【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0075】
なお、相転移温度の測定は温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外共鳴スペクトル(IR)、質量スペクトル(MS)等により確認した。
【0076】
以下の実施例及び比較例の「%」は『質量%』を意味する。
(実施例1) 1-(4-エチルフェニル) -2,2,4,4-テトラフルオロ-5-プロピル-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(Ia)の合成
【0077】
【化23】
【0078】
(1-1) 1とアクリル酸メチルをテトラヒドロフランに溶解させている中に、カリウムt-ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液を滴下した後、3時間攪拌した。塩酸で反応を終了させた後、ジクロロメタンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄し、有機溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーで精製し、2を得た。
(1-2) メトキシメチルトリフェニルホスフィンクロリドをテトラヒドロフランに氷冷下懸濁させている中に、カリウムt-ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液を滴下し、氷冷下30分攪拌した後、2のテトラヒドロフラン溶液を滴下した。室温で3時間攪拌した後、室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルを抽出を行った。水、飽和食塩水の順で洗浄し、有機溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーで精製し、3を得た。
(1-3) 3を10%塩酸中、40℃で14時間攪拌した後、室温まで冷却し、水を加え、ジクロロメタンで抽出を行った。水、飽和食塩水の順で洗浄し、有機溶媒を留去し、4を得た。
(1-4) 4をジクロロメタンに溶解させている中に、リン酸二水素ナトリウム水溶液、過酸化水素水、亜塩素酸ナトリウム水溶液の順に滴下した。反応終了後、析出した固体を濾別した。減圧乾燥後、ジクロロメタンに溶解させ、氷冷下で攪拌している中に、塩化チオニルを滴下した。反応終了後、ジクロロメタンを留去し、氷冷下メタノール、ピリジンを加えた。反応終了後、炭酸水素ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出、水、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、5を得た。
(1-5) リチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン溶液の中に、−70℃で攪拌している中に、5のテトラヒドロフラン溶液を滴下した。同温度で1時間攪拌した後、臭化プロピルを加え、−20℃まで温度を上昇させた。塩酸で反応を終了させた後、酢酸エチルで抽出、水、飽和食塩水で洗浄し、有機溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーで精製し、6を得た。
(1-6) 6をエタノールに溶解させている中に、氷冷下10%水酸化カリウム水溶液を滴下した。その後、40℃で4時間反応を行った。反応終了後、塩酸を加え酸性にし、析出した固体を濾別した。再結晶で精製し、7を得た。
(1-7) 7と無水酢酸を加熱し、160℃で11時間反応させた。溶媒を留去した後、蒸留により精製し、8を得た。
(1-8) ハステロイ製オートクレーブに、8をジクロロメタンに溶解させた後、少量の水を加え、液体窒素で冷却した。その中に四フッ化硫黄を導入し、120℃で反応させた。室温に冷却した後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、再結晶により精製し、1-(4-エチルフェニル) -2,2,4,4-テトラフルオロ-5-プロピル-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(Ia)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3):0.95 (t, J = 6.8Hz, 3H), 1.21-1.55 (m, 15H), 2.59 (m, 2H) , 7.01-7.04 (m, 2H), 7.22-7.26 (m, 2H).
