【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 American Institute of Physics,APPLIED PHYSICS LETTERS 98,123705(2011)平成23年3月24日
【文献】
T.Takashi, A.Nakajima, et al,Fabrication of Si Nanowire Field-Effect Transistor for Highly Sensitive, Label-Free Biosensing,Japanese Journal of Applied Physics,日本,2009年,Vol.48 ,06FJ04-1〜06FJ04-4
【文献】
K Ohkura,T Kitade and A nakajima,Periodic Coulomb oscillations in Si single-electron transistor based on multiple island,Journal of Applied Physics,2005年,Vol.98,124503-1〜124503-6
【文献】
大倉健作 北出哲也 中島安理,多重ドットシリコン単電子トランジスタにおけるコトンネリング電流,電子情報通信学会技術研究報告,日本,2007年 1月25日,信学技報 Vol.106 No.521,79〜82
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
【0024】
図1には、本実施の形態に係る半導体センサ100の斜視図が示されている。また、
図2には、半導体センサ100のトランジスタ部分の断面図が示されている。この半導体センサ100は、SOI(Silicon On Insulator)ウエハを用いて作成される。
【0025】
図1、
図2に示すように、最下層には、バックゲート電極1が設けられている。バックゲート電極1は、例えばAl(アルミニウム)で形成されている。バックゲート電極1は、使用時には接地されている。
【0026】
バックゲート電極1の上には、SOI基板の基板Si(シリコン)層2、SiO
2またはBOX(Buried Oxide)層3が、この順に積層されている。
【0027】
図2に示すように、SiO
2またはBOX層3上に、ソース領域4、ドレイン領域5及びチャネル領域6が形成されている。ソース領域4及びドレイン領域5は、As(ヒ素)でN型にドープされている。
【0028】
チャネル領域6は、Siで形成されている。本実施の形態では、チャネル領域6は、N型にはドープされておらず、P型のままであり、その電気抵抗率は、例えば13.5〜22.5 Ωcmとなっている。ソース領域4及びドレイン領域5には、Al配線7、8がそれぞれ接続されている。
【0029】
図3には、チャネル領域6の上面図が示されている。
図3に示すように、チャネル領域6では、11個のクーロンアイランド20がワイヤ領域を介して直列に接続されたものがソース領域4とドレイン領域5との間に形成されている。
【0030】
クーロンアイランド20の幅は、例えば約50nmであり、ワイヤ領域の幅は、例えば約30nmである。また、チャネル領域6の厚みは、例えば約18nmである。また、チャネル領域6のチャネル幅は、例えば3μmである。
【0031】
ワイヤ領域は、電子に対するトンネル障壁(微小トンネル接合)として機能する。すなわち、チャネル領域6では、複数のクーロンアイランド20が、トンネル障壁を介して直列に配列されている。
【0032】
本実施の形態では、半導体センサ100を、室温で動作する単電子トランジスタとして機能させる。ここで、単電子トランジスタのチャージングエネルギーΔEは、次式で表される。
【数1】
上記式(1)において、eは、電子1個の電荷であり、Cは、容量である。
【0033】
単電子トランジスタが室温で動作するためには、このチャージングエネルギーを、室温の熱エネルギー(k
BT=26meV:k
Bはボルツマン定数、Tは絶対温度)よりも大きくする必要がある。このためには、分母である容量をできるだけ小さくする必要がある。
【0034】
各クーロンアイランド20の容量をそれぞれC
1、C
