【文献】
Chinese Journal of Liquid Crystals and Displays,2001年,Vol.16, No.2,pp.104-113
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
一般式(1)において、R
1及びR
2は、同一であっても異なっていても良いが、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、炭素数2〜12のアルケニルオキシ基、フッ素原子、シアノ基又はR
3−Z
4−であることが好ましい。特に溶解性を改善するには、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、炭素数2〜8のアルケニルオキシ基、フッ素原子又はR
3−Z
4−が好ましく、液晶性を向上させるには、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、炭素数2〜8のアルケニルオキシ基又はR
3−Z
4−が好ましく、Δεの値を大きくするためには、フッ素原子又はシアノ基が好ましく、更にΔnを大きくするにはR
3−Z
4−が好ましい。
【0026】
Z
1、Z
2及びZ
3はそれぞれ独立的に単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−C≡C−が好ましく、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−C≡C−が更に好ましい。
【0027】
A
1、A
3、A
4、A
5及びA
6は、それぞれ独立的に無置換であるか一個以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基及びナフタレン−1,4−ジイル基が好ましく、これらの構造中の−CH=は−N=に置換されていてもよく、無置換であるか一個以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基が好ましく、無置換の1,4−フェニレン基が更に好ましい。
【0028】
A
2は、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基又は3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基が好ましい。
【0029】
芳香環の数が多いとΔnは大きな値を示すため、Δnを大きくするためにはm、n及びpは1であることが好ましいが、芳香環の数が多いと他の液晶材料との相溶性が低下してしまう。このため、m、n及びpのうちいずれか2個が0であることが好ましく、すべてが0であることが更に好ましい。
【0030】
一般式(1)においてR
1〜R
2、A
1〜A
6、Z
1〜Z
3、m、n及びpの選択により、多種類の化合物を含みうるわけであるが。これらの中では以下の一般式(1−1)〜一般式(1−57)で表される各化合物が好ましい。
【0039】
(式中、R
a及びR
bは、それぞれ独立的に炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルコキシル基、炭素数2〜12のアルケニルオキシ基又はR
c−Z
a−(式中Rcは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜12のアルケニル基を表し、Z
4は−CH=CH−又は−C≡C−を表す。)を表す。)
本発明の液晶組成物において一般式(1)で表される化合物の含有量が少ないとその効果が現れないため、組成物中に下限値として、1質量%(以下組成物中の%は質量%を表す。)以上含有することが好ましく、2%以上含有することが好ましく、5%以上含有することが好ましい。又、含有量が多いと析出等の問題を引き起こすため、上限値としては、50%以下含有することが好ましく、30%以下含有することがより好ましく、20%以下含有することが更に、好ましく10%以下含有することが特に好ましい。
【0040】
液晶組成物の物性値を調整するために液晶相を持つ化合物以外にも必要に応じて液晶相を持たない化合物を添加することもできる。
【0041】
このように、一般式(1)で表される化合物と混合して使用することのできるネマチック液晶化合物の好ましい代表例としては、本発明の提供する組成物においては、その第一成分として一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有するが、その他の成分として特に以下の第二から第四成分から少なくとも1種含有することが好ましい。
【0042】
即ち、第二成分はいわゆるフッ素系(ハロゲン系)のp型液晶化合物であって、以下の一般式(A1)から(A3)で示される化合物からなるものである。
【0044】
上式中、R
bは炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチルまたはエチル分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の−CH
2−は−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−により置換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子またはトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基、末端が炭素原子数1〜3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましい。また、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよい。
【0045】
環A、環B及び環Cはそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン-2,6-ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基またはピリジン−2,5−ジイル基を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン-トランス−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基又は1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基が好ましい。特に環Bがトランス−1,4−シクロへキシレン基またはトランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基である場合に、環Aはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましく、環Cがトランス−1,4−シクロへキシレン基またはトランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基である場合に環B及び環Aはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。また、(A3)において環Aはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。
L
a、L
b及びL
cは連結基であって、それぞれ独立的に単結合、エチレン基(−CH
2CH
2−)、1,2−プロピレン基(−CH(CH
3)CH
2−及び−CH
2CH(CH
3)−)、1,4−ブチレン基、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は−CH=NN=CH−を表すが、単結合、エチレン基、1,4−ブチレン基、−COO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CF=CF−又は−C≡C−が好ましく、単結合又はエチレン基が特に好ましい。また、(A2)においてはその少なくとも1個が、(A3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0046】
環Zは芳香環であり以下の一般式(La)〜(Lc)で表すことができる。
【0048】
式中、Y
a〜Y
jはそれぞれ独立的に水素原子あるいはフッ素原子を表すが、(IXa)において、Y
a及びY
bの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、(Lb)において、Y
d〜Y
fの少なくとも1個はフッ素原子であることが好ましく、特にY
dはフッ素原子であることがさらに好ましい。
【0049】
末端基P
aはフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基あるいは2個以上のフッ素原子により置換された炭素原子数2又は3のアルコキシル基、アルキル基、アルケニル基又はアルケニルオキシ基を表すが、フッ素原子、トリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
【0050】
又、(A2)においては本発明の一般式(I)の化合物は除く。
【0051】
第三成分はいわゆるシアノ系のp型液晶化合物であって、以下の一般式(B1)〜(B3)で示される化合物からなるものである。
【0053】
上式中、R
cは炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチル又はエチル分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の−CH
2−は−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−により交換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基、末端が炭素原子数1〜3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましい。又、分岐により不斉炭素が生じる場合には、化合物として光学活性であってもラセミ体であってもよい。
【0054】
環D、環E及び環Fはそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基又は1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基が好ましい。特に環Eがトランス−1,4−シクロへキシレン基又はトランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基である場合に、環Dはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましく、環Fがトランス−1,4−シクロへキシレン基又はトランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基である場合に環D及び環Eはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。又、(B3)において環Dはトランス−1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。
【0055】
L
d、L
e及びL
fは連結基であって、それぞれ独立的に単結合、エチレン基(−CH
2CH
2−)、1,2−プロピレン基(−CH(CH
3)CH
2−及び)−CH
2CH(CH
3)−)、1,4−ブチレン基、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−OCH
2−、−CH
2O−又は−CH=NN=CH−を表すが、単結合、エチレン基、−COO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CF=CF−又は−C≡C−が好ましく、単結合、エチレン基又は−COO−が特に好ましい。又、(B2)においてはその少なくとも1個が、(B3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0056】
環Yは芳香環であり以下の一般式(L
d)〜(L
f)で表すことができる。
【0058】
式中、Y
h〜Y
nはそれぞれ独立的に水素原子あるいはフッ素原子を表すが、(Le)において、Y
n及びY
oは水素原子であることが好ましい。
末端基P
aはシアノ基(−CN)、シアナト基(−OCN)又は−C≡CCNを表すが、シアノ基が好ましい。
【0059】
第四成分は誘電率異方性が0程度である、いわゆるn型液晶であり、以下の一般式(C1)〜(C3)で示される化合物からなるものである。
【0061】
上式中、R
d及びR
eはそれぞれ独立的に炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、これらは直鎖状であってもメチル又はエチル分岐を有していてもよく、3〜6員環の環状構造を有していてもよく、基内に存在する任意の−CH
2−は−O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−により交換されていてもよく、基内に存在する任意の水素原子はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基により置換されていてもよいが、炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1−アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基、炭素原子数1〜3の直鎖状アルコキシル基又は末端が炭素原子数1〜3アルコキシル基により置換された炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基が好ましく、更に少なくとも一方は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1−アルケニル基又は炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基であることが特に好ましい。
【0062】
環G、環H、環I及び環Jはそれぞれ独立的に、トランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基を表すが、各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基は1個以内であることが好ましく、他の環はトランス−1,4−シクロへキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基であることが好ましい。
【0063】
L
g、L
h及びL
iは連結基であって、それぞれ独立的に単結合、エチレン基(−CH
2CH
2−)、1,2−プロピレン基(−CH(CH
3)CH
2−及び)−CH
2CH(CH
3)−)、1,4−ブチレン基、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は−CH=NN=CH−を表すが、単結合、エチレン基、1,4−ブチレン基、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CF=CF−、−C≡C−又は−CH=NN=CH−が好ましく、(C2)においてはその少なくとも1個が、(C3)においてはその少なくとも2個が単結合を表すことが好ましい。
【0064】
(C1)におけるより好ましい形態は以下の一般式(C1a)〜(C1h)で表すことができる。
【0066】
上記各式中、R
f及びR
gはそれぞれ独立的に炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基、炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基、炭素原子数1〜3の直鎖状アルコキシル基又は末端が炭素原子数1〜3のアルコキシル基により置換された炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表すが、少なくとも一方は炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜7の直鎖状1-アルケニル基又は炭素原子数4〜7の直鎖状3−アルケニル基を表す。ただし、環G1〜環G8が芳香環の場合、対応するR
fは1−アルケニル基及びアルコキシル基を除き、環H1〜環H8が芳香環の場合、対応するR
gは1-アルケニル基及びアルコキシル基を除く。
【0067】
環G1及び環H1はそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基を表すが、各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン-トランス−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン-トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス−1,4−シクロへキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基である。環G2及び環H2はそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス−1,4−シクロへキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基である。環G3及び環H3はそれぞれ独立的に1〜2個のフッ素原子あるいはメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、各化合物において1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基は1個以内であることが好ましい。
