【文献】
村尾 和哉,自己相関を用いた加速度データの定常性判定による運動中のジェスチャ認識手法,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム論文集,日本,社団法人情報処理学会,2009年 7月 8日,Vol.2009 No.1 [CD-ROM],P.1380-1387
【文献】
岩本 健嗣,環境カメラと携帯端末を用いた位置特定手法,情報処理学会研究報告 Vol.2006 No.121,日本,社団法人情報処理学会,2006年11月17日,2006-DPS-129,P.71-76
【文献】
無料通話・メールアプリLINE 友だち追加もカンタン スマートフォンを振って友だちを追加する「ふるふる」,http://line.me/ja/,日本,LINE Corporation,2015年 4月 3日,http://line.me/ja/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、第1の実施形態の電子装置1の概要について説明する。電子装置1は、予め自装置が備える動き検出部11によって検出された自装置の動きと、同じ動きで動かされている他の電子装置を撮像部12により得られた映像から抽出する。
【0014】
その際、電子装置1は、基準位置からの自装置の相対距離を示す情報および映像信号中の他の電子装置の画像領域の移動画素量を示す情報を抽象化し、抽象化されたそれらの情報を正規化し、正規化された2つの情報を比較し、該比較結果に基づいて該正規化された2つの情報が同種の情報であるか否か判定する。これにより、異なるセンサ(動き検出部、撮像部)から得られる信号を比較することができる。
【0015】
図1は、第1の実施形態における電子装置1のブロック構成図である。電子装置1は、検出部10と、制御部20と、通信部30とを備える。
検出部10は、検出の対象から該対象の特徴を示す信号を検出する複数種類の検出部を備える。本実施形態では、一例として、検出部10は、動き検出部11と、撮像部12とを備える。
通信部30は、有線または無線方式で、他の電子装置と通信可能に構成されている。
【0016】
動き検出部11は、自装置の動きを検出し、検出した動きを示す情報を相対距離算出部21に出力する。ここで、動きを示す情報とは、自装置の3次元方向の動きを示す情報である。動き検出部11は、例えば、3次元加速度センサを備える。
撮像部12は、例えば、CCDイメージセンサと、ADC(ADコンバータ)とを備える。撮像部12は、CCDイメージセンサにより被写体である他の電子装置を所定のフレームレート(例えば、1秒間に30フレーム)で撮像し、撮像により得られた信号をADCによりデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号を画像領域抽出部22に出力する。
【0017】
制御部20は、相対距離算出部21と、画像領域抽出部22と、移動画素量算出部23と、抽象化部24と、正規化部25と、記憶部26と、比較判定部27とを備える。
相対距離算出部21は、動き検出部11から入力された動きを示す情報から、所定の時刻における自装置の位置を基準とした自装置の相対距離を時刻毎に算出する。そして、相対距離算出部21は、自装置の相対距離を示す情報を抽象化部24に出力する。
【0018】
画像領域抽出部22は、撮像部12により得られたデジタル信号を用いて、撮像部12により得られた上記所定のフレームレートで撮像された映像から被写体である他の電子装置の画像領域を抽出する。
【0019】
図2は、第1の実施形態における画像領域抽出部22の処理を説明するための図である。同図において、向かって左側に、画像領域(オブジェクト)が抽出される前のk番目(kは正の整数)のフレームの画像の一例が示されている。k番目のフレームの画像内には、5つの電子装置の画像領域41〜45が示されている。
【0020】
同図の向かって右側には、画像領域抽出部22の処理によって抽出された電子装置のそれぞれの画像領域41〜45を構成する座標を要素とするベクトル(それぞれ[X1,Y1]、[X2,Y2]、[X3,Y3]、[X4,Y4]、[X5,Y5])が示されている。
【0021】
ここで、記憶部26には、テンプレートマッチングで参照される電子装置1が撮像された参照画像データが予め記憶されている。
