【文献】
D. FERNANDEZ et al.,Dalton Transactions,2008年,pp.2633-2642
【文献】
Glenna So Ming TONG et al.,Chem. Eur. J.,2009年,15,pp.10777-10789
【文献】
Chi-Ming CHE et al.,Chemical Communications,1991年,pp.1615-1617
【文献】
Alan L. BALCH et al.,Journal of the American Chemical Society,1989年,111,pp.4021-4028
【文献】
Anthea L. AIREY et al.,Chemical Communications,1995年,pp.695-696
【文献】
Jose A MONTES et al.,Dalton Transactions,2002年,pp.1110-1118
【文献】
EFFENDY et al.,Inorganica Chimica Acta,2005年,358,pp.4009-4018
【文献】
Christopher J. BLAKE et al.,Inorganic Chemistry,2003年,42(26),pp.8709-8715
【文献】
Anthea L. AIREY et al.,Inorganic Chemistry,1997年,36,pp.1588-1597
【文献】
Shaobin MIAO et al.,Journal of Molecular Structure,2003年,660,pp.159-165
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高分子化合物が、ポリカルバゾール誘導体、ポリ芳香族三級アミン化合物の残基を含む重合体、ポリアリールアルカン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリオキサジアゾール誘導体、ポリトリアジン誘導体、ポリフルオレン誘導体、又はこれらの組み合わせである、請求項10に記載の膜。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、「置換されていてもよい」とは、その直後に記載された化合物又は基を構成する水素原子が無置換の場合及び水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されている場合の双方を含む。置換基によって置換されている場合の置換基としては、特に説明がない限り、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜30のヒドロカルビル基及び炭素原子数1〜30のヒドロカルビルオキシ基が挙げられ、これらの中でも、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のヒドロカルビル基及び炭素原子数1〜18のヒドロカルビルオキシ基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のヒドロカルビル基及び炭素原子数1〜12のヒドロカルビルオキシ基がより好ましく、ハロゲン原子及び炭素原子数1〜12のヒドロカルビル基が更に好ましく、ハロゲン原子及び炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基が特に好ましい。なお、本明細書において、「置換されていてもよい」は、「置換基を有していてもよい」と言い換え得る。
【0011】
本明細書において、Meはメチル基を、n−Buはn−ブチル基を、t−Buはtert−ブチル基を、Phはフェニル基を、n−Hexはn−ヘキシル基をそれぞれ表す。
【0012】
本明細書において、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基と記載されている場合、これらは直鎖状でも分岐構造をとっていてもよく、好ましくは直鎖状である。
【0013】
本発明の膜は、下記組成式(1)で表される銀錯体を含む。
(Ag
+)(L
1)
a(L
2)
b(L
3)
c(X
1)
d (1)
(組成式(1)中、
L
1は、Ag
+に配位可能な原子/又はイオンとして、リン原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ヒ素原子、酸素アニオン及び硫黄アニオンから選ばれる原子又はイオンを有する分子であり、L
1が有するAg
+に配位可能な原子及びイオンの総数は3つ以上6つ以下であり、L
1が有するAg
+に配位可能な原子のうち1つ以上はリン原子である。L
2はAg
+に配位可能な原子又はイオンとして、リン原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ヒ素原子、酸素アニオン及び硫黄アニオンから選ばれる原子及び/又はイオンから選ばれる原子又はイオンを有する分子であり、L
2が有するAg
+に配位可能な原子及びイオンの総数は2つである。L
3はAg
+に配位可能な原子又はイオンとして、リン原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ヒ素原子、酸素アニオン及び硫黄アニオンから選ばれる原子又はイオンを1つ有する分子である。X
1はアニオンである。aは0.5より大きい数であり、b、c及びdはそれぞれ独立に0以上の数である。)
組成式(1)において、L
1、L
2及びL
3は分子であるが、それぞれ、電荷を帯びた官能基を有し得る。L
1、L
2及びL
3はそれぞれ、電荷を帯びた官能基を有する場合、イオンの状態であってもよい。
【0014】
組成式(1)においてL
1は、Ag
+に配位可能な原子又はイオンとして、リン原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ヒ素原子、酸素アニオン及び硫黄アニオンから選ばれる原子又はイオンを有する分子である。
Ag
+に配位可能なリン原子の例としては、3価のリン原子が挙げられる。Ag
+に配位可能な窒素原子の例としては、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物中の窒素原子(該窒素原子含有複素環式化合物1つ中に含まれる配位可能な窒素原子は1つと数える。)、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜5つ除いた基中の窒素原子(該窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜5つ除いた基1つ中に含まれる配位可能な窒素原子は1つと数える。)、置換されていてもよいジアルキルアミノ基中の窒素原子、置換されていてもよいジアルキルアミノ基中の窒素原子、置換されていてもよいアリールアミノ基中の窒素原子、置換されていてもよいアルキルアリールアミノ基中の窒素原子、置換されていてもよいイミノ基中の窒素原子、及び、ニトリル基中の窒素原子が挙げられる。配位可能な酸素原子の例としては、水素原子が結合した酸素原子及び第15族元素が結合した酸素原子が挙げられる。Ag
+に配位可能な硫黄原子の例としては、水素原子が結合した硫黄原子、アルキルメルカプト基中の硫黄原子、及び、第15族元素が結合した硫黄原子が挙げられる。Ag
+に配位可能なヒ素原子の例としては、3価のヒ素原子が挙げられる。Ag
+に配位可能な酸素アニオンの例としては、O
-が挙げられる。Ag
+に配位可能な硫黄アニオンの例としては、S
-が挙げられる。
【0015】
L
1が有するAg
+に配位可能な原子及びイオンの総数は3つ以上6つ以下であり、L
1が有する配位可能な原子のうち1つ以上はリン原子である。すなわち、L
1は、Ag
+に配位可能な原子として、リン原子のみを3つ以上6つ以下有する分子であってもよいし、Ag
+に配位可能なリン原子を1つ以上と、Ag
+に配位可能なリン原子以外の原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子、並びにヒ素原子)及びAg
+に配位可能なイオン(酸素アニオン及び硫黄アニオン)から選ばれる1つ以上を、合計で3つ以上6つ以下有する分子であってもよい。
【0016】
前記L
1の好ましい態様の1つとしては、Ag
+に配位可能なリン原子を4つ以上6つ以下有する分子が挙げられる。L
1の別の好ましい態様の1つとしては、Ag
+に配位可能なリン原子を1つ以上と、Ag
+に配位可能な窒素原子、Ag
+に配位可能な酸素原子、Ag
+に配位可能な硫黄原子、Ag
+に配位可能なヒ素原子、Ag
+に配位可能な酸素アニオン及びAg
+に配位可能な硫黄アニオンから選ばれる1つ以上とを有し、Ag
+に配位可能な原子及びイオンの合計が3つ以上6つ以下である分子が挙げられる。上述の好ましい2つの例のうちでは、後者がより好ましい。
【0017】
前記L
1に含まれる、Ag
+に配位可能なリン原子の数は、1つ以上であり、好ましくは2つ以上である。L
1が有するAg
+に配位可能なリン原子の数が2つ以上である場合、酸素に対する膜の耐久性がより向上するので、該2つ以上のリン原子のいずれにもsp
3炭素原子が結合していないことが好ましい。
【0018】
L
1が有しうる、Ag
+に配位可能なリン原子、Ag
+に配位可能な窒素原子、Ag
+に配位可能な酸素原子、Ag
+に配位可能な硫黄原子、Ag
+に配位可能なヒ素原子、Ag
+に配位可能な酸素アニオン及びAg
+に配位可能な硫黄アニオンのうち、リン原子以外で好ましいものは酸素アニオン及び硫黄アニオンであり、L
1は酸素アニオン又は硫黄アニオンを1つ含有することが好ましい。
【0019】
L
1が有するAg
+に配位可能な原子及びイオンの総数は、3つ以上6つ以下であり、3つ又は4つであることが好ましい。なお、L
1が有するAg
+に配位可能な原子及びイオンの中には、同じ原子及びイオンが複数個含まれていてもよいし、相異なる原子及びイオンの組み合わせが含まれていてもよい。
【0020】
L
1はAg
+に配位していることが好ましく、単座配位子としてAg
+に配位しても、二座配位子としてAg
+に配位しても、三座以上の配位子としてAg
+に配位してもよいが、二座以上の配位子としてAg
+に配位していることがより好ましく、三座以上の配位子としてAg
+に配位していることが更に好ましい。
【0021】
L
1の炭素原子数は、通常12〜300であり、好ましくは22〜250、より好ましくは25〜200であり、更に好ましくは28〜150であり、特に好ましくは30〜125である。
【0022】
L
1の例としては、下記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子が挙げられ、錯体の成膜性が優れるので、より好ましくは、下記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)で表される分子であり、更に好ましくは、下記式(Ba)、(Bc)で表される分子であり、特に好ましくは、下記式(Bc)で表される分子である。
【0024】
式(Aa)中、Q
1Aaは、−P(R
11Aa)
2、−As(R
12Aa)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Aa)(R
14Aa)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Aa)
2、−As(=O)(R
16Aa)
2、−P(=S)(R
17Aa)
2、−As(=S)(R
18Aa)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Aa、又は、−C(=O)N(R
21Aa)
2である。R
11Aa、R
12Aa、R
13Aa、R
15Aa、R
16Aa、R
17Aa、R
18Aa及びR
21Aaはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Aa及びR
19Aaはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Aa、R
12Aa、R
13Aa、R
14Aa、R
15Aa、R
16Aa、R
17Aa、R
18Aa、R
19Aa及びR
21Aaはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0025】
Q
2Aaは、−P(R
22Aa)−、−As(R
23Aa)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Aa)−、−P(=O)(R
25Aa)−、−As(=O)(R
26Aa)−、−P(=S)(R
27Aa)−、又は、−As(=S)(R
28Aa)−である。R
22Aa、R
23Aa、R
25Aa、R
26Aa、R
27Aa及びR
28Aaはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Aaは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Aa、R
23Aa、R
24Aa、R
25Aa、R
26Aa、R
27Aa及びR
28Aaはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0026】
R
2Aaは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Aaが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Aaが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0027】
R
11Aa、R
12Aa、R
13Aa、R
14Aa、R
15Aa、R
16Aa、R
17Aa、R
18Aa、R
19Aa、R
21Aa、R
22Aa、R
23Aa、R
24Aa、R
25Aa、R
26Aa、R
27Aa、R
28Aa、R
2Aa及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0028】
式(Aa)で表される分子の各置換基の好ましい態様としては、
Q
1Aaが、−P(R
11Aa)
2、−As(R
12Aa)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、又は、−C(=O)O
-であり、
Q
2Aaが、−P(R
22Aa)−、−As(R
23Aa)−、又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基であり、
R
11Aa、R
12Aa、R
22Aa及びR
23Aaがそれぞれ独立に置換されていてもよいフェニル基であり、
式(Aa)で表される分子は、1つ以上の−P(R
11Aa)
2、又は、−P(R
22Aa)−を含む態様が挙げられ、中でも、R
2Aaは、直接結合あるいは置換されていてもよい後述する式r1〜r12のいずれかで表される基であることが好ましい。
【0029】
式(Ab)中、Q
1Abは、−P(R
11Ab)
2、−As(R
12Ab)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Ab)(R
14Ab)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Ab)
2、−As(=O)(R
16Ab)
2、−P(=S)(R
17Ab)
2、−As(=S)(R
18Ab)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Ab、又は、−C(=O)N(R
21Ab)
2である。R
11Ab、R
12Ab、R
13Ab、R
15Ab、R
16Ab、R
17Ab、R
18Ab及びR
21Abはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Ab及びR
19Abはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Ab、R
12Ab、R
13Ab、R
14Ab、R
15Ab、R
16Ab、R
17Ab、R
18Ab、R
19Ab及びR
21Abはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0030】
R
3Abは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0031】
R
11Ab、R
12Ab、R
13Ab、R
14Ab、R
15Ab、R
16Ab、R
17Ab、R
18Ab、R
19Ab、R
21Ab、R
3Ab及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0032】
式(Ba)中、Q
1Baは、−P(R
11Ba)
2、−As(R
12Ba)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Ba)(R
14Ba)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Ba)
2、−As(=O)(R
16Ba)
2、−P(=S)(R
17Ba)
2、−As(=S)(R
18Ba)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Ba、又は、−C(=O)N(R
21Ba)
2である。R
11Ba、R
12Ba、R
13Ba、R
15Ba、R
16Ba、R
17Ba、R
18Ba及びR
21Baはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Ba及びR
19Baはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Ba、R
12Ba、R
13Ba、R
14Ba、R
15Ba、R
16Ba、R
17Ba、R
18Ba、R
19Ba及びR
21Baはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0033】
Q
2Baは、−P(R
22Ba)−、−As(R
23Ba)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Ba)−、−P(=O)(R
25Ba)−、−As(=O)(R
26Ba)−、−P(=S)(R
27Ba)−、又は、−As(=S)(R
28Ba)−である。R
22Ba、R
23Ba、R
25Ba、R
26Ba、R
27Ba及びR
28Baはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Baは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Ba、R
23Ba、R
24Ba、R
25Ba、R
26Ba、R
27Ba及びR
28Baはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0034】
R
2Baは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Baが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Baが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0035】
R
11Ba、R
12Ba、R
13Ba、R
14Ba、R
15Ba、R
16Ba、R
17Ba、R
18Ba、R
19Ba、R
21Ba、R
22Ba、R
23Ba、R
24Ba、R
25Ba、R
26Ba、R
27Ba、R
28Ba、R
2Ba及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0036】
式(Ba)で表される分子の各置換基の好ましい態様としては、
Q
1Baが、−P(R
11Ba)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−O
-、−C(=O)O
-、又は、−S
-であり、
Q
2Baが、−P(R
22Ba)−又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基であり、
R
11Ba及びR
22Baがそれぞれ独立に置換されていてもよいフェニル基であり、R
2Baが直接結合であるか又は置換されていてもよい、後述する式r1〜r12のいずれかで表される基である、
態様が挙げられる。
【0037】
式(Bb)中、Q
1Bbは、−P(R
11Bb)
2、−As(R
12Bb)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Bb)(R
14Bb)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Bb)
2、−As(=O)(R
16Bb)
2、−P(=S)(R
17Bb)
2、−As(=S)(R
18Bb)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Bb、又は、−C(=O)N(R
21Bb)
2である。R
11Bb、R
12Bb、R
13Bb、R
15Bb、R
16Bb、R
17Bb、R
18Bb及びR
21Bbはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Bb及びR
19Bbはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Bb、R
12Bb、R
13Bb、R
14Bb、R
15Bb、R
16Bb、R
17Bb、R
18Bb、R
19Bb及びR
21Bbはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0038】
Q
2Bbは、−P(R
22Bb)−、−As(R
23Bb)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Bb)−、−P(=O)(R
25Bb)−、−As(=O)(R
26Bb)−、−P(=S)(R
27Bb)−、又は、−As(=S)(R
28Bb)−である。R
22Bb、R
23Bb、R
25Bb、R
26Bb、R
27Bb及びR
28Bbはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Bbは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Bb、R
23Bb、R
24Bb、R
25Bb、R
26Bb、R
27Bb及びR
28Bbはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0039】
R
2Bbは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Bbが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Bbが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0040】
R
3Bbは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0041】
R
11Bb、R
12Bb、R
13Bb、R
14Bb、R
15Bb、R
16Bb、R
17Bb、R
18Bb、R
19Bb、R
21Bb、R
22Bb、R
23Bb、R
24Bb、R
25Bb、R
26Bb、R
27Bb、R
28Bb、R
2Bb、R
3Bb及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0042】
式(Bc)中、Q
1Bcは、−P(R
11Bc)
2、−As(R
12Bc)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Bc)(R
14Bc)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Bc)
2、−As(=O)(R
16Bc)
2、−P(=S)(R
17Bc)
2、−As(=S)(R
18Bc)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Bc、又は、−C(=O)N(R
21Bc)
2である。R
11Bc、R
12Bc、R
13Bc、R
15Bc、R
16Bc、R
17Bc、R
18Bc及びR
21Bcはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Bc及びR
19Bはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Bc、R
12Bc、R
13Bc、R
14Bc、R
15Bc、R
16Bc、R
17Bc、R
18Bc、R
19Bc及びR
21Bcはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0043】
Q
3Bcは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0044】
R
2Bcは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Bcが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Bcが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0045】
R
11Bc、R
12Bc、R
13Bc、R
14Bc、R
15Bc、R
16Bc、R
17Bc、R
18Bc、R
19Bc、R
21Bc、R
2Bc及び窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ又は3つ除いた基から選ばれる2以上の基が任意に結合して環を形成してもよい。
【0046】
前記式(Bc)で表される分子の各置換基の好ましい態様としては、
Q
1Bcが、−P(R
11Bc)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−O
-、−C(=O)O
-、又は、−S
-であり、
Q
3Bcが、P又は置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基であり、
R
11Bcが置換されていてもよいフェニル基であり、
R
2Bcが直接結合であるか又は置換されていてもよい、後述する式r1〜r12のいずれかで表される基である、
態様が挙げられる。
【0047】
式(Bd)中、Q
1Bdは、−P(R
11Bd)
2、−As(R
12Bd)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Bd)(R
14Bd)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Bd)
2、−As(=O)(R
16Bd)
2、−P(=S)(R
17Bd)
2、−As(=S)(R
18Bd)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Bd、又は、−C(=O)N(R
21Bd)
2である。R
11Bd、R
12Bd、R
13Bd、R
15Bd、R
16Bd、R
17Bd、R
18Bd及びR
21Bdはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Bd及びR
19Bdはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Bd、R
12Bd、R
13Bd、R
14Bd、R
15Bd、R
16Bd、R
17Bd、R
18Bd、R
19Bd及びR
21Bdはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0048】
R
4Bdは炭素原子数70以下の4価の基である。
【0049】
R
11Bd、R
12Bd、R
13Bd、R
14Bd、R
15Bd、R
16Bd、R
17Bd、R
18Bd、R
19Bd、R
21Bd、R
4Bd及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0050】
式(Ca)中、Q
1Caは、−P(R
11Ca)
2、−As(R
12Ca)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Ca)(R
14Ca)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Ca)
2、−As(=O)(R
16Ca)
2、−P(=S)(R
17Ca)
2、−As(=S)(R
18Ca)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Ca、又は、−C(=O)N(R
21Ca)
2である。R
11Ca、R
12Ca、R
13Ca、R
15Ca、R
16Ca、R
17Ca、R
18Ca及びR
21Caはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Ca及びR
19Caはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Ca、R
12Ca、R
13Ca、R
14Ca、R
15Ca、R
16Ca、R
17Ca、R
18Ca、R
19Ca及びR
21Caはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0051】
Q
2Caは、−P(R
22Ca)−、−As(R
23Ca)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Ca)−、−P(=O)(R
25Ca)−、−As(=O)(R
26Ca)−、−P(=S)(R
27Ca)−、又は、−As(=S)(R
28Ca)−である。R
22Ca、R
23Ca、R
25Ca、R
26Ca、R
27Ca及びR
28Caはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Caは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Ca、R
23Ca、R
24Ca、R
25Ca、R
26Ca、R
27Ca及びR
28Caはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0052】
R
2Caは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Caが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Caが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0053】
R
11Ca、R
12Ca、R
13Ca、R
14Ca、R
15Ca、R
16Ca、R
17Ca、R
18Ca、R
19Ca、R
21Ca、R
22Ca、R
23Ca、R
24Ca、R
25Ca、R
26Ca、R
27Ca、R
28Ca、R
2Ca及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0054】
式(Cb)中、Q
1Cbは、−P(R
11Cb)
2、−As(R
12Cb)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Cb)(R
14Cb)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Cb)
2、−As(=O)(R
16Cb)
2、−P(=S)(R
17Cb)
2、−As(=S)(R
18Cb)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Cb、又は、−C(=O)N(R
21Cb)
2である。R
11Cb、R
12Cb、R
13Cb、R
15Cb、R
16Cb、R
17Cb、R
18Cb及びR
21Cbはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Cb及びR
19Cbはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Cb、R
12Cb、R
13Cb、R
14Cb、R
15Cb、R
16Cb、R
17Cb、R
18Cb、R
19Cb及びR
21Cbはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0055】
Q
2Cbは、−P(R
22Cb)−、−As(R
23Cb)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Cb)−、−P(=O)(R
25Cb)−、−As(=O)(R
26Cb)−、−P(=S)(R
27Cb)−、又は、−As(=S)(R
28Cb)−である。R
22Cb、R
23Cb、R
25Cb、R
26Cb、R
27Cb及びR
28Cbはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Cbは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Cb、R
23Cb、R
24Cb、R
25Cb、R
26Cb、R
27Cb及びR
28Cbはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0056】
R
2Cbは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Cbが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Cbが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0057】
R
3Cbは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0058】
R
11Cb、R
12Cb、R
13Cb、R
14Cb、R
15Cb、R
16Cb、R
17Cb、R
18Cb、R
19Cb、R
21Cb、R
22Cb、R
23Cb、R
24Cb、R
25Cb、R
26Cb、R
27Cb、R
28Cb、R
2Cb、R
3Cb及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0059】
式(Cc)中、Q
1Ccは、−P(R
11Cc)
2、−As(R
12Cc)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Cc)(R
14Cc)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Cc)
2、−As(=O)(R
16Cc)
2、−P(=S)(R
17Cc)
2、−As(=S)(R
18Cc)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Cc、又は、−C(=O)N(R
21Cc)
2である。R
11Cc、R
12Cc、R
13Cc、R
15Cc、R
16Cc、R
17Cc、R
18Cc及びR
21Ccはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Cc及びR
19Ccはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Cc、R
