(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の所定閾値は、設定点であり、前記ポンプ制御装置は、前記流体圧力が該設定点を下回っていることを前記圧力センサからの圧力測定結果が示す場合に、前記第1段階ポンプに、該流体により高い圧力を加えさせるようにさらに動作可能である、請求項1に記載のシステム。
1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体上に格納された一連のコンピュータ命令を備えるコンピュータプログラム製品であって、該一連のコンピュータ命令は、1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令をさらに備え、
第1段階ポンプの下流と流体連通した第2段階ポンプにおける流体の圧力を測定するよう構成された圧力センサからの圧力測定結果であって、前記第2段階ポンプの出口が閉じられているときの圧力測定結果を受信することと、
該圧力測定結果を第1の所定閾値と比較することと、
第2段階ポンプにおける前記流体の圧力が前記第1の所定閾値に達していることを該圧力センサからの圧力測定結果が示す場合に、第1段階ポンプに、流体により低い圧力を加えるように指示することと
を行う、コンピュータプログラム製品。
前記一連のコンピュータ命令は、前記第2段階ポンプにおける前記流体の圧力が第2の所定閾値を下回っていることを前記圧力センサからの圧力測定結果が示す場合に、前記第1段階ポンプに、前記流体により高い圧力を加えるように指示するように実行可能な命令をさらに備え、前記第1の所定閾値は、最大圧力閾値であり、該第2の所定閾値は、最小圧力閾値であり、該一連のコンピュータ命令は、前記流体圧力が設定点に達していることを該圧力センサからの圧力測定結果が示すときに、該第2段階ポンプのピストンを一定速度で収縮させるように指示するように実行可能な命令をさらに備える、請求項4に記載のコンピュータプログラム製品。
前記制御装置は、前記分注モータがホーム位置に達したときに、前記供給モータと該分注モータとを停止することを指示するようにさらに動作可能である、請求項7に記載の多段式分注ポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましい本発明の実施形態を図に例示し、同様の数表示は、種々の図面の同様の、および対応する部分を言及するために使用されている。
【0031】
本発明の実施形態は、ポンプを使用して流体を正確に分注するポンプシステムに関する。より具体的には、本発明の実施形態は、供給段階ポンプの制御を提供し、下流の分注段階ポンプにおける流体圧力を調整する。本発明の一実施形態によると、分注段階ポンプにおける圧力センサは、分注チャンバ内の圧力を測定する。圧力が所定閾値に達すると、分注段階ポンプは、所定の速度で分注チャンバの利用可能な容積の増加を開始し(例えば、ダイヤフラムを動かすことによって)、それによって分注チャンバ内の圧力を低下させることができる。分注チャンバ内の圧力が最小閾値(または、設定点)を下回る場合、供給段階ポンプの動作速度を加速し、それによって分注チャンバ内の圧力を上昇させることができる。圧力が最大圧力閾値(または、設定点)を上回る場合、供給ポンプの速度を減少させることができる。このように、上流の供給ポンプの速度を調整し、下流の分注ポンプ内の圧力を制御することができる。
【0032】
さらに、本発明の実施形態は、ポンプを使用して流体を正確に分注するポンプシステムに関する。より具体的には、本発明の実施形態は、ポンプの動作を監視するためのシステムおよび方法に関し、ポンプの動作または作用の確認または検証を含む。一実施形態によると、本発明は、ポンプからの流体の正確な分注、ポンプ内のフィルタの適切な動作等を検証するための方法を提供する。ポンプの1つ以上のパラメータに対する基準プロファイルを確立してもよい。次いで、ポンプの次の動作の間、同一のパラメータセットに対する1つ以上の値を記録することによって、動作プロファイルを生成してもよい。次いで、基準プロファイルおよび動作プロファイルの値は、1つ以上の時点または時点の集合において比較してもよい。動作プロファイルが一定の許容値を超えて基準プロファイルと異なる場合、警告を送信する、または別の措置を講じてもよく、例えば、ポンプシステムを終了してもよい。
【0033】
これらのシステムおよび方法は、ポンプの動作および作用に関する種々の問題を検出するために使用されてもよい。例えば、1つ以上の時点における基準圧力と、ポンプの動作中に測定された圧力プロファイルの1つ以上の時点とを比較することによって、不適切な分注が検出され得る。同様に、ポンプの1つ以上の動作段階の間のモータの動作速度と、このモータに対する動作の基準速度とを比較することによって、ポンプ内のフィルタの目詰まりが検出され得る。本発明のシステムおよび方法に対するこれらおよび他の使用は、以下の開示を検討後、明白となるであろう。
【0034】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明の種々の実施形態で利用され得るポンプまたはポンプシステムの例示的実施形態を記載することは有用となり得る。
図1は、ポンプシステム10の図である。ポンプシステム10は、流体源15と、ポンプ制御装置20と、多段式ポンプ100とを含み、ウエハ25上へ流体を分注するために恊働することができる。多段式ポンプ100の動作は、多段式ポンプ100に内蔵される、または制御信号、データもしくは他の情報を通信するための1つ以上の通信リンクを介して、多段式ポンプ100に接続されることが可能なポンプ制御装置20によって制御することができる。ポンプ制御装置20は、多段式ポンプ100の動作を制御するための制御命令30一式を包含するコンピュータ可読の媒体27(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、光ディスク、磁気ドライブまたは他のコンピュータ可読の媒体)を含むことができる。プロセッサ35(例えば、CPU、ASIC、RISC、DSPまたは他のプロセッサ)は、命令を実行することができる。プロセッサの一例は、Texas Instruments TMS320F2812PGFA 16-bit DSP(Texas Instruments は、テキサス州ダラスを本拠地とする企業である)である。
図1の実施形態では、制御装置20は、通信リンク40および45を介して多段式ポンプ100と通信する。通信リンク40および45は、ネットワーク(例えば、Ethernet(登録商標)、無線ネットワーク、グローバルエリアネットワーク、DeviceNet ネットワークまたは当技術分野で既知または開発された他のネットワーク)、バス(例えば、SCSIバス)または他の通信リンクであってもよい。制御装置20は、内蔵PCB基板として、遠隔制御装置として、または他の適切な方法で実装することができる。ポンプ制御装置20は、適切なインターフェース(例えば、ネットワークインターフェース、入出力インターフェース、アナログデジタル変換器および他の構成要素)を含むことによって、多段式ポンプ100と通信可能となる。ポンプ制御装置20は、プロセッサ、記憶装置、インターフェース、表示デバイス、周辺機器、または簡単にするために示さないが他のコンピュータ構成要素を含み、当技術分野で既知の種々のコンピュータ構成要素を含むことが
できる。ポンプ制御装置20は、多段式ポンプ内の種々の弁およびモータを制御することができ、多段式ポンプに、低粘性流体または他の流体を含む流体を正確に分注させる。また、ポンプ制御装置20は、本明細書に記載のシステムおよび方法の実施形態を実装するよう動作し得る命令を実行してもよい。
【0035】
図2は、多段式ポンプ100の図である。多段式ポンプ100には、供給段階部分105および別個の分注段階部分110が含まれる。不純物をプロセス流体から濾過するために、流体の流れの観点から、フィルタ120は、供給段階部分105と分注段階部分110との間に位置する。例えば、入口弁125、隔離弁130、遮断弁135、パージ弁140、排出弁145、および出口弁147を含む、多数の弁によって、多段式ポンプ100を通る流体の流れを制御することができる。分注段階部分110は、分注段階110で流体圧力を測定することができる圧力センサ112をさらに含むことができる。圧力センサ112によって測定された圧力は、以下に記載するように種々のポンプの速度を制御するために使用することができる。圧力センサの例には、ドイツ、コルブのMetallux AG製のものを含み、セラミックおよびポリマーのピエゾ抵抗および容量性圧力センサが含まれる。他の圧力センサを使用することも可能であり、圧力センサは、分注段階チャンバに加え、あるいはその代わりに、供給段階チャンバ内の圧力を読み取るように配置されることができる。
【0036】
供給段階105および分注段階110は、多段式ポンプ100内の流体をポンプで汲み上げるために、回転ダイヤフラムポンプを含むことができる。供給段階ポンプ150(「供給ポンプ150」)は、例えば、流体を回収するための供給チャンバ155と、供給チャンバ155内で動き、流体を分注するための供給段階ダイヤフラム160と、供給段階ダイヤフラム160を動かすピストン165と、送りネジ170と、ステッピングモータ175とを含む。送りネジ170は、ナット、ギア、またはモータから送りネジ170へエネルギを伝えるための他の機構を通してステッピングモータ175に結合する。一実施形態によると、供給モータ170はナットを回転させ、それによって、送りネジ170が回転され、ピストン165を作動させる。同様に、分注段階ポンプ180(「分注ポンプ180」)は、分注チャンバ185と、分注段階ダイヤフラム190と、ピストン192と、送りネジ195と、分注モータ200とを含むことができる。他の実施形態によると、供給段階105および分注段階110は、空気圧または液圧によって作動するポンプ、液圧ポンプまたは他のポンプを含む、種々の他のポンプであってもよい。供給段階用の空気圧によって作動するポンプ、およびステッピングモータ駆動の液圧ポンプを使用した多段式ポンプの一例は、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/051,576号に記載されている。