例えば、画像領域抽出部22は、記憶部26からテンプレートマッチングで参照する電子装置1が撮像された参照画像データを読み出す。画像領域抽出部22は、入力されたk番目のフレームの画像データから所定の大きさの画像領域のデータを抽出し、抽出した画像データ(例えば、
図2の画像領域41〜45のデータ)と読み出した参照画像データとのテンプレートマッチングを行う。
【0022】
具体的には、例えば、画像領域抽出部22は、抽出した画像領域のデータと読み出した参照画像データをそれぞれ、所定の数の行と所定の数の列(例えば、3×3)のブロックに分割する。そして、画像領域抽出部22は、分割されたブロック毎に、抽出した画像領域のデータと読み出した参照画像データとの間でRGB(赤、緑、青)それぞれの輝度値の差の絶対値を算出し、その差の絶対値の和を算出する。画像領域抽出部22は、分割されたブロック全てで、当該差の絶対値の和を算出し、その絶対値の和の総和を算出する。
【0023】
そして、画像領域抽出部22は、算出した絶対値の和の総和が所定の閾値よりも小さい場合、抽出した画像領域のデータを電子装置の画像領域として抽出する。
画像領域抽出部22は、この処理を所定の画素ずらしながら画像全体で行う。これにより、画像領域抽出部22は、被写体(ここでは、電子装置)が撮像された各フレームの画像から、その被写体の画像領域を抽出することができる。
画像領域抽出部22は、抽出した被写体の画像領域の画素位置を示す情報を移動画素量算出部23に出力する。
【0024】
移動画素量算出部23は、抽出された各画像領域が所定のフレームにおけるそれぞれの画像領域の画素位置からの画素間隔を移動画素量として算出する。具体的には、例えば、移動画素量算出部23は、各フレームから画像領域抽出部22により抽出された画像領域それぞれについて、重心の画素位置を抽出する。そして、移動画素量算出部23は、所定のフレームにおける重心の画素位置を基準として、その基準となる重心の画素位置から各フレームにおける重心の画素位置がどれだけ離れているかを示す移動画素量を算出する。移動画素量算出部23は、算出した移動画素量を示す情報を抽象化部24に出力する。
【0025】
図3は、第1の実施形態における移動画素量算出部23の処理について説明するための図である。同図において、向かって左側に、上からk−1番目のフレームの画像と、k番目のフレームの画像と、k+1番目のフレームの画像とが示されている。
k−1番目のフレームの画像において、電子装置の画像領域51と、その電子装置の画像領域51の重心の画素位置である基準画素位置54が示されている。
同様に、k番目のフレームの画像において、電子装置の画像領域52が示され、k+1番目のフレームの画像において、電子装置の画像領域53が示されている。
【0026】
同図において、向かって右側に、上からk−1番目のフレームにおける移動画素量0と、k番目のフレームにおける移動画素量250と、k+1番目のフレームにおける移動画素量500とが示されている。
【0027】
同図において、移動画素量算出部23は、一例として、k−1番目のフレームの画像中における電子装置の画像領域51の画素位置を示す情報を受け取り、電子装置の画像領域51の重心の画素位置である基準画素位置54を算出し、移動画素量0を算出する。
同様に、移動画素量算出部23は、一例として、k番目のフレームの画像中における電子装置の画像領域52の画素位置を示す情報を受け取り、電子装置の画像領域52の重心の画素位置を算出し、重心の画素位置が基準画素位置54から離れているピクセル数を移動画素量(ここでは、例として250)として算出する。
【0028】
同様に、移動画素量算出部23は、一例として、k+1番目のフレームの画像中における電子装置の画像領域53の画素位置を示す情報を受け取り、電子装置の画像領域53の重心の画素位置を算出し、重心の画素位置が基準画素位置54から離れているピクセル数を移動画素量(ここでは、例として500)として算出する。
【0029】
図1に戻って、抽象化部24は、入力された情報を抽象化する。詳細には、抽象化部24は、複数種類の検出部によりそれぞれ検出された信号に基づく情報を抽象化する。まず、抽象化部24の処理の概要について説明する。
【0030】
