(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれるエーテル系溶媒を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のレジスト保護膜材料。
エーテル系溶媒に加えて、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールから選ばれるアルコール系溶媒を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレジスト保護膜材料。
全溶媒中、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれるエーテル系溶媒を50質量%以上含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレジスト保護膜材料。
ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト保護膜材料による保護膜を形成し、露光を行った後、現像を行うリソグラフィーによるパターン形成方法において、上記レジスト保護膜材料として請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレジスト保護膜材料を用いることを特徴とするパターン形成方法。
ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト保護膜材料による保護膜を形成し、真空中で露光を行うパターン形成方法において、上記レジスト保護膜材料として請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレジスト保護膜材料を用いることを特徴とするパターン形成方法。
露光後に行う現像工程において、アルカリ現像液によりフォトレジスト層の現像とレジスト保護膜材料の保護膜の剥離とを同時に行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。微細化が急速に進歩した背景には、投影レンズの高NA化、レジスト材料の性能向上、短波長化が挙げられる。
【0003】
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト材料は、一般的に0.3μmプロセスに使われ始め、0.13μmルールの量産まで適用された。KrFからArFエキシマレーザー(193nm)への波長の短波長化は、デザインルールの微細化を0.13μm以下にすることは可能であるが、従来用いられてきたノボラック樹脂やポリビニルフェノール系の樹脂が193nm付近に非常に強い吸収を持つため、レジスト用のベース樹脂として用いることができない。透明性と、必要なドライエッチング耐性の確保のため、アクリル系の樹脂やシクロオレフィン系の脂環族系の樹脂が検討され、ArFリソグラフィーを用いたデバイスの量産が行われた。
【0004】
次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF
2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF
2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジストのエッチング耐性低下等の種々の問題により、F
2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱され、これを用いた45nmノードのデバイスが量産されている。32nmノードデバイスの量産には、サイドウォールスペーサー技術を用いたダブルパターニングが用いられているが、プロセスの複雑さと長さが問題になっている。
【0005】
32nm以降のデバイスでは、プロセスコストの高いダブルパターニングではなく、露光波長を1桁以上短波長化して解像性を向上させた波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーの到来が期待されており、開発が進んでいる。
EUVリソグラフィーにおいては、レーザーのパワーが低いことと反射ミラーの光の減衰のための光量低下によって、ウエハー面に到達する光の強度が低い。低い光量でスループットを稼ぐため高感度レジスト材料の開発が急務である。しかしながら、レジスト材料の感度を上げると解像度とエッジラフネス(LER、LWR)が劣化するという問題があり、感度とのトレードオフの関係が指摘されている。
【0006】
EUVレジスト材料は感度が高いために、環境の影響を受け易いという問題がある。通常化学増幅型レジスト材料には空気中のアミンコンタミネーションの影響を受けにくくするためにアミンクエンチャーが添加されているが、ArFレジスト材料などに比べてEUVレジスト材料のアミンクエンチャーの添加量は数分の一である。このため、EUVレジスト材料はレジスト表面からのアミンの影響を受けてT−top形状になり易い。
環境の影響を遮断するためにはレジスト膜の上層に保護膜を形成することが有効である。アミンクエンチャーが添加されていなかった、t−BOC(tert−ブトキシカルボニル)で保護されたポリヒドロキシスチレンベースのKrFエキシマレーザー用の初期型の化学増幅型レジスト材料には保護膜の適用が有効であった。ArF液浸リソグラフィーの初期段階においても、水への酸発生剤の流出を防いでこれによるT−top形状防止のために保護膜が適用された。特開2006−53300号公報(特許文献1)には、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基を含有するスチレンのホモポリマー、又はメタクリレートエステルとの共重合ポリマーをベースとする保護膜材料が示されている。
ここで、EUVリソグラフィープロセスにおいてもレジスト膜の上層に保護膜を形成することが提案されている(特許文献2:特開2006−58739号公報、特許文献3:特許第4716047号公報、特許文献4:特開2008−65304号公報、非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 7969, p796916−1 (2011))。保護膜を形成することによって環境耐性を向上させることができ、レジスト膜からのアウトガスを低減させることができる。
【0007】
DPP、LPPのEUVレーザーからは、パターンを形成する波長13.5nmの光以外に弱いながらも波長140〜300nmのブロードな光(アウトオブバンド:OOB)が発振される。ブロード光は強度が弱いが、波長帯が幅広いためにエネルギー量としては無視できない。OOBをカットするためのZrフィルターがEUVマイクロステッパーに装着されているが、光量が低下する。スループットを向上させるために光量低下が許されないEUVスキャナーでは、フィルターが装着されない可能性がある。
OOBに感光せず、EUVに感光するレジスト開発が必要である。このようなレジストとして、スルホニウム塩のPAGのカチオン構造が重要であり、下記特許文献5(特開2011−138107号公報)の段落[0052]中にOOBに対して感度が低く、EUV光に高感度なバウンド型の酸発生剤の記載がある。非特許文献1では、OOB光を遮断する保護膜をレジスト上層に設けることの優位性が示されている。
【0008】
レジスト保護膜としては、ArF液浸リソグラフィー用途において多くの材料が提案された。この中で、波長193nmにおける吸収が非常に高くて実用に耐えないと推察されるが、下記特許文献6(特開2005−352384号公報)にはヘキサフルオロアルコール基含有スチレンの繰り返し単位を有する保護膜材料が示されている。
【0009】
