特許第5744154号(P5744154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744154
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】スイッチ回路とスイッチ回路の操作方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/693 20060101AFI20150611BHJP
【FI】
   H03K17/693 A
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-217279(P2013-217279)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-96792(P2014-96792A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2013年10月18日
(31)【優先権主張番号】13/673,516
(32)【優先日】2012年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(72)【発明者】
【氏名】金 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】蔡 銘憲
(72)【発明者】
【氏名】葉 子禎
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−303337(JP,A)
【文献】 特開平11−055156(JP,A)
【文献】 特開2008−294649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/693
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通ポートと、二つ以上のスイッチポート、および
二つ以上のスイッチセルを含むスイッチ回路であって、前記スイッチセルは、それぞれ、
前記共通ポートに接続される第一ノードと、
前記スイッチポートの対応する一つに接続される第二ノードと、
第一電圧レベルを有するように設定される第一電力ノードに接続されるように設定される第三ノードと、
前記第二ノードと共に、前記第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルを有するように設定される第二電力ノードに結合されるように設定されるバイアスノードと、
前記第一ノードと前記第二ノード間に結合され、前記第一電圧レベルと第三電圧レベル間のシグナルスウィングを有する制御信号に応じて、前記第一ノードと前記第二ノードを電気的に接続、および、切断するように設定され、前記第三電圧レベルが前記第一電圧レベルより大きく、前記第三電圧レベルと前記第一電圧レベル間の差が、前記第二電圧レベルと前記第一電圧レベル間の差の約二倍になる第一スイッチユニットと、
前記第二ノードと前記バイアスノード間に結合され、前記第一電圧レベルと前記第三電圧レベル間のシグナルスウィングを有する別の制御信号に応じて、前記第二ノードと前記バイアスノードを電気的に接続、および、切断するように設定される第二スイッチユニットと、
前記バイアスノードと前記第三ノード間に結合されるキャパシタと、
を含むことを特徴とするスイッチ回路。
【請求項2】
第一高スウィング制御信号は、第二高スウィング制御信号に対する論理的相補であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路。
【請求項3】
前記第二ノードは、第一バイアス抵抗器により、前記第二電力ノードに接続され、前記バイアスノードは、第二バイアス抵抗器により、前記第二電力ノードに接続されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路。
【請求項4】
前記第一スイッチユニットは、前記第一ノードに結合されるソース、前記第二ノードに結合されるドレイン、および、ゲートを有するトランジスタ、および
前記トランジスタの前記ゲートに接続される第一端、および、信号ブースタに結合される第二端を有するレジスタを含み、
前記第二スイッチユニットは、前記バイアスノードに結合されるソース、前記第一ノードに結合されるドレイン、および、ゲートを有するトランジスタ、および
前記トランジスタの前記ゲートに接続される第一端、および、前記信号ブースタに結合される第二端を有するレジスタ、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路。
【請求項5】
前記第一スイッチユニットは、前記第一ノードと前記第二ノード間に直列に接続される所定数のトランジスタ、およびそれぞれが、前記トランジスタの対応する一つのゲートに接続される第一端、および、信号ブースタに結合される第二端を有する所定数のレジスタを含み、
