(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の液晶表示素子及びその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0019】
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、一対の基板の間に、液晶組成物を含有する液晶層が挟持された液晶表示素子であって、液晶層に電圧を印加し、液晶層中の液晶分子をフレデリクス転移させることにより、光学的なスイッチとして働かせる原理に基づくものであり、この点では周知慣用技術を用いることができる。
2枚の基板が液晶分子をフレデリクス転移させるための電極を有する、通常の垂直配向液晶表示素子では、一般的に、これら基板間に垂直に電荷を印加する方式が採用される。この場合、一方の電極は共通電極となり、もう一方の電極は画素電極となる。以下、この方式の最も典型的な実施形態を示す。
【0020】
図1は、本発明の液晶表示素子の一実施形態を示す概略斜視図である。
本実施形態の液晶表示素子10は、第一の基板11と、第二の基板12と、第一の基板11と第二の基板12との間に挟持され、液晶組成物を含有する液晶層13と、第一の基板11における液晶層13と対向する面上に設けられた共通電極14と、第二の基板12における液晶層13と対向する面上に設けられた画素電極15と、第一の基板11と共通電極14との間に設けられたカラーフィルタ18と、から概略構成されている。
【0021】
第一の基板11及び第二の基板12としては、例えば、ガラス基板又はプラスチック基板が用いられる。
前記プラスチック基板としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、環状オレフィン樹脂等の樹脂からなる基板が用いられる。
【0022】
共通電極14及び画素電極15は、通常、インジウム添加酸化スズ(ITO)等の透明性を有する材料から構成される。
画素電極15は、第二の基板12にマトリクス状に配設されている。画素電極15は、TFTスイッチング素子(図示略)に代表されるアクティブ素子のドレイン電極により制御され、そのTFTスイッチング素子は、アドレス信号線であるゲート線及びデータ線であるソース線をマトリクス状に有している。
【0023】
画素電極15は、その画素中に液晶分子のプレチルトの方向が異なる2以上の領域を有する。このように、液晶分子のプレチルトの方向を規定して、画素内の液晶分子の倒れる方向をいくつかの領域に分割する画素分割を行うことで、視野角特性が向上する。
画素分割を行う場合、例えば、各画素内において、ストライプ状やV字状等のパターンを有するスリット(電極の形成されない部分)を有する画素電極を設ければよい。
【0024】
図2は、画素内を4つの領域に分割する場合のスリット電極(櫛形電極)の典型的な形態を示す概略平面図である。このスリット電極は、画素の中央から4方向に櫛歯状にスリットを有することにより、電圧無印加時に基板に対して略垂直配向している各画素内の液晶分子は、電圧の印加に伴って4つの異なった方向に液晶分子のダイレクターを向けて、水平配向に近づいていく。その結果、画素内の液晶分子の配向方向を複数に分割できるので、極めて広い視野角特性を有する。
液晶表示素子10としては、画素電極15がスリットを有する(スリット電極である)ものが好ましい。
【0025】
画素分割を行う方法としては、前記スリット電極を設ける方法の他に、画素内に線状突起等の構造物を設ける方法、画素電極や共通電極以外の電極を設ける方法等が適用され(図示略)、前記構造物を設ける方法が好ましい。前記構造物は、第一の基板11及び第二の基板12の少なくとも一方が有していればよく、両方が有していてもよい。
ただし、透過率、製造の容易さの点からは、スリット電極を用いる構成が好ましい。スリット電極は、電圧無印加時には液晶分子に対して駆動力を有しないことから、液晶分子にプレチルト角を付与することはできない。しかし、本発明においては、後述する配向制御層を設けることにより、プレチルト角を付与することができるとともに、画素分割したスリット電極と組み合わせることにより、画素分割による広視野角を達成できる。
【0026】
本発明において、プレチルト角を有するとは、電圧無印加状態において、基板面(第一の基板11及び第二の基板12における液晶層13と隣接する面)に対して垂直な方向と、液晶分子のダイレクターの方向とが、僅かに異なっている状態をいう。
【0027】
本発明の液晶表示素子は、垂直配向(VA)型液晶表示素子なので、電圧無印加時に液晶分子のダイレクターは基板面に対して略垂直配向しているものである。通常、液晶分子を垂直配向させるためには、第一の基板と液晶層との間、第二の基板と液晶層との間に、それぞれポリイミド、ポリアミド、ポリシロキサン等の垂直配向膜が配置されるが、本発明の液晶表示素子は、このような配向膜を有しない。
【0028】
本発明の液晶表示素子においては、上述のPSA方式の液晶表示素子と同様に、電極間に電圧を印加し、液晶分子を僅かにチルトさせた状態で、紫外線等の活性エネルギー線を照射して、液晶組成物中の重合性化合物を重合させることにより、適切なプレチルト角を付与するものである。ただし、本発明の液晶表示素子においては、前記重合性化合物として、2種以上のものを用い、これら重合性化合物から配向制御層を形成する。
【0029】
なお、本発明において、「液晶分子が略垂直配向している」とは、垂直配向している液晶分子のダイレクターが垂直方向からやや倒れてプレチルト角が付与されている状態を意味する。液晶分子が完全に垂直配向している場合、基板面に対して完全に平行な方向と、液晶分子のダイレクターの方向と、のなす角度は90°であり、液晶分子が完全にホモジニアス配向(基板面に対して水平に配向)している場合、前記角度は0°であり、液晶分子が略垂直配向している場合、前記角度は好ましくは89〜85°、より好ましくは89〜87°である。
【0030】
2種以上の前記重合性化合物は、互いに異なる構造を有するものであればよいが、以下に示す第一の重合性化合物及び第二の重合性化合物を含むことが好ましい。
第一の重合性化合物及び第二の重合性化合物は、それぞれ1種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0031】
前記第一の重合性化合物としては、例えば、重合性基を1個有するものもの、又は重合性基を2個とこれら重合性基の間にアルキレン基(該アルキレン基中の1個もしくは2個以上のメチレン基(ただし、該メチレン基の個数は該アルキレン基の炭素原子数未満とする)は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)を有するものが好ましい。
また、前記第一の重合性化合物は、(メタ)アクリレートであることが好ましく、重合性基を1個有するものであれば、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0032】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味するものとし、同様に、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基(H
2C=CH−CO−)及びメタクリロイル基(H
2C=C(CH
3)−CO−)の両方を意味するものとする。
また、特に断りのない限り、「−COO−」は「−C(=O)−O−」を、「−OCO−」は「−O−C(=O)−」を、それぞれ意味するものとする。
【0033】
なかでも第一の重合性化合物は、下記一般式(X1a)
【0034】
【化5】
(式中、A
1は水素原子又はメチル基を表し、
A
2は単結合又は炭素原子数1〜15のアルキレン基(該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
A
3及びA
6はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜18のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜17のアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、
A
4及びA
7はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、
kは1〜40を表し、
B
1、B
2及びB
3は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数3〜6のトリアルコキシシリル基で置換されていてもよい。)、又は下記一般式(I−b)
【0035】
【化6】
(式中、A
9は水素原子又はメチル基を表し、
A
8は単結合又は炭素原子数1〜15のアルキレン基(該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)で表される基を表す。ただし、合計で2k+1個あるB
1、B
2及びB
3のうち、前記一般式(I−b)で表される基となるものの個数は0又は1個である。)で表される化合物、
下記一般式(X1b)
【0036】
【化7】
(式中、R
7は水素原子又はメチル基を表し、
6員環T
1、T
2及びT
3はそれぞれ独立して
【0037】
【化8】
のいずれか(ただしmは1から4の整数を表す。)を表し、
n
4は0又は1を表し、
Y
1及びY
2はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH
2)
4−、−CH
2CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2CH
2−、−CH
2=CHCH
2CH
2−又は−CH
2CH
2CH=CH−を表し、
