特許第5738900号(P5738900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738900アンモニア精製システムおよびアンモニアの精製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738900
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】アンモニア精製システムおよびアンモニアの精製方法
(51)【国際特許分類】
   C01C 1/02 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
   C01C1/02 E
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-554643(P2012-554643)
(86)(22)【出願日】2011年12月15日
(86)【国際出願番号】JP2011079106
(87)【国際公開番号】WO2012101925
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2013年8月29日
(31)【優先権主張番号】特願2011-13499(P2011-13499)
(32)【優先日】2011年1月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】北岸 信之
(72)【発明者】
【氏名】田井 慎一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 義則
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−255542(JP,A)
【文献】 特表2004−521055(JP,A)
【文献】 特表2008−505830(JP,A)
【文献】 特開2005−060225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01C 1/02
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物が含まれる粗アンモニアを精製するアンモニア精製システムであって、
液体状の粗アンモニアを貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留された液体状の粗アンモニアに含まれる油分を活性炭により吸着除去し、液体状のアンモニアを導出する第1吸着部と、
前記第1吸着部から導出された液体状のアンモニアに含まれる、アンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を、合成ゼオライトにより吸着除去し、液体状のアンモニアを導出する第2吸着部であって、合成ゼオライトとしてMS−3Aが充填された第1吸着領域と、合成ゼオライトとしてMS−13Xが充填された第2吸着領域とを有し、温度が0〜60℃に制御され、圧力が0.1〜1.0MPaに制御される第2吸着部と、
前記第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを所定の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離することで、アンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを得る気化部と、を含むことを特徴とするアンモニア精製システム。
【請求項2】
前記第2吸着部から導出された液体状のアンモニアに含まれる不純物の濃度を分析する分析部をさらに含み、
前記気化部は、前記分析部による分析結果に基づいて、前記第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを気化するときの前記所定の気化率を設定することを特徴とする請求項1に記載のアンモニア精製システム。
【請求項3】
前記気化部は、前記第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを気化するときの前記所定の気化率を、5〜20体積%に設定することを特徴とする請求項2に記載のアンモニア精製システム。
【請求項4】
前記気化部は、前記第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを、−50〜30℃の温度下で気化して気相成分と液相成分とに分離することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のアンモニア精製システム。
【請求項5】
前記第2吸着部は、前記第1吸着部から導出された液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を吸着除去する複数の吸着部であって、直列または並列に接続される複数の吸着部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のアンモニア精製システム。
【請求項6】
不純物が含まれる粗アンモニアを精製する方法であって、
液体状の粗アンモニアを貯留する貯留工程と、
前記貯留工程で貯留された液体状の粗アンモニアに含まれる油分を活性炭により吸着除去する第1吸着工程と、
前記第1吸着工程で油分が吸着除去された液体状のアンモニアに含まれる、アンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を、温度が0〜60℃であり、かつ圧力が0.1〜1.0MPaである条件下で、合成ゼオライトであるMS−3AとMS−13Xとにより吸着除去する第2吸着工程と、
前記第2吸着工程で高沸点不純物が吸着除去された液体状のアンモニアを所定の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離することで、アンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを得る気化工程と、を含むことを特徴とするアンモニアの精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粗アンモニアを精製するアンモニア精製システムおよびアンモニアの精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程および液晶製造工程においては、窒化物皮膜の作製などに用いる処理剤として、高純度のアンモニアが利用されている。このような高純度のアンモニアは、粗アンモニアを精製して不純物を除去することにより得られる。
【0003】
粗アンモニア中には、メタン、エタン、プロパン等の低次炭化水素、さらに多くの炭素数を有する高次炭化水素、水分、および水素、窒素、酸素、アルゴン、一酸化炭素等の低沸点ガスが不純物として含まれている。一般的に入手可能な粗アンモニアの純度は99.5重量%程度である。
【0004】
半導体製造工程および液晶製造工程におけるアンモニアが用いられる工程の種類によって、アンモニア中の不純物の影響の仕方は異なる。アンモニアの純度としては、99.9999重量%以上、より好ましくは99.99999重量%以上であることが求められる。
【0005】
粗アンモニア中に含まれる不純物を除去する方法としては、シリカゲル、合成ゼオライト、活性炭等の吸着剤を用いて不純物を吸着除去する方法、不純物を蒸留除去する方法が知られている。
【0006】