【0037】
供給モータ175および分注モータ200は、任意の適切なモータであってもよい。一実施形態によると、分注モータ200は、永久磁石同期モータ(「PMSM」)である。PMSMは、モータ200、多段式ポンプ100内蔵の制御装置、または別個のポンプ制御装置(例えば、
図1に示すような)で、フィールドオリエンティッド制御(「FOC」)または当技術分野で既知の他の型の位置/速度制御部を利用するデジタルシグナルプロセッサ(「DSP」)によって制御することができる。さらに、PMSM200は、分注モータ200の位置の即時フィードバックのためのエンコーダ(例えば、細線回転式位置エンコーダ)をさらに含むことが可能である。位置センサを使用すると、ピストン192の位置の正確で反復可能な制御が得られ、ひいては分注チャンバ185内での流体運動に正確で反復可能な制御をもたらす。例えば、一実施形態に従い、DSPに8000パルスをもたらす2000ラインエンコーダを使用して、0.045度の回転で正確に測定し、制御することが可能となる。さらに、PMSMは、振動がほとんどまたは全くない状態の低速で駆動することができる。さらに、供給モータ175は、PMSMまたはステッピングモータであってもよい。本発明の一実施形態によると、供給段階モータ175は、ステッピングモータ(部品番号L1LAB−005)であって、分注段階モータ200は、ブラシレスDCモータ(部品番号DA23DBBL−13E17A)であってもよく、両方とも米国ニューハンプシャー州 EAD Motors of Dover から入手可能である。
【0038】
多段式ポンプ100の弁は、多段式ポンプ100の種々の部分に流体の流れを許容または制限するために開閉する。一実施形態によると、これらの弁は、圧力または真空が印加されるか否かに応じて開閉する、空気圧によって作動する(すなわち、ガスで駆動)ダイヤフラム弁であってもよい。しかしながら、他の本発明の実施形態では、任意の適切な弁を使用することができる。
【0039】
動作において、多段式ポンプ100は、準備完了区分、分注区分、充填区分、前濾過区分、濾過区分、排出区分、パージ区分および静的パージ区分を含むことができる。供給区分の間には、入口弁125は開状態となり、供給段階ポンプ150は、供給段階ダイヤフラム160を動かし(例えば、引く)、流体を供給チャンバ155の中に汲み上げる。十分な量の流体が供給チャンバ155に充満されると、入口弁125は閉状態となる。濾過区分の間には、供給段階ポンプ150は供給段階ダイヤフラム160を動かし、供給チャンバ155から流体を排出する。隔離弁130および遮断弁135は開状態となり、流体はフィルタ120を通って分注チャンバ185へ流れることが可能となる。一実施形態によると、最初に隔離弁130が開状態となることができ(例えば、「前濾過区分」において)、圧力をフィルタ120内で高めることが可能となり、その後、遮断弁135が開状態となり、分注チャンバ185の中への流体の流れが可能となる。濾過区分の間には、分注ポンプ180は、定位置に持って来ることができる。両方とも参照することによって本明細書に組み込まれる、「System and Method for a Variable Home Position System」の名称で、Laverdiere らが2004年11月23日に出願した米国仮特許出願第60/630,384号および「System and Method for Variable Home Position Dispense System」の名称で、Laverdiere らが2005年11月21日に出願した国際出願第PCT/US2005/042127号に記載されるように、分注ポンプのホーム位置は、分注サイクルに対して分注ポンプでの利用可能な最大量をもたらすが、分注ポンプが提供できる利用可能な最大限の量に満たない位置であってもよい。定位置は、多段式ポンプ100の未使用の保持量を減少させるために分注サイクルに対する種々のパラメータに基づき選択される。同様に、供給ポンプ150は、利用可能な最大限の量に満たない量を提供する定位置に持って来ることができる。
【0040】
流体の分注チャンバ185への流入に伴って、流体の圧力は増加する。本発明の一実施形態によると、分注チャンバ185内の流体圧力が所定の圧力設定点(例えば、圧力センサ112によって測定)に達すると、分注段階ポンプ180は、分注段階ダイヤフラム190の撤収を開始する。言い換えると、分注段階ポンプ180は、分注チャンバ185の利用可能な容積を増加し、流体を分注チャンバ185内へ流入させる。これは、例えば、分注モータ200を所定の速度で反転させ、分注チャンバ185内の圧力を低下させることによってなされ得る。分注チャンバ185内の圧力が設定点(システムの許容値内)を下回る場合、供給モータ175の速度が増加させられ、分注チャンバ185内の圧力が設定点に達するようになされる。圧力が設定点(システムの許容値内)を上回る場合、供給ステッピングモータ175の速度は減少させられ、下流の分注チャンバ185内の圧力を低下するようになされる。供給段階モータ175の速度の加減プロセスは、定位置に分注段階ポンプが達するまで繰り返すことができ、両モータは、そこで停止可能となる。
【0041】
別の実施形態によると、濾過区分の間の第1段階モータ速度は、「不動帯」制御方式を使用して制御することができる。分注チャンバ185内の圧力が最初の閾値に達すると、分注段階ポンプは、分注段階ダイヤフラム190を動かし、流体をより大量に分注チャンバ185内へ流入させることができ、それによって分注チャンバ185内の圧力を低下させる。圧力が最小圧力閾値を下回る場合、供給段階モータ175の速度が増加させられ、分注チャンバ185内の圧力を増加させる。分注チャンバ185内の圧力が最大圧力閾値を上回る場合、供給段階モータ175の速度は減少させられる。再び、供給段階モータ175の速度の加減プロセスは、定位置に分注段階ポンプが達するまで繰り返すことができる。
【0042】
排出区分の始まりでは、隔離弁130は開状態となり、遮断弁135は閉状態となり、また排出弁145は開状態となる。他の実施形態では、遮断弁135は、排出区分の間には開状態を維持し、排出区分の終わりで閉状態となることができる。この間に、遮断弁135が開状態である場合、圧力センサ112によって測定することができる、分注チャンバ内の圧力が、フィルタ120内の圧力によって作用されるので、圧力は、制御装置によって認識されることができる。供給段階ポンプ150は、流体に圧力を加え、フィルタ120から開状態の排出弁145を通して気泡を除去する。供給段階ポンプ150を制御し、所定の速度で排出を生じさせることができ、より長い排出時間およびより低速での排出が可能になり、それによって排出廃棄量の正確な制御が可能となる。供給ポンプが空気圧式ポンプである場合は、流体の流れの制限は、排出流体路内で行うことができ、供給ポンプに印加される空気圧は、「排出」設定点圧力を維持するために増減することができ
、非制御方法
であったものにいくつかの制御をもたらす。
【0043】
パージ区分の始まりでは、隔離弁130は閉状態、遮断弁135は、排出区分で開状態の場合には閉状態、排出弁145は閉状態、パージ弁140は開状態、および入口弁125は開状態となる。分注ポンプ180は、分注チャンバ185内の流体に圧力を加え、パージ弁140を通して気泡を排出する。静的パージ区分の間には、分注ポンプ180は停止するが、パージ弁140は開状態を維持し、継続して空気を排出する。パージ区分または静的パージ区分の間に除去された過剰ないかなる流体も、多段式ポンプ100から送出される(例えば、流体源へ戻るもしくは廃棄される)、または供給段階ポンプ150へ再循環させることができる。準備完了区分の間には、隔離弁130および遮断弁135は開状態となり、またパージ弁140は閉状態となることができるので、供給段階ポンプ150は、流体源(例えば、流体源ボトル)の周囲圧力に達することができる。他の実施形態によると、すべての弁は、準備完了区分では閉状態であってもよい。
【0044】
分注区分の間には、出口弁147は開状態となり、また分注ポンプ180は、分注チャンバ185内の流体に圧力を印加する。出口弁147は、分注ポンプ180よりも制御に対する反応が遅い場合があるので、出口弁147は最初に開状態となり、所定の時間が経過すると、分注モータ200が起動する。これによって、分注ポンプ180が部分的に開放された出口弁147へ流体を押し入れることを防止する。さらに、これによって、弁開口部によってもたらされる、流体の分注ノズル上昇、続いてモータ作用によって生じる前方への流体の動きを防止する。他の実施形態では、出口弁147は開状態となり、同時に分注ポンプ180によって分注を開始することができる。
【0045】
