【0065】
紫外線吸収剤及び光安定剤としては、以下のものが挙げられる。
2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類。例えば、5'メチル−誘導体(チバ・ジャパン(株)製 TV−P)、3',5'−ジ−t−ブチル−、5'−t−ブチル−、5'−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−、5−クロロ−3',5'−ジ−t−ブチル−、5−クロロ−3'−t−ブチル−5'−メチル、3'−s−ブチル−5'−t−ブチル、4'−オクトキシ−、3',5'−ジ−第三アミル−、3',5'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−、3'−t−ブチル−5'−2−(ω−ヒドロキシ−オクタ−(エチレンオキシ)−カルボニルエチル)−、3'−ドデシル−5'−メチル−、3'−t−ブチル−5'−(2−オクチルオキシカルボニル)−エチル、ドデシル化−5'−メチル−誘導体。
2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン類。例えば、4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクトキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2',4'−トリヒドロキシ−、2'−ヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ誘導体。
立体障害性アミン類。例えば、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)((株)ADEKA製 LS770)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(チバ・ジャパン(株)製 TV−292)、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(チバ・ジャパン(株)製 TV−123)、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン(チバ・ジャパン(株)製 TV−152)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−第三オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−s−トリアジンとの縮合生成物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,1'−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)。
ヒドロキシフェニル−s−トリアジン類。例えば、2,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−4−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン、2,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−6−フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−6−(4−ブロモフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル〕−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン。
その他、2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン誘導体、ニッケル化合物、シュウ酸ジアミド類。
【実施例】
【0073】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を表す。
【0074】
(1)単量体(a1)の同定
単量体(a1)の構造の確認には、
1H−NMR JNM−EX270(日本電子(株)製、商品名)を用いた。単量体(a1)を重水素化クロロホルムに溶解させ、ピークの積分強度及びピーク位置から、化合物を同定した。測定温度は25℃、積算回数は16回である。
【0075】
(2)重合転化率
単量体の重合転化率の確認には、
1H−NMR JNM−EX270(日本電子(株)製、商品名)を用いた。単量体(a1)とメチルメタクリレートとの共重合では、単量体と重合体由来のアルコキシル基の水素と、単量体由来のC−C二重結合の水素に帰属されるピークの積分比から重合転化率を計算した。
【0076】
(3)外観
成型体を目視で観察し、着色の有無を判断した。
【0077】
(4)ガラス転移温度(Tg)
Tgは、SIIナノテクノロジー社製、DSC6220(商品名)を使用した。測定は窒素雰囲気下、200℃で3分間メルトクエンチし、20℃から250℃まで、10℃/分で昇温した。
【0078】
(5)数平均分子量(Mn)及び分子量分布(PDI)
GPC(東ソー(株)製、HLC−8220(商品名)、カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER HZ−L(4.6×35mm)、TSK−GEL SUPER HZM−N(6.0×150mm)×2直列接続、溶離液:クロロホルム、測定温度:40℃、流速:0.6mL/分)を用い、ポリメチルメタクリレートをスタンダードとして測定した。
【0079】
(6)耐候性試験(条件1)
成型体を40mm×40mmに切断し、表面を中性洗剤で洗浄後、メタルウェザー KU−R5N−A(ダイプラ・ウィンテス社製、商品名)により、照射強度80mw/cm
