(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱伝導性フィラー(B)が、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ベリリア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ダイヤモンドから選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂およびその硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物は、耐熱性、低吸湿性等の諸物性に優れる点から、半積層板樹脂材料、電気絶縁材料、半導体封止材料、繊維強化複合材料、塗装材料、成型材料、接着材料等で広く用いられている。
【0003】
近年、これらの各種用途、とりわけ先端材料分野において、耐熱性に代表される耐久性能の一層の向上が求められている。中でも、電子部品の小型化・高集積化に伴い、基板や回路、そしてモジュールを結合させるために、高い耐熱性を示す接着剤が求められている。特に、高熱化しやすい半導体モジュールを正常に作動させるためには、高い耐熱性に加えて、放熱性も有する熱伝導性接着剤が、近年特に求められている。
特に、パワー半導体と言われる次世代の半導体モジュールにおいては、200℃を超える温度で作動することが予想されるため、200℃以上の高温にも耐えうる熱伝導性接着剤の開発が急務になっている。
【0004】
熱伝導性の接着剤としては、エポキシ化合物とエポキシ基含有アクリルポリマーと熱伝導性フィラーとを有する熱伝導性接着剤が開示されている(特許文献1)。しかし、150℃までの耐熱性は試験されているものの、200℃を超えるような高温状態に対する耐熱性は課題として残されている。
【0005】
一方で、高度な耐熱性の要求に対応できるエポキシ樹脂材料として、例えば、下記構造式1
【0006】
【化1】
で表される四官能型ナフタレン系エポキシ樹脂が知られている(特許文献2)。
【0007】
上記の四官能型ナフタレン系エポキシ樹脂は、一般的なフェノールノボラック型エポキシ樹脂と比較して、耐熱性および疎水性が高いナフタレン骨格を有すること、四官能であり、その硬化物の架橋密度が高いこと、対称性に優れる分子構造を持つことから、その硬化物は極めて優れた耐熱性を発現する。しかしながら、近年、耐熱性においてはより高い性能が求められ、一層の改善が必要となっている。
【0008】
前記の四官能型ナフタレン系エポキシ樹脂において、メチレン構造は高温に比較的弱いため、ナフタレン環がメチレン構造を介した結合ではなく直接の結合とする事が、耐熱性を向上する手段として有効であると考えられる。ジヒドロキシナフタレンの2量体において、メチレン構造を含まず、直接に単結合で繋がれたビ(ジヒドロキシナフタレン)構造のエポキシ樹脂の記載がある(特許文献3〜6)。ジヒドロキシナフタレンの水酸基の位置や2量体の結合位置は、それを用いたエポキシ樹脂の軟化点、溶剤溶解性、およびその硬化物の耐熱性等の物性に影響を与える重要因子であるが、特許文献3〜6はいずれも、ジヒドロキシナフタレンの水酸基の位置や2量体の結合位置が特定しておらず、具体的な化合物についての記載がない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるエポキシ樹脂は、2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレンを主成分とするものであり、次の構造式(2)で示されるものである。
【0020】
本発明に用いるエポキシ樹脂の原料となる1,1’−ビナフタレン−2,2’,7,7’−テトラオールは、ジヒロキシナフタレンのカップリング反応によって得られる。ジヒドロキシナフタレンのカップリング反応において、2,7−ジヒドロキシナフタレンが、1,1’位で選択的にカップリング反応を起こし、多量体化し難い上、類似構造の1,1’−メチレンビス(ナフタレン−2,7−ジオール)に比較して、低融点を有し、さらにそのグリシジルエーテル化物は、1,1’−メチレンビス(ナフタレン−2,7−ジオール)の四官能グリシジルエーテル化物に比べ、低軟化点で、低粘度である。
以下に、本発明に用いるエポキシ樹脂の製法を詳述するが、本発明のエポキシ樹脂の製造方法はこれらに限定されるものではない。
【0021】
すなわち、本発明に用いるエポキシ樹脂の製法は1,1’−ビナフタレン−2,2’,7,7’−テトラオールとエピハロヒドリンを反応させるものである。具体的には、例えばフェノール化合物中のフェノール性水酸基のモル数に対し、エピハロヒドリンを2〜10倍量(モル基準)となる割合で添加し、更に、フェノール性水酸基のモル数に対し0.9〜2.0倍量(モル基準)の塩基性触媒を一括添加または徐々に添加しながら20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法が挙げられる。この塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は、連続的に添加すると共に、反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ、更に分液して水は除去しエピハロヒドリンは反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい。
【0022】
なお、工業生産を行う際、エポキシ樹脂生産の初バッチでは仕込みに用いるエピハロヒドリン類の全てが新しいものであるが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリン類と、反応で消費される分で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリン類とを併用することが可能であり、経済的に好ましい。この時、使用するエピハロヒドリンは特に限定されないが、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられる。なかでも工業的入手が容易なことからエピクロルヒドリンが好ましい。
