルキル基、該フェニル基及び該ベンジル基は、水素原子の一部又は全てがハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基又はニトロ基で置換されていても良く、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R2は単結合又は炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、R3はブロックイソシアネート基を表し、Yは−O−基又は−NH−基を表し、R4は単結合又は炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、R5は置換基としてヒドロキシ基を有する炭素原子数1乃至20の炭化水素基又は置換基としてヒドロキシ基を有するフェニル基を表し、前記炭素原子数1乃至20の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。)
【請求項2】
前記式(2)で表される構造単位は下記式(2−1)又は式(2−2)で表される、請求項1に記載のマイクロレンズ用樹脂組成物。
【化2】

(式中、R1及びR2は請求項1と同義であり、R6はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R7はメチル基を表し、aは0乃至3の整数を表す。)
【請求項3】
前記式(3)で表される構造単位は下記式(3−1)で表される、請求項1に記載のマイクロレンズ用樹脂組成物。
【化3】

(式中、R1、Y及びR5は請求項1と同義である。)
【請求項4】
前記共重合体の重量平均分子量は1,000乃至50,000である、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のマイクロレンズ用樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のマイクロレンズ用樹脂組成物から得られる硬化膜。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のマイクロレンズ用樹脂組成物から作製されるマイクロレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性の樹脂組成物、及び当該樹脂組成物より形成される硬化膜、マイクロレンズ及び平坦化膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD/CMOSイメージセンサの高精細化が進み、センサ感度の向上が要求されるようになってきたことから、搭載されるマイクロレンズに対しては、高透明性や高耐熱性が要求される。
【0003】
CCD/CMOSイメージセンサ用マイクロレンズの製造方法の1つとして、エッチバック法が知られている(特許文献1及び特許文献2)。すなわち、カラーフィルター層上に形成したマイクロレンズ用樹脂層上にレジストパターンを形成し、熱処理によってこのレジストパターンをリフローしてレンズパターンを形成する。このレジストパターンをリフローして形成したレンズパターンをエッチングマスクとして下層のマイクロレンズ用樹脂層をエッチバックし、レンズパターン形状をマイクロレンズ用樹脂層に転写することによってマイクロレンズを作製する。
【0004】
エッチバック法では、レンズパターン形状を忠実に下層のマイクロレンズ用樹脂層へ転写するにあたり、レジストのドライエッチングレートXとマイクロレンズ用樹脂層のドライエッチングレートYが同等であることが求められる。前記レジストとして、ノボラック樹脂を含むレジストが用いられることが多い。しかし、マイクロレンズの形状、評価環境によっては、マイクロレンズ用樹脂層のドライエッチングレートYはノボラック樹脂を含むレジストのドライエッチングレートXの1.3乃至1.7倍(X:Y=1:1.3乃至1.7)であることが求められる場合がある。例えば、前記レジストとして、ノボラック樹脂を含むレジストよりもドライエッチングレートが大きい、アクリル樹脂を含むレジストを使用する場合が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−10666号公報
【特許文献2】特開平6−112459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、前記の事情に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、優れた透明性、耐熱性、耐溶剤性、平坦性、及びノボラック樹脂を含むレジストのドライエッチングレートの1.3乃至1.7倍のドライエッチングレートを有する硬化膜を形成できる、保存安定性に優れた熱硬化性の樹脂組成物を提供することである。また、本発明の解決しようとする他の課題は、優れた透明性、耐熱性及び耐溶剤性を有するマイクロレンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第1観点として、下記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構造単位を有する共重合体及び溶剤を含有する樹脂組成物。
【化1】
(式中、Xは炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数5又は6のシクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表し、該アルキル基、該シクロアルキル基、該フェニル基及び該ベンジル基は、水素原子の一部又は全てがハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基又はニトロ基で置換されていても良く、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R2は単結合又は炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、R3はブロックイソシアネート基を表し、Yは−O−基又は−NH−基を表し、R4は単結合又は炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、R5は置換基としてヒドロキシ基を有する炭素原子数1乃至20の炭化水素基又は置換基としてヒドロキシ基を有するフェニル基を表し、前記炭素原子数1乃至20の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。)、
第2観点として、前記式(2)で表される構造単位は下記式(2−1)又は式(2−2)で表される、第1観点に記載の樹脂組成物、
【化2】
(式中、R1及びR2は第1観点と同義であり、R6はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R7はメチル基を表し、aは0乃至3の整数を表す。)、
第3観点として、前記式(3)で表される構造単位は下記式(3−1)で表される、第1観点に記載の樹脂組成物。
【化3】
(式中、R1、Y及びR5は第1観点と同義である。)
第4観点として、前記共重合体の重量平均分子量は1,000乃至50,000である、第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の樹脂組成物、
第5観点として、マイクロレンズ用である第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の樹脂組成物、
第6観点として、平坦化膜用である第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の樹脂組成物、
