(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745504
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】研磨パッド窓の処理
(51)【国際特許分類】
B24B 37/013 20120101AFI20150618BHJP
B24B 37/11 20120101ALI20150618BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20150618BHJP
B24B 37/26 20120101ALI20150618BHJP
【FI】
B24B37/04 K
B24B37/00 C
H01L21/304 622F
B24B37/00 T
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-507436(P2012-507436)
(86)(22)【出願日】2010年4月23日
(65)【公表番号】特表2012-524672(P2012-524672A)
(43)【公表日】2012年10月18日
(86)【国際出願番号】US2010032253
(87)【国際公開番号】WO2010124217
(87)【国際公開日】20101028
【審査請求日】2013年4月11日
(31)【優先権主張番号】61/172,172
(32)【優先日】2009年4月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/761,334
(32)【優先日】2010年4月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スウェデク, ボグスロー, エー.
(72)【発明者】
【氏名】ベンヴェニュ, ドミニク, ジェイ.
【審査官】
村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−260827(JP,A)
【文献】
特開2008−246960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/013
B24B 37/11
B24B 37/26
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドに窓を形成する方法であって、
固体の光透過性高分子で窓を形成するステップと、
前記窓を研磨パッドに取り付けるステップと、
前記窓を研磨パッドに取り付けるステップの前に、前記窓の表面の少なくとも一方を処理して、前記少なくとも一方の表面の平滑度を高めるステップとを含み、前記処理は、加熱された固体の剛性部品で前記少なくとも一方の表面を加熱すること、および前記加熱された固体の剛性部品で前記窓をアイロン加工することにより前記加熱された固体の剛性部品で押圧することを含む方法。
【請求項2】
前記固体の剛性部品は150℃以上の温度に加熱される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記温度は150℃から250℃の間である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記固体の光透過性高分子はポリウレタンを含む請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一方の表面の加熱は、前記少なくとも一方の表面の温度を前記固体の光透過性高分子のガラス転移温度よりも高い温度に上昇させる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記研磨パッドは、微小球充填剤を有するポリウレタンで形成された研磨層を備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
研磨パッドに窓を形成する方法であって、
研磨パッドに固体の光透過性高分子で窓を形成するステップであって、前記窓の形成は、型に固体の光透過性高分子体を配置するステップと、前記型内に液状の研磨パッド前駆体を注入するステップと、前記液状の前駆体を硬化させて、前記固体の光透過性高分子体に密着した固体の研磨材料を含む本体を形成するステップと、前記固体の研磨材料の部分と前記固体の光透過性高分子体の部分とを有する研磨パッドを切断するステップとを含む、ステップと、
前記窓の表面の少なくとも一方を処理して、前記少なくとも一方の表面の平滑度を高めるステップであって、前記処理は、加熱された固体の剛性部品で前記少なくとも一方の表面を加熱すること、および前記加熱された固体の剛性部品で前記窓をアイロン加工することにより前記加熱された固体の剛性部品で押圧する、ステップと、を含む、方法。
