(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745519
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】高周波(RF)接地帰還構成
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20150618BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H05H1/46 M
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-527106(P2012-527106)
(86)(22)【出願日】2010年8月31日
(65)【公表番号】特表2013-503496(P2013-503496A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】US2010047379
(87)【国際公開番号】WO2011026129
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年8月28日
(31)【優先権主張番号】61/238,670
(32)【優先日】2009年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディンドサ・ラジンダー
(72)【発明者】
【氏名】コシシ・アキラ
(72)【発明者】
【氏名】マラクタノフ・アレクセイ
【審査官】
内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/099661(WO,A1)
【文献】
特開2000−100789(JP,A)
【文献】
特開2001−203189(JP,A)
【文献】
特開2009−076870(JP,A)
【文献】
特開2000−030896(JP,A)
【文献】
特表2010−517266(JP,A)
【文献】
特表2003−505855(JP,A)
【文献】
米国特許第06602381(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の処理中にプラズマ処理チャンバの処理チャンバの中にRF電流のための低インピーダンスRF帰還経路を提供するための高周波(RF)接地帰還構成であって、
基板処理中に前記基板をエッチングするためのプラズマを持続させるように構成された閉じ込めチャンバ体積を取り囲むように構成された閉じ込めリングのセットと、
下部電極サポート構造と、
前記低インピーダンスRF帰還経路がRF源への前記RF電流の帰還を促すように前記閉じ込めリングのセットと前記下部電極サポート構造との間にRF接触を提供するRF接触対応コンポーネントと、
を備え、
前記RF接触対応コンポーネントは、伝導性材料で作成され、
前記下部電極サポート構造は、可動の構造であり、
前記RF接触対応コンポーネントは、RFロッドであり、
前記下部電極サポート構造は、伝導性液体で満たされた凹所を含む、RF接地帰還構成。
【請求項2】
請求項1に記載のRF接地帰還構成であって、
前記伝導性液体は、水銀である、RF接地帰還構成。
【請求項3】
請求項2に記載のRF接地帰還構成であって、
前記RFロッドは、前記伝導性液体の中に配されることによって、前記閉じ込めリングのセットと前記下部電極サポート構造との間の前記RF接触を提供する、RF接地帰還構成。
【請求項4】
請求項3に記載のRF接地帰還構成であって、
ガスケットは、前記伝導性液体のための覆いを提供することによって、前記RFロッドが前記伝導性液体の中に配されているときに前記伝導性液体が前記閉じ込めチャンバ体積の中に漏出することを阻止するように構成される、RF接地帰還構成。
【請求項5】
請求項4に記載のRF接地帰還構成であって、
前記ガスケットは、Oリングである、RF接地帰還構成。
【請求項6】
請求項1に記載のRF接地帰還構成であって、
前記低インピーダンスRF帰還経路は、前記RF電流が前記閉じ込めチャンバ体積の外側にRF場を生成することを可能にすることなく前記RF源への前記RF電流の帰還を促すことによって、前記処理中に非閉じ込めプラズマの成長が点火されることを阻止する、RF接地帰還構成。