さらなる吸液区分は、分注ノズル内の過剰な流体を除去する際に行うことができる。吸液区分の間には、出口弁147は閉状態となることができ、二次的なモータまたは真空部は、出口ノズルから過剰な流体を吸い取るために使用することができる。さらに、出口弁147は開状態を維持することができ、また分注モータ200は、流体を分注チャンバの中へ吸い戻すために反転させることができる。吸液区分は、過剰な流体がウエハ上に滴下しないように助ける。
【0046】
図3を簡単に参照すると、この図は、
図1の多段式ポンプ100の動作の種々の区分に対する弁および分注モータのタイミング図を提供している。いくつかの弁が、区分が変化する間に同時に閉状態として図示されているが、弁の閉状態は、圧力スパイクを軽減するために、時刻が若干ずれている(例えば、100ミリ秒)。例えば、排出区分およびパージ区分の間では、隔離弁130は、排出弁145の直前に閉状態となることができる。しかしながら、他の弁のタイミングも、種々の本発明の実施形態において利用できることが留意されるべきである。さらに、区分のうちのいくつかは、一緒に行うことができる(例えば、充填/分注ステージは、入口および出口弁の両方が、分注/充填区分で開状態となることができる場合に、同時に行うことができる)。特定の区分は、それぞれのサイクルで反復される必要がないことにさらに留意されるべきである。例えば、パージ区分または静的パージ区分は、すべてのサイクルで行われない場合がある。同様に、排出区分は、すべてのサイクルで行われない場合がある。
【0047】
種々の弁の開閉は、流体に圧力スパイクを引き起こす可能性がある。例えば、静的パージ区分の終わりでパージ弁140を閉状態にすると、分注チャンバ185内で圧力の上昇を引き起こす可能がある。それぞれの弁は、閉状態となるとき少量の流体を排出する可能性があるため、これが起こり得る。例えば、パージ弁140は、閉状態となるとき分注チャンバ185内へ少量の流体を排出する可能性がある。パージ弁140の閉鎖によって圧力上昇が生じると、出口弁147が閉鎖されるため、圧力が低下しない場合は、ウエハ上への流体の「吐出」が、その後の分注区分の間に起こることがある。静的パージ区分、または付加的区分の間のこの圧力を開放するため、分注モータ200を反転させ、ピストン192を所定の距離後退させ、遮断弁135および/またはパージ弁140の閉鎖によって生じた圧力上昇を補正してもよい。
【0048】
圧力スパイクは、パージ弁140だけではなく、他の弁の閉鎖(または、開放)によっても生じ得る。前記準備完了区分の間、分注チャンバ185内の圧力は、ダイヤフラムの特性、温度、または他の要因に基づいて変化し得ることはさらに留意されたい。分注モータ200は、この圧力変動を補正するために制御することができる。
【0049】
このようにして、本発明の実施形態は、緩徐な流体操作を特徴とする多段式ポンプを提供する。供給ポンプの動作を制御することによって、分注ポンプにおける圧力センサからの即時フィードバックに基づいて、潜在的に損傷を及ぼし得る圧力スパイクを回避することができる。さらに、本発明の実施形態は、プロセス流体上への圧力の悪影響を緩和するのに役立つ他のポンプ制御機構および弁のタイミングを用いることができる。
【0050】
図4は、多段式ポンプ100のためのポンプアセンブリの一実施形態の図である。多段式ポンプ100は、多段式ポンプ100を通して種々の流体流路を画定する分注ブロック205を含むことができる。一実施形態によると、分注ポンプブロック205は、PTFE、修飾PTFEまたは他の材料から成る単一ブロックであってもよい。これらの材料は、多くのプロセス流体と反応しない、または反応性が少ないので、これらの材料を使用すると、流通路およびポンプチャンバは、最低限のハードウェアの追加をもって分注ブロック205に直接機械加工することができる。ひいては、分注ブロック205は、一体型流体マニホールドを提供することによって、パイピングの必要性を軽減する。
【0051】
分注ブロック205は、例えば、流体を受ける入口210、排出区分の間に流体を排出するための排出出口215、および流体が分注区分の間に分注される分注出口220を含み、種々の外部入口および外部出口を含むことができる。
図4の例では、パージされた流体は、供給チャンバに送り戻されるので(
図5Aおよび
図5Bに示す)、分注ブロック205は、外部パージ出口を含まない。しかしながら、他の本発明の実施形態では、流体は、外部から空抜きすることができる。
【0052】
分注ブロック205は、供給ポンプと、分注ポンプと、フィルタ120とへ流体を送る。ポンプカバー225は、供給モータ175および分注モータ200を損傷から保護することができるが、ピストンハウジング227は、ピストン165およびピストン192を保護することができる。弁板230は、流体の流れを多段式ポンプ100の種々の構成要素に誘導するように構成することができる弁システム(例えば、
図2の入口弁125、隔離弁130、遮断弁135、パージ弁140、および排出弁145)のための弁ハウジングを提供する。一実施形態によると、入口弁125、隔離弁130、遮断弁135、パージ弁140、および排出弁145のそれぞれは、弁板230に少なくとも部分的に統合され、対応するダイヤフラムに圧力または真空を印加するか否か、出口弁147が分注ブロック205の外部であるか否かに応じて開状態または閉状態となるダイヤフラム弁である。各弁に対し、PTFE、修飾PTFE、組成物、または他の材料のダイヤフラムが、弁板230と分注ブロック205との間に挟入される。弁板230は、それぞれの弁のための弁制御入口を含み、対応するダイヤフラムに圧力または真空を印加する。例えば、入口235は遮断弁135に、入口240はパージ弁140に、入口245は隔離弁130に、入口250は排出弁145に、入口255は入口弁125に対応する。入口へ圧力または真空を選択的に印加することによって、対応する弁は、開状態および閉状態となる。
【0053】
弁制御ガスおよび真空は、弁制御マニホールド(カバー263の下の領域に位置する)から分注ブロック205を通って弁板230へ達する、弁制御供給管路260を介して弁板230に提供される。弁制御ガス供給入口265は、加圧ガスを弁制御マニホールドに提供し、真空入口270は、真空(または低圧力)を弁制御マニホールドに提供する。弁制御マニホールドは、対応する弁を作動させるために、供給管路260を介して弁板230の適切な入口に加圧ガスまたは真空を送る三方弁の役割をする。
【0054】
図5Aは、そこに画定される流体の流れの通路を示すために透明にされる分注ブロック205を有する多段式ポンプ100の一実施形態の図である。分注ブロック205は、多段式ポンプ100のための種々のチャンバおよび流体流路を画定する。一実施形態によると、供給チャンバ155および分注チャンバ185は、分注ブロック205に直接機械加工することができる。さらに、種々の流路は、分注ブロック205に機械加工することができる。流体流路275(
図5Cに示す)は、入口210から入口弁に達する。流体流路280は、入口弁から供給チャンバ155へ達し、入口210から供給ポンプ150へのポンプ入口路を終了する。弁ハウジング230内の入口弁125は、入口210と供給ポンプ150との間の流れを調節する。流通路285は、弁板230内で供給ポンプ150から隔離弁130へ流体を送る。隔離弁130からの流出は、他の流通路(図示せず)によってフィルタ120へ送られる。流体は、フィルタ120から、フィルタ120を排出弁145および遮断弁135に接続する流通路を通って流れる。排出弁145からの流出は、排出出口215へ送られ、遮断弁135からの流出は、流通路290を介して分注ポンプ180へ送られる。分注ポンプは、分注区分の間では、流通路295を介して出口220へ、またはパージ区分の間では、流通路300を通ってパージ弁へ流体を流出することができる。パージ区分の間では、流体は、流通路305を通って供給ポンプ150に戻ることができる。流体流路は、PTFE(または他の材料)ブロック内に直接形成することができるので、分注ブロック205は、多段式ポンプ100の種々の部品の間のプロセス流体のためのパイピング、さらなる管類の必要性を除去または軽減する役割をすることができる。他の場合には、管類は、流体流路を画定するために、分注ブロック205に挿入することができる。
図5Bは、一実施形態による、流通路のうちのいくつかを示すために透明にされた分注ブロック205の図を提供する。
【0055】
図5Aは、供給段階モータ190を含む供給ポンプ150と、分注モータ200を含む分注ポンプ180と、弁制御マニホールド302とを表示するためにポンプカバー225および上蓋263を外した状態の多段式ポンプ100をさらに示す。本発明の一実施形態によると、供給ポンプ150、分注ポンプ180および弁板230の一部分は、分注ブロック205内の対応する空洞に挿入される棒(例えば、金属棒)を使用して、分注ブロック205に結合することができる。それぞれの棒は、ネジを受けるための1つ以上のネジ穴を含むことができる。一例として、分注モータ200およびピストンハウジング227は、棒285内の対応する穴に螺入するために、分注ブロック205内のネジ穴を通って達する1つ以上のネジ(例えば、ネジ275およびネジ280)によって分注ブロック205に取り付けることができる。構成要素を分注ブロック205に結合するためにこの機構は、例証として提供され、任意の適切な添着機構を使用できることが留意されるべきである。
【0056】
図5Cは、弁板230へ圧力または真空を印加するための供給管路260を示す多段式ポンプ100の図である。
