【実施例】
【0066】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0067】
吸水性樹脂及び吸水シート構成体の性能は、以下の方法により測定、評価した。
【0068】
<吸水性樹脂の生理食塩水保水能>
吸水性樹脂2.0gを、綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)中に計り取り、500mL容のビーカーに入れた。綿袋に生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液、以下同様)500gを一度に注ぎ込み、吸水性樹脂のママコが発生しないように生理食塩水を分散させた。綿袋の上部を輪ゴムで縛り、1時間放置して、吸水性樹脂を十分に膨潤させた。遠心力が167Gとなるよう設定した脱水機(国産遠心機株式会社製、品番:H−122)を用いて綿袋を1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wa(g)を測定した。吸水性樹脂を用いずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時空質量Wb(g)を測定し、次式により吸水性樹脂の生理食塩水保水能を求めた。
【0069】
吸水性樹脂の生理食塩水保水能(g/g)=[Wa−Wb](g)/吸水性樹脂の質量(g)
【0070】
<吸水性樹脂の生理食塩水吸水速度>
本試験は、25℃±1℃に調節された室内で行った。100mL容のビーカーに、生理食塩水50±0.1gを量りとり、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリング無し)を投入し、ビーカーを恒温水槽に浸漬して、液温を25±0.2℃に調節した。次に、マグネチックスターラー上にビーカーを置いて、回転数600r/minとして、生理食塩水に渦を発生させた後、吸水性樹脂2.0±0.002gを、前記ビーカーに素早く添加し、ストップウォッチを用いて、吸水性樹脂の添加後から液面の渦が収束する時点までの時間(秒)を測定し、吸水性樹脂の吸水速度とした。
【0071】
<吸水性樹脂の質量平均粒径>
吸水性樹脂100gに、滑剤として、0.5gの非晶質シリカ(デグサジャパン株式会社製、Siperant 200)を混合し、測定用の吸水性樹脂を調整した。
前記吸水性樹脂を、JIS標準篩の目開き250μmの篩を用いて通過させ、その通過量が50質量%以上の場合には(A)の篩の組み合わせを、その通過量が50質量%未満の場合には(B)の篩の組み合わせを用いて質量平均粒径を測定した。
【0072】
(A)JIS標準篩を上から、目開き425μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、目開き106μmの篩、目開き75μmの篩、目開き45μmの篩及び受け皿の順に組み合わせた。
【0073】
(B)JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き150μmの篩及び受け皿の順に組み合わせた。
【0074】
組み合わせた最上の篩に、前記吸水性樹脂を入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級した。
【0075】
分級後、各篩上に残った吸水性樹脂の質量を全量に対する質量百分率として計算し、粒子径の大きい方から順に積算することにより、篩の目開きと篩上に残った吸水性樹脂の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を質量平均粒径とした。
【0076】
<不織布の親水度>
本明細書において、不織布の親水度は、紙パルプ試験方法No.68(2000)に記載の「はっ水性試験方法」に記載の装置を用いて測定した。
【0077】
すなわち、45度の傾斜をもつ試験片取り付け装置に、幅×長さが10cm×30cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した試験片を取り付けた。ビュレットのコック開口部を30秒あたり10gの蒸留水を供給するように調整したビュレットを一旦乾燥させ、傾斜を持つ装置に取り付けた試験片の最上部から垂直方向に5mm上の部分にビュレットの先端が配置するように固定した。ビュレット上部から蒸留水約60gを仕込み、ビュレット先端から不織布試験片に液体が滴下され始めてから、試験片が液体を保持しきれずに下部から液体がもれ出るまでの時間(秒)を測定し、不織布の親水度とした。数値が大きいほど親水度が高いと判断される。
【0078】
通常、不織布の素材自身が親水性を有するか、親水化処理を施した不織布では、親水度の数値は5以上となる一方、親水性の低い素材の不織布では、表面近傍で液体が走り、より早く下部から液体がもれ出る傾向がある。
【0079】
