特許第5747203号(P5747203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747203
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】脱穀装置
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/00 20060101AFI20150618BHJP
【FI】
   A01F12/00 H
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-213131(P2010-213131)
(22)【出願日】2010年9月24日
(65)【公開番号】特開2012-65589(P2012-65589A)
(43)【公開日】2012年4月5日
【審査請求日】2013年7月8日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、農林水産省、超低コスト土地利用型作物生産技術の開発委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】栗原 英治
(72)【発明者】
【氏名】梅田 直円
(72)【発明者】
【氏名】渡部 高広
(72)【発明者】
【氏名】石原 翔太
【審査官】 居島 一仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−222124(JP,A)
【文献】 特開2009−027934(JP,A)
【文献】 特開2008−086250(JP,A)
【文献】 特開2003−235331(JP,A)
【文献】 特開2009−055797(JP,A)
【文献】 特開平6−237634(JP,A)
【文献】 実開昭56−33054(JP,U)
【文献】 特開2010−29159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F12/00
A01F12/18−12/395
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀処理が行われる扱室(14)の上方を覆う天板(22)側に回動自在に支持されて扱室(14)内を流動する処理物に接触することにより該処理物を案内する送塵ガイド(24)を複数備え、前記送塵ガイド(24)を初期回動位置に維持する弾性部材(33)を設けるとともに、送塵ガイド(24)の初期回動位置を変更する操作具(36)を設置し、処理物から所定以上の負荷を受けることによって、弾性部材(33)の付勢力に抗して送塵ガイド(24)が回動作動する脱穀装置において、前記複数の送塵ガイド(24)の初期回動位置をそれぞれ個別に変更可能なように前記操作具(36)を上記複数の送塵ガイド(24)にそれぞれ各別に設け、該送塵ガイド(24)が処理物から所定以上の負荷を受けた場合に複数の送塵ガイド(24)がその負荷に応じて個々に退避側に回動するように弾性部材(33)を前記複数の送塵ガイド(24)側にそれぞれ各別に設置した脱穀装置。
【請求項2】
前記複数の送塵ガイド(24)、弾性部材(33)及び操作具(36)を単一の支持枠(37)に設けてユニット化し、該支持枠(37)を扱室(14)の上方をカバーする天板(22)側に着脱自在に取付けた請求項1に記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記天板(22)に外側に向かって下方傾斜する傾斜面(26)を形成し、該傾斜面(26)側に前記各操作具(36)と、該各操作具(36)の近傍に配置された送塵ガイド(24)の回動位置を示す指標部(58)とを設けた請求項1又は2の何れかに記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱室内を流動する処理物を案内する送塵ガイドを備えた脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀処理が行われる扱室の上方を覆う天板側に回動自在に支持されて扱室内を流動する処理物に接触することにより該処理物を案内する送塵ガイドを複数備え、前記送塵ガイドを初期回動位置に付勢する弾性部材を設けるとともに、送塵ガイドの初期回動位置を変更する操作具を設置し、処理物から所定以上の負荷を受けることによって、弾性部材の付勢力に抗して各送塵ガイドが一体的に退避側へ回動作動する特許文献1に記載の脱穀装置が従来公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−222124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の脱穀装置は、複数の送塵ガイドを単一の操作具によって一体的に回動させることによりの初期回動位置の調整を行うことから、扱室内を流動する処理物の送り速度を場所によって各別に調節できないため、状況に適した送り速度に調節することが困難であるとともに、複数の送塵ガイドを単一の弾性部材によって初期回動位置へ付勢するため、付勢力の設定が困難な場合がある。
