(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
20℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0の範囲であり、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14の範囲であり、20℃における粘度(η)が5から30mPa・sの範囲であり、20℃における回転粘性(γ1)が50から150mPa・sの範囲であり、ネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃の範囲である請求項1から5いずれか1項に記載の液晶組成物。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、家庭用各種電気機器、測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型、IPS(インプレーンスイッチング)型、OCB(光学補償複屈折)型、ECB(電圧制御複屈折)型、VA(垂直配向)型、CSH(カラースーパーホメオトロピック)型、あるいはFLC(強誘電性液晶)等を挙げることができる。また駆動方式としてもスタティック駆動、マルチプレックス駆動、単純マトリックス方式、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)等により駆動されるアクティブマトリックス(AM)方式を挙げることができる。
【0003】
これらの表示方式において、IPS型、ECB型、VA型、あるいはCSH型等は、Δεが負の値を示す液晶材料を用いるという特徴を有する。これらの中で特にAM駆動によるVA型表示方式は、高速で広視野角の要求される表示素子、例えばテレビ等の用途に使用されている。
【0004】
VA型等の表示方式に用いられるネマチック液晶組成物には、低電圧駆動、高速応答及び広い動作温度範囲が要求される。すなわち、Δεが負で絶対値が大きく、低粘度であり、高いネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)が要求されている。また、屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積であるΔn×dの設定から、液晶材料のΔnをセルギャップに合わせて適当な範囲に調節する必要がある。加えて液晶表示素子をテレビ等へ応用する場合においては高速応答性が重視されるため、粘度(η)の低い液晶材料が要求される。
【0005】
これまでは、Δεが負でその絶対値の大きな化合物を種々検討することにより液晶組成物の特性が改良されてきた。
【0006】
Δεが負の液晶材料として、以下のような2,3−ジフルオロフェニレン骨格を有する液晶化合物(A)及び(B)(特許文献1参照)を用いた液晶組成物が開示されている。
【0007】
【化1】
【0008】
この液晶組成物は、Δεがほぼ0である化合物として液晶化合物(C)及び(D)を用いているが、この液晶組成物は、液晶テレビ等の高速応答が要求される液晶組成物においては十分に低い粘性を実現するに至っていない。
【0009】
【化2】
【0010】
一方、式(E)で表される化合物を用いた液晶組成物も既に開示されているが、上記の液晶化合物(D)を組み合わせたΔnが小さい液晶組成物(特許文献2参照)や応答速度の改善のために液晶化合物(F)のようにアルケニル基を分子内に有する化合物(アルケニル化合物)を添加した液晶組成物(特許文献3参照)であり、高Δnと高信頼性を両立させるには更なる検討が必要であった。
【0011】
【化3】
【0012】
また、式(G)で表される化合物を用いた液晶組成物は既に開示されている(特許文献4参照)が、この液晶組成物も上記の液晶化合物(F)のようにアルケニル化合物を含む化合物を含有した液晶組成物であるため、焼き付きや表示ムラ等の表示不良が発生し易い弊害があった。
【0013】
【化4】
【0014】
なお、アルケニル化合物を含む液晶組成物の表示不良への影響については既に開示されている(特許文献5参照)が、一般的にはアルケニル化合物の含有量が減少すると液晶組成物のηが上昇し、高速応答の達成が困難になるため、表示不良の抑制と高速応答の両立が困難であった。
【0015】
このようにΔεが負の値を示す化合物と液晶化合物(C)、(D)及び(F)を組み合わせるのみでは、高いΔnと低いηを両立させ、なおかつ、表示不良のない又は抑制されたΔεが負の液晶組成物の開発は困難であった。
また、特許文献6において、(式1)で示される指数(FoM)が大きい液晶材料を使用することでホメオトロピック液晶セルの応答速度を向上させることが開示されているが、明細書中に記載されている液晶組成物の応答速度の改善は十分とは言えるものではなかった。
【0016】
【数1】
【0017】
以上のことから、液晶テレビ等の高速応答が要求される液晶組成物においては、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、固体相−ネマチック相転移温度(T
cn)が十分に低く、粘度(η)を十分に小さく、回転粘性(γ1)を十分に小さく、弾性定数(K
33)を大きくし、それと同時に焼き付きや表示ムラ等の表示不良が発生し難いという、性能と品質(信頼性)を両立することが求められていた。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の液晶組成物は、第一成分として、一般式(I−a)
【0030】
式中、R
11およびR
12は炭素原子数1から8のアルキル基又は炭素原子数2から8のアルケニル基を表し、基中の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されても良いが、R