【請求項7】
請求項1に記載のRF接地帰還構成であって、
前記処理チャンバは、容量結合プラズマ処理チャンバである、RF接地帰還構成。
【請求項8】
請求項1に記載のRF接地帰還構成であって、
前記閉じ込めリングのセットは、伝導性材料で作成される、RF接地帰還構成。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プラズマ処理における進歩は、半導体産業の成長をもたらしてきた。今日の競争市場では、メーカは、無駄を最小限に抑えるおよび高品質の半導体デバイスを作成することが可能である必要がある。基板処理中は、チャンバの条件が基板処理に影響を及ぼすことがある。基板のプラズマ処理に影響を及ぼす可能性がある重大なパラメータは、高周波(RF)電流の流れである。
【0002】
議論を促すために、
図1は、処理チャンバ100を伴う容量結合プラズマ処理システムの簡略ブロック図を示している。例えば、処理チャンバ100の中で基板106が処理されている状況を考える。基板106をエッチングするためのプラズマを引火するためには、ガスが、RF電流と相互に作用してよい。電流は、基板処理中に、RF源122からケーブル124に沿ってRF整合器120を通って処理チャンバ100に入ってよい。RF電流は、経路140に沿って流れてガス反応物と結合し、底部電極104の上方に位置決めされた基板106を処理するために閉じ込めチャンバ体積110の中にプラズマを形成してよい。
【0003】
プラズマ形成を制御するためにおよび処理チャンバ壁を保護するために、閉じ込めリングのセット112が用いられてよい。閉じ込めリングのセット112は、シリコン、ポリシリコン、炭化シリコン、炭化ホウ素、セラミック、アルミニウムなどの伝導性材料で作成されてよい。通常、閉じ込めリングのセット112は、プラズマが中で形成される閉じ込めチャンバ体積110の周りを取り囲むように構成されてよい。閉じ込めリングのセット112に加えて、閉じ込めチャンバ体積110の周囲は、上部電極102、底部電極104、絶縁体リング116、118、エッジリング114、および下部電極サポート構造128によっても画定されてよい。
【0004】
閉じ込め領域(閉じ込めチャンバ体積110)から中性ガス種などを排出するために、閉じ込めリングのセット112は、複数のスロット(スロット126a、126b、および126cなど)を含んでよい。中性ガス種は、ターボポンプ134を通じて処理チャンバ100から押し出される前に、閉じ込めチャンバ体積110を突っ切って処理チャンバ100の外部領域132(外側チャンバ体積)に入るであろう。
【0005】
当業者ならば、非閉じ込めプラズマが不安定な処理環境をもたらすかもしれないことを承知している。理想を言うと、基板処理中に形成されるプラズマは、閉じ込めチャンバ体積110の中で形成される。しかしながら、或る一定の条件下では、閉じ込めチャンバ体積110の外側でプラズマが点火されることがある。一例として、高加圧環境があると、(閉じ込めチャンバ体積110から処理チャンバ100の外部領域132へ排出されている)中性ガス種は、RF場/磁場に遭遇するであろう。チャンバの外側におけるRF電流の存在は、非閉じ込めプラズマ150を形成させるであろう。
【0006】
代表的な処理環境では、RF電流は、RF生成器から閉じ込めチャンバ体積110に流入する。当業者ならば、処理チャンバ100に流入するRF電流が、通常はそのRF源に戻ろうとすることを承知している。代表的な先行技術の構成では、RF帰還経路142は、閉じ込めリングのセット112の内側に沿って流れるRF帰還電流を含むであろう。点152において、RF帰還電流は、閉じ込めリング112の外側に沿って流れて処理チャンバ100の内側壁面に架かるであろう。チャンバ壁からは、RF帰還電流は、ストラップのセット130を辿って下部電極サポート構造128に至るであろう。下部電極サポート構造128の表面からは、RF帰還電流は、RF整合器120を経てRF源122に戻るであろう。
【0007】
以上からわかるように、経路142を辿ることによって、RF電流は、RF源122へのその戻り道において閉じ込めチャンバ体積110の外側を流れる。その結果、外側チャンバ領域の中に、磁場すなわちRF場が生成されるであろう。RF場/磁場の存在は、処理チャンバ100の外部領域132の中に非閉じ込めプラズマ150を形成させるであろう。