12Cc、R
13Cc、R
14Cc、R
15Cc、R
16Cc、R
17Cc、R
18Cc、R
19Cc及びR
21Ccはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0060】
Q
2Ccは、−P(R
22Cc)−、−As(R
23Cc)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Cc)−、−P(=O)(R
25Cc)−、−As(=O)(R
26Cc)−、−P(=S)(R
27Cc)−、又は、−As(=S)(R
28Cc)−である。R
22Cc、R
23Cc、R
25Cc、R
26Cc、R
27Cc及びR
28Ccはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Ccは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Cc、R
23Cc、R
24Cc、R
25Cc、R
26Cc、R
27Cc及びR
28Ccはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0061】
Q
3Ccは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0062】
R
2Ccは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Ccが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、結合したQ
2Ccが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Ccが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0063】
R
11Cc、R
12Cc、R
13Cc、R
14Cc、R
15Cc、R
16Cc、R
17Cc、R
18Cc、R
19Cc、R
21Cc、R
22Cc、R
23Cc、R
24Cc、R
25Cc、R
26Cc、R
27Cc、R
28Cc、R
2Cc及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1〜3つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0064】
式(Cd)中、Q
1Cdは、−P(R
11Cd)
2、−As(R
12Cd)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Cd)(R
14Cd)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Cd)
2、−As(=O)(R
16Cd)
2、−P(=S)(R
17Cd)
2、−As(=S)(R
18Cd)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Cd、又は、−C(=O)N(R
21Cd)
2である。R
11Cd、R
12Cd、R
13Cd、R
15Cd、R
16Cd、R
17Cd、R
18Cd及びR
21Cdはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Cd及びR
19Cdはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Cd、R
12Cd、R
13Cd、R
14Cd、R
15Cd、R
16Cd、R
17Cd、R
18Cd、R
19Cd及びR
21Cdはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0065】
Q
2Cdは、−P(R
22Cd)−、−As(R
23Cd)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Cd)−、−P(=O)(R
25Cd)−、−As(=O)(R
26Cd)−、−P(=S)(R
27Cd)−、又は、−As(=S)(R
28Cd)−である。R
22Cd、R
23Cd、R
25Cd、R
26Cd、R
27Cd及びR
28Cdはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Cdは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Cd、R
23Cd、R
24Cd、R
25Cd、R
26Cd、R
27Cd及びR
28Cdはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0066】
R
2Cdは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Cdが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Cdが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0067】
R
3Cdは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0068】
R
11Cd、R
12Cd、R
13Cd、R
14Cd、R
15Cd、R
16Cd、R
17Cd、R
18Cd、R
19Cd、R
21Cd、R
22Cd、R
23Cd、R
24Cd、R
25Cd、R
26Cd、R
27Cd、R
28Cd、R
2Cd、R
3Cd及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0069】
式(Ce)中、Q
1Ceは、−P(R
11Ce)
2、−As(R
12Ce)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Ce)(R
14Ce)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Ce)
2、−As(=O)(R
16Ce)
2、−P(=S)(R
17Ce)
2、−As(=S)(R
18Ce)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Ce、又は、−C(=O)N(R
21Ce)
2である。R
11Ce、R
12Ce、R
13Ce、R
15Ce、R
16Ce、R
17Ce、R
18Ce及びR
21Ceはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Ce及びR
19Ceはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Ce、R
12Ce、R
13Ce、R
14Ce、R
15Ce、R
16Ce、R
17Ce、R
18Ce、R
19Ce及びR
21Ceはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0070】
Q
2Ceは、−P(R
22Ce)−、−As(R
23Ce)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Ce)−、−P(=O)(R
25Ce)−、−As(=O)(R
26Ce)−、−P(=S)(R
27Ce)−、又は、−As(=S)(R
28Ce)−である。R
22Ce、R
23Ce、R
25Ce、R
26Ce、R
27Ce及びR
28Ceはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Ceは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Ce、R
23Ce、R
24Ce、R
25Ce、R
26Ce、R
27Ce及びR
28Ceはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0071】
R
2Ceは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Ceが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Ceが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0072】
R
4Ceは炭素原子数70以下の4価の基である。
【0073】
R
11Ce、R
12Ce、R
13Ce、R
14Ce、R
15Ce、R
16Ce、R
17Ce、R
18Ce、R
19Ce、R
21Ce、R
22Ce、R
23Ce、R
24Ce、R
25Ce、R
26Ce、R
27Ce、R
28Ce、R
2Ce、R
4Ce及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0074】
式(Cf)中、Q
1Cfは、−P(R
11Cf)
2、−As(R
12Cf)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Cf)(R
14Cf)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Cf)
2、−As(=O)(R
16Cf)
2、−P(=S)(R
17Cf)
2、−As(=S)(R
18Cf)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Cf、又は、−C(=O)N(R
21Cf)
2である。R
11Cf、R
12Cf、R
13Cf、R
15Cf、R
16Cf、R
17Cf、R
18Cf及びR
21Cfはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Cf及びR
19Cfはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Cf、R
12Cf、R
13Cf、R
14Cf、R
15Cf、R
16Cf、R
17Cf、R
18Cf、R
19Cf及びR
21Cfはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0075】
Q
3Cfは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0076】
R
2Cfは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Cfが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Cfが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0077】
R
3Cfは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0078】
R
11Cf、R
12Cf、R
13Cf、R
14Cf、R
15Cf、R
16Cf、R
17Cf、R
18Cf、R
19Cf、R
21Cf、R
2Cf、R
3Cf及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ又は3つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0079】
式(Cg)中、Q
1Cgは、−P(R
11Cg)
2、−As(R
12Cg)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Cg)(R
14Cg)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Cg)
2、−As(=O)(R
16Cg)
2、−P(=S)(R
17Cg)
2、−As(=S)(R
18Cg)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Cg、又は、−C(=O)N(R
21Cg)
2である。R
11Cg、R
12Cg、R
13Cg、R
15Cg、R
16Cg、R
17Cg、R
18Cg及びR
21Cgはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Cg及びR
19Cgはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Cg、R
12Cg、R
13Cg、R
14Cg、R
15Cg、R
16Cg、R
17Cg、R
18Cg、R
19Cg及びR
21Cgはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0080】
Q
2Cgは、−P(R
22Cg)−、−As(R
23Cg)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Cg)−、−P(=O)(R
25Cg)−、−As(=O)(R
26Cg)−、−P(=S)(R
27Cg)−、又は、−As(=S)(R
28Cg)−である。R
22Cg、R
23Cg、R
25Cg、R
26Cg、R
27Cg及びR
28Cgはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Cgは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Cg、R
23Cg、R
24Cg、R
25Cg、R
26Cg、R
27Cg及びR
28Cgはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0081】
R
3Cgは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0082】
R
11Cg、R
12Cg、R
13Cg、R
14Cg、R
15Cg、R
16Cg、R
17Cg、R
18Cg、R
19Cg、R
21Cg、R
22Cg、R
23Cg、R
24Cg、R
25Cg、R
26Cg、R
27Cg、R
28Cg、R
3Cg及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0083】
式(Ch)中、Q
1Chは、−P(R
11Ch)
2、−As(R
12Ch)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Ch)(R
14Ch)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Ch)
2、−As(=O)(R
16Ch)
2、−P(=S)(R
17Ch)
2、−As(=S)(R
18Ch)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Ch、又は、−C(=O)N(R
21Ch)
2である。R
11Ch、R
12Ch、R
13Ch、R
15Ch、R
16Ch、R
17Ch、R
18Ch及びR
21Chはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Ch及びR
19Chはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Ch、R
12Ch、R
13Ch、R
14Ch、R
15Ch、R
16Ch、R
17Ch、R
18Ch、R
19Ch及びR
21Chはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0084】
Q
4Chは、Ag
+に配位可能な、P、窒素原子含有複素環式化合物中のN、O
-、又は、S
-のうちいずれか1つを含む炭素原子数70以下の4価の基である。
【0085】
R
2Chは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Chが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0086】
R
11Ch、R
12Ch、R
13Ch、R
14Ch、R
15Ch、R
16Ch、R
17Ch、R
18Ch、R
19Ch、R
21Ch、R
2Ch、Q
4Ch及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0087】
式(Ci)中、Q
1Ciは、−P(R
11Ci)
2、−As(R
12Ci)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Ci)(R
14Ci)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Ci)
2、−As(=O)(R
16Ci)
2、−P(=S)(R
17Ci)
2、−As(=S)(R
18Ci)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Ci、又は、−C(=O)N(R
21Ci)
2である。R
11Ci、R
12Ci、R
13Ci、R
15Ci、R
16Ci、R
17Ci、R
18Ci及びR
21Ciはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Ci及びR
19Ciは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Ci、R
12Ci、R
13Ci、R
14Ci、R
15Ci、R
16Ci、R
17Ci、R
18Ci、R
19Ci及びR
21Ciはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0088】
R
5Ciは炭素原子数100以下の5価の基である。
【0089】
R
11Ci、R
12Ci、R
13Ci、R
14Ci、R
15Ci、R
16Ci、R
17Ci、R
18Ci、R
19Ci、R
21Ci、R
5Ci及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0091】
式(Da)中、Q
1Daは、−P(R
11Da)
2、−As(R
12Da)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Da)(R
14Da)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Da)
2、−As(=O)(R
16Da)
2、−P(=S)(R
17Da)
2、−As(=S)(R
18Da)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Da、又は、−C(=O)N(R
21Da)
2である。R
11Da、R
12Da、R
13Da、R
15Da、R
16Da、R
17Da、R
18Da及びR
21Daはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Da及びR
19Daはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Da、R
12Da、R
13Da、R
14Da、R
15Da、R
16Da、R
17Da、R
18Da、R
20Da及びR
21Daはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0092】
Q
2Daは、−P(R
22Da)−、−As(R
23Da)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Da)−、−P(=O)(R
25Da)−、−As(=O)(R
26Da)−、−P(=S)(R
27Da)−、又は、−As(=S)(R
28Da)−である。R
22Da、R
23Da、R
25Da、R
26Da、R
27Da及びR
28Daはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Daは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Da、R
23Da、R
24Da、R
25Da、R
26Da、R
27Da及びR
28Daはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0093】
R
2Daは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Daが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Daが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0094】
R
11Da、R
12Da、R
13Da、R
14Da、R
15Da、R
16Da、R
17Da、R
18Da、R
19Da、R
21Da、R
22Da、R
23Da、R
24Da、R
25Da、R
26Da、R
27Da、R
28Da、R
2Da及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0095】
式(Db)中、Q
1Dbは、−P(R
11Db)
2、−As(R
12Db)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Db)(R
14Db)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Db)
2、−As(=O)(R
16Db)
2、−P(=S)(R
17Db)
2、−As(=S)(R
18Db)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Db、又は、−C(=O)N(R
21Db)
2である。R
11Db、R
12Db、R
13Db、R
15Db、R
16Db、R
17Db、R
18Db及びR
21Dbはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Db及びR
19Dbはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Db、R
12Db、R
13Db、R
14Db、R
15Db、R
16Db、R
17Db、R
18Db、R
19Db及びR
21Dbはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0096】
Q
2Dbは、−P(R
22Db)−、−As(R
23Db)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Db)−、−P(=O)(R
25Db)−、−As(=O)(R
26Db)−、−P(=S)(R
27Db)−、又は、−As(=S)(R
28Db)−である。R
22Db、R
23Db、R
25Db、R
26Db、R
27Db及びR
28Dbはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Dbは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Db、R
23Db、R
24Db、R
25Db、R
26Db、R
27Db及びR
28Dbはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0097】
R
2Dbは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dbが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Dbが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0098】
R
3Dbは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0099】
R
11Db、R
12Db、R
13Db、R
14Db、R
15Db、R
16Db、R
17Db、R
18Db、R
19Db、R
21Db、R
22Db、R
23Db、R
24Db、R
25Db、R
26Db、R
27Db、R
28Db、R
2Db、R
3Db及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0100】
式(Dc)中、Q
1Dcは、−P(R
11Dc)
2、−As(R
12Dc)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dc)(R
14Dc)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dc)
2、−As(=O)(R
16Dc)
2、−P(=S)(R
17Dc)
2、−As(=S)(R
18Dc)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dc、又は、−C(=O)N(R
21Dc)
2である。R
11Dc、R
12Dc、R
13Dc、R
15Dc、R
16Dc、R
17Dc、R
18Dc及びR
21Dcはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dc及びR
19Dcはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dc、R
12Dc、R
13Dc、R
14Dc、R
15Dc、R
16Dc、R
17Dc、R
18Dc、R
19Dc及びR
21Dcはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0101】
Q
2Dcは、−P(R
22Dc)−、−As(R
23Dc)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Dc)−、−P(=O)(R
25Dc)−、−As(=O)(R
26Dc)−、−P(=S)(R
27Dc)−、又は、−As(=S)(R
28Dc)−である。R
22Dc、R
23Dc、R
25Dc、R
26Dc、R
27Dc及びR
28Dcはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Dcは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Dc、R
23Dc、R
24Dc、R
25Dc、R
26Dc、R
27Dc及びR
28Dcはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0102】
Q
3Dcは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0103】
R
2Dcは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dcが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、結合したQ
2Dcが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Dcが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0104】
R
11Dc、R
12Dc、R
13Dc、R
14Dc、R
15Dc、R
16Dc、R
17Dc、R
18Dc、R
19Dc、R
21Dc、R
22Dc、R
23Dc、R
24Dc、R
25Dc、R
26Dc、R
27Dc、R
28Dc、R
2Dc及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0105】
式(Dd)中、Q
1Ddは、−P(R
11Dd)
2、−As(R
12Dd)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dd)(R
14Dd)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dd)
2、−As(=O)(R
16Dd)
2、−P(=S)(R
17Dd)
2、−As(=S)(R
18Dd)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dd、又は、−C(=O)N(R
21Dd)
2である。R
11Dd、R
12Dd、R
13Dd、R
15Dd、R
16Dd、R
17Dd、R
18Dd及びR
21Ddはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dd及びR
19Ddはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dd、R
12Dd、R
13Dd、R
14Dd、R
15Dd、R
16Dd、R
17Dd、R
18Dd、R
19Dd及びR
21Ddはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0106】
Q
2Ddは、−P(R
22Dd)−、−As(R
23Dd)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Dd)−、−P(=O)(R
25Dd)−、−As(=O)(R
26Dd)−、−P(=S)(R
27Dd)−、又は、−As(=S)(R
28Dd)−である。R
22Dd、R
23Dd、R
25Dd、R
26Dd、R
27Dd及びR
28Ddはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Ddは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Dd、R
23Dd、R
24Dd、R
25Dd、R
26Dd、R
27Dd及びR
28Ddはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0107】
R
2Ddは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Ddが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Ddが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0108】
R
4Ddは炭素原子数70以下の4価の基である。
【0109】
R
11Dd、R
12Dd、R
13Dd、R
14Dd、R
15Dd、R
16Dd、R
17Dd、R
18Dd、R
19Dd、R
21Dd、R
22Dd、R
23Dd、R
24Dd、R
25Dd、R
26Dd、R
27Dd、R
28Dd、R
2Dd、R
4Dd及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0110】
式(De)中、Q
1Deは、−P(R
11De)
2、−As(R
12De)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13De)(R
14De)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15De)
2、−As(=O)(R
16De)
2、−P(=S)(R
17De)
2、−As(=S)(R
18De)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19De、又は、−C(=O)N(R
21De)
2である。R
11De、R
12De、R
13De、R
15De、R
16De、R
17De、R
18De及びR
21Deはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14De及びR
19Deはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11De及びR
12De、R
13De、R
14De、R
15De、R
16De、R
17De、R
18De、R
19De及びR
21Deはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0111】
Q
2Deは、−P(R
22De)−、−As(R
23De)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24De)−、−P(=O)(R
25De)−、−As(=O)(R
26De)−、−P(=S)(R
27De)−、又は、−As(=S)(R
28De)−である。R
22De、R
23De、R
25De、R
26De、R
27De及びR
28Deはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Deは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22De、R
23De、R
24De、R
25De、R
26De、R
27De及びR
28Deはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0112】
R
2Deは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Deが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Deが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0113】
R
3Deは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0114】
R
11De、R
12De、R
13De、R
14De、R
15De、R
16De、R
17De、R
18De、R
19De、R
21De、R
22De、R
23De、R
24De、R
25De、R
26De、R
27De、R
28De、R
2De、R
3De及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0115】
式(Df)中、Q
1Dfは、−P(R
11Df)
2、−As(R
12Df)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Df)(R
14Df)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Df)
2、−As(=O)(R
16Df)
2、−P(=S)(R
17Df)
2、−As(=S)(R
18Df)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Df、又は、−C(=O)N(R
21Df)
2である。R
11Df、R
12Df、R
13Df、R
15Df、R
16Df、R
17Df、R
18Df及びR
21Dfはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Df及びR
19Dfはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Df、R
12Df、R
13Df、R
14Df、R
15Df、R
16Df、R
17Df、R
18Df、R
19Df及びR
21Dfはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0116】
Q
2Dfは、−P(R
22Df)−、−As(R
23Df)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Df)−、−P(=O)(R
25Df)−、−As(=O)(R
26Df)−、−P(=S)(R
27Df)−、又は、−As(=S)(R
28Df)−である。R
