(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CXCR5病が膵臓がん、結腸がん、膀胱がん、T細胞白血病、B細胞白血病、狼瘡、シェーグレン症候群、重症筋無力症、多発性硬化症、大腸炎、関節リューマチ、乾癬性関節炎、慢性炎症性疾患、または、拒絶を起こしている移植片である、請求項14に記載の薬剤。
工程(d)の前記ヒト化可変領域が、該ヒト化可変領域トラジェクトリーをヒト抗体トラジェクトリーの収集物の配列と比較することにより、ヒト抗体に類似していることを更に確認する、請求項17に記載の方法。
CXCR5病が膵臓がん、結腸がん、膀胱がん、T細胞白血病、B細胞白血病、狼瘡、シェーグレン症候群、重症筋無力症、多発性硬化症、大腸炎、関節リューマチ、乾癬性関節炎、慢性炎症性疾患、または、拒絶を起こしている移植片である、請求項23に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、それらは本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなしに変動し得るので、本明細書に記載の特定の方法、プロトコール、細胞系、ベクター、又は試薬に限定されない。更に、本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施態様を例示する目的のためであり、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。異なるように定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語並びにいずれの頭字語も、本発明の分野で当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似か又は均等のいずれの方法及び材料も、本発明の実施において使用することができ、そして典型的な方法、デバイス、及び材料だけが本明細書に記載されている。
【0007】
本明細書に記載のすべての特許及び刊行物は、本発明を用いて及び本発明で使用する可能性のある、それらの中に報告されているタンパク質、酵素、ベクター、宿主細胞及び方法を記載しそして開示する目的のために、参照することによりその全文が本明細書に組み入れられている。しかしながら、本明細書において、いずれも、本発明が先行発明を理由にこのような開示に先行する権利がないことを自認するものと解釈すべきではない。
関心あるCXCR5関連方法及び生産物の作製と使用を教示する前に、幾つかの用語及び語句の以下の非限定的定義を、技術者をガイドするために提供する。
【0008】
「CXCR5」は、リンパ球、特にB細胞、そして特にナイーブB細胞で見出される天然の公知の分子;当該細胞から分離される当該分子;公知材料及び手段を用いて、そしてCXCR5をコードする核酸を用いて組み換えにより製造されるこのような分子;及びCXCL13結合などの本発明の実施にとって適切な特性と特徴を保持する細胞外(EC)ドメインなどのCXCR5の一部分にかかわる。可溶性CXCR5分子は、一般的に分子の最初の約60個のアミノ酸、即ち、CXCR5のアミノ末端部分を含む、基本的にCXCR5のECドメインから成る。
【0009】
CXCR5は非プロミスカス受容体である。CXCL13はCXCR5のリガンドであり、そして濾胞樹状細胞などの間質細胞、及びリンパ系組織に構成的に発現する。CXCL13は、B細胞、及びBヘルパー濾胞T細胞、TFHと呼ばれるT細胞の小サブセットを特異的に引きつける。そのことは、免疫系におけるT細胞とB細胞集団間の多くの相互作用から鑑みて予測されるものではない。更に、活性化T細胞は、CXCR5発現を誘導又はアップレギュレーションする。第3異所性胚中心(GC)へのリンパ球浸潤は、このような異型リンパ節様構造によりプリセットする特定の障害における疾患重症度及び耐性破壊の増大と良く相関することが見出されている。CXCR5−/−及びCXCL13−/−マウスなどのインビボマウスモデルを用いた場合、受容体か又はリガンドの不存在は、T及びB細胞局在化の変化及び可能な相互作用に因りGC微細構造の変化をもたらす。また、これらのマウスは、重度のコラーゲン誘発関節炎(CIA)の発症から保護される。CXCR5はRAの病因とかかわりがあるマウスB細胞に選択的に発現することから、この受容体をブロックすることは罹患した個体の関節炎発症反応を調節すると考えられる。生物学的製剤(即ち、抗TNFα及び抗CD20抗体、リツキシマブ)による関節リウマチの治療は臨床的に有効なことが示されている;特に、B細胞標的療法の患者は、臨床徴候及び症状の持続的改善を示している。成熟B細胞及びB細胞ヘルパーT細胞のみに発現するCXCR5の選択的ターゲッティングは、B細胞発生に悪影響を及ぼさないか、又は患者を免疫無防備状態にしないと考えられる。リツキシマブと異なり、本抗体は細胞毒性を仲介しない中和抗体である。
【0010】
「CXCR5病」は、CXCL13又は他のCXCR5リガンドの過剰発現又はレベル増加、B細胞のレベル増加、B細胞活性のレベル増加、CXCR5のレベル増加又はCX
CR5の不適当な代謝及び活性によって特徴付けられ又は引き起こされる、疾病、障害、疾患、病態、異常などである。
【0011】
「B細胞活性」は、局在性であり得る正常B細胞活性レベルより高く、又は抗体発現、Brutonチロシンキナーゼの存在又は活性、CD19の発現又は存在、B細胞活性因子の発現又は存在などの、B細胞の生物学的発現又は機能のエビデンスを意味する。
【0012】
抗体鎖のポリペプチド配列に関する「実質的に同一」なる語句は、参照ポリペプチド配列に対し少なくとも約70%、80%、90%、95%又はそれ以上の配列同一性を示す抗体鎖と解釈してもよい。核酸配列に関する用語は、参照核酸配列に対し少なくとも約85%、90%、95%、97%又はそれ以上の配列同一性を示すヌクレオチドの配列として解釈してもよい。
【0013】
用語「同一性」又は「相同性」は、必要に応じて全配列に対する最大パーセント同一性を達成するために、配列をアラインしギャップを導入した後、そして配列同一性の一部としていずれの同類置換も考慮しないで比較される、対応する配列の残基と同一である候補配列中のヌクレオチド塩基又はアミノ酸残基の割合を意味することができる。N末端又はC末端伸張も挿入も、同一性又は相同性の減少と解釈されないものとする。アラインメントの方法及びコンピュータプログラムは当技術分野で利用可能であり、そして公知である。配列同一性は配列解析ソフトウェアを用いて測定し得る。
【0014】
語句と用語、抗体又は抗原の「機能性フラグメント、変異体、誘導体又はアナログ」など、及びその形態は、関心ある完全長抗体又は抗原と共通する定性的な生物学的活性を有する化合物又は分子である。例えば、抗CXCR5抗体の機能性フラグメント又はアナログは、CXCR5分子に結合し得るもの若しくはCXCL13などのリガンドの能力を抑制し実質的に低下させ得るもの、又はCXCR5に結合するアゴニスト若しくはアンタゴニスト抗体である。1例は、scFv分子である。CXCR5に関しては、その変異体又はその誘導体は、天然のCXCR5とは同一でなく、そしてなお本発明の目的のために使用し得る分子、例えば野生型CXCR5と同一でない一方、それでもなお野生型CXCR5に選択的に結合する抗体を誘導する免疫原として使用し得る分子である。
【0015】
「置換」変異体は、天然配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、そして同じ位置でその代りに挿入された異なるアミノ酸によって置き換えられた変異体である。置換は、分子中のただ1つのアミノ酸が置換される単一であるか、又は2つ又はそれ以上のアミノ酸が同じ分子中で置換される複数であってよい。複数の置換が連続する部位にあってもよい。また、1つのアミノ酸は複数の残基によって置き換えられることができ、この場合、このような変異体は置換及び挿入の両方を含む。「挿入」変異体は、1つ又はそれ以上のアミノ酸が、天然配列中の特定の位置でアミノ酸に直接隣接して挿入されている変異体である。アミノ酸に直接隣接するとは、アミノ酸のα−カルボニルか又はα−アミノ官能基に連結することを意味する。「欠失」変異体は、天然アミノ酸配列中の1つ又はそれ以上のアミノ酸が除去されている変異体である。通常、欠失変異体は、分子の特定の領域中に1つ又は2つのアミノ酸を欠失している。
【0016】
用語「抗体」は最も広い意味で使用され、そして特に、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異的抗体(例えば、二重特異性抗体)、抗体フラグメント、又はポリペプチドが所望の生物学的活性を示す限り、1つ又はそれ以上のCDR若しくはCDR由来配列をもつ合成ポリペプチドをカバーする。抗体(Ab)及び免疫グロブリン(Ig)は、同じ構造特性を有する糖タンパク質である。一般的に、抗体は、規定された又は認識された特異性を有するIgと考えられる。従って、抗体が特異的標的への結合特異性を示すのに対して、免疫グロブリンは抗体及び標的特異性
を欠く抗体様分子の両方を含む。本発明の抗体は、いずれのクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAなど)、又はサブクラス(例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
2a、IgG
3、IgG
4、IgA
1、IgA
2など)でもあり得る(「タイプ」及び「クラス」、並びに「サブタイプ」及び「サブクラス」は、本明細書中では同じように使用される)。1つの集団の人工的に操作されていないメンバーから得られる、即ち天然又は野生型抗体及び免疫グロブリンは、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖から成る、通常約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各重鎖は、1つの末端に多くの定常ドメインに続く可変ドメイン(V
H)を有する。各軽鎖は、1つの末端(V
L)に可変ドメインを、そして他の末端に定常ドメインを有する。「人工的に操作されていない」とは、異種抗原結合分子を含む又は発現するように処理されていないことを意味する。野生型は、抗原結合分子のアミノ酸を変えるために、変異誘発、組み換え法の使用などの操作の方式によって得られる対立遺伝子若しくは多型、又は変異体若しくは誘導体に比べて、1つの集団に見出される最も優勢な対立遺伝子若しくは種、又は操作されていない動物から得られる抗体を意味することができる。
【0017】
本明細書で使用される「抗CXCR5抗体」は、CXCR5のそのリガンドへの結合を阻害若しくは実質的に減少させ、又はCXCR5活性を阻害する分子を含むがこれに限定されない、本明細書に定義されるようなヒトCXCR5に特異的に結合する抗体又はそれに由来するポリペプチド(誘導体)を意味する。
【0018】
抗体の可変ドメインとの関連における「可変」なる用語は、抗体間及び抗体内の配列において広範囲に異なり、そしてその特定標的に対する特定抗体の特異的認識及び結合に使用される関連分子の特定部分を指す。しかしながら、その可変性は抗体の可変ドメインを通して等しく分布していない。可変性は、軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方において、超可変領域としても知られる相補性決定領域(CDR:即ち、CDR1、CDR2、及びCDR3)と呼ばれる3つのセグメントに濃縮されている。可変ドメインの最も高い保存部分は、フレームワーク(FR)領域又は配列と呼ばれている。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインの各々は、大部分βシート立体配置を取って、3つのCDRに結合された4つのFR領域を含み、それはループ結合を形成し、そして場合によってはβシート構造の一部を形成する。各鎖中のCDRはFR領域にしばしば近接してまとまっており、そして他の鎖からのCDRによって抗体の標的(エピトープ又は決定因子)結合部位の形成に寄与する (Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institute of Health, Bethesda, MD (1987)を参照)。本明細書で使用される免疫グロブリンアミノ酸残基のナンバリングは、特に明記されない限りKabat et al.の免疫グロブリンアミノ酸残基のナンバリング方式に従って行なわれる。1つのCDRは、同種エピトープに特異的に結合する能力を保有し得る。
【0019】
用語「抗体フラグメント」は、インタクト若しくは完全長鎖又は抗体の一部、一般的には標的結合又は可変領域を指す。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab′、F(ab′)
2及びFvフラグメントを含むが、それらに限定されない。「機能的フラグメント」又は「抗CXCR5抗体のアナログ」は、リガンドに結合し、又はシグナル伝達を開始する受容体の能力を抑制し若しくは実質的に低下させることができるものである。本明細書において使用される機能的フラグメントは、一般的に「抗体フラグメント」と同義語であり、そして抗体に関しては、リガンドに結合し、又はシグナル伝達を開始する受容体の能力を抑制し若しくは実質的に低下させることができる、Fv、Fab、F(ab′)
2などのフラグメントを意味し得る。「Fv」フラグメントは、非共有結合において1つの重鎖及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体から成る(V
H−V
L二量体)。その立体配置では、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、インタクト抗体中のようにV
H−V
L二量体の表面上で標的結合部位を決定する。総括すると、6つのCDRはインタクト抗体に標的結合特異性を賦与する。しかしながら、単一可変ドメイン(又は標的に対して特異的
な3つのCDRだけを含むFvの半分)でも標的を認識し結合する能力を有することができる。
【0020】
「単鎖Fv」、「sFv」又は「scAb」抗体フラグメントは、これらのドメインが単一ポリペプチド鎖に存在する、抗体のV
H及びV
Lドメインを含む。一般的に、Fvポリペプチドは、V
H及びV
Lドメイン間にポリペプチドリンカー、しばしば柔軟性分子の、を更に含み、それはsFvが標的結合に対して所望の構造を形成することを可能にする。
【0021】
用語「二重特異性抗体」は、2つの抗原結合部位を有する抗体フラグメントを指し、そのフラグメントは、同じポリペプチド鎖中に軽鎖可変ドメイン(V
L)に結合した重鎖可変ドメイン(V
H)を含むことができる。同じ鎖上の2つの可変ドメイン間で対になれないほど短いリンカーを用いることにより、二重特異性抗体ドメインは別の鎖の結合ドメインと対にさせられ、2つの抗原結合部位を作出する。
【0022】
Fabフラグメントは、軽鎖の可変及び定常ドメイン、並びに重鎖の可変及び第1定常ドメイン(C
H1)を含む。Fab′フラグメントは、抗体ヒンジ領域から1つ又はそれ以上のシステインを含めるために、C
H1ドメインのカルボニル末端での付加によってFabフラグメントと異なる。Fab′フラグメントは、F(ab′)
2ペプシン消化産物のヒンジシステインにおけるジスルフィド結合の切断により生成し得る。抗体の更なる酵素的及び化学的処理により、関心ある他の機能的フラグメントを得ることができる。
【0023】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、1つの集団の実質的均一抗体から得られる抗体を指し、即ち、この集団を構成する個々の抗体は、微量に存在する可能性のある自然発生の変異を除いて同一である。
【0024】
本明細書でのモノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の1部分が特定の種から誘導される又は特定の抗体クラス若しくはサブクラス(タイプ若しくはサブタイプ)に属する抗体の対応する配列と同一又は相同性であり、そして鎖の残部は、別の種から誘導される又は別の抗体クラス若しくはサブクラス、及びそれらがCXCR5へ結合し又はCXCR5活性若しくは代謝に影響する所望の生物活性を示す限り、このような抗体のフラグメントに属する、抗体中の対応する配列と同一又は相同性である「キメラ」抗体を特に含む(米国特許第4816567号;及びMorrison et al., Proc Natl Acad Sci USA 81:6851 (1984))。このように、1つのクラスの抗体からのCDRは、異なるクラス又はサブクラスの抗体のFRに移植し得る。
【0025】
モノクローナル抗体は高度に特異性を有し、単一の標的部位、エピトープ又は決定因子に向けられる。更に、抗原の異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を一般的に含む従来の(ポリクローナル)抗体の調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は標的上の単一の決定基(エピトープ)に向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は宿主細胞によって合成され、他の免疫グロブリンにより汚染されない点で有利であり、そしてその鎖の抗体をコードする関連遺伝子及びmRNAのクローニングをもたらす。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られている抗体の特性を示し、そして特定の方法によって抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明で使用するモノクローナル抗体は、よく知られらた技術を用いてファージ抗体ライブラリーから分離し、又はポリクローナル調製品から精製し得る。本発明に従って使用される親のモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)により記載されたハイブリドーマ法により作製してもよく、又は当技術分野でよく知られた組み換え法で作製してもよい。
【0026】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、ヒト抗体に比べて非ヒト免疫グロ
ブリンから由来する配列を含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(Fv、Fab、Fab′、F(ab′)
2又は抗体の他の標的結合部分配列)である。一般に、ヒト化抗体は、1つ及び通常は2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むと考えられ、そこでは、すべての又は実質的にすべてのCDR領域は、非ヒト免疫グロブリンのドメインに対応し、そしてすべての又は実質的にすべてのFR領域は、ヒト免疫グロブリン鋳型配列のドメインである。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも1部分、一般的には選択された免疫グロブリン鋳型部分をも含む。一般に、目標はヒトにおいて最小限の免疫原性をもつ抗体分子を有することである。このように、1つ又はそれ以上のCDR中の1つ又はそれ以上のアミノ酸が、CXCR5又はCXCL13へ1つ又はそれ以上のCDRの特異的結合機能を実質的に最小化することなしに、ヒト宿主に対して低い免疫原性のものにも変化し得ることは起こり得る。或いは、FRは非ヒトであり得るが、最も免疫原性の高いそれらのアミノ酸はより低い免疫原性のアミノ酸に置き換えられる。それにもかかわらず、上記のようなCDR移植はヒト化抗体を得る唯一の方法ではない。例えば、フレームワーク残基が、CDRループの3次元構造及びそのリガンドに対する抗体の全体の親和性を決定する役割を有することは稀ではないことから、CDR領域だけを修飾することは不十分であると考えられる。従って、いずれのヒト抗体も常に必要とは限らない。それで、ヒト化は、例えば、ごく数少ない残基、特に抗体分子上に露出し分子内に埋もれておらず、そしてそれ故に宿主免疫系に容易に近づけない残基の単なる置換によっても達成し得る。当該方法は、本明細書に示すように抗体分子上の「移動性」又は「柔軟性」残基に関するものであって、その目標は、エピトープ又は決定基に対する抗体の特異性を含むことなしに得られた分子の免疫原性を、減少又は減弱させることである。例えば、Studnicka et al., Prot Eng 7(6)805-814, 1994; Mol Imm 44:1986-1988, 2007; Sims et al., J Immunol 151:2296 (1993); Chothia et al., J Mol Biol 196:901 (1987); Carter et al., Proc Natl Acad Sci USA 89:4285 (1992); Presta et al., J Immunol 151:2623 (1993)、国際公開第2006/042333号及び米国特許第5869619号を参照されたい。
【0027】
適応免疫反応は2つの主アームを有する:Tリンパ球の細胞性免疫反応及び抗体分泌Bリンパ球の液性免疫反応。B細胞エピトープは、直鎖隣接アミノ酸であるか、又は立体配座的であり得る(Protein Science (2005) 14, 246)。対照的に、T細胞エピトープは、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質、又はヒトの場合は、ヒト白血球抗原(HLA)クラスI又はクラスII分子との関連において存在する抗原性タンパク質から切断される短い直鎖ペプチドである。エピトープ提示は、MHC−ペプチド結合及びT細胞受容体(TCR)相互作用に依存する。MHCタンパク質は高度に多型であり、そして各々は1つの限定されたセットのペプチドに結合する。従って、宿主に存在するMHC対立遺伝子の特定の組み合わせは、感染時に認識される潜在性エピトープの範囲を限定する。
【0028】
T細胞の2つの基本タイプは、T細胞がそれぞれクラスI及びクラスII分子によって提示されるエピトープを認識するかどうかを決定する、CD8及びCD4タンパク質の発現により識別される。CD4
+Tエピトープは、膜結合小胞における抗原提示細胞によるカプセル化後にプロセシングされ、そこで抗原はプロテアーゼによりMHCクラスIIタンパク質に結合するペプチドフラグメントへ分解される。対照的に、CD8
+T細胞は、一般的に細胞内から発現するウイルス性又は自己抗原、免疫プロテアソームによるサイトゾル中の短ペプチドに切断されるタンパク質を認識する。切断後、ペプチドは、抗原プロセシング(TAP)に関連した輸送体によりHLAI抗原上へ負荷するために、小胞体中へ輸送される。CD4
+T(ヘルパー)細胞エピトープは、タンパク質抗原に対するT細胞依存性免疫反応を推進するのに重要である。
【0029】
関心あるヒト化方法は、免疫認識中及び時点での抗体の分子柔軟性の効果に基づいている。タンパク質柔軟性は、タンパク質分子の分子運動に関係している。タンパク質柔軟性
は、タンパク質全体、タンパク質の一部又は単一アミノ酸残基が互いに著しく異なる立体配座のアンサンブルをもたらす能力である。タンパク質柔軟性についての情報は、タンパク質のX線結晶学実験(例えば、Kundu et al. 2002, Biophys J 83:723-732を参照されたい)、核磁気共鳴実験(例えば、Freedberg et al., J Am Chem Soc 1998, 120(31):7916-7923を参照されたい) を実施することにより、又は分子動力学(MD)シミュレーションを実行することにより得ることができる。タンパク質のMDシミュレーションはコンピュータで実施され、互に原子の物理的相互作用を計算することにより、経時的にすべてのタンパク質原子の運動を明らかにすることを可能にする。MDシミュレーションの出力は、シミュレーションの期間にわたる検討タンパク質のトラジェクトリー(trajectory)である。トラジェクトリーは、タンパク質立体配座のアンサンブルであり、シミュレーションの期間にわたって、例えば1ピコ秒(ps)毎に定期的にサンプリングされるスナップショットとも呼ばれる。タンパク質のアミノ酸残基の柔軟性を定量できるのは、スナップショットのアンサンブルを解析することによってである。このように、柔軟性残基とは、その中にその残基が存在するポリペプチドとの関連で異なる立体配座のアンサンブルを承認する残基である。MD法は当技術分野で公知であり、例えば、Brooks et al. 「タンパク質:動力学、構造及び熱力学の理論的展望」"Proteins: A Theoretical Perspective of Dynamics, Structure and Thermodynamics" (Wiley, New York, 1988)を参照されたい。幾つかのソフトウェアは、Amber (Case et al. (2005) J Comp Chem 26:1668-1688), Charmm (Brooks et al. (1983) J Comp Chem 4:187-217; 及びMacKerell et al. (1998) 「計算機化学事典」"The Encyclopedia of Computational Chemistry" vol. 1:271-177, Schleyer et al., eds. Chichester: John Wiley & Sons)又はImpact (Rizzo et al. J Am Chem Soc; 2000; 122(51):12898-12900を参照されたい)などのMDシミュレーションを可能にする。
【0030】
大部分のタンパク質複合体は相対的に大きな平面埋没表面を共有し、そして結合パートナーの柔軟性がそれらの可塑性の起点を提供し、それらが互いに立体配座的に適応することを可能にすることが示されている(Structure (2000) 8, R137-R142)。それ自体、「誘導適合」の例は、タンパク質−タンパク質界面において主要な役割を果すことが示されている。加えて、タンパク質は多彩な形状、サイズ及び組成のリガンドを実際に結合すること(Protein Science (2002) 11:184-187)、及び立体配座多様性は、異なるパートナーを認識する能力の必須要素に思えること(Science (2003) 299, 1362-1367)を示す多数のデータが着実に増加している。柔軟性残基は、タンパク質−タンパク質パートナーの結合に関与している(Structure (2006) 14, 683-693)。
【0031】
柔軟性残基は、メモリーB細胞によって認識され、そして免疫原性反応を誘引する可能性がある相互作用領域のアンサンブルを与える種々の立体配座を取ることができる。従って、抗体は、修飾抗体によって示される立体配座及び認識領域のアンサンブルが、ヒト抗体によって取り入れられるものとできるだけ類似するように、フレームワークからの多数の残基を修飾することによってヒト化し得る。
【0032】
それは、以下による限定された数の残基を修飾することにより達成し得る:(1)親mAbの相同性モデルの構築及びMDシミュレーションの実行;(2)柔軟性残基の解析及び非ヒト抗体分子の最も柔軟性の残基の特定、並びに不均一性及び分解反応の原因と考えられる残基又はモチーフの同定;(3)親抗体に最も類似した認識領域のアンサンブル(ensemble)を示すヒト抗体の同定;(4)変異しようとする柔軟性残基、また変異される不均一性及び分解の原因と考えられる残基又はモチーフの決定;及び(5)公知のT細胞又はB細胞エピトープの存在のチェック。柔軟性残基は、シミュレーションの期間にわたって水性溶媒とタンパク質原子との相互作用を説明する、非明示溶媒モデルを使用して本明細書に示したMD計算を用いて見出し得る。
【0033】
柔軟性残基のセットが可変軽鎖と重鎖内に特定されると、関心ある抗体のそれに酷似した1セットのヒト重鎖と軽鎖の可変領域フレームワークが特定される。それは、例えば、抗体のヒト生殖細胞系配列のデータベースに対する柔軟性残基のセットに関するBLAST検索を用いて行うことができる。それは、親mAbの動力学を生殖細胞系の極限構造のライブラリーと比較することにより行うこともできる。CDR残基及び隣接残基は、保存された抗原に対する高親和性を確保するために検索から除外される。
【0034】
従って、生殖細胞系抗体構造のライブラリーのトラジェクトリーと関心ある抗体の分子動力学トラジェクトリーの比較が行なわれた。16D7を49生殖細胞系構造のライブラリーと比較した。各抗体に保持される分子動力学トラジェクトリーは、分子動力学計算機シミュレーション時の分子動力学計算のアンサンブルであり、例えば、約10の多様な立体配座が多様な起点として使用され、そして各起点に対して、約10の分子動力学シミュレーションが行なわれる。ヒト抗体生殖細胞系の49の3D相同性モデルを、7最高頻度ヒト軽鎖(vκ1、vκ2、vκ3、vκ4、vλ1、vlλ2及びvλ3)及び7最高頻度ヒト重鎖(vh1a、vh1b、vh2、vh3、vh4、vh5及びvh6)を体系的に組み合わせることにより構築した(Nucleic Acids Research, 2005, Vol. 33, Database issue D593-D597)。16D7の柔軟性残基は、次いで関心ある抗体に最も近いトラジェクトリーを有する生殖細胞系構造の対応する残基に変換される。
【0035】
柔軟性残基は次いで置換される。幾つかのヒト残基が類似の相同性を示す場合、その選択は、ヒト化抗体の溶液挙動に影響を与える可能性のある残基の性質によっても促進される。例えば、極性残基は疎水性残基上へ露出された柔軟性ループにおいて好適である。不安定性及び不均一性の潜在的原因となる残基は、CDR中に見出される場合でも変異する。それは露出メチオニンを含んでもよい。なぜならば、スルホキシド形成が、酸素ラジカル、Asp−Proジペプチドなどの酸不安定結合の蛋白質分解的切断(Drug Dev Res (2004) 61:137 154)、Gly、Ser、Ala、His、Asn又はCysなどの小アミノ酸が続く露出アスパラギン残基で見出された脱アミド部位(J Chromatog (2006) 837:35-43)及びAsn−X−Ser/Thr部位などのNグリコシル化部位に生じ得るからである。一般的に、露出メチオニンはLeuにより置換され、露出アスパラギンはグルタミンにより又はアスパラギン酸塩により置換され、又はその結果の残基は変換され得る。グリコシル化部位(Asn−X−Ser/Thr)に対して、Asnか又はSer/Thr残基が変換し得る。
【0036】
結果の複合体配列について、公知のB細胞又は直線状T細胞エピトープの存在で調べられる。例えば、公的に入手可能な免疫エピトープデータベース(IEDB) (PLos Biol (2005) 3(3)e91)により検索が実施される。複合体配列中に公知エピトープが見出される場合、別のセットのヒト配列が遡及され置換される。
【0037】
米国特許第5639641号の再表面化法と異なり、B細胞媒介及びT細胞媒介免疫原性反応はこの方法により検討される。この方法は、CDR移植で時に観察される活性の喪失の問題も回避する(米国特許第5530101号)。加えて、安定性及び溶解性問題も、エンジニアリング及び選択工程において検討され、低免疫原性、高抗原親和性及び生物物理的性質改善のために最適化された抗体をもたらす。
【0038】
抗体の再表面化方策と方法、及び異なる宿主内の抗体の免疫原性を減少させる他の方法は、例えば、米国特許第5639641号に開示されている。簡潔には、好ましい方法では、(1)抗体重鎖及び軽鎖可変領域のプールの位置アラインメントは、すべての可変領域に対するアラインメント位置が少なくとも約98%同一である、重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面露出位置を誘導するために作り出される;(2)1セットの重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面露出アミノ酸残基は、齧歯類抗体(又はそのフラグメン
ト)などの非ヒト型に対して定義される;(3)齧歯類抗体表面露出アミノ酸残基のセットに最も密接に一致する、1セットの重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面露出アミノ酸残基が同定される;そして(4)工程(2)で定義される重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面露出アミノ酸残基のセットは、結合特異性を保持する齧歯類などのヒト化型を誘導するために、齧歯類抗体のCDRのいずれの残基の5Åのいずれの原子内にあるそれらのアミノ酸残基を除いて、工程(3)において定義される重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク表面露出アミノ酸残基で置換される。
【0039】
抗体は、CDR移植(欧州特許公開第0239400号;国際公開第91/09967号;及び米国特許第5530101号及び同第5585089号)、表面張り又は再表面化(欧州特許公開公報第0592106号;欧州特許公開公報第0519596号;Padlan, 1991, Molec Imm 28(4/5):489-498; Studnicka et al., 1994, Prot Eng 7(6):805-814;及び Roguska et al., 1994, PNAS 91:969-973)及び鎖シャッフリング(米国特許第5565332号)を含む種々の他の技術によってヒト化し得る。ヒト抗体は、齧歯類などのトランスジェニック動物を用い、キメラ細胞などを用いるファージ・ディスプレー法を含むが、これに限定されない当技術分野で公知の種々の方法によって作製し得るが、米国特許第4444887号、同第4716111号、同第5545806号及び同第5814318号;及び国際公開第98/46645号、国際公開第98/50433号、国際公開第98/24893号、国際公開第98/16654号、国際公開第96/34096号、国際公開第96/33735号及び国際公開第91/10741号を参照されたい。
【0040】
「抗体ホモログ」又は「ホモログ」は、本明細書に示されるCXCR5を特異的に結合するあらゆる分子を指す。従って、抗体ホモログは、天然又は組み換え抗体、修飾し又はしないにかかわらず、Fab又はFv分子、一本鎖抗体、1つ又はそれ以上のCDR領域などを担持するポリペプチドなどの結合CXCR5などの、関心ある生物学的特性を保持する抗体の部分を含む。ホモログのアミノ酸配列は、自然抗体と同一である必要はなく、強化された又は他の有益な効果を有するポリペプチドを得るために、置換アミノ酸、挿入アミノ酸、欠失アミノ酸、タンパク質中に一般的に見られる20種以外のアミノ酸などを担持させるように変化又は修飾し得る。
【0041】
相同配列を有する抗体は、本発明のCXCR5抗体のアミノ酸配列と配列相同性を有するアミノ酸配列のそれらの抗体である。好ましくは、相同性は本発明抗体の可変領域のアミノ酸についてである。本明細書でアミノ酸配列に適用される「配列相同性」は、例えば、Pearson & Lipman, Proc Natl Acad Sci USA 85, 2444-2448 (1988)に従ったFASTA検索法によって決定され、別のアミノ酸配列に対し少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%又はそれ以上の配列相同性を有する配列、より好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%の配列相同性を有する配列と定義される。
【0042】
キメラ抗体は、種々の抗体、種々のクラスの抗体、種々の動物種など種々の起源由来の抗体、例えば、ヒト免疫グロブリン定常領域などと対になる、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域を有する抗体の種々の部分を有するものである。従って、ヒト化抗体は、キメラ抗体の1種である。キメラ抗体を生産する方法は当技術分野で公知であり、例えば、Morrison, 1985, Science 229:1202; Oi et al., 1986, BioTechniques 4:214; Gillies et al., 1989, J Immunol Methods 125:191-202; 及び米国特許第5807715号、同第481567号、及び同第4816397号を参照されたい。
【0043】
人工抗体は、一本鎖抗体、scFvフラグメント、キメラ抗体、二重特異性抗体(diabodies)、三重特異性抗体(triabodies)、四重特異性抗体(tetrabodies)及びmru(Winter & Milstein, 1991, Nature 349:293-299; and Hudson, 1999, Curr Opin Imm 11:5
48-557による総説を参照されたい)を含み、各々は抗原結合又はエピトープ結合能を有する。抗体の一本鎖Fvフラグメント(scFv)、V
H及びV
Lドメインは、柔軟性ペプチドによって結合される。一般的には、リンカーは約15アミノ酸である。リンカーが非常に小さい、例えば、5アミノ酸の場合、二価のscFv二量体である二重特性抗体が形成される。リンカーが3アミノ酸残基未満に減少する場合、それぞれ三重特異性抗体(triabodies)、及び四重特異性抗体(tetrabodies)と呼ばれる三量体及び四量体構造が形成される。抗体の最小結合単位は単一CDRで、一般的に十分な特異的認識及び結合能力を有する重鎖のCDR2又は3であり得るが、しかし本明細書に示される方法を実施して決定できるCDRのいずれの組み合わせであってもよい。当該フラグメントは、分子認識単位又はmruと呼ばれる。幾つかのこのようなmruは短リンカーペプチドと互いに結合することができ、その結果、単一mruよりも高い活性の人工結合タンパク質を形成する。
【0044】
関心ある抗体の機能的等価物も本発明の範囲内に含まれる。用語「機能的等価物」は、例えば、相同性配列を有する抗体、抗体ホモログ、キメラ抗体、人工抗体及び修飾抗体を含み、ここで、各機能的等価物は、CXCR5への結合能、CXCR5シグナル伝達能又は機能を阻害すること、又はCXCL13及びCXCR5に対する他のリガンドの結合を阻害することによって定義される。当業者には当然のことながら、「抗体フラグメント」と称する分子群及び「機能的等価物」と称する群には重複がある。CXCR5結合能を保持する機能的等価物を生産する方法は、当業者に周知であり、そして、例えば、国際公開第93/21319号、欧州特許公開公報第239400号、国際公開第89/09622号、欧州特許公開公報第338745号及び欧州特許公開公報第332424号に開示されている。
【0045】
本出願の機能的等価物は、修飾抗体、例えば、抗体に対してあらゆるタイプの分子の共有結合によって修飾される抗体をも含む。例えば、修飾抗体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、脱アミド化、リン酸化、アミド化、公知の保護/封鎖基による誘導体化、蛋白質分解切断、細胞内リガンドへの結合、毒素若しくは細胞毒性部分又は他のタンパク質などへの結合によって修飾されている抗体を含む。共有結合は、必ずしも抗イディオタイプ反応の発生に対して免疫性の抗体を誘導しない。修飾は、特異的化学分解、アセチル化、ホルミル化、代謝合成などを含む公知技術によって達成し得るが、これらに限定されない。加えて、修飾抗体は1つ又はそれ以上の非古典的アミノ酸を含有してもよい。
【0046】
多くの技術は、結合親和性の最適化を可能にする当業者が利用可能である。一般的には、それの技術は関心ある部位で種々のアミノ酸残基の置換にかかわり、次いで同種抗原又はエピトープに対する変異ポリペプチドの親和性のスクリーニング解析が続く。
【0047】
抗体が同定されそして分離されると、変異抗体又は突然変異体、又は突然変異タンパク質を発生させることはしばしば有用であり、ここで、1つ又はそれ以上のアミノ酸残基が、例えば、抗体の1つ又はそれ以上の超可変領域において変化する。或いは、又は更に、フレームワーク残基の1つ又はそれ以上の変化(例えば置換)は、それらがCXCR5に対する抗体変異体の結合親和性の改善をもたらす抗体中に導入し得る。修飾し得るフレームワーク領域残基の例は、直接抗原を非共有結合的に結合し(Amit et al., Science 233:747-753 (1986));CDRの立体配座と相互作用し/影響を及ぼし(Chothia et al., J
Mol Biol 196:901-917 (1987));及び/又はV
L−V
H界面に関与する(欧州特許第239400号)例を含む。特定の実施態様では、1つ又はそれ以上の当該フレームワーク領域残基の修飾は、同種抗原に対する抗体の結合親和性の強化をもたらす。例えば、約1から約5のフレームワーク残基が、本発明の本実施態様において変化し得る。時として、これは、超可変領域残基が全然変化しない場合でも、前臨床試験に使用するために好適な抗
体変異体を生産するのに十分と考えられる。しかしながら、通常は、1つ又はそれ以上の超可変領域変化を含むことができる。定常領域も、所望の又は更に望ましいエフェクタ特性を得るために変化し得る。
【0048】
変化した超可変領域残基は、特に親抗体の当初の結合親和性が、ランダムに生産された抗体変異体が本明細書に教示される分析において変化した結合を容易にスクリーニングし得るほどに、ランダムに変化し得る。
【0049】