図4を用いて、抽象化部24の処理の一例について説明する。
図4は、動きを示す情報を平滑化する抽象化部24の処理を説明するための図である。同図の向かって左側には、動きを示す情報として、あるフレームにおける自装置の位置を基準位置とした時刻毎の自装置の相対距離が滑らかに繋がれた曲線61が示されている。同図の向かって右側には、抽象化部24により曲線61が平滑化された曲線62が示されている。
【0031】
抽象化部24は、相対距離算出部21から入力された自装置の相対距離を示す情報を抽象化する。具体的には、例えば、抽象化部24は、自装置の相対距離を示す情報が時系列順に並んだデータの自己相関関数を算出し、該算出された自己相関関数に基づいて、自装置の相対距離を示す情報を抽象化する。抽象化部24は、抽象化した相対距離を示す情報を正規化部25に出力する。その処理の詳細は、後述する。
【0032】
図5を用いて、抽象化部24の処理の一例について説明する。
図5は、移動画素量を示す情報を平滑化する抽象化部24の処理を説明するための図である。同図の向かって左側には、移動画素量を示す情報として、時刻毎の移動画素量が滑らかに繋がれた曲線71が示されている。同図の向かって右側には、抽象化部24により曲線71が抽象化された曲線72が示されている。
【0033】
抽象化部24は、移動画素量算出部23から入力された移動画素量を抽象化する。具体的には、例えば、抽象化部24は、被写体である電子装置の移動画素量を時系列順に並んだデータの自己相関関数を算出し、該算出された自己相関関数に基づいて、移動画素量を示す情報を抽象化する。そして、抽象化部24は、抽象化された移動画素量を示す情報を正規化部25に出力する。
【0034】
続いて、抽象化部24の処理の詳細について説明する。まず、抽象化部24により算出される自己相関関数の算出方法について説明する。
図6は、抽象化部24に入力される入力データと抽象化部24により算出される自己相関関数とが示された図である。
図6(a)には、抽象化部24に入力される入力データが繋がれた折れ線81が示されている。ここで、縦軸は振幅、横軸はサンプル数である。
【0035】
図6(b)には、抽象化部24に算出される自己相関関数を示す折れ線82の一例が示されている。ここで、縦軸は自己相関関数の値、横軸はサンプル数である。また、自己相関関数の極大値であるピーク83と、1番目のサンプルからピーク83のサンプルまでが1周期τであることが示されている。
【0036】
例えば、
図6(a)に示された抽象化部24に入力されるn項からなる入力データAが、下記の式(1)で表される。
【0038】
また、
図6(a)に示された入力データAの配列の一部であるm項(m=n/2)の配列A´は、下記の式(2)で表される(nは2以上の偶数、mは正の整数)。
【0040】
ここで、A´は固定である。また、
図6(a)に示された入力データAの配列をt(0≦t≦n/2)だけずらしたm項の配列Bは、下記の式(3)で表される。
【0043】
抽象化部24は、このずらし幅tによって得られる配列A´と配列Bによる自己相関関数は、以下の式(4)に従って、算出する。
【0045】
配列A´と配列Bの各要素が所定の間隔で描画された波形が似ているほど値は1に近づくこととなる。
抽象化部24は、自己相関関数R(t)上で、上に凸の頂点のデータ(ピーク値)を抽出する。そして、抽象化部24は、抽出したピーク値が所定の閾値を越えている場合、そのピーク値をとるサンプル番号(または時刻)を抽出する。抽象化部24は、ピーク値をとるサンプル番号の間隔(または時間間隔)を周期τとして抽出する。
【0046】
抽象化部24は、入力データAを自己相関関数で求めた周期τで1周期ごとに分割する。そして、繰り返し回数numとすると、抽象化部24は、1周期平均データave(n)は以下の式(5)に従って算出する。
【0048】
図7は、1周期平均データave(n)の波形の一例と4サンプル毎の平均とが示された図である。
図7(a)は、1周期平均データave(n)の波形84が示されている。
図7(b)は、1周期平均データave(n)を4サンプル毎に平均された値が繋がれた線85が示されている。
【0049】
