【文献】
森村 俊,「メディア融合型光ファイバ通信方式における信号間干渉の実験的検討 −需要地系統用通信ネットワークへの適用に向けて−」,電力中央研究所報告,日本,2009年 6月,R08024
【文献】
A. B. Sahin 他,「Dispersion Division Multiplexing in Subcarrier Modulated Data Transmission Using Channel-Specific RF Fading」,IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS,2002年 8月,VOL. 14 NO. 8,p. 1190 - 1192
【文献】
A.B. Sahin and A.E. Willner,「Dispersion Division Multiplexing for In-Band Subcarrier-Header-Based All-Optical Packet Switching 」,OFC 2002,米国,2002年 3月,p. 279 - 280
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベースバンド信号若しくは無線信号を入力情報として変調した光を出力する光出力装置と、当該光出力装置から出力された光を受信して前記ベースバンド信号若しくは無線信号を再生する光検波器と、前記光出力装置と前記光検波器との間に設けられて前記光出力装置から出力された光を伝搬させる光ファイバ回線とを少なくとも有して前記ベースバンド信号若しくは無線信号を伝送する光ファイバネットワークの、前記光出力装置によって変調され出力された波長λ3の光を前記光検波器に向けて伝搬させて前記ベースバンド信号若しくは無線信号を伝送する前記光ファイバ回線に追加無線信号を伝送するための光を入射する際に、前記追加無線信号を入力情報として変調した波長λ1の光及び波長λ2の光を出力する追加光出力装置と、当該追加光出力装置が出力した前記波長λ1の光及び波長λ2の光を前記光ファイバ回線に入射させる挿入光ファイバ回線及び第一の光素子と、前記光ファイバ回線上に設けられて当該光ファイバ回線を前記光検波器に向かって伝搬する光を分岐する第二の光素子と、当該第二の光素子によって分岐された前記波長λ1の光又は前記波長λ2の光又は前記波長λ1の光及び前記波長λ2の光を受信して前記追加無線信号を再生する追加光検波器とを少なくとも備え、前記追加光出力装置から前記光検波器までの光ファイバの単位長さあたりの波長分散値D,波長差Δλ=|λ1−λ2|,前記追加光出力装置から光検波器までの光ファイバの線路長L,前記追加無線信号の周波数f,前記追加光出力装置から前記光検波器までの間において前記波長λ1の光及び波長λ2の光に付加する波長分散量D1を用いて
P∝|cos(Δλ(DL+D1)fπ)|2
で表される前記光検波器の設置地点における前記波長λ1の光と前記波長λ2の光とを検波した際に出力される前記追加無線信号の受信強度Pが極小になるように前記光ファイバの単位長さあたりの波長分散値D,前記波長差Δλ,前記光ファイバの線路長L,前記追加無線信号の周波数f,前記波長λ1の光及び波長λ2の光に付加する波長分散量D1を調整して前記光検波器が前記波長λ1の光及び波長λ2の光並びに前記波長λ3の光を受信した際に前記波長λ3の光のみに基づいて前記ベースバンド信号若しくは無線信号を再生して出力することを特徴とする光通信システム。
ベースバンド信号若しくは無線信号を入力情報として変調した光を出力する光出力装置と、当該光出力装置から出力された光を受信して前記ベースバンド信号若しくは無線信号を再生する光検波器と、前記光出力装置と前記光検波器との間に設けられて前記光出力装置から出力された光を伝搬させる光ファイバ回線とを少なくとも有して前記ベースバンド信号若しくは無線信号を伝送する光ファイバネットワークの、前記光出力装置によって変調され出力された波長λ3の光を前記光検波器に向けて伝搬させて前記ベースバンド信号若しくは無線信号を伝送する前記光ファイバ回線に追加無線信号を伝送するための光を入射する際に、前記追加無線信号を入力情報として変調した波長λ1の光を出力する第一の追加光出力装置及び前記追加無線信号を入力情報として変調した波長λ2の光を出力する第二の追加光出力装置と、これら第一・第二の追加光出力装置が出力した前記波長λ1の光及び前記波長λ2の光を前記光ファイバ回線に入射させる挿入光ファイバ回線及び第一の光素子と、前記光ファイバ回線上に設けられて当該光ファイバ回線を前記光検波器に向かって伝搬する光を分岐する第二の光素子と、当該第二の光素子によって分岐された前記波長λ1の光又は前記波長λ2の光又は前記波長λ1の光及び前記波長λ2の光を受信して前記追加無線信号を再生する追加光検波器とを少なくとも備え、前記第一の追加光出力装置から出力される前記波長λ1の光の変調に用いる前記追加無線信号の位相と前記第二の追加光出力装置から出力される前記波長λ2の光の変調に用いる前記追加無線信号の位相とを位相差φだけシフトさせると共に、前記第一・第二の追加光出力装置から前記光検波器までの光ファイバの単位長さあたりの波長分散値D,波長差Δλ=|λ1−λ2|,前記第一・第二の追加光出力装置から光検波器までの光ファイバの線路長L,前記追加無線信号の周波数f,前記第一・第二の追加光出力装置から前記光検波器までの間において前記波長λ1の光及び前記波長λ2の光に付加する波長分散量D1を用いて
前記波長λ1での波長分散量が前記波長λ2での波長分散量よりも大きい場合には
P∝|cos(Δλ(DL+D1+φ/2)fπ)|2 で
前記波長λ1での波長分散量が前記波長λ2での波長分散量よりも小さい場合には
P∝|cos(Δλ(DL+D1−φ/2)fπ)|2 で
表される前記光検波器の設置地点における前記波長λ1の光と前記波長λ2の光とを検波した際に出力される前記追加無線信号の受信強度Pが極小になるように前記光ファイバの単位長さあたりの波長分散値D,前記波長差Δλ,前記光ファイバの線路長L,前記追加無線信号の周波数f,前記波長λ1の光及び波長λ2の光に付加する波長分散量D1を調整し、前記光検波器が前記波長λ1の光及び波長λ2の光並びに前記波長λ3の光を受信した際に前記波長λ3の光のみに基づいて前記ベースバンド信号若しくは無線信号を再生して出力することを特徴とする光通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
はじめに、本発明の光通信システムのベースとなる既存の光ファイバネットワークの例、及び、従来の光ファイバ無線システムについて説明する。
【0020】
まず、本発明の光通信システムのベースとなる既存の光ファイバアクセスネットワーク20は例えば
図1に示すように、上位ネットワーク21とつながる光ファイバ回線22Aと接続する通信事業者の中央局に設置される終端装置であるOLT(Optical Line Terminal の略)23と、当該OLT23から敷設された光ファイバ回線22B(ネットワーク全体における位置づけとしては幹線に位置づけられ得るもの)と接続する光スプリッタ24とが設けられ、当該光スプリッタ24から個々のユーザに向けての光ファイバ回線25及び当該光ファイバ回線25に接続されるユーザ側に設置される終端装置であるONU(Optical Network Unit の略)26及びUNI(User Network Interface の略)27を介して個々のユーザの端末28が接続されている。
