【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)は、真空蒸着及びスピンコートのいずれの方法でも非晶質の薄膜形成が可能であり、またこれらを電子輸送層として用いた有機電界発光素子が、汎用の有機電界発光素子に比べて消費電力の低減、及び長寿命化が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0017】
【化1】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Ar
1は置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Ar
2は、1又は2つの窒素原子を有する縮環していてもよい六員芳香族複素環基であり、これらは炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体に関するものである。
【0018】
また本発明は、一般式(2)
【0019】
【化2】
(式中、Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Ar
2は、1又は2つの窒素原子を有する縮環していてもよい六員芳香族複素環基であり、これらは炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。MはZnR
4、MgR
5、Sn(R
6)
3、B(OR
7)
2を表す。但し、R
4及びR
5は各々独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、R
6は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R
7は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R
6及びR
7は夫々同一又は異なっていてもよい。また、2つのR
7は酸素原子を介して結合するホウ素原子と一体となって環を形成することもできる。)で示される化合物と、一般式(3)
【0020】
【化3】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Ar
1は置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Y
1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホキシ基を表す。)で示される化合物を塩基の存在下若しくは不存在下に、パラジウム触媒の存在下でカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0021】
【化4】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Ar
1は置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Ar
2は、1又は2つの窒素原子を有する縮環していてもよい六員芳香族複素環基であり、これらは炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法に関するものである。
【0022】
また本発明は、一般式(4)
【0023】
【化5】
(式中、Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Ar
2は、1又は2つの窒素原子を有する縮環していてもよい六員芳香族複素環基であり、これらは炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。Y
2は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホキシ基を表す。)で示される化合物と、一般式(5)
【0024】
【化6】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Ar
1は置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。R
7は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R
7は夫々同一又は異なっていてもよい。また、2つのR
7は酸素原子を介して結合するホウ素原子と一体となって環を形成することもできる。)で示される化合物を塩基及びパラジウム触媒の存在下でカップリング反応させることを特徴とする、一般式(1)
【0025】
【化7】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Ar
1は置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Ar
2は、1又は2つの窒素原子を有する縮環していてもよい六員芳香族複素環基であり、これらは炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法に関するものである。
【0026】
さらに本発明は、一般式(1)
【0027】
【化8】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Ar
1は置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Ar
2は、1又は2つの窒素原子を有する縮環していてもよい六員芳香族複素環基であり、これらは炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。)で示される1,3,5−トリアジン誘導体を構成成分とすることを特徴とする有機電界発光素子に関するものである。
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
R
1、R
2及びR
3は、各々独立して水素原子又はメチル基を表し、有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、水素原子が好ましい。
【0030】
Xは、炭素原子又は窒素原子を表し、有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、炭素原子が好ましい。
【0031】
Ar