【請求項8】
前記窓の少なくとも一方の表面の処理は、前記研磨パッドに前記窓が形成された後に行われる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記窓の形成は、前記窓の上面を前記研磨層の研磨面に接近させて形成するステップと、底面を前記研磨層の下面に接近させて形成するステップとを含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記上面は前記研磨面と実質的に同一平面上にあり、前記底面は前記下面と実質的に同一平面上にある請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記処理は、前記窓の前記上面を処理することを含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記処理は、前記窓の前記底面を処理することを含む請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記研磨パッドの研磨層を押圧することなく、前記窓は、処理される請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨(CMP)で使用するための研磨パッドの製作に関する。
【背景技術】
【0002】
最新の半導体集積回路(IC)を製作するプロセスにおいては、基板の外面を平坦化することがしばしば必要である。例えば、導電性フィラー層を下層の上面が露出されるまで研磨除去して、絶縁層が持ち上がったパターン間に導電性材料を残し、基板上の薄膜回路間に導電性経路を提供するビア、プラグおよびラインを形成するために平坦化が必要になる場合がある。また、酸化物層をフラット且つ薄くして、フォトリソグラフィーに適したフラットな表面を設けるために平坦化が必要になる場合もある。
【0003】
半導体基板の平坦化またはトポグラフィ除去を達成する1つの方法は、化学機械研磨(CMP)である。従来の化学機械研磨(CMP)プロセスでは、磨き剤スラリーが存在する状態で回転する研磨パッドに基板を押し付けることが必要である。
【0004】
一般的には、研磨を停止するかどうかを決定するために、所望の表面平坦度または所望の層の厚さに達したこと、または下層が露出されたことを検出する必要がある。CMPプロセス中に、終了点をその場で検出するために、さまざまな技術が開発されてきた。例えば、基板上の層の研磨中に層の均一性をその場で測定する光学監視システムが使用されてきた。この光学監視システムは、研磨中に基板に向けて光ビームを照射する光源と、基板から反射する光を測定する検知器と、検知器からの信号を分析し、終了点が検出されたかどうかを判断するコンピュータとを含むことができる。一部のCMPシステムでは、光ビームは研磨パッドの窓を通じて基板に向けて照射される。
【発明の概要】
【0005】
1つの態様では、研磨パッドに窓を形成する方法は、研磨パッドに固体の光透過性高分子で窓を形成するステップと、窓の表面の少なくとも一方を処理して、少なくとも一方の表面の平滑度を高めるステップとを含む。
【0006】
実施例は次のうちの1つまたは複数を含み得る。窓の少なくとも一方の表面の処理は、研磨パッドに窓が形成された後に行うことができる。窓の形成は、型に固体の光透過性高分子体を配置するステップと、型内に液状の研磨パッド前駆体を注入するステップと、液状の前駆体を硬化させて、固体の光透過性高分子体に密着した固体の研磨材料を含む本体を形成するステップと、固体の研磨材料の部分と固体の光透過性高分子体の部分とを有する研磨パッドを切断するステップとを含むことができる。この窓の形成は、窓の上面を研磨層の研磨面に接近させて形成するステップと、底面を研磨層の下面に接近させて形成するステップとを含むことができる。この上面は研磨面と実質的に同一平面上とすることができ、またこの底面は下面と実質的に同一平面上とすることができる。処理は、窓の上面および/または底面を処理するステップを含むことができる。少なくとも一方の表面の処理は、例えば、少なくとも一方の表面に加熱された物体を当てて少なくとも一方の表面を加熱し、任意で同時に、少なくとも一方の表面をアイロン加工するなど、加熱した物体を少なくとも一方の表面に押し付けることを含むことができる。この物体を150℃以上の温度に加熱することができ、例えば150℃から250℃の間に加熱することができ、例えば約200℃に加熱することができる。固体の光透過性高分子はポリウレタンとすることができる。少なくとも一方の表面を加熱して、少なくとも一方の表面を固体の光透過性高分子のガラス転移温度よりも高い温度に上昇させることができる。少なくとも一方の表面の処理は、少なくとも一方の表面に溶剤を塗布することを含むことができる。研磨パッドは、微小球充填剤を有するポリウレタンで形成された研磨層を含んでもよい。