【0021】
OLT23から端末28に対して信号を伝送するための仕組みとしてOLT23には光搬送波を出射するための光源が少なくとも設けられると共にONU26には光/電気変換を行うための光検波器が少なくとも設けられる。
【0022】
また、既存の光ファイバネットワークに設置されている光スプリッタ24としては、特定の光のみを分波するというフィルタ機能を有さずに入射光をそのまま分岐して出射するものが通常は使われている。
【0023】
なお、
図1に示す光ファイバネットワーク20は、インターネットのアクセス網(PON(Passive Optical Network の略)とも呼ばれる)として普及している一般的な構成である。
【0024】
また、従来の光ファイバ無線システム30は例えば
図2に示すように、伝送する電波の電気信号33(無線信号33)を入力情報として光変調器32によって光源としてのレーザダイオード31から出射された光搬送波31aを変調することにより電気/光変換を行って無線信号33を光信号に変換し(具体的には、無線信号に合わせて光強度が時間変化する光に変換される)、当該光信号を光ファイバ回線34によって伝送し、受信側の光検波器35によって受信した光信号を電気信号に変換してもとの無線信号33(電波の電気信号33)として再生する。なお、光検波器35としては具体的には例えばフォトダイオードが用いられる。また、上述の例では光源31から出射された光搬送波31aを光変調器32を用いて外部変調するようにしているが、無線信号33を入力情報としてレーザダイオードに直接入力し変調して光源31から出射する場合もある。この場合は光変調器32は不要である。
【0025】
なお、光ファイバ無線システム30は、例えば電波の不感地対策として多くの場合は専用の光ファイバを敷設して利用されている(RoF(Radio on Fiber の略)とも呼ばれる)。
【0026】
そして、本発明の光通信システムは、
図3に示すように、既存の光ファイバネットワーク20に光ファイバ無線システムを追加するものである。具体的には、光ファイバ無線システムとしてのRoF親局1若しくはそれに相当する基地局1(以下、単に親局1と表記する)が設置されると共に当該親局1と既存の光ファイバネットワークの光ファイバ回線22Bとが挿入光ファイバ回線2及び光ファイバ回線22B上に設けられた光カプラ3を介して接続される。なお、例えば無線LANのようなデータ通信の場合にはアクセスポイント(イーサネット(登録商標)等のネットワークに接続されている)が親局1に該当し、放送波の不感地対策のような場合には電波環境が良好な地点において自身のアンテナによって放送波を受信する基地が親局1に該当する。
【0027】
また、光ファイバ無線システムとしてのRoF子局5若しくはそれに相当するアンテナ局5(以下、単に子局5と表記する)が設置されると共に当該子局5と光スプリッタ24とが分岐光ファイバ回線4によって接続される。なお、子局5は、光スプリッタ24の未使用ポート数の範囲で単数若しくは複数設置される。また、
図3中の矢印40の向きの伝送がアップリンクであり、矢印41の向きの伝送がダウンリンクである。
【0028】
また、
図2に示す従来の光ファイバ無線システム30と対応させると、親局1と子局5とにはそれぞれ、電気信号を光信号に変換する仕組みとして光源31と光変調器32とが備えられると共に光信号を電気信号に変換する仕組みとして光検波器35が備えられる。
【0029】
そして、光ファイバ無線システムの親局1と子局5とは、無線信号(電気信号)の受信,無線信号(電気信号)の光信号への変換(即ち、光搬送波の変調),光信号の無線信号(電気信号)への変換,無線信号(電気信号)の送出をそれぞれが行い、親局1と子局5との間で無線信号の伝送を行う。なお、本発明の光通信システムにおいては、親局1と子局5との間では例えば携帯電話を含む無線通信を行う種々の携帯端末や放送電波などの無線信号の伝送を行うことが考えられる。
【0030】
子局5から親局1に向けての光信号(以下、アップリンクRoF信号と呼ぶ)とユーザの端末28から上位ネットワーク21に向けての光信号(以下、アップリンクPON信号と呼ぶ)とはどちらも光スプリッタ24を介して光ファイバ回線22Bに入射させられてOLT23に向けて伝送される。このため、アップリンクPON信号のみがOLT23を通過して光ファイバ回線22Aに入射されるようにするための光フィルタが設けられる。この光フィルタとしては、アップリンクPON信号とアップリンクRoF信号とが重畳された信号からアップリンクPON信号のみを分波(言い換えると、アップリンクRoF信号を除去)することができる素子・回路・機器が用いられ、光カプラ3にその機能も持たせるようにしても良いし、OLT23内にバンドパスフィルタ等の光フィルタを設けるようにしても良い。
【0031】
また、親局1にとって入力として必要なのはアップリンクRoF信号のみであってアップリンクPON信号は不要であるので、アップリンクRoF信号のみを挿入光ファイバ回線2に入射させる機能を光カプラ3に持たせるか、或いは、アップリンクPON信号とアップリンクRoF信号とが重畳された信号からアップリンクRoF信号のみを分波するバンドパスフィルタ等の光フィルタが親局1に設けられる。
【0032】
また、親局1から子局5に向けての光信号(以下、ダウンリンクRoF信号と呼ぶ)と上位ネットワーク21からユーザの端末28に向けての光信号(以下、ダウンリンクPON信号と呼ぶ;なお、具体的にはベースバンド信号である)とはどちらも光ファイバ回線22Bと光スプリッタ24と分岐光ファイバ回線4とを経由して子局5に伝送される。しかしながら、子局5にとって入力として必要なのはダウンリンクRoF信号のみであってダウンリンクPON信号は不要であるので、ダウンリンクPON信号とダウンリンクRoF信号とが重畳された信号からダウンリンクRoF信号のみを分波するバンドパスフィルタ等の光フィルタが子局5に備えられる。
【0033】
また、ダウンリンクRoF信号とダウンリンクPON信号とはどちらも光ファイバ回線22Bと光スプリッタ24と光ファイバ回線25とを経由してONU26に入力される。
【0034】
そして、本発明の光通信システムでは、既存の光ファイバネットワークのユーザ側のONU26等の仕組みには変更を加えないので、ダウンリンクRoF信号を親局1から単純に送出するだけでは、既存の光ファイバネットワークの個々のユーザ側でベースバンド信号であるダウンリンクPON信号とダウンリンクRoF信号との間で干渉が生じてしまって既存の光ファイバネットワークのユーザがダウンリンクPON信号を適切に受信することができない。
【0035】
そこで、本発明の光通信システムでは、特有の方法により、無線信号を伝送するために新たに入射される信号(即ち追加無線信号)が既存の光ファイバネットワークの信号に干渉を与えないようにする。具体的には、以下の三つの方法のうちのいずれかによってダウンリンクRoF信号がダウンリンクPON信号(ベースバンド信号)に与える干渉を抑制する。
【0036】
(1)逆位相の無線信号で打ち消す方法
この方法は、
図4に示すように、伝送する電波の電気信号33(追加無線信号33)を入力情報として同じ内容で波長が異なる二つの光(光信号)を生成して伝送し、これら二つの光同士が受信点において打ち消し合うようにすることによってダウンリンクRoF信号がダウンリンクPON信号に与える干渉を抑制するものである。なお、