CDR変異体などの抗体変異体を得るための1つの手順は、「アラニンスキャンニング変異誘発」である(Cunningham & Wells, Science 244:1081 1085 (1989); 及び Cunningham & Wells, Proc Nat Acad Sci USA 84:6434-6437 (1991))。1つ又はそれ以上の超可変領域残基は、アラニン又はポリアラニン残基によって置換される。置換に対して機能的感受性を示すそれらの超可変領域残基は、次いで置換の部位で又はそれに対して更なる又は他の突然変異を誘導することによりリファインされる。このように、アミノ酸配列変異を導入する部位が設定される一方で、突然変異の性質はそれ自体を設定する必要はない。スキャンした残基の所望の特性に応じて、類似の置換が他のアミノ酸で試みられてもよい。
【0050】
修飾すべきアミノ酸残基を同定するより体系的な方法は、CXCR5結合に関与する超可変領域残基、及びCXCR5結合とほとんど又は全然かかわりのないそれらの超可変領域残基を同定することを含む。非結合超可変領域残基のアラニンスキャンが実施され、各ala変異体でCXCR5に対する結合増強の試験を行なった。別の実施態様では、CXCR5の結合に顕著に関与するそれらの残基が、修飾するために選択される。修飾は、残基の欠失又は関心ある残基に隣接する1つ又はそれ以上の残基の挿入に関与し得る。しかしながら、通常、修飾は別のアミノ酸による残基の置換にかかわる。保存的置換が最初の置換であり得る。当該置換が生物活性(例えば、結合親和性)の変化をもたらす場合、次いでより実質的な置換が得られるかを明らかにするために、別の保存的置換が行われ得る。
【0051】
抗体範囲での更に実質的な修飾及び生物特性の発現は、通常1部位に存在するものと更に実質的に性質が異なるアミノ酸を選択することによって達成される可能性がある。従って、当該置換は、(a)置換部分における、例えばシート又はヘリカル配座としてのポリペプチド骨格の構造;(b)標的部位での分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖の大きさを維持しながら行われ得る。
【0052】
例えば、天然アミノ酸は、以下のように共通の側鎖特性に基づく群に分けることができる:
(1)疎水性:メチオニン(M又はmet)、アラニン(A又はala)、バリン(V又はval)、ロイシン(L又はleu)及びイソロイシン(I又はile);
(2)中性、親水性:システイン(C又はcys)、セリン(S又はser)、トレオニン(T又はthr)、アスパラギン(N又はasn)及びグルタミン(Q又はgln);
(3)酸性:アスパラギン酸(D又はasp)グルタミン酸(E又はglu);
【0053】
(4)塩基性:ヒスチジン(H又はhis)、リジン(K又はlys)及びアルギニン(R又はarg);
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:グリシン(G又はgly)及びプロリン(P又はpro)、並びに
(6)芳香族性:トリプトファン(W又はtrp)、チロシン(Y又はtyr)及びフェニルアラニン(F又はphe)。
【0054】
非保存的置換は、他の群からのアミノ酸によるアミノ酸交換を伴うことがあり得る。保
存的置換は、1群内で1つのアミノ酸の交換を別なものとすることを伴ってもよい。
【0055】
好ましいアミノ酸置換は、(1)蛋白質分解に対する感受性を減少させ、(2)酸化に対する感受性を減少させ、(3)結合親和性を変化させ、そして(4)当該アナログの他の物理化学的又は機能的特性を賦与し又は改変する置換を含む。アナログは、天然ペプチド配列以外の配列の種々突然変異タンパク質を含むことができる。例えば、単一又は多重アミノ酸置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)は、自然配列において(好ましくは分子間接触を形成するドメイン外のポリペプチド部分において)行ない得る。保存的アミノ酸置換は、R群又は側鎖の大きさ又は立体配座の変化を除いては、親配列の構造的特性を実質的に変化させ得ない(即ち、置換アミノ酸は親配列に生じるヘリックスを切断せず、又は親配列を特徴付ける他のタイプの二次構造を破壊する傾向とならない)。「タンパク質、構造及び分子原理」(Proteins, Structures and Molecular Principles) (Creighton, ed., W. H. Freeman and Company, New York (1984)); 「タンパク質構造概論」(Introduction to Protein Structure) (Branden & Tooze, eds., Garland Publishing, New York, N. Y. (1991)); 及び Thornton et al. Nature 354:105 (1991)。
【0056】
通常、改良された生物学的特性を有する抗体変異体は、親の抗ヒトCXCR5抗体の重鎖か又は軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列と、少なくとも75%のアミノ酸配列同一性又は類似性、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%及びしばしば少なくとも95%の同一性をもつアミノ酸配列を有することができる。親抗体配列についての同一性又は類似性は、必要ならば最大のパーセント配列同一性を達成するために配列をアラインしギャップを導入した後に、親抗体残基と同一(即ち、同じ残基)又は類似(即ち、上記の共通側鎖特性に基づく同じ群からのアミノ酸残基)の候補配列におけるアミノ酸残基の割合として、本明細書に記載されている。
【0057】
或いは、抗体変異体は、重鎖及び軽鎖のFR及びCDR領域、又は抗CXCR5抗体のFc領域の体系的突然変異によって生成し得る。抗体変異体を生成させる別の手順は、ファージ・ディスプレー法(Hawkins et al., J Mol Biol 254:889-896 (1992) 及びLowman
et al., Biochemistry 30(45):10832-10838(1991))を用いる親和性成熟の使用を含む。バクテリオファージ・コート・タンパク質融合(Smith, Science 228:1315 (1985); Scott & Smith, Science 249:386 (1990); Cwirla et al. Proc Natl Acad Sci USA 8:309 (1990); Devlin et al. Science 249:404 (1990); Wells & Lowman, Curr Opin Struct Biol 2:597 (1992); 及び米国特許第5223409号 )は、それらをコードするバクテリオファージ粒子の遺伝子型に対して、ディスプレーされたタンパク質又はペプチドの表現型を結合するのに有用なことは公知である。抗体のFabドメインも、ファージ上にディスプレーされている(McCafferty et al., Nature 348: 552 (1990); Barbas et al. Proc Natl Acad Sci USA 88:7978 (1991); 及び Garrard et al. Biotechnol 9:1373 (1991))。
【0058】
一価ファージ・ディスプレー法は、ファージ粒子上で1セットのバクテリオファージ・コート・タンパク質の融合としてタンパク質変異体をディスプレーすることから成る(Bass et al., Proteins 8:309 (1990))。種々のタンパク質の親和性成熟、又は平衡結合親和性の改善は、以前に変異誘発の連続適用、一価ファージ・ディスプレー法及び機能性解析(Lowman & Wells, J Mol Biol 234:564 578 (1993); 及び米国特許第5534617号)を通して、 例えば、 抗体のCDR領域を巡ることによって (Barbas et al., Proc Natl Acad Sci USA 91:3809 (1994); 及びYang et al., J Mol Biol 254:392 (1995))達成されている。
【0059】
配列中の規定位置で異なる多くの(例えば、10
6又はそれ以上の)タンパク質変異体のライブラリーは、その各々が特定のタンパク質変異体をコードするDNAを含有する、
バクテリオファージ粒子上に構築できる。固定化抗原を使用したアフィニティ精製のサイクル後、個々のバクテリオファージ・クローンが分離され、そしてディスプレーされたタンパク質のアミノ酸配列がDNAから推定される。
【0060】
抗体変異体の生産に続いて、親抗体に関連するその分子の生物活性が本明細書に教示されるように決定し得る。上記のように、そのことは、抗体の結合親和性及び/又は他の生物活性又は物理的性質を決定することにかかわり得る。本発明の好適な実施態様では、1パネルの抗体変異体が調製され、そして抗原に対する結合親和性をスクリーニングされる。スクリーンから選択された1つ又はそれ以上の抗体変異体は、場合により抗体変異体が新しい又は改良された性質を有することを確認するために、1つ又はそれ以上の更なる生物活性分析にかけられる。好適な実施態様では、抗体変異体は、親抗体に類似又はより優れた/高い結合親和性を有するCXCR5を結合する能力を保持する。
【0061】
そのように選択された抗体変異体は、時に抗体の使用目的に応じて更なる修飾に従ってもよい。当該修飾は、アミノ酸配列の更なる変化、異種ポリペプチドへの融合及び/又は共有結合修飾にかかわらせることができる。例えば、抗体変異体の固有の立体配座を維持するのに関与しないシステイン残基は、分子の酸化安定性を改善し、そして異常架橋を抑制するために、一般的にセリンと置換してもよい。逆に、システインを、安定性を改善するために(特に抗体がFvフラグメントなどの抗体フラグメントである場合)抗体に付加してもよい。
【0062】
別のタイプの抗体変異体は、グリコシル化パターンの変化を有する。それは、抗体中に認められる1つ又はそれ以上の炭水化物部分を取り除くことにより、及び/又は抗体中に存在しない1つ又はそれ以上のグリコシル化部位を付加することにより達成し得る。抗体のグリコシル化は、一般的にAsnへN−結合か又はSer及びThrへO−結合される。トリペプチド配列、アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−トレオニン(ここで、Xはプロリンを除くあらゆるアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的結合に対する共通の認識配列である。N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、フコース又はキシロースは、例えば、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はトレオニンに結合するが、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリジンを使用してもよい。元の抗体の配列に対する1つ又はそれ以上のセリン又はトレオニン残基の付加又は置換は、O−結合グリコシル化の可能性を強化し得る。
【0063】
抗体の有効性を増強させるために、エフェクター融合に関し本発明の抗体を修飾することは望ましい。例えば、システイン残基をFc領域に誘導してもよく、それによりその領域において鎖間ジスルフィド結合形成を可能にする。このようにして生成したホモ二量体型抗体は、インターナリゼーション能力を改善し及び/又は補体媒介性殺細胞及び抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を増加させると考えられるが、 Caron et al., J Exp Med 176:1191-1195 (1992) and Shopes, Immunol 148:2918-2922 (1993)を参照されたい。或いは、二重Fc領域を有する抗体が改変でき、そしてその結果、補体溶解及びADCC能力を増強している可能性があるが、Stevenson et al.,「抗癌薬ドラッグデザイン3」(Anti-Cancer Drug Design 3): 219 230 (1989)を参照されたい。
【0064】
抗体の共有結合修飾は本発明の範囲内に含まれる。それらは、化学合成により又は妥当な場合抗体の酵素的又は化学的切断によって行ってもよい。他のタイプの抗体の共有結合修飾は、抗体の標的アミノ酸残基を、選択した側鎖と又はN−末端若しくはC−末端残基と反応することができる有機誘導化剤と反応させることによって分子中に導入される。
【0065】
システイニル残基は、クロロ酢酸又はクロロアセトアミドなどのα−ハロ酢酸塩(及び対応のアミン)と反応させ、カルボキシメチル又はカルボキシアミドメチル誘導体を得る
ことができる。システイニル残基は、また、例えば、ブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロメルクリベンゾアート、2−クロロメルクラ−4−ニトロフェノール又はクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応により誘導体化し得る。
【0066】
ヒスチジル残基は、pH5.5〜7.0でジエチルピロカルボナ−トとの反応により誘導体化することができる。p−ブロモフェナシルブロミドも使用でき、反応は、pH6.0で0.1Mカコジル酸ナトリムにおいて好適に実施される。
【0067】
リジン残基又はα末端残基は、無水コハク酸又は他のカルボン酸無水物と反応させて、残基の電荷を逆転させることができる。α−アミノ含有残基を誘導体化する他の好適な試薬は、メチルピコリンイミデート、ピリドキサールリン酸、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソウレア及び2,4−ペンタンジオンなどのイミドエステルを含み、そしてアミノ酸はグリオキシル酸でトランスアミナーゼ触媒作用し得る。
【0068】
アルギニル残基は、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン及びニンヒドリンなどの1つ又は幾つかの標準試薬との反応により修飾できる。アルギニン残基の誘導体化はしばしばアルカリ性反応条件を要求する。更に、試薬はリジン並びにアルギニンのε−アミノ基と反応してもよい。
【0069】
チロシン残基の特異的修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメタンで行なうことができる。例えば、O−アセチルチロシル種及び3−ニトロ誘導体を形成するために、それぞれN−アセチルイミダゾール(imidizole)及びテトラニトロメタンが使用される。チロシル残基はラジオイムノアッセイで使用する標識タンパク質を製造するために、
125I又は
131Iを用いてヨード化することができる。
【0070】
カルボキシル側基(アスパルチル又はグルタミル)は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミド又は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミドなどのカルボジイミド(R−N=C=C=R′)(ここで、R及びR′は異なるアルキル基であってよい)との反応により修飾し得る。更に、アスパルチル及びグルタミル残基は、アンモニウムとの反応によりアスパラギニル及びグルタミニル残基へ変換し得る。
【0071】
グルタミニル及びアスパラギニル残基は、中性又は塩基性条件下に高頻度にそれぞれ対応するグルタミル及びアスパルチル残基に脱アミド化される。それらの残基の脱アミド型は本発明の範囲に含まれる。
【0072】
他の修飾は、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリニル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983))、N−末端アミンのアセチル化、及びいずれかのC−末端カルボキシル基のアミド化を含む。
【0073】
別のタイプの共有結合修飾は、抗体に対するグリコシドの化学的又は酵素的結合を含む。それらの手順は、N−結合又はO−結合グリコシル化に対するグリコシル化能力を有する宿主細胞における抗体の産生を必要としない。使用する結合様式によって、糖は以下のように結合し得る:(a)アルギニン及びホスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c
)システインなどの遊離スルフヒドリル基;(d)セリン、トレオニン又はヒドロキシプロリンなどの遊離ヒドロキシル基;(e)フェニルアラニン、チロシン又はトリプトファンなどの芳香族残基;又は(f)グルタミンのアミド基。当該方法は、国際公開公報第87/05330号及びAplin & Wriston, CRC Crit Rev Biochem, pp. 259-306 (1981)に記載されている。
【0074】
抗体に存在するいずれかの糖質部分の除去は、化学的又は酵素的に達成し得る。化学的脱グリコシル化は、例えば、化合物、トリフルオロメタンスルホン酸、又は等価化合物への抗体の露出を要求することができ、その結果、連結糖(N−アセチルグルコサミン又はN−アセチルガラクトサミン)を除く大部分又はすべての糖の切断をもたらすが、一方で抗体をインタクトの状態にする。化学的脱グリコシル化は、例えば、Hakimuddin et al. Arch Biochem Biophys 259:52 (1987) and in Edge et al., Anal Biochem 118:131 (1981)に記載されている。抗体上の糖質部分の酵素的切断は、例えばhotakura et al., Meth
Enzymol 138:350(1987)に記載のように、いずれかの種々のエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼによって達成し得る。
【0075】
抗体の別タイプの共有結合修飾は、種々の非タンパク質ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリオキシアルキレンの1つに抗体を連結することを含むが、この方式は、米国特許第4640835号、同第4496689号、同第4301144号、同第4670417号、同第4791192号又は同第4197339号に示されている。
【0076】
突然変異体又は突然変異タンパク質の取得に好適な別の技術は、ファージ・ディスプレーによる親和性成熟である(Hawkins et al., J Mol Biol 254:889-896 (1992); 及びLowman et al., Biochemistry 30(45):10832-10838 (1991))。簡潔に言えば、幾つかの超可変領域部位(例えば6〜7部位)は、変異して各部位にすべての可能なアミノ酸置換を生成する。このようにして生成した抗体変異体は、粒子上に認められるタンパク質への融合としてファージ粒子上に一価状態で提示される。種々の変異体を発現するファージは、一連の結合選択を通して循環することができ、続いて高親和性を表わすそれらの変異体の分離及び配列決定が行なわれる。
【0077】
新規な結合ポリペプチドを選択する方法は、構造的に関連するポリペプチドのライブラリーを活用することができる。例えば、ファージ・コートタンパク質に融合した構造的に関連するポリペプチドのライブラリーは、変異誘発により産生され、そして粒子の表面に提示される。次いで粒子は標的分子と接触し、そして標的に対して最大親和性を有するそれらの粒子は、低親和性の粒子から分離される。次いで高親和性バインダーは、好適な細菌宿主の感染により増幅し、そして競合的結合工程は繰り返される。この方法は、所望の親和性のポリペプチドが得られるまで繰り返される。
【0078】
或いは、多価ファージ(McCafferty et al. (1990) Nature 348:552-554; and Clackson et al. (1991) Nature 352:624-628)も、ランダム点突然変異(例えば、変異性DNAポリメラーゼの使用によって生成される)を発現させるために使用することができ、次いでCXCR5へ親和性スクリーニングできるファージ抗体フラグメントのライブラリー(Hawkins et al., (1992) J Mol Biol 254:889-896)を生成する。
【0079】
好ましくは、親和性成熟工程時に、複製可能な発現ベクターは転写調節要素の厳格な制御下にあり、そして1つのコピーより多い融合タンパク質を提示する粒子の量又は数が約1%より小さくなるように培養条件が調整される。同様に好ましくは、1つのコピーより多い融合タンパク質を提示する粒子の量は、単一コピーの融合タンパク質を提示する粒子量の約10%より小さい。好ましくは、その量は20%未満である。
【0080】
機能的等価物は、複数の抗体から生じるフレームワーク又は複合FR内の種々の抗体鎖の種々のCDRを交換することにより生産し得る。このように、例えば、異なるCXCR5抗体タイプ及びイソタイプを生産するために、種々のクラスの抗体が、異なる重鎖、例えば、IgG
1-4、IgM、IgA
1-2又はIgDの置換による所定セットのCDRに対して可能である。同様に、本発明の範囲の人工抗体は、所定のセットのCDRを完全合成フレームワーク内に組み込むことにより生産し得る。
【0081】
例えば、可変領域又は関心ある1つ又はそれ以上のCDRを担持する好適なフレームワーク及びFc部分は、エフクター機能を低減しているIgG分子から得ることができる。
【0082】
他の実施態様では、関心あるCXCR5結合分子の特性を増強させるために、特定の修飾を、関心ある分子の抗原結合部位を担持する分子のフレームワーク部分及び/又はFc部分に対して行ない得る。例えば、アミノ酸置換は関心ある特性を増強又は低減させるようになし得る。従って、IgG4分子では、例えば、エフクター機能に影響を与え又はFc結合に影響を与える領域で、ヒンジ領域において機能に影響を与えることが知られている部位での置換は、修飾に好適である。IgG4分子では、Kabat付番方式を用いた、アミノ酸225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255など、又はその組み合わせでの置換が、所望の特性を得るためになし得る。例えば、セリン241のプロリンへの置換は分子の三次構造及び四次構造を安定化させ(Mol Imm 30(1)105 108, 1993)、そしてロイシン248のグルタミン酸への置換は、エフェクター機能を減弱させる(J Imm 164(4)1925-1033, 2000; 及び Clin Imm 98(2)164-174, 2001)。
【0083】
別の有利な特性は、CXCR5を結合する抗体誘導体を得ることであるが、しかし、例えば、B細胞を激減させない。それは患者の抗体産生が障害されないことから有利であり得る。当該試薬による処置は、またB細胞以外のレベルで作用する特定の適応症に対する第2の薬剤による組み合わせ治療を促進する。それは、例えば、T細胞のレベルであってもよい。
【0084】
それ故に、例えば、16D7−HC1−LC3は、2つの置換、S241P及びL248Eを含有するように処置された。プロリン及びグルタミン酸残基は、安定性及びエフェクター機能低減などのIgG4フレームワークを担持する関係のCXCR5結合分子に所望の特性を賦与する。
【0085】
本発明の抗体フラグメント及び機能的等価物は、CXCR5へ検出可能な程度の特異的結合を有するそれらの分子を包含する。結合の検出可能な程度は、関心ある抗体の結合能の少なくとも10〜100%の範囲のすべての値、好ましくは少なくとも50%、60%又は70%、より好ましくは75%、80%、85%、90%、95%又は99%を含む。同様に関心ある抗体の結合能力の100%より大きい親和性を有する等価物も含まれる。
【0086】
CDRは一般的にエピトープ認識及び抗体結合にとって重要である。しかしながら、同種エピトープを認識しそして結合する抗体の能力を妨害することなしにCDRを含む残基に変化が加えられてもよい。例えば、エピトープ認識に影響を与えず、尚エピトープに対する抗体の結合親和性を増加させる変化が加えられてもよい。幾つかの研究は、一次抗体配列の知識、結合及び発現レベルなどのその特性に基づいて、抗体の配列において種々の位置での1つ又はそれ以上のアミノ酸変化を導入する効果を調べている (Yang et al., 1
995, J Mol Biol 254:392-403; Rader et al., 1998, Proc Natl Acad Sci USA 95:8910-8915; 及びVaughan et al., 1998, Nature Biotechnology 16, 535-539)。
【0087】
このように、関心ある抗体の等価物は、オリゴヌクレオチド媒介部位特異的変異誘発法、カセット変異誘発、変異性PCR、DNAシャッフリング又はE. coli の突然変異誘発株などの方法を用いて、CDR1、CDR2又はCDR3の重鎖及び軽鎖の配列を変化させることにより生成し得る(Vaughan et al., 1998, Nat Biotech 16:535-539; 及び Adey
et al., 1996, Chap. 16, pp. 277-291, 「ペプチド及び蛋白質のファージ・ディスプレー」(phage Display of Peptides and Proteins), eds. Kay et al., Academic Press)。一次抗体の核酸配列を変える方法は、改良された親和性の抗体をもたらすことができる(Gram et al., 1992, Proc Natl Acad Sci USA 89:3576-3580; Boder et al., 2000, Proc
Natl Acad Sci USA 97:10701-10705; Davies & Riechmann, 1996, Immunotech 2:169-179; Thompson et al., 1996, J Mol Biol 256:77-88; Short et al., 2002, J Biol Chem 277:16365-16370; 及びFurukawa et al., 2001, J Biol Chem 276:27622-27628)。
【0088】
「ポリペプチド選択」の繰返しサイクルは、例えば、サイクルの複数選択によって選択される、複数のアミノ酸変化による益々高い親和性結合のために選択するのに使用し得る。リガンド又は抗体ポリペプチドにおけるアミノ酸の選択の第1領域に関連する第1回の選択に続いて、リガンドの他の領域及びアミノ酸における追加回の選択が実施される。選択のサイクルは、所望の親和特性が達成されるまで繰り返される。
【0089】
改良抗体は、動物免疫、ハイブリドーマ形成及び特異的特性を有する抗体の選択の、標準的技術により作製される改良特性を有するそれらの抗体を含む。
【0090】
「アンタゴニスト」は、CXCR5によるシグナル伝達などの標的分子の1つ又はそれ以上の生物活性を抑制することができる分子を意味する。アンタゴニストは、リガンドにより活性化された細胞を無能力化又は殺細胞することにより、及び/又は受容体若しくはリガンド活性化(例えば、チロシンキナーゼ活性化)又は受容体へのリガンド結合後に細胞情報伝達を阻害することにより、リガンドへの受容体の結合を干渉することができ、逆もまた同様である。アンタゴニストは、受容体−リガンド相互作用を完全にブロックし、又は実質的に当該相互作用を低減する可能性がある。アンタゴニストによるすべての当該全ポイントの介入は、本発明の目的に対して同等であると考えてよい。従って、CXCR5、CXCL13又はCXCR5の他のリガンド、又はCXCR5の複合体及びCXCL13などのそのリガンド;CXCR5及びCXCL13などのリガンド間の相互作用に拮抗するCXCR5又はCXCL13のアミノ酸配列変異体又は誘導体;免疫グロブリン領域(例えば、免疫付着因子)などの異種分子に場合により融合した可溶性CXCR5;別の受容体又は生体分子と関連してCXCR5を含む複合体;CXCR5に結合する合成又は天然配列ペプチドなどに結合するアンタゴニストは、本発明の範囲内に含まれる。
【0091】
「アゴニスト」は、CXCR5の1つ又はそれ以上の生物活性を活性化する、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体フラグメント、複合体、大分子、小分子を含む化合物を意味する。アゴニストは、リガンドにより活性化された細胞のマイトジェンとして作用することにより、及び/又は受容体へのリガンド結合後に細胞不活性化又は情報伝達阻害に干渉することにより、リガンドへの受容体の結合と相互作用することができ、逆もまた同様である。アゴニストによる介入のすべてのこのようなポイントは、本発明の目的にとって均等であるとされるものとする。従って、CXCR5、CXCL13又はCXCR5の他のリガンド、又はCXCR5の複合体及びCXCL13などのそのリガンド;CXCR5及びCXCL13などのリガンド間の相互作用を促進するCXCR5又はCXCL13のアミノ酸配列変異体又は誘導体;免疫グロブリン領域(例えば、免疫付着因子)などの異種分子に場合により融合した可溶性CXCR5;別の受容体又は生体分子と関
連してCXCR5を含む複合体;CXCR5に結合する合成又は天然配列ペプチドなどに結合するアゴニストは、本発明の範囲内に含まれる。アゴニストは、一般的に、例えば、信号を伝えるためにCXCR5を直接活性化する実体である。
【0092】
用語「細胞」、「細胞系」、及び「細胞培養」はその後代を含む。当然のことながら、すべての後代は、計画的又は偶発的突然変異に因り、DNA含量などにおいて正確には同一ではないと考えられる。起源細胞においてスクリーニングされる関心ある同じ機能又は生物学的特性を有する変異型後代が含まれる。本発明で使用される「宿主細胞」は、一般的にデザイン選択肢として選択される原核生物又は真核生物宿主である。
【0093】
核酸による細胞性生物、細胞又は細胞系の「形質転換」は、核酸が染色体外要素としてか又は染色体の統合により複製可能なように、及び場合により発現するように、核酸を標的細胞中に導入することを意味する。核酸による細胞又は生物の「トランスフェクション」は、いずれのコード配列が実際に発現するかどうかを問わず、細胞又は生物による核酸、例えば発現ベクターの取り込みを指す。用語「トランスフェクト宿主細胞」及び「形質転換した」は、核酸が導入された細胞を指す。代表的な原核生物宿主細胞は、E. coliの種々の菌株を含む。代表的な真核生物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣又はヒト起源の細胞などの哺乳動物細胞である。導入された核酸配列は、宿主細胞と同じ種又は宿主細胞からの異なる種であってよく、又は幾つかの異種及び幾つかの同種核酸を含むハイブリッド核酸配列であってよい。形質転換は、ウイルス由来要素による形質導入又は感染によっても起こり得る。
【0094】
用語「ベクター」は、好適な宿主におけるトランス遺伝子の発現のための好適な制御配列に操作可能に結合し得る核酸、トランス遺伝子、外来遺伝子又は関心ある遺伝子を含む核酸構築物、担体を意味する。当該制御配列は、例えば、転写を達成するプロモーター、当該転写を調節する選択的オペレーター配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列並びに転写及び翻訳の終結を調節する配列を含む。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子又は可能なゲノム挿入そのものであってよい。好適な宿主へ形質転換したベクターは、宿主ゲノムに関係なく複製しそして機能し、又は幾つかの例では宿主細胞ゲノムに統合され得る。本明細書で、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドが一般的に使用されるベクターの型であることから互換性をもって使用し得る。しかしながら、本発明は、ウイルス、核酸分子を担持する合成分子、リポソームなどの、同等の担体機能を果たし、そして当技術分野で公知か又はそうなる他のベクター型を含むことを意図している。
【0095】
治療の目的のための「哺乳動物」は、ヒト、家畜及び農業用動物、非ヒト霊長類、及びイヌ、ウマ、ネコ、ウシなどの動物園、スポーツ又はペット動物を含む哺乳動物として分類される任意の動物を指す。
【0096】
関心ある抗体は、本明細書に記載の又は当技術分野で公知のアッセイにてスクリーニングされ、そして使用し得る。しばしばこのようなアッセイは、検出可能である試薬、即ち例えば標識した試薬を必要とする。本明細書で使用する場合の用語「標識」は、分子又はタンパク質、例えば抗体に直接的又は間接的に結合し得る検出可能な化合物又は組成物を指す。標識はそれ自体検出できる(例えば、放射標識、粒子又は蛍光標識)か、又は酵素標識の場合には検出できる基質化合物又は組成物の化学変化を触媒し得る。
【0097】
本明細書に包含される「固相」は、本発明の抗体などの実体又は分子を接着し得る非水性マトリックスを意味する。本発明に包含される固相の例は、ガラス(例えば、制御細孔ガラス)、多糖類(例えば、アガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンで部分的又は完全に形成された固相を含む。特定の実施態
様では、状況により、固相は分析プレートのウェルを含むことができる;別の場合では精製カラムで使用し得る(例えば、アフィニティクロマトグラフィーカラム)。このように、固相は、紙、ビーズ、プラスチック、チップなどであってよく、ニトロセルロース、アガロース、ポリスチレン、シリコーンなど種々の材料から作られ、そして種々の立体配置を取り得る。
【0098】
細胞外ドメイン(EC)ドメインなどの可溶性CXCR5又はそのフラグメントは、関心ある抗体を作成する免疫原として使用できる。免疫原は天然源から得るか若しくは分離でき、又は組み換えにより作ることができる。CXCR5
+細胞などの全細胞、天然源由来の細胞(例えば、B細胞、B細胞系又は癌細胞系)、又はCXCR5を発現させ、そしてできれば過剰発現させるための組み換え技術による形質転換(又はトランスフェクト)細胞を、関心ある抗体を作製する免疫原として使用してもよい。同様に、CXCR5又はCXCR5のEC領域に対応する合成ペプチド若しくは短縮ポリペプチドを担持する膜標品が、当技術分野で知られているように使用し得る。
【0099】
CXCR5の約60アミノ酸長、又はその部分であるECが免疫原として使用し得る。複合体などの抗体を調製するのに有用な免疫原の他の形態は、当技術分野において明らかである。このように、CXCR5又はその部分は、免疫原として使用するためにアルブミン又はKLHなどの担体分子に結合し得る。勿論、CXCR5を発現する細胞では、それは好ましい免疫原又は免疫原の一部となるECである。
【0100】
当技術分野で公知のCXCR5をコードする遺伝子又はcDNAは、プラスミド又は他の発現ベクターでクローニングされ、そして当業者に周知の方法に従って多数の発現系のいずれかにおいて発現し、そして、例えば、下記を参照されたい。遺伝コードの縮重に因り、CXCR5タンパク質又はポリペプチドをコードする多数のヌクレオチド配列が、組み換えCXCR5又はその機能的産物の発現の実施において使用し得る。ヌクレオチド配列は、宿主細胞に好ましい選択など可能なコドン選択に基づいて組み合わせを選択することにより変化してもよい。組み合わせは、自然CXCR5をコードするヌクレオチド配列に適用される標準トリプレット遺伝コードに従って行なわれ、そしてすべての該変異が検討され得る。このように、CXCR5をコードする配列は関心あるアミノ酸を発現するコドンを含むように記録し得るが、しかしながら、トリプレットコドンは、ヒト細胞などの宿主細胞の遺伝子発現装置に有利なものである。それらのポリペプチドのいずれかは、ラクダ科などの動物の免疫感作に、又はCXCR5に結合する抗体を生成する他の系に使用し得る。
【0101】
上記のように、CXCR5免疫原は、有益な場合は、融合セグメントに結合したCXCR5を有する融合タンパク質として発現することができ、それは一般的に1つ又はそれ以上の有利な機能を有するポリペプチドである。融合セグメントは、例えば、融合タンパク質が親和性クロマトグラフィーにより分離されそして精製し得ることによって、しばしばタンパク質の精製に有用であるが、しかし、免疫原性を増加させるのにも使用できる。融合タンパク質は、CXCR5ポリペプチドのカルボキシル及び/又はアミノ末端のいずれかに結合したタンパク質をコードする、融合核酸配列で形質転換した組み換え細胞を培養することにより産生し得る。融合セグメントは、免疫グロブリンFc領域、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、二価金属イオンに結合できるポリヒスチジンセグメント及びマルトース結合タンパク質を含んでもよいが、これに限定されない。
【0102】
アミノ酸配列突然変異体をコードする核酸分子は、当技術分野で公知の種々の方法により調製し得る。方法は、オリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)変異誘発、PCR変異誘発及び関心ある分子の既調製突然変異体又は非突然変異体バージョンのカセット変異
誘発を含むが、これに限定されない(例えば、 Kunkel, Proc Natl Acad Sci USA 82:488
(1985)を参照されたい)。
【0103】
本発明の抗体、又はフラグメント、誘導体又はそのアナログ(例えば、本発明の抗体の重鎖又は軽鎖、本発明の一本鎖抗体又は本発明の抗体突然変異タンパク質)の組み換え発現は、本明細書に記載の抗体及び抗体のフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を含む。抗体分子をコードするポリヌクレオチドが得られていると、抗体の産生のためのベクターは当技術分野で公知の組み換えDNA技術によって生産してもよい。発現ベクターは、配列並びに適切な転写及び翻訳調節シグナルをコードする抗体を含んで構築される。方法は、例えば、インビトロ組み換えDNA技術、合成技術及びインビボ遺伝子組み換えを含む。
【0104】
発現ベクターは、従来技術により宿主細胞に移行し、次いでトランスフェクト細胞は、本発明の抗体及びフラグメントを生産するために従来技術により培養される。本発明の1つの態様では、重鎖及び軽鎖の両方をコードするベクターは、本明細書に詳述するように全免疫グロブリン分子の発現のために宿主細胞中に共発現し得る。
【0105】
種々の宿主/発現ベクター系が、本発明の抗体分子を発現するために利用し得る。当該発現系は、関心あるコーディング配列がそれによって作られその後精製されるベヒクルを発現するが、しかし配列をコードする適切なヌクレオチドで形質転換又はトランスフェクトする場合、その場で本発明の抗体分子を発現すると考えられる細胞をも現わす。E. coliなどの細菌細胞及び真核細胞は、一般的に組み換え抗体分子の発現、特に全組み換え抗体分子の発現のために使用される。例えば、CHO細胞などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーター要素を担持するベクターと併せて、抗体の有効な発現系である(Foecking et al., Gene 45:101 (1986); and Cockett et al., Bio/Technology 8:2 (1990))。植物及び植物細胞培養、昆虫細胞なども、当技術分野で公知の関心あるタンパク質を作製するのに使用してもよい。
【0106】
加えて、挿入配列の発現を調節し、又は所望の特異的方法で遺伝子産物を修飾し又はプロセシングする宿主細胞が選択される。タンパク質製品の当該修飾(例えば、グリコシル化)及びプロセシング(例えば、切断)はタンパク質の機能にとって重要であると考えられる。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセシング及び修飾のための特徴的及び特異的メカニズムを有する。適切な細胞系又は宿主系が、関心ある発現抗体の正しい修飾及びプロセシングを確実なものにするために選択し得る。それ故、一次転写物の適正プロセシング、遺伝子産物のグリコシル化及びリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞が使用できる。当該哺乳動物宿主細胞は、CHO、COS、293、3T3又は骨髄腫細胞を含むが、これらに限定されるものではない。
【0107】
組み換えタンパク質の長期、高収率産生のためには、安定発現が好ましい。例えば、抗体分子を安定的に発現する細胞系を改変してもよい。ウイルス起源の複製を含有する発現ベクターを用いるよりもむしろ、宿主細胞は、適切な発現調節要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)及び選択可能なマーカーによって調節されたDNAで形質転換することができる。外来DNAの導入に続いて、人工細胞は強化培地中で1日から2日間増殖することが可能になり、そして次に選択培地に移される。組み換えプラスミド中の選択可能なマーカーは選択に抵抗性を賦与し、そして細胞が染色体中へプラスミドを安定的に統合し、そして細胞系中へ拡張することを可能にする。当該人工細胞系は抗体産生に有用であるばかりでなく、抗体分子と直接的又は間接的に相互作用する化合物のスクリーニング及び評価に有用である。
【0108】
多くの選択系が、ヘルペスシンプレックス ウイルスチミジンキナーゼ (Wigler et al.
