(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに組立要素および端部要素を含み、前記全体的な熱感度が、前記組立要素および前記端部要素の熱膨張から生じた熱感度を含む、請求項1に記載のクロマティック共焦点センサ光学ペン。
さらに入出力光ファイバサブアセンブリを含み、前記全体的な熱感度が、前記入出力光ファイバサブアセンブリの熱膨張から生じた熱感度を含む、請求項7に記載のクロマティック共焦点センサ光学ペン。
【背景技術】
【0002】
距離感知計測応用に色収差制御技術が使用され得る。"Pseudocolor Effects of Longitudinal Chromatic Aberration," G. Molesini and S. Quercioli, J. Optics (Paris), 1986, Volume 17, No. 6, pages 279-282で説明されているように、制御された縦色収差を光学的画像化システムに取り込み、画像化システムの焦点距離を波長によって変化させ、それにより、光学計測用手段を提供し得る。特に、後方焦点距離(BFL)が波長の単調関数であるレンズを設計できる。白色光動作では、そのようなレンズは、軸方向にレインボー状に分散した焦点を示し、距離感知用途用のスペクトルプローブとして使用され得る。
【0003】
クロマティック共焦技術を光学式高さセンサにおいて使用することも知られている。米国特許第7,477,401号で説明されているように、軸方向色収差(軸方向または長手方向の色分散とも称す)を有する光学素子を使用して、焦点を合わせるべき軸方向距離が波長によって変化するように広帯域光源をフォーカスさせ得る。それゆえ、1つの波長のみが正確に表面上に焦点が合わせられ、かつ表面の高さによって、どの波長の焦点が最も合わせられるかが決定される。光が表面から反射すると、ピンホールや光ファイバの端部など小さな検出器アパーチャ上に再びフォーカスされる。表面から反射し、光学系を通過して入出力ファイバまで戻ると、表面に上手く焦点が合わせられている波長のみがファイバ上で上手く焦点が合う。他の波長は全てファイバ上で上手く焦点が合わないため、ファイバにあまりパワーを結合することができない。それゆえ、物体の高さに対応する波長の信号レベルが最大となる。検出器におけるスペクトロメータが各波長の信号レベルを測定し、それが効果的に物体の高さを示す。
【0004】
一部の製造者は、クロマティック共焦点センサおよび/または「光学ペン」としての産業上の設定においてクロマティック共焦測距に好適な、実用的で小型の光学アセンブリに言及している。Z軸の高さを測定する光学ペン機器の1つの例は、STIL, S.A. of Aix-en-Provence, France (STIL S.A.)で製造されたものである。具体例として、STIL光学ペンモデル番号OP300NLはZ軸の高さを測定し、300ミクロン範囲を有する。
【0005】
クロマティック共焦点センサ用の別の構成が、同一出願人による米国特許第7,626,705号('705号特許)に記載されている。この特許は、光学的スループットを改善しかつスポットサイズを改善するレンズ構成を開示しており、それにより、種々の市販の構成と比較して測定分解能を改善する。
【0006】
クロマティック共焦点センサまたは光学ペンでは、温度変化によりレンズ、ハウジングおよび取付要素などの種々の構成部品が膨張または収縮する場合、光学ペンの全屈折力が変化する。この熱感度は、所与の波長の焦点が最も合わせられているZ軸の高さで変化するので、表面高さ測定に誤差をもたらす。種々の適用に対して、精度、スポットサイズなどに関して十分な性能を維持するために、光学ペンの熱感度を改善することが望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明による色分散レンズ構成100の動作の例示的な実施形態の概略的な側面