図4では光スプリッタ24に接続されるONU26と子局5とはそれぞれ一つずつのみであるが、これは説明の便宜のためであり、光スプリッタ24にONU26と子局5とがそれぞれ複数接続されていても構わない。
【0037】
この方法を用いる場合の本発明の光通信システムは、具体的には、ベースバンド信号29若しくは無線信号を入力情報として変調した光を出力する光出力装置としての光源23aと、当該光源23aから出力された光を受信してベースバンド信号29若しくは無線信号を再生する光検波器26aと、光源23aと光検波器26aとの間に設けられて光源23aから出力された光を伝搬させる光ファイバ回線22Bとを少なくとも有してベースバンド信号29若しくは無線信号を伝送する光ファイバネットワーク20の、光源23aによって変調され出力された波長λ3の光を光検波器26aに向けて伝搬させてベースバンド信号29若しくは無線信号を伝送する光ファイバ回線22Bに追加無線信号33を伝送するための光を入射する際に、追加無線信号33を入力情報として変調した波長λ1の光及び波長λ2の光を出力する追加光出力装置としての光源6A及び光源6B並びに光変調器7と、当該光変調器7が出力した波長λ1の光及び波長λ2の光を光ファイバ回線22Bに入射させる挿入光ファイバ回線2及び第一の光素子としての光カプラ3と、光ファイバ回線22B上に設けられて当該光ファイバ回線22Bを光検波器26aに向かって伝搬する光を分岐する第二の光素子としての光スプリッタ24と、当該光スプリッタ24によって分岐された波長λ1の光若しくは波長λ2の光を受信して追加無線信号33を再生する追加光検波器9とを少なくとも備え、光変調器7から光検波器26aまでの光ファイバの単位長さあたりの波長分散値D,波長差Δλ=|λ1−λ2|,光変調器7から光検波器26aまでの光ファイバの線路長L,追加無線信号33の周波数f,光変調器7から光検波器26aまでの間において波長λ1の光及び波長λ2の光に付加する波長分散量D1を用いて
(数4) P∝|cos(Δλ(DL+D1)fπ)|
2
で表される光検波器26aの設置地点における波長λ1の光と波長λ2の光とを検波した際に出力される追加無線信号の受信強度Pが極小若しくは略極小になるように光ファイバの単位長さあたりの波長分散値D,波長差Δλ,光ファイバの線路長L,追加無線信号33の周波数f,波長λ1の光及び波長λ2の光に付加する波長分散量D1を調整して光検波器26aが波長λ1の光及び波長λ2の光並びに波長λ3の光を受信した際に波長λ3の光のみに基づいてベースバンド信号29若しくは無線信号を再生して出力すると共に、追加光検波器9が波長λ1の光若しくは波長λ2の光に基づいて追加無線信号33を再生して出力するようにする。
【0038】
まず、既存の光ファイバネットワーク20におけるダウンリンクPON信号の伝送として、OLT23内において、伝送するベースバンド信号29を入力情報として光源23aに直接入力し変調して光源23aから波長λ3の光を出射してベースバンド信号29を波長λ3の光(光信号;ダウンリンクPON信号)に変換する。そして、波長λ3の光はOLT23から送出される。なお、波長λ3は既存の光ファイバネットワークとして既定されているものであり、本発明として規定するものではない。
【0039】
OLT23から送出された波長λ3の光は、光カプラ3を通過し、光ファイバ回線22Bを経由して光スプリッタ24に到達し、当該光スプリッタ24によって分岐光ファイバ回線4に入射する光と光ファイバ回線25に入射する光とに分岐される。
【0040】
光ファイバ回線25に入射した光は当該光ファイバ回線25を通過してONU26に入射する。そして、ONU26に入力された波長λ3の光はONU26内の光検波器26aによって電気信号に変換されてもとのベースバンド信号29として再生される。
【0041】
なお、上述の光ファイバネットワーク20及びベースバンド信号29(ダウンリンクPON信号)の伝送は、OLT23と光スプリッタ24との間の光ファイバ回線上に光カプラ3が設けられている点を除いて、既存の設備や仕組みのままである。
【0042】
一方、ダウンリンクRoF信号の伝送は、まず、親局1内において、伝送する電波の電気信号33(追加無線信号33)を入力情報として光変調器7によって光源6Aから出射された波長λ1の光搬送波と光源6Bから出射された波長λ2の光搬送波とをそれぞれ変調することにより電波の電気信号33を波長λ1の光(光信号;ダウンリンクRoF信号)と波長λ2の光(光信号;ダウンリンクRoF信号)とに変換する。そして、波長λ1の光と波長λ2の光とは親局1から送出される。なお、光源6Aからの光と光源6Bからの光とは例えば光カプラなどを介してどちらも光変調器7に入力される。
【0043】
親局1から送出された波長λ1の光及び波長λ2の光は、挿入光ファイバ回線2を経由し光カプラ3を介して光ファイバ回線22Bに入射し、当該光ファイバ回線22Bを通過して光スプリッタ24に到達し、当該光スプリッタ24によって分岐光ファイバ回線4に入射する光と光ファイバ回線25に入射する光とに分岐される。
【0044】
以上により、光ファイバ回線22Bには、波長λ1の光(ダウンリンクRoF信号)及び波長λ2の光(ダウンリンクRoF信号)並びに波長λ3の光(ダウンリンクPON信号)が入射され重畳して伝搬する。また、光スプリッタ24はこれら三波長の光をそのまま分岐するだけであるので、分岐光ファイバ回線4と光ファイバ回線25とのそれぞれにこれら三波長の光が重畳されて入射させられる。
【0045】
光スプリッタ24によって分岐された光のうち分岐光ファイバ回線4に入射した三波長の光は子局5に到達する。そして、子局5に備えられたバンドパスフィルタ等の光フィルタ8によってダウンリンクRoF信号である波長λ1の光(若しくは波長λ2の光)のみが分波され、追加光検波器9によって光が電気信号に変換されてもとの電波の電気信号33が再生される。
【0046】
一方、光スプリッタ24によって分岐された光のうち光ファイバ回線25に入射した三波長の光は、ダウンリンクPON信号とダウンリンクRoF信号とが重畳された信号として、ONU26に到達して当該ONU26内の光検波器26aに入力される。
【0047】
このとき、既存の光ファイバネットワーク20のONU26にとって入力として必要なのはダウンリンクPON信号のみであってダウンリンクRoF信号は不要である。このため、以下の方法によってダウンリンクRoF信号を除去する。
【0048】
まず、親局1内の光変調器7によって変調されて出力される光は位相差がゼロに調整される。すなわち、波長λ1の光に変換される追加無線信号と波長λ2の光に変換される追加無線信号とは同一の信号であり、
図4中(B)に示すように、どちらの光も光強度の時間変化は同じ波形になる。そして、二つの光は、波長が異なるので光ファイバ回線の波長分散の影響によって光ファイバを伝搬する速度(具体的には群速度)が異なり、光ファイバを伝搬する間に位相差が生じる。
【0049】
したがって、
図4中(C)に示すように、ONU26内の光検波器26aの設置地点において波長λ1の光と波長λ2の光との強度変化に対応する無線信号の位相差が(2n−1)π(ただし、nは整数)であれば二つの光の光強度が打ち消し合ってフラットになる。そして、光検波器26aにおいては、ダウンリンクRoF信号がダウンリンクPON信号に与える干渉が抑制され、光/電気変換によって波長λ3の光のみに基づくベースバンド信号29が再生されて出力される。
【0050】