22Df、R
23Df、R
25Df、R
26Df、R
27Df及びR
28Dfはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Dfは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Df、R
23Df、R
24Df、R
25Df、R
26Df、R
27Df及びR
28Dfはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0117】
Q
3Dfは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0118】
R
2Dfは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dfが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、結合したQ
2Dfが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Dfが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0119】
R
11Df、R
12Df、R
13Df、R
14Df、R
15Df、R
16Df、R
17Df、R
18Df、R
19Df、R
21Df、R
22Df、R
23Df、R
24Df、R
25Df、R
26Df、R
27Df、R
28Df、R
2Df及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0120】
式(Dg)中、Q
1Dgは、−P(R
11Dg)
2、−As(R
12Dg)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dg)(R
14Dg)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dg)
2、−As(=O)(R
16Dg)
2、−P(=S)(R
17Dg)
2、−As(=S)(R
18Dg)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dg、又は、−C(=O)N(R
21Dg)
2である。R
11Dg、R
12Dg、R
13Dg、R
15Dg、R
16Dg、R
17Dg、R
18Dg及びR
21Dgはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dg及びR
19Dgは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dg、R
12Dg、R
13Dg、R
14Dg、R
15Dg、R
16Dg、R
17Dg、R
18Dg、R
19Dg及びR
21Dgはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0121】
Q
2Dgは、−P(R
22Dg)−、−As(R
23Dg)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Dg)−、−P(=O)(R
25Dg)−、−As(=O)(R
26Dg)−、−P(=S)(R
27Dg)−、又は、−As(=S)(R
28Dg)−である。R
22Dg、R
23Dg、R
25Dg、R
26Dg、R
27Dg及びR
28Dgはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Dgは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Dg、R
23Dg、R
24Dg、R
25Dg、R
26Dg、R
27Dg及びR
28Dgはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0122】
Q
3Dgは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0123】
R
2Dgは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dgが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、結合したQ
2Dgが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Dgが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0124】
R
3Dgは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0125】
R
11Dg、R
12Dg、R
13Dg、R
14Dg、R
15Dg、R
16Dg、R
17Dg、R
18Dg、R
19Dg、R
21Dg、R
22Dg、R
23Dg、R
24Dg、R
25Dg、R
26Dg、R
27Dg、R
28Dg、R
2Dg、R
3Dg及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0126】
式(Dh)中、Q
1Dhは、−P(R
11Dh)
2、−As(R
12Dh)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dh)(R
14Dh)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dh)
2、−As(=O)(R
16Dh)
2、−P(=S)(R
17Dh)
2、−As(=S)(R
18Dh)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dh、又は、−C(=O)N(R
21Dh)
2である。R
11Dh、R
12Dh、R
13Dh、R
15Dh、R
16Dh、R
17Dh、R
18Dh及びR
21Dhはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dh及びR
19Dhはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dh、R
12Dh、R
13Dh、R
14Dh、R
15Dh、R
16Dh、R
17Dh、R
18Dh、R
19Dh及びR
21Dhはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0127】
Q
2Dhは、−P(R
22Dh)−、−As(R
23Dh)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Dh)−、−P(=O)(R
25Dh)−、−As(=O)(R
26Dh)−、−P(=S)(R
27Dh)−、又は、−As(=S)(R
28Dh)−である。R
22Dh、R
23Dh、R
25Dh、R
26Dh、R
27Dh及びR
28Dhはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Dhは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Dh、R
23Dh、R
24Dh、R
25Dh、R
26Dh、R
27Dh及びR
28Dhはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0128】
Q
3Dhは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0129】
R
2Dhは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dhが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、結合したQ
2Dhが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Dhが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0130】
R
3Dhは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0131】
R
11Dh、R
12Dh、R
13Dh、R
14Dh、R
15Dh、R
16Dh、R
17Dh、R
18Dh、R
19Dh、R
21Dh、R
22Dh、R
23Dh、R
24Dh、R
25Dh、R
26Dh、R
27Dh、R
28Dh、R
2Dh、R
3Dh及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1〜3つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0132】
式(Di)中、Q
1Diは、−P(R
11Di)
2、−As(R
12Di)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Di)(R
14Di)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Di)
2、−As(=O)(R
16Di)
2、−P(=S)(R
17Di)
2、−As(=S)(R
18Di)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Di、又は、−C(=O)N(R
21Di)
2である。R
11Di、R
12Di、R
13Di、R
15Di、R
16Di、R
17Di、R
18Di及びR
21Diはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Di及びR
19Diはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Di、R
12Di、R
13Di、R
14Di、R
15Di、R
16Di、R
17Di、R
18Di、R
19Di及びR
21Diはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0133】
Q
2Diは、−P(R
22Di)−、−As(R
23Di)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Di)−、−P(=O)(R
25Di)−、−As(=O)(R
26Di)−、−P(=S)(R
27Di)−、又は、−As(=S)(R
28Di)−である。R
22Di、R
23Di、R
25Di、R
26Di、R
27Di及びR
28Diはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Diは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Di、R
23Di、R
24Di、R
25Di、R
26Di、R
27Di及びR
28Diはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0134】
R
2Diは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Diが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Diが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0135】
R
4Diは炭素原子数70以下の4価の基である。
【0136】
R
11Di、R
12Di、R
13Di、R
14Di、R
15Di、R
16Di、R
17Di、R
18Di、R
19Di、R
21Di、R
22Di、R
23Di、R
24Di、R
25Di、R
26Di、R
27Di、R
28Di、R
2Di、R
4Di及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0137】
式(Dj)中、Q
1Djは、−P(R
11Dj)
2、−As(R
12Dj)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dj)(R
14Dj)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dj)
2、−As(=O)(R
16Dj)
2、−P(=S)(R
17Dj)
2、−As(=S)(R
18Dj)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dj、又は、−C(=O)N(R
21Dj)
2である。R
11Dj、R
12Dj、R
13Dj、R
15Dj、R
16Dj、R
17Dj、R
18Dj及びR
21Djはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dj及びR
19Djはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dj、R
12Dj、R
13Dj、R
14Dj、R
15Dj、R
16Dj、R
17Dj、R
18Dj、R
19Dj及びR
21Djはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0138】
Q
2Djは、−P(R
22Dj)−、−As(R
23Dj)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Dj)−、−P(=O)(R
25Dj)−、−As(=O)(R
26Dj)−、−P(=S)(R
27Dj)−、又は、−As(=S)(R
28Dj)−である。R
22Dj、R
23Dj、R
25Dj、R
26Dj、R
27Dj及びR
28Djはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Djは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Dj、R
23Dj、R
24Dj、R
25Dj、R
26Dj、R
27Dj及びR
28Djはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0139】
R
2Djは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Djが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Djが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0140】
R
3Djは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0141】
R
11Dj、R
12Dj、R
13Dj、R
14Dj、R
15Dj、R
16Dj、R
17Dj、R
18Dj、R
19Dj、R
21Dj、R
22Dj、R
23Dj、R
24Dj、R
25Dj、R
26Dj、R
27Dj、R
28Dj、R
2Dj、R
3Dj及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0142】
式(Dk)中、Q
1Dkは、−P(R
11Dk)
2、−As(R
12Dk)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dk)(R
14Dk)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dk)
2、−As(=O)(R
16Dk)
2、−P(=S)(R
17Dk)
2、−As(=S)(R
18Dk)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dk、又は、−C(=O)N(R
21Dk)
2である。R
11Dk、R
12Dk、R
13Dk、R
15Dk、R
16Dk、R
17Dk、R
18Dk及びR
21Dkはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dk及びR
19Dkはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dk、R
12Dk、R
13Dk、R
14Dk、R
15Dk、R
16Dk、R
17Dk、R
18Dk、R
19Dk及びR
21Dkはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0143】
Q
3Dkは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0144】
R
2Dkは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dkが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Dkが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0145】
R
11Dk、R
12Dk、R
13Dk、R
14Dk、R
15Dk、R
16Dk、R
17Dk、R
18Dk、R
19Dk、R
21Dk、R
2Dk及び窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ又は3つ除いた基から選ばれる2以上の基が任意に結合して環を形成してもよい。
【0146】
式(Dl)中、Q
1Dlは、−P(R
11Dl)
2、−As(R
12Dl)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dl)(R
14Dl)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dl)
2、−As(=O)(R
16Dl)
2、−P(=S)(R
17Dl)
2、−As(=S)(R
18Dl)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dl、又は、−C(=O)N(R
21Dl)
2である。R
11Dl、R
12Dl、R
13Dl、R
15Dl、R
16Dl、R
17Dl、R
18Dl及びR
21Dlはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dl及びR
19Dlはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dl、R
12Dl、R
13Dl、R
14Dl、R
15Dl、R
16Dl、R
17Dl、R
18Dl、R
19Dl及びR
21Dlはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0147】
Q
2Dlは、−P(R
22Dl)−、−As(R
23Dl)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Dl)−、−P(=O)(R
25Dl)−、−As(=O)(R
26Dl)−、−P(=S)(R
27Dl)−、又は、−As(=S)(R
28Dl)−である。R
22Dl、R
23Dl、R
25Dl、R
26Dl、R
27Dl及びR
28Dlはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Dlは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Dl、R
23Dl、R
24Dl、R
25Dl、R
26Dl、R
27Dl及びR
28Dlはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0148】
Q
3Dlは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0149】
R
2Dlは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dlが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、結合したQ
2Dlが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Dlが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0150】
R
3Dlは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0151】
R
11Dl、R
12Dl、R
13Dl、R
14Dl、R
15Dl、R
16Dl、R
17Dl、R
18Dl、R
19Dl、R
21Dl、R
22Dl、R
23Dl、R
24Dl、R
25Dl、R
26Dl、R
27Dl、R
28Dl、R
2Dl、R
3Dl及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0152】
式(Dm)中、Q
1Dmは、−P(R
11Dm)
2、−As(R
12Dm)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dm)(R
14Dm)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dm)
2、−As(=O)(R
16Dm)
2、−P(=S)(R
17Dm)
2、−As(=S)(R
18Dm)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dm、又は、−C(=O)N(R
21Dm)
2である。R
11Dm、R
12Dm、R
13Dm、R
15Dm、R
16Dm、R
17Dm、R
18Dm及びR
21Dmはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dm及びR
19Dmはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dm、R
12Dm、R
13Dm、R
14Dm、R
15Dm、R
16Dm、R
17Dm、R
18Dm、R
19Dm及びR
21Dmはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0153】
Q
2Dmは、−P(R
22Dm)−、−As(R
23Dm)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Dm)−、−P(=O)(R
25Dm)−、−As(=O)(R
26Dm)−、−P(=S)(R
27Dm)−、又は、−As(=S)(R
28Dm)−である。R
22Dm、R
23Dm、R
25Dm、R
26Dm、R
27Dm及びR
28Dmはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Dmは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Dm、R
23Dm、R
24Dm、R
25Dm、R
26Dm、R
27Dm及びR
28Dmはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0154】
Q
4Dmは、Ag
+に配位可能な、P、窒素原子含有複素環式化合物中のN、O
-、又は、S
-のうちいずれか1つを含む炭素原子数70以下の4価の基である。
【0155】
R
2Dmは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dmが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Dmが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0156】
R
11Dm、R
12Dm、R
13Dm、R
14Dm、R
15Dm、R
16Dm、R
17Dm、R
18Dm、R
19Dm、R
21Dm、R
22Dm、R
23Dm、R
24Dm、R
25Dm、R
26Dm、R
27Dm、R
28Dm、R
2Dm、Q
4Dm及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0157】
式(Dn)中、Q
1Dnは、−P(R
11Dn)
2、−As(R
12Dn)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dn)(R
14Dn)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dn)
2、−As(=O)(R
16Dn)
2、−P(=S)(R
17Dn)
2、−As(=S)(R
18Dn)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dn、又は、−C(=O)N(R
21Dn)
2である。R
11Dn、R
12Dn、R
13Dn、R
15Dn、R
16Dn、R
17Dn、R
18Dn及びR
21Dnはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dn及びR
19Dnはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dn、R
12Dn、R
13Dn、R
14Dn、R
15Dn、R
16Dn、R
17Dn、R
18Dn、R
19Dn及びR
21Dnはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0158】
Q
3Dnは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0159】
R
2Dnは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dnが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Dnが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0160】
R
3Dnは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0161】
R
11Dn、R
12Dn、R
13Dn、R
14Dn、R
15Dn、R
16Dn、R
17Dn、R
18Dn、R
19Dn、R
21Dn、R
2Dn、R
3Dn及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ又は3つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0162】
式(Do)中、Q
1Doは、−P(R
11Do)
2、−As(R
12Do)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Do)(R
14Do)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Do)
2、−As(=O)(R
16Do)
2、−P(=S)(R
17Do)
2、−As(=S)(R
18Do)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Do、又は、−C(=O)N(R
21Do)
2である。R
11Do、R
12Do、R
13Do、R
15Do、R
16Do、R
17Do、R
18Do及びR
21Doはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Do及びR
19Doはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Do、R
12Do、R
13Do、R
14Do、R
15Do、R
16Do、R
17Do、R
18Do、R
19Do及びR
21Doはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0163】
Q
3Doは、P、As、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基、N、P(=O)、As(=O)、P(=S)、又は、As(=S)である。
【0164】
R
2Doは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Doが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
3Doが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0165】
R
4Doは炭素原子数70以下の4価の基である。
【0166】
R
11Do、R
12Do、R
13Do、R
14Do、R
15Do、R
16Do、R
17Do、R
18Do、R
19Do、R
21Do、R
2Do、R
4Do及び窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ又は3つ除いた基から選ばれる2以上の基が任意に結合して環を形成してもよい。
【0167】
式(Dp)中、Q
1Dpは、−P(R
11Dp)
2、−As(R
12Dp)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dp)(R
14Dp)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dp)
2、−As(=O)(R
16Dp)
2、−P(=S)(R
17Dp)
2、−As(=S)(R
18Dp)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dp、又は、−C(=O)N(R
21Dp)
2である。R
11Dp、R
12Dp、R
13Dp、R
15Dp、R
16Dp、R
17Dp、R
18Dp及びR
21Dpはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dp及びR
19Dpはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dp、R
12Dp、R
13Dp、R
14Dp、R
15Dp、R
16Dp、R
17Dp、R
18Dp、R
19Dp及びR
21Dpはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0168】
Q
2Dpは、−P(R
22Dp)−、−As(R
23Dp)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Dp)−、−P(=O)(R
25Dp)−、−As(=O)(R
26Dp)−、−P(=S)(R
27Dp)−、又は、−As(=S)(R
28Dp)−である。R
22Dp、R
23Dp、R
25Dp、R
26Dp、R
27Dp及びR
28Dpはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Dpは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Dp、R
23Dp、R
24Dp、R
25Dp、R
26Dp、R
27Dp及びR
28Dpはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0169】
R
3Dpは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0170】
R
4Dpは炭素原子数70以下の4価の基である。
【0171】
R
11Dp、R
12Dp、R
13Dp、R
14Dp、R
15Dp、R
16Dp、R
17Dp、R
18Dp、R
19Dp、R
21Dp、R
22Dp、R
23Dp、R
24Dp、R
25Dp、R
26Dp、R
27Dp、R
28Dp、R
3Dp、R
4Dp及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0172】
式(Dq)中、Q
1Dqは、−P(R
11Dq)
2、−As(R
12Dq)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dq)(R
14Dq)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dq)
2、−As(=O)(R
16Dq)
2、−P(=S)(R
17Dq)
2、−As(=S)(R
18Dq)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dq、又は、−C(=O)N(R
21Dq)
2である。R
11Dq、R
12Dq、R
13Dq、R
15Dq、R
16Dq、R
17Dq、R
18Dq及びR
21Dqはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dq及びR
19Dqはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dq、R
12Dq、R
13Dq、R
14Dq、R
15Dq、R
16Dq、R
17Dq、R
18Dq、R
19Dq及びR
21Dqはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0173】
Q
4Dqは、Ag
+に配位可能な、P、窒素原子含有複素環式化合物中のN、O
-、又は、S
-のうちいずれか1つを含む炭素原子数70以下の4価の基である。
【0174】
R
2Dqは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dqが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0175】
R
3Dqは炭素原子数50以下の3価の基である。
【0176】
R
11Dq、R
12Dq、R
13Dq、R
14Dq、R
15Dq、R
16Dq、R
17Dq、R
18Dq、R
19Dq、R
21Dq、R
2Dq、R
2Dq、R
3Dq、Q
4Dq及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0177】
式(Dr)中、Q
1Drは、−P(R
11Dr)
2、−As(R
12Dr)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dr)(R
14Dr)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dr)
2、−As(=O)(R
16Dr)
2、−P(=S)(R
17Dr)
2、−As(=S)(R
18Dr)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dr、又は、−C(=O)N(R
21Dr)
2である。R
11Dr、R
12Dr、R
13Dr、R
15Dr、R
16Dr、R
17Dr、R
18Dr及びR
21Drはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dr及びR
19Drはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dr、R
12Dr、R
13Dr、R
14Dr、R
15Dr、R
16Dr、R
17Dr、R
18Dr、R
19Dr及びR
21Drはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0178】
Q
5Drは、Ag
+に配位可能な、P、窒素原子含有複素環式化合物中のN、O
-、又は、S
