(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5746609
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】乾麺用計量器および乾麺収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/22 20060101AFI20150618BHJP
B65D 83/02 20060101ALI20150618BHJP
G01F 11/00 20060101ALI20150618BHJP
A23L 1/16 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
B65D85/22
B65D83/02 E
G01F11/00 Z
A23L1/16 J
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-279938(P2011-279938)
(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-128446(P2013-128446A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】小池 晴子
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−260602(JP,A)
【文献】
実公平5−42070(JP,Y2)
【文献】
特許第4137298(JP,B2)
【文献】
米国特許第4196824(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主に調査した分野 IPC B65D85/22、B65D83/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾麺を収納する容器本体に取り付けられ、前記容器本体から複数本の乾麺を束として同時に取り出す時の乾麺の取り出し量を計量するための乾麺用計量器であって、
挿入された乾麺の束の外周により乾麺の取り出し量を計量する計量口と、
前記容器本体の内面と前記計量口を滑らかに接続し、前記容器本体より前記計量口を下方に位置させることにより、前記容器本体から乾麺が前記計量口に束となって流れ込むように誘導する誘導部と、
前記計量口の近傍に形成され、前記誘導部により前記計量口へと誘導される乾麺の一部が前記計量口に到達しないように堰き止める突起部と
を備えることを特徴とする乾麺用計量器。
【請求項2】
複数の前記突起部が、前記計量口の周縁に沿って形成される請求項1に記載の乾麺用計量器。
【請求項3】
複数の前記突起部が、前記誘導部において、乾麺の取り出し方向に対して周方向に形成される請求項1に記載の乾麺用計量器。
【請求項4】
複数の前記突起部は、それぞれほぼ矩形の板形状に形成される請求項2または3に記載の乾麺用計量器。
【請求項5】
複数の前記突起部は、それぞれ同じ横幅を有し且つ等間隔で配置された2〜10の突起部からなる請求項4に記載の乾麺用計量器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の乾麺用計量器と、
前記乾麺用計量器が取り付けられ、乾麺を収納するための容器本体と
を備えることを特徴とする乾麺収納容器。
【請求項7】
前記乾麺用計量器は、前記容器本体に対して着脱自在に取り付けられる請求項6に記載の乾麺収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乾麺用計量器および乾麺収納容器に係り、特に、乾麺を収納する容器本体から複数本の乾麺を束として取り出す時の乾麺の取り出し量を計量する乾麺用計量器に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の分野では、料理等に使用される食品材料の分量を簡便に計量することが求められている。例えば、パスタなどの乾麺を計量する際には、所定の径を有する計量口を備えた乾麺用計量器が用いられる。この乾麺用計量器の計量口に複数本の乾麺を束として挿入することにより、挿入された乾麺の束の外周からその分量を簡便に計量することができる。
【0003】
