【実施例】
【0042】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
アルゴンガス雰囲気にしたグローブボックス内に、マントルヒーターにセットした容量300mLの磁器製ビーカーと、この磁器製ビーカーにガラス製攪拌羽根を取り付けた攪拌装置とを設置した。
【0044】
アトマイズCu粉末(平均粒径106μm、酸素:0.04wt%)を68.0g、Gaの小片を32.0g秤量し、ビーカーに投入して攪拌しながら300℃、45分間、アルゴンガス雰囲気中で加熱混合を実施した。その結果、得られた粉末は、Cu粉の色ではなく灰白色の粉であった。
【0045】
また、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)(JXA−8100:日本電子株式会社製)により、得られた粉末の断面を、加速電圧15kVでマッピング分析を行った。
図3は、EPMAマッピング分析によるCu−Ga合金粉末の断面写真である。この
図3において、(A)はCu−Ga合金粉末の二次電子像、(B)はCuマッピング像、(C)はGaマッピング像である。このマッピング像は、Cu濃度又はGa濃度が青〜赤で示され、濃度が高いほど赤色で示される。Cuマッピング像では、粉末内部が赤色、粉末表面が水色であり、Gaマッピング像では、粉末内部が黒色、粉末表面が橙色であることから、Cu−Ga合金粉末は、Cu粉末の表面にCu−Ga二元系合金層が形成されていることが分かった。
【0046】
次に、プレス機、及び100mm×100mm角のプレス型を用い、Cu−Ga合金粉末を196MPaの圧力にてプレス成形した。この成形体を真空焼結炉(島津メクテム株式会社製)で真空度が2×10
−2Pa、温度が700℃の条件で、1時間、焼結を行い、長さ100mm、幅100mm、厚さ5mmのCu−Ga合金焼結体を作製した。
【0047】
このようにして得られたCu−Ga合金焼結体の組成の均一性を評価するために、焼結体の一部を切断し、断面のEPMAマッピング分析を行った。
図4は、EPMAマッピング分析によるCu−Ga合金焼結体の断面写真である。この
図4において、(A)はCu−Ga合金焼結体の二次電子像、(B)はCuマッピング像、(C)はGaマッピング像である。マッピング像は、
図3と同様に、濃度が青〜赤で示され、濃度が高いほど赤色で示される。この
図4に示す結果より、Cu−Ga合金焼結体のCuとGaとが均一に合金化されていることが分かった。
【0048】
また、Cu−Ga合金焼結体を、平面研削を行い、機械加工により長さ100mm、幅100mm、厚さ4mmのサイズに仕上げ、Cu製バッキングプレートにボンディングしてCu−Ga合金スパッタリングターゲットとした。
【0049】
(実施例2)
原料のCu粉末を、アトマイズCu粉末(平均粒径37μm、酸素:0.03wt%)としたこと、及び加熱温度を400℃、加熱時間を2時間としたこと以外は実施例1と同様にして、Cu−Ga合金粉末を作製した。得られたCu−Ga合金粉末は、灰白色の粉であった。
【0050】
また、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)(JXA−8100:日本電子株式会社製)により、得られた粉末の断面を、加速電圧15kVでマッピング分析を行った。
図5は、EPMAマッピング分析によるCu−Ga合金粉末の断面写真である。この
図5において、(A)はCu−Ga合金粉末の二次電子像、(B)はCuマッピング像、(C)はGaマッピング像である。マッピング像は、
図3と同様に、濃度が青〜赤で示され、濃度が高いほど赤色で示される。
図5に示す結果よりCu−Ga合金粉末は、Cu粉末の内部にもCu−Ga二元系合金が形成された均一組成であることが分かった。
【0051】
また、このCu−Ga合金粉末を用い、実施例1と同様にしてCu−Ga合金スパッタリングターゲットを作製した。
【0052】
(実施例3〜11、比較例1〜3)