【0005】
本発明は、状況によって処理物の送り速度を扱室内の各所において調整可能であって、状況に即した送り速度に調整することができ、各送塵ガイドへの付勢力の設定が容易となる脱穀装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明の脱穀装置は、脱穀処理が行われる扱室14の上方を覆う天板22側に回動自在に支持されて扱室14内を流動する処理物に接触することにより該処理物を案内する送塵ガイド24を複数備え、前記送塵ガイド24を初期回動位置に維持する弾性部材33を設けるとともに、送塵ガイド24の初期回動位置を変更する操作具36を設置し、処理物から所定以上の負荷を受けることによって、弾性部材33の付勢力に抗して送塵ガイド24が回動作動する脱穀装置において、前記複数の送塵ガイド24の初期回動位置をそれぞれ個別に変更可能なように前記操作具36を上記複数の送塵ガイド24にそれぞれ各別に設け、該送塵ガイド24が処理物から所定以上の負荷を受けた場合に複数の送塵ガイド24がその負荷に応じて個々に退避側に回動するように弾性部材33を前記複数の送塵ガイド24側にそれぞれ各別に設置したことを特徴としている。
【0007】
第2に、前記複数の送塵ガイド24、弾性部材33及び操作具36を単一の支持枠37に設けてユニット化し、該支持枠37を扱室14の上方をカバーする天板22側に着脱自在に取付けたことを特徴としている。
【0008】
第3に、前記天板22に外側に向かって下方傾斜する傾斜面26を形成し、該傾斜面26側に前記各操作具36と、該各操作具36の近傍に配置された送塵ガイド24の回動位置を示す指標部58とを設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成によれば、複数設置した送塵ガイドの初期回動位置を個別に設定できることにより、扱室内の各部における処理物の送り速度を各別に調節できるため、該処理物の送り速度を各種状況に合せて調整することが容易になると共に、複数の送塵ガイドが各別に退避回動するように設置されるため、単一の弾性部材により複数の送塵ガイドをまとめて付勢する場合と比べて、該付勢力の設定が容易になるという効果がある。
【0010】
また、前記複数の送塵ガイド、弾性部材及び操作具を単一の支持枠に設けてユニット化し、該支持枠を扱室の上方をカバーする天板側に着脱自在に取付けたことにより、前記送塵ガイド,弾性部材及び操作具等を個別に脱穀装置側に組付ける場合と比較して、送塵ガイドの組付作業が容易になる。
【0011】
さらに、前記天板に外側に向かって下方傾斜する傾斜面を形成し、該傾斜面に前記各操作具と、該各操作具の近傍に配置された送塵ガイドの回動位置を示す指標部とを設けたことにより、作業者側から前記指標部の視認性が良好となり、前記操作具の操作性も向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明を適用したコンバインの全体平面図である。
図2】脱穀装置の平面図である。
図3】脱穀装置の要部正面図である。
図4】送塵ユニットの平面図である。
図5】送塵ユニットの正面図である。
図6】送塵ユニットの側面図である。
図7図7(A)は、送塵ユニットの要部断面図であり、(B)は、回動軸の構成を示す断面図であり、(C)は、回動軸の他例を示す断面図である。
図8】送塵ユニットの作用態様を示す平面図である。
図9】指標部を設けた送塵ユニットの平面図である。
図10】(A)は、送塵ガイドの調整時の態様を示す要部正面図であり、(B)は、送塵ユニットの取外し態様を示す要部正面図である。
図11】本発明を適用した脱穀装置の別実施例1を示した要部斜視図である。
図12】本発明を適用した脱穀装置の別実施例1を示した要部正面図である。
図13】本発明を適用した脱穀装置の別実施例2を示した要部斜視図である。
図14】本発明を適用した脱穀装置の別実施例2を示した要部正面図である。
図15】初期位置ガイドを適用した送塵ユニットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用したコンバインの全体平面図である。本コンバインは、左右一対のクローラ式走行装置によって支持される走行機体1と、該走行機体1の前部に昇降自在に連結されて圃場の穀稈の刈取作業を行う前処理部2とを備えている。
【0014】
走行機体1の進行方向左(以下、単に「左」)側には、穀稈の脱穀作業を行う脱穀装置3が、走行機体の右部の後側半部には、穀粒を収容するグレンタンク4が、走行機体1の後端部右側には、グレンタンク4内の穀粒を機体外側へ排出するオーガ6が、走行機体1の後端部には、後処理部7が、走行機体1の右部の前側半部には、オペレータが乗込む操縦部8が、それぞれ設置されている。
【0015】
本コンバインでは、前記前処理部2により刈取られて後方搬送された穀稈が、脱穀装置3の外側側部に沿う前後方向の脱穀フィードチェーン9の前端側に渡される。この脱穀フィードチェーン9は、穂先側が脱穀装置3内に挿入されるように、受取った穀稈の株元側を保持して後方搬送する。この後方搬送過程で、穀稈は脱穀処理され、排藁となり、後処理部7に渡される。