前記第二スイッチユニットは、前記第二ノードと前記バイアスノード間に直列に接続される所定数のトランジスタ、およびそれぞれが、前記トランジスタの対応する一つのゲートに接続される第一端、および、前記信号ブースタに結合される第二端を有する所定数のレジスタ、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路。
【請求項6】
前記第二電力ノードと前記第三電力ノードに結合され、前記第二電力ノードで、前記第二電圧レベルを受信するように設定され、前記第三電力ノードで、前記第三電圧レベルを生成する電源供給ユニットを含み、
前記電源供給ユニットは、前記第一電圧レベルと前記第二電圧レベル間のシグナルスウィングを有するクロック信号を生成するように設定されるクロック生成回路、および、
前記クロック信号に応じて、前記第三電力ノードを前記第三電圧レベルに充電するように設定される電圧ダブラー、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路。
【請求項7】
スイッチセルの第一ノードと第二ノードを電気的に結合する方法であって、前記スイッチセルは、さらに、第一電圧レベルを有する第一電力ノードに接続される第三ノード、バイアスノード、および、前記バイアスノードと前記第三ノード間に結合されるキャパシタを含み、前記方法は、
前記第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルの直流(DC)電圧レベルで、前記第二ノードと前記バイアスノードにバイアスをかける工程と、
第三電圧レベルを有する第一制御信号により、前記第一ノードと前記第二ノード間に結合される第一スイッチユニットをオンにする工程であって、前記第三電圧レベルが前記第一電圧レベルより大きくなり、前記第三電圧レベルと前記第一電圧レベル間の差が、前記第二電圧レベルと前記第一電圧レベル間の差の約二倍になる工程と、
前記第一電圧レベルを有する第二制御信号により、前記第二ノードと前記バイアスノード間に結合される第二スイッチユニットをオフにする工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記第一スイッチユニットを前記オンにする工程は、前記第一ノードに接続されるソース、および、前記第二ノードに接続されるドレインを有する一トランジスタをオンにする工程、または、前記第一ノードと前記第二ノード間に直列に接続される全トランジスタをオンにする工程を含み、
前記第二スイッチユニットを前記オフにする工程は、前記バイアスノードに接続されるソースと前記第二ノードに接続されるドレインを有する一トランジスタをオフにする工程、または、前記バイアスノードと前記第二ノード間に直列に接続される全トランジスタをオフにする工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
スイッチセルの第一ノードと第二ノードを電気的に分離する方法であって、前記スイッチセルは、さらに、第一電圧レベルを有する第一電力ノードに接続される第三ノード、バイアスノード、および、前記バイアスノードと前記第三ノード間に結合されるキャパシタを含み、前記方法は、
前記第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルの直流(DC)電圧レベルで、前記第二ノードと前記バイアスノードにバイアスをかける工程と、
前記第一電圧レベルを有する第一制御信号により、前記第一ノードと前記第二ノード間に結合される第一スイッチユニットをオフにする工程と、 第三電圧レベルを有する第二制御信号により、前記第二ノードと前記バイアスノード間に結合される第二スイッチユニットをオンにする工程であって、前記第三電圧レベルが前記第一電圧レベルより大きくなり、前記第三電圧レベルと前記第一電圧レベル間の差が、前記第二電圧レベルと前記第一電圧レベル間の差の約二倍になる工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記第一スイッチユニットを前記オフにする工程は、前記第一ノードに接続されるソース、および、前記第二ノードに接続されるドレインを有する一トランジスタをオフにする工程、または、直列に接続され、且つ、前記第一ノードと前記第二ノード間に接続される全トランジスタをオフにする工程を含み、