Y
3は単結合、−COO−又は−OCO−を表し、
R
8は炭素原子数1〜18の炭化水素基を表す。)で表される化合物、
及び下記一般式(X1c)
【0038】
【化9】
(式中、R
70は水素原子又はメチル基を表し、R
71は縮合環を有する炭化水素基を表す。)で表される化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0039】
なお、本明細書において、「アルキレン基」とは、特に断りのない限り、脂肪族直鎖状又は分岐鎖状炭化水素の末端の炭素原子から水素原子各1個を除いてなる二価の基を意味するものとし、その中の水素原子からハロゲン原子若しくはアルキル基への置換、又はメチレン基から酸素原子、−CO−、−COO−もしくは−OCO−への置換がある場合には、その旨を特に断るものとする。また、「アルキレン鎖長」とは、例えば、直鎖状のアルキレン基の場合、その一般式「−(CH
2)
n−(式中、nは1以上の整数を表す)」におけるnを意味するものとする。
【0040】
一般式(X1a)中、A
3及びA
6における炭素原子数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
【0041】
一般式(X1a)中、A
3及びA
6における前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
【0042】
A
3及びA
6における前記アルキル基の水素原子が置換される、炭素原子数1〜17のアルキル基としては、炭素原子数が異なる点以外は、A
3及びA
6における前記アルキル基と同じものが挙げられる。
また、A
3及びA
6における前記アルキル基の水素原子が置換される前記ハロゲン原子としては、A
3及びA
6における前記ハロゲン原子と同じものが挙げられる。
【0043】
一般式(X1a)中、A
2における炭素原子数1〜15のアルキレン基としては、A
3及びA
6における炭素原子数1〜15の前記アルキル基から1個の水素原子を除いてなる二価の基が挙げられる。
【0044】
一般式(X1a)中、A
4及びA
7における炭素原子数1〜10のアルキル基としては、炭素原子数が異なる点以外は、A
3及びA
6における前記アルキル基と同じものが挙げられる。
また、A
4及びA
7における前記アルキル基の水素原子が置換される、炭素原子数1〜9のアルキル基としては、炭素原子数が異なる点以外は、A
3及びA
6における前記アルキル基と同じものが挙げられる。
また、A
4及びA
7における前記アルキル基の水素原子が置換される前記ハロゲン原子としては、A
3及びA
6における前記ハロゲン原子と同じものが挙げられる。
【0045】
一般式(X1a)中、B
1、B
2及びB
3における炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、A
3及びA
6における炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基と同じものが挙げられる。
また、B
1、B
2及びB
3における前記アルキル基の水素原子が置換される、炭素原子数3〜6のトリアルコキシシリル基としては、アルコキシ基としてメトキシ基及びエトキシ基のいずれかが合計で3個、同一のケイ素原子に結合したものが挙げられ、同一のケイ素原子に結合している3個の前記アルコキシ基は、すべて同じでもよいし、2個のみが同じであってもよく、具体的には、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、エトキシジメトキシシリル基、ジエトキシメトキシシリル基等が挙げられる。
また、B
1、B
2及びB
3における前記アルキル基の水素原子が置換される前記ハロゲン原子としては、A
3及びA
6における前記ハロゲン原子と同じものが挙げられる。
【0046】
一般式(X1a)において、B
1、B
2及びB
3は合計で2k+1個存在するが、そのうち、一般式(I−b)で表される基となるものの個数は0又は1個であり、一般式(I−b)で表される基であるのは、B
1、B
2及びB
3のいずれであってもよいが、B
1であることが好ましい。
【0047】
一般式(X1a)で表される化合物のうち、B
1、B
2又はB
3が前記一般式(I−b)で表される基であるもので、好ましいものとしては、下記一般式(X1a−1)
【0049】
(式中、A
11及びA
19はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
A
12及びA
18は、それぞれ独立して単結合又は炭素原子数1〜15のアルキレン基(該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
A
13及びA
16は、それぞれ独立して炭素原子数2〜20の直鎖状のアルキル基(該直鎖状のアルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)を表し、
A
14及びA
17は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、
A
15は炭素原子数9〜16のアルキレン基(該アルキレン基中の少なくとも1〜5個のメチレン基において、該メチレン基中の1個の水素原子は、それぞれ独立して炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)を表す。)で表される化合物、
下記一般式(X1a−2)
【0050】
【化11】
(式中、A
21及びA
22はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、aは6〜22の整数を表す。)で表される化合物、
下記一般式(X1a−3)
【0051】
【化12】
(式中、A
31及びA
32はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、b、c及びdはそれぞれ独立して1〜10の整数を表し、eは0〜6の整数を表す。)で表される化合物、
及び下記一般式(X1a−4)
【0052】
【化13】
(式中、A
41及びA
42はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、m、n、p及びqはそれぞれ独立して1〜10の整数を表す。)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0053】
一般式(X1a−1)中、A
13及びA
16における炭素原子数2〜20の直鎖状のアルキル基としては、A
3及びA
6における直鎖状の前記アルキル基と同じものと、さらにノナデシル基及びイコシル基等が挙げられる。
一般式(X1a−1)中、A
14及びA
17における炭素原子数1〜10のアルキル基としては、炭素原子数が異なる点以外は、A
3及びA
6における前記アルキル基と同じものが挙げられる。
一般式(X1a−1)中、A
12及びA
18における炭素原子数1〜15のアルキレン基としては、A
2における前記アルキレン基と同じものが挙げられる。
一般式(X1a−1)中、A
15における炭素原子数9〜16のアルキレン基としては、A
3及びA
6における炭素原子数9〜16の前記アルキル基から1個の水素原子を除いてなる二価の基が挙げられる。
A
14及びA
17における前記アルキル基の水素原子が置換される、炭素原子数1〜9のアルキル基と、A
15における前記アルキレン基の水素原子が置換される、炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素原子数が異なる点以外は、A
3及びA
6における前記アルキル基と同じものが挙げられる。
また、A
14及びA
17における前記アルキル基の水素原子が置換される前記ハロゲン原子としては、A
3及びA
6における前記ハロゲン原子と同じものが挙げられる。
【0054】
一般式(X1a−1)で表される化合物は、A
11及びA
19がいずれもメチル基であるものよりも、重合速度がより速い点で、A
11及びA
19がいずれも水素原子であるものが好ましい。
【0055】
また、一般式(X1a−1)で表される化合物は、A
12及びA
18はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基であるものが好ましい。2個の重合性基間の距離は、A
12及びA
18とA
15とで独立的にそれぞれ炭素数の長さを変えることで調整できる。一般式(X1a−1)で表される化合物の特徴は、重合性基間の距離(架橋点間の距離)が長いことであるが、この距離があまりに長いと重合速度が極端に遅くなって相分離に悪い影響が出てくるため、重合性基間の距離には上限がある。一方、A
13及びA
16の2個の側鎖間の距離も主鎖の運動性に影響がある。すなわち、A
13及びA
16間の距離が短いと側鎖A
13及びA
16が互いに干渉するようになり、運動性の低下をきたす。従って、一般式(X1a−1)で表される化合物において重合性基間の距離はA
12、A
18、及びA
15の和で決まるが、このうちA
12とA
18を長くするよりもA
15を長くする方が好ましい。
【0056】
一方、側鎖であるA
13、A
14、A
16、A
17においては、これらの側鎖の長さが次のような態様であることが好ましい。
【0057】
一般式(X1a−1)において、A
13及びA
14は主鎖が同じ炭素原子に結合しているが、これらの長さが異なるとき、長い方の側鎖をA
13と呼ぶものとする(A
13の長さとA
14の長さが等しい場合は、いずれが一方をA
13とする)。同様に、A
16の長さとA
17の長さが異なるとき、長いほうの側鎖をA
16と呼ぶものとする(A
16の長さとA
17の長さが等しい場合は、いずれが一方をA
16とする)。
【0058】