【0068】
(C2)におけるより好ましい形態は以下の一般式()C2a)〜(C2m)で表すことができる。
【0070】
上式中、環G1、環G2、環G3、環H1、環H2及び環H3は前述の意味を表し、環I1は環G1と、環I2は環G2と、環I3は環G3とそれぞれおなじ意味を表す。又、上記各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン−トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス−1,4−シクロへキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基である。
次に(C3)におけるより好ましい形態は以下の一般式(C3a)〜(C3f)で表すことができる。
【0072】
上式中、環G1、環G2、環H1、環H2、環I1及び環I2は前述の意味を表し、環J1は環G1又環J2は環G2とそれぞれおなじ意味を表す。又、上記各化合物において、トランスデカヒドロナフタレン−トランス−2,6−ジイル基、1個以上のフッ素原子により置換されていてもよいナフタレン−2,6−ジイル基、1〜2個のフッ素原子により置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フッ素原子により置換されていてもよい1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−ジオキサン-トランス−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又はピリジン−2,5−ジイル基は1個以内であることが好ましく、その場合の他方の環はトランス−1,4−シクロへキシレン基あるいは1〜2個のフッ素原子又はメチル基により置換されていてもよい1,4−フェニレン基である。
【0073】
本発明において、一般式(1)の化合物は、以下のようにして製造することができる。勿論本発明の趣旨及び適用範囲は、これら製造例により制限されるものではない。
(製法1)一般式(7)
【0075】
(式中、R
1、A
1、A
2、Z
1及びmはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)で表される化合物とトリメチルシリルアセチレンを、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)又は二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等のパラジウム系遷移金属触媒存在下、塩基及び銅塩を共存させて薗頭反応を行うことにより、一般式(8)
【0077】
(式中、R
1、A
1、A
2、Z
1及びmはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表し、TMSはトリメチルシリル基を表す。)で表される化合物を得ることができる。
【0078】
塩基の例としてブチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、アンモニア等を挙げることができ、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルアミンを挙げることができる。銅塩としては、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)をそれぞれ好ましく挙げることができる。Xは臭素、ヨウ素、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基を好例として挙げることができるが、ヨウ素、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基が特に好ましい。
【0079】
溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒、極性溶媒などを好ましく用いることができ、又塩基として使用するアミンを溶媒として用いることもできる。エーテル系溶媒としては、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等を、芳香族系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を、極性溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水等を好例として挙げることができる。中でも、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒が好ましい。又、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用しても良い。
【0080】
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、20℃から60℃が好ましい。
【0081】
次に、一般式(6)で表される化合物を、テトラブチルアンモニウムフルオライド等を用いてアセチレンの脱保護し、一般式(9)
【0083】
(式中、R
1、A
1、A
2、Z
1及びmはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表す。)で表される化合物を得ることができる。
【0084】
溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒及び芳香族系溶媒などを好ましく用いることができる。エーテル系溶媒としては、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等を、芳香族系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を好例として挙げることができる。中でも、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が好ましい。又、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用しても良い。
【0085】
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、−40℃から10℃が好ましい。
【0088】
(式中、R
2、A
5、A
6、Z
3及びpはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表す。)で表される化合物と亜硝酸ナトリウムを酸性条件下反応させた後、一般式(11)
【0090】
(式中、A
3、A
4、Z
2及びnはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表す。)で表される化合物と塩基性条件下ジアゾカップリング反応させることで一般式(12)
【0092】
(式中、R
2、A
3〜A
6、Z
2、Z
3n及びpはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表す。)で表される化合物を得ることができる。
酸性条件とするために用いる酸としては、無機酸を用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸などを用いることが好ましい。塩基性とするために用いる塩基としては、無機塩基を用いることが好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
【0093】
溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、極性溶媒などを好ましく用いることができる。エーテル系溶媒としては、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等を、極性溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、水などを好例として挙げることができる。中でも、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の水溶性のエーテル系溶媒及び水が好ましい。又、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用しても良い。