11およびR
12のうち少なくとも一方は炭素原子数2から8のアルケニル基を表す。そのアルケニル基は、炭素原子数2から5のアルケニル基であることがより好ましく、炭素原子数2から4のアルケニル基であることが更に好ましく、炭素原子数2から3のアルケニル基であることが更に好ましい。R
11およびR
12がアルケニル基ではない場合は、炭素原子数1から8のアルキル基又は炭素原子数1から8のアルコキシ基であることが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基であることがより好ましい。
【0031】
L
11及びL
12は−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合を表すが、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、又は単結合であることが好ましい。L
11及びL
12が複数存在する場合はそれらは同一でも異なっていてもよい。
【0032】
m
11及びm
12はそれぞれ独立的に0、1又は2を表すが、m
11+m
12は1、2又は3を表すが、m
11+m
12は1又は2であることが好ましい。
【0033】
環A1及び環B1はそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表し、それぞれ独立して炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基又はニトロ基で置換されていても良いが、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、又はナフタレン−2,6−ジイル基であることがより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、又は1,4−フェニレン基であることが更に好ましい。
【0034】
環A1及び/又は環B1が複数存在する場合はそれらは同一でも異なっていてもよい。
【0035】
一般式(I−a)で表される化合物は、具体的には、式(I−A1)〜(I−A6)、(I−B1)〜(I−B6)および(I−C1)〜(I−C6)
【0039】
(式中、R
11およびR
12はそれぞれ独立的に式(I−a)中のR
11およびR
12と同じ意味を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0040】
更に、一般式(I−a)で表される化合物として、一般式(V)
【0042】
(式中、R
51及びR
52はそれぞれ独立的に式(I−a)中のR
11およびR
12と同じ意味を表す。)で表される化合物を含有することもできる。
【0043】
一般式(I−a)で表される化合物は、1種又は2種以上含有するが、2種以上含有することが好ましく、3種以上含有することが更に好ましい。
【0044】
一般式(I−a)で表される化合物は、3から60質量%含有するが、5から55質量%であることが好ましく、8から50質量%であることが更に好ましく、10から50質量%であることが特に好ましい。更に詳述すると、粘度又は回転粘性を小さくする場合にはその含有量は20から40質量%が好ましいが、低温における析出の抑制を重視する場合にはその含有量は5から30質量%が好ましく、10から25質量%が更に好ましく、10から20質量%が特に好ましい。
【0045】
本発明の液晶組成物は、第二成分として、一般式(I−b)
【0048】
式中、R
13およびR
14は炭素原子数1から8のアルキル基又は炭素原子数2から8のアルケニル基を表し、基中の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されても良いが、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基又は炭素原子数2から5のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基であることが更に好ましい。
【0049】
L
13は−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合を表すが、−CH
2CH
2−又は単結合であることが好ましく、単結合であるころがより好ましい。
【0050】
環C1及び環D1はそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表し、それぞれ独立して炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基又はニトロ基で置換されていても良いが、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基であることがより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基であることが更に好ましい。
【0051】
一般式(I−b)で表される化合物は、具体的には、式(I−D1)〜(I−D3)
【0053】
(式中、R
13およびR
14はそれぞれ独立的に式(I−b)中のR
13およびR
14と同じ意味を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0054】
第二成分は一般式(I−b)で表される化合物で構成されるが、第二成分の内、R
13およびR
14がアルケニル基ではない化合物が90〜100質量%含有する。ここでのアルケニル基とは、基中の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されているもの、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されているものも含む。