このようなA
13及びA
16は、本発明においては、それぞれ独立して炭素原子数2〜20の直鎖状のアルキル基(該直鎖状のアルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)とされているが、好ましくは、それぞれ独立して炭素原子数2〜18の直鎖状のアルキル基(該直鎖状のアルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)であり、より好ましくは、それぞれ独立して炭素原子数3〜15の直鎖状のアルキル基(該直鎖状のアルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立に酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)である。
【0059】
側鎖は主鎖に比べて運動性が高いので、これが存在することは低温での高分子鎖の運動性向上に寄与するが、前述したように二つの側鎖間で空間的な干渉が起こる状況では逆に運動性が低下する。このような側鎖間での空間的な干渉を防ぐためには側鎖間距離を長くすること、及び、側鎖長を必要な範囲内で短くすることが有効である。
【0060】
さらにA
14及びA
17は、本発明においては、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよい。)とされているが、好ましくは、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜7のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)であり、より好ましくは、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)であり、さらに好ましくは、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基(該アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとしてそれぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)である。
【0061】
A
14及びA
17についても、その長さが長すぎることは側鎖間の空間的な干渉を誘起するため好ましくない。一方で、A
14及びA
17が短い長さのアルキル鎖である場合、高い運動性を持った側鎖になり得ること、及び隣接する主鎖同士の接近を阻害する働きを有することが考えられ、高分子主鎖間の干渉を防ぐ作用が、主鎖の運動性を高めているものと考えられ、アンカリングエネルギーが低温で増加して行くことを抑制することができ、高分子安定化液晶表示素子の低温域における表示特性を改善する上で有効である。
【0062】
二つの側鎖間に位置するA
15は、側鎖間距離を変える意味からも、架橋点間距離を広げてガラス転移点を下げる意味からも、長い方が好ましい。しかし、A
15が長過ぎる場合には、一般式(X1a−1)で表される化合物の分子量が大きくなり過ぎ、液晶組成物との相溶性が低下してくること、及び重合速度が遅くなり過ぎて相分離に悪影響が出ること等の理由から、自ずとその長さには上限が存在する。
【0063】
よって、A
15は、炭素原子数9から16のアルキレン基(該アルキレン基中の少なくとも1〜5個のメチレン基において、該メチレン基中の1個の水素原子はそれぞれ独立して炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)であることが好ましい。
【0064】
すなわち、A
15のアルキレン鎖長は、炭素原子数9〜16であることが好ましい。A
15のアルキレン基中の水素原子が炭素原子数1〜10のアルキル基で置換されている場合、アルキル基の置換数は1〜5個が好ましく、1〜3個がより好ましく、2又は3個がさらに好ましい。そして、置換するアルキル基の炭素原子数は1〜5個が好ましく、1〜3個がより好ましい。
【0065】
一般式(X1a−1)で表される化合物は、「Tetrahedron Letters,Vol.30,pp4985」、「Tetrahedron Letters,Vol.23,No6,pp681−684」及び「Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry,Vol.34,pp217−225」等に記載の公知の方法で製造できる。
【0066】
例えば、一般式(X1a−1)において、A
14及びA
17が水素である化合物は、エポキシ基を複数個有する化合物と、エポキシ基と反応し得る活性水素を有するアクリル酸やメタクリル酸等の重合性化合物とを反応させ、水酸基を有する重合性化合物を合成し、次に、飽和脂肪酸と反応させることにより得られる。
さらに、複数個のエポキシ基を有する化合物と飽和脂肪酸とを反応させ、水酸基を有する化合物を合成し、次に水酸基と反応し得る基を有するアクリル酸塩化物等の重合性化合物を反応させることにより得られる。
【0067】
またラジカル重合性化合物が、例えば、一般式(X1a−1)のA
14及びA
17がアルキル基であり、A
12及びA
18が炭素原子数1であるメチレン基である場合には、オキセタン基を複数個有する化合物と、オキセタン基と反応し得る脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、さらに、アクリル酸等の活性水素を有する重合性化合物を反応させる方法や、オキセタン基を1個有する化合物と、オキセタン基と反応し得る多価の脂肪酸塩化物や脂肪酸とを反応させ、さらに、アクリル酸等の活性水素を有する重合性化合物を反応させる方法等により得られる。
また、一般式(X1a−1)のA
12及びA
18が、炭素原子数3のアルキレン基(プロピレン基、−CH
2CH
2CH
2−)である場合には、オキセタン基の代わりにフラン基を複数個有する化合物を用いることにより得られる。さらに、一般式(X1a−1)のA
12及びA
18が、炭素原子数4のアルキレン基(ブチレン基、−CH
2CH
2CH
2CH
2−)である場合には、オキセタン基の代わりにピラン基を複数個有する化合物を用いることにより得られる。
このようにして得られた一般式(X1a−1)の化合物のうち、特に下記一般式(X1a−1−1)
【0068】
【化14】
(式中、A
11及びA
19はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
A
12’及びA
18’はそれぞれメチレン基を表し、
A
13及びA
16はそれぞれ独立して炭素原子数2から20の直鎖アルキル基(該直鎖アルキル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)を表し、
A
14’及びA
17’はそれぞれ独立して炭素原子数1から10のアルキル基を表し、
A
15は炭素原子数9から16のアルキレン基(該アルキレン基中の少なくとも1〜5個のメチレン基において、該メチレン基中の1個の水素原子はそれぞれ独立して炭素原子数1から10の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい。)を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0069】
A
14’及びA
17’における前記アルキル基としては、A
14及びA
17における前記アルキル基と同じものが挙げられる。
【0070】
一般式(X1a−1−1)で表される化合物は、A
15中の−COO−及び−OCO−の総数が2個以下で、かつ、A
13及びA
16中の−COO−及び−OCO−の数がそれぞれ1個以下であるものが特に好ましく、具体的には、下記式(X1a−101)〜(X1a−109)で表される化合物が挙げられる。
【0073】
一般式(X1b)中、R
8における炭素原子数1〜18の前記炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよく、前記脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。また、環状の炭化水素基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。
なかでも、R
8における炭素原子数1〜18の前記炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、A
3及びA
6における炭素原子数1〜18の前記アルキル基と同じものが挙げられ、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
【0074】
一般式(X1b)で表される化合物で好ましいものとしては、6員環T
1、T
2及びT
3が、すべて炭化水素環であるものが挙げられる。
【0075】
一般式(X1c)で表される化合物において、R
71の炭化水素基は、縮合環を有するものであればよく、縮合環のみからなるものでもよいし、縮合環とそれ以外の炭化水素基を有するものでもよい。
前記縮合環は、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。そして、前記脂肪族環は、飽和脂肪族環及び不飽和脂肪族環のいずれでもよく、飽和脂肪族環及び不飽和脂肪族環をともに有するものであってもよい。また、縮合環を構成する環の数は2個以上であればよいが、2〜7個であることが好ましい。
縮合環以外の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、鎖状(直鎖状及び/又は分岐鎖状)構造及び環状構造をともに有するものであってもよい。そして、鎖状構造及び環状構造の炭化水素基は、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれでもよく、環状構造の炭化水素基は、脂肪族環炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよい。