図4と併せて論じたように、弁板230内の弁は、流体が多段式ポンプ100の種々の構成要素に流れるように構成することができる。弁の作動は、それぞれの供給管路260に圧力か、または真空を誘導する弁制御マニホールド302によって制御される。それぞれの供給管路260は、小さな開口部(すなわち、制約)を有する取付部品(取付部品の例は318に示す)を含むことができる。それぞれの供給管路内の開口部は、供給管路へ圧力および真空を印加する間の急激な圧力差の作用を軽減するのに役立つ。これにより、弁は、より円滑に開閉できる。
【0057】
図6は、多段式ポンプ100の一実施形態の部分的アセンブリを例示する図である。
図6では、弁板230は、上記のように、分注ブロック205に既に結合されている。供給段階ポンプ150については、送りネジ170を有するダイヤフラム160は、供給チャンバ155の中に挿入することができるが、分注ポンプ180については、送りネジ195を有するダイヤフラム190は、分注チャンバ185の中に挿入することができる。ピストンハウジング227は、それを通して達する送りネジを有する供給および分注チャンバ上に設置される。分注モータ200は送りネジ195に結合し、回転雌ネジ式ナットを通して送りネジ195に直線運動を伝えることができる。同様に、供給モータ175は送りネジ170に結合され、回転雌ネジ式ナットを通して送りネジ170に直線運動を伝えることができる。スペーサ319は、ピストンハウジング227から分注モータ200をオフセットするために使用することができる。図示している実施形態のネジは、
図5に併せて記載するように、分注ブロック205に挿入されるネジ穴を有する棒を使用して、供給モータ175および分注モータ200を多段式ポンプ100に添着する。例えば、ネジ315は、棒320内のネジ穴にネジ山をつけることができ、ネジ325は、供給モータ175を結合する棒330内のネジ穴にネジ山をつけることができる。
【0058】
図7は、多段式ポンプ100の一実施形態の部分的アセンブリをさらに例示する図である。
図7は、分注ブロック205にフィルタ取付部品335、340および345を加えるところを例示する。ナット350、355、360は、フィルタ取付部品335、340、345を保持するために使用することができる。任意の適切な取付部品を使用することができ、例示されている取付部品は、一例として提供されることが留意されるべきである。それぞれのフィルタ取付部品は、供給チャンバ、排出出口または分注チャンバへの流通路のうちの1つへ(すべて弁板230を介して)通じる。圧力センサ112は、圧力が分注チャンバ185に触れる面を察知する状態で、分注ブロック205の中に挿入することができる。Oリング365は、圧力センサ112の分注チャンバ185との接合部分を密閉する。圧力センサ112は、ナット367によって適所に確実に保持される。弁制御マニホールド302は、ピストンハウジング227に螺入することができる。弁制御管路(図示せず)は、弁制御マニホールド302の出口から分注ブロック205の開口部375中に、そして分注ブロック205の上部を出て弁板230(
図4に示す)に達する。
【0059】
さらに、
図7は、ポンプ制御装置(例えば、
図1のポンプ制御装置20)と通信するためのいくつかのインターフェースを例示する。圧力センサ112は、1つ以上のワイヤ(380に表す)を介して制御装置20に圧力測定値を通信する。分注モータ200は、分注モータ200を動かすポンプ制御装置20から信号を受信するモータ制御インターフェース205を含む。さらに、分注モータ200は、位置情報(例えば、位置管路エンコーダ)を含み、情報をポンプ制御装置20に通信することができる。同様に、供給モータ175は、ポンプ制御装置20からの制御信号を受信し、またポンプ制御装置20に情報を通信する通信インターフェース390を含むことができる。
【0060】
図8Aは、分注ブロック205、弁板230、ピストンハウジング227、送りネジ170および送りネジ195を含む、多段式ポンプ100の一部分の側面図を例示する。
図8Bは、分注ブロック205、分注チャンバ185、ピストンハウジング227、送りネジ195、ピストン192および分注ダイヤフラム190を示す、
図8Aの断面図を例示する。
図8Bに示すように、分注チャンバ185は、分注ブロック205によって少なくとも部分的に画定することができる。送りネジ195が作動するにつれて、ピストン192は、分注ダイヤフラム190を移動させるために上方(
図8Bに示す配列に対して)に動かすことができ、それによって、出口流通路295を介して分注チャンバ185内の流体をチャンバから流出させる。
図8Cは、
図8Bの細部Bを示す。
図8Cに示す実施形態では、分注ダイヤフラム190は、分注ブロック200内のグローブ400に嵌着するトング395を含む。このようにして、本実施形態では、分注ダイヤフラム190の端縁部は、ピストンハウジング227と分注ブロック205との間で密閉される。一実施形態によると、分注ポンプおよび/または供給ポンプ150は、回転ダイヤフラムポンプであってもよい。
【0061】
図1〜
図8Cと併せて記載した多段式ポンプ100は、一例として提供されているが、限定されるものではなく、本発明の実施形態は、他の多段式ポンプの構成として実践することができることが留意されるべきである。
【0062】
上述のように、本発明の実施形態は、多段式ポンプ(例えば、多段式ポンプ100)動作の濾過区分の間、圧力制御を提供することができる。
図9は、濾過区分の間、圧力を制御するための方法の一実施形態を示す工程図である。
図9の方法は、多段式ポンプを制御するようにプロセッサによって実行可能である、コンピュータ可読媒体上に格納されたソフトウェア命令を使用して、実装することができる。濾過区分の開始時、モータ175は、所定の速度で供給チャンバ155から流体の押出を開始し(ステップ405)、流体を分注チャンバ185に流入させる。分注チャンバ185内の圧力が所定の設定点(ステップ410で圧力センサ112によって測定される)に達すると、分注モータは、ピストン192およびダイヤフラム190を縮退するように動作を開始する(ステップ415)。分注モータは、一実施形態によると、所定の速度でピストン165を縮退することができる。このように、分注ポンプ180は、分注チャンバ185内の流体のために利用可能な容積を増やし、それによって流体の圧力を低下させる。
【0063】
圧力センサ112は、分注チャンバ185内の流体圧力を継続的に監視する(ステップ420)。圧力が設定点またはそれを上回る場合、供給段階モータ175が減少した速度で作動(ステップ425)、または供給モータ175が増加した速度で作動する(ステップ430)。分注チャンバ185における即時圧力に基づく供給段階モータ175の速度の加減プロセスは、分注ポンプ180が定位置(ステップ435において測定)に達するまで継続することができる。分注ポンプ180が定位置に達すると、供給段階モータ175および分注段階モータ200は停止することができる。
【0064】
分注ポンプ180がその定位置に達したか否かは、種々の方法で判断できる。例えば、「System and Method for a Variable Home Position Dispense System」の名称で、Laverdiere らが2004年11月23日に出願した米国仮特許出願第60/630,384号、および「System and Method for a Variable Home Position Dispense System」の名称で Laverdiere らが2005年11月21日に出願した国際特許出願第PCT/US2005/042127号(参照することによって完全に本明細書に組み込まれる)に記載されるように、これは、送りネジ195、したがってダイヤフラム190の位置を測定する定位置センサによってなされることができる。他の実施形態では、分注段階モータ200は、ステッピングモータであってもよい。この場合、分注ポンプ180がその定位置にあるか否かは、モータのステップを数えることによって判断することができる。これは、各ステップが、ダイヤフラム190を特定量を移動するためである。
図9のステップは、必要または所望に応じて、繰り返すことができる。
【0065】
図10は、本発明の一実施形態による、多段式ポンプを作動するための分注チャンバ185における圧力プロファイルを示す。時点440において、分注が開始され、分注ポンプ180が流体を出口へ押し出す。時点445において、分注が終了する。分注ポンプ180は、典型的には本区分に関与していないため、分注チャンバ185における圧力は、充填区分の間ほぼ一定のままである。時点450において、濾過区分が開始され、供給段階モータ175が所定速度で前進し、供給チャンバ155から流体を押し出す。
図10から分かるように、分注チャンバ185内の圧力は、上昇し始め、時点455で所定の設定点に達する。分注チャンバ185内の圧力が設定点に達すると、分注モータ200は、一定の速度で反転し、分注チャンバ185内の利用可能な容積を増加させる。時点455と時点460との間の圧力プロファイルの比較的平らな部分では、供給モータ175の速度は、圧力が設定点以下に減少すると増加し、設定点に達すると低下する。これによって、分注チャンバ185内の圧力はほぼ一定の圧力に保たれる。時点460において、分注モータ200がその定位置に達すると、濾過区分は終了する。時点460の急激な圧力スパイクは、濾過終了時の遮断弁135の閉鎖によって生じる。
【0066】
図9および10に関連して記載された制御方式は、単一の設定点を使用する。しかしながら、他の本発明の実施形態では、最小および最大圧力閾値を使用できる。
図11は、最小および最大圧力閾値を使用する方法の一実施形態を示す工程図である。
