【実施例】
【0027】
以下、本発明による銀微粒子分散液の実施例について詳細に説明する。
【0028】
[実施例1]
5Lの反応槽に反応媒体としての純水3422.0gを入れて40℃に調温した後、有機保護剤としてのオクチルアミン(和光純薬株式会社製の特級、分子量129.24、炭素数8)51.1g(Agに対する有機保護剤のモル比(オクチルアミンのモル数/銀のモル数)=2)と、還元剤としてのヒドラジン水和物(大塚化学株式会社の80%溶液)6.2g(Agに対する還元剤のモル比(ヒドラジン水和物のモル数/銀のモル数)=0.5)を添加し、不活性ガスとして窒素ガスを2L/分の流量で吹き込みながら、羽根を備えた攪拌棒を外部モータにより345rpmで回転させて攪拌した。次いで、銀化合物として硝酸銀結晶(東洋化学株式会社製)33.6gを純水180.0gに溶かした水溶液を一挙に添加した後、2分間攪拌して、有機保護剤としてオクチルアミンで被覆された銀微粒子を含む水スラリーを得た。
【0029】
このようにして得られた水スラリー中の銀微粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ株式会社製のS−4700)により倍率50,000倍で観察し、そのSEM画像上の100個以上の任意の銀微粒子について、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製のA像くん(登録商標))により平均一次粒子径を算出したところ、35.6nmであった。
【0030】
次に、得られた銀微粒子の水スラリーからデカンテーションにより銀微粒子を沈降させた後、上澄み液を除去し、ウエットな状態の銀微粒子を回収した。
【0031】
次に、回収したウエットな状態の(オクチルアミンで被覆された)銀微粒子59.9g(オクチルアミンで被覆された銀微粒子65.5質量%)を、アクリル系分散剤溶液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルにメタクリル酸ブチルエステルを溶解させた分散液(積水化学工業株式会社製のM1400)2.8gとともに、沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、溶解パラメータ(SP値)9.5)3.5gに添加した後、窒素雰囲気中において室温で24時間乾燥させて水分を除去することにより、86.2質量%の銀微粒子と11.2質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と2.6質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して3質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0032】
次に、得られた銀微粒子分散液を三本ロールミルに通し、混練脱泡を行って銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を粘度測定装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のHAAKE ReoStress6000)により、25℃、5rpmで測定したところ、70.6Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ(1stスクラッチ))が6μm、第4スクラッチ(4thスクラッチ)(グラインドゲージによる混練物中の銀微粒子の粒度測定において最大粒径から4番目に大きい粒径)が1μm未満であった。
【0033】
また、得られた銀微粒子分散液をメタルマスクにより10mm四方の大きさで厚さ30μmになるようにガラス基板上に塗布した後、熱風乾燥機(ヤマト科学株式会社製のDKM400)によって130℃で30分間焼成して銀微粒子を焼結させることにより、ガラス基板上に銀導電膜を形成した。この銀導電膜の比抵抗値を、表面抵抗測定装置(株式会社東洋精密製のSURFCOM1500DX)で測定した表面抵抗と膜厚測定器で得られた膜厚から算出したところ、11.5μΩ・cmであった。
【0034】
また、得られた銀微粒子分散液を乾燥させて走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するとともに、得られた銀微粒子分散液を大気中において25℃で3日間保管後にSEMで観察して比較したところ、3日後にも銀微粒子の凝集が殆どなく、保存安定性に優れていることがわかった。
【0035】
[実施例2]
沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量を4.9g、アクリル系分散剤溶液の添加量を1.4gとした以外は、実施例1と同様の方法により、86.2質量%の銀微粒子と12.5質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と1.3質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して1.5質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0036】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、52.3Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が3μm、第4スクラッチが1μm未満であった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、5.6μΩ・cmであった。
【0037】
また、得られた銀微粒子分散液について、実施例1と同様の方法により、SEMで観察して比較したところ、3日後にも銀微粒子の凝集が殆どなく、保存安定性に優れていることがわかった。
【0038】
[実施例3]
沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルの代わりに、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点255℃、SP値9.5)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、86.2質量%の銀微粒子と11.2質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と2.6質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して3質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0039】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、78.4Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が10μm、第4スクラッチが6μmであった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、10.3μΩ・cmであった。