2、C
3、…、C
11とする。すると、チャネル領域6全体のみかけ容量Cは、次式のようになる。
【数2】
このように、クーロンアイランド20を直列に接続するようにすれば、チャネル領域6全体の容量を小さくすることができるので、室温での単電子動作が可能になる。クーロンアイランド20の数を11個としているのは、これ以上、クーロンアイランド20の数を増やしても、容量Cは、ある値にしか収束せず、容量を小さくする効果がうすれるためである。また、クーロンアイランド20の配列の全体の長さ(チャネル)も、チャネル領域6の抵抗が大きくなりすぎないような長さとする必要がある。
【0035】
このように、複数のクーロンアイランド20を有する場合には、いずれかのクーロンアイランド20のいずれか1つに電荷が付着すると、そのクーロンアイランド20のクーロン振動の位相がずれるため、全体のドレイン電流(I
d)が変化する。従って、単数のクーロンアイランド20でソース領域4及びドレイン領域5を接続するよりも、希薄な濃度の電荷も高感度で検知できる。
【0036】
Al配線7→ソース領域4→チャネル領域6→ドレイン領域5→Al配線8は、
図1に示す電流計11、電源12に直列に接続されている。電流計11は、上述の単電子動作により、ドレイン領域5から流れるドレイン電流(I
d)を計測する。電源12は、ソース領域4とドレイン領域5との間にドレイン−ソース電圧(V
d)を印加する。
【0037】
図2に示すように、チャネル領域6の上には、ゲート絶縁膜として、SiO
2膜9と、Si
3N
4膜10が形成されている。SiO
2膜9の厚みは、例えば約9nmであり、Si
3N
4膜10の厚みは、例えば約36nmである。Si
3N
4膜10の表面は、ゲート絶縁膜のセンシング領域となっている。Si
3N
4膜10は、イオンの絶縁膜中への侵入を防止する膜として、さらにイオンを付着させるイオン感応膜として働く。
【0038】
なお、ソース領域4、ドレイン領域5、チャネル領域6及びゲート絶縁膜の作成工程は、次の通りである。
【0039】
まず、マスクとしてのレジストパターンを用いて、電子サイクロトロン共鳴エッチャでクーロンアイランド20の配列をエッチングする。エッチング後、クーロンアイランド20の配列のサイズとワイヤ領域の幅の低減を行うために、NH
4OH/H
2O
2/H
2O溶液での等方性の湿式エッチングを行う。
【0040】
続いて、さらにクーロンアイランド20のサイズとワイヤ領域の幅とを小さくするために、酸化処理を施す。続いて、ドーズ量4×10
15cm
2で30KeVでのAs
+イオンの注入によってソース領域4とドレイン領域5を形成する。
【0041】
さらに、Si
3N
4/SiO
2が積層されたゲート絶縁膜を作製する。具体的には、約9nmの二酸化シリコンの層を、酸素雰囲気中で、850℃で熱的に成長させ、続いて、750℃における低圧化学気相法によって約36nmの薄さのSi
3N
4を堆積させる。
【0042】
なお、本発明者が作製した半導体センサ100では、Alパッド電極(0.25mm
2)を含む全体の領域が、例えば、1.2cm
2の大きさとなった。
【0043】
図1に戻り、ゲート絶縁膜の上には、流路部13が形成されている。流路部13は、PDMS(ポリジメチルシロキサン)で形成されている。流路部13の接合面は、酸素プラズマ処理によって加工された後に、ゲート絶縁膜上に固定された。
【0044】
流路部13では、ゲート絶縁膜のセンシング領域上に空隙部14が形成されている。空隙部14のサイズは、例えば、約3mm×1mm×100μm(長さ×幅×高さ)である。
【0045】
マイクロ流路である空隙部14は、水溶液をゲート絶縁膜のセンシング領域に流し込み(水溶液を暴露し)、排出するための流路15、16で外部と連通している。検出対象となる水溶液は、流路15から空隙部14に入って、ゲート絶縁膜上に至る。水溶液は、流路16を通って、容器17に排出される。本実施の形態では、空隙部14、流路15、16によって、流路チャネルが形成されている。
【0046】
容器17内の水溶液には、Ag/AgCl等で形成された参照電極18が挿入されている。参照電極18には、電源(電圧源)19が接続されており、電解質である水溶液を介してゲート電圧(V
