(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744145
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】フィン型電界効果トランジスタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8234 20060101AFI20150611BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20150611BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20150611BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
H01L27/08 102B
H01L29/78 301X
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-201824(P2013-201824)
(22)【出願日】2013年9月27日
(62)【分割の表示】特願2011-57767(P2011-57767)の分割
【原出願日】2011年3月16日
(65)【公開番号】特開2014-17515(P2014-17515A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2013年9月27日
(31)【優先権主張番号】12/725,554
(32)【優先日】2010年3月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(72)【発明者】
【氏名】林 家彬
(72)【発明者】
【氏名】▲せん▼ 前泰
(72)【発明者】
【氏名】林 獻欽
(72)【発明者】
【氏名】林 學仕
【審査官】
市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−054705(JP,A)
【文献】
特開2009−032955(JP,A)
【文献】
特表2006−507681(JP,A)
【文献】
特開2007−242737(JP,A)
【文献】
特開2006−351975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8234
H01L 21/336
H01L 27/088
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板より上に延伸した第1および第2のフィンであって、これら第1および第2のフィンの間にシャロートレンチアイソレーション(STI)領域を備え、このSTI領域は、STI誘電材料を有し、このSTI誘電材料の上面と前記第1および第2のフィンの上面との間に距離を有することと、
前記第1および第2のフィン上のゲート電極と、
前記STI誘電材料の上面より上の、前記第1および第2のフィンの上面および側面にある第1および第2のエピタキシャルSiGe膜と、
前記STI誘電材料の上面より上の、前記第1および第2のフィンの間に規定された空間にあり、finFETのチャネル領域に応力を加えるストレッサ誘電材料であって、このストレッサ誘電材料は、前記第1および第2のフィンの両方と接続するが、前記第1および第2のフィンと、前記ゲート電極の上面には存在しないことと、
前記ゲート電極に隣接し、側壁スペーサを形成するストレッサ誘電材料の薄膜と、を含むfinFET。
【請求項2】
前記第1および前記第2のエピタキシャルSiGe膜上のコンタクトエッチングストップ層をさらに備え、このコンタクトエッチングストップ層は、
前記STI誘電材料の上面より上の、前記第1および前記第2のフィンの間に規定された空間にあるストレッサ誘電材料の上にさらに配置される請求項1項記載のfinFET。
【請求項3】
前記STI誘電材料の上面より上の、前記第1および第2のフィンの間に規定された空間にある前記ストレッサ誘電材料は、1GPa〜3GPaの圧縮応力を前記コンタクトエッチングストップ層に与えるものである請求項2記載のfinFET。
【請求項4】
前記STI誘電材料の上面より上の、前記第1および第2のフィンの間に規定された空間にある前記ストレッサ誘電材料は、1.5GPa〜3GPaの圧縮応力を前記コンタクトエッチングストップ層に与えるものである請求項2または3記載のfinFET。
【請求項5】
前記STI誘電材料の上面より上の、前記第1および第2のフィンの間に規定された空間にある前記ストレッサ誘電材料の上面は、前記エピタキシャルSiGe膜の底部上方にある請求項1項ないし請求項4の何れか記載のfinFET。
【請求項6】