R
71で好ましいものとしては、ステロイドから1個の水素原子を除いてなる一価の基が挙げられ、コレステロールから水酸基を除いてなる一価の基が好ましい。
【0076】
前記第二の重合性化合物としては、例えば、第一の重合性化合物に該当しない、重合性基を2個有するものが好ましい。
また、前記第二の重合性化合物は、(メタ)アクリレートであることが好ましく、(メタ)アクリロイル基を2個有する二官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0077】
なかでも第二の重合性化合物は、下記一般式(X2a)
【0078】
【化17】
(式中、R
3及びR
4はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、
C
4及びC
5はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、シクロヘキセン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、アントラセン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基又はインダン−2,5−ジイル基(これらの基のうち、1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基及びインダン−2,5−ジイル基は、1個又は2個以上の水素原子がそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基若しくはトリフルオロメトキシ基で置換されていてもよい。)を表し、
Z
3及びZ
5はそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1〜15のアルキレン基(該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
Z
4は、単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2O−、−OCH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH
2OCO−、−COOCH
2CH
2−、−CH
2CH
2COO−、−OCOCH
2CH
2−、−CH=CH−、−C≡C−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−COO−又は−OCO−を表し、
n
2は、0、1又は2を表すが、n
2が2の場合、複数個あるC
4及びZ
4は同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0079】
一般式(X2a)中、Z
3及びZ
5における炭素原子数1〜15のアルキレン基としては、A
3及びA
6における炭素原子数1〜15の前記アルキル基から1個の水素原子を除いてなる二価の基が挙げられる。
【0080】
第二の重合性化合物で好ましいものとしては、下記式(X2a−101)〜(X2a−140)で表される化合物が挙げられる。
【0084】
配向制御層の形成に用いる前記重合性化合物は、2種以上であればよいが、液晶表示素子としての諸特性及び液晶表示素子の焼き付き特性を悪化させることなく、液晶表示素子製造時の滴下痕が発生し難いという効果により優れる点から、2〜4種であることが好ましく、2〜3種であることがより好ましく、2種であることが特に好ましい。
【0085】
配向制御層の形成に用いる前記重合性化合物のそれぞれの比率は、前記重合性化合物を何種用いるかによって、適宜調節すればよいが、前記重合性化合物の総使用量に占める比率が10〜90質量%であることが好ましく、14〜86質量%であることがより好ましい。
特に、配向制御層の形成に第一の重合性化合物及び第二の重合性化合物をそれぞれ1種ずつのみ用いる場合には、第二の重合性化合物の使用量に対する第一の重合性化合物の使用量は、1〜8質量倍であることが好ましく、1.5〜6質量倍であることがより好ましい。
【0087】
【化21】
(式中、R
1α及びR
2αはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Q
1は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、l
1は1又は2を表すが、l
1が2の場合、2個のQ
1は同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物、
及び下記一般式(II)
【0088】
【化22】
(式中、R
3αは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、R
4αは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数4〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表し、Q
2は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、l
2は0、1又は2を表すが、l
2が2の場合、2個のQ
2は同一であっても異なっていてもよく、G
1は単結合、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−又は−OCF
2−を表す。)で表される化合物を含有する。
【0089】
一般式(I)中、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基が挙げられる。
R
1α及びR
2αにおける前記アルキル基は、炭素原子数1〜6であることが好ましい。
【0090】
一般式(I)中、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数2〜8のアルケニル基としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)等、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数2〜8の前記アルキル基において、炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換されてなる一価の基が挙げられる。
R
1α及びR
2αにおける前記アルケニル基は、炭素原子数2〜6であることが好ましく、以下の構造のものがより好ましい。
【0091】
【化23】
(式中、アルケニル基は、その右端の炭素原子が環構造へ結合するものとする。)
【0092】
一般式(I)中、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数1〜8の前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
R
1α及びR
2αにおける前記アルコキシ基は、炭素原子数1〜6であることが好ましく、炭素原子数1〜5であることがより好ましく、炭素原子数1〜3であることが特に好ましい。
【0093】
一般式(I)中、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基としては、エテニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基等、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数2〜8の前記アルケニル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
R
1α及びR
2αにおける前記アルケニルオキシ基は、炭素原子数2〜6であることが好ましい。
【0094】
一般式(I)で表される化合物で好ましいものとしては、R
1α及びR
2αの組み合わせが、前記アルキル基同士であるもの、前記アルキル基及びアルコキシ基であるもの、前記アルキル基及びアルケニル基であるものが挙げられる。
また、一般式(I)で表される化合物で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(I−1)〜(I−4)で表されるものが挙げられる。
【0095】
【化24】
(式中、R
1α及びR
2αは、前記と同じである。)
【0096】
前記液晶組成物の一般式(I)で表される化合物の含有量は、30〜65質量%であることが好ましく、35〜55質量%であることがより好ましい。
【0097】
一般式(II)中、R
3αは、R
1α及びR
2αと同じものである。
一般式(II)中、R
4αにおける炭素原子数1〜8のアルキル基及びアルコキシ基としては、R
1α及びR
2αにおける炭素原子数1〜8の前記アルキル基及びアルコキシ基と同じものが挙げられる。
一般式(II)中、R
4αにおける炭素原子数4〜8のアルケニル基、及び炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基としては、炭素原子数が異なる点以外は、R
1α及びR
2αにおける前記アルケニル基及びアルケニルオキシ基と同じものが挙げられる。
【0098】
R
3α及びR
4αにおける前記アルキル基は、それぞれ独立して炭素原子数1〜6であることが好ましく、炭素原子数1〜5であることがより好ましい。
R
3α及びR
4αにおける前記アルコキシ基は、それぞれ独立して炭素原子数1〜6であることが好ましく、炭素原子数1〜5であることがより好ましい。
【0099】