ここで、本方法における光を検波した際に出力される追加無線信号の受信強度(即ち、光変調器からの出力に対する光検波器からの出力の比)Pは数式5によって表される。
(数5) P∝|cos(Δλ(DL+D1)fπ)|
2
ここに、 P :受信強度,
Δλ:光源の波長差,
D :光ファイバの単位長さあたりの波長分散値,
L :光ファイバの線路長,
D1 :波長分散制御器によって意図的に付加される波長分散量,
f :追加無線信号の周波数,
π :円周率
をそれぞれ表す。
【0051】
なお、
図4に示す例であれば、光源の波長差Δλ=|λ1−λ2|である。また、光ファイバの単位長さあたりの波長分散値Dと線路長Lとは、親局1内の光変調器7からONU26内の光検波器26aまでの光ファイバ回線2,22B,25の波長分散値と長さとである。なお、光ファイバの単位長さあたりの波長分散値が区間によって異なる場合には、波長分散値が異なる区間毎に「単位長さあたりの波長分散値×区間長」を計算すると共に区間毎の値の合計を算出して当該合計値を数式5のDLとして用いる。
【0052】
すなわち、数式5で算出される受信強度PがダウンリンクRoF信号である波長λ1の光と波長λ2の光とについて光検波器26aの設置地点において極小若しくは略極小になるように数式5の各変数の値を調整すれば、ダウンリンクRoF信号がダウンリンクPON信号に与える干渉が抑制される。具体的には例えば、本発明は既存の光ファイバネットワークを利用することを基本として想定しているので通常は光ファイバの単位長さあたりの波長分散値Dは既定であるので、更に追加無線信号の周波数fが既定であれば、光源の波長差Δλと光ファイバの線路長Lとの一方若しくは両方を調整して光検波器26aにおける受信強度Pが極小若しくは略極小になるようにすれば良い。なお、光ファイバの線路長Lの調整としては、具体的には、光変調器7から光カプラ3までの挿入光ファイバ回線2の長さを調整する。
【0053】
あるいは、例えば親局1内の光変調器7の出力側に波長分散制御器10を設け、挿入光ファイバ回線2に入射する光に対して適当な波長分散(波長分散制御器10の波長分散量D1)を付加することによって調整して光検波器26aにおける受信強度Pを極小若しくは略極小にするようにしても良い。なお、波長分散制御器10を用いる場合、光が光検波器26aに入射される前に適当な波長分散が付加されれば良いので、波長分散制御器10を設置する場所は親局1内には限られない。具体的には、
図4に示す例であれば、光変調器7から光検波器26aまでの間であればどこでも良い。ここで、波長分散制御器10によって波長分散を付加することは本方法にとって必須の要件ではない。すなわち、上述のように例えば光源の波長差Δλや光ファイバの線路長Lを調整することによって受信強度Pが極小若しくは略極小になる場合には波長分散制御器10は不要である。この場合、数式5における波長分散制御器によって意図的に付加される波長分散量D1=0である。
【0054】
また、上述の説明では伝送する電波の電気信号33(追加無線信号33)を入力情報として同じ内容で波長が異なる二つの光(光信号;ダウンリンクRoF信号)を生成するために二つの光源6A,6Bと一つの光変調器7とを用いるようにしているが、二つの光信号の生成方法はこれに限られない。
【0055】
具体的には例えば、
図5(A)に示すように、追加無線信号(図中では無線信号)を入力情報として光源6に直接入力し変調して波長λ1と波長λ2との中間の波長の光信号を光源6から出力し、当該光信号を光変調器7’によって正弦波の電気信号を用いて変調することで波長λ1の光と波長λ2の光との二つの光を生成して挿入光ファイバ回線2に出射する方法が考えられる。
【0056】
また、
図5(B)に示すように、波長λ1と波長λ2との中間の波長の光搬送波を光源6から出射すると共に当該光搬送波を光変調器7’によって正弦波の電気信号を用いて変調することで波長λ1と波長λ2との二つの光搬送波を生成し、生成されたこれら二つの波長の光を、追加無線信号(図中では無線信号)を入力情報として光変調器7によって変調して挿入光ファイバ回線2に出射する方法が考えられる。
【0057】
さらに、
図5(C)に示すように、波長λ1の光搬送波を光源6Aから出射すると共に当該光搬送波を光変調器7Aによって追加無線信号(図中では無線信号)を入力情報として変調して挿入光ファイバ回線2に出射し、さらに、波長λ2の光搬送波を光源6Bから出射すると共に当該光搬送波を光変調器7Bによって追加無線信号(図中では無線信号)を入力情報として変調して挿入光ファイバ回線2に出射する方法が考えられる。なお、波長λ1の光信号と波長λ2の光信号とは例えば光カプラなどを介して挿入光ファイバ回線2に入射させられる。なお、
図5(C)では光変調器を用いて変調するようにしているが、光源6A,6Bのレーザダイオードに追加無線信号を直接入力し変調する方法も考えられる。また、波長λ1の光搬送波と波長λ2の光搬送波を変調する際の追加無線信号は同一のものであるが、その追加無線信号間に予め位相差を持たせることや、変調後の波長λ1の光信号と波長λ2の合波までの片側の光ファイバに遅延を設けて位相差を持たせることで、数式4で表される周期特性全体をシフトさせることが可能であり、無線信号出力を極小若しくは略極小とするための調整の際に自由度を高めることが可能である。
【0058】
なお、波長分散制御器10の波長分散値は通常は各波長チャネルでは或る値で一定とみなせるものであり、ある特定の無線周波数fで数式5で表される受信強度Pの値を極小若しくは略極小として干渉を抑圧することが可能である。ここで、
図7に示すように、波長に対して分散値を急激に変化させるような特性を備える波長分散制御器を製作すると共に、D1をfの変数として数式5中の「(DL+D1)f」を一定とすることで広い無線周波数帯において数式5で表される受信強度Pの値を極小若しくは略極小とすることができる。このような波長分散制御器は例えばファイバブラッググレーティング等の波長分散制御器を設計することによって製作が可能である。
【0059】
なお、上述の方法は、追加無線信号の周波数fが数GHz以下の場合に特に適している。
【0060】
(2)光ファイバ無線信号の波長分散によるフェージングを利用して打ち消す方法
この方法は、
図6に示すように、伝送する電波の電気信号33(追加無線信号33)を入力情報として生成した光が受信点において波長分散によるフェージングによって出力強度が極小若しくは略極小になるようにすることによってダウンリンクRoF信号がダウンリンクPON信号に与える干渉を制御するものである。なお、
図6では光スプリッタ24に接続されるONU26と子局5とはそれぞれ一つずつのみであるが、これは説明の便宜のためであり、光スプリッタ24にONU26と子局5とがそれぞれ複数接続されていても構わない。
【0061】