【0023】
また、前記の塩基性触媒は、具体的には、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ樹脂合成反応の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。使用に際しては、これらの塩基性触媒を10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。また、有機溶媒を併用することにより、エポキシ樹脂の合成における反応速度を高めることができる。このような有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜2種以上を併用してもよい。
【0024】
前述のエポキシ化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下、蒸留によって未反応のエピハロヒドリンや併用する有機溶媒を留去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量としては、用いるエポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜3.0質量部となる割合であることが好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下にトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより目的とする本発明の必須成分であるエポキシ樹脂を得ることができる。
【0025】
次に、本発明の硬化性樹脂組成物は、以上詳述したエポキシ樹脂と熱伝導性フィラーを含有するものであるが、該エポキシ樹脂は、オリゴマー成分を含有する製造時の反応生成物として用いて良い。
【0026】
さらに、本発明の硬化性組成物で用いられる熱伝導性フィラー(B)として、公知慣用の金属系ファイラー、無機化合物フィラー、炭素系フィラー等が使用される。具体的には、例えば、銀、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属系フィラー、アルミナ、マグネシア、ベリリア、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン等の無機系フィラー、ダイヤモンド、黒鉛、グラファイト、炭素繊維等の炭素系フィラーなどが挙げられる。少なくとも1種の熱伝導性フィラーが選択されて使用されるが、結晶形、粒子サイズ等が異なる1種あるいは複数種の熱伝導性フィラーを組み合わせて使用する事も可能である。電子機器等の用途で放熱性が必要とされる場合には、電気絶縁性が求められる事が多く、これらのフィラーの内、熱伝導性と体積固有抵抗のいずれも高い、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ベリリア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ダイヤモンドから選択される少なくとも1種の絶縁性の熱伝導性フィラーの使用が好ましい。硬化性組成物に対する熱伝導性フィラーの充填量に限りがあり、充填量が多くなりすぎると接着性等の物性を低下させてしまうため、熱伝導率の高い熱伝導フィラーの使用が好ましく、10W/m・K以上の熱伝導性フィラーの使用がより好ましい。
【0027】
中でもアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化マグネシウムが熱伝導性と絶縁性の確保の点で好ましく、特にアルミナが熱伝導性と絶縁性に加えて樹脂に対する充填性が良くなるのでより好ましい。
【0028】
これらの熱伝導性フィラーとして、表面処理を行ったものを使用する事もできる。例えば、無機系フィラーなどは、シラン系、チタネート系およびアルミネート系カップリング剤などで、表面改質されたものを使用する事ができる。
【0029】
硬化性樹脂組成物の流動性やその硬化物の熱伝導率をから、前記のカップリング剤で、処理した熱伝導性フィラーを用いた方が良い場合が多く、例えば、表面処理により、硬化物における樹脂と熱伝導性フィラーの密着性が更に高められ、樹脂と熱伝導性フィラーの間での界面熱抵抗が低下し、熱伝導性が向上する。
【0030】
カップリング剤の中でも、シラン系カップリング剤の使用が好ましく、例えば、シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β(3,4エポキシシンクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシリメトキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0031】
表面処理は、公知慣用のフィラーの表面改質方法により行え、例えば、流体ノズルを用いた噴霧方式、せん断力のある攪拌、ボールミル、ミキサー等の乾式法、水系または有機溶剤系等の湿式法を採用することができる。せん断力を利用した表面処理は、熱伝導性フィラーの破壊が起こらない程度にして行うことが望ましい。
【0032】
乾式法における系内温度ないしは湿式法における処理後の乾燥温度は、表面処理剤の種類に応じ熱分解しない領域で適宜決定される。例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシランで処理する場合は、80〜150℃の温度が望ましい。
【0033】
上記の熱伝導性フィラーの平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限が0.2μm、好ましい上限が50μmである。上記の熱伝導性フィラーの平均粒子径が0.2μm未満であると、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなって、作業性等が低下することがある。上記の熱伝導性フィラーの平均粒子径が50μmを超えたものを多量に使用すると、硬化性樹脂組成物の硬化物と基材との接着力が不足して、電子部品の反りが大きくなったり、冷熱サイクル下等においてクラック又は剥離が生じたり、接着界面で剥離が生じたりすることがある。上記の熱伝導性フィラーの平均粒子径のより好ましい下限は0.4μm、より好ましい上限は20μmである。