図50である。レンズ構成100は、複レンズ素子101、および正の屈折力のレンズ部分105を含む。当然のことながら、レンズ構成100は例示にすぎず、限定ではない。種々の実施形態では、正の屈折力のレンズ部分は少なくとも2つのレンズ素子を含む。一部の実施形態では、正の屈折力のレンズ部分は最大で4つのレンズ素子を含む。
図1に示す特定の実施形態では、正の屈折力のレンズ部分105は両凸レンズ素子102、ならびにメニスカスレンズ素子103および104を含む。複レンズ素子101は第1のレンズ部分101Aおよび第2のレンズ部分101Bから形成される。メニスカスレンズ素子103および104は、
図1に概略を示すように、両面が同じ方向に湾曲しており、正の屈折力をもたらしかつレンズ構成100から出射される光をフォーカスさせるように向けられている。
図1に示す構成では、フォーカスシングレンズの働きを空気で分離された3つの単レンズ102〜104に分割することによって、正の屈折力のレンズ部分105の球面収差をより簡単に制御しまたは構成し得る。加えて、本発明によれば、空気で分離された3つの単レンズ102〜104は、ハウジングおよび光学ペンの追加的な素子の熱膨張を補償するパラメータを含み、それについては以下詳細に説明する。
【0021】
図4に関して以下詳細に説明するように、動作中、入出力光ファイバ112からの光が、レンズ構成100に対して固定されている検出器アパーチャ195から出射して光軸に沿って出射光ビームをもたらす。一実施形態では、入出力光ファイバ112のコアの端部がアパーチャ195(例えば、50ミクロンのコア直径、または先細ファイバコアの場合は20ミクロンとほぼ同じアパーチャ)をもたらし得る。各限界光線(limiting ray)LR1およびLR2内にある出射光ビームは任意選択的な開口絞り108によって制限され、かつ、いずれの場合にも、複レンズ素子101を通って、正の屈折力のレンズ部分105によってワークピース表面90上にフォーカスされ続け得る。限界光線LR1およびLR2によって示すように、ワークピース表面90から反射すると、光はレンズ構成100によって再びアパーチャ195にフォーカスされる。距離FRはレンズ構成100の背面とアパーチャ195との間の間隔を表す。レンズ構成100によってもたらされる軸方向の色分散のために、1つの波長の焦点のみが表面90に合い、レンズ構成100から表面90までの距離によって、どの波長の焦点が最も合っているかが決まる。表面90に最も焦点が合わせられる波長はまた、アパーチャ195に最も焦点が合わせられる波長である。それゆえ、アパーチャ195を通って入出力光ファイバ112のコアに入射する光は、ほとんどが最もフォーカスされた波長を有するように空間的にフィルタリングされる。種々の実施形態では、入出力光ファイバ112は、最も高い信号レベルに対応する波長を決定するために使用されるスペクトロメータ(図示せず)に信号光を送り、それゆえワークピース表面90までの距離を判断する。
【0022】
図1に、収束角/発散角θ
1、θ
2、および前側合焦距離FF、後側合焦距離FRを示す。後側合焦距離FRは、アパーチャ195からレンズ構成100の後面まで延在し、前側合焦距離FFはレンズ構成100の前面から延在する。一実施形態では、検出器集束開口数(NA
det)は、以下の式:
NA
det=sinθ
1 (式1)
によって角度θ
1に関係する。
【0023】
さらに、ワークピース表面における物体開口数(object numerical aperture)(NA
object)は、以下の式:
NA
object=sinθ
2 (式2)
によって焦点角(focal angle)θ
2に関係する。
【0024】
アパーチャ195の所与の寸法では、縮小比(demagnification ratio)(NA
det/NA
object)は、ワークピース表面90にフォーカスされた測定点の横方向の距離を決定し得る。それゆえ、本明細書の他の個所で詳細に説明するように、種々の実施形態では、縮小比を、レンズ構成100によって満たされるべき重要な設計パラメータとし得る。