たとえば、特許文献1には、液体状の粗アンモニアから高沸点不純物を除去する第1蒸留塔と、第1蒸留塔から導出された気体状のアンモニアに含まれる不純物(主に水分)を吸着剤により吸着除去する吸着塔と、吸着塔から導出された気体状のアンモニアから低沸点不純物を除去する第2蒸留塔とを備えるアンモニア精製システムが開示されている。また、特許文献2には、気体状の粗アンモニアに含まれる水分を酸化バリウムからなる吸着剤で吸着除去した後、蒸留することによってアンモニアを精製する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−206410号公報
【特許文献2】特開2003−183021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2に開示されるアンモニアを精製する技術では、粗アンモニアに含まれる不純物を吸着塔で吸着除去し、さらに、蒸留塔で蒸留除去してアンモニアを精製するが、蒸留塔から導出された精製後の気体状のアンモニアは、凝縮されて液体アンモニアとして回収される。すなわち、特許文献1,2に開示されるアンモニアを精製する技術では、粗アンモニアに含まれる不純物を吸着・蒸留除去し、さらに凝縮して精製された液体アンモニアを得るので、アンモニアを精製する方法として簡単化されたものであるとは言えず、アンモニアを精製するのに多くのエネルギが必要となってしまう。
【0009】
したがって本発明の目的は、簡単化された方法でアンモニアを精製することができるとともに、エネルギの消費を抑制してアンモニアを効率的に精製することができるアンモニア精製システムおよびアンモニアの精製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、不純物が含まれる粗アンモニアを精製するアンモニア精製システムであって、
液体状の粗アンモニアを貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留された液体状の粗アンモニアに含まれる油分を活性炭により吸着除去し、液体状のアンモニアを導出する第1吸着部と、
前記第1吸着部から導出された液体状のアンモニアに含まれる、アンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を、合成ゼオライトにより吸着除去し、液体状のアンモニアを導出する第2吸着部であって、合成ゼオライトとしてMS−3Aが充填された第1吸着領域と、合成ゼオライトとしてMS−13Xが充填された第2吸着領域とを有し、温度が0〜60℃に制御され、圧力が0.1〜1.0MPaに制御される第2吸着部と、
前記第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを所定の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離することで、アンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを得る気化部と、を含むことを特徴とするアンモニア精製システムである。
【0011】
また本発明のアンモニア精製システムは、前記第2吸着部から導出された液体状のアンモニアに含まれる不純物の濃度を分析する分析部をさらに含み、
前記気化部が、前記分析部による分析結果に基づいて、前記第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを気化するときの前記所定の気化率を設定することが好ましい。
【0012】
また本発明のアンモニア精製システムは、前記気化部が、前記第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを気化するときの前記所定の気化率を、5〜20体積%に設定することが好ましい。
【0013】
また本発明のアンモニア精製システムは、前記気化部が、前記第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを、−50〜30℃の温度下で気化して気相成分と液相成分とに分離することが好ましい。
【0015】
また本発明のアンモニア精製システムは、前記第2吸着部が、前記第1吸着部から導出された液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を吸着除去する複数の吸着部であって、直列または並列に接続される複数の吸着部を有することが好ましい。
【0016】
また本発明は、不純物が含まれる粗アンモニアを精製する方法であって、
液体状の粗アンモニアを貯留する貯留工程と、
前記貯留工程で貯留された液体状の粗アンモニアに含まれる油分を活性炭により吸着除去する第1吸着工程と、
前記第1吸着工程で油分が吸着除去された液体状のアンモニアに含まれる、アンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を、温度が0〜60℃であり、かつ圧力が0.1〜1.0MPaである条件下で、合成ゼオライトであるMS−3AとMS−13Xとにより吸着除去する第2吸着工程と、
前記第2吸着工程で高沸点不純物が吸着除去された液体状のアンモニアを所定の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離することで、アンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを得る気化工程と、を含むことを特徴とするアンモニアの精製方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アンモニア精製システムは、不純物が含まれる粗アンモニアを精製するシステムであって、貯留部と、第1吸着部と、第2吸着部と、気化部とを含む。第1吸着部は、貯留部に貯留された液体状の粗アンモニアに含まれる油分を活性炭により吸着除去する。第2吸着部は、第1吸着部から導出された液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、合成ゼオライトにより吸着除去する。この第2吸着部は、合成ゼオライトとしてMS−3Aが充填された第1吸着領域と、合成ゼオライトとしてMS−13Xが充填された第2吸着領域とを有し、温度が0〜60℃に制御され、圧力が0.1〜1.0MPaに制御される。そして、気化部は、第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを所定の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離することで、低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを得る。
【0018】
本発明のアンモニア精製システムでは、気化部は、油分、および水分、高次炭化水素等の高沸点不純物が吸着除去された後の液体状のアンモニアを、所定の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離するので、メタン、エタン、プロパン等の低次炭化水素、および水素、窒素、酸素、アルゴン、一酸化炭素等の低沸点ガスなどの低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを得ることができる。そのため、本発明のアンモニア精製システムでは、従来技術のように還流を伴う蒸留を行うことなく、簡単化された方法でアンモニアを精製することができるとともに、エネルギの消費を抑制してアンモニアを効率的に精製することができる。
また、第2吸着部は、合成ゼオライトとしてMS−3Aが充填された第1吸着領域と、MS−13Xが充填された第2吸着領域とを有し、温度が0〜60℃に制御され、圧力が0.1〜1.0MPaに制御される。合成ゼオライトのMS−3Aは、水分に対する優れた吸着能を有する吸着剤であり、MS−13Xは、水分および炭化水素に対する優れた吸着能を有する吸着剤である。このような吸着能を有するMS−3AおよびMS−13Xが充填された吸着領域を有する第2吸着部とすることによって、第1吸着部から導出された液体状のアンモニアに含まれる水分、高次炭化水素等の高沸点不純物を、効率よく吸着除去することができる。