2、63℃で344時間、耐候性試験を行なった。耐候性試験前後の透過スペクトルを、分光光度計 MCPD−3000(大塚電子(株)製、商品名)により測定し、黄色度を測定した。測定値は、以下の式に従い、サンプルの厚さにより補正を行なった。
黄色度(補正値)=黄色度(測定値)/板厚(mm)
また、耐候性試験前後の黄色度(補正値)の差を求め、黄色度の「変位」とした。
【0080】
(7)耐候性試験(条件2)
成型体を30mm×30mmに切断し、表面を中性洗剤で洗浄後、メタルウェザー KW−R5TP−A(ダイプラ・ウィンテス社製、商品名)により、照射強度110mw/cm
2、65℃で16時間保持した後、照射強度0mw/cm
2、65℃で2時間保持し、その後、試験片表面を10秒間水洗し、照射強度0mw/cm
2、30℃で6時間保持し、試験片表面を10秒間水洗する工程を18回繰り返し、432時間の耐候性試験を行なった。耐候性試験前後の透過スペクトルを、分光光度計 MCPD−3000(大塚電子(株)製、商品名)により測定し、黄色度を測定した。測定値は、以下の式に従い、サンプルの厚さにより補正を行なった。
黄色度(補正値)=黄色度(測定値)×3/板厚(mm)
また、耐候性試験前後の黄色度(補正値)の差を求め、黄色度の「変位」とした。
【0081】
(合成例1)単量体(a1−1)の合成
テトラヒドロフラン(THF)200mL中、トリエチルアミン30.3g(300mmol)及び、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド(TEMPOL)34.4g(200mmol)が溶解した溶液に、無水酢酸25.5g(250mmol)を0℃で添加した。25℃に昇温して12時間反応させた後、回転エバポレーターで濃縮した。残渣を氷水1リットルに投入し、析出した橙色固体を濾取して、4−アセチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド33.8gを得た。
【0082】
4−アセチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド21.4g(100mmol)を、オクタン200mLに溶解し、酸化モリブデン(VI)0.9g(6mmol)を加え、加熱還流して脱水した。共沸により脱水しつつ、t−ブチルハイドロパーオキサイド70%水溶液19.2g(150mmol)を9時間かけて滴下し、反応させた。室温まで冷却後、飽和重亜硫酸ナトリウム水溶液30mlを徐々に加え、未反応の過酸化物を失活させた。有機層を回転エバポレーターで濃縮した後、残渣をエタノール100mLに溶解させ、6.7g(150mmol)の水酸化カリウムを加えて、25℃で2時間反応させた。
【0083】
混合物を回転エバポレーターで濃縮し、残渣に水200mLを加え、総計200mLのジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮した後、ジクロロメタン20mL及びトリエチルアミン10mLに溶解させ、メタクリロイルクロリド10.5g(100mmol)を、0℃で添加し、1時間反応させた。混合物を回転エバポレーターで濃縮し、残渣に水200mLを加え、総計200mLの酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=20/1 体積比)によって精製し、無色の液体を26.3g得た(収率74.4%)。
【0084】
1H−NMRの測定により、生成物が単量体(a1−1)であることを確認した。
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm):0.89(m、6H),1.17(m、10H),1.18(s、6H),1.21(s、6H),1.61(m、2H),1.85(m、2H),1.92(s、3H),3.60−3.93(m、1H),5.07(m、1H),5.53(s、1H),6.03(s、1H)
【0085】
単量体(a1−1)の構造を、下記式(4)に示す。
【化7】
【0086】
(式(4)中、Ocは下式(5)〜(7)の構造である。以下、下式(5)〜(7)を「Oc」と表す。)
【0087】
【化8】
【0088】
【化9】
【0089】
【化10】
【0090】
(合成例2)単量体(a1−2)の合成
ジクロロメタン100mL中、トリエチルアミン48.6g(480mmol)及び、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド(TEMPOL)68.9g(400mmol)が溶解した溶液に、トリメチルシリルクロリド47.8g(440mmol)を0℃で添加した。25℃に昇温して2時間反応させた後、回転エバポレーターで濃縮した。残渣に水500mlを加え、総計500mlの酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮し、残渣をヘキサンに溶解し、再結晶により、4−トリメチルシリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド96.2gを得た。
【0091】
切削屑状マグネシウム4.6g(190mmol)、脱水THF100ml、ヨウ素10mgを反応容器に入れ、容器内をアルゴンで置換した後、1−ブロモプロパン23.4g(190mmol)を、容器内の温度を55℃から65℃に保ちつつ滴下し、Grignard反応剤を調製した。
【0092】