1で表される置換されていてもよい芳香族炭化水素基としては、置換されていてもよいフェニル基又は置換されていてもよいナフチル基を挙げることができる。以下、さらに具体的な例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、メシチル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,4−ジプロピルフェニル基、3,5−ジプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2,4−ジイソプロピルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2,4−ジブチルフェニル基、3,5−ジブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、2−ビフェニリル基、2−メチルビフェニル−4−イル基、3−メチルビフェニル−4−イル基、2’−メチルビフェニル−4−イル基、4’−メチルビフェニル−4−イル基、2,2’−ジメチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−4−イル基、6−メチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−3−イル基、2’−メチルビフェニル−3−イル基、4’−メチルビフェニル−3−イル基、6,2’−ジメチルビフェニル−3−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−3−イル基、5−メチルビフェニル−2−イル基、6−メチルビフェニル−2−イル基、2’−メチルビフェニル−2−イル基、4’−メチルビフェニル−2−イル基、6,2’−ジメチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリメチルビフェニル−2−イル基、2−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、3−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−4−イル基、6−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、5−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−3−イル基、5−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、6−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、2’−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、4’−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル基、3−エチルビフェニル−4−イル基、4’−エチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリエチルビフェニル−4−イル基、6−エチルビフェニル−3−イル基、4’−エチルビフェニル−3−イル基、5−エチルビフェニル−2−イル基、4’−エチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリエチルビフェニル−2−イル基、3−プロピルビフェニル−4−イル基、4’−プロピルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリプロピルビフェニル−4−イル基、6−プロピルビフェニル−3−イル基、4’−プロピルビフェニル−3−イル基、5−プロピルビフェニル−2−イル基、4’−プロピルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリプロピルビフェニル−2−イル基、3−イソプロピルビフェニル−4−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−4−イル基、6−イソプロピルビフェニル−3−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−3−イル基、5−イソプロピルビフェニル−2−イル基、4’−イソプロピルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル−2−イル基、3−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−ブチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリブチルビフェニル−4−イル基、6−ブチルビフェニル−3−イル基、4’−ブチルビフェニル−3−イル基、5−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−ブチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリブチルビフェニル−2−イル基、3−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、2’,4’,6’−トリ−tert−ブチルビフェニル−4−イル基、6−tert−ブチルビフェニル−3−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−3−イル基、5−tert−ブチルビフェニル−2−イル基、4’−tert−ブチルビフェニル−2−イル基、2’,4’,6’−トリ−tert−ブチルビフェニル−2−イル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、4−ブチルフェニル基又は4−tert−ブチルフェニル基、4−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基が好ましく、合成が容易である点でフェニル基、p−トリル基、3−ビフェニリル基が更に好ましい。
【0033】