【0008】
RF帰還電流は、低インピーダンスの経路を探し求める傾向があるので、低インピーダンス経路を提供するためにストラップのセットが用いられてよく、そうして、
図2に示されるように、(チャンバ壁を辿る)経路142よりも短いRF帰還経路が形成される。一例では、処理チャンバ200の中で閉じ込めリング212を下部電極サポート構造228につなぐために、ストラップのセット230が用いられてよい。したがって、(経路242に沿って流れる)RF帰還電流は、閉じ込めリング212の外壁の底側に沿って流れるときに、ストラップのセット230に遭遇するであろう。ストラップのセット230は、閉じ込めリング212の外面よりも低いインピーダンスの経路を提供するので、RF帰還電流は、ストラップのセット230を介して下部電極サポート構造228に架かるであろう。下部電極サポート構造228からは、RF帰還電流は、RF整合器220を介してRF源222へ進み続けるであろう。
【0009】
以上からわかるように、RF帰還電流経路242は、
図1の経路142よりも大幅に短い。しかしながら、ストラップのセット230と閉じ込めリング212との間の領域244の中で、磁場/RF場が形成されることがある。その結果、適した条件(ガス反応物の存在、十分に高い圧力量、およびRF場/磁場など)があれば、閉じ込めチャンバ体積の外側でプラズマが点火されることがある。
【0010】
したがって、非閉じ込めプラズマの点火を阻止しつつ短いRF帰還経路を提供するための構成が望まれている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面の中で、本発明は、限定的なものではなく例示的なものとして示されており、図中、類似の参照符号は、同様の要素を指すものとする。
【0012】
【
図1】処理チャンバを伴う容量結合プラズマ処理システムの簡略ブロック図である。
【0013】
【
図2】ストラップ駆動式のRF帰還経路を伴う処理チャンバの簡略ブロック図である。
【0014】
【
図3A】発明の一実施形態における、RF接地帰還構成の簡略図である。
【
図3B】発明の一実施形態における、RF接地帰還構成の簡略図である。
【0015】
【
図4】発明の一実施形態における、間隔調整可能な処理チャンバのためのRF接地帰還構成の図である。
【
図5】発明の一実施形態における、間隔調整可能な処理チャンバのためのRF接地帰還構成の図である。
【
図6】発明の一実施形態における、間隔調整可能な処理チャンバのためのRF接地帰還構成の図である。
【
図7】発明の一実施形態における、間隔調整可能な処理チャンバのためのRF接地帰還構成の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、添付の図面に示されるような幾つかの実施形態を参照にして、本発明が詳細に説明される。以下の説明では、本発明の完全な理解を与えるために、多くの詳細が明記されている。しかしながら、当業者ならば、本発明が、これらの一部または全部の詳細を伴わずとも実施可能であることが明らかである。また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス工程および/または構造の詳細な説明は省かれている。
【0017】
方法および技術を含む様々な実施形態が、以下で説明される。発明は、発明技術の実施形態を実行に移すためのコンピュータ可読命令を格納されたコンピュータ可読媒体を含む製造品も対象としえることを念頭に置かれるべきである。コンピュータ可読媒体としては、例えば、コンピュータ可読コードを格納するための、半導体、磁気、光磁気、光、またはその他の形態のコンピュータ可読媒体が挙げられる。さらに、発明は、発明の実施形態を実施するための装置も対象としえる。このような装置は、発明の実施形態に関連したタスクを実行に移すための、専用のおよび/またはプログラム可能な回路を含んでよい。このような装置の例としては、適切にプログラムされたときの汎用コンピュータおよび/または専用計算装置があり、コンピュータ/計算装置と、発明の実施形態に関連した様々なタスクに適応された専用の/プログラム可能な回路との組み合わせが挙げられる。
【0018】