, Cell 11:223 (1977))、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska et al., Proc Natl Acad Sci USA 48:202 (1992)), メチオニンスルホキシミドの存在下でのグルタミン酸シンターゼ選択(Adv Drug Del Rev 58, 671, 2006 及びLonza Group Ltd.のウェブサイト又は文献参照) 、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ (Lowy et al., Cell 22:817 (1980)) 遺伝子を含み、それぞれtk、hgprt又はaprt細胞において使用し得るが、これらに限定されない。同様に、代謝拮抗物質耐性が以下の遺伝子選択の基礎として使用し得る:メトトトレキサートに対する耐性を賦与するdhfr(Wigler et al., Proc Natl Acad Sci USA 77:357 (1980); O'Hare et al., Proc Natl Acad Sci USA 78:1527 (1981)); ミコフェノール酸に耐性を賦与するgpt(Mulligan et al., Proc Natl Acad Sci USA 78:2072 (1981));アミノグリコシド、G−418に耐性を賦与するneo(Wu et al., Biotherapy 3:87 (1991));及びハイグロマイシンに耐性を賦与するhygro(Santerre et al., Gene 30:147 (1984))。組み換えDNA工学の技術分野において公知の方法を、所望の組み換えクローンを選択するために定常的に応用してもよく、そして当該方法は、例えば、 Ausubel et al., eds., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1993); Kriegler, 「遺伝子導入及び発現、実験室マニュアル」(Gene Transfer and Expression, A Laboratory
Manual), Stockton Press (1990); Dracopoli et al., eds., 「ヒト遺伝学における最近のプロトコール」(Current Protocols in Human Genetics), John Wiley & Sons (1994);及びColberre-Garapin et al., J Mol Biol 150:1 (1981)に記載されている。
【0109】
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅により増加し得る(例えば、Bebbington et al., in DNA Cloning, Vol. 3. Academic Press (1987)を参照)。抗体を発現するベクター系中のマーカーが増幅可能な場合、培養中に存在するインヒビターのレベル増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加させることができる。増幅領域は抗体遺伝子に関与することから、抗体の産生も増加する可能性がある(Crouse et al., Mol Cell Biol 3:257 (1983))。
【0110】
宿主細胞は、本発明の2つ又はそれ以上の発現ベクター、例えば、重鎖由来のポリペプチドをコードする第1のベクター及び軽鎖由来のポリペプチドをコードする第2のベクターで同時遺伝子導入してもよい。2つのベクターは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択可能なマーカーを含んでもよい。或いは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方をコードしそして発現することができる、単一ベクターを使用してもよい。当該状況では、過剰な有毒遊離重鎖を避けるために、軽鎖は重鎖の前に入れるべきである(Proudfoot, Nature 322:52 (1986); and Kohler, Proc Natl Acad Sci USA 77:2197 (1980))。重鎖及び軽鎖のコード配列は、cDNA又はゲノムDNAを含んでもよい。
【0111】
本発明の抗体分子が動物によって産生され、化学的に合成され又は組み換えにより発現すると、それは免疫グロブリン分子の精製の技術分野で公知のいずれの方法によっても、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にプロテインA後のCXCR5アフィニティ及びサイズ排除クロマトグラフィーなど)、遠心分離、示差溶解度により、又はタンパク質精製のためのその他の標準技術により精製し得る。加えて、本発明の抗体又はそのフラグメントは、精製を促進するために、本明細書に記載の又は別の当技術分野で公知の異種ポリペプチド配列に融合し得る。
【0112】
以下の実施例に例示する組み換えCXCR5タンパク質は、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを生成させるマウスを感作するために使用された。得られたモノクローナル抗体は、例えば、それへのCXCR5リガンドの結合を阻害する有利な治療可能性のために選択された。選択された抗体は、次いでインビボで安定性を強化するなど有益な特性を得るために修飾された。
【0113】
本発明の抗体は、当技術分野で公知のいずれの好適な方法によって生成してもよい。本発明の抗体はポリクローナル抗体を含むが、ヒトでの使用を最適化するための、並びに抗体それ自体の使用を最適化するための抗体修飾に因り、モノクローナル抗体が特定の蛋白質の産生及び操作の容易さ故に好ましい。ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に公知である (Harlow et al.,「抗体:実験室マニュアル」(Antibodies: a Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. (1988))。
【0114】
例えば、本明細書に例示する免疫原は、CXCR5に特異的なポリクローナル抗体を含有する血清の生産を誘導するために、ウサギ、マウス、ラクダ科、ラットなどを含む種々の宿主動物に投与し得るが、それらに限定されない。免疫原の投与は免疫剤、及び必要に応じてアジュバントの1回又はそれ以上の注射を必要とする。宿主の種により、種々のアジュバントが免疫反応を増加させるために使用でき、そしてフロイント(完全及び不完全)、鉱油、ゲル、ミョウバン(水酸化アルミニウム)、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ジニトロフェノール及びBCG(Bacille Calmette-Guerin)及びCorynebacterium parvumなどの潜在的に有用なヒトアジュバントを含むが、これらに限定されない。使用されるアジュバントの更なる例は、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成トレハロースジコリノミコール酸エステル)を含む。免疫感作プロトコールは当技術分野で周知であり、そして選択された動物宿主に免疫反応を誘発するいずれの方法で実施してもよい。このように、種々の投与経路がデザイン選択として種々の時間経過にわたって使用できる。
【0115】
一般的には、免疫原は(アジュバントの有り又は無しで)、複数回の皮下又は腹腔内注射により、又は筋肉内若しくは静脈内投与で哺乳動物に注射される。免疫原は、自然細胞、自然変異細胞又は遺伝子工学細胞であってよい、CXCR5を産生又は過剰産生する細胞により生産されるポリペプチド、融合タンパク質又はその変異体を含む。特定の条件では、CXCR5を発現する全細胞を使用し得る。ポリペプチドの性質(即ち、疎水性パーセント、親水性パーセント、安定性、正味電荷、等電点など)に応じて、感作されている哺乳動物などの動物において免疫原性又はより免疫原性になるように、CXCR5又はその一部分が修飾又は結合されてもよい。例えば、CXCR5又はその一部分は担体に結合し得る。結合は、共有結合が形成されるように結合すべき免疫原及び免疫原性タンパク質へ活性化学的官能基を誘導体化することによる化学結合か、又は融合タンパク質ベースの方法若しくは当業者に周知の他の方法を通しての化学結合を含む。当該担体又は免疫原性タンパク質の例は、KLH、卵白アルブミン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、ダイズトリプシンインヒビター、及び無差別Tヘルパーペプチドを含むが、これらに限定されない。種々のアジュバントは上記のように免疫反応を増強するために使用し得る。
【0116】
好適な調製品が得られたならば、アフィニティクロマトグラフィー、パンニング、吸収などの公知の分離法により、複数の抗体から特定の抗体を分離することが可能である。このように、個々の抗体種が、更なる研究、例えば、1つ又はそれ以上のCDRのアミノ酸配列を得るための配列を決定する検討のために得ることができる。
【0117】
本発明の抗体は、好ましくはモノクローナル抗体を含む。モノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975); U.S. Pat. No. 4,376,110; Harlow et al.,「抗体:実験室マニュアル」( Antibodies: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. (1988)及びHammerling et al., 「モノクローナル抗体及びT細胞ハイブリドーマ」(Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas), Elsevier (1981)に記載のようなハイブリドーマ技術、組み換えDNA法を使用して、例えば、トランスフェクトーマを作製及び使用して、又は当業者に公知の他の方法を使用して調製してもよい。モノクローナル抗体の生産に用いられる方法の他の例は、ヒトB細胞ハイブリドーマ
技術(Kosbor et al., Immunology Today 4:72 (1983); and Cole et al., Proc Natl Acad Sci USA 80:2026 (1983))、及びEBVハイブリドーマ技術(Cole et al., 「モノクローナル抗体及びがん治療」(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy), pp. 77-96, Alan R. Liss (1985)を含むが、これらに限定されない。このような抗体はIgG、IgM、IgE、IgA及びIgDを含むいずれの免疫グロブリンクラス、及びそのいずれのサブクラスであってもよい。本発明のmAbを生産するハイブリドーマは、インビトロ又はインビボで培養することができる。
【0118】
ハイブリドーマ・モデルでは、マウス、ヒト化マウス、ヒト免疫系遺伝子を有するトランスジェニックマウス、ハムスター、ウサギ、ラット、ラクダ又はその他の適切な宿主動物などの宿主は、免疫感作されて、CXCR5に特異的に結合する抗体を産生する又は産生することができるリンパ球を誘導する。或いは、リンパ球はインビトロで免疫感作し得る。次いでリンパ球は、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を用いて骨髄腫細胞と融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, pp. 59-103 (1986))。
【0119】
一般に、抗体産生ハイブリドーマの作製において、ヒト起源の細胞が所望される場合に末梢血リンパ球(「PBL」)が使用されるか、又は非ヒト哺乳動物起源が所望される場合に脾細胞若しくはリンパ節細胞が使用される。不死化細胞系は、通常形質転換哺乳動物細胞、特に齧歯類、ウシ又はヒト起源の骨髄腫細胞である。一般的には、ラット又はマウスの骨髄腫細胞系が用いられる。骨髄腫細胞は、好ましくは、非融合不死化細胞の増殖又は生存を阻害する1つ又はそれ以上の物質を含有する好適な培養培地中で培養され得る。例えば、親細胞が酵素ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培地は、一般的にヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(「HAT培地」)、HGPRT欠乏細胞の増殖を抑制する物質を含むことができる。
【0120】
好ましい不死化細胞系は、効率的に融合して、選択的抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル産生を維持する細胞系であり、そしてHAT培地などの培地に対して高感受性である。これらのうち、骨髄腫細胞系は、Salk Institute Cell Distribution Center, San
Diego, Calif.から入手可能なMOPC−21及びMPC−11マウス腫瘍由来などのマウス骨髄腫系細胞、及びthe American Type Culture Collection, Manassas, VA.から入手可能なSP2/0、FO又はX63−Ag8−653細胞である。
【0121】
ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトへテロ骨髄腫細胞系も、ヒトモノクローナル抗体の産生用に記載されている(Kozbor, J Immunol 133:3001 (1984); 及びBrodeur et al., 「モノクローナル抗体産生技術及びその応用」(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications), Marcel Dekker, Inc, pp. 51-63 (1987))。マウス骨髄腫細胞系NSOも使用してよい(European Collection of Cell Cultures, Salisbury, Wilshire, UK)。
【0122】
別の代替法は、ハイブリドーマを形成させる化学融合よりむしろ電気融合を用いることである。融合の代わりに、B細胞は、例えば、エプスタイン・バー・ウイルス又は別の形質転換遺伝子を用いて不死化し得るが、例えば、Zurawaki et al., 「モノクローナル抗体」(Monoclonal Antibodies), ed., Kennett et al., Plenum Press, pp. 19 33. (1980)を参照されたい。免疫グロブリンを発現するトランスジェニックマウス、及びヒトBリンパ球を移植した重症複合免疫不全(SCID)マウスも使用することができる。
【0123】
ハイブリドーマ細胞が増殖する培養培地について、CXCR5に対するモノクローナル抗体の産生の測定が行われる。ハイブリドーマ細胞により産生したモノクローナル抗体の
結合特異性は、免疫沈降法により又はラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)又は固相酵素免疫検定法(ELISA)などのインビトロ結合分析によって測定することができる。当該技術は当技術分野及び当業者に公知である。CXCR5に対するモノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、スキャッチャード解析によって測定できる(Munson et al., Anal Biochem 107:220 (1980))。
【0124】
所望の特異性、親和性、及び/又は活性をもつ抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定後、クローンは限定希釈手順によりサブクローニングされ、そして標準方法により増殖され得る(Goding, 「モノクローナル抗体:原理と実際」(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice), Academic Press, pp. 59-103 (1986))。好適な培養培地は、例えば、Dulbecco's Modified Eagle's Medium(D−MEM)又はRPMI−1640培地を含む。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物の腹水腫瘍としてインビボで増殖し得る。
【0125】
サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体は、培地、腹水又は血清から、例えば、プロテインA−セファロース、プロテインG−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティクロマトグラフィーなどの、従来の免疫グロブリン精製手順により好適に分離又は単離される。
【0126】
モノクローナル抗体産生の技術では種々の方法が存在し、その上、本発明はハイブリドーマでのそれらの単独産生に限定されない。例えば、モノクローナル抗体は、米国特許第4816567号に記載のような組み換えDNA法によって作製してもよい。これに関連して、用語「モノクローナル抗体」は単一真核生物、ファージ又は原核生物クローン由来の抗体を指す。
【0127】
本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて直ちに単離され、そして配列が決定される(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖、又はヒト、ヒト化若しくは他の起源由来の当該鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いて)(Innis et al.Innis et al. 「PCRプロトコール。方法と応用の手引書」(PCR Protocols. A Guide to Methods and Applications), Academic (1990), and Sanger et al., Proc Natl Acad Sci 74:5463 (1977))。ハイブリドーマ細胞は、当該DNAの起源としての機能を果たす。単離されると、DNAは発現ベクター中に入れることができ、次いでそれは、組み換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を達成するために、他の形では免疫グロブリンタンパク質を産生しない、E. coli 細胞、 NS0細胞、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又は骨髄腫細胞などの宿主細胞中へトランスフェクトされる。DNAは、また、例えば、相同マウス配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインに対してコード配列を置換することによって(米国特許第4816567号; 及びMorrison et al., Proc Natl Acad Sci USA 81:6851 (1984))、又は非免疫グロブリンポリペプチドに対するコード配列の全部又は一部を、免疫グロブリンコード配列に共有結合で結合させることによって修飾し得る。当該非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインに置き換えられ、又はキメラ二価抗体を創製するために、本発明抗体の1つのCXCR5結合部位の可変領域に置き換えることができる。
【0128】
抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当技術分野で周知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリン軽鎖及び修飾重鎖の組換え体発現を含む。重鎖は、一般的に、重鎖架橋を阻止するためにFc領域のいずれのポイントでも切断される。或いは、関連するシステイン残基は別のアミノ酸残基で置換され、又は架橋を阻止するために除去される。
【0129】
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、公知技術により生成し得る。伝統的に、これらのフラグメントは、インタクト抗体の蛋白質分解を経由して導かれた(例えば、Morimoto et al., J Biochem Biophys Methods 24:107 (1992); 及びBrennan et al., Science 229:81 (1985)を参照されたい)。例えば、本発明のFab及びF(ab′)
2フラグメントは、パパイン(Fabフラグメント産生のため)又はペプシン(F(ab′)
2フラグメント産生のため)などの酵素を用いて、免疫グロブリン分子の蛋白質分解的切断によって産生してもよい。F(ab′)
2フラグメントは、可変領域、軽鎖可変領域及び重鎖の
定常領域C
H1ドメインを含む。しかしながら、それらのフラグメントは、組み換え宿主細胞により直接産生し得る。例えば、抗体フラグメントは抗体ファージライブラリーから単離し得る。或いは、F(ab′)
2−SHフラグメントは、E. coliから直接的に回収され、そしてF(ab′)
2フラグメントを形成するために化学的に結合し得る (Carter et al., Bio/Technology 10:163 (1992))。別のアプローチによれば、F(ab′)
2フラグメントは組み換え宿主細胞培養から直接単離し得る。抗体フラグメントの産生のための他の技術は、当業者には明らかである。他の実施態様では、最適な抗体は単一鎖Fvフラグメント(Fν)である(国際公開第93/16185号)。
【0130】
ヒトの抗体のインビボ使用及びインビトロ検出分析を含む特定の使用に対しては、キメラ、ヒト化又はヒト抗体を使用することが好ましいと考えられる。キメラ抗体の生産方法は当技術分野で公知であり、例えば、Morrison, Science 229:1202 (1985); Oi et al., BioTechniques 4:214 (1986); Gillies et al., J Immunol Methods 125:191 (1989); 及び米国特許第5807715号;同第4816567号;及び同第4816397号を参照されたい。
【0131】
ヒト化抗体は、CXCR5を結合する非ヒト種で生成する抗体分子から由来し、そこからの1つ又はそれ以上のCDRがヒト免疫グロブリン分子からFR領域中へ挿入される。抗体は、例えば、CDR移植(欧州特許公開公報第239400号;国際公開公報第91/09967号; 及び米国特許第5225539号 ; 同第5530101号及び同第5585089号)、表面張り又は再表面化 (欧州特許公開公報第592106号;欧州特許公開公報第519596号;Padlan, Molecular Immunology 28:489 (1991); Studnicka et al., 「タンパク質工学」(Protein Engineering) 7:805 (1994); 及びRoguska et al., Proc Natl Acad Sci USA 91:969 (1994))、及び鎖シャッフリング(米国特許第5556332号)を含む当技術分野で公知の種々の技術を用いてヒト化し得る。
【0132】
ヒト化抗体は、非ヒト起源からの1つ又はそれ以上のアミノ酸残基を有する。非ヒトアミノ酸残基はしばしば「移入」残基と呼ばれ、一般的には「移入」可変ドメインから採取される。ヒト化は、非ヒトCDR又はCDR配列の部分をヒト抗体の対応する配列の代わりに置き換えることにより、基本的にWinter及び共同研究者の方法(Jones et al., Nature 321:522 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323 (1988);及びVerhoeyen et al.,
Science 239:1534 (1988))に従って実施し得る。従って、当該「ヒト化」抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4816567号)、その場合実質的にインタクトヒト可変ドメイン未満のものが、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。実際にヒト化抗体は、幾つかのCDR残基及び可能な幾つかのFR残基が、齧歯類抗体中の類似部位から置換される、ヒト抗体である。1つ又はそれ以上の重鎖ドメインを含むことができる重鎖定常領域、及びヒンジ領域は、特定のエフェクター機能など所望の効果を得るために、いずれのクラス又はサブクラスからであってもよい。
【0133】
しばしば、ヒトのフレームワーク領域中のフレームワーク残基は、抗原結合を変化させ、そして可能なら強化するために、CDRドナー抗体からの対応する残基と置換し得る。フレームワーク置換は、当技術分野で公知の方法により、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するCDR及びフレームワーク残基の相互作用をモデル化すること
により、そして特定位置における異常なフレームワーク残基を特定する配列比較により同定されるが、例えば、米国特許第5585089号;及びRiechmann et al., Nature 332:323 (1988)を参照されたい。
【0134】
ヒト化抗体が、CXCR5に対して高親和性を保持し、そして他の好適な生物学的特性を保持又は獲得することは更に好ましい。それ故、ヒト化抗体は親の配列及び種々概念のヒト化産物の解析工程により、親及びヒト化配列の3次元モデルを用いて調製される。3次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、そして当業者に周知である。選択候補免疫グロブリン配列の推定3次元立体配座構造を図解して表示するコンピュータ・プログラムが市販されている。ディスプレーの検査は、候補免疫グロブリン配列の機能化における特定残基の可能性のある役割の解析、即ち候補免疫グロブリンのCXCR5結合能に影響を及ぼす残基の解析を可能にする。そのように、FR残基は、標的抗原に対する親和性増加などの所望の抗体特性が最大化されるように、レシピエント及び移入配列から選択しそして組み合わせることができるが、CXCR5結合に直接及び最も実質的に影響を及ぼすのはCDR残基である。CDRが、例えば、より大きい親和性又はより大きい結合活性の結合などの関心ある増強され又は異なる特性を与えるために、それから得られた親抗体から得られるものと異なる1つ又はそれ以上のアミノ酸を含有するように、CDR領域も修飾され得る。
【0135】
抗体の定常領域の特定部分は、抗体ホモログ、誘導体、フラグメントなどに親抗体に認められるものと異なる又はより優れた特性を与えるために操作又は変化し得る。それ故、例えば、多くのIgG4抗体は、ヒンジ領域近傍に鎖内ジスルフィド結合を形成する。鎖内結合は、会合軽鎖と共に重鎖を含む一価分子を形成する親の二価分子を不安定化することができる。
【0136】
IgG4分子のヒンジ領域におけるアミノ酸修飾は、鎖内結合形成の可能性を低下させて、それにより二重特異性抗体形成の可能性を最小化するIgG4分子を安定化し得ることが観察された。安定性増強は産生、製造時に、並びにインビボで分子を解離させる可能性を最小にし得るので、治療抗体がIgG4分子ならばその修飾は有益であり得る。一価抗体は二価の親分子と同じ有効性を有しないと考えられる。例えば、二価IgG4を患者に投与する場合、二価IgG4の割合は2週間にわたって約30%にまで減少する。228位置でのアミノ酸置換はIgG4安定性を強化する。228に存在するセリンは、残る19アミノ酸の1つのように別のアミノ酸で置換し得る。当該変換は特に組み換え抗体でなし得るが、その場合、核酸コード配列は変異することができて、228位置で置換アミノ酸を与える。例えば、Sはプロリンで置換し得る。
【0137】
修飾に好適なアミノ酸の別のセットは、Fc受容体への結合及び結合抗体のインターナリゼーションにより、重鎖を含む分子の結合に影響を与えるヒンジの範囲内のアミノ酸を含む。当該アミノ酸は、IgG1分子中において約233から約237まで(Glu−Leu−Leu−Gly−Gly);(配列番号49)約252から約256まで(Met−Ile−Ser−Arg−Thr)(配列番号50)、及びLys
320、Lys
322及びPro
329を含む、約318(Glu)から約331(Pro)までの残基を含む。
【0138】
完全ヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置に対して特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを用いて、上記のファージ・ディスプレー法を含む当技術分野で公知の種々の方法で作製し得るが、米国特許第4444887号及び同第4716111号;及び国際公開第98/46645号、国際公開第98/50433号、国際公開第98/24893号、国際公開第98/16654号、国際公開第96/34096号、国際公開第96/33735号及び国際公開第91/10741号を参照されたい。Cole et al. and Boerder et al.の技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に使
用可能である(Cole et al.,「モノクローナル抗体及び癌治療」(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy), Alan R. Liss (1985); and Boerner et al., J Immunol 147:86 (1991))。
【0139】
ヒト抗体は、機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、特定のヒト免疫グロブリン遺伝子をも発現するトランスジェニックマウスを用いて生産することもできる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、ランダムに又は相同的組み換えによりマウス胚性幹細胞中へ導入し得る。或いは、ヒト可変領域、定常領域及び多様性領域は、ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子に加えて、マウス胚性幹細胞中へ導入し得る。マウス重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同的組み換えによりヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別々に又は同時に非機能性にしてもよい。具体的に、JH領域のホモ接合性欠失は内因性抗体産生を抑制する。修飾胚性幹細胞は拡張され、そしてキメラマウスを生産するために胚盤胞中へ微量注入される。次いでキメラマウスを繁殖させ、ヒト抗体を発現するホモ接合性新生仔を生産させるが、例えば、Jakobovitis et al., Proc Natl Acad
Sci USA 90:2551 (1993); Jakobovitis et al., Nature 362:255 (1993); Bruggermann et al., Year in Immunol 7:33 (1993); 及びDuchosal et al., Nature 355:258 (1992))を参照されたい。
【0140】
トランスジェニックマウスは、CXCR5、例えば、そのECドメインなどのCXCR5の全部又は一部を用いて常法により免疫感作される。CXCR5に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて免疫感作したトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスにより固定されたヒト免疫グロブリントランス遺伝子は、B細胞分化時に再配列し、そしてその後クラススイッチ及び体細胞変異を受ける。このように、当該技術を用いて、治療上有用なIgG、IgA、IgM及びIgE抗体を産生することが可能である。概観のためには、Lonberg et al., Int Rev Immunol 13:65-93 (1995)を参照されたい。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体の産生並びに当該抗体を産生するプロトコールの検討に対しては、例えば、国際公開公報第98/24893号;国際公開公報第92/01047号;国際公開公報第96/34096号;及び国際公開公報第96/33735号;欧州特許公開公報第0598877号;及び米国特許第5413923号;同第5625126号;同第5633425号;同第5569825号;同第5661016号;同第5545806号;同第5814318号;同第5885793号;同第5916771号;及び同第5939598号を参照されたい。加えて、Amgen (Fremont, CA), Genpharm (San Jose, CA) 及びMedarex, Inc. (Princeton, NJ)などの企業は、上記に類似した技術を用いて、CXCR5に対するヒト抗体を提供することが可能である。
【0141】
また同様に、ヒトmAbは、ヒト末梢血白血球、脾細胞又は骨髄を移植したマウスを免疫感作することにより作製し得る(XTL Biopharmaceuticals, Israelのトリオーマ技術)。選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択」と称する技術を用いて生成し得る。そのアプローチでは、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えば、マウス抗体が同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を誘導するために使用される(Jespers et al., Bio/technology 12:899 (1988))。
【0142】
組み換え技術を用いる場合、抗体変異体は細胞内の細胞周辺腔に産生され、又は直接培地中に分泌し得る。抗体変異体が最初の工程として細胞内に産生される場合、粒子状残屑、宿主細胞か又は溶解フラグメントは、例えば、遠心分離又は限外濾過によって除去し得る。Carter et al., Bio/Technology 10:163 (1992) は、E. coliの細胞周辺腔に分泌される抗体を分離する手順を記載している。簡潔にいうと、細胞ペーストを酢酸ナトリウム(pH3.5)及びEDTAに曝露する。細胞残屑は遠心分離により除去し得る。抗体変異体が培地中に分泌される場合、当該発現系からの上清は、一般的に先ず市販のタンパク
質濃縮フィルター、例えば、Amicon 又は Millipore Pellicon 限外濾過ユニットを用いて濃縮される。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤が蛋白質分解を阻害するために含まれてもよく、そして抗体が偶発的不純物の増殖を抑制するために含まれてもよい。
【0143】
細胞から調製した抗体組成物は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析及び親和性クロマトグラフィーを用いて精製することができる。親和性リガンドとしてのプロテインA又はプロテインGの適合性は、抗体変異体に存在するいずれの免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプによって決まる。プロテインAは、ヒトIgG1、IgG2又はIgG4重鎖に基づく抗体を精製するために使用し得る(Lindmark et al., J Immunol Meth 62:1 (1983))。プロテインGは、マウスアイソタイプ及びヒトIgG3に対して使用し得る (Guss et al., EMBO J 5:1567 (1986))。親和性リガンドが結合するマトリックスはほとんどの場合アガロースであるが、他のマトリックスも利用できる。制御細孔ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定なマトリックスは、アガロースで達成されるよりも速い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体変異体がC
H3ドメインを含む場合、Bakerbond ABXTM樹脂(JT Baker; Phillipsburg, NJ)が精製に有用である。イオン交換カラムによる分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカによるクロマトグラフィー、(ポリアスパラギン酸カラムなど)アニオン又はカチオン交換樹脂によるヘパリンアガロースクロマトグラフィーでのクロマトグラフィー、クロマト分画、SDS−PAGE及び硫酸アンモニウム沈殿など、タンパク質精製のための他の技術も、回収する抗体又は変異体により利用可能である。
【0144】
予備精製工程に続いて、関心ある抗体又は変異体及び不純物を含む混合物は、約2.5〜4.5のpHで、溶離緩衝液を用いて、好ましくは低塩濃度(例えば、約0〜0.25M塩から)で実施される低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけてもよい。
【0145】
更に、本発明の抗体は、順に、当業者に周知の技術を用いてCXCR5を「模倣」する抗イディオタイプ抗体を生成させるために使用し得る (例えば、 Greenspan et al., FASEB J 7:437 (1989);及びNissinoff, J Immunol 147:2429 (1991)を参照されたい)。例えば、CXCR5に結合し、そして多量体化及び/又はリガンドの結合を競合的に阻害する抗体は、CXCR5及び結合ドメインを「模倣」し、そしてその結果としてCXCR5及び/又はそのリガンドに結合し中和する抗イディオタイプを生成させるために使用し得る。当該中和抗体又は当該抗イディオタイプのFabフラグメントは、治療計画において、例えば、CXCL13を中和するために使用し得る。
【0146】
本発明の抗体は二重特異性抗体であってよい。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル、好ましくはヒト又はヒト化抗体であり得る。本発明では、結合特異性の1つはCXCR5に指向し、他方は細胞表面タンパク質、受容体、受容体サブユニット、リガンド、組織特異抗原、ウイルス由来タンパク質、ウイルスコード化エンベロープタンパク質、細菌由来タンパク質、細菌表面タンパク質などのその他の抗原に向かうと考えられる。それ故、もう一方の特異性はCXCL13に対してであり得る。
【0147】
二重特異性抗体を作製する方法は周知である。伝統的に、二重特異性抗体の組み換え生産は、2つの重鎖が異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の共発現に基づいている(Milstein et al., Nature 305:537 (1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダム組み合わせに因り、ハイブリドーマ(クアドローマ)は10の異なる抗体分子の可能な混合物を産生するが、そのうちのただ1つが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、通常親和性クロマトグラフィー工程によって達成される。同様の手順は、 国際公開第93/08829号及びTraunecker et al., EMBO J 10:3655 (1991)に開示されている。二重特異性抗体を作製する他の方法は、例えば、Kufer et al., Tren
ds Biotech 22:238-244, 2004において提供されている。
【0148】
所望の結合特異性を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合し得る。融合は、好ましくは少なくともヒンジの一部、C
H2、及びC
H3領域を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとによるものである。それは、融合の少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含有する最初の重鎖定常領域(C
H1)を有してもよい。免疫グロブリン重鎖融合をコードするDNA、及び必要に応じて免疫グロブリン軽鎖は別々の発現ベクターに挿入され、そして好適な宿主生物へ共形質転換される。二重特異性抗体を生成させる更なる詳細については、例えば、Suresh et al., Meth Enzym 121:210 (1986)を参照されたい。
【0149】
ヘテロコンジュゲート抗体も、本発明によって意図されるものである。ヘテロコンジュゲート抗体は2つの共有結合抗体から成る。当該抗体は、例えば、不要細胞に免疫系細胞を標的化するために提案されている(米国特許第4676980号)。抗体が、架橋剤を包含する方法を含む、合成タンパク質化学で公知の方法を用いてインビトロで調製し得ることも意図している。例えば、抗毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、又はチオエステル結合を形成させることにより構築し得る。この目的に好適な試薬の例は、イミノチオラート及びメチル−4−メルカプトブチルイミデート、並びに、例えば、米国特許第4676980号に開示されているものを含む。
【0150】
加えて、CXCR5に対する単一ドメイン抗体を生成させることができる。その技術の例は、ラクダ科重鎖Ig由来の抗体では国際公開公報第9425591号に、並びにファージ・ライブラリーからの単一ドメイン完全ヒト抗体の分離を記載している米国特許公開公報第20030130496号に記載されている。
【0151】