【0055】
第二成分は、3から70質量%含有するが、5から60質量%であることが好ましく、5から55質量%であることが更に好ましく、10から55質量%であることが特に好ましい。更に詳述すると、Δn及びTniを大きくする場合にはその含有量は15から60質量%が好ましいが、低温における析出の抑制を重視する場合にはその含有量は5から35質量%が好ましい。第二成分は1種又は2種以上含有するが、1種から10種が好ましく、1種から5種が更に好ましい。
【0056】
本発明の液晶組成物は、第三成分として、一般式(I−c)
【0058】
で表される化合物を含有することができる。
【0059】
式中、R
15およびR
16は炭素原子数1から8のアルキル基又は炭素原子数2から8のアルケニル基を表し、基中の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子又は塩素原子に置換されても良いが、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基であることがより好ましい。
【0060】
L
14は−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合を表すが、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−又は単結合であることが好ましく、−CH
2CH
2−又は単結合であることがより好ましく、単結合であることが更に好ましい。
【0061】
環C2及び環D2はそれぞれ独立的にトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表し、それぞれ独立して炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基又はニトロ基で置換されていても良いが、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基であることが更に好ましい。
【0062】
複数存在する環D2は同一でも異なっていてもよい。m
13は2又は3を表す。
【0063】
一般式(I−c)で表される化合物は、具体的には、
式(I−E1)〜(I−E9)
【0065】
(式中、R
15およびR
16はそれぞれ独立的に式(I−c)中のR
15およびR
16と同じ意味を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0066】
一般式(I−c)の化合物として、一般式(Np−1)及び(Np−2)
【0068】
(式中、R
Np1及びR
Np2はそれぞれ独立的に炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基を表し、基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立的に−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立的にフッ素原子に置換されても良く、
X
Np1、X
Np2、X
Np3、X
Np4及びX
Np5はそれぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表す。)で表される化合物も好ましい。PSAモード又はPSVAモード等の液晶表示素子を作製する際に用いられる重合性化合物を含有させた液晶組成物に対し、一般式(Np−1)及び(Np−2)の化合物を含有させることにより含有する重合性化合物の重合速度を十分に速くさせ、重合後の重合性化合物の残留量が無いか、十分に抑制させる効果がある。そのため、例えば、重合性化合物を重合させるためのUV照射ランプの仕様に適合させるための重合反応速度の調整剤として用いることもできる。
【0069】
第三成分は、3から40質量%含有するが、5から30質量%であることが好ましく、5から25質量%であることが更に好ましく、10から25質量%であることが特に好ましい。更に詳述すると、Δn及びTniを大きくする場合にはその含有量は15から35質量%が好ましいが、低温における析出の抑制を重視する場合にはその含有量は5から20質量%が好ましい。第三成分は1種又は2種以上含有するが、1種から10種が好ましく、1種から5種が更に好ましい。
【0070】
本発明の液晶組成物は、第一成分、第二成分及び第三成分で表される化合物の合計は80%から100%であることが好ましく、85%から100%がより好ましく、90%から100%が更に好ましく、95%から100%が特に好ましい。
【0071】
本発明の液晶組成物は、20℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0であるが、−2.0から−6.0が好ましく、−2.0から−5.0がより好ましく、−2.5から−4.0が特に好ましい。更に詳述すると液晶材料の応答速度を重視する場合は−2.0から−4.5が好ましく、駆動電圧を重視する場合は−3.5から−6.0が好ましい。
【0072】
本発明の液晶組成物は、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14であるが、0.09から0.13がより好ましく、0.09から0.12が特に好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.13であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10であることが好ましい。
【0073】
本発明の液晶組成物は、20℃における粘度(η)が5から30mPa・sであるが、10から25mPa・sであることがより好ましく、10から22mPa・sであることが特に好ましい。
