(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
本発明のアクチュエータに使用される超弾性合金は、負荷過程においてオーステナイトからマルテンサイトへ相変態する挙動によって大きなひずみが生じ、この生じたひずみが除荷過程ではマルテンサイトからオーステナイトへ戻る逆変態のため、除荷後には負荷前の状態へ回復する変形特性を有している。この超弾性合金の負荷および除荷の過程の変形挙動を模式的に応力−ひずみ曲線で表すと、
図1のようになる。この
図1の応力−ひずみ曲線に関して、この特徴の1つはオーステナイト相とマルテンサイト相との間の変態によって形成されるヒステリシスであるが、
図2のようなオーステナイトへの逆変態が生じないヒステリシスである場合は除荷後に大きなひずみが残留する。
【0012】
大きなひずみが残留する
図2の除荷後において、この状態に熱を加えたことによる温度上昇が応力−ひずみ曲線のヒステリシスの変化を引き起こす場合、この加熱によって材料は能動的に変形する。特に、
図3のようにオーステナイトへの逆変態が生じるヒステリシスへ応力−ひずみ曲線が変化すると、除荷後に残留していた大きなひずみが負荷前の状態へ回復することとなる。形状記憶合金は、この様に加熱によって残留ひずみが元に戻る特性を利用したものである。
【0013】
図1の超弾性的な挙動と
図2の形状記憶的な挙動については、同種ながらオーステナイト相とマルテンサイト相との間の変態が生じる応力値が異なる変形である。ここで、形状記憶合金では加熱が
図3で示したような応力−ひずみ曲線の変化を引き起こす事で残留ひずみの元の状態への回復を説明できるが、この曲線の変化が超弾性合金でも生じるのであれば、それを利用する事によっては能動的な変形も観察できることとなる。そこでここでは、加熱によって超弾性合金の応力−ひずみ曲線が形状記憶合金と同様に
図4のような変化をすると考え、この変化によって生じ得る能動変形の評価方法を考える。
【0014】
図1の応力−ひずみ曲線のような変形挙動を示す超弾性合金に対して、
図5の様にマルテンサイトへ相変態するまで応力σsを負荷し、この応力σsが加熱によっても一定で変化しない場合を考える。このとき、負荷によって加熱前に生じていたひずみεs
0は、応力−ひずみ曲線が加熱によって
図4のように変化するならば、予め負荷されていた応力σsに対応するひずみεs
1へ変化する。したがって、応力σsがマルテンサイトへ相変態するまで負荷された上で維持された条件での加熱によっては、超弾性合金はひずみεs
0からεs
1へ収縮する変形挙動を呈する。
【0015】
マルテンサイトへ相変態するまでひずみεeを超弾性合金に与え、このひずみεeが加熱によっても一定で変化しない
図6の場合を考える。このとき、予ひずみεeによって加熱前に生じる応力σe
0は、
図4に示す応力−ひずみ曲線の変化に起因して、加熱によってオーステナイトへ相逆変態が生じると応力σe
1へ変化する。したがって、予ひずみεeがマルテンサイトへ相変態するまで与えられて保たれた条件において、さらにオーステナイトへ相逆変態が生じるまで加熱すると、超弾性合金は応力がσe
0からσe1へ変化する挙動を示すと考えられる。
【0016】
以上のことから、予めマルテンサイトへ相変態するまで応力やひずみが負荷された条件において、さらにオーステナイトへ相逆変態が生じるまで加熱された場合には、超弾性合金においても能動的な変形が生じると考えられる。この事を確認するため、超弾性ワイヤを対象として予応力一定条件における加熱による能動変形の挙動観察を実施したので以下に説明する。
【0017】
予応力一定条件のワイヤと対象とする