図11の方法は、多段式ポンプを制御するようにプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読媒体上に格納された、ソフトウェア命令を使用して実装することができる。濾過区分の開始時、モータ175が、所定の速度で供給チャンバ155から流体の押出を開始し(ステップ470)、流体を分注チャンバ185に流入させる。分注チャンバ185内の圧力が最初の閾値に達すると(判断ステップ480において、圧力センサ112からの測定結果によって)、分注モータは、ピストン192およびダイヤフラム190を縮退するよう動作を開始する(ステップ485)。この最初の閾値は、最大または最小閾値のいずれかと同一または異なってもよい。分注モータは、一実施形態によると、所定の速度でピストン165を縮退することができる。このように、分注ポンプ180は縮退し、分注チャンバ185内の流体のための利用可能な容積を増加させ、それによって流体の圧力を低下させる。
【0067】
圧力センサ112は、分注チャンバ185内の流体圧力を継続的に監視する(ステップ490)。圧力が最大圧力閾値に達する場合、供給段階モータ175は、所定の速度で作動する(ステップ495)。圧力が最小圧力閾値を下回る場合、供給段階モータ175は、増加した速度で作動する(ステップ500)。分注チャンバ185における圧力に基づく供給段階モータ175の速度の加減プロセスは、分注ポンプ180が定位置(ステップ505において測定)に達するまで継続することができる。分注ポンプ180が定位置に達すると、供給段階モータ175および分注段階モータ200は、停止することができる。再び、
図11のステップは、必要または所望に応じて繰り返すことができる。
【0068】
このように、本発明の実施形態は、供給ポンプによって流体に印加される圧力を制御することによって、分注ポンプ180における圧力を制御するための機構を提供する。分注ポンプ180における圧力が所定閾値(例えば、設定点または最大圧力閾値)に達すると、供給段階ポンプ150の速度を減少させることができる。分注ポンプ180における圧力が所定閾値(例えば、設定点または最小圧力閾値)を下回る場合、供給段階ポンプ150の速度を増加させることができる。本発明の一実施形態によると、供給段階モータ175は、分注チャンバ185における圧力に応じて、所定の速度間を循環することができる。他の実施形態では、供給段階モータ175の速度は、分注チャンバ185内の圧力が所定閾値(例えば、設定点または最大圧力閾値)を上回る場合、継続的に減少させられ、分注チャンバ185内の圧力が所定閾値(例えば、設定点または最小圧力閾値)を下回る場合、継続的に減少させることができる。
【0069】
上述のように、多段式ポンプ100は、モータ175(例えば、ステッピングモータ、ブラシレスDCモータ、または他のモータ)を有する供給ポンプ150を含み、分注チャンバ185における圧力に応じて、速度を変更することができる。本発明の別の実施形態によると、供給段階ポンプは、空気圧によって作動されるダイヤフラムポンプであってもよい。
図12は、空気圧式供給ポンプ515を含む、多段式ポンプ510の一実施形態の図である。多段式ポンプ100と同様に、多段式ポンプ515は、供給段階部分105と、別個の分注段階部分110とを含む。不純物をプロセス流体から濾過するために、流体の流れの観点から、フィルタ120は、供給段階部分105と分注段階部分110との間に位置する。例えば、入口弁125、隔離弁130、遮断弁135、パージ弁140、排出弁145、および出口弁147を含む、多数の弁によって、多段式ポンプ100を通る流体の流れを制御することができる。分注段階部分110は、分注段階110で流体圧力を測定することができる圧力センサ112をさらに含むことができる。圧力センサ112によって測定された圧力は、以下に記載するように種々のポンプの速度を制御するために使用することができる。
【0070】
供給ポンプ515は、開放された入口弁125を通って流体供給量から流体を引き出し得る、供給チャンバ520を含む。供給チャンバ520への流体の流出入を制御するために、供給弁525は、真空、供給陽圧、または大気を供給ダイヤフラム530に印加するか否かを制御する。一実施形態によると、加圧されたN2を使用して、供給圧を提供することができる。流体を供給チャンバ520へ流入させるために、ダイヤフラムが供給チャンバ520の壁と反対方向に引かれるように、真空がダイヤフラム530に印加される。供給チャンバ520から流体を押し出すために、供給圧をダイヤフラム530に印加してもよい。
【0071】
一実施形態によると、濾過区分の間の分注チャンバ185における圧力は、ダイヤフラム530へ供給圧を選択的に印加することによって調整することができる。濾過開始時、供給圧が供給ダイヤフラム530に印加される。この圧力は、分注チャンバ185において所定の圧力閾値(例えば、最初の閾値、設定点、または他の所定閾値)に達するまで(例えば、圧力センサ112によって測定)、印加され続ける。最初の閾値に達すると、分注ポンプ180のモータ200は、縮退を開始し、分注チャンバ185内の流体に対し利用可能な容積をより提供する。圧力センサ112は、分注チャンバ185内の圧力を継続的に読み取ることができる。流体圧力が所定閾値(例えば、最大圧力閾値、設定点、または他の閾値)を上回る場合、供給ポンプ515における供給圧は、除去または減少させることができる。分注チャンバ185における流体圧力が所定閾値(例えば、最小圧力閾値、設定点、または他の所定閾値)を下回る場合、供給圧は、供給ポンプ515において再印加することができる。
【0072】
このように、本発明の実施形態は、分注ポンプで測定された圧力に基づいて、供給ポンプの動作を調節することによって、濾過区分の間の流体の圧力を調整するためのシステムおよび方法を提供する。供給ポンプの動作は、例えば、供給ポンプモータ速度の加減、供給ポンプにおいて印加される供給圧の増減、または別様に下流のプロセス流体の圧力を増減させるための供給ポンプの動作の調節によって、変更することができる。
【0073】
また、本発明の実施形態は、排出区分の間の流体圧力の制御を提供する。
図2を参照すると、遮断弁135が排出区分の間開放したままである場合、圧力センサ112は、フィルタ120内の流体の圧力によって影響を受ける分注チャンバ185内の流体の圧力を測定する。圧力が所定閾値(例えば、最大圧力閾値または設定点)を上回る場合、供給モータ175の速度を減少させることができ(または、
図12の実施例において供給圧を低下する)、圧力が所定閾値(例えば、最小圧力閾値または設定点)を下回る場合、供給モータ175の速度を増加させることができる(または、
図12の実施例において供給圧を上昇する)。別の実施形態によると、ユーザは、排出速度(例えば、0.05cc/秒)および排出量(例えば、0.15ccまたは3秒)を提供することができ、供給モータは、特定の時間の間適切な速度で流体を移動させることができる。
【0074】
上述から理解されるように、本発明の一実施形態は、第1段階ポンプ(例えば、供給ポンプ)と、第2段階ポンプにおける流体の圧力を測定するための圧力センサを備えた第2段階ポンプ(例えば、分注ポンプ)とを有する多段ポンプ内の圧力を制御するためのシステムを提供する。ポンプ制御装置は、第1段階ポンプの動作を調節することによって、第2段階ポンプにおける流体圧力を調整することができる。ポンプ制御装置は、第1段階ポンプと、第2段階ポンプと、圧力センサとに結合され(すなわち、第1段階ポンプと、第2段階ポンプと、圧力センサと通信可能に動作し得る)、圧力センサからの圧力測定結果を受信するように動作し得る。第2段階ポンプにおける圧力が第1の所定閾値(例えば、設定点、最大圧力閾値、または他の圧力閾値)に達していることを圧力センサからの圧力測定結果が示す場合、ポンプ制御装置は、第1段階ポンプに流体上に減少した圧力を印加させることができる(例えば、モータ速度の減速、供給圧の低下、または流体上への圧力の低下によって)。第2段階ポンプにおける圧力が閾値(例えば、設定点、最小圧力閾値、または他の閾値)を下回っていることを圧力測定結果が示す場合、制御装置は、第1段階ポンプに流体上に増加した圧力を印加させることができる(例えば、第1段階ポンプのモータ速度の増加、供給圧の上昇、または流体上への圧力の上昇によって)。
【0075】
本発明の別の実施形態は、多段式ポンプ内の分注ポンプの流体圧力を制御するための方法を含む。本方法は、供給ポンプにおける流体に圧力を印加し、供給ポンプ下流の分注ポンプにおける流体圧力を測定し、供給ポンプにおける流体圧力が所定の最大圧力閾値に達する場合、供給ポンプにおける流体上への圧力を低下し、または供給ポンプにおける流体圧力が所定の最小圧力閾値を下回る場合、供給ポンプにおける流体上への圧力を上昇させるステップを備えることができる。最大および最小圧力閾値は、両方とも設定点であってもよいことに留意されたい。
【0076】
本発明のさらに別の実施形態は、ポンプを制御するためのコンピュータプログラム製品を備える。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータ可読媒体上に格納された一式のコンピュータ命令を備えることができる。命令は、1つ以上のプロセッサによって実行可能であり、圧力センサから圧力測定結果を受信し、圧力測定結果を第1の所定閾値(最大圧力閾値、設定点、または他の閾値)と比較し、第2段階ポンプにおける圧力が第1の所定閾値に達していることを圧力センサからの圧力測定結果が示す場合、例えば、モータ速度を減速、より低い供給圧を印加、または第1段階ポンプによって流体上に印加される圧力を低下するように第1段階ポンプに指示することによって、流体上に減少した圧力を印加するよう第1段階ポンプに指示することができる。また、コンピュータプログラム製品は、実行可能な命令を備え、第2のポンプにおける圧力が第2の閾値を下回っていることを圧力センサからの圧力測定結果が示す場合、流体上に増加した圧力を印加するように第1のポンプに指示することができる。
