(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明で用いる、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)は、芳香族ジイソシアネート化合物(a)、ポリオール化合物(b)、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(c)を必須の原料成分として反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート樹脂であって、前記芳香族ジイソシアネート化合物(a)に起因するウレタン構造部位として、下記構造式(1)
【0016】
【化3】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基である。)
で表される構造部位(a−1)と、
下記構造式(2)
【0017】
【化4】
(式中、R
1、R
2、R
3、X
1、及びX
2は、それぞれ独立的に水素原子又はメチル基である。)
で表される構造部位(a−2)とを、モル比[(a−1)/(a−2)]が45/55〜60/40となる割合で併有しており、かつ、前記ポリオール化合物(b)が芳香族炭化水素骨格を有するものである。本発明では、上記のようにウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)の樹脂構造中に前記構造部位(a−1)と、前記構造部位(a−2)とをモル比[(a−1)/(a−2)]が45/55〜60/40となる割合で存在させ、加えて、前記ポリオール化合物(b)に由来する構造部位が芳香族炭化水素骨格を有することから、極めて高い芳香属性を有し、高屈折率を実現させながらも、低粘度の光硬化性樹脂組成物を調整することが可能となる。通常、このような芳香属性の高い樹脂は結晶性が高くなるか、或いは高粘度材料となり、微細な凹凸形状を有する光学シート成形は困難であるところ、本発明において結晶性を抑え、かつ高屈折率の材料となる点は特筆すべき点である。
【0018】
ここで、前記構造部位(a−1)及び前記構造部位(a−2)は、原料として用いた芳香族ジイソシアネート化合物(a)に起因するウレタン構造部位であり、前記構造部位(a−1)を構成する構造式(1)中のR
1は水素原子、又はメチル基であり、該芳香族ジイソシアネート化合物(a)は、具体的には、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートが挙げられる。これらのなかでも特に高い芳香属性を保持しながらも粘度低減の効果が顕著なものとなる点から2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートが好ましい。
【0019】
次に、前記構造部位(a−2)を構成する構造式(2)中、R
2は、それぞれ独立的に水素原子又はメチル基を、R
3は、それぞれ独立的に水素原子又はメチル基を、X
1は、それぞれ独立的に水素原子又はメチル基を、X
2は、それぞれ独立的に水素原子又はメチル基を表す。
【0020】
この前記構造部位(a−2)に対応する原料芳香族ジイソシアネート化合物(a)は、具体的には、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ビス(パラフェニルイソシアネート)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0021】
本発明では、これらのなかでも4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、又は3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであることが得られるウレタンアクリレートの結晶化抑制の効果が良好なものとなる点から好ましい。
【0022】
前記した通り、本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)は、芳香族ジイソシアネート化合物(a)、ポリオール化合物(b)、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(c)を必須の原料成分として反応させるものであり、前記ポリオール化合物(b)は、芳香族骨格をその分子構造中に有することを特徴としている。この様にポリオール化合物(b)は、芳香族骨格を有することから、得られる硬化物の屈折率が極めて高いものとなる。
【0023】
斯かるポリオール化合物(b)は、具体的には、ヒドロキノン、カテコール、1,4−ベンゼンジメタノール、3,3’−ビフェニルジオール、4,4’−ビフェニルジオール、ビフェニル−3,3’−ジメタノール、ビフェニル−4,4’−ジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ナフタレンジオール、ビナフトール、ビス(2,7−ジヒドロキシナフチル)メタン、4,4’,4”−メチリジントリスフェノール等の芳香族ポリオール;
【0024】
前記芳香族ポリオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル化合物との開環重合によって得られるポリエーテル変性芳香族ポリオール;
【0025】
前記芳香族ポリオールと、後述する環状エステル化合物との重縮合によって得られるラクトン変性芳香族ポリオール:
【0026】
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸等の脂肪族ジカルボン酸と、前記芳香族ポリオールとを反応させて得られる芳香環含有ポリエステルポリオール;
【0027】
フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びその無水物と、前記脂肪族ポリオールとを反応させて得られる芳香環含有ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0028】
これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。これらの中でも、硬化塗膜が高屈折率で、特に高い靭性を発現するものとなる点で、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールS、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物及びこれらと種々の環状エーテル化合物との開環重合によって得られるポリエーテル変性ビスフェノール化合物が好ましい。