実施例3〜9、比較例1〜3では、原料のCu粉末とGaの混合割合を表1に示すものにした以外は、実施例1と同様にしてCu−Ga合金粉末を得た。また、実施例10では、Cu粉末を電解粉(平均粒径37μm)とした以外は、実施例1と同様にしてCu−Ga合金粉末を得た。また、実施例11では、平均粒径45μmのアトマイズCu粉末を用いた以外は、実施例1と同様にしてCu−Ga合金粉末を得た。また、実施例8の焼結温度を500℃、実施例9及び比較例3の焼結温度を400℃とした以外は、実施例1と同様にしてCu−Ga合金スパッタリングターゲットを作製した。
【0053】
表1に、実施例1〜11、及び比較例1〜3の評価結果を示す。ここで、収率は、原料の投入総重量に対する得られる粉末重量の割合で評価を行った。収率が97%以上であれば優良、90〜97%であれば良、90%以下であれば不良と判断した。また、焼結体の組成の均一性評価は、焼結体の厚み方向における中心部の断面における10mm角の領域を、任意に10箇所選択し、EPMAマッピング分析により求めたGa濃度のバラツキが、±5%以内なら良、±5%を超えたら不良と判断した。また、焼結体の加工性評価は、平面研削後の焼結体のエッジ長さ10cm当たりの欠けの個数を調べ、1個未満なら優良、1個以上、3個未満なら良、3個以上は不良と評価した。
【0054】
【表1】
【0055】
また、実施例12〜実施例17では、合金化温度、熱処理温度等の条件を変えて、Cu−Ga合金スパッタリングターゲットを作製した。
【0056】
(実施例12)
アルゴンガス雰囲気にしたグローブボックス内で、テフロン樹脂製の300mLボールミル用円筒容器内に、アトマイズCu粉末(平均粒径5μm、酸素:0.12wt%)を68.0g、Ga小片を32.0g、及び直径10mmのジルコニア製ボール40個を投入し、テフロン容器蓋で密閉してアルゴンガスを封入した。70℃に加熱したオーブン内にボールミル架台を設置し、円筒容器をセットして回転数30rpm、1時間のアルゴンガス雰囲気中の加熱混合を行った。円筒容器を取り出して室温まで冷却した後に、容器蓋を開けて内容物を取り出したところ、灰白色の粉が得られた。
【0057】
この粉をArガス雰囲気中、480℃、1時間の条件で熱処理した。熱処理粉の断面をEPMA観察した結果、粉の中心部はCu又はGaが固溶したCu−Ga合金相、外周部はGa濃度30〜70質量%のCu−Ga合金相から構成されたCu−Ga合金粉末であった。また、このCu−Ga合金粉末のGa濃度及び酸素含有量を分析したところ、Ga濃度が32.1質量%、酸素含有量が0.10質量%であった。すなわち、Cu−Ga合金粉末の組成は、Cu−Ga合金粉末作製のために配合した原料組成と同じであることが確認された。また、原料のCu粉と得られたCu−Ga合金粉末の酸素量の比較により、Cu−Ga合金粉末作製中に酸化が防止されていることが確認された。
【0058】
また、このCu−Ga合金粉末を内径60mmの黒鉛型に投入し、ホットプレス装置(大亜真空株式会社製)にて、真空度5×10
−3Pa、圧力25MPa、温度700℃、1時間の条件でホットプレスを実施して、直径60mm、厚み3mmの焼結体を作製した。ターゲット体の寸法と重量から求めた密度は、8.32g/cm
3であった。また、ターゲット体の一部を切断サンプリングして断面をSEM観察した結果、空孔は認められず、緻密であった。また、EPMA観察した結果、Ga濃度の偏析はなく、ばらつきは±5%以内であり、均一なCu−Ga合金組織であることが分かった。
【0059】
また、このターゲット体をCu製バッキングプレートにボンディングしてCu−Ga合金ターゲットを作製した。そして、このターゲットをスパッタ装置(SH−450、アルバック社製)に取り付けて、アルゴンガス圧0.7Pa中でDC100Wの直流電力をターゲットに投入した結果、異常な放電やスプラッシュなどがなく、良好にスパッタすることができることが分かった。
【0060】
(実施例13)