近年では、乾麺を収納する容器本体に乾麺用計量器を接続した乾麺収納容器も実用化されている。この乾麺収納容器では、乾麺用計量器の計量口が容器本体より下方に位置するように乾麺収納容器を傾斜させることにより、容器本体に収納された乾麺を計量口を介して取り出すと同時に、その取り出し量を簡便に計量することができる。しかしながら、容器本体と計量口を直接接続することにより両者の間に段差が生じると、乾麺を取り出すために乾麺収納容器を傾斜させても、接続部分の段差が障害となって所定量の乾麺をスムーズに計量口まで導くことが困難であった。
【0004】
そこで、容器本体に収容された乾麺を計量口までスムーズに導く技術として、例えば特許文献1に開示されているように、容器本体と計量口を接続する誘導部を備えた乾麺用計量器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−102063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の乾麺用計量器では、容器本体の内面が計量口の縁に誘導部を介して滑らかに接続されているため、乾麺を取り出す際に、所定量の乾麺を容器本体から計量口までスムーズに誘導することが可能となる。
しかしながら、誘導部により所定量の乾麺が容器本体から計量口まで導かれると同時に、その他の乾麺も計量口に誘導される。このため、計量口まで誘導された所定量の乾麺は、その他の乾麺から密集した状態で押圧され、計量口から所定量の乾麺をスムーズに引き抜いて取り出すことが困難となる。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、容器本体から所定量の乾麺をスムーズに取り出しながらその取り出し量を簡便に計量することができる乾麺用計量器および乾麺収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る乾麺用計量器は、乾麺を収納する容器本体に取り付けられ、前記容器本体から複数本の乾麺を束として同時に取り出す時の乾麺の取り出し量を計量するための乾麺用計量器であって、挿入された乾麺の束の外周により乾麺の取り出し量を計量する計量口と、前記容器本体の内面と前記計量口を滑らかに接続し、前記容器本体より前記計量口を下方に位置させることにより、前記容器本体から乾麺が前記計量口に束となって流れ込むように誘導する誘導部と、前記計量口の近傍に形成され、前記誘導部により前記計量口へと誘導される乾麺の一部が前記計量口に到達しないように堰き止める突起部とを備えるものである。
【0009】
ここで、複数の前記突起部が、前記計量口の周縁に沿って形成されることができる。また、複数の前記突起部が、前記誘導部において、乾麺の取り出し方向に対して周方向に形成されることもできる。
また、複数の前記突起部は、それぞれほぼ矩形の板形状に形成されるのが好ましい。また、複数の前記突起部は、それぞれ同じ横幅を有し且つ等間隔で配置された2〜10の突起部からなるのが好ましい
。
【0010】
この発明に係る乾麺収納容器は、上記のいずれかに記載の乾麺用計量器と、前記乾麺用計量器が取り付けられ、乾麺を収納するための容器本体とを備えるものである。
ここで、前記乾麺用計量器は、前記容器本体に対して着脱自在に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、誘導部により計量口へと誘導される乾麺の一部が計量口に到達しないように堰き止める突起部を計量口の近傍に形成するので、容器本体から所定量の乾麺をスムーズに取り出しながらその取り出し量を簡便に計量することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の実施の形態に係る乾麺用計量器を用いた乾麺収納容器の構成を示す斜視図である。
【
図3】乾麺用計量器の構成を示す側面断面図である。
【
図4】乾麺収納容器から複数本の乾麺を束として取り出す様子を示す側面断面図である。
【
図5】実施の形態の変形例で用いられた乾麺用計量器の構成を示す側面断面図である。
【
図6】実施の形態の他の変形例で用いられた乾麺用計量器の構成を示す側面断面図である。
【
図7】実施の形態のさらに他の変形例で用いられた乾麺用計量器の構成を示す斜視図である。
【
図8】計量口に対する突起部の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、この発明の実施の形態に係る乾麺用計量器を用いた乾麺収納容器の構成を示す。乾麺収納容器は、乾麺Pを収納する容器本体1と、容器本体1に取り付けられて容器本体1から複数本の乾麺Pを束として同時に取り出す時の乾麺Pの取り出し量を計量するための乾麺用計量器2とを有する。
ここで、容器本体1に収納される乾麺Pとしては、パスタなどの麺類を乾燥させた直線状のものが用いられる。