【0016】
脱穀処理された処理物は、選別室によって藁屑等と穀粒とに選別され、藁屑は走行機体1の後端部から機外に排出される一方で、穀粒は上記グレンタンク4内に搬送収容される。また、排藁となった穀稈は後方搬送されて走行機体後端側の排藁搬送部13に案内され、そのまま又は後処理部7で切断処理され、機外に排出される。ちなみに、脱穀処理の詳細については後述する。
【0017】
次に、図2及び図3に基づいて脱穀装置について説明する。
図2,3は、脱穀装置の平面図及び要部正面図である。脱穀装置3では、上記脱穀フィードチェーン9と、該脱穀フィードチェーン9の真上側近傍に配置された挟持レール12との間に、穀稈の株元側を挟持して保持するように構成され、該挟持レール12は、レールカバー11により上方及び外側側方が覆われており、脱穀装置3の上面側を覆う脱穀カバー22側に取付け支持されてる。
【0018】
また、脱穀装置3には、上述のようにして株元側が保持される穀稈の穂先側が挿入される扱室14と、扱室14の真下側に位置する選別室(図示しない)とが設けられ、扱室14において穀稈の脱穀処理を行うとともに、選別室において処理物の選別処理を行う。ちなみに、扱室14の前側には、後方搬送される穀稈の穂先側が扱室14内に導入されるのをガイドする扱室案内板10が設けられている。
【0019】
扱室14内には、外周面に扱歯16を多数突出形成された円柱状の扱胴17が前後方向を向いた姿勢で、前後方向の扱胴軸回りに回転駆動可能に支持され、扱胴17の真下側には、扱胴17の外周に沿って下方に窪んだ円弧面状に形成された受網18が配置されている。具体的には、前後方向の扱胴17が扱室14内に設置された扱室前側板19と扱室後側板21との間に、軸回りに回転自在に架設され、該扱室14の上方側は脱穀カバー(天板)22で開閉自在に覆われている。
【0020】
該構成により、脱穀フィードチェーン9及び挟持レール12との間に株元側が挟持された穀稈は、穂先側が扱室14に挿入された状態で、脱穀フィードチェーン9により後方搬送される。この後方搬送時に、正転方向(図3における時計回り)に回転駆動される扱胴17によって、穀稈が扱降されて脱穀処理される。脱穀処理された処理物は、扱胴17の外周に沿って後方側に螺旋状に移動しつつ、該扱胴17の下方側に配置された受網18によって受止められ、受網18等から選別室内に漏下する。
【0021】
また、脱穀カバー22の扱室14側である下面側(内面側)には、上記扱室14内において流動する処理物と接触することにより、該処理物を案内する固定ガイド23と、該処理物の後方側への送り速度を変化させる送塵ガイド24とが設けられている。
【0022】
続いて、この固定ガイド23および送塵ガイド24が設けられた脱穀カバー22の構成について説明すると、この脱穀カバー22は、その左右外側端部(右端側)に設置された前後方向の脱穀カバー用回動軸20を介して、該脱穀カバー用回動軸20の軸回りに上下回動自在に脱穀装置3に取付支持されており、この脱穀カバー22の上下回動によって扱室14の上方側が開閉される。また、上述したレールカバー11は、脱穀カバー22の左右外側箇所に取付固定されているため、脱穀カバー22と一体で上下回動するように構成されている。ちなみに、脱穀カバー22を最上方位置に上方回動させて扱室14の上方側を開状態とすることにより、内部のメンテナンスを行うとともに、脱穀カバー22を最下方位置に下方回動させて扱室14を閉状態とすることにより、上述の脱穀処理を行う。
【0023】
また、該脱穀カバー22は、左右外側箇所(左側)を下方に屈曲することにより、外側側方に向かって下方傾斜した傾斜面26を形成している。レールカバー11は、この傾斜面26の上端側から外側側方に延設されるように、脱穀カバー22及び挟持レール12に取付固定されており、このレールカバー11によって、該傾斜面26の上方及び外側側方がカバーされた状態になる。この脱穀カバー22の傾斜面26側に、上記送塵ガイド24が複数まとめてユニット化された送塵ユニット29が設置されている一方で、脱穀カバー22内面側の傾斜面26を除く部分に左右方向の固定ガイド23を取付けている。
【0024】
さらに、該脱穀カバー22の上面側には、前記傾斜面26及び送塵ユニット29の上方側を覆うカバー体32が設けられており、該カバー体32は、脱穀カバー22側を固定ボルト30によりボルト固定し、レールカバー11側をノブボルト31で締付固定することによって固定されている。
【0025】
また固定ガイド23は、扱室14内において、前後方向に複数(図示する例では4つ)並列配置されている。この複数の固定ガイド23,23,23,23は、後方に配置されたものほど左右長が長くなるように設定されている。最前方の固定ガイド23は、扱室14の左右方向中途部に配置され且つ上下幅(下方側延出量)が最大になる一方で、それ以外の固定ガイド23,23,23は、それぞれ扱室14の左右最内側から真横方向外側に延出されており、その上下幅(下方側延出量)も後方に配置されたものほど長く設定されている。
【0026】