アルゴンガス雰囲気にしたグローブボックス内に、マントルヒーターにセットした300mLのパイレックスビーカーと、ガラス製攪拌羽根を取り付けた攪拌装置とを設置した。電解Cu粉末(平均粒径97μm、酸素:0.04wt%)68g、Ga小片32gをビーカーに投入して攪拌しながら250℃、1時間のアルゴンガス雰囲気中の加熱混合を実施した。その結果、灰白色の粉が得られた。
【0061】
実施例12と同様に、このCu−Ga合金粉末をArガス雰囲気中、480℃、1時間の条件で熱処理した。熱処理粉の断面をEPMA観察した結果、実施例12と同様のCu−Ga合金粉であった。また、このCu−Ga合金粉末のGa濃度及び酸素含有量を分析したところ、Ga濃度が31.9質量%、酸素含有量が0.04質量%であった。すなわち、実施例12同様、Cu−Ga合金粉末の組成は、原料の配合組成と同じであり、Cu−Ga合金粉末作製中に酸化が防止されていることが確認された。
【0062】
また、このCu−Ga合金粉末を用いて、実施例12と同様にしてターゲット体を作製した。ターゲット体の寸法と重量から求めた密度は、8.41g/cm
3であった。また、実施例12と同様にしてターゲット体の断面をSEM観察した結果、空孔は認められず、緻密であった。またEPMA観察した結果、Ga濃度の偏析はなく、ばらつきは±5%以内であり、均一なCu−Ga合金組織であった。
【0063】
また、実施例12と同様にしてCu−Ga合金ターゲットを作製した結果、異常な放電やスプラッシュなどがなく、良好にスパッタすることができることが分かった。
【0064】
(実施例14)
アルゴンガス雰囲気にしたグローブボックス内に、マントルヒーターにセットした300mLの磁器製ビーカーと、ガラス製攪拌羽根を取り付けた攪拌装置とを設置した。アトマイズCu粉末(平均粒径38μm、酸素:0.03wt%)68.0g、Ga小片32.0gをビーカーに投入して攪拌しながら550℃、1時間のアルゴンガス雰囲気中の加熱混合を実施した。その結果、灰白色の粉が得られた。この粉の熱処理は行わなかった。
【0065】
この粉の断面をEPMA観察した結果、実施例12と同様のCu−Ga合金粉であった。また、このCu−Ga合金粉末のGa濃度及び酸素含有量を分析したところ、Ga濃度が32.1質量%、酸素含有量が0.03質量%であった。すなわち、実施例12同様、Cu−Ga合金粉末の組成は、原料の配合組成と同じであり、Cu−Ga合金粉末作製中に酸化が防止されていることが確認された。
【0066】
また、このCu−Ga合金粉末を用いて、実施例12と同様にしてターゲット体を作製した。ターゲット体の寸法と重量から求めた密度は、8.36g/cm
3であった。また、実施例12と同様にしてターゲット体の断面をSEM観察した結果、空孔は認められず、緻密であった。またEPMA観察した結果、Ga濃度の偏析はなく、ばらつきは±5%以内であり、均一なCu−Ga合金組織であった。
【0067】
また、実施例12と同様にしてCu−Ga合金ターゲットを作製した結果、異常な放電やスプラッシュなどがなく、良好にスパッタすることができることが分かった。
【0068】
(実施例15)
アトマイズCu粉末(平均粒径38μm、酸素:0.03wt%)80.0g、Ga小片20.0gとした以外は実施例14と同様にして加熱混合を実施した。その結果、灰白色の粉が得られた。この粉の熱処理は行わなかった。
【0069】
この粉の断面をEPMA観察した結果、実施例12と同様のCu−Ga合金粉であった。また、このCu−Ga合金粉末のGa濃度及び酸素含有量を分析したところ、Ga濃度が19.9質量%、酸素含有量が0.03質量%であった。すなわち、実施例12同様、Cu−Ga合金粉末の組成は、原料の配合組成と同じであり、Cu−Ga合金粉末作製中に酸化が防止されていることが確認された。
【0070】
また、このCu−Ga合金粉末を用いて、実施例12と同様にしてターゲット体を作製した。ターゲット体の寸法と重量から求めた密度は、8.31g/cm
3であった。また、実施例12と同様にしてターゲット体の断面をSEM観察した結果、空孔は認められず、緻密であった。またEPMA観察した結果、Ga濃度の偏析はなく、ばらつきは±5%以内であり、均一なCu−Ga合金組織であった。
【0071】