この方法を用いる場合の本発明の光通信システムは、具体的には、ベースバンド信号29若しくは無線信号を入力情報として変調した光を出力する光出力装置としての光源23aと、当該光源23aから出力された光を受信してベースバンド信号29若しくは無線信号を再生する光検波器26aと、光源23aと光検波器26aとの間に設けられて光源23aから出力された光を伝搬させる光ファイバ回線22Bとを少なくとも有してベースバンド信号29若しくは無線信号を伝送する光ファイバネットワーク20の、光源23aによって変調され出力された波長λ3の光を光検波器26aに向けて伝搬させてベースバンド信号29若しくは無線信号を伝送する光ファイバ回線22Bに追加無線信号33を伝送するための光を入射する際に、追加無線信号33を入力情報として変調した波長λ1の光を出力する追加光出力装置としての光源6及び光変調器7と、当該光変調器7が出力した波長λ1の光を光ファイバ回線22Bに入射させる挿入光ファイバ回線2及び第一の光素子としての光カプラ3と、光ファイバ回線22B上に設けられて当該光ファイバ回線22Bを光検波器26aに向かって伝搬する光を分岐する第二の光素子としての光スプリッタ24と、当該光スプリッタ24によって分岐された波長λ1の光を受信して追加無線信号33を再生する追加光検波器9とを少なくとも備え、波長λ1,光変調器7から光検波器26aまでの光ファイバの単位長さあたりの波長分散値D及び線路長L,光変調器7から光検波器26aまでの間において波長λ1の光に付加する波長分散量D1,追加無線信号33の周波数f,真空中での光の速度c,追加光出力装置の光変調器のチャープパラメータαを用いて
【数6】
で表される光検波器26aの設置地点における波長λ1の光を検波した際に出力される追加無線信号の受信強度Pが極小若しくは略極小になるように波長λ1,光ファイバの単位長さあたりの波長分散値D及び線路長L,波長λ1の光に付加する波長分散量D1,追加無線信号33の周波数fを調整して光検波器26aが波長λ1の光及び波長λ3の光を受信した際に波長λ3の光のみに基づいてベースバンド信号29若しくは無線信号を再生して出力すると共に、追加光検波器9が波長λ1の光に基づいて追加無線信号33を再生して出力するようにする。
【0062】
まず、本方法の場合も、既存の光ファイバネットワーク20におけるダウンリンクPON信号の伝送の仕組みは上述の(1)の方法の場合と同様である。
【0063】
そして、本方法の場合のダウンリンクRoF信号の伝送は、まず、親局1内において、伝送する電波の電気信号33(追加無線信号33;周波数f)を入力情報として光変調器7によって光源6から出射された波長λ1の光搬送波を変調することにより電波の電気信号33を波長λ1の光(光信号;ダウンリンクRoF信号)に変換する。そして、波長λ1の光は親局1から送出される。なお、追加無線信号33を入力情報として光源6に直接入力し変調して光源6から出射するようにしても良い。この場合は光変調器7は不要である。
【0064】
親局1から送出された波長λ1の光は、挿入光ファイバ回線2を経由し光カプラ3を介して光ファイバ回線22Bに入射し、当該光ファイバ回線22Bを通過して光スプリッタ24に到達し、当該光スプリッタ24によって分岐光ファイバ回線4に入射する光と光ファイバ回線25に入射する光とに分岐される。
【0065】
以上により、光ファイバ回線22Bには、波長λ1の光(ダウンリンクRoF信号)及び波長λ3の光(ダウンリンクPON信号)が入射され重畳して伝搬する。また、光スプリッタ24はこれら二波長の光をそのまま分岐するだけであるので、分岐光ファイバ回線4と光ファイバ回線25とのそれぞれにこれら二波長の光が重畳されて入射される。
【0066】
光スプリッタ24によって分岐された光のうち分岐光ファイバ回線4に入射した二波長の光は子局5に到達する。そして、子局5に備えられたバンドパスフィルタ等の光フィルタ8によってダウンリンクRoF信号である波長λ1の光のみが分波され、さらに、波長分散量D2が付加され、追加光検波器9によって光が電気信号に変換されてもとの電波の電気信号33が再生される。
【0067】
ここで、波長分散量D2は、追加光検波器9において光搬送波及び当該光搬送波よりも上の周波数の側波帯と光搬送波及び当該光搬送波よりも下の周波数の側波帯との周波数差に相当する無線信号の位相差を2nπ(ただし、nは整数)にして追加無線信号33が強め合う条件で出力されるようにするために付加されるものであり、例えば波長分散制御器12によって付加される。なお、波長分散量D2を付加することはここでの(2)の方法において必須の構成ではない。すなわち、より良い条件の下で追加無線信号33(もとの電波の電気信号33)を再生するようにするために波長分散量D2を付加することは有効であるものの、波長分散量D2をたとえ付加しないとしても必ずしも最適な条件とは言えないながらも追加無線信号33(もとの電波の電気信号33)を再生することはできる。
【0068】
一方、光スプリッタ24によって分岐された光のうち光ファイバ回線25に入射した二波長の光は、ダウンリンクPON信号とダウンリンクRoF信号とが重畳された信号として、ONU26に到達して当該ONU26内の光検波器26aに入力される。
【0069】
このとき、既存の光ファイバネットワーク20のONU26にとって入力として必要なのはダウンリンクPON信号のみであってダウンリンクRoF信号は不要である。このため、以下の方法によってダウンリンクRoF信号を除去する。
【0070】
まず、光源6から出射された波長λ1の光搬送波は親局1内の光変調器7により、
図6中(B)に示すように、光搬送波(図中では光キャリア)並びに当該光搬送波よりも上の周波数の側波帯(以下、USB(Upper SideBand の略)と呼ぶ)と光搬送波よりも下の周波数の側波帯(以下、LSB(Lower SideBand の略)と呼ぶ)との両側波に変調されて出力される。すなわち、USBが情報として有している追加無線信号とLSBが情報として有している追加無線信号とは同一の信号である。そして、USBとLSBとは、波長が異なるので光ファイバ回線の波長分散の影響によって光ファイバを伝搬する速度が異なり、光ファイバを伝搬する間に位相差が生じる。
【0071】
したがって、
図6中(C)に示すように、ONU26内の光検波器26aの設置地点において光キャリア及びUSBの周波数差に相当する無線信号と光キャリア及びLSBの周波数差に相当する無線信号との位相差が(2n−1)π(ただし、nは整数)であれば光検波時に二つの無線信号は打ち消し合う。このため、光検波器26aにおいては、ダウンリンクRoF信号がダウンリンクPON信号に与える干渉が抑制され、光/電気変換によって波長λ3の光のみに基づくベースバンド信号29が再生されて出力される。
【0072】
ここで、本方法における光を検波した際に出力される追加無線信号の受信強度Pは数式7によって表される。
【数7】
ここに、 P :受信強度,
c :真空中での光の速度,
π :円周率,
λ :光源の波長,
D :光ファイバの単位長さあたりの波長分散値,
L :光ファイバの線路長,
D1:波長分散制御器によって意図的に付加される波長分散値,
f :追加無線信号の周波数,
α :追加光出力装置の光変調器のチャープパラメータ
をそれぞれ表す。
【0073】
なお、
図6に示す例であれば、光源の波長λ=λ1である。また、光ファイバの単位長さあたりの波長分散値Dと線路長Lとは、親局1内の光変調器7からONU26内の光検波器26aまでの光ファイバ回線2,22B,25の波長分散値と長さとである。なお、光ファイバの単位長さあたりの波長分散値が区間によって異なる場合には、波長分散値が異なる区間毎に「単位長さあたりの波長分散値×区間長」を計算すると共に区間毎の値の合計を算出して当該合計値を数式7のDLとして用いる。
【0074】