別の反応容器中で、4−トリメチルシリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド96.2g(394mmol)を、脱水THF100mlに溶解し、調製したGrignard反応剤を0℃で滴下した。3時間反応させた後、溶液を回転エバポレーターで濃縮した。残渣に500mlの水を加え、総計500mlの酢酸エチルで抽出し、有機層を回転エバポレーターで濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=20/1 体積比))によって精製し、1−(1−プロピル)オキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−トリメチルシリルオキシピペリジン38.5gを得た。
【0093】
1−(1−プロピル)オキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−トリメチルシリルオキシピペリジン38.5gをメタノール300mlに溶解し、炭酸カリウム0.14g(0.1mmol)を加えて3時間反応させた後、溶液を回転エバポレーターで濃縮した。残渣に水300mlを加え、総計300mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮し、残渣をジクロロメタン20ml、トリエチルアミン20mlに溶解し、メタクリロイルクロリド14.1g(135mmol)を0℃で滴下した。1時間反応させた後、析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別し、溶液を回転エバポレーターで濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=20/1 体積比)によって精製し、無色の液体を29.7g得た(収率26.2%)。
【0094】
1H−NMRの測定により、生成物が単量体(a1−2)であることを確認した。
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm):0.94(t、3H),1.21(s、12H),1.53(m、2H),1.61(m、2H),1.86(m、2H),1.92(s、3H),3.70(t、2H),5.07(m、1H),5.53(s、1H),6.06(s、1H)
【0095】
単量体(a1−2)の構造を、下記式(8)に示す。
【0096】
【化11】
【0097】
(合成例3)単量体(a1−3)の合成
THF100mL中、トリエチルアミン20.2g(200mmol)及び、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−(2−ヒドロキシ)エトキシ)エトキシピペリジン−N−オキシド26.0g(100mmol)が溶解した溶液に、無水酢酸12.3g(120mmol)を0℃で添加した。25℃に昇温して12時間反応させた後、回転エバポレーターで濃縮した。残渣に水500mlを加え、総計500mlの酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1/1 体積比)によって精製し、2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−(2−アセチルオキシ)エトキシ)エトキシピペリジン−N−オキシド5.6g(22mmol)を得た。
【0098】
2,2,6,6−テトラメチル−4−(2−(2−アセチルオキシ)エトキシ)エトキシピペリジン−N−オキシド3.0g(10mmol)を、オクタン100mLに溶解し、酸化モリブデン(VI)0.07g(0.5mmol)を加え、加熱還流して脱水した。共沸により脱水しつつ、t−ブチルハイドロパーオキサイド70%水溶液12.8g(100mmol)を6時間かけて滴下し、反応させた。室温まで冷却後、飽和重亜硫酸ナトリウム水溶液20mlを徐々に加え、未反応の過酸化物を失活させた。有機層を回転エバポレーターで濃縮した後、残渣をエタノール15mLに溶解させ、0.6g(15mmol)の水酸化ナトリウムを加えて、25℃で2時間反応させた。
【0099】
混合物を回転エバポレーターで濃縮し、残渣に水100mLを加え、総計100mLのジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮した後、トリエチルアミン10mLに溶解させ、メタクリロイルクロリド1.1g(10mmol)を、0℃で添加し、1時間反応させた。混合物を回転エバポレーターで濃縮し、残渣に水50mLを加え、総計50mLの酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=3/1 体積比)によって精製し、無色の液体を1.9g(3.1mmol)得た(収率3.1%)。
【0100】
1H−NMRの測定により、生成物が単量体(a1−3)であることを確認した。
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm):0.89(m、6H),1.14(s、12H),1.28(m、10H),1.35−1.47(m、2H),1.63−1.84(m、2H),1.95(s、3H),3.54−3.87(m、2H),3.61(m、4H),3.75(t、2H),4.30(t、2H),5.57(s、1H),6.14(s、1H)
【0101】
単量体(a1−3)の構造を、下記式(9)に示す。
【0102】
【化12】
【0103】
(合成例4)単量体(a1−4)の合成
合成例1に記載の方法で合成した4−アセチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド6.4g(30mmol)を、オクタン100mLに溶解し、酸化モリブデン(VI)0.1g(0.7mmol)を加え、加熱還流して脱水した。共沸により脱水しつつ、t−ブチルハイドロパーオキサイド70%水溶液12.8g(100mmol)を6時間かけて滴下し、反応させた。室温まで冷却後、飽和重亜硫酸ナトリウム水溶液50mlを徐々に加え、未反応の過酸化物を失活させた。有機層を回転エバポレーターで濃縮した後、残渣をエタノール50mLに溶解させ、2.8g(50mmol)の水酸化カリウムを加えて、25℃で4時間反応させた。