液浸リソグラフィー用の保護膜の場合、保護膜用の溶媒がレジスト膜表面を溶解させ、保護膜とレジスト膜とがミキシングを起こして現像後のレジストパターンが膜減りを起こすことが指摘されている(特許文献7:特許第4771083号公報)。特にアルコール系溶媒を用いた場合に膜減りが顕著である。膜減りを防止するためにエーテル系溶媒が効果的であることが示されている。エーテル系溶媒に溶解するポリマーとしては、特許文献4に記載されるようにヘキサフルオロアルコール(HFA)含有のポリマーを挙げることができる。しかしながら、フッ素原子はEUVの光に対して強い吸収があるために、HFA含有ポリマーをレジスト上層保護膜として用いた場合、パターン後のレジスト膜の感度が低下してしまう問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、レジスト膜の環境からの影響を低減させ、OOB光を効率よく遮断させるだけでなくレジストパターンの膜減りやパターン間のブリッジを低減させ、レジスト膜を高感度化させる効果やレジスト膜からのアウトガスの発生を抑える効果も併せ持つレジスト保護膜材料及びこれを用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、レジスト膜の環境からの影響を低減させ、OOB光を吸収し、レジストパターンの膜減りやパターン間のブリッジを低減させるために、後述する保護膜を形成することが有効であることを知見した。この保護膜は、アルカリ現像液に可溶とすることができ、レジスト膜の現像と同時に剥離が可能であり、溶媒剥離型の保護膜に比べてプロセスがシンプルであるためにプロセスコストの上昇を最小限に抑えることが可能である。
【0014】
なお、波長13.5nmにおいて、水素原子、炭素原子、珪素原子、硫黄原子の吸収が小さく、酸素原子、フッ素原子の吸収は大きいことが報告されている。前述の特許文献1に記載されているフッ素ポリマーは波長13.5nmに大きな吸収を持つ。レジスト保護膜に吸収があると、レジスト膜の感度が低感度化にシフトする。レーザーパワーが低いEUVリソグラフィーにおいてレジスト膜の低感度化は問題である。よって、レジスト保護膜としては高透明である必要がある。また、前述のフッ素ポリマーはアルカリ現像液に溶解しないために現像前に別途レジスト保護膜専用の剥離カップが必要となり、プロセスが煩雑化する。レジスト膜の現像と同時に剥離可能な保護膜が望ましく、保護膜材料の設計としてアルカリ溶解性基を有する材料が必要となるが、後述する保護膜は、かかる要求に応えられるものである。
【0015】
なお、アルカリ溶解性基としてはカルボキシル基、フェノール基、スルホ基、ヘキサフルオロアルコール基等が挙げられるが、透明性の観点ではヘキサフルオロアルコール基はフッ素原子が6個も存在しているため強い吸収がある。
しかしながら、ヘキサフルオロアルコール基を含有するポリマーは、レジスト膜へのダメージが極めて少ないエーテル系溶媒に溶解するというメリットがある。
【0016】
ポリヒドロキシスチレンベースのレジスト材料は、EUV照射時の酸発生効率が高いことが報告されている。EUV照射によってフェノール基から酸発生剤へのエネルギー移動による増感効果によって感度が向上する。このため、レジスト膜の感度を上げるためにポリヒドロキシスチレンベースのレジスト材料が検討されている。
【0017】
ポリマー主鎖に酸発生剤(PAG)を結合したレジスト材料が提案されている。特に主鎖にスルホン酸が結合したスルホニウム塩、ヨードニウム塩の酸発生剤を用いると酸の拡散距離を短くすることによって酸拡散による像のボケを少なくすることができ、微細パターン形成に有利である(特許第4425776号公報)。PAGがバウンドされたレジスト膜の欠点は感度が低いことである。このため、フェノール基を有するヒドロキシスチレン等を共重合することによって感度向上を図っている。しかしながら、アルカリ溶解速度が向上するフェノール基を有するモノマーの共重合は、レジストパターンの膜減りを生じさせ、好ましいことではない。高感度で、現像後のパターンの膜減りが少ないレジスト保護膜材料の開発が望まれている。
【0018】
従って、本発明は、下記のレジスト保護膜材料及びパターン形成方法を提供するものである。
〔1〕
ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト保護膜材料による保護膜を形成し、露光を行った後、現像を行うリソグラフィーによるパターン形成方法において用いるレジスト保護膜材料であって、下記一般式(1)で示される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基を有するスチレン、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンから選ばれる1以上のモノマーに由来する繰り返し単位pに加えて、スチレン類、ビニルナフタレン類、インデン類、ベンゾフラン類、ベンゾチオフェン類、スチルベン類、スチリルナフタレン類、ジナフチルエチレン類から選ばれる1以上のモノマーに由来する繰り返し単位q1〜q4を共重合してなる高分子化合物をベース樹脂とすることを特徴とするレジスト保護膜材料。
【化1】
(式中、R
1は水素原子又はヒドロキシ基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、又はハロゲン原子であり、mは1又は2である。R
2、R
3は水素原子、又はR
2とR
3とが結合してメチレン基、−O−、又は−S−となり、環を形成してもよい。R
4、R5はそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、エステル基、又はハロゲン原子であり、R6〜R
8は同一又は異種の水素原子又はヒドロキシ基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、エステル基、又はハロゲン原子である。X
1はメチレン基、−O−、又は−S−、X
2、X
3はフェニレン基又はナフチレン基である。nは1〜5の整数である。0.1≦p<1.0、0≦q1≦0.9、0≦q2≦0.9、0≦q3≦0.9、0≦q4≦0.9、0<q1+q2+q3+q4≦0.9である。)
〔2〕
前記レジスト保護膜材料が、アルカリ現像液に可溶であることを特徴とする〔1〕に記載のレジスト保護膜材料。
〔3〕
更に、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれるエーテル系溶媒を含有することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のレジスト保護膜材料。
〔4〕
エーテル系溶媒に加えて、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールから選ばれるアルコール系溶媒を含有することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のレジスト保護膜材料。
〔5〕
全溶媒中、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれるエーテル系溶媒を50質量%以上含有することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のレジスト保護膜材料。
〔6〕
ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト保護膜材料による保護膜を形成し、露光を行った後、現像を行うリソグラフィーによるパターン形成方法において、上記レジスト保護膜材料として〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のレジスト保護膜材料を用いることを特徴とするパターン形成方法。
〔7〕
ウエハーに形成したフォトレジスト層上にレジスト保護膜材料による保護膜を形成し、真空中で露光を行うパターン形成方法において、上記レジスト保護膜材料として〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のレジスト保護膜材料を用いることを特徴とするパターン形成方法。
〔8〕
露光における波長が3〜15nmの範囲、又は露光に電子線を用いることを特徴とする〔7〕に記載のパターン形成方法。
〔9〕
露光後に行う現像工程において、アルカリ現像液によりフォトレジスト層の現像とレジスト保護膜材料の保護膜の剥離とを同時に行うことを特徴とする〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔10〕
