特許第5747940号(P5747940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5747940
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20060101AFI20150625BHJP
   G02B 7/04 20060101ALI20150625BHJP
   G02B 7/08 20060101ALI20150625BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   G03B5/00 G
   G02B7/04 E
   G02B7/08 B
   G02B7/02 E
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-97720(P2013-97720)
(22)【出願日】2013年5月7日
(62)【分割の表示】特願2007-535474(P2007-535474)の分割
【原出願日】2006年9月12日
(65)【公開番号】特開2013-178565(P2013-178565A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2013年5月7日
(31)【優先権主張番号】特願2005-269514(P2005-269514)
(32)【優先日】2005年9月16日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(72)【発明者】
【氏名】山崎 聡
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 徹治
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−033972(JP,A)
【文献】 特開2004−153503(JP,A)
【文献】 特開平06−289272(JP,A)
【文献】 特開平07−181535(JP,A)
【文献】 特開平07−270879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/02
G02B 7/04
G02B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系の光軸に平行な平面部を有する固定部材と、
前記平面部に固設されたフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板が配置されていない部分に配置された超音波モータと、
所定の検出軸に対する角速度を検出する角速度センサとを有し、
前記角速度センサは、前記検出軸が前記平面部に略直交するように、前記平面部上において、前記フレキシブルプリント基板の前記平面部に固設された面とは反対側の面に固設されており、
前記フレキシブルプリント基板には、メイン基板に接続される接続部が形成されており、
前記接続部を介して前記角速度センサからの情報がメイン基板に伝達されることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記撮影光学系を内包する外筒を有し、
前記角速度センサは、前記外筒の内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記光軸に平行な方向における前記平面部の幅と、前記光軸に平行な方向における前記フレキシブルプリント基板の前記平面部に固設された面の幅とは、同じであることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板は、前記平面部に固設される第1領域と、前記接続部が形成されている第2領域と、を有し、
前記第1領域と前記第2領域とは、直交していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記平面部において、前記光軸に平行な方向における一端部と他端部とを有し、
前記一端部と前記他端部とは、前記光軸に平行な方向と略直交する方向に平行であり、
前記光軸に平行な方向において、前記一端部と前記角速度センサとの間と、前記他端部と前記角速度センサとの間に固設される部品はないことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記フレキシブルプリント基板の前記平面部に固設された面とは反対の面において、前記角速度センサ、前記角速度センサからの出力を増幅する増幅回路およびローパスフィルタ以外に固設される部品はないことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載されたレンズ鏡筒を備えたことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手振れ等による像振れを補正する補正機能を備えたレンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラに生じた上下左右方向の回転振れを、固定筒の外周に配置される角速度センサにより検出し、駆動装置により像振れ補正光学系を駆動して像振れを補正する振れ検出機能付きレンズ鏡筒が知られている。