置換されていてもよいナフチル基としては、1−ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−トリフルオロメチルナフタレン−1−イル基、4−エチルナフタレン−1−イル基、4−プロピルナフタレン−1−イル基、4−ブチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−トリフルオロメチルナフタレン−1−イル基、5−エチルナフタレン−1−イル基、5−プロピルナフタレン−1−イル基、5−ブチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、2−ナフチル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−トリフルオロメチルナフタレン−2−イル基、6−エチルナフタレン−2−イル基、6−プロピルナフタレン−2−イル基、6−ブチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基、7−トリフルオロメチルナフタレン−2−イル基、7−エチルナフタレン−2−イル基、7−プロピルナフタレン−2−イル基、7−ブチルナフタレン−2−イル基、7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、1−ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、5−メチルナフタレン−1−イル基、5−tert−ブチルナフタレン−1−イル基、2−ナフチル基、6−メチルナフタレン−2−イル基、6−tert−ブチルナフタレン−2−イル基、7−メチルナフタレン−2−イル基又は7−tert−ブチルナフタレン−2−イル基が好ましく、合成が容易である点で2−ナフチル基が更に好ましい。
【0034】
Ar
2で表される1又は2つの窒素原子を有する縮環していてもよい六員芳香族複素環基としては、その置換基に特に制限はないが、炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいピラジル基、炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい2−ピリミジル基、炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい2−キノキサリル基、炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいキナゾリル基、炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいキノリル基又は炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいイソキノリル基等を挙げることができる。以下、さらに具体的な例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいピラジル基としては、2−ピラジル基、3−メチルピラジン−2−イル基、5−メチルピラジン−2−イル基、6−メチルピラジン−2−イル基、3−tert−ブチルピラジン−2−イル基、5−tert−ブチルピラジン−2−イル基、6−tert−ブチルピラジン−2−イル基、5,6−ジメチルピラジン−2−イル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、2−ピラジル基、5,6−ジメチルピラジン−2−イル基が好ましく、合成が容易である点で、2−ピラジル基が更に好ましい。
【0036】
炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい2−ピリミジル基としては、2−ピリミジル基、4,6−ジメチルピリミジン−2−イル基、4,6−ジ(tert−ブチル)ピリミジン−2−イル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、2−ピリミジル基、4,6−ジメチルピリミジン−2−イル基が好ましく、合成が容易である点で、2−ピリミジル基が更に好ましい。
【0037】
炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい2−キノキサリル基としては、2−キノキサリル基、3−メチルキノキサリン−2−イル基、5−メチルキノキサリン−2−イル基、6−メチルキノキサリン−2−イル基、7−メチルキノキサリン−2−イル基、8−メチルキノキサリン−2−イル基、5,7−ジメチルキノキサリン−2−イル基、5,6,7,8−テトラメチルキノキサリン−2−イル基、3−tert−ブチルキノキサリン−2−イル基、6−tert−ブチルキノキサリン−2−イル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、2−キノキサリル基、3−メチルキノキサリン−2−イル基、3−tert−ブチルキノキサリン−2−イル基が好ましく、合成が容易である点で、2−キノキサリル基が更に好ましい。
【0038】
炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいキナゾリル基としては、2−キナゾリル基、4−メチルキナゾリン−2−イル基、5−メチルキナゾリン−2−イル基、6−メチルキナゾリン−2−イル基、7−メチルキナゾリン−2−イル基、8−メチルキナゾリン−2−イル基、5,7−ジメチルキナゾリン−2−イル基、5,6,7,8−テトラメチルキナゾリン−2−イル基、4−tert−ブチルキナゾリン−2−イル基、6−tert−ブチルキナゾリン−2−イル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、2−キナゾリル基、4−メチルキナゾリン−2−イル基、4−tert−ブチルキナゾリン−2−イル基が好ましく、合成が容易である点で、2−キナゾリル基が更に好ましい。
【0039】
炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいキノリル基としては、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、3−メチルキノリン−2−イル基、4−メチルキノリン−2−イル基、5−メチルキノリン−2−イル基、6−メチルキノリン−2−イル基、7−メチルキノリン−4−イル基、8−メチルキノリン−2−イル基、5,8−ジメチルキノリン−2−イル基、5,6,7,8−テトラメチルキノリン−2−イル基、4−tert−ブチルキノリン−2−イル基、6−tert−ブチルキノリン−2−イル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、2−キノリル基、3−メチルキノリン−2−イル基、4−tert−ブチルキノリン−2−イル基が好ましく、合成が容易である点で、2−キノリル基が更に好ましい。
【0040】
炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいイソキノリル基としては、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、3−メチルイソキノリン−1−イル基、4−メチルイソキノリン−1−イル基、5−メチルイソキノリン−1−イル基、6−メチルイソキノリン−1−イル基、7−メチルイソキノリン−1−イル基、8−メチルイソキノリン−1−イル基、1,3−ジメチルイソキノリン−4−イル基、5,8−ジメチルイソキノリン−1−イル基、5,6,7,8−テトラメチルイソキノリン−1−イル基、1−メチルイソキノリン−3−イル基、4−メチルイソキノリン−3−イル基、5−メチルイソキノリン−3−イル基、6−メチルイソキノリン−3−イル基、7−メチルイソキノリン−3−イル基、8−メチルイソキノリン−3−イル基、5,8−ジメチルイソキノリン−3−イル基、5,6,7,8−テトラメチルイソキノリン−3−イル基、1−メチルイソキノリン−4−イル基、3−メチルイソキノリン−4−イル基、5−メチルイソキノリン−4−イル基、6−メチルイソキノリン−4−イル基、7−メチルイソキノリン−4−イル基、8−メチルイソキノリン−4−イル基、5,8−ジメチルイソキノリン−4−イル基、5,6,7,8−テトラメチルイソキノリン−4−イル基、3−tert−ブチルイソキノリン−1−イル基、4−tert−ブチルイソキノリン−1−イル基、6−tert−ブチルイソキノリン−1−イル基、7−tert−ブチルイソキノリン−1−イル基、1−tert−ブチルイソキノリン−3−イル基、4−tert−ブチルイソキノリン−3−イル基、6−tert−ブチルイソキノリン−3−イル基、7−tert−ブチルイソキノリン−3−イル基、1−tert−ブチルイソキノリン−4−イル基、3−tert−ブチルイソキノリン−4−イル基、6−tert−ブチルイソキノリン−4−イル基、7−tert−ブチルイソキノリン−4−イル基等が挙げられる。有機電界発光素子用材料としての性能がよい点で、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、1,3−ジメチルイソキノリン−4−イル基が好ましく、合成が容易である点で、1−イソキノリル基、4−イソキノリル基が更に好ましい。
【0041】
次に、本発明の製造方法について説明する。
【0042】
一般式(2)で示される化合物の好ましい例としては、次の(I)〜(XXXIII)の基本骨格を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
Mで表されるZnR
4、MgR
5としては、ZnCl、ZnBr、ZnI、MgCl、MgBr、MgI等が例示できる。反応収率がよい点でZnClが好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが配位しているZnCl(TMEDA)がより好ましい。
【0047】
Mで表されるSn(R
6)
3としては、SnMe
3、SnBu
3等が例示できる。
【0048】
Mで表されるB(OR
7)
2としては、B(OH)
2、B(OMe)
2、B(O(iso−Pr))
2、B(OBu)
2等が例示できる。
【0049】
Mで表されるB(OR
7)
2において、2つのR
7が酸素原子を介して結合するホウ素原子と一体となって環を形成した場合のB(OR
7)
2の例としては、次の(XXXIV)〜(XL)で示される基が例示でき、反応収率がよい点で(XXXV)で示される基が好ましい。
【0050】
【化13】
Y
1としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホキシ基が例示でき、反応収率及び選択性がよい点で臭素原子が好ましい。
【0051】
一般式(4)で示される化合物の好ましい例としては、次の(XLI)〜(LXXIII)の基本骨格を例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
【化14】
【0053】
【化15】
【0054】
【化16】
【0055】
【化17】
Y
2としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホキシ基が例示でき、反応収率及び選択性がよい点で臭素原子が好ましい。
【0056】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)は、次の反応式
【0057】
【化18】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Ar
1は置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Ar
2は、1又は2つの窒素原子を有する縮環していてもよい六員芳香族複素環基であり、これらは炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Y
1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホキシ基を表す。MはZnR
4、MgR
5、Sn(R
6)
3、B(OR
7)
2を表す。但し、R
4及びR
5は各々独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、R
6は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R
7は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R
6及びR
7は夫々同一又は異なっていてもよい。また、2つのR
7は酸素原子を介して結合するホウ素原子と一体となって環を形成することもできる。)で示す方法により製造することができる。
【0058】
「工程1」は、化合物(2)を塩基の存在下若しくは不存在下に、パラジウム触媒の存在下に化合物(3)と反応させて、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)を製造する方法であり、鈴木−宮浦反応、根岸反応、玉尾−熊田反応、スティレ反応等の一般的なカップリング反応の反応条件及び触媒を適用することにより、反応収率よく目的物を得ることができる。
【0059】
「工程1」で用いることのできるパラジウム触媒としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム等の塩を例示することができる。さらに、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及びジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等の錯化合物を例示することができる。入手容易であり、反応収率がよい点で、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は反応収率がよい点でさらに好ましい。これらの第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調整することもできる。
【0060】