図7に示す装置を用いて設定し、超弾性合金の加熱による能動変形を観察する。この装置20は、試料となる鉛直方向に配置された線材21の上端をピンバイス22で固定し、下端は錘23を乗せるカゴ24の上部にボルト25で固定する。線材21には、超弾性合金線((株)ニラコ社製、#947365、線径0.30mm)を用いる。超弾性合金線の材質はTi−Ni系合金である。ここで、カゴ24に乗せる錘23の重量Wを変えることで予応力条件を変更するが、この上部には線材21の伸びをレーザー変位計((株)キーエンス社製、LB−02(分解能2μm))26で計測するためのケント紙製ターゲット27も設けている。加熱に関しては、直流電源装置((株)高砂製作所社製、KX−210L(出力電圧60V、出力電流14A))28を用いて、金メッキを施したみの虫クリップで所定の線材21の加熱距離を通電して実施する。
【0018】
なお、加熱距離を本実施例では250mmとしている。また線材21の温度計測については、温度変化に対する影響を少なくする目的で金属や樹脂に比べて熱容量の小さいケント紙および紙テープを用いながら、K型熱電対(線径0.2mm、球径約0.6mm)29を線材21に対して垂直に加熱距離の中央部で点接触させた上で実施する。ここで計測した線材21の温度に関しては、オペアンプ30を用いた増幅回路を介して試料の伸びと共にLogger(英Pico Technology社製、PicoScape3224(12bit、2ch、20MHz))31へ取り込み、さらにこれらデータをPC32で記録する。
【0019】
また実験は、予応力の条件毎に通電による加熱・冷却過程での線材21の温度を計測し、これを伸びの履歴により変形挙動を評価する。この加熱に用いた条件を表1に示す。この表1で示す電圧Vの値は、直流電源装置28の設定値であるが、所定温度に達する迄の時間が予応力が小さい場合は比較的短かったのに対して大きい場合は長かったため、予応力が大きい場合には小さい場合より大きな設定としている。これらの差異は、予応力が小さい場合の組織が抵抗率の大きいオーステナイト相、大きい場合は抵抗率が小さなマルテンサイト相になっているためと考えることができる。なお、所定温度は46°Cとした上で、これに達した事を熱電対のデータで確認した際に直流電源装置28から電圧の供給を止め、ここから自然冷却過程も併せて線材21の変形挙動を観察する。この時、室温は約21°Cであって、加熱時間はおよそ15秒から30秒、および冷却に要する時間は120秒程度であった。
【表1】
【0020】
上述の実験条件によって超弾性ワイヤを加熱・冷却する過程において、その温度と伸びの予応力毎の履歴を
図8に示す。特にここでは、予応力を与えた際の公称ひずみを縦軸として表記している。これを観ると、加熱による僅かな伸びが観察できる予応力が小さな条件に対して、予応力が40Nの条件では加熱直後から収縮が発生しており、これが加熱温度が35℃まで達した時点で公称ひずみ−0.045まで達している。この収縮量は、このまま加熱温度が45℃まで到達しても増加量は少ないが、電圧の供給を止めて冷却過程に入った直後からは収縮が元に戻る挙動となっている。
【0021】
さらに50Nの予応力条件では、40Nの条件と同様に加熱直後から収縮が発生するが、収縮量そのものは40Nの場合より小さな−0.015程度の公称ひずみまでとなっている。冷却過程に関しては、40Nの条件と同様に冷却開始直後から元に戻る挙動が観察された。また60Nの予応力条件では、加熱直後から収縮し始めるものの40Nや50Nの場合と比べて変化は小さい一方で、冷却過程に関しては冷却開始直後から同様の元に戻る挙動が観察されている。これら40Nから60Nまでの実験においては、最終的なひずみに差が出ているが、今回の実験ではこれらに定性的な結果は観察されなかった。
【0022】