【0025】
当然のことながら、sinθ
2および前側合焦距離FFは、一般的に、レンズ構成100によってもたらされた軸方向の色分散のために光の波長に依存する。所望の軸方向の色分散をもたらすことに関する種々の検討事項を以下詳細に説明する。
図1にはまた、レンズ群の、レンズ構成100にわたる軸方向距離を表す長さ距離Lを示す。小型のクロマティック共焦点センサが一般的に好都合であるため、種々の実施形態では、レンズ群の長さ距離Lおよび/または距離(FR+L)を、レンズ構成100によって満たされるべき重要な設計パラメータとし得る。特定の例示的な一実施形態では、距離FRと距離Lの和は約139mmであり、
図1をほぼ正確なアスペクト比で示す。しかしながら、種々の他の実施形態では、
図1の縮小した(scaled)寸法およびアスペクト比は例示にすぎず、限定ではない。より一般的には、
図1に示す特定のレンズ構成100の種々の実施形態を、
図1に示すレンズ面形状の合理的な変形例および
図2を参照して以下示しかつ説明する材料特性、ならびにそれら変形例を導き出すための公知の分析用のおよび/またはコンピュータ化された光学設計および/またはシミュレーション技術の使用に基づいて、様々な適用に好適なように(例えば、好適なレンズ素子の表面半径および軸方向間隔の選択によって)実装および/または適合し得る。
【0026】
所与の幾何学的形状では、前側合焦距離FFおよびレンズ構成100によってもたらされる軸方向の色分散量は、一般的にレンズ101〜104の屈折率およびアッベ数に依存する。Warren J. Smith, Modern Optical Engineering, Third Edition, p. 94, McGraw-Hill, 2000で説明されているように、波長によって材料の屈折率が変化することにより、焦点が軸方向に分離し、かつアッベ数が、以下の式:
v
d=(n
d−1)/(n
f−n
c) (式3)
(式中、v
dはアッベ数であり、n
d、n
f、およびn
cは、ヘリウムのd線、587.6nm、および水素のF線およびC線(それぞれ486.1nmおよび656.3nm)における材料の屈折率である)
に従って、波長による屈折率変化を定量化する。アッベ数が小さいほど、波長による焦点の変化が大きいことを暗示する。
【0027】
さらに、Joseph M. Geary, Introduction to Lens Design, p. 176, Willmann-Bell, 2002で説明されているように、F線とC線との間の単レンズに関する焦点距離の変化は:
Δf
FC=f
d/v
d (式4)
(式中、f
dはヘリウムのd線(587.6nm)における焦点距離である)
によって与えられる。ここでも、アッベ数の小さなガラスを使用するレンズは、波長による焦点距離のシフトが大きくなる。
【0028】
種々の実施形態では、複レンズ素子101および正の屈折力のレンズ部分105を、本発明による特徴の種々の組み合わせによって構成し、光学ペンに種々の所望の特性をもたらすようにし得る。種々の実施形態では、複レンズ素子101は典型的な複レンズではない。概して、アパーチャ195に近い第1のレンズ部分101Aは少なくとも1つの凹面を含み、およびアパーチャ195から離れた第2のレンズ部分101Bは少なくとも1つの凸面を含む。種々の実施形態では、第1のレンズ部分101Aのアッベ数は比較的小さく、一方、第2のレンズ部分101Bのアッベ数は比較的大きい。対照的に、第1の部分および第2の部分に対応する従来の複レンズのアッベ数間の関係は、第1のレンズ部分101Aおよび第2のレンズ部分101Bと比較して逆になっている。
【0029】
種々の実施形態では、複レンズ素子101を一般的に屈折力の小さいレンズ素子、負の屈折力のレンズ素子、またはそれら双方とし得る。