【0019】
また本発明によれば、アンモニア精製システムは、分析部をさらに含む。この分析部は、第2吸着部から導出された液体状のアンモニアに含まれる不純物の濃度を分析する。そして、気化部は、分析部による分析結果に基づいて、第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを気化するときの気化率を設定する。このように気化部が、分析部による分析結果に応じて、液体状のアンモニアを気化するときの気化率を設定するので、エネルギの消費を抑制してアンモニアを効率的に精製することができる。
【0020】
また本発明によれば、気化部は、第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを、5〜20体積%の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離する。これによって、油分および高沸点不純物が吸着除去された後の液体状のアンモニアに含まれる低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを収率よく得ることができる。
【0021】
また本発明によれば、気化部は、第2吸着部から導出された液体状のアンモニアを、−50〜30℃の温度下で気化して気相成分と液相成分とに分離する。これによって、油分および高沸点不純物が吸着除去された後の液体状のアンモニアを効率よく気化して低沸点不純物が分離除去された液体アンモニアを得ることができるとともに、その液体アンモニアの純度を高めることができる。
【0023】
また本発明によれば、第2吸着部は、直列または並列に接続される複数の吸着部を有する。第2吸着部が直列に接続される複数の吸着部を有する場合には、第1吸着部から導出された液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物に対する吸着除去能力を向上することができる。また、第2吸着部が並列に接続される複数の吸着部を有する場合には、第1吸着部から導出された液体状のアンモニアを、並列に接続される複数の吸着部に対してそれぞれ区別した状態で導入することができるので、1つの吸着部で吸着除去している間に、使用済みの他の吸着部で再度吸着除去動作が可能なように、使用済みの他の吸着部を再生処理することができる。
【0024】
また本発明によれば、アンモニアの精製方法は、不純物が含まれる粗アンモニアを精製する方法であって、貯留工程と、第1吸着工程と、第2吸着工程と、気化工程とを含む。第1吸着工程では、貯留工程で貯留された液体状の粗アンモニアに含まれる油分を活性炭により吸着除去する。第2吸着工程では、第1吸着工程で油分が吸着除去された液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、温度が0〜60℃であり、かつ圧力が0.1〜1.0MPaである条件下で、合成ゼオライトであるMS−3AとMS−13Xとにより吸着除去する。そして、気化工程では、第2吸着工程で高沸点不純物が吸着除去された液体状のアンモニアを所定の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離することで、低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを得る。
【0025】
本発明のアンモニアの精製方法では、気化工程において、油分、および水分、高次炭化水素等の高沸点不純物が吸着除去された後の液体状のアンモニアを、所定の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離するので、メタン、エタン、プロパン等の低次炭化水素、および水素、窒素、酸素、アルゴン、一酸化炭素等の低沸点ガスなどの低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを得ることができる。そのため、本発明のアンモニアの精製方法では、従来技術のように還流を伴う蒸留を行うことなく、簡単化された方法でアンモニアを精製することができるとともに、エネルギの消費を抑制してアンモニアを効率的に精製することができる。
また、第2吸着工程では、第1吸着工程で油分が吸着除去された液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、温度が0〜60℃であり、かつ圧力が0.1〜1.0MPaである条件下で、合成ゼオライトであるMS−3AとMS−13Xとにより吸着除去するので、第1吸着工程で油分が吸着除去された液体状のアンモニアに含まれる水分、高次炭化水素等の高沸点不純物を、効率よく吸着除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係るアンモニア精製システム100の構成を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態に係るアンモニア精製システム200の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の第1実施形態に係るアンモニア精製システム100の構成を示す図である。本実施形態のアンモニア精製システム100は、不純物が含まれる液体状の粗アンモニアを精製するシステムである。液体状の粗アンモニア中には、油分、およびメタン、エタン、プロパン等の低次炭化水素、さらに多くの炭素数を有する高次炭化水素、水分、および水素、窒素、酸素、アルゴン、一酸化炭素等の低沸点ガスが不純物として含まれている。すなわち、液体状の粗アンモニア中には、油分と、アンモニア(沸点−33.44℃)よりも沸点の低い低次炭化水素、低沸点ガスなどの低沸点不純物と、アンモニアよりも沸点の高い高次炭化水素、水分などの高沸点不純物とが含まれている。
【0028】
アンモニア精製システム100は、貯留部である貯留タンク1、第1吸着部である油分吸着塔2、第2吸着部である高沸点不純物吸着部3、分析部4、気化部である気化器5、および回収タンク6を含んで構成される。また、アンモニア精製システム100は、本発明に係るアンモニアの精製方法を実現し、貯留タンク1で貯留工程を実行し、油分吸着塔2で第1吸着工程を実行し、高沸点不純物吸着部3で第2吸着工程を実行し、気化器5で気化工程を実行する。
【0029】
貯留タンク1は、粗アンモニアを貯留するものである。本実施形態において、貯留タンク1に貯留される粗アンモニアは、純度99.5重量%程度である。
【0030】
貯留タンク1は、耐圧性および耐腐食性を有する保温容器であれば特に制限されるものではない。この貯留タンク1は、粗アンモニアを液体状のアンモニアとして貯留し、温度および圧力が一定条件となるように制御されている。貯留タンク1が液体状の粗アンモニアを貯留した状態で、貯留タンク1の上部には気相が形成され、下部には液相が形成されている。本実施形態では、貯留タンク1から油分吸着塔2に粗アンモニアを導出する際には、粗アンモニアを前記液相から液体状の粗アンモニアとして導出する。貯留タンク1と油分吸着塔2との間には第1配管81が接続されており、貯留タンク1から導出された液体状の粗アンモニアは、第1配管81を流過して油分吸着塔2に供給される。
【0031】
第1配管81には、第1配管81における流路を開放または閉鎖する第1バルブ811が設けられている。液体状の粗アンモニアの油分吸着塔2への供給時には、第1バルブ811が開放されて、貯留タンク1から油分吸着塔2に向けて第1配管81内を液体状の粗アンモニアが流過する。
【0032】
貯留タンク1から導出された液体状の粗アンモニアには、コンプレッサ等の機器用の潤滑オイルなどの油分が2〜15ppm程度含まれる。この液体状の粗アンモニアに含まれる油分の含有量は、粗アンモニアを気化させた後に残留する成分を、油分濃度計(OCMA−355、株式会社堀場製作所製)で測定することにより求めることができる。
