特許第5749420号(P5749420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5749420制御された細孔径を有する微孔質CMP材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5749420
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】制御された細孔径を有する微孔質CMP材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20150625BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20150625BHJP
   C08J 9/28 20060101ALI20150625BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20150625BHJP
【FI】
   B24B37/00 N
   B24B37/00 L
   B24B37/00 T
   C08J9/28 101
   C08J9/28CER
   C08J9/28CEZ
   H01L21/304 622F
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2008-538918(P2008-538918)
(86)(22)【出願日】2006年10月24日
(65)【公表番号】特表2009-514690(P2009-514690A)
(43)【公表日】2009年4月9日
(86)【国際出願番号】US2006041421
(87)【国際公開番号】WO2007055901
(87)【国際公開日】20070518
【審査請求日】2009年10月8日
【審判番号】不服2013-14406(P2013-14406/J1)
【審判請求日】2013年7月26日
(31)【優先権主張番号】11/265,607
(32)【優先日】2005年11月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】キャボット マイクロエレクトロニクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】プラサド,アバンシュワー
【合議体】
【審判長】 栗田 雅弘
【審判官】 長屋 陽二郎
【審判官】 刈間 宏信
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0082276(US,A1)
【文献】 特開昭62−297061(JP,A)
【文献】 特開2005−19886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマー樹脂溶液の層を形成する工程、
(b)ポリマー樹脂溶液の層にバイノーダル分解、スピノーダル分解、溶媒‐非溶媒誘起の相分離、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる相分離を起こし、分離した相の総容量の20〜90%を構成する連続的なポリマー欠乏相が散在している連続的なポリマーリッチ相を含む相互につながったポリマー綱目を形成する工程、
(c)ポリマーリッチ相を凝固させ、0.05〜0.9μmの範囲の直径を有する細孔を含む相互につながった細孔の連続網目を特徴とし、細孔内に分散したポリマー欠乏相の少なくとも一部を有し、20〜90容量%の範囲の多孔度を有する多孔質ポリマーシートを形成する工程、
(d)多孔質ポリマーシートからポリマー欠乏相の少なくとも一部を除去する工程、及び
(e)多孔質ポリマーシートから化学機械研磨パッドを形成する工程
を含む、透明な領域を有する化学機械研磨パッドの製造方法であって、該ポリマー欠乏相を除去する工程は、蒸発、溶媒交換、真空下の溶媒ストリッピング、凍結乾燥及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるプロセスにより行われ、かつ該パッドは、該パッドの厚さが0.15cmの部分を通して測定されたときに、540〜570nmの範囲の波長を有する光の透過率が少なくとも10%である、前記透明な領域を有する化学機械研磨パッドの製造方法。
【請求項2】
ポリマー樹脂が、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ナイロン、弾性ゴム、弾性ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアリーレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、これらのコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマー樹脂が熱可塑性ポリウレタンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリマー樹脂溶液が、極性非プロトン溶媒及び水素結合性溶媒からなる群から選ばれる溶媒を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
溶媒が、N‐メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