MS m/z : 344 (M
+, 100)
(実施例2) 1-(4-エトキシ-2,3-ジフルオロフェニル)メトキシ-2,2,4,4-テトラフルオロ-5-プロピル-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(IIa)の合成
【0079】
【化24】
【0080】
(2-1) 4-ヒドロキシ-1-プロピル-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-オン9、水素化カリウム、テトラヒドロフランを攪拌している中に、4-ブロモメチル-2,3-ジフルオロ-1-エトキシベンゼンを滴下後、50℃で12時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を氷にあけ、酢酸エチルで3回抽出する。酢酸エチル層を合わせ、水、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去して、エタノールから再結晶し、10を得た。
(2-2) 10、二酸化セレンを酢酸に溶解し、160℃で18時間反応させた。沈殿したセレンをデカンテーションで除き、酢酸を留去した後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、11を得た。
(2-3) 11を酢酸に溶解している中に、30%過酸化水素水を滴下し、室温で10時間反応させた。溶媒を留去した後、蒸留により精製し、12を得た。
(2-4) ハステロイ製オートクレーブに、12をジクロロメタンに溶解させた後、少量の水を加え、液体窒素で冷却する。その中に四フッ化硫黄を導入し、120℃で反応させた。室温に冷却した後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、エタノール再結晶により精製し、1-(4-エトキシ-2,3-ジフルオロフェニル)メトキシ-2,2,4,4-テトラフルオロ-5-プロピル-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(IIa )を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3):0.95 (t, J = 6.8Hz, 3H), 1.21-1.54 (m, 15H), 3.94-4.02 (m, 2H) , 4.63 (s, 2H), 6.42-6,46 (m, 1H), 6.81-6.84 (m, 1H).
MS m/z : 426 (M
+, 100)
(実施例3) 液晶組成物の調製(1)
以下の組成からなるホスト液晶組成物(H)
【0081】
【化25】
【0082】
を調製した。ここでホスト液晶組成物(H)の誘電率異方性(Δε)は0.04であった。
このホスト液晶(H)80%と実施例2で得られた化合物(IIa)20%からなる液晶組成物(M-a)を調製した。この組成物の誘電率異方性(Δε)は-1.25であった。
【0083】
本発明の化合物(IIa)を含有する液晶組成物(M-a)は、母体液晶(H)に比べ、誘電率異方性(Δε)は大きく減少して負の値となった。このことから、本発明の化合物(IIa)は、Δεが負であり、その絶対値が極めて大きいことがわかる。
【0084】
また、(M-a)を窒素雰囲気下で150℃、1時間加熱し、その電圧保持率を70℃で測定したところ、ホスト液晶組成物(H)の電圧保持率に対して99%と高い値を示した。このことから本発明の化合物(IIa)は安定性の面からも液晶表示材料として十分使用可能であることがわかる。また、液晶組成物(M-a)には化合物(IIa)が20%も含まれているが、析出を起こさず安定な液晶相を示したことから、本願化合物が他の液晶組成物と優れた液晶性及び相溶性を示すこともわかった。
(比較例1) 液晶組成物の調製(2)
ホスト液晶(H)80%と特開2010−215524号公報(特許文献4)に記載の化合物(IIb)
【0085】
【化26】
【0086】
20%からなる液晶組成物(M-b)を調製した。この組成物の誘電率異方性(Δε)は-0.85であった。
【0087】
特許文献3に記載の化合物(IIb)を含有する液晶組成物(M-b)は、実施例3記載の液晶組成物(M-a)と比べ、誘電率異方性(Δε)の絶対値は小さい。このことから、特許文献4に記載の化合物(IIb)は本願発明の化合物(IIa)と比べて誘電率異方性(Δε)の絶対値が小さいことがわかる。
(実施例4)トランス-2,2,4,4-テトラフルオロ-1-プロピル-5-(4-プロピルシクロヘキシル)-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(IIIa)の合成
【0088】
【化27】
【0089】
(4-1) リチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン溶液の中に、−70℃で攪拌している中に、13のテトラヒドロフラン溶液を滴下した。同温度で1時間攪拌した後、4-プロピルシクロヘキサノンを加え、−20℃まで温度を上昇させた。塩酸で反応を終了させた後、酢酸エチルで抽出、水、飽和食塩水で洗浄し、有機溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーで精製し、14を得た。
(4-2) 14とピリジンをジクロロメタンに溶解させている中に、トリホスゲンのジクロロメタン溶液を滴下した。反応終了後、塩酸を加え、ジクロロメタンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を減圧留去して15を得た。
(4-3) オートクレーブに、15、パラジウム活性炭素を、酢酸エチルに溶解させた後、室温下、水素雰囲気で反応を行う。パラジウム活性炭素を濾別後、濃縮し、16を得た。