また、最後方の固定ガイド23は、傾斜面26側の最外端側まで至るように左右長が設定されており、他の固定ガイド23は、傾斜面26までは至らないように、その左右長が設定されている。これに加えて、左右方向に延びる複数の固定ガイド23は、それぞれ前後の傾斜角が固定されて脱穀カバー22に設置されるが、複数の固定ガイド23の該傾斜角は、それぞれ各別に、又は、まとめて変更調整可能なように構成されている。
【0027】
なお、該固定ガイド23,23,23,23は、状況に応じてその上下幅を前方に配置されるものほど長く設定しても良い。
【0028】
次に、図4乃至9に基づき前記送塵ユニット29の構成について詳述する。
図4乃至6は、送塵ユニットの平面図、正面図および側面図である。前記送塵ユニット29は、複数(図示する例では2つ)の送塵ガイド24と、送塵ガイド24を初期位置に付勢する弾性部材であって送塵ガイド24毎に設けられたトーションバネ33と、送塵ガイド24の回動を規制するように送塵ガイド24毎に設けられた規制機構(規制手段)34と、上記初期位置を設定するために送塵ガイド24毎に設けられた初期位置設定具(操作具)36と、これらの部材が支持された単一の支持枠37とを備えている。
【0029】
前記支持枠37は、前後方向に長い水平なプレートの前後の端部をそれぞれ上方に屈曲させた下枠38と、前後方向に長い水平なプレートの前後の端部をそれぞれ下方に屈曲させた上枠39とから構成されており、全体として左右両側部が開放された箱状に形成されている。
【0030】
具体的には、側面視逆U字状に形成された上枠39の前後の対向面に、側面視U字状に形成された下枠38の前後の外面がそれぞれ当接するように、上枠39に下枠38を嵌合させてボルト固定することにより、左右両側部が開放されたボックス状の支持枠37を構成している。すなわち、下枠38の下面側は、支持枠37の外側下面(下面部)37aになる一方で、上枠39の上面側は、支持枠37の外側上面(上面部)37bになり、この外側下面37aと、外側上面37bとの間には、各種部材設定用のスペースが形成されている。これに加えて、下枠38の左右幅が上枠39の左右幅よりも長く設定されているため、下枠38は平面視上枠39から左右両側に延出されており、この下枠38の左右の各延出部が取付座41を構成している。
【0031】
この左右の各取付座41を上述した傾斜面26に接当させてボルト固定することにより、送塵ユニット29が脱穀カバー22に着脱自在に取付けられている。該取付状態では、支持枠37の外側下面37aが、傾斜面26に平行に当接して外側側方に下降傾斜している。また脱穀カバー22の傾斜面26側には、送塵ユニット29を設置するための設置孔26aが穿設されており、この設置孔26aを介して、脱穀カバー22に取付けられた支持枠37の外側下面37aにおける取付座41以外の大部分が、扱室14内に露出した状態になる。換言すると、支持枠37の下枠38が、扱室14の上方側を覆う天板である脱穀カバー22の一部を構成している。
【0032】
ちなみに、この支持枠37の上側には、前述したカバー体32の他に、レールカバー11が位置している。このレールカバー11には、支持枠37(送塵ユニット29)の上部を、脱穀カバー22及びレールカバー11の上方側に露出させて視認させる露出孔11a(図10参照)が穿設されており、この支持枠37の露出部分を、上述したカバー体32によって開閉自在に覆っている。このため、上記カバー体32を開状態とすることにより、支持枠37(送塵ガイド29)が、コンバイン側方側の作業者から視認が可能になるが、このカバー体32の構成についての詳細は後述する。
【0033】
なお、該カバー体32を取付けずに、コンバイン側方側の作業者から常に露出孔11aを通じて支持枠37の上部側を視認できるように構成しても良い。
【0034】
前記送塵ガイド24は、図7に示す通り、扱室14内において、外側下面37a(天板22)に対して常時垂直方向(交差方向)を向いた平板状部材であって、支持枠37の下枠38の下方側近傍(天板22の下面側)に位置している。
【0035】
この送塵ガイド24は、傾斜面26に対して垂直方向の延びる回動軸42毎に取付けられ、該回動軸42の軸回りにそれぞれ回動自在に支持されている。言換えると、横方向を向いた送塵ガイド24は、脱穀フィードチェーン9の穀稈搬送方向および処理物の送り方向に沿う前後方向に傾斜するように、回動軸42の軸回りに前後回動される。
【0036】
回動軸42の上部及び中途部が下枠38(天板22側)から上方に突出するとともに、回動軸42の下部が下枠38から下方に突出するように、下枠38には、回動軸42を上下に貫通させる貫通孔38aが穿設されている。下枠38上面(天板22の上面側)における貫通孔38a側には、回動軸42が挿通されるベアリング(軸受)43が設置され、このベアリング43によって、回動軸42は、自身の軸回りに支持枠37に回動自在に軸支される。
【0037】
このようにしてベアリング43から支持枠37内(外側下面37aと外側上面37bとの間のスペース)に突出する回動軸42の上部は、上記トーションバネ33の弾性力が作用される被作用部44になる一方で、扱室14内に突出する回動軸42の下部は、送塵ガイド24が取付固定される被取付部46になる。