前記STI誘電材料の上面より上の、前記第1および第2のフィンの間に規定された空間にある前記ストレッサ誘電材料の上面は、前記第1および第2のフィンの両方の上面よりも全て下方にある請求項1項ないし請求項5の何れか記載のfinFET。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造に関し、特に、フィン型電界効果トランジスタ(finFETs)およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
急速に発展する半導体製造業において、CMOS、相補型金属酸化膜半導体、FinFETデバイスは、多くの論理デバイスおよび他のアプリケーションに好適であり、種々の異なるタイプの半導体デバイスに統合されている。FinFETデバイスは、一般的に、高アスペクト比を有し、かつ半導体トランジスタデバイスのチャネルおよびソース/ドレイン領域が形成されている半導体フィンを含んでいる。より高速で、より信頼度があり、かつより制御された半導体トランジスタデバイスを作製するため、チャネルおよびソース/ドレイン領域の表面積が増加された利点を用いて、ゲートは、フィンデバイスの上部、かつフィンデバイスの側壁に沿って形成される。
【0003】
FinFETおよび従来の平面トランジスタデバイス(planar transistor devices)において、PMOSデバイスに加えられる圧縮応力は、正孔移動度を有利に向上させている。同様に、NMOSデバイスに加えられる引張応力は、NMOSデバイスの電子移動度を有利に向上させている。平面CMOSデバイスに関して、選択的なSiGeソース/ドレイン構造などの複合ストレッサ(complex stressors)が、PMOSデバイスの正孔移動度を有効に向上させるため用いられ、引張コンタクトエッチングストップ層、コンタクトエッチングストップ層(CESL)、または他の誘電体ストレッサ(dielectric film stressor)は、NMOSデバイスの電子移動度を有効に向上させるのに用いられ、デバイス全体の性能を向上させている。正孔および電子移動度を向上させるこれらの技術と関連した余分なプロセス動作およびコストは、これらの技術をFinFET処理案に統合する試みと関連した努力目標のうちの1つである。
【0004】
図1Aは、従来のfinFET100の等角図である。フィン106は、半導体基板101(
図1C、1D)より上方に高くなった酸化物規定(raised oxide defined, OD)領域106を含む。フィン106は、シャロートレンチアイソレーション(STI)領域102によって互いに分離され、一対のSTI領域102の間に配置される。フィン106は、STI領域102の上面より上にステップ高107を有する。多結晶シリコンゲート電極108は、フィン106上に形成され、かつ多結晶シリコンゲート電極108及びフィン106の間に薄いゲート誘電体層(図示せず)を有する。側壁スペーサ110は、各ゲート電極110の両側に形成され、軽ドープドレイン(LDD)注入(implant)領域(図示せず)を形成するためである。
【0005】
図1Bは、エピタキシャル成長のステップがフィン106の表面106eを隆起させた後のフィン106の1つを表している。フィン106の上部106eは、基板101の上面の方向と平行した距離109に延伸した横方向延伸部106Lを有する、ほぼ五角形の形状を得る。
【0006】
図1Cおよび
図1Dは、シリコン酸化物ハードマスク112およびダミー側壁スペーサ110の形成後で、エピタキシャルSiGe形成の前の、
図1AのfinFET100のX方向(前面)およびY方向(側面)の立面図を表している。
【0007】
図1Eおよび1Fは、エピタキシャルプロセスを実行した後の、
図1AのfinFET100のX方向(前面)およびY方向(側面)の立面図を表している。エピタキシャルプロセスは、フィン106に実行され、finFETのフィン106上にSiGe層106eを形成する。
【0008】
図1Eに表されるように、finSiGe層106eのエピタキシャルSiGe横方向延伸部106Lは、横方向に互い
の方に延伸し、隣接するフィンの横方向延伸部106L間のウィンドウ(window)106wを減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
フィン型電界効果トランジスタおよびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の一態様によれば、finFETは、半導体基板より上に延伸した第1および第2のフィンであって、これらの間にシャロートレンチアイソレーション(STI)領域を備え、このSTI領域は、STI誘電材料を有し、この材料の上面と第1および第2のフィンの上面との間に距離を有することと、第1および第2のフィン上のゲート電極と、STI誘電材料の上面より上の、第1および第2のフィンの上面および側面にある第1および第2のエピタキシャルSiGe膜と、STI誘電材料の上面より上の、第1および第2のフィンの間に規定された空間にあり、finFETのチャネル領域に応力を加えるストレッサ誘電材料であって、この材料は、第1および第2のフィンの両方と接続するが、第1および第2のフィンと、ゲート電極の上面には存在しないことと、ゲート電極に隣接し、側壁スペーサを形成するストレッサ誘電材料の薄膜とを含むものである。