前記第一スイッチユニットを前記オンにする工程は、前記バイアスノードに接続されるソース、および、前記第二ノードに接続されるドレインを有する一トランジスタをオンにする、または、直列に接続され、且つ、前記バイアスノードと前記第二ノード間に接続される全トランジスタをオンにする工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ回路とスイッチ回路の操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種搬送周波数バンドで信号を送受信することができる移動体通信システムにおいて、アンテナは、通常、無線周波数(RF)スイッチ回路により、各種対応する中間周波数(Intermediate Frequency、IF)および/またはベースバンド回路によりシェアされる。“RF”という用語は、通常、約 3 kHz から 300 GHzの周波数帯域を有する電波のことである。所定搬送周波数バンドで、所定通信プロトコルにしたがって、移動通信システムが操作されて、アンテナを用いて、信号を送受信する時、RFスイッチ回路は、アンテナと対応するIFおよび/またはベースバンドサブ回路を結合、および、別のIFおよび/またはベースバンドサブ回路からアンテナを分離(decouple)するように設定される。共通ポートを複数のRFスイッチポートの一つに選択的に結合するRFスイッチ回路は、また、単極多投(Single-Pole Multi-Throw)スイッチ回路と称される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、スイッチ回路とスイッチ回路の操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の一態様によれば、スイッチ回路は、二つ以上のスイッチセルを含み、各スイッチセルは、共通ポートに接続される第一ノード、対応するスイッチポートに接続される第二ノード、第一電圧レベルを有する第一電力ノードに接続される第三ノード、バイアスノード、第一スイッチユニット、第二スイッチ回路、および、バイアスノードと第三ノード間に結合されるキャパシタを有し、バイアスノードおよび第二ノードは、第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルを有する第二電力ノードに結合され、第一スイッチユニットは、第一ノードと第二ノード間に結合され、且つ、第一電圧レベルと第三電圧レベル間のシグナルスウィングを有する制御信号に応じて、第一ノードと第二ノードを電気的に接続、および、切断するように設定され、第二スイッチユニットは、第二ノードとバイアスノード間に結合され、第一電圧レベルと第三電圧レベル間のシグナルスウィングを有する別の制御信号に応じて、第二ノードとバイアスノードを電気的に接続、および、切断するように設定され、第三電圧レベルは第一電圧レベルより大きく、第三電圧レベルと第一電圧レベル間の差は、第二電圧レベルと第一電圧レベル間の差の約二倍である。
この発明の他の態様によれば、スイッチセルの第一ノードと第二ノードの電気的結合の方法は、第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルの直流(DC)電圧レベルで、スイッチセルの第二ノードとバイアスノードにバイアスをかける工程を有している。第一ノードと第二ノード間に結合される第一スイッチユニットは、第三電圧レベルを有する第一制御信号によりオン状態になる。第三電圧レベルは第一電圧レベルより大きくなり、第三電圧レベルと第一電圧レベル間の差は、第二電圧レベルと第一電圧レベル間の差の約二倍である。また、第二ノードとバイアスノード間に結合される第二スイッチユニットは、第一電圧レベルを有する第二制御信号によりオフ状態になる。
この発明のさらに他の態様によれば、スイッチセルの第一ノードと第二ノードを電気的分離の方法は、第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルの直流(DC)電圧レベルで、第二ノードとバイアスノードにバイアスをかける工程を含む。第一ノードと第二ノード間に結合される第一スイッチユニットは、第一電圧レベルを有する第一制御信号によりオフ状態になる。また、第二ノードとバイアスノード間に結合される第二スイッチユニットは、第三電圧レベルを有する第二制御信号によりオン状態になる。第三電圧レベルは第一電圧レベルより大きくなり、第三電圧レベルと第一電圧レベルの差は、第二電圧レベルと第一電圧レベル間の差の約二倍である。
【発明の効果】
【0005】
本発明にかかるスイッチ回路とスイッチ回路の操作方法よれば、第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルの直流 (DC)電圧レベルで、スイッチセルの第二ノードとバイアスノードにバイアスをかける工程を提供することができる。また、第一ノードと第二ノード間に結合される第一スイッチユニットは、第三電圧レベルを有する第一制御信号によりオン状態にすることができる。また、第三電圧レベルは第一電圧レベルより大きくなり、第三電圧レベルと第一電圧レベル間の差は、第二電圧レベルと第一電圧レベル間の差の約二倍とすることができる。また、第二ノードとバイアスノード間に結合される第二スイッチユニットは、第一電圧レベルを有する第二制御信号によりオフ状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1一つ以上の実施例におけるRFスイッチ回路のシステムブロック図である。
図2A一つ以上の実施例における一例のスイッチセルの回路図である。
図2B一つ以上の実施例における他の例のスイッチセルの回路図である。
図3A一つ以上の実施例における一例のクロック生成回路の回路図である。