【0033】
油分吸着塔2は、貯留タンク1から導出された液体状の粗アンモニアに含まれる油分を、活性炭からなる吸着剤により吸着除去する。油分吸着塔2に充填される活性炭としては、やし殻活性炭(クラレGG、クラレケミカル株式会社製)などが挙げられる。
【0034】
油分吸着塔2から導出された液体状のアンモニアは、第2配管82を流過して、高沸点不純物吸着部3と接続される第3配管83に供給される。
【0035】
第2配管82には、油分吸着塔2から第3配管83に向けて流過する液体状のアンモニアに含まれる重金属を除去するためのフィルタ7が設けられている。本実施形態では、フィルタ7は、ポリプロピレン(PP)製の5μmフィルタと、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)/PP製の0.01μmフィルタとが直列に接続された2層構造を有する。なお、フィルタ7は、油分吸着塔2よりもアンモニアの流過方向下流側に直接接続して配置されることに限定されるものではなく、後述する高沸点不純物吸着部3よりもアンモニアの流過方向下流側に配置するようにしてもよい。また、図1では、第2配管82に1つのフィルタ7を設ける構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、複数のフィルタ7を第2配管82に並列に接続するようにしてもよい。例えば、2つのフィルタ7を第2配管82に並列に接続する構成とした場合、油分吸着塔2から導出された液体状のアンモニアに含まれる重金属を、一方のフィルタ7でろ過分離除去している間に、使用済みの他のフィルタ7の交換作業を行うことができる。
【0036】
また、第2配管82には、第2配管82における流路を開放または閉鎖する第2バルブ821が、フィルタ7よりもアンモニアの流過方向上流側に設けられている。液体状のアンモニアの油分吸着塔2から第3配管83に向けての供給時には、第2バルブ821が開放されて、フィルタ7を通過して第2配管82内を液体状のアンモニアが流過する。
【0037】
第2配管82内を流過して第3配管83に供給された液体状のアンモニアは、高沸点不純物吸着部3に導入される。高沸点不純物吸着部3は、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアに含まれる、アンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を、合成ゼオライトからなる吸着剤により吸着除去する。本実施形態では、高沸点不純物吸着部3は、複数の吸着部である第1吸着塔31、第2吸着塔32、第3吸着塔33および第4吸着塔34を含んで構成される。
【0038】
第1吸着塔31および第3吸着塔33は、第3配管83に並列に接続されている。第3配管83には、第3配管83における流路を開放または閉鎖する第3バルブ831および第4バルブ832が設けられている。第3配管83において、第3バルブ831は、第1吸着塔31の上流側(すなわち、第1吸着塔31の塔頂部側)に配置され、第4バルブ832は、第3吸着塔33の上流側(すなわち、第3吸着塔33の塔頂部側)に配置される。油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアの第1吸着塔31への供給時には、第3バルブ831が開放され、第4バルブ832が閉鎖されて、フィルタ7から第1吸着塔31に向けて第3配管83内を液体状のアンモニアが流過する。また、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアの第3吸着塔33への供給時には、第4バルブ832が開放され、第3バルブ831が閉鎖されて、フィルタ7から第3吸着塔33に向けて第3配管83内を液体状のアンモニアが流過する。
【0039】
このように、高沸点不純物吸着部3が、並列接続される第1吸着塔31および第3吸着塔33を有することによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアを、並列接続される第1吸着塔31および第3吸着塔33に対して、それぞれ区別した状態で導入することができるので、たとえば、第1吸着塔31で吸着除去している間に、使用済みの第3吸着塔33で再度吸着除去動作が可能なように、使用済みの第3吸着塔33を再生処理することができる。
【0040】
第2吸着塔32は、第4配管84を介して第1吸着塔31と直列に接続されている。すなわち、第4配管84において、一端部は第1吸着塔31の塔底部に接続され、他端部は第2吸着塔32の塔頂部に接続されている。これによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過し、第1吸着塔31に導入された液体状のアンモニアは、第4配管84を流過して第2吸着塔32に導入される。このように、高沸点不純物吸着部3が、直列接続される第1吸着塔31および第2吸着塔32を有することによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、第1吸着塔31および第2吸着塔32で吸着除去することができるので、高沸点不純物に対する吸着除去能力を向上することができる。
【0041】
第2吸着塔32から導出された液体状のアンモニアは、第5配管85を流過して、気化器5と接続される第10配管90に供給される。
【0042】
第5配管85には、第5配管85における流路を開放または閉鎖する第5バルブ851および第6バルブ852が設けられている。第5配管85において、第5バルブ851は、アンモニアの流過方向上流側(すなわち、第2吸着塔32側)に配置され、第6バルブ852は、アンモニアの流過方向下流側(すなわち、第10配管90側)に配置される。第2吸着塔32から導出された液体状のアンモニアの第10配管90への供給時には、第5バルブ851および第6バルブ852が開放されて、第2吸着塔32から第10配管90に向けて第5配管85内を液体状のアンモニアが流過する。
【0043】
また、本実施形態のアンモニア精製システム100では、第5バルブ851と第6バルブ852との間において、第5配管85から分岐し、分析部4に接続される第8配管88が設けられている。この第8配管88には、第8配管88における流路を開放または閉鎖する第9バルブ881が設けられている。第9バルブ881は、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアが、第1吸着塔31および第2吸着塔32に導入される場合には、常時開放されて、分析に必要なごく少量のアンモニアが分析部4に向けて第8配管88内を流過する。
【0044】
第4吸着塔34は、第6配管86を介して第3吸着塔33と直列に接続されている。すなわち、第6配管86において、一端部は第3吸着塔33の塔底部に接続され、他端部は第4吸着塔34の塔頂部に接続されている。これによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過し、第3吸着塔33に導入された液体状のアンモニアは、第6配管86を流過して第4吸着塔34に導入される。このように、高沸点不純物吸着部3が、直列接続される第3吸着塔33および第4吸着塔34を有することによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、第3吸着塔33および第4吸着塔34で吸着除去することができるので、高沸点不純物に対する吸着除去能力を向上することができる。
【0045】
第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアは、第7配管87を流過して、気化器5と接続される第10配管90に供給される。