【0003】
図8は、従来の振れ検出機能付きレンズ鏡筒における角速度センサの取付構造を示している。この取付構造では、固定筒1の外周に、半円環状のガラスエポキシ基板2が鍔状に配置されている。そして、ガラスエポキシ基板2における固定筒1の上方となる位置には、第1の角速度センサ3が感度軸3aを左右方向にして実装されている。また、ガラスエポキシ基板2における固定筒1の側方となる位置には、第2の角速度センサ4が感度軸4aを上下方向にして実装されている。なお、第1および第2の角速度センサ3,4には、遮音ケース5が配置される。また、ガラスエポキシ基板2は、ゴムブッシュ6を介してビス7により固定筒1側に固定される。
【0004】
このような取付構造では、レンズ鏡筒に生じた上下左右方向の回転振れを高精度に検出するためには、第1の角速度センサ3の感度軸3aと第2の角速度センサ4の感度軸4aとを、撮影光学系の光軸8に対して垂直に配置し、かつ、第1の角速度センサ3の感度軸3aと第2の角速度センサ4の感度軸4aとが直交するように配置する必要がある。
【特許文献1】特開平7−270847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の取付構造では、固定筒1にガラスエポキシ基板2を取り付ける前に、ガラスエポキシ基板2に第1の角速度センサ3および第2の角速度センサ4を実装しているため、ガラスエポキシ基板2の固定筒1への取り付け時に、ガラスエポキシ基板2に取り付け誤差が発生し、第1の角速度センサ3および第2の角速度センサ4を固定筒1に高い精度で取り付けることが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、角速度センサを容易,確実に、かつ高い精度で取り付けすることができるレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様であるレンズ鏡筒は、撮影光学系の光軸に平行な平面部を有する固定部材と、前記平面部に固設されたフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板が配置されていない部分に配置された超音波モータと、所定の検出軸に対する角速度を検出する角速度センサとを有し、前記角速度センサは、前記検出軸が前記平面部に略直交するように、前記平面部上において、前記フレキシブルプリント基板の前記平面部に固設された面とは反対側の面に固設されており、前記フレキシブルプリント基板には、メイン基板に接続される接続部が形成されており、前記接続部を介して前記角速度センサからの情報がメイン基板に伝達されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
振れ検出精度の高いレンズ鏡筒及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のレンズ鏡筒の第1の実施形態を示す説明図である。
図2図1の補正レンズ駆動機構の詳細を示す説明図である。
図3図1の角速度センサの固定筒への取付構造の詳細を示す説明図である。
図4図3の角速度センサの詳細を示す説明図である。
図5】本発明のレンズ鏡筒の第2の実施形態を示す説明図である。
図6図5のレンズ鏡筒を示す側面図である。
図7図5のフレキシブルプリント基板を示す説明図である。
図8】従来の角速度センサの固定筒への取付構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態のレンズ鏡筒11をカメラ13に装着した状態を示している。
【0012】
レンズ鏡筒11は、被写体像をカメラ13の像面15上に結像する撮影光学系17を有している。像面15には、銀塩フィルムあるいはCCDやCMOSといった増幅型固体撮像素子が配置される。レンズ鏡筒11は、外筒19と固定筒21とを有している。固定筒21は、外筒19内に配置され、像面15側の端部をカメラ13のボディー23に着脱自在に固定されている。
【0013】
撮影光学系17は、4群構成のズームレンズであり、第1のレンズ群25、第2のレンズ群27、絞り29、第3のレンズ群31および第4のレンズ群33を有している。第1のレンズ群25、第2のレンズ群27、絞り29、第3のレンズ群31および第4のレンズ群33を光軸35方向(矢符z方向)に不図示のカム機構によって移動することにより撮影光学系17の変倍動作が行われる。また、第2のレンズ群27を光軸35方向(矢符z方向)に移動することにより焦点調節が行われる。
【0014】
第3のレンズ群31は、レンズ群37、像振れ補正レンズ39およびレンズ群41を有している。像振れ補正レンズ39は、光軸35と垂直な方向(矢符y方向)および紙面に垂直な方向(矢符x方向)に駆動して像振れ補正を行う。この像振れ補正レンズ39は、後述する補正レンズ駆動機構43により駆動される。
【0015】
補正レンズ駆動機構43は、像振れ補正レンズ39を駆動するアクチュエータ45と、像振れ補正レンズ39の位置を検出する補正レンズ位置検出センサ47を有している。
【0016】
絞り29、第3のレンズ群31、補正レンズ駆動機構43および第4のレンズ群33は、固定筒21内に収容されている。そして、固定筒21の外周に角速度センサ49が配置されている。