本発明の実施形態にしたがって、高周波(RF)接地帰還構成が提供される。発明の実施形態は、閉じ込めリングと下部電極サポート構造との間に(RF接触対応コンポーネントを通じた)直接的なRF接触を提供することによってRF帰還電流のための短いRF帰還経路を確立することを含む。
【0019】
この文献では、一例として、1つの閉じ込めリングを使用した様々な実装形態が論じられる。この発明は、しかしながら、1つの閉じ込めリングに限定されず、1つまたは2つ以上の閉じ込めリングを伴うプラズマ処理システムにも適用されてよい。むしろ、議論は、例示であることを意図されており、発明は、提示された例に限定されない。
【0020】
発明の一実施形態では、閉じ込め領域(閉じ込めリングの周囲によって画定される領域)の外側に磁場/RF場が確立される可能性を実質的に排除しつつ、RF源に戻るRF帰還経路を確立するための、RF接地帰還構成が提供される。一実施形態では、RF接地帰還構成は、容量結合プラズマ(CCP)処理システムの中に実装されてよい。RF接地帰還構成は、一実施形態では、固定のまたは可動の下部電極サポート構造を伴う処理チャンバの中に実装されてよい。
【0021】
発明の1つの実施形態では、RFガスケットによってRF接地帰還構成が実装されてよい。該RFガスケットは、伝導性材料で作成されてよい。一実施形態では、RFガスケットは、閉じ込めリングとおよび(接地リングなどの)下部電極サポート構造と電気的に接触している。
【0022】
固定の下部電極サポート構造を伴う処理チャンバの場合は、RFガスケットは、比較的小さくてよく、柔軟性または非柔軟性のいずれかであってよい。しかしながら、可動の下部電極サポート構造を伴う処理チャンバの場合は、RFガスケットは、垂直方向への下部電極サポート構造の移動に伴ってその接地リングの移動に適応する形状および寸法を有するように構成される。一実施形態では、RFガスケットの形状は、曲率の大きい設計(例えば、逆さまのまたは横倒しのC字型の可撓性導体RFガスケット)であるように構成されることによって、接地リングが閉じ込めリングとのRF接触を維持することを可能にしている。要するに、RFガスケットは、閉じ込めリングの下向き表面と接地リングの上向き表面との間の間隔のサイズに少なくとも等しいサイズである。また、RFガスケットは、柔軟性であることによって、RFガスケットの形状が接地リングの移動に伴って変化することを可能にしている。一例では、接地リングが上向きに移動する(そうして接地リングと閉じ込めリングとの間の間隔を狭める)のに伴って、RFガスケットは、平らにされる。しかしながら、接地リングが閉じ込めリングから最も離れた距離にあるときは、RFガスケットは、半ドーナツ状よりも大きい形状を有するであろう。
【0023】
別の一実施形態では、RF接地帰還構成は、バネ加圧式の滑り接触構成を伴って実装されてよい。該バネ加圧式の滑り接触構成は、閉じ込めリングに結合されたバネ部材を含んでよい。バネ部材は、接地リングの壁に向かって付勢される。一実施形態では、バネ部材は、接点を介して接地リングの壁と電気的に接触している。したがって、接地リングは、上下へのその移動するのに伴って、バネ加圧式の滑り接触構成を介して閉じ込めリングとのRF接触を維持する。
【0024】
さらに別の実施形態では、RF接地帰還構成は、延長部を伴う閉じ込めリングを含んでよい。延長部は、下向きに伸びてよく、接地リングの側壁に対して平行である。一実施形態では、延長部は、接地リングにごく接近して位置決めされることによって、延長部と接地リングとの間の間隔を狭めている。接地リングに延長部が接近していることによって、大キャパシタンスエリアが形成される。インピーダンスはキャパシタンスに反比例するので、大キャパシタンスエリアは、RF帰還電流のための低インピーダンス帰還経路を形成するであろう。
【0025】
別のRF接地構成は、一実施形態では、閉じ込めリングとおよび接地リングと電気的に接触しているRF伝導性ロッドを含んでよい。一実施形態では、該RF伝導性ロッドは、伝導性液体の中に配され、該伝導性液体は、接地リングの陥凹部の中にある。したがって、接地リングが垂直に移動するときは、RF伝導性ロッドの一部が接地リングの伝導性液体の中にとどまる。その結果、RF伝導性ロッドを介して閉じ込めリングと接地リングとの間にRF接触が維持されて、RF帰還電流のための低インピーダンス経路を提供する。