-のうちいずれか1つを含む炭素原子数100以下の5価の基である。
【0179】
R
2Drは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Drが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0180】
R
11Dr、R
12Dr、R
13Dr、R
14Dr、R
15Dr、R
16Dr、R
17Dr、R
18Dr、R
19Dr、R
21Dr、R
2Dr、Q
5Dr及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0181】
式(Ds)中、Q
1Dsは、−P(R
11Ds)
2、−As(R
12Ds)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Ds)(R
14Ds)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Ds)
2、−As(=O)(R
16Ds)
2、−P(=S)(R
17Ds)
2、−As(=S)(R
18Ds)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Ds、又は、−C(=O)N(R
21Ds)
2である。R
11Ds、R
12Ds、R
13Ds、R
15Ds、R
16Ds、R
17Ds、R
18Ds及びR
21Dsはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Ds及びR
19Dsはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Ds、R
12Ds、R
13Ds、R
14Ds、R
15Ds、R
16Ds、R
17Ds、R
18Ds、R
19Ds及びR
21Dsはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0182】
Q
2Dsは、−P(R
22Ds)−、−As(R
23Ds)−、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基、−N(R
24Ds)−、−P(=O)(R
25Ds)−、−As(=O)(R
26Ds)−、−P(=S)(R
27Ds)−、又は、−As(=S)(R
28Ds)−である。R
22Ds、R
23Ds、R
25Ds、R
26Ds、R
27Ds及びR
28Dsはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
24Dsは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
22Ds、R
23Ds、R
24Ds、R
25Ds、R
26Ds、R
27Ds及びR
28Dsはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0183】
R
2Dsは炭素原子数50以下の2価の基であり、但し、結合したQ
1Dsが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合、又は、結合したQ
2Dsが窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基である場合は、直接結合でもよい。
【0184】
R
5Dsは炭素原子数100以下の5価の基である。
【0185】
R
11Ds、R
12Ds、R
13Ds、R
14Ds、R
15Ds、R
16Ds、R
17Ds、R
18Ds、R
19Ds、R
21Ds、R
22Ds、R
23Ds、R
24Ds、R
25Ds、R
26Ds、R
27Ds、R
28Ds、R
2Ds、R
5Ds及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜2つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0186】
式(Dt)中、Q
1Dtは、−P(R
11Dt)
2、−As(R
12Dt)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−N(R
13Dt)(R
14Dt)、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、−C(=O)O
-、−P(=O)(R
15Dt)
2、−As(=O)(R
16Dt)
2、−P(=S)(R
17Dt)
2、−As(=S)(R
18Dt)
2、−CN、−OH、−SH、−C(=O)OH、−S(=O)
2OH、−SR
19Dt、又は、−C(=O)N(R
21Dt)
2である。R
11Dt、R
12Dt、R
13Dt、R
15Dt、R
16Dt、R
17Dt、R
18Dt及びR
21Dtはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
14Dt及びR
19Dtはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、R
11Dt、R
12Dt、R
13Dt、R
14Dt、R
15Dt、R
16Dt、R
17Dt、R
18Dt、R
19Dt及びR
21Dtはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0187】
R
6Dtは炭素原子数150以下の6価の基である。
【0188】
R
11Dt、R
12Dt、R
13Dt、R
14Dt、R
15Dt、R
16Dt、R
17Dt、R
18Dt、R
19Dt、R
21Dt、R
6Dt及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基から選ばれる基は、任意に結合して環を形成してもよい。
【0189】
上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子は、Ag
+に配位可能なリン原子を2つ以上含有することが好ましい。酸素に対する膜の耐久性が向上するので、該リン原子はsp
3炭素原子が結合していないことが好ましい。
【0190】
上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子のそれぞれについて以下説明する。
上記式(Aa)及び(Ab)で表される分子の構造は、
リン原子を3つ有する構造、
リン原子を2つと窒素原子を1つ有する構造、
リン原子を2つと酸素アニオンを1つ有する構造、
リン原子を2つと硫黄アニオンを1つ有する構造、又は、
リン原子を2つとヒ素原子を1つ有する構造
が好ましく、
リン原子を2つと窒素原子を1つ有する構造、又は、
リン原子を2つと酸素アニオンを1つ有する構造
がより好ましい。
【0191】
上記式(Ba)〜(Bd)で表される分子の構造は、
リン原子を4つ有する構造、
リン原子を3つと窒素原子を1つ有する構造、
リン原子を3つと酸素アニオンを1つ有する構造、
リン原子を3つと硫黄アニオンを1つ有する構造、
リン原子を3つとヒ素原子を1つ有する構造、
リン原子を2つと窒素原子を2つ有する構造、又は、
リン原子を2つとヒ素原子を2つ有する構造
が好ましく、
リン原子を4つ有する構造、
リン原子を3つと窒素原子を1つ有する構造、
リン原子を3つと酸素アニオンを1つ有する構造、
リン原子を3つと硫黄アニオンを1つ有する構造、又は、
リン原子を2つと窒素原子を2つ有する構造
がより好ましく、
リン原子を4つ有する構造、
リン原子を3つと酸素アニオンを1つ有する構造、又は、
リン原子を2つと窒素原子を2つ有する構造
が更に好ましく、
リン原子を3つと酸素アニオンを1つ有する構造、又は、
リン原子を2つと窒素原子を2つ有する構造
が特に好ましい。
【0192】
上記式(Ca)〜(Ci)で表される分子の構造は、
リン原子を5つ有する構造、
リン原子を4つと窒素原子を1つ有する構造、
リン原子を4つと酸素アニオンを1つ有する構造、
リン原子を4つと硫黄アニオンを1つ有する構造、
リン原子を4つとヒ素原子を1つ有する構造、
リン原子を3つと窒素原子を2つ有する構造、
リン原子を3つと酸素原子を2つ有する構造、
リン原子を3つと硫黄アニオンを2つ有する構造、
リン原子を3つとヒ素原子を2つ有する構造、
リン原子を2つと窒素原子を3つ有する構造、又は、
リン原子を2つとヒ素原子を3つ有する構造
が好ましく、
リン原子を5つ有する構造、
リン原子を4つと窒素原子を1つ有する構造、
リン原子を4つと酸素アニオンを1つ有する構造、
リン原子を4つと硫黄アニオンを1つ有する構造、
リン原子を3つと窒素アニオンを2つ有する構造、又は、
リン原子を2つと窒素原子を3つ有する構造
がより好ましく、
リン原子を5つ有する構造、
リン原子を4つと酸素アニオンを1つ有する構造、
リン原子を4つと硫黄アニオンを1つ有する構造、
リン原子を3つと窒素原子を2つ有する構造、又は、
リン原子を2つと窒素原子を3つ有する構造
が更に好ましく、
リン原子を5つ有する構造、
リン原子を4つと酸素アニオンを1つ有する構造、
リン原子を3つと窒素原子を2つ有する構造、又は、
リン原子を2つと窒素原子を3つ有する構造
が特に好ましく、
リン原子を5つ有する構造、又は、
リン原子を4つと酸素アニオンを1つ有する構造
がとりわけ好ましい。
【0193】
上記式(Da)〜(Dt)で表される分子の構造は、
リン原子を6つ有する構造、
リン原子を5つと窒素原子を1つ有する構造、
リン原子を5つと酸素アニオンを1つ有する構造、
リン原子を5つと硫黄アニオンを1つ有する構造、
リン原子を5つとヒ素原子を1つ有する構造、
リン原子を4つと窒素原子を2つ有する構造、
リン原子を4つと酸素アニオンを2つ有する構造、
リン原子を4つと硫黄アニオンを2つ有する構造、
リン原子を4つとヒ素原子を2つ有する構造、
リン原子を3つと窒素原子を3つ有する構造、
リン原子を3つとヒ素原子を3つ有する構造、
リン原子を2つと窒素原子を4つ有する構造、又は、
リン原子を2つとヒ素原子を4つ有する構造
が好ましく、
リン原子を6つ有する構造、
リン原子を5つと窒素原子を1つ有する構造、
リン原子を5つと酸素アニオンを1つ有する構造、
リン原子を5つと硫黄アニオンを1つ有する構造、
リン原子を4つと窒素原子を2つ有する構造、
リン原子を4つと酸素アニオンを2つ有する構造、
リン原子を4つと硫黄アニオンを2つ有する構造、
リン原子を3つと窒素原子を3つ有する構造、又は、
リン原子を2つと窒素原子を4つ有する構造
がより好ましく、
リン原子を6つ有する構造、
リン原子を5つと酸素アニオンを1つ有する構造、
リン原子を5つと硫黄アニオンを1つ有する構造、
リン原子を4つと窒素原子を2つ有する構造、又は、
リン原子を3つと窒素原子を3つ有する構造
が更に好ましく、
リン原子を6つ有する構造、
リン原子を5つと酸素アニオンを1つ有する構造、又は、
リン原子を4つと窒素原子を2つ有する構造
が特に好ましい。
【0194】
上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子において、Ag
+に配位可能な酸素アニオン又は硫黄アニオンを1つ含有することが好ましい。
【0195】
上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における窒素原子含有複素環式化合物の例としては、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、アザジアゾール及びアクリジンが挙げられる。成膜性の良い錯体を形成しやすいので、好ましくはピリジン、イミダゾール、キノリン及びイソキノリンであり、より好ましくはピリジン、イミダゾール及びキノリンであり、更に好ましくはイミダゾール及びキノリンである。
【0196】
該窒素原子含有複素環式化合物が有し得る置換基の例としては、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されている炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜24のヒドロカルビルオキシ基及び炭素原子数1〜24のジアリールアミノ基が挙げられる。このうち、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基、エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、2−フェニルフェニル基、9−フルオレニル基、フェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基、ビス(2−メチルフェニル)アミノ基、ビス(3−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基、ジナフチルアミノ基が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロへキシル基、アダマンチル基、エテニル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−フェニルフェニル基、9−フルオレニル基、フェニルメチル基、1−フェニルエチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基、ビス(2−メチルフェニル)アミノ基、ビス(3−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基及びビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基がより好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、エテニル基、フェニルメチル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基及びフェノキシ基、が更に好ましく、フッ素原子、塩素原子、メチル基、ブチル基、メトキシ基、ブトキシ基、及びフェノキシ基が特に好ましい。
【0197】
窒素原子含有複素環式化合物が有し得る置換基の数は、0個〜4個が好ましく、0個〜3個がより好ましく、0個〜2個が更に好ましく、特に好ましくは1個〜2個である。
置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物が有し得る該置換基同士が縮合して環構造を形成してもよい。例えば、イミダゾールの4,5−位にエテニル基が結合し、該エテニル基同士が縮合してベンゼン環となり、ベンズイミダゾール骨格を形成してもよい。
【0198】
上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよいヒドロカルビル基の、ヒドロカルビル基の例を以下に示す:
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素原子数1〜50のアルキル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素原子数3〜50の環状飽和ヒドロカルビル基;
エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基、2−ドデセニル基等の炭素原子数2〜50のアルケニル基;
フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基、9−フルオレニル基等の炭素原子数6〜50のアリール基;
フェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基、6−フェニル−1−ヘキシル基等の炭素原子数7〜50のアラルキル基。
【0199】
個々の事例について特に記載が無い場合、上記ヒドロカルビル基は、好ましくはメチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基、シクロへキシル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基、9−フルオレニル基、フェニルメチル基であり、より好ましくはtert−ブチル基、シクロへキシル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基であり、更に好ましくはフェニル基、2−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基であり、特に好ましくはフェニル基、2−メチルフェニル基である。
【0200】
該ヒドロカルビル基が有し得る置換基の例は、前記窒素原子含有複素環式化合物が有し得る置換基と同様にハロゲン原子、炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜24のヒドロカルビルオキシ基及び炭素原子数1〜24のジアリールアミノ基である。好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基、エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、2−フェニルフェニル基、9−フルオレニル基、フェニルメチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基、ビス(2−メチルフェニル)アミノ基、ビス(3−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基及びジナフチルアミノ基であり、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロへキシル基、アダマンチル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、9−フルオレニル基、フェニルメチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基、ビス(2−メチルフェニル)アミノ基、ビス(3−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−メチルフェニル)アミノ基、ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミノ基及びジナフチルアミノ基であり、更に好ましくはフッ素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、フェニルメチル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、及びフェノキシ基であり、特に好ましくはフッ素原子、メチル基、tert−ブチル基、及びメトキシ基である。
【0201】
上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよいアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の、炭素原子数1〜30の直鎖状ヒドロカルビル基が挙げられるが、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基及び2−エチルヘキシル基のように分岐構造を有するアルキル基でもよく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基及びアダマンチル基のように環状構造を有するアルキル基でもよい。好ましくはメチル基、エチル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基及びシクロへキシル基であり、より好ましくはメチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
【0202】
前記置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基の例としては、前記置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物の例のうち水素原子を2つ以上持つ化合物の構造から2つの水素原子を除いた基と同様のものが挙げられる。前記置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基の例としては、前記置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物の例のうち水素原子を3つ以上持つ化合物の構造から3つの水素原子を除いた基と同様のものが挙げられる。前記置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を4つ除いた4価の基の例としては、前記置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物の例のうち水素原子を4つ以上持つ化合物の構造から4つの水素原子を除いた基と同様のものが挙げられる。前記置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を5つ除いた5価の基の例としては、前記置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物の例のうち水素原子を5つ以上持つ化合物の構造から5つの水素原子を除いた基と同様のものが挙げられる。前記置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を6つ除いた6価の基の例としては、前記置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物の例のうち水素原子を6つ以上持つ化合物の構造から6つの水素原子を除いた基と同様のものが挙げられる。
【0203】
前記R
2Aa、R
2Ba、R
2Bb、R
2Bc、R
2Ca、R
2Cb、R
2Cc、R
2Cd、R
2Ce、R
2Cf、R
2Ch、R
2Da、R
2Db、R
2Dc、R
2Dd、R
2De、R
2Df、R
2Dg、R
2Dh、R
2Di、R
2Dj、R
2Dk、R
2Dl、R
2Dm、R
2Dn、R
2Do、R
2Dq、R
2Dr及びR
2Dsで表される基(以下、R
2Xxで表される基と記す)の例としては、以下のものが挙げられる。
置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルカンジイル基;炭素原子数2〜30のアルケンジイル基;置換されていてもよい主鎖炭素原子数2〜30のアルキンジイル基;置換されていてもよい炭素原子数4〜30のシクロアルカンジイル基;置換されていてもよい炭素原子数6〜30のアレーンジイル基、などのヒドロカルビレン基、すなわち2価のヒドロカルビル基。
置換されていてもよいヒドロカルビレン基と−O−及び/又は−S−とを組み合わせてできる基。
置換されていてもよい下記式r1〜r12のいずれかで表される基(例えば下記式r1’〜r12’のいずれかで表される基)。
【化3】
(式中、Y
1は、−(CH
2)
n−、−O−、−S−、−N(R
50)−、−Si(R
51)
2−、−O(CH
2)
n−、又は、−O(CH
2)
nO−で表される基である。Y
2は、−(CH
2)
n−、−O−、−S−、又は、−Si(R
51)
2−で表される基である。nは1〜3の整数である。R
50は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のアリール基であり、R
51は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基である。)
【0204】
上記R
50で表される置換されていてもよいアリール基の、アリール基の例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基及び9−フルオレニル基が挙げられる。好ましくはフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基及び4−ヘキシルフェニル基であり、より好ましくはフェニル基、2−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基及び4−ヘキシルフェニル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
【0205】
上記R
51で表される置換されていてもよいヒドロカルビル基の、ヒドロカルビル基の例は、前記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよいヒドロカルビル基の、ヒドロカルビル基の例と同様である。
【0206】
好ましくは、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素原子数1〜50のアルキル基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素原子数3〜50の環状飽和ヒドロカルビル基;
フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基、9−フルオレニル基等の炭素原子数6〜50のアリール基である。より好ましくは、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等の炭素原子数1〜18のアルキル基;
フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−(2−エチルヘキシル)フェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基等の炭素原子数6〜24のアリール基である。更に好ましくは、炭素原子数1〜8のアルキル基及びフェニル基である。
【0207】
前記置換されていてもよい式r1〜r12で表される基の例である置換されていてもよい式r1’〜r12’で表される基を以下に示す。
【化4】
(式中、Y
3は、−CH
2−、−O−、−S−、−N(R
52)−、又は、−Si(R
53)
2−で表される基である。R
52は置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアリール基であり、R
53は置換されていてもよい炭素原子数1〜18のヒドロカルビル基である。)
【0208】
上記R
52で表される置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアリール基の例と好ましい構造は、前記R
50で表される置換されていてもよいアリール基の例及び好ましい例のうち、炭素原子数が1〜18のものと同様である。
【0209】
上記R
53で表される置換されていてもよい炭素原子数1〜18のヒドロカルビル基の例及び好ましい構造は、前記R
51で表されるヒドロカルビル基の例及び好ましい構造のうち、炭素原子数が1〜18のものと同様である。
【0210】
前記R
2Xxで表される基としては、置換されていてもよい前記式r1〜r12のいずれかで表される基が好ましく、置換されていてもよい前記式r1、r2、r5、r6、r8及びr9のいずれかで表される基、前記式r10で表される基であって式中のY
1が−O−又は−N(R
50)−である基、前記式r11で表される基であって式中のY
1が−O−又は−S−である基、前記式r12で表される基であって、式中のY
1が−O−であり、Y
2が−CH
2−である基、前記式r12で表される基であって、式中のY
1が−O−であり、Y
2が−Si(R
51)
2−である基がより好ましく、置換されていてもよい前記式r1'、r5'、r6'及びr10'のいずれかで表される基、前記式r12'で表される基であって、式中のY
3が−CH
2−である基、前記式r12'で表される基であって、式中のY
3が−Si(CH
3)
2−である基が更に好ましい。
【0211】
前記R
2Xxで表される基が有し得る置換基の例は、前記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよいヒドロカルビル基が有し得る置換基と同様にハロゲン原子、炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜24のヒドロカルビルオキシ基及び炭素原子数1〜24のジアリールアミノ基である。好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロへキシル基、エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2−フェニルフェニル基、2−フェニルエチル基、メトキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基であり、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロへキシル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、メトキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基であり、更に好ましくはフッ素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、メトキシ基であり、特に好ましくはフッ素原子、メチル基、tert−ブチル基である。
【0212】
前記R
2Xxで表される基が有し得る置換基の数は、0〜4個が好ましく、0〜3個がより好ましく、0〜2個が更に好ましい。R
2Xxで表される基が前記r1’〜r12’で表される基である場合、前記置換基の位置は以下に示す位置が望ましい。
r1’:好ましくは、2’及び3’から選ばれる1箇所以上;
r2’:好ましくは、2’、3’、4’及び5’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、2’及び5’の2箇所、又は、3’及び4’の2箇所;
r3’:好ましくは、2’、3’、4’、5’、6’及び8’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、4’のみの1箇所、2’及び6’の2箇所、3’及び5’の2箇所、2’、4’及び6’の3箇所、又は、3’、4’及び5’の3箇所;
r4’:好ましくは、2’、3’、4’、5’、6’及び7’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、2’及び7’の2箇所、3’及び6’の2箇所、又は、4’及び5’の2箇所;
r5’:好ましくは、2’、3’、4’、5’、6’及び7’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、2’及び7’の2箇所、又は、3’及び6’の2箇所、更に好ましくは2’及び7’の2箇所;
r6’:好ましくは、2’、3’、4’、5’、8’、9’、10’及び11’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、2’及び11’の2箇所、3’及び10’の2箇所、又は、4’及び9’の2箇所;
r7’:好ましくは、2’、3’、4’、5’、6’及び7’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、2’及び7’の2箇所;
r8’:好ましくは、2’、3’、5’、6’、7’、8’、9’及び10’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、2’及び6’の2箇所、又は、3’及び5’の2箇所;
r9’:好ましくは、2’及び5’から選ばれる1箇所以上;
r10’:好ましくは、2’、3’、4’、5’、6’及び7’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、2’及び7’の2箇所、又は、3’及び6’の2箇所、更に好ましくは、2’及び7’の2箇所;
r11’:好ましくは、2’、3’、4’及び5’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、2’及び5’の2箇所;
r12’でY
3が−CH
2−である場合:2’、3’、4’、5’及び7’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、7’における2箇所と、2’、3’、4’及び5’から選ばれる1箇所以上の合計3箇所以上、より好ましくは、7’における2箇所と、2’、3’、4’及び5’から選ばれる2箇所以上の合計4箇所以上、更に好ましくは、7’における2箇所と、2’及び5’の2箇所との合計4箇所;
r12’でY
3が−CH
2−以外の場合:2’、3’、4’及び5’から選ばれる1箇所以上、より好ましくは、2’、3’、4’及び5’から選ばれる2箇所以上、より好ましくは、2’及び5’の2箇所。
【0213】
前記R
2Xxで表される基が複数ある場合、安定な錯体を構築できるので、複数あるR
2Xxで表される基のうち1つ以上のR
2Xxで表される基は直接結合ではないことが好ましい。例えば、前記式(Ba)における3つのR
2Baのうち1つ以上のR
2Baは、直接結合ではないことが好ましく、この場合の前記式(Ba)で表される分子は下記式(Ba’)で表される分子である。
【化5】
(式(Ba’)中、Q
1Ba及びQ
2Baの定義は、前記式(Ba)におけるQ
1Ba及びQ
2Baと同様である。
R
2Ba’の定義、例及び好ましい例は、3つあるR
2Ba’のうち少なくとも1つは直接結合ではないことを除き、前記式(Ba)におけるR
2Baと同様である。)
【0214】
前記R
3Ab、R
3Bb、R
3Cb、R
3Cd、R
3Cf、R
3Cg、R
3Db、R
3De、R
3Dg、R
3Dh、R
3Dj、R
3Dl、R
3Dn、R
3Dp及びR
3Dq(以下、これらの基をR
3Xxと総称する)で表される基の例としては、置換されていてもよい下記式r31及びr32のいずれかで表される基が挙げられる。
【化6】
(式r31、r32中、Y
4はC、Si、又は、B
−である。Y
5、Y
6及びY
7はそれぞれ独立に、直接結合、又は置換されていてもよい−(CH
2)
nm−であり、該CH
2は隣同士でない限り任意の数だけOに置き換わってもよく、nmは1〜8の整数である。複数のY
5、Y
6、Y
7はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R
31は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基である。R
32は直接結合又は置換されていてもよい上記式r1〜r12のいずれかで表される基である。R
33は置換されていてもよい上記式r1〜r12のいずれかで表される基である。複数のR
32、R
33はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、Y
5、Y
6、Y
7、R
31、R
32及びR
33から選ばれる2以上の基が任意に結合して環を形成してもよい。)
【0215】
上記R
31における置換されていてもよいヒドロカルビル基のヒドロカルビル基の例及び好ましい例は、上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよいヒドロカルビル基の例及び好ましい例と同様である。該ヒドロカルビル基が有し得る置換基の例及び好ましい例も、上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよいヒドロカルビル基が有し得る置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0216】
上記R
32及びR