相分離を起こす工程が、ポリマー樹脂溶液の層を冷却することにより又は非溶媒を混合物に加えることにより行われる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ポリマー溶液の層を形成する工程が、ポリマー樹脂溶液を基板の上にキャストすることにより行われる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー溶液の層を形成する工程が、基板の上へのポリマー樹脂溶液の層の押出により行われる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ポリマー樹脂溶液が1〜50質量%のポリマー樹脂を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポリマー樹脂溶液が5〜20質量%のポリマー樹脂を含む請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学機械研磨(CMP)法に用いる多孔質材料を含む研磨パッド基板の製造方法に関する。より詳細には、本発明は選択された多孔度及び比較的狭い細孔径分布を有するCMPパッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械研磨(「CMP」)法は、半導体ウエハー、電界放出ディスプレー、及びその他の多くのマイクロエレクトロニクス基板上に平坦な表面を形成するマイクロエレクトロニクスデバイスの製造に用いられる。例えば、半導体素子の製造は、通常は半導体ウエハーを形成するために半導体基板の表面の上方での各種のプロセス層の形成、それらの層の一部の選択的な除去又はパターニング、及びさらに追加のプロセス層の堆積を必要とする。プロセス層としては、一例として、絶縁層、ゲート酸化物層、導電層、及び金属又はガラスの層などが挙げられる。一般に、ウエハー加工の特定の工程では、プロセス層の最上表面は、次の層の堆積のために平面的、すなわち平坦であることが好ましい。CMPは、導電又は絶縁材料のような堆積物が次の工程用にウエハーを平坦化するために研磨されるプロセス層を平坦化するのに用いられる。
【0003】
典型的なCMP法では、ウエハーは、CMP工具の支持体に逆さまに取り付けられる。押込器が支持体及びウエハーを研磨パッドの方へ下向きに押す。支持体及びウエハーは、CMP工具の研磨台上で回転している研磨パッドの上方で回転させられる。一般に、研磨組成物(研磨スラリーとも呼ばれる)は、研磨加工中に回転しているウエハー及び回転している研磨パッドの間に導入される。典型的には研磨(polishing)組成物は、最上のウエハー層の一部と相互作用するか、又は溶解させる化学物質及びその層の一部を物理的に除去する研磨(abrasive)材料を含む。ウエハー及び研磨パッドは同方向に又は反対方向に回転させることができ、どちらも実行されている特定の研磨加工に好ましい。支持体も研磨台上の研磨パッドと交差して振動できる。
【0004】
ウエハー表面の研磨では、現場での研磨加工の監視がしばしば有利になる。現場で研磨加工を監視する一つの方法は、開口部又は窓を有する研磨パッドの利用を伴う。開口部又は窓は、研磨加工中にウエハー表面の検査を可能にするために光が通過できる入口を提供する。開口部及び窓を有する研磨パッドは有名であり、半導体素子の表面のような基板を研磨するのに使われている。例えば、米国特許第5,605,760号明細書は、スラリーを吸収する又は輸送する固有の能力を持たない固体、つまり均一ポリマーから形成された透明な窓を有する研磨パッドを提供する。米国特許第5,433,651号明細書は、光が通過できる開口部を提供するためにパッドの一部を除去した研磨パッドを開示する。米国特許第5,893,796号明細書及び米国特許第5,964,643号明細書は、研磨パッドの一部を除去して開口部を提供し、開口部に透明なポリウレタン若しくは石英の栓を設置して透明な窓を提供する工程、又は研磨パッドのバッキングの一部を除去してパッドに半透明性を与える工程を開示する。米国特許第6,171,181号明細書及び米国特許第6,387,312号明細書は、速い冷却の速度で流動性材料(例えば、ポリウレタン)を凝固させることにより形成された透明な領域を有する研磨パッドを開示する。
【0005】
研磨パッドの窓に有用な材料が少しだけ開示されている。米国特許第5,605,760号明細書はポリウレタンの固体片の使用を開示する。米国特許第5,893,796号明細書及び米国特許第5,964,643号明細書は、ポリウレタンの栓又は石英の挿入物のいずれかの使用を開示する。米国特許第6,146,242号明細書は、ポリウレタン又はウェストレイク(Westlake)社によるClariflex(登録商標)テトラフルオロエチレン‐co‐ヘキサフルオロプロピレン‐co‐ビニリデンのフッ化物の3元重合体の固体のような透明性プラスチックのいずれかを含む窓を備える研磨パッドを開示する。固体ポリウレタンで作られた研磨パッドの窓には化学機械研磨中に容易に傷がつき、研磨パッドの耐用年数中に光透過率を着実に減少させる。これは特に、光透過率の損失を補うために終点検査システムの設定を定期的に調整しなければならないので不利である。さらに、固体ポリウレタンの窓のようなパッドの窓は、通常は研磨パッドの残余よりも遅い磨耗率を有し、好ましくない研磨不良を導く研磨パッドでの「塊(lump)」を形成する。これらの問題の幾つかに取り組むために、国際公開第01/683222号パンフレットは、CMP中に窓の磨耗率を増加させる不連続性を有する窓を開示する。意図的に、2種の不混和性ポリマーの混合物又は固体、液体若しくは気体粒子の分散体のいずれかを窓の中に含浸させることにより、窓材料に不連続性が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