一般式(II)で表される化合物で好ましいものとしては、R
3αが前記アルキル基であるもの、R
4αが前記アルコキシ基であるもの、l
2が0又は1であるもの、G
1が単結合であるものが挙げられる。
また、一般式(II)で表される化合物で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(II−1)〜(II−3)で表されるものが挙げられる。
【0100】
【化25】
(式中、R
3α及びR
4αは、前記と同じである。)
【0101】
前記液晶組成物の一般式(II)で表される化合物の含有量は、30〜65質量%であることが好ましく、35〜55質量%であることがより好ましい。
【0102】
前記液晶組成物において、[一般式(II)で表される化合物の含有量]/[一般式(I)で表される化合物の含有量](質量比)は、8/2〜2/8であることが好ましく、7/3〜3/7であることがより好ましく、6/4〜4/6であることが特に好ましい。
【0103】
前記液晶組成物は、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物以外に、これらに該当しない下記一般式(III)
【0104】
【化26】
(式中、R
5α及びR
6αはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基(該アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はアルケニルオキシ基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子又は−CO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。)を表し、Q
3は1,4−フェニレン基又はテトラヒドロピラン−2,5−ジイル基を表し、l
3は0又は1を表し、G
2は単結合、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−又は−OCF
2−を表し、L
1〜L
6は、それぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表すが、L
1〜L
6の少なくとも2個はフッ素原子を表し、l
3が0を表しかつG
2が単結合を表す場合、L
5及びL
6が共にフッ素原子を表すことはない。)で表される化合物を含有してもよい。
【0105】
一般式(III)中、R
5α及びR
6αにおける炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基及び炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基は、R
1α及びR
2αにおけるものと同じである。
【0106】
一般式(III)で表される化合物で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(III−1)
【0107】
【化27】
(式中、R
5α及びR
6αは、前記と同じである。)で表される化合物が挙げられる。
【0108】
また、前記液晶組成物は、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物以外に、これらに該当しない下記一般式(IV)
【0109】
【化28】
(式中、R
7α及びR
8αはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基を表す。)で表される化合物を含有してもよい。
【0110】
一般式(IV)中、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。
R
1α及びR
2αにおける前記アルキル基は、炭素原子数1〜6であることが好ましい。
【0111】
一般式(IV)中、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数2〜10の前記アルキル基において、炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換されてなる一価の基が挙げられる。
R
7α及びR
8αにおける前記アルケニル基は、炭素原子数2〜6であることが好ましく、このようなものとして、R
1α及びR
2αの場合と同じものが挙げられる。
【0112】
一般式(IV)中、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等、R
7α及びR
8αにおける炭素原子数1〜10の前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
【0113】
また、前記液晶組成物は、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物以外に、これらに該当しない下記一般式(V)
【0114】
【化29】
(式中、R
9α及びR
10αはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、炭素原子数1〜18のアルコキシ基又は炭素原子数2〜18のアルケニルオキシ基を表し、Q
4は1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、l
4は0又は1を表す。)で表される化合物を含有してもよい。
【0115】
一般式(V)中、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
R
9α及びR
10αにおける前記アルキル基は、炭素原子数1〜10であることが好ましく、炭素原子数1〜6であることがより好ましい。
【0116】
一般式(V)中、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数2〜18のアルケニル基としては、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数2〜18の前記アルキル基において、炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換されてなる一価の基が挙げられる。
R
9α及びR
10αにおける前記アルケニル基は、炭素原子数2〜6であることが好ましく、このようなものとして、R
1α及びR
2αの場合と同じものが挙げられる。
【0117】
一般式(V)中、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数1〜18のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数1〜18の前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
R
9α及びR
10αにおける前記アルコキシ基は、炭素原子数1〜10であることが好ましく、炭素原子数1〜6であることがより好ましい。
【0118】
一般式(V)中、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数2〜18のアルケニルオキシ基としては、エテニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基等、R
9α及びR
10αにおける炭素原子数2〜18の前記アルケニル基が酸素原子に結合してなる一価の基が挙げられる。
【0119】
一般式(V)で表される化合物で好ましいものとしては、例えば、下記一般式(V−1)
【0120】
【化30】
(式中、R
9α及びR
10αは、前記と同じである。)で表される化合物が挙げられる。
【0121】
前記一般式(III)、(IV)及び(V)で表される化合物など、前記一般式(I)及び(II)で表される化合物以外の成分の前記液晶組成物における含有量は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
【0122】
液晶表示素子10は、さらに、第一の基板11と液晶層13との間、及び第二の基板12と液晶層13との間、の少なくとも一方に、パッシベーション膜を有していてもよい(図示略)。このように、パッシベーション膜を有することで、近傍の第一の基板11又は第二の基板12の表面が保護される。
【0123】
液晶表示素子10は、さらに、第一の基板11と液晶層13との間、及び第二の基板12と液晶層13との間、の少なくとも一方に、平坦化膜を有していてもよい(図示略)。このように、平坦化膜を有することで、液晶表示素子としての諸特性がより向上する。なお、前記パッシベーション膜の表面の平坦性が高い場合には、かかるパッシベーション膜を平坦化膜としても取り扱ってよい。
【0124】
前記パッシベーション膜及び平坦化膜としては、いずれも公知のものが適宜使用できる。
【0125】
本発明の液晶表示素子は、液晶分子として一般式(I)及び(II)で表される特定の化合物を併用した液晶組成物と、2種以上の重合性化合物から形成された配向制御層とを組み合わせて用いることにより、従来の液晶表示素子とは異なり、第一の基板と液晶層との間、及び第二の基板と液晶層との間に、それぞれ配向膜を有していなくても、電圧無印加時に液晶分子は基板面に対して略垂直配向する。そして、誘電率異方性、粘度、ネマチック相上限温度、回転粘度(γ
1)等の諸特性を悪化させることなく、焼き付きと製造時の滴下痕の発生とが抑制される。
【0126】
<液晶表示素子の製造方法>
図1に示す液晶表示素子10は、例えば、以下の方法で製造できる。
まず、第一の基板11と第二の基板12とを重ね合わせ、これらの間に、後述する工程で液晶層13及び配向制御層を形成するための液晶含有重合用組成物を挟持する。前記液晶含有重合用組成物は、