(4-4) リチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン溶液の中に、−70℃で攪拌している中に、16のテトラヒドロフラン溶液を滴下した。同温度で1時間攪拌した後、臭化プロピルを加え、−20℃まで温度を上昇させた。塩酸で反応を終了させた後、酢酸エチルで抽出、水、飽和食塩水で洗浄し、有機溶媒を留去する。カラムクロマトグラフィーで精製し、17を得た。
(4-5) 17をエタノールに溶解させている中に、氷冷下10%水酸化カリウム水溶液を滴下する。その後、40℃で5時間反応を行った。反応終了後、塩酸を加え酸性にし、析出した固体を濾別した。再結晶で精製し、18を得た。
(4-6) 18と無水酢酸を加熱し、160℃で10時間反応させた。溶媒を留去した後、蒸留により精製し、19を得た。
(4-7) ハステロイ製オートクレーブに、19をジクロロメタンに溶解させた後、少量の水を加え、液体窒素で冷却する。その中に四フッ化硫黄を導入し、120℃で反応させた。室温に冷却した後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、再結晶により精製し、トランス-2,2,4,4-テトラフルオロ-1-プロピル-5-(4-プロピルシクロヘキシル)-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(IIIa)を得た。
MS m/z : 364 (M
+, 100)
(実施例5)トランス-2,2,4,4-テトラフルオロ-1-プロピル-5-(4-プロピルシクロヘキシルメトキシ)-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(IVa)の合成
【0090】
【化28】
【0091】
(5-1) 4-ヒドロキシ-1-プロピル-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-オン9、炭酸カリウムをエタノールに懸濁させている中に、1-ブロモメチル-4-プロピルシクロヘキサンを滴下後、70℃で22時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を氷にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を合わせ、水、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去して、エタノールから再結晶し、20を得た。
(5-2) 20、二酸化セレンを酢酸に溶解し、160℃で18時間反応させた。沈殿したセレンをデカンテーションで除き、酢酸を留去した後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、21を得た。
(5-3) 21を酢酸に溶解している中に、30%過酸化水素水を滴下し、室温で10時間反応させた。溶媒を留去した後、蒸留により精製し、22を得た。
(5-4) ハステロイ製オートクレーブに、22をジクロロメタンに溶解させた後、少量の水を加え、液体窒素で冷却する。その中に四フッ化硫黄を導入し、120℃で反応させた。室温に冷却した後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、エタノール再結晶により精製し、トランス-2,2,4,4-テトラフルオロ-1-プロピル-5-(4-プロピルシクロヘキシルメトキシ)-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(IVa)を得た。
MS m/z : 394 (M
+, 100)
(実施例6)1-{ジフルオロ-(4-プロピルフェニル)-メトキシ}-2,2,4,4-テトラフルオロ-5-プロピル-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]-オクタン(Va)の合成
【0092】
【化29】
【0093】
(6-1) 4-ヒドロキシ-1-プロピル-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-オン9と4-プロピル安息香酸クロリドをジクロロメタン中反応させた。水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、エタノール再結晶により精製し、23を得た。
(6-2) 23とエチレングリコール、触媒量のp-トシル酸をトルエンに溶解し、加熱還流を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウム溶液を加え、トルエンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、24を得た。
(6-3) ハステロイ製オートクレーブに、24と三フッ化N,N-ジエチルアミノ硫黄を加え密栓し、85℃で反応させた。室温に冷却した後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、25を得た。
(6-4) 25をテトラヒドロフランに溶解させている中に、10%塩酸を室温下滴下する。その後、50℃で5時間反応を行った。水層を分離し、炭酸水素ナトリウム溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を留去し、26を得た。
(6-5) 26と二酸化セレンを酢酸に溶解し、160℃で15時間反応させた。沈殿したセレンをデカンテーションで除き、酢酸を留去した後、蒸留により精製し、27を得た。
(6-6) 27を酢酸に溶解している中に、30%過酸化水素水を滴下し、室温で8時間反応させた。溶媒を留去した後、蒸留により精製し、28を得た。