【0034】
上記の熱伝導性フィラーの形状は特に限定されないが、熱伝導性樹脂エポキシ組成物の流動性からは真球に近い方が好ましい。例えば、アスペクト比(粒子の短径の長さに対する粒子の長径の長さの比(長径の長さ/短径の長さ))は、特に限定されないが、1に近いほど好ましく、好ましくは、1〜80であり、さらに好ましくは1〜10である。
【0035】
上記の熱伝導性フィラーの熱伝導性組成物中の含有量は特に限定されず、用途で求められる熱伝導率の程度に応じて配合されるが、好ましくは、硬化性樹脂組成物の100重量部中、上記の熱伝導性フィラーの含有量は40〜90重量部である。上記の熱伝導性フィラーの含有量が40重量部未満であると、硬化性樹脂組成物は充分な熱伝導性が得られない。上記の熱伝導性フィラーの含有量が90重量部を超えると、熱伝導性樹脂組成物の硬化物と基材の接着力が不足して、電子部品の反りが大きくなったり、冷熱サイクル下等においてクラック又は電子部品の剥離が生じたり、接着界面で剥離が生じたりする。また、上記の熱伝導性フィラーの含有量が90重量部を超えると、硬化性樹脂組成物の粘度が高くなって塗布性、作業性等が低下する。熱伝導性フィラーの機能を効果的に発現し、高い熱伝導性を得るためには、熱伝導性フィラーが高充填されている方が好ましく、60〜90重量部の使用が好ましい。硬化性樹脂組成物の流動性も考慮すると、より好ましくは、60〜85重量の使用である。
【0036】
上記の熱伝導性フィラーは、2種類以上の粒子径の異なるものを混合して用いることが好ましく、これにより大粒子径の熱伝導性フィラーの空隙に小粒子径の熱伝導性フィラーがパッキングされることによって、単一粒子径の熱伝導性フィラーのみを使用するよりも密に充填されるために、より高い熱伝導率を発揮することが可能である。具体的には、酸化アルミニウムを使用した場合、熱伝導性フィラー中、平均粒子径5〜20μm(大粒子径)を45〜75重量%、平均粒子径0.4〜1.0μm(小粒子径)を25〜55重量%の範囲の割合で混合すると、熱伝導率の温度依存性が小さくなるので好ましい。
【0037】
本発明の樹脂組成物は、硬化剤を含有してもよい。硬化剤としては特に限定はなく、通常のエポキシ樹脂の硬化剤として常用されている化合物は何れも使用することができ、例えば、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。具体的には、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられ、アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、レゾルシンノボラック樹脂に代表される多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。これらの硬化剤は、単独でも2種類以上の併用でも構わない。
【0038】
これらの中でも、高い接着性を発現するためには、接着面に硬化性樹脂組成物が均質に塗布された方が良く、液状あるいは固形であっても低温で高い流動性を示すものが求められるため、液状のものあるいは100℃以下の低温で液状になる硬化剤の使用が好ましい。その様な硬化剤として、酸無水物系化合物が挙げられ、中でも、常温で液状のメチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸の使用が好ましい。
【0039】
本発明の硬化性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂と硬化剤の配合量としては、特に限定されるものではないが、得られる硬化物特性が良好である点から、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基が0.7〜1.5当量になる量が好ましい。
【0040】
また必要に応じて本発明の硬化性樹脂組成物に硬化促進剤を適宜併用することもできる。硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。
【0041】
本発明の硬化性樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分として、前記した2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレンを単独で用いてもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で他のエポキシ樹脂を併用して用いても良い。具体的には、エポキシ樹脂成分の全質量に対して前記のエポキシ樹脂が30質量%以上、好ましくは40質量%以上となる範囲で他のエポキシ樹脂を併用することができる。
【0042】
ここで前記の2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレンと併用され得る他のエポキシ樹脂としては、種々のエポキシ樹脂を用いることができるが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0043】