前記一般式(I)で表される化合物、前記一般式(II)で表される化合物、及び2種以上の前記重合性化合物を必須成分として含有するものである。
【0127】
より具体的には、第一の基板11及び第二の基板12のいずれか一方における、これらの対向面に対して、セルギャップを確保するためのスペーサ突起物、例えば、プラスチックビーズ等を散布すると共に、例えば、エポキシ接着剤等を用いてスクリーン印刷法により、シール部を印刷(形成)する。なお、第一の基板11の第二の基板12に対向する面とは、共通電極14及びカラーフィルタ18を有する面であり、第二の基板12の第一の基板11に対向する面とは、画素電極15を有する面である。
【0128】
次いで、第一の基板11と第二の基板12とを対向させ、これらを、前記スペーサ突起物及びシール部を介して貼り合わせた後、形成されたスペースに前記液晶含有重合用組成物を注入する。そして、加熱等により、前記シール部を硬化させることにより、第一の基板11と第二の基板12との間に液晶含有重合用組成物を挟持する。
【0129】
次いで、共通電極14と画素電極15との間に、電圧印加手段を用いて、電圧を印加する。このときの電圧は、例えば、5〜30Vとする。これにより、第一の基板11の液晶含有重合用組成物との隣接面(液晶含有重合用組成物と対向する面)、及び第二の基板12の液晶含有重合用組成物との隣接面(液晶含有重合用組成物と対向する面)に対して、所定の角度をなす方向の電場が生じ、液晶含有重合用組成物中の液晶分子(一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物)19が、第一の基板11と第二の基板12の法線方向から所定方向に傾いて配向し、
図3に示すように、液晶分子19にプレチルト角θが付与される。プレチルト角θの大きさは、電圧の大きさを適宜調節することにより制御できる。
【0130】
次いで、電圧を印加した状態のまま、紫外線等の活性エネルギー線を、例えば、第一の基板11の外側から液晶含有重合用組成物に照射することにより、前記2種以上の重合性化合物を重合させる。なお、活性エネルギー線は、第二の基板12の外側から照射してもよいし、第一の基板11の外側及び第二の基板12の外側の双方から照射してもよい。
活性エネルギー線の照射により、液晶含有重合用組成物中の2種以上の前記重合性化合物が反応して、液晶含有重合用組成物は所望の組成を有する液晶組成物となって液晶層13を構成し、同時に第一の基板11と液晶層13との間、及び第二の基板12と液晶層13との間に、配向制御層が形成される。
【0131】
形成された配向制御層は、非駆動状態において、液晶層13中の、第一の基板11の近傍及び第二の基板12の近傍に位置する液晶分子19にプレチルト角θを付与する。
【0132】
活性エネルギー線の照射強度は、一定であってもよいし、一定でなくてもよく、照射強度を変化させる場合には、各々の照射強度での照射時間を任意に設定できるが、2段階以上の照射工程を採用する場合には、2段階目以降の照射工程の照射強度は、1段階目の照射工程の照射強度よりも弱いことが好ましく、2段階目以降の照射工程の総照射時間は1段階目の照射時間よりも長くかつ照射総エネルギー量が大きいことが好ましい。また、照射強度を不連続に変化させる場合には、全照射工程時間の前半部分の平均照射光強度が後半部分の平均照射強度よりも強いことが好ましく、照射開始直後の強度が最も強いことがより好ましく、照射時間の経過と共にある一定値まで常に照射強度が減少し続けることがさらに好ましい。この場合の活性エネルギー線の照射強度は、2〜100mW/cm
2であることが好ましいが、多段階照射の場合の1段階目、または不連続に照射強度変化させる場合の全照射工程中の最高照射強度は、10〜100mW/cm
2であること、かつ多段階照射の場合の2段階目以降、又は不連続に照射強度を変化させる場合の最低照射強度は、2〜50mW/cm
2であることがより好ましい。また、照射総エネルギー量は、10〜300Jであることが好ましく、50〜250Jであることがより好ましく、100〜250Jであることがさらに好ましい。
印加電圧は交流であってもよいし、直流であってもよい。
【0133】
照射する前記活性エネルギー線は、複数のスペクトルを有するものが好ましく、複数のスペクトルを有する紫外線が好ましい。複数のスペクトルを有する活性エネルギー線の照射によって、2種以上の前記重合性化合物は、その種類ごとに適したスペクトル(波長)の活性エネルギー線によって重合することが可能となり、この場合、配向制御層がより効率的に形成される。
【0134】
配向制御層は、前記重合性化合物の重合物により構成されるが、例えば、第一の基板11と液晶層13とを明確に区切ってこれらの間に形成されるとは限らず、第一の基板11の近傍においては、第一の基板11の液晶層13との隣接面(液晶層13と対向する面)から、液晶層13の内部に入り込むようにして形成されることもあると推測される。第二の基板12の近傍においても同様であり、配向制御層は、第二の基板12と液晶層13とを明確に区切ってこれらの間に形成されるとは限らず、第二の基板12の近傍においては、第二の基板12の液晶層13との隣接面(液晶層13と対向する面)から、液晶層13の内部に入り込むようにして形成されることもあると推測される。
ただし、配向制御層の構造を正確に示すことは困難である。
【0135】
また、活性エネルギー線の照射により、前記2種以上の重合性化合物は、互いに類似の構造を有するもの同士が優先的に重合して、液晶分子を基板の近傍領域に配列させると共に、プレチルトの方向を所定の方向に規定して、配向を制御していると推測される。
【実施例】
【0136】
以下、実施例及び比較例により、本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、「wt%」は質量%を意味する。
【0137】
また、以下の実施例及び比較例において、T
NI、Δn、Δε、η、γ
1をそれぞれ下記の通り定義する。
T
NI:ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn:25℃における屈折率異方性
Δε:25℃における誘電率異方性
η:20℃における粘度(mPa・s)
γ
1:25℃における回転粘度(mPa・s)
【0138】
以下の実施例及び比較例で製造した液晶表示素子について、下記の方法により、焼き付き、滴下痕を評価した。
【0139】
(焼き付きの評価)
液晶表示素子の焼き付きの評価は、表示エリア内に所定の固定パターンを1000時間表示させた後に、全画面均一な表示を行ったときの固定パターンの残像のレベルを目視確認することで行い、以下の4段階で評価した。
◎:残像無し
○:残像ごく僅かに有るも許容できるレベル
△:残像有り許容できないレベル
×:残像有りかなり劣悪
【0140】
(滴下痕の評価)
液晶表示装置の滴下痕の評価は、全面黒表示した場合において白く浮かび上がる滴下痕を目視確認することで行い、以下の4段階で評価した。
◎:残像無し
○:残像ごく僅かに有るも許容できるレベル
△:残像有り許容できないレベル
×:残像有りかなり劣悪
【0141】
(実施例1)
透明な共通電極からなる透明電極層及びカラーフィルタ層を有する第一の基板(共通電極基板)と、アクティブ素子により駆動される透明画素電極を有する第二の基板(画素電極基板)とを作製した。画素電極としては、スリットを有することで、プレチルトの方向が異なる4つの領域に画素分割されたものを用いた。
一般式(I)、(II)及び(III)に該当する以下の化合物を、それぞれ以下に示す比率で含有する、液晶含有原料組成物LC−1を調製した。
【0142】
【化31】
【0143】
次いで、液晶含有原料組成物LC−1(98.0質量%)に対して、一般式(X1a)((X1a−1−1))で表される第一の重合性化合物である、式
【0144】
【化32】
で表される化合物(1.5質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0145】
【化33】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−1を調製した。
【0146】
次いで、シール部を介して第一の基板及び第二の基板を貼り合わせた後、配向膜を用いることなく、液晶含有重合用組成物CLC−1を注入し、シール部を硬化させて、液晶含有重合用組成物CLC−1を挟持した。このとき、厚さ3.2μmのスペーサを用いて、液晶含有重合用組成物からなる層の厚さを3.2μmとした。
次いで、電圧を印加した状態のまま、液晶含有重合用組成物に紫外線を照射して、第一の重合性化合物及び第二の重合性化合物を重合させた。このとき、紫外線照射装置としてはウシオ電機社製「USH−250BY」を用い、100mWで10分間、紫外線を照射した。
以上により、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表1に示す。表1に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0147】
【表1】
【0148】
(実施例2)
実施例1で調製した液晶含有原料組成物LC−1(98.5質量%)に対して、一般式(X1b)で表される第一の重合性化合物である、式
【0149】
【化34】
で表される化合物(1.0質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0150】
【化35】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−1aを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−1aを用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.8°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表2に示す。表2に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0151】