【0094】
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、−40℃から10℃が好ましい。
【0095】
次に、一般式(12)で表される化合物とトリフルオロメタンスルホン酸無水物を塩基存在下反応させ、一般式(13)
【0097】
(式中、R
2、A
3〜A
6、Z
2、Z
3、n及びpはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表し、Tfはトリフルオロメタンスルホニル基を表す。)で表される化合物を得ることができる。
【0098】
塩基としては、アミン類を用いることが好ましく、特にトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジンが好ましい。
【0099】
溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒、塩素系溶媒などを好ましく用いることができる。エーテル系溶媒としては、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等を、芳香族系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を、塩素系溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどを好例として挙げることができる。中でも、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の塩素系溶媒が好ましい。又、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用しても良い。
【0100】
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、−40℃から10℃が好ましい。
【0101】
次に、一般式(13)で表される化合物と一般式(9)で表される化合物を、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)又は二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等のパラジウム系遷移金属触媒存在下、塩基及び銅塩を共存させてカップリング反応を行うことにより、一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
【0102】
好ましい塩基の例としてブチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、アンモニアを挙げることができ、中でもトリエチルアミン、ジイソプロピルアミンが好ましい。銅塩としては、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)をそれぞれ好ましく挙げることができる。Xは臭素、ヨウ素、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基が好例として挙げられるが、ヨウ素、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基がより好ましい。
【0103】
溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒、極性溶媒などを好ましく用いることができ、塩基として使用するアミンを溶媒として用いることもできる。エーテル系溶媒としては、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等を、芳香族系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を、極性溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水等を好例として挙げることができる。中でも、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒が好ましい。又、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用しても良い。
【0104】
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、20℃から120℃が好ましい。
(製法2)製法1で得られる一般式(9)で表される化合物と、一般式(14)
【0106】
(式中、A
3、A
4、Z
2及びnはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)で表される化合物とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)又は二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等のパラジウム系遷移金属触媒存在下、塩基及び銅塩を共存させて薗頭反応を行うことにより、一般式(15)
【0108】
(式中、R
1、A
1〜A
4、Z
1、Z
2、m及びnはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表す。)で表される化合物を得ることができる。
【0109】
塩基の例としてブチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、アンモニアを挙げることができ、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、アンモニアを挙げることができる。銅塩としては、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)をそれぞれ好ましく挙げることができる。Xは臭素、ヨウ素、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基が好例として挙げられるが、ヨウ素、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基がより好ましい。
【0110】
溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒、極性溶媒などを好ましく用いることができ、塩基として使用するアミンを溶媒として用いることもできる。エーテル系溶媒としては、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等を、芳香族系溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を、極性溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、水等を好例として挙げることができる。中でも、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水等の極性溶媒が好ましい。又、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用しても良い。
【0111】
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、20℃から120℃が好ましい。
【0112】
次に、一般式(15)で表される化合物と亜硝酸ナトリウムを酸性条件下反応させた後、一般式(16)
【0114】
(式中、A
5、A
6、Z
3及びpはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表す。)で表される化合物と塩基性条件下ジアゾカップリング反応させることで一般式(17)
【0116】
(式中、R
1、A
1〜A
6、Z
1〜Z
3、m、n及びpはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表す。)で表される化合物を得ることができる。
【0117】
酸性条件とするために用いる酸としては、無機酸を用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸などを用いることが好ましい。塩基性条件とするために用いる塩基としては、無機塩基を用いることが好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
【0118】
溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、極性溶媒などを好ましく用いることができる。エーテル系溶媒としては、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等を、極性溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、水などを好例として挙げることができる。中でも、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の水溶性のエーテル系溶媒及び水が好ましい。又、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用しても良い。
【0119】
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、−40℃から10℃が好ましい。
【0120】
次に、一般式(17)で表される化合物と一般式(18)
【0122】
(式中、R
4は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜12のアルケニル基を表し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)で表される化合物を、塩基存在下反応させることで一般式(19)
【0124】
(式中、R
1、A
1〜A
6、Z
1〜Z
3、m、n及びpはそれぞれ独立的に一般式(1)と同じ意味を表し、R
4は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜12のアルケニル基を表す。)を得ることができる。
【0125】
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムなどを好ましく用いることができる。
【0126】
溶媒としては、反応を好適に進行させるものであればいずれでも構わないが、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、極性溶媒などを好ましく用いることができる。エーテル系溶媒としては、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等を、炭化水素系溶媒としてはペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等を、極性溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、アセトニトリル等を好例として挙げることができる。中でも、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒及びN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン等の極性溶媒が好ましい。又、前記の各溶媒を単独で使用しても、2種もしくはそれ以上の溶媒を混合して使用しても良い。
【0127】
反応温度は溶媒の凝固点から還流温度範囲で行うことができるが、20℃から130℃が好ましい。
【実施例】
【0128】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0129】
なお、相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。
【0130】
以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0131】
T
N−Iはネマチック相を示す上限の温度を表す。
【0132】
化合物記載に下記の略号を使用する。
【0133】
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
TMS:トリメチルシリル基
Tf:トリフルオロメタンスルホニル基
Et:エチル基、Pr:n−プロピル基、Bu:n−ブチル基、Pen:n−ペンチル基
(実施例1) 4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンの製造
【0134】
【化35】
【0135】
窒素雰囲気下、2,6−ジフルオロ−4−プロピルヨードベンゼン(Molecular Crystals and Liquid Crystals、1995、260、93−106と同様な方法で合成した。)180g、トリエチルアミン145mL、ヨウ化銅4.9g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム14.8gをDMF300mL中で75℃に加熱し、トリメチルシリルアセチレン75gを滴下し、更に11時間攪拌した。冷却後、水とトルエンを加えて攪拌した後、有機相を分取した。水相をトルエンで抽出後、有機相を合わせ、10%塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィーにより精製し、2−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニル)−トリメチルシリルアセチレン160gを得た。
【0136】
次に、窒素雰囲気下、2−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニル)−トリメチルシリルアセチレン159gをTHF500mLに溶解させた溶液を氷冷し、反応温度が10℃以下となる速度で1mol/LのテトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液660mLを滴下し、室温にて1時間攪拌した。水を加えて攪拌し、有機相を分取した。水相をヘキサンで抽出後、有機相を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィーにより精製し、2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルアセチレン112gを得た。
【0137】
4−エチルアニリン100g及び濃塩酸206mLをTHF200mLに溶解させ、氷冷し、反応液温度が10℃を超えない速度で亜硝酸ナトリウム57gを水250mLに溶解させた溶液を滴下し、1時間攪拌した。フェノール82g、炭酸ナトリウム101g、水酸化ナトリウム35gを水300mLに溶解させた溶液を氷冷し、先ほど調製した溶液を反応液温度が10℃を超えない速度で滴下し、氷冷下3時間攪拌した。ここへ、酸性を示すまで濃塩酸を加えた後、トルエンを加えて攪拌し、有機相を分取した。水相をトルエンにて抽出後、有機相を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製し、4−エチル−4’−ヒドロキシアゾベンゼン185gを得た。
【0138】
次に、4−エチル−4’−ヒドロキシアゾベンゼン69g、ピリジン36gをジクロロメタン300mLに溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物94gのジクロロメタン溶液190mLを反応液温度が10℃を超えない速度で滴下し、10℃以下の温度を維持したまま1時間攪拌した。反応混合物に10%塩酸を加え攪拌後、有機相を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーにて精製し、4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−4’−エチルアゾベンゼン106gを得た。
【0139】
次に、4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−4’−エチルアゾベンゼン82g、ヨウ化銅(I)1.8g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム5.4g、トリエチルアミン50mLをDMF110mL中で75℃に加熱し、2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルアセチレン40gをDMF40mLに溶解させた溶液を滴下し、更に5時間攪拌した。冷却後、反応混合物にトルエン、10%塩酸を加えて攪拌し、有機相を分取した。水相をトルエンにて抽出後、有機相を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー、再結晶(アセトン、メタノール)により精製し、4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼン33gを得た。
1H−NMR (400 MHz, CDCl
3):0.95(t,J=7.2Hz,3H),1.29(t,J=7.6Hz,3H),1.65(quintet,J=7.6Hz,2H),2.60(t,J=7.2Hz,2H),2.74(q,J=7.6Hz,2H),6.78(d,J=8.0Hz,2H),7.35(d,J=8.4Hz,2H),7.70(d,J=8.8Hz,2H),7.86−7.91(m,4H).