【0029】
次に、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(c)は、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート化合物;
【0030】
(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシフェニル、(メタ)アクリル酸β−ヒドロキシフェネチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシフェネチル、(メタ)アクリル酸1−フェニル−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−4−アセチルフェニル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等の分子構造中に芳香環を有する(メタ)アクリレート化合物、その他前記水酸基含有アクリロイル基含有化合物に環状エステル化合物を付加させたもの等が挙げられる。
【0031】
ここで、前記環状エステル化合物としては、例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ε−メチルカプロラクトン、ε−エチルカプロラクトン、ε−プロピルカプロラクトン、3−ペンテン−4−オリド、12−ドデカノリド、γ−ドデカノラクトン等が挙げられる。
【0032】
また、水酸基含有アクリロイル基含有化合物に環状エステル化合物を付加させた化合物を用いる場合、水酸基含有アクリロイル基含有化合物1モルに対して環状エステル化合物を2〜4モル付加したものであることが硬化物の屈折率を高いレベルに維持しつつ、適度な柔軟性を与え、優れた形状復元性が得られる点から好ましい。
【0033】
これらのなかでも特にプラスチックレンズ用途において復元性に優れる点から2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はそのε−カプロラクトン付加体が好ましく、後者の場合、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート1モルに対してε−カプロラクトン付加体を2又は3モル付加したものであることが好ましい。
【0034】
以上詳述した芳香族ジイソシアネート化合物(a)、ポリオール化合物(b)、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(c)を反応させる方法は、芳香族ジイソシアネート化合物(a)と、ポリオール化合物(b)とを、前記ポリオール化合物(b)が有する水酸基と、芳香族ジイソシアネート化合物(a)が有するイソシアネート基とのモル比[(OH)/(NCO)]が1/1.5〜1/2.5の範囲となる割合で用い、20〜120℃の温度範囲内で、必要に応じて公知慣用のウレタン化触媒を用いて反応させ、反応生成物としてイソシアネート基含有中間体を得、次いで、該中間体と前記分子構造中に水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(c)を、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(c)が有する水酸基と、前記中間体が有するイソシアネート基とのモル比[(OH)/(NCO)]が1/0.95〜1/1.05の範囲となるように用い、20〜120℃の温度範囲内で、必要に応じて公知慣用のウレタン化触媒を用いて行う方法等が挙げられる。
【0035】
その他、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)を製造する方法は、例えば、芳香族ジイソシアネート化合物(a)、ポリオール化合物(b)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(c)を一括に仕込んで反応させる方法や、芳香族ジイソシアネート化合物(a)と、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(c)とを反応させた後に、ポリオール化合物(b)を反応させる方法が挙げられる。
【0036】
このようにして得られる前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)は、より低粘度の組成物が得られ、重合性希釈剤が30〜50質量%含む状態での、25℃での粘度が10〜500Pa・sの範囲のものとなる。
【0037】
以上詳述したウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)のなかでも、特に、該ウレタン(メタ)アクリレート自体の屈折率が25℃条件下での屈折率が1.55以上のものであること、特に水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(c)として2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いた場合には、1.59以上のものであることが好ましい。
【0038】
次に、本発明の光硬化性樹脂組成物で用いる重合性希釈剤(B)は、例えば、フェニルベンジル(メタ)アクリレート(PBA)、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート(PTEA)、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート(OPPEA)、ナフチルチオエチル(メタ)アクリレート(NTEA)等の高屈折率単官能(メタ)アクリレート化合物;その他n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、4−ノニルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の単官能型(メタ)アクリレート;
【0039】
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の2官能型脂肪族(メタ)アクリレート化合物;
【0040】
