(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記投影面上への前記第2の流体コンジット(132)の投影は、前記投影面上への前記第1の流体コンジット(131)の投影の中に位置する、請求項1に記載のデバイス(100)。
前記基本本体(110)が、前記回転軸(50)に同軸に配置される円筒形空洞(113)を備え、前記円筒形空洞(113)内に同軸に挿入される冷却剤管(114)をさらに備え、前記第1の流体コンジット(131)が前記冷却剤管(114)内につながる、請求項1または2に記載のデバイス(100)。
中空円筒形隙間(115)が、前記冷却剤管(114)と前記基本本体(110)の内壁の間に形成され、前記第2の流体コンジット(132)が前記隙間(115)につながる、請求項3に記載のデバイス(100)。
前記回転ターゲット(10)の流体支持のため、前記本体(110)内に第3の流体コンジット(133)をさらに含み、前記第3のコンジット(133)が前記回転軸(50)に直角な方向に向けられ、前記投影面上への前記第1の流体コンジット(131)および前記第3の流体コンジット(133)の投影がお互いに重なる、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
前記第1の流体コンジット(131)が第1の断面積を備え、前記第2の流体コンジット(132)が第2の断面積を備え、前記第3の流体コンジット(133)が第3の断面積を備え、前記第1の断面積が前記第2の断面積と前記第3の断面積の合計とほぼ一致する、請求項5または6に記載のデバイス(100)。
前記第1の流体コンジット(131)が、軸方向に第1の延長(d1)および第1の最大軸座標(x3)を有し、少なくとも1つの電気接点(135)をさらに備え、前記少なくとも1つの電気接点(135)が前記第1の最大軸座標(x3)と前記第1の軸方向の延長(d1)の合計よりも小さい最大軸座標(x8)を有する、請求項1ないし7のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
前記本体(110)の周りに枢動可能に配置され、前記少なくとも1つの電気接点(135)と機械的に接触する電流コレクタプレート(122)をさらに備える、請求項8に記載のデバイス(100)。
少なくとも1つの電源コネクタ(136)をさらに備え、前記投影面上への前記第1の流体コンジット(131)および前記少なくとも1つの電源コネクタ(136)の投影がお互いに重なる、請求項1ないし9のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
前記本体(110)の周りに枢動可能に配置され、前記回転ターゲット(10)を機械的に支持するようになされるターゲットフランジ(121)をさらに備える、請求項1ないし11のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
前記回転軸(50)に垂直に向けられ、前記本体(110)が取り付けられ、前記堆積装置(200)の非回転部に付けられるようになされる絶縁板(116)をさらに備える、請求項1ないし12のいずれか一項に記載のデバイス(100)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、様々な実施形態への詳細な参照がなされることになり、様々な実施形態のうちの1つまたは複数の例が、各図に例示されている。各例は、説明のために提供されており、制限するものとして意図されていない。例えば、一実施形態の部分として例示または記載される特徴を他の実施形態にまたは他の実施形態と一緒に使用して、もう1つの実施形態を生み出すことができる。本開示は、そのような変更形態および変形形態を含むことが意図される。
【0015】
スパッタリングは、エネルギーを有する粒子によってターゲットに衝撃を加えることのため、固体ターゲット材料から原子が放出されるプロセスである。わずかな材料で基板を被覆するプロセスを、典型的には、薄膜付着と言う。用語「被覆」および用語「堆積」は、本明細書において、同意語として使用される。用語「スパッタリング設備」および「堆積装置」は、本明細書において、同意語として使用され、基板上に、典型的には薄膜として、ターゲット材料を堆積するためにスパッタリングを使用する装置を包含するものとする。
【0016】
典型的なターゲット材料としては(限定するものではないが)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)および金(Au)などの純金属、アルミニウム−ニオブ(AlNb)合金またはアルミニウム−ニッケル(AlNi)合金などの金属合金、シリコン(Si)などの半導体材料および窒化物などの誘電体材料、炭化物、チタン酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、および例えば、ZnO:Alといった不純物ドープZnO、AlZnO、In
2O
3、SnO
2およびCdOならびにSnドープIn
2O
3(ITO)およびFドープSnO
2などの透明導電酸化物(TCO)といった酸化物が挙げられる。
【0017】
本明細書において使用するとき、用語「基板」は、例えばウエハまたはガラス板といった可撓性でない基板、およびウエブおよび箔など可撓性の基板の両方を包含するものとする。
【0018】
代表的な例としては(限定するものではないが)、半導体材料および誘電体材料ならびに半導体デバイスおよび誘電体デバイス、シリコンベースのウエハ、フラットパネルディスプレイ(TFTなど)、マスクおよびフィルタ、エネルギー変換および蓄積(光電池、燃料電池、蓄電池など)、固体照明(LEDおよびOLEDなど)、磁気および光記憶装置、微小電気機械システム(MEMS)およびナノ電気機械システム(NEMS)、微小光学および光電気機械システム(NEMS)、微小および光電子デバイス、透明基板、建築用ガラスおよび自動車用ガラス、金属およびポリマー箔ならびに梱包のための金属化システム、ならびに微小成形およびナノ成形を含む用途が挙げられる。
【0019】
図1に関して、堆積装置の回転ターゲットを支持するためのデバイスに関する複数の実施形態が説明される。本明細書において使用する用語「回転ターゲットを支持するためのデバイス」は、回転ターゲットを機械的に支持し、回転ターゲットに運動を回転可能に移送して、回転ターゲットに冷却剤を提供するようになされるデバイスを包含するものとする。用語「回転ターゲットを支持するためのデバイス」、「エンドブロック」、「カソードドライバヘッド」、および用語「カソードドライバブロック」は、本明細書において同意語として使用される。本明細書において使用する用語「回転ターゲットを支持するためのデバイス」、「エンドブロック」、「カソードドライバヘッド」、および「カソードドライバブロック」は、回転ターゲットに冷却剤および/または電流を提供する一方、真空の完全性および閉じた冷却剤の回路を維持するデバイスを特に包含するものとする。