いくつかの実施の形態において、finFETは、半導体基板より上に延伸した第1および第2のフィンを含み、その間にシャロートレンチアイソレーションの誘電材料を有するシャロートレンチアイソレーション(STI)領域、およびSTI誘電材料の上面と第1および第2のフィンの上面との間の距離を有する。ゲート電極は、第1および第2のファン上に提供される。第1および第2のSiGeフィン延伸部は、STI誘電材料の上面より上の第1および第2のフィンの上面および側面に提供される。ストレッサ誘電材料は、STI材料の上面より上の第1および第2のフィンの間に規定された空間に提供され、finFETのチャネル領域に応力を加える。ストレッサ誘電材料の薄膜は、ゲート電極に隣接して提供され、側壁スペーサを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1B】
図1Bは、エピタキシャルSiGeが成長した後の
図1Aのデバイスのフィンの1つを表している。
【
図1C】フィン上にエピタキシャルSiGeを形成する前および後のfinFETを表している。
【
図1D】フィン上にエピタキシャルSiGeを形成する前および後のfinFETを表している。
【
図1E】フィン上にエピタキシャルSiGeを形成する前および後のfinFETを表している。
【
図1F】フィン上にエピタキシャルSiGeを形成する前および後のfinFETを表している。
【
図2A】フィンおよびゲート電極の形成後の基板を表している。
【
図2B】フィンおよびゲート電極の形成後の基板を表している。
【
図4A】ダミー側壁スペーサを規定後の基板を表している。
【
図4B】ダミー側壁スペーサを規定後の基板を表している。
【
図5A】エピタキシャルSiGeのフィン延伸部の堆積後を表している。
【
図5B】エピタキシャルSiGeのフィン延伸部の堆積後を表している。
【
図6A】STI誘電体の高さを減少した後の基板を表している。
【
図6B】STI誘電体の高さを減少した後の基板を表している。
【
図7A】ストレッサ材料の薄膜を堆積後の基板を表している。
【
図7B】ストレッサ材料の薄膜を堆積後の基板を表している。
【
図8A】ストレッサ材料をリフロー後の基板を表している。
【
図8B】ストレッサ材料をリフロー後の基板を表している。
【
図9A】ソース/ドレイン注入のプロセスを表している。
【
図9B】ソース/ドレイン注入のプロセスを表している。
【
図10】
図9Aおよび9BのfinFETの実施例を表す写真である。
【
図11】種々のパラメータの関数としてのチャネル応力の図である。
【
図12】
図11に表されたケースの飽和ドレイン電流(Idsat)の増幅率(gain)の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この模範的な実施の形態の説明は、添付の図面と併せて解釈されることを意図しており、全ての説明の一部と考えられる。説明において、相対的な用語、例えば“下方”“上方”“水平”“垂直”“上の”“下の”“上”“下”“上部”“底部”などと、その派生語(例えば“水平に”“下方に”“上方に”など)は、討論において述べられたまたは図に示された方向を指すものと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明のためであり、特定の方向で装置を動作する必要はない。“接続(connected)”および“相互接続(connected)”などの付着、接合などに関する用語は、構造が介在する構造によって直接的に、または間接的に相互に固定または付着される関係を指しており、特に別に説明されない限り、可動的な、または固定した両方の関係も指している。
【0013】
これらの図面は一定の比率で描かれていない。
【0014】
発明者は、進化した技術ノード(例えば、22nm以下)に対して、finFETのフィン上のエピタキシャルSiGeの形成は、NMOSおよびPMOSトランジスタの隣接するフィンの横方向延伸部間のウィンドウ(窓)をとても厳しく狭めるので、橋絡(bridging)が起こる可能性があることを発見した。この橋絡は、ダイを分離(singulate)する能力を妨げる。完全な橋絡はないとしても、隣接するフィン間のウィンドウの狭化は、アクティブデバイスのプロセスの完了後に堆積される第1の金属層間誘電体(IMD)層に空洞(void)を形成する可能性がある。このような空洞は、隣接するNMOSおよびPMOSのフィン延伸部の間、かつ下方の空間に生じ得る。
【0015】
発明者が先端技術の設計にて生じることを発見した他の問題は、超狭(Ultra-narrow)のフィン幅(小体積)を有するfinFETに関する選択エピタキシャル成長の技術の低効率である。いくつかの設計(例えば犬の骨構造を有するfinFET)において、ゲートダミー側壁スペーサのプロセスを実行することがより困難になる可能性がある。