以上の結果から、予応力条件下にある超弾性ワイヤの加熱による変形挙動に関しては、予応力が小さい条件では金属で一般的に観られる熱ひずみによる伸びが観られるものの、予応力が大きい条件では加熱によって大きな収縮が発生する。ただし、より予応力が大きい条件では加熱による収縮量が小さくなる場合もあることから、予応力条件と加熱による収縮量とには複雑な相関性があると考えられる。
【0023】
上述の能動変形のメカニクスを基にして、超弾性ワイヤをアクチュエータとして用いた場合の特徴としては、張力を持たせた状態において、加熱により収縮、冷却により伸長する2方向性を有するアクチュエータとなり、張力条件下で逆変態が生じることから、ワイヤ等の線材の2方向性アクチュエータとして利用できる。また、本来の超弾性効果により、柔軟性を併せ持つアクチュエータを実現できる。また、金属系の材料であるため、高分子系やイオン系アクチュエータより大きな力を発生させることができる。
【0024】
図9に示すように、本実施形態のアクチュエータ1は、支柱2と、可動部材としてのレバー3と、一対の線状部材としてのワイヤ4a,4bとを備えている。支柱2は、金属材料もしくはプラスチック材料等でなり、床面5に立設されている。レバー3は、金属材料もしくはプラスチック材料等でなり、棒状の操作部3aと、この操作部3aの端部に一体的に設けられた円盤状の回転部3bとを有している。そして、レバー3は、回転部3bの中心が支柱2の上端に回転自在に取り付けられており、一方向として時計回りおよび他方向として反時計回りの2方向に回転動作可能となっている。
【0025】
一対のワイヤ4a,4bは、Ti−Ni超弾性合金でなり、レバー3に2方向に夫々延在するように、且つ同一の張力を持たせて取付けられている。すなわち、一方向側のワイヤ4aは、一端が回転部3bの円周上の図示右側の点Paに固定され、他端が点Paから垂直下方の床面5上の点Qaに固定され、他方向側のワイヤ4bは、一端が回転部3bの円周上の図示左側の点Pbに固定され、他端が点Pbから垂直下方の床面5上の点Qbに固定されている。また、
図10に示すように、比較例のアクチュエータ10は、
図9に示す本実施形態のアクチュエータ1と比較して、一対のワイヤ14a,14bが形状記憶合金でなる点以外は同一の構成であり、同一構成は同一番号を付して詳細な説明は省略する。
【0026】
このような構成の本実施形態のアクチュエータ1の第1の動作について説明する。
図9(A)に示すように、初期状態においては、一対のワイヤ4a,4bには共に、引張応力σ
0が掛かっており、ひずみε
0が生じているとする。すなわち、一定の引張応力σ
0下でひずみεが変化する範囲において略中間のひずみε
0が生じているとする。このとき、レバー3は、操作部3aが垂直上方を向いた中立位置Cに静止している。
【0027】
そして、
図9(B)に示すように、レバー3の操作部3aの先端に時計回りの負荷Fを掛けると、レバー3の回転部3bが時計回りに回転するため、一方向側のワイヤ4aは収縮し、他方向側のワイヤ4bは伸長する。よって、一方向側のワイヤ4aのひずみεは初期のひずみε
0よりも小さいひずみε
1に変化するため、一方向側のワイヤ4aの引張応力σは初期の引張応力σ
0より小さい引張応力σ
1に変化する。すなわち、引張応力σの増減に伴ってひずみεも増減する範囲においてひずみε
1に対応した引張応力σ
1に変化する。
【0028】
一方、他方向側のワイヤ4bのひずみεは初期のひずみε
0よりも大きいひずみε
2に変化するが、他方向側のワイヤ4bの引張応力σは初期の引張応力σ
0と同一の引張応力σ
0のままとする。すなわち、一定の引張応力σ
0下でひずみεが変化する範囲において最大のひずみε
2が生じているとする。このとき、引張応力σ
0と引張応力σ
1との差が負荷Fによる応力となる。