33は、それぞれ独立に、直接結合又は置換されていてもよい前記式r1〜r12のいずれかで表される基である。好ましくは置換されていてもよい前記式r1、r2、r4、r5、r8及びr10のいずれかで表される基であり、より好ましくは置換されていてもよい前記式r1、r2、r5及びr10のいずれかで表される基である。上記R
32及びR
33が前記式r1〜r12のいずれかで表される基である場合に、前記式r1〜r12で表される基が有し得る置換基の例及び好ましい例は前記R
2Xxで表される基が有し得る置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0217】
前記R
4Bd、R
4Ce、R
4Dd、R
4Di、R
4Do及びR
4Dp(以下、これらの基をR
4Xxと総称する)で表される4価の基の例としては、置換されていてもよい下記式r41で表される基が挙げられる。
【化7】
(式中、Y
8はC、Si、又は、B
-であり、Y
9は直接結合であるか、又は−(CH
2)
nn−、−O−、−S−、−N(R
60)−、若しくは−Si(R
61)
2−で表される基である。nnは1〜3の整数である。2つのY
9は同じでも異なっていてもよい。R
60は置換されていてもよい炭素原子数1〜18のアリール基であり、R
61は置換されていてもよい炭素原子数1〜18のヒドロカルビル基である。)
【0218】
r41が有し得る置換基の例及び好ましい例は、前記R
2Xxで表される基が有し得る置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0219】
R
60で表されるアリール基の例及び好ましい例は、それぞれ、前記R
52で表されるアリール基の例及び好ましい例と同様である。
【0220】
R
61で表されるヒドロカルビル基の例及び好ましい例は、それぞれ、前記R
53で表されるヒドロカルビル基の例及び好ましい例と同様である。
【0221】
r41のY
8とY
9の組み合わせとして、好ましくは、Y
8がCであり2つのY
9が共に−O−である組み合わせ、Y
8がSiであり2つのY
9が共に−O−である組み合わせ、Y
8がCであり2つのY
9が共に−S−である組み合わせ、Y
8がSiであり2つのY
9が共に−S−である組み合わせ、及びY
8がB
−であり2つのY
9が共に−O−である組み合わせが挙げられる。より好ましい組み合わせは、Y
8がSiであり2つのY
9が共に−O−である。
【0222】
前記式(Aa)、(Ab)及び(Ba)〜(Bd)における各基の組み合わせの好ましい例は、以下のとおりである。
【0223】
前記式(Aa)におけるQ
1AaとQ
2Aaの好ましい組み合わせは、
(1)1つのQ
1Aaが−P(R
11Aa)
2であり、
もう1つのQ
1Aaが、−As(R
12Aa)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、又は、−C(=O)O
-であり、
Q
2Aaが、−P(R
22Aa)−、−As(R
23Aa)−、又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基であり、
R
11Aa、R
12Aa、R
22Aa及びR
23Aaが、それぞれ独立に、置換されていてもよいフェニル基である組み合わせ;
(2)1つのQ
1Aaが−P(R
11Aa)
2、−As(R
12Aa)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、又は、−C(=O)O
−であり、
もう1つのQ
1Aaが、−P(R
11Aa)
2、−As(R
12Aa)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、又は、−C(=O)O
-であり、
Q
2Aaが、−P(R
22Aa)−であり、
R
11Aa、R
12Aa及びR
22Aaが、それぞれ独立に、置換されていてもよいフェニル基である組み合わせ
である。
(3)1つのQ
1Aaが−P(R
11Aa)
2であり、
もう1つのQ
1Aaが、−P(R
11Aa)
2、−As(R
12Aa)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−O
−、−S
-、−S(=O)
2O
-、又は、−C(=O)O
-であり、
Q
2Aaが、−As(R
23Aa)−、又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基であり、
R
11Aa、R
12Aa及びR
23Aaが、それぞれ独立に、置換されていてもよいフェニル基である組み合わせ;
であり、より好ましくは、
1つのQ
1Aaが−P(R
11Aa)
2、−As(R
12Aa)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−O
−、−S
-、−S(=O)
2O
-、又は、−C(=O)O
-であり、
もう1つのQ
1Aaが、−As(R
12Aa)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、又は、−C(=O)O
-であり、
Q
2Aaが、−P(R
22Aa)−であり、
R
11Aa、R
12Aa及びR
22Aaが、それぞれ独立に、置換されていてもよいフェニル基である組み合わせ
であり、更に好ましくは、
1つのQ
1Aaが−P(R
11Aa)
2、ピリジン若しくはイミダゾールから水素原子を1つ除いた基、−O
-、−C(=O)O
-、又は、−S
-であり、
もう1つのQ
1Aaがピリジン若しくはイミダゾールから水素原子を1つ除いた基であり、
Q
2Aaが、−P(R
22Aa)−であり、
R
11Aa及びR
22Aaが、それぞれ独立に、置換されていてもよいフェニル基である組み合わせ
である。
【0224】
前記式(Aa)におけるQ
1AaとQ
2Aaのそれぞれの組み合わせに対する好ましいR
2Aaの構造は前述R
2Xxで表される基について説明した通りである。
【0225】
前記式(Ab)におけるQ
1Ab及びR
3Abの好ましい組み合わせは、
2つのQ
1Abが、−P(R
11Ab)
2であり、
もう1つのQ
1Abが置換されていてもよいピリジン若しくはイミダゾールから水素原子を1つ除いた基、−O
-、−C(=O)O
-、又は、−S
-であり、
R
11Abが置換されていてもよいフェニル基であり、
R
3Abが上記置換されていてもよい式r31及びr32のいずれかで表される基である組み合わせ
である。
【0226】
前記式(Ba)におけるQ
1Ba、Q
2Ba及びR
2Baの好ましい組み合わせは、
1つのQ
1Baが、−P(R
11Ba)
2、又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基であり、もう1つのQ
1Baが−O
-、−C(=O)O
-、又は、−S
-であり、
Q
2Baが、−P(R
22Ba)−又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基であり、
R
11Ba及びR
22Baが、それぞれ独立に、置換されていてもよいフェニル基であり、
R
2Baが直接結合であるか又は置換されていてもよい上記式r1〜r12のいずれかで表される基である組み合わせ
である。
【0227】
前記式(Bb)におけるQ
1Bb、Q
2Bb、R
2Bb及びR
3Bbの好ましい組み合わせは、
2つのQ
1Bbがそれぞれ独立に、−P(R
11Bb)
2、又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基であり、1つのQ
1Bbが−O
-、−C(=O)O
-、又は、−S
-であり、
Q
2Bbが、−P(R
22Bb)−、又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を2つ除いた基であり、
R
11Bb及びR
22Bbがそれぞれ独立に置換されていてもよいフェニル基であり、
R
2Bbが直接結合であるか又は置換されていてもよい上記式r1〜r12のいずれかで表される基であり、
R
3Bbが置換されていてもよい上記式r31及びr32のいずれかで表される基である組み合わせ
である。
【0228】
前記式(Bc)におけるQ
1Bc、Q
3Bc及びR
2Bcの好ましい組み合わせは、
2つのQ
1Bcがそれぞれ独立に、−P(R
11Bc)
2、−As(R
12Bc)
2、又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基であり、1つのQ
1Bcが−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、又は、−C(=O)O
-であり、
Q
3Bcが、P又は置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基であり、
R
11Bc及びR
12Bcが置換されていてもよいアリール基である組み合わせ
であり、より好ましくは、
2つのQ
1Bcがそれぞれ独立に、−P(R
11Bc)
2、又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基であり、1つのQ
1Bcが−O
-、−C(=O)O
-、又は、−S
-であり、
Q
3Bcが、P又は置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を3つ除いた基であり、
R
11Bcが置換されていてもよいフェニル基であり、
R
2Bcが直接結合であるか又は置換されていてもよい上記式r1〜r12のいずれかで表される基である組み合わせ
であり、更に好ましくは、
2つのQ
1Bcが−P(R
11Bc)
2であり、1つのQ
1Bcが−P(R
11Bc)
2、−O
-、−C(=O)O
-、又は、−S
-であり、
Q
3BcがPであり、
R
11Bcが置換されていてもよいフェニル基であり、
R
2Bcが直接結合であるか又は置換されていてもよい上記式r1〜r12のいずれかで表される基である組み合わせであり、特に好ましくは、
Q
1Bcのうち1つが−P(R
11Bc)
2、−O
-、又は、−S
-であり、
Q
1Bcの残り2つが−P(R
11Bc)
2であり、
Q
3BcがPであり、
R
11Bcが置換されていてもよいフェニル基であり、
R
2Bcが置換されていてもよい上記式r1’〜r12 ’のいずれかで表される基である組み合わせ
であり、とりわけ好ましくは、
Q
1Bcのうち1つが−O
-又は−S
-であり、
Q
1Bcの残り2つが−P(R
11Bc)
2であり、
Q
3BcがPであり、
R
11Bcが置換されていてもよい2,4,6−トリメチルフェニル基であり、
R
2Bcが置換されていてもよい上記式r1’、r5’、r10’及びr12’のいずれかで表される基である組み合わせ
である。
【0229】
前記式(Bd)におけるQ
1BdとR
4Bdの好ましい組み合わせは、
3つのQ
1Bdがそれぞれ独立に、−P(R
11Bd)
2、−As(R
12Bd)
2、又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基であり、1つのQ
1Bdが−C(=O)O
-、−O
-、−S
-、−S(=O)
2O
-、又は、−C(=O)O
-であり、
(R
11Bd)及び(R
12Bd)が置換されていてもよいフェニル基であり、
R
4Bdが置換されていてもよい上記式r41である組み合わせ
である。より好ましくは、
3つのQ
1Bdがそれぞれ独立に、−P(R
11Bd)
2、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基であり、1つのQ
1Bdが−C(=O)O
-、又は、−O
-であり、
(R
11Bd)が置換されていてもよいフェニル基であり、
R
4Bdが置換されていてもよい上記式r41で表される基であって該r41中のY
8がSiである組み合わせ
である。
【0230】
L
1の例としては、下記式Aa1〜94、Ab1〜4、Ba1〜20、Bb1、Bc1〜23、Bd1〜3、Ca1〜8、Cc1〜3、Cf1、Da1〜4及びDk1で表される分子が挙げられる。
【0254】
式中、R
70は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、又は、フェニルオキシ基である。R
71は水素原子又は炭素原子数1〜12のヒドロカルビル基である。R
72は水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、メトキシ基、又は、ジフェニルアミノ基である。R
73の例はR
70の例と同様であるが、R
73が直接結合となってR
74と連結してもよい。R
74は−CH
2−であり、該CH
2が隣同士でない限り任意の数だけOに置き換わってもよい。mは1〜12の整数である。複数のR
70〜R
74は同じでも異なっていてもよい。
【0255】
Ar
1は置換されていてもよいフェニル基であり、複数のAr
1は同じでも異なっていてもよい。Ar
2は置換されていてもよいフェニレン基である。
【0256】
Y
10は−CH
2−、−O−、又は、−S−で表される基である。Y
11は、−C(CH
3)
2−、−(CH
2)
2−、−O−、−S−、−Si(CH
3)
2−、−Si(n−C
6H
13)
2−、又は、−Si(Ph)
2−で表される基である。Phはフェニル基である。複数のY
10とY
11は同じでも異なっていてもよい。
【0257】
上記R
70は、好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、又は、フェニルオキシ基であり、より好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、メトキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、又は、フェニルオキシ基であり、更に好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、メトキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、又は、フェニルオキシ基であり、特に好ましくはフッ素原子又は塩素原子である。
【0258】
上記R
71は、好ましくは水素原子、フェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、又は、ドデシル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、又は、ドデシル基であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、又はヘキシル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0259】
上記R
72は、好ましくは水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、メチル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、メトキシ基、又は、ジフェニルアミノ基であり、より好ましくは水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基、オクチル基、又は、メトキシ基であり、更に好ましくは水素原子又はフッ素原子である。
【0260】
R
73の好ましい例は上記R
70の好ましい例と同様である。R
73は直接結合でR
74と連結していてもよい。
【0261】
mは、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは3〜10の整数であり、更に好ましくは4〜9の整数であり、特に好ましくは5〜8の整数である。
【0262】
Ar
1は、好ましくはフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3−ジフェニルアミノフェニル基、4−ジフェニルアミノフェニル基、3−ビス(2−メチルフェニル)アミノフェニル基、3−ビス(4−メチルフェニル)アミノフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、2,6−ジメトキシ基、3,4,5−トリメトキシ基、3,5−ジメトキシ基、3,5−ジ−tert−ブチル基又は3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシ基であり、より好ましくはフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3−ジフェニルアミノフェニル基、4−ジフェニルアミノフェニル基、3−ビス(2−メチルフェニル)アミノフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、2,6−ジメトキシ基、3,5−ジメトキシ基、3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシ基であり、更に好ましくはフェニル基、2−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−ジフェニルアミノフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシ基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0263】
Ar
2は、好ましくは、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、3−メチル−1,2−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、5−メチル−1,2−フェニレン基、6−メチル−1,2−フェニレン基、6−エチル−1,2−フェニレン基、6−プロピル−1,2−フェニレン基、6−メトキシ−1,2−フェニレン基、6−メチル−1,3−フェニレン基、6−メチル−1,4−フェニレン基、6−メトキシ−1,3−フェニレン基又は6−フルオロ−1,3−フェニレン基であり、より好ましくは、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、6−メチル−1,2−フェニレン基、6−メチル−1,3−フェニレン基、6−メチル−1,4−フェニレン基、6−メトキシ−1,3−フェニレン基又は6−フルオロ−1,3−フェニレン基であり、更に好ましくは、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、6−メチル−1,3−フェニレン基又は6−フルオロ−1,3−フェニレン基であり、特に好ましくは、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は1,4−フェニレン基である。
【0264】
Y
10は、好ましくは−CH
2−又は−O−であり、より好ましくは−O−である。Y
11は、好ましくは−C(CH
3)
2−、−(CH
2)
2−、−O−、−Si(CH
3)
2−、−Si(n−C
6H
13)
2−、又は、−Si(Ph)
2−であり、更に好ましくは−C(CH
3)
2−、−Si(CH
3)
2−、又は、−Si(Ph)
2−であり、特に好ましくは−C(CH
3)
2−及び−Si(CH
3)
2−である。
Z
1は−O
-又は−C(=O)O
-であり、好ましくは−O
-である。
Z
2は−S
-又は−S(=O)
2O
-であり、好ましくは−S
-である。
【0265】
上記の例のうちL
1として、好ましくは、上記式Aa1〜94、Ab1〜4、Ba1〜20、Bb1、Bc1〜23、Bd1〜3で表される分子であり、より好ましくは式Aa1〜40、Aa60〜66、Aa77〜80、Aa91〜94、Ab1〜4、Ba1〜16、Ba18〜20、Bb1、Bc1〜21、及びBd1〜3で表される分子であり、更に好ましくは式Aa1、Aa3、Aa5、Aa13、Aa15、Aa23、Aa24、Aa33、Aa35、Ba1、Ba2、Ba3、Ba6、Ba7、Ba9、Ba11、Ba12、Ba13、Ba14、Ba15、Ba16、Bc1、Bc3、Bc4、Bc5、Bc6、Bc7、Bc8、Bc9、Bc10、Bc14、Bc15、Bc18、Bc19、Bc21、及びBd1で表される分子であり、特に好ましくは、Ba3、Ba6、Ba11、Ba12、Ba16、Bc4、Bc5、及びBc9で表される分子である。
【0266】
L
1の好ましい例としては、下記式Aa1’、Aa1’−2、Aa3’、Aa5’、Aa15’、Aa23’、Aa35’、Aa60’、Ba1’、Ba3’、Ba6’、Ba11’、Ba13’、Ba16’、Ba19’、Bc1’、Bc4’、Bc9’、Bc15’、Bc21’及びBd1’で表される分子が挙げられる。
【0273】
L
1は、上記の構造例のうち、好ましくは式Aa1’、Aa1’−2、Aa3’、Aa23’、Ba1’、Ba3’、Ba6’、Ba11’、Ba16’、Ba13’、Bc4’、Bc15’、又はBc21’で表される分子であり、より好ましくは式Ba3’、Ba6’、Ba11’、Ba16’、Bc4’、又はBc21’で表される分子である。
【0274】
組成式(1)におけるL
2は、Ag
+に配位可能な原子又はイオンとして、リン原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ヒ素原子、酸素アニオン及び硫黄アニオンから選ばれる原子又はイオンを有する分子であり、L
2が有するAg
+に配位可能な原子及びイオンの総数は2つである。
【0275】
組成式(1)で表される錯体において、L
2はAg
+に配位していることが好ましく、単座配位子としてAg
+に配位しても、二座配位子としてAg
+に配位してもよいが、二座配位子としてAg
+に配位していることがより好ましい。
【0276】
L
2の炭素原子数は、通常2〜250であり、好ましくは3〜200であり、より好ましくは4〜150であり、更に好ましくは6〜100であり、特に好ましくは10〜80である。
【0277】
L
2としては、下記式(E)で表される分子が好ましい。
Q
1E−R
2E−Q
1E (E)
(式(E)中、Q
1Eは、−P(R
11E)
2、−(P=O)(R
12E)
2、−(P=S)(R
13E)
2、−As(R
14E)
2、−OH、−O
-、−CO
2H、−CO
2-、−SH、−S
-、−SR
16E、−SO
3H、−SO
3-、−N(R
18E)
2、又は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基であり、2つのQ
1Eは同じでも異なっていてもよく、2つのQ
1Eが結合して環を形成してもよい。R
11E〜R
14Eはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜50のヒドロカルビル基であり、R
16E及びR
18Eはそれぞれ独立に置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、2つのR
11E、2つのR
12E、2つのR
13E、2つのR
14E、R
16E、及び、2つのR
18Eは同じでも異なっていてもよい。R
2Eは2価の基であり、但し、2つのQ
1Eのいずれか一方が置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基である場合は直接結合でもよい。R
11E、R
12E、R
13E、R
14E、R
16E、R
18E、R
2E及び置換されていてもよい窒素原子含有複素環から水素原子を1つ除いた基から選ばれる2以上の基は、任意に結合して環を形成してもよい。)
【0278】
R
11E〜R
14Eにおける置換されていてもよいヒドロカルビル基の、ヒドロカルビル基の例及び好ましい例は、それぞれ、上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよいヒドロカルビル基の例及び好ましい例と同様である。
【0279】
R
16E及びR
18Eにおける置換されていてもよいアルキル基及び該アルキル基が有し得る置換基の例並びに好ましい例は、上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよいアルキル基及び該アルキル基が有し得る置換基の例と同様である。
【0280】
Q
1Eにおける置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物の例及び好ましい例は、上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物及び該窒素原子含有複素環式化合物が有し得る置換基の例及び好ましい例と同様である。
【0281】
R
2Eにおける2価の基の例及び好ましい例は、前記R
2Xxで表される基の例及び好ましい例と同様である。
【0282】
2つのQ
1Eの組み合わせは、好ましくは−P(R
11E)
22つ、−As(R
14E)
22つ、窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基2つ、−O
-と−P(R
11E)
2が1つずつ、−CO
2-と−P(R
11E)
2が1つずつ、又は、−S
-と−P(R
11E)
2が1つずつであり、より好ましくは−P(R
11E)
22つ、又は、窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基2つである。
【0283】
前記L
2の例としては、置換されていてもよい下記式a1〜a37、b1〜b11、c1〜c41、d1〜d30で表される分子が挙げられる。
【0291】
上記式a1〜a37、b1〜b11、c1〜c41、及びd1〜d30で表される分子のうち、L
2は、好ましくは式a1〜a16、a25〜a37、c1〜c6、c12〜c41、d22〜d24、又はd26で表される分子であり、より好ましくは式a1〜a2、a4〜a8、a10〜a12、a15〜a16、a25〜a32、c14〜c41、d22、d23、又はd26で表される分子であり、更に好ましくは式a2、a4〜a7、a10、a15、a25〜a26、a30〜a32、c15、c17〜c25、c28〜c41、d22、d23、又はd26で表される分子であり、特に好ましくは式a6、a7、a25、a26、a31、c15、c22、又はc23で表される分子である。
【0292】
組成式(1)においてL
3は、Ag
+に配位可能な原子又はイオンとして、リン原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ヒ素原子、酸素アニオン及び硫黄アニオンから選ばれる原子又はイオンを1つ有する分子である。
【0293】
L
3の炭素原子数は通常2〜150であり、好ましくは3〜100、より好ましくは4〜75であり、更に好ましくは5〜60であり、特に好ましくは6〜50である。
【0294】
L
3は、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物、P(R
11F)
3、(P=O)(R
12F)
3、(P=S)(R
13F)
3、As(R
14F)
3、R
15F−OH、R
16F−O
−、R
17F−CO
2H、R
18F−CO
2-、R
19F−SH、R
20F−S
-、R
21F−SO
3H、R
22F−SO
3-、又は、N(R
24F)
3で表される分子であることが好ましい。
【0295】
ここで、R
11F〜R
22Fはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよいヒドロカルビル基であり、R
24Fは置換されていてもよい炭素原子数1〜30のアルキル基であり、3つのR
11F、3つのR
12F、3つのR
13F、3つのR
14F、R
15F、R
16F、R
17F、R
18F、R
19F、R
20F、R
21F、R
22F、及び、3つのR
24Fは同じでも異なっていてもよい。
【0296】
3つのR
11Fのうち任意の2つ以上は結合して環を形成してもよく、3つのR
12Fのうち任意の2つ以上は結合して環を形成してもよく、3つのR
13Fのうち任意の2つ以上は結合して環を形成してもよく、3つのR
14Fのうち任意の2つ以上は結合して環を形成してもよく、3つのR
24Fは結合して環を形成してもよい。
【0297】
L
3としての、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物の例及び好ましい例は、上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物の例及び好ましい例と同様である。
【0298】
R
11F〜R
22Fにおける置換されていてもよいヒドロカルビル基及び該ヒドロアルキル基が有し得る置換基の例並びに好ましい例は、それぞれ、上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよいヒドロカルビル基及び該ヒドロアルキル基が有し得る置換基の例並びに好ましい例と同様である。
【0299】
R
24Fにおける置換されていてもよいアルキル基及び該アルキル基が有し得る置換基の例並びに好ましい例は、上記式(Aa)、(Ab)、(Ba)〜(Bd)、(Ca)〜(Ci)、及び(Da)〜(Dt)で表される分子中における置換されていてもよいアルキル基及び該アルキル基が有し得る置換基の例並びに好ましい例と同様である。
【0300】
L
3は、好ましくは置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物、P(R
11F)
3、R
16F−O
-、R
18F−CO
2-、R
20F−S
-、又は、R
22F−SO
3-で表される分子であり、より好ましくは置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物、P(R
11F)
3、R
18F−CO
2-、又は、R
20F−S
-で表される分子であり、更に好ましくは窒素原子含有複素環式化合物、又は、P(R
11F)
3で表される分子である。
【0301】
前記L
3の例としては、置換されていてもよい下記式e1〜e35で表される分子が挙げられる。
【0304】
上記式で表される分子及びイオンのうち、L
3は、好ましくは式e1〜e13、e16〜e20、e25、e26、e28、e32、e33、及びe34のいずれかで表される分子であり、より好ましくは式e1〜e13、e16〜e20、e28、及びe33のいずれかで表される分子である。
【0305】
組成式(1)で表される銀錯体においてX
1は、アニオンであり、例えば、ハロゲン化物イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモンイオン、ヘキサフルオロヒ素イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン)のほか、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、テトラフェニルボレートイオン、及びこれらのイオンの構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物が挙げられ、錯体への配位力が良好であるので、好ましくは、ハロゲン化物イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン)、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、及びテトラフェニルボレートイオンであり、より好ましくは、ハロゲン化物イオンであり、更に好ましくは、臭化物イオン、ヨウ化物イオンであり、特に好ましくは、ヨウ化物イオンである。
【0306】
組成式(1)において、aは0.5より大きい数であり、b、c及びdはそれぞれ独立に0以上の数である。
【0307】
ここで前記a、b、c及びdを数式(z×a)+(2×b)+c+dに代入して求められる値を、前記組成式(1)における平均配位数と定義する。式中、zはL
1におけるAg
+に配位可能な原子及びイオンの総数である。該平均配位数は、2.0より大きく7.0以下であることが好ましい。すなわち、前記a、b、c及びdは、下記数式(2)を満たすことが好ましい。
7.0 ≧ (z×a)+(2×b)+c+d > 2.0 (2)
(数式(2)中、zはL
1におけるAg
+に配位可能な原子及びイオンの総数である。)
【0308】
前記組成式(1)における平均配位数は、3.0以上6.0以下であることがより好ましく、3.5以上5.5以下であることが更に好ましく、4.0以上5.0以下であることが特に好ましい。
【0309】
aは、好ましくは0.5より大きく1.5以下の数であり、より好ましくは0.6〜1.4の数であり、更に好ましくは0.7〜1.3の数であり、特に好ましくは0.8〜1.2の数である。
【0310】
bは、好ましくは0〜1.5の数であり、より好ましくは0〜1.0の数であり、更に好ましくは0〜0.3又は1.0の数であり、特に好ましくは0である。
【0311】
cは、好ましくは0〜1.5の数であり、より好ましくは0〜1.0の数であり、更に好ましくは0〜0.3又は1.0の数であり、特に好ましくは0である。
【0312】
dの好ましい態様は、2つある。1つの態様として好ましくは0〜0.3の数であり、より好ましくは0〜0.2の数であり、更に好ましくは0〜0.1の数であり、特に好ましくは0である。もう1つの態様として好ましくは0.5〜1.5の数であり、より好ましくは0.6〜1.5の数であり、更に好ましくは0.7〜1.3の数であり、特に好ましくは0.8〜1.2の数である。好ましい2つの態様のうち、前述の態様がより好ましい。
【0313】
本発明の膜における発光性銀錯体は、単核錯体、2核錯体、3核錯体、4核錯体、5核錯体、6核錯体、及び7核以上の錯体のいずれであってもよく、これらの混合物であってもよいが、好ましくは単核錯体、2核錯体、又は3核錯体であり、より好ましくは単核錯体又は2核錯体であり、更に好ましくは単核錯体である。
【0314】
本発明の膜における銀錯体の例を表1−1及び表1−2に示す。なお、前記組成式(1)におけるa、b、c及びdを省略しているが、各化合物番号のそれぞれについて、前記記載の適切な数をとることができる。
【0317】
表1−1及び表1−2中「−」は、は含まれない旨を示す。
【0318】
表1−1及び表1−2に示される組み合わせのうち、化合物番号1〜13、22〜25、及び31〜108、及び124〜154で示される組み合わせが好ましく、化合物番号1〜9、31〜41、72〜108、及び124〜154で示される組み合わせがより好ましく、化合物番号1〜9、31〜41、72〜75、94〜100、及び124〜154で示される組み合わせが更に好ましく、1〜9、31〜41、94〜100、124〜137、及び148−154で示される組み合わせが特に好ましい。
【0319】
本発明の膜における銀錯体の代表例を以下に示す。式10’、32’、68’、94’、及び95’で表される銀錯体は、それぞれ前記化合物番号10、32、68、94、95で示される組み合わせを有する代表的な銀錯体である。
【化47】
【0320】
本発明の膜における銀錯体は、通常は発光性を示す。銀錯体の発光寿命は長い方が好ましい。そのためにはS1エネルギーとT1エネルギーとの差が0.3eV以下であることが好ましく、0.2eV以下であることがより好ましく、三重項が発光に寄与しやすいので、0.1eV以下であることが更に好ましい。S1エネルギーとT1エネルギーの差が0.3eV以下であれば、200ns以上の発光寿命を発現し得る。
【0321】
ここで、S1エネルギーとT1エネルギーとの差の求め方を、以下に一例を挙げて説明する。まず密度汎関数法により銀錯体の初期構造について構造最適化計算を行う。構造最適化計算の際、汎関数としてB3LYP、基底関数として銀原子(又はAg