すなわち、数式7で算出される受信強度PがダウンリンクRoF信号であるUSBとLSBとについて光検波器26aの設置地点において極小若しくは略極小になるように数式7の各変数の値を調整すれば、ダウンリンクRoF信号がダウンリンクPON信号に与える干渉が抑制される。具体的には例えば、本発明は既存の光ファイバネットワークを利用することを基本として想定しているので通常は光ファイバの単位長さあたりの波長分散値Dは既定であるので、更に追加無線信号の周波数fが既定であれば、光源の波長λと光ファイバの線路長Lとの一方若しくは両方を調整して光検波器26aにおける受信強度Pが極小若しくは略極小になるようにすれば良い。なお、光ファイバの線路長Lの調整としては、具体的には、光変調器7から光カプラ3までの挿入光ファイバ回線2の長さを調整する。
【0075】
あるいは、例えば親局1内の光変調器7の出力側に波長分散制御器11を設け、挿入光ファイバ回線2に入射する光に対して適当な波長分散(波長分散制御器11の波長分散量D1)を付加することによって調整して光検波器26aにおける受信強度Pを極小若しくは略極小にするようにしても良い。なお、波長分散制御器11を用いる場合、光が光検波器26aに入射される前に適当な波長分散が付加されれば良いので、波長分散制御器11を設置する場所は親局1内には限られない。具体的には、
図6に示す例であれば、光変調器7から光検波器26aまでの間であればどこでも良い。ここで、波長分散制御器11によって波長分散を付加することは本方法にとって必須の要件ではない。すなわち、上述のように例えば光源の波長λや光ファイバの線路長Lを調整することによって受信強度Pが極小若しくは略極小になる場合には波長分散制御器11は不要である。この場合、数式7における波長分散制御器によって意図的に付加される波長分散量D1=0である。
【0076】
また、挿入光ファイバ回線2を波長分散制御器11として機能させることも考えられ、この場合には挿入光ファイバ回線2として分散補償ファイバやシングルモードファイバ等の光ファイバを用いる。この場合の波長分散量D1は、挿入光ファイバ回線2の単位長さあたりの波長分散値d,長さlとするとD1=d×lで与えられる。このように、波長分散量D1の調整として挿入光ファイバ回線2の長さlを調整することも考えられる。また、波長分散制御器11として光ファイバを用いる以外にもファイバブラッググレーティングやエタロンやVIPA(Virtually Imaged Phased Array の略)やPLC(平面光導波路回路)等の光デバイスを利用することも考えられる。
【0077】
なお、波長分散制御器11の波長分散値は通常はその波長チャネルでは或る値で一定とみなせるものであり、ある特定の無線周波数fで数式7で表される受信強度Pの値を極小若しくは略極小とすることが可能である。ここで、
図7に示すように、波長に対して分散値を急激に変化させるような特性を備える波長分散制御器を製作すると共に、D1をfの変数として数式7中の「(DL+D1)f
2」を一定とすることで広い無線周波数帯において数式7で表される受信強度Pの値を極小若しくは略極小とすることができる。このような波長分散制御器は例えばファイバブラッググレーティング等の波長分散制御器を設計することによって製作が可能である。
【0078】
なお、上述の方法は、追加無線信号の周波数fが数十GHz以上の場合に特に適している。
【0079】
(3)偏波モード分散を利用して打ち消す方法
この方法は、
図8に示すように、伝送する電波の電気信号33(追加無線信号33)を入力情報として生成した光が受信点において偏波モード分散によって出力強度が極小若しくは略極小になるようにすることによってダウンリンクRoF信号がダウンリンクPON信号に与える干渉を制御するものである。なお、
図8では光スプリッタ24に接続されるONU26と子局5とはそれぞれ一つずつのみであるが、これは説明の便宜のためであり、光スプリッタ24にONU26と子局5とがそれぞれ複数接続されていても構わない。
【0080】
この方法を用いる場合の本発明の光通信システムは、具体的には、ベースバンド信号29若しくは無線信号を入力情報として変調した光を出力する光出力装置としての光源23aと、当該光源23aから出力された光を受信してベースバンド信号29若しくは無線信号を再生する光検波器26aと、光源23aと光検波器26aとの間に設けられて光源23aから出力された光を伝搬させる光ファイバ回線22Bとを少なくとも有してベースバンド信号29若しくは無線信号を伝送する光ファイバネットワーク20の、光源23aによって変調され出力された波長λ3の光を光検波器26aに向けて伝搬させてベースバンド信号29若しくは無線信号を伝送する光ファイバ回線22Bに追加無線信号33を伝送するための光を入射する際に、追加無線信号33を入力情報として変調した波長λ1の光を出力する追加光出力装置としての光源6及び光変調器7と、当該光変調器7が出力した波長λ1の光を光ファイバ回線22Bに入射させる挿入光ファイバ回線2及び第一の光素子としての光カプラ3と、光ファイバ回線22B上に設けられて当該光ファイバ回線22Bを光検波器26aに向かって伝搬する光を分岐する第二の光素子としての光スプリッタ24と、当該光スプリッタ24によって分岐された波長λ1の光を受信して追加無線信号33を再生する追加光検波器9とを少なくとも備え、光変調器7によって変調され出力された波長λ1の光を偏波保持光ファイバ13の第一偏波モードと第二偏波モードとに入射してこれら第一偏波モード入射光と第二偏波モード入射光とに位相差を生じさせ、波長λ1,偏波保持光ファイバの線路長L及びビート長x,追加無線信号の周波数f,真空中での光の速度cを用いて
【数8】
で表される光検波器26aの設置地点における波長λ1の光を検波した際に出力される追加無線信号の受信強度Pが極小若しくは略極小になるように波長λ1,偏波保持光ファイバの線路長L及びビート長x,追加無線信号の周波数fを調整して光検波器26aが波長λ1の光及び波長λ3の光を受信した際に波長λ3の光のみに基づいてベースバンド信号29若しくは無線信号を再生して出力すると共に、追加光検波器9が波長λ1の光に基づいて追加無線信号33を再生して出力するようにする。
【0081】
まず、本方法の場合も、既存の光ファイバネットワーク20におけるダウンリンクPON信号の伝送の仕組みは上述の(1)の方法の場合と同様である。
【0082】
そして、本方法の場合のダウンリンクRoF信号の伝送は、まず、親局1内において、伝送する電波の電気信号33(追加無線信号33)を入力情報として光変調器7によって光源6から出射された波長λ1の光搬送波を変調することにより電波の電気信号33を波長λ1の光(光信号;ダウンリンクRoF信号)に変換する。なお、追加無線信号33を入力情報として光源6に直接入力し変調して光源6から出射するようにしても良い。この場合は光変調器7は不要である。
【0083】
そして、本方法では、追加無線信号33を入力情報として変調された波長λ1の光は、親局1内の偏波保持光ファイバ13(以下、PMFと呼ぶ)の二つの偏波モード(以下、第一偏波モード,第二偏波モードとも適宜呼ぶ)に半分ずつ入射される。なお、PMF13の二つの偏波モードに半分ずつ光電力を入射させるために、直線偏光の入射光を二つの偏波モードの軸に対して45度の角度で入射する方法や、入射光の偏光状態を円偏光にしておく方法などが用いられる。
【0084】
PMF13を通過して親局1から送出された波長λ1の光は、挿入光ファイバ回線2を経由し光カプラ3を介して光ファイバ回線22Bに入射し、当該光ファイバ回線22Bを通過して光スプリッタ24に到達し、当該光スプリッタ24によって分岐光ファイバ回線4に入射する光と光ファイバ回線25に入射する光とに分岐される。
【0085】