図8には、抽象化部24に入力される入力データの一例と、その入力データが抽象化されたデータの一例とが示されている。同図において、入力データが繋がれた折れ線81と、その入力データが抽象化されたデータが繋がれた折れ線86とが示されている。折れ線86は、1周期平均データave(n)を4サンプル毎に平均された値が繋がれた線85を1周期分のデータとして、入力データAが有する周期数だけ繋がれた折れ線である。
【0050】
抽象化部24は、1周期平均データave(n)を所定の分割数(例えば、4)で区切り、区切った範囲の平均値を算出する。そして、抽象化部24は、算出された区切った範囲のデータを1周期のデータとして、入力データの周期数だけデータを抽象化されたデータとして生成する。そして、抽象化部24は、抽象化されたデータを正規化部25に出力する。
これにより、抽象化部24は、入力されたデータから大きな変化を抽出した抽象化されたデータを生成することができるので、電子装置1は同じ種類のデバイスによって得られたデータを比較することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、抽象化部24は、自己相関関数の値を用いて抽象化をしたが、これに限らず、ローパスフィルタを掛けて抽象化してもよい。
【0052】
正規化部25は、抽象化部24から入力された抽象化された相対距離を示す情報を正規化し、正規化された相対距離(正規化相対距離)を示す情報を記憶部26に記憶させる。具体的には、例えば、正規化部25は、各時刻における抽象化された相対距離を正規化し、−1から1までの値にする。
【0053】
図9を用いて、その処理について説明する。
図9は、抽象化された相対距離を示す情報を正規化する正規化部25の処理を説明するための図である。同図の向かって左側には、各時刻における平滑化された相対距離が滑らかに繋がれた曲線62が示されている。同図の向かって右側には、正規化部25により、各時刻における正規化された相対距離が滑らかに繋がれた曲線63が示されている。
【0054】
また、正規化部25は、抽象化部24から入力された抽象化された移動画素量を示す情報を正規化する。具体的には、例えば、正規化部25は、各時刻における抽象化された移動画素量を正規化し、−1から1までの値にする。
【0055】
図10を用いて、その処理について説明する。
図10は、抽象化された移動画素量を示す情報を正規化する正規化部25の処理を説明するための図である。同図の向かって左側には、各時刻における平滑化された移動画素量が滑らかに繋がれた曲線72が示されている。同図の向かって右側には、正規化部25により、各時刻における正規化された移動画素量が滑らかに繋がれた曲線73が示されている。
【0056】
正規化部25は、正規化された移動画素量(正規化移動画素量)を示す情報を比較判定部27に出力する。
以上、正規化部25は、抽象化されたデータを正規化することにより、電子装置1は異なる種類のデバイスによって得られたデータを比較することができる。
【0057】
図1に戻って、比較判定部27は、正規化された相対距離Nmを示す情報を記憶部26から読み出す。そして、比較判定部27は、正規化された相対距離Ndと正規化移動画素量Nmとに基づいて、動き検出部11により検出された動きと同種の動きをしている画像領域を特定する。
【0058】
図11は、比較判定部27による処理を説明するための図である。各時刻における正規化相対距離を示す曲線63と、各時刻における正規化移動画素量を示す曲線73とが示されている。例えば、比較判定部27は、各時刻における正規化相対距離と各時刻における正規化移動画素量との差の絶対値を算出し、算出した各時刻における差の絶対値の総和を差算出する。そして、比較判定部27は、その差の絶対値の総和が所定の閾値以下の場合、その正規化移動画素量が算出された画像領域を、動き検出部11により検出された動きと同種の動きをしている画像領域と判定する。比較判定部27は、判定結果を示す情報を自装置の外部に出力する。
【0059】
なお、本実施形態では、比較判定部27は、正規化された相対距離Ndと正規化移動画素量Nmとを比較したがこれに限らず、比較判定部27は、正規化された情報を2つ以上比較し、該比較結果に基づいて該2つ以上の正規化された情報が同種の情報であるか否か判定すればよい。
【0060】