周知の窓材料の多くがこれらの使用目的に適している一方で、効率的で費用のかからない方法を用いて製造できる、また研磨パッドの耐用年数に亘って一定の光透過率を提供できる透明な領域を有する効果的な研磨パッドの必要性が残っている。本発明は、そのような研磨パッド、そしてもちろんそれを使用する方法を提供する。本発明のこのような又は他の利点が、そしてもちろん付加的な発明の特徴が、ここに与えられた発明の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バイノーダル‐スピノーダル分解法を用いて制御された細孔径を有する化学機械研磨(CMP)パッドを製造する方法を提供する。この方法は順に、(a)ポリマー樹脂溶液(すなわち溶媒に溶解したポリマー樹脂)の層を形成する工程、(b)ポリマー溶液の層に相分離を起こし、ポリマー欠乏相(polymer-depleted phase)が相の総容量の20〜90%を構成する、連続的なポリマー欠乏相が散在している連続的なポリマーリッチ相を含む相互侵入ポリマー網目を形成する工程、(c)連続的なポリマーリッチ相を凝固させ、多孔質ポリマーシートを形成する工程、(d)多孔質ポリマーシートからポリマー欠乏相の少なくとも一部を除去する工程、及び(e)それからCMPパッドを形成する工程を含む。相分離は、バイノーダル分解、スピノーダル分解、溶媒‐非溶媒誘起の相分離、又はこれらの組み合わせでよい。
【0008】
この方法は、ポリマー溶液中の濃縮ポリマー樹脂を選択するか、溶媒中のポリマーの溶解度パラメータ、溶液の極性、樹脂の極性などを基準にしてポリマー用溶液を選択するか、及び/又は相分離の条件(例えば、冷却温度及び冷却速度、非溶媒の追加)を選択することなどにより、容易に制御できる多孔度及び細孔径を有する多孔質CMPパッドを提供する。
【0009】
本発明の方法により調製された研磨パッド基板及び研磨パッドは、0.01〜10μmの範囲の細孔径を有する実質的に互いにつながった細孔の連続網目(open network)を特徴とする及び20〜90容量%の範囲の多孔度を有するポリマー樹脂を含む。
なお、図2の均一溶液は160℃で調製し、そして徐冷した。データ点は透明溶液中の濁度により観察された相分離の境界線を表す。菱形の符号はバイノーダル境界線である。四角形の符号はスピノーダル境界線である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は多孔質ポリマーシート材料を含む化学機械研磨(CMP)パッドの製造方法を対象にする。研磨パッド基板は少なくともある程度の透明度を有することが好ましい。幾つかの実施態様では、研磨パッド基板は研磨パッド内の一部でよく、又は研磨パッド基板は研磨パッド全体でもよい(例えば、研磨パッド全体又は研磨トップパッドが透明である)。幾つかの実施態様では、研磨パッド基板は多孔質材料からなるか、又は基本的に多孔質材料からなる。研磨パッド基板は、少なくとも0.5cm(例えば、1cm)の研磨パッドの体積を構成する。
【0011】
研磨パッド基板の多孔質材料は、0.01〜10μmの平均細孔径を有する。平均細孔径は0.01〜5μmであることが好ましく、0.01〜2μmであることがより好ましい。幾つかの実施態様では、平均細孔径は0.05〜0.9μm(例えば、0.1〜0.8μm)の範囲である。特定の理論と結び付けようとしなくても、1μmを超える細孔径は入射放射線を散乱するであろうし、一方で1μm未満の細孔径は入射放射線をより少なく散乱するか、又は入射放射線を全く散乱しないであろうと考えられるので、それによって好ましい程度の透明度を有する研磨パッド基板を製造する。
【0012】
研磨パッド基板の多孔質材料は非常に均一な細孔径(例えば、気孔径)分布を有する。典型的には、多孔質材料中の75%以上(例えば、80%以上、又は85%以上)の細孔(例えば、気孔)は、平均細孔から±0.5μm以下(例えば、±0.3μm以下、又は±0.2μm以下)の細孔径分布を有する。つまり、多孔質材料中の細孔の75%以上(例えば、80%以上、又は85%以上)は、平均細孔径から0.5μm以下(例えば、0.3μm以下、又は0.2μm以下)の範囲内の細孔径を有する。好ましくは、多孔質材料中の細孔(例えば、気孔)の90%以上(例えば、93%以上、又は95%以上)が、±0.5μm以下(例えば、±0.3μm以下、又は±0.2μm以下)の細孔径分布を有する。
【0013】
幾つかの実施態様では、研磨パッド基板の多孔質材料は主として独立(closed)気孔(すなわち、細孔)を含む。しかしながら、多孔質材料は連続(open)気孔を含んでもよい。そのような実施態様では、多孔質材料は、好ましくは少なくとも10%以上(例えば、少なくとも20%以上)の独立気孔、より好ましくは少なくとも30%以上(例えば、少なくとも50%以上、又は少なくとも70%以上)の独立気孔を含む。
【0014】
他の実施態様では、基板を含む本発明の研磨パッド基板の多孔質材料及び研磨パッドの多孔質材料は、主として実質的に相互につながった細孔の網目を同時に形成する連続気孔を有する。
【0015】