【0020】
本明細書において使用する用語「回転ターゲット」は、スパッタリング設備に回転可能に取り付けられるようになされ、スパッタされるようになされたターゲット構造を含む任意のカソードアセンブリを包含するものとする。本明細書において使用する用語「回転ターゲット」は、スパッタリングを改善するため、例えば永久磁石といった内部磁気手段を追加で含む、磁気的に拡張されたカソードアセンブリを特に包含するものとする。
【0021】
回転ターゲットは、以降では回転スパッタリングカソードおよび回転カソードともそれぞれ言うが、ターゲット材料の中空円筒形本体から作ることができる。これらの回転ターゲットは、モノリシックターゲットとも言い、ターゲット材料を鋳造または焼結することによって製造することができる。
【0022】
非モノリシック回転ターゲットは、典型的には、非モノリシック回転ターゲットの外面に付着されたターゲット材料の層を有する、例えばバッキング管といった、円筒形の回転可能な管を含む。そのような回転スパッタリングカソードの製造において、ターゲット材料を、例えば、バッキング管の外面上に、噴霧、または鋳造または粉末の静水圧圧縮成形によって付着することができる。あるいは、ターゲット管とも言う場合があるターゲット材料の中空円筒を、回転カソードを形成するため、バッキング管上に配置し、バッキング管に、例えばインジウムで結合することができる。もう1つの代替方法によれば、結合されないターゲット円筒を、バッキング管の径方向外向きにもうけることができる。
【0023】
堆積速度を増加させるために、磁気的に向上されたカソードの使用が提案されている。これは、マグネトロンスパッタリングとも言う場合がある。磁気手段は、磁石の配列を含むことができ、例えばバッキング管の内側またはモノリシックターゲットの内側といった、スパッタリングカソードの内側に配置して、磁気的に向上されたスパッタリングのための磁場を実現することができる。カソードは、典型的には、カソードの長手軸の周りを回転可能であり、そのためカソードを磁気手段に対して回転することができる。
【0024】
動作において、冷却されない磁石は、熱くなる場合がある。このことは、イオンで衝撃を加えられるターゲット材料によって磁石が囲繞されるということに起因する。その結果生じる衝突が、回転カソードの加熱をもたらす。磁石を好適な動作温度に保つため、ターゲット材料および磁石の冷却を備えることができる。
【0025】
図1は、回転ターゲット(図示せず)によって画定される回転軸50に平行な方向に沿った典型的な断面におけるエンドブロック100を概略的に示す。スパッタリング期間に、回転ターゲットは、回転軸50の周りを回転することができる。回転軸50は、エンドブロック100の長手軸50も形成し、軸方向を画定する。この点に関連して、方向の用語、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上の(upper)」、「下の(lower)」、「上(above)」、「下(below)」、「上に(on)」などは、回転軸50の配向を基準として使用する。本明細書において使用の用語「軸方向」は、回転軸50に平行な方向を述べることを意図している。同様に、本明細書において使用の用語「径方向」は、回転軸50に直角で、回転軸50から離れる向きを示す方向を述べることを意図している。本明細書において使用の用語「軸座標」は、回転軸50の方向の座標を述べることを意図している。点の軸座標は、典型的には、点を回転軸50上へ直角に投影することによって得られる。同様に、本明細書において使用の用語「軸距離」は、回転軸50の方向における距離を述べることを意図している。軸座標の値が大きくなることは、回転ターゲットへの軸距離が短くなることに対応する。本明細書において使用の用語「軸延長」は、回転軸50の方向における延長を述べることを意図している。部分の「軸延長」は、典型的には、部分の「最大軸座標」および「最小軸座標」の間の差によって与えられる。
【0026】
実施形態によれば、エンドブロック100は、基本本体110、典型的には中空基本本体110、第1の流体コンジット131および第2の流体コンジット132を有する。本明細書において使用の用語「流体コンジット」は、それぞれ、流体の流れを運ぶようになされる流体チャンネルおよび管を述べることを意図している。第1の流体コンジット131および第2の流体コンジット132は、回転軸50に垂直に向けられる。
【0027】
回転ターゲット50は、典型的には、スパッタリングのために、本体110の上に配置される。スパッタリング期間に、第2の流体コンジット132は、冷却剤、典型的には水を、基本本体110の径方向内向き位置部分に提供する。冷却剤は、典型的には、基本本体110の内向き位置部分を通って回転ターゲット50に向かって上向きに、また回転ターゲット50から基本本体110の内向き位置部分を通って下向きに送られる。第1の流体コンジット131は、基本本体110の径方向内向き位置部分から暖められた冷却剤を受け取る。典型的には、第1の流体コンジット131および第2の流体コンジット132は、スパッタリング期間に回転ターゲットを冷却するための、閉じた冷却剤回路の部分である。
【0028】
実施形態によれば、回転軸50の方向に延びる投影面60上への、第1の流体コンジット131および第2の流体コンジット132の直角な投影は、お互いに重なる。
【0029】
換言すれば、第1の流体コンジット131は、
図1の断面で、第1の最小軸座標x
1と第1の最大軸座標x
3の間を延びる。第2の流体コンジット132は、
図1の断面で第2の最小軸座標x
2と第2の最大軸座標x
4の間を延び、第2の最小軸座標x
2と第2の最大軸座標x
4のうちの少なくとも1つは、第1の最小軸座標x
1と第1の最大軸座標x
3の間に位置する。このことは、条件x
1≦x
4≦x
3とx
1≦x
2≦x
3のうちの少なくとも1つが満たされることを意味する。そのようなやり方で第1の流体コンジット131および第2の流体コンジット132を配置することによって、小型で空間を縮小した設計のエンドブロック100が得られる。これによって、堆積装置のプロセスチャンバ内の空間、したがってコストを減少することができる。
【0030】
図2は、実施形態にしたがう、回転ターゲットの回転軸50に平行である方向に沿うエンドブロック100の断面を概略的に示す。
図2のエンドブロック100は、
図1のエンドブロック100と同様である。