<吸水シート構成体の乾燥状態の厚みの測定>
吸水シート構成体を19cm×51cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断したものを、サンプルとして使用した。厚み測定器(株式会社尾崎製作所製、型番:J−B)を用いて、長手方向に左端、中央、右端の3箇所(左から5cmを左端、25.5cmを中央、45cmを右端)を測定した。幅方向は中央部を測定した。厚みの測定値は各箇所で3回測定して平均した。さらに、左端、中央、右端の値を平均して、吸水シート構成体全体の乾燥状態の厚みとした。
【0080】
<吸水シート構成体の形態保持性>
吸水シート構成体の形態保持性は、以下の方法によって評価した。
得られた吸水シート構成体を10cm×10cmの大きさに切断した。次いで2枚の10cm×10cmアクリル板(質量約60g)の各片面の全面に両面テープを貼り付けた。
図4に示すように、アクリル板21、22の対角線が45度を成すように、かつ両面テープが吸水シート構成体23側を向くようにしてアクリル板21を吸水シート構成体23に貼り付け、動かないよう圧着した。
【0081】
このように調製された吸水シート構成体のテストピースを、前記<吸水性樹脂の質量平均粒径>の項で用いた、篩の金属製受け皿の中に入れて蓋をした後、ロータップ振とう機で3分間回転タッピングした。タッピング後のテストピースの外観に基づいて、以下の基準によって吸水シート構成体の形態保持性を評価した。
【0082】
A:外観に変化無く、アクリル板をずらそうとしても容易には動かなかった。
B:外観に変化無いが、アクリル板をずらすと、吸水シート構成体は分裂した。
C:吸水シート構成体は分裂し、内容物が散乱していた。
【0083】
<吸水シート構成体の荷重下液体浸透速度及び逆戻り量の評価>
吸水シート構成体を19×51cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断したものを、サンプルとして使用した。
【0084】
10L容の容器に、塩化ナトリウム60g、塩化カルシウム二水和物1.8g、塩化マグネシウム六水和物3.6g及び適量の蒸留水を入れ、完全に溶解させた。次に、1質量%ポリ(オキシエチレン)イソオクチルフェニルエーテル水溶液15gを添加し、さらに蒸留水を添加して、水溶液全体の質量を6000gに調整した後、少量の青色1号で着色して、試験液を調製した。
【0085】
サンプル(吸水シート構成体)の上部に、サンプルと同じ大きさ(19cm×51cm)、目付量22g/m
2のポリエチレン製エアスルー型多孔質液体透過性シートを載せた。また、サンプルの下にこのシートと同じ大きさ、目付量のポリエチレン製液体不透過性シートを置き、簡易的な吸収性物品を作製した。この吸収性物品の中心付近に、中央部に内径4.3cm、高さ12cmの円筒型シリンダーを持つ11cm×24cmのアクリル板を置き、さらにアクリル板上に重りを載せて総計3120gの荷重がサンプルにかかる状態とした。シリンダーに150mLの試験液を一度に投入するとともに、ストップウォッチを用いて、試験液が完全に吸収性物品に浸透するまでの時間を測定し、1回目の浸透速度(秒)とした。次いで、シリンダーの位置を動かさずに15分後にも同様の操作を行い、2回目の浸透速度(秒)を測定した。1回目と2回目の秒数の合計を荷重下液体浸透速度とした。
【0086】
1回目の試験液投入開始から30分後に前記アクリル板を取り除き、吸収性物品上の液体投入位置付近に、あらかじめ質量(Wc(g)、約70g)を測定しておいた10cm四方の濾紙(約80枚)を置き、その上に10cm×10cmの5kgの重りを載せた。5分間の荷重後、濾紙の質量(Wd(g))を測定し、増加した質量を逆戻り量(g)とした。
逆戻り量(g)=Wd−Wc
【0087】
<傾斜における漏れ試験>
傾斜における漏れ試験は、
図5に示す装置を用いて行った。
概略としては、市販の実験設備用の架台31を用いて、アクリル板32を傾斜させて固定した後、板上に載置した吸収性物品33に鉛直上方から滴下ロート34で前記の試験液を投入し、漏れ量を天秤35で計量する機構である。以下に詳細な仕様を示す。
【0088】
アクリル板32は傾斜面方向の長さが70cmで、架台31によって水平に対して成す角45±2°になるよう固定した。アクリル板32は幅100cm、厚み1cmで、複数の吸水シート構成体33を並行して測定することも可能であった。アクリル板32の表面は滑らかなので、板に液体が滞留したり吸収されたりすることはなかった。
【0089】
架台31を用いて、滴下ロート34を傾斜アクリル板32の鉛直上方に固定した。滴下ロート34は、容量100mL、先端部の内径が約4mmであり、8mL/秒で液が投入されるようにコックの絞りを調整した。
【0090】
アクリル板32の下部には、トレイ36を載置した天秤35が設置されており、漏れとして流れ落ちる試験液をすべて受けとめ、その質量を0.1gの精度で記録した。