【表2】
【0152】
(比較例1)
透明な共通電極からなる透明電極層及びカラーフィルタ層を有し、さらに液晶分子の配向方向を制御するための突起を表面に具備した第一の基板(共通電極基板)と、アクティブ素子により駆動される透明画素電極を有し、さらに液晶分子の配向方向を制御するための突起を表面に具備した第二の基板(画素電極基板)とを作製した。
次いで、第一の基板及び第二の基板のそれぞれに、垂直配向膜の形成材料をスピンコート法により塗布し、得られた塗布膜を200℃で加熱することにより、各基板の表面に厚さ100nmの垂直配向膜を形成した。
以下、垂直配向膜を形成したこれら基板を用いて、液晶含有重合用組成物CLC−1に代えて、液晶含有原料組成物LC−1を挟持した(第一の重合性化合物、第二の重合性化合物及び光重合開始剤を用いなかった)こと以外は、実施例1と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子についての評価結果を表3に示す。表3に示すように、この液晶表示素子は、実施例1及び2の液晶表示素子よりも応答速度、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果で劣っていた。
【0153】
【表3】
【0154】
(実施例3)
一般式(I)、(II)及び(V)に該当する以下の化合物を、それぞれ以下に示す比率で含有する、液晶含有原料組成物LC−2を調製した。
【0155】
【化36】
【0156】
次いで、液晶含有原料組成物LC−2(98.0質量%)に対して、一般式(X1a)で表される第一の重合性化合物である、式
【0157】
【化37】
で表される化合物(1.5質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0158】
【化38】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−2を調製した。
【0159】
以下、液晶含有重合用組成物CLC−1に代えてこの液晶含有重合用組成物CLC−2を用い、厚さ3.2μmのスペーサに代えて厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶含有重合用組成物からなる層の厚さを3.5μmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.5°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表4に示す。表4に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0160】
【表4】
【0161】
(実施例4)
実施例3で調製した液晶含有原料組成物LC−2(98.3質量%)に対して、一般式(X1c)で表される第一の重合性化合物である、式
【0162】
【化39】
で表される化合物(1.2質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0163】
【化40】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−2aを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−2aを用いたこと以外は、実施例3と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.9°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表5に示す。表5に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0164】
【表5】
【0165】
(比較例2)
比較例1と同じ方法で、垂直配向膜を形成した第一の基板及び第二の基板を作製した。
以下、垂直配向膜を形成したこれら基板を用いて、液晶含有重合用組成物CLC−1に代えて、実施例3で調製した液晶含有原料組成物LC−2を挟持し(第一の重合性化合物、第二の重合性化合物及び光重合開始剤を用いなかった)、厚さ3.2μmのスペーサに代えて厚さ3.8μmのスペーサを用いて、液晶含有原料組成物からなる層の厚さを3.8μmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子についての評価結果を表6に示す。表6に示すように、この液晶表示素子は、実施例3及び4の液晶表示素子よりも応答速度、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果で劣っていた。
【0166】
【表6】
【0167】
(実施例5)
一般式(I)、(II)、(IV)及び(V)に該当する以下の化合物を、それぞれ以下に示す比率で含有する、液晶含有原料組成物LC−3を調製した。
【0168】
【化41】
【0169】
次いで、液晶含有原料組成物LC−3(98.0質量%)に対して、一般式(X1a)((X1a−1−1))で表される第一の重合性化合物である、式
【0170】
【化42】
で表される化合物(1.5質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0171】
【化43】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−3を調製した。
【0172】
以下、液晶含有重合用組成物CLC−1に代えてこの液晶含有重合用組成物CLC−3を用い、厚さ3.2μmのスペーサに代えて厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶含有重合用組成物からなる層の厚さを3.5μmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.7°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表7に示す。表7に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0173】
【表7】
【0174】
(実施例6)
実施例5で調製した液晶含有原料組成物LC−3(98.1質量%)に対して、一般式(X1a)で表される第一の重合性化合物である、式
【0175】
【化44】
で表される化合物(1.5質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0176】
【化45】
で表される化合物(0.3質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−3aを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−3aを用いたこと以外は、実施例5と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.4°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表8に示す。表8に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0177】
【表8】
【0178】
(比較例3)
比較例1と同じ方法で、垂直配向膜を形成した第一の基板及び第二の基板を作製した。
以下、垂直配向膜を形成したこれら基板を用いて、液晶含有重合用組成物CLC−1に代えて、実施例5で調製した液晶含有原料組成物LC−3を挟持し(第一の重合性化合物、第二の重合性化合物及び光重合開始剤を用いなかった)、厚さ3.2μmのスペーサに代えて厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶含有原料組成物からなる層の厚さを3.5μmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子についての評価結果を表9に示す。表9に示すように、この液晶表示素子は、実施例5及び6の液晶表示素子よりも応答速度、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果で劣っていた。
【0179】
【表9】
【0180】
(実施例7)
一般式(I)、(II)及び(III)に該当する以下の化合物を、それぞれ以下に示す比率で含有する、液晶含有原料組成物LC−4を調製した。
【0181】
【化46】
【0182】
次いで、液晶含有原料組成物LC−4(98.0質量%)に対して、一般式(X1a)で表される第一の重合性化合物である、式
【0183】
【化47】
で表される化合物(1.5質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0184】
【化48】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−4を調製した。
【0185】
以下、液晶含有重合用組成物CLC−1に代えてこの液晶含有重合用組成物CLC−4を用い、厚さ3.2μmのスペーサに代えて厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶含有重合用組成物からなる層の厚さを3.5μmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は88.0°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表10に示す。表10に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0186】