【0038】
被取付部46は、このベアリング43の内径よりも径が大きく設定されており、回動軸42がベアリング43から所定以上、上方側に挿通できないように構成されている他、この被取付部46の下端部には、送塵ガイド24の機体内側端部の上部をスライド挿入して嵌合させるために下方開放されたスライド孔46aが形成され、送塵ガイド24は、該スライド孔46aに嵌合された状態で回動軸42に固定される。
【0039】
被作用部44には、トーションバネ33の弾性力を回動軸42に作用させる作用部材47が外装されている。具体的には、回動軸42の被作用部44の外周を、軸方向にフラットに切欠くことによって、被作用部44の周面の一部に軸方向に延びるフラットな複数(図示する例では2つ)の切欠き状面44aを形成している一方で、作用部材47は、上下が開放された筒状部48と、該筒状部48から径方向外側に一体的に延出される作用アーム49とから構成されている他、この筒状部48の内周面の断面形状は、被作用部44の外周の断面形状と同一形状に形成されている。このため、筒状部48の内周に回動軸42の被作用部44を、嵌合挿入することにより、作用アーム49が、回動軸42と一体で(送塵ガイド24と一体で)、回動軸42回りに回動される。
【0040】
この状態で、筒状部48の上端に配されたワッシャ51に、上方側から挿通された取付ボルト52を、回動軸42の上端面から下方に窪んだボルト孔42aに係合挿入させ、締付けることにより、ベアリング43が筒状部48と被取付部46との間に挟持され、該ベアリング43に対して回動軸42が軸方向に移動しない状態で、回動軸42がベアリング43によって軸支される。そして、脱穀カバー22に送塵ユニット29を取付けた際には、送塵ガイド24が、正面視で傾斜面26に略平行に傾斜し、送塵ガイド24の回動軸42側である基端側が傾斜面26の上部側に位置した状態になる。
【0041】
ちなみに、このベアリング43に回動軸42を設置する際は、下枠38から上枠39を取外して、上方側を開放された状態で行う。この他、図示する例では、回動軸42の切欠き状面44aは、軸心に対して対称配置されており、送塵ガイド24と作用アーム49との回動位置関係を変更することが可能である。例えば、図7(B)の例では、対称配置に配される一対一組の切欠き状面44aが対称位置に配置されているため、180°間隔で、回動位置関係の変更を行うことが可能である。さらに同図(C)の例では、対称位置に配される一対一組の切欠き状面44aが、60°間隔で設けられて断面形状が正六角形をなしているため、60°間隔で、回動位置関係を変更できる。
【0042】
前記トーションバネ33は、螺旋状に巻かれたコイル部33aが本体をなし、このコイル部33aの軸回りに弾性力が作用する弾性部材であって、コイル部33aの巻始め側と巻終り側とには、該コイル部33aの径方向外側に突出するアーム33b,33cがそれぞれ一体成形されており、このコイル部33aの内周側に筒状部48の外周が略隙間無く挿入され、これによってトーションバネ33が回動軸42側に支持される。ちなみに、一対のアーム33b,33cがコイル部33aを挟んで略反対側に突出形成される。
【0043】
前記規制機構34は、作用アーム49の延出側端部に取付固定された規制ピン53を、上枠39上面側に穿設された規制孔39aに挿通させることにより構成されている。具体的には、規制ピン53が、作用アーム49から回動軸51に対して平行に上方突出され、この規制ピン53の上端部は、規制孔39aを介して、支持枠37の外側上面37b側に臨んでいる。一方、規制孔39aは、回動軸42を中心とした円弧状をなす長孔であって、作用アーム49及び送塵ガイド24が回動軸42の軸回りに一体回動されると、規制ピン53が、規制孔39a内を移動する。すなわち、この規制孔39aを規制ピン53が移動する範囲に、作用アーム49及び回動軸42及び送塵ガイド24の回動範囲が制限される。ちなみに、この規制孔39aは、下枠38(天板22側)ではなく、上枠39に穿設されているため、この規制孔39aを介して扱室14内の処理物等がふき出して支持枠37内に侵入することが防止される。
【0044】
なお、上記トーションバネ33の一方側のアーム33bは、規制側アームとなり、この規制側アーム33bにおけるフック状に形成された突出側端部には、規制ピン53が引掛けられて係合され、これによって、規制側アーム33bは作用アーム49と一体的に回動軸42の軸回りに回動する。
【0045】
前記初期位置設定具36は、回動軸34と平行な円柱状のシャフト54と、該シャフト54の上端部に取付けられた操作具本体56とから構成されている。
【0046】
シャフト54の上部は、中途部および下部に比べて径が小さい外周に図示しないネジが形成された挿通部54aとなる。一方、シャフト54の中途部には、軸方向に垂直な取付孔54bが穿設されている。挿通部54aは、上枠39の上面側に穿設された設定孔39bに挿通され、その上端部が支持枠37の外側上面37bに臨んでいる。取付孔54bには、上記トーションバネ33の他方側のアーム33cである操作側アームが挿通されて取付けられている。
【0047】