以上により、光ファイバ回線22Bには、波長λ1の光(ダウンリンクRoF信号)及び波長λ3の光(ダウンリンクPON信号)が入射され重畳して伝搬する。また、光スプリッタ24はこれら二波長の光をそのまま分岐するだけであるので、分岐光ファイバ回線4と光ファイバ回線25とのそれぞれにこれら二波長の光が重畳されて入射させられる。
【0086】
光スプリッタ24によって分岐された光のうち分岐光ファイバ回線4に入射した二波長の光は子局5に到達する。そして、子局5に備えられたバンドパスフィルタ等の光フィルタ8によってダウンリンクRoF信号である波長λ1の光のみが分波されて出射される。
【0087】
光フィルタ8から出射された波長λ1の光は伝搬路の光ファイバ(シングルモードファイバである)を介して偏波制御部14に入射される。偏波制御部14では、まず、波長λ1の光は伝搬路の光ファイバで偏波状態がランダムに変化しているので偏波安定化装置(偏波スタビライザーとも呼ばれる)によって偏波状態をもとのPMF13出力時に戻し、さらに、PMF13出力時のうちの片方の偏波モードのみを偏光子によって透過させて追加光検波器9に向けて出力する。そして、追加光検波器9によって光が電気信号に変換されてもとの電波の電気信号33が再生される。
【0088】
一方、光スプリッタ24によって分岐された光のうち光ファイバ回線25に入射した二波長の光は、ダウンリンクPON信号とダウンリンクRoF信号とが重畳された信号として、ONU26に到達して当該ONU26内の光検波器26aに入力される。
【0089】
このとき、既存の光ファイバネットワーク20のONU26にとって入力として必要なのはダウンリンクPON信号のみであってダウンリンクRoF信号は不要である。このため、以下の方法によってダウンリンクRoF信号を除去する。
【0090】
本方法では、前述の通り、親局1から送出される波長λ1の光はPMF13の二つの偏波モードに半分ずつ入射させられる。すなわち、同一の追加無線信号の情報を有する光がPMF13の第一偏波モードと第二偏波モードとに入射させられる。そして、PMF13の第一偏波モードと第二偏波モードとの間では伝搬定数差があるので光が伝搬する速度が異なり、第一偏波モードの光と第二偏波モードの光とにはPMF13を伝搬する間に位相差が生じる。
【0091】
したがって、ONU26内の光検波器26aの設置地点において第一偏波モードの光と第二偏波モードの光との位相差が(2n−1)π(ただし、nは整数)であれば二つの光の光強度が打ち消し合ってフラットになる。そして、光検波器26aにおいては、ダウンリンクRoF信号がダウンリンクPON信号に与える干渉が抑制され、光/電気変換によって波長λ3の光のみに基づくベースバンド信号29が再生されて出力される。
【0092】
ここで、本方法における光を検波した際に出力される追加無線信号の受信強度Pは数式9によって表される。
【数9】
ここに、 P :受信強度,
c :真空中での光の速度,
π :円周率,
x :偏波保持光ファイバのビート長,
λ :光源の波長,
L :偏波保持光ファイバの線路長,
f :追加無線信号の周波数
をそれぞれ表す。
【0093】
なお、
図8に示す例であれば、光源の波長λ=λ1である。また、偏波保持光ファイバのビート長とは、二つの偏波モードでの速度差によって二つの直交する偏波モード間に使用光波の一波長分の位相差が生じるのに必要な光ファイバの長さのことである。
【0094】
すなわち、数式9で算出される受信強度PがダウンリンクRoF信号である波長λ1の光について光検波器26aの設置地点において極小若しくは略極小になるように数式9の各変数の値を調整すれば、ダウンリンクRoF信号がダウンリンクPON信号に与える干渉が抑制される。具体的には例えば、偏波保持光ファイバ13のビート長xと追加無線信号の周波数fとが既定であれば、光源の波長λと偏波保持光ファイバ13の線路長Lとの一方若しくは両方を調整して光検波器26aにおける受信強度Pが極小若しくは略極小になるようにすれば良い。
【0095】
以上のように構成された本発明の光通信システムによれば、追加無線信号33を伝送するための光(光信号)に影響を受けることなく、光ファイバ回線22Bによる信号の伝送を行うことができるので、光ファイバ回線22Bによってもともと伝送するベースバンド信号29若しくは無線信号の伝送に加えて追加無線信号33も同じ光ファイバ回線22Bを使って伝送することが可能になり、設備の多様性と効率性との向上を図ることが可能になる。
【0096】
また、本発明の光通信システムによれば、既存の光ファイバネットワーク20に追加無線信号33の伝送機能を追加することも可能であるので、新たに光ファイバを敷設することなく、追加無線信号33を光ファイバによって遠隔地に且つ高速で伝送することができ、設備の有効活用によるコストの抑制と無線信号伝送の質の向上とを同時に達成することが可能になる。
【0097】
また、本発明の光通信システムによれば、既存の光ファイバネットワーク20を活用する場合であっても個々のユーザ側の機器(ONU26等)には変更を加えることなく現状の仕組みのままで追加無線信号33を伝送することができるので、光通信システムの汎用性の向上を図ることが可能になる。
【0098】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、
図1に示す光ファイバネットワーク20を本発明の光通信システムのベースとして説明したが、本発明が適用され得る光ファイバネットワークは
図1に示すものには限られない。例えば、1対1の光回線でも良いし、コアネットワークの光通信網でも良いし、さらに、他の光ファイバ無線システムとして用いられている光ファイバリンクでも良い。なお、他の光ファイバ無線システムとして用いられている光ファイバリンクに対して本発明を適用する場合には、上述の実施形態における光ファイバ回線22Bには、ベースバンド信号とRoF信号とではなく、複数のRoF信号を重畳して伝送することになる。
【0099】
また、上述の実施形態ではOLT23から送出される信号としてベースバンド信号29を前提としているが、本発明を適用する場合にOLT23から送出される信号はベースバンド信号に限られるものではなく、無線信号であっても構わない。
【0100】
また、上述のうち
図4に示す実施形態即ち「(1)逆位相の無線信号で打ち消す方法」において、上述の実施形態では子局5内の光フィルタ8によってダウンリンクRoF信号である波長λ1の光のみ若しくは波長λ2の光のみが分波されて(言い換えると、波長λ2の光及び波長λ3の光、又は、波長λ1の光及び波長λ3の光が取り除かれて)追加光検波器9に入力されるようにしているが、波長λ1と波長λ2とが例えば近接するなどによって分離が困難な場合には光フィルタ8によって波長λ3の光のみを取り除くようにしても良い。この場合には、