【0007】
次のうちの1つまたは複数を潜在的な利点として挙げることができる。窓を通過する光の透過度を高めることができ、これによりノイズを減少させ、終了点検出の信頼性を高めることができる。パッド間における窓透過度の不均一性を低減することができる。本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および図面から、また特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】終了点検出のための光学監視システムを有する化学機械研磨装置の概略横断側面図である。
【
図2】窓を有する研磨パッドの簡略化した概略横断面図である。
【
図3】
図2の研磨パッドの簡略化した上面図である。
【
図4】感圧接着剤およびライナーを有する研磨パッドの簡略化した概略横断面図である。
【
図5】研磨パッド窓の作製で使用する固体の光透過材料のブロックの概略斜視図である。
【
図6】固体の光透過材料のブロックを有する型内の液状の研磨層前駆体を示す概略横断面図である。
【
図7】固体の光透過材料のブロックに密着した、硬化させた研磨材料の本体の概略透視図である。
【
図8】硬化させた研磨材料の本体からスカイビングされている研磨パッドの概略横断面図である。
【
図9】熱処理されている研磨パッド窓の概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
研磨パッド製造における1つの潜在的な問題点は、パッド窓の表面のラフネスである。例えば、スカイビングのプロセスで、窓にセレーション、スクラッチ、または他のラフネスが残ることがある。このラフネスによって散乱が生じて、窓の透過度が低下し、その結果、光学監視システムにおけるノイズが増加してしまう。しかし、窓を熱などによって処理することにより、窓の表面を平滑化することができる。窓が平滑であればある程透過度が高くなるので、光学監視システムにおけるノイズが減少し、終了点検出の信頼性が向上する。さらに、パッド間における窓透過度の不均一性を低減することができる。
【0010】
図1に示すように、CMP装置10は、半導体基板14をプラテン16上の研磨パッド18に対して保持するための研磨ヘッド12を備える。
【0011】
基板は、例えば、(複数のメモリまたはプロセッサダイなどを含む)製品基板、テスト基板、ベア基板、およびゲート基板とすることができる。基板は、集積回路製作のさまざまな段階にあるものとすることができ、この基板は例えば、ベアウエハでも、1つまたは複数の堆積層および/またはパターン化された層を含むものでもよい。基板という用語は、円形のディスクおよび長方形のシートを含むことができる。
【0012】
研磨ヘッド12は、プラテンがその中心軸の周りを回転するときに、研磨パッド18に対して基板14を押し付ける。さらに、研磨ヘッド12は通常はその中心軸の周りを回転し、ドライブシャフトまたは並進移動アーム32によってプラテン16の表面を横切って並進移動する。磨き剤スラリーなどの研磨液30を研磨パッド上に供給することができる。この研磨液を併用することにより、基板と研磨面との間の圧力および相対運動によって、基板の研磨が生じる。研磨パッド18の表面を調整装置で研削して、研磨パッドの粗度を維持することができる。
【0013】
光学監視システムは、白色光源などの光源36と、研磨パッド18の窓40に光学的に連通している分光測光器などの検知器38とを備える。この光源および検知器は、プラテン16内に配置されて、プラテン16と共に回転するので、プラテンが一回転するごとに監視光ビームが基板を一周回することができるようになっている。例えば、分岐した光ファイバー34は、光が窓40を通って基板14に照射されるように、光源36からプラテン18を通じて光を送ることができ、基板14から反射する光は、この光ファイバー34を通って検知器38に戻ることができる。あるいは、この光源および検知器をプラテンの下に位置する静止部品とすることもでき、光開口が窓40の下のプラテンを通じて延在して、基板に監視光ビームを断続的に送ることができる。光源は、例えば赤色光などの、遠赤外から紫外までのどこかの波長を使用することができるが、例えば白色光などの広帯域スペクトルも使用可能である。
【0014】