g)をゲート絶縁膜に印加可能である。
【0047】
ところで、水溶液が、空隙部14に入り、ゲート絶縁膜上に達すると、水溶液中に含まれる検出対象である水素イオン等の電荷イオンが、ゲート絶縁膜のセンシング領域に付着する。
【0048】
図4には、室温でのバックゲート電圧(V
bg)に対するドレイン電流(I
d)の特性が示されている。このとき、バックゲート電極1は接地されておらず、また、ゲート絶縁膜のセンシング領域には、水溶液は流れていない。また、ドレイン−ソース電圧(V
d)については、−1mVから1mVまで、0.2mVずつ変化させた。
図4に示すように、ドレイン−ソース電圧(V
d)がどのような値であっても、バックゲート電圧(V
bg)が、4Vと、7Vあたりで、クーロン振動の2つのピークが出現している。
【0049】
半導体センサ100は、このクーロン振動により変動するドレイン電流を利用して、水溶液のイオン濃度を計測する。ここでは、水素イオンの濃度(pH)を計測するものとする。
図5には、室温でのゲート電圧(V
g)に対するドレイン電流(I
d)の特性が示されている。
図5に示すように、ドレイン電流(I
d)は、ゲート電圧(V
g)が大きくなるにつれて、ゲート電圧(V
g)によるドレイン電流(I
d)の増加分と、クーロン振動による成分との畳み込みによって、振動しながら増加している。
【0050】
この場合、ゲート電圧(V
g)−ドレイン電流(I
d)特性におけるピークの左側半分、すなわち、ゲート電圧(V
g)が増加するにつれて、ドレイン電流(I
d)が増加する部分(例えばゲート電圧a、bとの間)の傾斜は急峻となる。一方、ピークの右側半分、すなわち、ゲート電圧(V
g)が増加するにつれて、ドレイン電流(I
d)が減少する部分の傾斜の絶対値は、前者に比べて緩やかとなる。本実施の形態に係る半導体センサ100では、例えば、ゲート電圧a、bの間、すなわち、ゲート電圧(V
g)が増加するにつれてドレイン電流(I
d)が増加する部分にゲート電圧(V
g)が設定されている。
【0051】
図6には、水溶液の水素イオンの濃度(pH)を変えたときのゲート電圧(V
g)に対するドレイン電流(I
d)の特性が示されている。ここでは、ドレイン−ソース電圧(V
d)を1mVとし、バックゲート電圧(V
bg)を0Vとしている。また、水溶液としては、3つの異なる緩衝溶液、すなわち50mMのフタル酸溶液(pH4)、50mMのリン酸溶液(pH7)、10mMの四ホウ酸溶液(pH9)が用いられた。水溶液の流速を、0.1μl/分とした。
【0052】
図6では、ソース−ドレイン電圧(V
d)を1mVとした場合におけるゲート電圧(V
g)に対するドレイン電流(I
d)がプロットされている。
図6に示すように、pH4の水溶液を流した場合と、pH7の水溶液を流した場合と、pH9の水溶液を流した場合とでは、ゲート電圧(V
g)に対するドレイン電流(I
d)を示す曲線グラフがシフトしている。
【0053】
本発明者は、水溶液の電位とゲート電圧(V
g)(0<V
g<2V)との間に、傾きが1に近い線形関係を確認した。このことは、このゲート電圧(V
g)の範囲では、水溶液中で電気化学的な反応が起きていないことを示している。
【0054】
pHに対する応答の再現性を確認するために、水溶液のpHを、pH4→7→9→7→4と変化させた。そして、pHを変えるごとに、ドレイン電流(I
d)−ゲート電圧(V
g)の測定が3回実行され、pHにおけるそれらの安定性を調べた。この結果、pHの増加(pH4→7→9)と減少(pH9→7→4)の両方において、同じpHにおけるI
d−V
g曲線がよく一致することが確認された。
【0055】
本実施の形態では、上述のように、ゲート電圧(V
g)を、ピークの左側半分、すなわちゲート電圧(V
g)が増加するにつれてドレイン電流(I
d)が増加する部分、望ましくは傾斜が最も大きい部分(例えばゲート電圧(V
gc)付近)となるように設定している。半導体センサ100は、電流計11により、ドレイン電流(I
d)を測定し、ドレイン電流(I
d)から水溶液のpHの値を検出する。
【0056】
上述のように、ゲート電圧(V
gc)近辺のゲート電圧(V
g)−ドレイン電流(I