図3B一つ以上の実施例における一例の電圧ダブラーの回路図である。
図3C一つ以上の実施例における他の例の電圧ダブラーの回路図である。
図4A一つ以上の実施例におけるスイッチセルの第一ノードと第二ノードを結合する方法のフローチャートである。
図4B一つ以上の実施例におけるスイッチセルの第一ノードと第二ノードを分離する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、一つ以上の実施例によるRFスイッチ回路100のシステムブロック図である。スイッチ回路100は、共通ポート110、第一スイッチポート112、第二スイッチポート114と電力ノード118を有している。スイッチ回路100は、また、共通ポート110と第一スイッチポート112に結合される第一スイッチセル122、共通ポート110と第二スイッチポート114に結合される第二スイッチセル124、デコーダ130、信号ブースタ140、および、電源供給ユニット150を有している。第一スイッチセル122は、バス162の制御信号に応じて、共通ポート110と第一スイッチポート112を結合、および、分離するように設定され、第二スイッチセル124は、バス164の制御信号に応じて、共通ポート110と第二スイッチポート114を結合、および、分離するように設定されている。
【0008】
図1に示される実施例は、二個の対応するスイッチポート112と114の2個のスイッチセル122と124が設けられている。よって、スイッチ回路100は、また、単極双投(Single-Pole Two-Throw、SP2T)スイッチ回路と称されている。ある実施例において、二個以上のスイッチセル122と124がある。たとえば、少なくとも一つの実施例において、共通ポートと4個の対応するスイッチポートを接続する4個のスイッチセルがあり、形成されたスイッチ回路は、また、単極四投(Single-Pole Four-Throw、SP4T)スイッチ回路と称されている。
【0009】
デコーダ130は、二進数形式で、バス166から、一組の制御信号を受信し、スイッチセル122または124は、共通ポート110と対応するスイッチポート112または114と結合するように設定されている。デコーダ130は、対応するスイッチセル122と124に対し、バス166からの一組の制御信号により示される二進数を、対の論理的相補制御信号に変換する。対をなす論理的相補制御信号は、第一電圧レベルと第二電圧レベル間のシグナルスウィングを有している。例えば、第一電圧レベルは接地、第二電圧レベルは、電力ノード118で、電源電圧VDDと称されている。少なくとも一つの実施例において、第二電圧レベルは、第一電圧レベルより大きい。対をなす論理的相補制御信号は、バス168を経由して、信号ブースタ140に伝送される。
【0010】
信号ブースタ140は、バス168で、対をなす論理的相補制御信号を受信し、第一電圧レベルと第三電圧レベル間のシグナルスウィングを有する対応する制御信号を生成する。信号ブースタ140は、電力ノード152から、第三電圧レベルを有するブースト電源電圧を受信する。第三電圧レベルは、第一電圧レベルより大きく、第三電圧レベルと第一電圧レベル間の差は、第二電圧レベルと第一電圧レベル間の差の約二倍である。ある実施例において、第一電圧レベルは接地、第二電圧レベルはVDD、第三電圧レベルは2*VDDである。よって、信号ブースタ140は、バス168から、低スウィング(即ち、接地からVDDまで) 制御信号を受信すると共に、バス162と164で、対応する 高スウィング (即ち、接地から2*VDD)制御信号を生成および出力する。ある実施例において、第三電圧レベルと第一電圧レベルの差は、第二電圧レベルと第一電圧レベル間の差の大体2倍である。
【0011】
電源供給ユニット150は、電力ノード118と第三電力ノード152に結合される。電源供給ユニット150は、電力ノード118で、電源電圧VDDを受信し、電力ノード152で、第三電圧レベルを生成する。少なくとも一つの実施例において、電源供給ユニット150は、電圧ダブラー(倍電圧器)154、および、任意で、電圧ダブラー154を操作するクロック生成回路156を有している。少なくとも一つの実施例において、第二電圧レベルは 2*VDDである。
【0012】
ある実施例において、電圧レベルVDDは、1 V から 4 Vである。少なくとも一つの実施例において、電圧レベルVDDは約2.5 Vである。
【0013】
図2Aは、一つ以上の実施例によるスイッチセル200Aの回路図である。スイッチセル200Aは、図1中のスイッチセル122または124として使用可能である。
【0014】
スイッチセル200Aは、第一ノード212、第二ノード214、第三ノード216とバイアスノード218を有している。スイッチセル200Aは、第一ノード212と第二ノード214間に結合される第一スイッチユニット220、第二ノード214とバイアスノード218間に結合される第二スイッチユニット230、および、バイアスノード218と第三ノード216間に結合されるキャパシタ240を有している。第一ノード212は、共通ポート110に接続される。第二ノード214は、スイッチポート112または114の対応する一つに接続されている。第三ノード216は、第一電圧レベルを有する電力ノード (即ち、接地)に接続されている。