MS m/z:388[M
+]
相転移温度(℃): Cr 106 N 212 Iso
(実施例2)4−(2,6−ジフルオロ−4−エチルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンの製造
2,6−ジフルオロ−4−プロピルヨードベンゼンの代わりに、2,6−ジフルオロ−4−エチルヨードベンゼンを用いる以外は、実施例1と同様にして4−(2,6−ジフルオロ−4−エチルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンを得た。
1H−NMR (400 MHz, CDCl
3):1.25(t,J=7.6Hz,3H),1.29(t,J=7.6Hz,3H),2.65(q,J=7.6Hz,2H),2.74(q,J=7.6Hz,2H),6.80(d,J=8.0Hz,2H),7.35(d,J=8.4Hz,2H),7.70(d,J=8.4Hz,2H),7.86−7.91(m,4H).
MS m/z:374[M
+]
相転移温度(℃):Cr 120 N 200 Iso
(実施例3)4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−3’,4’−ジフルオロアゾベンゼンの製造
【0140】
【化36】
【0141】
4−エチルアニリンの代わりに、3,4−ジフルオロアニリンを用いる以外は、実施例1と同様にして4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−3’,4’−ジフルオロアゾベンゼンを得た。
1H−NMR (400 MHz, CDCl
3):0.96(t,J=7.6Hz,3H),1.66(quintet,J=7.6Hz,2H),2.60(t,J=7.6Hz,2H),6.78(d,J=8.0Hz,2H),7.33(q,J=8.6Hz,1H),7.70−7.80(m,4H),7.91(d,J=8.8Hz,2H).
相転移温度(℃):Cr 124 N 174 Iso
(実施例4)4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−3’,4’,5’−トリフルオロアゾベンゼンの製造
4−エチルアニリンの代わりに、3,4,5−トリフルオロアニリンを用いる以外は、実施例1と同様にして4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−3’,4’,5’−トリフルオロアゾベンゼンを得た。
1H−NMR (400 MHz, CDCl
3):0.96(t,J=7.2Hz,3H),1.66(quintet,J=7.6Hz,2H),2.60(t,J=7.6Hz,2H),6.79(d,J=8.4Hz,2H),7.60−7.67(m,2H),7.72(d,J=8.8Hz,2H),7.91(d,J=8.4Hz,2H).
相転移温度(℃):Cr 138 N 147 Iso
(実施例5) 4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼンの製造
【0142】
【化37】
【0143】
4−ヨードアニリン44g、ヨウ化銅(I)0.8g、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライド(II)1.4g、1Mアンモニア水420mLをTHF500mLに懸濁させたものに、2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルアセチレン(実施例1において2,6−ジフルオロ−4−プロピルヨードベンゼンの代わりに2,6−ジフルオロ−4−ペンチルヨードベンゼンを用いる以外は同様にして得た。)46gをTHF70mLに溶解させた溶液を室温にて滴下し、更に9時間攪拌した。続いて飽和食塩水を加えて攪拌し、有機相を分取した。水相からTHFにて抽出後、有機相を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をカラムクロマトグラフィーにて精製した。続いて、THFに溶解させ、6M塩酸40mLを加えて攪拌したのち、有機相を分取した。水相からTHFにて抽出後、有機相を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を留去した。得られた固体を再結晶(トルエン、エタノール)により精製し、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)アニリン塩酸塩45gを得た。
【0144】
次に、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)アニリン塩酸塩45g、濃塩酸12mLをTHF550mLに溶解させた溶液を氷冷し、反応液温度が10℃を超えない速度で、亜硝酸ナトリウム9gを水60mLに溶解させた水溶液を滴下し、10℃以下で30分間攪拌してジアゾニウム塩を調製した。氷冷したフェノール14g、炭酸ナトリウム15g、水酸化ナトリウム6gを水200mLに溶解させた水溶液に、反応液温度が10℃を超えない速度で、先ほど調製した溶液を滴下し、更に10℃以下で3時間攪拌した。続いて、10%塩酸150mL、THFを加えて攪拌し、有機相を分取した。水相からTHFにて抽出後、有機相を合わせ、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー及び再結晶(メタノール)により精製し、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−ヒドロキシアゾベンゼン15gを得た。