この中でも基材の接着性の高い硬化性樹脂組成物を得るためには、液状あるいは比較的低温で液化するものの使用が好ましく、例えば、液状であるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の平均分子量が約400以下のもの;p−グリシジルオキシフェニルジメチルトリスビスフェノールAジグリシジルエーテルのような分岐状多官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;レゾルシン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂の平均分子量が約570以下のもの;ビニル(3,4−シクロヘキセン)ジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)5,1−スピロ(3,4−エポキシシクロヘキシル)−m−ジオキサンのような脂環式エポキシ樹脂;3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシビフェニルのようなビフェニル型エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、3−メチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルのようなグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ならびに1,3−ジグリシジル−5−メチル−5−エチルヒダントインのようなヒダントイン型エポキシ樹脂;ナフタレン環含有エポキシ樹脂、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのようなシリコーン骨格をもつエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0044】
また、本発明の硬化性樹脂組成物を液状あるいは固形であっても低温で高い流動性を示すものにするために、エポキシ基を持つ液状の化合物、いわゆる反応性希釈剤を使用しても良く、その様な化合物として、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−s−ブチルフェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、α−ピネンオキシドのようなモノエポキシド化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグルシジルエーテル、ブタンジオールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのようなジエポキシド化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルのようなトリエポキシド化合物、アリルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジル、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンのような他の官能基を有するモノエポキシド化合物等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱物性から、2官能性以上のものの使用が好ましい。
【0045】
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じてその他の配合物を含有してもよく、発明の効果を損ねない範囲で、外部滑剤、内部滑剤、酸化防止剤、難燃剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ガラス繊維、カーボン繊維等の補強材、熱伝導性フィラー以外のフィラー、各種着色剤等を添加してもよい。また、接着性を調整するために、シリコーンオイル、液状ゴム、ゴム粉末、熱可塑性樹脂等のアクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体などのブタジエン系共重合体ゴムやシリコーン系化合物などの低応力化剤(応力緩和剤)の使用も可能である。
【0046】
本発明の硬化性樹脂組成物は、2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレン、熱伝導性フィラーおよび/または硬化剤、さらに必要に応じてその他の配合物を混合することにより得られる。その混合方法に特に限定はなく、公知慣用の方法により、混合される。一般的な手法としては、所定の配合量の原材料をミキサー等によって充分に混合した後、三本ロール等で混練し、流動性ある液状の組成物として、あるいは、所定の配合量の原材料をミキサー等によって充分に混合した後、ミキシングロール、押出機等で、溶融混練した後、冷却、粉砕する事で、固形の組成物として得られる。その混合状態は、エポキシ化合物と硬化剤が充分に均一に混合されていれば良いが、熱伝導性フィラーも均一に分散混合された方がより好ましい。
【0047】
本発明の硬化性樹脂組成物から硬化物を得る方法としては、一般的な硬化性樹脂組成物の硬化方法に準拠すればよいが、例えば加熱温度条件は、組み合わせる硬化剤の種類や用途等によって、適宜選択すればよいが、上記方法によって得られた組成物を、室温〜250℃程度の温度範囲で加熱すればよい。
【0048】
本発明の熱伝導性組成物は接着剤として、パワーモジュールなどの電気・電子機器の放熱させたい部位と放熱部材(例えば、金属板やヒートシンク)を接着させ、良好な放熱を発現させるために使用される。その際の使用される熱伝導性組成物の形態には特に制限はないが、液状あるいはペースト状に設計した熱伝導性組成物の場合は、液状あるいはペースト状の熱伝導性組成物を接着面の界面に注入後、接着し、硬化させれば良い。固形状に設計されたものは、粉体状、チップ状あるいはシート状にしたものを、接着面の界面に置き、熱溶融させる事で接着し、硬化させれば良い。
【実施例】
【0049】
本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。
【0050】
尚、150℃における溶融粘度及びGPC、MSスペクトルは以下の条件にて測定した。
1)150℃における溶融粘度:ASTM D4287に準拠
2)軟化点測定法:JIS K7234
3)GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折率計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
移動相: テトラヒドロフラン
流速: 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
4)NMR:日本電子株式会社製 NMR LA300
5)MS :日本電子株式会社製 ガスクロマトグラフ飛行時間質量分析計JMS−T100GC
【0051】
合成例1