【0104】
混合物を回転エバポレーターで濃縮し、残渣に水100mLを加え、総計100mLのジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮した。残渣に、テトラヒドロフラン20ml、トリエチルアミン4.0g(40mmol)、無水コハク酸3.0g(30mmol)を加え、70℃にて4時間撹拌を続けた。4時間後、回転エバポレーターで濃縮し、残渣に飽和塩化アンモニウム水溶液を100ml加え、総計100mlの酢酸エチルで抽出した。
【0105】
有機層を回転エバポレーターで濃縮し、残渣に2−ヒドロキシエチルメタクリレート3.9g(30mmol)、N,N'−ジメチル−4−アミノピリジン0.24g(2mmol)、ジクロロメタン5mlを加え、0℃において、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド6.2g(30mmol)をジクロロメタン20mlに溶解した溶液を滴下し、4時間反応させた。4時間後、析出した固体を濾別し、濾液を回転エバポレーターで濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=5/1 体積比)によって精製し、無色の液体を5.58g得た(収率56.1%)。
【0106】
1H−NMRの測定により、生成物が単量体(a1−4)であることを確認した。
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm):0.89(m、6H),1.15(s、6H),1.18(s、6H),1.29(m、10H),1.30−1.41(m、2H),1.59−1.82(m、2H),1.95(s、3H),2.62(m、4H),3.73(m、1H),4.35(s、4H),5.02(m、1H),5.60(s、1H),6.13(s、1H)
【0107】
単量体(a1−4)の構造を、下記式(10)に示す。
【0108】
【化13】
【0109】
(合成例5)単量体(a1−5)の合成
2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシド17.8g(100mmol)をアセトン100mlに溶解し、30%過酸化水素水溶液34g(300mmol)を10分以上かけてゆっくり添加した。5℃まで冷却しながら、塩化銅(I)0.49g(5.0mol%)を添加し、反応混合物の温度を5℃から55℃の間に保持した。15分後、35%塩酸を0.5g添加し、反応混合物を室温において2時間撹拌した。2時間後、4mol/Lの重亜硫酸ナトリウム水溶液50ml、飽和炭酸水素カリウム水溶液100mlを加え、300mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮し、1−メチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンを得た。
【0110】
得られた1−メチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンをジクロロメタン50ml、トリエチルアミン50mlに溶解し、メタクリロイルクロリド10.4g(100mmol)を0℃にてゆっくり添加した。徐々に室温まで昇温しつつ、1時間反応させた。1時間後、反応混合物を回転エバポレーターで濃縮し、残渣に水300mlを加え、酢酸エチル300mlで抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=10/1体積比)によって精製して、無色の液体を19.0g得た(収率74.3%)。
【0111】
1H−NMRの測定により、生成物が単量体(a1−5)であることを確認した。
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm):1.19(s、6H),1.23(s、6H),1.60(m、2H),1.87(m、2H),1.92(s、3H),3.62(s、3H),5.07(m、1H),5.53(s、1H),6.06(s、1H)
【0112】
単量体(a1−5)の構造を、下記式(11)に示す。
【0113】
【化14】
【0114】
(合成例6)単量体(a1−6)の合成
合成例1に記載の方法で合成した、4−アセチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド4.3g(20mmol)をクメン200mlに溶解し、t−ブチルパーオキサイド11.7g(80mmol)をゆっくり添加した。30分間窒素バブリングした後、Heraeus社製UV理化学反応装置(System1)に移した。TQ150型のランプを用いて10分間光照射を行ない、反応させた。反応混合物を回転エバポレーターで濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=5/1体積比)によって精製して、1−クミルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−アセチルオキシピペリジン5.5gを得た(収率82.3%)。
【0115】