【0077】
本発明の別の実施形態は、半導体製造プロセスにおいて使用するために適合された多段ポンプを含み、供給ポンプと、供給ポンプと流体連通するフィルタと、フィルタと流体連通する分注ポンプと、供給ポンプとフィルタとの間の隔離弁と、フィルタと分注ポンプとの間の遮断弁と、分注ポンプにおける圧力を測定するための圧力センサと、そこに結合された制御装置とを備えることができる(すなわち、供給ポンプと、分注ポンプと、供給ポンプと、圧力センサと通信可能に動作し得る)。供給ポンプは、供給チャンバと、供給チャンバ内の供給ダイヤフラムと、供給ダイヤフラムと接触し、供給ダイヤフラムを移動させる供給ピストンと、供給ピストンに結合された供給用送りネジと、供給用送りネジに結合され、供給用送りネジに運動を提供し、供給ピストンを動かす供給モータとをさらに備える。分注ポンプは、分注チャンバと、分注チャンバ内の分注ダイヤフラムと、分注ダイヤフラムと接触し、分注ダイヤフラムを移動させる分注ピストンと、分注ピストンに結合され、分注チャンバ内の分注ピストンを移動させる分注用送りネジと、分注ピストンに結合された分注用送りネジと、分注用送りネジに結合され、分注用送りネジに運動を提供し、分注ピストンを動かす分注モータとをさらに備える。制御装置は、圧力センサからの圧力測定結果を受信するように動作し得る。分注チャンバ内の流体の圧力が初めて設定点に達したことを圧力測定結果を示すと、制御装置は、分注モータにほぼ一定の速度で動作するよう指示し、分注ピストンを縮退させる。次の圧力測定結果に対し、制御装置は、分注チャンバ内の流体の圧力が設定点を下回っていることを次の圧力測定結果が示す場合、供給モータに減少した速度で動作するよう指示し、次の圧力測定結果が設定点を上回っている場合、供給モータに高速で動作するよう指示する。
【0078】
上述のポンプのためのシステムおよび方法は、正確かつ信頼性のある流体の分注を提供するが、時として、プロセスのタイミング変動またはこれらのポンプの通常の摩耗(例えば、停止弁の誤動作、流体管の屈曲、ノズルの目詰まり、流体流路内の空気等。)が、ポンプの不適切な動作を通して現れ得る。上述のように、これらの起こり得る故障条件または不適切な動作を検出することが望ましい。これを達成するために、一実施形態によると、本発明は、適切な動作を検証し、起こり得るポンプの故障条件を検出するステップを含む、ポンプを監視するための方法を提供する。具体的には、本発明の実施形態は、他の動作作用または条件の中でも特に、ポンプからの正確な流体の分注またはポンプ内のフィルタの適切な動作を確認してもよい。
【0079】
図13は、不適切な動作、起こり得る故障条件、あるいはそれ以外のほぼあらゆるポンプ内の欠陥を検出する(または、反対に適切な動作を検証する)ためのそのような方法の実施形態を描写した工程図であり、上述のポンプの実施形態を含み、そのようなポンプの一例は、Entegris Inc.社製IGミニポンプである。より具体的には、1つ以上のパラメータに対し基準プロファイルを確立してもよい(ステップ1310)。次いで、ポンプ100の動作の間、これらのパラメータを測定し、動作プロファイルを生成してもよい(ステップ1320)。次いで、基準プロファイルを、1つ以上の対応する時点または部分における動作プロファイルと比較してもよい(ステップ1330)。動作プロファイルが一定の許容値を超えて基準プロファイルと異なる場合(ステップ1340)、警告条件が存在してもよく(ステップ1350)、またはポンプ100の動作を継続してもよい。
【0080】
特定のパラメータに関する基準プロファイルを確立するために(ステップ1310)、基準または「絶頂」稼働時にパラメータ測定してもよい。一実施形態では、ポンプ100のオペレータまたはユーザは、通常の使用またはポンプ100の動作の間、ポンプ100が利用する条件および装置と実質的に同様または等しい流体、条件、および装置を使用した仕様に、ポンプ100を設定してもよい。次いで、ポンプ100は、分注サイクルの間作動し(
図3に関して上述のように)、ユーザのレシピに従って流体を分注する。この分注サイクルの間、実質的に継続的または時点の集合において、パラメータを測定し、そのパラメータに対する動作プロファイルを生成してもよい。一特定の実施形態では、パラメータの抽出は、約1ミリ秒乃至10ミリ秒の間隔で生じてもよい。
【0081】
次いで、ユーザは、この分注サイクルの間、ポンプ100が適切に動作しているか、この分注サイクルの間、ポンプ100によって行われた分注が許容値または仕様内であるか否かを検証してもよい。ユーザがポンプ動作および分注の両方に満足する場合、ポンプ制御装置20を介して、動作プロファイル(例えば、分注サイクルの間行われたパラメータに対する測定結果)をパラメータに対する基準プロファイルとして利用されることが望ましいことを示してもよい。このようにして、1つ以上のパラメータに対する基準プロファイルを確立してもよい。
【0082】
図10は、本発明の一実施形態による、多段式ポンプの動作の間の分注チャンバ185における圧力プロファイルの一実施形態である。上述を熟読後、ポンプ100をレシピとともに使用される場合、このレシピに関連した基準プロファイルを任意の次の比較に対し利用され得るように、1つ以上のパラメータのそれぞれに対する基準プロファイルは、ユーザが使用を所望するポンプ100における各レシピに対し確立してもよいことは明白となるであろう。
【0083】
パラメータに対する基準プロファイルは、ユーザによって確立されてもよいが、他の方法を基準プロファイルを確立するために使用してもよい(ステップ1310)。例えば、ポンプ100のユーザによって利用されるものと同様の試験台を使用して、ポンプ100の製造者によってポンプ100が較正される間、1つ以上のパラメータに対する基準プロファイルを生成し、ポンプ制御装置20内に格納してもよい。また、特定のレシピを使用する分注サイクルを実行する間に保存され、その分注サイクルの間に、制御装置20によってエラーは検出されなかった動作プロファイルを基準プロファイルとして利用することによって、基準プロファイルを確立してもよい。実際、一実施形態では、基準プロファイルは、制御装置20によってエラーが検出されなかった以前に保存された動作プロファイルを使用して、定期的に更新してもよい。
【0084】
基準プロファイルが1つ以上のパラメータに対し確立された後(ステップ1310)、ポンプ100の動作の間、これらのパラメータのそれぞれは、ポンプ制御装置20によって監視され、1つ以上のパラメータのそれぞれに対応する動作プロファイルを生成してもよい(ステップ1320)。次いで、これらの動作プロファイルのそれぞれは、制御装置20によって格納されてもよい。再び、これらの動作プロファイルは、一実施形態では、約1ミリ秒乃至10ミリ秒の間隔でパラメータを抽出することによって生成してもよい。
【0085】
次いで、ポンプ100の動作の間生じ得る種々の問題を検出するために、ポンプ100の動作の間生成されたパラメータに対する動作プロファイルは、同一パラメータに対応する基準プロファイルと比較してもよい(ステップ1330)。これらの比較は、制御装置20によってなされてもよく、想像され得るように、この比較は、種々の形態をとることができる。例えば、基準プロファイルの1つ以上の時点におけるパラメータの値は、動作プロファイル内の実質的に等しい時点におけるパラメータの値と比較してもよく、基準プロファイルの平均値は、動作プロファイルの平均値と比較してもよく、基準プロファイルの一部の間のパラメータの平均値は、動作プロファイル内の実質的に同一部分の間のパラメータの平均値と比較してもよい。
【0086】
記載される比較の種類は、例示としてのみであり、基準プロファイルと動作プロファイルとの間の任意の好適な比較を利用してもよいことは理解されるであろう。実際、多くの場合、2つ以上の比較または比較の種類を利用して、特定の問題または条件が生じているか否かを判断してもよい。また、利用される比較の種類は、少なくとも部分的に、検出を試みる条件に依存し得ることは理解されるであろう。同様に、比較される動作および基準プロファイルの時点または部分は、他の要因の中でも特に、検出を試みる条件に依存し得る。また、利用される比較は、特定の分注サイクルの間のポンプの動作中に実質的に即時に、または特定の分注サイクルの完了後、なされてもよいことは理解されるであろう。
【0087】
比較によって一定の許容値を超える差異が生じる場合(ステップ1340)、制御装置20において警告を記録してもよい(ステップ1350)。この警告は、制御装置20によって表示されてもよく、または制御装置20と接合するツール制御装置へ警告が送信されてもよい。前記上述の比較の種類と同様に、所定の比較で利用される特定の許容値は、例えば、比較が行われるプロファイルの時点または部分、ユーザがポンプ100とともに使用するプロセスまたはレシピ、ポンプ100によって分注される流体の種類、利用されるパラメータ、検出を所望する条件または問題、ユーザの所望、またはユーザの許容値の調節等、様々な種々の要因に依存し得る。例えば、許容値は、基準プロファイルの比較時点におけるパラメータの値一定の割合、または設定数であってもよく、許容値は、基準プロファイルと動作プロファイルとを比較する場合に、比較の時点(または、部分)に応じて異なってもよく、比較時点における動作プロファイルの値が基準プロファイルの比較時点におけるパラメータの値を下回る場合、上回る場合等よりも、異なる許容値が存在し得る。