+)及びハロゲン原子にはLANL2DZ、その他の原子には6−31G(d)を用い得る。計算プログラムはGaussian03(Gaussian Inc.製)を用い得る。
【0322】
前記銀錯体の初期構造としては、前記組成式(1)におけるL
1、L
2及びL
3のいずれもがAg
+に配位可能なアニオンを有さず、かつ、X
1がF
-、Cl
-、Br
-及びI
-のいずれかでない場合は、総電荷を+1として、L
1、L
2及びL
3のいずれか1つ以上がAg
+に配位可能なアニオンを有するか、又はX
1がF
-、Cl
-、Br
-及びI
-のいずれかである場合は、総電荷を0として、L
1、L
2及びL
3の各配位原子が銀原子(又はAg
+)から3.0Å以下になるよう配置したものを用いることが好ましい。X
1がハロゲン化物イオンの場合は、X
1も銀原子(又はAg
+)から3.0Å以下になるよう配置したものを用いることが好ましい。
【0323】
ここでいうS1エネルギーとは、1電子励起状態において、基底状態を基準としたときの最低励起1重項状態のエネルギーであり、T1エネルギーとは1電子励起状態において、基底状態を基準としたときの最低励起3重項状態のエネルギーである。S1エネルギー及びT1エネルギーは、前記の構造最適化計算により得られる最適化された構造に対して、時間依存密度汎関数法を適用し、一電子励起状態を計算することにより求めることができる。時間依存密度汎関数法に用いる計算手法は、汎関数としてB3LYP、基底関数としてAg
+及びハロゲン原子にはLANL2DZ、その他の原子には6−31G(d)を用い得る。計算プログラムはGaussian03(Gaussian Inc.製)を用い得る。
【0324】
本発明の膜における銀錯体は、L
1が、Ag
+に配位可能な窒素原子として、置換されていてもよい窒素原子含有複素環式化合物中の窒素原子を1つ以上有する場合に、L
1中のAg
+に配位可能な全ての窒素原子について、L
1中のAg
+に配位可能な窒素原子とAg
+との距離は、2.00Å以上3.50Å以下であることが好ましい。より好ましくは2.10Å以上3.40Å以下であり、更に好ましくは2.20Å以上3.30Å以下であり、特に好ましくは2.30Å以上3.20Å以下であり、とりわけ好ましくは2.30Å以上2.70Å以下である。
【0325】
Ag
+に配位可能な窒素原子とAg
+との距離は、例えば、上述の密度汎関数法により銀構造最適化計算を行う手法によって求めることができる。
【0326】
本発明の膜における銀錯体は、例えば、溶媒中で銀塩と銀錯体を構成する分子とを混合する方法によって製造できる。
【0327】
本発明の膜における銀錯体の製造方法の例について、前記式32’で表される錯体を例に挙げて説明すると、1mmolの臭化銀(I)と、1mmolの式Aa60’で表される分子と、溶媒(例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン)50mLとを混合し、30分時間程度加熱し還流させる。反応液をろ過し、ろ液の溶媒をゆっくりと留去して再結晶することにより、前記式32’で表される錯体を製造することができる。
【0328】
本発明が提供する膜の厚さは、通常、1nm〜50μmであり、好ましくは2nm〜10μmであり、より好ましくは3nm〜5μmであり、更に好ましくは5nm〜3μmであり、特に好ましくは、発光素子に使用する際に電荷を流しやすいので、10nm〜200nmである。膜はピンホール又は凹凸を含んでいてもよいが、ピンホール及び凹凸を含んでいないことが好ましい。
【0329】
本発明の膜は、例えば、銀錯体と他の成分とを任意の割合で基板上に蒸着する工程を含む方法、又は、銀錯体と他の成分とを任意の割合で溶媒中に懸濁又は溶解させ、塗布する工程を含む方法によって製造することができる。好ましくは銀錯体と他の成分とを任意の割合で溶媒中に懸濁又は溶解させ、塗布する工程を含む方法によって製造される。
【0330】
前記塗布する工程に使用する溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0331】
溶媒を乾燥させる方法の例としては、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥、加熱減圧乾燥、及び窒素ガスを吹き付けて行う乾燥が挙げられ、風乾、又は加熱乾燥が好ましく、加熱乾燥がより好ましい。
【0332】
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法及びオフセット印刷法が挙げられ、スピンコート法、キャスティング法、ロールコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法及びオフセット印刷法が好ましい。
【0333】
本発明の膜は、その他の成分を含んでいてもよい。該成分には、低分子有機材料、高分子有機材料、有機無機複合材料、無機材料及びそれらの混合物が使用でき、用途に応じて任意に選択できる。該成分としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリジン誘導体、ポルフィリン誘導体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、芳香環(ナフタレン、ペリレン等)のテトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、金属錯体(例えば、8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニンを配位子とする金属錯体、ベンゾオキサゾールを配位子とする金属錯体、ベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体)、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物又は希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体、フルオレン骨格を有する化合物、ピリジン骨格を有する化合物、トリアジン骨格を有する化合物、アリールシラン骨格を有する化合物、支持塩(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、テトラフルオロホウ酸テトラ−n−ブチルアンモニウム等)を含有してもよい溶媒(プロピレンカーボネート、アセトニトリル、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソフラン、ニトロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリセリン、プロピルアルコール、水等)及びこれらの混合物が挙げられ、
好ましくは、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、ポルフィリン誘導体、チオフェンオリゴマー、ジフェニルキノン誘導体、芳香環(ナフタレン、ペリレン等)のテトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、金属錯体(例えば、8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニンを配位子とする金属錯体、ベンゾオキサゾールを配位子とする金属錯体及びベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体)、フルオレン骨格を有する化合物、ピリジン骨格を有する化合物、トリアジン骨格を有する化合物及びアリールシラン骨格を有する化合物であり、
より好ましくは、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、フルオレン骨格を有する化合物、ピリジン骨格を有する化合物、トリアジン骨格を有する化合物及びアリールシラン骨格を有する化合物であり、
更に好ましくは、カルバゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、アリールアミン誘導体有機シラン誘導体、フルオレン骨格を有する化合物、トリアジン骨格を有する化合物及びアリールシラン骨格を有する化合物である。
その他の成分は1種類であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。
【0334】
膜中の銀錯体の含量は、膜全体の重量に対して、通常、0.01〜100重量%であり、好ましくは0.1〜99重量%であり、より好ましくは1〜90重量%であり、更に好ましくは5〜80重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。
【0335】
本発明の膜は、膜を形成するための成分として高分子化合物を用いることが好ましい。該高分子化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。
カルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリジン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ポリ芳香族三級アミン化合物、アミノ置換カルコン誘導体等の正孔輸送材料の残基を含む重合体;
ポリアリールアルカン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリシラン誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)誘導体、アニリン系共重合体、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、などの高分子正孔輸送材料;
トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、芳香環カルボン酸無水物誘導体(ナフタレン、ペリレン)、金属錯体(例えば、8−キノリノール誘導体の金属錯体、ベンゾオキサゾールを配位子とする金属錯体、ベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体)、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニレンジシアノエチレン誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン誘導体、フタロシアニン誘導体、金属ポルフィリン誘導体等の電子輸送材料の残基を含む重合体、ポリトリアジン誘導体、ポリオキサゾール誘導体、ポリナフタレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の電子輸送材料;
ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチルメタクリレート及びその誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリエステル及びその誘導体、ポリスルホン及びその誘導体、ポリフェニレンオキシド誘導体、ポリブタジエン誘導体、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレンオキシド及びその誘導体、ポリアクリルニトリル及びその誘導体、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンの共重合体等の高分子マトリックス。
【0336】
好ましくは、ポリカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンジアミン誘導体、ポリヒドラゾン誘導体、ポリ芳香族三級アミン化合物の残基を含む重合体、ポリアリールアルカン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリシラン誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリシロキサン誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)誘導体、アニリン系共重合体、ポリトリアゾール誘導体、ポリオキサジアゾール誘導体、ポリイミダゾール誘導体、8−ヒドロキシキノリン誘導体の残基を含む重合体、ポリフタロシアニン誘導体、金属ポルフィリン誘導体の残基を含む重合体、ポリトリアジン誘導体、ポリオキサゾール誘導体、ポリナフタレン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレンオキシド誘導体、炭化水素樹脂、ポリアミド、ポリエチレンオキシド及びその誘導体であり、
より好ましくは、ポリカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリ芳香族三級アミン化合物の残基を含む重合体、ポリアリールアルカン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリシラン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリオキサジアゾール誘導体、金属ポルフィリン誘導体の残基を含む重合体、ポリトリアジン誘導体、ポリオキサゾール誘導体、ポリナフタレン誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレンオキシド誘導体であり、
更に好ましくは、ポリカルバゾール誘導体、ポリ芳香族三級アミン化合物の残基を含む重合体、ポリアリールアルカン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリオキサジアゾール誘導体、ポリトリアジン誘導体、ポリフルオレン誘導体である。
高分子化合物は1種類であってもよいし、2種類以上の組み合わせであってもよい。
【0337】
前記高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、通常、1×10
3〜1×10
8であり、好ましくは1×10
3〜1×10
7であり、より好ましくは2×10
3〜1×10
6であり、更に好ましくは3×10
3〜5×10
5であり、特に好ましくは5×10
3〜1×10
5である。
【0338】
本発明の膜が前記高分子化合物を含有する場合、膜における銀錯体の含有量は、膜全体の重量に対して、通常、0.01〜99.99重量%であり、好ましくは0.1〜99重量%であり、より好ましくは1〜90重量%であり、更に好ましくは5〜80重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。
【0339】
本発明は、上記本発明の膜を含有する発光素子を提供する。該発光素子は、通常、陽極と陰極からなる一対の電極と、該電極間に設けられた発光層を有する1層又は複数層からなる層(薄膜層)とが挟持されている発光素子であり、該層の1層以上が、本発明の膜である発光素子である。
【0340】
本発明の発光素子において、本発明の膜を含む膜中の該銀錯体の含有量は、該層全体の重量に対し、通常0.01〜100重量%であり、好ましくは0.1〜99重量%であり、より好ましくは1〜90重量%であり、更に好ましくは5〜80重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。
【0341】
本発明の発光素子としては、例えば、単層型の発光素子(陽極/発光層/陰極)及び多層型の発光素子が挙げられる。多層型の発光素子の層構成としては、例えば、以下の層構成が挙げられる。
(a)陽極/正孔注入層/(正孔輸送層)/発光層/陰極
(b)陽極/発光層/電子注入層/(電子輸送層)/陰極
(c)陽極/正孔注入層/(正孔輸送層)/発光層/電子注入層/(電子輸送層)/陰極
(d)陽極/発光層/(電子輸送層)/電子注入層/陰極
(e)陽極/正孔注入層/(正孔輸送層)/発光層/(電子輸送層)/電子注入層/陰極
【0342】
本発明の発光素子において、該素子を構成するいずれかの層が本発明の膜であればよく、その層は限定されないが、発光層であることが好ましい。
【0343】
前記(a)〜(e)において、(正孔輸送層)及び(電子輸送層)は、その位置にこれらの層がそれぞれ存在していてもしなくてもよい任意の層であることを表す。
【0344】
陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等の層に正孔を供給するものであり、4.5eV以上の仕事関数を有することが好ましい。陽極の材料には、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物及びこれらの組み合わせを用いることができ、好ましくは、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル等の金属;前記導電性金属酸化物と前記金属との混合物及び積層物;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質;ポリアニリン類、ポリチオフェン類〔ポリエチレンジオキシチオフェン等〕、ポリピロール等の有機導電性材料及びこれらとITOとの組み合わせ、が挙げられる。
【0345】
陰極は、電子注入層、電子輸送層、発光層等に電子を供給するものである。陰極の材料には、例えば、金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物及びこれらの組み合わせを用いることができ、好ましくは、アルカリ金属(Li、Na、K、Cs等)及びそのフッ化物並びに酸化物;アルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba等)及びそのフッ化物並びに酸化物;金、銀、鉛、アルミニウム、合金及び混合金属類〔ナトリウム−カリウム合金、ナトリウム−カリウム混合金属、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−アルミニウム混合金属、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−銀混合金属等〕;希土類金属〔イッテルビウム等〕;インジウム;これらの組み合わせを用いることができる。
【0346】
正孔注入層及び正孔輸送層は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、又は陰極から注入された電子を障壁する機能を有する。これらの層に用いられる材料の例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリジン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、有機シラン誘導体、及びこれらの残基を含む重合体;アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマーが挙げられる。正孔注入層及び正孔輸送層は、これらの1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0347】
電子注入層及び電子輸送層は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、又は陽極から注入された正孔を障壁する機能を有する。これらの層に用いられる材料の例としては、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、芳香環(例えば、ナフタレン、ペリレン)のテトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、金属錯体(例えば、8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニンを配位子とする金属錯体、ベンゾオキサゾールを配位子とする金属錯体及びベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体)及び有機シラン誘導体が挙げられる。電子注入層及び電子輸送層は、これらの1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0348】
電子注入層及び電子輸送層の材料として、絶縁体、半導体等の無機化合物も使用できる。電子注入層及び電子輸送層が絶縁体又は半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができる。このような絶縁体の例としては、アルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選ばれる1種以上の金属化合物が挙げられ、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS及びCaSeが好ましい。半導体の例としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素の、酸化物、窒化物及び酸化窒化物が挙げられる。
【0349】
本発明の発光素子において、陰極と陰極に接する膜との界面領域に還元性ドーパントが添加されていてもよい。前記還元性ドーパントの例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物又は希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体及び希土類金属錯体が挙げられる。
【0350】
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層又は正孔輸送層より正孔を注入することができ、陰極、電子注入層又は電子輸送層より電子を注入することができる機能、注入した電荷を電界の力で移動させる機能、及び、電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能のいずれかを有する。発光層に本発明の膜を含有させる場合、本発明の膜に含まれる銀錯体をゲスト材料として発光層に含有させ、さらにホスト材料を発光層に含有させてもよい。ホスト材料としては、例えば、フルオレン骨格を有する化合物、カルバゾール骨格を有する化合物、ジアリールアミン骨格を有する化合物、ピリジン骨格を有する化合物、ピラジン骨格を有する化合物、トリアジン骨格を有する化合物及びアリールシラン骨格を有する化合物が挙げられる。ホスト材料のT1は、ゲスト材料のそれより大きいことが好ましく、その差が0.2eVよりも大きいことが更に好ましい。ホスト材料は低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。ホスト材料は更に電解質を含有してもよく、該電解質としては、例えば、支持塩(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、テトラフルオロホウ酸テトラ−n−ブチルアンモニウム等)を含有してもよい溶媒(プロピレンカーボネート、アセトニトリル、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソフラン、ニトロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリセリン、プロピルアルコール、水等)及び該溶媒で膨潤したゲル状の高分子(ポリエチレンオキシド、ポリアクリルニトリル、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体等)が挙げられる。ホスト材料と銀錯体とを混合して塗布する、又は共蒸着することにより、発光材料が前記ホスト材料にドープされた発光層を形成することができる。
【0351】
本発明の発光素子において、各層の形成方法の例としては、真空蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子ビーム法等)、スパッタリング法、LB法、分子積層法及び塗布法(キャスティング法、スピンコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法及びグラビア印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法等)が挙げられるが、製造プロセスを簡略化できる点で、塗布法が好ましい。前記塗布法では、各層の材料である、前記銀錯体、前記高分子化合物、それらの混合物等を、溶媒と混合して塗布液を調製し、該塗布液を所望の層(又は電極)上に、塗布・乾燥させることによって形成することができる。塗布液中にはホスト材料及び/又はバインダーとして樹脂を含有させてもよい。この樹脂は溶媒に溶解状態とすることも、分散状態とすることもできる。
【0352】
樹脂としては、例えば、ポリビニルカルバゾール等の非共役系高分子、ポリオレフィン系高分子等の共役系高分子を使用することができ、好ましくは、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂及びシリコン樹脂が挙げられる。樹脂の溶液は、更に、酸化防止剤、粘度調整剤等を含有してもよい。前記溶液に用いられる溶媒としては、膜の成分を均一に溶解するもの又は安定な分散液を与える溶媒が好ましく、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、塩素化炭化水素類(クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素類(ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)及びそれらの混合物が挙げられる。
【0353】
インクジェット法においては、例えば、ノズルからの蒸発を押さえるために高沸点の溶媒(アニソール、ビシクロヘキシルベンゼン等)を用いることができる。溶液の粘度は、25℃において、1〜100mPa・sが好ましい。
【0354】
本発明の発光素子の各層の厚さは、0.5nm〜100μmが好ましく、1nm〜1μmがより好ましい。
【0355】
本発明の発光素子は、例えば、照明用光源、サイン用光源、バックライト用光源、ディスプレイ装置、プリンターヘッド等に用いることができる。ディスプレイ装置としては、公知の駆動技術、駆動回路等を用い、セグメント型、ドットマトリクス型等の構成とした装置が挙げられる。
【0356】
本発明は、下記組成式(3)で表される銀錯体を提供する。
(Ag
+)(L
4)
e(L
5)
f(L
6)
g(X
2)
h (3)
(組成式(3)中、L
4は、Ag
+に配位可能なリン原子を4つ以上6つ以下有する分子であるか、又は、Ag
+に配位可能な原子として、又は原子及びイオンとして、リン原子を1つ以上と、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ヒ素原子、酸素アニオン及び硫黄アニオンから選ばれる1つ以上とを有し、L
4が有するAg
+に配位可能な原子及びイオンの総数は3つ以上6つ以下である分子である。L
5は、Ag
+に配位可能な原子又はイオンとして、リン原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ヒ素原子、酸素アニオン及び硫黄アニオンから選ばれる原子又はイオンを有する分子であり、L
5が有するAg
+に配位可能な原子及びイオンの総数は2つである。L
6は、Ag
+に配位可能な原子又はイオンとして、リン原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ヒ素原子、酸素アニオン及び硫黄アニオンから選ばれる原子又はイオンを1つ有する分子である。X
2はアニオンである。eは0.5より大きい数であり、f、g及びhはそれぞれ独立に0以上の数である。)
【0357】
L
4の好ましい例及び例は、上記L
1のうちの好ましい例及び例のうち、
Ag
+に配位可能なリン原子を4つ以上6つ以下有するもの、又は、
Ag
+に配位可能な原子として、又は原子及びイオンとして、リン原子を1つ以上と、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ヒ素原子、酸素アニオン及び硫黄アニオンから選ばれる1つ以上とを有し、L
4が有するAg
+に配位可能な原子及びイオンの総数は3つ以上6つ以下であるもの
と同様である。
【0358】
L
5、L
6、X
2、e、f、g及びhの定義は、それぞれ上記組成式(1)におけるL
2、L
3、X
1、a、b、c、dと同様である。L
5、L
6、X
2、e、f、g及びhの好ましい例及び例は、それぞれ上記組成式(1)におけるL
2、L
3、X
1、a、b、c、dの好ましい例及び例と同様である。
【0359】
本発明は、ジアリールホスフィノ基を2つ以上含有し、且つ、窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基、−O
-、及び−S
-から選ばれる基を1つ又は2つ含有し、且つ、前記式(Aa)、(Ab)、(Ba’)、(Bb)、(Bc)又は(Bd)で示される分子を提供する。本発明の分子は、例えば、金属錯体の配位子や、反応触媒などに用いることができるため、有用である。好ましくは上記本発明の膜に含まれる銀錯体、又は、銀錯体中の配位子として、有用である。
【0360】
該ジアリールホスフィノ基及び該窒素原子含有複素環式化合物の例並びに好ましい例は、それぞれ、前記式Aa中の−P(R
11Aa)
2、及び該窒素原子含有複素環式化合物の例並びに好ましい例と同様である。
【0361】
本発明の分子は、ジアリールホスフィノ基を2つ以上含有し、且つ、窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基、−O
-、−C(=O)O
-、又は、−S
-から選ばれる基を1つ又は2つ含有する。
好ましくは、
ジアリールホスフィノ基を2つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基を1つ、
ジアリールホスフィノ基を2つと−O
-を1つ、
ジアリールホスフィノ基を2つと−C(=O)O
-を1つ、
ジアリールホスフィノ基を2つと−S
-を1つ、
ジアリールホスフィノ基を2つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を2つ、
ジアリールホスフィノ基を3つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を1つ、
ジアリールホスフィノ基を2つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を1つと−O
-を1つ、
ジアリールホスフィノ基を2つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を1つと−C(=O)O
-を1つ、
ジアリールホスフィノ基を2つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を1つと−S
-を1つ、
ジアリールホスフィノ基を3つと−O
-を1つ、
ジアリールホスフィノ基を3つと−C(=O)O
-を1つ、又は、
ジアリールホスフィノ基を3つと−S
-を1つ含有し、
より好ましくは、
ジアリールホスフィノ基を2つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を1つ、
ジアリールホスフィノ基を2つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を2つ、
ジアリールホスフィノ基を3つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を1つ、
ジアリールホスフィノ基を3つと−O
-を1つ、又は、
ジアリールホスフィノ基を3つと−C(=O)O
-を1つ含有し、
更に好ましくは、
ジアリールホスフィノ基を2つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を2つ、
ジアリールホスフィノ基を3つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を1つ、
ジアリールホスフィノ基を3つと−O
-を1つ、又は、
ジアリールホスフィノ基を3つと−C(=O)O
-を1つ含有し、
特に好ましくは、
ジアリールホスフィノ基を2つと窒素原子含有複素環式化合物から水素原子を1つ〜3つ除いた基を2つ、又は、
ジアリールホスフィノ基を3つと−O
-を1つ含有する化合物である。
【0362】
本発明の分子は、前記式(Aa)、(Ab)、(Ba’)、(Bb)、(Bc)又は(Bd)で示される分子である。本発明の分子の好ましい例としては、前記式Aa1〜Aa40、Aa77〜Aa80、Aa91〜Aa94、Ba4〜Ba16、Bb1、及びBc6〜Bc21が挙げられる。より好ましくは前記式Aa1〜Aa40、Ba4〜Ba15、Ba21、及びBc6〜Bc18のいずれかであり、更に好ましくは前記式Ba4〜Ba16、及びBc6〜Bc18のいずれかであり、特に好ましくはBa4、Ba6、Ba8、Ba9、Ba16、及びBc6〜Bc10のいずれかである。
【0363】
本発明の分子は、好ましくは、前記式Aa1’、Aa1’−2、Aa3’、Aa5’、Aa15’、Aa23’、Aa35’、Ba6’ 、Ba11’、Ba13’、Ba16’、Bc9’、又はBc15’で表される分子である。この中から更に好ましくは、Ba6’、Ba11’、Ba13’、Ba16’、Bc9’、及びBc15’であり、特に好ましくは式Ba6’、Ba16’、及びBc9’である。
【実施例】
【0364】
次に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0365】
以下、NMR測定にはVarian社製300MHzNMRスペクトロメーターあるいはBurker社製400MHzNMRスペクトロメーターを、DART−MS測定には日本電子製のThe AccuTOF TLC(JMS−T100TD)を用いた。分取用GPCには展開溶媒をクロロホルムとして、日本分析工業社製LC908−C60、同社製カラムJAIGEL−1H−40及びJAIGEL−2H−40を用いた。
【0366】
CHNの元素分析には自動分析法を、Clの元素分析にはフラスコ燃焼−電位差滴定法を、Brの元素分析にはフラスコ燃焼−イオンクロマトグラフ法を、それぞれ用いた。
【0367】
合成例1(表1−1における化合物番号33)
ビス−(o−ジフェニルホスフィノフェニル)フェニルホスフィン(Aa60’)を、J.Chem.Soc.3930−3936(1963)に記載の方法で合成した。
【0368】
アルゴン雰囲気下、ヨウ化銀(I)(80.7mg,0.344mmol)のアセトニトリル5mL溶液に、Aa60’(217mg,0.344mmol)を加え45℃で30分撹拌し、ジクロロメタン15mLを追加して、撹拌しながら1時間還流した。反応液をろ過し、ろ液を濃縮し、クロロホルム−エーテルでスローディフュージョンによる再結晶を行い、結晶を乾燥させて淡黄色結晶の錯体を297mg得た。
【0369】
【化48】
【0370】
得られた錯体のNMRデータを下記に示す。
【0371】
1H NMR(300MHz,CDCl
3) δ(ppm)=7.68−7.60(m,4H),7.28−6.98(m,25H),6.95−6.89(m,4H);
31P NMR(122MHz,CDCl
3)δ(ppm)=−6.8−−11.1(m),−25.4−−29.6(m)
【0372】
得られた錯体の元素分析測定の結果を下記に示す。
【0373】
Anal.Calcd for C
42H
33IP
3Ag・H
2O(%):C,57.10;H,3.99;N,0.00.Found:C,56.74;H,3.73;N<0.3.