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性したジペンタエリスリトールのトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の脂肪族(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0041】
これらのなかでも、特に光硬化性樹脂組成物の粘度低減の点から単官能型(メタ)アクリレートが好ましく、特に化合物自体の着色が少なく、屈折率が高い点からフェニルベンジル(メタ)アクリレート(PBA)、又はo−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート(OPPEA)が好ましい。
【0042】
前記重合性希釈剤(b)の配合量は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)との合成質量に対して、10〜80質量%であることが屈折率向上と粘度低減の効果が顕著なものとなる点から好ましい。更には、30〜90質量%であることが好ましい。
【0043】
本発明ではこの状態にある樹脂溶液を、プラスチックレンズ用樹脂成分として用いることができる。斯かるプラスチックレンズ用樹脂成分からプラスチックレンズ賦形用塗料にする場合には、後述する光重合開始剤(C)を加え、更に必要により、前記重合性希釈剤(b)を更に加えて、全体の粘度(25℃)を100mPa・s〜8000mPa・sとなる範囲に調整することが望ましい。
【0044】
ここで用いることのできる光重合開始剤(C)は、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2’−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等が挙げられる。
【0045】
これらのなかでも特に硬化性に優れる点から、4−フェニルベンゾフェノン、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサンテン-9−オンなどが好ましく、特に、4−フェニルベンゾフェノン、及び、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン等の芳香核を置換基として有するベンゾフェノン系光重合開始剤が好ましい。
【0046】
これらの光重合開始剤(C)は、十分な硬化性を発現させるために、(メタ)アクリロイル基を有する光重合性物質(A)100質量部に対して、0.1〜25質量部の範囲で配合することが好ましく、特に2〜25質量部の範囲であることがより好ましい。
【0047】
また、本発明では、前記光重合開始剤(C)として、4−フェニルベンゾフェノン、及び、4−(4−メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン等の芳香核を置換基として有するベンゾフェノン系光重合開始剤を使用する場合、これらと共に、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどの380nm以上〜600nm以下の長波長領域に感光性を有する光重合性開始剤を併用することが、硬化性が良好なものとなる点から好ましく、また、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等の200nm以上〜380nm以下の短波長領域に感光性を有するものが、硬化性に優れたものとなる点から好ましい。特に前記した長波長領域に感光性を有する光重合性開始剤と、短波長領域に感光性を有する光重合性開始剤とを併用することが、硬化性が一層良好なものとなる点から好ましい。
【0048】
また、本発明の光硬化性樹脂組成物は、重合成分としてウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)、及び重合性希釈剤(B)の他、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン骨格含有ジ(メタ)アクリレート、又はポリオキシアルキレン構造を有するアクリレート化合物等を一部配合してもよい。
【0049】
ここで、エポキシ(メタ)アクリレートは、具体的には、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸又はその無水物を反応させて得られるものが挙げられる。
【0050】
斯かる(メタ)アクリル酸又はその無水物と反応させるエポキシ樹脂は、具体的には、ヒドロキノン、カテコール等の2価フェノールのジグリシジルエーテル;3,3’−ビフェニルジオール、4,4’−ビフェニルジオール等のビフェノール化合物のジグリシジルエーテル;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、ビナフトール、ビス(2,7−ジヒドロキシナフチル)メタン等のナフトール化合物のポリグリジシルエーテル;4,4’,4”−メチリジントリスフェノール等のトリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂
【0051】
前記ビフェノール化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル化合物との開環重合によって得られるポリエーテル変性芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル;
【0052】
前記ビフェノール化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール化合物と、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物との重縮合によって得られるラクトン変性芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0053】
これらの中でも、その分子構造中に芳香環骨格を有するものが、最終的に得られるエポキシ(メタ)アクリレートにおける硬化物の屈折率が高くなる点から好ましく、とりわけ、より高い屈折率を示し、かつ、高温高湿条件下であっても、プラスチックフィルム基材に対し高い付着性を示す硬化塗膜が得られる点で、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂又は前記ナフトール化合物のポリグリシジルエーテル、特に前記ビスフェノール型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0054】