【0145】
次に、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−ヒドロキシアゾベンゼン15g、炭酸カリウム8g、1−ヨードプロパン10gをアセトン65mL、THF65mL及びDMF10mLに懸濁させた溶液を、60℃にて13時間攪拌した。吸引濾過することより固形分を除去した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形分をトルエンに溶解させ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー及び再結晶(アセトン)にて精製し、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼン9gを得た。
1H−NMR (400 MHz, CDCl
3):0.90(t,J=6.8Hz,3H),1.07(t,J=7.2Hz,3H),1.29−1.37(m,4H),1.62(q,J=7.6Hz,2H),1.86(quintet,J=6.8Hz,2H),2.61(t,J=7.6Hz,2H),4.02(t,J=6.8Hz,2H),6.78(d,J=8.0Hz,2H),7.01(d,J=9.2Hz,2H),7.67(d,J=8.4Hz,2H),7.87(d,J=7.8Hz,2H),7.92(d,J=8.8Hz,2H).
MS m/z:446[M
+]
相転移温度(℃):Cr 100 N 230 Iso
(実施例6)4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−(1−ペンチニル)アゾベンゼンの製造
【0146】
【化38】
【0147】
4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−ヒドロキシアゾベンゼン(実施例5と同様な方法にて合成した。)10gとピリジン3gをジクロロメタン25mLに溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物7.7gのジクロロメタン溶液15mLを反応液温度が10℃を超えない速度で滴下し、10℃以下の温度を維持したまま1時間攪拌した。反応混合物に10%塩酸を加え攪拌後、有機相を分取し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーにて精製し、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’トリフルオロメタンスルホニルオキシアゾベンゼン13gを得た。
【0148】
次に、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’トリフルオロメタンスルホニルオキシアゾベンゼン13g、ヨウ化銅(I)0.18g、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.56g、トリエチルアミン8mLをDMF17mL中で40℃に加熱し、1−ペンチン2.5gをDMF4mLに溶解させた溶液を滴下し、更に5時間攪拌した。冷却後、反応混合物にトルエン、10%塩酸を加えて攪拌し、有機相を分取した。水相をトルエンにて抽出後、有機相を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー、再結晶(アセトン、メタノール)により精製し、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−(1−ペンチニル)アゾベンゼン4.4gを得た。
【0149】
MS m/z:454[M
+]
(比較例1)4−(4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼンの製造
2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルアセチレンの代わりに、4−ペンチルアセチレンを用いる以外は、実施例5と同様にして4−(4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼンを得た。
【0150】
1H−NMR (400 MHz, CDCl
3):0.90(t,J=6.4Hz,3H),1.07(t,J=7.6Hz,3H),1.32−1.37(m,4H),1.63(q,J=6.8Hz,2H),1.85(quintet,J=7.2Hz,2H),2.62(t,J=7.2Hz,2H),4.01(t,J=6.8Hz,2H),7.01(d,J=8.8Hz,2H),7.18(d,J=8.0Hz,2H),7.47(d,J=8.0Hz,2H),7.64(d,J=8.0Hz,2H),7.85−7.97(m,4H).