【0040】
また、得られた銀微粒子分散液について、実施例1と同様の方法により、SEMで観察して比較したところ、3日後にも銀微粒子の凝集が殆どなく、保存安定性に優れていることがわかった。
【0041】
[実施例4]
沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルの代わりに、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点247℃、SP値8.9)を使用し、アクリル系分散剤溶液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートにメタクリル酸ブチルエステルを溶解させた分散液(積水化学工業株式会社製のM1400)の代わりに、アクリル系分散剤溶液(積水化学工業株式会社製のM1200)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、86.2質量%の銀微粒子と11.2質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と2.6質量%のアクリル系分散剤溶液(M1200の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して3質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0042】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、40.2Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が6μm、第4スクラッチが1μm未満であった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、5.7μΩ・cmであった。
【0043】
また、得られた銀微粒子分散液について、実施例1と同様の方法により、SEMで観察して比較したところ、3日後にも銀微粒子の凝集が殆どなく、保存安定性に優れていることがわかった。
【0044】
[実施例5]
沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルの代わりに、テルピネオール(沸点217℃、SP値11.1)を使用し、アクリル系分散剤溶液(積水化学工業株式会社製のM1400)の代わりに、アクリル系分散剤溶液として、テルピネオールにメタクリル酸ブチルエステルを溶解させた分散液(積水化学工業株式会社製のM1000)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、86.2質量%の銀微粒子と11.2質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と2.6質量%のアクリル系分散剤溶液(M1000の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して3質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0045】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、35.0Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が6μm、第4スクラッチが1μm未満であった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、6.2μΩ・cmであった。
【0046】
また、得られた銀微粒子分散液について、実施例1と同様の方法により、SEMで観察して比較したところ、3日後にも銀微粒子の凝集が殆どなく、保存安定性に優れていることがわかった。
【0047】
[実施例6]
5Lの反応槽に反応媒体としての純水3422.0gを入れて40℃に調温した後、有機保護剤としてのオクチルアミン(和光純薬株式会社製の特級、分子量129.24、炭素数8)51.1g(Agに対する有機保護剤のモル比2)と、還元剤としてのヒドラジン水和物(大塚化学株式会社の80%溶液)12.4g(Agに対する還元剤のモル比1)を添加し、不活性ガスとして窒素ガスを2L/分の流量で吹き込みながら、羽根を備えた攪拌棒を外部モータにより345rpmで回転させて攪拌した。次いで、銀化合物として硝酸銀結晶(東洋化学株式会社製)33.6gと28質量%のアンモニア水(和光純薬工業株式会社製の特級)55.2gを純水180.0gに溶かした水溶液を一挙に添加した後、2分間攪拌して、有機保護剤としてオクチルアミンで被覆された銀微粒子を含む水スラリーを得た。
【0048】
このようにして得られた水スラリー中の銀微粒子の平均一次粒子径を実施例1と同様の方法により算出したところ、87.5nmであった。
【0049】
次に、得られた銀微粒子の水スラリーからデカンテーションにより銀微粒子を沈降させた後、上澄み液を除去し、ウエットな状態の銀微粒子を回収した。
【0050】
次に、回収したウエットな状態の(オクチルアミンで被覆された)銀微粒子59.9g(オクチルアミンで被覆された銀微粒子66.9質量%)を、アクリル系分散剤溶液(積水化学工業株式会社製のM1400)1.4gとともに、沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、SP値9.5)5.0gに添加した後、窒素雰囲気中において室温で24時間乾燥させて水分を除去することにより、86.2質量%の銀微粒子と12.5質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と1.3質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して1.5質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0051】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、35.2Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が13μm、第4スクラッチが1μm未満であった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、6.3μΩ・cmであった。
【0052】
また、得られた銀微粒子分散液について、実施例1と同様の方法により、SEMで観察して比較したところ、3日後にも銀微粒子の凝集が殆どなく、保存安定性に優れていることがわかった。
【0053】
[実施例7]