【0016】
ここでは、SiGeエピタキシャル層がフィンの上部に形成され、STI誘電材料の表面は、フィンの上部付近の第1の高さにある実施例が説明される。フィンの上部とSTI材料の上部間の減少した距離により、結果として生じるSiGe薄膜は、より短い横方向延伸部を有する。その結果、隣接するフィン延伸部間のウィンドウの減少はより小さくなり、隣接するフィンの横方向延伸部は、溶け合わない。エピタキシャルSiGeを堆積した後、STI誘電体の高さは、第2の高さに下げられ、ストレッサ材料は、共形の薄膜(conformal film)の形でデバイス上に加えられる。ストレッサ材料は、
フィン同士の間かつSTI誘電材料より上の空間を少なくとも部分的に充填するようにリフローされる。いくつかの実施の形態において、共形の薄膜の一部は、finFETのゲート電極に隣接して残り、側壁スペーサを形成する。
【0017】
図2A〜9Bは、finFET200を
製作する模範的な統合方法を表している。このプロセスは、追加のマスクまたはフォトリソグラフィーステップを必要とすることなく、チャネル応力が増加されるようにする。各一対の隣接の図(2Aおよび2B、3Aおよび3B、4Aおよび4B、5Aおよび5B、6Aおよび6B、7Aおよび7B、8Aおよび8B、9Aおよび9B)は、プロセスのそれぞれの段階でfinFETのX方向およびY方向の図を提供する。XとY方向は、
図1Aに表示された同じ方向である。
【0018】
図2Aおよび2Bを参照して、半導体基板201より上に延伸したfinFET200の第1および第2のフィン206を形成した後の構成を表している。ゲート誘電体層(図示されていない)およびゲート電極208は、フィン206上に形成される。ハードマスク層212は、ゲート電極上に形成される。シャロートレンチアイソレーション(STI)領域202は、フィン206の間に形成される。第1の距離207aは、STI領域202の上面と第1および第2のフィン206の上面との間に規定される。第1の距離207aは、
図1Cに示される高さ107より約15〜20nmだけ小さい。即ち、STI領域202の上面の高さ(フィン106の上部に対して)は、STI領域102の高さより、約15〜20nmだけ高い(フィン206の上部に対して)。例えば、いくつかの実施の形態において、第1の距離207aは、約80nmとなり得る(
図1Cの対応する距離107は、約100nmとなり得る場合である)。
【0019】
半導体基板201は、バルクシリコン、バルクシリコンゲルマニウム(SiGe)、または他のIII−V族化合物基板であってもよい。基板は、単一のSTI202領域しか図に表されていないが、それぞれ
の対のフィン206
同士の間に複数のSTI領域202を有する数個のフィン206を含む。
【0020】
STI形成は、一般的にSi基板上の凹部形成を含み、低圧化学気相蒸着(LPCVD)またはプラズマ化学気相蒸着(PECVD)などのCVDプロセスを用いて誘電体層
(誘電膜)を形成し、次いで化学機械研磨(CMP)を用いて余分なSTI誘電体層を除去する。STI領域は、TEOS、SiO、SiNなどで充填され得る。STI領域は、さまざまなプロセスによって形成され得る。1つの実施の形態において、STIの誘電体は、500℃以上の温度でLPCVDプロセスによって堆積される。
【0021】
図3A、3Bは、軽ドープドレイン(LDD)/ポケット注入ステップ203を表しており、少量のドーパントをチャネル領域に隣接するソースドレイン領域内に注入する。リン、ホウ素、または同様の材料などのドーパントが用いられ得る。LDD注入の後、基板がアニールされる。
【0022】
図4Aおよび4Bは、ダミー側壁(DSW)210、211の形成を表している。なお、DSW211層は、SiGeの堆積のプロセス後に除去されるため、
図5Bに示されない。ダミー側壁スペーサ210および211は、酸化物および窒化物の連続的した共形層を堆積し、異方性エッチング(例えばドライエッチング)を用いて、ゲート電極に隣接した垂直面上に両方の層を保持したまま、全ての水平面から酸化物および窒化物を除去することで形成され得る。
【0023】
図5Aおよび
図5Bは、STI領域202の上面より上の第1および第2のフィン206の上面および側面上のエピタキシャルSiGeのフィン延伸層206eの堆積を表している。STI領域202の上面と第1および第2のフィン206の上面との間の比較的小さい第2の高さ207aの結果として、フィン延伸部206eの横方向延伸部206Lは、
図1Dのフィン延伸部106eの横方向延伸部ほど互いの方へ水平に延伸しない。よって、フィン延伸部206e間のウィンドウ206wは、フィン延伸部106e間のウィンドウ106wより大きい。次いで、ダミー側壁層211が除去され、よって
図5Aおよび5Bに表されない。
【0024】