第7観点として、第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の樹脂組成物から得られる硬化膜、
第8観点として、第5観点に記載の樹脂組成物から作製されるマイクロレンズ、
第9観点として、第6観点に記載の樹脂組成物から作製される平坦化膜に関する。
【0008】
また、本発明において前記樹脂組成物から作製されるマイクロレンズは、例えば前述のエッチバック法によって作製される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の樹脂組成物は、当該組成物に含まれる共重合体が、ブロックイソシアネート基を有する式(2)及びヒドロキシ基を有する式(3)で表される構造単位に起因する自己架橋タイプであるため、架橋剤が添加される必要はなく、前記式(2)で表される構造単位においてイソシアネート基がブロック化されているため、保存安定性に優れる。さらに、本発明の樹脂組成物から形成される膜は、優れた透明性、耐熱性、耐溶剤性、平坦性、及びノボラック樹脂を含むレジストのドライエッチングレートの1.3乃至1.7倍となるドライエッチングレートを有する。
以上より、本発明の樹脂組成物から形成される膜は、その形成工程、又は配線等の周辺装置の形成工程において、高温での加熱処理が行われる場合にマイクロレンズが着色し、レンズ形状が変形する可能性を、著しく減少できる。また、本発明の樹脂組成物から樹脂層を形成しその上にレジストを塗布する場合、及びマイクロレンズ又は平坦化膜を形成後に電極、配線形成工程が行われる場合には、レジストとのミキシング、有機溶剤によるマイクロレンズ又は平坦化膜の変形及び剥離といった問題も著しく減少できる。したがって、本発明の樹脂組成物は、マイクロレンズ及び平坦化膜を形成する材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、段差基板上に本発明の樹脂組成物を塗布し、ベークして形成される硬化膜を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、共重合体と溶剤を含有する樹脂組成物である。以下、各成分の詳細を説明する。本発明の樹脂組成物から溶剤を除いた固形分は通常、1質量%乃至50質量%である。
【0012】
<共重合体>
本発明の樹脂組成物に含まれる共重合体は、前述の式(1)、式(2)及び式(3)で表される構造単位を有する共重合体である。
【0013】
前記式(1)で表される構造単位としては、例えば下記式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)で表される構造単位が挙げられる。前記共重合体は、前記式(1)で表される構造単位を1種のみ有しても、2種以上有してもよい。
【化4】
【0014】
前記式(2)で表される構造単位は、ブロックイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートから形成される。ブロックイソシアネート基とは、イソシアネート基(−NCO)が熱脱離可能な保護基によりブロックされた基を意味し、すなわち、イソシアネート基にブロック剤を反応させた基である。
ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−エトキシヘキサノール、2−N,N−ジメチルアミノエタノール、2−エトキシエタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、フェノール、o−ニトロフェノール、p−クロロフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のフェノール類、ε−カプロラクタム等のラクタム類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール等のピラゾール類、ドデカンチオール、ベンゼンチオール等のチオール類、マロン酸ジエステル、アセト酢酸エステル、マロン酸ジニトリル、アセチルアセトン、メチレンジスルホン、ジベンゾイルメタン、ジピバロイルメタン、アセトンジカルボン酸ジエステル等の活性メチレン系化合物類が挙げられる。
【0015】
前記式(2)の構造単位を形成する化合物(モノマー)の具体例としては、2−イソシアネートエチルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート等のイソシアネート含有(メタ)アクリレートに、メチルエチルケトンオキシム、ε−カプロラクタム、3,5−ジメチルピラゾール、マロン酸ジエチル等のブロック剤を付加した化合物が挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
前記式(2)で表される構造単位は、例えば下記式(2−1)又は式(2−2)で表される。
【化5】
(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R2はそれぞれ独立に単結合又は炭素原子数1乃至5のアルキレン基を表し、2つのR6はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基を表し、R7はメチル基を表し、aは0乃至3の整数を表す。)
【0017】
前記式(3)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニルメチル(メタ)アクリレート、N−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニルメチル)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートはメタクリレート及びアクリレートを意味し、(メタ)アクリルアミドはメタクリルアミド及びアクリルアミドを意味し、(メタ)アクリル酸はアクリル酸及びメタクリル酸を意味する。
【0018】
前記式(3)で表される構造単位は、例えば下記式(3−1)で表される。
【化6】
(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Yは−O−基又は−NH−基を表し、R5は置換基としてヒドロキシ基を有する炭素原子数1乃至20の炭化水素基又は置換基としてヒドロキシ基を有するフェニル基を表し、前記炭素原子数1乃至20の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。)
【0019】
前記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構造単位を有する共重合体において、前記式(1)で表される構造単位、前記式(2)で表される構造単位及び前記式(3)で表される構造単位の和100mol%に対し、前記式(1)で表される構造単位の含有率は20mol%乃至90mol%であり好ましくは30mol%乃至80mol%、前記式(2)で表される構造単位の含有率は5mol%乃至75mol%であり好ましくは10mol%乃至60mol%、前記式(3)で表される構造単位の含有率は5mol%乃至75mol%であり好ましくは10mol%乃至60mol%である。
【0020】
前記共重合体の重量平均分子量は通常、1,000乃至50,000であり、好ましくは3,000乃至30,000である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準試料としてポリスチレンを用いて得られる値である。
【0021】