【0015】
第一スイッチユニット220は、第一ノード212と第二ノード214間で直列に接続される4個のトランジスタ222a、222b、222cと222dを有する。第一スイッチユニット220は、また、4個のレジスタ224a、224b、224cと224dを有し、それぞれ、トランジスタ222a、222b、222cと222dの対応する一つのゲートに接続される第一端、および、ノード226により、信号ブースタ140に結合される第二端を有している。第一スイッチユニット220は、ノード226で、第一高スウィング制御信号に応じて、第一ノード212と第二ノード214と電気的に接続、および、切断される。ある実施例において、第一スイッチユニット220は、直列に接続される所定数のトランジスタを有し、同じ所定数の対応するレジスタは、トランジスタのゲートとノード226間に設けられている。例えば、所定数は 2 から 8である。少なくとも一つの実施例において、所定数は1である。
【0016】
第二スイッチユニット230は、第二ノード214とバイアスノード218間に直列に接続される4個のトランジスタ232a、232b、232cと232dを有している。第二スイッチユニット230は、また、4個のレジスタ234a、234b、234cと234dを有し、それぞれ、トランジスタ232a、232b、232cと232dの対応する一つのゲートに接続される第一端、および、ノード236により、信号ブースタ140に結合される第二端を有している。第二スイッチユニット230は、ノード236で、第二高スウィング制御信号に応じて、第二ノード214とバイアスノード218を電気的に接続、および、切断する。ある実施例において、第二スイッチユニット230は、直列に接続される所定数のトランジスタを有し、同じ所定数の対応するレジスタは、トランジスタのゲートとノード236間にある。ある実施例において、所定数は2 から 8である。少なくとも一つの実施例において、所定数は1である。
【0017】
ノード226と236は、対応するバス162または164により、信号ブースタ140に接続されている。ある実施例において、第一高スウィング制御信号は、第二高スウィング制御信号に対する論理的相補である。ある実施例において、第一スイッチユニット220と第二スイッチユニット230は、異なる数量の直列の接続トランジスタを有している。ある実施例において、第一スイッチユニット220と第二スイッチユニット230中のトランジスタは、Nチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(NMOSトランジスタ)である。ある実施例において、各レジスタ224a、224b、224c、224d、234a、234bと234dは、10 kΩ から 1 MΩの抵抗値を有している。
【0018】
第二ノード214は、バイアス抵抗器252により、第二電圧レベル (即ち、VDD)を有する電力ノード118に結合されている。ある実施例において、バイアス抵抗器252は、10 kΩ から 1 MΩの抵抗値を有する。バイアスノード218は、また、バイアス抵抗器254により、電力ノード118に結合される。ある実施例において、バイアス抵抗器254は、10 kΩ から 1 MΩの抵抗値を有する。電力ノード118とバイアス抵抗器252と254の組み合わせは、第二電圧レベルの直流 (DC)電圧レベルで、第二ノード214とバイアスノード218にバイアスをかける。バイアス抵抗器252と254は、また、第二ノード214/バイアスノード218と電力ノード118間で、RF信号に高インピーダンス経路を提供して、第二ノード214および/またはバイアスノード218から電力ノード118に、RF信号が漏れるのを防止する。
【0019】
キャパシタ240は、RF信号に対し、バイアスノード218と第三ノード216間の信号経路を提供する間、バイアスノード218と第三ノード216で、DC電圧レベルを絶縁するDC絶縁キャパシタとして作用する。よって、第二スイッチユニット230が第二ノード214とバイアスノード218を電気的に結合するように設定される時、第二ノード214も、キャパシタ240により、RFバンドで、第三ノード218に電気的に結合されると見なされる。
【0020】
ある実施例において、スイッチセル200Aにより実行されるスイッチ回路の挿入損失値は 1 dBより小さく、絶縁値は 30 dBより大きく、1-dB 信号圧縮 (P1dB)の出力電力は30 dBmより大きい。少なくとも一つの実施例において、4個のスイッチセル200Aを用いた2 GHz 信号のSP4T スイッチ回路は、挿入損失値が約 0.5 dB、絶縁値が約 45 dB、1-dB 信号圧縮 (P1dB)の出力電力が約 38 dBmである。
【0021】