(6-7) ハステロイ製オートクレーブに、28をジクロロメタンに溶解させた後、少量の水を加え、液体窒素で冷却する。その中に四フッ化硫黄を導入し、120℃で反応させた。室温に冷却した後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、再結晶により精製し、1-{ジフルオロ-(4-プロピルフェニル)-メトキシ}-2,2,4,4-テトラフルオロ-5-プロピル-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]-オクタン(Va)を得た。
MS m/z : 424 (M
+, 100)
(実施例7) 5-(4-エチルフェニル) -2,2,4,4-テトラフルオロ-1-プロピル-3,6-ジオキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(VIa)の合成
【0094】
【化30】
【0095】
(7-1) 4-エチルブロモベンゼンをテトラヒドロフランに溶解させ-55℃で冷却している中に、ブチルリチウムを滴下した。そこに、-55℃で29を滴下し、1時間反応を行う。塩化アンモニウム水溶液で反応を終了させた後、酢酸エチルで抽出、水、飽和食塩水で洗浄し、有機溶媒を留去する。濃縮した溶液に、トルエン、触媒量のp-トシル酸を入れ、加熱還流を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウム溶液を加え、トルエンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、30を得た。
(7-2) 慣例の方法で調製した過ギ酸の中に、氷冷下30を滴下した。50℃で9時間攪拌した後、室温まで冷却し、水を加え、トルエンで抽出を行った。水、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水の順で洗浄し、有機溶媒を留去した。得られた反応混合物の全量を、室温下に激しく攪拌しながらエタノールに懸濁させ、ここに30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、2時間激しく攪拌した。次いで、氷浴上で濃塩酸を加えた。白色の析出物を濾別し、31を得た。
(7-3) 31をジクロロメタンに溶解している中に、二酸化マンガンを加え、40℃で14時間攪拌した後、室温まで冷却し、水を加え、ジクロロメタンで抽出を行った。水、飽和食塩水の順で洗浄し、有機溶媒を留去し、32を得た。
(7-4) 32とエチレングリコール、触媒量のp-トシル酸をトルエンに溶解し、加熱還流を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウム溶液を加え、トルエンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、33を得た。
(7-5) 33と三フッ化ホウ素・テトラヒドロフランをテトラヒドロフランに溶解させ、氷冷下で攪拌している中に、水素化ホウ素ナトリウムを加え、室温まで温度を上げた。室温で、3時間反応させた後、酢酸エチルで抽出、水、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、34を得た。
(7-6) 34をテトラヒドロフランに溶解させている中に、10%塩酸を室温下滴下する。その後、50℃で4時間反応を行った。水層を分離し、炭酸水素ナトリウム溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を留去し、再結晶で精製し、35を得た。
(7-7) 35と二酸化セレンを酢酸に溶解し、160℃で11時間反応させた。沈殿したセレンをデカンテーションで除き、酢酸を留去した後、蒸留により精製し、36を得た。
(7-8) 36を酢酸に溶解している中に、30%過酸化水素水を滴下し、室温で8時間反応させた。溶媒を留去した後、蒸留により精製し、37を得た。
(7-9) ハステロイ製オートクレーブに、37をジクロロメタンに溶解させた後、少量の水を加え、液体窒素で冷却する。その中に四フッ化硫黄を導入し、120℃で反応させた。室温に冷却した後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、再結晶により精製し、5-(4-エチルフェニル) -2,2,4,4-テトラフルオロ-1-プロピル-3,6-ジオキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(VIa)を得た。
MS m/z : 346 (M
+, 100)
(実施例8)2,2,4,4-テトラフルオロ-1-プロピル-5-ペントキシ-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(VIIa)の合成
【0096】
【化31】
【0097】
(8-1) 4-ヒドロキシ-1-プロピル-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-オン9、炭酸カリウムをエタノールに懸濁させている中に、ブロモブタンを滴下後、70℃で2時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を氷にあけ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を合わせ、水、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、溶媒を減圧留去して、エタノールから再結晶し、38を得た。
(8-2) 38及び二酸化セレンを酢酸に溶解し、160℃で18時間反応させた。沈殿したセレンをデカンテーションで除き、酢酸を留去した後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、39を得た。