【0046】
第7配管87には、第7配管87における流路を開放または閉鎖する第7バルブ871および第8バルブ872が設けられている。第7配管87において、第7バルブ871は、アンモニアの流過方向上流側(すなわち、第4吸着塔34側)に配置され、第8バルブ872は、アンモニアの流過方向下流側(すなわち、第10配管90側)に配置される。第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアの第10配管90への供給時には、第7バルブ871および第8バルブ872が開放されて、第4吸着塔34から第10配管90に向けて第7配管87内を液体状のアンモニアが流過する。
【0047】
また、本実施形態のアンモニア精製システム100では、第7バルブ871と第8バルブ872との間において、第7配管87から分岐し、分析部4に接続される第9配管89が設けられている。この第9配管89には、第9配管89における流路を開放または閉鎖する第10バルブ891が設けられている。第10バルブ891は、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアが、第3吸着塔33および第4吸着塔34に導入される場合には、常時開放されて、分析に必要なごく少量のアンモニアが分析部4に向けて第9配管89内を流過する。
【0048】
また、本実施形態では、第1吸着塔31は、合成ゼオライトとしてMS−3A(細孔径3Åの多孔質合成ゼオライト)が充填された第1吸着領域311と、合成ゼオライトとしてMS−13X(細孔径9Åの多孔質合成ゼオライト)が充填された第2吸着領域312とを有する。第1吸着塔31において、第1吸着領域311と第2吸着領域312とは直列に接続されており、第1吸着領域311が塔頂部側に配置され、第2吸着領域312が塔底部側に配置されている。
【0049】
なお、第2吸着塔32、第3吸着塔33および第4吸着塔34は、それぞれ第1吸着塔31と同様に構成される。具体的には、第2吸着塔32では、MS−3Aが充填された第1吸着領域321が塔頂部側に配置され、MS−13Xが充填された第2吸着領域322が塔底部側に配置されている。第3吸着塔33では、MS−3Aが充填された第1吸着領域331が塔頂部側に配置され、MS−13Xが充填された第2吸着領域332が塔底部側に配置されている。第4吸着塔34では、MS−3Aが充填された第1吸着領域341が塔頂部側に配置され、MS−13Xが充填された第2吸着領域342が塔底部側に配置されている。
【0050】
合成ゼオライトのMS−3Aは、水分に対する優れた吸着能を有する吸着剤であり、MS−13Xは、水分および炭化水素に対する優れた吸着能を有する吸着剤である。このような吸着能を有するMS−3Aが充填された第1吸着領域、およびMS−13Xが充填された第2吸着領域を有する第1吸着塔31、第2吸着塔32、第3吸着塔33および第4吸着塔34とすることによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアに含まれる水分、高次炭化水素等の高沸点不純物を、効率よく吸着除去することができる。
【0051】
本実施形態で用いるMS−3AおよびMS−13X等の合成ゼオライトからなる吸着剤は、加熱、減圧、加熱および減圧のいずれかの処理によって、吸着した不純物(水分および炭化水素)を脱離させて再生することができる。例えば、加熱処理によって吸着剤に吸着した不純物を脱離させる場合には、200〜350℃の温度下で加熱するようにすればよい。
【0052】
本実施形態のアンモニア精製システム100において、第1吸着塔31、第2吸着塔32、第3吸着塔33および第4吸着塔34は、温度が0〜60℃に制御され、圧力が0.1〜1.0MPaに制御される。第1吸着塔31、第2吸着塔32、第3吸着塔33および第4吸着塔34の温度が0℃未満の場合には、不純物の吸着除去時に発生する吸着熱を除去する冷却が必要となってエネルギ効率が低下するおそれがある。第1吸着塔31、第2吸着塔32、第3吸着塔33および第4吸着塔34の温度が60℃を超える場合には、吸着剤による不純物の吸着能が低下するおそれがある。また、第1吸着塔31、第2吸着塔32、第3吸着塔33および第4吸着塔34の圧力が0.1MPa未満の場合には、吸着剤による不純物の吸着能が低下するおそれがある。第1吸着塔31、第2吸着塔32、第3吸着塔33および第4吸着塔34の圧力が1.0MPaを超える場合には、一定圧力に維持するために多くのエネルギが必要となり、エネルギ効率が低下するおそれがある。
【0053】
また、第1吸着塔31、第2吸着塔32、第3吸着塔33および第4吸着塔34における線速度(リニアベロシティ)は、単位時間あたりに液体状のアンモニアを各吸着塔31,32,33,34に供給する量をNTPでのガス体積に換算し、各吸着塔31,32,33,34の空塔断面積で除算して求めた値の範囲が、0.01〜0.5m/秒であることが好ましい。線速度が0.01m/秒未満の場合には、不純物の吸着除去に長時間を要するので好ましくなく、線速度が0.5m/秒を超える場合には、不純物の吸着除去時に発生する吸着熱の除去が充分に行われずに、吸着剤による不純物の吸着能が低下するおそれがある。
【0054】
第2吸着塔32から導出されて第8配管88を流過する液体状のアンモニア、または、第4吸着塔34から導出されて第9配管89を流過する液体状のアンモニアは、分析部4に導入される。
【0055】
分析部4は、第2吸着塔32または第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアに含まれる不純物の濃度を分析する。本実施形態では、分析部4は、ガスクロマトグラフ分析装置(GC−PDD:パルス放電型検出器)である。ガスクロマトグラフ分析装置としては、例えば、GC−4000(ジーエルサイエンス株式会社製)を挙げることができる。本実施形態では、第2吸着塔32または第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアについて、分析部4でメタン濃度および酸素濃度を分析する。この分析部4による分析結果に基づいて、後述の気化器5は、第2吸着塔32または第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアを気化するときの気化率を設定する。
【0056】
第2吸着塔32から導出されて第10配管90に供給された液体状のアンモニア、または、第4吸着塔34から導出されて第10配管90に供給された液体状のアンモニアは、第10配管90を流過して気化器5に導入される。
【0057】
気化器5は、第2吸着塔32または第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアを、所定の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離することで、アンモニアよりも沸点の低い低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを得る。
【0058】
本実施形態では、気化器5は、分析部4による分析結果に基づいて、第2吸着塔32または第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアを、5〜20体積%の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離する。この場合には、第2吸着塔32または第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアの5〜20体積%が気相成分となり、80〜95体積%が液相成分となる。
【0059】