【0029】
そして、
図9(C)に示すように、レバー3の操作部3aの先端に掛けた負荷Fを除荷すると、一方向側のワイヤ4aは伸長し、他方向側のワイヤ4bは収縮し、レバー3の回転部3bが反時計回りに回転する。よって、一方向側のワイヤ4aのひずみεは負荷時のひずみε
1よりも大きいひずみε
3に変化するため、一方向側のワイヤ4aの引張応力σは負荷時の引張応力σ
1より大きい引張応力σ
3となる。すなわち、引張応力σの増減に伴ってひずみεも増減する範囲においてひずみε
3に対応した引張応力σ
3となる。
【0030】
一方、他方向側のワイヤ4bのひずみεは負荷時のひずみε
2よりも小さいひずみε
4に変化するため、他方向側のワイヤ4bの引張応力σは負荷時の引張応力σ
0より小さい引張応力σ
4となる。すなわち、引張応力σの増減に伴ってひずみεも増減する範囲においてひずみε
4に対応した引張応力σ
4となる。このとき、引張応力σ
3と引張応力σ
4とは同一である。
【0031】
よって、レバー3の操作部3aは中立位置Cまでは戻らず途中の一方向側の所定位置Caに静止することになる。なお、レバー3の操作部3aを一方向側の所定位置Caから中立位置Cに戻すためには、レバー3の操作部3aに反時計回りの負荷を掛けた後に該負荷を除荷すればよい。以上より、超弾性合金でなるワイヤ4a,4bは、負荷・除荷により繰り返し駆動が必要なアクチュエータ1に対し使用することができる。
【0032】
これに対し、比較例のアクチュエータ10の第1の動作について説明する。
図10(A)に示すように、初期状態においては、一対のワイヤ14a,14bには共に、引張応力σ
10が掛かっており、ひずみε
10が生じているとする。すなわち、一定の引張応力σ
10下でひずみεが変化する範囲において略中間のひずみε
10が生じているとする。このとき、レバー3は、操作部3aが垂直上方を向いた中立位置Cに静止している。
【0033】
そして、
図10(B)に示すように、レバー3の操作部3aの先端に時計回りの負荷Fを掛けると、レバー3の回転部3bが時計回りに回転するため、一方向側のワイヤ14aは収縮し、他方向側のワイヤ14bは伸長する。よって、一方向側のワイヤ14aのひずみεは初期のひずみε
10よりも小さいひずみε
11に変化するため、一方向側のワイヤ14aの引張応力σは略0に変化する。すなわち、略0の引張応力下でひずみεが変化する範囲において小さいひずみε
11が生じている。一方、他方向側のワイヤ14bのひずみεは初期のひずみε
10よりも大きいひずみε
12に変化するが、他方向側のワイヤ14bの引張応力σは初期の引張応力σ
10と同一の引張応力σ
10のままとなる。すなわち、一定の引張応力σ
10下でひずみεが変化する範囲において最大のひずみε
12が生じている。
【0034】
そして、
図10(C)に示すように、レバー3の操作部3aの先端に掛けた負荷Fを除荷すると、一方向側のワイヤ14aは伸長し、他方向側のワイヤ14bは収縮し、レバー3の回転部3bが反時計回りに回転する。よって、一方向側のワイヤ14aのひずみεは負荷時のひずみε
11よりも大きいひずみε
13に変化するが、一方向側のワイヤ14aの引張応力σは負荷時の引張応力と同一の略0のままとなる。すなわち、略0の引張応力下でひずみεが変化する範囲においてひずみε
13に対応した略0の引張応力となる。
【0035】
一方、他方向側のワイヤ14bのひずみεは負荷時のひずみε
12よりも小さいひずみε
14に変化するため、他方向側のワイヤ14bの引張応力も略0となる。すなわち、略0の引張応力下でひずみεが変化する範囲においてひずみε