このような第三級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリス(2,5−キシリル)ホスフィン、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル等が例示できる。入手容易であり、反応収率がよい点で、トリフェニルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルが好ましい。反応に用いるパラジウム触媒と化合物(3)とのモル比は、1:200〜1:2が好ましく、反応収率がよい点で1:100〜1:10がさらに好ましい。また、「工程1」で用いる第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0061】
「工程1」で用いることのできる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等を例示することができ、反応収率がよい点で炭酸セシウムが好ましい。塩基と化合物(2)とのモル比は、1:2〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0062】
「工程1」で用いる化合物(2)と化合物(3)とのモル比は、1:1〜5:1が好ましく、反応収率がよい点で2:1〜3:1がさらに好ましい。
【0063】
「工程1」の反応は溶媒中で実施することができる。「工程1」で用いることのできる溶媒として、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。反応収率がよい点でテトラヒドロフランを用いることが好ましい。
【0064】
「工程1」の反応は、0℃〜150℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することができ、反応収率がよい点で50℃〜120℃の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0065】
化合物(1)は、「工程1」の終了後に通常の処理を行うことで得ることができる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0066】
次に、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)を製造する「工程1」の原料である化合物(2)は、例えば、次の反応式
【0067】
【化19】
(式中、Ar
2は、1又は2つの窒素原子を有する縮環していてもよい六員芳香族複素環基であり、これらは炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Y
3は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホキシ基を表す。Lは脱離基を表す。MはZnR
4、MgR
5、Sn(R
6)
3、B(OR
7)
2を表す。但し、R
4及びR
5は各々独立して塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、R
6は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R
7は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R
6及びR
7は夫々同一又は異なっていてもよい。また、2つのR
7は酸素原子を介して結合するホウ素原子と一体となって環を形成することもできる。)で示した方法により製造することができる。
【0068】
「工程2」は、一般式(4a)で示される化合物をリチウム試薬と反応させ、一般式(4b)で示されるリチウム化合物を得る工程である。「工程2」で得られた化合物(4b)は、反応後単離してもよいが、単離せずに「工程3」に供してもよい。
【0069】
Y
3は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホキシ基等を例示することができるが、反応収率がよい点で臭素原子が好ましい。
【0070】
「工程2」で用いられるリチウム試薬としては、反応収率がよい点でブチルリチウム、tert−ブチルリチウムが好ましい。リチウム試薬と化合物(4a)とのモル比は、1:1〜5:1が好ましく、反応収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0071】
「工程2」の反応は溶媒中で実施することができる。「工程2」で反応の際に用いることのできる溶媒として、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。反応収率がよい点でテトラヒドロフランを用いることが好ましい。
【0072】
「工程2」の反応は、−150℃〜−20℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することができ、反応収率がよい点で−100℃〜−60℃の範囲がさらに好ましい。
【0073】
化合物(4a)は、例えば、J.Tsuji著、「Palladium Reagents and Catalysts,John Wiley & Sons,2004年に記載の汎用的な金属触媒を用いるカップリング反応により容易に得ることができる。
【0074】
「工程3」は、リチウム化合物(4b)と一般式(6)で示されるカップリング用試薬を反応させることにより、「工程1」で用いる一般式(2)で示される化合物を製造する工程である。「工程3」で得られた化合物(2)は、反応後単離してもよいが、単離せずに「工程1」に供してもよい。
【0075】
「工程3」で用いられるカップリング用試薬(6)としては、ジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化トリメチルスズ、塩化トリブチルスズ、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリイソプロピル、(2,3−ジメチルブタン−2,3−ジオキシ)メトキシボラン、(2,3−ジメチルブタン−2,3−ジオキシ)イソプロポキシボラン、1,3−プロパンジオキシボラン等が例示できる。取り扱いが容易である点でジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリイソプロピル、(2,3−ジメチルブタン−2,3−ジオキシ)イソプロポキシボランが好ましく、反応収率がよい点でジクロロ(テトラメチルエチレンジアミン)亜鉛(II)がさらに好ましい。Lで表される好適な脱離基としては、Cl、Br、I、MeO、iso−PrOを例示することができる。カップリング用試薬(6)と化合物(4b)とのモル比は、1:1〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1.5:1〜3:1がさらに好ましい。