得られた1−クミルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−アセチルオキシピペリジンをメタノール30mlに溶解し、水酸化ナトリウム1.0g(25mmol)を加えて室温で40分間撹拌した。残渣に水100mlを加え、200mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮し、残渣を4mlのトリエチルアミンに溶解した。メタクリロイルクロリド1.9g(18mmol)を0℃にてゆっくり添加し、徐々に室温まで昇温しつつ、1時間反応させた。1時間後、反応混合物を回転エバポレーターで濃縮し、残渣に水100mlを加え、酢酸エチル200mlで抽出した。有機層を回転エバポレーターで濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=10/1体積比)によって精製して、無色の結晶を3.5g得た。(収率65.3%)
【0116】
1H−NMRの測定により、生成物が単量体(a1−6)であることを確認した。
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm):0.89(s、6H),1.21(s、6H),1.56(t、2H),1.61(s、6H),1.87(m、2H),1.91(s、3H),5.06(m、1H),5.52(s、1H),6.05(s、1H),7.20(t、1H),7.30(t、2H),7.47(d、2H)
【0117】
単量体(a1−6)の構造を、下記式(12)に示す。
【0118】
【化15】
【0119】
(製造例1)単量体(a1−1)とメチルメタクリレートの共重合体(b−1)
単量体(a1−1)17.7g(50mmol)、メチルメタクリレート(MMA)45.1g(450mmol)、オクチルメルカプタン0.6g、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.3gを、トルエン200mlに溶解し、75℃にて、窒素雰囲気下で4時間重合した。得られた重合体溶液をメタノールで再沈殿し、85℃で減圧乾燥し、重合体(b−1)を得た。重合体(b−1)は、Mn1.68万、PDI1.44であり、収量35.7gであった(収率56.9%)。
【0120】
(製造例2)単量体(a1−2)とMMAの共重合体(b−2)
単量体(a1−2)12.8g(50mmol)、MMA45.1g(450mmol)、オクチルメルカプタン0.6g、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.3gを、トルエン200mlに溶解し、75℃にて、窒素雰囲気下で4時間重合した。得られた重合体溶液をメタノールで再沈殿し、85℃で減圧乾燥し、重合体(b−2)を得た。重合体(b−2)は、Mn1.89万、PDI1.39であり、収量27.7gであった(収率47.9%)。
【0121】
(製造例3)単量体(a1−2)とMMAの共重合体(b−3)
単量体(a1−2)7.7g(30mmol)、MMA27.0g(270mmol)、オクチルメルカプタン0.6g、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.16gを、トルエン100mlに溶解し、75℃にて、窒素雰囲気下で4時間重合した。得られた重合体溶液をメタノールで再沈殿し、85℃で減圧乾燥し、重合体(b−3)を得た。重合体(b−3)は、Mn0.83万、PDI1.66であり、収量22.1gであった(収率63.8%)。
【0122】
(製造例4)単量体(a1−2)とMMAの共重合体(b−4)
単量体(a1−2)7.7g(30mmol)、MMA27.0g(270mmol)、オクチルメルカプタン1.5g、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.16gを、トルエン100mlに溶解し、75℃にて、窒素雰囲気下で4時間重合した。得られた重合体溶液をメタノールで再沈殿し、85℃で減圧乾燥し、重合体(b−4)を得た。重合体(b−4)は、Mn0.52万、PDI1.42であり、収量19.8gであった(収率57.1%)。
【0123】
(実施例1〜3)
MMA、単量体(a1)を、表1に記載の比率で混合して単量体混合物とした。単量体混合物中の単量体(a1)の含有率(モル%)を表1に示す。単量体混合物に、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレートを0.35部、離型剤としてスルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム0.015部を添加した。この混合物を減圧脱気した後、ポリ塩化ビニル製ガスケットを介して1.2mmの間隔で相対する2枚の強化ガラス板で形成した型に注入した。
【0124】
型を80℃の温水中に30分間浸漬して第1段目の重合を行ない、130℃の空気加熱炉中で30分間熱処理して第2段目の重合を行なった。80℃に冷却した後、型枠を脱枠して板厚1.0±0.2mmの成型体(1)〜(3)を得た。
【0125】
成型体(1)〜(3)の重合転化率、外観、耐候性試験(条件1)による黄色度を表1に示す。尚、実施例3は、耐候性試験を実施していない。
【0126】
(比較例1〜5)
単量体(a1)を用いず、表1に示したHALSを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、成型体(4)〜(8)を得た。成型体(4)〜(8)の重合転化率、外観、耐候性試験(条件1)による黄色度を表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
表1中の略号:
LA−87:2,2,6,6−テトラメチル−4−メタクリロイルオキシピペリジン((株)ADEKA製 LA−87)
LA−82:1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−メタクリロイルオキシピペリジン((株)ADEKA製 LA−82)
LS770:セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)((株)ADEKA製 LS770)