【0017】
角速度センサ49は、カメラ13とレンズ鏡筒11からなるカメラシステムに加わる振動の角速度成分を検出する。この角速度センサには、カメラシステムに加わる振動角速度の低周波成分を検出する低周波検出用角速度センサが使用される。低周波検出用角速度センサにより、主にカメラ13を手で保持した時に加わる、いわゆる手振れが検出される。
【0018】
図2は、像振れ補正レンズ39の駆動を行う補正レンズ駆動機構43の詳細を示している。
【0019】
補正レンズ駆動機構43は、固定筒21内に配置される前側レンズ室51、保持枠53、後側レンズ室55を有している。前側レンズ室51には、レンズ群37が保持されている。保持枠53には、像振れ補正レンズ39が保持されている。後側レンズ室55には、レンズ群41が保持されている。
【0020】
前側レンズ室51は、保持枠53を挟んで、螺子57により後側レンズ室55に固定されている。保持枠53は、不図示のガイド機構により、後側レンズ室55に支持されている。そして、ガイド機構により、前側レンズ室51、後側レンズ室55に対して駆動中に干渉しないように支持されている。また、光軸35周りに回転することなく矢符x方向およびy方向にのみ移動可能に支持されている。
【0021】
前側レンズ室51と後側レンズ室55との間には、VCM(Voice Coi1 Motor)からなるアクチュエータ45が配置されている。このアクチュエータ45は、下側ヨーク59、永久磁石61、コイル63、上側ヨーク65を有している。
【0022】
下側ヨーク59は、前側レンズ室51に固定されている。永久磁石61は、2極着磁されており下側ヨーク59に固定されている。コイル63は、ループ形状をしており保持枠53に固定されている。上側ヨーク65は、後側レンズ室55に固定されている。
【0023】
下側ヨーク59、永久磁石61、上側ヨーク65により、永久磁石61と上側ヨーク65間の空隙に磁束密度を有する磁気回路が形成される。そして、磁束密度を有する空隙内にコイル63が存在するため、コイル63に電流を流した場合に、駆動力が矢符y方向に発生し像振れ補正レンズ39を矢符y方向に駆動する。同様にアクチュエータ45は、光軸35周りに90度ずらした位置にも配置されており、像振れ補正レンズ39を矢符x方向に駆動可能としている。
【0024】
補正レンズ駆動機構43のアクチュエータ45と反対側には、補正レンズ位置検出部67が配置されている。この補正レンズ位置検出部67は、補正レンズ位置検出センサ47、スリット53a、LED69(Light Emitting Diode)を有している。
【0025】
補正レンズ位置検出センサ47は、基板71に電気的に結合されて固定されている。補正レンズ位置検出センサ47は、像振れ補正レンズ39の位置が検出できるものであれば良い。この実施形態では、センサ検出面上に投光された光の強度の重心位置を検出する、従来公知のPSD(Position Sensitive Detector)が用いられている。基板71は図示しない螺子により後側レンズ室55に固定されている。
【0026】
スリット53aは、保持枠53の補正レンズ位置検出センサ47に対向する位置に形成されている。LED69は、前側レンズ室51のスリット53aに対向する位置に固定されている。従って、LED69から発せられた光がスリット53aを通過し、通過した光のみが補正レンズ位置検出センサ47上に投光される。そして、スリット53aは保持枠53に形成されており、スリット53aと像振れ補正レンズ39の動きは等しいため、補正レンズ位置検出センサ47の出力信号から、像振れ補正レンズ39の矢符y方向の位置を検出することができる。この補正レンズ位置検出部67は、アクチュエータ45と同様に、光軸35周りに90度ずらした位置にも配置されており、像振れ補正レンズ39の矢符x方向の位置検出を可能としている。
【0027】
図3は、固定筒21への角速度センサ49の取付構造の詳細を示している。
【0028】
円筒状の固定筒21の外周の上部には、光軸35に対して平行に第1の平面部21aが形成されている。また、固定筒21の側部には、光軸35に対して平行に第2の平面部21bが形成されている。第1の平面部21aと第2の平面部21bは、光軸35を中心にして90度の角度をおいて形成されている。
【0029】
そして、第1の平面部21aには、フレキシブルプリント基板73の取付部73aを介して角速度センサ49が固定されている。また、第2の平面部21bには、フレキシブルプリント基板73の取付部73bを介して角速度センサ49が固定されている。
【0030】
フレキシブルプリント基板73は、半円環状の鍔部73cを有しており、この鍔部73cに対して略直角に、取付部73a,73bが一体形成されている。フレキシブルプリント基板73には、角速度センサ49からの出力を増幅する増幅回路(不図示)およびローパスフィルタ(不図示)が実装されている。また、フレキシブルプリント基板73には、メイン基板(不図示)に接続される接続部73dが形成されている。この接続部73dを介して角速度センサ49からの振れ情報がメイン基板(不図示)に伝達される。
【0031】