或いは、一本鎖抗体の生産のために記載されている技術 (米国特許第4946778号; Bird, Science 242:423 (1988); Huston et al., Proc Natl Acad Sci USA 85:5879 (1988);及びWard, et al., Nature 334:544 (1989)) は、一本鎖抗体を産生するために適用し得る。一本鎖抗体は、アミノ酸架橋を経由してFv領域の重鎖及び軽鎖フラグメントを連結させることにより形成され、一本鎖ポリペプチドをもたらす。E. coli における機能的Fvフラグメントのアセンブリー技術を使用してもよい(Skerra et al., Science 242:1038 (1988))。
【0152】
本発明は、ポリペプチドに対して組み換え技術により融合し又は化学的結合した(共有結合及び非共有結合による連結を含む)抗体を包括する。本発明の融合又は結合抗体は精製を容易にするために使用し得るが、例えば、国際公開公報第93/21232号;欧州特許公開公報第439095号;Naramura et al., Immunol Lett 39:91 (1994); 米国特許第5474981号; Gillies et al., Proc Natl Acad Sci USA 89:1428 (1992);及びFell et al., J Immunol 146:2446 (1991)を参照されたい。マーカーアミノ酸配列は、pQEベクター(QIAGEN, Inc., Chatsworth, CA)でもたらされたタグなどのヘキサ−ヒスチジンペプチド(配列番号51)であってよく、とりわけその多くは市販されている、 Gentz et al., Proc Natl Acad Sci USA 86:821 (1989)。精製に有用な他のペプチドタグは、インフルエンザ・ヘマグルチニン・タンパク質(Wilson et al., Cell 37:767 (1984))由来のエピトープに相当する「HA」タグ及び「フラッグ」タグを含むが、これに限定されない。
【0153】
同様に、重鎖及び軽鎖Fv領域が結合している単一ペプチド鎖結合分子を創製することもできる。一本鎖抗体(「scFv」)及びその構築方法は、例えば、米国特許第4946778号に記載されている。或いは、Fabは同様な手段により構築及び発現し得る。すべての全体的及び部分的ヒト抗体は全体的マウスmAbよりも低免疫原性であり、そし
てフラグメント及び一本鎖抗体も低免疫原性である。
【0154】
抗体又は抗体フラグメントは、McCafferty et al., Nature 348:552 (1990)に記載の技術を用いて生成した抗体ファージ・ライブラリーから分離することができる。Clarkson et al., Nature 352:624 (1991)及びMarks et al., J Mol Biol 222:581 (1991)は、ファージライブラリーを用いてそれぞれマウス及びヒト抗体の単離を記載している。以下の刊行物は、鎖シャッフリング(Marks et al., Bio/Technology 10:779 (1992))、並びに非常に大きなファージ・ライブラリー(Waterhouse et al., Nucl Acids Res 21:2265 (1993))を構築する方策としてのコンビナトリアル感染、及びインビボ組み換えによる高親和性(nM範囲)ヒト抗体の産生について記載している。このように、それらの技術は、モノクローナル抗体の単離のための伝統的モノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に対する実行可能な代替法となる。
【0155】
抗CXCR5抗体は、当技術分野で公知の酵素免疫吸着法(ELISA)、FACS、ウェスタンブロット法又は他の免疫化学的技術によって試験される。このように、B細胞又はCXCR5を発現する細胞は、公知の技術を用いてそれへの抗体結合を検出するために使用することができ、又は組み換えにより発現したCXCR5又はECドメインなどのその一部分は、固相に吸着し、そして分析においてデザイン選択として設定される捕捉要素として使用し得る。
【0156】
特定の抗体ホモログがヒトCXCR5に結合するかどうかを解明するために、いずれの通常の結合分析を使用してもよい。有用なCXCR5結合分析は、ヒトCXCR5への抗体の結合、及びそこから由来する機能を検出する、FACS解析、ELISA分析、ラジオイムノアッセイなどを含む。本明細書に示されるヒトCXCR5の完全長及び可溶形は、そのような分析に有用である。CXCR5又はその可溶性フラグメントに対する抗体又はホモログの結合は、抗体又はホモログが由来する種の免疫グロブリンに特異的な二次抗体の使用を通して、適宜検出し得る。
【0157】
特定の抗体又はホモログが、ヒトCXCR5へのCXCL13又は他のリガンドの結合をブロックするか又はそれほどブロックしないかを解明するために、いずれの好適な競合分析も使用してもよい。有用な分析法は、ヒトCXCR5に結合するためにCXCL13又は他のリガンドと競合する抗体又はホモログの能力を定量化する、例えば、ELISA分析、FACS解析、ラジオイムノアッセイなどを含む。好ましくは、固定化抗体又はホモログへの標識ヒトCXCR5の結合をブロックするリガンドの能力が測定される。
【0158】
ヒトCXCR5への抗体又はホモログの結合能は、ヒトCXCR5
+細胞へのその結合能を試験することにより評価し得る。特定の抗体又はそのホモログが、ヒトCXCR5へ結合するかどうかを究明するのに用いられる好適なCXCR5
+細胞は、細胞表面又はB細胞上で完全長ヒトCXCR5をコードし、そしてCXCR5を発現するDNAで形質転換した哺乳動物組織培養細胞である。
【0159】
CXCR5
+細胞への抗体又はホモログの結合は、試験中の抗体ホモログが由来するのと同じ種の免疫グロブリンに特異的な蛍光標識二次抗体で細胞を染色することにより検出することができる。蛍光活性化細胞選別装置(「FACS」)は、いずれの結合も検出しそして定量化するのに使用できるが、一般的には、Shapiro, Practical Flow Cytometry,
Alan R. Liss, Inc., New York, N.Y. (1985)を参照されたい。
【0160】
同様に、ヒトCXCR5へのCXCL13などのリガンドの結合をブロックする抗体ホモログの能力は、過剰リガンドをCXCR5
+細胞でプレインキュベートし、そして結合リガンドが細胞への抗体又はホモログの結合をブロックする程度を定量化することにより
決めることができる。CXCR5
+細胞への抗体ホモログの結合は、試験中の抗体ホモログが由来するのと同じ種の、免疫グロブリンに特異的な蛍光標識二次抗体を用いて、FACS解析により定量化し得る。或いは、競合分析は、当技術分野で公知の標識又は抗体を用いて設定することができる。
【0161】
上記分析で使用されるCXCL13などのリガンドは、リガンドの遺伝子で形質転換した細胞により、又は本明細書に示される方法を実施して得られた、又は商業ベースで購入された単離CXCL13によってもたらされてもよい。
【0162】
特定の抗体又はホモログが、インビボでCXCR5
+細胞数の無有意減少をもたらすかどうかを明らかにするために、抗体又はホモログの正常な免疫機能を有する哺乳動物への投与後24時間以内に、哺乳動物から単離した循環CXCR5
+細胞数が定量化され、そして不適切な特異性のイソタイプ整合抗体又はホモログが本発明の抗体又はホモログの代わりに投与された、前投与数又は対照哺乳動物数と比較される。CXCR5抗体若しくはその機能部分又は誘導体を投薬した動物中のCXCR5
+細胞数の定量化は、例えば、抗CXCR5抗体、並びにT細胞及びB細胞に特異的な標識抗体を結合する蛍光標識抗体で得られた細胞を染色し、続いてFACS解析をすることにより達成し得る。
【0163】
本発明の抗体は、抗体が認識し又は特異結合するCXCR5のエピトープ又は一部に関して記載又は特定することができる。エピトープ又はポリペプチド部分は、例えば、N−末端及びC−末端位置により、隣接アミノ酸残基のサイズ、立体配座エピソードなどにより、本明細書に記載のように特定することもできる。
【0164】
本発明の抗体は、交差反応性に関して記載又は特定することもできる。CXCR5と少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、及び少なくとも50%同一性(当技術分野で公知のそして本明細書に記載の方法を用いて計算して)を有する、CXCR5ポリペプチドに結合する抗体も、本発明に含まれる。
【0165】
本発明の抗体は、関心あるCXCR5への結合親和性に関して記載又は特定することもできる。抗CXCR5抗体は、約10
-7M未満、約10
-6M未満、又は約10
-5M未満のK
Dで結合することができる。約10
-8Mから約10
-15M、約10
-8Mから約10
-12M、約10
-9Mから約10
-11M、又は約10
-8Mから10
-10Mの平衡解離定数又はK
Dを有するものなどの、関心ある抗体における高結合親和性は有利であり得る。本発明は、競合的結合を測定するための当技術分野で公知のいずれかの方法により、例えば、本明細書に記載のイムノアッセイにより測定して、本発明のエピトープに対する抗体の結合を競合的に阻害する抗体を与えることもできる。好ましい実施態様では、抗体は、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、又は少なくとも50%だけエピトープへの結合を競合的に阻害する。
【0166】
本発明は、関心ある抗体を含む複合体を含むこともできる。複合体は、2つの一次成分関心ある抗体及び細胞結合剤、又は細胞毒製剤などであってもよい二次成分を含む。
本明細書で使用する用語「細胞結合剤」は、細胞表面上の分子を特異的に認識し、そして結合する薬剤を指す。それ故、細胞結合剤は、CD抗原、ウイルス抗原などの病原体抗原、分化抗原、癌抗原、細胞特異的抗原、組織特異的抗原、Ig又はIg様分子などであってよい。
【0167】
1つの実施態様では、細胞結合剤は、CXCL13又はCXCR5の複合体及びCXCL13などのそのリガンドを特異的に認識する。複合体は、細胞上で複合体のエフェクタ
ー機能が作用することを可能にし、及び/又は複合体が十分な時間細胞により内在化できるように、十分な期間標的細胞と接触していることができる。
【0168】
細胞結合剤は現在知られている、又は公知になっているいずれのタイプでもよく、そしてペプチド、非ペプチド、単糖類、核酸、リガンド、受容体など、又はその組み合わせを含む。細胞結合剤は、特異的か又は非特異的に細胞を結合できるいずれの化合物でもよい。一般的に、その薬剤は、抗体(特にモノクローナル抗体)、リンホカイン、ホルモン、成長因子、ビタミン、栄養素輸送分子(トランスフェリンなど)、又はその他の細胞結合分子若しくは物質であってよい。
【0169】
使用できる他の細胞結合剤の例は;ポリクローナル抗体;モノクローナル抗体;及びFab、Fab′、F(ab′)
2及びFvなどの抗体のフラグメントを含む(Parham, J. Immunol. 131:2895 2902 (1983); Spring et al., J. Immunol. 113:470-478 (1974);及びNisonoff et al., Arch. Biochem. Biophys. 89: 230 244 (1960))。
【0170】
二次成分は細胞毒性薬であってもよい。本明細書で使用される用語「細胞毒性剤」は、細胞の機能、又は増殖を低下又はブロックし、及び又は細胞の破壊を引き起こす物質を指す。それ故、細胞毒性剤は、タキソール、DM1又はDM4などのメイタンシノイド、CC−1065又はCC−1065アナログ、リシン、マイトマイシンCなどであり得る。幾つかの実施態様では、本発明の複合体のいずれの結合剤と同様に、細胞毒性剤は直接又は切断可能若しくは切断不能リンカーを介して、関心ある抗体に共有結合する。
【0171】
好適なメイタンシノイドの例は、メイタンシノール及びメイタンシノール・アナログを含む。メイタンシノイドは、微小管形成を阻害し、そして哺乳動物細胞に対して高毒性である。
好適なメイタンシノール・アナログの例は、修飾芳香環を有するもの及び他の位置に修飾を有するものを含む。当該好適メイタンシノイドは、米国特許第4424219号;同第4256746号;同第4294757号;同第4307016号;同第4313946号;同第4315929号;同第4331598号;同第4361650号;同第4362663号;同第4364866号;同第4450254号;同第4322348号;同第4371533号;同第6333410号;同第5475092号;同第5585499号;及び同第5846545号に開示されている。
【0172】
修飾芳香環を有する好適なメイタンシノール・アナログの例は:(1)C−19脱塩素(米国特許第4256746号)(例えば、アンサマイトシンP2のLAH)還元によって製造される);(2)C−20−ヒドロキシ(又はC−20−デメチル)+/−のC−19脱塩素(米国特許第4361650号及び同第4307016号)(例えば、Streptomyces若しくはActinomycesを用いた脱メチル化又は水素化アルミニウムリチウム(LAH)を用いた脱塩素化によって製造される);及び(3)C−20−デメトキシ、C−20−アシルオキシ(−OCOR)、+/−脱塩素(米国特許第4294757号)(塩化アシルを用いたアシル化によって製造される)を含む。
【0173】
他の位置の修飾を有する好適なメイタンシノール・アナログの例は:(1)C−9−SH(米国特許第4424219号)(H
2S又はP
2S
5とメイタンシノールの反応によって製造される);(2)C−14−アルコキシメチル(デメトキシ/CH
2OR)(米国特許第4331598号);(3)C−14−ヒドロキシメチル又はアシルオキシメチル(CH
2OH又はCH
2OAc)(米国特許第4450254号)(Nocardiaから製造される);(4)C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4364866号)(Streptomycesによるメイタンシノールの変換によって製造される);(5)C−15−メトキシ(米国特許第4313946号及び同第4315929号)(Trewia nudifloraから単
離される);(6)C−18−N−デメチル(米国特許第4362663号及び同第4322348号) (Streptomycesによるメイタンシノールの脱メチル化によって製造される);そして(7)4,5−デオキシ(米国特許第4371533号)(メイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元よって製造される)を含む。
【0174】
細胞毒性複合体はインビトロ法で製造してもよい。細胞毒性剤、薬剤又はプロドラッグを抗体に結合させるためには、一般的に結合基が使用される。好適な結合基は当技術分野で公知であり、そしてジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、光不安的基、ペプチダーゼ不安定基及びエステラーゼ不安定基を含む。例えば、複合体は、ジスルフィド交換反応を用いて、又は関心ある抗体及び薬剤又はプロドラッグ間でチオエーテル結合を形成させることにより構築することができる。
【0175】
上記のように、本発明は、本明細書に開示のように抗体又はその機能的変異体をコードする孤立核酸配列、本発明のCXCR5結合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクター構築物、当該ベクターを含む宿主細胞、及びポリペプチドの製造のための組み換え技術を提供する。
【0176】
ベクターは、通常当技術分野で公知の成分を含有し、そして一般的に以下の1つ又はそれ以上の:シグナル配列、複製の起源、1つ又はそれ以上のマーカー又は選択遺伝子、翻訳を促進及び/又は強化する配列、エンハンサー要素などを含むが、それらに限定されない。従って、発現ベクターは、哺乳動物、微生物、ウイルス又は昆虫の遺伝子由来のものなど、当該の好適な転写又は翻訳調節ヌクレオチド配列に操作可能に結合されたヌクレオチド配列を含む。更なる調節配列の例は、オペレーター、mRNAリボソーム結合部位、及び/又は開始及びその終結などの転写及ぶ翻訳を調節する他の適切な配列を含む。ヌクレオチド配列は、調節配列が機能的に適切なポリペプチドのヌクレオチド配列に関連している場合に、「操作可能に結合」される。従って、プロモーターヌクレオチド配列は、プロモーターヌクレオチド配列がそのヌクレオチド配列の転写を調節する場合に、例えば、抗体重鎖配列に操作可能に結合される。
【0177】
加えて、天然には重鎖及び/又は軽鎖配列と結びつかない適切なシグナルペプチドをコードする配列は、発現ベクターに取り込むことができる。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のヌクレオチド配列は、抗体がペリプラズムスペース又は培地中に分泌されるように、ポリペプチド配列へ枠組み内で融合され得る。対象とする宿主細胞中で機能しているシグナルペプチドは、適切な抗体又はその一部分の細胞外分泌を増強させる。シグナルペプチドは、細胞からの抗体の分泌時にポリペプチドから切断し得る。当該分泌シグナルの例は周知であり、そして、例えば、米国特許第5698435号;同第5698417号;及び同第6204023号に記載されているものを含む。
【0178】
ベクターは、プラスミド、一本鎖又は二本鎖ウイルスベクター、一本鎖又は二本鎖RNA又はDNAファージベクター、ファージミド、コスミド又はその他の関心あるトランス遺伝子の担体であってもよい。当該ベクターは、RNA及びDNAを細胞内に導入する周知の技術によりポリヌクレオチドとして細胞中へ導入してよい。ファージ及びウイルスベクターの場合に、ベクターは、感染及び形質導入の周知の方法によりパッケージ又はカプセル化ウイルスとして細胞中へ導入してもよい。ウイルスベクターは複製受容性又は複製欠損性であってよい。後者の場合には、ウイルス増殖は、一般的に宿主細胞を補完し、そして粒子を産生するのに必要な種々のウイルス補体を担持する、複数のベクターを使用する場合にのみ起こり得る。無細胞翻訳系も、本DNA構築物由来のRNAを用いてタンパク質を産生するのに用いることができる(例えば、国際公開公報第86/05807号及び国際公開公報第89/01036号;及び米国特許第5122464号を参照されたい)。
【0179】
本発明の抗体は、いずれの好適な宿主細胞からも発現し得る。本発明において有用な宿主細胞の例は、原核細胞、酵母又は高等真核細胞を含み、そして関心ある抗体コード配列を含む、組み換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA又はコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌 (例えば、 E. coli、 B. subtilis、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella、Serratia、及びShigella、並びにBacilli、Pseudomonas 及び Streptomyces) ;抗体コード配列を含む組み換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母 (例えば、 Saccharomyces、Pichia、Actinomycetes、Kluyveromyces、Schizosaccharomyces、Candida、Trichoderma、Neurospora、及びNeurospora、Penicillium、Tolypocladium及び Aspergillusなどの糸状菌);抗体コード配列を含む、組み換えウイルス発現ベクター(例えば、Baculovirus)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含む組み換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;又はタバコモザイクウイルス、TMV)に感染した、又は組み換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;又は哺乳動物細胞(例えば、メタロチオネインプロモーター)のゲノム由来又は哺乳動物ウイルス(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;又はワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)由来のプロモーターを含む組み換え発現構築物を持っている哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293又は3T3細胞)などの微生物を含むが、しかしそれらに限定されない。
【0180】
原核宿主細胞で用いる発現ベクターは、一般的に1つ又はそれ以上の表現型選択可能マーカー遺伝子を含む。表現型選択可能マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質耐性を賦与し、又は独立栄養要求を満たすタンパク質をコードする遺伝子である。原核宿主細胞の有用な発現ベクターの例は、pKK223−3(Pharmacia Fine Chemicals, Uppsala, Sweden)、pGEM1(Promega Biotec, Madison, WI)、pET(Novagen, Madison, WI)及びpRSET(Invitrogen, Carlsbad, CA) シリーズのベクター(Studier, J Mol Biol 219:37 (1991);及び Schoepfer, Gene 124:83 (1993))など市販のプラスミド由来のものを含む。組み換え原核宿主細胞発現ベクターに一般的に用いられるプロモーター配列は、T7(Rosenberg et al., Gene 56:125 (1987))、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター系 (Chang et al., Nature 275:615 (1978);及び Goeddel et
al., Nature 281:544 (1979))、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel et
al., Nucl Acids Res 8:4057 (1980))、及びtacプロモーター(Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory (1990))を含む。
【0181】
酵母ベクターは、2μの酵母プラスミドからなどの複製配列、自己複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化の配列、転写終結及び選択可能マーカー遺伝子の配列の起源をしばしば含む。酵母ベクターの好適なプロモーター配列は、とりわけ、メタロチオネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman et al., J Biol Chem 255:2073 (1980)) 、又はエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ及びグルコキナーゼなどの他の糖分解酵素(Holland et al., Biochem 17:4900 (1978))、に対するプロモーターを含む。酵母発現で用いられる他の好適なベクター及びプロモーターは、Fleer et al., Gene 107:285 (1991)に更に記載されている。酵母及び酵母形質転換プロトコールの他のプロモーター及びベクターは当技術分野で周知である。酵母形質転換プロトコールは周知である。1つの当該プロトコールは、Hinnen et al., Proc Natl Acad Sci 75:1929 (1978)によって記載されており、それは選択培地中でTrp
+形質転換細胞を選択する。
【0182】
脊椎動物であれ無脊椎動物であれ、いずれの真核細胞培養も実行可能である。無脊椎動
物細胞の例は、植物及び昆虫細胞(Luckow et al., Bio/Technology 6:47 (1988); Miller et al., Genetic Engineering, Setlow et al., eds., vol. 8, pp. 277-9, Plenum Publishing (1986);及びMaeda et al., Nature 315:592 (1985))を含む。例えば、バキュロウイルス系は、異種タンパク質の産生に使用し得る。昆虫系では、Autographa californica 核多核体病ウイルス(AcNPV)は、外来遺伝子を発現するベクターとして使用し得る。ウイルスは、Spodoptera frugiperda 細胞中で増殖する。抗体コード配列は、AcNPVプロモーターの制御下にクローニングされ得る(例えば、ポリヘドリン遺伝子)。同定されている他の宿主は、Aedes, Drosophila melanogaster及びBombyx moriを含む。トランスフェクションのための多様なウイルス株は、公に入手可能な、例えば、AcNPVのL−1変異体及びBombyx mori NPVのBm-5株である。更に、ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト、及びタバコの植物細胞培養も、当技術分野で公知のように宿主として利用してもよい。
【0183】
培養(組織培養)での脊椎動物細胞、及び脊椎動物細胞の増殖は常法が可能であるが、例えば、固有因子、支持細胞などを含む特殊培地を必要とする選好性細胞系が存在する。「組織培養」(Tissue Culture), Kruse et al., eds., Academic Press (1973)を参照されたい。有用な哺乳動物宿主細胞系の例は、サル腎臓;ヒト胚腎臓系;子ハムスター腎細胞;チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO, Urlaub et al., Proc Natl Acad Sci USA 77:4216 (1980));マウスセルトリ細胞;ヒト頚部癌細胞(例えば、HeLa);イヌ腎細胞;ヒト肺細胞;ヒト肝細胞;マウス乳腺腫瘍;及びNS0細胞である。
【0184】
宿主細胞は、抗体産生のベクターで形質転換され、そして成長因子、ビタミン、ミネラルなど、並びに使用する細胞及びベクターに適切なインデューサーを含有する従来の栄養培地で培養される。一般的に使用されるプロモーター配列及びエンハンサー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(SV40)及びヒトサイトメガロウイルス(CMV)に由来する。SV40ウイルスゲノム由来のDNA配列は、哺乳動物宿主細胞中の構造遺伝子配列の発現用に、他の遺伝要素、例えば、SV40起源、初期及び後期プロモーター、エンハンサー、スプライス及びポリアデニル化部位を与えるために使用し得る。ウイルス初期及び後期プロモーターは、両方が複製のウイルス起源をも含む可能性のあるフラグメンとしてウイルスゲノムから容易に得られることから、特に有用である。哺乳動物宿主細胞で用いる典型的発現ベクターは市販されている。
【0185】
Ham's F10, Minimal Essential Medium (MEM)、RPMI-1640 及びDulbecco's Modified Eagle's Medium (DMEM)などの市販の培地は、宿主細胞を培養するのに好適である。加えて、Ham et al., Meth Enzymol 58:44 (1979) 及びBarnes et al., Anal Biochem 102:255 (1980)、及び米国特許第4767704号;同第4657866号;同第4560655号;同第5122469号;同第5712163号又は同第6048728号に記載のいずれの培地も、宿主細胞の培養培地として使用してもよい。これらのいずれの培地も、必要に応じてホルモン及び/又は他の増殖因子(インシュリン、トランスフェリン又は表皮成長因子など)、塩(塩化ナトリウム、塩化カルシウム又は塩化マグネシウムなどの塩化物など;及びリン酸塩)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシン及びチミジンなど)、抗生物質、微量元素(通常マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物と定義される)、及びグルコース又は等価エネルギー源を補足することができる。その他の必要な補助剤はいずれも設計選択として適当な濃度で含まれてもよい。温度、pHなどの培養条件は、当技術分野で公知のように、細胞に適切でそしてトランス遺伝子の所望の発現を可能にするものである。
【0186】
関心あるポリヌクレオチドは取得することができ、そしてポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は当技術分野で公知のいずれかの方法によって決定し得る。例えば、抗体のヌクレオチド配列が知られている場合、抗体をコードするポリヌクレオチドは、化学的に合成
したオリゴヌクレオチド(例えばKutmeier et al., Bio/Techniques 17:242 (1994)に記載) から組み立てられ、そして次に、例えば、PCRにより連結オリゴヌクレオチドを増幅させてもよい。
【0187】
或いは、抗体をコードするポリヌクレオチドは、それを発現する細胞の核酸から生成してもよい。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンは利用できないが、抗体分子の配列が公知の場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、本発明の抗体を発現するために選択されたハイブリドーマ細胞などの抗体産生細胞に特異的なものと考えられる、ライブラリーなどの好適な起源から得ることができる。好適なプライマーがPCR増幅のために設定される。PCRによって生成した増幅核酸が、次いで当技術分野で周知のいずれかの方法を用いて複製可能なクローニングベクターにクローン化し得る。
【0188】
抗体のヌクレオチド配列及び対応するアミノ酸配列が決定されると、抗体のヌクレオチド配列は本明細書に記載の関心ある等価物を得るために、ヌクレオチド配列を操作する当技術分野で公知の方法、例えば、組み換えDNA技術、部位特異的変異誘発、PCRなど(例えば、Sambrook et al.,「分子クローニング、実験室手引き、第2版」Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd ed.), Cold Spring Harbor Laboratory (1990);及びAusubel et al., eds.,「分子生物学の最近のプロトコール」(Current Protocols in Molecular Biology), John Wiley & Sons (1998))を用いて、異なるアミノ酸配列を有する抗体を生成するため、例えば、アミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を作出するために操作することができる。
【0189】
重鎖及び/又は軽鎖のアミノ酸配列可変領域は、周知の方法により、例えば、配列超可変性の領域を決定するために他の重鎖及び軽鎖可変領域の公知のアミノ酸配列と比較することにより、CDRの配列を特定するために精査することができる。通常の組み換えDNA技術を用いて、1つ又はそれ以上のCDRをフレームワーク領域内に、例えば、上記に記載のように非ヒト抗体をヒト化するためにヒトフレームワーク領域に挿入することができる。フレームワーク領域及び1つ又はそれ以上のCDRの組み合わせによって生成される関心あるポリヌクレオチドは、CXCR5、又は少なくともそのEDドメインを特異的に結合する抗体をコードする。例えば、当該方法は、1つ又はそれ以上の鎖内ジスルフィド結合を欠く抗体分子を生成するように、鎖内ジスルフィド結合に関与する1つ又はそれ以上の可変領域システイン残基のアミノ酸置換又は欠失をもたらすために使用することができる。
【0190】
本発明の抗体又は抗体フラグメントは、CXCR5、及びそれ故インビトロ又はインビボで、生体試料中でCXCR5を発現する細胞を検出するために使用し得る。1つの実施態様では、本発明の抗CXCR5抗体は、組織又は組織由来の細胞におけるCXCR5の存在及びレベルを測定するために使用される。組織又は生検におけるCXCR5のレベルは、例えば、本発明の抗体又は抗体フラグメントを用いたイムノアッセイで測定することができる。組織又はその生検は凍結又は固定化し得る。同様の又は他の方法は、CXCR5の他の特性、例えば、そのレベル、細胞局在、mRNAレベル、その変異などを測定するために使用できる。
【0191】
上記方法は、例えば、がんであるか又はがんが疑われる対象者において、当該患者で測定したCXCR5レベルが正常参照対象者又は標準と比較して、癌を診断するために使用できる。関心ある分析は、分化したリンパ系組織の発生と合わせて、B細胞浸潤及び濃度によって特徴付けられる関節炎又は自己免疫疾患を診断するために使用することができる。
【0192】
本発明は、研究又は診断応用に用いられる更に標識されたモノクローナル抗体、ヒト化
抗体及びそのエピトープ結合フラグメントを更に提供する。幾つかの実施態様では、標識は、放射性標識、蛍光体、発色団、造影剤又は金属イオンである。
当該標識抗体又はそのエピトープ結合フラグメントが、癌、関節炎、自己免疫疾患又は他のCXCR5疾患を有することが疑われる対象者に投与される、診断の方法も提供され、そして対象者の体内の標識の分布が測定され又はモニタリングされる。
【0193】
本発明の抗体及びそのフラグメントは、親和性精製剤として使用してもよい。その工程では、抗体は、当技術分野で公知の方法を用いてデキストラン又はアガロース樹脂又は濾紙などの固相に固定化される。固定化抗体は、CXCR5を含有するサンプル又は精製すべき同じものを担持する細胞と接触され、そしてその後支持体は、関心ある固定化抗体に結合している精製すべきCXCR5又は細胞を除くサンプル中のすべての物質を実質的に除去する好適な溶媒で洗浄される。最後に、支持体は、CXCR5又は細胞を関心ある抗体から遊離するグリシン緩衝液、pH5.0などの別の好適な溶媒で洗浄される。
【0194】
診断的適用では、関心ある抗体は、一般的に検出可能な部分で標識し得る。一般的に以下のカテゴリーに分類することができる多数の標識が利用可能である:(a)、
36S、
14C、
125I、
3H及び
131Iなどのラジオアイソトープ(抗体は、例えば、「免疫学における最新のプロトコール」(Current Protocols in Immunology, vol. 12), Coligen et al., ed., Wiley-Interscience, New York (1991)に記載の技術を用いてラジオアイソトープで標識され、そして放射能はシンチレーション計数を用いて測定し得る);(b)希土類キレート(ユーロピウムキレート)、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリスリン及びテキサスレッドなどの蛍光標識、蛍光標識は、上記の「免疫学における最新のプロトコール」(Current Protocols in
Immunology)に開示の技術を用いて抗体に結合することができ、例えばそこでは蛍光は蛍光光度計を用いて定量化できる;(c)種々の酵素基質標識が利用可能であり(米国特許第4275149号が概説を提示している)、酵素は、一般的に種々の技術を用いて測定し得る発色基質の化学変化を触媒し、例えば酵素は、分光光度法で測定し得る基質中の色変化を触媒することができ、又は酵素は基質の蛍光又は化学発光を変化させることができる。例えば、照度計を用いて蛍光の変化を定量化する技術は公知であり、又は標識は蛍光アクセプターにエネルギー供与する。酵素標識の例は、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4737456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRPO)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環オキシダーゼ(ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼなど)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどを含む。抗体への酵素結合技術は、O'Sullivan et al., Meth Enz, ed. Langone & Van Vunakis, Academic Press, New York, 73 (1981)に記載されている。
【0195】
このような標識が使用される場合、以下の様な好適な基質、例えば:(i)セイヨウワサビペルオキシダーゼには基質としての水素ペルオキシダーゼ、ここで、水素ペルオキシダーゼは色素前駆体(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)又は3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化する;(ii)アルカリホスファターゼ(AP)には発色基質としてのp−ニトロフェニルホスフェート;及び(iii)β−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)には発色基質(例えば、p−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼ)又は4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシダーゼなどの蛍光基質が利用できる。
【0196】
他の酵素−基質の組み合わせが当業者に利用可能である。一般概説としては、米国特許
第4275149号及び同第4318980号を参照されたい。
【0197】
時として、標識は間接的に抗体と結合される。例えば、抗体はビオチンと結合でき、そして上記のいずれのレポーターもアビジンと結合でき、又は逆もまた同様である。ビオチンはアビジンに選択的に結合し、そしてそれ故標識は間接的に抗体と結合できる。或いは、標識の間接的結合を達成するために、抗体は小型ハプテン(例えば、ジゴキシン)と結合され、そして上述の異なるタイプの標識又はレポーターの1つは抗ジゴキシン抗体と結合される。従って、標識の抗体又は突然変異タンパク質との間接結合は、二次抗体を用いて達成することができる。
【0198】
本発明の別の実施態様では、抗体は標識される必要はなく、そしてその存在はその抗体、別な形態の二次抗体に結合する標識化抗体を用いて検出し得る。
本発明の抗体は、競合結合アッセイ、直接及び間接サンドイッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイなどいずれの公知のアッセイ方法において用いることができる。Zola, 「モノクローナル抗体:技術の手引き」(Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques) (CRC Press, Inc. 1987)。
【0199】
競合結合分析は、限定量の抗体と結合するために試験サンプルと競合する標識化標準の能力に依存する。試験サンプル中の抗原の量は、抗体に結合することになる標準の量に反比例する。結合することになる標準の量の測定を容易にするために、抗体は一般的に競合の前又は後に不溶化される。結果として、抗体に結合される標準及び試験サンプルは、結合しないで残る標準及び試験サンプルから分離することができ、好都合である。
【0200】
サンドイッチアッセイは2つの抗体の使用を含み、各々は検出すべき標的の異なる免疫原部分、決定因子又はエピトープに結合できる。サンドイッチアッセイでは、分析しようとする試験サンプルは、固体支持体に直接的又は間接的に固定化される一次抗体により結合され、そしてその後直接的又は間接的に標識化された二次抗体が結合した試験サンプルに結合し、その結果不溶性の3部分複合体を形成する(例えば、米国特許第4376110号を参照されたい)。二次抗体は、それ自体検出可能な部分で標識化し(直接サンドイッチアッセイ)、又は抗免疫グロブリン抗体若しくは検出可能な部分で標識化される(間接サンドイッチアッセイ)他の好適な結合対のメンバー(例えば、抗体/抗原、受容体/リガンド、酵素/基質)を用いて測定してもよい。例えば、サンドイッチアッセイの1つのタイプはELISAアッセイで、その場合に検出可能部分は酵素である。
免疫組織化学のためには、細胞又は組織サンプルは新しいか若しくは凍結され、又はパラフィン包埋されてもよく、そして、例えば、ホルマリンなどの防腐剤で固定し得る。
【0201】
抗体は、またインビボ診断アッセイのために使用してもよい。一般的に、抗体変異体は、CXCR5を発現する部位が免疫シンチグラフィーを用いて局在化されるように放射性ヌクレオチド(
111In、
99Tc、
14C、
131I、
3H、
32P又は
35S)で標識化される。
【0202】
本発明は、また、例えば抗体、そのフラグメント、ホモログ、その誘導体など、例えば標識化又は細胞毒性複合体、及び特定の細胞型を殺細胞するための抗体、複合体の使用説明書などを含むキットをも包含する。説明書は、抗体、複合体などをインビトロ、インビボ又はエキソビボで使用するための指示書を含んでいてもよい。抗体は液体形態にあっても、又は一般的には凍結乾燥した固体としてあってもよい。キットは、使用目的に合わせて、緩衝液、再構成溶液及び他の必要成分などの適切な他の試薬を含み得る。又は診断アッセイを行うための治療上の使用のためなど、その使用のための説明書と所定量での試薬との包装組み合わせが考えられる。酵素などによって抗体を標識化する場合、キットは酵素によって必要とされる基質及びコファクター(例えば、検出可能な発色団又は蛍光団を与える基質前駆体)を含むことができる。加えて、安定剤、緩衝液(例えば、ブロック緩