実施例1と同様の方法で回収したウエットな状態の(オクチルアミンで被覆された)銀微粒子59.9g(オクチルアミンで被覆された銀微粒子65.5質量%)を、アクリル系分散剤溶液(積水化学工業株式会社製のM1400)2.8gとともに、沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、SP値9.5)9.5gに添加した後、窒素雰囲気中において室温で24時間乾燥させて水分を除去することにより、76.1質量%の銀微粒子と21.6質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と2.3質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して3質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0054】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、0.65Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が9μm、第4スクラッチが1μm未満であった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、9.0μΩ・cmであった。
【0055】
また、得られた銀微粒子分散液について、実施例1と同様の方法により、SEMで観察して比較したところ、3日後にも銀微粒子の凝集が殆どなく、保存安定性に優れていることがわかった。
【0056】
[実施例8]
実施例1と同様の方法で回収したウエットな状態の(オクチルアミンで被覆された)銀微粒子59.9g(オクチルアミンで被覆された銀微粒子65.5質量%)を、アクリル系分散剤溶液(積水化学工業株式会社製のM1400)2.8gとともに、沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、SP値9.5)17.5gに添加した後、窒素雰囲気中において室温で24時間乾燥させて水分を除去することにより、65.9質量%の銀微粒子と32.1質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と2.0質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して3質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0057】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、0.04Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が1μm未満、第4スクラッチが1μm未満であった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、7.6μΩ・cmであった。
【0058】
また、得られた銀微粒子分散液について、実施例1と同様の方法により、SEMで観察して比較したところ、3日後にも銀微粒子の凝集が殆どなく、保存安定性に優れていることがわかった。
【0059】
[比較例1]
沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量を6.3gとし、アクリル系分散剤溶液を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、86.2質量%の銀微粒子と13.8質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒を含む銀微粒子分散液を得た。
【0060】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度について、実施例1と同様の方法により測定を試みたが、粘度が高過ぎて、測定することができなかった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が50μm以上、第4スクラッチが40μmであった。
【0061】
また、得られた銀微粒子分散液について、実施例1と同様の方法により、SEMで観察して比較したところ、3日後にも銀微粒子の凝集が殆どなく、保存安定性に優れていることがわかった。
【0062】
[比較例2]
有機保護剤としてオクチルアミンの代わりにヘキシルアミン(和光純薬株式会社製の特級、分子量101.19、炭素数6)39.6g(Agに対する有機保護剤のモル比2)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、有機保護剤としてヘキシルアミンで被覆された銀微粒子を含む水スラリーを得た。なお、水スラリー中の銀微粒子の平均一次粒子径を、実施例1と同様の方法により算出したところ、32.1nmであった。また、得られた銀微粒子を含む水スラリーから、実施例1と同様の方法により、86.2質量%の銀微粒子と11.2質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と2.6質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して3質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0063】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、61.7Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が10μm、第4スクラッチが3μmであった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、7.3μΩ・cmであった。
【0064】
また、得られた銀微粒子分散液について、実施例1と同様の方法により、SEMで観察して比較したところ、3日後では銀微粒子が凝集し、保存安定性が悪いことがわかった。
【0065】
[比較例3]
5Lの反応槽に反応媒体としての純水3422.0gを入れて40℃に調温した後、有機保護剤としてのオレイルアミン(和光純薬株式会社製の特級、分子量267.47、炭素数18)105.8g(Agに対する有機保護剤のモル比2)と、銀化合物として硝酸銀結晶(東洋化学株式会社製)33.6gを純水180.0gに溶かした水溶液を添加し、不活性ガスとして窒素ガスを2L/分の流量で吹き込みながら、羽根を備えた攪拌棒を外部モータにより345rpmで回転させて攪拌した。次いで、還元剤としてのNaBH
4(和光純薬工業株式会社製の特級)2.8g(Agに対する還元剤のモル比1.5)を40質量%のNaOH水溶液20.6gに溶解した水溶液を一挙に添加した後、2分間攪拌して、有機保護剤としてオレイルアミンで被覆された銀微粒子を含む水スラリーを得た。この水スラリー中の銀微粒子の平均一次粒子径を、実施例1と同様の方法により算出したところ、24.3nmであった。また、得られた銀微粒子を含む水スラリーから、実施例1と同様の方法により、86.2質量%の銀微粒子と11.2質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と2.6質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して3質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0066】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、169.8Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が25μm、第4スクラッチが8μmであった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、411.2μΩ・cmであった。