【0091】
このような装置を用いた傾斜における漏れ試験は、以下の手順で行った。長さ51cm×幅19cmの短冊状で、長手方向が不織布の縦方向(機械方向)となるように切断した吸水シート構成体の質量を測定した後、同サイズのエアスルー型ポリエチレン製液体透過性不織布(目付量22g/m
2)を上方から付し、さらに、同サイズ、同目付量のポリエチレン製液体不透過性シートを下方から付して作成した簡易的な吸収性物品33を、アクリル板32上に貼り付けた(漏れを作為的に止めないために、吸収性物品33の下端はアクリル板32上には貼り付けなかった)。
【0092】
吸収性物品33の上端から3cm下方向の箇所に目印をつけ、滴下ロート34の投入口を、目印から鉛直上方距離8±2mmになるように固定した。
【0093】
天秤35を起動させ、表示をゼロに補正した後、滴下ロート34に前記試験液150mLを一度に投入した。試験液が吸収性物品33に吸収されずに傾斜したアクリル板32を流れ、トレイ36に入った液量を測定し、1回目の漏れ量(g)とした。この1回目の漏れ量(g)の数値をLW1とした。
【0094】
1回目の投入開始から10分後、同様に2回目の試験液を投入して、2回目の漏れ量(g)を測定し、その数値をLW2とした。
【0095】
次いで、以下の式に従って漏れ指数を算出した。指数が小さいほど、吸水シート構成体の傾斜における漏れ量、特に初期の漏れ量が少なく、優れた吸水シート構成体と判断される。
漏れ指数:L=LW1×10+LW2
【0096】
(実施例1)
ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、接着剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA;溶融温度95℃)40質量部と、吸水性樹脂としてポリアクリル酸ナトリウム架橋体(住友精化株式会社製:アクアキープSA55SX−II、質量平均粒径:360μm、生理食塩水吸水速度:42秒、生理食塩水保水能:35g/g;「吸水性樹脂A」とする)200質量部とを均一混合させたものを仕込んだ。一方、ローラー型散布機下部のコンベアーに、幅30cmのスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布を親水化剤により親水化処理したもの(繊維:ポリプロピレン、空隙率:90%、目付量:13g/m
2、厚み:150μm、親水度=16;「不織布A」とする)を敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記混合物を目付量240g/m
2で前記不織布上に均一に積層した。
【0097】
得られた積層体を、上部から繊維基質としての吸水紙(繊維:パルプ、空隙率:95%、目付量:25g/m
2、厚み:350μm、親水度=55)で挟みつけた後、加熱温度を130℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化し、吸水シート構成体中間物を得た。
【0098】
次に、ローラー型散布機の投入口に、接着剤として前記と同様のEVAの18質量部と、吸水性樹脂としてポリアクリル酸ナトリウム架橋体(住友精化株式会社製:アクアキープ10SH−PB、質量平均粒径:320μm、生理食塩水吸水速度:3秒、生理食塩水保水能:42g/g;「吸水性樹脂B」とする)50質量部とを均一混合させたものを仕込んだ。一方、ローラー型散布機のコンベアーに、得られた吸水シート構成体中間物を吸水紙側が上部になるように敷いた。散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、前記混合物を目付量68g/m
2で前記吸水性シート構成体中間物の吸水紙上に、均一に積層した。
【0099】
得られた積層体を、上部から前記と同様の不織布Aで挟みつけた後、加熱温度を130℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化し、吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体の構造の断面を模式的に示せば、
図1のような構造であった。
【0100】
得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0101】
(実施例2)
加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機(株式会社ハリーズ製:マーシャル150)上に、幅30cmの前記不織布Aを敷いた後、接着剤としてスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS;軟化点85℃)を目付量15g/m
2で当該不織布上に塗布した。
【0102】