図1に示す特定の実施形態では、屈折力の小さい負の屈折力のレンズ素子であり、一般的にアパーチャ195から受光した出力ビームを拡大させる。一実施形態では、複レンズ素子101は負の屈折力のレンズ素子を提供し、負の屈折力の大きさは、レンズ構成100の総屈折力の最大でも50%である。種々の他の実施形態では、本願明細書で説明する他の設計原理が満たされているという条件で、複レンズ素子101は、屈折力の小さい正のレンズ素子を含み得る。例えば、一部の実施形態では、正の屈折力の大きさは、レンズ構成100の総屈折力の最大でも約20%とし得る。
【0030】
図1に示す実施形態では、正の屈折力のレンズ部分105の構成は、空気で分離された3つの単レンズ素子102〜104を含む。一実施形態では、各レンズ素子102〜104は球面を含む。球面レンズを利用することによって、レンズ構成費用全体を削減し得る。一実施形態では、レンズ構成100のレンズ素子の全てが球面レンズである。一実施形態では、色分散レンズ構成の各レンズ素子がガラス材料製である。
【0031】
複レンズ素子101を適切な特徴とすることは、軸方向の色分散および色分散レンズ構成100の屈折力に関して所望の光学的特性をもたらすために重要である。上述のように、複レンズ素子101はアッベ数に関しては、あまり従来の配置を使用しないため、そのレンズの設計に関するオプションの組み合わせセットが比較的限定されている。それにもかかわらず、適切なレンズ選択により、色分散レンズ構成100を使用する光学ペンの光学機械部品の熱感度を補償するためのいくつかの手段を有することが望ましい。本発明によれば、複レンズ素子101の性能を低下させるのではなく、光学ペンの全体的な熱感度を補償するための基本的手段として、正の屈折力のレンズ部分105の素子を選択することが望ましい。当然ながら、熱感度を低下させる一方で色範囲感知に関してレンズ構成100の十分な全体的な光学性能を維持することも非常に重要である。
【0032】
光学系において熱感度を低下させる種々の手法は当該技術分野において公知である。一部の系では、熱センサーによって示される熱変化に応えてレンズ素子を動かす機械的部分など、熱感度を補償するために能動的な光学素子を使用する。他の系では、受動的なアサーマリゼーション(athermalization)を使用し、その場合多くの系では、光学素子と機械的素子の熱膨張を適合させて系の熱感度が低下するように互いに補償することに依存する。例えば、Thomas H. Jamieson, "Thermal Effects in Optical Systems," Optical Engineering 20(2), 156-160 March/April 1981による論文に、温度変化があっても倍率をより安定的に維持するための、対物レンズ、接眼レンズおよびメタルハウジングを含むGalilieanレーザービーム拡大器における熱感度の補償方法が説明されている。各素子の材料の熱膨張係数を適合させることによって、対物レンズおよび接眼レンズの屈折力を変化させることができ、式:
x
e=x
m(M−1)−Mx
0 (式5)
(式中、x
0は対物レンズの熱膨張係数であり、x
eは接眼レンズの熱膨張係数であり、およびx
mはメタルハウジングの熱膨張係数である)
による薄いレンズの関係で近似することによってメタルハウジングの熱膨張を補償する。
【0033】
複数のレンズ系において熱感度を低下させる別の手法が、Michael Bass et al., Handbook of Optics, Third Edition Volume II, p. 8.13, McGraw-Hill, 2009に記載されている。薄いレンズの関係を近似する、ハウジング要素において互いに接触しているj個のレンズの系の場合、受動的なアサーマリゼーションによって熱感度が補償される系は、式:
【数2】
によって構成され、式中、Tは温度であり、γ
iは各レンズの熱焦点ずれ係数であり、φ
iは各レンズの屈折力であり、φは複数のレンズ系の全屈折力であり、α
hはハウジング要素の熱膨張係数であり、かつ:
【数3】
とし得る。この条件を満たす、レンズおよびハウジングを備える光学系は、熱感度が低い。