研磨パッド基板の多孔質材料は、任意の適切な密度又は空隙容量を有してよい。典型的には、多孔質材料は、0.2g/cm以上(例えば、0.3g/cm以上、さらには0.4g/cm以上)の密度、好ましくは0.5g/cm以上(例えば、0.7g/cm以上、さらには0.9g/cm以上)の密度を有する。典型的には、多孔度(すなわち空隙容量)は90%以下(例えば、75%以下、さらには50%以下)、好ましくは25%以下(例えば、15%以下、10%以下、さらには5%以下)である。典型的には、多孔質材料は10以上の気孔数/cm(例えば、10以上の気孔数/cm)の気孔密度を有する。気孔密度は、OPTIMAS(登録商標)画像ソフトウェア及びIMAGEPRO(登録商標)画像解析ソフトウェア(いずれもメディアサイバネティクス(Media Cybernetics)社製)、又はクレメックス・テクノロジーズ(Clemex Technologies)社製のCLEMEX VISION(登録商標)画像ソフトウェアのような画像解析ソフトウェアプログラムを用いて多孔質材料の断面像(例えば、SEM像)を解析することにより決定される。
【0016】
研磨パッド基板の多孔質材料は任意の適切な材料を含んでよく、典型的にはポリマー樹脂を含む。多孔質材料は熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ナイロン、弾性ゴム、スチレンポリマー、多環芳香族、フッ素ポリマー、ポリイミド、架橋したポリウレタン、架橋したポリオレフィン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリレート、弾性ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアリーレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、これらのコポリマー及びブロックコポリマー、並びに前記2種以上の混合物及びブレンドからなる群から選択されるポリマー樹脂を含むことが好ましい。好ましくは、ポリマー樹脂は熱可塑性ポリウレタンである。
【0017】
典型的にはポリマー樹脂は前形成されたポリマー樹脂である。しかしながら、ポリマー樹脂も任意の適切な方法によってその場で形成してよく、その方法の多くは従来技術として知られている(例えば、"Szycher's Handbook of Polyurethanes",第3章,CRC Press(ニューヨーク),1999年を参照)。例えば、熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネート反応性の部分を含むプレポリマーと、イソシアネート、ジイソシアネート、及びトリイソシアネートのプレポリマーのようなウレタンプレポリマーとの反応により、その場で形成してよい。適切なイソシアネート反応性の部分としてはアミン及びポリオールが挙げられる。
【0018】
ポリマー樹脂の選択は、一部分では、ポリマー樹脂のレオロジーによって決まるであろう。レオロジーは、ポリマー溶解の流動挙動である。ニュートン流体では、粘度はせん断応力(すなわち接線応力、σ)及びせん断速度(すなわち速度勾配、dγ/dt)の比により定義される定数である。一方、非ニュートン流体では、せん断速度増粘(shear rate thickening,ダイラタンシー)又はせん断速度減粘(shear rate thinning,擬似可塑性)が起こり得る。せん断速度減粘の場合には、粘度はせん断速度が増加するにつれて減少する。この特性がポリマー樹脂を溶融製造(例えば、押出し、射出成形)法に利用させる。せん断速度減粘の臨界域を確認するには、ポリマー樹脂のレオロジーを決めなければならない。レオロジーは、溶融ポリマー樹脂が特定の長さの毛細管を通して一定圧力下で押し出される毛細管技術により決定できる。異なる温度での粘度に対する見かけのせん断速度をプロットすることにより、粘度と温度の関係を決定できる。レオロジープロセッシングインデックス(Rheology Processing Index, RPI)は、ポリマー樹脂の臨界域を確認するパラメータである。RPIは、一定のせん断速度についての20℃と同等の温度での変化後の粘度に対する基準温度での粘度の比である。ポリマー樹脂が熱可塑性ポリウレタンであるならば、RPIは、150l/sのせん断速度及び205℃の温度で測定されるとき2〜10(例えば、3〜8)であることが好ましい。
【0019】
別のポリマー粘度測定は、一定の時間に亘って一定の温度及び圧力で毛細管から押し出される溶融ポリマーの量(グラム表示)を記録するメルトフローインデックス(MFI)である。例えば、ポリマー樹脂が熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタンコポリマー(例えば、ポリカーボネートのシリコーン系コポリマー、ポリウレタンのフッ素系コポリマー、又はポリウレタンのシロキサン‐セグメント化コポリマー)であるとき、MFIは、210℃の温度及び2160gの荷重で10分間に亘って20以下(例えば、15以下)であることが好ましい。ポリマー樹脂が弾性ポリオレフィン又はポリオレフィンのコポリマー(例えば、弾性若しくは標準のエチレン‐プロピレン、エチレン‐ヘキセン、エチレン‐オクテンなど、メタロセン系触媒から作られた弾性エチレンのコポリマー、又はポリプロピレン‐スチレンのコポリマーのようなエチレンα‐オレフィンを含むコポリマー)であるとき、MFIは210℃の温度及び2160gの荷重で10分間に亘って5以下(例えば、4以下)であることが好ましい。ポリマー樹脂がナイロン又はポリカーボネートであるとき、MFIは210℃の温度及び2160gの荷重で10分間に亘って8以下(例えば、5以下)であることが好ましい。
【0020】