図6Aおよび6Bは、STI領域202から材料を除去して、STI領域202の上面と第1および第2のフィン206の上面との間の距離を第1の距離207aから第2の距離207bに増加させるプロセスを表している。第2の距離207bは、第1の距離207aより約15〜20nm大きい。いくつかの実施の形態において、STI誘電体層は、希釈したフッ化水素の溶液に基板を浸漬させることで除去される。他の代替するエッチング液がゲート構造またはSiGe延伸部206eをエッチングすることなく、STI誘電体の一部を選択的に除去するように用いられてもよい。STI領域202から材料を除去するステップは、STI領域の上面をフィン延伸部206eの底部より下の距離(H1〜H2)に下げるステップを含む。
【0025】
図7Aおよび7Bは、フィン206およびSTI領域202、およびfinFET200のゲート電極上に共形のストレッサ誘電材料(conformal stressor dielectric material)214を堆積するプロセスを表している。ストレッサ誘電材料214は、下方のSTI誘電材料202と十分に異なる格子間隔を有してチャネルに圧縮または引張応力を発生させる。例えば、PMOSトランジスタの実施例では、SiNxなどのストレッサ材料を用いて圧縮応力を発生させることが望ましい。他の実施の形態において、NMOSトランジスタでは、ストレッサ材料がチャネルを引張応力に置くため用いられ得る。SiOxの層は、NMOSに引張応力を作り出すため適用され得る。ストレッサ膜は、原子層堆積(ALD)、化学気相蒸着(CVD)、低圧CVD(LPCVD)、プラズマCVD(LPCVD)、または同様のものを含むさまざまな等方性の方法によって堆積され得る。
図7Aおよび7Bの実施例において、ストレッサ材料214は、PECVDによって堆積されたシリコン窒化膜である。堆積時に、ストレッサ材料薄膜214の厚さT1が選択され、
図8Aおよび8Bに示されたリフローステップの後、STI領域202上のストレッサ材料214rが所望の厚さT2を有して、所望の応力の量を分与する。例えば、堆積される共形膜214の厚さT1は、T1=T2
*(A2/A1)により近似され得る。
【0026】
なお、T1は、堆積された共形膜の厚さであり、
T2は、ストレッサ膜の所望の最終の厚さであり、
A2は、STI領域の表面積であり、かつ
A1は、共形膜214が始めに堆積された水平表面積である。
【0027】
図8Aおよび8Bは、共形のストレッサ誘電材料214をリフローし、STI領域202の上面より上の第1と第2フィン間の空間に流入させ、ストレッサ層214rを形成してfinFETのチャネルに応力を加えるプロセスを表している。いくつかの実施の形態において、リフローステップは、ゲート電極208に隣接したストレッサ材料の垂直薄膜214sを残し、側壁スペーサを形成する。リフローされたストレッサ材料(例えばSiNx)層214rがSTI誘電体(例えばSiOx)202の上面にある状態で、コンタクトエッチングストップ層(CESL)に約1GPa〜約3GPaの圧縮応力が加えられる。いくつかの実施の形態では、コンタクトエッチングストップ層への圧縮応力は、1.5GPa〜約3GPaの範囲内に調整される。いくつかの実施の形態において、応力は約2.3GPaである。
図8Aに示された距離T3およびT4(凹部の深さ)は、変数であり、
図11および12の説明で述べられる。
【0028】
いくつかの実施の形態において、PECVDによって堆積されているストレッサ材料214は、基板を約300℃に加熱されることでリフローされ得る。他の実施の形態において、リフローは、異方性プラズマエッチングステップにより行われる。リフローのステップは、ストレッサ材料214の十分な量をフィンOD206の上部およびハードマスク212から
フィン206同士の空間かつSTI領域202の上方に流入させるステップを含み、この空間をフィン延伸部206eの底部より上の高さT2に、少なくとも部分的に充填する。
【0029】
図9Aおよび9Bは、側壁スペーサ214sを形成後のソースおよびドレインドーパント注入217を行うプロセスを表している。
【0030】
図10は、上述の方法に基づいて形成されたfinFETの実施例を表す写真である。コンタクトエッチングストップ層(CESL)220および層間誘電体(ILD)230も示される。STI領域202の上面は、約100nm幅であるため、フィンSiGe延伸部206eは、隣接するフィン延伸部の間に十分なウィンドウを有し、延伸部206eの間および延伸部206eの下方にある上敷きの層間誘電体230に空洞が形成するのを避ける。フィン延伸部間のウィンドウも分離(singulation)を促進するのに十分である。
【0031】
図11および12は、ここに説明された寸法を用いた模擬データに基づいている。
図11は、SiGeフィン延伸部の底部より上のストレッサ材料の厚さT3およびSiGeフィン延伸部の底部より下のストレッサ材料の厚さT4(
図6Aおよび