【表10】
【0187】
(実施例8)
実施例7で調製した液晶含有原料組成物LC−4(98.0質量%)に対して、一般式(X1a)で表される第一の重合性化合物である、式
【0188】
【化49】
で表される化合物(1.5質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0189】
【化50】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−4aを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−4aを用いたこと以外は、実施例7と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.3°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表11に示す。表11に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0190】
【表11】
【0191】
(比較例4)
比較例1と同じ方法で、垂直配向膜を形成した第一の基板及び第二の基板を作製した。
以下、垂直配向膜を形成したこれら基板を用いて、液晶含有重合用組成物CLC−1に代えて、実施例7で調製した液晶含有原料組成物LC−4を挟持し(第一の重合性化合物、第二の重合性化合物及び光重合開始剤を用いなかった)、厚さ3.2μmのスペーサに代えて厚さ3.5μmのスペーサを用いて、液晶含有原料組成物からなる層の厚さを3.5μmとしたこと以外は、実施例1と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子についての評価結果を表12に示す。表12に示すように、この液晶表示素子は、実施例7及び8の液晶表示素子よりも応答速度、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果で劣っていた。
【0192】
【表12】
【0193】
(実施例9)
実施例1で調製した液晶含有原料組成物LC−1(98.5質量%)に対して、一般式(X1b)で表される第一の重合性化合物である、式
【0194】
【化51】
で表される化合物(1.0質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0195】
【化52】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−1bを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−1bを用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.6°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表13に示す。表13に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0196】
【表13】
【0197】
(実施例10)
実施例1で調製した液晶含有原料組成物LC−1(98.5質量%)に対して、一般式(X1a)で表される第一の重合性化合物である、式
【0198】
【化53】
で表される化合物(1.0質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0199】
【化54】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−1cを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−1cを用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.9°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表14に示す。表14に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0200】
【表14】
【0201】
(実施例11)
実施例3で調製した液晶含有原料組成物LC−2(98.3質量%)に対して、一般式(X1c)で表される第一の重合性化合物である、式
【0202】
【化55】
で表される化合物(1.2質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0203】
【化56】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−2bを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−2bを用いたこと以外は、実施例3と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.8°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表15に示す。表15に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0204】
【表15】
【0205】
(実施例12)
実施例5で調製した液晶含有原料組成物LC−3(98.1質量%)に対して、一般式(X1a)で表される第一の重合性化合物である、式
【0206】
【化57】
で表される化合物(1.5質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0207】
【化58】
で表される化合物(0.3質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−3bを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−3bを用いたこと以外は、実施例5と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.5°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表16に示す。表16に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0208】
【表16】
【0209】
(実施例13)
実施例5で調製した液晶含有原料組成物LC−3(98.1質量%)に対して、一般式(X1a)で表される第一の重合性化合物である、式
【0210】
【化59】
で表される化合物(1.5質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0211】
【化60】
で表される化合物(0.3質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−3cを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−3cを用いたこと以外は、実施例5と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.3°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表17に示す。表17に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0212】
【表17】
【0213】
(実施例14)
実施例7で調製した液晶含有原料組成物LC−4(98.0質量%)に対して、一般式(X1a)で表される第一の重合性化合物である、式
【0214】
【化61】
で表される化合物(1.5質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0215】
【化62】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−4bを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−4bを用いたこと以外は、実施例7と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.4°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表18に示す。表18に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0216】
【表18】
【0217】
(実施例15)
実施例7で調製した液晶含有原料組成物LC−4(98.0質量%)に対して、一般式(X1a)で表される第一の重合性化合物である、式
【0218】
【化63】
で表される化合物(1.5質量%)と、一般式(X2a)で表される第二の重合性化合物である、式
【0219】
【化64】
で表される化合物(0.4質量%)を添加し、さらに光重合開始剤「Igacure651」(0.1質量%)を添加して、均一に溶解させることにより、液晶含有重合用組成物CLC−4cを調製し、この液晶含有重合用組成物CLC−4cを用いたこと以外は、実施例7と同じ方法で、液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子は、電圧の印加を停止した状態であっても、液晶分子に付与されたプレチルト角θが維持され、その値は87.1°であった。
この液晶表示素子についての評価結果を表19に示す。表19に示すように、この液晶表示素子は、優れたコントラスト及び応答速度を示し、液晶表示素子としての諸特性に優れ、焼き付きと滴下痕の発生抑制効果にも優れていた。
【0220】
【表19】