【0088】
上記に提示されたシステムおよび方法の実施形態の説明は、特定の実施形態を参照することによってより理解され得る。上述のように、正確な流体の分注が行われていることを確認することは非常に望ましい。ポンプ100の分注区分の間には、出口弁147は開状態となり、また分注ポンプ180は、分注チャンバ185内の流体に圧力を印加する。出口弁147は、分注ポンプ180よりも制御に対する反応が遅い場合があるので、出口弁147は最初に開状態となり、所定の時間が経過すると、分注モータ200が起動する。これによって、分注ポンプ180が部分的に開放された出口弁147へ流体を押し入れることを防止する。さらに、これによって、弁開口部によってもたらされる、流体の分注ノズル上昇、続いてモータ作用によって生じる前方への流体の動きを防止する。他の実施形態では、出口弁147は開状態となり、同時に分注ポンプ180によって分注を開始することができる。
【0089】
不適切な分注は、分注モータ210の作動の不適切なタイミングおよび/または出口弁147のタイミングによって生じ得るため、多くの場合、不適切な分注は、ポンプ100の分注区分の間の分注チャンバ185内の圧力において現れ得る。例えば、出口弁147の閉塞が生じた、または出口弁147の開放に遅延したと仮定する。これらの条件は、分注モータ222は、流体を出口弁147へ付勢しようと試みるため、分注区分の開始時の圧力内のスパイク、または分注区分全体の一貫した高圧力を生じさせることになる。同様に、出口弁147の尚早な閉鎖は、分注区分の終了時に圧力スパイクを生じさせ得る。
【0090】
このように、一実施形態では、容認可能な分注が生じているか否かを確認する、またはポンプ100からの流体の分注に関する問題を検出するために、分注サイクルの間、分注チャンバ185内の圧力のパラメータを使用して、基準プロファイルを生成してもよい(ステップ1310)。次いで、次の分注サイクルの間、圧力センサ112を使用して分注チャンバ185内の圧力を監視し、動作プロファイルを生成してもよい(ステップ1320)。次いで、この動作プロファイルを基準プロファイルと比較し(ステップ1330)、警告を発するべきか否かを判断してもよい(ステップ1350)。
【0091】
上述のように、不適切な分注は、ポンプ100の分注区分の動作の間、分注チャンバ185内の圧力変動を通して現れ得る。しかしながら、より具体的には、不適切な分注の原因の本質によって、これらの圧力変動は、分注区分の間の特定の時点に広く蔓延している場合がある。したがって、一実施形態では、基準圧力プロファイルと動作圧力プロファイルを比較する場合(ステップ1330)、4つの比較がなされてもよい。第1の比較は、基準プロファイルによる分注区分の間の圧力の平均値と、動作プロファイルによる分注区分の間の圧力の平均値との比較であってもよい。この比較は、分注区分の間生じ得る何らかの突然の閉塞を検出するよう機能してもよい。
【0092】
第2の比較は、分注時間開始時近傍の時点における圧力値であってもよい。例えば、基準プロファイル上の分注区分を約15%経過した1つ以上の時点における圧力の値は、動作プロファイルの分注区分内の実質的に同一時点における圧力の値と比較してもよい。この比較は、分注の開始時の弁の不適切な作動によって生じる流量制限を検出するよう機能してもよい。
【0093】
第3の比較は、分注区分の中間近傍の時点における圧力値であってもよい。例えば、基準プロファイル上の分注区分を約50%経過した1つ以上の時点における圧力の値は、動作プロファイルの分注区分内の実質的に同一時点における圧力の値と比較してもよい。
【0094】
最後の比較は、分注区分終了時近傍の時点における圧力値であってもよい。例えば、基準プロファイル上の分注区分を約90%経過した1つ以上の時点における圧力の値は、動作プロファイルの分注区分内の実質的に同一時点における圧力の値と比較してもよい。この比較は、分注区分の終了時の弁の不適切な作動によって生じる流量制限を検出するよう機能してもよい。
【0095】
特定の実施形態に関与する種々の比較(ステップ1330)は、本発明の一実施形態による、多段式ポンプの動作の間の分注チャンバ185における圧力プロファイルの一実施形態を示す、
図14を参照することによってより理解され得る。およそ時点1440において、分注区分が開始され、分注ポンプ180が流体を出口へ押し出す。分注区分は、およそ時点1445において終了する。
【0096】
したがって、上述のように、本発明のシステムおよび方法の一実施形態では、基準圧力プロファイルと動作圧力プロファイルとを比較する場合、第1の比較は、およそ時点1440と時点1445との間の圧力の平均値であってもよく、第2の比較は、基準圧力プロファイルの値と、分注区分を約15%経過したおよそ時点1410における動作圧力プロファイルの値とであってもよく、第3の比較は、基準圧力プロファイルの値と、分注区分を約50%経過したおよそ時点1420における動作圧力プロファイルの値とであってもよく、第4の比較は、基準圧力プロファイルの値と、分注区分を約90%経過したおよそ時点1430における動作圧力プロファイルの値とであってもよい。
【0097】
上述のように、これらの比較のそれぞれの結果は、許容値と比較し(ステップ1340)、警告を発するべきか否かを判断してもよい(ステップ1350)。再び、所与の比較で利用される特定の許容値は、上述のように、様々な種々の要因に依存し得る。しかしながら、利用されるパラメータが分注区分の間の分注チャンバ185内の圧力である多くの場合、分注区分の間の圧力にほとんど相違はないべきである。その結果、この場合利用される許容値は、例えば、0.01乃至0.5PSIと、非常に小さくなってもよい。言い換えると、所与の時点における動作プロファイルの値が、実質的に同一時点における基準圧力プロファイルと約0.02PSIを超えて異なる場合、警告が発せられてもよい(ステップ1350)。
【0098】
基準圧力プロファイルと動作圧力プロファイルとの間の比較は、多段式ポンプの一実施形態の動作の間の分注チャンバ185における基準圧力プロファイルと、多段式ポンプの次の動作の間の分注チャンバ185における動作圧力プロファイルとを描写した、
図15を参照することによってより明確に示され得る。およそ時点1540において、分注区分が開始され、分注ポンプ180が流体を出口へ押し出す。分注区分は、およそ時点1545において終了する。動作圧力プロファイル1550が分注区分の一部の間の基準圧力プロファイル1560と顕著に異なる場合、動作圧力プロファイル1550の分注区分の間生じた分注に問題がある可能性を示唆することを知らせるものである。この問題も可能性は、上述のように、本発明の実施形態を使用して検出され得る。
【0099】
具体的には、上述の比較を使用して、第1の比較は、およそ時点1540と時点1545との間の平均値であってもよい。分注区分の開始および終了時に、動作圧力プロファイル1550は基準圧力プロファイル1540と異なるため、この比較は、有意な差異をもたらすことになる。第2の比較は、基準圧力プロファイルの値1540と、分注区分を約15%経過したおよそ時点1510における動作圧力プロファイル1550の値とであってもよい。図に示すように、時点1510において、動作圧力プロファイル1550の値は、基準圧力プロファイルの値1540と約1PSI異なる。第2の比較は、基準圧力プロファイルの値1540と、分注区分を約50%経過したおよそ時点1520における動作圧力プロファイル1550の値とであってもよい。図に示すように、時点1520において、動作圧力プロファイル1550の値は、基準圧力プロファイルの値1540とおよそ同じであり得る。第3の比較は、基準圧力プロファイルの値1540と、分注区分を約90%経過したおよそ時点1530における動作圧力プロファイル1550の値であってもよい。図に示すように、時点1530において、動作圧力プロファイル1550の値は、基準圧力プロファイルの値1540と約5PSI異なる。したがって、上述の4つの比較のうちの3つは、一定の許容値を超える比較結果をもたらし得る(ステップ1340)。
【0100】
その結果、
図15に記載された実施例において、警告が発せられてもよい(ステップ1350)。この警告は、検出された差異に対しユーザに喚起し、ポンプ100を停止させるよう機能してもよい。この警告は、制御装置20を介して提供されてもよく、パラメータに対する基準プロファイル、警告が発せられたパラメータに対する動作プロファイル、または例えば、互いに重ね合わせ(
図15に記載のように)、動作プロファイルと基準プロファイルとを一緒に、のいずれかを表示するオプションとともに、ユーザにさらに提供されてもよい。一部の例では、ポンプ100が動作を回復する前に、そのような警告を解除するようユーザに強制してもよい。ポンプ100またはプロセスを回復する前に警告を解除するようユーザに強制することによって、廃棄物が検出または発生される直後に実質的に廃棄物を生じさせる条件をユーザに改善させ、廃棄物が防止され得る。
【0101】