【0026】
以上からわかるように、RF接地帰還構成は、先行技術の構成と比較して短い、RF帰還電流のためのRF帰還経路を提供する。また、各RF接地帰還構成は、RF場/磁場を形成することができ尚且つ閉じ込め領域の外側において非閉じ込めプラズマを持続させることができるエリアを内包していない。
【0027】
本発明の特徴および利点は、図面および以下の議論を参照にして、より良く理解されるであろう。
【0028】
図3Aおよび
図3Bは、発明の実施形態における、RF接地帰還構成の一例の簡略図を示している。例えば、処理チャンバ300の中で基板306が処理されている状況を考える。一実施形態では、処理チャンバ300は、容量結合プラズマ処理チャンバであってよい。基板306は、底部電極304の上方に位置決めされてよい。基板処理中は、基板306をエッチングするために利用されえるプラズマ308が、基板306と上部電極302との間に形成されるであろう。
【0029】
プラズマの形成を制御するためにおよび処理チャンバ壁を保護するために、閉じ込めリングのセット312が用いられてよい。閉じ込めリングリングのセット312は、複数の閉じ込めリングを含んでよい、または1つの閉じ込めリングであってよい。閉じ込めリングのセット312は、シリコン、ポリシリコン、炭化シリコン、炭化ホウ素、セラミック、アルミニウムなどの伝導性材料で作成されてよい。
【0030】
通常、閉じ込めリングのセット312は、プラズマ308が中で形成される閉じ込めチャンバ体積310の周囲を取り囲むように構成されてよい。閉じ込めリングのセット312に加えて、閉じ込めチャンバ体積310の周囲は、上部電極302、底部電極304、絶縁体リング316、318、エッジリング314、および下部電極サポート構造328によっても画定されてよい。
【0031】
基板処理中は、ガス分配システム(不図示)から閉じ込めチャンバ体積310の中にガスが流入し、RF電流と相互に作用してプラズマ308を形成するであろう。RF電流は、RF源322からケーブル324を通ってRF整合器320へ流れるであろう。RF整合器320からは、RF電流は、経路340に沿って底部電極304を通って上方へ流れ、閉じ込めチャンバ体積310の中のガスと相互に作用してプラズマ308を形成するであろう。
【0032】
閉じ込め領域(閉じ込めチャンバ体積310)から中性ガス種を排出するために、閉じ込めリングのセット312は、複数のスロット(スロット326a、326b、および326cなど)を含んでよい。閉じ込めリングのセット312におけるスロットの数およびサイズは、必要とされる伝導率に応じて可変であってよい。中性ガス種は、ターボポンプ334を通じて処理チャンバ300から押し出される前に、閉じ込めチャンバ体積310を突っ切ってスロットを通って処理チャンバ300の外部領域332(外側チャンバ体積)に入るであろう。
【0033】
先行技術では、閉じ込め領域の外側におけるRF場の存在が、RF電流をガス反応物と相互に作用させて、プラズマを点火させるであろう。先行技術と異なり、閉じ込めチャンバ体積310の外側におけるプラズマの生成を実質的に排除するRF接地帰還構成が提供される。
【0034】
一実施形態では、閉じ込めリングのセット312と下部電極サポート構造(接地リング、またはRF源322に電気的に接続された別の構造など)との間にRF接触を形成するために、RFガスケット350(
図3Bを参照せよ)が用いられてよい。RFガスケット350は、一実施形態では、例えばステンレス鋼やベリリウム銅などの伝導性材料で作成される。RFガスケット350は、円形の設計を伴うものとして示されているが、RFガスケット350は、半ドーナツ状、四角形、長方形などのその他の構成を有してもよい。以上からわかるように、RFガスケットの形状は、必要とされるRF接触が閉じ込めリングのセット312と下部電極サポート構造328との間に提供される限り、メーカの好みに基づいて可変であってよい。
【0035】
先行技術と異なり、RFガスケット350は、磁場またはRF場が中で形成されえる領域を閉じ込めチャンバ体積310の外側に形成することなくRF帰還電流のための経路342を形成する。要するに、経路342は、閉じ込めチャンバ体積310の周囲にとどまって、プラズマの周りに効果的にファラデーシールドを効果的に形成することによって、プラズマの非閉じ込めを阻止する。したがって、RF接地帰還構成は、プラズマを持続させることができる領域を閉じ込めチャンバ体積310の外側に内包することなく短いRF帰還経路を提供する。