図6Bで除去されたSTI誘電材料の厚さに対応する)の関数としてチャネル応力を表している。曲線1101は、T3=15nmを有し1.5GPaの応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4(
図8A、9A)の関数としてfin FETのチャネル応力を表している。曲線1102は、T3=15nmを有し3GPaの応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfin FETのチャネル応力を表している。曲線1103は、T3=7nmを有し1.5GPaの応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfin FETのチャネル応力を表している。曲線1104は、T3=5nmを有し1.5GPaの応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfin FETのチャネル応力を表している。曲線1105は、T3=7nmを有し3GPaの応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfin FETのチャネル応力を表している。曲線1106は、T3=5nmを有し3GPaの応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfin FETのチャネル応力を表している。
【0032】
図12は、
図11に示された6つのケースのPMOSの飽和電流(Idsat)の増加率を表している。曲線1201〜1206の記号は、各曲線1101〜1106の記号と同じである。曲線1201は、T3=15nmを有し1.5GPaのCESL応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfinFETのIdsatの変化を表している。曲線1202は、T3=15nmを有し3GPaのCESL応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfinFETのIdsatの変化を表している。曲線1203は、T3=7nmを有し1.5GPaのCESL応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfinFETのIdsatの変化を表している。曲線1204は、T3=5nmを有し1.5GPaのCESL応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfinFETのIdsatの変化を表している。曲線1205は、T3=7nmを有し3GPaのCESL応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfinFETのIdsatの変化を表している。曲線1206は、T3=5nmを有し3GPaのCESL応力のあるストレッサ膜に対する凹部の深さT4の関数としてfinFETのIdsatの変化を表している。曲線1202、1205、および1206は、3GPaのCESL圧縮応力および約20nmの凹部の深さT4に対して、8%のIdsatの増加率が達成できることを示す。
【0033】
以上、本発明の好適な実施の形態を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することが可能である。従って、本発明が請求する保護範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0034】
100 フィン型電界効果トランジスタ(finFETs)
101 半導体基板
102 シャロートレンチアイソレーション(STI)領域
106 フィン
106e シリコンゲルマニウム(SiGe)層
106L 横方向延伸部
106w ウィンドウ(window)
107 ステップ高
108 多結晶シリコンゲート電極
109 距離
110 側壁スペーサ
112 シリコン酸化物ハードマスク
200 フィン型電界効果トランジスタ(finFETs)
201 半導体基板
202 シャロートレンチアイソレーション(STI)領域
203 軽ドープドレイン(LDD)/ポケット注入ステップ
206 フィン
206e シリコンゲルマニウム(SiGe)層
206L 横方向延伸部
206w ウィンドウ(window)
207a 第1距離
207b 第2距離
208 ゲート電極
210、211 ダミー側壁(DSW)
212 ハードマスク層
214 共形のストレッサ誘電材料
214r ストレッサ層
214s 垂直薄膜(または側壁スペーサ)
217 ソースおよびドレインドーパント注入
220 コンタクトエッチングストップ層(CESL)
230 層間誘電体(ILD)
H
1、H
2 距離
T1 ストレッサ材料薄膜の厚さ
T2 T3およびT4の厚さ
T3 フィン延伸部の底部より上のストレッサ材料の厚さ
T4 フィン延伸部の底部より下のストレッサ材料の厚さ
1101〜1106、1201〜1206 曲線