図2内の要素のほとんどは、
図1内の対応する要素と同様である。分かりやすくするために、これらの要素は、それぞれ同一の参照番号をもって呼ばれる。
【0031】
実施形態によれば、第1の流体コンジット131は、回転軸50から径方向外向きに延びる。このことは、
図2に、径方向に向けられる第1の流体コンジット131の第1の長手軸51によって示される。これらの実施形態において、第2の流体コンジット132は、典型的には第1の長手軸51に平行な第2の長手軸52を含む。
【0032】
実施形態によれば、第2の流体コンジット132は、回転軸50から径方向外向きに延びる。これらの実施形態において、第2の流体コンジット132の第2の長手軸52は、回転軸50に関して径方向であり、第1の長手軸51は、典型的には第2の長手軸52に平行である。
【0033】
第1の流体コンジット131および第2の流体コンジット132ならびに第1の流体チャンネル131および第2の流体チャンネル132は、それぞれ典型的には、管形状である。この場合、それぞれの外側境界は、回転軸50に平行な断面が円である。しかし、第1の流体コンジット131および/または第2の流体コンジット132は、回転軸50に平行な断面を長円または多角形として形成することもできる。これらの断面において、長手軸51および52は、典型的には、それぞれの流体コンジットの領域の中心を通る。
【0034】
実施形態によれば、第1の長手軸51と第2の長手軸52は、
図2に示されるように、お互いに平行である。第2の長手軸52および第1の長手軸51は、示される断面内へ向き、示される断面から出ることに留意されたい。このことは、スパッタリング期間に第1の流体コンジット131および第2の流体コンジット132を通る典型的な流れの方向に対応する。
【0035】
図3は、実施形態にしたがう、回転ターゲットの回転軸50に平行である方向に沿うエンドブロック100の断面を概略的に示す。
図3のエンドブロック100は、
図1および
図2のエンドブロック100と同様である。実施形態によれば、第2の最小軸座標x
2および第2の最大軸座標x
4は、第1の最小軸座標x
1と第1の最大軸座標r
3の間に位置する。このことは、両方の条件、x
1≦x
4≦x
3とx
1≦x
2≦x
3が満たされることを意味する。換言すれば、投影面60上への第2のコンジット132の投影は、投影面60上への第1のコンジット131の投影の中に、完全に位置する。
【0036】
実施形態によれば、第1の流体コンジット131および第2の流体コンジット132の断面積は実質的に等しい。これによって、両方のコンジット131、132内の流体の流れは、同数の冷却剤の流入および冷却剤の流出がもうけられたとき、実質的に等しい。
【0037】
図4は、実施形態にしたがう、回転ターゲットの回転軸50に平行である方向に沿うエンドブロック100の断面を概略的に示す。
図4のエンドブロック100は、
図1から
図3のエンドブロック100と同様である。実施形態によれば、
図4のエンドブロック100は、回転ターゲットの流体支持のため、本体110内に第3の流体コンジット133をさらに含む。第3のコンジット133は、回転軸50に直角に向けられ、投影面60上への第1の流体コンジット131および第3の流体コンジット133の投影は、お互いに重なる。
図4は、第3の流体コンジット133の投影が、第1の流体コンジット131の投影内に位置する実施形態を例示する。換言すれば、第3の流体コンジット133は、
図4の断面で第3の最小軸座標x
5と第
3の最大軸座標x
6の間を延び、両方の条件、x
1≦x
5≦x
3とx
1≦x
6≦x
3が満たされる。典型的には、第3のコンジット133は、基本本体110の径方向内向き位置部分に冷却剤を提供するようにもなされる。さらに、第3のコンジット133の第3の長手軸53は、典型的には、第1の長手軸51および第2の長手軸52のうちの少なくとも1つに平行でもある。
【0038】
実施形態によれば、第2の流体コンジット132および第3の流体コンジット133の断面積の合計は、第1の流体コンジット131の断面積にほぼ一致する。これによって、冷却剤提供コンジット132および133内の平均流速は、冷却剤排出コンジット131内とほぼ同じである。2つの冷却剤提供コンジット132および133ならびに1つの中央冷却剤排出コンジット131を用いて、特に小型のエンドブロック100を実現することができる。
【0039】
実施形態によれば、第2の長手軸52および第3の長手軸53は、回転軸50に直角な仮想平面70に配置される。これは、特に小型のエンドブロック100を実現するのに有用でもある。さらに、第1の長手軸51も、平面70内に配置することができる。
【0040】
図5は、実施形態にしたがう、回転ターゲットの回転軸50に平行である方向に沿うエンドブロック100の断面を概略的に示す。
図5のエンドブロック100は、
図1から
図4のエンドブロック100と同様である。実施形態によれば、
図4のエンドブロック100は、回転ターゲットに適切な電圧を提供するための、少なくとも1つの電気接点135、典型的には複数の摺動電気接点135をさらに含み、そのため回転ターゲットは、スパッタリング期間に、カソードとして動作することができる。エンドブロック100を確実に小型設計するため、少なくとも1つの電気接点135は、最大軸座標x
8を有する。最大軸座標x
8は、典型的には、第1の最大軸座標x
3と第1の流体コンジットの第1の軸延長d
1の半分の合計よりも小さく、すなわち、x
8≦x
3+0.5*d
1=1.5x
3−0.5*x
1である。管状の流体コンジット131の場合、第1の軸延長d
1は、第1の直径d
1とも呼ばれる。
【0041】
図6は、実施形態にしたがう、回転ターゲットの回転軸50に平行である方向に沿うエンドブロック100の断面を概略的に示す。
図5のエンドブロック100は、
図1から
図4のエンドブロック100と同様である。実施形態によれば、
図6のエンドブロック100は、電力供給コネクタ136をさらに含み、投影面60上への第1の流体コンジット131および電力供給コネクタ136の投影は、お互いに重なる。換言すれば、電力供給コネクタ136は、
図6の断面で第4の最小軸座標x
9と第4の最大軸座標x
10の間を延び、第4の最小軸座標x
9と第4の最大軸座標x
10のうちの少なくとも1つは、第1の最小軸座標x
1と第1の最大軸座標x
3の間に位置する。典型的には、投影面60上への電力供給コネクタ136の投影は、完全に、投影面60上への第1の流体コンジット131の投影内に位置し、すなわち、x
1≦x
9≦x
3およびx
1≦x
10≦x
3である。
【0042】