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂の中でも、より高屈折率かつ高硬度の塗膜が得られることから、エポキシ当量が160〜1,000g/eqの範囲であるものが好ましく、165〜600g/eqの範囲であるものがより好ましい。
【0055】
他方、前記エポキシ樹脂と反応させる、(メタ)アクリル酸又はその無水物は、特に、硬化性に優れる光硬化性樹脂組成物が得られることから、アクリル酸がより好ましい。
【0056】
次に、前記フルオレン骨格含有ジ(メタ)アクリレートは、具体的には、下記構造式(2)
【0057】
【化5】
(式中、Xは水素原子又はメチル基であり、m及びnはそれぞれ独立に0〜5の整数である。)で表される化合物が挙げられる。
【0058】
また、前記したポリオキシアルキレン構造を有するアクリレート化合物としては、その分子構造中にポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖等のポリオキシアルキレン構造を有するものであり、例えば、エチレンオキシドユニット数4〜15のポリエチレングリコールのジアクリレート、エチレンオキシドユニット数4〜15のポリエチレングリコールのモノアクリレート、プロピレンオキシドユニット数4〜15のポリプロピレングリコールのジアクリレート、プロピレンオキシドユニット数4〜15のポリプロピレングリコールのモノアクリレート、エチレンオキサイド変性グリセロールトリアクリレート(EOユニット数3〜10)、プロピレンオキサイド変性グリセロールトリアクリレート(POユニット数3〜10)、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(EOユニット数4〜20)、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(POユニット数4〜20)、エチレンオキシドユニット数4〜15のビスフェノールのエチレンオキサイド付加物のジアクリレート、及びプロピレンオキシドユニット数4〜15のビスフェノールのプロピレンオキサイド付加物のジアクリレート等が挙げられる。
【0059】
この場合、エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン骨格含有ジ(メタ)アクリレート、又はポリオキシアルキレン構造を有するアクリレート化合物の配合割合は、重合成分中40〜60質量%の割合であることが好ましい。
【0060】
また、エポキシ(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレートに、前記した高屈折率単官能(メタ)アクリレート化合物を配合することが、その硬化物がより高い屈折率を示すこととなる点から好ましい。
【0061】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、前記光重合開始剤(C)に併せて種々の光増感剤を添加しても良い。前記光増感剤は、例えば、アミン類、尿素類、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物またはニトリル類もしくはその他の含窒素化合物等が挙げられ、これらは単独で使用しても二種類以上を併用しても良い。これら光増感剤を添加する場合の添加量は、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜25質量部の範囲であることが好ましい。
【0062】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、必要に応じてその他各種の添加剤を含有しても良い。各種の添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコーン系添加剤、フッ素系添加剤、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、帯電防止剤、防曇剤等が挙げられる。これら添加剤を添加する場合の添加量は、添加剤の効果を十分発揮し、また紫外線硬化を阻害しない範囲で、本発明の光硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.01〜40質量部の範囲であることが好ましい。
【0063】
本発明の光硬化性樹脂組成物の粘度は、高速塗工条件下であっても該樹脂組成物が金型の細部にまで欠点なく行渡るものとなる点で、6,000mPa・s以下であることが好ましい。
【0064】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、紫外線乃至可視光を照射することによって硬化させることができる。
【0065】
紫外線によって硬化させる場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯等の水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハイトランプ等により照射し、硬化させることができる。この際の紫外線の露光量は0.1〜1000mJ/cm
2の範囲であることが好ましい。
【0066】
本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化物は、高屈折率を示し、柔軟性にも優れ、裁断時に割れや欠けが生じ難いものである。このような特徴を生かし、例えば、眼鏡レンズ、デジタルカメラ用レンズ、フレネルレンズ、及びプリズムレンズ等のプラスチックレンズ、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、光ファイバー、光導波路、ホログラム、プリズムレンズ、LED封止材料、太陽光電池用コーティング材等の各種光学材料に好適に使用することができ、これらのなかでも特に、液晶基板用プリズムレンズ等のプラスチックレンズ用に適している。
【0067】
前記液晶基板用プリズムレンズは、シート状成形体の片面に微細なプリズム形状部を複数有するものであって、通常、液晶表示素子の背面(光源側)に、該素子側にプリズム面が向くように配設され、更に、その背面に導光シートが配設されるように用いられるシート状レンズ、或いは前記プリズムレンズがこの導光シートの機能を兼ねているシート状レンズである。
【0068】
ここで該プリズムレンズのプリズム部の形状は、プリズム頂角の角度θが70〜110°の範囲であることが、集光性に優れ輝度が向上する点から好ましく、特に75〜100°の範囲、中でも80〜95°の範囲であることが特に好ましい。