TV−292:セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(チバ・ジャパン(株)製 TV−292)
*LS−770、TV−292は、ピペリジン骨格を有するヒンダードアミン構造(以下、「HALS部位」という。)を分子内に2つ持つため、HALS部位として0.10モル%添加されている。
【0129】
(実施例4〜25、比較例6〜11)
表2及び表3に示した各原料を用い、強化ガラス板の間隔を3.6mmとし、t−ヘキシルパーオキシピバレートの量を0.19部とする以外は、実施例1と同様にして、板厚3.0±0.2mmの成型体(9)〜(36)を得た。
【0130】
成型体(9)〜(36)の重合転化率、外観、Tg、耐候性試験(条件2)による黄色度を表2及び表3に示す。尚、Tg及び耐候性試験の結果を示していない箇所は、未測定である。
【0131】
【表2】
【0132】
【表3】
【0133】
表2及び3中の略号:
PMMA:MMA重合体(三菱レイヨン(株)製、VHK000)
TV−123:ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(チバ・ジャパン(株)製 TV−123)
TV−152:2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン(チバ・ジャパン(株)製 TV−152)
TV−P:2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(チバ・ジャパン(株)製 TV−P)
* TV−123,TV−152は、HALS部位を分子内に2つ持つため、HALS部位のモル数は添加モル数の2倍である。
** 成型体26は、着色に加えて、濁りが見られた(比較例9)。
【0134】
(実施例26〜29、比較例12〜18)
表4に示した各原料を用い、第2段目の重合温度を130℃×30分に替えて、表4に記載の重合温度×30分としたこと以外は、実施例4と同様にして、成型体を得た。
得られた成型体の透過スペクトルを、分光光度計 MCPD−3000(大塚電子(株)製、商品名)により測定し、黄色度を測定した。測定値は、以下の式に従い、サンプルの厚さにより補正を行なった。
黄色度(補正値)=黄色度(測定値)×3/板厚(mm)
成型体の外観、黄色度を表4に示す。
【0135】
(参考例1〜3)
表4に示した各原料を混合して混合体を得た。混合体に重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.35部を添加した。これを、ガラス性容器に投入し、減圧脱気した後、容器内を窒素置換し、80℃で2時間加熱して重合した。得られた重合体を適宜切断した後、小型射出成型機 CS−183−MMX(カスタム・サイエンティフィック・インスツルメンツ社製)に供給し、シリンダー温度260℃の条件で10分間保持した後、10mm×20mm×2mmの金型を用いて、金型温度60℃にて射出成型し、成型体を作製した。
得られた成型体の透過スペクトルを、実施例26と同様に測定し、黄色度(補正値)を求めた。参考例1〜3では、補正により、成型体の板厚3mm相当での黄色度を求めた。
射出成型で作成した成型体の外観、黄色度を表4に示す。
【0136】
【表4】
【0137】
表4中の略号:
PMMA:MMA重合体(三菱レイヨン(株)製、VHK000)
TV−123:ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(チバ・ジャパン(株)製 TV−123)
* TV−123は、HALS部位を分子内に2つ持つため、HALS部位として0.30モル%添加されている。
【0138】
(実施例30〜37)
表5に示した各原料を用い、実施例4と同様にして、板厚3.0±0.2mmの成型体(51)〜(58)を得た。
得られた成型体の透過スペクトルを、実施例26と同様に測定し、黄色度(補正値)を求めた。
成型体(51)〜(58)の重合転化率、外観、黄色度を表5に示す。
【0139】
【表5】
【0140】
表5中の略号:
PMMA:MMA重合体(三菱レイヨン(株)製、VHK000)
【0141】
表1〜5から明らかなように、本発明の製造方法で得られた成型体は、黄色度が低く、外観が良好であった。一方、210℃を超える温度で重合した成型体の中で、単量体(a1)を用いたものは、成型体の黄色度が高く、外観が不良であった(比較例12)。210℃を超える温度で射出成型して得た成型体の中で、単量体(a1)を用いたものは、成型体の黄色度が高く、外観が不良であった(参考例1、2)。本発明の単量体(a1)とは異なる構造の、単量体(a1−6)を用いた成型体は、重合温度が130℃であっても、成型体の黄色度が高く、外観が不良であった(比較例6)。
【0142】
表1〜3から明らかなように、本発明の製造方法で得られた成型体は、耐候性試験前後での黄色度の変位が小さく、良好な耐候性を示した。一方、単量体(a1)を用いなかったものは、耐侯性試験前後での黄色度の変位が大きく、耐侯性が不良であった(比較例1〜5、7、8、10、11)。
【0143】
表2から明らかなように、非重合性のNOR−HALSであるTV−123又はTV152を用いた成型体(比較例7、8、10)は、重合性NOR−HALSである単量体(a1)を用いた成型体のうち、HALS部位を同じモル量含有するもの(実施例5、6)に比べて、耐候性試験前後での黄色度の変位が大きく、耐候性が不良であった。
【0144】
表2から明らかなように、本発明の製造方法で得られた成型体(実施例7、14)は、非重合性のNOR−HALSであるTV123を含有する成型体(比較例9)に比べてTgの低下が少なく、耐熱性が良好であった。