【0074】
本発明の液晶組成物は、20℃における回転粘性(γ
1)が60から150mPa・sであるが、60から110mPa・sであることがより好ましく、60から100mPa・sであることが特に好ましい。
【0075】
本発明の液晶組成物は、ネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)が60℃から120℃であるが、70℃から100℃が更に好ましく、70℃から85℃が特に好ましい。
【0076】
本発明の液晶組成物は、弾性定数(K
33)が12.5以上であるが、13.0以上が好ましく、13.5以上が更に好ましく、14.0以上が特に好ましい。
【0077】
本発明の液晶組成物は、上述の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などを含有しても良い。
【0078】
本発明の液晶組成物は、重合性化合物を1種又は2種以上含有することができる。
【0079】
重合性化合物を含有する液晶組成物は、例えば、PSAモード又はPSVAモード等の液晶表示素子を作製するための液晶組成物として使用することができる。
【0080】
その場合の重合性化合物は、具体的には、例えば、一般式(RM−1)
【0083】
式中、Z
M1およびZ
M2はそれぞれ独立して
【0085】
を表し、X
M1〜X
M5は水素原子、フッ素原子または
【0087】
を表し、X
M1〜X
M5の内の少なくとも1つは、
【0094】
S
M1は、炭素原子数1〜12のアルキレン基、又は単結合を表し、該アルキレン基中の−CH
2−は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良いが、PSAモードの液晶表示素子においては少なくとも一方が単結合であることが好ましく、いずれも単結合である化合物又は一方が単結合でもう一方が炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH
2)
s−であることが好ましく、この場合、炭素原子数1〜4のアルキレン基が好ましく、sは1〜4が好ましい。
【0095】
R
M1は以下の式(R−1)から式(R−15)
【0097】
のいずれかを表すが、式(R−1)又は式(R−2)が好ましい。
【0098】
L
M1及びL
M2はお互い独立して、単結合、−O−、−CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、―COO−、−OCO−、―CH=CH−COO−、−COO―CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−OCO−、―COOC
2H
4−、―OCOC
2H
4−、―C
2H
4OCO−、―C
2H
4COO−、−OCOCH
2−、―CH
2COO−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−を表し、L
M2が複数存在する場合はそれらは同一でも異なっていてもよいが、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−C≡C−又は単結合が好ましく、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−又は単結合が更に好ましい。
【0099】
存在するM
M1は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、これらの基中に含まれる水素原子がフッ素原子、塩素原子、又は炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、又は
【0102】
m
M1は0、1又は2を表すが、0又1が好ましい。
【0103】
X
M1〜X
M5、S
M1、R
M1、L
M2及び/又はM
M1が複数存在する場合にはそれらは同一であっても異なっていてもよい。
【0104】
更に詳述すると、一般式(RM−1)で表される重合性化合物において、L
M1が単結合でm
M1が0の場合の環構造である式(XXa−1)から式(XXa−5)であることが好ましく、式(XXa−1)から式(XXa−3)であることが更に好ましく、式(XXa−1)又は式(XXa−2)であることが特に好ましい。
【0112】
が結合する。)
これらの骨格を含む一般式(RM−1)で表される重合性化合物は重合後の配向規制力がPSAモードの液晶表示素子に最適であり、良好な配向状態が得られることから、表示ムラが抑制されるか、又は、全く発生しない効果がある。
【0113】
以上のことから、重合性化合物として、更に具体的には式(XX−1)から一般式(XX−10)で表される化合物が好ましく、式(XX−1)から式(XX−4)が更に好ましい。
【0115】
式中、Sp
xxは炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH
2)
s−(式中、sは2から7の整数を表し、酸素原子は環に結合するものとする。)を表す。
【0116】
一般式(RM−1)で表される重合性化合物において、m
M1が1の場合の環構造である、例えば、式(M31)から式(M48)および(M4−1)から(M4−7)のような重合性化合物が好ましい。
【0119】
式中のフェニル基及びナフタレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF
3、−CH
3、式(R−1)から式(R−15)のいずれかによって置換されていても良い。
【0120】
これらの骨格を含む一般式(RM−1)で表される重合性化合物は重合後の配向規制力がPSAモードの液晶表示素子に最適であり、良好な配向状態が得られることから、表示ムラが抑制されるか、又は、全く発生しない効果がある。