【0069】
また、プリズムのピッチは、100μm以下であることが好ましく、特に70μm以下の範囲であることが、画面のモアレ模様の発生防止や、画面の精細度がより向上する点から好ましい。また、プリズムの凹凸の高さは、プリズム頂角の角度θとプリズムのピッチの値によって決定されるが、好ましくは50μm以下の範囲であることが好ましい。さらに、プリズムレンズのシート厚さは、強度面からは厚い方が好ましいが、光学的には光の吸収を抑えるため薄い方が好ましく、これらのバランスの点から50μm〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0070】
本発明の光硬化性樹脂組成物を用いて前記プリズムレンズを製造する方法は、例えば、該組成物をプリズムパターンが形成された金型あるいは樹脂型等の成形型に塗布し、組成物の表面を平滑化した後に透明基材を重ね合わせ、該透明基材側から活性エネルギー線を照射し、硬化させる方法が挙げられる。
【0071】
ここで用いる透明基材は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂からなるプラスチック基材や、ガラス等が挙げられる。
【0072】
前記方法で得たプリズムシートは、そのまま使用することもできるし、透明基材を剥離してプリズムレンズ単独の状態で使用してもよい。透明基材上にプリズム部を形成したまま使用する場合には、プリズムレンズと透明基材との接着性を高める目的で、透明基材表面にプライマー処理等の接着性向上処理を施しておくことが好ましい。
【0073】
一方、透明基材を剥離して使用する場合には、該透明基材が容易に剥離できるように、透明基材の表面をシリコーンやフッ素系の剥離剤で処理をしておくことが好ましい。
【0074】
本発明の光硬化性樹脂組成物を前期プリズムレンズ用途等の光学材料に用いる場合には、その硬化物の屈折率は1.5560以上であることが好ましい。
【実施例】
【0075】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。尚、例中の部及び%は、光透過率を除き、すべて質量基準である。
【0076】
本発明で粘度は、E型回転粘度計(東機産業株式会社製「RE80U」)を使用し、25℃条件下で測定した。
【0077】
本発明で屈折率は、アッべ屈折率計(アタゴ社製「NAR−3T」)を用いて測定した。温度条件は通常25℃とし、25℃で固体のものに関しては、適当な温度を設定して測定した。
【0078】
実施例1
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた5リットルのフラスコに、トリレンジイソシアネート174.2g(1モル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1モル)、ベンジルアクリレート421g、3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシトルエン2000ppm、メチルハイドロキノン200ppm、オクタン酸スズ350ppmを加え、2−ヒドロキシエチルアクリレート232.2g(2モル)を徐々に滴下し、次いで、80℃に昇温、2時間反応させた。次いで、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物325.2g(1モル)を1時間にわたって分割投入した。
全量投入後、80℃で4時間反応させた、イソシアネート基を示す2250cm
−1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、ウレタンアクリレート樹脂組成物(a−1)を得た。
原料モノマー組成、得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−1)の屈折率、粘度を表1に示す。
【0079】
実施例2
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた5リットルのフラスコに、トリレンジイソシアネート174.2g(1モル)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1モル)、2−フェニルフェノキシエチルアクリレート750g、3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシトルエン2000ppm、メチルハイドロキノン200ppm、オクタン酸スズ350ppmを加え、カプロラクトン2変性ヒドロキシエチルアクリレート688.8g(2モル)を徐々に滴下し、次いで、80℃に昇温、2時間反応させた。次いで、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物325.2g(1モル)を1時間にわたって分割投入した。
全量投入後、80℃で4時間反応させた、イソシアネート基を示す2250cm
−1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、ウレタンアクリレート樹脂組成物(a−1)を得た。
原料モノマー組成、得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−2)の屈折率、粘度を表1に示す。
【0080】
実施例3
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた5リットルのフラスコに、トリレンジイソシアネート174.2g(1モル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g(1モル)、2−フェニルフェノキシエチルアクリレート982g、3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシトルエン2000ppm、メチルハイドロキノン200ppm、オクタン酸スズ350ppmを加え、2−ヒドロキシエチルアクリレート232.2g(2モル)を徐々に滴下し、次いで、80℃に昇温、2時間反応させた。次いで、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物325.2g(1モル)を1時間にわたって分割投入した。
全量投入後、80℃で4時間反応させた、イソシアネート基を示す2250cm