(8-3) 39を酢酸に溶解している中に、30%過酸化水素水を滴下し、室温で10時間反応させた。溶媒を留去した後、蒸留により精製し、40を得た。
(8-4) ハステロイ製オートクレーブに、40をジクロロメタンに溶解させた後、少量の水を加え、液体窒素で冷却する。その中に四フッ化硫黄を導入し、120℃で反応させた。室温に冷却した後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、エタノール再結晶により精製し、2,2,4,4-テトラフルオロ-1-プロピル-5-ペントキシ-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(VIIa)を得た。
MS m/z : 326 (M
+, 100)
(実施例9)5-エトキシ-1-(4-プロピルフェニル) -2,2,4,4-テトラフルオロ-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(VIIIa)
【0098】
【化32】
【0099】
(9-1) 41とアクリル酸エチルをテトラヒドロフランに室温下溶解させている中に、カリウムt-ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液を滴下した後、3時間攪拌した。塩酸で反応を終了させた後、ジクロロメタンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄し、有機溶媒を留去した。得られた黄色液体をジメチルスルホキシド、食塩水の混合溶液に溶解し、150℃で2時間加熱攪拌した。加熱を終了した後、トルエンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄し、有機溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィーで精製し、42を得た。
(9-2) 42とエチレングリコール、触媒量のp-トシル酸をトルエンに溶解し、加熱還流を行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウム溶液を加え、トルエンで抽出、水、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、43を得た。
(9-3) プロピル亜鉛ブロミドのテトラヒドロフラン溶液に、30℃以下が保たれる速度で43と、触媒量の[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドのテトラヒドロフラン溶液を滴下し、室温で5時間攪拌した。反応終了を確認後、ろ過を行い、ろ液に飽和食塩水を加えた。有機層を分離し、得られた有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄した。得られた溶液の有機溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、44を得た。
(9-4) メチルリチウムのジエトキシエタン・テトラヒドロフラン混合溶媒を-70℃で冷却している中に、44のテトラヒドロフラン溶液を滴下した。0℃までゆっくりと温度をあげた後、10%塩酸を加え反応液を酸性とした。反応溶液を60℃まで上げ3時間反応を行った。反応終了を確認後、酢酸エチルで抽出、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、45を得た。
MS m/z : 258 (M
+, 100)
(9-5) 45とオルトぎ酸トリエチル、エタノールを氷冷下攪拌している中に、塩酸ガスを吹き込んだ後、加熱還流を30分行った。反応終了後、炭酸水素ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出、水、飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製し、46を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3):0.95 (t, J = 5.5Hz, 3H), 1.21 (t, J = 5.3Hz, 3H), 1.61-1.67 (m, 2H), 1.91-2.23 (m, 8H), 2.56 (t, J = 5.8Hz, 2H), 2.61 (s, 2H), 3.50 (dd, J = 10.5, 5.4Hz, 2H), 7.07-7.10 (m, 2H), 7.14-7.16 (m, 2H).
MS m/z : 286 (M
+, 100)
(9-6) 46及び二酸化セレンを酢酸に溶解し、160℃で18時間反応させた。沈殿したセレンをデカンテーションで除き、酢酸を留去した後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、47を得た。
MS m/z : 300 (M
+, 100)
(9-7) 47を酢酸に溶解している中に、30%過酸化水素水を滴下し、室温で10時間反応させた。溶媒を留去した後、蒸留により精製し、48を得た。
(9-8) ハステロイ製オートクレーブに、48をジクロロメタンに溶解させた後、少量の水を加え、液体窒素で冷却する。その中に四フッ化硫黄を導入し、120℃で反応させた。室温に冷却した後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、エタノール再結晶により精製し、5-エトキシ-1-(4-プロピルフェニル) -2,2,4,4-テトラフルオロ-3-オキサ-ビシクロ[3.2.2]ノナン(VIIIa)を得た。
MS m/z : 360 (M
+, 100)