【0374】
錯体のDART−MS測定の結果を下記に示す。
【0375】
DART−MS(M/Z):found;737.09.Calcd;737.08(M−I)
+.
【0376】
DART−MSより、下記組成の錯体を確認した。
【化49】
【0377】
得られた錯体の組成比は、収量、
1H NMR、
31P NMR、収量、DART−MS測定、及び、元素分析値から決定した。
【0378】
合成例2(表1−1における化合物番号32)
アルゴン雰囲気下、臭化銀(I)(53.0mg,0.282mmol)のアセトニトリル5mL溶液に、Aa60’(178mg,0.282mmol)を加え45℃で30分撹拌し、ジクロロメタン15mLを追加して、撹拌しながら1時間加熱還流した。反応液をろ過し、ろ液を濃縮し、クロロホルム−エーテルでスローディフュージョンによる再結晶を行い、結晶を乾燥させて淡黄色結晶の錯体を223mg得た。
【0379】
【化50】
【0380】
得られた錯体のNMRデータを下記に示す。
【0381】
1H NMR(300MHz,CDCl
3) δ(ppm)=7.68−7.62(m,4H),7.29−7.00(m,25H),6.93−6.86(m,4H);
31P NMR(122MHz,CDCl
3) δ(ppm)=−5.1−−9.6(m),−24.7−−29.5(m)
【0382】
得られた錯体の元素分析測定の結果を下記に示す。
【0383】
Anal.Calcd for C
42H
33BrP
3Ag・H
2O(%):C,60.31;H,4.22;N,0.00;Br,9.55.Found:C,60.53;H,3.98;N<0.3;Br,9.10.
【0384】
得られた錯体のDART−MS測定の結果を下記に示す。
【0385】
DART−MS(M/Z):found;816.04.calcd;816.00(M)
+.
【0386】
DART−MSより、下記組成の錯体を確認した。
【化51】
【0387】
得られた錯体の組成比は、
1H NMR、
31P NMR、収量、DART−MS測定、及び、元素分析値から決定した。
【0388】
合成例3(表1−1における化合物番号31)
アルゴン雰囲気下、塩化銀(I)(56.8mg,0.396mmol)のアセトニトリル6mL溶液に、Aa60’(250mg,0.396mmol)を加え、45℃で30分撹拌し、ジクロロメタン18mLを追加して、撹拌しながら1.5時間加熱還流した。反応液をろ過し、ろ液を濃縮し、クロロホルム−エーテルでスローディフュージョンによる再結晶を行い、結晶を乾燥させて淡黄色錯体を284mg得た。
【0389】
【化52】
【0390】
得られた錯体のNMRデータを下記に示す。
【0391】
1H NMR(300MHz,CDCl
3) δ(ppm)=7.69−7.61(m,4H),7.31−6.98(m,25H),6.92−6.86(m,4H);
31P NMR(122MHz,CDCl
3) δ(ppm)=−4.4−−8.9(m),−24.3−−28.9(m)
【0392】
得られた錯体の元素分析測定の結果を下記に示す。
【0393】
Anal.Calcd for C
42H
33ClP
3Ag(%):C,65.18;H,4.30;N,0.00;Cl,4.58.Found:C,65.37;H,4.28;N<0.3;Cl,4.59.
【0394】
得られた錯体のDART−MS測定の結果を下記に示す。
【0395】
DART−MS(M/Z):found;772.06.calcd;772.05(M)
+.
【0396】
DART−MSより、下記組成の錯体を確認した。
【化53】
【0397】
得られた錯体の組成比は、
1H NMR、
31P NMR、収量、DART−MS測定、及び、元素分析値から決定した。
【0398】
合成例4(表1−1における化合物番号37)
合成例3で得られた錯体13.6mgのジクロロメタン1.5mL溶液に1,2,4,5−テトラメチルイミダゾール2.17mg(0.0175mmol)のジクロロメタン0.5mL溶液を加え、40℃で10分撹拌した。反応液を濃縮後、真空乾燥して淡黄色結晶の錯体を15.8mg得た。
【0399】
【化54】
【0400】
得られた錯体の組成比は混合比から決定した。
【0401】
合成例5(表1−1における化合物番号36)
合成例3で得られた錯体9.85mgのジクロロメタン1.5mL溶液に2,6−ルチジン1.36mg(0.0127mmol)のジクロロメタン0.5mL溶液を加え、40℃で10分撹拌した。反応液を濃縮後、真空乾燥して淡黄色結晶の錯体を11.2mg得た。
【0402】
【化55】
【0403】
得られた錯体の組成比は混合比から決定した。
【0404】
実施例1(Aa1’の合成)
8−[[o−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]フェニルホスフィノ]−キノリン(Aa1’)を、以下の方法で合成した。
【0405】
50mLシュレンク管に1−ブロモ−2−ジフェニルホスフィノベンゼン(3.12g,9.14mmol)、脱水THF 15mLを入れ、−65℃に冷却し、撹拌しながらn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.6mol/L,5.5mL,n−ブチルリチウムとして8.8mmol)を5分かけて滴下した。赤色に変色した反応液を、−30℃まで昇温して2時間撹拌した(反応液A)。50mL4つ口ナス形フラスコに、フェニルジクロロホスフィン(1.58g,8.83mmol)、及び、脱水THF8mLを入れ、−50℃に冷却し、反応液Aをカヌラ送液により混合した。反応液を徐々に室温(23℃)まで昇温し、12時間撹拌した。反応液は白濁化した(反応液B)。200mL4つ口ナス形フラスコに8−ブロモキノリン(1.85g,8.89mmol)、脱水THF90mLを入れ、−65℃に冷却し、撹拌しながらn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.6M,5.5mL,8.8mmol)を5分かけて滴下し、−40℃まで昇温して2時間撹拌した。赤色に変色した反応液を−60℃に再冷却した(反応液C)。上記反応液Bを−60℃に冷却してカヌラ送液により反応液Cへ混合した。反応液を徐々に室温(23℃)まで昇温し、18時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウム水溶液、クロロホルムを加え、クロロホルムで抽出を行い、得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、濃縮後、展開溶媒としてクロロホルムを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を2回行い、乾燥させて黄色固体のAa1’を335mg(収率7.64%)得た。
【0406】
【化56】
【0407】
Aa1’のNMR、DART−MSデータを下記に示す。
【0408】
1H NMR(300MHz,CDCl
3) δ(ppm)=8.77(brd,1H),8.11(d,J=8.3Hz,1H),7.74(d,J=8.1Hz,1H),7.36−7.09(m,21H),6.90(br,1H);
31P NMR(122MHz,CDCl
3) δ(ppm)=−12.5(d,J=167Hz),−20.1(d,J=167Hz);DART−MS(M/Z):found;498.15.calcd;498.15(M+H)
+.
【0409】
Aa1’の元素分析測定の結果を下記に示す。
【0410】
Anal.Calcd for C
33H
25NP
20.5H
2O(%):C,78.25;H,5.17;N,2.77.Found:C,78.12;H,5.14;N,2.83.
【0411】
実施例2(表1−1における化合物番号6)
ヘキサフルオロリン酸銀(I)(4.20mg,0.0166mmol)のジクロロメタン1mL溶液に、Aa1’(8.26mg,0.0166mmol)を加え、40℃で10分撹拌した。反応液を濃縮し、乾燥させて橙色固体の錯体を12.5mg得た。
【0412】
【化57】
【0413】
得られた錯体の組成比は、混合比より決定した。
【0414】
実施例3(表1−1における化合物番号1)
フッ化銀(I)(3.12mg,0.0246mmol)のジクロロメタン1mL溶液に、Aa1’(12.2mg,0.0246mmol)を加え、40℃で10分撹拌した。反応液を濃縮し、乾燥させて橙色固体の錯体を15.3mg得た。
【0415】
【化58】
【0416】
得られた錯体の組成比は、混合比より決定した。
【0417】
実施例4(Bc9’の合成)
2−(2−ブロモ−4−tert−ブチルフェニルオキシ)ベンズアルデヒドを、以下の方法で合成した。
【0418】
2−ブロモ−4−tert−ブチルフェノール(20.0g,87.3mmol)、2−フルオロベンズアルデヒド(10.8g,87.3mmol)、炭酸ナトリウム(9.60g,87.3mmol)及びジメチルアセトアミド120mLの混合物を190℃で2時間撹拌した。放冷後、反応液に水とクロロホルムを加え、クロロホルムで抽出を行い、得られた有機層を1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液と水で洗浄した。有機層を濃縮後、展開溶媒 クロロホルム:ヘキサン=1:1(体積比)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、溶出液を濃縮後、クロロホルム−ヘキサンで再結晶を行い、乾燥させて無色結晶の2−(2−ブロモ−4−tert−ブチルフェニルオキシ)ベンズアルデヒドを22.0g(収率75.6%)得た。
【0419】
【化59】
【0420】
2−(2−ブロモ−4−tert−ブチルフェニルオキシ)フェノールを、以下の方法で合成した。
【0421】
30重量%過酸化水素(10mL,90mmol)とジクロロメタン20mLの混合物を0℃で撹拌しながら、トリフルオロ酢酸無水物(94.5g,450mmol)を30分かけて加え、0℃で1時間撹拌し、TFPA溶液を調製した。2−(2−ブロモ−4−tert−ブチルフェニルオキシ)ベンズアルデヒド(20.0g,60.0mmol)のジクロロメタン300mL溶液に、リン酸二水素カリウム(163g,1200mmol)を加え、0℃に氷冷し、撹拌しながら前記TFPA溶液を30分間かけて滴下した。0℃で2時間撹拌後、反応液に20重量%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出を行い、得られた有機層を飽和重曹水と水で洗浄した。有機層を濃縮後、残渣をメタノール300mLに溶かし、濃塩酸1滴を加え、室温(23℃)で3日間静置した。反応混合物を濃縮後、展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:4(体積比)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、乾燥させて無色結晶の2−(2−ブロモ−4−tert−ブチルフェニルオキシ)フェノールを19.0g(収率98.6%)得た。
【0422】
【化60】
【0423】
2−[2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)フェニルオキシ]−5−tert−ブチルブロモベンゼンを、以下の方法で合成した。
【0424】
窒素下、2−(2−ブロモ−4−tert−ブチルフェニルオキシ)フェノール(19.6g,61.0mmol)のDMF溶液に、イミダゾール(10.0g,146.4mmol)、tert−ブチルジメチルシリルクロライド(11.0g,73.2mmol)を加えて室温(23℃)で18時間撹拌した。反応液に水を加え、ヘキサンで抽出を行い、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を濃縮後、展開溶媒として酢酸ヘキサンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、乾燥させて無色油状の2−[2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)フェニルオキシ]−5−tert−ブチルブロモベンゼンを25.0g(収率94.1%)得た。
【0425】
【化61】
【0426】
2−[2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)フェニルオキシ]−5−tert−ブチルブロモベンゼンのNMRデータを下記に示す。
【0427】
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ(ppm)=7.57(d,J=2.3Hz,1H),7.15(dd,J=8.6,2.3Hz,1H),7.07−7.03(m,1H),6.96−6.90(m,3H),1.12(s,9H),0.84(s,9H),0.16(s,6H).
【0428】
(4−ブロモ−2,7−ジ−tert−ブチル−9,9−ジメチル−5−ジフェニルホスフィノキサンテンを、Chem.Commun.333−334(2000)に記載の方法で合成した。
【0429】
TBS−Bc9’とBc9’(OH体)を以下の方法で合成した。
【0430】
アルゴン雰囲気下、(4−ブロモ−2,7−ジ−tert−ブチル−9,9−ジメチル−5−ジフェニルホスフィノキサンテン(3.50g,6.83mmol)とTHF 25mLの混合物を−65℃に冷却し、撹拌しながら2.76mol/L n−ブチルリチウムへキサン溶液(2.50mL,n−ブチルリチウムとして6.83mmol)を滴下し、−65℃で1時間撹拌してリチオ体1を調製した。別容器にて、アルゴン雰囲気下、三塩化リン(470mg,3.42mmol)とTHFの混合物を−65℃で撹拌し、これに前記リチオ体1をカヌラで移送した。−65℃で2時間撹拌した後、冷浴を外して0℃まで昇温させた。これを−45℃に冷却して、更に2時間撹拌し、クロロホスフィン中間体を調製した。別容器にて、アルゴン雰囲気下、2−[2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)フェニルオキシ]−5−tert−ブチルブロモベンゼン(4.46g,10.2mmol)とTHF 25mLの混合物を−65℃に冷却し、撹拌しながら2.76mol/L n−ブチルリチウムへキサン溶液(3.70mL,n−ブチルリチウムとして10.2mmol)を滴下し、−65℃で1時間撹拌してリチオ体2を調製した。クロロホスフィン中間体にリチオ体2をカヌラで移送した。−65℃で2時間撹拌した後、冷浴を外して一晩撹拌し室温(23℃)まで昇温させた。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出を行い、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、展開溶媒 酢酸ヘキサン:酢酸エチル=10:1(体積比)、後に、ヘキサン:酢酸エチル=5:2(体積比)でシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。カラム中でtert−ブチルジメチルシリル基の脱離反応が進行した。溶出液を濃縮して無色固体のTBS−Bc9’を320mg(収率6.69%)と、無色粘性体のBc9’(OH体)を2.31g(収率52.6%)得た。
【0431】
【化62】
【0432】
TBS−Bc9’のNMRデータを下記に示す。
【0433】
31P NMR(122MHz,CDCl
3)δ(ppm)=−15.0(d,J=30Hz),−20.3(d,J=24Hz),−30.6−−31.1(m).
【0434】
TBS−Bc9’のDART−MS測定の結果を下記に示す。
【0435】
DART−MS(M/Z):found;1397.6.calcd;1397.7(M+H)
+.
【0436】
Bc9’(OH体)のNMRデータを下記に示す。
【0437】
31P NMR(122MHz,CDCl
3)δ(ppm)=−15.0−−17.0(brd),−16.8(dd,J=3,34Hz),−34.2−−34.8(br).
【0438】
Bc9’(OH体)のDART−MS測定の結果を下記に示す。
【0439】
DART−MS(M/Z):found;1283.5.calcd;1283.6(M+H)
+.
【0440】
Bc9’(OH体)の元素分析測定の結果を下記に示す。
【0441】
Anal.Calcd for C
86H
93O
4P
3・0.3H
2O(%):C,79.91;H,7.33;N,0.00.Found:C,80.13;H,7.32;N,<0.3.
【0442】
実施例5(表1−2における化合物番号97)
臭化銀(I)(1.90mg,0.0101mmol)のアセトニトリル1mL溶液に、Bc9’(OH体)(13.0mg,0.0101mmol)を加え45℃で15分撹拌し、カリウムメトキシド(0.71mg,0.0101mmol)のメタノール溶液0.45mLを加え45℃で15分撹拌し、反応液を濃縮し、乾燥させて固化した後、水を加え懸濁ろ過し、真空乾燥により無色固体の錯体を14.1mg得た。
【0443】
【化63】
【0444】
得られた錯体の組成比はCHN元素分析値より決定した。元素分析測定の結果を下記に示す。
【0445】
Anal.Calcd for C
86H
92O
4P
3Ag・0.67AgBr・11H
2O(%):C,60.17;H,6.71;N,0.00.Found:C,60.12;H,6.61;N,<0.3.
【0446】
実施例6(表1−1における化合物番号72)
テトラフルオロホウ酸銀(I)(3.72mg,0.0191mmol)のジクロロメタン1mL溶液に、2,2’−6,6'−テトラメトキシ−4,4’−ビス(ジ(3,5−キシリル)ホスフィノ)−3,3’−ビピリジン(Ba19’)(14.5mg,0.0191mmol)を加え、室温(23℃)で10分撹拌した。反応液に2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(4.76mg,0.0191mmol)を加え、40℃で10分撹拌した。反応液を濃縮後、真空乾燥して淡黄色結晶の錯体を22.9mg得た。
【0447】
【化64】
【0448】
得られた錯体の組成は混合比から決定した。
【0449】
実施例21(Aa3’の合成)
Aa3’を、以下の方法で合成した。
N−メチル−2−(2−ブロモフェニル)ベンズイミダゾールを、Org.Biomol.Chem.3297−3302(2006)に記載の方法で合成した。
50mLシュレンク管に1−ブロモ−2−ジフェニルホスフィノベンゼン(2.93g,8.59mmol)、及び、脱水THF15mLを入れ、−65℃に冷却し、撹拌しながらn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.6mol/L,5.5mL,n−ブチルリチウムとして8.8mmol)を5分かけて滴下した。赤色に変化した反応液を、−35℃まで昇温して1時間撹拌した(反応液D)。50mLナス形フラスコにフェニルジクロロホスフィン(1.57g,8.77mmol)、及び、脱水THF8mLを入れ、−65℃に冷却し、反応液Dをカヌラ送液により混合した。反応液を徐々に室温(23℃)まで昇温しながら、12時間撹拌したところ、反応液は白濁化した(反応液E)。200mL4つ口ナス形フラスコにN−メチル−2−(2−ブロモフェニル)ベンズイミダゾール(2.52g,8.77mmol)、及び、脱水THF130mLを入れ、−65℃に冷却し、撹拌しながらn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.6mol/L,5.5mL,n−ブチルリチウムとして8.8mmol)を5分かけて滴下し、−40℃まで昇温して2時間撹拌した。赤色に変色した反応液を−60℃に冷却した(反応液F)。上記反応液Eを−60℃に冷却し、カヌラ送液により反応液Fに混合した。反応液を徐々に室温(23℃)まで昇温しながら終夜撹拌後、50℃で1時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウム水溶液、及び、クロロホルムを加えた後、クロロホルムで抽出を行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮した後、分取用GPCにより、無色固体のダイホスフィン2酸化物を675mg(収率12.9%)得た。
【0450】
【化65】
【0451】
得られたダイホスフィン2酸化物のNMRデータを下記に示す。
【0452】
1H NMR(300MHz,CDCl
3) δ(ppm)=7.57−6.98(m,27H),3.43(s,3H);
31P NMR(122MHz,CDCl
3) δ(ppm)=32.8(dd,J=90,7Hz).