また、本発明の樹脂組成物における前記共重合体の含有量は、当該樹脂組成物の固形分中の含有量に基づいて通常、1質量%乃至99質量%であり、好ましくは5質量%乃至95質量%である。
【0022】
本発明において、前記共重合体を得る方法は特に限定されないが、一般的には、前記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構造単位を形成する化合物(モノマー)、並びに所望により前記化合物以外の化合物(以下、本明細書では化合物Xと略称する。)を、重合開始剤存在下の溶剤中において、通常50℃乃至120℃の温度下で重合反応させることにより得られる。このようにして得られる共重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液状態であり、この状態で単離することなく、本発明の樹脂組成物に用いることもできる。
【0023】
また、上記のようにして得られた共重合体の溶液を、攪拌させたヘキサン、ジエチルエーテル、メタノール、水等の貧溶媒に投入して当該共重合体を再沈殿させ、生成した沈殿物をろ過・洗浄後、常圧又は減圧下で常温乾燥又は加熱乾燥することで、当該共重合体を粉体とすることができる。このような操作により、前記共重合体と共存する重合開始剤や未反応化合物を除去することができる。本発明においては、前記共重合体の粉体をそのまま用いてもよく、あるいはその粉体を、例えば後述する溶剤に再溶解して溶液の状態として用いてもよい。
【0024】
前記化合物Xの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン(メタ)アクリレート、インデン、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−シアノスチレン、4−ビニル安息香酸、4−ビニルビフェニル、4−フルオロスチレン、4−クロロスチレン及び4−ブロモスチレンが挙げられる。
【0025】
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、例えば、前記式(1)、式(2)及び式(3)で表される構造単位を有する共重合体を溶剤に溶解し、均一な溶液とする方法が挙げられる。さらに、この調製方法の適当な段階において、必要に応じて、その他の添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0026】
前記溶剤としては、共重合体を溶解するものであれば特に限定されない。そのような溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトンを挙げることができる。これらの溶剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0027】
これらの溶剤の中でも、本発明の樹脂組成物を基板上に塗布して形成される塗膜のレベリング性の向上の観点より、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、乳酸エチル、乳酸ブチル及びシクロヘキサノンが好ましい。
【0028】
また、本発明の樹脂組成物は、塗布性を向上させる目的で、界面活性剤を含有することもできる。
当該界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップ〔登録商標〕EF301、同EF303、同EF352(以上、三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック〔登録商標〕F−171、同F−173、同R−30(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム(株)製)、アサヒガード〔登録商標〕AG710、サーフロン〔登録商標〕S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、FTX−206D、FTX−212D、FTX−218、FTX−220D、FTX−230D、FTX−240D、FTX−212P、FTX−220P、FTX−228P、FTX−240G等フタージェントシリーズ((株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
また、前記界面活性剤が使用される場合、本発明の樹脂組成物における含有量は、当該樹脂組成物の固形分中の含有量に基づいて、3質量%以下であり、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0030】
また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、架橋剤、硬化助剤、紫外線吸収剤、増感剤、可塑剤、酸化防止剤、密着助剤等の添加剤を含むことができる。
【0031】
以下、本発明の樹脂組成物の使用について説明する。
基板(例えば、酸化珪素膜で被膜されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被膜されたシリコン等の半導体基板、窒化珪素基板、石英基板、ガラス基板(無アルカリガラス、低アルカリガラス、結晶化ガラスを含む)、ITO膜が形成されたガラス基板)上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により本発明の樹脂組成物を塗布後、ホットプレート等の加熱手段を用いてベークして硬化させてマイクロレンズ用樹脂層を形成する。
【0032】
ベーク条件は、ベーク温度80℃乃至300℃、ベーク時間0.3分乃至60分間の中から適宜選択される。ベークは2ステップ以上処理してもよい。
【0033】
また、本発明の樹脂組成物から形成される膜の膜厚としては、0.005μm乃至5.0μmであり、好ましくは0.01μm乃至3.0μmである。
【0034】
その後、本発明の樹脂組成物から形成されたマイクロレンズ用樹脂層の上にレジストを塗布し、所定のマスクを通して露光し、必要に応じて露光後加熱(PEB)を行い、アルカリ現像、リンス、乾燥することにより、所定のレジストパターンを形成する。露光には、例えば、g線、i線、KrFエキシマレーザーを使用することができる。
【0035】
次いで、加熱処理することにより、レジストパターンをリフローしてレンズパターンを形成する。このレンズパターンをエッチングマスクとして下層のマイクロレンズ用樹脂層をエッチバックして、レンズパターン形状をマイクロレンズ用樹脂層に転写することによってマイクロレンズを作製する。
【実施例】
【0036】
以下に実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
〔下記合成例で得られた共重合体の重量平均分子量の測定〕
装置:日本分光(株)製GPCシステム
カラム:Shodex〔登録商標〕KL−804L及び803L
カラムオーブン:40℃
流量:1mL/分
溶離液:テトラヒドロフラン
【0037】
[共重合体の合成]
<合成例1>
N−シクロヘキシルマレイミド20.0g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BM(昭和電工(株)製))20.3g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10.9g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.5gをプロピレングリコールモノメチルエーテル97.9gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル25.1gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(4)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは11,000(ポリスチレン換算)であった。