衝液又は溶解緩衝液)などの他の添加剤が含まれてもよい。種々の試薬の相対量は、使用者自由度、スペースの節約、試薬節約などをもたらす試薬溶液の濃縮物で提供するために変動し得る。試薬は、賦形剤を含む通常は凍結され、乾燥粉末として供給されるが、これは溶解に際して適切な濃度を有する試薬溶液を与える。
【0203】
本発明の抗体は哺乳動物を処置するのに使用し得る。1つの実施態様では、関心ある抗体又はその等価物は、例えば、前臨床データを取得する目的で非ヒト哺乳動物に投与される。処置される典型的な非ヒト哺乳動物は、前臨床研究が行なわれる非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、齧歯類及び他の哺乳動物を含む。このような哺乳動物により、抗体で治療すべき疾患の動物モデルを樹立することができ、又は関心ある抗体の毒性を研究するために使用し得る。それぞれのそれら実施態様では、投与量増加検討は哺乳動物で行なわれ得る。
【0204】
抗体に結合した治療用部分などの二次成分を有する又は有しない抗体は、単独で又は細胞毒性因子との組み合わせで投与される治療薬として使用できる。本発明は、CXCR5仲介疾患、障害又は病態を治療するために、本発明の抗体を動物、哺乳動物、又はヒトに投与することを含む、抗体に基づく治療に関する。動物又は対象者は、特定の障害、例えばCXCR5に関連する障害と診断されている哺乳動物など、特定の治療を必要としている哺乳動物であってよい。CXCR5に対する抗体は、例えば、関節炎、一般的には炎症性疾患、移植拒絶、がん及び自己免疫疾患の治療又は予防に有用である。例えば、本発明の抗CXCR5抗体、又は複数の本抗体若しくはその等価物のカクテル、又は種々の起源の他の抗体との組み合わせで治療的許容量を投与することにより、疾患徴候は治療した哺乳動物、特にヒトにおいて軽減又は予防され得る。
【0205】
本発明の治療用化合物は、本発明の抗体(本明細書に記載のフラグメント、アナログ、等価物及びその誘導体)及び本明細書に記載の本発明の抗体をコードする核酸(本明細書に記載のフラグメント、アナログ及びその誘導体)、及び本明細書に記載の抗イディオタイプ抗体を含むが、これらに限定されない。本発明の抗体は、本明細書に記載の疾患、障害、又は病態のいずれか1つ又はそれ以上を含む、CXCR5の異常発現及び/又は活性に関連する疾患、障害又は病態を治療、抑制又は予防するために使用することができるが、これらに限定されない。CXCR5の異常発現及び/又は活性に関連する疾患、障害又は病態の治療及び/又は予防は、それらの疾患、障害又は病態に関連する少なくとも1つの症状を緩和することを含むが、これに限定されない。本発明の抗体は、当技術分野で公知の又は本明細書に記載の薬学的に許容される組成物で与えられてもよい。「生理学的許容性」、「薬学的許容性」などの用語は、連邦又は州政府の規制当局により認可されていること、又は動物及び特にヒトに使用するための米国薬局方又は他の一般承認薬局方に記載されていることを意味する。
【0206】
抗CXCR5抗体は、任意の許容される様式で哺乳動物に投与することができる。導入の方法は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、硬膜外、吸入及び経口経路を含むが、これらに限定されず、そして免疫抑制療法で必要ならば病巣内投与を含む。非経口注入は、筋肉内、皮内、静脈内、動脈内又は腹腔内投与を含む。抗体又は組成物は、任意の都合のよい経路により、例えば注入又はボーラス注射により、上皮又は皮膚粘膜内面(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を通した吸収により投与してもよく、そして他の生物活性剤と併せて投与してもよい。投与は全身的又は局所的であり得る。加えて、本発明の治療抗体又は組成物は、脳室内及び硬膜下腔内の注射を含む任意の好適な経路により中枢神経系内に導入することが望ましい場合があり;脳室内注射は、例えば、Ommayaリザーバなどのリザーバに取り付けた脳室内カテーテルにより容易にし得る。加えて、抗体はパルス注入により、特に抗体の投与量を漸減させて好適に投与し得る。好ましくは、投薬は注射、特に静脈内又は皮下注射により行なわれるが、一部は投与が短期か又は長期かによって決まる。
【0207】
種々の他のデリバリーシステムが公知であり、そして例えばリポソームへのカプセル化、微粒子、マイクロカプセル(Langer, Science 249:1527 (1990); Treat et al., 「感染性疾患及び癌の治療におけるリポソーム」(Liposomes in the Therapy of Infectious
Disease and Cancer); Lopez Berestein et al., eds., p. 353-365 (1989); 及びLopez-Berestein, ibid., p. 317-327を参照されたい)、及び化合物を発現することができる組み換え細胞;受容体仲介エンドサイトーシス(例えば、Wu et al., J Biol Chem 262:4429 (1987)を参照されたい);レトロウイルス又は他のベクターなどの一部として核酸の構築を含み、本発明の抗体を投与するのに使用できる。
【0208】
活性成分は、また、例えばコアセルベーション技法、又は界面重合により調製されたミクロカプセル、例えばヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−ミクロカプセル、及びポリ(メチルメタクリレート)ミクロカプセル(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)中に、コロイド状ドラッグ・デリバリー・システムで、又はマクロエマルジョンで取り込まれる(entrapped)。その様な技法は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, A. Osal, Ed. (1980) に開示されている。
【0209】
肺内投与は、また、例えば吸入器又は噴霧器の使用により、及びエアゾール化剤を用いた製剤により用いることができる。抗体は、また、患者の肺内へ、ドライパウダー組成物の形態で投与してもよい(米国特許第6514496号を参照)。
【0210】
特定の実施態様において、本発明の治療抗体又は組成物を、処置を必要とする局所領域へ投与することは望ましい場合があり;例えば、限定するものではないが、注射により、カテーテルを用いて、坐薬を用いて、又はインプラントを用いての局所注入、局所投与により実施でき、ここで、該インプラントは、シラスティック(silastic)膜などの膜、又は繊維を含む多孔性、非多孔性又はゼラチン状の物質である。好ましくは、本発明の抗体を投与する場合、タンパク質が吸収又は吸着しない物質を使用するよう注意を払うことである。
【0211】
また、別の実施態様において、抗体は、制御された放出システムで送達可能である。一実施態様においては、ポンプを用いることができる(Langer, Science 249:1527 (1990);
Sefton, CRC Crit Ref Biomed Eng 14:201 (1987); Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980); 及びSaudek et al., N Engl J Med 321:574 (1989)を参照)。別の実施態様においては、高分子物質を用いることができる(「制御放出の医学的応用」(Medical Applications of Controlled Release), Langer et al., eds., CRC Press (1974); 「制御されたバイオアベイラビリティー、薬物製品設計及び性能」(Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance), Smolen et al., eds., Wiley (1984); Ranger et al., J Macromol Sci Rev Macromol Chem 23:61 (1983)を参照、また、Levy et al., Science 228:190 (1985); During et al., Ann Neurol 25:351 (1989); 及び Howard
et al., J Neurosurg 71:105 (1989)も参照)。更に別の実施態様において、制御放出システムは、治療標的の近傍に置くことが可能である。
【0212】
ポリペプチド又は抗体の治療製剤は、所望の純度を有するポリペプチドを、当該分野で典型的に用いられる任意選択の「薬学的に許容される」担体、希釈剤、賦形剤又は安定剤、即ち緩衝剤、安定剤、保存剤、等張化剤、ノニオン性界面活性剤、酸化防止剤、及びその他の多岐に亘る添加剤と混合することにより、凍結乾燥製剤又は水性液剤として保存用に調製してもよい(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th ed., Osol, ed. (1980)を参照)。その様な添加剤は、一般的には、使用される投与量及び濃度では、その受容者に対しては非毒性であり、それ故、賦形剤、希釈剤、担体などは薬学的に許容される。
【0213】
「単離された」又は「精製された」抗体は、細胞物質又は細胞若しくは組織源又はタンパク質が誘導される培地からの汚染するその他のタンパク質を実質的に含まず、又は化学合成される場合、化学前駆体若しくはその他の化学物質も実質的に含まない。語句「実質的に細胞物質を含まない」とは、ポリペプチド/タンパク質が単離される又は組み換え技術によって生産される細胞の細胞成分から、ポリペプチド/タンパク質が分離される抗体の製剤を含む。従って、実質的に細胞物質を含まない抗体は、汚染タンパク質の含量が、30%、20%、10%、5%、2.5%又は1%(質量%)未満である抗体の製剤である。抗体が組み換え技術で生産される場合、実質的に培地を含まないのが好ましく、即ち、培地は、タンパク質製剤の体積の約20%、10%、5%、2.5%又は1%未満を表す。抗体が化学合成で製造される場合、それには実質的に化学的前駆体、又はその他の化学物質及び試薬を含まないのが好ましく、即ち関心ある抗体は、タンパク質の合成に関与した化学前駆体又はその他の化学物質から分離される。従って、そのような抗体の製剤は、約30%、20%、10%、5%又は1%(乾燥質量%)未満の化学前駆体又は関心ある抗体以外の化合物を有する。本発明の好ましい実施態様においては、抗体は単離され、又は精製される。
【0214】
本明細書で用いられる、語句「検出できないほど低いレベルの凝集」とは、例えば、サイズ排除高速クロマトグラフィー(HPSEC)で測定して、タンパク質の質量で、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、そしてしばしば0.5%以下の凝集を含むサンプルを意味する。
【0215】
本明細書で用いられる、用語「検出できないほど低いレベルの断片化」とは、例えば、HPSECにより測定して、単一ピークで、又は例えば還元キャピラリーゲル電気泳動法(rCGE)で測定して、2ピーク(重鎖及び軽鎖)で、総タンパク質の80%、85%、90%、95%、98%又は99%以上を含み、総タンパク質のそれぞれ5%を超える、4%を超える、3%を超える、2%を超える、1%を超える又は0.5%を超える量を有するその他の単一ピークを含まないサンプルを意味する。本明細書で用いられるrCGEは、抗体又は抗体型又はそれから誘導される分子中におけるジスルフィド結合を還元するのに十分な還元条件下での、キャピラリーゲル電気泳動法を意味する。
【0216】
CXCR5抗体又はその結合断片を含む液体製剤との関連で、本明細書で用いられる用語「安定性」及び「安定な」は、所定の製造、調製、移送及び保存条件下での、熱的及び化学的アンフォールディング、凝集、分解又は断片化に対する、製剤における抗体又はその抗原結合フラグメントの抵抗性を意味する。本発明の「安定な」製剤は、所定の製造、調製、移送及び保存条件下で、80%、85%、90%、95%、98%、99%又は99.5%以上の生物学的活性を保持する。前記抗体製剤の安定性は、rCGE、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドのゲル電気泳動法(SDS−PAGE)及びHPSECを含むがこれらに限定されない、当業者に公知の方法によって、凝集、分解又は断片化の程度で、標準サンプルと比較して評価することができる。
【0217】
用語「担体」は、治療薬が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルを意味する。その様な生理学的担体は、ピーナツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、植物、又は合成起源を含む、水及びオイルなどの滅菌液体であり得る。水は、薬剤組成物が静脈内に投与される場合、好適な担体である。生理食塩水の液剤、及びデキストローズ及びグリセリン水性液剤は、また、液状担体、特に注射可能な液剤として使用できる。好適な薬学的賦形剤としては、澱粉、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセリンモノステアラート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセリン、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる。必要に応じて、組成物は、また、マイナーな
量の湿潤剤又は乳化剤又はpH緩衝剤を含んでもよい。組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出製剤、デポー剤などの形態をとることができる。組成物は、坐剤として、トリグリセリドなどの従来の結合剤及び担体を用いて製剤化することができる。経口製剤は、マンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの医薬グレードの標準的な担体を含む。好適な担体の例としては、“Remington's Pharmaceutical Sciences,”Martinに記載されている。その様な組成物は、有効量の抗体を、好ましくは精製形態で、患者に適切な投与形態を提供するために、好適な量の担体と一緒に含む。当技術分野で公知の通り、製剤はその投与様式に適するよう構築される。
【0218】
緩衝剤は、生理学的条件に近似する領域にpHを維持することに役立つ。緩衝剤は、好ましくは、約2mM〜約50mMの範囲の濃度で存在する。本発明で使用するのに好適な緩衝剤としては、クエン酸緩衝剤(例えば、クエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトリウムの混合物、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合物など)、コハク酸緩衝剤(例えば、コハク酸−コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸−水酸化ナトリウム混合物、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸緩衝剤(例えば、酒石酸−酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合物など)、フマル酸緩衝剤(例えば、フマル酸−フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混合物など)、グルコン酸緩衝剤(例えば、グルコン酸−グルコン酸ナトリウム混合物、グルコン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グルコン酸カリウム混合物など)、シュウ酸緩衝剤(例えば、シュウ酸−シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸−水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸−シュウ酸カリウム混合物など)、乳酸緩衝剤(例えば、乳酸−乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化ナトリウム混合物、乳酸−乳酸カリウム混合物など)及び酢酸緩衝剤(例えば、酢酸−酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化ナトリウム混合物など)の様な有機及び無機酸、及びその塩が挙げられる。リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、Tris、HEPESなどのトリメチルアミン塩及びその他の公知の緩衝剤を用いることができる。
【0219】
保存剤は微生物の増殖を抑制するために加えることができ、そして0.2〜1%(質量/体積)の範囲内の量を加えることができる。本発明において使用するための好適な保存剤としては、フェノール、ベンジルアルコール、m−クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ベンザルコニウム(benzyaconium)ハライド(例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド)、メキサメトニウムクロリド、メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レソルシノール、シクロヘキサノール及び3−ペンタノールが挙げられる。
【0220】
等張化剤は、本発明の液体組成物の生理学的等張性を確保するために存在し、そして多価糖アルコール、好ましくはグリセリン、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールなどの三価又はそれ以上の糖アルコールを含む。多価アルコールは、その他の成分の相対量を考慮して、約0.1〜約25質量%、好ましくは1〜5質量%存在してもよい。
【0221】
安定剤は、増量剤から、治療剤を可溶化し、又は変性若しくは容器壁への接着を防ぐために役立つ添加剤に到る、機能範囲となり得る、広いカテゴリーの賦形剤を意味する。典型的な安定剤としては、多価糖アルコール;アルギニン、リシン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニンなどのアミノ酸;ラクトース、トレハロース、スタキオース、アラビトール、エリトリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、myo−イノシトール(myoinisitol)、ガラクチトール、グリセリンなどで
、イノシトールなどのシクリトールを含む有機糖類又は糖アルコール類;ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセリン、α−モノチオグリコール及びチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤;低分子量ポリペプチド(即ち、<10残基);ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;糖類:キシロース、マンノース、フルクトース、グルコースなどの単糖類;ラクトース、マルトース及びスクロースなどの二糖類;ラフィノースなどの三糖類;デキストランなどの多糖類などが挙げられる。安定剤は、0.1〜10,000(活性タンパク質の部分当りの質量比)の範囲内で存在する。
【0222】
追加の種々の賦形剤としては、増量剤(例えば、澱粉)、キレート化剤(例えば、EDTA)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メチオニン又はビタミンE)及び共溶媒(cosolvents)が挙げられる。
【0223】
本明細書における製剤は、また、処置されている特定の適応症用として、必要に応じて、1種より多い活性化合物、好ましくは、互いに逆影響を与えない補完的活性を有する物質を含んでもよい。例えば、免疫抑制剤を更に提供することは望ましい。その様な分子は、意図した目的に対して有効な量の組合せで、好適に存在する。
【0224】
本明細書で用いられる用語「界面活性剤」は、両親媒性構造を有する有機物質、即ち、相反する溶解性の傾向を有する複数の基、典型的には、油溶性炭化水素鎖及び水溶性のイオン性の基により構成される。界面活性剤は、表面活性部分の電荷に依存して、アニオン性、カチオン性、及びノニオン性界面活性剤に分類される。界面活性剤は、しばしば、種々の薬剤組成物及び生物学的物質の製剤のための、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤及び分散剤として用いられる。
【0225】
ノニオン性界面活性剤又は洗浄剤(また、「湿潤剤」としても知られている)は、治療剤の可溶化を促進するため、及び撹拌誘導による凝集に対して治療タンパク質を保護するために加えてもよく、それは、また、タンパク質を変性させずに、製剤をせん断表面応力下に暴露することを可能とする。好適なノニオン性界面活性剤としては、ポリソルベート(20、80など)、ポリオキサマー(184、188など)、プルロニック(登録商標)ポリオール、及びポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN−20(登録商標)、TWEEN−80(登録商標)など)が挙げられる。ノニオン性界面活性剤は、約0.05〜約1.0mg/ml、好ましくは約0.07〜約0.2mg/mlの範囲内に存在してもよい。
【0226】
本明細書で用いられる用語「無機塩」は、炭素を含まず、酸性水素又は酸の一部又は全部を、金属又は金属の様に機能する基により置換した任意の化合物を意味し、そして、しばしば、薬剤組成物及び生物学的物質の製剤中における張度調整化合物として用いられる。最も一般的な無機塩としては、NaCl、KCl、NaH
2PO
4などがある。
【0227】
本発明は、約5.0〜約7.0、又は約5.5〜約6.5、又は約5.8〜約6.2、又は約6.0のpHを有する抗CXCR5結合化合物、又はそのフラグメントの液体製剤を提供する。
【0228】
本発明は、医師のオフィス、又は実験室内で見られる、市販の冷蔵庫及び冷凍庫内での温度、例えば約−20℃〜約5℃の温度で安定な液体製剤を包含し、ここで、該安定性は、例えば、サイズ排除高速クロマトグラフィー(HPSEC)により、約60日間、約120日間、約180日間、約1年間、約2年間又はそれ以上の期間の保存目的のため評価される。本発明の液体製剤は、また、例えばHSPECによって評価して、室温で、使用
前、1時間、2時間又は約3時間など少なくとも数時間安定性を示す。
【0229】
用語「小分子」及びその類似用語は、ペプチド、ペプチド擬似体、アミノ酸、アミノ酸ホモログ、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドホモログ、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、分子量が10,000g/モル以下である有機又は無機化合物(即ち、ヘテロ有機化合物及び/又は有機金属(ganometallic)化合物を含む)、分子量が5,000g/モル以下である有機又は無機化合物、分子量が1,000g/モルである有機又は無機化合物、分子量が500g/モル以下である有機又は無機化合物、及びそれらの化合物の塩、エステル及び薬学的に許容される形態が挙げられるが、それらに限定されない。
【0230】
従って、がんの症例では、例えば本発明の抗体は、単独で、又は従来の化学療法剤(パクリタキセル、カルボプラチン、シスプラチン及びドキソルビシン)、抗EGFR薬(ゲフィチニブ、エルロチニブ及びセツキシマブ)、抗血管新生薬(ベバシズマブ及びスニチニブ)、並びにインターフェロンα及びサリドマイドなどの免疫調節薬を含む、他のタイプのがん治療剤との組み合わせで投与し得る。
【0231】
別の実施態様では、関節リウマチ(RA)などリウマチ性疾患の症例では、関心あるCXCR5結合分子を含む組み合わせ療法が使用できる。例えば、ヒト化CXCR5抗体は、例えばメトトレキセート、及びレフルノミド(Mader & Keystone, J Rheum 34 Supp(16-24) 2007, Gaffo et al., Am J Health Syst Pharm 63:2451-2465, 2006)などのピリジン合成阻害剤を含む、疾患修飾性抗リウマチ薬などの小分子と共に投与することができるが、それに限定されない。
【0232】
関心ある種々の形態のCXCR5結合分子は、非B細胞減少性であり得ることから、本分子は、相加的又は相乗的エンドポイントをもたらす重複作用メカニズムを有する他の薬剤と組み合わせることができる。従って、例えば、第2薬物は、T細胞軸などにおいてサイトカインのレベルで作用するものであってよい。
【0233】
本明細書で使用される用語の「一つの治療薬」及び「複数の治療薬」は、異常CXCR5及び/又はCXCL13代謝及び活性に関連する疾患、障害、疾病などの治療、管理又は軽減に使用し得る任意の薬剤を指す。それらは異常B細胞レベル又はB細胞活性で現われることがあり得る。同様に異常CXCR5及び/又はCXCL13代謝及び活性に関連する障害などの治療において、薬理効果を有する公知化合物も含まれる。
【0234】
加えて、本発明の抗体は、異種ポリペプチド、薬物、放射性ヌクレオチド又は毒素などの種々のエフェクター分子に結合することができ、例えば、国際公開第92/08495号;国際公開第91/14438号;国際公開第89/12624号;米国特許第5314995号;及び欧州特許出願公開第396387号を参照されたい。抗体又はそのフラグメントは、細胞毒素(例えば、静菌又は殺細胞薬)などの治療部分、治療薬又は放射活性金属イオン(例えば、
213Biなどの、例えばαエミッター)に結合し得る。細胞毒素又は細胞毒性薬は、細胞にとって有害な任意の薬剤を含む。その例として、パクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロミド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン(anthracindione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール並びにプロマイシン及びそのアナログ又はホモログが含まれる。治療薬としては、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシル及びダカルバジン)、アルキル化薬(例えば、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シク
ロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ダウノマイシン及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ミトラマイシン及びアントラマイシン(AMC))、及び抗マイトジェン薬(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0235】
このような治療薬部分を抗体に結合する技術は周知であり、例えば、Arnon et al., 「モノクローナル抗体及びがん治療」(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy), Reisfeld et al. (eds.), p. 243-56, Alan R. Liss (1985); Hellstrom et al., 「制御ドラッグデリバリー」(Controlled Drug Delivery), 2nd ed., Robinson et al., eds., p. 623-53, Marcel Dekker (1987); Thorpe, 「モノクローナル抗体'84: 生物学的及び臨床応用」(Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications), Pinchera et al., eds., p. 475-506 (1985); 「がんの検出及び治療のためのモノクローナル抗体」(Monoclonal Antibodies For Cancer Detection and Therapy), Baldwin et al., eds., p. 303-16, Academic Press (1985);及びThorpe, et al., Immunol Rev 62:119 (1982)を参照されたい。或いは、抗体は、二機能性抗体などの抗体ヘテロ接合体を形成させるために二次抗体に結合することができ、例えば米国特許第4676980号を参照されたい。
【0236】
本発明の複合体は、所定の生物学的反応を修飾するために使用することができ、その治療薬又は薬物部分は古典的な化学治療薬に限定されると解釈すべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質又はポリペプチドであってよい。このようなタンパク質としては、例えばアブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、又はジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲン活性化因子などのタンパク質、アポトーシス剤、例えばTNF−α、TNF−β、AIMI(国際公開第97/33899号)、AIMII(国際公開第97/34911号)、Fasリガンド(Takahashi et al.,
Int Immunol, 6:1567 (1994))、VEGF(国際公開第99/23105号);血栓薬;抗血管新生薬、例えば、アンギオスタチン又はエンドスタチン;又は、例えばリンホカイン、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)又は他の増殖因子などの生物学的応答調節薬を含むことができる。
【0237】
インビボ投与で使用される製剤は滅菌しなければならない。それは、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過により達成できる。例えば、本発明の液剤は、0.2μm又は0.22μmフィルターを用いて、濾過により滅菌し得る。
【0238】
徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の好適な例は、抗体を含有する固体疎水性重合体の半透性マトリックスを含み、そのマトリックスは成形品の形態、例えばフィルム又はマトリックスである。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L−グルタミン酸及びエチル−L−グルタメートの共重合体、非分解性エチレン−ビニルアセテート、分解性乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸−グリコール酸共重合体で構成される注射用マイクロスフェアなど)及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。エチレンビニルアセテート及び乳酸−グリコール酸などの重合体は100日を超えて分子の放出を可能にする一方で、特定のヒドロゲルは、短時間でタンパク質を放出する。合理的な方策が、関与メカニズムに応じて安定化のために考案し得る。例えば、凝集メカニズムがチオ−ジスルフィド交換を通して分子間S
−S結合形成であることが発見されれば、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、含水率を調節し、適切な添加剤を使用し、アミノ酸置換及び特異的重合体マトリックス組成物を開発することにより達成し得る。
【0239】
抗体又はその変異体の組成物は、良質の医療のための原則(good medical practice)と整合性を保つ形で製剤化され、投薬されそして投与され得る。これに関連した検討の要因としては、治療されている特定の障害、処置されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床病態、障害の原因、薬剤のデリバリー部位、投与方法、投与計画、及び医師に公知の他の要因が含まれる。投与すべき抗体又は変異体の「治療的有効量」は、このような考察によって決定され、そしてCXCR5疾患、病態又は障害を予防し、軽減し又は治療するために必要な最小量であり得る。
【0240】
抗体、又はその変異体は、場合により問題の障害を予防又は治療するために、現在使用されている1つ又はそれ以上の薬剤で製剤化される。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害又は治療のタイプ及び上述の他の要因によって決まる。これらは一般的に、前項で使用した同じ投与量及び投与経路で、又は前項で用いた投与量の約1から99%で使用される。
【0241】
本明細書に記載の用語「有効量」は、CXCR5疾患の重症度及び/又は期間を低減し、その1つ又はそれ以上の症状を軽減し、CXCR5疾患の進行を抑制し若しくはCXCR5疾患の退行をもたらすのに十分な、又はCXCR5疾患若しくはその1つ又はそれ以上の症状の発生、再発、発症、又は進行の抑制をもたらし、又はCXCR5疾患の治療に有用な別の治療法(例えば、別の治療薬)の予防的及び/又は治療的効果を増強し若しくは改善するのに十分な治療量を意味する。例えば、関心ある治療法は、ベースライン又は正常レベルに基づくB細胞レベルの上昇を、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%だけ低減し得る。別の実施態様では、有効量の治療薬又は予防薬は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%だけ関節炎又は移植拒絶などのCXCR5疾患の症状を低減する。同様に用語「治療的有効量」も、本明細書では同等の意味で使用される。
【0242】
特定の疾患又は病態に対する使用又は治療において有効と考えられる治療用ポリペプチド、抗体又はそのフラグメントの量は、疾患又は病態の性質に依存し、そして標準的な臨床的技術によって決定し得る。可能であれば、本発明の用量反応曲線及び薬剤組成物は、先ずインビトロで誘導され得る。好適な動物モデル系が利用可能であるならば、この場合も用量反応曲線が得られ、そして当技術分野で公知の好適なヒト投薬実施方法を外挿するために使用することができる。しかしながら、当技術分野の一般的な知識に基づき、炎症作用の低減を促進するのに有効な薬剤組成物は、例えば、約5〜20ng/ml、そして好ましくは約10〜20ng/mlの局所治療薬濃度を与えることができる。本発明の更なる特定の実施態様では、B細胞依存性自己免疫症状又は移植拒絶に関与する細胞の増殖又は生存を軽減するのに有効な薬剤組成物は、約10ng/ml〜100ng/mlの局所治療薬濃度を与えることができる。
【0243】
好ましい実施態様では、治療用ポリペプチド、抗体又はそのフラグメントの水性液剤は、皮下注射により投与し得る。各用量は約0.5mgから約50mg/kg体重、又はより好ましくは約3mgから約30mg/kg体重の範囲であってよい。投与量は、特定の疾患、患者集団、投与様式など、当技術分野で公知の製薬学的方法を行って、経験的に確認し得る。
【0244】
皮下投与の投与スケジュールは、疾患のタイプ、疾患重症度及び治療薬に対する対象者(subject)の感受性を含み、多くの臨床学的因子に依存して、週1回から連日まで変動してもよい。
【0245】
本発明は、抗体又はそのCXCR5結合フラグメントの液剤を調製する方法を提供し、該方法は、例えば適切な分子量(mw)カットオフ(例えば、そのF(ab′)
2フラグメントでは30K
Dカットオフ、及びFabフラグメントでは10K
Dカットオフ)の半透膜を用いて、そして場合により、同じ膜を用いて濃縮抗体分画を製剤緩衝液中に透析濾過して、約15mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、約40mg/ml、約50mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約200mg/ml、約250mg/ml、約300mg/mlの最終濃度まで精製抗体の分画を濃縮することを含む。
【0246】
加えて、本発明は、インビボにおいて半減期を向上した関心ある生産物のK
D安定性などの安定な液体製剤をも包含する。このように、関心ある抗体は、対象(subject)、好ましくはヒトにおいて、3日より大きい、7日より大きい、10日より大きい、15日より大きい、25日より大きい、30日より大きい、35日より大きい、40日より大きい、45日より大きい、2か月より大きい、3か月より大きい、4か月より大きい、5か月より大きい半減期を有する。
【0247】
インビボでの抗体の血清循環を延長させるために、種々の技術が使用し得る。例えば、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などの不活性高分子は、多機能性リンカーの存在又は不存在下に、抗体のN−末端若しくはC−末端へPEGの部位特異的結合を通して、又はリジン残基に存在するεアミノ基を経由して抗体に結合し得る。生物学的活性の最小ロスにつながる直鎖状又は分枝鎖状重合体誘導体化が使用できる。結合の程度は、抗体に対するPEG分子の適切な結合を確保するために、SDS−PAGE及び質量分析により厳密にモニターし得る。未反応PEGは、サイズ排除クロマトグラフィー又はイオン交換クロマトグラフィーによって抗体−PEG複合体から分離することができる。PEG誘導体化抗体は、当業者に周知の方法、例えば、本明細書に記載の免疫アッセイにより、結合活性及びインビボ有効性を試験することができる。
【0248】
インビボで向上した半減期を有する抗体も、1つ又はそれ以上のアミノ酸修飾(例えば、置換、挿入又は欠失)を導入することにより、IgG定常ドメイン、又はそのFcR結合フラグメント(Fc又はヒンジFcドメインフラグメントなど)中に作成し得るが、例えば国際公開第98/23289号;国際公開第97/34631号;及び米国特許第6277375号を参照されたい。
【0249】
更に抗体は、抗体をインビボでより安定にし、又はインビボでより長い半減期を持たせるためにアルブミンに結合させ得る。その技術は当技術分野で公知であり、例えば、国際公開第93/15199号;国際公開第93/15200号;国際公開第01/77137号;及び欧州特許出願公開第413622号を参照されたい。抗体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/封鎖基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への連結などによって修飾することもできる。
【0250】
1つの実施態様では、組成物は、人間に対する静脈内投与に適合した薬剤組成物として常法に従って製剤化される。一般的には、静脈内投与用組成物は、無菌等張水性緩衝液である。必要に応じて、組成物は、可溶化剤及び注射部位の疼痛を緩和するリドカイン、又は他の「カイン系」麻酔薬などの局所麻酔薬を含んでもよい。一般的には、成分は、例えば活性剤の量を示すアンプル又は小袋などの密封容器中の凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として、単位投薬形態において別々に又は合わせて混合して供給される。組成物を注入によって投与する場合には、無菌の医薬品グレードの水又は生理食塩水を含有する注入瓶を用いて調剤し得る。組成物を注射によって投与する場合には、注射用滅菌水又は生理食塩水のアンプルが、成分を投与前に混合できるように、例えば、キットで供給し得る。
【0251】
本発明は、本発明の液剤が、関心ある生産物の量を示すアンプル又は薬袋(sachet)などの密閉容器に包装されているものを提供する。本発明の液剤は、抗体又は抗体フラグメントの量及び濃度を示す密封容器に入れてもよい。本発明の液剤は、少なくとも15mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、80mg/ml、90mg/ml、100mg/ml、150mg/ml、200mg/ml、250mg/ml、又は300mg/mlのCXCR5抗体を、例えば、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml、15ml又は20mlの量にして密封容器で供給し得る。
【0252】
上述の障害の治療に有用な物質を含む製品が提供される。その製品は容器及びラベルを含む。好適な容器は、例えば、瓶、バイアル、シリンジ及び試験管を含む。容器はCXCR5病態又は疾患の診断、予防又は治療に有効な組成物を入れることができ、そして無菌アクセスポイントを有してもよい(例えば、容器は静脈注射液バッグ又は皮下注射針により穿刺できる栓を有するバイアルであってもよい)。容器上の又はそれに付随したラベルは、組成物を選択の病態の処置に使用することを指示する。製品は、リン酸緩衝化生理食塩水、リンゲル液及びデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む第2の容器を更に含んでもよい。それは更に、緩衝液、賦形剤、フィルター、注射針、シリンジ及び使用説明書付きの添付文書を含む、市販及び使用者観点から望ましい他の材料を更に含んでもよい。
【0253】