具体的には、気化器5は、分析部4による分析結果が、メタンおよび酸素の少なくともいずれか一方の濃度が30ppb未満である場合には気化率を5体積%に設定し、メタンおよび酸素の少なくともいずれか一方の濃度が30ppb以上50ppb未満である場合には気化率を10体積%に設定し、メタンおよび酸素の少なくともいずれか一方の濃度が50ppb以上100ppb未満である場合には気化率を15体積%に設定し、メタンおよび酸素の少なくともいずれか一方の濃度が100ppb以上である場合には気化率を20体積%に設定する。
【0060】
本実施形態のアンモニア精製システム100では、気化器5は、油分吸着塔2により油分が吸着除去され、高沸点不純物吸着部3により水分、高次炭化水素等の高沸点不純物が吸着除去された後の液体状のアンモニアを、所定の気化率で気化して気相成分と液相成分とに分離するので、メタン、エタン、プロパン等の低次炭化水素、および水素、窒素、酸素、アルゴン、一酸化炭素等の低沸点ガスなどの低沸点不純物を気相成分として分離除去し、液相成分として精製された液体アンモニアを得ることができる。そのため、本実施形態のアンモニア精製システム100では、従来技術のように還流を伴う蒸留を行うことなく、簡単化された方法でアンモニアを精製することができるとともに、エネルギの消費を抑制してアンモニアを効率的に精製することができる。
【0061】
また、気化器5における気化条件としては、第2吸着塔32または第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアが、所定の気化率で気化するような条件であれば限定されるものではなく、温度、圧力および時間を適宜設定すればよい。本実施形態では、気化器5は、第2吸着塔32または第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアを、−50〜30℃の温度下で気化して気相成分と液相成分とに分離するように構成されるのが好ましい。これによって、油分および高沸点不純物が吸着除去された後の液体状のアンモニアを効率よく気化して低沸点不純物が分離除去された液体アンモニアを得ることができるとともに、その液体アンモニアの純度を高めることができる。気化器5における液体状のアンモニアに対する気化時の温度が、−50℃未満である場合には、冷却するのに多くのエネルギを要するので好ましくなく、30℃を超える場合には、液相成分として得られる液体アンモニアに含まれてくる不純物濃度が高くなってくるので好ましくない。
【0062】
また、気化器5は、第2吸着塔32または第4吸着塔34から導出された液体状のアンモニアを、0.1〜1.0MPaの圧力下で気化して気相成分と液相成分とに分離するように構成されるのが好ましい。気化器5における液体状のアンモニアに対する気化時の圧力が、0.1MPa未満である場合には、アンモニアを気化させる温度が低くなるので、冷却するのに多くのエネルギが必要となって好ましくなく、1.0MPaを超える場合には、アンモニアを気化させる温度が高くなるので、液相成分として得られる液体アンモニアに含まれてくる不純物濃度が高くなって好ましくない。
【0063】
気化器5には、第11バルブ911が設けられた第11配管91と、第12バルブ921が設けられた第12配管92とが接続されている。なお、第12配管92は、気化器5と回収タンク6との間に接続される。
【0064】
気化器5において、気相成分としてアンモニアから分離除去された低沸点不純物は、第11バルブ911が開放された状態で、第11配管91を流過してシステム外部に排出される。また、気化器5において、液相成分として得られた液体アンモニアは、第12バルブ921が開放された状態で、第12配管92を流過して回収タンク6に供給される。
【0065】
回収タンク6は、気化器5で液相成分として得られた液体アンモニアを貯留する。この回収タンク6は、液体アンモニアとして貯留できるように、温度および圧力が一定条件で制御されるのが好ましい。
【0066】
図2は、本発明の第2実施形態に係るアンモニア精製システム200の構成を示す図である。本実施形態のアンモニア精製システム200は、前述のアンモニア精製システム100に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。アンモニア精製システム200は、高沸点不純物吸着部201の構成が、前述の高沸点不純物吸着部3の構成と異なること以外は、アンモニア精製システム100と同様である。
【0067】
アンモニア精製システム200に備えられる高沸点不純物吸着部201は、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアに含まれる、アンモニアよりも沸点の高い高沸点不純物を、合成ゼオライトからなる吸着剤により吸着除去する。本実施形態では、高沸点不純物吸着部201は、複数の吸着部である第1吸着塔2011、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013を含んで構成される。
【0068】
第1吸着塔2011、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013は、前述の第1吸着塔31と同様に構成される。具体的には、第1吸着塔2011では、MS−3Aが充填された第1吸着領域20111が塔頂部側に配置され、MS−13Xが充填された第2吸着領域20112が塔底部側に配置されている。第2吸着塔2012では、MS−3Aが充填された第1吸着領域20121が塔頂部側に配置され、MS−13Xが充填された第2吸着領域20122が塔底部側に配置されている。第3吸着塔2013では、MS−3Aが充填された第1吸着領域20131が塔頂部側に配置され、MS−13Xが充填された第2吸着領域20132が塔底部側に配置されている。
【0069】
また、本実施形態のアンモニア精製システム200において、第1吸着塔2011、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013は、温度が0〜60℃に制御され、圧力が0.1〜1.0MPaに制御される。第1吸着塔2011、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013の温度が0℃未満の場合には、不純物の吸着除去時に発生する吸着熱を除去する冷却が必要となってエネルギ効率が低下するおそれがある。第1吸着塔2011、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013の温度が60℃を超える場合には、吸着剤による不純物の吸着能が低下するおそれがある。また、第1吸着塔2011、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013の圧力が0.1MPa未満の場合には、吸着剤による不純物の吸着能が低下するおそれがある。第1吸着塔2011、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013の圧力が1.0MPaを超える場合には、一定圧力に維持するために多くのエネルギが必要となり、エネルギ効率が低下するおそれがある。
【0070】
また、第1吸着塔2011、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013における線速度(リニアベロシティ)は、単位時間あたりに液体状のアンモニアを各吸着塔2011,2012,2013に供給する量をNTPでのガス体積に換算し、各吸着塔2011,2012,2013の空塔断面積で除算して求めた値の範囲が、0.01〜0.5m/秒であることが好ましい。線速度が0.01m/秒未満の場合には、不純物の吸着除去に長時間を要するので好ましくなく、線速度が0.5m/秒を超える場合には、不純物の吸着除去時に発生する吸着熱の除去が充分に行われずに、吸着剤による不純物の吸着能が低下するおそれがある。