【化7】
【0038】
<合成例2>
N−フェニルマレイミド20.0g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BM(昭和電工(株)製))21.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート11.3g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.6gをプロピレングリコールモノメチルエーテル100.0gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル25.6gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(5)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは11,000(ポリスチレン換算)であった。
【化8】
【0039】
<合成例3>
N−フェニルマレイミド20.0g、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BP(昭和電工(株)製))21.8g、2―ヒドロキシプロピルメタクリレート12.5g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.6gをプロピレングリコールモノメチルエーテル103.8gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル26.6gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(6)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは15,000(ポリスチレン換算)であった。
【化9】
【0040】
<合成例4>
N−メチルマレイミド15.0g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BM(昭和電工(株)製))24.5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.2g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.6gをプロピレングリコールモノメチルエーテル100.8gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル25.9gを75℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(7)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは9,000(ポリスチレン換算)であった。
【化10】
【0041】
<合成例5>
スチレン36.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート11.2g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.1gをプロピレングリコールモノメチルエーテル92.0gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル24.0gを75℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(8)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは13,000(ポリスチレン換算)であった。
【化11】
【0042】
<合成例6>
スチレン26.0g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BM(昭和電工(株)製))25.9g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.8gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100.0gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25.6gを75℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(9)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは12,000(ポリスチレン換算)であった。
【化12】
【0043】
<合成例7>
N−シクロヘキシルマレイミド26.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート28.3g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.6gをプロピレングリコールモノメチルエーテル103.9gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテル26.6gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(10)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは11,000(ポリスチレン換算)であった。
【化13】
【0044】
<合成例8>
N−シクロヘキシルマレイミド20.0g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレート(カレンズ〔登録商標〕MOI−BM(昭和電工(株)製))40.6g、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.8gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート115.8gに溶解させた後、この溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29.7gを70℃に保持したフラスコ中に4時間かけて滴下した。滴下終了後、18時間反応させることにより、下記式(11)で表される構造単位を有する共重合体の溶液(固形分濃度30質量%)を得た。得られた共重合体の重量平均分子量Mwは12,000(ポリスチレン換算)であった。
【化14】
【0045】
[樹脂組成物の調製]
<実施例1>
合成例1で得られた共重合体の溶液50.0g及び界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.03gを、乳酸エチル15.0gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して樹脂組成物を調製した。
【0046】
<実施例2>
合成例2で得られた共重合体の溶液50.0g及び界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.03gを、乳酸エチル15.0gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して樹脂組成物を調製した。
【0047】
<実施例3>