【0034】
より複雑な光学系では、レンズの厚さ、レンズの分離およびハウジング内の取付構造の膨張などの追加的な要因を説明する必要があることが多い。例えば、本発明の範囲内の光学ペンは、意図的な軸方向色収差、ワークピース表面までの典型的な距離における高い物体開口数NA
object、および各レンズ素子間の著しい分離を有し、薄いレンズの近似が、熱感度を特徴付けることに効果的でないようにする。受動的なアサーマリゼーションによる光学ペンのためにレンズ構成100を組み立てるために、ファイバ取付具の膨張などの要因も説明する必要がある。それゆえ、一般的に、各素子の熱感度を望ましく適合させるようにそのような光学系の熱感度をシミュレーションするために、光学的シミュレーションコンピュータプログラムを使用することが、より望ましい。これはまた、
図3に関してさらに詳細に説明する種々の代替的な実施形態の光学性能を比較する手段も提供する。
【0035】
レンズ構成100の各レンズ素子の熱感度は、温度T(例えば、10℃〜30℃)の範囲にわたる熱焦点ずれ係数χ
iに関して特徴づけられることができ、これは:
【数4】
(式中、α
Tiは各レンズ素子の熱膨張係数であり、n
iは各レンズ素子の屈折率であり、およびφ
iは各レンズ素子の屈折力である)
の関係で定義される。温度Tが変化することによってレンズが熱膨張または熱収縮し、およびその各レンズの屈折率n
iが温度によって変化すると、その各レンズの焦点距離が変わるので、各屈折力φ
iを変更させる。レンズ構成の全屈折力が変化すると、所与の照明波長の焦点が表面上に合わせられる、光軸に沿った位置が変わり、これにより、表面高さ測定に誤差がもたらされる。
図1に示すように、表面90は光軸に沿った座標Z
1に配置されている。温度Tが変化することにより、名目上Z
1に最も焦点が合っている光の波長λ
1が、座標Z
1'に最も焦点が合うようになる。その結果、異なる光の波長λ
2の焦点が、座標Z
1に最も合わせられる。一般的に光軸に沿った座標Zは波長の関数、すなわち、Z=f(λ)である。異なる光の波長λ
2が表面90に最も焦点が合わせられているため、光学ペンは、座標Z
2=f(λ
2)(式中、Z
2=Z
1+ΔZであり、およびΔZは、レンズ構成100を使用する光学ペンの熱感度から生じた測定誤差を表す)において表面90を測定する。レンズ構成100を使用する光学ペンの全体的な熱感度は、所与の光の波長またはいくつかの光の波長の平均に対して:
【数5】
に関して特徴づけられ得る。
【0036】
本発明による種々の実施形態では、正の屈折力のレンズ部分105のレンズ素子の少なくとも2つが、ハウジング要素の熱膨張から生じる熱感度を含むクロマティック共焦点センサ光学ペンの全体的な熱感度に関して少なくとも部分的に補償し、かつクロマティック共焦点センサ光学ペンの全体的な熱感度を補償する、正の屈折力のレンズ部分105のレンズ素子の熱焦点ずれ係数χ
iの平均は、最低でも10ppm/℃の範囲にある。種々の実施形態では、第1のメニスカスレンズ素子103および第2のメニスカスレンズ104が、クロマティック共焦点センサ光学ペンの熱感度を補償する。当然のことながら、
図1に示す実施形態では、正の屈折力のレンズ部分105は3つのレンズ素子を含む。しかしながら、本発明による種々の代替的な実施形態では、正の屈折力のレンズ部分は、少ない場合には2つのレンズ素子、または多い場合には4つのレンズ素子を含んでもよい。いずれの場合にも、正の屈折力のレンズ部分のレンズ素子の少なくとも2つの熱焦点ずれχ
iの係数の平均が小さくても10ppm/℃の範囲にあるように正の屈折力のレンズ部分を構成することを条件として、関連の光学ペンの全体的な熱感度は著しく低下または補償され得る。このために、以下詳細に説明するように、正の屈折力のレンズ部分のレンズ素子にいくつかの比較的独特な材料を選択することが必要となる。
【0037】
図2は、
図1のレンズ素子101A、101B、102、103および104に関するアッベ数v
i、屈折率n