d)の曲線の傾斜は急峻となっている。このことは、各pHに対応するドレイン電流(I
d)の差が大きくなっていることを意味する。また、ゲート電圧(V
g)をピークの左半分に相当する値に設定している場合は、ピークの右半分に相当する値に設定している場合に比べて(ピーク電圧からゲート電圧(V
g)までの絶対値を等しくした場合)、検出するpHの分解能が向上している。
【0057】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、複数のクーロンアイランド20がトンネル障壁となるワイヤ領域を介して、直列に接続されることにより、チャネル領域6が形成されている。このようにすれば、クーロンアイランド20の大きさが比較的大きい場合にも、ドレイン電流(I
d)は、ゲート電圧(V
g)に対して室温でクーロン振動を起こすようになり、ゲート電圧(V
g)の変化に対するドレイン電流(I
d)の変化は急峻となる。これにより、センシング領域に付着する検出対象の付着量の変化に対するドレイン電流の変化量を大きくして、分解能を向上させることができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、クーロン振動によりゲート電圧(V
g)が増加するにつれてドレイン電流(I
d)が増加する範囲内で、ゲート電圧(V
g)が設定されている、これにより、分解能はさらに向上する。
【0059】
このように、分解能が向上するので、半導体センサ100では、ゲート電圧(V
g)を掃引する必要もない。
【0060】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
【0061】
本実施の形態に係る半導体センサ100の構造は、
図1、
図2、
図3に示す上記実施の形態1に係る半導体センサ100の構造と同じである。ただし、本実施の形態に係る半導体センサ100では、ソース領域4、ドレイン領域5及びチャネル領域6が、例えばヒ素等で高濃度にN型にドープされている。
【0062】
図7には、本実施の形態に係る半導体センサ100におけるゲート電圧(V
g)−ドレイン電流(I
d)の特性が示されている。
図7に示すように、この半導体センサ100では、ソース領域4、ドレイン領域5及びチャネル領域6を、N型として高濃度にドープすることにより、ゲート電圧(V
g)が0である場合に、ピークの左側半分、すなわちゲート電圧(V
g)が増加するにつれてドレイン電流(I
d)が増加するように設定されている。
【0063】
このようにすれば、ゲート電圧0で、センシング領域に付着した検出対象のイオンによって生ずる電位差に応じてドレイン電流(I
d)が流れるようになるので、ゲート電圧(V
g)を0Vに維持した状態で、イオン濃度の高分解能な測定が可能となる。
【0064】
なお、クーロン振動を除くゲート電圧(V
g)の変化に対するドレイン電流(I
d)の傾きが小さい場合には、クーロン振動によりゲート電圧(V
g)が増加するにつれてドレイン電流(I
d)が減少する範囲内で、ゲート電圧(V
g)を設定するようにしてもよい。この場合でも、クーロン振動がないときに比べ、ゲート電圧(V
g)の変化に対するドレイン電流(I
d)の変化は急峻となるので、分解能を向上させることができる。また、ゲート電圧(V
g)を、クーロン振動のピークの電圧に設定するようにしてもよい。このようにしても、そのゲート電圧(V
g)の前後において、クーロン振動がないときに比べ、ゲート電圧(V
g)の変化に対するドレイン電流(I
d)の変化が急峻となるためである。
【0065】
ところで、イオンセンサでは、室温で動作することが特に要求される。単一のクーロンアイランドを備える単一電子トランジスタを室温動作させるためには、容量を減らすために、クーロンアイランド及び接点のサイズを10nmよりも小さくする必要がある。しかしながら、現在利用可能なLSI作製技術では、その大きさのクーロンアイランドを再現性良く作製することは困難である。
【0066】