本発明の別の側面では、抗体又はその機能的誘導体をコードする配列を含む核酸が、遺伝子治療により、CXCR5の異常発現及び/又は活性に伴う疾患又は障害を治療、抑制又は予防するために投与される。遺伝子治療は、関心ある発現した又は発現し得る核酸の対象者への投与により行なわれる治療法を指す。本発明の実施態様では、核酸は、治療効果を仲介する標的宿主細胞中の及びそれによるコード化タンパク質を産生する。実現可能な遺伝子治療の方法は、いずれも、本発明に従って使用し得る。
【0254】
遺伝子治療の方法の一般概説としては、Goldspiel et al., Clinical Pharmacy 12:488
(1993); Wu et al., Biotherapy 3:87 (1991); Tolstoshev, Ann Rev Pharmacol Toxicol 32:573 (1993); Mulligan, Science 260:926 (1993); Morgan et al., Ann Rev Biochem 62:191 (1993);及びMay, TIBTECH 11:155 (1993)を参照されたい。
【0255】
1つの側面では、化合物は、抗体、又はその機能的結合フラグメントを含み、該核酸配列は、好適な宿主において抗体又はそのフラグメント又はキメラタンパク質又はその重鎖若しくは軽鎖を発現する発現ベクターの一部である。具体的には、このような核酸配列は、抗体コード領域に機能可能に連結するプロモーターを有し、該プロモーターは誘導型又は構成型であって、そして場合により組織特異的であり、及び他の調節配列である。
【0256】
別の特定の実施態様では、抗体コード配列及びその他の任意の所望配列が、ゲノムの所
望の部位で相同組み換えを促進する領域によって隣接するように核酸分子が使用され、その結果抗体コード化核酸の染色体内発現をもたらす(Koller, et al., Proc Natl Acad Sci USA 86:8932 (1989); Zijlstra et al., Nature 342:435 (1989))。格別な実施態様では、発現抗体分子は一本鎖抗体である;或いは、核酸配列は抗体の重鎖及び軽鎖の両方、又はそのフラグメントをコードする配列を含む。組み込みのための別法は、特異的核酸配列、ジンクフィンガーなどを認識する特定の転写因子を用いることを含む。
【0257】
核酸の患者内への送達は、患者が核酸又は核酸運搬ベクターに直接曝露される場合の直接か、又は細胞がインビトロにおいて先ず核酸で形質転換され、次いで患者に移植される場合の間接かであり得る。
【0258】
1つの実施態様では、核酸配列はインビボで直接投与され、そしてコード化産物を産生するように発現する。それは当技術分野で公知の多数の方法のいずれかによって、例えば、適切な核酸発現ベクターの一部として配列をコードする抗体を構築することにより、そしてベクターが細胞内になるようにそれを投与することにより、例えば欠損又は弱毒化レトロウイルス又は他のウイルスベクター(米国特許第4980286号参照)を用いた感染により、裸のDNAの直接注入により、マイクロパーティクルの衝撃(例えば、遺伝子銃;Biolistic, Dupont)の使用により、親水性核酸を結合し、そして細胞と融合する能力を有する両親媒性化合物を含む合成組成物などの非ウイルスベクターを用いて(この場合、一般にはこのように膜と結合する疎水性部分を含み、脂質又は細胞表面受容体又はトランスフェクション剤、リポソームへのカプセル化、マイクロパーティクル、又はマイクロカプセルでコーティングする)、核に侵入することが知られているペプチドへの連結のベクターを投与することにより、受容体仲介エンドサイトーシス(例えば、 Wu et al., J Biol Chem 262:4429 (1987)参照)(受容体を特異的に発現する標的細胞型に使用し得る)を受けるリガンドへの連結のベクターを投与することなどにより、達成し得る。別の実施態様では、リガンドがエンドソームを破壊する融合性ウイルスペプチドを含む核酸−リガンド複合体を形成することができ、核酸がリソソーム分解を回避することを可能にする。更に別の実施態様では、核酸は、特異的受容体をターゲッティングすることにより、インビボで細胞特異的取り込み及び発現の標的にし得る(例えば、国際公開第92/06180号;国際公開第92/22635号;国際公開第92/20316号;国際公開第93/14188号及び国際公開第93/20221号を参照されたい)。
【0259】
ベクターに関しては、例えば、レンチウルスベクターが当技術分野で公知のように使用し得る。レンチウルスベクターは、ウイルスゲノムのパッケージング及び宿主細胞DNAへの組み込みのための成分を含有する。遺伝子治療に使用する抗体をコードする核酸配列は、患者への遺伝子送達を容易にする1つ又はそれ以上のベクターにクローニングされる。例えば、レンチウルスベクターは、造血幹細胞へトランス遺伝子を送達するのに使用し得る。遺伝子治療におけるレトロウルスベクターの使用を説明する参考文献は:Clowes et al., J Clin Invest 93:644 (1994); Kiem et al., Blood 83:1467 (1994); Salmons et al., Human Gene Therapy 4:129 (1993);及びGrossman et al., Curr Opin Gen and Dev 3:110 (1993)である。
【0260】
アデノウイルスも、本発明において使用できる。アデノウイルスに基づくデリバリーシステムの標的は、例えば肝臓、中枢神経系、内皮細胞及び筋肉である。アデノウイルスは非分裂細胞に感染し、初期のレトロウイルスベクターに優る利点となる。Kozarsky et al., Curr Opin Gen Dev 3:499 (1993) は、アデノウイルスに基づく遺伝子治療の概説を提示している。Bout et al., Human Gene Therapy 5:3 (1994) は、アカゲザルの呼吸上皮へ遺伝子を導入するアデノウイルスベクターの使用を実証した。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeld et al., Science 252:431 (1991); Rosenfeld et al., Cell 68:143 (1992); Mastrangeli et al., J Clin Invest 91:225 (1993); 国
際公開公報第94/12649号;及びWang et al., Gene Therapy 2:775 (1995)に見出すことができる。
【0261】
アデノ随伴ウイルス(AAV)も遺伝子治療に使用し得る (Walsh et al., Proc Soc Exp Biol Med 204:289 (1993);及び米国特許第5436146号;同第6632670号;及び同第6642051号)。
【0262】
遺伝子治療の別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション又はウイルス感染のような方法による組織培養の細胞への遺伝子導入を含む。通常は、導入の方法は細胞への選択可能なマーカーの導入を含む。次いで、細胞は導入遺伝子を取り込み、そして発現しているそれらの細胞を分離するために選択下に置かれる。それらの細胞は、次いでヒトに送達される。
【0263】
このように、核酸は得られた組み換え細胞のインビボ投与に先立ち細胞中へ導入され得る。当該導入は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、核酸配列を含むウイルス又はバクテリオファージベクターによる感染、細胞融合、染色体仲介遺伝子導入、ミクロ細胞仲介遺伝子導入、スフェロプラスト融合などを含み、当技術分野で公知のいずれの方法によっても行い得るが、これらに限定されない。外来遺伝子の細胞への導入に関する多数の技術が当技術分野で公知であり(例えば、Loeffler
et al., Meth Enzymol 217:599 (1993); Cohen et al., Meth Enzymol 217:618 (1993);
and Cline Pharm Ther 29:69 (1985)を参照されたい) 、そしてレシピエント細胞の必要な発達及び生理機能が破壊されないことを条件として、本発明に従って使用してもよい。本技術は、核酸が細胞により発現し、遺伝性でそして細胞後代により発現するように、細胞への核酸の安定導入を導く筈である。
【0264】
得られた組み換え細胞は、当技術分野で公知の種々の方法により患者に送達し得る。組み換え血液細胞(例えば、造血幹細胞又は前駆細胞)は好ましくは静脈内投与される。使用する想定細胞量は所期の効果、患者の状態などによって決まり、そして当業者によって決定され得る。
【0265】
核酸が遺伝子治療の目的で導入し得る細胞は、任意の所望の、利用可能な細胞タイプをも含み、そして上皮細胞、内皮細胞、ケラチン細胞、線維芽細胞、筋細胞、肝細胞、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球及び顆粒球などの血液細胞;種々の幹細胞又は前駆細胞、特に造血幹細胞又は前駆細胞、例えば、骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝などから得られるものを含むが、これらに限定されない。
【0266】
1つの実施態様では、遺伝子治療に使用される細胞は患者の自家細胞である。本発明の抗体をコードする核酸配列が、トランス遺伝子が細胞又はその後代によって発現するように細胞中に導入され、次いで組み換え細胞が治療効果のためにインビボで投与される。特定の実施態様では、幹細胞又は前駆細胞が使用される。分離されそしてインビトロで維持し得るいずれの幹細胞又は前駆細胞でも、本発明の実施態様に従って潜在的に使用することができる(例えば、国際公開公報第94/08598号; Stemple et al., Cell 71:973 (1992); Rheinwald Meth Cell Bio 21A:229 (1980);及びPittelkow et al., Mayo Clinic Proc 61:771 (1986)を参照されたい)。CXCR5は、例えば、B細胞に発現することから、血液細胞及び骨髄細胞が好適な宿主細胞となる。しかしながら、幹細胞宿主の使用に関する本発明の範囲は、関心あるトランス遺伝子を胚及び胚性幹細胞に投与することにより、トランスジェニック生物を作るためのトランス遺伝子の作製及び使用を意図しない。
【0267】
本発明は、例えば、本発明の液体製剤の有効量を対象者に投与することにより、CXC
R5疾患又はその1つ若しくはそれ以上の症状の治療、予防及び改善の方法を提供する。対象は、好ましくは非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)及び霊長類(例えば、カニクイザルなどのサル、及びヒト)である。好ましい態様では、対象はヒトである。
【0268】
CXCR5は、膵臓、結腸及び膀胱などの特定のがん細胞に、並びにT細胞白血病(Qinping et al., Oncogene 24:573-584, 2005)、及びB細胞白血病(Burkel et al., Blood, Jul 2007; doi:10.1182/blood-2007-05-089409)で発現し、そしてCXCR5の刺激はがん細胞の増殖と相関する(Meijer et al., Canc Res 66:9576 9582, 2006)。
【0269】
このように、関心ある抗体又はその誘導体は、CXCR5を発現するがん細胞の増殖を調節するために使用することができ、そのがんは、本明細書で教示した診断アッセイによるCXCR5発現の存在を測定することにより同定される。関心ある抗体は、悪性細胞の浸潤を低減し、アポトーシス抵抗性を低減し、そして増殖を最小化することができる。このような患者は、次いで本明細書に示されるように関心ある抗体又はその誘導体のがん細胞増殖阻害量を投与される。
【0270】
自己免疫疾患は、狼蒼(Ishikawa et al., J Exp Med 193:1393-1402, 2001) 及びシェーグレン症候群(Salomonsson et al., Scan J Imm 55:336-342, 2002; and Barone et al., Arth Rheum 52(6)1773 1784, 2005)などのCXCL13の異常及び/又は高発現に、又は重症筋無力症(Sims et al., J Imm 167:1935-1944, 2001; Saito et al., J Neuroimm 55:336-342, 2005; 及びTackenberg et al., Eur J Imm 37:849 863, 2007)などのCXCR5の高発現に関連している。それ故、関心ある抗体は、高レベル又は高活性のCXCL13又はCXCR5リガンドの作用を最小化するために使用される。高レベルのB細胞、高レベルのCXCR又は高レベルのCXCL13、又は他のCXCR5リガンドによって特徴付けられる自己免疫疾患では、関心ある抗体の細胞活性阻害量が本明細書で教示したように投与される。
【0271】
異常CXCR5発現は、多発性硬化症において観察される(Brain 129(Pt 1)200-211, 2006)。
大腸炎では、CXCR5はGALTの形成及び機能の役割を有する(Carlsen et al., Gut, 2002, 51(3)364-367)。腸粘膜固有層内へのB細胞のCXCR5仲介遊走及び浸潤、及び一般的な粘膜浸潤(Mazzucchelli et al., J Clin Invest, 1999, 104(10)R49-R54)、及び異所性胚中心を含む潰瘍性大腸炎病巣におけるその発現は、関心ある抗体によって阻害される。
【0272】
B細胞減少は、特定の状況下で症状を軽減するのに、そして関節リウマチなどの特定の適応症において、治療的に有益であり得る(Oligino & Dalrymple, Arth Res Ther 5(Suppl 4)S7-S11, 2003)。CXCR5は、関節リウマチに罹っていない特定の個体の組織と比較して、関節炎患者の滑膜組織で高レベルに発現する(Schmutz et al., Arth Res Ther 7:R217-R229, 2005)。従って本発明の抗体及びその誘導体の特定の形態は、B細胞集団を減少させることができ、そして関節におけるB細胞の浸潤及び相互作用を抑制することができる。従って、治療は、関節炎と診断された患者に関心ある抗体のB細胞レベル低減量を投与することを含むことができる。該抗体は罹患した関節に局所的に投与し得る。
【0273】
異所性リンパ球新生は、乾癬性関節炎(Canete et al., Ann Rheum Dis, Jan 12, 2007, doi:10:1136/ard.2006.062042)、一般的には慢性炎症性疾患 (Aloisi & Pujol-Borrell, Nat Rev Imm 6:205-217, 2006) を含む幾つかの病態に、及び慢性(Baddoura et al., Am J Trans 5:510-516, 2005) 及び急性(DiCarlo et al., Am J Trans 7:201-210, 2007)の両方の拒絶を起こしている移植片に認められる。CXCL13及びCXCR5は心臓
移植に存在していた (DiCarlo et al., 上記を参照);そしてCXCL13は乾癬性関節炎に存在していた(Canete et al., 上記を参照)。CXCL13及び/又はCXCR5の存在は、正常結節に見られるようにB細胞及びT細胞領域での異所性リンパ濾胞の発生に関連している。アロ抗原のB細胞抗原提示も、急性心臓同種移植モデルに関連していた(Noorchashm et al., J Imm 177:7715-7722, 2006)。
【0274】
このように、関心ある抗体は、炎症及び移植拒絶を減弱させるのに使用できる。患者は、その場合B細胞活性阻害量の抗体を、炎症を減弱させ、異所性胚中心発生を最小化し、移植片へのB細胞動員を最小化し、そして移植手順の前又は後のB細胞アロ抗原提示を最小化するために投与される。
【0275】
本発明は、幾つかの実施態様を記述する以下の非限定的な実施例により、当業者の利益のために例証されるものであり、そこで本発明が実施され得る。
【実施例】
【0276】
[実施例1]
免疫原の作成
抗CXCR5モノクローナル抗体を、DNAを全長コード化したヒトCXCR5で形質転換したCHO細胞に産生させ、細胞表面(「r−CXCR5−CHO細胞」)に発現させることは可能である。CXCR5シーケンスは、細胞の形質転換に用いられる。
CXCR5のオープン・リーディング・フレームは、pCDNA3.1neo#DESTなどの発現ベクター中に置かれ、その後、300−19細胞へトランスフェクションされる(免疫原)。
【0277】
また、MNYPTLEMDLENLEDLFWELDRLDNYNTSLVENHLC(SEQ ID NO:1)のアミノ酸配列を有するCXCR5−ECドメインは、C末端のシステインによりKLHに結合され、そして免疫原として使用される。CXCR5を発現する細胞、又はCXCR5−ECドメインは、腹腔内(IP)投与される(細胞:5×10
6/ペプチド:0.2ml又は50μg/緩衝剤:100μl、場合により、フロイント完全アジュバントなどのアジュバント:100μlと混合される)。抗原の注射は、任意の種々の公知方法を用いて、例えばELISA又はFACSにより、例えばFACSにより単離することができる例えばCXCR5
+細胞、及び陽性の対照群として例えば市販のMAB190(R & D Systems社)を用いて、血清中にCXCR5抗体の高力価が検出されるまで2週毎に繰り返された。
【0278】
CXCR5を発現する細胞は、10%透析処理済ウシ胎仔血清(FBS)で補足したRPMI(Invitrogen、Carlsbad、CA)中、37℃、5%CO
2環境下で保持した。上記の培地を、EDTA(5mM)を補足したリン酸緩衝化(Ca/Mgフリー)生理食塩水(CMF−PBS)で置換し、そしてその緩衝液中で細胞を採取することにより、細胞を注射用として調製した。採取した細胞を、500×gで、約5分間遠心分離にかけペレット化し、1回CMF−PBS中でペレットを再懸濁して洗浄し、そして前と同様に遠心分離し、計数し、CMF−PBS中で細胞ペレットを再懸濁することにより、注射用として適切な体積(5×10
6細胞/0.2ml)になるように調整した。
【0279】
既述の通り、CXCR5の発現は、例えば、MAB190(R&D)、クローンRF8B2及び2G8(2G8はラット抗マウスCXCR5抗体であり、その他の購入した抗体は、抗ヒトCXCR5抗体である)(BD)、及び2Cl(Abnova社)、並びに当業者に公知の方法を行って作成したhCXCR5へ導く種々のポリクローナル抗体など、市販のCXCR5抗体を用いて、FACS分析により、モニターした。
【0280】
プラスミドの構築を容易にし、CXCR5の発現を増強するため、CXCR5の核酸コ
ード配列の始めの135個の塩基対を含むリーダーペプチド配列に対応する、オリゴヌクレオチドを作成した。オリゴヌクレオチドは、ゆらぎコーディング位置において、GC含量をより低下させるため幾つかの変更を有した。全てのヌクレオチド配列変化はサイレント、即ちアミノ酸配列の変化は発生しなかった。オリゴヌクレオチドを一緒にアニールした後、遺伝子操作したリーダーペプチドのコーディング配列を、PCR−SOE(Ho et al., Gene 77:51 (1989);及びHorton et al., BioTechniques 8:528 (1990))によりコーディング配列の残りの部分に連結した。
【0281】
CXCR5の発現は、免疫原として使用する前に検証した。細胞を10%FBS、0.2mMグルタミン、1×非必須アミノ酸溶液を含むRPMI(Invitrogen社、Carlsbad、CA)で培養し、次いで約3〜5×10
5細胞/ウエルをT75フラスコ内に播種し、そして約24〜48時間成長させた。
形質転換又はトランスフェクションした細胞は、CXCR5発現したプラスミドを有ししない細胞が抗生物質選択により排除されるまで約2週間培養した。安定細胞株の細胞は溶解することができ、タンパク質を得、そしてそれをウエスタン・ブロット(Western blot )分析にかけた。
【0282】
安定して又は一過性でトランスフェクションした細胞は、FACS分析によるなどCXCR5の細胞表面発現を検出するための方法を用いて、CXCR5の発現をアッセイした。代替として、細胞を溶解することができ、そしてタンパク質を、例えばウエスタン・ブロット分析(Western blot analysis)により調査する。トランスフェクションした細胞を培養皿から採取し、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で1回洗浄し、そして脱イオン水中再懸濁し、2倍の体積のタンパク質サンプルローディング緩衝液と混合し(BioRad、Hercules、CA)、次いで約100℃で10分間加熱した。膜タンパク質を、2倍の体積のタンパク質サンプルローディング緩衝液と混合し、100℃で10分間加熱した調整培地を用いて、分析した。サンプルは、4〜12%グラジェントSDS−PAGEを用いて分離した。タンパク質を移す前、PBST(0.05%TWEEN−20(登録商標)を有するPBS)中の5%無脂肪のドライミルクで、少なくとも1時間ブロックして、タンパク質をゲルからニトロセルロース膜(BioRad、Hercules、CA)に移した。
【0283】
CXCR5は、CXCR5特異的一次抗体を有する膜をブロッキング緩衝液中、振盪しながら室温で少なくとも1時間インキュベートすることにより検出した。膜を少なくとも3回洗浄し、そしてブロッキング緩衝液中のレポーター結合二次抗体を膜に加え、そして振盪しながら室温で少なくとも1時間インキュベートした。膜はPBSTで3回洗浄し、そして例えば化学発光基質を用いて展開した。
【0284】
[実施例2]
抗CXCR5−mABSの作成
約4〜6週齢のA/J又はBALB/cJマウス(Jackson Labs, Bar Harbor, ME)を、CXCR5トランスフェクション細胞又はECペプチドで免疫した。1群のマウスを、0日目、KLH結合ペプチドとアジュバント(CFA)を1:1で混合したエマルジョンで腹腔内で抗原刺激し、20日目、IFC(不完全フロイントアジュバント)と共にそのペプチドで、及び/又はアジュバントなしのPBS中の細胞で、腹腔内で追加免疫し、そして最後に44日目、IFC中混合したKLH−ペプチド及び/又は助剤なしのPBS中の細胞で、静脈内で追加免疫した。別の群のマウスは、0日目、腹腔内で抗原刺激し、15、39、53及び67日目、腹腔内で追加免疫し、そして最後に、81日目、静脈内で追加免疫した(全ての注射は、助剤なしのPBS中の細胞で)。両群のマウスに対して、各注射は、約200μlの体積中、約3×10
6〜2×10
7 の細胞を含んでいた。代替として、ペプチド及び/又は細胞の免疫は、例えばFACS分析又はELISAで確認して、望ましい抗CXCR5の力価が得られるまで、2週間毎に1回の割で3〜6回行った
。
【0285】
最後の注射の後3日、マウスを、場合により血清中の抗CXCR5抗体力価を試験し、犠牲にして、脾臓を取り出し、Petri皿の無血清DMEM(Gibco)(約10ml)中に置いた。脾細胞を、鉗子を用いて被膜(capsule)から剥がし、そして無血清IMDM(Cellgro, Herndon, VA)(10ml)で、37℃で2回洗浄した。脾臓細胞懸濁液をコニカル型チューブ(15ml)に移し、そして約2〜5分間かけて組織細片を落とした。脾細胞を含む上清を新鮮なコニカル型チューブ(15ml)に移し、そして融合するまでIMDMで更に3回洗浄した。マウスからの脾細胞はプールできる。
【0286】
場合により、対照の脾臓フィーダー細胞の単細胞懸濁液(5ml)を、本質的に免疫脾臓細胞について上述したように、非免疫マウスから調製し、必要になるまでインキュベーター(37℃、5%CO
2)内に置いた。
免疫脾臓細胞に対する融合のパートナーは、P3X63−AG8.653又はSP2/0(ATCC, Manassas, VA)、又はFO_Bリンパ芽球(ATCC, CRL-1646)などのヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)−感受性、非分泌骨髄腫細胞株であり得る。融合の前に、リンパ球を、IMDM/10%FBS(37℃;7%CO
2)中に保持し、リンパ球が融合の日に対数的成長が起こる相に存在することを確実にした。代替の選択メカニズムは、典型的には融合の1日後に加えられるアザセリンを用いることに依存する。
【0287】
用いた融合のプロトコールは、Lerner(Yale J Biol Med, 1981, 54(5)387-402)、及びGetter(Somatic Cell Genet, 1977, 3(2)231-236)に説明されているプロトコールの混成型である。融合の前に、プールした脾細胞を3回無血清IMDMで洗浄し、そして計数した。また、融合の直前に、対数相の骨髄腫細胞を、3回無血清IMDMで洗浄し、そして計数した。リンパ球は、無血清IMDM中、1×10
7細胞/mlに再懸濁した。各々の融合のために、1〜1.5×10
8の脾細胞を、コニカル型ポリプロピレンチューブ(50ml)中、1〜3×10
7の骨髄腫細胞と混合し、そして細胞を1回無血清IMDMで洗浄した。脾細胞の骨髄腫細胞に対する比率は5:1であった。チューブを500×gで10分間遠心分離にかけ、細胞をペレット化した。上清を吸引した後、ペレットをチューブの底を軽く叩いて、穏やかに再懸濁させた。次いで、チューブを37℃の水の入ったビーカー内に置いた。全てのその後の融合工程はそのビーカー内で行った。
【0288】
次に、37℃に予備加熱したポリエチレングリコール1500(Roche Applied Science, Indianapolis, IN)(1ml)を、約1分かけて徐々に各々の細胞ペレットに加え、その間チューブを穏やかに揺動させた。細胞をPEG中で約1分間インキュベートし、その後無血清IMDM(1ml)を各ペレットに30秒かけて滴下して添加し、次いで無血清IMDM(9ml)を各ペレット上に1分かけて加えた。両方のチューブを、500×gで、室温で10分間遠心分離にかけ、上清を吸引した。細胞ペレットを、100mlの濾過した完全なハイブリドーマ生産培地(10%FBS(SeraCare, Millford, MA)、0.2mMのL−グルタミン、1×非必須アミノ酸溶液、1mMのピルビン酸ナトリウム、0.01%pen−strep溶液(Invitrogen)及び1×HTサプリメント(Invitrogen))を混合したIMDM(Cellgro)(500ml))に再懸濁した。
【0289】
細胞の懸濁液(各100ml)を10個の96ウエルの平底のマイクロタイタープレートに、約100μl/ウエルの体積で入れた。プレートを、37℃、7%CO
2のインキュベーター内に維持した。2日目の後融合で、IMDM中の5.7μMのアザセリンを融合細胞に、ウエル当たり100μlで加えることによって細胞を選択した。上清は、一次スクリーニングのために、典型的には後融合10〜14日目で、クローンを含むウエルから回収した。融合効率は75〜99%であった(スクリーニングされるクローンを発生し
た可能性のあるウエル960のうち720〜950)。
【0290】
一次スクリーニングは、ヒトCXCR5に結合する抗体を検出するために設計された放射免疫測定法(RIA)で行うことができる。RIAを行なうため、PBS中のアフィニティ精製ヤギ抗マウスIgG(F
cフラグメント特異的)(Cappell, Cochranville, PA)を96ウエルのPVCマイクロタイタープレート(50μl/ウエル)に加え、そして4℃で終夜インキュベートした。ヤギ抗マウスIgGをプレートから取り除き、そしてウエルを、100μl/ウエルの5%FCS/PBSを用いて、室温で1時間ブロックした。ブロッキング溶液を除去した後、正味の融合細胞の培養上清をウエルに加え(50μl/ウエル)、そして室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS/0.05%Tween-20で3回洗浄した。次に、PBS/5%FCS中の
125I−CXCR5(50μl)(約20,000cpm)をそれぞれのウエルに加え、室温で1時間インキュベートした。最後に、ウエルを3回、PBS/0.05% Tween-20で洗浄した。洗浄緩衝液を払い出した後、ウエルをプレートを切断することにより分離し、そしてγ線カウンターで分析した。培養上清の代わりに、5%FCS/PBSを加えたウエルがバックグラウンド・ウエルとして機能した。
【0291】
精製したCXCR5を、Bolton-Hunter試薬(New England Nuclear, Boston, MA)の供給者により実質的に説明されているように、Bolton-Hunter方法に従い、
125Iで標識化した。
125I−CXCR5の品質は、標識化手順が市販のCXCR5抗体(R & D or Becton
Dickinson, Mountain View, CA)により認識されるエピトープを破壊しないことを確認することによりモニターした。
RIAにおいて、上清サンプルがバックグラウンドより約10倍標識化されていれば、クローンは、一次スクリーニングにおいて陽性であるとされる。陽性のクローンは、引き抜かれ(pulled)、増殖され(expanded)、冷凍保存される。
【0292】
1次融合細胞のスクリーニングは、抗体が未変性のCXCR5エピトープを認識するか否かを決定するよう設計されている。このことは、蛍光標識ヤギ抗マウス第二抗体を結合して可視化する、モノクローナル抗体で染色したCXCR5
+細胞上に表示される、細胞表面CXCR5のFACS分析で達成される。上清サンプルが、FACS分析において、バックグラウンドより約10倍標識されていれば、クローンは、一次スクリーニングにおいて陽性であるとされる。また、抗体が結合したCXCR5エピトープを局在化させるため、CXCR5抗体との競合分析が行われた。陽性のクローンは選択され、増殖され、冷凍して保存された。
【0293】
[実施例3]
抗CXCR5−mABSについての細胞ベースの結合アッセイ
抗CXCR5−mABSを特徴付けるために、細胞ベースの結合アッセイを用いた。例えば、上述したhCXCR5/HEK293などのCXCR5発現トランスフェクション細胞を用いることができる。全長ヒトCXCR5のオープン・リーディング・フレームは、ベクター、例えばpCDNA3.1neoDEST(Invitrogen, Carlsbad, CA)中にクローン化した。CXCR5のコーディング領域は、テンプレートとしてヒト脳及び肝臓RNA(Ambion, Inc., Austin, TX)を用いて、RT−PCRにより合成した。最終的なプラスミドコンストラクト、CXCR5/CDNA3.1neoは、全長CXCR5タンパク質を発現した。CXCR5を発現する安定細胞株は、標準的な及び市販のLipofectamine 2000キットを用いて、CXCR5/pCDNA3.1neoプラスミドコンストラクトのCHO又はHEK293細胞(ATCC No. CRL-1573)へのトランスフェクションにより作成した。トランスフェクション後、細胞を終夜DMEM中で培養し、次いでネオマイシン(200μg/ml)を含む培地に再播種し、そして12〜14日間培養した。単離した単一コロニーを採取し、十分なクローン細胞が増幅されるまで、個々のウエル内で成
長させた。ネオマイシンに耐性で、そして高レベルのCXCR5タンパク質を発現する安定なクローンは、ポリクローナル抗CXCR5抗体(R&D Systems, Minneapolis, MN)、又は特別に作成したポリクローナル抗体を用いたFACS分析により同定した。
【0294】
また、天然でCXCR5を発現するヒトHS Sultan 細胞(ATCC No. CRL-1484)は、FACS分析により、CXCR5を発現することを確認した。HS Sultan 細胞は、10%ウシ胎児血清、0.2mMのグルタミン、及び0.1%のpen/strep溶液(100μg/mlのペニシリンと10μ/mlのストレプトマイシン)を含むRPMI1640中で増殖させた。
【0295】
細胞ベースの抗体結合は、FMAT(商標)(蛍光マクロ共焦点(fluorescence macro-confocal)−ハイスループットスクリーニング)8100 HTS、又は8200細胞検出システム(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用い、製造業者によって提供されるプロトコールに従って評価できる。CXCR5を天然で発現する細胞株、又はCXCR5発現コンストラクトを安定にトランスフェクションされた細胞株を、96のウエルプレートに播種した。代替として、一過性でトランスフェクションさせた293T又はCHO細胞は、96のウエルプレートに播種した。細胞は、ウエル当たり5,000〜30,000細胞の密度で播種した。20〜24時間後、抗CXCR5−mABS及びFMAT結合ヤギ抗マウスIgG抗体をウエルに一緒に加え、そして、1時間、2時間、4時間又は終夜室温でインキュベートした。
細胞ベースの抗体結合は、また、CXCR5を発現するHEK293/CXCR5安定細胞株を用いたFACSで評価した。細胞をPBS中の抗CXCR5−mAbsと共にインキュベートした。3回の洗浄後、細胞を蛍光分子結合二次抗体(BD Sciences, Palo Alto, CA)と共にインキュベートした。
【0296】
いくつかのmAbsは、いずれかの組み換えプラスミドコンストラクトから発現したCXCR5に結合するという結果が示された。例えば、クローン11D6、14C9、19H5、H28、54G6、G7、56H6、79B7及び16D7、並びに後者の抗体のヒト化変異体16D7、16D7−HC1−LC3、16D7−HC1−LC2、16D7−HC1−LC1及び16D7−HC2−LC1、陰性対照のIL13抗体、CA13、陽性対照のMAB190、2C1、及びRF8B2、IG1、IgG2a及びIgG2bに対する3種のマウスアイソタイプ対照、及びラットのIgG2bアイソタイプ対照(RF8B2にマッチした)の、CXCR5発現のためトランスフェクションしたHEK293細胞との結合を試験した。2C1及びMAB190陽性対照抗体は、CXCR5細胞に結合する。RF8B2は、中間結合レベルを示した。陰性の対照抗体は、バックグラウンド結合のみを示した。CA13を除く全ての抗体は、親抗体の16D7と79B7と同様の結合プロファイル及び滴定動力学でhCXCR5/HEK293細胞と結合した。
【0297】
CXCR5/ネオプラスミドを含む一過性でトランスフェクションしたHEK293細胞も、また、上記した免疫蛍光法で染色し、そして蛍光顕微鏡で観察した。細胞ベースのFMAT及びFACS分析により、mAbsが、組み換えプラスミドコンストラクトから、又は培養細胞中の天然タンパク質としてのいずれかで発現したCXCR5に正に結合することを確認する。陽性の結合シグナルは、FMATの読み出しシグナルに基づき分析され、それは、バックグラウンド結合及びその他の陰性のハイブリドーマクローンより有意に高い(p>0.01)。
16D7、14C9、19H5、H28、54G6、G7、56H6及び79B7などの作成したCXCR5−mAbsは、ECドメインと結合し、細胞上のCXCR5に対するCXCL13の結合をブロックする。
【0298】
[実施例4]
BIACOREアフィニティ分析
ヒト及びマウス由来のCXCR5(アミノ酸1〜59)のN末端EC領域を、末端ビオチンタグを用いて合成し、そしてフォワードBiacoreアッセイに用いた。そのアッセイでは、ペプチドをBiacoreチップ上に固定化し、次いでチップ上での抗体のペプチドとの相互作用の動力学が測定される。合成ペプチドは、Biacoreチップ上に、約20応答ユニット(RU)毎に固定化された。mAb’sは、製造業者の推奨(GE Healthcare, Piscataway, NJ)に従って、動力学測定のためチップに暴露した。
【0299】
マウス抗hCXCR5−mAbクローン、16D7は、2.16
-12Mの計算値K
dを有し、マウス/ヒトIgG4キメラ16D7(ヒトIgG4−Fc上にグラフトした16D7−VH及びVL領域、その配列は当該技術で公知であり、場合により、そのコドンは、クローニング、末端の増幅、領域の質量確認、及び部分のクローニングなどの標準的方法を用いて最適化される)は、1.41
-12MのK
dを有し;そして種々の16D7のヒト化変異体について、ここで、変異体の構造及びその重鎖及び軽鎖の誘導は、特定の重鎖に対しては「HC_」、そして特定の軽鎖に対しては「LC_」の用語で表示され、それらはIgG4の骨格上にグラフトされ、ここでその鎖の組成は以下に与えられる通りである:16D7−HC1−LC1は3.11
-12MのK
dを有し;16D7−HC1−LC2は1.41
-12MのK
dを有し;16D7−HC2−LC1は2.40
-12MのK
dを有し;16D7−HC1−LC3は1.21
-12MのK
dを有し;16D7−HC3−LC4は4.92
-12MのK
dを有し;16D7−HC3−LC5は1.84
-10MのK
dを有し;そして16D7−HC1−LC6は9.17
-11MのKdを有する。
【0300】
ヒト化SAR113244、16D7ヒト化変異体の1つの形態の16D7−HC1−LC3[これは、S241P及びL248E置換(公知の方法及び試薬を使い、導入した置換、Kabatナンバリングを使用)を有する]を、予め固定化したマウス抗ヒトIgG−Fc抗体によりBiacoreチップ上に捕え、その後、リバースアッセイフォーマットBiacoreアッセイに用いた。そのアッセイでは、タグのないヒトCXCR5のN末端ペプチド(アミノ酸1〜59個)とmAb’sとの相互作用の動力学が測定された。SAR113244のK
Dは、1.13±0.08
-11Mと定量された。チップ表面上に固定化されたビオチン化ヒトペプチド及び検体としてSAR113244を用いたフォワード・アッセイで定量したK
D値は、リバース・アッセイを用いて得られた値と符合した。
【0301】
[実施例5]
抗CXCR5−MABS結合活性のウェスタンブロット分析
変性条件下で抗CXCR5−mAbのCRCR5への結合活性、及びCXCR5及びヒト細胞株におけるその他のCXCR5関連のタンパク質の発現レベルを評価するために、ウェスタンブロットを行なった。また、タンパク質のサンプルは、M−PER哺乳類タンパク質抽出試薬キット(Pierce, Rockland, IL, Cat # 78501)を用い、製造業者の指示書に従って、安定的にトランスフェクションした細胞から調製され、それに、等量の2×タンパク質のローディング緩衝液を加えた後、70℃で10分間加熱した。全てのサンプルは、4〜12%のグラジエントのSDS−PAGEゲル中の電気泳動法で分離した。タンパク質をゲルからPVDF膜へ移動させ、そして抗CXCR5−mAbsを、一次検出抗体としてウエスタンブロット膜に適用した。Alexa680結合二次抗体を検出用として用い、そして膜をOdyssey Infrared Imaging system(Licor, Lincoln, Nebraska)を用いて、又は電気化学発光(ECL)を用いてスキャンした。ヒトCXCR5に対する陽性の対照抗体を、本明細書で教示したように作成した。
【0302】
[実施例6]
CXCR5のインターナリゼーションをモニタリングするためのFACSアッセイ
バフィーコート細胞を健常ボランティア(Gulf Coast Blood Center, Houston, TX)か
ら得る。ヒト末梢単核細胞(PBMC)を標準的なFicoll-Hypaqueグラジエント法により単離した。PBMCは、96ウエルプレート中、4℃で培養した(0.5×10
6細胞/ウエル)。各々のウエルは、モノクローナル抗体(10μg/ml)の存在下/不存在下で、10%FBSを補充したRAMI1640(0.2ml)を含有する。30分後、培地を、10%FBSを補充し抗体を補充しない、新鮮な冷RPMI1640で置き換えた。細胞を37℃で、加湿した、5%CO
2を含む組織培養チャンバーへ移した。モノクローナル抗体処理細胞を37℃に移した後、直ちに、2時間後、又は24時間後、収穫した。細胞を1回PBSで洗浄し、そして1%のBSAを含む冷PBS(PBSB)中で30分間インキュベーターした。その後、細胞をPE結合抗ヒトCXCR5で染色した(BD Biosciences)。30分後、細胞を3回PBSBで洗浄し、そして1%のパラホルムアルデヒド溶液に終夜固定した。翌日、CXCR5の存在を、BD FACSCalibur(商標)システムフロー血球計算器(BD Biosciences, San Jose, CA)で分析した。
【0303】
[実施例7]
FLIPRアッセイ
細胞内カルシウムの変化を、9,000細胞/ウエルをプレートに蒔き、終夜インキュベートすることにより測定した。細胞は、ヒトCXCR5で安定的にトランスフェクションしたRBL−2H3系統であった。細胞を洗浄し、次いで、2.5mMのプロベニシド(probenicid)を含む2mMのfluo−4/AM(Molecular Probes)をローディングした。細胞をCXCR5−mABに暴露し、次いで、アッセイ緩衝液で洗浄した。細胞を10nMのCXCL13(R&D)に暴露した。細胞内のCa
+2の変化を384BFLIPR装置(Molecular Devices)を用いて記録した。市販されている抗ヒトCXCR5−mAbs、及びマウスIgG1及びIgG2bを対照として用いた。
【0304】
以下に議論する通り、キメラ16D7(hIgG
4キメラ)、16D7−HC1−LC1、16D7−HC1−LC2、16D7−HC2−LC1、16D7HC1LC3、16D7−HC3−LC4、16D7−HC3−LC5及び16D7−HC1−LC6などのmAb−16D7の数種のヒト化バージョンを構築し、そしてそれらの生物学的活性をカルシウム・フラックスで証明されるように試験した。