i、熱焦点ずれ係数χ
i、および熱膨張係数α
Tiの例示的な1組のセットを示す表200である。表200に示す材料特性を、
図1に示すレンズ構成100と組み合わせて使用して、上記で概説した特徴の種々の望ましい組み合わせのいずれかおよび/または全てに対応する実施形態を提供する。具体的には、
図2に示す実施形態では、第1のレンズ部分101Aは、比較的小さいアッベ数25.4、屈折率1.8、熱焦点ずれ係数6.4ppm/℃および熱膨張係数8.9ppm/℃を有する。第2のレンズ部分101Bは、比較的大きいアッベ数45.8、屈折率1.5、熱焦点ずれ係数1.5ppm/℃および熱膨張係数8.2ppm/℃を有する。それゆえ、対応する複レンズ素子101の平均アッベ数は35.6である。レンズ素子102は、アッベ数35.3、屈折率1.7、熱焦点ずれ係数−0.5ppm/℃および熱膨張係数7.3ppm/℃を有する。レンズ素子103はアッベ数63.3、屈折率1.6、熱焦点ずれ係数15.7ppm/℃および熱膨張係数10.1ppm/℃を有する。レンズ素子104はアッベ数26.3、屈折率1.8、熱焦点ずれ係数6.1ppm/℃および熱膨張係数8.8ppm/℃を有する。それゆえ、対応する正のレンズ部分105の平均アッベ数は41.6である。一部の実施形態では、複レンズ素子101の平均アッベ数と正のレンズ部分105の平均アッベ数の差が最大でも10であると好都合である。
図2に示す例示的な実施形態では、差は6である。
【0038】
図2に示す例示的な実施形態では、メニスカスレンズ素子103および第2のメニスカスレンズ素子104はクロマティック共焦点センサ光学ペンの熱感度を補償し、また、メニスカスレンズ素子103および第2のメニスカスレンズ素子104の熱焦点ずれ係数χ
iの平均は10.88ppm/℃である。
図2に示す例示的な実施形態では、第1のメニスカスレンズ素子103および第2のメニスカスレンズ素子104は、レンズ構成100に所望の光学性能を維持する一方で熱感度に必要なバランスを与える。代替的な実施形態では、両凸レンズ素子102は、所望の光学性能を維持する一方で熱感度に必要なバランスに寄与するように選択し得る。当然のことながら、ほとんどのガラスタイプのレンズでは、10ppm/℃を超える熱焦点ずれ係数χ
iは比較的珍しく、これは、レンズ構成100の基準を満たすレンズの可能性を限定する。
【0039】
当然のことながら、レンズ構成100を使用する光学ペンでは、本発明に従って構成された正の屈折力のレンズ部分105の素子は、その光学ペンの光学機械素子の熱膨張または熱収縮によって生じる各レンズ素子間の間隔の変化を補償する。
図3を参照してそのような光学ペンの光学機械部分を詳細に説明する。
【0040】
図3は、
図1のレンズ構成100の素子を含む、例示的なクロマティック共焦点センサ光学ペン300の選択した部分の分解図である。クロマティック共焦点センサ光学ペン300の選択した部分はハウジングアセンブリ320および光学素子部分350を含み、光学素子部分350は、レンズ構成100の素子の他、他の構成要素も含む。具体的には、
図3に示す実施形態では、光学素子部分350は、レンズ素子101A、101B、102、103および104、ならびに、位置決め肩部352Aを含む保持要素352と、位置決め肩部354A〜354Cを含む組立要素354と、保持リング356と、位置決め肩部358Aを含む端部要素358とを含む。
【0041】
レンズ素子102は、組み立てると、位置決め肩部354A、および位置決め肩部352Aの第1の側に当接する一方、レンズ素子101は位置決め肩部352Aの他方の側に当接し得る。レンズ素子103は位置決め肩部354Cおよび保持リング356に当接し得る。レンズ素子104は位置決め肩部358Aに当接し得る。組立要素354は端部要素358およびハウジング320にほぼ当接し得る。圧迫、隣接面、および/または摩擦力によって適所に保持されていないいずれの要素も、接着剤または他の従来の手段によって適所に固定され得る。
【0042】