【0071】
そして、本実施形態では、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアが流過する第3配管83には、第3配管83から分岐する第13配管202、第14配管203および第15配管204が接続される。
【0072】
第13配管202は、第3配管83から分岐して第1吸着塔2011の塔頂部に接続される。この第13配管202には、第13配管202における流路を開放または閉鎖する第13バルブ2021が設けられている。第14配管203は、第3配管83から分岐して第2吸着塔2012の塔頂部に接続される。この第14配管203には、第14配管203における流路を開放または閉鎖する第14バルブ2031が設けられている。第15配管204は、第3配管83から分岐して第3吸着塔2013の塔頂部に接続される。この第15配管204には、第15配管204における流路を開放または閉鎖する第15バルブ2041が設けられている。
【0073】
また、第1吸着塔2011の塔底部には、第1吸着塔2011から導出された液体状のアンモニアが流過する第16配管205が接続される。この第16配管205には、第16配管205における流路を開放または閉鎖する第16バルブ2051が設けられている。第2吸着塔2012の塔底部には、第2吸着塔2012から導出された液体状のアンモニアが流過する第17配管206が接続される。この第17配管206には、第17配管206における流路を開放または閉鎖する第17バルブ2061が設けられている。第3吸着塔2013の塔底部には、第3吸着塔2013から導出された液体状のアンモニアが流過する第18配管207が接続される。この第18配管207には、第18配管207における流路を開放または閉鎖する第18バルブ2071が設けられている。
【0074】
また、第16配管205には、第16配管205から分岐する第19配管208が接続される。この第19配管208は、第16配管205から分岐して第14配管203に接続され、第1吸着塔2011から導出された液体状のアンモニアを、第2吸着塔2012に導入するための流路となる。第19配管208には、第19配管208における流路を開放または閉鎖する第19バルブ2081が設けられている。この第19配管208には、第19配管208から分岐する第20配管209が接続される。この第20配管209は、第19配管208から分岐して第15配管204に接続され、第1吸着塔2011から導出された液体状のアンモニアを、第3吸着塔2013に導入するための流路となる。第20配管209には、第20配管209における流路を開放または閉鎖する第20バルブ2091が設けられている。
【0075】
また、第17配管206には、第17配管206から分岐する第21配管210および第22配管211が接続される。第21配管210は、第17配管206から分岐して第13配管202に接続され、第2吸着塔2012から導出された液体状のアンモニアを、第1吸着塔2011に導入するための流路となる。第21配管210には、第21配管210における流路を開放または閉鎖する第21バルブ2101が設けられている。第22配管211は、第17配管206から分岐して第15配管204に接続され、第2吸着塔2012から導出された液体状のアンモニアを、第3吸着塔2013に導入するための流路となる。第22配管211には、第22配管211における流路を開放または閉鎖する第22バルブ2111が設けられている。
【0076】
また、第18配管207には、第18配管207から分岐する第23配管212が接続される。この第23配管212は、第18配管207から分岐して第13配管202に接続され、第3吸着塔2013から導出された液体状のアンモニアを、第1吸着塔2011に導入するための流路となる。第23配管212には、第23配管212における流路を開放または閉鎖する第23バルブ2121が設けられている。この第23配管212には、第23配管212から分岐する第24配管213が接続される。この第24配管213は、第23配管212から分岐して第14配管203に接続され、第3吸着塔2013から導出された液体状のアンモニアを、第2吸着塔2012に導入するための流路となる。第24配管213には、第24配管213における流路を開放または閉鎖する第24バルブ2131が設けられている。
【0077】
また、第16配管205、第17配管206および第18配管207において、液体状のアンモニアの流過方向下流側端部には、第25配管214が接続される。この第25配管214には、第1吸着塔2011、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013のいずれか1つの吸着塔から導出された液体状のアンモニアが供給される。そして、第25配管214には、第25配管214から分岐して分析部4に接続される第8配管88と、第25配管214から分岐して気化器5に接続される第10配管90とが設けられる。
【0078】
以上のように構成されるアンモニア精製システム200では、第1吸着塔2011、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013の接続について、以下の6つの接続パターンがある。
【0079】
第1の接続パターンは、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアを、第1吸着塔2011、第2吸着塔2012の順に通過させる接続パターンである。第1の接続パターンでは、第13バルブ2021、第17バルブ2061および第19バルブ2081を開放させ、第14バルブ2031、第15バルブ2041、第16バルブ2051、第18バルブ2071、第20バルブ2091、第21バルブ2101、第22バルブ2111、第23バルブ2121および第24バルブ2131を閉鎖させる。これによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアは、第13配管202を流過して第1吸着塔2011に導入され、第1吸着塔2011から導出された液体状のアンモニアは、第16配管205および第19配管208を流過して第2吸着塔2012に導入され、第2吸着塔2012から導出された液体状のアンモニアは、第17配管206を流過して第25配管214に供給され、この第25配管214から分析部4および気化器5に液体状のアンモニアが導入される。このような第1の接続パターンでは、液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、第1吸着塔2011および第2吸着塔2012で吸着除去することができるので、高沸点不純物に対する吸着除去能力を向上することができる。なお、第1の接続パターンでは、第3吸着塔2013における吸着除去動作は実行されないので、この第3吸着塔2013を再生処理することができる。
【0080】
第2の接続パターンは、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアを、第1吸着塔2011、第3吸着塔2013の順に通過させる接続パターンである。第2の接続パターンでは、第13バルブ2021、第18バルブ2071および第20バルブ2091を開放させ、第14バルブ2031、第15バルブ2041、第16バルブ2051、第17バルブ2061、第19バルブ2081、第21バルブ2101、第22バルブ2111、第23バルブ2121および第24バルブ2131を閉鎖させる。これによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアは、第13配管202を流過して第1吸着塔2011に導入され、第1吸着塔2011から導出された液体状のアンモニアは、第16配管205、第19配管208および第20配管209を流過して第3吸着塔2013に導入され、第3吸着塔2013から導出された液体状のアンモニアは、第18配管207を流過して第25配管214に供給され、この第25配管214から分析部4および気化器5に液体状のアンモニアが導入される。このような第2の接続パターンでは、液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、第1吸着塔2011および第3吸着塔2013で吸着除去することができるので、高沸点不純物に対する吸着除去能力を向上することができる。なお、第2の接続パターンでは、第2吸着塔2012における吸着除去動作は実行されないので、この第2吸着塔2012を再生処理することができる。