ポリマー樹脂のレオロジーは、ポリマー樹脂の分子量、多分散度(PDI)、長鎖分岐又は架橋の度合い、ガラス転移温度(T)、及び溶融温度(T)によって決まる。ポリマー樹脂が熱可塑性ポリウレタン又はポリウレタンのコポリマー(例えば上記のコポリマー)であるとき、重量平均分子量(M)は典型的には50,000〜300,000g/mol、好ましくは70,000〜150,000g/molであり、PDIは1.1〜6、好ましくは2〜4である。典型的には、熱可塑性ポリウレタンは20〜110℃のガラス転移温度及び120〜250℃の溶融転移温度を有する。ポリマー樹脂が弾性ポリオレフィン又はポリオレフィンのコポリマー(例えば上記のコポリマー)であるとき、重量平均分子量(M)は典型的には50,000〜400,000g/mol、好ましくは70,000〜300,000g/molであり、PDIは1.1〜12、好ましくは2〜10である。ポリマー樹脂がナイロン又はポリカーボネートであるとき、典型的には重量平均分子量(M)は50,000〜150,000g/mol、好ましくは70,000〜100,000g/molであり、PDIは1.1〜5、好ましくは2〜4である。
【0021】
多孔質材料に選ばれたポリマー樹脂は、特定の機械的性質を有することが好ましい。例えば、ポリマー樹脂が熱可塑性ポリウレタンであるとき、曲げ弾性率(ASTM D790)は好ましくは350MPa(約50,000psi)〜1000MPa(約150,000psi)であり、平均圧縮率(%)は7以下であり、平均反発率(%)は35以上であり、またショアーD硬度(ASTM D2240-95)は40〜90(例えば、50〜80)である。
【0022】
研磨パッド基板は、0.075〜0.2cmのパッド厚で200〜35,000nmの範囲の少なくとも一つの波長について10%以上(例えば、20%以上)の光透過率を有する。好ましくは、多孔質材料は、200〜35,000nm(例えば、200〜10,000nm、又は200〜1,000nm、さらには200〜800nm)の範囲の少なくとも一つの波長について30%以上(例えば、40%以上、さらには50%以上)の光透過率を有する。研磨パッド基板の光透過率は少なくとも部分的には、密度、空隙容量、曲げ弾性率、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた多孔質材料の性質を制御することにより決定される。
【0023】
本発明の研磨パッド基板は、研磨パッド基板の耐用年数に亘って光透過率の向上した一貫性を提供する。この特徴は、細孔が研磨パッド基板のいかなる厚みの所にも存在するという事実に起因する。したがって、表面層が研磨中に除去されるとき、表面の下の次なる層は、実質的によく似た多孔度及び粗度を有し、またそれ故に上面層と実質的によく似た研磨特性及び光透過率特性を有する。さらに、研磨パッド基板の透過率は、粗さのために細孔のない同じ材料よりも平均して低く、それ故に研磨中の研磨パッド基板の磨耗から生じる変化を原因とする光散乱の変化率も減少する。好ましくは、研磨パッド基板の光透過率は、研磨パッド基板の耐用年数に亘って20%未満(例えば、10%未満、さらには5%未満)減少する。これらの変化は、総合すれば、研磨パッド基板の耐用年数に亘る終点検査システムの出力を調整する必要性を減らし、さらには取り除くであろう。例えば、本発明の研磨パッド基板の光透過率の一貫性は、従来技術の固体、又はほぼ固体のポリウレタン窓と比較できる。研磨の前に、固体のポリウレタン窓は一貫した表面特性を有するが、研磨中には、窓は一貫性のない表面特性を生じさせながら磨耗し、掻き傷が付く。したがって、終点検査システムは、研磨中に起こる掻き傷の各々の新しいパターンに応えて常に調整されなければならない。対照的に、本発明の研磨パッド基板は、終点検査設定が研磨パッド基板の耐用年数に亘って実質的に不変のままであるように、研磨中の磨耗の間又は後に実質的に不変のままである粗面から始まる。
【0024】
本発明の研磨パッド基板の細孔の存在は、研磨特性に重大な影響を与えることができる。例えば、幾つかの場合には、細孔は研磨スラリーを吸収し、輸送することができる。したがって、透過域は研磨パッドの残りの部分とより類似した研磨特性を有することができる。幾つかの実施態様では、透過性研磨パッド基板の表面組織は、専ら研磨に使われる研磨パッドの第二の、不透明な部分を必要とすることなく、研磨表面として有用な研磨パッド基板を作るのに十分である。
【0025】
所望により、本発明の研磨パッド基板は、基板が特定の波長の光を選択的に透過できるようにする染料をさらに含む。染料は、光の好ましくない波長(例えば、背景光)を取り除き、それ故に検出のノイズ比に対する信号を向上させる役割を果たす。研磨パッド基板は任意の適切な染料を含むことができ、又は染料の組み合わせを含んでよい。適切な染料としては、ポリメチン染料、ジ及びトリアリールメチン染料、ジアリールメチン染料のアザ類似体、アザ(18)アヌレン染料、天然染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、アゾ染料、アントラキノン染料、硫黄染料などが挙げられる。好ましくは、染料の透過スペクトルは、その場の終点検査に使われる光の波長に適合するか、重複する。例えば、終点検査(EPD)システムの光源が、540〜570nmの波長を有する可視光を作るヘリウムネオン(HeNe)レーザーであるとき、染料は赤色染料であることが好ましい。好ましい実施態様では、本発明の研磨パッドは、スピノーダル又はバイノーダル分解法により調製され、また研磨パッドの厚さが0.15cmの部分が、540〜570nmの波長を有する光の少なくとも10%、より好ましくは20%を透過する。