−1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、ウレタンアクリレート樹脂組成物(a−3)を得た。
原料モノマー組成、得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−3)の屈折率、粘度を表1に示す。
【0081】
比較例1
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた5リットルのフラスコに、トリレンジイソシアネート348.4g(2モル)、2−フェニルフェノキシエチルアクリレート905g、3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシトルエン2000ppm、メチルハイドロキノン200ppm、オクタン酸スズ350ppmを加え、2−ヒドロキシエチルアクリレート232.2g(1モル)を徐々に滴下し、次いで、80℃に昇温、2時間反応させた。次いで、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物325.2g(1モル)を1時間にわたって分割投入した。
全量投入後、80℃で4時間反応させた、イソシアネート基を示す2250cm
−1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、ウレタンアクリレート樹脂組成物(a−4)を得た。
原料モノマー組成、得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−4)の屈折率、粘度を表1に示す。
【0082】
比較例2
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた5リットルのフラスコに、トリレンジイソシアネート348.4g(2モル)、2−フェニルフェノキシエチルアクリレート289g、3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシトルエン2000ppm、メチルハイドロキノン200ppm、オクタン酸スズ350ppmを加え、カプロラクトン2変性ヒドロキシエチルアクリレート917g(2モル)を徐々に滴下し、次いで、80℃に昇温、2時間反応させた。次いで、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物325.2g(1モル)を1時間にわたって分割投入した。
全量投入後、80℃で4時間反応させた、イソシアネート基を示す2250cm
−1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、ウレタンアクリレート樹脂組成物(a−5)を得た。
原料モノマー組成、得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−5)の屈折率、粘度を表1に示す。
【0083】
比較例3
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた5リットルのフラスコに、トリレンジイソシアネート78.1g(0.5モル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート375.5g(1.5モル)、ベンジルアクリレート337g、3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシトルエン2000ppm、メチルハイドロキノン200ppm、オクタン酸スズ350ppmを加え、2−ヒドロキシエチルアクリレート232.2g(2モル)を徐々に滴下し、次いで、80℃に昇温、2時間反応させた。次いで、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物325.2g(1モル)を1時間にわたって分割投入した。
全量投入後、80℃で4時間反応させた、イソシアネート基を示す2250cm
−1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、ウレタンアクリレート樹脂組成物(a−6)を得た。得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−6)は結晶化した状態であった。
原料モノマー組成、ウレタンアクリレート樹脂組成物(a−6)の屈折率を表1に示す。
【0084】
比較例4
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた5リットルのフラスコに、トリレンジイソシアネート139.4g(0.8モル)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート300.4g(1.2モル)、ベンジルアクリレート399g、3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシトルエン2000ppm、メチルハイドロキノン200ppm、オクタン酸スズ350ppmを加え、2−ヒドロキシエチルアクリレート232.2g(2モル)を徐々に滴下し、次いで、80℃に昇温、2時間反応させた。次いで、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物325.2g(1モル)を1時間にわたって分割投入した。
全量投入後、80℃で4時間反応させた、イソシアネート基を示す2250cm
−1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、ウレタンアクリレート樹脂組成物(a−7)を得た。得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−7)は結晶化した状態であった。
原料モノマー組成、得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−7)の屈折率を表1に示す。
【0085】
比較例5
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた5リットルのフラスコに、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート500.6g(2モル)、ベンジルアクリレート525g、3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシトルエン2000ppm、メチルハイドロキノン200ppm、オクタン酸スズ350ppmを加え、2−ヒドロキシエチルアクリレート232.2g(2モル)を徐々に滴下し、次いで、80℃に昇温、2時間反応させた。次いで、ビスフェノールAのエチレンオキサイド3モル付加物492.6g(1モル)を1時間にわたって分割投入した。