図2Bは、一つ以上の実施例による別の例のスイッチセル200Bの回路図である。図2Aのスイッチセル200Aと比較して、スイッチセル200B中の第一スイッチユニット220は、1個のトランジスタ222eだけを有し、第二スイッチユニット230は1個のランジスタ232eだけを有している。第一スイッチユニット220において、トランジスタ222eは、第一ノード212に結合されるソース、第二ノード214に結合されるドレイン、および、レジスタ224eに結合されるゲートを有する。レジスタ224eは、トランジスタ222eのゲートに接続される第一端、および、ノード226により、信号ブースタ140に結合される第二端を有する。第二スイッチユニット230において、トランジスタ232eは、バイアスノード218に結合されるソース、第二ノード214に結合されるドレイン、および、レジスタ234eに結合されるゲートを有する。レジスタ234eは、トランジスタ232eのゲートに接続される第一端、および、ノード236により、信号ブースタ140に結合される第二端を有している。ある実施例において、各レジスタ224eと234eは、10 kΩ から 1 MΩの抵抗値を有する。
【0022】
スイッチセル200Bの設定と操作は、スイッチセル200Aと同様であるので、ここに詳述しない。
【0023】
図3Aは、一つ以上の実施例によるクロック生成回路156の回路図である。クロック生成回路156は、直列に接続された3個のインバータ312、314と316を含むリング発振器である。インバータの出力端の一つ、たとえば、インバータ316の出力端の一つは、クロック生成回路156の出力として、クロックノードCLKに接続される。ある実施例において、クロックノードCLKのクロック信号は、第一電圧レベル (即ち、接地)と第二電圧レベル (即ち、VDD)間のシグナルスウィングを有する。ある実施例において、クロック生成回路156は、奇数の直列のインバータを含むリング発振器で、奇数は3より大きい。ある実施例において、電圧ダブラー156は外部クロック信号を受信し、よって、クロック生成回路156は省略できる。
【0024】
図3Bは、一つ以上の実施例による電圧ダブラー300Aの回路図である。電圧ダブラー300Aは、図1に示される電圧ダブラー156として使用可能である。
【0025】
電圧ダブラー300Aは、電力入力ノード322、電力出力ノード324、クロック入力ノード326、内部ノード328と参照電力ノード329を有している。電圧ダブラー300Aは、電力入力ノード322と電力出力ノード324の間に直列接続される二個のダイオード332と334、二個のキャパシタ336と338を有している。ダイオード332は、電力入力ノード322に接続される陽極端子と内部ノード328に接続される陰極端子を有している。ダイオード334は、内部ノード328に接続される陽極端子と電力出力ノード324に接続される陰極端子を有する。キャパシタ336は、クロック入力ノード326と内部ノード328間に接続され、キャパシタ338は、電力出力ノード324と参照電力ノード329間に接続される。ある実施例において、ダイオード332と334は、ダイオード-接続トランジスタである。
【0026】
参照電力ノード329は、第一電圧レベル (即ち、接地)を有する電力ノードに結合され、電力入力ノード322は、第二電圧レベル (即ち、VDD)を有する電力ノード118に結合される。クロック入力ノード326は、クロック生成回路156のクロックノードCLKまたは電源供給ユニット150外側のクロック生成回路に接続される。ある実施例において、クロック入力ノード326の電圧レベルが接地であるとき、キャパシタ336はVDDに充電される。その後、クロック入力ノード326の電圧レベルがVDDの時、内部ノード328の電圧レベルは、2*VDDに増加する。ダイオード334とキャパシタ338により、電力出力ノード324が充電されて、電圧レベルが2*VDDで維持される。
【0027】
図3Cは、一つ以上の実施例による別の例の電圧ダブラー300Bの回路図である。電圧ダブラー300Aと同様、電圧ダブラー300Bは、電力入力ノード322、電力出力ノード324、クロック入力ノード326と参照電力ノード329を含む。電圧ダブラー300Bは、クロック入力ノード326からのクロック信号を、ノード326aの同相クロック信号、および、ノード326bの180度の異相クロック信号に変換する複数のインバータ342、344、346と348を有する。電圧ダブラー300Bは、また、電力入力ノード322と電力出力ノード324に接続される7個のダイオード-接続トランジスタ351、352a、352b、352c、354a、354bと354cを有する。ダイオード-接続トランジスタ352a、352bと352cの陽極端子は、キャパシタ356a、356bと356cの対応する一つにより、ノード326aに結合される。ダイオード-接続トランジスタ354a、354bと354cの陽極端子は、キャパシタ358a、358bと358cの対応する一つにより、ノード326bに結合される。
【0028】