【0036】
図3Aおよび
図3BのRF接地帰還構成は、固定の下部電極コンポーネントを伴う処理チャンバの中に実装されてよい。可動の下部電極コンポーネントを有する処理チャンバの場合は、RF接地帰還構成は、
図4、
図5、
図6、および
図7に示されるように実装されてよい。
【0037】
図4は、発明の一実施形態における、間隔調整可能な処理チャンバ400のためのRF接地帰還構成を示している。
図3Aおよび
図3Bと同様に、閉じ込めリング412と、可動の下部電極サポート構造の一部である接地リング428との間にRF接触を確立するために、RFガスケット402が用いられる。一実施形態では、RFガスケット402は、ステンレス鋼などの可撓性の伝導性材料で作成される。一実施形態では、RFガスケット402は、下部電極サポート構造が垂直に移動されるときに接地リング428が尚も閉じ込めリング412とのRF接触を維持するような大曲率のエリアを提供するのに十分な大きさの寸法を有する半ドーナツ状(
図4に示されるような逆さまのC字型のRFガスケット、横倒しのC字型のRFガスケット、またはその他の任意の湾曲したRFガスケット設計など)を有してよい。
図3のRFガスケット350と同様に、RFガスケット402の形状は、接地リング428と閉じ込めリング412との間にRF接触が維持されることによって、閉じ込めチャンバ体積の中にプラズマを閉じ込めつつ短いRF帰還経路442が提供される限り、メーカの好みに基づいて可変であってよい。
【0038】
図5は、発明の一実施形態における、RF接地帰還構成を伴う間隔調整可能な処理チャンバ500の簡略部分図を示している。この構成では、下部電極サポート構造は、可動である。下部電極サポート構造は、接地リング528を含んでよい。したがって、下部電極サポート構造が上下に移動するのに伴って、接地リング528もまた、同じ方向に移動する。
【0039】
一実施形態では、接地リング528は、例えば水銀などの伝導性液体506で満たされた凹所504を含んでよい。伝導性液体506の中に配されるのは、例えばアルミニウムなどの伝導性材料で作成されたRF伝導性ロッド508である。一実施形態では、RF伝導性ロッド508は、閉じ込めリング512を接地リング528につなぐように少なくとも構成される。要するに、閉じ込めリング512と接地リング528との間にRF伝導性ロッド508を介してRF接触が確立される。伝導性液体506が閉じ込めチャンバ体積に曝される可能性を最小限に抑えるために、(Oリングなどの)ガスケット510が用いられてよい。
【0040】
したがって、下部電極サポート構造を垂直に移動させることによって閉じ込めチャンバ体積が調整されるのに伴って、RF伝導性ロッド508の一部が引き続き伝導性液体506の中に配された状態にとどまることによって、閉じ込めリング512と接地リング528との間のRF接触が維持される。その結果、プラズマを持続させることができる領域が外側チャンバ体積の中に確立される事態を実質的に阻止しつつ、先行技術よりも大幅に短い経路であるRF帰還電流のためのRF帰還経路542が提供される。
【0041】
図6は、発明の一実施形態における、間隔調整可能な処理チャンバ600のための別のRF接地帰還構成を示している。
図4および
図5と同様に、下部電極サポート構造は、可動であり、接地リング602を含んでよい。したがって、下部電極サポート構造が垂直に移動するのに伴って、接地リング602もまた、同じ方向に移動する。
【0042】
発明の一実施形態では、RF接地帰還構成は、バネ加圧式の滑り接触構成を含む。一実施形態では、バネ加圧式の滑り接触構成は、鋼などの伝導性材料で作成されてよい。バネ加圧式の滑り接触構成は、バネ部材604を含んでよい。バネ部材604は、例えば、バネ板であってよい。バネ部材604は、固定点606において、閉じ込めリング612に固定されてよい。一実施形態では、バネ部材604は、接地リング602の表面610に対して付勢される接触点608を含んでよい。
【0043】