【0121】
一般式(RM−1)で表される重合性化合物において、L
M1が単結合であり、m
M1が1の場合の環構造である、例えば、式(M301)から式(M316)のような重合性化合物も好ましい。
【0123】
重合性化合物の含有量が少ない場合、液晶組成物に対する配向規制力が弱くなる。逆に、重合性化合物の含有量が多すぎる場合、重合時の必要エネルギーが上昇し、重合せず残存してしまう重合性化合物の量が増加し、表示不良の原因となるため、その含有量は0.01〜2.00質量%であることが好ましく、0.05〜1.00質量%であることが更に好ましく、0.10〜0.50質量%であることが特に好ましい。
【0124】
これらの骨格を含む一般式(RM−1)で表される重合性化合物は重合後の配向規制力がPSAモードの液晶表示素子に最適であり、良好な配向状態が得られることから、表示ムラが抑制されるか、又は、全く発生しない効果がある。
【0125】
本発明の液晶組成物に重合性化合物を含有させた重合性化合物含有液晶組成物は、低い粘度(η)、低い回転粘性(γ
1)及び大きな弾性定数(K
33)が得られるため、これを用いたPSAモード又はPSVAモードの液晶表示素子は表示ムラの抑制と高速応答の両立が実現できる。
【0126】
本発明の液晶組成物は、更に、一般式(Q)で表される化合物を含有しても良い。
【0128】
式中、R
Qは、炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、基中の1つ又は非隣接の2つ以上のCH
2基は、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF
2O−、−OCF
2−によって置換されていても良い。
【0129】
M
Qは、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又は単結合を表す。
【0130】
一般式(Q)で表される化合物は、具体的には、下記の一般式(Q−a)から一般式(Q−e)で表される化合物が好ましい。
【0136】
式中、R
Q1は、炭素原子数1から10の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましい。
【0137】
R
Q2は、炭素原子数1から20の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましい。
【0138】
R
Q3は、炭素原子数1から8の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基又は分岐鎖アルコキシ基が好ましい。
【0139】
L
Qは炭素原子数1から8の直鎖アルキレン基又は分岐鎖アルキレン基が好ましい。
【0140】
L
Q2は炭素原子数2から12の直鎖アルキレン基又は分岐鎖アルキレン基が好ましい。
【0141】
一般式(Q−a)から一般式(Q−e)で表される化合物中、一般式(Q−c)、一般式(Q−d)及び一般式(Q−e)で表される化合物が更に好ましい。
【0142】
本発明の液晶組成物は、一般式(Q)で表される化合物を1種又は2種以上含有するが、1種から5種含有することが好ましく、1種から3種含有することが更に好ましく、1種含有することが特に好ましい。また、その含有量は0.001質量%から1質量%であることが好ましく、0.001質量%から0.1質量%が更に好ましく、0.001質量%から0.05質量%が特に好ましい。
【0143】
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、高速応答という顕著な特徴を有用しており、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、PSAモード、PSVAモード、VAモード、IPSモード又はECBモード用液晶表示素子に用いることができる。
【0144】
本発明の液晶組成物は、液晶組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。液晶表示素子として、AM−LCD(アクティブマトリックス液晶表示素子)、TN(ネマチック液晶表示素子)、STN−LCD(超ねじれネマチック液晶表示素子)、OCB−LCD及びIPS−LCD(インプレーンスイッチング液晶表示素子)に有用であるが、AM−LCDに特に有用であり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
【0145】
液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0146】
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0147】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0148】
2枚の基板間に液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。
【0149】
本発明の液晶組成物に重合性化合物を含有させた重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、重合性化合物含有液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有液晶組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
【0150】
照射時の温度は、本発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm
2〜100W/cm