【0026】
本発明の研磨パッド基板は、任意の適切な技術を用いて製造でき、その多くは従来技術として知られている。例えば、研磨パッド基板は、(a)微細発泡成形(Mucell)法、(b)ゾル‐ゲル法、(c)相反転法、(d)スピノーダル分解、(e)バイノーダル分解、(f)溶媒‐非溶媒誘起の相分離、又は(g)圧縮ガス注入法により製造できる。
【0027】
微細発泡成形法は、(a)単相溶液を製造するためにポリマー樹脂を超臨界ガスと混ぜる工程及び(b)単相溶液から本発明の研磨パッド基板を形成する工程を含む。ポリマー樹脂は上記のいかなるポリマー樹脂でもよい。超臨界ガスは、ガスをそのガスが液体(すなわち、超臨界液体、SCF)のように振る舞う臨界状態を作るのに十分な高温(例えば、100〜300℃)及び高圧(例えば、5MPa(約800psi)〜40MPa(約6000psi))に曝すことにより発生する。そのガスは炭化水素、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン(例えば、フレオン)、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、又はこれらの組み合わせでよい。好ましくは、そのガスは、例えば、C‐H結合を含まないガスのような不燃性ガスである。典型的には、ポリマー樹脂及び超臨界ガスの単相溶液は、機械バレル内で超臨界ガスを溶融ポリマー樹脂と混合することにより調製する。次に単相溶液を、ガスが溶融ポリマー樹脂内で細孔径の高い均一性を持つ細孔構造を形成するまで膨張する型の中に注入することができる。典型的には、単相溶液中の超臨界ガスの濃度は、単相溶液の総容量の0.01〜5%(例えば、0.1〜3%)である。これらの及び付加的な方法の特徴は、米国特許第6,284,810号明細書でより詳細に説明されている。微小気孔構造は、溶液の10を超える核生成部位/cmを製造するのに十分な単相溶液に熱力学的不安定性を作ることにより(例えば、温度及び/又は圧力を急速に変えることにより)形成される。核形成部位は、超臨界ガスの溶解した分子が、多孔質材料の気孔が成長するクラスターを形成する部位である。核形成部位の数は、核形成部位の数がポリマー材料中に形成された気孔の数とおおよそ等しくなると仮定することにより推定される。典型的には、熱力学的不安定性は、単相溶液を含む型又は金型の出口で引き起こされる。多孔質材料は、ポリマーシートの中への押し出し、複層シートの共押し出し、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、インフレーションフィルム、複層インフレーションフィルム、キャストフィルム、熱成形、及びラミネート加工を含む任意の適切な技術により単相溶液から形成できる。好ましくは、研磨パッド基板(例えば、多孔質材料)は押し出し又は射出成形により形成される。多孔質材料の細孔径は少なくとも部分的には、超臨界ガスの温度、圧力、及び濃度、並びにこれらの組み合わせにより制御される。
【0028】
ゾル‐ゲル法は、制御可能な細孔径、表面積、及び細孔径分布を有する三次元の金属酸化物網目(例えば、シロキサン網目)の調製を含む。前記三次元網目(すなわち、ゾル‐ゲル)は様々な方法を用いて調製でき、その多くは従来技術として知られている。適切な方法としては、一段階(例えば、「ワンポット(one-pot)」)法及び二段階法が挙げられる。一つの方法では、適切なpH及び塩濃度の条件下で自然に縮合するシリカの低濃度の水溶液(例えば、ケイ酸ナトリウム)が、ケイ素系網目を形成するために調製される。別の典型的な方法は、水及びアルコールを含む溶液に配置されたときにアルコキシド配位子の加水分解及び縮合(例えば、重縮合)を受けてM‐O‐M結合(例えば、Si‐O‐Siシロキサン結合)を形成する金属アルコキシド前駆体(例えば、M(OR)、式中のMはSi、Al、Ti、Zr、又はこれらの組み合わせであり、Rはアルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせである)の使用を含む。所望により、プロトン酸(例えば、HCl)及び塩基(例えば、アンモニア)のような触媒を加水分解及び縮合反応の速度を高めるために使用してもよい。典型的には、二段階法は予備重合したテトラエチルオルトシリケート(TEOS)のような予備重合した前駆体の使用を含む。M‐O‐M結合の数が増えるとき、溶媒(例えば、水)が満ちている細孔を含む三次元網目が形成される。溶媒は、アルコゲルと呼ばれる構造を形成するためにアルコールと交換してよい。典型的には、溶媒の単純な蒸発が固体の三次元網目の無視できない破壊を導き、キセロゲルを形成する。より好ましい乾燥技術は、固体の三次元網目を実質的に破壊しない技術であり、超臨界抽出である。典型的には、超臨界抽出は固体の三次元網目構造に適切な低分子量の発泡剤(例えば、アルコゲルに存在するアルコール、特にメタノール、又はガス/溶媒交換により得られるCOガス)を混合する工程及び発泡剤の臨界点よりも高い温度及び圧力をその混合物に適用する工程を含む。これらの条件下では、固体材料のガラス化、架橋、又は重合が起こり得る。次に圧力が、発泡剤をガラス構造の外へ拡散させるためにゆっくり下げられる。生成したゾル‐ゲル材料は、エアロゲルと呼ばれ、平均細孔径及び細孔径分布を制御できる微細気孔の細孔構造を有する。そのようなエアロゲルは、250nmを超える波長を有する可視又は紫外光を透過できる。複合型有機‐無機ゾル‐ゲル材料も透過できるか、又は少なくとも部分的に透過できる。典型的には、複合型ゾル‐ゲル材料は無機及び有機基の両方を含む化学的前駆体を用いて調製する。三次元M‐O‐M網目がその前駆体から形成されるとき、有機基は細孔構造内に補足され得る。細孔径は適切な有機基の選択によって制御できる。複合型ゾル‐ゲル材料の実施例としては、クレー‐ポリアミド複合材料及び金属酸化物‐ポリマー複合材料が挙げられる。