温度計、撹拌機、還流冷却器を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、塩化鉄(III)六水和物139g(0.5モル)、水1330mLを仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した後、ナフタレン−2,7−ジオール82g(0.5モル)をイソプロピルアルコール190mLにあらかじめ溶解した溶液を加え、40℃で30分撹拌した。塩化鉄(III)六水和物139g(0.5モル)及び水664mL、イソプロピルアルコール94mLの混合溶液を加え、40℃まで昇温してから、さらに1時間撹拌した。反応液に酢酸エチル500mLを加え、10分撹拌した。反応液を分液漏斗に移し、有機層を分離した後、さらに、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した。真空下で溶媒を200mL程度になるまで留去した後、溶液を温度計、攪拌機、ディーンスタークトラップを備えたSUS容器に移し、トルエン5Lを加えた後、溶媒を酢酸エチル及び水からトルエンに置換した。トルエン溶液を室温まで冷却した後、不溶物をろ別した。ろ液を温度計、攪拌機、ディーンスタークトラップを備えたSUS容器に移し、撹拌しながら、沸点以上の温度に加熱し、トルエンを500mL程度になるまで留去することで濃縮し、1,1’−ビナフタレン−2,2’,7,7’−テトラオールの結晶を析出させた。析出物と溶媒を80℃以上の温度での熱時ろ過でろ取した後、110℃で5時間乾燥させ、1,1’−ビナフタレン−2,2’,7,7’−テトラオールを収量53g(収率68%)で得た。得られた1,1’−ビナフタレン−2,2’,7,7’−テトラオールは、GPCおよびMSにより、多量体化した成分を含まず、高純度であることを確認した。
【0052】
合成例2
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、合成例1で得た1,1’−ビナフタレン−2,2’,7,7’−テトラオールの79.5g(0.25モル)、エピクロルヒドリンの462g(5.0モル)、n−ブタノールの126gを仕込み溶解させた。40℃に昇温した後に、48%水酸化ナトリウム水溶液の100g(1.20モル)を8時間要して添加し、その後更に50℃に昇温し更に1時間反応させた。反応終了後、水150gを加えて静置した後、下層を棄却した。その後、150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトンの230gを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液の100gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂である2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレン(A−1)の135gを得た。得られたエポキシ樹脂(A−1)の軟化点は61℃(B&R法)、溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は1.1dPa・s、エポキシ当量は144g/当量であった。GPC測定により面積比で90%以上が目的物であり、MS測定により、2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレン(A−1)を示す542のピークを確認した。
【0053】
実施例1
合成例2で得られた本発明のエポキシ樹脂(A−1)の10g、AC−9500−SCX(アドマテックス株式会社製、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理した平均粒径10μmの酸化アルミニウム粉末)の4.2g、AC−2500−SXQ(アドマテックス株式会社製、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理した平均粒径0.6μmの酸化アルミニウム粉末)の2.8g、MHAC−P(日立化成株式会社製、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、分子量178)の10.5g、キュアゾール2P4MHZ−PW(四国化成工業株式会社製、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール)の0.1gを配合し、3本ロールで混練する事により、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用いて、60×110×0.8mmの板状試験片を作成した(仮硬化条件170℃×20分、本硬化条件170℃×2時間、250℃×8時間)。得られた板状試験片から、10×40mmに切り出した試験片を250℃に保持した乾燥機に入れ、耐熱性を評価した結果、240時間後も90%以上の重量を保持しており、高い耐熱性を示した。さらに、ガラス転移温度は285℃であった。
【0054】
実施例2
合成例2で得られた本発明のエポキシ樹脂(A−1)の8g、AC−9500−SCXの4.3g、AC−2500−SXQの2.8g、MHAC−Pの10.8g、SR−16HL(坂本薬品工業株式会社製、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エポキシ当量125)の2g、キュアゾール2P4MHZ−PWの0.1gを配合し、3本ロールで混練する事により、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、板状試験片を作成後、10×40mmの試験片を切り出し、耐熱性を評価した。240時間後も90%以上の重量を保持しており、高い耐熱性を示した。さらに、ガラス転移温度は280℃であった。
【0055】
実施例3