次に、ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、吸水性樹脂Aを仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤塗布不織布Aを接着剤塗布面が上面になるように敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、吸水性樹脂Aを目付量200g/m
2で不織布上に均一に積層した。
【0103】
得られた積層体を、上部から目付量15g/m
2で接着剤としての前記SBSを前記と同様の方法で塗布した繊維基質〔スパンレース不織布(繊維:レーヨン/PET、空隙率:92%、目付量:35g/m
2、厚み:300μm、親水度=38;「不織布B」とする)で挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化し、吸水シート構成体中間物を得た。
【0104】
前記と同様に、加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機上に、得られた吸水シート構成体中間物を不織布B側が上部になるように敷き、接着剤として前記SBSを目付量10g/m
2で吸水シート構成体中間物の不織布B上に塗布した。
【0105】
次に、ローラー型散布機の投入口に、吸水性樹脂Bを仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、吸水シート構成体中間物を接着剤塗布面が上面になるように敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、吸水性樹脂Bを目付量50g/m
2で、前記吸水シート構成体中間物の不織布B上に均一に積層した。
【0106】
得られた積層体を、上部から目付量10g/m
2で前記SBSを前記と同様の方法で塗布した別の不織布Aで挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化し、吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体の構造の断面を模式的に示せば、
図2のような構造であった。
【0107】
得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0108】
(実施例3)
実施例2において、繊維基質を、エアスルー不織布(繊維:ポリプロピレン/ポリエチレンを親水化剤により親水化処理したもの、空隙率:92%、厚み:150μm、目付量:23g/m
2、親水度=33;「不織布C」とする)に変更した以外は、実施例2と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。
【0109】
得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0110】
(実施例4)
実施例2において、使用する繊維基質を、エアスルー不織布(繊維:ポリプロピレン/ポリエチレンを親水化剤により親水化処理したもの、空隙率:97%、厚み:820μm、目付量:20g/m
2、親水度=12;「不織布D」とする)に変更した以外は、実施例2と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。
【0111】
得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0112】
(実施例5)
実施例2において、吸水シート構成体中間物の製造に使用する不織布を、不織布Cに変更し、繊維基質を不織布Cに変更した以外は、実施例2と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。得られた吸水シート構成体の構造の断面を模式的に示せば、
図3のような構造であった。
【0113】
得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0114】
(実施例6)
実施例2において、使用する不織布及び繊維基質を、全て不織布Dに変更した以外は、実施例2と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。
【0115】
得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0116】
(実施例7及び8)
実施例3において、使用する吸水性樹脂A及びB並びに接着剤の含有量を、表2に記載された通りに変更した以外は、実施例3と同様の方法によってそれぞれの吸水シート構成体を得た。
【0117】
実施例7及び8で得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0118】
(比較例1)