上記操作具本体56は、厚い円盤状に成形され、下面側にネジ孔56aが凹設されている。このネジ孔56aに、支持枠37の外側上面37bに臨んだシャフト54の挿通部54aを、係合挿入して締付けると、シャフト54と操作具本体56が支持枠37に締着固定され、これに伴って、操作側アーム33cの回動位置も固定される。一方、設定孔39bは、回動軸42と中心とした円弧状に成形された長孔であるため、シャフト54と操作具本体56との締付けを緩めれば、この設定孔39b内を、シャフト54の挿通部54aが移動する範囲内で、操作側アーム33cを、回動軸42の軸回りに回動させることが可能になる。
【0048】
ちなみに、上記構成により、シャフト54の中途部と、操作具本体56とは、設定孔39bに挿入できない程度の径に設定され、両者によって上枠39を挟み込み、このシャフト54の中途部と、操作具本体56との間には、挿通部54aに挿通されたワッシャ57が介在し、シャフト54と操作具本体56との締付けが不測に緩むのを防止している。
【0049】
図8は、送塵ユニットの作用状態を示す平面図である。このように、初期位置設定具36によって、操作側アーム33cの回動位置を変更すると、コイル部33aを介して、規制側アーム33b→作用アーム49→筒状部48→回動軸42→送塵ガイド24の順に、回動位置が変更され、その後、この回動位置で操作側アーム33cを固定すると、これによって、無負荷状態での送塵ガイド24の回動位置である初期回動位置が変更され、トーションバネ33の付勢力によって上記初期位置設定具36により変更された無負荷状態での初期回動位置が保持される(図8に記載の右側の送塵ガイド24)。
【0050】
例えば、扱室14内において流動する処理物の送り側である後方側に、送塵ガイド24を傾斜させれば、処理物の後方側への送り速度が速くなる一方で、処理物の送り側と反対の前方側に、送塵ガイド24を傾斜させれば、処理物の送り速度が遅くなる。
【0051】
また、上記のようにして初期回動位置を定めた後に脱穀処理を行っている際、搬送穀稈の穀稈の量が増加して、扱室14内において、送塵ガイド24に接触する処理物の量が多くなり、処理物から送塵ガイド24への負荷が大きくなった場合には、その負荷の大きさに応じて、トーションバネ33の規制側アーム33bが操作側アーム33cに対して負荷を受けた側に所定量回動し、処理物の送り側である退避側(具体的には後方側)に送塵ガイド24が回動作動する。すなわち、処理物からの負荷が大きくなると、初期位置に送塵ガイド24を付勢するトーションバネ33の弾性力に抗して、該送塵ガイド24が後方側に回動作動される(図8に記載の左側の送塵ガイド24)。
【0052】
当該構成により、送塵ガイド24を前方側あるいは後方側に回動作動することができるため、状況に応じて扱室内を後方へ向かって流動する処理物の送り速度を変更・調節することができる他、前記規制機構34及び初期位置設定具36が複数の送塵ガイド24それぞれに設けられていることにより、送塵ガイド24は各別に初期回動位置の設定ができるとともに、各送塵ガイド24が受ける負荷に応じてそれぞれ退避回動するするため、処理物の送り速度を扱室14の場所に応じて適切に調整することができる。
【0053】
図9は、指標部の構成を示す送塵ユニットの平面図である。同図に示すように、本脱穀装置3では、送塵ユニット29に、複数の各送塵ガイド24毎に、その回動位置を示す指標部58を設ける。この指標部58について説明すると、上述の構成により、送塵ガイド24の回動位置が、規制孔39a内における前記規制ピン53の位置と完全に連動するため、支持枠37の外側上面37bの規制孔39a側に上記指標部58を形成している。
【0054】
具体的には、指標部58において、初期位置設定具36により送塵ガイド24の初期回動位置を退避側に設定する際(または処理物からの負荷によって送塵ガイド24が退避側に回動した際)に、規制ピン53が移動する側に、処理物の量が多いことを示す「多い」の多量表示58aを設けている。一方、指標部58において、初期位置設定具36により送塵ガイド24の初期回動位置を退避側と反対側に設定する際に、規制ピン53が移動する側に、処理物の量が少ないことを示す「少ない」の少量表示58bを設けている。この他、多量表示58aと少量表示58bの間の中立位置に、処理物の量が標準的であることを示す「標準」の標準表示58cを設けている。また、指標部58の初期位置設定具36側には、該初期位置設定具36の操作方向を矢印で示す操作方向表示58dが設けられている。
【0055】
言換えると、規制ピン53が前記標準表示58cを指し示す場合には、送塵ガイド24が扱胴の扱歯の回転軌跡と平行な位置となり、規制ピン53が前記多量表示58aを指し示す場合には、送塵ガイド24が処理物の送り側である後方側に傾斜して処理物の後方への送り速度が速くなる一方で、規制ピン53が前記少量表示58bを指し示す場合には、送塵ガイド24が処理物を前方側に戻す前方側に傾斜して処理物の後方への送り速度が遅くなる。
【0056】
図10(A)は、カバー体を開作動させた状態を示す脱穀装置の要部正面図であり、(B)は、送塵ユニットを取外した状態を示す脱穀装置の要部正面図である。脱穀カバー22の上面側に備えた前記カバー体32は、左右内側に設置された前後方向のヒンジ部32aによって、開閉自在に構成されている。