図2を参照すると、研磨パッド18は、基板と接触する研磨面24を有する研磨層20と、プラテン16に接着して固定されるバッキング層22とを備えることができる。この研磨層20は、基板上の露出された層をバルク平坦化するのに適した材料とすることができる。このような研磨層は、中空微小球体などの充填剤などを有するポリウレタン材料から形成することができ、例えば、この研磨層をRohm&Hassから入手可能なIC−1000材料とすることができる。バッキング層22は、研磨層20よりも圧縮性の高いものとすることができる。ある実施例においては、研磨パッドは研磨層のみを有し、および/または研磨層は、垂直方向の大きな気孔を有する多孔質コーティングなど、バフ工程に適した比較的柔軟な材料である。ある実施例においては、研磨面24に溝を形成することができる。
【0015】
窓40は固体の光透過性材料、例えば、充填剤を含まない比較的純粋なポリウレタンなどの透明材料とすることができる。この窓40は、例えば窓40と研磨層20の隣接する縁部を一緒に型成形するなどして、接着剤を使用せずに研磨層20と接合させることができる。窓40の上面は研磨面24と共平面とすることができ、また窓40の底面は研磨層20の底部と共平面とすることができる。研磨層18は窓40を完全に囲繞することができる。バッキング層22の開口は研磨層20の窓40に位置合わせされる。
【0016】
図3を参照すると、一実施例では、研磨パッド18は半径Rが15.0インチ(381.00mm)であり、対応する直径は30インチである。他の実施例では、研磨パッド18は半径15.25インチ(387.35mm)または15.5インチ(393.70mm)で、対応する直径は30.5インチまたは31インチとすることができる。光学監視システムは、研磨パッド18の中心から7.5インチ(190.5mm)の距離Dを中心として、幅約0.5インチ(12.70mm)および長さ約0.75インチ(19.05mm)の面積を使用することができる。したがって、窓は少なくともこの面積をカバーしなければならない。たとえば、窓は長さ約2.25インチ(57.15mm)および幅約0.75インチ(19.05mm)とすることができる。研磨パッドと窓はどちらも厚さ約0.02インチから約0.20インチとすることができ、例えば0.05インチから0.08インチ(1.27mmから2.03mm)とすることができる。この窓40の形状は長方形であり、その長手寸法は、窓の中心を通過する研磨パッドの半径に実質的に平行である。しかし、窓40を円形または楕円形などの他の形状とすることもでき、窓の中心が光学監視システムで使用される面積の中心に配置される必要はない。
【0017】
図4を参照すると、プラテンを取り付ける前に、研磨パッド18は感圧接着剤70および研磨パッドの底面23を覆うライナー72を備えることもできる。使用の際は、研磨層20からこのライナー72が剥がされ、研磨パッド18は感圧接着剤70によってプラテンに接着される。感圧接着剤70およびライナー72は窓40を覆うことができ、または窓40の範囲内およびそのすぐ周辺でどちらか一方または両方を除去することができる。
【0018】
次に、
図5〜
図9では、研磨パッドの製出方法が説明される。まず初めに、固体の光透過性高分子材料のブロック100が形成される。例えば、透過の妨げとなる充填剤を含まない固体のポリウレタンのブロックを注型成形し、所望の寸法に切断することができる。このブロックのXY平面における断面は、研磨パッドに形成される窓と同じ寸法であるが、Z平面における厚さは窓よりもはるかに大きく、例えば少なくとも10倍の厚さであり、例えば約20倍から約50倍の厚さである。窓のブロックは、例えば、長さL、2.25インチ(57.15mm)の厚さT、及び約0.75インチ(19.05mm)の幅Wを有することができる。側面102、104を粗くして、例えば成形中に研磨層材料への接着性が高まるようにすることができる。
【0019】
図6を参照すると、ブロック100が型140内に置かれ、次にこの型140は研磨層の液状の前駆体150で満たされる。この型140をブロック100とほぼ同じ高さまで満たすことができ、例えばブロック100を液150に浸漬させるようにすることも、またはブロック100が液150よりもわずかに上に突出するようにすることもできる。
【0020】
図7を参照すると、液状の前駆体は焼き固めなどによって硬化され、型150から取り外される。例えば液状のポリウレタンを硬化させて、ブロック100に密着した固体の塑性体160を形成することができる。この塑性体160は、XY平面においては、例えば半径が10インチ(254mm)、15.0インチ(381.00mm)、15.25インチ(387.35mm)、15.5インチ(393.70mm)、21インチ(533.40mm)、または21.25インチ(539.75mm)の円形のディスクである最終的な研磨パッドと実質的に同じか、それよりも大きな横寸法を有することができる。しかし、Z軸に沿っては、最終的な研磨パッドよりもはるかに厚く、例えば少なくとも10倍の厚さである。