また、実施例12と同様にしてCu−Ga合金ターゲットを作製した結果、異常な放電やスプラッシュなどがなく、良好にスパッタすることができることが分かった。
【0072】
(実施例16)
アトマイズCu粉末(平均粒径38μm、酸素:0.03wt%)60.0g、Ga小片40.0gとした以外は実施例14と同様にして加熱混合を実施した。その結果、灰白色の粉が得られた。この粉の熱処理は行わなかった。
【0073】
この粉の断面をEPMA観察した結果、実施例12と同様のCu−Ga合金粉であった。また、このCu−Ga合金粉末のGa濃度及び酸素含有量を分析したところ、Ga濃度が40.0質量%、酸素含有量が0.03質量%であった。すなわち、実施例12同様、Cu−Ga合金粉末の組成は、原料の配合組成と同じであり、Cu−Ga合金粉末作製中に酸化が防止されていることが確認された。
【0074】
また、このCu−Ga合金粉末を用いて、ホットプレスの温度を400℃とした以外は実施例12と同様にしてターゲット体を作製した。ターゲット体の寸法と重量から求めた密度は、8.43g/cm
3であった。また、実施例12と同様にしてターゲット体の断面をSEM観察した結果、空孔は認められず、緻密であった。またEPMA観察した結果、Ga濃度の偏析はなく、ばらつきは±5%以内であり、均一なCu−Ga合金組織であった。
【0075】
また、実施例12と同様にしてCu−Ga合金ターゲットを作製した結果、異常な放電やスプラッシュなどがなく、良好にスパッタすることができることが分かった。
【0076】
(実施例17)
平均粒径178μmのアトマイズCu粉末(酸素:0.01wt%以下)を用いた以外は、実施例14と同様にして加熱混合を実施した。その結果、灰白色の粉が得られた。この粉の熱処理は行わなかった。
【0077】
この粉の断面をEPMA観察した結果、実施例12と同様のCu−Ga合金粉であった。また、このCu−Ga合金粉末のGa濃度及び酸素含有量を分析したところ、Ga濃度が32.0質量%、酸素含有量が0.01質量%以下であった。すなわち、実施例12同様、Cu−Ga合金粉末の組成は、原料の配合組成と同じであり、Cu−Ga合金粉末作製中に酸化が防止されていることが確認された。
【0078】
また、このCu−Ga合金粉末を用いて、実施例12と同様にしてターゲット体を作製した。ターゲット体の寸法と重量から求めた密度は、8.29g/cm
3であった。また、実施例12と同様にしてターゲット体の断面をSEM観察した結果、空孔は認められず、緻密であった。またEPMA観察した結果、Ga濃度の偏析はなく、ばらつきは±5%以内であり、均一なCu−Ga合金組織であった。
【0079】
また、実施例12と同様にしてCu−Ga合金ターゲットを作製した結果、異常な放電やスプラッシュなどがなく、良好にスパッタすることができることが分かった。
【0080】
(実施例18)
アルゴンガス雰囲気にしたグローブボックス内に、マントルヒーターにセットした300mLの磁器製ビーカーと、ガラス製攪拌羽根を取り付けた攪拌装置とを設置した。電解Cu粉末(平均粒径300μm、酸素:0.04wt%)68.0g、Ga小片32.0gをビーカーに投入して攪拌しながら700℃、2時間のアルゴンガス雰囲気中の加熱混合を実施した。その結果、灰色の粉が得られた。この粉の熱処理は行わなかった。この粉のEPMA断面観察した結果、実施例12と同様のCu−Ga合金粉であった。また、このCu−Ga合金粉末のGa濃度及び酸素含有量を分析したところ、Ga濃度が32.0質量%、酸素含有量が0.05%以下であった。
【0081】
また、実施例12と同様にして、このCu−Ga合金粉末を内径60mmの黒鉛型に投入し、ホットプレス装置にて、真空度5×10
−3Pa、圧力25MPa、温度700℃、2時間の条件でホットプレスを実施して、直径60mm、厚み3mmの焼結体を作製した。
【0082】
ターゲット体の寸法と重量から求めた密度は、8.30g/cm