【0057】
具体的には、カバー体32が、ヒンジ部32aを境に、取付部32bと、開閉部32cとに分割形成されており、この取付部32bが上記固定ボルト30によって脱穀カバー22に着脱可能に取付固定され、開閉部32cがノブボルト31によってレールカバー11側に着脱自在に取付けられている。
【0058】
閉状態のカバー体32を開状態とする場合には、ノブボルト31によるボルト固定を解除してロック解除状態とした後、開閉部32cを取付部32bに対して上方回動させる。一方、開状態のカバー体32を閉状態とする場合には、開閉部32cをレールカバー11に当接する位置まで下方回動させる。この他、ノブボルト31および固定ボルト30をカバー体32から取外すことによって、カバー体32を脱穀カバー22およびレールカバー11から取外すことが可能になり、この取外しによって、傾斜面26の上方側の前記露出孔11aが大きく開放されるため、送塵ユニット29のメンテナンスや、取付け、取外しが容易になる。
【0059】
取付け作業では、まず送塵ユニット29を組立てる。続いて、送塵ガイド24および回動軸42の被取付部46を設置孔26aを介して扱室14内に挿入する。続いて、左右の各取付座41を脱穀カバー22の傾斜面26に当接させてボルト固定し、支持枠37を傾斜面26と一体化させ、送塵ユニット29(送塵ガイド24)の脱穀カバー22への組付作業を完了させる。一方、取外し作業では、まず、支持枠37の取付座41を傾斜面26から取外す。続いて、設置孔26aを介して、送塵ガイド24および回動軸42の被取付部46を扱室14外に抜出し、続いて、露出孔11aから抜出す。このようにして、脱穀カバー22を閉状態とし、送塵ガイド24等を送塵ユニット29によってユニット化したまま、設置孔26aおよび露出孔11aを介して、着脱作業を行うことが可能であるため、作業性や利便性が高い。
【0060】
以上のように構成される本コンバインによれば、複数の送塵ガイド24の初期回動位置をそれぞれ個別に変更可能なように、初期回動位置設定具33を送塵ガイド24と同数分設けるとともに、各送塵ガイド24が処理物から受ける負荷に応じて個別に退避側に回動するように各送塵ガイド24にトーションバネ33を設けため、環境に応じて、きめ細かい設定を行うことが可能になる。
【0061】
また、この指標部58および初期回動位置設定具33は、上述した支持枠37の配置構成によって、脱穀カバー22の傾斜面26側に設置され、コンバインの側方に起立した作業者側に下方傾斜するため、視認性や操作性も良好である。
【0062】
次に、図11及び図12に基づき、本発明の別実施例1について、上述の例と異なる点を説明する。
図11は、本発明を適用した脱穀装置の別実施例1を示した要部斜視図であり、図12は、本発明の適用した脱穀装置の別実施例1を示した要部正面図である。図より、送塵ユニット29は、複数(図示する例では3つ)の送塵ガイド24と、トーションバネ33と、規制手段34と、初期位置設定具36と、これらを支持する支持枠37とを備えている。
【0063】
前記支持枠37は、前後方向に長い水平なプレートとからなる下枠38と、前後方向に長いプレートを前後方向に沿って山型に屈曲形成され、前後端の隙間が閉じられた上枠60とから構成されており、該下枠38の下面側である支持枠37の下面部37aと、上枠60の上面側である支持枠37の上面部37bとの間に各種部材設定用のスペースが形成されている。なお、該上枠60は、左右両端側に備えた固定部60aにより脱穀カバー22側にボルト固定されており、傾斜面26上方側の露出孔11aを塞ぐカバー体としても機能している。
【0064】
前記送塵ガイド24は、傾斜面26(下枠38)の下面側から扱胴軸の前後方向と垂直方向に延出される延出部24aと、下枠38側でL字型に屈曲形成されて回動軸42が取付けられる軸取付部24bとから構成されている。
【0065】
前記トーションバネ33は、螺旋状に巻かれたコイル部33aの内周側に筒状部48を挿通し、一対のアーム33b,33cのうち、規制側アーム33bを下方側へ突出させ、操作側アーム33cを上方側へ突出させるように配置されている。
【0066】
前記規制機構34は、傾斜面26に対してL字に屈曲された規制プレート61が傾斜面26側にボルト固定されており、該規制プレート61のうちの傾斜面26と略平行な面には、円弧状の長孔である規制孔61aが穿設され、該規制孔61aに作用アーム49の延出側端部に取付固定された規制ピン53が挿通される構成となっている。
【0067】
前記初期位置設定具36を構成する円柱状のシャフト62の上部側は、中途部及び下部に比べて径が小さい外周に図示しないネジが形成された図示されない挿通部62aとなっており、該挿通部62aは、山型に形成された前記上枠60の傾斜した上面側に穿設された設定孔60bに挿通されている。これにより、上枠60の外側上面である上面部37bに臨んでいる挿通部62aの上端部側から操作具本体56が取付けられている。
【0068】