実施形態によれば、本体110は、導電性材料、典型的には例えば鉄鋼といった金属から作られる。これによって、回転ターゲット用の電力供給が、電力供給コネクタ136から、基本本体110を通り、1つまたは複数の摺動電気接点135に流れることができる。加えて、基本本体110の材料として鉄鋼を使用することによって、高い機械的な安定性を確保する。
【0043】
図7および
図8に関して、小型のエンドブロック100のさらなる実施形態が記載される。
図7は、回転ターゲットの回転軸50に平行である方向に沿う断面で、エンドブロック100の実施形態を概略的に例示する。
【0044】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロック100は、本体110、第1の外径d
1を有する第1の流体コンジット131、および少なくとも第2の流体コンジット132を含む。第1の流体コンジット131は、第1の軸座標a
1において本体110と流体接続するようになされ、第2の流体コンジット132は、第2の軸座標a
2において本体110と流体接続するようになされる。第1の軸座標a
1と第2の軸座標a
2の間の距離dは、第1の外径d
1より短い。軸座標a
1およびa
2は、それぞれ、長手軸51および52の軸座標により画定される。
【0045】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロック100は、第1の外径d
1の2倍より小さく、典型的には第1の外径d
1よりも小さい、第1の長手軸51への最大軸距離d
maxを有する、少なくとも1つの電気接点135、典型的には複数の摺動電気接点135をさらに含む。
【0046】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロック100は、第4の最小軸座標x
9および第4の最大軸座標x
10を有する少なくとも1つの電力供給コネクタ136をさらに含む。第4の最小軸座標x
9および/または第4の最大軸座標x
10は、第1の軸座標a
1と第1の外径d
1の半分の差と、第1の軸座標a
1と第1の外径d
1の半分の合計の間に位置する。典型的には、第4の最小軸座標x
9および第4の最大軸座標x
10の両方は、これらの境界、すなわちa
1−0.5*d1≦x
9≦x
10≦a
1+0.5*d
1内に位置する。
【0047】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロック100は、2つの第2の流体コンジット132を含む。
【0048】
図8は、回転ターゲットの回転軸50に平行である方向に沿う断面で、エンドブロック100の実施形態を概略的に例示する。実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロック100は、本体110、本体110と流体接続されるようになされる少なくとも第2の流体コンジット132、および本体110と流体接続されるようになされ、第1の外径d
1を有する第1の流体コンジット131を含む。第1の流体コンジット131および少なくとも1つの第2の流体コンジット132は、回転軸50に垂直な第1の仮想平面61と回転軸50に垂直な第2の仮想平面62の間に配置され、第1の平面61と第2の平面62の間の距離Dは、第1の外径d1の2倍より短い。
【0049】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロック100は、第1の平面61と第2の平面62の間に配置される、少なくとも1つの電気接点135、典型的には複数の摺動電気接点135をさらに含む。
【0050】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロック100は、第1の平面61と第2の平面62の間に配置され、軸方向である、少なくとも1つの電力供給コネクタ136をさらに含む。典型的には、少なくとも1つの電力供給コネクタ136は、少なくとも1つの電気接点135の下に配置される。
【0051】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロック100は、2つの第2の流体コンジット132を含む。
【0052】
図9は、実施形態にしたがう、回転ターゲットの回転軸50に沿うエンドブロック100の断面を概略的に示す。
図1から
図8の図示の断面は、
図9の断面に直角な、
図9中の線BB’に沿った断面に対応することができる。したがって、
図1から
図8に関して説明された実施形態は、
図9の実施形態と組み合わせることができる。
【0053】
典型的には、エンドブロック100は、外部筐体を含む。図示の断面では、外部筐体の下側壁126および上側壁127の部分のみが示される。スパッタリング期間に、外部筐体は、典型的には、スパッタリングが実行されるプロセスチャンバに対して回転しない。プロセスチャンバは、典型的には低圧チャンバであり、以降では、真空チャンバとも呼ぶ。外部筐体は、例えば、プロセスチャンバの壁に装着され得る。安定性の理由で、外部筐体は、典型的には金属、例えば鉄鋼、ステンレス鋼またはアルミニウムで作られる。
【0054】
実施形態によれば、エンドブロック100は、外部筐体の下側壁126に堅く接続される中空基本本体110を有する。したがって、基本本体110も、スパッタリング期間に、プロセスチャンバに対して回転しない。換言すれば、基本本体110は、典型的には、堆積装置の非回転部分に堅く接続される。
【0055】
実施形態によれば、回転軸50と同軸である、円筒形空洞113が基本本体110内に形成される。円筒形空洞は、基本本体110の径方向内向き位置部分とも呼ぶことができる。
【0056】
実施形態によれば、冷却剤管114が円筒形空洞113内に、同軸に挿入される。加えて、中空円筒形隙間115が、典型的には、冷却剤管114と基本本体110の内壁の間に形成される。冷却剤管114および隙間115を使用して、回転ターゲットを冷却剤、例えば水で支持することができる。典型的には、冷たい冷却剤が隙間115の中を上向きに流れ、暖められた冷却剤が冷却剤管114の中を下向きに流れる。冷却剤の流れの方向は、逆にすることもできる。
【0057】
実施形態によれば、軸受システム149が基本本体110の周りに配置される。軸受システム149は、典型的には、回転軸50と同軸である。典型的には、軸受システム149は、スパッタリング期間の回転ターゲットの運動から生じる、径方向の負荷と軸方向の負荷の両方を担持するようになされる。軸受システム149は、典型的には、少なくとも1つの円錐ころ軸受、例えば1つまたは2つの環状円錐ころ軸受を含む。円錐ころ軸受は、径方向の負荷および軸方向の負荷の両方を支持し、典型的には、より大きな接触面積のため、例えば玉軸受よりもより大きな負荷を担持することができる。