【0076】
「工程3」の反応は、−150℃〜50℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することができ、反応収率がよい点で−100℃〜30℃の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0077】
「工程4」は、化合物(4a)を塩基及びパラジウム触媒の存在下に、一般式(7)で示されるボラン化合物、又は一般式(8)で示されるジボロン化合物と反応させることにより、「工程1」で用いる化合物(2a)を製造する工程であり、例えば、The Journal of Organic Chemistry,60巻,7508−7510,1995年、又はThe Journal of Organic Chemistry,65巻,164−168,2000年に開示されている反応条件及び触媒を適用することにより、反応収率よく目的物を得ることができる。パラジウム触媒と化合物(4a)とのモル比は、1:200〜1:2が好ましく、反応収率がよい点で1:50〜1:10がさらに好ましい。得られた化合物(2a)は、反応後単離してもよいが、単離せずに「工程1」に供してもよい。
【0078】
「工程4」で用いることのできるパラジウム触媒としては、「工程1」で例示したパラジウム触媒を挙げることができるが、入手容易であり、反応収率がよい点で、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムが好ましく、中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が反応収率がよい点で好ましい。また、これらのパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調整することもできる。このような第三級ホスフィンとしては、「工程1」で例示した第三級ホスフィンを挙げることができるが、入手容易であり、反応収率がよい点で、トリフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0079】
「工程4」で用いることのできる塩基としては、「工程1」で例示した塩基を挙げることができるが、反応収率がよい点で炭酸カリウム及び炭酸セシウムが特に好ましい。塩基と化合物(4a)とのモル比は、1:2〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0080】
「工程4」で用いるボラン化合物(7)又はジボロン化合物(8)と化合物(4a)とのモル比は、1:1〜5:1が好ましく、反応収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0081】
「工程4」で用いることのできる溶媒として、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。反応収率がよい点でテトラヒドロフラン又はジメチルスルホキシドを用いることが好ましい。
【0082】
「工程4」の反応は、0℃〜150℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することができ、反応収率がよい点で50℃〜120℃の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0083】
化合物(2a)は、「工程4」の終了後に通常の処理をすることで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0084】
一般式(3)で示される化合物は、例えば、特開2006−62962公報に開示されている方法に従って製造することができる。
【0085】
さらに、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)は、次の反応式
【0086】
【化20】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Ar
1は置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Ar
2は、1又は2つの窒素原子を有する縮環していてもよい六員芳香族複素環基であり、これらは炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい。Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Y
2は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホキシ基を表す。R
7は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R
7は夫々同一又は異なっていてもよい。また、2つのR
7は酸素原子を介して結合するホウ素原子と一体となって環を形成することもできる。)で示した方法によっても製造することができる。
【0087】
「工程5」は、化合物(5)を塩基及びパラジウム触媒の存在下に、化合物(4)と反応させて本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)を製造する工程であり、一般的な鈴木−宮浦反応の反応条件及び触媒を適用することにより、反応収率よく目的物を得ることができる。パラジウム触媒と化合物(5)とのモル比は、1:200〜1:2が好ましく、反応収率がよい点で1:100〜1:10がさらに好ましい。
【0088】
「工程5」で用いることのできるパラジウム触媒としては、「工程1」で例示したパラジウム触媒を挙げることができるが、入手容易であり、反応収率がよい点で、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム好ましく、中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が反応収率がよい点で好ましい。また、これらのパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。このような第三級ホスフィンとしては、「工程1」で例示した第三級ホスフィンを挙げることができるが、入手容易であり、反応収率がよい点で、トリフェニルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニルが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0089】