全量投入後、80℃で4時間反応させた、イソシアネート基を示す2250cm
−1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、ウレタンアクリレート樹脂組成物(a−8)を得た。得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−8)は結晶化した状態であった。
原料モノマー組成、得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−8)の屈折率を表1に示す。
【0086】
比較例6
撹拌機、ガス導入管、コンデンサー、及び温度計を備えた5リットルのフラスコに、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート500.6g(2モル)、ベンジルアクリレート512g、3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシトルエン2000ppm、メチルハイドロキノン200ppm、オクタン酸スズ350ppmを加え、2−ヒドロキシエチルアクリレート232.2g(1モル)を徐々に滴下し、次いで、80℃に昇温、2時間反応させた。次いで、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物460.6g(1モル)を1時間にわたって分割投入した。
全量投入後、80℃で4時間反応させた、イソシアネート基を示す2250cm
−1の赤外吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、ウレタンアクリレート樹脂組成物(a−9)を得た。得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−9)は結晶化した状態であった。
原料モノマー組成、得られたウレタンアクリレート樹脂組成物(a−9)の屈折率を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
<表1の脚注>
BPA(EO2):ビスフェノールAエトキシ化物(エチレンオキサイド2モル変性物)
BPA(EO3):ビスフェノールAエトキシ化物(エチレンオキサイド3モル変性物)
BPA(PO2):2,2-ビス(4-ポリオキシプロピレン-オキシフェニル)プロパン
TDI:2,4−トルエンジイソシアネート
MDI:4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
CL2-HEA:カプロラクトン2変性ヒドロキシエチルアクリレート
CL3-HEA:カプロラクトン3変性ヒドロキシエチルアクリレート
BZA:ベンジルアクリレート
OPPEA:2−フェニルフェノキシエチルアクリレート
【0089】
実施例4および比較例7
実施例3で得られたウレタンアクリレート組成物(a−3)、及び比較例1で得られたウレタンアクリレート組成物(a−4)を用い、表2に示す配合組成で各成分を配合することにより、光硬化型樹脂組成物を調製した。
得られた光硬化型樹脂組成物を、クロムメッキした金属板と透明で表面が未処理のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)との間に充填し、厚さを調整した後、超高圧水銀灯により800mJ/cm2の紫外線をPETフィルム側から照射して硬化させ、次いで、金属板およびPETフィルムから活性エネルギー線硬化樹脂層を剥離し、表面が平滑な厚さが200±25μmの硬化樹脂フィルム(F)を作製した。
【0090】
得られた光硬化型樹脂組成物を、単位プリズム(ピッチ50μm、高さ25μm)の線状配列の凹凸形状が形成されたモールドと、透明基材としての透明で易接着処理されたPETフィルム(商品名:A4300、厚み:125μm 東洋紡績製)との間に充填した後、超高圧水銀灯により500mJ/cm2の紫外線をPETフィルム側から照射して硬化させ、次いで、PETフィルムを活性エネルギー線硬化樹脂層と共にモールドから剥離し、必要とする形状を転写したPETフィルム形状付き硬化物(L)を作製した。
【0091】
得られた光硬化型樹脂組成物、硬化樹脂フィルム(F)、PETフィルム形状付き硬化物(L)、アクリル樹脂板平滑硬化物(S)を用い、下記のように各種の測定・評価を行った。結果を第1表および第2表(1)、第2表(2)に示す。これらは、全ての実施例および比較例における測定結果の一例として示したものである。
【0092】
(1)粘度測定:E型回転粘度計を用い、25℃で注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の粘度(mPa・s)を測定した。
(2)屈折率測定:液状サンプルと硬化サンプルについて測定した。液状サンプルは、注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物をAbbe屈折計のプリズムに直接塗布し、25℃にて測定を行った。
(3)復元性:上記で得られたPETフィルム形状付き硬化物(L)を直径10mmの金属丸棒の跡が完全に消失するまでの時間を測定した。
◎・・・・瞬時に消失した。
○・・・・60秒以内に消失した。
△・・・・1〜60分の間に消失した。
×・・・・消失しなかった。
【0093】
(4)密着性評価:アクリル樹脂板平滑硬化物(S)を用い、この透明基材と硬化樹脂層との密着性をJIS K−5400に準拠して測定した。95/100以上の升目が残存する時を○、(60〜94)/100の升目が残存する時を△とし、59/100以下の時を×とした。
【0094】
粘度が低く、かつ、高い屈折率を発現させることのできる光硬化性樹脂組成物を提供する。具体的には、芳香族ジイソシアネート化合物(a)、ポリオール化合物(b)、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(c)を必須の原料成分として反応させて得られ、下記構造式(1)
で表される構造部位(a−2)とを、モル比[(a−1)/(a−2)]が45/55〜60/40となる割合で有しており、かつ、前記ポリオール化合物(b)が芳香族炭化水素骨格を有するものであるウレタン(メタ)アクリレート樹脂(A)を用いる。