図9に示すように、子局5内の光フィルタ8と追加光検波器9との間に波長分散制御器18を設ける。そして、光フィルタ8によって波長λ3の光のみが取り除かれた後の波長λ1の光と波長λ2の光とが重畳された光が波長分散制御器18に入力され波長分散量が適切に調整されて出力され、当該出力された波長λ1の光と波長λ2の光とが重畳された光が追加光検波器9に入力されてこれら波長λ1の光と波長λ2の光とが同時に検波される。ここで、波長分散制御器10によって付加される波長分散量D1並びに波長分散制御器18によって付加される波長分散量D2とすると、ONU26内の光検波器26aにおける追加無線信号33の受信強度Pは数式10−1で表され、子局5内の追加光検波器9における追加無線信号33の受信強度Paは数式10−2で表される。そして、波長λ1の光と波長λ2の光とについて上記(1)で説明した通り光検波器26aにおける受信強度Pが極小若しくは略極小になるように波長分散量D1の大きさを調整すると共に(なお、上述の通りD1=0の場合もあり得る)当該波長分散量D1の大きさの下で追加光検波器9における受信強度Paが、少なくとも極小値以外、好ましくは極大値になるように波長分散量D2の大きさを調整することにより、光検波器26aではベースバンド信号29が再生されると共に追加光検波器9では追加無線信号33が再生される。なお、波長分散制御器は、入射された光に任意の波長分散量を付加して出射するものであり、例えばファイバブラッググレーティングやエタロンやVIPA(Virtually Imaged Phased Array の略)やPLC(平面光導波路回路)や分散補償光ファイバ等の光デバイスを利用することが考えられる。
(数10−1) P∝|cos(Δλ(DL+D1)fπ)|
2
(数10−2) Pa∝|cos(Δλ(DL+D1+D2)fπ)|
2
【0101】
また、上述のうち
図6に示す実施形態即ち「(2)波長分散によるフェージングを利用して打ち消す方法」において二つのRoF信号を重畳して伝送する場合には、例えば
図10に示すように、親局1内の光源6から出射された光搬送波を光変調器7Aと光変調器7Bとに入力し、伝送する電波の電気信号33A(追加無線信号33A)を入力情報として光変調器7Aによって光搬送波を変調すると共に伝送する電波の電気信号33B(追加無線信号33B)を入力情報として光変調器7Bによって光搬送波を変調するようにしても良い。光変調器7Aから出力された光は波長分散制御器15によって波長分散が付加され、当該波長分散制御器15から出力された光(光信号RoF1)と光変調器7Bから出力された光(光信号RoF2)とが偏波ビームコンバイナ16を介して光ファイバ回線22Bに入射される。偏波ビームコンバイナを用いたのは二つの光波を直行させることで、同じ波長であっても干渉しないようにするためであり、偏波ビームコンバイナの代わりに偏波保持カプラを用いることも可能である。そして、光ファイバ回線22Bを伝搬した光は光スプリッタ24によって分岐され、一方の光は子局5内の波長分散制御器17を経由して追加光検波器9Aに入力され、他方の光はそのまま子局5内の追加光検波器9Bに入力される。ここで、波長分散制御器15によって付加される波長分散量D3並びに波長分散制御器17によって付加される波長分散量D4とすると、追加無線信号33Aを入力情報として変調された光信号RoF1の追加光検波器9Aにおける受信強度Paaは数式11−1で表されると共に追加光検波器9Bにおける受信強度Pabは数式11−2で表され、追加無線信号33Bを入力情報として変調された光信号RoF2の追加光検波器9Aにおける受信強度Pbaは数式11−3で表されると共に追加光検波器9Bにおける受信強度Pbbは数式11−4で表される。そして、追加光検波器9Bにおいて受信強度Pabよりも受信強度Pbbの方が大きくなるように波長分散量D3の大きさを調整すると共に当該波長分散量D3の大きさの下で追加光検波器9Aにおいて受信強度Pbaよりも受信強度Paaの方が大きくなるように波長分散量D4の大きさを調整することにより、追加光検波器9Aによってもとの電波の電気信号33Aが再生され、追加光検波器9Bによってもとの電波の電気信号33Bが再生される。
【数11】
【0102】
また、上述のうち
図4に示す実施形態即ち「(1)逆位相の無線信号で打ち消す方法」において、光変調器7を用いないで光源6A,6Bに追加無線信号33を直接入力して変調する場合には(なお、このような直接変調は追加無線信号33の周波数が数GHz以下の場合に特に考えられる)、追加無線信号33が電気信号の段階で位相差を加えることによっても光検波器26aにおいて干渉信号となる追加無線信号33の出力を抑圧することができ、希望信号である信号29のみを再生することができる。具体的には例えば
図11,
図12に示すように、
図4に示す構成をベースとし、親局1内に、光変調器7を設けないようにすると共に、第二の追加光出力装置としての光源6Bへの追加無線信号33の入力経路上に移相器19を設ける。そして、第一の追加光出力装置としての光源6Aと第二の追加光出力装置としての光源6Bとを駆動させる信号として追加無線信号33を用いて直接変調する際、例えば、光源6Bへの追加無線信号33の入力では移相器19によって位相をφだけ遅延させる一方で、光源6Aへの追加無線信号33の入力では位相をそのままにする。すなわち、光源6Aから出力される波長λ1の光を変調する無線信号の位相と光源6Bから出力される波長λ2の光を変調する無線信号の位相とを予めシフトさせる。
【0103】
この場合、ONU26内の光検波器26aにおける追加無線信号33の受信強度Pは、波長λ1での波長分散量が波長λ2での波長分散量よりも大きい場合には数式12−1で表され、波長λ1での波長分散量が波長λ2での波長分散量よりも小さい場合には数式12−2で表される。そして、この受信強度PがONU26内の光検波器26aにおいて極小若しくは略極小になるように、シフトさせる位相φ(即ち、位相差φ)の大きさを調整する。なお、位相差φを適切な値に調整することにより、波長分散制御器10を不要とすることも可能である。なお、数式12における光ファイバの単位長さあたりの波長分散値Dと線路長Lとしては、光源6Aからの光と光源6Bからの光とを挿入光回線ファイバ2に入射するための例えば光カプラなどから光検波器26aまでの単位長さあたりの波長分散値と線路長とを用いる。
(数12−1) P∝|cos(Δλ(DL+D1+φ/2)fπ)|
2
(数12−2) P∝|cos(Δλ(DL+D1−φ/2)fπ)|
2
【0104】
一方、子局5での受信方法としては以下の二つの方法が考えられる。
1)波長λ1の光のみ若しくは波長λ2の光のみを検波する場合(
図11)
この場合は、
図4に示す実施形態における子局5と同じ構成・仕組みによって追加無線信号33が再生される。
【0105】
2)波長λ1の光と波長λ2の光とを同時に検波する場合(
図12)
この場合は、子局5内の光フィルタ8と追加光検波器9との間に波長分散制御器18を設ける。そして、光フィルタ8によって波長λ3の光のみが取り除かれた後の波長λ1の光と波長λ2の光とが重畳された光が波長分散制御器18に入力され波長分散量が適切に調整されて出力され、当該出力された波長λ1の光と波長λ2の光とが重畳された光が追加光検波器9に入力されてこれら波長λ1の光と波長λ2の光とが同時に検波される。ここで、子局5内の追加光検波器9における追加無線信号33の受信強度Pは、波長分散制御器10によって付加される波長分散量D1並びに波長分散制御器18によって付加される波長分散量D2とすると、波長λ1での波長分散量が波長λ2での波長分散量よりも大きい場合には数式13−1で表され、波長λ1での波長分散量が波長λ2での波長分散量よりも小さい場合には数式13−2で表される。そして、この受信強度Pが、少なくとも極小値以外、好ましくは極大値になるように波長分散量D1,D2及び位相φの大きさが調整されることにより、追加光検波器9によって追加無線信号33が再生される。
(数13−1) P∝|cos(Δλ(DL+D1+D2+φ/2)fπ)|
2
(数13−2) P∝|cos(Δλ(DL+D1+D2−φ/2)fπ)|
2