別の実施例の使用を通して、本発明のシステムおよび方法の広範な機能を説明することは有用となり得る。ポンプ100の動作の間、ポンプ100の流路を通過する流体は、上述のように、1つ以上の動作区分の間、フィルタ120を通過してもよい。これらの濾過区分のうちの1つの間、フィルタが新しい場合、フィルタ120全体にごくわずかな圧力低下が生じ得る。しかしながら、ポンプ100の動作の繰り返しによって、フィルタ120の細孔が目詰まりし、フィルタ120の貫流に対する抵抗がより大きくなり得る。その結果、フィルタ120の目詰まりは、不適切なポンプ100の動作または分注される流体に損傷をもたらし得る。したがって、フィルタ120の目詰まりが問題となる前に、フィルタ120の目詰まりを検出することが望ましい。
【0102】
上述のように、一実施形態によると、濾過区分の間、分注チャンバ185における圧力は、ダイヤフラム530に供給圧を選択的に印加することによって調整することができる。濾過区分の開始時、供給圧は、供給ダイヤフラム530に印加される。この圧力は、分注チャンバ185において所定の圧力閾値(例えば、最初の閾値、設定点、または他の所定閾値)に達するまで継続する(例えば、圧力センサ112によって測定)。最初の閾値に達すると、分注ポンプ180のモータ200が縮退を開始し、分注チャンバ185内の流体に対し利用可能な容積をより提供する。圧力センサ112は、分注チャンバ185内の圧力を継続的に読み取ることができる。流体圧力が所定閾値(例えば、最大圧力閾値、設定点、または他の閾値)を上回る場合、供給ポンプ515における供給圧は、除去または低減することができる。分注チャンバ185における流体圧力が所定閾値(例えば、最小圧力閾値、設定点、または他の所定閾値)を下回る場合、供給圧を供給ポンプ515において再印加することができる。
【0103】
このように、本発明の実施形態は、分注ポンプにおいて測定される圧力に基づいて、供給ポンプの動作を調節することによって、濾過区分の間の流体の圧力を調整するためのシステムおよび方法を提供する。供給ポンプの動作は、例えば、供給ポンプモータ速度の加減、供給ポンプにおいて印加される供給圧の増減、または別様に供給ポンプの動作を調節し、下流のプロセス流体の圧力内の増減することによって変更できる。
【0104】
上述の説明から分かるように、フィルタ120がさらに目詰まりすると、それに比例してフィルタ120全体の圧力低下も大きくなり、供給段階モータ175は、濾過区分の間等しい分注チャンバ185内の圧力を維持するために、より迅速、より頻繁に作動する必要があり、特定の場合は、供給段階モータ175は、分注チャンバ内で等しい圧力をまったく維持できない場合もある(例えば、フィルタが完全に目詰まりした場合)。次いで、濾過区分の間の供給段階モータ175の速度を監視することによって、フィルタ120の目詰まりが検出され得る。
【0105】
そのためには、一実施形態では、フィルタ120の目詰まりを検出するために、フィルタ120が新しい(または、他のユーザ所定時点等)場合の濾過区分の間の供給段階モータ175の速度(または、供給段階モータ175の速度を制御するための信号)のパラメータを使用して、基準プロファイル生成し(ステップ1310)、制御装置20内に格納してもよい。次いで、次の濾過区分の間の供給段階モータ175の速度(または、供給段階モータ175の速度を制御するための信号)を制御装置20によって記録し、動作プロファイルを生成してもよい(ステップ1320)。次いで、この供給段階モータ速度の動作プロファイルを、供給段階モータ速度の基準プロファイルと比較し(ステップ1330)、警告を発するか否かを判断してもよい(ステップ1350)。
【0106】
一実施形態では、この比較は、基準プロファイルの濾過区分の間の1つ以上の時点における供給段階モータ速度の値と、動作プロファイルの実質的に同一時点の集合における供給段階モータ速度の値とを比較する形態をとってもよく、他の実施形態では、この比較は、供給段階モータ175の制御限界の特定の距離内で生じる基準プロファイルの間の時間一定の割合と比較し、これを、供給段階モータ175の制御限界の特定の距離内で生じる動作プロファイルの間の時間一定の割合と比較してもよい。
【0107】
同様に、フィルタ120内の空気は、本発明の実施形態によって検出され得る。一実施形態では、前濾過区分の間、供給段階モータ175は、分注チャンバ185において所定の圧力閾値(例えば、最初の閾値、設定点、または他の所定閾値)に達するまで、圧力の印加を続ける(例えば、圧力センサ112によって測定)。フィルタ120内に空気がある場合、流体が最初の分注チャンバ185内の圧力に達するまでの時間は、長くなり得る。例えば、フィルタ120に完全に呼び水が差されている場合、供給段階モータ175の100ステップおよび分注チャンバ185内で5PSIに達するまで約100ミリ秒要し得るが、しかしながらフィルタ120内に空気が存在する場合、この時間およびステップ数は、顕著に増加し得る。その結果、前濾過区分の間、分注チャンバ185内で最初の圧力閾値に達するまで、供給段階モータ175の稼働時間を監視することによって、フィルタ120内の空気を検出し得る。
【0108】
そのためには、一実施形態では、フィルタ120内の空気を検出するために、前濾過区分の間、分注チャンバ185内で設定圧力点に達するまでの時間のパラメータを使用して基準プロファイルを生成し(ステップ1310)、制御装置20内に格納してもよい。次いで、次の前濾過区分の間、分注チャンバ185内の設定圧力点に達するまでの時間を、制御装置20によって記録し、動作プロファイルを生成してもよい(ステップ1320)。次いで、この時間動作プロファイルを時間基準プロファイルと比較し(ステップ1330)、警告を発するべきか否かを判断してもよい(ステップ1350)。
【0109】
本発明の他の実施形態は、分注モータ200の位置を監視することを通して、正確な分注を検証することを含んでもよい。上記に詳述したように、分注区分の間、出口弁147が開放され、分注が完了するまで、分注ポンプ180が分注チャンバ185内の流体に圧力を印加する。以上のように、分注区分の開始時において、分注モータ200は、第1の位置にあり、分注区分の終了時において、分注モータ200は、第2の位置にあってもよい。
【0110】
一実施形態では、正確な分注を確認するために、分注区分の間、分注モータ200の位置(または、供給段階モータ200の位置を制御するための信号)のパラメータを使用して、基準プロファイルを生成してもよい(ステップ1310)。次いで、次の分注区分の間、分注モータ200の位置(または、供給段階モータ200の位置を制御するための信号)を制御装置20によって記録し、動作プロファイルを生成してもよい(ステップ1320)。次いで、この分注モータ位置の動作プロファイルを分注モータ位置の基準プロファイルと比較し(ステップ1330)、警告を発するべきか否かを判断してもよい(ステップ1350)。
【0111】
再び、この比較は、種々の要因に応じて多くの形態をとり得る。一実施形態では、基準プロファイルの分注区分の終了時の分注モータ200の位置の値は、動作プロファイルにおける分注区分終了時の分注モータ200の値と比較してもよい。別の実施形態では、基準プロファイルによる分注モータ200の位置の値は、分注区分の間の種々の時点における動作プロファイルによる分注モータ200の位置の値と比較してもよい。
【0112】
また、本発明の特定の実施形態は、ポンプ100の他の種々の機械的構成要素の起こり得る故障を検出するために有用となり得る。例えば、多くの場合、モータ200を特定の距離動かすために分注モータ200に提供される流れが、分注モータ200にかかる負荷に伴って変化し得るように、ポンプシステム10は、閉ループシステムであってもよい。この特性は、モータの故障、あるいは例えば、回転式ピストンまたはダイヤフラム問題、送りネジの問題等、ポンプ100内の他の機械的故障の可能性を検出するために利用してもよい。
【0113】
したがって、起こり得るモータの故障を検出するために、本発明のシステムおよび方法の実施形態は、分注区分の間、分注モータ200に提供される流れ(または、分注モータ200に提供される流れを制御するための信号)のパラメータを使用して、基準プロファイルを生成してもよい(ステップ1310)。次いで、次の分注区分の間、分注モータ200に提供される流れ(または、分注モータ200に提供される流れを制御するための信号)を制御装置20によって記録し、動作プロファイルを生成してもよい(ステップ1320)。次いで、この分注モータの流れの動作プロファイルは、分注モータ位置の基準プロファイルと比較し(ステップ1330)、警告を発するか否かを判断してもよい(ステップ1350)。
【0114】
本発明のシステムおよび方法は、上述の実施形態を参照して詳細に説明されたが、本発明のシステムおよび方法は、他の様々かつ可変的使用も包含し得ることは理解されるであろう。例えば、本発明のシステムおよび方法の実施形態を利用して、ポンプの分注サイクルの完了時、分注サイクルに対する1つ以上のパラメータに対応する基準プロファイルを記録することによって、ポンプの動作を確認し、これを次の分注サイクルの間に生成された動作プロファイルと比較してもよい。分注サイクル全体の2つのプロファイルを比較することによって、ハードウェアの故障または他の問題の早期検出がなされ得る。
【0115】
本発明は、実例となる実施形態を参照して、本明細書に詳細に記載されてきたが、記述はほんの一例とされるものであり、限定する意味に解釈されるものではないことが理解されるべきである。したがって、本発明の実施形態の詳細における多数の変更形態、および本発明のさらなる実施形態は、本記述に関係がある当業者には明白となり、また当業者によって製作されてもよいことがさらに理解されるべきである。そのようなすべての変更形態およびさらなる実施形態は、請求する本発明の範囲内にあることが企図される。