【0058】
実施形態によれば、回転子120が、軸受システム149の周りに配置される。回転子120は、回転ターゲットを受けるようになされる、外部筐体の外側の上部内にある。これによって、回転ターゲットは、回転軸50の周りを回転することができる。典型的には、回転子120は回転ターゲットのための機械的支持体を実現し、すなわち、回転子120は、典型的には、回転ターゲットを担持し、スパッタリング期間に、回転運動を回転ターゲットに移送する。回転ターゲットを機械的に支持するようになされる回転子120を回転しない基本本体110の周りに配置することによって、小型で空間を縮小した設計のエンドブロック100が得られる。これによってプロセスチャンバ内の空間、したがってコストを減少することができる。
【0059】
実施形態によれば、回転子120は、軸受システム149の周りに配置され、軸受システム149に接続される軸受筐体123を含む。回転軸50に直角で、軸受システム149を通る典型的な断面は、軸受筐体123、冷却剤管114および基本本体110の環状の断面を示す場合がある。
【0060】
実施形態によれば、歯車151が、軸受筐体123の周りに配置され、軸受筐体123に付けられて、回転運動を回転子120に移送する。典型的には、歯車151は、
図1に示されるように下部に、または軸受筐体123の中央部に付けられる。このことによって、歯車151と回転電気ドライバの間で、外部筐体を通して、例えばベルトを介して機械的に結合することが容易になる。
【0061】
実施形態によれば、ターゲットフランジ121が、軸受筐体123上に配置され、軸受筐体123に、真空気密に取り付けられる。典型的には、Oリングシール13が、軸受筐体123とターゲットフランジ121の間に配置される。ターゲットフランジ121および軸受筐体123は、典型的にはお互いに回転不可能に結合されるので、ターゲットフランジ121の上部上に取り付けられる回転ターゲットを、回転電気ドライバによって回転することができる。
【0062】
スパッタリング期間に、ターゲットフランジ121の少なくとも上部は、典型的には、外部筐体の外側に、すなわち、低圧または真空環境に配置される。これとは異なり、外部筐体の内部空間は、典型的には常圧である。ガスの交換を避けるため、シールキャリア124は、実施形態によれば、外部筐体の上側壁127と回転子120の間に、真空気密に配置される。典型的な実施形態では、摺動環状真空シール118が、シールキャリア124と軸受筐体123の間に配置される。シールキャリア124は、軸受筐体123にも装着することができ、摺動環状真空シールは、シールキャリア124と外部筐体の上側壁127の間に配置することができる。
【0063】
実施形態によれば、2つの環状摺動シール117、例えば流体シール117が、ターゲットフランジ121と基本本体110の間に配置される。少なくとも1つの環状摺動流体シールを使用することによって、冷却剤、軸受グリースおよび真空潤滑剤それぞれの交換を回避する。これによって、軸受システム149は、冷却剤の侵入から保護される。さらに、冷却システム内へのグリースの侵入が回避される。
【0064】
実施形態によれば、電流コレクタプレート122が、回転子120の下端に、すなわちターゲットフランジ121と対向して、軸受筐体123に取り付けられる。電流コレクタプレート122も、典型的には、回転軸50に直角な、断面が円環形である。電流コレクタプレート122は、典型的には、電流を回転ターゲットに送信するために使用される。
【0065】
実施形態によれば、回転軸50に垂直に向けられる絶縁板116が、典型的にはねじ204で、基本本体110の下部119に付けられる。これによって、エンドブロック100の内部は、外部筐体に対して絶縁され、外部筐体に回転不可能に取り付けられる。
【0066】
実施形態によれば、冷却剤供給および電気的支持が、電流コレクタプレート122と基本本体110の下部119の間に実現される。摺動電気接点135は、基本本体110上に配置され、電流コレクタプレート122と接触する。
図9の断面では、冷却剤を受け、第1の流体コンジット131を形成するための管131のみが示される。典型的には、1つまたは2つの冷却剤排出管ももうけられるが、
図9の断面には見えない。冷却剤支持体は、
図11に関して、より詳細に説明される。
【0067】
図10は、回転軸50に沿って、エンドブロックのターゲットフランジ121に取り付けられる回転ターゲット10の断面を概略的に示す。実施形態によれば、ターゲットフランジ121および回転ターゲット10は、お互いに同軸である。
【0068】
典型的には、回転ターゲット10は、バッキング管11およびバッキング管11上に配設されるターゲット管12を含む。本明細書において使用の用語「ターゲット管」は、スパッタされるのに好適な材料の任意の外殻、特に中空円筒として形成されるものを包含するものとする。
【0069】
ターゲット管の支持体は、機械的支持体を含み、電気的接触を実現すること、ならびにターゲット管およびオプションの磁石の冷却を実現することができる。
【0070】
あるいは、回転ターゲットは、モノリシックターゲットであっても良い。この場合、回転ターゲットの形状は、
図2に示される回転ターゲット10の形状と同様であることができる。示される隣接領域11および12は、この場合、典型的には、同一材料の単なる接続領域を形成する。
【0071】
回転ターゲットの支持体は、少なくとも1つの機械的支持体を含み、電気的接触を実現すること、ならびにターゲット管およびオプションの磁石の冷却を実現することができる。
【0072】
典型的には、回転ターゲット10は、回転ターゲット10をターゲットフランジ121に押圧する環状のクランプ15を使用して、ターゲットフランジ121の上部に嵌合される。Oリングシール13aは、典型的には、それぞれ、ターゲットフランジ121とバッキング管11と回転ターゲット10の隣接部の間に配置される。したがって、回転ターゲット10は、ターゲットフランジ121に真空気密に取り付けられる。
【0073】
実施形態によれば、回転ターゲット10は、ターゲットフランジ121の上部に真空気密に取り付けられる。これは、典型的には、環状シーリング(図示せず)によって達成される。これによって、低圧プロセスチャンバへの流体漏洩を防止する。
【0074】
実施形態によれば、回転ターゲット10は、回転ターゲット10、特に回転ターゲット10の内側にもうけられるオプションの磁石(図示せず)を冷却するため、エンドブロックの冷却剤管114に液密に取り付けられる管状内部構造16を含む。
【0075】
回転ターゲット10をスパッタリング期間に、カソードとして動作させるために、典型的には、回転ターゲット10のための少なくとも1つの電源供給(図示せず)も、ターゲットフランジ121を通して提供される。