【0014】
容器本体1は、例えば円柱形状を有し、一端が開放されて複数の乾麺Pが収納される収納部3が形成されている。
乾麺用計量器2は、円筒形状を有する計量部4と、容器本体1と計量部4を接続する誘導部5と、計量部4の周縁に沿って形成された3つの突起部6とを有する。
【0015】
図2および
図3に乾麺用計量器2の構成を示す。
計量部4は、外部に開放された先端側開口7と、乾麺収納容器内に配置された基端側開口8を有し、先端側開口7と基端側開口8が内周面9により接続されている。内周面9は、先端側開口7から基端側開口8まで連続した同一の径の横断面を有し、この横断面の周の長さが所定量の乾麺Pを束ねた際の外周と同程度の円周長となるように形成されている。この内周面9が囲む空間により計量口10が形成され、計量口10を埋めるように乾麺Pの束を挿入することにより、容器本体1からの乾麺Pの取り出し量を計量することができる。
【0016】
誘導部5は、一端から他端に向けて徐々に縮径され、傾斜している円錐台形状を有し、一端から他端まで貫通した誘導路11が形成されている。誘導部5の一端側は容器本体1と同一の径を、他端側は計量部4と同一の径をそれぞれ有し、誘導部5の一端側が容器本体1に接続されると共に他端側が計量部4に接続される。これにより、誘導部5の内周面12が容器本体1の内周面と計量部4の内周面9に滑らかに接続されると共に、容器本体1の収容部3が誘導路11を介して計量口10まで連通される。
なお、誘導部5は、一端から他端に向けて徐々に縮径され、傾斜している円錐台形状を有していたが、これに限られず、傾斜角度を緩やかにし、ほぼ平坦に近い形状としてもよい。
3つの突起部6は、それぞれほぼ矩形の板形状に形成され、
図3に示すように、計量部4の基端側開口8の周縁部から、計量口10の中心軸方向で且つ基端方向に突起するように配置されている。このように、3つの突起部は計量口10の周縁から誘導路11内に突起し、その間の隙間を介して誘導部5の内周面12と計量部4の内周面9は滑らかに接続されている。
【0017】
次に、
図1に示した乾麺収納容器から乾麺用計量器2を介して所定量の乾麺Pを取り出す動作について説明する。
まず、多数の乾麺Pが容器本体1に収納された乾麺収納容器を傾斜させて、計量口10を容器本体1より下方に位置させる。容器本体1に収納された多数の乾麺Pは、重力により収容部3から誘導路11内に移動し、計量口10に向かって縮径された誘導部5の内周面12に沿って内側方向に、すなわち横断面の中心方向に集合しながら誘導路11内を計量口10に向かって進行する。そして、誘導部5により計量口10を覆うように集合された複数本の乾麺Pが、
図4に示すように、計量部4の基端側開口8から計量口10内に束となって流れ込んでいく。
【0018】
ここで、誘導部5の内周面12により、容器本体1の内周面と計量部4の内周面9の間が滑らかに接続されているため、収容部3に収容された乾麺Pを計量口10までスムーズに導くことができる。また、誘導部5が計量口10に向かって縮径された内周面12を有することにより、計量口10において所定量の乾麺Pを束として集合させることができる。なお、誘導部5の内周面12に沿って集合する複数本の乾麺Pのうち、一部の乾麺Pは、3つの突起部6により堰き止められるが、3つの突起部6の間の隙間において誘導部5の内周面12と計量部4の内周面9が滑らかに接続されており、この接続部を介して複数本の乾麺Pが計量口10内に流れ込み、計量口10内を外側から埋めるように満たしていく。このようにして、計量口10を所定量の乾麺Pの束で満たすことができる。
【0019】
続いて、計量口10が所定量の乾麺Pの束で満たされると、その乾麺Pの束が計量部4の内周面9に沿って引き抜かれる。この時、
図4に示すように、計量口10の周縁に配置された3つの突起部6が、誘導部5により計量口10へと誘導される乾麺Pの一部を計量口10に到達しないように堰き止めることにより、計量口10内に挿入された乾麺Pがその他の乾麺Pにより押圧されるのを抑制する。これにより、所定量の乾麺Pを計量口10からスムーズに引き抜くことができる。なお、
図4に示すように、突起部6の厚さに起因して、計量口10内に挿入された乾麺Pとその他の乾麺Pとの間に隙間Sが生じれば、両者の間に生じる摩擦が抑制されるため、乾麺Pの束を計量口10からさらにスムーズに引き抜くことができる。
このようにして、計量口10を介して所定量の乾麺Pが取り出されることで、乾麺収納容器から複数本の乾麺Pを束として取り出すと同時に、その取り出し量を簡便に計量することができる。