フレキシブルプリント基板73の取付部73a,73bには、角速度センサ49が実装されている。角速度センサ49の取付部73a,73bへの取付面49aは、角速度センサ49の感度軸(検出軸)49bに垂直に形成されている。従って、第1の平面部21aに配置される角速度センサ49により、図1のy軸回りの角速度が検出される。また、第2の平面部21bに配置される角速度センサ49により、図1のx軸回りの角速度が検出される。そして、取付面49aを、取付部73a,73bの上面に当接した状態で、角速度センサ49が実装されている。
【0032】
フレキシブルプリント基板73の取付部73a,73bは、例えば、弾力性を有する両面テープ(不図示)により第1および第2の平面部21a,21bに固定されている。このように、両面テープを使用することにより、取付部73a,73bを第1および第2の平面部21a,21bに強固に固定することができる。また、固定筒21側からの機械的振動を低減することができる。
【0033】
図4は、角速度センサ49の詳細を示している。
【0034】
この角速度センサ49は、単結晶の水晶結晶からなるジャイロ素子75を有している。このジャイロ素子75は、本体部75a、検出用振動片75bおよびT字型アーム75cを有している。そして、本体部75aの中心を通り、紙面に対して垂直な軸が感度軸49bとされている。このジャイロ素子75は、通常(角速度が印加されていない状態)の動作状態では、図4の(a)に示すように、検出用振動片75bはバランスの取れた状態で、T字型アーム75cのみが屈曲振動している。そして、感度軸49bを中心にする回転(角速度)Rが作用すると、コリオリ力Fが働き、図4の(b)に示すように、検出用振動片75bに変位が発生する。そして、この変位により発生した信号の差動を検出することにより角速度が測定される。
【0035】
上述したレンズ鏡筒11では、フレキシブルプリント基板73の取付部73a,73bに角速度センサ49を実装した後、固定筒21の外周の所定の位置にフレキシブルプリント基板73を配置し、取付部73a,73bを、両面テープ(不図示)により固定筒21の第1および第2の平面部21a,21bに固定することにより角速度センサ49が固定筒21に取り付けられる。
【0036】
そして、上述したレンズ鏡筒11では、固定筒21の外周に形成された平面部21a,21bは、光軸35に対して平行になるように備えられ、角速度センサ49の取付面49aは、感度軸49bに垂直に備えられている。従って、角速度センサ49の取付面49aを平面部21a,21bに配置することにより、感度軸49bが光軸35に直交することになり精度よく角速度を検出できる。
【0037】
また、角速度センサ49の取付面49aが固定筒21の平面部21a,21bに備えられている限り、角速度センサ49が平面部21a,21bの何処に配置されていても角速度センサ49の感度軸49bが光軸35に直交することになり良好な検出特性が得られる。このため、角速度センサ49を平面部21a,21bに取り付ける際に、平面部21a,21b上の位置、感度軸49b周りの角度などの位置決めを高精度に行う必要がなくなるので、容易に角速度センサ49を平面部21a,21bに取り付けることができる。
【0038】
さらに、角速度センサ49が取り付けられる平面部21a,21bは、曲面ではなく平面であるから角速度センサ49を容易、確実に取り付けることができる。
【0039】
また、固定筒21の外周に形成された2つの平面部21a,21bは、固定筒21の外周に互いに90度に直交して形成された簡単な構成を有するので、容易、確実、高精度に形成することができる。
【0040】
そして、上述したレンズ鏡筒11では、固定筒21の外周に光軸35に対して平行に第1および第2の平面部21a,21bを形成したので、フレキシブルプリント基板73の取付部73a,73bを、固定筒21の第1および第2の平面部21a,21bに固定すると、取付部73a,73bが第1および第2の平面部21a,21bに倣って変形する。そして、これにより、取付部73a,73bに実装される角速度センサ49の取付面49aが第1および第2の平面部21a,21bに対して平行になり、角速度センサ49の取付面49aに対して垂直に形成される感度軸49bが光軸35に対して垂直に位置される。従って、固定筒21に角速度センサ49を容易,確実に、かつ高い精度で取り付けることが可能になる。
【0041】
また、固定筒21の外周に、光軸35を中心にして90度の角度をおいて形成される第1および第2の平面部21a,21bに倣ってフレキシブルプリント基板73の取付部73a,73bが変形するため、第1の平面部21aに配置される角速度センサ49の感度軸49bと、第2の平面部21bに配置される角速度センサ49の感度軸49bとを容易,確実に、かつ高い精度で直交して位置させることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の振れ検出機能付きレンズ鏡筒の第2の実施形態を示している。
【0043】
なお、この実施形態において第1の実施形態と同一の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