【0076】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、ターゲットフランジと軸受筐体の両方は、導電材料、例えば鉄鋼から作られる。これらの実施形態において、電流は、電流コレクタプレートから、軸受筐体およびターゲットフランジを通り、回転ターゲットに流れることができる。
【0077】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、ターゲットフランジは、回転ターゲットを機械的に支持するようになされる。加えて、ターゲット管のための冷却剤および電源供給は、典型的には、ターゲットフランジを通して提供される。
【0078】
図11は、
図9の線A−A’に沿ったエンドブロック100の断面を概略的に示す。これは、
図9の断面が、本体110の下部119を通ることを意味する。
【0079】
典型的には、エンドブロック100は、流体を回転ターゲットから受けるための第1の流体コンジット131を形成する冷却剤排出管131を含む。エンドブロック100は、流体を回転ターゲットに提供するための、それぞれ、第2および第3の流体コンジット132、133を形成する、第1および第2の冷却剤供給管132、133をさらに含む。冷却剤排出管131および冷却剤供給管132、133は、回転軸50に直角な方向に、基本本体110内のそれぞれのボイドを通して送られる。典型的には、冷却剤排出管131および冷却剤供給管132、133は、お互いに平行である。冷却剤排出管131は、冷却剤管114の開孔内につながり、冷却剤供給管132、133は、基本本体110と冷却剤管114の間に形成される環状冷却剤隙間115内につながる。実線矢印により示されるように、水などの冷却剤を、供給管132に提供することができる。スパッタリング期間に、冷却剤は、典型的には、供給管132を通り、冷却剤隙間115内を上向きに、回転ターゲットに流れる。暖められた冷却剤の還流は、点線矢印により示されるように、典型的には、冷却剤管114を通って下向きに行き、排出管131を通って径方向に排出される。これによって、回転ターゲットのため、閉じた冷却剤回路をもうけることができる。
【0080】
実施形態によれば、閉じた冷却剤回路内の流れの方向は、逆にされる。これらの実施形態において、エンドブロック100は、流体を回転ターゲットに提供するための第2の流体コンジットを形成する冷却剤管131、およびそれぞれ、回転ターゲットから流体を受けるための2つの第1の流体コンジットを形成する2つの冷却剤管132、133を含む。典型的には、第2の流体コンジットは、これらの実施形態において、回転軸50から径方向外向きに延びる。
【0081】
実施形態によれば、冷却剤排出管131および/または冷却剤供給管132、133は、外部流体供給ラインを接続するための流体アダプタとして、冷却剤排出管131および/または冷却剤供給管132、133の径方向遠位端に形成される。
【0082】
典型的には、基本本体110は、径方向外向き位置部分で、基本本体110の下部119を絶縁板に付ける、典型的にはねじ込むためのスルーホールを含む。
【0083】
図12は、実施形態にしたがう、エンドブロック100の内部の斜視図を概略的に示す。回転軸50に沿った断面図は、典型的には、
図9の断面と同様である。
【0084】
実施形態によれば、エンドブロック100は、回転軸50に同軸に配置される円筒形空洞113を有する中空本体110を含む。冷却剤管114は、円筒形空洞113内に、同軸に挿入される。これによって、中空円筒形隙間115が、典型的には、冷却剤管114と基本本体110の内壁の間に形成される。流体管を受けるための3つのボイドが、本体110の下部119内に配置される。径方向に配置されるボイド内に、第1の管131が挿入される。第1の管131は、冷却剤管114の内部空間内につながり、冷却剤管114の内部空間から冷却剤を受けるための第1の流体コンジット131を形成する。第2の管132は、第2のボイド208内に送られる。第2の管132は、冷却剤を隙間115に提供するための第2の流体コンジット132を形成する。加えて、第3の管(図示せず)が、典型的には、第3のボイド209内に送られる。第3の管は、冷却剤を隙間115に提供するための第3の流体コンジット132を形成する。これによって、
図10に関して説明されたように、本体110上に取り付けられる回転ターゲットを、閉じた冷却剤回路内の冷却剤で支持することができる。
【0085】
実施形態によれば、摺動電気接点135は、下部119の上部上の孔の中にプラグ接続される。さらに、電源コネクタ136が、下部119内の、摺動電気接点135の下に配置される。
【0086】
実施形態によれば、本体110の下部119はスルーホール207を含み、スルーホール207を通って、本体110を絶縁板116にねじ込むことができる。
【0087】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、第1の流体コンジット、第2の流体コンジット、第3の流体コンジット、電源コネクタおよび摺動電気接点は、回転軸に垂直に向けられ、回転軸の方向に、第1の流体コンジットの延長の2倍より低い、回転軸の方向の延長を有する仮想ディスク内に配置される。典型的には、仮想ディスクの軸延長は、第1の流体コンジットの軸延長の1.5倍より低い。
【0088】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、基本本体の下部は、リング状本体であり、第1の流体コンジットおよび少なくとも1つの第2の流体コンジットを含む。リング状本体は、回転軸に垂直に向けられ、回転軸の方向における第1の流体コンジットの延長の2倍より低い、回転軸の方向における延長を有する。典型的には、リング状本体の軸延長は、第1の流体コンジットの軸延長の1.5倍より低い。第1の流体コンジットおよび少なくとも1つの第2の流体コンジットは、回転軸に直角である。典型的には、電源コネクタが、基本本体の下部にもうけられ、少なくとも1つの摺動電気接点が、リング状本体上に配置される。
【0089】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、本体は、鉄鋼などの伝導材料から作られる。これによって、本体の、十分な機械的安定性が達成される。さらに、摺動電気接点を、本体の材料を介して、電源コネクタと電気的に接続することができる。
【0090】
図13は、実施形態にしたがう、エンドブロック100の内部の斜視図を概略的に示す。回転軸50に沿った断面図は、典型的には、
図9の断面と同様である。
【0091】