図12は、第1の実施形態の電子装置1の処理の流れを示したフローチャートである。まず、動き検出部11は、自装置の動きを検出する(ステップS101)。次に、相対距離算出部21は、相対距離を示す情報を算出する(ステップS102)。次に、抽象化部24は、相対距離を示す情報を抽象化する(ステップS103)。
【0061】
次に、正規化部25は、抽象化された相対距離を示す情報を正規化する(ステップS104)。次に、正規化部25は、正規化により得られた相対距離を示す情報を記憶部26に記憶させる(ステップS105)。
次に、撮像部12は、所定の数のフレーム数だけ、ユーザにより振られている複数の電子装置を1枚の画像に入るように撮像する(ステップS106)。次に、画像領域抽出部22は、全てのフレームにおいて、複数の電子装置が撮像された画像領域を、それぞれ抽出する(ステップS107)。
【0062】
次に、移動画素量算出部23は、一の電子装置の画像領域の移動画素量を算出する(ステップS108)。次に、抽象化部24は、一の電子装置の画像領域の移動画素量を抽象化する(ステップS109)。次に、正規化部25は、抽象化した移動画素量を正規化する(ステップS110)。次に、比較判定部27は、正規化相対距離を示す情報を記憶部26から読み出す(ステップS111)。
【0063】
次に、比較判定部27は、正規化相対距離と正規化移動画素量の差の絶対値の和が閾値以下であるか否か判定する(ステップS112)。当該差の絶対値の和が閾値以下の場合(ステップS112 YES)、比較判定部27は、一の電子装置が、動き検出部11で検出された動きと同種の動きをしていると判定する(ステップS113)。
一方、当該差の絶対値の和が閾値を越える場合(ステップS112 NO)、比較判定部27は、一の電子装置が、動き検出部11で検出された動きと異種の動きをしていると判定する(ステップS114)。
【0064】
次に、電子装置1は、他の電子装置が撮像された全ての画像領域で上記判定をしたか否か判定する(ステップS114)。他の電子装置が撮像された全ての画像領域で上記判定をしていない場合(ステップS114 NO)、電子装置1は、ステップS108の処理に戻る。一方、他の電子装置が撮像された全ての画像領域で上記判定をした場合(ステップS114 YES)、電子装置1は、その処理を終了する。
【0065】
以上、電子装置1は、自装置の相対距離を抽象化し、正規化した正規化相対距離と、撮像により得られた他の電子装置の移動画素量を抽象化し正規化した正規化移動画素量とを比較する。
これにより、電子装置1は、異なるセンサで検出された情報をそれぞれ抽象化し正規化することにより、異なるセンサで検出した情報を比較することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、電子装置1は、情報を抽象化した後に、抽象化した情報を正規化したが、これに限らず、情報を正規化した後に、抽象化してもよい。
【0067】
<第2の実施形態>
続いて、第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、電子装置1は、自装置が備える2種類の検出部により順番に検出された情報を比較することにより、自装置が過去に動かされた動きと同種の動きをしている他の電子装置を映像から特定した。第2の実施形態では、第1の電子装置2_1がユーザに動かされている最中に、第2の電子装置2_2は、第1の電子装置2_1が動かされている動きと同種の動きをしている他の電子装置を映像からリアルタイムで特定する。
【0068】
図13は、第2の実施形態の対象特定システム2を概略図である。対象特定システム2は、第1の電子装置2_1と、第2の電子装置2_2とを備える。同図において、第1の電子装置2_1は、ユーザにより振られる方向が示されている。第1の電子装置2_1は、ユーザにより振られている最中に、正規化相対距離Ndを示す情報を第2の電子装置2_2に無線で送信する。
【0069】
図14は、第2の実施形態における第1の電子装置2_1のブロック構成図である。なお、
図1と共通する要素には同一の符号を付し、その具体的な説明を省略する。
図14の電子装置2_1の構成は、
図1の電子装置1の構成に対して、検出部10が検出部10bに変更され、制御部20が制御部20bに変更され、通信部30が通信部30bに変更されたものとなっている。