したがって、下部電極サポート構造が垂直に移動するのに伴って、接地リング602もまた、閉じ込めリング612とのRF接触を維持しつつ上下に移動する。バネ加圧式の滑り接触構成によって、RF帰還電流がRF源へのその戻り道において閉じ込めリング612の内側に沿って突っ切る短いRF帰還経路642が提供される。
【0044】
図7は、間隔調整可能な処理チャンバ700のための別のRF接地帰還構成を示している。一実施形態では、閉じ込めリング712は、延長部702を含んでよい。延長部702は、可動の下部電極サポート構造の一部である接地リング706の側面壁704に平行であってよい。
【0045】
延長部702は、閉じ込めリング712と接地リング706との間に大キャパシタンスエリアを形成するために用いられる。当業者ならば、キャパシタンスがインピーダンスに逆相関していることを承知している。したがって、キャパシタンス値が高いほど、インピーダンス値は低い。
【0046】
或るエリアのキャパシタンスは、その面積に正比例するとともに延長部702と接地リング706との間の距離に反比例するので、高キャパシタンスエリア(例えば10〜100ナノファラッドのキャパシタンスを持つエリアなど)を形成するためには、延長部702は、接地リング706にごく接近して位置決めされる。高キャパシタンスによって、延長部702と接地706との間の間隔(710)は、RFショートとして機能し、RF帰還電流が閉じ込めリング712から接地リング706へ横断することを可能にする。要するに、延長部702と接地リング706とが、低インピーダンス経路を形成する。RF帰還電流は、最も低いインピーダンスを持つ最短の経路を通る傾向があるので、(間隔710を介して)延長部702によって提供されるRF帰還経路742は、
図1の先行技術の経路142よりも好ましい。したがって、閉じ込めチャンバ体積の中にプラズマを閉じ込めつつ、より短いRF帰還経路が提供される。
【0047】
以上からわかるように、本発明の1つまたは2つ以上の実施形態は、処理チャンバの外側チャンバ体積の中でのRF場の確立を実質的に阻止しつつ短いRF帰還経路を確立するように構成されたRF接地リング構成を提供する。比較的低インピーダンスのRF帰還経路を形成することによって、RF帰還電流は、RF接地帰還構成によって提供されるより望ましいRF帰還経路を通ってRF源に戻る傾向が増す。RF帰還経路を処理チャンバの外部領域から遠ざけることによって、閉じ込めチャンバ体積の外側で非閉じ込めプラズマが点火される可能性が大幅に解消される。
【0048】
本発明は、幾つかの好ましい実施形態の観点から説明されているが、本発明の範囲内には、代替、置換、および均等物がある。本明細書では、様々な例が提供されるが、これらの例は、発明に対して例示的であって限定的ではないことを意図している。また、本発明は、容量結合プラズマ(CCP)処理システムとの関連において説明されているが、本発明は、誘導結合プラズマ処理システムまたは混合型プラズマ処理システムとの関連において適用されてもよい。
本発明は、以下の適用例としても実現可能である。
[適用例1]
基板の処理中にプラズマ処理チャンバの処理チャンバの中にRF電流のための低インピーダンスRF帰還経路を提供するための高周波(RF)接地帰還構成であって、
基板処理中に前記基板をエッチングするためのプラズマを持続させるように構成された閉じ込めチャンバ体積を取り囲むように構成された閉じ込めリングのセットと、
下部電極サポート構造と、
前記低インピーダンスRF帰還経路がRF源への前記RF電流の帰還を促すように前記閉じ込めリングのセットと前記下部電極サポート構造との間にRF接触を提供するRF接触対応コンポーネントと、
を備えるRF接地帰還構成。
[適用例2]
適用例1に記載のRF接地帰還構成であって、
前記RF接触対応コンポーネントは、伝導性材料で作成される、RF接地帰還構成。
[適用例3]
適用例2に記載のRF接地帰還構成であって、
前記下部電極サポート構造は、固定の構造である、RF接地帰還構成。
[適用例4]
適用例3に記載のRF接地帰還構成であって、
前記RF接触対応コンポーネントは、RFガスケットである、RF接地帰還構成。
[適用例5]
適用例2に記載のRF接地帰還構成であって、
前記下部電極サポート構造は、可動の構造であり、前記RF接触対応コンポーネントは、RFガスケットである、RF接地帰還構成。