【0029】
相反転法は、非常に撹拌された非溶媒中のポリマーのT又はTを超えて加熱されたポリマー樹脂の極めて微細な粒子の分散を含む。ポリマー樹脂は上記のいかなるポリマー樹脂でもよい。非溶媒は、高いフローリー‐ハギンスのポリマー‐溶媒相互作用パラメータ(例えば、0.5を超えるフローリー‐ハギンス相互作用パラメータ)を有する任意の適切な溶媒でよい。そのポリマー‐溶媒相互作用は、下記の参考文献でラマナサン(Ramanathan)らによって更に詳細に議論されている。
Ed. James E. Mark著"Polymer Data Handbook",オックスフォード大学出版(ニューヨーク),1999年,p.874、
"Oberth Rubber Chem. and Technol.",1984年,63,56、
バートン(Barton)著"CRC Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters",CRC出版(ボーカラートン,フロリダ州),1983年,p. 256、及び
Prasadら著"Macromolecules",1989年,22,914。
例えば、ポリマー樹脂が熱可塑性ポリウレタン、芳香族エーテル系ポリウレタンであるとき、エーテル、ケトン、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド(DMF)などのような強い極性溶媒は0.3未満の相互作用パラメータを有し、またポリマーに対して「良溶媒」としての役割を果たすであろう。一方で、シクロヘキサン、シクロブタン、及びn‐アルカンのような炭化水素溶媒は、0.5を超える相互作用パラメータ及び貧溶媒又は「非溶媒」としての機能を有する。フローリー‐ハギンス相互作用パラメータは温度に敏感であるから、高温では良溶媒である溶媒が、より低い温度では非溶媒になり得る。非溶媒に加えられた微細なポリマー樹脂粒子の数が増えるとき、微細なポリマー樹脂粒子は、最初にテンドリルを、そして最終的に三次元ポリマー網目を形成するためにつながる。次に非溶媒混合物は、三次元ポリマー網目内で非溶媒を分離した液滴の形にしながら、冷却される。生成した材料は、サブミクロンの細孔径を有するポリマー材料である。
【0030】
スピノーダル分解及びバイノーダル分解法は、混合物を単相域から二相域へ移すために、ポリマー‐ポリマー混合物、又はポリマー‐溶媒混合物の温度及び/又は体積分率を制御する工程を含む。二相域内では、ポリマー混合物のスピノーダル分解又はバイノーダル分解のいずれかが起こり得る。分解とはポリマー‐ポリマー混合物が非平衡相から平衡相へ変わる方法をいう。スピノーダル域では、混合曲線の自由エネルギーは、ポリマーの相分離(すなわち、二相材料の形成)、又はポリマー及び溶媒の相分離が体積分率の小さな変動に応えて自然に起こるように、負である。バイノーダル域では、ポリマー混合物は体積分率の小さな変動に関しても安定であり、それ故に相分離した材料になるために核形成及び成長を必要とする。二相域(すなわち、バイノーダル又はスピノーダル域)内の温度及び体積分率でのポリマー混合物の沈殿は、二つの相を有するポリマー材料を形成する。ポリマー混合物が溶媒又はガスで満たされているならば、二相性ポリマー材料は相分離の界面でサブミクロンの細孔を含むであろう。ポリマーは上記のポリマー樹脂を含むことが好ましい。
【0031】
溶媒‐非溶媒誘起の相分離法は、ポリマーが連続相を形成しながら適切な温度で適切な溶媒に溶解する三元相系を含む。次に適切な非溶媒を、通常は固定温度で加え、順次の相分離を行うために三元相ポリマー系の溶解度特性を変える。シートの形態は、溶媒/非溶媒の比を変えることにより制御できる。生成シートの形態(すなわち、細孔構造)に少なくとも一部分では関与する物理的要因としては、溶媒及び非溶媒の混合の熱、並びに溶媒及び非溶媒中のポリマーの溶解度パラメータの相違によって決まるポリマー‐溶媒相互作用が挙げられる。典型的な溶媒/非溶媒の比は、0.01〜10μmの細孔径の範囲の細孔を有するフィルムを提供できる1:10〜1:200の範囲を使用した。前記の三元系の一つの実施例は、水/DMSO/EVAL(エチレンビニルアルコール)のポリマー系である。50℃での水‐DMSO混合物(0〜75質量%のDMSO)中の10質量%EVAL濃度は、1〜10μmの範囲の細孔径を有する実質的に相互につながった多孔質シートを与える。
【0032】
圧縮ガス注入法は超臨界流体ガスを、ポリマー樹脂を含む固体ポリマーシートの中に入れるための高温及び高圧の使用を含む。ポリマー樹脂は上記のいかなるポリマー樹脂でもよい。固体の押出しシートは圧力容器の中に室温で設置される。超臨界ガス(例えば、N又はCO)が容器に加えられ、そして容器は適切な量のガスを自由体積のポリマーシートの中に入れるのに十分な水準まで加圧される。ポリマーに溶解したガスの量は、ヘンリーの法則に従って適用された圧力に正比例する。ポリマーシートの温度を増加させると、ガスがポリマーの中に拡散する速度が増加するだけでなく、ポリマーシートに溶解できるガスの量が減少する。ガスがポリマーを完全に飽和させたらすぐに、シートは加圧された容器から取り出される。通常は、ポリマーシートは0.5〜1μmの範囲の気孔径を有する。所望により、生成したポリマーシートはすぐに軟化又は溶融状態に加熱してよい。微細発泡成形法と同様に、多孔質材料の細孔径は、超臨界ガスの温度、圧力、及び濃度、並びにこれらの組み合わせにより、少なくとも一部分では制御される。