【0070】
検出部10bは、動き検出部11を備える。動き検出部11は、第1の実施形態と同様に、自装置の動きを検出する。
制御部20bは、相対距離算出部21と、抽象化部24と、正規化部24bとを備える。
正規化部24bは、自装置の動きに基づき正規化相対距離Ndを示す情報を通信部30bに出力する。
通信部30bは、正規化部24bから入力された正規化相対距離Ndを示す情報を符号化し、符号化した正規化相対距離Ndを示す情報を無線で第2の電子装置2_2に送信する。
【0071】
図15は、第2の実施形態における第2の電子装置2_2のブロック構成図である。なお、
図1と共通する要素には同一の符号を付し、その具体的な説明を省略する。
図15の電子装置2_2の構成は、
図1の電子装置1の構成に対して、検出部10が検出部10cに変更され、制御部20が制御部20cに変更され、記憶部26が記憶部26cに変更され、通信部30が通信部30cに変更されたものとなっている。
【0072】
検出部10bは、撮像部12を備える。撮像部12は、第1の実施形態と同様に、被写体を撮像する。
通信部30cは、第1の電子装置2_1から送信された符号化された正規化相対距離Ndを受信し、受信した符号化された正規化相対距離Ndを復号し、復号した正規化相対距離Ndを示す情報を記憶部26cに記憶させる。
【0073】
図16は、第2の実施形態の第2の電子装置2_2の処理の流れを示したフローチャートである。まず、通信部30cは、符号化された正規化相対距離Ndを示す情報を第1の電子装置2_1から受信する(ステップS201)。ステップS202からステップS207までの処理は、
図12のステップS106からステップS111までの処理と同一であるので、その説明を省略する。
【0074】
次に、ステップS208において、比較判定部27は、正規化相対距離と正規化移動画素量の差の絶対値の和が閾値以下か否か判定する。正規化相対距離と正規化移動画素量の差の絶対値の和が閾値以下の場合(ステップS208 YES)、比較判定部27は、抽出された電子装置の画像領域は、電子装置2_1で検出された動きと同種の動きをしていると判定する(ステップS209)。一方、正規化相対距離と正規化移動画素量の差の絶対値の和が閾値を超える場合(ステップS208 NO)、比較判定部27は、抽出された電子装置の画像領域は、電子装置2_1で検出された動きとは異なる種類の動きをしていると判定する(ステップS210)。
【0075】
次に、電子装置2_2は、他の電子装置が撮像された全ての画像領域で上記判定をしたか否か判定する(ステップS211)。他の電子装置が撮像された全ての画像領域で上記判定をしていない場合(ステップS211 NO)、電子装置2_2は、ステップS204の処理に戻る。一方、他の電子装置が撮像された全ての画像領域で上記判定をした場合(ステップS211 YES)、電子装置2_2は、その処理を終了する。
【0076】
以上、第2の実施形態では、ユーザにより振られている第1の電子装置2_1が、自装置が備える動き検出部11により自装置の動きを検出し、自装置の動きに基づき正規化相対距離Ndを示す情報を第2の電子装置2_2に無線で送信する。
そして、第2の電子装置2_2は、自装置が備える撮像部12によって他の電子装置の映像を取得し、他の電子装置の画像領域から算出された正規化移動画素量と、第1の電子装置2_1から受信した正規化相対距離Ndとを比較する。
【0077】
これにより、第2の電子装置2_2は、第1の電子装置2_1が動かされている最中に、第1の電子装置2_1の動きと同種の動きをしている他の電子装置を映像からリアルタイムに特定することができる。
【0078】
また、本実施形態の電子装置1の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、電子装置1に係る上述した種々の処理を行ってもよい。
【0079】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0080】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0081】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。