陰性対照のCA13は別として、ヒト化抗体は、安定的にCXCR5を発現するトランスフェクション細胞で、親16D7抗体のシグナル中和活性と同等のシグナル中和活性を示した。
【0305】
[実施例8]
走化性アッセイ
CXCR5
+HS-Sultan細胞(ATCC CRL1484)を、トランスウエルプレート(Millipore)の上段チャンバーへ、0.5×10
6細胞/ウエルの条件で、100nMのCXCL13(R&D)の存在下、又はCTX緩衝液(RPMI、フェノールレッドなしで、1%FBS、0.5%BSA及び1nMのピルビン酸ナトリウムを含む)の存在下で加え、下段のチャンバーへ遊走する細胞を評価した。2つのチャンバーを組み立て、そして2時間インキュベートした。比色試薬(Promega)を加え、そしてOD
490で読み取りを行った後、下段のチャンバー内の細胞を計数した。
【0306】
CXCR5特異的遊走は、遊走する細胞の全数と自発的に遊走する細胞数の間の差として測定される。抗CXCR5を試験する場合、細胞を上段チャンバーに加える前に、抗体と共に30分間インキュベートした。抗体阻害の度合は、抗体の存在下での特異的遊走の、抗体不存在下での遊走量に対する比である。その比を100%で掛けてパーセント阻害率を得ることができる。
【0307】
実施例7の抗体を、走化性を中和する能力について、親16D7抗体と比較した。陰性
対照mAb−CA13は別として、全てのヒト化抗体は、16D7及び79B7、14C9、19H5、H28、54G6、G7、56H6のそれに匹敵するプロファイルで、走化性を中和した。R&D−MAB190は中間の活性を有し、一方H28及びAbnova抗体2C1は、リガンド誘導細胞遊走を完全には中和しなかった。
【0308】
[実施例9]
初代ヒトB細胞の反応性評価
ヒトPBMCを、全血から、Accuspinカラム(Sigma)を用いて単離した。次いで、PBMCを、BD染色緩衝液(Becton Dickinson)に、2,000万細胞/mlで再懸濁した。マウス抗ヒトCXCR5モノクローナル抗体(1μg)をPMMC(50μl)に加え、そして4℃で20分間結合させた。細胞を2回BD染色緩衝液で洗浄した。二次抗体、ヤギ抗マウスIgG−PEF
(ab′)(Beckman Coulter)(50μl)を1/100に希釈して、PBMC抗体カクテルに加え、そして4℃で20分間結合させた。細胞を3回BD染色緩衝液で洗浄した。マウス抗ヒトCD20−FITC(BD製)及びCD4APC(BD製)をそれぞれ1/50希釈で含むカクテルを、細胞に加え、次いで4℃で20分間インキュベートし、B/T細胞の特異性を評価した。細胞を3回BD染色緩衝液で洗浄し、そしてBD染色緩衝液(250μl)に再懸濁し、そしてFACStar PlusでFACS分析にかけた。マウス抗ヒトCXCR5抗体(R&D;mAb190)を陽性対照として用いた。滴定曲線をヒト化抗体について作成し、そして平均蛍光強度(MFI)を濃度に対してプロットした。
実施例7のヒト化抗体のヒトPMBCへの結合を試験した。
抗体は、陰性対照CA13は別にして、ヒトB細胞に結合し、そして同一の滴定プロファイルを示した。陰性の対照群CA13は、バックグラウンド結合のみを示した。BDクローンRF8B2のヒトPBMCへの結合は不十分であった。
【0309】
[実施例10]
カニクイザルB細胞の反応性評価
カニクイザル(cyno)の全血は、Bioreclamation, Inc. (Hicksville, NY)から入手した。血液は遠心分離後BD細胞調製チューブ(CPT)で送られた。血漿層に含まれるcynoPBMCを、CPTチューブから50mlのチューブに移し、グラジェントゲル層を元のまま残した。チューブをPBS(5ml)で、すべての細胞を完全に抽出するまで洗浄し、そしてその洗浄物を新しい50mlのチューブに加えた。cynoPBMCは、1,200RPMで、4℃で10分間で遠心分離した。ペレットをBD染色緩衝液(1ml)に再懸濁した。1アッセイ当たり100万個の細胞を使用した。マウス抗ヒトCXCR5モノクローナル抗体(1μg)(精製した)をPBMC(50μl)に加え、そして4℃で20分間結合させた。細胞を2回BD染色緩衝液で洗浄した。二次抗体、ヤギ抗マウスIgG−PE−F
(ab')(Beckman Coulter)(50μl)を1/100に希釈し、そして細胞に加え、4℃で20分間結合させた。細胞を3回BD染色緩衝液で洗浄した。マウス抗ヒトCD20FITC(BD製)及びCD4−APC(BD製)をそれぞれ1/20希釈で含むカクテルを細胞に加えて、4℃で20分間インキュベートし、B/T細胞の特異性を評価した。細胞を3回BD染色緩衝液で洗浄し、そしてBD染色緩衝液(250ml)に再懸濁し、FACStarPlusでFACS分析にかけた。市販のマウス抗ヒトCXCR5−mAb(R&D; MAB190)を陽性対照として用いた。
【0310】
ヒトCXCR5に対して反応性である本発明のマウスモノクローナル11D6を、IgGのアイソタイプ対照と比較した。16D7のヒト化バージョン、及び市販のMAB190を、カニクイザルCXCR5に対する反応性について試験した。また、79B7も試験した。
CD20及びCXCR5に対して陽性の細胞は、MAB190及び11D6で見出された。一方、16D7及びそのヒト化変異体、並びに、G7及びBD製 RF8B2及びAbnova製 2C1は、カニクイザルB細胞に対して結合しなかった。また、14C9、19H
5、H28、54G6、56H6及び79B7は、カニクイザルB細胞に対して結合した。
本発明のCXCR5抗体は、末梢血液細胞を研究するために使われた。B細胞がCXCR5を発現し、そして少なくとも1つの実験において、約10%の末梢T細胞がCXCR5を発現することが見出された。
【0311】
[実施例11]
抗CXCR5−mABSの配列
マウスモノクローナル抗体は、市販のアイソタイピングキットを用いて、アイソタイプを判別した(isotyped)。16D7及び他の抗CXCR5−mAbの可変配列を配列決定した。全RNAを約500万個の融合細胞から、Qiagen Qianeasy miniprepキットを用いて、キット手順書に従い単離した。第一ストランドcDNAをInvitrogen Superscript kit(Cat 11904-018)を用いて、キット手順書に従って合成した。
【0312】
重鎖及び軽鎖の可変領域は、最初に縮重したPCRプライマー及びTaqポリメラーゼ(Roche)を用いて、Wang et al. J Immunol Methods. 233:167-77, 2000に記載の方法に基づいて増幅した。
【0313】
重鎖:左プライマー:
1:CTTCCGGAATTCSARGTNMAGCTGSAGSAGTC (配列番号2);
2:CTTCCGGAATTCSARGTNMAGCTGSAGSAGTCWGG(配列番号3);
重鎖:右プライマー:
GGAGGATCCATAGACAGATGGGGGTGTCGTTTTGGC(配列番号4);
軽鎖:左プライマー;
GGAGCTCGAYATTGTGMTSACMCARWCTMCA(配列番号5);軽鎖:右プライマー;
TATAGAGCTCAAGCTTGGATGGTGGGAAGATGGATACAGTTGGTGC(配列番号6);
ここで、RはA又はGのいずれかであり;NはA、G、T又はCのいずれかであり;MはA又はCのいずれかであり;WはA又はTのいずれかであり;SはG又はCであり;そしてYはC又はTである。
【0314】
PCR産物は、Invitrogen TOPO TA cloning(登録商標)kit(Cat #: 45-0641)を用いて、pCR4−TOPO(登録商標)中にクローン化した。そしてT3及びT7プライマーを用いて配列決定した。次いで、配列を遺伝子バンクデータベースでBLAST検索して、全可変領域のクローニング用にリーダー配列を導き出した。データベースでのBLAST検索結果を基にして、以下のプライマー(Chardes et al., FEBS Letters 452:386-394, 1999)を、Pfxポリメラーゼ(Invitrogen)を用いて選択した。
【0315】
重鎖;
左プライマー;
CCAAGCTGTGTCCTRTCC(配列番号7);
右プライマー;
CGACAAGTCGACTAGCCCTTGACCAGGCATCC(配列番号8);
軽鎖;
左プライマー;
WTCTCTRGAGTCAGTGGG(配列番号9);
右プライマー;
CGACTAGTCGACTGGTGGGAAGATGGATACAG(配列番号10);
【0316】
PCR産物は、Invitrogen Zero Blunt(登録商標) TOPO(登録商標)PCRクローニング・キット (Cat 45-0245)を用いて、pCRBluntII(登録商標)-TOPO(登録商標)中にクローン化した。そしてT7プライマーを用いて配列決定した。
一度軽鎖及び重鎖の配列が決定すれば、核酸は、再コード化して(recoded)、例えばヒト宿主細胞での発現を最適化することができる。
【0317】
[実施例12]
トランスフェクトーマ(TRANSFECTOMAS)
NS0−eu細胞を、密度1×10
6細胞/mlになるように増殖した。細胞を指数増殖期に保持し、培地をトランスフェクションの前日に変更した。トランスフェクションの当日、40×10
6の細胞を洗浄した。次いで、軽鎖DNAなどの線状化した核酸(10μg)、及び例えば線状化した重鎖DNA(10μg)を、細胞懸濁液(全DNA体積を50μl未満にすべきである)に加え、そしてその培養物を氷上で15分間インキュベートした。DNA及び細胞混合物を冷却したキュベット(0.4cm)に移し、そして電気的パルス(750V、25μF)を印加した。電気的パルスを印加した後、キュベットを直ちに氷上に置き、そして10〜15分間氷上に保持した。細胞を収集し、プレート上に置いた。細胞を5%CO
2培養器内で12〜16日間、又はコロニーが出現するまでインキュベートした。細胞コロニーの上清、又は懸濁培地中の細胞成長をELIZAで試験した。陽性のトランスフェクトーマを、新鮮な培地でクローン化した。更に陽性のトランスフェクトーマをスクリーニングするため、滴定ELIZA又はバイアコール(Biacore)アッセイのいずれかを行った。増殖したトランスフェクトーマをシェーカーフラスコ内に保持し、そして抗体又はその誘導体を上清から収集した。
【0318】
[実施例13]
インビボ・アッセイ
コラーゲン誘発関節炎(CIA)は、確立したヒトRAモデルであるが、TNFαに対する抗体(Williams et al., PNAS 1992, 89:9784-9788)、及びCTLA−4及びTNFαの融合タンパク質に対する抗体(Webb et al., Eur J Immunol. 1996, 26:2320-2328; and Wooley et al., J Immunol. 1993, 151:6602-6607)の有効性を実証するために用いられている。ラット抗マウスCXCR5モノクローナル抗体、クローン1038は、CIAモデルのマウスでその輪郭が示されるが、ここで、DBA/1Jマウスは免疫され、チキンコラーゲンタイプIIで追加免疫された。疾患の重症度(これは動物足の腫脹/炎症の測定によって視覚的に評点されるが)は週2回モニタリングし、研究終了時に集めた関節を、炎症、パンヌス、軟骨破壊及び骨侵食における変化について評価した。クローン1038を、予防の投与計画で投与した場合、アイソタイプで処理されたマウスと比較して、疾患の重症度と関節病理の双方を有意に低下させた(反復測定ANOVA、p<0.05)。
【0319】
インビボ走化性における16D7−HC1−LC3の有効性を評価するために急性マウスモデルを採用した。簡潔に言えば、B細胞、T細胞及び好中球など免疫担当細胞上でhuCXCR5を選択的に発現するC57/Bl6マウス(8〜16週齢)は、CD11aプロモーターを用いる従来の伝統的な遺伝子組み換えによって作成された。インビボ走化性モデルは、好中球誘導モデル(neutrophil-driven model)である。huCXCL13リガンド(20μg)(R&D)を腹腔内投与すると、huCXCR5受容体を発現するマウス好中球は、huCXCL13グラジェントに応じて腹膜内空洞へ遊走した。huCX
CL13の腹腔内投与の80分後、腹膜内空洞の洗浄により細胞を回収し、フルオロサイトメトリー分析を用いて、huCXCL13の注入に反応して腹腔内空洞内に特異的に遊走した、腹膜洗浄サンプル(2ml)中のhuCXCL5発現好中球の数を定量した。好中球は、Ly6G、CD19及びCD11bなどの表現型マーカーで同定した。huCXCL13の注入の24時間前での、ヒト化抗hCXCR5、16D7−HC1LC3の2種類の異なった投与レベル(7.5μg又は15μg)での皮下投与は、好中球のアイソタイプ陰性の対照のレベルと比較して、統計学的に差のないレベルを本質的に示す2種のCXCR5抗体で処理されたサンプルと比較した場合、huCXCR5発現好中球の、huCXCL13に反応した腹膜内空洞への遊走を低下させるのに有効であることが示された。1.5μgでは、ヒト化CXCR5抗体は、試験したCXCR5抗体のより高い用量と比較して、好中球遊走の阻害は低レベルであった。
【0320】
[実施例14]
再表面形成(resurfacing)
マウス16D7クローンの再表面形成は、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1994) 91:969、及び米国特許第5639641号に記載の工程に従った。
16D7のV
L及びV
Hの配列は、核酸データバンク(Nucleic Acids Research, 28:235-242 (2000))に対してBLAST検索を行い、又はインターネットを経由してタンパク質データバンク(PDB)にアクセス可能であり、それは、3Dの生体高分子の座標を含み、そして16D7のアミノ酸配列に最も類似した10個の軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列を検索した。PDBの同定コードは配列を同定するために用いた。
【0321】
可変軽鎖についての最も近い10個のホモログは、
1MJU(J Mol Biol 332:423-435, 2003);
1AE6(Proteins 29:161-171, 1997);
1QYG(Pozharski et al., 「結合サイトの刻印:3種のコカイン類似体との複合体における抗コカイン抗体の構造研究」("Carving a Binding Site: Structural Study of
an Anti-Cocaine Antibody" in "Complex with Three Cocaine Analogs");
1UZG (J Virol 79:1223, 2005);
1UB5(Beuscher et al., 「青及び紫蛍光温度での青蛍光抗体19G2の構造及び力学」("Structure and Dynamics of Blue Fluorescent Antibody 19G2 at Blue and Violet Fluorescent Temperatures");
1RUR(Proc Natl Acad Sci USA 110:2247-2252, 2004,;
1FPT (Nat Struct Biol 2:232-243, 1995);
1QFU(Nat Struct Biol 6:530-534, 1999);
1NAK(Virology 315:159-173 , 2003);及び
1CGS(J Mol Biol 236:247-274, 1994);(余分な配列は除去した)
であり、そして可変重鎖についての最も近い10個のホモログは、
1FNS(Nat Struct Biol 7:881-884, 2000);
1OAK(Nat Struct Biol 5:189194, 1998);
1VFB(Proc Natl Acad Sci 91:1089-1093, 1994);
1CIC(Nature 348:254-257, 1990);
1GIG(Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50:768-777, 1994);
1T4K(J Mol Biol 343:1269-1280, 2004);
1A7P(Marks et al.);
1FE8(J Biol Chem 276:9985-9991 2001);
1DL7(J Exp Med 191:2101-2112, 2000);及び
1YY8(Cancer Cell 7:301-311, 2005);
であった。軽鎖及び重鎖についての最も近いホモログは、それぞれ、1MJU及び1FNSであった。これら2つの配列は可変領域の相同性モデルを構築するために用いられ、そ
れは、続いて、CHARMM22力場を用いた、原子座標位置の共役勾配最少化法(J Comput Chem (1983) 4, 187; J Comput Chem (1986) 7, 591)により、MOEスイート(MOE suite)(Chemical Computing Group, Quebec, CA)で行われているように、エネルギー最少化される。そのモデルは、CDR位置と、抗体分子のフレームワーク残基を位置づけるために用いた。個々の抗体可変領域についての10個の最も近いホモログの可変領域残基に対する溶媒のアクセッシビリティーを計算し、Excelの表計算ソフトにおいて、Scitegic手順で行われているように平均化した(Hill & Lewicki (2006) Statistics: Methods and Applications, Statsoft, Tulsa, OK)。30%を超える平均アクセッシビリティーを有する位置は、表面残基であると考えられた。25%〜30%の間の平均アクセッシビリティーを有する位置は、更に、CDRループへの近接に依存すると考えられた。
【0322】
マウス16D7の可変領域の表面位置を、ヒト抗体配列における対応位置と比較した。30%を超える接近可能な表面積を示すそれらの残基のみを、隣接溶媒に暴露される残基である、25%を超える接近可能な表面積を示すいくつかの残基と共に、探索のため保持した。全ての免疫グロブリン配列におけるいくつかの保存された残基を、探索の集束性を高めるために含めた。生殖細胞系の配列のみ、ヒットしたものを分析するために保持した。最も同一性の高い表面残基を備え、CDRから5オングストローム以内に入る位置に特別考慮して、ヒト抗体可変領域の表面を、マウス16D7抗体の可変領域の表面残基を置換するために選択した。
【0323】
いずれの配列も、公知の、免疫エピトープデータベース(IEDB, Immune Epitope Database and Analysis Resource web site; PLoS Biol. 2005;3(3):e91)に掲記されたB細胞又はT細胞のエピトープを含まなかった。
【0324】
マウス16D7の可変領域の元の配列は:
軽鎖(CDR部は下線を付した);
DIVMTQAAPSVAVTPRESVSISC
RSSKSLLHSSGKTYLYWFLQRPGQSPQLLIY
RMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGV YYC
MQHLEYP YTFGGGTKLE IK(配列番号11);及び
重鎖(CDR部は下線を付した);
QVQLKESGPGLVAPSQSLSITCTVS
GFSLIDYGVNWIRQPPGKGLEWLG
VIWGDGTTYYNSALKSRLSIRKDNSQSQVFL KMNSLQTDDTAMYYCAR
IVYWGQGTLVTVSA(配列番号12);
であった。
【0325】
軽鎖の探索のために表面残基の残されたセットとしては、D1、V3、A7、P9、P15、R16、E17、S18、P45、G46、Q47、D65、R79、R82、E86、K108、E110及びK112が含まれた。
【0326】
軽鎖のための検索要求は、上記で定義された表面残基のセットであり、そしてBLAST検索のプロトコールの集束のために含められた保存されたアミノ酸、C23、W40、Q43、Y91、C93、F103、G104、G106及びT107を含む。全てのその他のアミノ酸は、20個の天然アミノ酸のいずれかであり得る。BLAST検索は、IMGT(International Immunogenetics Information Systems website, Molec Immunol,
2004, 40:647-659)で編集された、ヒト遺伝子ライン抗体位配列のデータベースに対して為された。最も良好に合致したものは、軽鎖LC4から誘導されたX72482(タンパク質_id=CAA51150.1)であることが見出された。LC5及びLC6は、軽鎖における潜在的な問題残基に対処することが示唆されるVL4(VLは可変軽鎖を意
味する)の2つの変異体:Leu(LC5&LC6)に突然変異された1個の暴露されたメチオニン(M51)、及びアスパラギンN53がセリン残基に変わっている1つの可能性のある脱アミド化サイト(LC6)である。合計して、3つのバージョンが、親マウス16D7クローンに比較した場合、4〜6個の突然変異を含む可変軽鎖に対して提案された。対応する突然変異を以下の表1に示す。逐次及びKabatナンバリングで示される。
【0327】
可変重鎖に対する表面残基の保持されたセットとしては、Q1、Q3、K5、S7、P9、L11、S15、Q16、S20、P41、G42、K43、S61、A62、K64、S65、R70、S74、Q75、Q86、T87、D88、Q103、L106、A111、A112及びK113(逐次ナンバリング)が挙げられる。検索の集束のためのBLAST検索要求に含まれる不変アミノ酸としては、C22、W36、I37、Q39、D89、Y93、C95、W101、G102、G104及びT105がある。BLAST探索は、IMGTで編集されたヒト生殖細胞系抗体配列データベースに対して為された。重鎖(HG3)に対する1つのバージョンを保持した。AF062266(タンパク質_id=AAC18304.1)及びAY393082(タンパク質_id=AAS86018.1)の2つのV
H領域は、これは表面残基セットに対して最も良好な合致スコアを示したが、等価の類似性スコアを示し、そして同一の表面残基を示した。その結果、重鎖について、10個の突然変異を有する単一の配列のみが保持された。異なった表面残基を有するより低いスコアリングを有する配列は、潜在的に溶解性をより低下させる極性の低い残基を有するので保持されなかった。
【表1】
【0328】
軽鎖に対して、3つのバージョン(LC4、LC5及びLC6)が提案された。可変鎖の再表面化を通して導入された個々の突然変異は小文字で記載され、そして下線が付され、合わせてCDR部も下線が付されている。可変領域の再表面化配列を以下にリストアップするが、不変領域(IgG4)は含まれていない。
LC4:
DIVMTQ
sA
lS VAVTP
gESVS ISC
RSSKSLL HSSGKTYLYW FLQRPGQSPQ LLIY
RMSNLASGVPDRFSGS GSGTAFTL
kI SRVEAEDVGV YYC
MQHLEYP YTFGGGTKLE
IK(配列番号13);
LC5:
DIVMTQsA
lS VAVTP
gESVS ISC
RSSKSLL HSSGKTYLYW FLQRPGQSPQ LLIY
RlSNLASGVPDRFSGS GSGTAFTL
kI SRVEAEDVGV YYC
MQHLEYP YTFGGGTKLE
IK(配列番号14);
LC6:
DIVMTQ
sA
lS VAVTP
gESVS ISC
RSSKSLLHSSGKTYLYW FLQRPGQSPQ LLIY
RlSsnLASGVPDRFSGS GSG
TAFTL
kI SRVEAEDVGV YYC
MQHLEYPYTFGGGTKLE IK(配列番号15)。
【0329】
1つのバージョンは重鎖(VH3)について提案された(VHは可変重鎖を意味する)。可変鎖の再表面化を通して導入された個々の突然変異は小文字で記載され、そして下線が付され、かつCDR部も下線が付されている。不変領域配列(IgG4)は含まれていない;
HC3:
QVQL
qESGPG LVAPS
eSLSI TCTVS
GFSLIDYGVNWIRQP PGKGLEWLG
VIWGDGTTYYN
psLKSRLSI
s KDNS
kSQVFL KMNSL
taaDT AMYYCAR
IVYWGQGTLVTVS
s(配列番号16)。
【0330】
ヌクレオチド配列は、OE−PCRにより作成され、そしてエピソーム発現ベクターpXL4214のNheI/HindIII部位中にクローン化された(Durocher et al.,
NAR, 2002, 30(2), E9)。配列は、ヒト細胞における発現用としてコドンの最適化を行った。V
Lは、IGKC(AAH93097)と融合した。V
Hは、IGHG4(AAH25985)と融合し、C−末端のLys(IGHG4ΔK)が欠けていた。配列は、二重鎖配列決定法により検証された。
【0331】
LC4:
MGWSCIILFLVATATGVHSDIVMTQSALSVAVTPGESVSISCRSSKSLLHSSGKTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLKISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号17);
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCGACATCGTGATGACCCAGAGCGCCCTCAGCGTGGCCGTGACCCCCGGCGAGAGCGTGAGCATCAGCTGCCGCAGCAGCAAGAGCCTGCTGCACAGCAGCGGCAAGACCTACCTGTACTGGTTCCTGCAGCGCCCCGGCCAGAGCCCCCAGCTGCTGATCTACCGCATGAGCAACCTGGCCAGCGGCGTGCCCGACCGCTTCAGCGGCAGCGGCAGCGGCACCGCCTTCACCCTGAAGATCAGCCGCGTGGAGGCCGAGGACGTGGGCGTGTACTACTGCATGCAGCACCTGGAGTACCCCTACACCTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCCGCTCCTTCCGTGTTCATCTTCCCTCCCTCCGACGAGCAGCTGAAGTCCGGCACCGCCTCCGTGGTGTGTCTGCTGAACAACTTCTACCCTCGGGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTGCAGTCCGGCAACTCCCAGGAGTCCGTCACCGAGCAGGACTCCAAGGACAGCACCTACTCCCTGTCCTCCACCCTGACCCTGTCCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGTGAGGTGACCCACCAGGGCCTGTCCAGCCCTGTGACCAAGTCCTTCAACCGGGGCGAGTGCTGAAGCTT(配列番号18);
LC5:
MGWSCIILFLVATATGVHSDIVMTQSALSVAVTPGESVSISCRSSKSLLHSSGKTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRLSNLA
SGVPDRFSGSGSGTAFTLKISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号19);
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCGACATCGTGATGACCCAGAGCGCCCTCAGCGTGGCCGTGACCCCCGGCGAGAGCGTGAGCATCAGCTGCCGCAGCAGCAAGAGCCTGCTGCACAGCAGCGGCAAGACCTACCTGTACTGGTTCCTGCAGCGCCCCGGCCAGAGCCCCCAGCTGCTGATCTACCGCCTGAGCAACCTGGCCAGCGGCGTGCCCGACCGCTTCAGCGGCAGCGGCAGCGGCACCGCCTTCACCCTGAAGATCAGCCGCGTGGAGGCCGAGGACGTGGGCGTGTACTACTGCATGCAGCACCTGGAGTACCCCTACACCTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCCGCTCCTTCCGTGTTCATCTTCCCTCCCTCCGACGAGCAGCTGAAGTCCGGCACCGCCTCCGTGGTGTGTCTGCTGAACAACTTCTACCCTCGGGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTGCAGTCCGGCAACTCCCAGGAGTCCGTCACCGAGCAGGACTCCAAGGACAGCACCTACTCCCTGTCCTCCACCCTGACCCTGTCCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGTGAGGTGACCCACCAGGGCCTGTCCAGCCCTGTGACCAAGTCCTTCAACCGGGGCGAGTGCTGAAGCTT(配列番号20);
【0332】
LC6:
MGWSCIILFLVATATGVHSDIVMTQSALSVAVTPGESVSISCRSSKSLLHSSGKTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRLSSLASGVPDRFSGSGSGTAFTLKISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号21);
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCGACATCGTGATGACCCAGAGCGCCCTCAGCGTGGCCGTGACCCCCGGCGAGAGCGTGAGCATCAGCTGCCGCAGCAGCAAGAGCCTGCTGCACAGCAGCGGCAAGACCTACCTGTACTGGTTCCTGCAGCGCCCCGGCCAGAGCCCCCAGCTGCTGATCTACCGCCTGAGCAGCCTGGCCAGCGGCGTGCCCGACCGCTTCAGCGGCAGCGGCAGCGGCACCGCCTTCACCCTGAAGATCAGCCGCGTGGAGGCCGAGGACGTGGGCGTGTACTACTGCATGCAGCACCTGGAGTACCCCTACACCTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCCGCTCCTTCCGTGTTCATCTTCCCTCCCTCCGACGAGCAGCTGAAGTCCGGCACCGCCTCCGTGGTGTGTCTGCTGAACAACTTCTACCCTCGGGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTGCAGTCCGGCAACTCCCAGGAGTCCGTCACCGAGCAGGACTCCAAGGACAGCACCTACTCCCTGTCCTCCACCCTGACCCTGTCCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGTGAGGTGACCCACCAGG
GCCTGTCCAGCCCTGTGACCAAGTCCTTCAACCGGGGCGAGTGCTGAAGCTT(配列番号22);
【0333】
HC3:
MGWSCIILFLVATATGVHSQVQLQESGPGLVAPSESLSITCTVSGFSLIDYGVNWIRQPPGKGLEWLGVIWGDGTTYYNPSLKSRLSISKDNSKSQVFLKMNSLTAADTAMYYCARIVYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号23);
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGAGCGGCCCCGGCCTGGTGGCCCCCAGCGAGAGCCTGAGCATCACCTGCACCGTGAGCGGCTTCAGCCTGATCGACTACGGCGTGAACTGGATCCGCCAGCCCCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGCTGGGCGTGATCTGGGGCGACGGCACCACCTACTACAACCCCAGCCTGAAGAGCCGCCTGAGCATCTCCAAGGACAACAGCAAGAGCCAGGTGTTCCTGAAGATGAACAGCCTGACCGCCGCCGACACCGCCATGTACTACTGCGCCCGCATCGTGTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCAGCGCCAGCACCAAGGGCCCTTCCGTGTTCCCTCTGGCCCCTTGCTCCCGGTCCACCTCCGAGTCCACCGCCGCTCTGGGCTGCCTGGTGAAGGACTACTTCCCTGAGCCTGTGACCGTGTCCTGGAACTCTGGCGCCCTGACCTCCGGCGTGCACACCTTCCCTGCCGTGCTGCAGTCCTCCGGCCTGTACTCCCTGTCCTCCGTGGTGACCGTGCCTTCCTCCTCCCTGGGCACCAAGACCTACACCTGTAACGTGGACCACAAGCCTTCCAACACCAAGGTGGACAAGCGGGTGGAGTCCAAGTACGGCCCTCCTTGCCCTTCCTGCCCTGCCCCTGAGTTCCTGGGCGGACCTAGCGTGTTCCTGTTCCCTCCTAAGCCTAAGGACACCCTGATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTGACCTGTGTGGTGGTGGACGTGTCCCAGGAGGACCCTGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCTCGGGAGGAGCAGTTCAATTCCACCTACCGGGTGGTGTCTGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAAGAATACAAGTGTAAGGTCTCCAACAAGGGCCTGCCCTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAGGCCAAGGGCCAGCCTAGGGAGCCTCAGGTGTACACCCTGCCTCCTAGCCAGGAAGAGATGACCAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGTCTGGTGAAGGGCTTCTACCCTTCCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGTCCAACGGCCAGCCTGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCTGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTGTACTCCAGGCTGACCGTGGACAAGTCCCGGTGGCAGGAGGGCAACGTCTTTTCCTGCTCCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGTCC
CTGTCCCTGTCTCTGGGCTGAAGCTT(配列番号24)。
【0334】
[実施例15]
ヒト化
16D7のV
L及びV
H配列をBLAST検索し、そして可変軽鎖の最も近いホモログは、1MH5、1MJJ及び1MJU(J Mol Biol 332:423-435, 2003)であって、等価の類似性スコアを有した。1MJUは、1.22オングストロームの解像度で測定された高い正確さの結晶構造故にテンプレートとして保持された。重鎖の最も近いホモログは、1FNSであることが見出された(Nat Struct Biol 7:881-884, 2000)。構造、1MJU及び1FNS、を用いて可変ドメインのホモロジーモデルを構築し、それは、続いて標準手順を用いてエネルギー最小化された。16D7の3D相同モデルの分子力学(MD)の計算は、続いて、一般化Bornインプリシット溶媒(generalized Born implicit solvent)(Gallicchio & Levy, J Comput Chem 2004, 25:479-499を参照)中で、1.7ナノ秒間行なった。
【0335】
MDは、298.15°Kでのガウス分布からの速度の初期化で開始し、次いで300psの平衡期間が続いた。MDの間、全ての結合を、SHAKEアルゴリズムを用いて拘束し(Barth. Etal., J Comp Chem, 1995, 16:1192-1209を参照)、時間ステップはフェムト秒(fs)であり、そしてVerlet積分アルゴリズムに基づくシミュレーションは、正準NVT(粒子の数、体積及び温度)集団(ensemble)で、298.15°Kの温度にて行なった。生成期間中、1,700のスナップショットが、1ps毎に1つ保存された。マウス抗体の1,700の立体配座は集合を構成し、それについて、最も柔軟性のある残基を同定するために以下の分析を行った。MOE分子モデリング環境(Molecular Operating Environment (MOE), Chemical Computing Group, Quebec, Canada)内において利用可能である科学計算用ベクトル言語(Scientific Vector Language (SVL))を用いて、以下の分析をコード化した。第1に、各スナップショット、Nは、場合により、MDのモデリング及び計算中発生する全体の回転及び並進運動を制御するため、その前のスナップショットデータ、N−1に最適に重ね合わされた。重ね合わせは、2つのスナップショットからの対応する原子の全てのペア間の平均二乗距離の平方根(Root Mean Square Distance (RMSD))を最小化することにより得られた。重ね合わせの実行において、抗体骨格の重い原子のみが考慮された。同様の重ね合わせ方法を用いて、各々のスナップショットはメドイド(medoid)スナップショットに重ね合わせた。メドイド・スナップショットは、全ての立体配座の平均座標から最も近いデカルト(Cartesian)座標を備えた抗体の立体配座である。
【0336】
各抗体残基iについて、立体配座jとメドイド参照立体配座kの重い原子の間のRMSDを計算した。RMSDは次式:
【数1】
式中、d
lkは残基jの重い原子lとそのカウンターパートのメドイド参照立体配座kの間のオングストロームで表わされるユークリッド(Euclidesn)距離として定義される;
を有する。重い原子lの対合(pairwise association)について、アミノ酸、Asp、Leu、Val、Glu、Arg、Tyrについての側鎖の重い原子の対称性も考慮した。参照立体配座kは残基毎に変化し、そして検討した残基iのすべての立体配座の平均座標への最も近いユークリッド(Euclidesn)距離を有するメドイド立体配座kに相当する。次いで、各々の残基iについて、1,700のRMSD値の分布が得られ、それはMD中の残基iの座標変化を反映するものでった。検討した抗体の全ての残基の全てのRMSD
値を集合することにより、全てのRMSDのグローバル分布が得られ、全てのRMSDのグローバル分布は、次に、参照分布として使用された。残基iが高度に柔軟性があるならば、残基iの観察された平均RMSD、m
i、が全ての残基m
gに対するグローバル平均RMSDより有意に高いかどうかを決定するために、統計的検定を行った。サンプルが大きいので(例えば、クローン16D7の分析に対して1,700)、「観測されたm
i値は、グローバルm
g値より低い」という帰無仮説での片側z検定(one-tailed Z-test)(Dorofeev & Grant, 「現実のサンプル調査の統計学、非簡略化ランダムサンプル及び重み付けデータ」(“Statistics for real-life sample surveys. Non-simple-random samples and weighted data”)2006. Cambridge University Press)を用いて、統計的因子Z
iを、次式:
【数2】
式中、m
iは残基iのRMSD分布から計算された平均RMSDであり、m
gはグローバルRMSDから計算された平均RMSDであり、sd
iは残基iのRMSD分布から計算された標準偏差であり、そしてnはサンプルサイズであり、即ち、16D7クローンの分析についてはn=1700である;
に従って計算した。計算されたZ
iは、次に、有意水準99.9%レベルの対立仮説、即ち、「観測値m
iはグローバルm
gより高い」ことを評価するために、標準的な正規分布の累積確率と比較した。それは、Z
i≧3.08に対応する。統計値Z
iは、柔軟性スコアとして見ることができ、分子量又は抗体残基の重い原子の数とは相関しない(16D7抗CXCR5モデルのMDを分析する場合、r
2=0.014及び0.0009である)。
【0337】
軽鎖についての柔軟性残基のセットは、以下の残基(逐次ナンバリング):D1、T14、P15、R16、E17、Q47、D65、S72、R79、R82、E86、K108、E110及びK112を含み;そして、重鎖については、以下の残基:Q1、V2、Q3、L11、S15、Q16、S61、A62、K64、S65、 R70、D72、Q75、K81、M82、N83、Q86、Q103、S110、A111、A112及びK113を含む。16D7の柔軟部分を、2005年9月版のImMunoGeneTics データベース・ウェブサイトにおけるヒト抗体配列の対応する部分と比較した。
【0338】
有意に高い柔軟性スコアを示すこれらの残基と、柔軟性残基の3D構造を保持する幾つかのフランキングの残基は、検索のため保持された。