14に対応した略0の引張応力となる。この結果、一方向側のワイヤ14aには弛みが生じることになる。よって、形状記憶合金でなるワイヤ14a,14bは、負荷・除荷により繰り返し駆動が必要なアクチュエータ10に対し原理的に使用することができない。
【0036】
次に、本実施形態のアクチュエータ1の第2の動作について説明する。
図11(A)に示すように、初期状態においては、一対のワイヤ4a,4bには共に、引張応力σ
0が掛かっており、ひずみε
0が生じているとする。すなわち、一定の引張応力σ
0下でひずみεが変化する範囲において略中間のひずみε
0が生じているとする。このとき、レバー3は、操作部3aが垂直上方を向いた中立位置Cに静止している。
【0037】
そして、
図11(B)に示すように、一方向側のワイヤ4aを加熱すると、一方向側のワイヤ4aのヒステリシス曲線は上方にシフトするため、一方向側のワイヤ4aの引張応力σは初期の引張応力σ
0と同一の引張応力σ
0のままで、一方向側のワイヤ4aのひずみεは初期のひずみε
0よりも小さいひずみε
5に変化する。すなわち、引張応力σ
0のまま、一方向側のワイヤ4aは収縮する。一方、一方向側のワイヤ4aの収縮により、他方向側のワイヤ4bは引っ張られる。他方向側のワイヤ4bのひずみεは初期のひずみε
0よりも大きいひずみε
2に変化するが、他方向側のワイヤ4bの引張応力σは初期の引張応力σ
0と同一の引張応力σ
0のままとなる。すなわち、一定の引張応力σ
0下でひずみεが変化する範囲において最大のひずみε
2が生じている。一方向側のワイヤ4aが収縮し、他方向側のワイヤ4bが伸長するので、レバー3の回転部3bが時計回りに回転し、レバー3の操作部3aの先端も時計回りに回転する。
【0038】
そして、
図11(C)に示すように、一方向側のワイヤ4aを冷却すると、一方向側のワイヤ4aのヒステリシス曲線は下方にシフトするが、一対のワイヤ4a,4bはそのままの状態を維持するので、レバー3の回転部3bは時計回りに回転した状態を維持することになり、レバー3の操作部3aは一方向側の所定位置Cbに静止することになる。なお、レバー3の操作部3aを一方向側の所定位置Cbから中立位置Cに戻すためには、他方向側のワイヤ4bを加熱すればよい。
【0039】
よって、超弾性合金でなるワイヤ4a,4bは、加熱・冷却により繰り返し駆動が必要なアクチュエータ1に対し原理的に使用することができる。なお、比較例のアクチュエータ10においては、上述の第2の動作の場合は同様に動作するので、形状記憶合金でなるワイヤ14a,14bは、加熱・冷却により繰り返し駆動が必要なアクチュエータ10に対し原理的に使用することができる。しかし、超弾性合金でなるワイヤ4a,4bは加熱温度が低く、耐久性が高く、組成調整が不要であるのに対して、形状記憶合金でなるワイヤ14a,14bは加熱温度が高く、耐久性が低く、製造方法・組成調整が必要となるという欠点がある。
【0040】
超弾性合金の材質としては、Ti−Ni合金、Cu−Zn−Al合金、Fe−Mn−Si合金、Fe−Ni−Co合金などを採用することができる。
【0041】
アクチュエータの構造としては上述した構造に限定されない。このほか、アクチュエータの構造としては、移動体の両側に一対のワイヤを張って移動体を直線状に往復移動させ、あるいは支柱の元端部を床面に固定し支柱の先端部の両側に一対のワイヤを張って支柱の先端部を曲げ、あるいは丸棒の元端部を壁面に固定し先端部の周面両側に一対のワイヤを張って丸棒の先端部をねじるように構成してもよい。また、他方向側にバネなどを採用し、一方向の超弾性ワイヤで構成することもできる。
【0042】
超弾性合金の加熱温度は0〜300℃の範囲内にあることが好ましい。加熱温度が0℃以上であると、水冷できるという利点がある。加熱温度が300℃以下であると、大気中で酸化を防げるという利点がある。