実施形態によれば、エンドブロック100は、回転軸50に同軸に配置される円筒形空洞113を備える中空本体110を含む。冷却剤管114は、円筒形空洞113内に、同軸に挿入される。これによって、中空円筒形隙間115が、典型的には、冷却剤管114と基本本体110の内壁の間に形成される。本体110の下部119内に、3つの管131、132および133ボイドが、流体管を受けるために配置される。径方向に配置されるボイド内に、第1の管131が、流体アダプタブロック106を介して送られる。第1の管131は、冷却剤管114の内部空間内に径方向につながり、冷却剤管114の内部空間から冷却剤を受けるための第1の流体コンジット131を形成する。第2の管132および第3の管133は、流体アダプタブロック106内に挿入され、隙間115につながる。第2の管132および第3の管133は、冷却剤を隙間115に提供するため、それぞれ、第2の流体コンジット132および第3の流体コンジット133を形成する。これによって、
図10に関して説明されたように、本体110上に取り付けられる回転ターゲットを、閉じた冷却剤回路内の冷却剤で支持することができる。典型的には、第1の流体コンジット131、第2の流体コンジット132および第3の流体コンジット133は、お互いに対して実質的に平行である。
【0092】
実施形態によれば、絶縁された馬蹄形導体本体138が、本体110および流体アダプタブロック106の、径方向内向き位置部分105の周りに部分的に配置される。絶縁された馬蹄形導体本体138は、本体110の一部を形成することができる。
【0093】
実施形態によれば、摺動電気接点135は、馬蹄形導体本体138の導電性本体139上の孔を通して配置される。さらに、2つの電源コネクタ136が、導体本体138に取り付けられる。
【0094】
実施形態によれば、絶縁された馬蹄形導体本体138は、スルーホール207を含み、スルーホール207を通って、本体110を絶縁板116にねじ留めすることができる。
【0095】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、第1の流体コンジット、第2の流体コンジット、第3の流体コンジット、電源コネクタおよび摺動電気接点は、回転軸に垂直である第1の平面と回転軸に垂直である第2の平面の間に配置され、第1の平面と第2の平面の間の距離は、回転軸の方向に第1の流体コンジットの延長の2倍より小さく、典型的には約1.5倍より小さい。
【0096】
図14は、実施形態にしたがう、回転軸50に沿うスパッタリング設備200の断面を概略的に示す。スパッタリング設備200は、典型的には、壁231および232により形成されるプロセスチャンバ220を含む。これによって、典型的な実施形態によれば、カソード、ターゲット、またはバッキング管の軸50は、エンドブロック100が装着される壁231に本質的に平行である。これによって、カソードの落とし込み構成が実現される。
【0097】
実施形態によれば、以前の図に関して説明したように、少なくとも1つのエンドブロック100がプロセスチャンバ220内に取り付けられ、そのため、エンドブロック100の基本本体110は、プロセスチャンバ220の壁231に対し回転可能ではない。基本本体110は、典型的には、絶縁板116を介し、プロセスチャンバ220のフラップまたは扉230に付けられる。スパッタリング期間、フラップまたは扉230は閉じられる。したがって、基本本体110は、スパッタリング期間に、典型的には、固定であり、少なくとも回転しない。あるいは、外部筐体125を、プロセスチャンバ220の壁231に直接付けることができる。
【0098】
実施形態によれば、回転ドライバ150、典型的には電気ドライバは、プロセスチャンバ220の外側に取付支持体152を介して配置される。しかし、回転ドライバ150は、外部筐体125内に置くこともできる。典型的には、回転ドライバ150は、スパッタリング期間に、回転ドライバ150のモータ軸154、モータ軸154に接続されるピニオン153、ならびにピニオン153の周りをループするチェーンまたは歯付きベルト(図示せず)および回転子120の軸受筐体123に装着される歯車151を介して回転ターゲット10を駆動する。
【0099】
典型的には、冷却剤支持管134および/または電気的支持ライン134は、冷却剤供給および排出ユニット130および/または電気的支持ユニット130から外部筐体125を通り、プロセスチャンバ220の外側に送られる。
【0100】
回転ターゲット10は、典型的には、基板の上で片持ち梁配置を用いてエンドブロック100によって支持される(図示せず)。加えて、回転ターゲット10は、回転ターゲット10の上端でさらに支持することができる。
【0101】
図15は、実施形態にしたがう、スパッタリング設備200の断面を概略的に示す。
図15のスパッタリング設備200は、
図14のスパッタリング設備と同様である。しかし、
図15内の絶縁板116は、エンドブロック100が取り付けられる壁231およびフラップ230それぞれに、平行に向けられる。これとは異なり、
図14内の絶縁板116は、エンドブロック100、101が取り付けられる壁231およびフラップ230それぞれに、垂直に向けられる。さらに、
図15の実施形態において、モータ軸154は、外部筐体125の中に延びる。分かりやすくするために、典型的には
図15の実施形態でも使用される、冷却剤支持管および電気的支持ラインは示されない。
【0102】
実施形態によれば、外部筐体125の下壁126は、
図15に示されるように、壁231または扉230およびフラップ230にそれぞれ取り付けられる。
【0103】
他の実施形態によれば、エンドブロック100が壁231に取り付けられ、そのため、真空チャンバ220の壁231および外部筐体125の上壁127は、真空チャンバ220内側の本質的に平坦な移動領域、または小さな段差のみを有する移行領域を形成する。これは、
図15内で水平の点線によって示される。これらの実施形態において、真空チャンバ220の内部容積を減少させることができる。
【0104】
図15の配置は、典型的には、基板が重力に対して水平に向けられる、スパッタリング設備で使用される。
図6の配置は、水平および垂直に向けられる基板用に使用することができる。
【0105】
図16は、
図14および
図15に示されるようなスパッタリング設備200を例示する。
図16の概略断面は、
図14および
図15の断面それぞれに直角である。実施形態によれば、スパッタリング設備200は、例えばアルゴンといった処理ガスを真空チャンバ220に提供するための、ガス入り口201を含む真空チャンバ220を有する。真空チャンバ220は、基板支持体202および基板支持体202上に配置される基板203をさらに含む。さらに、真空チャンバ220は、典型的には、基板203の上で片持ち梁配置である回転ターゲット10を含む。