図4Aは、一つ以上の実施例によるスイッチセル200Aまたは200Bの第一ノード212と第二ノード214を結合する方法400Aのフローチャートである。追加操作は、図4Aで示される方法400Aの前、その期間、および/または、その後に実行され、幾つかの別のプロセスは、この中に簡潔に記述されている。
【0029】
図4A、および、図2A図2Bに示されるように、操作410において、スイッチセル200Aまたは200Bが提供される。スイッチセル200Aまたは200Bは、第一ノード212、第二ノード214、第一電圧レベルを有する電力ノードに接続される第三ノード216、バイアスノード218、および、バイアスノード218と第三ノード216間に結合されるキャパシタを有する。スイッチセル200Aまたは200Bは、また、第一ノード212と第二ノード214間に結合される第一スイッチユニット220、および、第二ノード214とバイアスノード218間に結合される第二スイッチユニット230を有している。
【0030】
操作420において、第二ノード214とバイアスノード218は、第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルの直流 (DC)電圧レベルで、バイアスがかけられる。操作430において、第一スイッチユニット220は、第三電圧レベルを有する第一制御信号によりオンになる。第一スイッチユニット220をオンにするのは、第一ノード212と第二ノード214を電気的に結合することである。図2Aで示される少なくとも一実施例において、第一スイッチユニット220のオンは、直列に接続され、且つ、第一ノード212と第二ノード214間に接続される全トランジスタ222a、222b、222c、222dをオンにする工程を有している。図2Bで示される少なくとも別の実施例において、第一スイッチユニット220のオンは、トランジスタ222eをオンにする工程を有している。
【0031】
前述のように、第二電圧レベルは、第一電圧レベルより大きく、第三電圧レベルは、第一電圧レベルより大きい。ある実施例において、第三電圧レベルと第一電圧レベル間の差は、第二電圧レベルと第一電圧レベル間の差の約二倍である。少なくとも1つの実施例において、第一電圧レベルは接地、第二電圧レベルは電力ノード118の電源電圧VDDで、第三電圧レベルは2*VDDである。ある実施例において、電圧レベルVDDは 1 V から4 Vである。少なくとも一つの実施例において、電圧レベルVDDは約2.5 Vである。
【0032】
プロセスは操作440に進み、第二スイッチユニット230は、第一電圧レベルを有する第二制御信号によりオフになる。第二スイッチユニット230のオフは、第二ノード214とバイアスノード218の電気的な分離である。図2Aで示される少なくとも一実施例において、第二スイッチユニット230のオフは、直列に接続され、且つ、第二ノード214とバイアスノード218間に接続される全トランジスタ232a、232b、232c、232dをオフにする工程を含む。図2Bで示される少なくとも別の実施例において、第二スイッチユニット230のオフは、トランジスタ232eをオフにする工程を有している。
【0033】
図4Bは、一つ以上の実施例によるスイッチセル200Aまたは200Bの第一ノード212と第二ノード214を分離する方法400Bのフローチャートである。方法400Bの前、その期間、および/または、その後に実行され、幾つかの別のプロセスは、この中に簡潔に記述されている。
【0034】
図4B、および、図2A図2Bに示されるように、方法400Bは、図4Aの操作410と420と同様の操作410と420で開始される。よって、操作410と420の詳細は省略する。
【0035】
プロセスは操作450に進み、第一スイッチユニット220は、現在、第一電圧レベルを有する第一制御信号により停止される。第一スイッチユニット220の停止は、第一ノード212と第二ノード214の電気的な分離である。図2Aで示される少なくとも一実施例において、第一スイッチユニット220の停止は、直列に接続され、且つ、第一ノード212と第二ノード214間に接続される全トランジスタ222a、222b、222c、222dの停止を含む。図2Bで示される少なくとも別の実施例において、第一スイッチユニット220の停止は、トランジスタ222eの停止を含む。
【0036】
プロセスは操作460に進み、第二スイッチユニット230は、今、第三電圧レベルを有する第二制御信号により停止される。第二スイッチユニット230の停止は、第二ノード214とバイアスノード218の電気的な分離である。図2Aで示される少なくとも一実施例において、第二スイッチユニット230のオンは、直列に接続され、且つ、第二ノード214とバイアスノード218間に接続される全トランジスタ232a、232b、232c、232dをオンにする工程を含む。図2Bで示される少なくとも別の実施例において、第二スイッチユニット230のオンは、トランジスタ232eをオンにする工程を含む。
【0037】