3であった。また、ターゲット体の一部の断面観察をした結果、空孔は認められず、緻密で均一な組織であった。また、実施例12と同様にしてターゲット体の断面をSEM観察した結果、空孔は認められず、緻密であった。またEPMA観察した結果、Ga濃度の偏析はなく、ばらつきは±5%以内であり、均一なCu−Ga合金組織であった。
【0083】
また、実施例12と同様にしてCu−Ga合金ターゲットを作製した結果、異常な放電やスプラッシュなどがなく、良好にスパッタすることができることが分かった。
【0084】
(実施例19)
アルゴンガス雰囲気にしたグローブボックス内で、テフロン樹脂製の300mLボールミル用円筒容器内に、電解Cu粉末(平均粒径97μm、酸素:0.013wt%)を68.0g、Ga小片を32.0g、及び直径10mmのジルコニア製ボール40個を投入し、テフロン容器蓋で密閉してアルゴンガスを封入した。30℃に加熱したオーブン内にボールミル架台を設置し、円筒容器をセットして回転数30rpm、1時間のアルゴンガス雰囲気中の加熱混合を行った。円筒容器を取り出して室温まで冷却した後に、容器蓋を開けて内容物を取り出したところ、灰色の粉が得られた。
【0085】
この粉をArガス雰囲気中、480℃、1時間の条件で熱処理した。熱処理粉の断面をEPMA観察した結果、粉の中心部はCu又はGaが固溶したCu−Ga合金相、外周部はGa濃度30〜70質量%のCu−Ga合金相から構成されたCu−Ga合金粉末であった。熱処理粉の断面をEPMA観察した結果、実施例12と同様のCu−Ga合金粉であった。また、このCu−Ga合金粉末のGa濃度及び酸素含有量を分析したところ、Ga濃度が32.1質量%、酸素含有量が0.02質量%であった。すなわち、実施例12同様、Cu−Ga合金粉末の組成は、原料の配合組成と同じであり、Cu−Ga合金粉末作製中に酸化が防止されていることが確認された。
【0086】
また、このCu−Ga合金粉末を用いて、実施例12と同様にしてターゲット体を作製した。ターゲット体の寸法と重量から求めた密度は、8.41g/cm
3であった。また、実施例12と同様にしてターゲット体の断面をSEM観察した結果、空孔は認められず、緻密であった。またEPMA観察した結果、Ga濃度の偏析はなく、ばらつきは±5%以内であり、均一なCu−Ga合金組織であった。
【0087】
また、実施例12と同様にしてCu−Ga合金ターゲットを作製した結果、異常な放電やスプラッシュなどがなく、良好にスパッタすることができることが分かった。
【0088】
(実施例20)
アトマイズCu粉末(平均粒径1μm、酸素:0.18wt%)を用いた以外は実施例12と同様にして加熱混合を行った結果、灰色の粉が得られた。この粉を実施例12と同様に熱処理してEPMA観察した結果、実施例12と同様のCu−Ga合金粉であった。また、このCu−Ga合金粉末のGa濃度及び酸素含有量を分析したところ、Ga濃度が32.2質量%、酸素含有量が0.19%であった。
【0089】
また、実施例12と同様にこのCu−Ga合金粉末を用いてターゲット体を作製し、寸法と重量から求めた密度は、8.34g/cm
3であった。また、実施例12と同様にしてターゲット体の断面をSEM観察した結果、空孔は認められず、緻密であった。またEPMA観察した結果、Ga濃度の偏析はなく、ばらつきは±5%以内であり、均一なCu−Ga合金組織であった。
【0090】
また、実施例12と同様にしてCu−Ga合金ターゲットを作製した結果、異常な放電やスプラッシュなどがなく、良好にスパッタすることができることが分かった。
【0091】
表2、3に、実施例12〜20の評価結果を示す。
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
以上の結果より、Cu粉末、Gaをそれぞれ加熱しながら攪拌することにより、Cu−Ga合金粉末が得られ、これを用いて焼結することにより組成が均一なCu−Ga合金スパッタリングターゲットが容易に得られることが分かった。したがって、本発明によれば、従来のようにCuとGaを一旦高温で溶解鋳造した後、Cu−Ga合金インゴットを粉砕するような工程を必要としないため、安価にCu−Ga合金粉末を得ることができる。