MS m/z:410[M
+]
相転移温度(℃):Cr 133 N 206 Iso
(実施例7) 液晶組成物の調製−1
以下の組成からなるホスト液晶組成物(H)
【0151】
【化39】
【0152】
を調製した。ここで、(H)の物性値は以下の通りである。
【0153】
ネマチック相上限温度(T
N−I):77.9℃
屈折率異方性(Δn):0.1024
この母体液晶(H)90%と、実施例1で得られた4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼン10%からなる液晶組成物(M−A)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
【0154】
T
N−I:87.5℃
Δn: 0.1430
4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンを含有する液晶組成物(M−A)は、母体液晶(H)に比べ、40%も大きなΔnの値を示した。このことから、4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンは極めて大きなΔnの値を有することがわかる。
【0155】
又、液晶組成物(M−A)は、4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンが10%も含まれているが、1週間経過後でも析出が見られず、安定な液晶相を示した。このことから本願化合物が他の液晶組成物と優れた相溶性を示すこともわかった。更に、液晶組成物(M−A)のT
N−Iは、母体液晶に比べて9.6℃も高く、4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンを添加した液晶組成物は良好なネマチック液晶性を有することがわかる。
【0156】
また、この液晶組成物(M−A)を用いて作成したコレステリック液晶表示素子は優れた表示特性を示すことがわかった。
(実施例8)液晶組成物の調製−2
母体液晶(H)90%と、実施例2で得られた4−(2,6−ジフルオロ−4−エチルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼン10%からなる液晶組成物(M−B)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
【0157】
T
N−I:86.7℃
Δn:0.1432
4−(2,6−ジフルオロ−4−エチルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンを含有する液晶組成物(M−B)は、母体液晶(H)に比べ、40%も大きなΔnを示した。このことから、4−(2,6−ジフルオロ−4−エチルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンは極めて大きなΔnの値を有することがわかる。
【0158】
又、液晶組成物(M−B)は、4−(2,6−ジフルオロ−4−エチルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンが10%も含まれているが、析出を起こさず安定な液晶相を示したことから、本願化合物が他の液晶組成物と優れた液晶性及び相溶性を示すこともわかった。さらに、液晶組成物(M−B)のT
N−Iは、母体液晶に比べて8.8℃も高く、4−(2,6−ジフルオロ−4−プロピルフェニルエチニル)−4’−エチルアゾベンゼンは良好なネマチック液晶性を有することがわかる。
【0159】
また、この液晶組成物(M−B)を用いて作成したコレステリック液晶表示素子は優れた表示特性を示すことがわかった。
(実施例9)液晶組成物の調製−3
母体液晶(H)90%と、実施例3で得られた4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼン10%からなる液晶組成物(M−C)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
【0160】
T
N−I:89.8℃
Δn:0.1440
4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼンを含有する液晶組成物(M−C)は、母体液晶(H)に比べ、41%も大きなΔnの値を示した。このことから、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼンは極めて大きなΔnの値を有することがわかる。
【0161】
又、液晶組成物(M−C)は、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼンが10%も含まれているが、析出を起こさず安定な液晶相を示したことから、本願化合物が他の液晶組成物と優れた液晶性及び相溶性を示すこともわかった。さらに、液晶組成物(M−C)のT
N−Iは、母体液晶に比べて11.9℃も高く、4−(2,6−ジフルオロ−4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼンは良好なネマチック液晶性を有することがわかる。
【0162】
また、この液晶組成物(M−C)を用いて作成したコレステリック液晶表示素子は優れた表示特性を示すことがわかった。
(比較例2)液晶組成物の調製−4
母体液晶(H)90%と、比較例1で得られた4−(4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼン10%からなる液晶組成物(M−D)を調製した。この組成物の物性値は以下の通りである。
【0163】
T
N−I:88.1℃
Δn:0.1427
(4−(4−ペンチルフェニルエチニル)フェニル)−アゾ−(4’−プロピルオキシベンゼン)を含有する液晶組成物(M−D)は、母体液晶(H)に比べ、39%大きなΔnの値を示した。このことから、4−(4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼンは大きなΔnの値を有することがわかる。
【0164】
しかしながら、液晶組成物(M−D)を室温にて1週間放置したところ液晶組成物中に結晶が析出していることが観察された。このことから、4−(4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼンは他の液晶化合物との相溶性が低いことがわかる。
【0165】
以上のように、一般式(1)で表される本願発明化合物は、極めて大きなΔnを示すことがわかった。又、比較例1で合成した4−(4−ペンチルフェニルエチニル)−4’−プロピルオキシアゾベンゼンに比べて、他の液晶組成物との相溶性が高いことがわかる。又、式(E)及び(F)で表される公知化合物はスメクチック相を示すのに対し、一般式(1)で表される本願発明化合物は、ネマチック相のみを示し、スメクチック相を持たないことが明らかとなった。このことから本願発明化合物は、広い温度範囲でネマチック相を示していると考えられる。