「工程5」で用いることのできる塩基としては、「工程1」で例示した塩基を挙げることができるが、反応収率がよい点で炭酸セシウムが特に好ましい。塩基と化合物(4)とのモル比は、1:2〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0090】
「工程5」で用いる化合物(4)と化合物(5)とのモル比は、2:1〜5:1が好ましく、反応収率がよい点で2:1〜3:1がさらに好ましい。
【0091】
「工程5」の反応は溶媒中で実施することができる。「工程5」で用いることのできる溶媒として、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。反応収率がよい点でテトラヒドロフランを用いることが好ましい。
【0092】
「工程5」の反応は、0℃〜150℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することができ、反応収率がよい点で50℃〜120℃の範囲で行うことが好ましい。
【0093】
化合物(1)は、「工程5」の終了後に通常の処理を行うことで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0094】
次に、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)を製造する「工程5」の原料である化合物(5)は、例えば、次の反応式
【0095】
【化21】
(式中、R
1、R
2及びR
3は各々独立して水素原子又はメチル基を表す。Ar
1は置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。Y
1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトリフルオロメタンスルホキシ基を表す。R
7は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を表し、R
7は夫々同一又は異なっていてもよい。また、2つのR
7は酸素原子を介して結合するホウ素原子と一体となって環を形成することもできる。)で示した方法により製造することができる。
【0096】
「工程6」は、化合物(3)を塩基及びパラジウム触媒の存在下に、ボラン化合物(7)又はジボロン化合物(8)と反応させることにより、「工程5」で用いる化合物(5)を製造する工程であり、例えば、The Journal of Organic Chemistry,60巻,7508−7510,1995年、又はThe Journal of Organic Chemistry,65巻,164−168,2000年に開示されている反応条件及び触媒を適用することにより、反応収率よく目的物を得ることができる。パラジウム触媒と化合物(3)とのモル比は、1:200〜1:2が好ましく、反応収率がよい点で1:100〜1:10がさらに好ましい。得られた化合物(5)は、反応後単離してもよいが、単離せずに「工程5」に供してもよい。
【0097】
「工程6」で用いることのできるパラジウム触媒としては、「工程1」で例示したパラジウム触媒を挙げることができるが、入手容易であり、反応収率がよい点で、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムが好ましく、中でも、第三級ホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体が反応収率がよい点で好ましい。また、これらのパラジウム錯体は、パラジウム塩又は錯化合物に第三級ホスフィンを添加し、反応系中で調製することもできる。このような第三級ホスフィンとしては、「工程1」で例示した第三級ホスフィンを挙げることができるが、入手容易であり、反応収率がよい点で、トリフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンが好ましい。第三級ホスフィンとパラジウム塩又は錯化合物とのモル比は、1:10〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:2〜5:1がさらに好ましい。
【0098】
「工程6」で用いることのできる塩基としては、「工程1」で例示した塩基を挙げることができるが、反応収率がよい点で酢酸カリウムが特に好ましい。塩基と化合物(3)とのモル比は、1:2〜10:1が好ましく、反応収率がよい点で1:1〜3:1がさらに好ましい。
【0099】
「工程6」で用いるボラン化合物(7)又はジボロン化合物(8)と化合物(3)とのモル比は、1:1〜5:1が好ましく、反応収率がよい点で2:1〜4:1がさらに好ましい。
【0100】
「工程6」の反応は溶媒中で実施することができる。「工程6」で用いることのできる溶媒として、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル又はキシレン等が例示でき、これらを適宜組み合わせて用いてもよい。反応収率がよい点でテトラヒドロフランを用いることが好ましい。
【0101】
「工程6」の反応は、0℃〜150℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することができ、反応収率がよい点で50℃〜120℃の範囲で行うことが好ましい。
【0102】
化合物(5)は、「工程6」の終了後に通常の処理を行うことで得られる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー又は昇華等で精製してもよい。
【0103】
本発明の1,3,5−トリアジン誘導体(1)から成る有機電界発光素子用薄膜の製造方法は特に限定されないが、真空蒸着法による成膜が可能である。真空蒸着法による成膜は、汎用の真空蒸着装置を用いることにより行うことができる。真空蒸着法で膜を形成する際の真空槽の真空度は、有機電界発光素子作製の製造タクトタイムや製造コストを考慮すると、一般的に用いられる拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ等により到達し得る1×10
−2Pa〜1×10
−5Pa程度が好ましい。蒸着速度は、形成する膜の厚さによるが0.005nm/秒〜1.0nm/秒が好ましい。また、1,3,5−トリアジン誘導体(1)は、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、酢酸エチル又はテトラヒドロフラン等に対する溶解度が高いため、汎用の装置を用いたスピンコ−ト法、インクジェット法、キャスト法又はディップ法等による成膜も可能である。