シャフト62の中途部には、フック状に屈曲形成されたトーションバネ33の操作側アーム33cを係止するための係止部62bを備えている。これにより、シャフト62は、操作具本体56を用いることなく、回動軸42と平行な状態で操作アーム33c側に固定することができるため、組付け作業も容易になる。送塵ユニット29の組付け作業については後述する。
【0069】
これらの構成により、初期位置設定具36のシャフト62の上部側である挿通部62a及び操作具本体56は、支持枠37の上面部37b側に配置されることにより、カバー体の開閉操作等をすることなく、オペレータが機外側から初期位置設定具36による送塵ガイド24の初期回動位置の変更操作ができるため、初期位置の設定操作を容易に行うことができる他、初期位置設定具36の操作具本体56は、山型に屈曲形成された上枠60の傾斜した面に設けられるため、オペレータが機外から送塵ガイド24の初期位置を確認する作業等がより容易になる。また、規制機構34を構成する規制プレート61及び規制ピン53等は、上枠60によって上方側が覆われ、初期位置設定具36に対して下方側であって支持枠37の下面部37aと上面部37bとの間のスペースに配置されることにより、機外に露出しない構成となるため、外観構成が良好になるという効果がある。
【0070】
該送塵ユニット29の取付け作業は、送塵ユニット29のうち、上枠60と操作具本体56と規制プレート61を除いたものを予め組立てる。続いて、送塵ガイド24及び回動軸42の被取付部46を設置孔26aを介して扱室14に挿入する。続いて、下枠38に設けた左右の取付座を脱穀カバー22の傾斜面26に当接させてボルト固定し、下枠38を傾斜面26と一体化させる。続いて、規制プレート61を傾斜面26にボルト固定して規制孔61aに規制ピン53を挿通させる。続いて、露出孔11aを上枠60でカバーしつつ、該上枠60に穿設された設定孔60bに初期位置設定具36の挿通部62aを挿通させて配置し、該上枠60を脱穀カバー22側にボルト固定する。続いて、上枠60の上面部37b側に突出した前記挿通部62aの上端側から操作具本体56を係合挿入して締付け、送塵ユニット29の脱穀カバー22側への組付け作業を完了させる。
【0071】
一方、送塵ユニット29の取外し作業は、まず、上枠60の上面部37側の操作具本体56と挿通部62aとの係合を解除して取外す。続いて、上枠60を脱穀カバー22側から取外し、これにより表れた露出穴11aから規制プレート61を傾斜面26から取外す。続いて、設置孔26aを介して送塵ガイド24および回動軸42の被取付部46を扱室14外に抜出し、続いて、露出孔11aから抜出す。
【0072】
次に、図13乃至15に基づき、本発明の別実施例2について、上述の例と異なる点を説明する。
図13は、本発明を適用した脱穀装置の別実施例2を示した要部斜視図であり、図14は、本発明を適用した脱穀装置の別実施例2を示した要部正面図である。図より、送塵ユニット29は、複数(図示する例では4つ)の送塵ガイド24と、トーションバネ33と、規制手段34と、初期位置設定具36と、これらを支持する直方体状に構成される支持枠37とを備えて構成されており、脱穀カバー22の上面側に配置されている。
【0073】
前記送塵ガイド24は、脱穀カバー22の下面側から扱胴軸の前後方向と垂直方向に扱胴17の形状に沿って延出される延出部24aと、脱穀カバー22側でL字型に屈曲形成されて回動軸42に取付けるための軸取付部24bとから構成されている。また、該送塵ガイド24の左右長は、それぞれ扱室14の左右最内側から真横方向外側に向けて延出されており、一端側が傾斜面26に至る範囲まで延出されており、前記固定ガイド23は設置されていない。
【0074】
また、前記支持枠37の上面部37bに初期位置設定具36による初期位置設定操作を補助する初期位置ガイド67を設けた構成としても良い。以下説明する。
【0075】
図15は、初期位置ガイドを適用した送塵ユニットの平面図である。図より、支持枠37の上面部37bに配置される初期位置ガイド67は、一端側に突起部69及びつまみ部71が形成され、他端側に初期位置設定具36と一体的に揺動するように支持枠37の上面部37b側に固定する支点70を備えたプレート状の指定部68と、前記突起部71が嵌合する切欠きを複数備えたガイド部72とから構成されており、初期位置設定具36毎に設けられている。
【0076】
当該構成により、前記つまみ部71を用いて初期位置設定具36および指定部68を支点70を軸に一体回動させ、前記突起部71を前記ガイド部72の所定の切欠きに嵌合させることによって、初期位置設定具36を設定孔39bの範囲内における所定の決まった位置に案内することができる。そのため、突起部69がガイド部72の切欠きに嵌合する箇所を適宜選ぶことにより、各送塵ガイド24の初期回動位置を多段階で正確に設定することができる。
【符号の説明】
【0077】
14 扱室
22 脱穀カバー(天板)
24 送塵ガイド
26 傾斜面
33 トーションバネ(弾性部材)
36 初期位置設定具(操作具)
37 支持枠
58 指標部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15