カルボキシル基及び/又はフェノール基の水酸基の水素原子が酸不安定基で置換されている下記一般式(2)で示される繰り返し単位a1及び/又はa2の繰り返し単位を有する重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物をベース樹脂にしているフォトレジスト層上に上記レジスト保護膜材料による保護膜を形成し、真空中で露光を行うことを特徴とする〔6〕〜〔9〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R
9、R
11はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
10、R
12は酸不安定基を表す。Y
1は単結合、エステル基,ラクトン環,フェニレン基又はナフチレン基のいずれか1種又は2種以上を有する炭素数1〜12の連結基、フェニレン基、又はナフチレン基である。Y
2は単結合、エステル基、又はアミド基である。0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0<a1+a2<1.0の範囲である。)
〔11〕
前記ベース樹脂としての高分子化合物が、カルボキシル基及び/又はフェノール基の水酸基の水素原子が酸不安定基で置換されている上記一般式(2)で示される繰り返し単位a1、a2に加えて、下記一般式(3)で示されるスルホニウム塩b1〜b3から選ばれる1つ以上の繰り返し単位を共重合した重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物であることを特徴とする〔10〕に記載のパターン形成方法。
【化3】
(式中、R
020、R
024、R
028は水素原子又はメチル基、R
021は単結合、フェニレン基、−O−R
033−、又は−C(=O)−Y−R
033−である。Yは酸素原子又はNH、R
033は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R
022、R
023、R
025、R
026、R
027、R
029、R
030、R
031は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。A
1は単結合、−A
0−C(=O)−O−、−A
0−O−又は−A
0−O−C(=O)−であり、A
0は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい。A
2は水素原子又はCF
3基又はカルボニル基である。Z
1は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R
032−、又は−C(=O)−Z
2−R
032−である。Z
2は酸素原子又はNH、R
032は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M
-は非求核性対向イオンを表す。0≦b1≦0.5、0≦b2≦0.5、0≦b3≦0.5、0<b1+b2+b3≦0.5の範囲である。)
【発明の効果】
【0019】
本発明のレジスト保護膜材料を適用することによって、大気中のアミンコンタミネーションによるレジストパターンの頭張りを防ぐことができ、レジスト膜への増感効果によってレジスト膜の感度を向上させることができる。同時に真空中の露光におけるレジスト膜からのアウトガスの発生を抑えることもできる。本発明のレジスト保護膜材料は、アルカリ現像液に可溶とすることができるためにレジスト膜の現像と同時に剥離が可能である。更に、レジスト膜を溶解することがなく、ミキシング層を形成することもないので、現像後のレジスト形状に変化を与えることがない。更には、EUVレーザーから発生する波長140〜300nmのアウトオブバンド(OOB)の光を吸収し、これにレジスト膜が感光することを防ぐ効果も併せ持つ。本発明のレジスト保護膜材料は、EUV光に吸収を持つフッ素原子を有するヘキサフルオロアルコール基をアルカリ溶解性基として有しているが、同時にEUV光に吸収が少ない炭素原子の割合が高い芳香族基も同時に有している。これによって、フッ素原子の吸収による感度の低下を最小限に抑えることができる。また、ヘキサフルオロアルコール基を有していることによってフォトレジスト層にほとんどダメージを与えずに保護膜層とフォトレジスト層との間にミキシング層を形成することがなく、現像後のレジストパターンの膜減りを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のレジスト保護膜材料は、保護膜用ベース材料として、炭化水素から形成され、アルカリ可溶性のための下記一般式で示される1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基を有するスチレン、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンから選ばれる1以上のモノマーに由来する繰り返し単位を有する高分子化合物を用いる。
【化4】
(式中、R
1は水素原子又はヒドロキシ基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、又はハロゲン原子であり、mは1又は2である。R
2、R
3は水素原子、又はR
2とR
3とが結合してメチレン基、−O−、又は−S−となり、環を形成してもよい。)
【0021】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基の存在によってレジスト膜にダメージを与えないエーテル系溶媒への溶解性が向上する。繰り返し単位pを得るためのモノマーとしては、下記に例示のスチレン誘導体、特開2003−96007号公報に記載のインデン誘導体、あるいはベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体を挙げることができる。
【0023】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基はフッ素原子のEUV光における高い吸収のためにレジスト膜の感度が低下する欠点がある。これを低減するために、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基(HFA)を有する繰り返し単位としてEUV光に吸収が少ないスチレン、インデンをベースとする方法や、更に炭化水素を多く含有する芳香族基を有するモノマーと共重合することが好ましい。炭化水素を多く含有する芳香族基含有モノマーの共重合による繰り返し単位は、下記一般式(1)中の、スチレン類、ビニルナフタレン類、インデン類、ベンゾフラン類、ベンゾチオフェン類、スチルベン類、スチリルナフタレン類、ジナフチルエチレン類から選ばれるモノマーに由来する繰り返し単位q1〜q4を挙げることができる。
【化6】
(式中、R
1、R
2、R
3、mは上記の通りである。R
4〜R
8は同一又は異種の水素原子又はヒドロキシ基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、エステル基(−OCOR
0:R
0=C
1-6のアルキル基)、又はハロゲン原子である。X
1はメチレン基、−O−、又は−S−、X
2、X
3はフェニレン基又はナフチレン基である。nは1〜5の整数である。0.1≦p<1.0、0≦q1≦0.9、0≦q2≦0.9、0≦q3≦0.9、0≦q4≦0.9、0<q1+q2+q3+q4≦0.9である。)
【0024】
q1の繰り返し単位を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化7】
【0025】
q2の繰り返し単位を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化8】
【0026】
q3の繰り返し単位を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化9】
【0028】
q4の繰り返し単位を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化11】
【0029】
本発明の保護膜用の高分子化合物としては、繰り返し単位p、q1〜q4を有することを特徴とするが、保護膜のアルカリ溶解性を向上させるために、特開2008−65304号公報に記載のカルボキシル基、スルホ基を有する繰り返し単位rを共重合してもよい。
【0030】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基、即ちヘキサフルオロアルコール基を含有するスチレン、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンから選ばれる1以上のモノマーに由来する繰り返し単位pは、p=1でもよいが、好ましくは該繰り返し単位pと他のモノマーの繰り返し単位q1〜q4、カルボキシル基及びスルホ基を有する繰り返し単位rとの共重合比は、0.1≦p<1.0、0≦q1≦0.9、0≦q2≦0.9、0≦q3≦0.9、0≦q4≦0.9、0<q1+q2+q3+q4≦0.9、0≦r≦0.6、好ましくは0.2≦p<1.0、0≦q1≦0.8、0≦q2≦0.8、0≦q3≦0.8、0≦q4≦0.8、0<q1+q2+q3+q4≦0.8、0≦r≦0.5、更に好ましくは0.3≦p<1.0、0≦q1≦0.7、0≦q2≦0.7、0≦q3≦0.7、0≦q4≦0.7、0<q1+q2+q3+q4≦0.7、0≦r≦0.4である。
【0031】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基を含有するスチレン、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンから選ばれる1以上のモノマーに由来する繰り返し単位pを含有するポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000の範囲が好ましい。Mwが10,000を超える場合は溶媒とアルカリ現像液への溶解性が低下し、Mwが1,000未満の場合はレジスト膜とのミキシングによって現像後のレジストパターンの膜減りを起こすことがある。
【0032】
本発明のレジスト保護膜材料用の高分子化合物の重合においては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のラジカルによって重合が開始されるラジカル共重合、アルキルリチウム等の触媒を用いたイオン重合(アニオン重合)等が一般的である。これらの重合はその常法に従って行うことができる。
ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ系化合物、tert−ブチルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート等の過酸化物系化合物、また水溶性開始剤としては過硫酸カリウムのような過硫酸塩、更には過硫酸カリウムや過酸化水素等の過酸化物と亜硫酸ナトリウムのような還元剤の組み合わせからなるレドックス系開始剤が例示される。重合開始剤の使用量は、種類、重合反応条件等に応じて適宜変更可能であるが、通常は重合させるべき単量体全量に対して0.001〜5質量%、特に0.01〜2質量%が採用される。
【0033】
また、重合反応においては重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては重合反応を阻害しないものが好ましく、代表的なものとしては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が使用できる。これらの溶媒は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。またドデシルメルカプタンのような公知の分子量調整剤を併用してもよい。
重合反応の反応温度は重合開始剤の種類あるいは溶媒の沸点により適宜変更され、通常は20〜200℃が好ましく、特に50〜140℃が好ましい。かかる重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。
このようにして得られる本発明にかかる重合体の溶液又は分散液から、媒質である有機溶媒又は水を除去する方法としては、公知の方法のいずれも利用できるが、例を挙げれば再沈澱濾過又は減圧下での加熱留出等の方法がある。
【0034】
レジスト保護膜材料用として用いられる溶媒としては、フォトレジスト膜を溶解させない溶媒である必要がある。フォトレジスト膜を溶解させる溶媒としては、例えば、レジスト溶媒として用いられるシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類などが挙げられ、これらの溶媒を用いることはできない。
【0035】
フォトレジスト膜を溶解させず、本発明で好ましく用いられる溶媒としては、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル等のエーテル系溶媒を挙げることができる。更にこれらのエーテル系溶媒に加えて炭素数4以上の高級アルコールを混合させることもできる。
【0036】
炭素数4以上の高級アルコールとしては、具体的には1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールを挙げることができる。
【0037】
炭素数4以上の高級アルコールに加えて、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メジチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、アニソール等の芳香族系溶媒を混ぜることによってレジスト膜とのミキシングを防止することができる。
エーテル系溶媒の比率は全溶媒中の50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上である。
また、上記溶媒の配合量は、保護膜用ベース材料100質量部に対して100〜30,000質量部、特に200〜20,000質量部が好ましい。
【0038】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト保護膜材料には酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。
レジスト保護膜材料に酸発生剤を添加することによって現像後のレジストパターン間のブリッジ欠陥を低減させる効果がある。
上記酸発生剤の配合量は、保護膜用ベース材料100質量部に対して0.1〜10質量部、特には1〜5質量部が好適である。なお、ベース樹脂として後述する繰り返し単位b1〜b3を共重合した高分子化合物を用いた場合、酸発生剤の配合を省略し得る。
【0039】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト保護膜材料にはアミンクエンチャーを含んでもよく、具体的には特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載されている。アミンクエンチャーを添加することによって現像後のレジストパターンの矩形性を向上させることができる。酸発生剤とアミンクエンチャーを併用することによってレジストパターンのLWRを低減させることができる。なお、アミンクエンチャーの配合量は、保護膜用ベース材料100質量部に対して0.01〜10質量部、特には0.02〜8質量部が好適である。
【0040】
本発明のレジスト保護膜材料には特開2008−111103号公報の段落[0165]〜[0166]記載の界面活性剤を添加することができる。
上記界面活性剤の配合量は、保護膜用ベース材料100質量部に対して0.0001〜10質量部、特には0.001〜5質量部が好適である。
【0041】
本発明のパターン形成方法に用いるフォトレジスト材料としては化学増幅型ポジ型レジスト材料であり、一般式(2)で示されるカルボキシル基及び/又はフェノール基の水酸基の水素原子が酸不安定基で置換されている繰り返し単位a1、a2を有している必要がある。
【化12】
(式中、R
9、R
11はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R
10、R
12は酸不安定基を表す。Y
1は単結合、エステル基,ラクトン環,フェニレン基又はナフチレン基のいずれか1種又は2種以上を有する炭素数1〜12の連結基、フェニレン基、又はナフチレン基である。Y
2は単結合、エステル基、又はアミド基である。0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0<a1+a2<1.0の範囲である。)
【0042】
本発明に係る高分子化合物に含まれる繰り返し単位のうち、上記一般式(2)中の繰り返し単位a1で表される酸不安定基を有する繰り返し単位は、カルボキシル基、特には(メタ)アクリレートの水酸基の水素原子を置換したものであり、これを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化13】
(式中、R
9、R
10は前述と同様である。)
【0043】
上記一般式(2)中の繰り返し単位a2で表される酸不安定基を有する繰り返し単位は、フェノール性水酸基、好ましくはヒドロキシスチレン、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートの水酸基の水素原子を置換したものであり、これを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化14】
(式中、R
11、R
12は前述と同様である。)
【0044】
R
10、R
12で示される酸不安定基は種々選定されるが、同一でも異なっていてもよく、特に下記一般式(A−1)〜(A−3)で置換された基で示されるものが挙げられる。
【化15】
【0045】
式(A−1)において、R
30は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は式(A−3)で示される基を示し、3級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。kは0〜6の整数である。
【0046】
式(A−2)において、R
31、R
32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R
33は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0048】
R
31とR
32、R
31とR
33、R
32とR
33とは結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR
31、R
32、R
33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、好ましくは環の炭素数は3〜10、特に4〜10である。
【0049】
上記式(A−1)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0050】
更に、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
【化17】
【0051】
ここで、R
37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基、R
38は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。
また、R
39は互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
kは上記の通りである。
【0052】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−69のものを例示することができる。
【化18】
【0056】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0057】
また、下記式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化22】
【0058】
式中、R
40、R
41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R
40とR
41は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR
40、R
41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R
42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b1、d1は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c1は1〜7の整数である。Aは、(c1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c1は好ましくは1〜3の整数である。
【0059】
上記式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(A−2)−70〜(A−2)−77のものが挙げられる。
【化23】
【0060】
次に、上記式(A−3)においてR
34、R
35、R
36は、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基、アリール基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R
34とR
35、R
34とR
36、R
35とR
36とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、炭素数3〜20の脂環を形成してもよい。
式(A−3)で示される3級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0061】
また、3級アルキル基としては、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に挙げることもできる。
【化24】
【0062】
式(A−3)−1〜(A−3)−18中、R
43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。R
44、R
46は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R
45は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。
【0063】
更に、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるR
47を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。
【化25】
【0064】
上記式(A−3)−19、(A−3)−20中、R
43は前述と同様、R
47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、又はフェニレン基等のアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。e1は1〜3の整数である。
【0065】
特に式(A−3)の酸不安定基としては、繰り返し単位a1として下記式(A−3)−21に示されるエキソ体構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位が好ましく挙げられる。
【化26】
(式中、R
9、a1は前述の通り、R
c3は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。R
c4〜R
c9及びR
c12、R
c13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、R
c10、R
c11は水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。R
c4とR
c5、R
c6とR
c8、R
c6とR
c9、R
c7とR
c9、R
c7とR
c13、R
c8とR
c12、R
c10とR
c11又はR
c11とR
c12は互いに環を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。またR
c4とR
c13、R
c10とR
c13又はR
c6とR
c8は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0066】
ここで、式(A−3)−21に示すエキソ構造を有する繰り返し単位を得るためのエステル体のモノマーとしては特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0068】
次に、式(A−3)に示される酸不安定基としては、繰り返し単位a1として下記式(A−3)−22に示されるフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの酸不安定基を挙げることができる。
【化28】
(式中、R
9、a1は前述の通りである。R
c14、R
c15はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。又は、R
c14、R
c15は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成してもよい。R
c16はフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基から選ばれる2価の基を示す。R
c17は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0069】
フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基で置換された繰り返し単位を得るためのモノマーは下記に例示される。なお、Acはアセチル基、Meはメチル基を示す。
【0072】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
10としては、下記一般式(A−3)−23で示されるものであってもよい。
【化31】
(式中、R
23-1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。m23は1〜4の整数である。)
【0073】
式(A−3)−23で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化32】
【0074】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
10は、下記一般式(A−3)−24で示される酸不安定基であってもよい。
【化33】
(式中、R
24-1、R
24-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは水素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、又は炭素数6〜10のアリール基である。R
24-3、R
24-4、R
24-5、R
24-6は水素原子、あるいはR
24-3とR
24-4、R
24-4とR
24-5、R
24-5とR
24-6が結合してベンゼン環を形成してもよい。m24、n24は1〜4の整数である。)
【0075】
式(A−3)−24で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化34】
【0078】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
10は、下記一般式(A−3)−25で示される酸不安定基であってもよい。
【化37】
(式中、R
25-1は同一又は異種で、水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、m25が2以上の場合、R
25-1同士が結合して炭素数2〜8の非芳香環を形成してもよく、円は炭素C
AとC
Bとのエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基から選ばれる結合を表し、R
25-2は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは式(A−3)−24のRと同様の意味を示す。円がエチレン基、プロピレン基のとき、R
25-1が水素原子となることはない。m25、n25は1〜4の整数である。)
【0079】
式(A−3)−25で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化38】
【0084】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
10は、下記一般式(A−3)−26で示される酸不安定基であってもよい。
【化43】
(式中、R
26-1、R
26-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは式(A−3)−24のRと同様の意味を示す。m26、n26は1〜4の整数である。)
【0085】
式(A−3)−26で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化44】
【0087】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
10は、下記一般式(A−3)−27で示される酸不安定基であってもよい。
【化46】
(式中、R
27-1、R
27-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは式(A−3)−24のRと同様の意味を示す。m27、n27は1〜4の整数である。Jはメチレン基、エチレン基、ビニレン基、又は−CH
2−S−である。)
【0088】
式(A−3)−27で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化47】
【0091】
繰り返し単位a1の酸不安定基R
10は、下記一般式(A−3)−28で示される酸不安定基であってもよい。
【化50】
(式中、R
28-1、R
28-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは式(A−3)−24のRと同様の意味を示す。m28、n28は1〜4の整数である。Kはカルボニル基、エーテル基、スルフィド基、−S(=O)−、又は−S(=O)
2−である。)
【0092】
式(A−3)−28で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化51】
【0097】
更には、酸発生剤として下記一般式(3)で示されるスルホニウム塩を持ついずれかの繰り返し単位b1〜b3を共重合していることが好ましい。このような酸発生剤をポリマー主鎖にバウンドしているポリマーをベース樹脂としたレジスト材料は、現像後のパターンのエッジラフネス(LWR)が小さいメリットがある。
【0098】
【化56】
(式中、R
020、R
024、R
028は水素原子又はメチル基、R
021は単結合、フェニレン基、−O−R
033−、又は−C(=O)−Y−R
033−である。Yは酸素原子又はNH、R
033は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R
022、R
023、R
025、R
026、R
027、R
029、R
030、R
031は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。A
1は単結合、−A
0−C(=O)−O−、−A
0−O−又は−A
0−O−C(=O)−であり、A
0は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい。A
2は水素原子又はCF
3基又はカルボニル基である。Z
1は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R
032−、又は−C(=O)−Z
2−R
032−である。Z
2は酸素原子又はNH、R
032は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基、又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M
-は非求核性対向イオンを表す。0≦b1≦0.5、0≦b2≦0.5、0≦b3≦0.5、0≦b1+b2+b3≦0.5の範囲である。)
【0099】
上記一般式(3)中のスルホニウム塩を有する繰り返し単位b1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化57】
(式中、M
-は非求核性対向イオンを表す。)
【0100】
M
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0101】
更には、下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα,β位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【化58】
【0102】
一般式(K−1)中、R
102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環、又はフッ素原子を有していてもよい。
一般式(K−2)中、R
103は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよい。
【0103】
上記一般式(3)中のスルホニウム塩を有する繰り返し単位b2を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化59】
【0108】
上記一般式(3)中のスルホニウム塩を有する繰り返し単位b3を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化64】
【0110】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベース樹脂としては、酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する繰り返し単位a1及び/又は酸不安定基で置換されたフェノール性水酸基を有する繰り返し単位a2を必須とし、場合によっては主鎖に結合したスルホン酸のスルホニウム塩の酸発生剤を有する繰り返し単位b1〜b3のいずれかとを共重合したポリマーをブレンドすることを特徴とするが、更に、酸不安定基を有する繰り返し単位a1及び/又はa2に加えて密着性基としてフェノール性水酸基を有する繰り返し単位cを共重合することができる。
【0111】
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位cを得るためのモノマーは、具体的には下記に示すことができる。
【化66】
【0117】
更には他の密着性基として、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−G−(Gは硫黄原子、NHである)を密着性基とする繰り返し単位dを共重合することができる。dを得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
【0126】
ヒドロキシ基を有するモノマーの場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基などの酸によって脱保護し易いアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0127】
更に、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体eを共重合することもでき、具体的には下記に例示することができる。
【0129】
上記繰り返し単位以外に共重合できる繰り返し単位fとしては、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダンなどが挙げられる。
【0130】
本発明の保護膜形成材料に組み合わせるレジストポリマーに用いられるa1、a2、b1、b2、b3、c、d、e、fの共重合比率は、
0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、
0≦b1≦0.5、0≦b2≦0.5、0≦b3≦0.5、0<b1+b2+b3≦0.5、
0≦c<1.0、0≦d<1.0、0≦e<1.0、0≦f<1.0、
0.7≦a1+a2+b1+b2
+b3+c+d≦1.0であり、
好ましくは
0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.1≦a1+a2≦0.8、
0≦b1≦0.5、0≦b2≦0.5、0≦b3≦0.5、0.02≦b1+b2+b3≦0.5、
0≦c≦0.8、0≦d≦0.8、0≦e≦0.5、0≦f≦0.5、
0.8≦a1+a2+b1+b2+b3+c+d≦1.0であり、
更に好ましくは
0≦a1≦0.7、0≦a2≦0.7、0.1≦a1+a2≦0.7、
0≦b1≦0.4、0≦b2≦0.4、0≦b3≦0.4、0.02≦b1+b2+b3≦0.4、
0≦c≦0.7、0≦d≦0.7、0≦e≦0.4、0≦f≦0.4、
0.85≦a1+a2+b1+b2+b3+c+d≦1.0である。
また、a1+a2+b1+b2+b3+c+d+e+f=1.0である。
【0131】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては、例えば繰り返し単位a1、a2、b1、b2、b3、及び必要に応じc、d、e、fで示されるモノマーを、有機溶媒中、ラジカル重合開始剤を加え加熱重合を行い、共重合体の高分子化合物を得ることができる。
【0132】
重合時に使用する有機溶媒としてはトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。
【0133】
ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンの代わりにアセトキシスチレン、アセトキシビニルナフタレンを用い、重合後上記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシポリビニルナフタレンにする方法もある。
【0134】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0135】
レジスト材料に用いられる高分子化合物は、それぞれテトラヒドロフラン(THF)溶液によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、好ましくは2,000〜30,000であるのが望ましい。重量平均分子量が1,000以上であれば、レジスト材料が耐熱性に優れるものとなり、500,000以下であれば、アルカリ溶解性が低下することもなく、パターン形成後に裾引き現象が生じることもない。
【0136】
更に、レジスト材料に用いられる高分子化合物においては、多成分共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりする。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0137】
ここに示される高分子化合物は、特にポジ型レジスト材料のベース樹脂として好適で、このような高分子化合物をベース樹脂とし、これに有機溶媒、酸発生剤、溶解阻止剤、塩基性化合物、界面活性剤等を目的に応じ適宜組み合わせて配合してポジ型レジスト材料を構成することによって、露光部では前記高分子化合物が触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のポジ型レジスト材料とすることができ、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、より優れたエッチング耐性を示し、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、特に超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。特に、酸発生剤を含有させ、酸触媒反応を利用した化学増幅ポジ型レジスト材料とすると、より高感度のものとすることができると共に、諸特性が一層優れたものとなり極めて有用なものとなる。
【0138】
次に、本発明のレジスト保護膜材料を用いたパターン形成方法について説明する。
本発明のパターン形成方法は、少なくとも、基板上にフォトレジスト膜を形成する工程と、該フォトレジスト膜の上に、前記本発明のレジスト保護膜材料を用いてレジスト保護膜を形成する工程と、露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含む。
【0139】
まず、基板上にフォトレジスト膜を形成する。
成膜方法としては、例えば、スピンコート法などが挙げられる。この時、フォトレジスト膜材料のスピンコーティングにおけるディスペンス量を削減するために、フォトレジスト溶媒あるいはフォトレジスト溶媒と混用する溶液で基板を塗らした状態でフォトレジスト膜材料をディスペンスしスピンコートするのが好ましい(例えば、特開平9−246173号公報参照)。これにより、フォトレジスト膜材料の溶液の基板への広がりが改善され、フォトレジスト膜材料のディスペンス量を削減できる。
レジスト膜の膜厚は10〜500nm、特に20〜300nmとすることが好ましい。
【0140】
次に、フォトレジスト膜の上に、本発明のレジスト保護膜材料を用いてレジスト保護膜を形成する。
成膜方法としては、例えば、スピンコート法などが挙げられる。レジスト保護膜材料のスピンコートにおいても、前述のフォトレジスト膜と同様のプロセスが考えられ、レジスト保護膜材料の塗布前にフォトレジスト膜の表面を溶媒で塗らしてからレジスト保護膜材料を塗布してもよい。形成するレジスト保護膜の膜厚は2〜200nm、特には5〜50nmとすることが好ましい。フォトレジスト膜の表面を溶媒で塗らすには回転塗布法、ベーパープライム法が挙げられるが、回転塗布法がより好ましく用いられる。このとき用いる溶媒としては、前述のフォトレジスト膜を溶解させないエーテル系溶媒を主とし、場合によっては高級アルコール、フッ素系溶媒を混合させるのがより好ましい。
【0141】
本発明のレジスト保護膜のアルカリ溶解速度は、3nm/s以上の溶解速度であることが好ましく、より好ましくは5nm/s以上の溶解速度である。
【0142】
レジスト膜上に保護膜を形成した後に露光を行う。露光における波長は3〜15nmの範囲、又は露光に電子線を用いることができる。
露光時の環境としては、EUV、EB共に真空中である。
露光後、必要に応じてベーク(ポストエクスポージャベーク;PEB)を行い、現像を行う。
現像工程では、例えば、アルカリ現像液で3〜300秒間現像を行う。アルカリ現像液としては2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が一般的に広く用いられている。テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液の代わりにテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いることもできる。
この場合、現像工程において、アルカリ現像液を用いて現像し、前記フォトレジスト膜にレジストパターンを形成すると同時に、フォトレジスト膜上のレジスト保護膜の剥離を行うのが好ましい。このようにすれば、従来装置に剥離装置を増設することなく、より簡便にレジスト保護膜の剥離を行うことができる。
なお、上記工程に加え、エッチング工程、レジスト除去工程、洗浄工程等のその他の各種工程が行われてもよい。
【実施例】
【0143】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。また、下記例で、Mw、Mnはそれぞれ溶媒としてテトラヒドロフランを用いたGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量及び数平均分子量である。
【0144】
保護膜用の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基を有するスチレン、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンから選ばれる1以上のモノマーに由来する繰り返し単位を有する高分子化合物としては、以下に示す材料を用いた。
【0145】
【化81】
【0146】
【化82】
【0147】
下記に示す添加化合物及び溶媒を混合し、表1に示す組成のレジスト保護膜溶液TC−1〜19、比較TC−1〜4を作製した。比較TC−2では、比較保護膜用ポリマー1が4−メチル−2−ペンタノールとジイソペンチルエーテルとの混用溶媒に溶解しなかった。
【0148】
【表1】
【0149】
シリコン基板上にレジスト保護膜溶液TC−1〜19、比較TC−1,3,4をスピンコートし、100℃で60秒間ベークして、30nm膜厚のレジスト保護膜(TC−1〜19、比較TC−1,3,4)を形成した。
次に、上記方法でレジスト保護膜を形成したシリコン基板を用いて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、現像後のレジスト保護膜の膜厚を測定した。その結果を表2に示す。現像後、レジスト保護膜は全て溶解していることが確認された。
【0150】
【表2】
【0151】
[実施例、比較例]
EUV評価
通常のラジカル重合で得られた下記高分子化合物を用いて、表3に示される組成で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してポジ型レジスト材料を調製した。
得られたポジ型レジスト材料を直径8インチφのSi基板上の膜厚35nmで積層された信越化学工業(株)製の珪素含有SOG膜SHB−A940上に塗布し、ホットプレート上で、105℃で60秒間プリベークして50nmのレジスト膜を作製した。その上に保護膜溶液をスピンコートし、ホットプレート上で、100℃で60秒間プリベークして30nm膜厚のレジスト保護膜を作製した。EUVマイクロステッパー(NA0.3、クアドルポール照明)で露光した。その後OOB光の照射を仮定して、ArFエキシマレーザースキャナーで、ウエハー全面1mJ/cm
2で露光し、ホットプレート上で、95℃で60秒間ポストエクスポージャベーク(PEB)を行い、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ポジ型のパターンを得た。比較例4では、レジストの上に保護膜の作製を行わなかった。比較例5では、レジストの上に保護膜の作製を行わず、更にはOOBを仮定したArFとKrFの露光も行わなかった。その結果を表4に示す。
【0152】
【化83】
【0153】
【表3】
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
FC−4430:フッ素系界面活性剤、住友3M社製
【0154】
【表4】
【0155】
本発明のレジスト保護膜材料は、溶媒としてレジスト膜とのミキシングを防止できるエーテル系溶媒を多く含有しているためにレジスト膜へのダメージが少なく、レジスト膜と保護膜とのミキシングが少なく、従って現像後のレジストパターンが矩形である。更には、本発明のレジスト保護膜材料に用いられている1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基を有するスチレン、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンから選ばれる1以上のモノマーに由来する繰り返し単位を有する高分子化合物は、波長180〜250nmの幅広い吸収を持っているので、OOBの遮蔽効果が高い。比較例1のポリマーは、特に酸不安定基で置換されたヒドロキシスチレンをベースとするレジスト膜上に適用した場合に現像後のレジストパターンが大きく膜減りを起こしてしまった。また、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基を有するスチレンのホモポリマーを用いたレジスト保護膜材料の場合には、保護膜の吸収によってレジストの感度が低下してしまった。