2が好ましく、2mW/cm
2〜50W/cm
2が更に好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm
2から500J/cm
2が好ましく、100mJ/cm
2から200J/cm
2が更に好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒が更に好ましい。
【実施例】
【0151】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。
(側鎖)
-n -C
nH
2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
n- C
nH
2n+1- 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
-On -OC
nH
2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
nO- C
nH
2n+1O- 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
-V -CH=CH
2
V- CH
2=CH-
-V1 -CH=CH-CH
3
1V- CH
3-CH=CH-
-2V -CH
2-CH
2-CH=CH
3
V2- CH
3=CH-CH
2-CH
2-
-2V1 -CH
2-CH
2-CH=CH-CH
3
1V2- CH
3-CH=CH-CH
2-CH
2
(環構造)
【0152】
【化41】
【0153】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0154】
T
ni :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
T
cn :固体相−ネマチック相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
Δε :20℃における誘電率異方性
η :20℃における粘度(mPa・s)
γ
1 :20℃における回転粘性(mPa・s)
K
33 :20℃における弾性定数K
33(pN)
初期電圧保持率(VHR):UVを照射する前のVHR(%)
UV照射後電圧保持率(VHR):UVを照射した後のVHR(%)
テストセルにプレチルト角形成させる場合は、テストセルに10V、100Hz、矩形波電圧を印加しながら、UVを60J(365nm)照射した。UV光源としてUSHIO社のマルチライトを使用した。
試料の応答速度を測定する場合は、セル厚は3.5μm、配向膜はJALS2096のテストセルを使用し、Vselは5V、Vnselは1V、測定温度は20℃で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS301を用いた。
テストセルの耐UV性を評価する場合はSP−7(USHIO)を100mW/cm
−2で所定の時間照射し、UV照射前後のVHRを測定することで実施した。
VHRの測定はVHR−1(東陽テクニカ)を用い、1V、60Hz、60℃で実施した。
(比較例1、実施例1〜8)
LC−A(比較例1)、LC−1(実施例1)、LC−2(実施例2)、LC−3(実施例3)、LC−4(実施例4)、LC−5(実施例5)、LC−6(実施例6)、LC−7(実施例7)及びLC−8(実施例8)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表1及び表2のとおりであった。
【0155】
【表1】
【0156】
【表2】
【0157】
本発明の液晶組成物LC−1、LC−2、LC−3、LC−4、LC−5、LC−6、LC−7及びLC−8は、回転粘性(γ
1)が小さく、弾性定数(K
33)が大きく、γ
1/K
33が、比較例であるLC−Aと同等かそれよりも小さな値であった。
【0158】
これらを使用したテストセルのVHRを測定したところ、LC−1、LC−2、LC−3、LC−4、LC−5、LC−6、LC−7及びLC−8のUV照射後のVHRは明らかに比較例1であるLC−Aよりも高い値を示した。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた耐UV性が高く、高い信頼性を有するものであることが確認された。
(比較例2、実施例9〜19)
液晶組成物LC−A、LC−1、LC−2、LC−3、LC−4、LC−5、LC−6、LC−7及びLC−8に対して、重合性化合物(M1−1)、(M1−3)、(M4−7)及び(I−33)
【0159】
【化42】
【0160】
を添加し、MLC−A(比較例2)、MLC−1(実施例9)、MLC−2(実施例10)、MLC−3(実施例11)、MLC−4(実施例12)、MLC−5(実施例13)、MLC−6−1(実施例14)、MLC−6−2(実施例15)、MLC−6−3(実施例16)、MLC−6−4(実施例17)、MLC−7(実施例18)及びMLC−8(実施例19)の液晶組成物を調製し、テストセルに真空注入したのち、そのUV照射前後のVHRを測定した。液晶組成物の構成とそのVHRの測定結果は表3及び表4のとおりであった。
【0161】
【表3】
【0162】
【表4】
【0163】
本発明の液晶組成物MLC−1〜5、MLC−6−1〜4、MLC−7及びMLC−8のUV照射後のVHRは明らかに比較例2であるMLC−Aよりも高い値を示した。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた耐UV性が高く、高い信頼性を有するものであることが確認された。
(比較例3、実施例20、実施例21)
LC−B(比較例3)、LC−9(実施例20)及びLC−10(実施例21)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表5のとおりであった。