【0081】
第3の接続パターンは、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアを、第2吸着塔2012、第1吸着塔2011の順に通過させる接続パターンである。第3の接続パターンでは、第14バルブ2031、第16バルブ2051および第21バルブ2101を開放させ、第13バルブ2021、第15バルブ2041、第17バルブ2061、第18バルブ2071、第19バルブ2081、第20バルブ2091、第22バルブ2111、第23バルブ2121および第24バルブ2131を閉鎖させる。これによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアは、第14配管203を流過して第2吸着塔2012に導入され、第2吸着塔2012から導出された液体状のアンモニアは、第17配管206および第21配管210を流過して第1吸着塔2011に導入され、第1吸着塔2011から導出された液体状のアンモニアは、第16配管205を流過して第25配管214に供給され、この第25配管214から分析部4および気化器5に液体状のアンモニアが導入される。このような第3の接続パターンでは、液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、第1吸着塔2011および第2吸着塔2012で吸着除去することができるので、高沸点不純物に対する吸着除去能力を向上することができる。なお、第3の接続パターンでは、第3吸着塔2013における吸着除去動作は実行されないので、この第3吸着塔2013を再生処理することができる。
【0082】
第4の接続パターンは、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアを、第2吸着塔2012、第3吸着塔2013の順に通過させる接続パターンである。第4の接続パターンでは、第14バルブ2031、第18バルブ2071および第22バルブ2111を開放させ、第13バルブ2021、第15バルブ2041、第16バルブ2051、第17バルブ2061、第19バルブ2081、第20バルブ2091、第21バルブ2101、第23バルブ2121および第24バルブ2131を閉鎖させる。これによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアは、第14配管203を流過して第2吸着塔2012に導入され、第2吸着塔2012から導出された液体状のアンモニアは、第17配管206および第22配管211を流過して第3吸着塔2013に導入され、第3吸着塔2013から導出された液体状のアンモニアは、第18配管207を流過して第25配管214に供給され、この第25配管214から分析部4および気化器5に液体状のアンモニアが導入される。このような第4の接続パターンでは、液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013で吸着除去することができるので、高沸点不純物に対する吸着除去能力を向上することができる。なお、第4の接続パターンでは、第1吸着塔2011における吸着除去動作は実行されないので、この第1吸着塔2011を再生処理することができる。
【0083】
第5の接続パターンは、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアを、第3吸着塔2013、第1吸着塔2011の順に通過させる接続パターンである。第5の接続パターンでは、第15バルブ2041、第16バルブ2051および第23バルブ2121を開放させ、第13バルブ2021、第14バルブ2031、第17バルブ2061、第18バルブ2071、第19バルブ2081、第20バルブ2091、第21バルブ2101、第22バルブ2111および第24バルブ2131を閉鎖させる。これによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアは、第15配管204を流過して第3吸着塔2013に導入され、第3吸着塔2013から導出された液体状のアンモニアは、第18配管207および第23配管212を流過して第1吸着塔2011に導入され、第1吸着塔2011から導出された液体状のアンモニアは、第16配管205を流過して第25配管214に供給され、この第25配管214から分析部4および気化器5に液体状のアンモニアが導入される。このような第5の接続パターンでは、液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、第1吸着塔2011および第3吸着塔2013で吸着除去することができるので、高沸点不純物に対する吸着除去能力を向上することができる。なお、第5の接続パターンでは、第2吸着塔2012における吸着除去動作は実行されないので、この第2吸着塔2012を再生処理することができる。
【0084】
第6の接続パターンは、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアを、第3吸着塔2013、第2吸着塔2012の順に通過させる接続パターンである。第6の接続パターンでは、第15バルブ2041、第17バルブ2061および第24バルブ2131を開放させ、第13バルブ2021、第14バルブ2031、第16バルブ2051、第18バルブ2071、第19バルブ2081、第20バルブ2091、第21バルブ2101、第22バルブ2111および第23バルブ2121を閉鎖させる。これによって、油分吸着塔2から導出されてフィルタ7を通過した液体状のアンモニアは、第15配管204を流過して第3吸着塔2013に導入され、第3吸着塔2013から導出された液体状のアンモニアは、第18配管207、第23配管212および第24配管213を流過して第2吸着塔2012に導入され、第2吸着塔2012から導出された液体状のアンモニアは、第17配管206を流過して第25配管214に供給され、この第25配管214から分析部4および気化器5に液体状のアンモニアが導入される。このような第6の接続パターンでは、液体状のアンモニアに含まれる高沸点不純物を、第2吸着塔2012および第3吸着塔2013で吸着除去することができるので、高沸点不純物に対する吸着除去能力を向上することができる。なお、第6の接続パターンでは、第1吸着塔2011における吸着除去動作は実行されないので、この第1吸着塔2011を再生処理することができる。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0085】
1 貯留タンク
2 油分吸着塔
3 高沸点不純物吸着部
4 分析部
5 気化器
6 回収タンク
31,2011 第1吸着塔
32,2012 第2吸着塔
33,2013 第3吸着塔
34 第4吸着塔
100,200 アンモニア精製システム
311,321,331,341,20111,20121,20131 第1吸着領域
312,322,332,342,20112,20122,20132 第2吸着領域
図1
図2