加熱温度を150℃に設定したホットメルト塗工機(株式会社ハリーズ製:マーシャル150)上に、幅30cmの前記不織布Aを敷いた後、接着剤として前記SBS(軟化点85℃)を目付量25g/m
2で当該不織布上に塗布した。
【0119】
次に、ローラー型散布機(株式会社ハシマ製:シンターエースM/C)の投入口に、吸水性樹脂Aを仕込んだ。一方、散布機下部のコンベアーに、前記接着剤塗布不織布Aを接着剤塗布面が上面になるように敷いた。次いで、散布ローラーと下部コンベアーを稼動させることにより、吸水性樹脂Aを目付量250g/m
2で不織布上に均一に積層した。
【0120】
得られた積層体を、上部から目付量25g/m
2で接着剤としての前記SBSを前記と同様の方法で塗布した不織布Aで挟みつけた後、加熱温度を100℃に設定したラミネート機(株式会社ハシマ製:直線式接着プレスHP−600LF)にて熱融着させることでこれらを一体化し、吸水シート構成体を得た。
【0121】
得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0122】
(比較例2)
実施例2において、使用する繊維基質を、不織布Aに変更した以外は、実施例2と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。
【0123】
得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0124】
(比較例3)
実施例2において、使用する不織布及び繊維基質を、全てSMS不織布(繊維:ポリプロピレン、空隙率:90%、目付量17g/m
2、厚み:190μm、親水度=3以下;「不織布E」とする)に変更した以外は、実施例2と同様の方法によって吸水シート構成体を得た。
【0125】
得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0126】
(比較例4及び5)
実施例1において、使用する繊維基質を不織布Cに変更し、接着剤の含有量を表2に記載された通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法によってそれぞれの吸水シート構成体を得た。
【0127】
比較例4及び5で得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0128】
(比較例6及び7)
実施例3において、使用する吸水性樹脂A及びB並びに接着剤の含有量を、表2に記載された通りに変更した以外は、実施例3と同様の方法によってそれぞれの吸水シート構成体を得た。
【0129】
比較例6及び7で得られた吸水シート構成体を所定の大きさに切断し、吸水性樹脂Aを用いた吸収層が上方(1次吸収層)となるようにして、前記各種測定及び評価を行った。結果を表3に示す。
【0130】
実施例および比較例において用いた、不織布および繊維基質の諸性能を表1に示す。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
以上の結果より、実施例の吸水シート構成体は、比較例のものと対比して、荷重下における液体の浸透速度が速く、逆戻り量が少なく、傾斜における漏れも少なく、液体吸収性能が良好であり、形態保持性にも優れていることが分かった。また、傾斜における漏れ試験を実施した後の吸水シート構成体の内部を確認したところ、吸収層はその全体が一様に膨潤しており、ゲルブロッキング現象が生じていないことが分かった。
【0135】
一方、比較例について見れば、吸収層が1層の場合(比較例1)では、荷重下液体浸透速度及び傾斜における漏れ指数の両方の評価が低かった。繊維基質として空隙率の低いものを使用した場合(比較例2)は、荷重下液体浸透速度が遅く、吸水性能が十分ではなかった。不織布及び繊維基質として、親水度及び空隙率の低いものを使用した場合(比較例3)においては、吸水性能が十分でなく、特に傾斜における漏れ指数が高い傾向であった。使用する接着剤の吸水性樹脂に対する比率が小さい場合(比較例4)では、吸水性能は使用可能なレベルではあったが、強度に問題があり、吸水シート構造体として十分満足できるものとは言えない。逆に使用する接着剤の吸水性樹脂に対する比率が大きい場合(比較例5)では、吸液時の吸水性樹脂の膨潤が阻害され、ゲルブロッキング現象が生じ、荷重下液体浸透速度及び傾斜における漏れ指数の両方の評価が低かった。吸水性樹脂の使用量が少ない場合(比較例6)では、吸水シート構造体全体の吸水能力の低下により、荷重下液体浸透速度、逆戻り量及び傾斜における漏れ指数のすべての評価が低かった。吸水性樹脂の使用量が少なく、かつ2次吸収層に用いる樹脂の比率が高い場合(比較例7)、比較例6よりも荷重下液体浸透速度がさらに悪化した。この原因は、2次吸収層に用いる樹脂の比率が高いために、2次吸収層においてゲルブロッキング現象が生じたことであると考えられる。