[適用例6]
適用例5に記載のRF接地帰還構成であって、
前記RFガスケットは、柔軟性であることによって、前記下部電極サポート構造が垂直に移動するときに前記下部電極サポート構造が前記閉じ込めリングのセットとの前記RF接触を維持することを可能にする、RF接地帰還構成。
[適用例7]
適用例5に記載のRF接地帰還構成であって、
前記RF接触対応コンポーネントは、前記閉じ込めリングのセットに取り付けられたバネ部材を含むバネ加圧式の接触滑り構成であり、前記バネ部材は、前記下部電極サポート構造の側壁に対して付勢され、前記下部電極サポート構造が垂直に移動するときにバネ接点を介して前記下部電極サポート構造との接触を維持するように構成される、RF接地帰還構成。
[適用例8]
適用例7に記載のRF接地帰還構成であって、
前記バネ部材は、板バネである、RF接地帰還構成。
[適用例9]
適用例5に記載のRF接地帰還構成であって、
前記RF接触対応コンポーネントは、RFロッドである、RF接地帰還構成。
[適用例10]
適用例9に記載のRF接地帰還構成であって、
前記下部電極サポート構造は、伝導性液体で満たされた凹所を含む、RF接地帰還構成。
[適用例11]
適用例10に記載のRF接地帰還構成であって、
前記伝導性液体は、水銀である、RF接地帰還構成。
[適用例12]
適用例11に記載のRF接地帰還構成であって、
前記RFロッドは、前記伝導性液体の中に配されることによって、前記閉じ込めリングのセットと前記下部電極サポート構造との間の前記RF接触を提供する、RF接地帰還構成。
[適用例13]
適用例12に記載のRF接地帰還構成であって、
ガスケットは、前記伝導性液体のための覆いを提供することによって、前記RFロッドが前記伝導性液体の中に配されているときに前記伝導性液体が前記閉じ込めチャンバ体積の中に漏出することを阻止するように構成される、RF接地帰還構成。
[適用例14]
適用例13に記載のRF接地帰還構成であって、
前記ガスケットは、Oリングである、RF接地帰還構成。
[適用例15]
適用例5に記載のRF接地帰還構成であって、
前記RF接触対応コンポーネントは、前記閉じ込めリングのセットの延長部である、RF接地帰還構成。
[適用例16]
適用例15に記載のRF接地帰還構成であって、
前記延長部は、前記下部電極サポート構造の側面エリアに平行である、RF接地帰還構成。
[適用例17]
適用例16に記載のRF接地帰還構成であって、
前記延長部は、前記延長部と前記下部電極サポート構造との間に大キャパシタンスエリアが形成されるように前記下部電極サポート構造に隣接して位置決めされることによって、前記RF電流が前記RF源に戻るための前記低インピーダンスRF帰還経路を提供する、RF接地帰還構成。
[適用例18]
適用例1に記載のRF接地帰還構成であって、
前記低インピーダンスRF帰還経路は、前記RF電流が前記閉じ込めチャンバ体積の外側にRF場を生成することを可能にすることなく前記RF源への前記RF電流の帰還を促すことによって、前記処理中に非閉じ込めプラズマの成長が点火されることを阻止する、RF接地帰還構成。
[適用例19]
適用例1に記載のRF接地帰還構成であって、
前記処理チャンバは、容量結合プラズマ処理チャンバである、RF接地帰還構成。
[適用例20]
適用例1に記載のRF接地帰還構成であって、
前記閉じ込めリングのセットは、伝導性材料で作成される、RF接地帰還構成。
【0049】
また、名称および概要は、便宜のために提供されたものであり、特許請求の範囲を解釈するために使用されるべきでない。さらに、要約は、極めて省略された形で記載され、便宜のために提供されたものであり、したがって、特許請求の範囲に表された全体的発明を解釈するためにも制限するためにも用いられるべきでない。もし、本明細書において「セット」という用語が用いられる場合は、このような用語は、ゼロの、1つの、または2つ以上の構成要素を対象とした通常理解の数学的意味を有することを意図している。また、本発明の方法および装置を実現するものとして、多くの代替的手法があることも留意されるべきである。したがって、以下の添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲に含まれるものとして、このようなあらゆる代替、置換、および均等物を含むものと解釈される。