そこで、本実施の形態に係る半導体センサ100では、単一のアイランドの代わりに、直列につながれたクーロンアイランド20を用いた多重アイランドシステム(クーロンアイランド20の1次元配列)を採用した。この多重アイランドシステムでは、各クーロンアイランド20のみかけの総容量が、単一のアイランドシステムのそれと比較して減少する。このことによって、各クーロンアイランド20のチャージングエネルギーΔEが増加して、室温動作が可能となる。
【0067】
従って、多重アイランドシステムは、室温動作のためには、単一のアイランドシステムに用いられるものよりもクーロンアイランド20を大きくすることができる。
【0068】
本発明者は、1つのチップに組み込まれたpH検出のための複数のクーロンアイランド20を備える半導体センサ100を作製した。この半導体センサ100では、クーロン振動とクーロンダイヤモンドが室温で明確に確認された。ドレイン電流(I
d)にノイズが含まれているにもかかわらず、クーロン振動を用いることによって、ドレイン電流(I
d)−ゲート電圧(V
g)の特性の明らかなpH応答が得られた。
【0069】
複数のクーロンアイランド20を備える半導体センサ100は、1つのLSIチップに組み込まれる高感度のイオンセンサ、DNAセンサ又は生物分子センサとして期待される。
【0070】
なお、上記実施の形態では、チャネル領域6に形成されたクーロンアイランド20の数を、11個としたが、本発明はこれには限られず、クーロンアイランド20の数は、適宜調整可能である。
【0071】
また、上記実施の形態では、クーロンアイランド20の数を複数としたが、単一のクーロンアイランド20を備えるだけでもよい。すなわち、本発明では、チャネル領域6が、クーロンアイランド20が、トンネル障壁を介して、ソース領域4とドレイン領域5との間で接続されることにより形成されていればよい。ただし、複数のクーロンアイランド20を直列に接続した方が、室温動作がより容易となるうえ、希薄な溶液に対する検出感度が更に向上する。
【0072】
また、上記実施の形態では、チャネル領域6における多重クーロンアイランドシステムをシリコンによって形成したが、アルミニウムやゲルマニウムのような金属や、半導体、無機分子又は有機分子でこれを形成するようにしてもよい。また、ソース領域4、ドレイン領域5、チャネル領域6等にドープする元素も、上述したものには限られない。
【0073】
また、上記各実施の形態では、半導体センサ100をイオンセンサに適用したが、本発明はこれには限られない。例えば、半導体センサ100を、抗原を検出する抗原検出センサ又は抗体を検出する抗体検出センサ等の生物分子センサにも適用可能である。この場合、ゲート絶縁膜のチャネル領域6には、抗原を付着させる所定の抗体や、抗体を付着させる所定の抗原を固定する必要がある。
【0074】
図8(A)には、チャネル領域6に設けられた複数のクーロンアイランド20のそれぞれに所定の抗体21が固定された様子が示されている。また、
図8(B)には、単一のクーロンアイランド20に抗体21が固定された様子が示されている。このように、クーロンアイランド20に抗体21を固定しておけば、その抗体21に抗原22が付着したときに、ドレイン電流が変化する。このため、半導体センサ100を、抗原検出センサとして用いることができる。
【0075】
図8(A)に示すように、複数のクーロンアイランド20を有する場合には、いずれかのクーロンアイランド20に固定された抗体21に抗原22が付着すると、そのクーロンアイランド20のクーロン振動の位相がずれるため、全体のドレイン電流(I
d)が変化する。従って、
図8(B)に示すように、単数のクーロンアイランド20でソース領域4及びドレイン領域5を接続するよりも、抗原抗体反応を高感度で検知できる。
【0076】
また、半導体センサ100を、DNAセンサとしても適用可能である。この場合、チャネル領域6には、ターゲットDNAとハイブリダイズさせるためのプローブDNAが固定される。
【0077】
また、上記実施の形態2では、ソース領域4、ドレイン領域5及びチャネル領域6を、N型にドープしたが、すべてP型にドープするようにしてもよい。要は、チャネル領域6が、ソース領域4とドレイン領域5と同じ型にドープされていればよい。
【0078】
本発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。