【0164】
【表5】
【0165】
本発明の液晶組成物LC−9及びLC−10は、回転粘性(γ
1)が小さく、弾性定数(K
33)が大きく、γ
1/K
33が、比較例であるLC−Bのそれよりも顕著に小さな値であった。これらを使用したテストセルのVHRを測定したところ、LC−9及びLC−10のUV照射後のVHRは比較例であるLC−Bと同程度の値を示した。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた耐UV性が高く、高い信頼性を有するものであることが確認された。
(比較例4、実施例22、実施例23)
LC−C(比較例4)、LC−11(実施例22)及びLC−12(実施例23)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表6のとおりであった。
【0166】
【表6】
【0167】
本発明の液晶組成物LC−11及びLC−12は、回転粘性(γ
1)が小さく、弾性定数(K
33)が大きく、γ
1/K
33が、比較例であるLC−Cと同程度の値であった。これらを使用したテストセルのVHRを測定したところ、LC−11及びLC−12のUV照射後のVHRは比較例であるLC−Cよりも顕著に高い値を示した。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた耐UV性が高く、高い信頼性を有するものであることが確認された。
(比較例5、実施例24、実施例25)
LC−B、LC−9及びLC−10に対して、重合性化合物(M1−1)を添加し、MLC−B(比較例5)、MLC−9(実施例24)及びMLC−10(実施例25)の液晶組成物を調製し、テストセルに真空注入したのち、そのUV照射前後のVHRを測定した。液晶組成物の構成とそのVHRの測定結果は表7のとおりであった。
【0168】
【表7】
【0169】
本発明の液晶組成物MLC−9及びMLC−10は、回転粘性(γ
1)が小さく、弾性定数(K
33)が大きく、γ
1/K
33が、比較例であるMLC−Bよりも顕著に小さな値であった。これらを使用したテストセルのVHRを測定したところ、MLC−9及びMLC−10のUV照射後のVHRは比較例であるMLC−Bと同等の値を示した。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた耐UV性が高く、高い信頼性を有するものであることが確認された。
(比較例6、実施例26、実施例27)
LC−C、LC−11及びLC−12に対して、重合性化合物(M1−1)を添加し、MLC−C(比較例6)、MLC−11(実施例26)及びMLC−12(実施例27)の液晶組成物を調製し、テストセルに真空注入したのち、そのUV照射前後のVHRを測定した。液晶組成物の構成とそのVHRの測定結果は表8のとおりであった。
【0170】
【表8】
【0171】
これらを使用したテストセルのVHRを測定したところ、MLC−11及びMLC−12のUV照射後のVHRは比較例であるMLC−Cよりも顕著に高い値を示した。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた耐UV性が高く、高い信頼性を有するものであることが確認された。
(実施例28〜実施例33)
LC−13(実施例28)、LC−14(実施例29)、LC−15(実施例30)、LC−16(実施例31)、LC−17(実施例32)及びLC−18(実施例33)の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表9のとおりであった。
【0172】
【表9】
【0173】
本発明の液晶組成物LC−13〜LC−18は、回転粘性(γ
1)が小さく、弾性定数(K
33)が大きく、γ
1/K
33が十分に小さい値であった。これらを使用したテストセルのVHRを測定したところ、LC−13〜LC−18のUV照射後のVHRは顕著に高い値を示した。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた耐UV性が高く、高い信頼性を有するものであることが確認された。
(実施例34〜実施例39)
LC−13〜LC−18に対して、重合性化合物(I−33)を添加し、MLC−13(実施例34)、MLC−14(実施例35)、MLC−15(実施例36)、MLC−16(実施例37)、MLC−17(実施例38)及びMLC−18(実施例39)の液晶組成物を調製し、テストセルに真空注入したのち、そのUV照射前後のVHRを測定した。液晶組成物の構成とそのVHRの測定結果は表10のとおりであった。
【0174】
【表10】
【0175】
これらを使用したテストセルのVHRを測定したところ、MLC−13〜MLC−18のUV照射後のVHRは顕著に高い値を示した。
以上のことから、本発明の液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)及びネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)を低下させることなく、粘度(η)が十分に小さく、回転粘性(γ1)が十分に小さく、弾性定数(K
33)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有するため、これを用いたVA型等の液晶表示素子は表示品位の優れた耐UV性が高く、高い信頼性を有するものであることが確認された。
)が大きく、絶対値が大きな負の誘電率異方性(Δε)を有する液晶組成物を提供し、更にこれを用いたVA型等の表示不良がない又は抑制された、表示品位の優れた応答速度の速い液晶表示素子を提供することができる。