【0020】
本実施の形態によれば、誘導部5の内周面12が容器本体1の内周面と計量部4の内周面9を滑らかに接続するため、容器本体1に収納された乾麺Pを計量口10までスムーズに導くことができる。また、計量口10の周縁に配置された3つの突起部6が、計量口10内に挿入された所定量の乾麺Pとその他の乾麺Pとの間の押圧を抑制するため、計量口10から乾麺Pの束をスムーズに引き抜いて取り出すことができる。
【0021】
なお、上記の実施の形態では、突起部6は、計量口10の中心軸方向で且つ基端方向に突起するように形成されていたが、誘導部5により計量口10へと誘導される乾麺Pの一部を堰き止めるように誘導路11内に突起していればこれに限るものではなく、例えば
図5に示すように、計量口10の中心軸方向で且つ基端方向に突起すると共に先端が内側を向くように傾斜した突起部21を形成することもできる。
また、上記の実施の形態では、突起部6は、計量口10の周縁部に形成されたが、誘導部5により計量口10へと誘導される乾麺Pの一部を堰き止めるように計量口10の近傍に形成されていればこれに限るものではなく、例えば
図6に示すように、誘導部5の内周面12において、乾麺Pの取り出し方向に対して周方向に配置され、計量口10の中心軸方向で且つ基端方向に突起した突起部22を形成することもできる。
【0022】
また、上記の実施の形態では、突起部6は、ほぼ矩形の板形状に形成されていたが、計量口10に進行する乾麺Pの一部を堰き止めることができればこれに限るものではなく、例えば半円または三角形の板形状に形成することもできる。
また、上記の実施の形態では、計量部4は、横断面が円状になるように形成されていたが、乾麺Pの取り出し量を計量できればこれに限るものではなく、例えば多角形状または楕円形状などの横断面を有するように形成することができる。また、計量部4の長さは、乾麺Pの取り出し量を計量できれば特に限定されず、例えば先端側開口7と基端側開口8が近接するように非常に短く形成することもできる。
【0023】
また、乾麺用計量器2は、容器本体1に対して着脱可能に取り付けることもできる。例えば、
図7に示すように、容器本体1と接続される誘導部5の一端側に、ネジ部が形成された着脱部23を設け、このネジ部を容器本体1に形成されたネジ部と互いに係合させることにより、乾麺用計量器2を容器本体1に着脱可能に取り付けることができる。また、着脱部23は、容器本体1の周縁部を挟持する構成とすることもできる。これにより、容器本体1が形状の安定しない袋状のものであっても乾麺用計量器2を着脱可能に取り付けることができる。
【0024】
次に、突起部6の個数および配置を変えて乾麺収納容器からの乾麺Pの取り出し易さを実際に検討した実施例について説明する。
この実施例は、突起部6の個数および配置をそれぞれ変えた乾麺収納容器に、乾麺Pを100gから600gまで100gずつ重量を変化させて収納し、それぞれについて乾麺Pの取り出し易さを検討したものである。その結果、それぞれ同じ横幅を有する2〜10個の突起部6を等間隔で計量口10の周縁に沿って配置した場合に、乾麺収納容器からの乾麺Pの取り出し易さが向上した。さらに、複数の突起部6は、例えば
図8に示すように、それぞれの横幅Aと互いの間隔Bとの比が1:10〜10:1となるように計量口10の周縁に沿って配置されることで、乾麺収納容器からの乾麺Pの取り出し易さが向上した。特に、それぞれ同じ横幅を有する3つの突起部6を、それぞれの横幅Aと互いの間隔Bとの比が13:8となるように等間隔で計量口10の周縁に沿って配置することで、乾麺収納容器からの乾麺Pの取り出し易さを最も向上させることができた。
【0025】
突起部6の個数および配置は、誘導部5により計量口10へと誘導される乾麺Pの一部を堰き止めることができれば特に限定されるものではないが、上記のように、それぞれ同じ横幅を有し且つ等間隔で配置された2〜10の突起部6を計量口10の周縁に沿って配置するのが好ましい。また、これら複数の突起部6は、それぞれの横幅Aと互いの間隔Bとの比が1:10〜10:1となるように計量口10の周縁に沿って配置するのが好ましい。さらに、それぞれ同じ横幅を有する3つの突起部6を、それぞれの横幅Aと互いの間隔Bとの比が13:8となるように等間隔で計量口10の周縁に沿って配置するのが好ましい。
【符号の説明】
【0026】
1 容器本体、2 乾麺用計量器、3 収納部、4 計量部、5 誘導部、6,21,22 突起部、7 先端側開口、8 基端側開口、9 内周面、10 計量口、11 誘導路、12 内周面、23 着脱部、P 乾麺、S 空間。