合成例3で得られた共重合体の溶液50.0g及び界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.03gを、乳酸エチル15.0gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して樹脂組成物を調製した。
【0048】
<実施例4>
合成例4で得られた共重合体の溶液50.0g及び界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.03gを、乳酸エチル15.0gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して樹脂組成物を調製した。
【0049】
<比較例1>
合成例5で得られた共重合体の溶液50.0g及び界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.03gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.1g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.0gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して樹脂組成物を調製した。
【0050】
<比較例2>
合成例6で得られた共重合体の溶液50.0g及び界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.03gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.6gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して樹脂組成物を調製した。
【0051】
<比較例3>
合成例7で得られた共重合体の溶液50.0g及び界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.03gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.1g及び乳酸エチル9.0gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して樹脂組成物を調製した。
【0052】
<比較例4>
合成例8で得られた共重合体の溶液50.0g及び界面活性剤としてメガファック〔登録商標〕R−30(DIC(株)製)0.03gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.6gに溶解させて溶液とした。その後、孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いてろ過して樹脂組成物を調製した。
【0053】
[耐溶剤性試験]
実施例1乃至実施例4、比較例1乃至比較例4で調製した樹脂組成物をそれぞれ、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに200℃で5分間ベークを行い、膜厚2μmの膜を形成した。これらの膜に対して、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、アセトン、2−ヘプタノン、2−プロパノール、γ−ブチロラクトン及び2.38質量%濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液に、それぞれ23℃の温度条件下、5分間浸漬する試験を行った。浸漬前後において膜厚変化を測定し、上記浸漬溶剤のうち1つでも、浸漬前の膜厚に対して5%以上の膜厚増減があった場合は“×”、全ての溶剤について膜厚増減が5%未満であった場合は“○”として耐溶剤性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0054】
[透過率測定]
実施例1乃至実施例4で調製した樹脂組成物をそれぞれ、石英基板上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに200℃で5分間ベークを行い、膜厚2μmの膜を形成した。これらの膜を紫外線可視分光光度計UV−2550((株)島津製作所製)を用いて波長400nmの透過率を測定した。さらにこの膜を260℃で5分間加熱した後、波長400nmの透過率を測定した。評価結果を表1に示す。
【0055】
[ドライエッチングレートの測定]
ドライエッチングレートの測定に用いたエッチャー及びエッチングガスは以下のものを用いた。
エッチャー:RIE−10NR(サムコ(株)製)
エッチングガス:CF4
【0056】
実施例1乃至実施例4で調製した樹脂組成物をそれぞれ、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに200℃で5分間ベークを行い、膜厚2μmの膜を形成した。上記エッチャー及びエッチングガスを用い、これらの膜のドライエッチングレートを測定した。同様に、ノボラック樹脂を含むレジスト溶液(THMR−iP1800(東京応化工業(株)製)を、シリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において90℃で1.5分間、110℃で1.5分間、さらに180℃で1分間ベークを行い、膜厚1μmのレジスト膜を形成し、ドライエッチングレートを測定した。そして、前記レジスト膜に対する、実施例1乃至実施例4で調製した樹脂組成物から得られた膜のドライエッチングレート比を求めた。評価結果を表1に示す。表1に記載した“98≦”とは、透過率が98%以上であることを表している。
【0057】
[保存安定性]
実施例1乃至実施例4で調製した樹脂組成物をそれぞれ、35℃(加速試験)にて3週間保管し、調製直後の粘度と比較して、粘度変化が10%未満であるものを“○”、10%以上であるものを“×”とした。評価結果を表1に示す。
【0058】
[段差平坦化性]
実施例1乃至実施例4で調製した樹脂組成物を、それぞれ高さ0.5μm、ライン幅30μm、ライン間スペース30μmの段差基板上にスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において100℃で1分間、さらに200℃で5分間ベークを行い、膜厚2μmの膜を形成した。図1に示すh1(段差基板の段差)とh2(硬化膜の膜厚差)から、“式:(1−(h2/h1))×100”を用いて平坦化率を求めた。評価結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1の結果から、本発明の樹脂組成物から形成された膜は、高耐溶剤性、高透明性であると共に、260℃で加熱した後でも着色しない高耐熱性を有するものであった。さらに、目的とするドライエッチングレート(レジストのドライエッチングレートXとマイクロレンズ用樹脂層のドライエッチングレートYがX:Y=1:1.3乃至1.7)が得られる結果となった。さらに、本発明の樹脂組成物は、保存安定性に優れることがわかった。また、本発明の樹脂組成物から形成された膜は、いずれも平坦化率50%以上の段差平坦化性を有し、中でも実施例4で調製した樹脂組成物から形成された膜については、平坦化率80%以上の優れた段差平坦化性を有するものであった。一方、比較例1乃至比較例4で調製した樹脂組成物から形成された膜については、耐溶剤性を満足しない結果となり、マイクロレンズ用として及び平坦化膜として適さないことがわかった。
【符号の説明】
【0061】
1:段差基板
2:硬化膜
3:ライン幅
4:ライン間スペース
h1:段差基板の段差
h2:硬化膜の膜厚差
図1