【0067】
[比較例4]
アクリル系分散剤溶液(積水化学工業株式会社製のM1400)の代わりにポリウレタン系分散剤溶液(東洋紡株式会社製のバイロンUR8300、メチルエチルケトン/トルエン(50質量%/50質量%)溶剤中に固形分30質量%)4.0gを添加した以外は、実施例1と同様の方法により、86.2質量%の銀微粒子と11.2質量%のグリコールエーテル系溶剤と2.6質量%のポリウレタン系分散剤溶液(UR8300の固形分であるウレタン変性ポリエステルからなる分散剤が銀微粒子に対して3質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0068】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、338.4Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が12μm、第4スクラッチが3μmであった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、8.8μΩ・cmであった。
【0069】
[比較例5]
沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量を5.5g、アクリル系分散剤溶液(積水化学工業株式会社製のM1400)の添加量を0.9gとした以外は、実施例1と同様の方法により、86.0質量%の銀微粒子と13.2質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と0.8質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して1質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0070】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、121.0Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が22μm、第4スクラッチが4μmであった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した銀導電膜の比抵抗値を、実施例1と同様の方法により算出したところ、4.9μΩ・cmであった。
【0071】
[比較例6]
5Lの反応槽に反応媒体としての純水3422.0gを入れて40℃に調温した後、有機保護剤としてのオクチルアミン(和光純薬株式会社製の特級、分子量129.24、炭素数8)51.1g(Agに対する有機保護剤のモル比2)と、還元剤としてのヒドラジン水和物(大塚化学株式会社の80%溶液)6.2g(Agに対する還元剤のモル比2)と、濃度50質量%の水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社製)26gを添加し、不活性ガスとして窒素ガスを2L/分の流量で吹き込みながら、羽根を備えた攪拌棒を外部モータにより345rpmで回転させて攪拌した。次いで、銀化合物として硝酸銀結晶(東洋化学株式会社製)33.6gを純水180.0gに溶かした水溶液を一挙に添加した後、2分間攪拌して、有機保護剤としてオクチルアミンで被覆された銀微粒子を含む水スラリーを得た。
【0072】
このようにして得られた水スラリー中の銀微粒子の平均一次粒子径を走査型電子顕微鏡の倍率180,000倍にした以外は実施例1と同様の方法により算出したところ、18.3nmであった。
【0073】
次に、得られた銀微粒子の水スラリーからデカンテーションにより銀微粒子を沈降させた後、上澄み液を除去し、ウエットな状態の銀微粒子を回収した。
【0074】
次に、回収したウエットな状態の(オクチルアミンで被覆された)銀微粒子59.9g(オクチルアミンで被覆された銀微粒子51.8質量%)を、アクリル系分散剤溶液(積水化学工業株式会社製のM1400)6.3gとともに、沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃、SP値9.5)0.4gに添加した後、窒素雰囲気中において室温で24時間乾燥させて水分を除去することにより、82.2質量%の銀微粒子と10.6質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と7.2質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して8質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0075】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物を作製した。この銀微粒子混練物の粘度を、実施例1と同様の方法により測定したところ、61.9Pa・sであった。また、銀微粒子混練物に含まれる銀微粒子の粒度をグラインドゲージにより評価したところ、最大粒径D
max(第1スクラッチ)が2μm、第4スクラッチが1μm未満であった。また、得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により形成した表面抵抗は、オーバーロード(OL)で測定不能であり、銀導電膜の比抵抗値を算出することができなかった。
【0076】
[比較例7]
沸点が150〜300℃の極性溶媒としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルの代わりに、エチレングリコール(沸点197℃、SP値14.6)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、86.2質量%の銀微粒子と11.2質量%の沸点が150〜300℃の極性溶媒と2.6質量%のアクリル系分散剤溶液(M1400の固形分であるメタクリル酸ブチルエステルからなるアクリル系分散剤が銀微粒子に対して3質量%)を含む銀微粒子分散液を得た。
【0077】
得られた銀微粒子分散液から、実施例1と同様の方法により、銀微粒子混練物の作製を試みたが、分離により、ペーストとして作製することができなかった。
【0078】
これらの実施例および比較例の結果を表1〜表3に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】