図2を参照して説明したように、クロマティック共焦点センサ光学ペン300の熱感度を補償する正の屈折力のレンズ部分105の素子を、クロマティック共焦点センサ光学ペン300の光学機械素子の熱膨張または熱収縮から生じる各レンズ素子の間隔の変化間にバランスをもたらすように選択する必要がある。一実施形態では、正の屈折力のレンズ部分105の少なくとも2つのレンズ素子は、ハウジング要素320の熱膨張から生じた熱感度および追加的に組立要素354および端部要素358の熱膨張から生じた熱感度を含めて、クロマティック共焦点センサ光学ペン300の全体的な熱感度を少なくとも部分的に補償する。概して、光学的シミュレーションコンピュータプログラムを使用して、レンズ構成100の熱感度およびクロマティック共焦点センサ光学ペン300の光学機械部品の熱感度の双方をモデリングし得る。光学的シミュレーションコンピュータプログラムに含まれる要因は、ハウジングアセンブリ320、組立要素354、および端部要素358の熱膨張または熱収縮から生じたレンズ素子の位置の変化、ならびに各レンズ素子の厚さの変化およびレンズ構成100の各レンズ素子の表面曲率の変化を含み得る。
【0043】
特に、第1のレンズ構成では、第1のシミュレーションした全体的な熱感度の結果と、第1の実験的な全体的な熱感度とを比較することが有用であり得る。このように、シミュレーションで考慮されなかった、クロマティック共焦点センサ光学ペン300の熱感度に寄与する追加的な未知の要因を定量化し得る。同じハウジングアセンブリ320、組立要素354、および端部要素358を備える正のレンズ構成105に関するレンズの単純な変化において、シミュレーションした熱感度と実験的な熱感度との間の差はほぼ一定である、すなわち:
【数6】
であることが観察された。改良された第2のレンズ構成は、第2のシミュレーションした全体的な熱感度を、第1のシミュレーションした全体的な熱感度と第1の実験的な全体的な熱感度との間の差:
【数7】
に適合させる正のレンズ構成105の実施形態に対してレンズを選択することによって決定され得る。このように、シミュレーションにおいて低い熱感度となるように第2のレンズ構成を単純に選択するのではなく、第2のレンズ構成を、熱感度に寄与する未知の要因に対して追加的に補償を行うように選択する。
【0044】
図4は、組み立てられたクロマティック共焦点センサ光学ペン400の断面図である。
図4に示すように、クロマティック共焦点センサ光学ペン400は、ハウジングアセンブリ320'および光学素子部分350'を含み、それらは、
図3に示す同様の符号(プライム符号が付されていない)が付けられた構成要素と同様または同一とし得る。いずれの場合にも、光学素子部分350'は本発明による色分散レンズ構成を含む。クロマティック共焦点センサ光学ペン400の一般的な動作については、本願明細書で開示した先の図および説明に基づいて理解し得る。
【0045】
クロマティック共焦点センサ光学ペン400はさらに、取付用ねじ410を使用してハウジング320'の端部に取り付けられ得る取付要素480を含む入出力光ファイバサブアセンブリ405を含む。入出力光ファイバサブアセンブリ405は入出力光ファイバ(図示せず)を、それを包み込む光ファイバケーブル412'および光ファイバコネクタ408によって収容する。
図1に記載の入出力光ファイバ112およびアパーチャ195を参照して上述したのと同様の方法で、入出力光ファイバは、アパーチャ495を通して出力ビームを出射させ、かつアパーチャ495を通して測定用反射信号光を受光する。一実施形態では、アパーチャ495は入出力光ファイバのコアの端部に設けられる。しかしながら、種々の他の実施形態では、同時係属の同一出願人による米国特許出願公開第2008/0239323A1号、表題"Chromatic Confocal Sensor Fiber Interface "に詳細に説明されているように、入出力光ファイバサブアセンブリ405は、アパーチャ495をもたらす別個のアパーチャ要素(図示せず)を含み得る。当然のことながら、クロマティック共焦点センサ光学ペン400の熱感度をシミュレーションする光学的シミュレーションコンピュータプログラムはまた、入出力光ファイバサブアセンブリ405の熱膨張または熱収縮を考慮する必要がある。一実施形態では、正の屈折力のレンズ部分105のレンズ素子は、ハウジング要素320の熱膨張から生じた熱感度および追加的に入出力光ファイバサブアセンブリ405の熱膨張から生じた熱感度を含め、クロマティック共焦点センサ光学ペン400の全体的な熱感度を少なくとも部分的に補償する。