一実施例によると、スイッチ回路は、二つ以上のスイッチセルを含む。さらに、各スイッチセルは、共通ポートに接続される第一ノード、対応するスイッチポートに接続される第二ノード、第一電圧レベルを有する第一電力ノードに接続される第三ノード、バイアスノード、第一スイッチユニット、第二スイッチ回路、および、バイアスノードと第三ノード間に結合されるキャパシタを有している。バイアスノードおよび第二ノードは、第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルを有する第二電力ノードに結合される。第一スイッチユニットは、第一ノードと第二ノード間に結合され、且つ、第一電圧レベルと第三電圧レベル間のシグナルスウィングを有する制御信号に応じて、第一ノードと第二ノードを電気的に接続、および、切断するように設定される。第二スイッチユニットは、第二ノードとバイアスノード間に結合され、第一電圧レベルと第三電圧レベル間のシグナルスウィングを有する別の制御信号に応じて、第二ノードとバイアスノードを電気的に接続、および、切断するように設定される。第三電圧レベルは第一電圧レベルより大きく、第三電圧レベルと第一電圧レベル間の差は、第二電圧レベルと第一電圧レベル間の差の約二倍である。
【0038】
別の実施例によると、スイッチセルは、第一ノード、第二ノード、第一電圧レベルを有する第一電力ノードに接続される第三ノード、バイアスノード、および、バイアスノードと第三ノード間に結合されるキャパシタを含む。スイッチセルの第一ノードと第二ノードを電気的に結合する方法は、第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルの直流 (DC)電圧レベルで、第二ノードとバイアスノードにバイアスをかける工程を有している。第一ノードと第二ノード間に結合される第一スイッチユニットは、第三電圧レベルを有する第一制御信号によりオン状態になる。第三電圧レベルは第一電圧レベルより大きくなり、第三電圧レベルと第一電圧レベル間の差は、第二電圧レベルと第一電圧レベル間の差の約二倍である。また、第二ノードとバイアスノード間に結合される第二スイッチユニットは、第一電圧レベルを有する第二制御信号によりオフ状態になる。
【0039】
別の実施例によると、スイッチセルは、第一ノード、第二ノード、第一電圧レベルを有する第一電力ノードに接続される第三ノード、バイアスノード、および、バイアスノードと第三ノード間に結合されるキャパシタを有している。スイッチセルの第一ノードと第二ノードを電気的に分離する方法は、第一電圧レベルより大きい第二電圧レベルの直流 (DC)電圧レベルで、第二ノードとバイアスノードにバイアスをかける工程を含む。第一ノードと第二ノード間に結合される第一スイッチユニットは、第一電圧レベルを有する第一制御信号によりオフ状態になる。また、第二ノードとバイアスノード間に結合される第二スイッチユニットは、第三電圧レベルを有する第二制御信号によりオン状態になる。第三電圧レベルは第一電圧レベルより大きくなり、第三電圧レベルと第一電圧レベルの差は、第二電圧レベルと第一電圧レベル間の差の約二倍である。
【0040】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や変形を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0041】
100 スイッチ回路、110 共通ポート、112 第一スイッチポート、114 第二スイッチポート、118 電力ノード、122 第一スイッチセル、124 第二スイッチセル、130 デコーダ、140 信号ブースタ、150 電源供給ユニット、152 電力ノード、154 電圧ダブラー、156 クロック生成回路、162 バス、164 バス、166 バス、168 バス、200A スイッチセル、200B スイッチセル、212 第一ノード、214 第二ノード、216 第三ノード、218 バイアスノード、220 第一スイッチユニット、222a,222b,222c,222d トランジスタ、224a,224b,224c,224d レジスタ、230 第二スイッチユニット、232a,224a,224b,224c,224d,232b,232c,232d トランジスタ、240 キャパシタ、226 ノード、236 ノード、252 バイアス抵抗器、254 バイアス抵抗器、222e トランジスタ、224e レジスタ、300A 電圧ダブラー、300B 電圧ダブラー、322 電力入力ノード、324 電力342,344,346,348 出力ノード、326 クロック入力ノード、326a ノード、326b ノード、328 内部ノード、329 参照電力ノード、334 ダイオード、336 キャパシタ、338 キャパシタ、342,344,346,348 インバータ、51,352a,352c,354a,354b,354c ダイオード-接続トランジスタ、352b,352c ダイオード-接続トランジスタ、356a,356b,356c キャパシタ。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B