この実施形態では、フレキシブルプリント基板73Aが、固定筒21の周方向に沿って配置されている。第1の平面部21aおよび第2の平面部21bには、フレキシブルプリント基板73Aを介して角速度センサ49が固定されている。
【0045】
フレキシブルプリント基板73Aは、図6に示すように、固定筒21の略半部に配置されており、固定筒21のフレキシブルプリント基板73Aが配置されない部分には、撮影光学系17(図1参照)を駆動させる超音波モータユニット77が配置されている。超音波モータユニット77は、超音波モータ79によりギヤ81を回転して撮影光学系17の駆動を行う。
【0046】
フレキシブルプリント基板73Aは、図7に示すように、長尺矩形状をしており、長手方向に所定間隔をおいて角速度センサ49が実装されている。角速度センサ49は、感度軸49bがフレキシブルプリント基板73Aに対して垂直になるように実装されている。そして、フレキシブルプリント基板73Aは、角速度センサ49が第1および第2の平面部21a,21b上に配置される位置で、両面テープ(不図示)により固定筒21の外周に固定されている。
【0047】
この実施形態においても第1の実施形態と略同様の優れた効果を得ることができる。そして、この実施形態では、フレキシブルプリント基板73Aを固定筒21の外周に沿って配置したので、フレキシブルプリント基板73Aを簡易な構造にすることができる。また、図示の実施形態ではフレキシブルプリント基板73Aが配置されない部分に超音波モータ79が配置されている。また、フレキシブルプリント基板73Aを固定筒21の略半部に配置したので、固定筒21のフレキシブルプリント基板73Aが配置されていない部分に超音波モータユニット77を配置することができる。さらに、フレキシブルプリント基板73Aは、固定筒21に沿って配置されており、鍔部73c(図1参照)のような固定筒21から突出した構成を有しないので、その分だけ鏡筒の小型化を実現できる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
【0048】
(1)上述した実施形態では、角速度センサ49に1軸センサを用いた例について説明したが、例えば、2軸センサを使用しても良い。そして、2軸センサを使用する場合には、固定筒の外周に1つの平面部のみを形成し、2軸の一方を平面部に直交させれば良い。
【0049】
(2)上述した実施形態では、振れ検出センサに角速度センサ49を用いた例について説明したが、例えば、角変位センサ,角加速度センサ等を用いても良い。
【0050】
(3)上述した実施形態では、フレキシブルプリント基板73の取付部73a,73bを、固定筒21の第1および第2の平面部21a,21bに、両面テープにより単に固定した例について説明したが、例えば、取付部73a,73bにゴム板を両面テープにより固定し、ゴム板を第1および第2の平面部21a,21bに両面テープにより固定するようにしても良い。このように、ゴム板を介在させることにより固定筒21側からの機械的振動をより低減することができる。
【0051】
(4)上述した実施形態では、フレキシブルプリント基板73の取付部73a,73bを固定筒21の第1および第2の平面部21a,21bに、両面テープにより固定する例を説明したが、本発明はこれにとらわれることなく、接着剤、ハンダなどを用いてフレキシブルプリント基板73の取付部73a,73bを固定筒21の第1および第2の平面部21a,21bに固定することができる。接着剤を用いる場合、瞬間接着剤を用いれば固定に要する時間が極めて短くできる。また、平面部21a,21bに機械的な係合部を設け取付部73a,73bと係合して固定するようにもできる。要は固定部材の表面を利用してセンサの位置決めをすれば良い。
【0052】
(5)上述した実施形態では、角速度センサで検出した情報を用いて振れ補正レンズを駆動して振れ補正を行う例を示したが、検出した信号を用いて撮像素子(例えば、CCD,CMOSなど)を駆動して振れ補正を行っても良いし、検出した信号を用いて、電子的、画像処理的に振れ補正を行っても良い。
【0053】
(6)上述した実施形態では、固定筒の外周側に平面部を形成したが、内周側に平面部を形成しても良い。この場合、鏡筒の更なる小型化を図ることができる。
【0054】
(7)上述した実施形態では、角速度センサとして単結晶の水晶の振動を利用したが、水晶以外の単結晶物質たとえば珪素(シリコン)の単結晶を用いた角速度センサを用いても構わない。また、取付部に対して垂直方向に検出軸を有していれば種々の角速度センサを用いることもできる。
【0055】
(8)上述した実施形態では、カメラボディに着脱自在な交換レンズに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれにとらわれることなくコンパクトカメラやムービーカメラ、双眼鏡に適用することができる。上述した実施形態をコンパクトカメラやムービーカメラに適応する場合、カメラ本体に固定的に設けられている部材は上述した実施形態の固定筒と均等である。要は取付部に対して垂直な検出軸を有する振れ検出センサを、検出軸が撮影光学系または観察光学系の光軸と垂直となるようにすれば良い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8