【0453】
得られたダイホスフィン2酸化物のDART−MS測定の結果を下記に示す。
【0454】
DART−MS(M/Z):found;609.24.calcd;609.18(M+H)
+.
【0455】
アルゴン雰囲気下、100mL4つ口フラスコに上記で合成したダイホスフィン2酸化物(500mg,0.822mmol)、トリエチルアミン3.94g、及び、脱水キシレン10mLを加え、0℃に冷却して、トリクロロシラン(5.00g,37.0mmol)を10分かけて滴下した。自然昇温により室温(23℃)に戻した後、130℃で12時間撹拌した。反応液を室温(23℃)に戻し、30重量%水酸化ナトリウム水溶液5mLを滴下した後、キシレンを加えて抽出し、有機層を濃縮し、乾燥させて固化した。残渣を展開溶媒クロロホルムのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、無色固体のAa3’を202mg(収率47.3%)得た。
【0456】
【化66】
【0457】
Aa3’のNMRデータを下記に示す。
【0458】
1H NMR(300MHz,CDCl
3) δ(ppm)=7.62−6.80(m,27H),3.67(s,3H);
31P NMR(122MHz,CDCl
3) δ(ppm)=−12.7(d,J=156Hz),−15.1(d,J=156Hz).
【0459】
Aa3’のDART−MS測定の結果を下記に示す。
【0460】
DART−MS(M/Z):found;577.17.calcd;577.19(M+H)
+.
【0461】
Aa3’元素分析測定の結果を下記に示す。
【0462】
Anal.Calcd for C
38H
30N
2P
2・0.33H
2O(%):C,79.15;H,5.24;N,4.86.Found:C,78.16;H,5.43;N,4.69.
【0463】
実施例22(表1−1における化合物番号13)
ヨウ化銀(I)(2.70mg,0.0115mmol)のアセトニトリル0.5mL懸濁液に、Aa3’(6.63mg,0.0115mmol)を加え3分間撹拌後、ジクロロメタン1mLを加えて40℃で5分間撹拌した。反応液を濃縮し、乾燥させて固体の錯体を9.33mg得た。
【0464】
【化67】
【0465】
得られた錯体の組成は混合比から決定した。
【0466】
実施例23(表1−1における化合物番号11)
塩化銀(I)(2.10mg,0.0147mmol)のアセトニトリル0.5mL懸濁液に、Aa3’(8.45mg,0.0147mmol)を加え3分間撹拌後、ジクロロメタン1mLを加えて40℃で5分間撹拌した。反応液を濃縮し、乾燥させて固体の錯体を10.6mg得た。
【0467】
【化68】
【0468】
得られた錯体の組成は混合比から決定した。
【0469】
実施例24(表1−3における化合物番号124)
テトラフルオロホウ酸銀(I)(2.20mg,0.0113mmol)のジクロロメタン1.5mL懸濁液に、Aa3’(6.52mg,0.0113mmol)を加えて40℃で5分間撹拌した。反応液を濃縮し、乾燥させて固体の錯体を8.72mg得た。
【0470】
【化69】
【0471】
得られた錯体の組成は混合比から決定した。
【0472】
実施例25(Aa1’−2及びBa16’の合成)
Ba16’を含む粗製物を以下の方法で合成し、8−[[o−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]フェニルホスフィノ]−2−メチルキノリン(Aa1’−2)を、以下の方法で合成した。
【0473】
窒素雰囲気下、8−ブロモ−2−メチルキノリン(1.62g,7.29mmol)のTHF 11mL溶液を−70℃に冷却し、n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.57mol/L,5.6mL,n−ブチルリチウムとして7.29mmol)を10分かけて滴下し、−70℃で2時間撹拌して、リチウム塩溶液を調製した。別容器にアルゴン雰囲気下、o−ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン(1.01g,3.61mmol)のTHF 25mL溶液を仕込み、−70℃に冷却して、先に調製したリチウム塩溶液を15分かけて滴下した。−70℃でさらに35分間撹拌した後、2時間かけて室温(23℃)まで昇温した。室温(23℃)で更に45分撹拌した後、−65℃に冷却し、フェニルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.06mol/L,7.2mL,フェニルリチウムとして7.58mmol)を10分かけて滴下し、−65℃でさらに10分間撹拌した。室温(23℃)まで自然昇温した後、2.5日間撹拌した。反応液を0℃に冷却し、1mol/Lの塩化アンモニウム水溶液30mLを滴下した。減圧下濃縮し、クロロホルム125mLを加えて抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、減圧濃縮して粗生成物を2.33g得た。粗生成物をDART−MSにより測定したところ、(M/Z)=577.17の強いピークを観測した。Ba16’は(M+H)
+の状態で(M/Z)=577.20であることから、粗生成物には多くのBa16’が含有されていた。
【0474】
上記粗生成物を展開溶媒としてクロロホルムを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、乾燥させて無色固体のAa1’−2を120mg(収率6.50%)得た。
【0475】
【化70】
【0476】
Aa1’−2のNMR、DART−MSデータを下記に示す。
【0477】
1H NMR(300MHz,CDCl
3) δ(ppm)=7.96(d,J=8.3Hz,1H),7.67(d,J=8.3Hz,1H),7.43−7.40(m,1H),7.33−7.00(m,20H),6.89−6.81(m,1H),2.50(s,3H);
31P NMR(122MHz,CDCl
3) δ(ppm)=−12.7(d,J=168Hz),−19.3(d,J=168Hz);DART−MS(M/Z):found;512.17.calcd;512.17(M+H)
+.
【0478】
実施例26(表1−3における化合物番号132)
ヨウ化銀(I)(7.30mg,0.0311mmol)のクロロホルム2.0mL懸濁液に、Aa1’−2(15.9mg,0.0311mmol)を加えて40℃で5分間撹拌した。反応液を濃縮し、乾燥させて固体の錯体を23.2mg得た。
【0479】
【化71】
【0480】
得られた錯体の組成は混合比から決定した。
【0481】
実施例27(表1−3における化合物番号133)
テトラフルオロホウ酸銀(I)(5.60mg,0.0288mmol)のジクロロメタン2mL懸濁液に、Aa1’−2(14.7mg,0.0288mmol)を加えて40℃で5分間撹拌した。反応液を濃縮し、乾燥させて固体の錯体を20.3mg得た。
【0482】
【化72】
【0483】
得られた錯体の組成は混合比から決定した。
【0484】
<比較例1>
アルゴン雰囲気下、テトラフルオロホウ酸銀(I)(27.0mg,0.139mmol)にTHF4mL、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン(61.9mg,0.139mmol)を加え、1時間加熱し還流後、反応液を−60℃に冷却した。別に、アルゴン雰囲気下、J.Am.Chem.Soc.126,2300−2301(2004)記載の方法で合成した10−ブロモベンゾ[h]キノリン(28.2mg,0.0487mmol)をTHF4mLに溶かし、−60℃にて1.66M n−ブチルリチウムのへキサン溶液(83.7μL,0.139mmol)を加え、30分撹拌後、前記−60℃に冷却した反応液を滴下し、室温に戻して2時間撹拌した。反応液を濃(23℃)縮し、クロロホルムに懸濁してろ過し、ろ液を濃縮して、クロロホルム−エーテルでスローディフュージョンによる再結晶を行い、結晶を真空乾燥して無色固体の錯体を61.5mg得た。
【0485】
【化73】
【0486】
錯体のNMRデータを以下に示す。NMRスペクトルが、Chem.Commun.6384−6386(2008)記載の錯体と同様のパターンであったことから、上記に示す構造の錯体であった。
【0487】
1H NMR(300MHz,CDCl
3) δ(ppm)=7.57(br,8H),7.39−7.34(m,8H),7.14−7.12(m,32H);
31P NMR(122MHz,CDCl
3) δ(ppm)=1.25(d,J(
31P−
107Ag,
109Ag)=231,267Hz).
【0488】
[錯体の固体状態での発光特性]
固体発光量子効率:室温(23℃)空気下での固体発光量子効率を以下のようにして、量子効率測定装置(住友重機械メカトロニクス社製)にて測定した。
サンプル調製は以下の通りで行った。室温(23℃)空気下、18mm角、厚さ0.3mmの2枚の石英板に、上記実施例及び比較例で合成した錯体のみからなる試料およそ1.5mgを挟み込み、圧迫して10mm×5mm程度の楕円形に引き伸ばし、四辺をテープで止め、密封した。
【0489】
該機器構成は以下の通りである。光源はKimmon社製クラス3BのHe−Cd式CWレーザーを用いた。出射部にOFR社製のNDフィルターFDU0.5を挿入し、光ファイバーで積分球へ導いた。住友重機械メカトロニクス社製のオプテル部の積分球、ポリクロメータ、及びCCDマルチチャンネル検出器を介し、KEYTHLEY社製の型式2400ソースメーターを連結して、ノート型PCでデータを取り込んだ。
【0490】
該測定の手順は以下の通りとした。室温(23℃)空気中、積分球内に前記条件で調製したサンプルを配置し、レーザー励起光を325nmとし、CW光で、積分時間を300ms、励起光積分範囲を315〜335nm、PL波長積分範囲を390〜800nmとした。そして、住友重機械メカトロニクス社製の測定・解析ソフトの手順に従って、量子効率を算出した。
【0491】
固体発光波長:前記固体発光量子効率測定と同様の方法で調製した試料を、蛍光分光光度計(JOBINYVON−SPEX社製、Fluorolog−Tau3)のサンプル固定場所にセットし、励起波長を350nmとして固体発光波長を測定した。
固体発光寿命:測定・解析は以下の通りで行った。
前記固体発光量子効率測定と同様の方法で調製した試料を、蛍光分光光度計(JOBINYVON−SPEX社製、Fluorolog−Tau3)の未知試料用サンプル固定場所にセットし、参照サンプル固定場所には発光寿命0nsのLUDOX(Aldrich製、colloidal silica suspension in water)を含む純水をセットした。前記LUDOXの発光寿命を0と設定し、同装置で予め測定した銀錯体の最大発光波長及び最大励起波長において、周波数変調法による寿命測定を行った。測定結果は、Anal. Chem. 68, 9-17(1996)に記載の理論式に従って解析した。
【0492】
合成例1〜5、実施例2、3、5、6、22、23、24、26、並びに27、及び比較例1の錯体の固体発光量子効率、固体発光波長、固体発光寿命の値を表2に示す。
【0493】
【表2】
(表中、−は測定していないことを示す。)
【0494】
[錯体のS1−T1エネルギー]
<計算例1>
合成例1で得られた錯体のモデルとして、銀原子1原子、ビス−(o−ジフェニルホスフィノフェニル)フェニルホスフィン(Aa60’)1分子、ヨウ素原子1原子を用いた。初期配置としてビス−(o−ジフェニルホスフィノフェニル)フェニルホスフィン中に含まれるAg
+に配位可能なリン原子3つ、及び、ヨウ素原子1原子を全て銀原子から3.0Å以内の距離に設置し、Gaussian03プログラム(リビジョン D.02、Gaussian Inc.製)の密度汎関数法を用い、構造最適化計算を行った。得られた最適化された構造に対し、同じくGaussian03プログラムを用いて、時間依存密度汎関数法を用い1電子励起状態の計算を行った。構造最適化計算及び1電子励起状態の計算のいずれも、計算手法として汎関数はB3LYP、基底関数はAg
+及びハロゲン原子に対してはLANL2DZ、その他の原子に対しては6−31G(d)を用いた。計算の結果、錯体はS1エネルギーが3.07eVであり、T1エネルギーが3.01eVであり、S1エネルギーとT1エネルギーの差が0.06eVとなった。
【0495】
<計算例2>
実施例5で得られた錯体のモデルとして、銀原子を1原子、Bc9’を1分子用いた。初期配置としてBc9’中に含まれるAg
+に配位可能なリン原子3つ、及び、酸素アニオン1つを全て銀原子から3.0Å以内の距離に設置し(化合物95’の構造)、Gaussian03プログラム(リビジョン D.02、Gaussian Inc.製)の密度汎関数法を用い、構造最適化計算を行った。得られた最適化された構造に対し、同じくGaussian03プログラムを用いて、時間依存密度汎関数法を用い1電子励起状態の計算を行った。構造最適化計算及び1電子励起状態の計算いずれも、計算手法として汎関数はB3LYP、基底関数はAg
+及びハロゲン原子に対してはLANL2DZ、その他の原子に対しては6−31G(d)を用いた。計算の結果、錯体はS1エネルギーが2.61eVであり、T1エネルギーが2.61eVであり、S1エネルギーとT1エネルギーの差が0.00eVとなった。
【0496】
<計算例3>
実施例6で得られた錯体のモデルとして、銀原子を1原子、Ba19’を1分子、2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリンを1分子を用い、カウンターイオンは除いた構造を用いた。初期配置としてBa19’中に含まれるAg
+に配位可能なリン原子2つ、及び、2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリン中に含まれるAg
+に配位可能な窒素原子2つを全て銀原子から3.0Å以内の距離に設置し、Gaussian03プログラム(リビジョン D.02、Gaussian Inc.製)の密度汎関数法を用い、構造最適化計算を行った。得られた最適化された構造に対し、同じくGaussian03プログラムを用いて、時間依存密度汎関数法を用い1電子励起状態の計算を行った。構造最適化計算及び1電子励起状態の計算いずれも、計算手法として汎関数はB3LYP、基底関数はAg
+及びハロゲン原子に対してはLANL2DZ、その他の原子に対しては6−31G(d)を用いた。計算の結果、錯体はS1エネルギーが2.29eVであり、T1エネルギーが2.29eVであり、S1エネルギーとT1エネルギーの差が0.00eVとなった。
【0497】
<計算例4>
実施例22で得られた錯体のモデルとして、銀原子1原子、Aa3’1分子、ヨウ素原子1原子を用いた。初期配置としてAa3’中に含まれるAg
+に配位可能なリン原子2つ、Aa3’中に含まれるAg
+に配位可能な窒素原子1つ、及び、ヨウ素原子1原子を全て銀原子から3.0Å以内の距離に設置し、Gaussian03プログラム(リビジョン D.02、Gaussian Inc.製)の密度汎関数法を用い、構造最適化計算を行った。得られた最適化された構造に対し、同じくGaussian03プログラムを用いて、時間依存密度汎関数法を用い1電子励起状態の計算を行った。構造最適化計算及び1電子励起状態の計算のいずれも、計算手法として汎関数はB3LYP、基底関数はAg
+及びハロゲン原子に対してはLANL2DZ、その他の原子に対しては6−31G(d)を用いた。計算の結果、錯体はS1エネルギーが2.81eVであり、T1エネルギーが2.78eVであり、S1エネルギーとT1エネルギーの差が0.03eVであった。銀と、銀に配位する窒素原子間の距離は2.54Åであった。
【0498】
<計算例5>
実施例26で得られた錯体のモデルとして、銀原子1原子、8−[[o−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]フェニルホスフィノ]−2−メチルキノリン(Aa1’−2)1分子、ヨウ素原子1原子を用いた。初期配置としてAa1’−2中に含まれるAg
+に配位可能なリン原子2つ、Aa1’−2中に含まれるAg
+に配位可能な窒素原子1つ、及び、ヨウ素原子1原子を全て銀原子から3.0Å以内の距離に設置し、Gaussian03プログラム(リビジョン D.02、Gaussian Inc.製)の密度汎関数法を用い、構造最適化計算を行った。得られた最適化された構造に対し、同じくGaussian03プログラムを用いて、時間依存密度汎関数法を用い1電子励起状態の計算を行った。構造最適化計算及び1電子励起状態の計算のいずれも、計算手法として汎関数はB3LYP、基底関数は銀原子及びハロゲン原子に対してはLANL2DZ、その他の原子に対しては6−31G(d)を用いた。計算の結果、錯体はS1エネルギーが2.54eVであり、T1エネルギーが2.47eVであり、S1エネルギーとT1エネルギーの差が0.07eVとなった。銀と、銀に配位する窒素原子間の距離は3.12Åであった。
【0499】
<実施例7>
クロロホルム:1,2−ジクロロエタン=2:1重量比の溶媒に、合成例2の錯体を1重量%溶かした溶液約200mgを2cm角のガラス基板上に載せた。これを、スピンコーター(有限会社押鐘製、SC−150)を用いて1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間スピンコートしたところ、厚さ70nmの薄膜を得た。UVランプを当てたところ、発光が観測された。なお、薄膜の厚さは、高精度微細形状測定機(株式会社小坂研究所、SURFCORDER ET3000)を用いて測定し、以下の実施例8〜14及び比較例1でも同様とした。
【0500】
<実施例8>
クロロホルム:1,2−ジクロロエタン=2:1重量比の溶媒に、合成例2の錯体を0.16重量%、1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼンを0.78重量%溶かした溶液約200mgを2cm角のガラス基板上に載せた。これを、スピンコーター(有限会社押鐘製、SC−150)1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間スピンコートしたところ、厚さ80nmの薄膜を得た。UVランプを当てたところ、発光が観測された。
【0501】
<実施例9>
クロロホルム:1,2−ジクロロエタン=2:1重量比の溶媒に、合成例2の錯体を0.14重量%、1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼンを0.69重量%、2,4,6−トリス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジンを0.14重量%溶かした溶液約200mgを2cm角のガラス基板上に載せた。これを、スピンコーター(有限会社押鐘製、SC−150)を用いて1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間スピンコートしたところ、厚さ80nmの薄膜を得た。UVランプを当てたところ、発光が観測された。
【0502】
<実施例10>
クロロホルム:1,2−ジクロロエタン=2:1重量比の溶媒に、合成例2の錯体を0.12重量%、ポリ(9−ビニルカルバゾール)(Aldrich社製、カタログ記載のMn=35000,Mw<70000)を0.58重量%、2,4,6−トリス(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジンを0.15重量%溶かした溶液約200mgを2cm角のガラス基板上に載せた。これを、スピンコーター(有限会社押鐘製、SC−150)を用いて1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間スピンコートしたところ、厚さ80nmの薄膜を得た。UVランプを当てたところ、発光が観測された。
【0503】
<実施例11〜19、実施例28〜32、比較例2>
合成例1、2、3、4及び5、実施例2,3,5、6、22、23、24、26及び27並びに比較例1の錯体をそれぞれ1重量%、PMMA6.2重量%のクロロホルム溶液約150mgを1cm×2cm角の石英基板上に載せた。これを、スピンコーター(有限会社押鐘製、SC−150)を用いて1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間スピンコートして薄膜を得た。実施例2、3、5、6、26、及び27の錯体を用いた薄膜の厚さはそれぞれ、0.98μm、1.2μm、2.8μm、2.3μm、1.7μm、及び1.7μmであった。
【0504】
[錯体とポリマーの組成物の薄膜状態での発光特性]
薄膜を量子効率測定装置(住友重機械メカトロニクス社製)の積分球内に設置し、前記固体発光量子効率の測定と同様の条件にて、レーザー光照射後約5秒と約15秒における発光量子効率を測定し、レーザー光照射の前後における発光量子効率の減衰率の差を経過時間で除した値を酸素劣化速度として求めた。窒素雰囲気下で同様にレーザー光照射後約5秒における発光量子効率を測定した値を、薄膜発光量子効率とした。結果を表3に記す。
【0505】
【表3】
【0506】
<実施例20>
150nmのITO膜が付着したガラス基板上に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(Bayer製、商品名:Bytron P AI4083)の懸濁液をスピンコートにより70nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥させた。この上に、合成例2の錯体をクロロホルム:1,2−ジクロロエタン=2:1重量比の溶液で錯体を0.90重量%の濃度に調製した溶液をスピンコートにより1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間スピンコートにより成膜し、130℃、10分間乾燥させた。続いて、陰極として、フッ化リチウムを約3nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、発光素子を作製した。得られた素子に18Vの電圧をかけることにより、輝度42cd/m
2、効率1.0cd/Aの黄色発光を確認した。