【0021】
図8を参照すると、次に、XY平面においてブレード170を用いてスカイビングすることにより、塑性体160から薄い研磨層20が切り取られる。スカイビングによってブロック100が切断されるので、ブロック100のスカイビングされた部分が、研磨層20に密着した窓40を形成する。
【0022】
スカイビングプロセスによって、微少寸法の(例えば5ミクロンから200ミクロンの深さの)スクラッチ、セレーション、または他のラフネスなどの表面のむらが、窓40の上面42および底面44の両面に残り得る。上面に関しては、研磨中に用いられる水またはスラリーによって、パッド材料に部分的な屈折率整合を与えることができるため、これにより表面のむらが窓の上面を通過する光ビームの散乱を引き起こす傾向を減少させることができる。しかし、窓の底面が空気に触れると、光ビームが窓の底面を通過するときに、表面のむらによって散乱が引き起こされ得るため、前述したように窓の透過度が低下し、光学監視システムにおけるノイズが増加してしまう。
【0023】
窓がスカイビングされた後は、窓の40の上面および/または底面を処理して表面のむらを低減し、表面の平滑度を高めることができるため、これにより窓の表面によって光が散乱される傾向が減少する。
【0024】
一例としては、窓の表面を加熱して窓を僅かに軟化させ、表面をフローさせるか押圧してフラットにすることができる。例えば、窓の材料を、窓は固体のままであるが、より変形しやすくなり、表面が平滑な状態に達するような温度まで上昇させることにより、例えば窓の材料が亀裂なしに塑性変形できるようになる。例えば、窓の材料をそのガラス転移温度以上の温度まで上昇させることができる。また、窓の材料が室温で既にガラス相にある場合は、熱を加えることによって窓の材料をさらに軟化させることができる。しかし、温度を窓の材料が融解する温度より高く上昇させる必要はない。パッド材料がフローしてセルフレベリングする際の重力に応じて、または固体の剛性部品からの圧力に応じて、変形し得る。例えば、製造者は加熱した剛性部品を既に固体化された窓の材料に押し付けて(しかし、任意で研磨層20の他の部分には押し付けずに)表面のむらを均すことで、窓の表面をスカイビングプロセス後よりも著しく平滑化することができる。加熱された部品は、窓を横方向にわたって移動して、表面のむらを平滑化することができる。例えば、実際には、窓をアイロン加工することでフラットにすることができる。
【0025】
一般的には、より低温度で表面のむらを均すには、より大きな圧力を剛性部品にかけなければならない。一方、温度は、窓の材料が溶解して燃焼してしまう程に上げてはならない。
【0026】
ある実施例では、例えばウレタンベースの窓に関しては、窓に接触する加熱された部品の表面を150℃より高い温度にまで上昇させることができ、例えば150℃から250℃の間の温度、例えば約200℃の温度にまで上昇させることができる。
【0027】
ある実施例においては、熱処理を併用して窓の材料を研磨にかけることができる。
【0028】
図9を参照すると、加熱システム180は、窓40の底面44などの表面に当てられる、例えば金属プレートなどの平滑な表面184を有する剛性の熱伝導性体182を備えることができる。この熱伝導性体182は、例えば電源188に接続された抵抗加熱部材186によって加熱され得る。この抵抗加熱部材186を、図示したように、熱伝導性体182に組み込むことができ、または熱伝導性体180に付属する別の部品とすることもできる。例えばこの加熱システムを、一般消費者向けアイロン器具、または先端に熱伝導性プレートが装着されたはんだごてとすることができる。
【0029】
研磨パッド18がバッキング層22を含む場合は、窓40の処理前または処理後に、窓40が密着した研磨層20をこのバッキング層22に感圧接着剤などによって固定することができる。
【0030】
表面処理の別の例としては、窓の上面および/または底面に化学溶液を塗布して、スクラッチまたは表面のむらを溶解させて取り除くことができる。ウレタン溶液は市販されている。
【0031】
いくつかの実施形態が述べられてきたが、本開示の精神と範囲から逸脱することなく、さまざまな変更がなされ得ることが理解されるであろう。例えば、研磨層に密着した窓に関して前述したが、この窓はブロックからスカイビングされた後、接着剤などにより研磨層の穴に固定されてもよい。この場合は、窓は研磨パッドに取り付けられる前または後に処理され得る。また、型成形などのスカイビング以外のプロセスによっても、窓の表面に表面のむらが生じ得る。したがって、他の実施形態は以下の請求項の範囲内にある。