【0046】
当然のことながら、本発明による色分散レンズ構成は、類似のレンズ構成と同等の光学的スループットを維持しながら熱感度が低減されるという利点を有する。本発明の原理によるレンズ構成は、'705号特許で説明されているレンズ構成などの類似の構成と同等のスポットサイズ(約4ミクロン)、同等の測定範囲(約300ミクロン)および同等の離間距離(例えば、類似の構成の約2%以内)をもたらす。類似のレンズ構成を使用するクロマティック共焦点センサ光学ペンは、式9において与えられる約210nm/℃の熱感度を有し得る一方、本発明によるレンズ構成を使用するクロマティック共焦点センサ光学ペンは、約70nm/℃の熱感度を有する。
なお、上記説明した本実施形態におけるレンズ構成は、両凸レンズ、第1のメニスカスレンズおよび前記第2のメニスカスレンズの熱焦点ずれ係数をそれぞれχ
3、χ
4およびχ
5とすると、熱焦点ずれ係数χ
4が小さくても15ppm/℃であり、および熱焦点ずれ係数χ
5が小さくても5ppm/℃とすることができる。より好ましくは、熱焦点ずれ係数χ
3が小さくても−1ppm/℃、および大きくても0ppm/℃であり、熱焦点ずれ係数χ
4が小さくても15ppm/℃、および大きくても17ppm/℃であり、熱焦点ずれ係数χ
5が小さくても5ppm/℃および大きくても7ppm/℃であり、両凸レンズ、第1のメニスカスレンズおよび第2のメニスカスレンズ熱膨張係数をそれぞれα
T3、α
T4およびα
T5とすると、熱膨張係数α
T3が小さくても7.1ppm/℃、および大きくても7.5ppm/℃であり熱膨張係数α
T4が小さくても9.9ppm/℃、および大きくても10.2ppm/℃であり、熱膨張係数α
T5が小さくても8.6ppm/℃、および大きくても9.0ppm/℃であるとよい。
また、両凸レンズ素子のアッベ数が最小でも32、および最大でも38であり、第1のメニスカスレンズのアッベ数が最小でも57、および最大でも66であり、ならびに第2のメニスカスレンズのアッベ数が最小でも23、および最大でも29であるとすることができる。
また、両凸レンズ素子の屈折率が最小でも1.7、および最大でも1.8であり、第1のメニスカスレンズの屈折率が最小でも1.6、および最大でも1.7であり、ならびに第2のメニスカスレンズの屈折率が最小でも1.7、および最大でも1.8であるとすることができる。
また、複レンズ素子の第1の部分および第2の部分の熱焦点ずれ係数それぞれχ
1およびχ
2とすると、熱焦点ずれ係数χ
1が小さくても6ppm/℃、および大きくても7ppm/℃であり、熱焦点ずれ係数χ
2が小さくても1ppm/℃、および大きくても3ppm/℃であるとすることができる。
また、複レンズ素子の第1の部分および第2の部分の熱膨張係数をそれぞれα
T1、およびα
T2とすると、熱膨張係数α
T1が小さくても8.7ppm/℃、および大きくても9.1ppm/℃であり、熱膨張係数α
T2が小さくても8.0ppm/℃、および大きくても8.4ppm/℃であるとすることができる。
【0047】
本発明の好ましい実施形態を図示して説明したが、当業者には、この開示に基づいて、特徴および一連の動作の図示し説明した構成における多くの変形例が明らかであろう。それゆえ、当然のことながら、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく種々の変更をなすことができる。