合成例2で得られた本発明のエポキシ樹脂(A−1)の20g、AC−9500−SCXの4.3g、AC−2500−SXQの2.9g、キュアゾール2P4MHZ−PWの1.0gを配合し、3本ロールで配合物が溶融する温度で混練する事により、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、板状試験片を作成後、10×40mmの試験片を切り出し、耐熱性を評価した。240時間後も90%以上の重量を保持しており、高い耐熱性を示した。さらに、ガラス転移温度は295℃であった。
【0056】
実施例4
表1に示した組成で、樹脂組成物、硬化物を実施例1と同様の方法で作製し、評価を行なった。評価結果は表1に纏めた。
【0057】
実施例5、6
表2に示した組成で、樹脂組成物、硬化物を実施例1と同様の方法で作製し、評価を行なった。評価結果は表2に纏めた。
【0058】
比較例1 エポキシ樹脂(A−2)
【0059】
【化3】
【0060】
上記構造式で表されるエピクロンHP−4710(DIC株式会社製4官能型ナフタレン系エポキシ樹脂、軟化点95℃150℃溶融粘度9dPa・s、エポキシ当量170g/当量)をエポキシ樹脂(A−2)とした。該エポキシ樹脂(A−2)を4.0g、AC−9500−SCXの4.3g、AC−2500−SXQの2.9g、MHAC−Pの11.1g、SR−TMP(坂本薬品工業株式会社製トリメチロールプロパンポリグリシジエーテル、エポキシ当量137)の6.0g、キュアゾール2P4MHZ−PWの0.1gを配合し、3本ロールで混練する事により、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、板状試験片を作成後、10×40mmの試験片を切り出し、耐熱性を評価した。120時間後に90%まで重量減少し、さらに、240時間後は90%以下にまで重量が減少した。
【0061】
比較例2
エポキシ樹脂(A−2)の20g、AC−9500−SCXの4.3g、AC−2500−SXQの2.9g、キュアゾール2P4MHZ−PWの1.0gを配合し、3本ロールで配合物が溶融する温度で混練する事で、樹脂組成物の作製を行なったが、混練中にゲル化し、樹脂組成物は得られなかった。
【0062】
比較例3
表2に示した組成で、樹脂組成物、硬化物を実施例1と同様の方法で作製し、評価を行なった。評価結果は表2に纏めた。
【0063】
<評価>
<耐熱性(重量保持率(%))>
得られた熱伝導性組成物を硬化する事で得た板状試験片から切り出した、10×40×0.8mmの試料片を、250℃に保持した乾燥機に保持し、時間ごとに取り出した試験片の重量を測定し、初期の試験片の重量に対する重量保持率を計算により求めた。
<ガラス転移温度(℃)>
粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置RSAII、レクタンギュラーテンション法;周波数1Hz、昇温速度3℃/min)を用いて、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度として評価した。
<熱伝導性>
得られた熱伝導性組成物を硬化する事で得た板状試験片から切り出した、60×110×0.8mmの板状試験片を作成した(プレ硬化条件170℃×20分、ポスト硬化条件170℃×2時間+250℃×8時間)。得られた板状試験片の10×10mmに切り出した試験片について、熱伝導率測定装置(LFA447nanoflash、NETZSCH社製)を用いて熱伝導率の測定を行った。
<接着強度>
得られた液状樹脂組成物を用いて、引っ張り剪断接着強さの測定を行った。被着体は幅25mm×長さ100mm×厚み1.5mmのアルミ板(A1050)を用いて、JIS K6850に準拠して試験片を作製した(硬化条件170℃×2時間+250℃×8時間)。
作製した試験片を用いて、引っ張り剪断接着強さの測定を行い、初期の接着強度を測定した。次に、同時に作製した試験片を、250℃に保持した乾燥機に保持し、時間ごとに取り出した試験片の引っ張り剪断接着強さの測定を行い、耐熱の接着強度として評価した。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
表1、2の表記は以下の通りである。
(1)エポキシ化合物(A)
(A−1) 2,2’,7,7’−テトラグリシジルオキシ−1,1’−ビナフタレン(前記の合成例2で得られた化合物)
(A−2)下記構造式で表される構造を主成分とするエポキシ樹脂、エピクロンHP−4710(DIC株式会社製、4官能型ナフタレン系エポキシ樹脂、軟化点95℃、150℃溶融粘度9dPa・s、エポキシ当量170g/当量)
【0067】
【化4】
【0068】
(2)熱伝導性フィラー(B)
(B−1)AC9500−SXC(商品名、アドマテックス株式会社製、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理した平均粒径10μmの酸化アルミニウム粉末)
(B−2)AC2500−SXQ(商品名、アドマテックス株式会社製、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理した平均粒径0.6μmの酸化アルミニウム粉末)
【0069】
(3)硬化剤
(C−1) MHAC−P(日立化成株式会社製、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、分子量178)
(C−2)リカシッド HNA−100(新日本理化株式会社製、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物/ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物)
【0070】
(4)反応性希釈剤
(TMPL)SR−TMPL(坂本薬品工業株式会社製、トリメチロールプロパンポリグリシジエーテル、エポキシ当量137)
(16HL)SR−16HL(坂本薬品工業株式会社製、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エポキシ当量125)
【0071】
(5)硬化促進剤
(2P4MHZ)キュアゾール2P4MHZ−PW(四国化成工業株式会社製、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール)