(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記供給用基板カートリッジに収容される前記シート基板は、複数のシート基板を帯状の方向に接続して形成されており、前記処理情報として保持される前記所定部分の位置情報は、前記複数のシート基板の接続部分の位置を表す、
請求項1に記載の表示素子の製造方法。
前記処理情報は、さらに、前記シート基板に関する欠陥情報、前記シート基板に施された処理の進捗情報、前記シート基板上に形成される形成層に関する形態情報、及び前記シート基板の形状に関する形状情報の少なくとも1つを含む、
請求項1又は請求項2に記載の表示素子の製造方法。
前記処理装置は、前記シート基板上に生じた異常部を検出する検出部を備え、該検出部によって検出される前記異常部の前記シート基板上の位置に関する情報を、前記所定部分の位置情報として前記回収用基板カートリッジの前記情報保持部に送る、
請求項1又は請求項2に記載の表示素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
(有機EL素子)
図1(a)は、有機EL素子の構成を示す平面図である。
図1(b)は、
図1(a)におけるb−b断面図である。
図1(c)は、
図1(a)におけるc−c断面図である。
【0017】
図1(a)〜
図1(c)に示すように、有機EL素子50は、シート基板FBにゲート電極G及びゲート絶縁層Iが形成され、さらにソース電極S、ドレイン電極D及び画素電極Pが形成された後、有機半導体層OSが形成されたボトムコンタクト型である。
【0018】
図1(b)に示すように、ゲート電極G上にゲート絶縁層Iが形成されている。ゲート絶縁層I上にはソースバスラインSBLのソース電極Sが形成されると共に、画素電極Pと接続したドレイン電極Dが形成されている。ソース電極Sとドレイン電極Dとの間には有機半導体層OSが形成されている。これで電界効果型トランジスタが完成することになる。また、画素電極Pの上には、
図1(b)及び
図1(c)に示すように、発光層IRが形成され、その発光層IRには透明電極ITOが形成される。
【0019】
図1(b)及び
図1(c)に示されるように、例えば、シート基板FBには隔壁BA(バンク層)が形成されている。そして
図1(c)に示すようにソースバスラインSBLが隔壁BA間に形成されている。このように、隔壁BAが存在することにより、ソースバスラインSBLが高精度に形成されると共に、画素電極P及び発光層IRも正確に形成されている。なお、
図1(b)及び
図1(c)では示されていないが、ゲートバスラインGBLもソースバスラインSBLと同様に隔壁BA間に形成されている。
【0020】
この有機EL素子50は、例えばディスプレイ装置などの表示装置をはじめ、電子機器の表示部などにも好適に用いられる。この場合、例えば有機EL素子50をパネル状に形成したものが用いられる。このような有機EL素子50の製造においては、薄膜トランジスタ(TFT)、画素電極が形成された基板を形成する必要がある。その基板上の画素電極上に発光層を含む1以上の有機化合物層(発光素子層)を精度良く形成するために、画素電極の境界領域に隔壁BA(バンク層)を容易に精度良く形成することが望ましい。
【0021】
(基板処理装置)
図2は、可撓性を有するシート基板FBを用いて処理を行う基板処理装置100の構成を示す概略図である。
基板処理装置100は、帯状のシート基板FBを用いて
図1に示す有機EL素子50を形成する装置である。
図2に示すように、基板処理装置100は、基板供給部101、基板処理部102、基板回収部103及び制御部104を有している。シート基板FBは、基板供給部101から基板処理部102を経て基板回収部103へと搬送されるようになっている。制御部104は、基板処理装置100の動作を統括的に制御する。また、制御部104は、情報を記憶する記憶部であるデータベース104DBを有する。
【0022】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内のうちシート基板FBの搬送方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0023】
シート基板FBとしては、例えば耐熱性の樹脂フィルム、ステンレス鋼などを用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、などの材料を用いることができる。シート基板FBのY方向の寸法は例えば1m〜2m程度に形成されており、X方向の寸法は例えば10m以上に形成されている。勿論、この寸法は一例に過ぎず、これに限られることは無い。例えばシート基板FBのY方向の寸法が50cm以下であっても構わないし、2m以上であっても構わない。また、シート基板FBのX方向の寸法が10m以下であっても構わない。なお、本実施形態における可撓性とは、例えば基板に少なくとも自重程度の所定の力を加えても線断や破断することがなく、該基板を撓めることが可能な性質をいう。また、上記可撓性は、該基板の材質、大きさ、厚さ、又は温度などの環境、等に応じて変わる。なお、シート基板FBとしては、1枚の帯状の基板を用いても構わないが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても構わない。
【0024】
シート基板FBは、例えば200℃程度の熱を受けても寸法が変わらないように熱膨張係数が小さい方が好ましい。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合して熱膨張係数を小さくすることができる。無機フィラーの例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素などが挙げられる。
【0025】
基板供給部101は、基板処理部102に設けられる供給側接続部102Aに接続されている。基板供給部101は、例えばロール状に巻かれたシート基板FBを基板処理部102へ供給する。基板回収部103は、基板処理部102において処理された後のシート基板FBを回収する。
【0026】
図3は、基板処理部102の構成を示す図である。
図3に示すように、基板処理部102は、搬送部105、素子形成部106、アライメント部107及び基板切断部108を有している。基板処理部102は、基板供給部101から供給されるシート基板FBを搬送しつつ、当該シート基板FBに上記の有機EL素子50の各構成要素を形成し、有機EL素子50が形成されたシート基板FBを基板回収部103へと送り出す部分である。
【0027】
搬送部105は、X方向に沿った位置に配置される複数のローラRRを有している。ローラRRが回転することによっても、シート基板FBがX軸方向に搬送されるようになっている。ローラRRはシート基板FBを両面から挟み込むゴムローラであってもよいし、シート基板FBがパーフォレーションを有するものであればラチェット付きのローラRRであってもよい。複数のローラRRのうち一部のローラRRは搬送方向と直交するY軸方向に移動可能である。
【0028】
素子形成部106は、隔壁形成部91、電極形成部92及び発光層形成部93を有している。隔壁形成部91、電極形成部92及び発光層形成部93は、シート基板FBの搬送方向の上流側から下流側にかけて、隔壁形成部91、電極形成部92及び発光層形成部93の順に配置されている。以下、素子形成部106の各構成を説明する。
【0029】
隔壁形成部91は、インプリントローラ110及び熱転写ローラ115を有している。隔壁形成部91は、基板供給部101から送り出されたシート基板FBに対して隔壁BAを形成する。隔壁形成部91では、インプリントローラ110でシート基板FBを押圧するとともに、押圧した隔壁BAが形状を保つように熱転写ローラ115でシート基板FBをガラス転移点以上に熱する。このため、インプリントローラ110のローラ表面に形成された型形状がシート基板FBに転写されるようになっている。シート基板FBは、熱転写ローラ115によって例えば200℃程度に加熱されるようになっている。
【0030】
インプリントローラ110のローラ表面は鏡面仕上げされており、そのローラ表面にSiC、Taなどの材料で構成された微細インプリント用モールド111が取り付けられている。微細インプリント用モールド111は、薄膜トランジスタの配線用のスタンパー及びカラーフィルタ用のスタンパーを形成している。
【0031】
インプリントローラ110は、微細インプリント用モールド111を用いて、シート基板FBにアライメントマークAMを形成する。シート基板FBの幅方向であるY軸方向の両側にアライメントマークAMを形成するため、微細インプリント用モールド111は、アライメントマークAM用のスタンパーを有している。
【0032】
電極形成部92は、隔壁形成部91の+X側に設けられており、例えば有機半導体を用いた薄膜トランジスタを形成する。具体的には、
図1で示すようなゲート電極G、ゲート絶縁層I、ソース電極S、ドレイン電極D及び画素電極Pを形成した後、有機半導体層OSを形成する。
【0033】
薄膜トランジスタ(TFT)としては、無機半導体系のものでも有機半導体を用いたものでも良い。無機半導体の薄膜トランジスタは、アモルファスシリコン系のものが知られているが、有機半導体を用いた薄膜トランジスタであってもよい。この有機半導体を用いて薄膜トランジスタを構成すれば、印刷技術や液滴塗布法技術を活用して薄膜トランジスタを形成できる。また、有機半導体を用いた薄膜トランジスタの内、
図1で示したような電界効果型トランジスタ(FET)が特に好ましい。
【0034】
電極形成部92は、液滴塗布装置120や熱処理装置BK、切断装置130などを有している。
本実施形態では、液滴塗布装置120として、例えばゲート電極Gを形成する際に用いられる液滴塗布装置120G、ゲート絶縁層Iを形成する際に用いられる液滴塗布装置120I、ソース電極S、ドレイン電極D及び画素電極Pを形成する際に用いられる液滴塗布装置120SD、有機半導体OSを形成する際に用いられる液滴塗布装置120OSなどが用いられている。
【0035】
図4は、液滴塗布装置120の構成を示す平面図である。
図4では、液滴塗布装置120を+Z側から見たときの構成を示している。液滴塗布装置120は、Y軸方向に長く形成されている。液滴塗布装置120には不図示の駆動装置が設けられている。液滴塗布装置120は、当該駆動装置により、例えばX方向、Y方向及びθZ方向に移動可能になっている。
【0036】
液滴塗布装置120には、複数のノズル122が形成されている。ノズル122は、液滴塗布装置120のうちシート基板FBとの対向面に設けられている。ノズル122は、例えばY軸方向に沿って配列されており、当該ノズル122の列(ノズル列)が例えば2列形成されている。制御部104は、全ノズル122に一括して液滴を塗布させることもできるし、各ノズル122について液滴を塗布させるタイミングを個別に調整することもできるようになっている。
【0037】
液滴塗布装置120としては、例えばインクジェット方式やディスペンサー方式などを採用することができる。インクジェット方式としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。液滴塗布法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できる。なお、液滴塗布法により塗布されるメタルインクの一滴の量は、例えば1〜300ナノグラムである。
【0038】
図2に戻って、液滴塗布装置120Gは、ゲートバスラインGBLの隔壁BA内にメタルインクを塗布する。液滴塗布装置120Iは、スイッチング部にポリイミド系樹脂又はウレタン系樹脂の電気絶縁性インクを塗布する。液滴塗布装置120SDは、ソースバスラインSBLの隔壁BA内及び画素電極Pの隔壁BA内にメタルインクを塗布する。液滴塗布装置120OSは、ソース電極Sとドレイン電極Dとの間のスイッチング部に有機半導体インクを塗布する。
【0039】
メタルインクは、粒子径が約5nmほどの導電体が室温の溶媒中で安定して分散をする液体であり、導電体として、カーボン、銀(Ag)又は金(Au)などが用いられる。有機半導体インクを形成する化合物は、単結晶材科でもアモルファス材料でもよく、低分子でも高分子でもよい。有機半導体インクを形成する化合物のうち特に好ましいものとしては、ペンタセンやトリフェニレン、アントラセン等に代表される縮環系芳香族炭化水素化合物の単結晶又はπ共役系高分子などが挙げられる。
【0040】
熱処理装置BKは、各液滴塗布装置120の+X側(基板搬送方向下流側)にそれぞれ配置されている。熱処理装置BKは、シート基板FBに対して例えば熱風や遠赤外線などを放射可能になっている。熱処理装置BKは、これらの放射熱を用いて、シート基板FBに塗布された液滴を乾燥又は焼成(ベーキング)し硬化させる。
【0041】
切断装置130は、液滴塗布装置120SDの+X側であって液滴塗布装置120OSの上流側に設けられている。切断装置130は、例えばレーザ光などを用いて、液滴塗布装置120SDによって形成されるソース電極Sとドレイン電極Dとを切断する。切断装置130は、不図示の光源と、当該光源からのレーザ光をシート基板FB上に照射させるガルバノミラー131とを有している。
【0042】
レーザ光の種類としては、切断する金属膜に対し、吸収する波長のレーザが好ましく、波長変換レーザで、YAGなどの2,3,4倍高調波がよい。またパルス型レーザを用いることで熱拡散を防止し、切断部以外の損傷を低減することができる。材料がアルミの場合、760nm波長のフェムト秒レーザが好ましい。
【0043】
本実施形態では、例えば光源としてチタンサファイアレーザを使ったフェムト秒レーザ照射部を用いている。当該フェムト秒レーザ照射部は、レーザ光LLを例えば10KHzから40KHzのパルスで照射するようになっている。
【0044】
本実施形態ではフェムト秒レーザを使用するため、サブミクロンオーダの加工が可能であり、電界効果型トランジスタの性能を決めるソース電極Sとドレイン電極Dと間隔を正確に切断することができるようになっている。ソース電極Sとドレイン電極Dと間隔は、例えば3μm程度から30μm程度である。
【0045】
上述したフェムト秒レーザ以外にも、例えば炭酸ガスレーザ又はグリーンレーザなどを使用することも可能である。また、レーザ以外にもダイシングソーなどで機械的に切断する構成としてもよい。
【0046】
ガルバノミラー131は、レーザ光LLの光路に配置されている。ガルバノミラー131は、光源からのレーザ光LLをシート基板FB上に反射させる。ガルバノミラー131は、例えばθX方向、θY方向及びθZ方向に回転可能に設けられている。ガルバノミラー131が回転することにより、レーザ光LLの照射位置が変化するようになっている。
【0047】
上記の隔壁形成部91及び電極形成部92の両方を用いることにより、いわゆるフォトリソグラフィ工程を使用しなくても、印刷技術や液滴塗布法技術を活用して薄膜トランジスタ等を形成できるようになっている。例えば印刷技術や液滴塗布法技術などが用いられる電極形成部92のみを用いた場合、インクのにじみや広がりのため精度よく薄膜トランジスタ等ができない場合がある。
【0048】
これに対して、隔壁形成部91を用いることで隔壁BAが形成されるため、インクのにじみや広がりが防止されるようになっている。また薄膜トランジスタの性能を決めるソース電極Sとドレイン電極Dとの間隔は、レーザ加工又は機械加工により形成されるようになっている。
【0049】
発光層形成部93は、電極形成部92の+X側に配置されている。発光層形成部93は、電極が形成されたシート基板FB上に、例えば有機EL装置の構成要素である発光層IRや画素電極ITOなどを形成する。発光層形成部93は、液滴塗布装置140及び熱処理装置BKを有している。
【0050】
発光層形成部93で形成される発光層IRは、ホスト化合物とリン光性化合物(リン光発光性化合物ともいう)が含有される。ホスト化合物とは、発光層に含有される化合物である。リン光性化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温においてリン光発光する。
【0051】
本実施形態では、液滴塗布装置140として、例えば赤色発光層を形成する液滴塗布装置140Re、緑色発光層を形成する液滴塗布装置140Gr、青色発光層を形成する液滴塗布装置140Bl、絶縁層を形成する液滴塗布装置140I及び画素電極ITOを形成する液滴塗布装置140ITなどが用いられている。
【0052】
液滴塗布装置140としては、上記の液滴塗布装置120と同様、インクジェット方式又はディスペンサー方式を採用することができる。有機EL素子50の構成要素として例えば正孔輸送層及び電子輸送層などを設ける場合には、これらの層を形成する装置(例えば、液滴塗布装置など)を別途設けるようにする。
【0053】
液滴塗布装置140Reは、R溶液を画素電極P上に塗布する。液滴塗布装置140Reは、乾燥後の膜厚が100nmになるようにR溶液の吐出量が調整されるようになっている。R溶液としては、例えばホスト材のポリビニルカルバゾール(PVK)に赤ドーパント材を1、2−ジクロロエタン中に溶解した溶液が用いられる。
【0054】
液滴塗布装置140Grは、G溶液を画素電極P上に塗布する。G溶液としては、例えばホスト材PVKに緑ドーパント材を1、2−ジクロロエタン中に溶解した溶液が用いられる。
【0055】
液滴塗布装置140Blは、B溶液を画素電極P上に塗布する。B溶液としては、例えばホスト材PVKに青ドーパント材を1、2−ジクロロエタン中に溶解した溶液が用いられる。
【0056】
液滴塗布装置120Iは、ゲートバスラインGBL又はソースバスラインSBLの一部に電気絶縁性インクを塗布する。電気絶縁性インクとしては、例えばポリイミド系樹脂又はウレタン系樹脂のインクが用いられる。
【0057】
液滴塗布装置120ITは、赤色、緑色及び青色発光層の上にITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)インクを塗布する。ITOインクとしては、酸化インジウム(In
2O
3)に数%の酸化スズ(SnO
2)を添加した化合物などが用いられる。また、IDIXO(In
2O
3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。透明導電膜は、透過率が90%以上であることが好ましい。
【0058】
熱処理装置BKは、各液滴塗布装置140の+X側(基板搬送方向下流側)にそれぞれ配置されている。熱処理装置BKは、電極形成部92で用いられる熱処理装置BKと同様、シート基板FBに対して例えば熱風や遠赤外線などを放射可能になっている。熱処理装置BKは、これらの放射熱を用いて、シート基板FBに塗布された液滴を乾燥又は焼成(ベーキング)し硬化させる。
【0059】
アライメント部107は、X方向に沿って設けられた複数のアライメントカメラCA(CA1〜CA8)を有している。アライメントカメラCAは、可視光照明下でCCD又はCMOSで撮像し、その撮像画像を処理してアライメントマークAMの位置を検出してもよいし、レーザ光をアライメントマークAMに照射して、その散乱光を受光してもアライメントマークAMの位置を検出しても良い。
【0060】
アライメントカメラCA1は、熱転写ローラ115の+X側に配置されている。アライメントカメラCA1は、シート基板FB上に熱転写ローラ115によって形成されるアライメントマークAMの位置を検出する。アライメントカメラCA2〜CA8は、それぞれ熱処理装置BKの+X側に配置されている。アライメントカメラCA2〜CA8は、熱処理装置BKを経たシート基板FBのアライメントマークAMの位置を検出する。
【0061】
熱転写ローラ115及び熱処理装置BKを経ることにより、シート基板FBがX軸方向及びY軸方向に伸縮したりする場合がある。このように熱処理を行う熱転写ローラ115の+X側や、熱処理装置BKの+X側にアライメントカメラCAを配置することにより、熱変形などによるシート基板FBの位置ずれを検出することができるようになっている。
【0062】
アライメントカメラCA1〜CA8による検出結果は、制御部104に送信されるようになっている。制御部104は、アライメントカメラCA1〜CA8の検出結果に基づいて、例えば液滴塗布装置120や液滴塗布装置140のインクの塗布位置とタイミングの調整、基板供給部101からのシート基板FBの供給速度やローラRRの搬送速度の調整、ローラRRによるY方向への移動の調整、切断装置130の切断位置やタイミングなどの調整が行われるようになっている。
【0063】
(基板カートリッジ)
本実施形態では、基板供給部101及び基板回収部103として、基板カートリッジ1が用いられている。以下の説明においては、説明の便宜上、
図2と共通のXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。以下のXYZ直交座標系は、基板供給部101が基板処理部102に接続されている状態において基板カートリッジ1が当該基板供給部101として用いられる場合を例に挙げて説明する。
【0064】
図5は、基板カートリッジ1の構成を示す斜視図である。また、
図6は、
図5におけるA−A´断面に沿った構成を示す図である。
図5及び
図6に示すように、基板カートリッジ1は、カートリッジ本体2及びマウント部3を有している。
【0065】
カートリッジ本体2は、シート基板FBを収容する部分である。カートリッジ本体2は、収容部20、搬送部(搬送機構)21、基板案内部22、第2基板搬送部36及び第2基板案内部37を有している。また、上記のマウント部3は、カートリッジ本体2に設けられている。また、例えば、カートリッジ本体2は、アルミニウム製又はジュラルミン製、等である。
【0066】
収容部20は、シート基板FBを収容する部分である。収容部20は、例えばロール状に巻き取られたシート基板FBを収容できるように円筒状に形成されており、一部が+X側に突出するように設けられている(突出部23)。本実施形態では、図中Y方向に延在する状態で配置されている。収容部20は、蓋部25及び基板駆動機構24を有している。
【0067】
蓋部25は、収容部20の+Y側端部あるいは−Y側端部に設けられている。蓋部25は収容部20に対して着脱可能に設けられている。蓋部25を収容部20に対して着脱させることにより、収容部20の内部に直接アクセスできるようになっている。蓋部25の開閉機構としては、例えば蓋部25及び収容部20に互いに係合するネジ山が設けられている構成であっても構わないし、蓋部25と収容部20とをヒンジ機構によって接続する構成としても構わない。蓋部25は、窓部28及び表示部29を有している。
【0068】
窓部28は、例えば可視光を透過可能な材料、例えばガラスやプラスチックなどによって形成されている。窓部28を介して、収容部20の内部が観察可能になっている。表示部29は、シート基板FBの状態などの情報を表示させる部分である。表示部29には、例えば、収容部20に収容されているシート基板FBの長さ寸法やシート基板FBの残長などが表示されるようになっている。
【0069】
基板駆動機構24は、シート基板FBを巻き取る動作及びシート基板FBを送り出す動作を行う部分である。基板駆動機構24は、収容部20の内部に設けられている。基板駆動機構24は、ローラ部(軸部)26及びガイド部27を有している。ローラ部26は、
図6に示すように、回転軸部材26a、拡径部26b及び接着部26cを有している。
【0070】
回転軸部材26aは、例えばアルミなどの剛性の高い金属によって形成された円柱状部材である。回転軸部材26aは、例えば蓋部25の中央部に設けられた開口部25a及びベアリング部材25bを介して回転可能に支持されている。この場合、回転軸部材26aの中心軸は例えばY方向に平行な状態となり、回転軸部材26aはθY方向に回転することになる。
【0071】
回転軸部材26aは、不図示の回転駆動機構に接続されている。回転駆動機構の駆動制御により、回転軸部材26aが中心軸を中心として回転するようになっている。回転駆動機構は、
図6に示すように、回転軸部材26aを例えば+θY方向及び−θY方向のいずれの方向にも回転させることができるようになっている。
【0072】
拡径部26bは、回転軸部材26aの表面に均一な厚さで形成されている。拡径部26bは、回転軸部材26aと一体的に回転するように形成されている。接着部26cは、断面視で拡径部26bの表面に均一な厚さで形成されている。接着部26cは、シート基板FBを接着させる程度の粘着性を有する材料を用いて形成されている。
【0073】
ガイド部27は、回動部材(第1案内部材)27a及び先端部材(第1案内部材)27bを有している。回動部材27aは、例えば一端が軸部27cを介して収容部20に取り付けられており、当該軸部27cを中心にθY方向に回動可能に設けられている。回動部材27aは、不図示の回転駆動機構に接続されている。
【0074】
先端部材27bは、断面視において回動部材27aの他端に接続されている。例えば、先端部材27bは、断面視で円弧状の曲面を有するように形成されている。シート基板FBは、先端部材27bに設けられた当該断面視円弧状の+Z側の曲面を介してローラ部26へと案内されるようになっている。先端部材27bは、回動部材27aと一体的に回動するようになっている。例えば回動部材27aがローラ部26から遠ざかる方向(ローラ部26の径方向の外側方向)に回動する場合、収容部20の内周に沿って当接するようになっている。このため、先端部材27bとローラ部26に巻き取られたシート基板FBとの間の接触が回避されるようになっている。
【0075】
マウント部3は、基板処理部102に接続される部分である。マウント部3は、例えば収容部20に設けられる突出部23の+X側端部に設けられている。マウント部3は、基板処理部102との接続のための挿入部3aを有している。挿入部3aのうち基板処理部102側の端面3bには、基板処理部102との間で電気的に接続される端子3cが設けられている。
【0076】
基板カートリッジ1が基板供給部101として用いられる場合、マウント部3は基板処理部102の供給側接続部102Aに接続される。基板カートリッジ1が基板回収部103として用いられる場合、マウント部3は基板処理部102の回収側接続部102Bに接続される。マウント部3は、基板処理部102の基板供給部101及び基板回収部103のいずれに接続される場合においても、着脱可能に接続されるようになっている。
【0077】
マウント部3には、開口部34及び第2開口部35が設けられている。開口部34は、+Z側に設けられた開口部であり、カートリッジ本体2との間でシート基板FBが出し入れされる部分である。カートリッジ本体2には、当該開口部34を介したシート基板FBが収容されるようになっている。カートリッジ本体2に収容されるシート基板FBは、当該開口部34を介してカートリッジ本体2外部に送り出されるようになっている。
【0078】
第2開口部35は、−Z側に設けられた開口部であり、カートリッジ本体2との間でシート基板FBとは異なる帯状の第2基板SBが出し入れされる部分である。このような第2基板SBとしては、例えばシート基板FBの素子形成面を保護する保護基板などが挙げられる。保護基板としては、例えば合紙などを用いることができる。第2開口部35は、例えば開口部34に対して間隔を空けて配置されている。第2開口部35は、例えば開口部34と同一の寸法及び形状に形成されている。また、本実施形態における第2基板SBとしては、ステンレス鋼の薄板(例、厚さが0.1mm以下等)などの導電性を有する材質を用いてもよい。この場合、第2基板SBがカートリッジ本体2にシート基板FBとともに収容された際に、第2基板SBがカートリッジ本体2に電気的に接続されるようにすると、シート基板FBの帯電防止ができる。
【0079】
搬送部21、基板案内部22、第2基板搬送部36及び第2基板案内部37は、例えば突出部23の内部に設けられている。基板案内部22は、開口部34と搬送部21との間に設けられている。基板案内部22は、開口部34と搬送部21との間でシート基板FBを案内する部分である。基板案内部22は、基板用案内部材22a及び22bを有している。基板用案内部材22a及び22bは、Z方向に隙間22cを空けるように対向配置されており、対向面がそれぞれXY平面にほぼ平行となるように設けられている。当該隙間22cは開口部34に接続されており、シート基板FBは開口部34及び隙間22cを移動するようになっている。
【0080】
第2基板案内部37は、マウント部3と搬送部21との間で第2基板SBを案内する部分である。第2基板案内部37は、第2基板用案内部材37a、37b及び37cを有している。第2基板用案内部材37a及び37bは、Z方向に隙間37dを空けるように対向配置されており、対向面がそれぞれXY平面にほぼ平行となるように設けられている。第2基板用案内部材37cは、第2基板SBが+Z側へ案内されるように傾いて配置されている。具体的には、第2基板用案内部材37cの−X側端部が+X側端部に対して+Z側に傾いた状態で配置されている。
【0081】
第2基板搬送部36は、マウント部3と搬送部21との間で第2基板SBを搬送する。第2基板搬送部36は、第2基板用案内部材37a及び37bと、第2基板用案内部材37cとの間に配置されている。第2基板搬送部36は、主動ローラ36a及び従動ローラ36bを有している。主動ローラ36aは、例えばθY方向に回転可能に設けられており、不図示の回転駆動機構に接続されている。従動ローラ36bは、主動ローラ36aとの間で第2基板SBが挟持されるように主動ローラ36aとの間に隙間を空けて配置されている。
【0082】
搬送部21は、マウント部3と収容部20との間でシート基板FB及び第2基板SBを搬送する。搬送部21は、テンションローラ(テンション機構)21a及び測定ローラ(測定部)21bを有している。テンションローラ21aは、ローラ部26との間でシート基板FB及び第2基板に張力を与えるローラである。テンションローラ21aは、θY方向に回転可能に設けられている。テンションローラ21aには、例えば不図示の回転駆動機構が接続されている。なお、テンションローラ21a及び測定ローラ21bは、
図6におけるZ方向にそれぞれ移動可能に設けられてもよい。
【0083】
測定ローラ21bは、テンションローラ21aよりも小さい径を有するローラである。測定ローラ21bは、テンションローラ21aとの間でシート基板FB及び第2基板SBを挟持できるようにテンションローラ21aとの間に所定の隙間を空けて配置されている。シート基板FBのみを挟持する場合とシート基板FB及び第2基板SBを併せて挟持するように、測定ローラ21bとテンションローラ21aとの間の隙間の大きさを調整可能とする構成であっても構わない。測定ローラ21bは、テンションローラ21aの回転に伴って回転する従動ローラである。
【0084】
テンションローラ21aと測定ローラ21bとの間でシート基板FBを挟んだ状態でテンションローラ21aを回転させることにより、シート基板FBに張力を与えつつ、当該シート基板FBの巻き取り方向及び送り出し方向にそれぞれシート基板FBを搬送可能になっている。
【0085】
搬送部21は、例えば測定ローラ21bの回転数や回転角度を検出する検出部21cを有している。当該検出部21cとしては、例えばエンコーダなどが用いられる。当該検出部21cにより、例えば測定ローラ21bを介したシート基板FBの搬送距離などを計測することができるようになっている。
【0086】
例えば開口部34を介してシート基板FBが挿入され、第2開口部35を介して第2基板SBが挿入される場合、シート基板FB及び第2基板SBは、それぞれ基板案内部22及び第2基板案内部37で案内されることにより、合流部39において合流するようになっている。合流部39で合流したシート基板FB及び第2基板SBは、合流した状態で搬送部21によって搬送される。このとき、搬送部21は、シート基板FBと第2基板SBとを押圧して密着させる。このため、搬送部21は、第2基板SBをシート基板FBへ押圧する押圧機構を兼ねることになる。
【0087】
カートリッジ本体2には、情報保持部ICが設けられている(
図5参照)。情報保持部ICは、例えばICチップ(例、読み込みのみ可能なタイプ、読み込みと書き込みとが可能なタイプなど)などから構成されており、例えばカートリッジ本体2に埋め込まれている。情報保持部ICは、例えばカートリッジ本体2に収容されるシート基板FBの処理情報や、カートリッジ本体2を識別する識別情報などの情報を記憶する記憶部MRと、当該記憶部MRに記憶される情報を通信する通信部CRとを有している。記憶部MRについては、本実施形態では処理情報及び識別情報の2つを含んだ情報を記憶する構成となっているが、いずれか一方のみを含んだ情報を記憶する構成であっても構わない。通信部CRについては、本実施形態のように情報保持部IC内に設けられた構成に限られず、例えば情報保持部ICとは独立して設けられた構成とすることもできる。
【0088】
本実施形態では情報保持部ICが1つ設けられている構成を例に示したが、例えば当該情報保持部ICはカートリッジ本体2に複数設けられている構成であっても構わない。このような例として、例えば上記の情報を一次元又は二次元のバーコードなどとして保持し、当該バーコードの形成されたシールが上記の情報保持部ICとは別の箇所に貼り付けられた構成などが挙げられる。また、情報保持部ICがカートリッジ本体2に埋め込まれている構成に限られず、例えば情報保持部ICをカートリッジ本体2に対して分離可能となるように装着されている構成としても構わない。このような構成としては、例えばICチップなどを着脱可能に装着する構成などが挙げられる。また、例えば上記のバーコードが形成されたシールなどを用いる場合は、当該シールをカートリッジ本体2から剥がすことができるため、カートリッジ本体2に対して分離可能である。また、情報保持部ICが表示部29に電気的に接続された構成とし、情報保持部ICに保持された当該情報が表示部29に表示されるような構成であっても構わない。また、情報保持部ICによって保持される情報の少なくとも一部が、シート基板FBに保持させるように構成しても構わない。このような構成としては、例えばシート基板FBに一次元又は二次元のバーコードなどを形成する構成や、シート基板FBにICタグなどを埋め込んだ構成などが挙げられる。
【0089】
本実施形態における処理情報は、一例として、シート基板FB上の欠陥情報が含まれる。この欠陥情報は、シート基板FB上の欠陥部分の位置情報、欠陥の修復が可能か又は不可能かという欠陥の程度、パターン欠損やパターンのはみ出し等の欠陥の種類、やシート基板FB上における欠陥の修復状況(例、修復有無)、などのうち少なくとも1つを含む。なお、シート基板FB上の欠陥部分の位置情報は、例えば、シート基板FB上における欠陥部分の位置座標であっても構わないし、シート基板FBの端部から当該欠陥部分までの距離であっても構わない。
【0090】
上述のシート基板FB上の欠陥情報は、通信部CRを介して情報保持部ICから基板処理部102の制御部104へ伝達される。該欠陥情報が伝達された制御部104は、その欠陥情報に基づき、電極形成部92などの各処理を制御する。一例として、該欠陥情報に含まれる欠陥の程度から該欠陥部分の修復が不可能と判断された場合、制御部104は、該欠陥部分又は該欠陥部分を含む素子形成領域60に対する電極形成処理を行わない情報を欠陥部分の位置情報とともに液滴塗布装置120に伝達する。他例として、該欠陥情報に含まれる欠陥部分の修復が終了している場合、制御部104は、該欠陥部分又は該欠陥部分を含む素子形成領域60に対する電極形成処理を行う情報を液滴塗布装置120に伝達する。このように、制御部104は、上述の欠陥情報に基づいて、欠陥部分に対する処理を選択し、その選択した処理を予め液滴塗布装置120などに伝達することができる。
【0091】
また、
図7(a)に示すように、例えば基準位置となるマークなどのパターンPTNをシート基板FBのうちY方向の端辺に沿った位置にX方向に沿って形成し、当該パターンPTNを用いて欠陥部分P1の位置を検出し、当該検出結果を欠陥部分P1の位置情報としても構わない。
図7(a)に示す例では、シート基板FBにエンコーダ(位置情報検出装置)のエンコーダパターンがパターンPTNとして形成されている。エンコーダパターンは、例えばシート基板FBのX方向の位置が判別できるようなパターンである。欠陥部分P1の位置情報がシート基板FBのX方向の位置である場合であっても、欠陥部分P1の位置座標は、欠陥部分P1のX方向の位置をもとに、Y方向に配置されたラインセンサ又はY方向に移動可能なカメラ等を用いて欠陥部分P1のY方向の位置を検出することで特定できる。
【0092】
また、
図7(a)に示すように、欠陥部分P1の位置情報は、シート基板FBのうちX方向に沿って複数に区切られた領域(例、欠陥領域)ごとに付与された領域番号(例、A110、A111、A112、等)であっても構わない。
【0093】
なお、本実施形態における処理情報は、シート基板FB上の所定部分に関する位置情報、シート基板FBに対する処理の進捗情報、シート基板FBに形成される形成層(例、各電極層、TFT層、発光層など)の形態情報、シート基板FBの形状に関する形状情報なども含まれる。ここで、シート基板FB上の所定部分は、上述の欠陥部分、位置合わせの基準マークが形成された部分、シート基板FBの長さや間隔の指標となる基準マークが形成された部分、などが挙げられる。また、シート基板FBが複数の単位基板を接続して形成されている場合には、処理情報は当該単位基板同士の接続位置(つなぎ目の位置)に関する情報も含まれる。
【0094】
進捗情報は、シート基板FBに対してどの段階まで処理が進んでいるかを示す情報などが含まれる。進捗情報は、例えば、シート基板FBに隔壁BAのみが形成されている段階、シート基板FBに隔壁及び電極が形成されている段階、シート基板FBに隔壁、電極及び発光層が形成されている段階など、処理の段階を示す情報である。また、進捗情報は、シート基板FBに対して前処理(例えば親液処理、撥液処理、保護膜形成処理など)が行われている段階を含んでいても構わないし、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極などの電極の形成段階を含んでいても構わない。この進捗情報は、通信部CRを介して情報保持部ICから基板処理部102の制御部104へ伝達され、基板処理部102においてシート基板FBに対して行う処理を選択する情報の1つとして用いられる。
【0095】
形態情報は、シート基板FBに形成される形成層(例、電極層や発光層)の形状、形成層の位置ズレ、形成層の寸法(例えば大きさ、層厚など)、形成層の形成範囲、形成層の位置などの情報が含まれる。この形態情報は、通信部CRを介して情報保持部ICから基板処理部102の制御部104へ伝達される。例えば、このような形態情報は、装置のシステムダウンや装置のメンテナンスのため途中でシート基板FBに対する処理が止まってしまった場合には、処理の開始位置を設定する情報の1つとして用いられる。また、一例として、上述の形態情報である形成層の位置ズレは、シート基板FBにおける該位置ズレの個数や割合の情報をもとに装置のメンテナンス時期や装置の異常を知らせるための情報の1つとして用いられる。
【0096】
また、形状情報は、シート基板FBの全体の形状に関する情報が含まれる。例えばシート基板FBの一部が切り欠かれていたり、シート基板FBの一部に開口部を有する構成になっていたりする場合、形状情報は当該切り欠きや開口部の情報(例、形状の種類や位置情報)なども含まれる。この形状情報は、通信部CRを介して情報保持部ICから基板処理部102の制御部104へ伝達される。例えば、このような形状情報は、搬送部21によるシート基板FBの磨耗頻度や傷の度合いを把握することに用いられ、制御部104は、この形状情報に基づいて装置のメンテナンス時期や装置の異常を知らせる情報を出力する。
【0097】
また、情報保持部ICは、例えば上記の端子3cに電気的に接続されている。端子3cは、基板カートリッジ1が基板処理部102に接続される際、当該基板処理部102の供給側接続部102Aに設けられた装置側端子102C(
図2参照)に接続されるようになっている。この場合、情報保持部ICは、端子3cを介して基板処理部102に電気的に接続され、端子3cを介して基板処理部102との間で情報の伝達が可能である。また、情報保持部ICは、通信部CRを介して、基板処理装置100の制御部104に設けられた通信部104CR(
図2参照)との間で情報の通信を行うことができる。この場合、基板カートリッジ1と基板処理部102との間の情報の伝達は制御部104によって制御されることになる。
【0098】
なお、情報保持部ICの記憶部MRには、上記の各情報とは別に、例えば基板処理装置100のタクト、スループットといった情報や、基板カートリッジ1の搬送速度、ローラ部26の巻き取り・送り出し速度といった情報、シート基板FBに関する情報など、各種参照情報を保持させておいても構わない。「タクト」については、単位処理領域(例えば上記の液滴塗布装置120、140などが1度に処理できる領域、又は有機EL素子50のパネル1枚辺りの画面領域、パネル全面領域)あたりの処理時間を指す。「スループット」については、単位時間あたりに処理可能なシート基板FBの分量(例えば長さ、パネル枚数、基板カートリッジ1の個数など)を指す。これらの参照情報は、識別情報や処理情報などと同様、通信部CRを介して制御部104に伝達されるようになっている。
【0099】
なお、本実施形態では、例えばシート基板FBにパターンPTNを形成する形成装置109A、当該パターンPTNを検出する検出装置109B、シート基板FBの一部を切断して除去する切断除去装置109C、シート基板FB上の欠陥情報を含む異常を検知する異常検知装置109Dなどが基板処理部102に設けられている(
図3参照)。
【0100】
図3に示す実施形態においては、異常検知装置109Dによってシート基板FB上の欠陥部分などが検知された場合、その欠陥部分の位置情報を検出装置109Bによって検出できるようになっている。例えば、検出された欠陥部分の位置情報は、シート基板FBの欠陥情報として制御部104によって基板回収部103(基板カートリッジ1)の情報保持部ICに伝達される。
また、
図3に示す実施形態においては、基板供給部102の情報保持部ICに欠陥情報が記憶されている場合、該欠陥情報に含まれる欠陥部分は、該欠陥部分の位置情報に基づき、切断除去装置109Cによって切断されて除去される。この場合、例えば
図7(b)に示すように、シート基板FBの一部に切り欠き部CHが形成されることになる。
【0101】
(基板カートリッジへのシート基板の収容動作)
次に、上記のように構成された基板カートリッジ1にシート基板FBを収容する収容動作を説明する。
図8及び
図9は、収容動作時の基板カートリッジ1の状態を示す図である。
図8及び
図9においては、図を判別しやすくするため、基板カートリッジ1の外形を破線で示している。
【0102】
図8及び
図9に示すように、基板カートリッジ1にシート基板FBを収容する際には、基板カートリッジ1をホルダHD上に保持させる。この状態で、シート基板FBを開口部34から挿入する。シート基板FBを挿入する際には、テンションローラ21a及び回転軸部材26a(ローラ部26)を回転させた状態としておく。
【0103】
開口部34を介して挿入されたシート基板FBは、基板案内部22によって搬送部21へと案内される。搬送部21では、シート基板FBがテンションローラ21aと測定ローラ21bとの間に挟まれて収容部20側へ搬送される。測定ローラ21bの回転と共に、例えば検出部21cにおいて、シート基板FBの搬送長さを検出する。
【0104】
搬送部21を収容部20側に通過したシート基板FBは、自重によって−Z方向に撓みながら案内される。本実施形態では、シート基板FBの−Z側にガイド部27が設けられているため、シート基板FBはガイド部27の回動部材27a及び先端部材27bに沿ってローラ部26へと案内されることになる。
【0105】
シート基板FBの先端がローラ部26の接着部26cに到達すると、当該シート基板FBの先端と接着部26cとが接着される。この状態でローラ部26が回転すると、シート基板FBが徐々に接着部26cに接着され、シート基板FBがローラ部26に巻き取られていく。シート基板FBが接着部26cに接着された後は、ローラ部26と搬送部21との間でシート基板FBが撓まないように、例えばテンションローラ21aの回転速度と回転軸部材26aの回転速度とを調整しながらシート基板FBを搬送する。
【0106】
シート基板FBがローラ部26に対して例えば1回転分巻き取られた後、
図9に示すように、ガイド部27を退避させる。この状態でローラ部26を回転させることにより、シート基板FBが徐々にローラ部26に巻き取られていく。巻き取られたシート基板FBの厚さは次第に厚くなっていくが、ガイド部27が既に退避されているため、シート基板FBとガイド部27とが接触することは無い。
【0107】
所望の長さのシート基板FBを巻き取った後、例えばシート基板FBのうち開口部34の外側の部分を切断する。このようにして、基板カートリッジ1にシート基板FBを収容する。シート基板FBの収容動作中、検出部21cにおいて測定したシート基板FBの測定長さを基に、例えば基板カートリッジ1内に収容されているシート基板FBの全長を算出させても構わない。また、算出結果を表示部29に表示させるようにしても構わない。また、算出結果を表示部29に表示させるようにしても構わないし、記憶部MRに記憶させたり、通信部CRを用いて通信させたりしても構わない。
【0108】
また、例えば作業者が窓部28から収容部20の内部を観察しながらシート基板FBの巻き取りを行っても構わない。この場合、例えばシート基板FBが折れ曲がった状態で巻き取られているか否か、シート基板FBの巻き取られた形状(ロール形状)が歪んだ状態となっているか否かを確認しながら巻き取り作業を行わせることができ、異常が発生した場合には即座に巻き取りを停止させることができる。
【0109】
(基板処理装置の動作)
次に、上記のように構成された基板処理装置100の動作を説明する。
本実施形態では、シート基板FBを収容した基板カートリッジ1を基板供給部101として供給側接続部102Aに接続する接続動作、基板供給部101による基板カートリッジ1によるシート基板FBの供給動作、基板処理部102による素子形成動作、基板カートリッジ1の取り外し動作、を順に行う。
【0110】
まず、基板カートリッジ1の接続動作を説明する。
図10は、基板カートリッジ1の接続動作を示す図である。
図10に示すように、供給側接続部102Aについては、マウント部3に対応する形状に挿入口を形成しておく。
【0111】
接続動作では、基板カートリッジ1をホルダ(例えば
図8及び
図9に示すホルダHDと同様の構成)に保持させた状態で、マウント部3と供給側接続部102Aとの位置合わせを行う。位置合わせの後、マウント部3を+X側へ移動させて基板処理部102に挿入する。
【0112】
このとき、マウント部3の端子3Cと供給側接続部102Aの装置側端子102Cとは互いに接触させるようにする。端子3Cと装置側端子102Cとが接触することで、基板カートリッジ1の情報保持部ICと制御部104の104との間で情報の通信が行われる。この通信動作により、情報保持部ICに保持された処理情報や参照情報が制御部104に伝達される。なお、カートリッジ1の接続動作に先立って、情報保持部ICは、情報保持部ICの通信部CRと制御部104の通信部104CRとの間で行う無線通信によって、上記情報を制御部104に伝達するようにしても構わない。
【0113】
次に、供給動作を説明する。基板処理部102にシート基板FBを供給する際には、例えば基板カートリッジ1の回転軸部材26a(ローラ部26)及びテンションローラ21aを収容動作のときとは逆向きに回転させ、
図11に示すように、開口部34を介してシート基板FBを送り出すようにする。
【0114】
次に、素子形成動作を説明する。素子形成動作では、
図2に示すように、基板供給部101から基板処理部102に対してシート基板FBを供給しつつ、基板処理部102において当該シート基板FB上に素子を形成していく。基板処理部102では、
図3に示すように、ローラRRによってシート基板FBを搬送する。
【0115】
制御部104は、基板カートリッジ1から供給される参照情報に基づいて基板処理部102の動作を制御するようにしても構わない。例えば、制御部104は、基板カートリッジ1からのシート基板FBの供給速度に合わせて、基板処理部102内の各ローラRRの回転速度を調整してもよい。また、制御部104は、ローラRRがY軸方向にずれているか否かを検出し、ずれている場合にはローラRRを移動させて位置を補正する。また、制御部104は、シート基板FBの位置補正を併せて行わせる。
【0116】
基板供給部101から基板処理部102に供給されたシート基板FBは、まず隔壁形成部91に搬送される。隔壁形成部91では、シート基板FBがインプリントローラ110と熱転写ローラ115で挟まれて押圧され、熱転写によってシート基板に隔壁BA及びアライメントマークAMが形成される。
【0117】
図12は、シート基板FBに隔壁BA及びアライメントマークAMが形成された状態を示す図である。
図13は、
図12の一部を拡大して示した図である。
図14は、
図13におけるD−D断面に沿った構成を示す図である。
図12及び
図13は、シート基板FBを+Z側から見たときの様子を示している。
【0118】
図12に示すように、隔壁BAは、シート基板FBのY方向中央部の素子形成領域60に形成される。
図13に示すように、隔壁BAを形成することにより、素子形成領域60には、ゲートバスラインGBL及びゲート電極Gを形成する領域(ゲート形成領域52)とソースバスラインSBL、ソース電極S、ドレイン電極D及び陽極Pを形成する領域(ソースドレイン形成領域53)とが区画されることになる。
図14に示すように、ゲート形成領域52は、断面視で台形状に形成されている。図示を省略するが、ソースドレイン形成領域53についても同様の形状となっている。隔壁BA内の幅W(μm)は、ゲートバスラインGBLの線幅となる。この幅Wとしては、液滴塗布装置120Gから塗布される液滴直径d(μm)に対して2倍〜4倍程度とすることが好ましい。
【0119】
なお、ゲート形成領域52及びソースドレイン形成領域53の断面形状は、微細インプリント用モールド11がシート基板FBを押圧した後にシート基板FBが剥離しやすいように、断面視でV字形状又はU字形状とすること好ましい。この他の形状として、例えば断面視で矩形形状としても構わない。
【0120】
一方、
図12に示すように、アライメントマークAMは、シート基板FBのY方向両端部の縁領域61に一対形成される。隔壁BA及びアライメントマークAMは、相互の位置関係が重要であるため同時に形成される。
図13に示すように、Y軸方向には、アライメントマークAMとゲート形成領域52との間の所定距離PYが規定されており、X軸方向には、アライメントマークAMとソースドレイン形成領域53との間の所定距離PXが規定されている。このため、一対のアライメントマークAMの位置に基づいて、シート基板FBのX軸方向のずれ、Y軸方向のずれ及びθ回転が検出可能となる。
【0121】
図12及び
図13では、アライメントマークAMが、X軸方向の複数行の隔壁BAごとに一対設けられているが、これに限られることは無く、例えば隔壁BA1行ごとにアライメントマークAMを設けるようにしても良い。また、スペースがあれば、シート基板FBの縁領域61だけでなく素子形成領域60にアライメントマークAMを設けても良い。また、
図12及び
図13では、アライメントマークAMは十字形状を示したが、円形マーク、斜めの直線マークなど他のマーク形状であってもよい。
【0122】
続いてシート基板FBは、搬送ローラRRによって電極形成部92に搬送される。電極形成部92では、各液滴塗布装置120による液滴の塗布が行われ、シート基板FB上に電極が形成される。
【0123】
シート基板FB上には、まず液滴塗布装置120GによってゲートバスラインGBL及びゲート電極Gが形成される。
図15(a)及び
図15(b)は、液滴塗布装置120Gによって液滴塗布が行われるシート基板FBの様子を示す図である。
【0124】
図15(a)に示すように、液滴塗布装置120Gは、隔壁BAが形成されたシート基板FBのゲート形成領域52に例えば1〜9の順序でメタルインクを塗布する。この順序は、例えばメタルインク同士の張力で直線状に塗布される順序である。
図15(b)は、例えば1滴のメタルインクが塗布された状態を示す図である。
図15(b)に示すように、隔壁BAが設けられているため、ゲート形成領域52に塗布されたメタルインクは拡散せずに保持されることになる。このようにして、ゲート形成領域52の全体にメタルインクを塗布する。
【0125】
ゲート形成領域52にメタルインクが塗布された後、シート基板FBは当該メタルインクの塗布された部分が熱処理装置BKの−Z側に位置するように搬送される。熱処理装置BKは、シート基板FB上に塗布されたメタルインクに熱処理を行い、当該メタルインク乾燥させる。
図16(a)は、メタルインクを乾燥させた後のゲート形成領域52の状態を示す図である。
図16(a)に示すように、メタルインクを乾燥させることにより、メタルインクに含まれる導電体が薄膜状に積層されることになる。このような薄膜状の導電体がゲート形成領域52の全体に形成され、
図16(b)に示すように、シート基板FB上にゲートバスラインGBL及びゲート電極Gが形成されることになる。
【0126】
次に、シート基板FBは、液滴塗布装置120Iの−Z側に搬送される。液滴塗布装置120Iではシート基板FBに電気絶縁性インクが塗布される。液滴塗布装置120Iでは、例えば
図17に示すように、ソースドレイン形成領域53を通過するゲートバスラインGBL上及びゲート電極G上に電気絶縁性インクが塗布される。
【0127】
電気絶縁性インクが塗布された後、シート基板FBは熱処理装置BKの−Z側に搬送され、熱処理装置BKによって当該電気絶縁性インクに熱処理が施される。この熱処理によって電気絶縁性インクが乾燥し、ゲート絶縁層Iが形成される。
図17では、ゲート絶縁層Iが隔壁BA上に跨るように円形状に形成された状態を示しているが、特に隔壁BAを越えて形成する必要は無い。
【0128】
ゲート絶縁層Iが形成された後、シート基板FBは液滴塗布装置120SDの−Z側に搬送される。液滴塗布装置120SDでは、シート基板FBのソースドレイン形成領域53にメタルインクが塗布される。ソースドレイン形成領域53のうちゲート絶縁層Iを跨ぐ部分については、例えば
図18に示す1〜9の順序でメタルインクが吐出される。
【0129】
メタルインクの吐出後、シート基板FBは熱処理装置BKの−Z側に搬送され、メタルインクの乾燥処理が行われる。当該乾燥処理後、メタルインクに含まれる導電体が薄膜状に積層され、ソースバスラインSBL、ソース電極S、ドレイン電極D及び陽極Pが形成される。ただし、この段階では、ソース電極Sとドレイン電極Dとの間が接続された状態になっている。
【0130】
次に、シート基板FBは、切断装置130の−Z側に搬送される。シート基板FBは、切断装置130において、ソース電極Sとドレイン電極Dとの間が切断される。
図19は、ソース電極Sとドレイン電極Dとの間隔を切断装置130で切断した状態を示す図である。切断装置130では、ガルバノミラー131を用いてレーザ光LLのシート基板FBへの照射位置を調整しながら切断を行う。
【0131】
ソース電極Sとドレイン電極Dとの間が切断された後、シート基板FBは、液滴塗布装置OSの−Z側に搬送される。液滴塗布装置OSでは、シート基板FB上に有機半導体層OSが形成される。シート基板FB上のうちゲート電極Gに重なる領域には、ソース電極S及びドレイン電極Dに跨るように有機半導体インクが吐出される。
【0132】
有機半導体インクの吐出後、シート基板FBは熱処理装置BKの−Z側に搬送され、有機半導体インクの乾燥処理が行われる。当該乾燥処理後、有機半導体インクに含まれる半導体が薄膜状に積層され、
図20に示すように、有機半導体OSが形成される。以上の工程により、シート基板FB上に電界効果型トランジスタ及び接続配線が形成されることになる。
【0133】
続いてシート基板FBは、搬送ローラRRによって発光層形成部93に搬送される(
図3参照)。発光層形成部93では、液滴塗布装置140Re、液滴塗布装置140Gr、液滴塗布装置140Bl及び熱処理装置BKによって赤色、緑色、青色の発光層IRがそれぞれ形成される。シート基板FB上には隔壁BAが形成されているため、赤色、緑色及び青色の発光層IRを熱処理装置BKで熱処理することなく続けて塗布する場合であっても、隣接する画素領域へ溶液が溢れることにより、混色が生じることがない。
【0134】
発光層IRの形成後、シート基板FBは液滴塗布装置140I及び熱処理装置BKを経て絶縁層Iが形成され、液滴塗布装置140IT及び熱処理装置BKを経て透明電極ITが形成される。このような工程を経て、シート基板FB上には
図1で示した有機EL素子50が形成される。
【0135】
素子形成動作では、上記のようにシート基板FBを搬送させながら有機EL素子50を形成する過程で、シート基板FBがX方向、Y方向及びθZ方向にずれてしまうのを防ぐため、アライメント動作を行っている。以下、
図21を参照して、アライメント動作を説明する。
【0136】
アライメント動作においては、各部に設けられた複数のアライメントカメラCA(CA1〜CA8)が適宜シート基板FBに形成されたアライメントマークAMを検出し、制御部104に検出結果を送信する。制御部104では、送信された検出結果に基づいて、アライメント動作を行わせる。
【0137】
例えば、制御部104は、アライメントカメラCA(CA1〜CA8)が検出するアライメントマークAMの撮像間隔などに基づいてシート基板FBの送り速度を検出し、ローラRRが例えば所定速度で回転しているか否かを判断する。ローラRRが所定速度で回転していないと判断した場合、制御部104は、ローラRRの回転速度の調整の指令を出しフィードバックをかける。
【0138】
また、例えば制御部104は、アライメントマークAMの撮像結果に基づき、アライメントマークAMのY軸方向の位置がずれているか否かを検出し、シート基板FBのY軸方向の位置ずれの有無を検出する。位置ずれが検出された場合、制御部104は、シート基板FBを搬送させた状態で位置ずれがどの程度の時間継続しているかを検出する。
【0139】
位置ずれの時間が短時間であれば、液滴塗布装置120の複数のノズル122のうち液滴を塗布するノズル122を切り替えることによって対応する。シート基板FBのY軸方向のずれが長時間続くようであれば、ローラRRの移動によってシート基板FBのY軸方向の位置補正を行う。
【0140】
また、例えば制御部104は、アライメントカメラCAが検出するアライメントマークAMのX軸及びY軸方向の位置に基づき、シート基板FBがθZ方向にずれているか否かを検出する。位置ずれが検出された場合、制御部104は、Y軸方向の位置ずれの検出時と同様、シート基板FBを搬送させた状態で位置ずれがどの程度の時間継続しているかを検出する。
位置ずれの時間が短時間であれば、液滴塗布装置120の複数のノズル122のうち液滴を塗布するノズル122を切り替えることによって対応する。ずれが長時間続くようであれば、当該ズレを検出したアライメントカメラCAを挟む位置に設けられる2つのローラRRをX方向又はY方向に移動させ、シート基板FBのθZ方向の位置補正を行う。
【0141】
次に、取り外し動作を説明する。例えばシート基板FBに有機EL素子50を形成し、シート基板FBを回収した後、基板供給部101として用いられる基板カートリッジ1を基板処理部102から取り外す。
【0142】
上記の各動作を行うに先立って、制御部104は、基板カートリッジ1から伝達された情報を用いて処理を行わせることができる。例えば、制御部104は、基板カートリッジ1(基板供給部101)の情報保持部ICから読み取った処理情報に応じてシート基板FBの処理状態を判断し、当該処理状態に応じて以下の各動作(供給動作、素子形成動作等)を行わせるようにしても構わない。例えば、制御部104は、シート基板FBの欠陥部分に対する修復の要否、又はシート基板FBの欠陥部分を含む領域への素子形成の可否、又は切断除去装置109Cによるシート基板FBの欠陥部分の切除の要否、などを、基板供給部101の情報保持部ICから読み取った欠陥情報に基づいて判断する。シート基板FBの欠陥部分が修復不可能と判断された場合、制御部104は該欠陥部分に対する処理を行わないように制御することができる。これにより、基板処理装置100は、各処理に用いられるコスト(例、材料の使用量や材料の塗布時間など)を低減することができる。また、シート基板FB上の欠陥部分が修復可能である場合には、制御部104は、上記隔壁形成動作、電極形成動作、発光層形成動作の中で当該欠陥部分を修復する処理を行うように制御しても構わない。なお、制御部104は、基板処理部102において処理された該欠陥部分の修復に関する修復履歴を処理情報として基板回収部103の情報保持部ICへ記憶させる処理を行うように制御して構わない。ここで、上記修復履歴は、欠陥の種類、欠陥部分の修復の成否、どういう修復を行ったかの修復内容(例、修復方法や手順)、や修復日時、などを含む。制御部104は、欠陥部分の修復時において、上記の修復履歴に基づいて、該欠陥部分の修復を行うように制御する。例えば、制御部104は、上記の修復履歴に含まれる欠陥の種類、修復の成否、修復内容の組み合わせに基づき、修復する欠陥部分に対する最適な修復内容を設定する。
【0143】
また、制御部104は、シート基板FBの一部に異常が検知された部分(例、欠陥部分)、あるいは、基板カートリッジ1からの情報により異常があると判断された部分に対し、例えば液滴塗布装置120や液滴塗布装置140などを用いて、他の部分との間で識別可能なパターンを直接形成させるように制御することもできる。この場合、異常検知装置109Dは、当該パターンを検出すれば済むため、検出精度が向上することになる。
【0144】
また、上記の各動作を行う際において、
図3に示す基板処理部102の上流側に設けられた異常検知装置109Dによってシート基板FBの一部に欠陥部分が検知された場合、制御部104は、基板回収部103の情報保持部ICに該欠陥部分に関する欠陥情報を伝達する。従って、制御部104は、上記の各動作の過程で得られた欠陥情報などの処理情報を基板回収部103の情報保持部ICに記憶させることができる。このように、制御部104は、基板処理部102における各処理で得られる処理情報を基板回収部103に蓄積させることが可能である。なお、基板回収部103に蓄積された処理情報は、次の生産ラインなどにおいて上述のような情報として使用される。
【0145】
また、上記の各動作を行うに先立って、基板供給部101の情報保持部ICから読み出した処理情報に基づきシート基板FBに隔壁BAが既に形成されていることが制御部104によって判別された場合、制御部104は当該隔壁形成動作を省いて次の電極形成動作を行わせることなどが可能となる。そして、制御部104は、上述のような隔壁形成動作を省いて次の電極形成動作を行わせた処理手順を処理情報として基板回収部103の情報保持部ICに更新する。
【0146】
なお、上記の各動作を行った後に、制御部104は、基板供給部101の処理情報を基板回収部103へ伝達しても構わない。このような場合、制御部104は、基板処理部102においてシート基板FBに対して行った各処理に基づく処理情報と基板供給部101の処理情報とを基板回収部103へ伝達するため、基板回収部103は、シート基板FBに対してどのような処理を行ったか等の処理経過情報を処理情報として保持することができる。
【0147】
また、基板切断部108においてシート基板FBの切断を行う場合、欠陥や切り欠きの形成されている部分を避けるように切断することで、基板切断部108は当該欠陥や切り欠きが設けられている部分を効率的に除去することができる。当該除去された部分のうち、素子として使用可能な部分は、別途再利用することもできる。
【0148】
次に、取り外し動作を説明する。例えばシート基板FBに有機EL素子50を形成し、シート基板FBを回収した後、基板供給部101として用いられる基板カートリッジ1を基板処理部102から取り外す。
【0149】
図22は、基板カートリッジ1の取り外し動作を示す図である。
図22に示すように、取り外し動作では、マウント部3を−X方向に移動させて供給側接続部102Aから外すことで、マウント部3を外すようにする。この動作において、マウント部3は、供給側接続部102Aのガイドに沿って外れることになる。
【0150】
以上のように、本実施形態によれば、基板カートリッジ1が、シート基板FBを収容するカートリッジ本体2と、カートリッジ本体2を識別する識別情報及びカートリッジ本体2に収容されるシート基板FBの処理情報のうち少なくとも一方の情報を保持する情報保持部ICとを備えることとしたので、基板処理部102は当該識別情報又は処理情報に基づいて当該シート基板FBに対して適切な処理を行うことができる。
【0151】
また、本実施形態によれば、基板処理装置100が、シート基板FBを処理する基板処理部102と、基板処理部102にシート基板FBの搬入を行う基板供給部101と、基板処理部102から基板の搬出を行う基板回収部103とを備え、基板供給部101として、基板カートリッジ1が用いられることとしたので、基板処理部102は基板カートリッジ1からの情報を用いてシート基板FBに対して最適な処理を行うことができる。これにより、基板処理部102におけるシート基板FBに対する処理は効率的に行うことができる。
【0152】
また、本実施形態によれば、表示素子の製造過程において、基板処理部102においてシート基板FBを処理する工程と、基板カートリッジ1を用いて、基板処理部102にシート基板FBを供給する又は基板処理部102からシート基板FBを回収する工程と、を有することとしたので、高い水準の情報管理の下で効率的に表示素子を製造することができる。
【0153】
また、本実施形態によれば、制御部104は基板カートリッジ1の情報保持部ICに保持させる処理情報などの情報を更新することが可能なので、基板供給部101として使用した基板カートリッジ1のリサイクルが可能である。
【0154】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図23は、本実施形態に係る基板処理装置200の構成を示す図である。
図23に示されるように、基板処理装置200は、基板供給部201、基板処理部202、基板回収部203及び制御部204を有している。本実施形態では、基板供給部201及び基板回収部203のそれぞれに上記基板カートリッジ1が用いられている点で第1実施形態とは異なっている。
【0155】
基板処理部202は、例えば第1実施形態の基板処理部102において基板切断部108が設けられていない構成になっている。このため、当該基板処理部202で処理されたシート基板FBは、切断されずにシート状のまま基板回収部203によって回収されるようになっている。
【0156】
また、例えば、シート基板FBの識別情報、処理情報が保持されている構成や、情報保持部ICと制御部204との間が通信可能となっている構成などは、第1実施形態で説明した構成と同様になっている。
【0157】
図24〜
図26は、基板回収部103でのシート基板FBの回収の様子を示す図である。
図24〜
図26では、図を判別しやすくするため、一部の構成を省略した状態で示している。
回収動作では、
図24に示すように、基板カートリッジ1の開口部34にシート基板FBを挿入すると同時に、第2開口部35から保護基板PBを挿入する。保護基板PBは、例えば不図示の保護基板供給部から供給される。
【0158】
挿入されたシート基板FB及び保護基板PBは、
図25に示すように、それぞれ基板案内部22及び第2基板案内部37で案内され、合流部39において合流する。合流部39で合流したシート基板FB及び保護基板PBは、
図26に示すように、合流した状態で搬送部21によって搬送され、テンションローラ21aと測定ローラ21bとに押圧されて密着する。シート基板FB及び保護基板PBは、密着した状態でローラ部26によって巻き取られて回収される。
【0159】
制御部204は、基板回収部203によってシート基板FBが回収される際、基板回収部203として用いられる基板カートリッジ1の情報保持部ICに対して、処理後のシート基板FBの処理情報を送信する。情報保持部ICは、当該送信された情報を受信して記憶部MRに記憶させる。
【0160】
このように、本実施形態によれば、基板処理装置200が、シート基板FBを処理する基板処理部202と、基板処理部202にシート基板FBの搬入を行う基板供給部201と、基板処理部202から基板の搬出を行う基板回収部203とを備え、基板供給部201及び基板回収部203として、基板カートリッジ1が用いられることとしたので、基板カートリッジ1からの処理情報は、回収先の基板カートリッジ1へ伝達される。これにより、当該回収先の基板カートリッジ1を管理する場合や、回収先の基板カートリッジ1に収容されるシート基板FBに対して処理を行う場合においても、基板処理装置200が上記の情報を用いることができる。これにより、基板処理装置200の情報管理能力を向上させることができ、処理効率が格段に向上することになる。
【0161】
なお、本実施形態では、基板処理部202が第1実施形態に記載の基板処理部102と同様の構成となっている例を挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば基板処理部202において、第1実施形態に記載の基板処理部102を構成する隔壁形成部91、電極形成部92及び発光層形成部93のうち一部のみが設けられた構成であっても構わない。
【0162】
例えば、基板処理部202として、隔壁形成部91のみが設けられており、電極形成部92及び発光層形成部93が設けられていない構成を例に挙げて説明する。この場合、基板処理部202においては、隔壁BAの形成のみが行われた状態でシート基板FBが基板回収部203に回収される。基板回収部203によって回収されたシート基板FBは、他の基板処理部において電極形成処理及び発光層形成処理が行われる。
【0163】
基板カートリッジ1は、基板処理部202に対して着脱可能に設けられているため、このような場合には、基板処理部202から基板カートリッジ1を取り外し、他の基板処理部に基板カートリッジ1を搬送して接続させることができる。この基板カートリッジ1の情報保持部ICには、基板カートリッジ1の識別情報、シート基板FBの処理情報が保持されているため、接続先の基板処理部においても当該情報を用いて処理を行うことができる。このように、1つの製造ラインにおいて複数の基板処理部を跨ぐと共に、当該基板処理部同士において情報の通信が行われていない場合であっても、基板カートリッジ1を介してシート基板FBの情報を通信することができる。この場合においても、情報管理能力を向上させることができ、処理効率が格段に向上することになる。
【0164】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
本実施形態では、複数の基板処理部において情報の通信が行われる場合を例に挙げて説明する。
【0165】
図27は、本実施形態に係る基板処理システムSYSの構成を示す図である。
図27に示されるように、基板処理システムSYSは、第1基板処理装置300、第2基板処理装置310及び主制御装置CONTを有している。この第1基板処理装置300及び第2基板処理装置310は、例えば同一の敷地内や、同一の工場内に設置されている。
【0166】
第1基板処理装置300は、例えば、シート基板FBに有機EL素子50の隔壁BAを形成する装置である。第2基板処理装置310は、例えば、シート基板FBに電極(ゲート電極Gなど)や有機EL素子50の発光層IR、透明電極ITOを形成する装置である。このように基板処理システムSYSは、有機EL素子50を形成する装置が第1基板処理装置300と第2基板処理装置310との2つの種類の装置に分かれた構成となっている。
【0167】
第1基板処理装置300は、基板供給部301、基板処理部302及び基板回収部303を有している。本実施形態では、基板供給部301及び基板回収部303として、上記の基板カートリッジ1が用いられている。
【0168】
基板処理部302は、第1実施形態の基板処理装置100における隔壁形成部91と同一の構成をそれぞれ有しており、基板供給部301との接続部分には供給側接続部302Aが設けられている。供給側接続部302Aの構成は、第1実施形態における供給側接続部102Aと同一の構成となっている。このように第1基板処理装置300は、第1実施形態における基板処理装置100の基板供給部101から基板処理部102の隔壁形成部91までの構成と同一の構成を有している。
【0169】
基板処理部302のうち基板回収部303との接続部分には、基板カートリッジ1のマウント部3に接続される回収側接続部302Bが設けられている。回収側接続部302Bは、供給側接続部302Aと同一の構成となっている。
【0170】
第2基板処理装置310は、基板供給部311、基板処理部312及び基板回収部313を有しており、各部において第1基板処理装置300と同一の構成となっている。基板処理部312は、第1実施形態の基板処理装置100における電極形成部92及び発光層形成部93と同一の構成を有している。
【0171】
第2基板処理装置310において、基板供給部311及び基板回収部313として、上記の基板カートリッジ1が用いられる。また、第1基板処理装置300から取り外されて第2基板処理装置310に搬送された基板回収部303(基板カートリッジ1)は、第2基板処理装置310の基板供給部311として用いられるようになっている。したがって、基板カートリッジ1は、第1基板処理装置300から第2基板処理装置310へとシート基板FBを中継する中継装置としても機能している。
【0172】
主制御装置CONTは、第1基板処理装置300及び第2基板処理装置310のそれぞれに対して有線又は無線の通信機構を介して接続されており、これら第1基板処理装置300及び第2基板処理装置310を統括的に制御するようになっている。このため、主制御装置CONTでは、第1基板処理装置300及び第2基板処理装置310に用いられる基板カートリッジ1の情報保持部ICに保持される情報を、統括的に管理できるようになっている。
【0173】
このように、本実施形態では、主制御装置CONTが基板カートリッジ1の情報保持部ICに保持される情報を統括的に管理することとしたので、基板処理システムSYSの情報管理能力を向上させることができ、基板処理システムSYSの処理効率が格段に向上することになる。
【0174】
例えば、本実施形態のように、有機EL素子50の製造ラインを制御部104や主制御装置CONTなどで一括して管理する場合、基板カートリッジ1の情報保持部ICは識別情報のみを保持する構成としても構わない。有機EL素子50の製造ラインを主制御装置CONTで一括して管理する場合、例えば主制御装置CONTの主記憶部MMR(
図27参照)は識別情報に対応した処理情報を有し、主制御装置CONTは、基板カートリッジ1の識別情報に基づいて処理情報を認識し、当該処理情報に基づく処理を行わせることができる。具体例として、
図28に示すように処理情報にシート基板FBの欠陥情報を含む場合、主制御装置CONTは、情報保持部ICから読み取った識別情報に対応する欠陥情報を主記憶部MMRから読み取り、当該欠陥情報に基づく処理(例、欠陥部分の修復)を行わせるために処理信号を第1基板処理装置300又は第2基板処理装置310に送信する。処理信号は、例えば、第1基板処理装置300などに各処理を行わせるための設定値等の指令信号である。なお、例えば有機EL素子50の製造ラインを制御部104で一括して管理する場合、主制御装置CONTの代わりに制御部104を用いればよい。これにより、第1基板処理装置300又は第2基板処理装置310の処理効率が向上することとなる。
【0175】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、第1実施形態の
図3に示される形成装置109A、検出装置109B、切断除去装置109C及び異常検知装置109Dは、一例に過ぎず、
図3に示される配置とは異なる配置であっても構わないし、一部の装置を設けないようにする構成であっても構わない。
【0176】
例えば切断除去装置109Cを設けない場合、基板処理部102は、上記基板切断装置108を用いて当該シート基板FBの一部を除去する構成としても構わない。また、形成装置109A、検出装置109B及び切断除去装置109Cはそれぞれ複数配置されていても構わない。異常検知装置109Dは、隔壁形成部91、電極形成部92及び発光層形成部93の各下流側に配置する構成に限られず、適宜省略あるいは個数を増やした構成としても構わない。
【0177】
また、上記のパターンPTNなどは、例えば隔壁形成部91のインプリントローラ110や熱転写ローラ115、電極形成部92の液滴塗布装置120、発光層形成部93の液滴塗布装置140などを用いてシート基板FBに形成されてもよい。なお、パターンPTNは、シート基板FBに予め形成されていてもよい。
【0178】
また、上記説明におけるパターンPTNとしてX方向の位置を示すエンコーダパターンを形成する構成は一例であって、エンコーダパターンは予めシート基板FBに形成されていてもよい。また、例えばシート基板FBのY方向の位置を検出する場合には、基板処理装置102は例えばシート基板FBのY方向の端辺やパターンPTNからの距離(Y方向での距離)を計測する計測装置などを用いてY方向の位置を検出する構成としても構わない。また、シート基板FBに設定されたXY方向におけるグリッド状の位置座標を検出する検出装置を基板処理部102に別途設ける構成としても構わない。
【0179】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、基板処理部の基板供給部のみに基板カートリッジ1を用いた構成、基板処理部の基板供給部及び基板回収部の両方に基板カートリッジ1を用いた構成を例に挙げて説明したが、例えば基板回収部のみに基板カートリッジ1を用いた構成としても構わない。