最も同一性の高い柔軟性残基を有するヒト抗体可変領域が、CDRの5.0オングストローム以内に入る位置に特別に配慮して、マウス16D7の抗体可変領域の柔軟性残基を置換するために選択された。得られたヒト化配列は、UniProtKB/SwissProtデータベースにおいて配列の同一性をBLAST検索し、合理的な仮定が為されていることの確信を得た。全ての配列は、多くのヒト抗体に対して高度に類似性を示した。更に、いずれの配列も、IEDBデータベースにリストアップされた公知のB細胞又はT細胞エピトープを含んでいなかった。
【0339】
軽鎖(LC1、LC2及びLC3)の場合、IEDBにおいて最もよく合致した配列は、KPGQPPRLLIYDASNRATGIPA(配列番号25)であり、それはCDR2をカバーするが、しかし、IEDBデーターベース内でのBLAST検索から得られた56%の配列同一性によって代表されるように、有意な残基の差異を有する。
【0340】
重鎖(HC1及びHC2)の場合、IEDBにおける最もよく合致した配列は、TDDTAMYYCARI(配列番号26)であり、それはCDR3のスタート前に位置してい
る。その配列は、ペプチドSEDSALYYCARD(配列番号27)と61%の配列同一性を示し、そのため潜在的なヒトT細胞エピトープとは思えない(J. Exp. Med., (1995), 181, 1540)。
【0341】
マウス16D7可変領域の元の配列は:
軽鎖(CDR部は下線を付した):
DIVMTQAAPSVAVTPRESVSISC
RSSKSLLHSSGKTYLYWFLQRPGQSPQLLIY
RMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGVYYC
MQHLEYPYTFGGGTKLE IK(配列番号28);そして
重鎖(CDR部は下線を付した):
QVQLKESGPGLVAPSQSLSITCTVS
GFSLIDYGVNWIRQP PGKGLEWLG
VIWGDGTTYYNSALKSRLSIRKDNSQSQVFLKMNSLQTDDTAMYYCAR
IVYWGQGTLVTVS A(配列番号29)。
【0342】
重鎖(HC1&HC2)について2つのバージョン、及び軽鎖について3つのバージョン(LC1、LC2及びLC3)が示唆された。重鎖の両バージョンは、AF262096/AAF79987及びAB063657/BAC01285.1からそれぞれ誘導される。2つの配列は、等価な類似性スコアを示すが、しかし、突然変異を起こさせる残基のセットは相対的に異なるように見え、そして異なった物理化学的特性を示すため保存した。LC1配列は、BAC01682/AB064054.1から誘導され、そして突然変異を起こすのは2つの残基のみである。LC2及びLC3は、軽鎖における潜在的な問題残基に対処することが示唆されるLC1の変異体:Leuに突然変異した露出されたメチオニン(M51)(バージョン3及び4)及びアスパラギン、N53、がセリン残基に変っている1つの潜在的脱アミド化部位である。これら全ての組合せが保持されたわけではないが、しかし4つは対処すべき最も重要な点をカバーしている。Kabatナンバリングを用いている。
【0343】
【表2】
【0344】
可変鎖のヒト化を経由して導入された突然変異は小文字で示し、かつ、下線を付し、そしてCDRは下線を付した。不変領域は含まれていない。
LC1:
DIVMTQAAPSVAVTP
gaSVSISC
RSSKSLLHSSGKTYLYW FLQRPGQSPQLLIY
RMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGV YYC
MQHLEYPYTFGGGTKLE IK(配列番号30);
LC2:
DIVMTQAAPSVAVTP
gaSVS ISC
RSSKSLLHSSGKTYLYW FLQRPGQSPQLLIY
RlSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGV YYC
MQHLEYPYTFGGGTKLEIK(配列番号31);
LC3:
DIVMTQAAPSVAVTP
gaSVSISC
RSSKSLLHSSGKTYLYW FLQRPGQSPQLLIY
RlSsLASGVPDRFSGSGSGTAFTL
RISRVEAEDVGV YYC
MQHLEYPYTFGGGTKLEIK(配列番号32);
HC1:
QVQLKESGPGLVAPS
eSLSITCTVS
GFSLIDYGVNWIRQP PGKGLEWLG
VIWGDGTTYYN
psLKSRLSI
sKDNS
kSQVFLK
vtSL
tTDDT AMYYCAR
IVYWGQGTLVTVSA(配列番号33);
HC2:
eVQLKESGPGLVAP
ggSLSITCTVS
GFSLIDYGVNWIRQP PGKGLEWLG
VIWGDGTTYYN
apLK
gRLSI
sKDNS
kSQVFL
qMNSL
kTDDT AMYYCAR
IVYWGQGTLVTVS
s (配列番号34)
【0345】
キメラコンストラクトの配列は、以下の通りである:
キメラLC配列
MGWSCIILFLVATATGVHSDIVMTQAAPSVAVTPRESVSISCRSSKSLLHSSGKTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号35);
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCGACATCGTGATGACCCAGGCCGCCCCCAGCGTGGCCGTGACCCCCCGCGAGAGCGTGAGCATCAGCTGCCGCAGCAGCAAGAGCCTGCTGCACAGCAGCGGCAAGACCTACCTGTACTGGTTCCTGCAGCGCCCCGGCCAGAGCCCCCAGCTGCTGATCTACCGCATGAGCAACCTGGCCAGCGGCGTGCCCGACCGCTTCAGCGGCAGCGGCAGCGGCACCGCCTTCACCCTGCGCATCAGCCGCGTGGAGGCCGAGGACGTGGGCGTGTACTACTGCATGCAGCACCTGGAGTACCCCTACACCTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCCGCTCCTTCCGTGTTCATCTTCCCTCCCTCCGACGAGCAGCTGAAGTCCGGCACCGCCTCCGTGGTGTGTCTGCTGAACAACTTCTACCCTCGGGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTGCAGTCCGGCAACTCCCAGGAGTCCGTCACCGAGCAGGACTCCAAGGACAGCACCTACTCCCTGTCCTCCACCCTGACCCTGTCCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGTGAGGTGACCCACCAGGGCCTGTCCAGCCCTGTGACCAAGTCCTTCAACCGGGGCGAGTGCTGAAGCTT(配列番号36);
【0346】
キメラHC配列
MGWSCIILFLVATATGVHSQVQLKESGPGLVAPSQSLSITCTVSGFSLIDYGVNWIRQPPGKGLEWLGVIWGDGTTYYNSALKSRLSIRKDNSQSQVFLKMNSLQTDDTAMYYCARIVYWGQGTLVTVSAASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQE
DPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号37);
【0347】
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCCAGGTGCAGCTGAAGGAGAGCGGCCCCGGCCTGGTGGCCCCCAGCCAGAGCCTGAGCATCACCTGCACCGTGAGCGGCTTCAGCCTGATCGACTACGGCGTGAACTGGATCCGCCAGCCCCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGCTGGGCGTGATCTGGGGCGACGGCACCACCTACTACAACAGCGCCCTGAAGAGCCGCCTGAGCATCCGCAAGGACAACAGCCAGAGCCAGGTGTTCCTGAAGATGAACAGCCTGCAGACCGACGACACCGCCATGTACTACTGCGCCCGCATCGTGTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCGCCGCCAGCACCAAGGGCCCTTCCGTGTTCCCTCTGGCCCCTTGCTCCCGGTCCACCTCCGAGTCCACCGCCGCTCTGGGCTGCCTGGTGAAGGACTACTTCCCTGAGCCTGTGACCGTGTCCTGGAACTCTGGCGCCCTGACCTCCGGCGTGCACACCTTCCCTGCCGTGCTGCAGTCCTCCGGCCTGTACTCCCTGTCCTCCGTGGTGACCGTGCCTTCCTCCTCCCTGGGCACCAAGACCTACACCTGTAACGTGGACCACAAGCCTTCCAACACCAAGGTGGACAAGCGGGTGGAGTCCAAGTACGGCCCTCCTTGCCCTTCCTGCCCTGCCCCTGAGTTCCTGGGCGGACCTAGCGTGTTCCTGTTCCCTCCTAAGCCTAAGGACACCCTGATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTGACCTGTGTGGTGGTGGACGTGTCCCAGGAGGACCCTGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCTCGGGAGGAGCAGTTCAATTCCACCTACCGGGTGGTGTCTGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAAGAATACAAGTGTAAGGTCTCCAACAAGGGCCTGCCCTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAGGCCAAGGGCCAGCCTAGGGAGCCTCAGGTGTACACCCTGCCTCCTAGCCAGGAAGAGATGACCAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGTCTGGTGAAGGGCTTCTACCCTTCCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGTCCAACGGCCAGCCTGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCTGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTGTACTCCAGGCTGACCGTGGACAAGTCCCGGTGGCAGGAGGGCAACGTCTTTTCCTGCTCCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGTCCCTGTCCCTGTCTCTGGGCTGAAGCTT(配列番号38);
【0348】
ヒト化VL配列
LC1:
MGWSCIILFLVATATGVHSDIVMTQAAPSVAVTPGASVSISCRSSKSLLHSSGKTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(
配列番号39);
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCGACATCGTGATGACCCAGGCCGCCCCCAGCGTGGCCGTGACCCCCGGCGCCAGCGTGAGCATCAGCTGCCGCAGCAGCAAGAGCCTGCTGCACAGCAGCGGCAAGACCTACCTGTACTGGTTCCTGCAGCGCCCCGGCCAGAGCCCCCAGCTGCTGATCTACCGCATGAGCAACCTGGCCAGCGGCGTGCCCGACCGCTTCAGCGGCAGCGGCAGCGGCACCGCCTTCACCCTGCGCATCAGCCGCGTGGAGGCCGAGGACGTGGGCGTGTACTACTGCATGCAGCACCTGGAGTACCCCTACACCTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCCGCTCCTTCCGTGTTCATCTTCCCTCCCTCCGACGAGCAGCTGAAGTCCGGCACCGCCTCCGTGGTGTGTCTGCTGAACAACTTCTACCCTCGGGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTGCAGTCCGGCAACTCCCAGGAGTCCGTCACCGAGCAGGACTCCAAGGACAGCACCTACTCCCTGTCCTCCACCCTGACCCTGTCCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGTGAGGTGACCCACCAGGGCCTGTCCAGCCCTGTGACCAAGTCCTTCAACCGGGGCGAGTGCTGAAGCTT(配列番号40);
【0349】
LC2:
MGWSCIILFLVATATGVHSDIVMTQAAPSVAVTPGASVSISCRSSKSLLHSSGKTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRLSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号41);
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCGACATCGTGATGACCCAGGCCGCCCCCAGCGTGGCCGTGACCCCCGGCGCCAGCGTGAGCATCAGCTGCCGCAGCAGCAAGAGCCTGCTGCACAGCAGCGGCAAGACCTACCTGTACTGGTTCCTGCAGCGCCCCGGCCAGAGCCCCCAGCTGCTGATCTACCGCCTGAGCAACCTGGCCAGCGGCGTGCCCGACCGCTTCAGCGGCAGCGGCAGCGGCACCGCCTTCACCCTGCGCATCAGCCGCGTGGAGGCCGAGGACGTGGGCGTGTACTACTGCATGCAGCACCTGGAGTACCCCTACACCTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCCGCTCCTTCCGTGTTCATCTTCCCTCCCTCCGACGAGCAGCTGAAGTCCGGCACCGCCTCCGTGGTGTGTCTGCTGAACAACTTCTACCCTCGGGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTGCAGTCCGGCAACTCCCAGGAGTCCGTCACCGAGCAGGACTCCAAGGACAGCACCTACTCCCTGTCCTCCACCCTGACCCTGTCCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGTGAGGTGACCCACCAGGGCCTGTCCAGCCCTGTGACCAAGTCCTTCAACCGGGGCGAGTGCTGAAGCTT(配列番号42);
【0350】
LC3:
MGWSCIILFLVATATGVHSDIVMTQAAPSVAVTPGASVSISCRSSKSLLHSSGKTYLYWFLQRPGQSPQLLIYRLSSLASGVPDRFSGSGSGTAFTLRISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPYTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号43);
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCGACATCGTGATGACCCAGGCCGCCCCCAGCGTGGCCGTGACCCCCGGCGCCAGCGTGAGCATCAGCTGCCGCAGCAGCAAGAGCCTGCTGCACAGCAGCGGCAAGACCTACCTGTACTGGTTCCTGCAGCGCCCCGGCCAGAGCCCCCAGCTGCTGATCTACCGCCTGAGCAGCCTGGCCAGCGGCGTGCCCGACCGCTTCAGCGGCAGCGGCAGCGGCACCGCCTTCACCCTGCGCATCAGCCGCGTGGAGGCCGAGGACGTGGGCGTGTACTACTGCATGCAGCACCTGGAGTACCCCTACACCTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGGAGATCAAGCGTACGGTGGCCGCTCCTTCCGTGTTCATCTTCCCTCCCTCCGACGAGCAGCTGAAGTCCGGCACCGCCTCCGTGGTGTGTCTGCTGAACAACTTCTACCCTCGGGAGGCCAAGGTGCAGTGGAAGGTGGACAACGCCCTGCAGTCCGGCAACTCCCAGGAGTCCGTCACCGAGCAGGACTCCAAGGACAGCACCTACTCCCTGTCCTCCACCCTGACCCTGTCCAAGGCCGACTACGAGAAGCACAAGGTGTACGCCTGTGAGGTGACCCACCAGGGCCTGTCCAGCCCTGTGACCAAGTCCTTCAACCGGGGCGAGTGCTGAAGCTT(配列番号44);
【0351】
ヒト化VH配列
HC1:
MGWSCIILFLVATATGVHSQVQLKESGPGLVAPSESLSITCTVSGFSLIDYGVNWIRQPPGKGLEWLGVIWGDGTTYYNPSLKSRLSISKDNSKSQVFLKVTSLTTDDTAMYYCARIVYWGQGTLVTVSAASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号45);
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCCAGGTGCAGCTGAAGGAGAGCGGCCCCGGCCTGGTGGCCCCCAGCGAGAGCCTGAGCATCACCTGCACCGTGAGCGGCTTCAGCCTGATCGACTACGGCGTGAACTGGATCCGCCAGCCCCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGCTGGGCGTGATCTGGGGCGACGGCACCACCTACTACAACCCCAGCCTGAAGAGCCGCCTGAGCATCAGCAAGGACAACAGCAAGAGCCAGGTGTTCCTGAAGGTGACCAGCCTGACCACCGACGACACCGCCATGTACTACTGCGCCCGCAT
CGTGTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCGCCGCCAGCACCAAGGGCCCTTCCGTGTTCCCTCTGGCCCCTTGCTCCCGGTCCACCTCCGAGTCCACCGCCGCTCTGGGCTGCCTGGTGAAGGACTACTTCCCTGAGCCTGTGACCGTGTCCTGGAACTCTGGCGCCCTGACCTCCGGCGTGCACACCTTCCCTGCCGTGCTGCAGTCCTCCGGCCTGTACTCCCTGTCCTCCGTGGTGACCGTGCCTTCCTCCTCCCTGGGCACCAAGACCTACACCTGTAACGTGGACCACAAGCCTTCCAACACCAAGGTGGACAAGCGGGTGGAGTCCAAGTACGGCCCTCCTTGCCCTTCCTGCCCTGCCCCTGAGTTCCTGGGCGGACCTAGCGTGTTCCTGTTCCCTCCTAAGCCTAAGGACACCCTGATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTGACCTGTGTGGTGGTGGACGTGTCCCAGGAGGACCCTGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCTCGGGAGGAGCAGTTCAATTCCACCTACCGGGTGGTGTCTGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAAGAATACAAGTGTAAGGTCTCCAACAAGGGCCTGCCCTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAGGCCAAGGGCCAGCCTAGGGAGCCTCAGGTGTACACCCTGCCTCCTAGCCAGGAAGAGATGACCAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGTCTGGTGAAGGGCTTCTACCCTTCCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGTCCAACGGCCAGCCTGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCTGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTGTACTCCAGGCTGACCGTGGACAAGTCCCGGTGGCAGGAGGGCAACGTCTTTTCCTGCTCCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGTCCCTGTCCCTGTCTCTGGGCTGAAGCTT(配列番号46);
【0352】
HC2:
MGWSCIILFLVATATGVHSEVQLKESGPGLVAPGGSLSITCTVSGFSLIDYGVNWIRQPPGKGLEWLGVIWGDGTTYYNAPLKGRLSISKDNSKSQVFLQMNSLKTDDTAMYYCARIVYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG(配列番号47);
GCTAGCACCATGGGCTGGAGCTGCATCATCCTGTTCCTGGTGGCCACCGCCACCGGCGTGCACAGCGAGGTGCAGCTGAAGGAGAGCGGCCCCGGCCTGGTGGCCCCCGGCGGCAGCCTGAGCATCACCTGCACCGTGAGCGGCTTCAGCCTGATCGACTACGGCGTGAACTGGATCCGCCAGCCCCCCGGCAAGGGCCTGGAGTGGCTGGGCGTGATCTGGGGCGACGGCACCACCTACTACAACGCCCCCCTGAAGGGCCGCCTGAGCATCAGCAAGGACAACAGCAAGAGCCAGGTGTTCCTGCAGATGAACAGCCTGAAGACCGACGACACCGCCATGTACTACTGCGCCCGCATCGTGTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCAGCG
CCAGCACCAAGGGCCCTTCCGTGTTCCCTCTGGCCCCTTGCTCCCGGTCCACCTCCGAGTCCACCGCCGCTCTGGGCTGCCTGGTGAAGGACTACTTCCCTGAGCCTGTGACCGTGTCCTGGAACTCTGGCGCCCTGACCTCCGGCGTGCACACCTTCCCTGCCGTGCTGCAGTCCTCCGGCCTGTACTCCCTGTCCTCCGTGGTGACCGTGCCTTCCTCCTCCCTGGGCACCAAGACCTACACCTGTAACGTGGACCACAAGCCTTCCAACACCAAGGTGGACAAGCGGGTGGAGTCCAAGTACGGCCCTCCTTGCCCTTCCTGCCCTGCCCCTGAGTTCCTGGGCGGACCTAGCGTGTTCCTGTTCCCTCCTAAGCCTAAGGACACCCTGATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTGACCTGTGTGGTGGTGGACGTGTCCCAGGAGGACCCTGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCTCGGGAGGAGCAGTTCAATTCCACCTACCGGGTGGTGTCTGTGCTGACCGTGCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAAGAATACAAGTGTAAGGTCTCCAACAAGGGCCTGCCCTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAGGCCAAGGGCCAGCCTAGGGAGCCTCAGGTGTACACCCTGCCTCCTAGCCAGGAAGAGATGACCAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGTCTGGTGAAGGGCTTCTACCCTTCCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGTCCAACGGCCAGCCTGAGAACAACTACAAGACCACCCCTCCTGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTGTACTCCAGGCTGACCGTGGACAAGTCCCGGTGGCAGGAGGGCAACGTCTTTTCCTGCTCCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTACACCCAGAAGTCCCTGTCCCTGTCTCTGGGCTGAAGCTT (配列番号48)。
【0353】
[実施例16]
分子動力学トラジェクトリーに基づくヒト化
16D7のV
L及びV
H配列をタンパク質データベース(PDB)でBLAST検索し(Berman et al., Nucleic Acids Research, 2000, 28 :235-242)、そして可変軽鎖の最も近いホモログは、1MH5、1MJJ及び1MJU(J Mol Biol 332:423-435, 2003)であり、等価の類似性スコアを有する。1MJUは、最大で1.22オングストロームの解像度で測定されている高い正確さの結晶構造故にテンプレートとして保持された。重鎖の最も近いホモログは、1FNSであることが見出された (Nat Struct Biol 7:881-884, 2000)。構造、1MJU及び1FNSは、続いて標準的手順を用いてエネルギー最小化された可変ドメインのホモロジーモデルを構築するために使用された。
【0354】
16D7の3D相同性モデル(MD)の分子動力学シミュレーションを、続いて一般化Bornインプリシット溶媒(Gallicchio & Levy, J Comput Chem 2004, 25:479-499参照)において1.1ナノ秒(ns)間行なった。MDシミュレーションは500Kでのガウス分布からの速度の初期化により開始し、その後200ピコ秒(ps)の平衡期間が続く。MDシミュレーション中、すべての結合をSHAKEアルゴリズム(Barth. et al., J Comp Chem, 1995, 16:1192-1209参照)を用いて拘束し、時間ステップは1フェムト秒(fs)で、そしてVerlet積分アルゴリズムに基づいたシミュレーションを、基準NVT(粒子の数、体積及び温度)集合で500Kの温度にて行なった。このシミュレーションは、骨格原子に加えられる調和拘束(harmonic constraint)によって行なわれる。10の多様な立体配座が、この最初のシミュレーションの最後の1ns間に100ps毎に1つ引き出される。
【0355】
これらの10の多様な立体配座は、次いで骨格上の拘束なしに、一般化Bornインプリシ
ット溶媒中で、2.3ns間300Kの温度で、10の分子動力学シミュレーションを行なうために10の多様な開始点として使用される。各MDシミュレーションは298.15Kでのガウス分布からの速度の初期化により開始し、その後300psの平衡期間が続く。すべての結合をSHAKEアルゴリズム(Barth. et al., J Comp Chem, 1995, 16:1192-1209参照)を用いて拘束し、時間ステップは1fsで、そしてVerlet積分アルゴリズムに基づいたシミュレーションを、正準NVT(粒子の数、体積及び温度)集合で298.15Kの温度にて行なった。次いで、生成期間中、2,000のスナップショットが1fs毎に1つ保存された。MOE分子モデリング環境、(Molecular Operating Environment (MOE)、Chemical Computing Group, Quebec, Canada) 内で利用可能な、科学計算用ベクトル言語(Scientific Vector Language) (SVL)が以下の処理後プロトコールをコードするために使用された。
【0356】
最初に、各スナップショットNは、MDモデリング及び計算の間に起こる全体の回転及び並進運動を切り捨てるために、その前のスナップショット、スナップショットN−1上に最適に重ね合わせた。重ね合わせは、2つのスナップショットから対応する原子の全ペア間の平均二乗距離の平方根(RMSD)を最小化することにより得られた。抗体骨格の重い原子のみが重ね合わせ操作において考慮された。同じ重ね合わせ法を用いて、各スナップショットは次いでメドイド(medoid)スナップショット上に重ね合わせた。メドイド・スナップショットは、全立体配座の平均座標から最も近いデカルト(Cartesian)座標を備えた抗体の立体配座である。各10MDシミュレーションについて、最後の2,000の立体配座が、マウス抗体の各アミノ酸について、アミノ酸のメドイド立体配座に関する原子位置の偏差を定量化するために使用される。各抗体残基iについて、立体配座j及びメドイド参照立体配座kの重い原子間のRMSDを算出した。RMSDは次式:
【数3】
式中、d
lkは残基jの重原子lとそのカウンターパートのメドイド参照立体配座kの間のオングストロームで表わされるユークリッド距離として定義される;
を有する。重い原子lの対合について、アミノ酸、Asp、Leu、Val、Glu、Arg、Phe及びTyrの側鎖の重い原子の対称性も考慮した。参照立体配座kは残基毎に変化し、そして検討した残基iの全立体配座の平均座標への最も近いユークリッド距離を有するメドイド立体配座kに相当する。
【0357】
ヒト化突然変異は、ヒト抗体生殖細胞系が、それらの最も柔軟なアミノ酸の観点からマウス抗体と最も類似しているかを定量することにより見出される。そうするために、マウス抗体の60の最も柔軟なアミノ酸の動きを、分子動力学シミュレーションの20ns(10×2ns)の間、ヒト抗体生殖細胞系の49の相同性モデルの対応するアミノ酸の動きと比較するが、その各々について10回の分子動力学シミュレーションを、同じプロトコールを用いて行なった。ヒト抗体生殖細胞系の49の3D相同性モデルは、7つの最高頻度ヒト軽鎖(vκ1、vκ2、vκ3、vκ4、vλ1、vλ2、vλ3)及び7つの最高頻度ヒト重鎖(vh1a、vh1b、vh2、vh3、vh4、vh5、vh6)によって構築された(Nucleic Acids Research, 2005, Vol. 33, Database issue D593-D597)。
【0358】
60の最も柔軟なアミノ酸は、CDRにおけるいずれのアミノ酸も除外し、そしてその直近隣接、即ち3D相同性モデルに見られるようにCDRアミノ酸のいずれのα炭素に対しても5オングストローム未満の距離にα炭素を有するアミノ酸を除外する。
【0359】
柔軟性は、所定のアミノ酸(i)のRMSD(Fi)を、既に定義した10回の分子動力学シミュレーションにわたって平均化したそのメドイド立体配座と、そして同じ10回の分子動力学シミュレーションにわたって平均化したマウス抗体の全アミノ酸のRMSD(Fm)と比較することにより定量化される。Zi=(Fi−Fm)/Fmとして定義した柔軟性スコアZiが0.15を超える場合、アミノ酸はT細胞受容体と相互作用し、そして免疫応答を誘発する可能性があるほどに十分柔軟性であると考えられる。
柔軟性推定プロトコールを平均化したこの分子動力学を用いて、23アミノ酸は、CDR領域及びその直近隣接を除外してマウス16D7抗体の可変領域において柔軟性であると考えられた。
【0360】
軽鎖の柔軟性残基のセットは、以下の残基(逐次ナンバリング):R16、E17、R44、G46、Q47、S48、R79、R82、E84、E86、及びE110;そして重鎖では以下の残基K5、P41、G42、K43、K64、R70、D72、N73、S74、Q75、Q86、及びQ103を含む。
【0361】
49のヒト生殖細胞系相同性モデルに対するマウス抗体の四次元類似性は、特有の三次元立方格子を利用して、10回の分子動力学シミュレーションの全ピコ秒スナップショットを用いて、60の柔軟性アミノ酸の特定原子の位置をサンプリングすることによって定量化される。この格子は1オングストロームの解像度を有する。三次元格子は445,740点で作られ、そして抗体に基づくヒト抗体結晶学的モデルの三次元構造、8FAB (Biochem 30:3739-3748, 1991)を用いて開始している。8FABモデルは、三次元格子においてサンプリングされる抗体のすべてのピコ秒スナップショット立体配座を位置決めするためにも使用される。この目的のために、抗体の分子動力学のメドイド立体配座が8FABモデルに重ね合わされる。この重ね合わせは2つのモデルの慣性モーメントを整列すること(aligning)から成り、続いて両モデルのα炭素間のスカラー距離の最小化が行なわれる。分子動力学シミュレーションのすべての残りの立体配座は、同じ方法を用いてメドイド立体配座に重ね合わされる。
【0362】
比較される1対の抗体について、2つの類似性(静電類似性及び親油類似性)をもたらす2タイプのサンプリングが行なわれる。これらの2つの類似性は、次いで全類似性を得るために加えられる。静電サンプリングは、アミノ酸側鎖のすべての原子を考慮する。格子の1点、xでの値は、Amber99力場(Cieplak et al.; J. Comp. Chem. 2001, 22 :1048-1057)に記載の原子部分電荷で重み付けされた、三次元ガウス関数f(x)を適用することにより得られる。f(x)関数は、以下の式:
【数4】
式中、x及びuは、それぞれ格子点及びサンプリングしたアミノ酸原子のデカルト座標であり、そしてs=r/1.6(r=原子の共有結合半径(covalence radius))である;
を用いて3つのデカルト座標軸に適用される。サンプリングはアミノ酸のすべての立体配座で繰り返され、そして得られた結果は三次元格子の全点で平均化される。親油サンプリングは、アミノ酸側鎖の親油性原子のみを考慮する。格子の1点での値は重み付けなしに同じガウス関数f(x)で計算される。結果として、比較されている2つの抗体の分子動力学シミュレーションからの、ピコ秒スナップショット立体配座の2つのアンサンブルは、同じ三次元格子によりサンプリングされる。抗体aと抗体b間の静電類似性(sim−elec)は、以下の式:
【数5】
で計算することができる。親油類似性は、同じ式を既述の親油サンプリングで生成されたデータに適用して計算される。
【0363】
ヒト生殖細胞系モデルvλ2−vh4は、マウス抗体16D7の60の最も柔軟性であるアミノ酸に関して、その60の最も柔軟性であるアミノ酸の最大四次元類似性(全類似性=50%)を示す。ヒト生殖細胞系モデルvλ2−vh4は、次いで16D7柔軟性残基を置き換えるために使用された。予め、2つの配列のアミノ酸は対応する3D相同性モデルのα炭素の最適重ね合わせに従ってアラインされた。不要なモチーフは、上記の段落41に既述のBLAST検索を用いて、得られたヒト化配列において検索された。加えて、公知のB細胞又はT細胞エピトープが、上記の段落44に記載のIEDBデータベースを用いて、得られたヒト化配列において検索された。
【0364】
軽鎖(LC7)についてIEDBにおける最良の配列適合(match)は、CDR2をカバーするPGKAPQLLIYRMSNL(配列番号52)であった。この配列はHLA−DRB1 0404
*への結合を示すペプチドPGKAPKLLIYAASSL(配列番号53)と73%の配列同一性を示すが、ヒトでの免疫原性は立証されていない (J Immunol (1995) 155, 5655)。
【0365】
重鎖(HC4及びHC5)についてIEDBにおける最良の適合は、CDR1をカバーするSLIDYGVNWIRQPPG(配列番号54)であったが、IEDBデータベース内でのBLAST検索から得られた40%配列同一性により代表されるものとは、有意な残基の相違を有する。
【0366】
重鎖(HC4及びHC5)について2つのバージョン及び軽鎖(LC7)について1つのバージョンが得られた。重鎖の両バージョンはヒト生殖細胞系モデルvλ2−vh4に由来する。HC5は、潜在的な問題残基:アスパラギン、N60がプロリン残基に変えられる1つの潜在的脱アミド化部位に対処するための、付加的突然変異を有するHC4の変異体である。
【0367】
可変鎖のヒト化を通して導入された突然変異は小文字で示され、下線が付与され、CDRも下線が付与されている。定常領域は含まれていない。
LC7:
DIVMTQAAPSVAVTP
gqSVSISC
RSSKSLLHSSGKTYLYWFLQ
hPG
kaPQ LLIY
RMSNLASGVPDRFSGSGSGTAFTL
tIS
gV
qAEDVGVYYC
MQHLEYP YTFGGGTKLEIK (配列番号55)
HC4:
QVQL
qESGPGLVAPSQSLSITCTVS
GFSLIDYGVNWIRQP PGKGLEWLG
VIWGDGTTYYNSALKSRLSI
sKD
tS
kSQVFLKMNSL
tTDDT AMYYCAR
IVYWGQGTLVTVSAAK (配列番号56)
HC5:
QVQLqESGPGLVAPSQSLSITCTVS
GFSLIDYGVNWIRQP PGKGLEWLG
VIWGDGTTYY
pSALKSRLSI
sKD
tS
kSQV
FLKMNSL
tTDDT AMYYCAR
IVYWGQGTLVTVSAAK (配列番号57)
【0368】
【表3】
【0369】
[実施例17]
薬物動態学
本研究は、適切な数の動物(例えば、1試験に4匹;単回投与で2匹及び反復投与で2匹、週5回投与)、2.0〜5.4kg体重及び2〜7歳の範囲の健常な専用飼育雄カニクイザルで行なわれた。動物は、2処置群に割り付けて、1群には対照IgG4抗体を投与し、1群にはヒト化16D7を投与した。各群のサルには、例えば、2〜3mL/kgの投与量で2.5〜10mg/kgを単回静脈内ボーラスで、又はi.v.で週5回投与した。血液サンプルは、各用量投与後種々の時点で採取し、血漿にまで処理した。血漿サンプルは、ELISAを用いてIgG4及びCXCR5のmAbの総濃度を分析した。
【0370】
[実施例18]
比較研究
幾つかの本抗体を並列実験で市販の抗体と比較した。R & D Systemsから入手できるMAB190は、マウスmAbである。RF82Bは、BDから入手できる抗ヒトCXCR5である。クローン2C1は、Abnovaから入手可能なGSTタグを有するマウスmAbである。本明細書に記載の種々のヒト化抗体は、当技術分野で公知の試薬及び方法を用いてアイソタイプを判断した。例えば、本明細書に示されるものはκ軽鎖を有し、多くはIgG1であるが、一方で46C9、68D3、H28はIgG2aである。大部分の抗体は、
CXCR5のアミノ末端に結合し、そして幾つかの抗体は、互いに同じエピトープ又は領域に結合するために競合する。
【0371】
BD抗体は、ヒトPBMCに良好には結合しなかった。
一方、その抗体は一般的にカニクイザルの細胞に結合しなかったが、本発明の14C9、19H5、H28、54G6、56H6及び79B7は結合した。
16D7は市販抗体よりも少なくとも10倍高い親和性で、そして他の抗体よりも100倍かけ離れて優れていることが見出された。
【0372】
[実施例19]
スケールアップ
各モノクローナル抗体変異体は、懸濁培養によるHEK293 FS(商標)細胞で、293fectin(商標)(Invitrogen)を用いて複合体化された重鎖又は軽鎖をコードする、2つの発現プラスミドの一過性のトランスフェクションによって生産された。分泌タンパク質は、トランスフェクション後8日で採取し、遠心分離した。タンパク質は、25mMクエン酸、pH3、0.15MNaCl緩衝液でカラムから溶離後プロテインA(ProSepvA, Millipore)でのアフィニティクロマトグラフィーにより精製した。モノクローナル抗体はPBSで製剤化し、0.22μmで濾過した。タンパク質濃度は、280nmでの吸光度測定により定量した。各バッチは、還元又は非還元下にSDS−PAGE(Nupage Bistris/ MES-SDS 10%) によって分析して、各サブユニット及び単量体の純度及び分子量を決定した。各タンパク質ロットも、ゲル濾過(Tricorn 10/300 GL Superdex 200)で分析して、単量体の均質性及び高分子量種の存在を測定した。
【0373】
240mLの培養液から、総量で30〜40mgの8種の16D7変異体モノクローナル抗体が得られ、そしてその後のインビトロ及びインビボ試験の結果適切な品質を有していた。
【0374】
当業者は、単に型どおりの実験だけを用いて、本明細書に記載の本発明の特定の実施態様の多くの等価物を理解し又は確認するであろう。このような等価物は以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。