【0106】
典型的には、カソードとして動作する回転ターゲット10とアノードとして動作する基板支持体202の間に高電圧差が印加される。プラズマは、典型的には、例えば、アルゴン原子と加速された電子の衝突イオン化によって形成される。形成されるアルゴンイオンは、回転ターゲット10の方向に加速され、そのため、回転ターゲット10の粒子、典型的には原子がスパッタされ、その後、基板203上に堆積される。
【0107】
実施形態において、他の好適なガス、例えばクリプトンなど他の不活性ガス、または酸素または窒素など反応性ガスを使用して、プラズマを生成することができる。典型的な実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、典型的な実施形態によれば、プラズマ区域内の圧力は、約10
−4mbarから約10
−2mbar、典型的には約10
−3mbarであって良い。さらなる実施形態において、真空チャンバ220は、真空チャンバ220内に基板203を導入するため、または真空チャンバ220から基板203を格納するための、1つまたは複数の開孔および/またはバルブを含むことができる。
【0108】
マグネトロンスパッタリングは、マグネトロンスパッタリングの堆積速度が幾分速いという点で、特に有利である。1つまたは複数の磁石14を回転ターゲット10内部に配置することによって、ターゲット表面の直下で生成される磁場内の自由電子を捕捉することができる。これは、ガス分子をイオン化する確率を、典型的には数桁高める。次いで、堆積速度を、著しく増加することができる。用途およびスパッタされる材料に依存して、定常磁場または時間変動磁場を使用することができる。さらに典型的には、磁石224および/またはターゲット10を冷却するため、冷却流体が回転ターゲット10内で循環する。
【0109】
回転ターゲット100は、典型的には、示される断面には見えず、したがって点線の円として描かれるエンドブロック100によって支持される。
【0110】
典型的には、エンドブロック100は、壁230または扉231もしくは示される断面では見えず、したがって矩形として描かれるプロセスチャンバ220のフラップ231に、回転不可能に取り付けられる。
【0111】
エンドブロックは、典型的には、スパッタリング設備の壁、扉またはフラップなどの非回転部分に堅く結合されるようになされる基本本体を含む。
【0112】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロックは、流体を回転ターゲットから受けるための本体内の第1の流体コンジット、および流体を回転ターゲットに提供するための本体内の第2の流体コンジットを含み、回転軸の方向に延びる投影面上への第2の流体コンジットの投影が、投影面上への第1の流体コンジットの投影の中に位置する。
【0113】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、第1の流体コンジットおよび第2の流体コンジットのうちの少なくとも1つが回転軸から径方向外向きに延びる。
【0114】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、基本本体は、回転軸に同軸に配置され冷却剤管が同軸に挿入される円筒形空洞を含み、第1の流体コンジットが冷却剤管内につながる。
【0115】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、中空円筒形隙間が冷却剤管と基本本体の内壁の間に形成され、第2の流体コンジットが隙間につながる。
【0116】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロックは、回転ターゲットの流体支持のため、本体内に第3の流体コンジットをさらに含む。第3の流体コンジットは、回転軸に垂直に向けられる。回転軸の方向に延びる平面上への、第1の流体コンジットおよび第3の流体コンジットの投影は、お互いに重なる。
【0117】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、第1の流体コンジットが第1の断面積を有し、第2の流体コンジットが第2の断面積を有し、第3の流体コンジットが第3の断面積を有する。第1の断面積は、第2の断面積と第3の断面積の合計とほぼ一致する。
【0118】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロックは、第1の流体コンジットの最大軸座標と第1の流体コンジットの軸方向の延長の合計よりも小さい最大軸座標を有する、少なくとも1つの電気接点をさらに含む。
【0119】
実施形態は、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができるが、実施形態によれば、エンドブロックは、少なくとも1つの電源コネクタをさらに含む。回転軸の方向に延びる投影面上への、第1の流体コンジットおよび少なくとも1つの電源コネクタの投影は、お互いに重なる。
【0120】
図14から
図16のそれぞれは、ただ1つの回転ターゲットを示しているが、本明細書において開示の他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、2つ以上の回転ターゲットを、それぞれのカソードドライバブロックによって支持し、真空チャンバ内に配設することができる。典型的には、2つ以上の回転ターゲットの円柱軸が実質的に平行、すなわち少なくとも5°の角度精度以内、より典型的には少なくとも1°の角度精度以内で平行である。
【0121】
本明細書は例を使用して、最良の形態を含め、本発明を開示し、任意の当業者が任意のデバイスまたはシステムを製作および使用し、任意の組み込んだ方法を実施することを含め、記載した主題を実施することを可能にもする。上記では、様々な特定の実施形態が開示されてきたが、当業者なら、特許請求の範囲の精神および範囲によって、等しく有効な変更実施形態が可能になることを理解するであろう。特に、上に記載した実施形態の、相互に排他的でない特徴は、お互いに組み合わせることができる。特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想起するそのような変更実施形態および他の例を含むことができる。そのような他の例が特許請求の範囲の逐語的な文言と異ならない構成要素を有する場合、またはそのような他の例が特許請求の範囲の逐語的な文言と実質的に異ならない等価な構成要素を含む場合、そのような他の例は、特許請求の範囲に入ることを意図する。