【0033】
本発明の研磨パッド基板が研磨パッドの一部分のみを構成するとき、研磨パッド基板は任意の適切な技術を用いて研磨パッドに取り付けられる。例えば、研磨パッド基板は接着剤を用いることによって研磨パッドに取り付けられる。研磨パッド基板は研磨パッドの上部(例えば、研磨表面)に取り付けられるか、又は研磨パッドの下部(例えば、サブパッド)に取り付けられる。研磨パッド基板は任意の適切な寸法を有してよく、円形、長円形、四角形、長方形、三角形などでよい。研磨パッド基板は、研磨パッドの研磨表面と重なるように置いてもよいし、研磨パッドの研磨表面にはめ込んでもよい。研磨パッドは一種以上の本発明の研磨パッド基板を含むことができる。研磨パッド基板は、研磨パッドの中心及び/又は周辺について研磨パッド上の任意の適切な位置に設置できる。
【0034】
研磨パッド基板が設置される研磨パッドは、任意の適切な研磨パッド材料で作られ、その多くは従来技術として知られている。典型的には、研磨パッドは不透明か、部分的に透明なだけである。研磨パッドは任意の適切なポリマー樹脂を含むことができる。例えば、典型的には、研磨パッドは熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ナイロン、弾性ゴム、弾性ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアリーレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、これらのコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー樹脂を含む。研磨パッドは、焼結、射出成形、ブロー成形、押出し、溶液又は溶融キャスト、紡糸、熱成形などを含む任意の適切な方法により製造できる。研磨パッドは固体及び非多孔質でよく、微孔性の独立気孔を含んでもよく、連続気孔を含んでもよく、又はポリマーが成形された繊維ウェブを含んでもよい。
【0035】
所望により、本発明の研磨パッド基板を含む研磨パッドは、研磨パッドの表面に沿った研磨組成物の水平輸送を容易にする溝、流路、及び/又は穿孔をさらに含む研磨表面を有する。そのような溝、流路、又は穿孔は任意の適切な形状でよく、また任意の適切な深さ及び幅でよい。研磨パッドは、例えば米国特許第5,489,233号明細書に記載されたように大きい溝及び小さい溝の組み合わせのような、二種以上の異なる溝形状を有してよい。溝は、傾斜した溝、同心円状の溝、らせん状又は円形の溝、XY斜行平行線パターンの形状でよく、また結合性については連続又は不連続でよい。好ましくは、研磨パッドは標準的なパッド調製法により製造された少なくとも小さな溝を含む。
【0036】
本発明の研磨パッド基板を含む研磨パッドは、研磨パッド基板に加えて、一種以上の他の特徴又は成分を含むことができる。例えば、所望により、研磨パッドは異なる密度、硬度、多孔度、及び化学組成の領域を含むことができる。所望により、研磨パッドは研磨粒子(例えば、金属酸化物粒子)、ポリマー粒子、水溶性粒子、吸水性粒子、中空粒子などを含む固体粒子を含むことができる。
【0037】
本発明の研磨パッド基板を含む研磨パッドは、特に化学機械研磨(CMP)装置とともに使用するのに適する。典型的には、その装置は、使用時には動いていて軌道、直線、又は円運動に起因する速度を有する定盤と、定盤に接触して本発明の研磨パッド基板を含み、運転時には定盤とともに動く研磨パッドと、及び研磨パッドの表面に対して接触し、動くことにより研磨される被処理物を支える支持体とを含む。被処理物の少なくとも一部分を研磨(abrade)して被処理物を研磨(polish)するために、被処理物の研磨は、被処理物を研磨パッドに接触させて、次に、通常はその間に研磨組成物を存在させた状態で研磨パッドを被処理物に対して動かすことによって行われる。典型的には、研磨組成物は液体キャリヤー(例えば、水性キャリヤー)、pH調整剤、及び所望により研磨剤を含む。研磨される被処理物の種類に応じて、所望により研磨組成物は酸化剤、有機酸、錯化剤、pH緩衝溶液、界面活性剤、腐蝕防止剤、抗発泡剤などをさらに含んでよい。CMP装置は任意の適切なCMP装置でよく、その多くは従来技術として知られている。本発明の研磨パッド基板を含む研磨パッドも線研磨工具に使用できる。
【0038】
好ましくは、CMP装置は現場での研磨終点検査システムをさらに含み、その多くは従来技術として知られている。被処理物の表面から反射される光又は他の放射線を分析することにより研磨工程を検査及び監視する技術が従来技術として知られている。その方法は、例えば、米国特許第5,196,353号明細書、米国特許第5,433,651号明細書、米国特許第5,609,511号明細書、米国特許第5,643,046号明細書、米国特許第5,658,183号明細書、米国特許第5,730,642号明細書、米国特許第5,838,447号明細書、米国特許第5,872,633号明細書、米国特許第5,893,796号明細書、米国特許第5,949,927号明細書、及び米国特許第5,964,643号明細書に記載されている。好ましくは、研磨される被処理物に関する研磨工程の進行を検査及び監視することで、研磨終点の決定、すなわち、特定の被処理物に関して研磨工程を終える時期の決定が可能となる。
【0039】
本発明の研磨パッド基板を含む研磨パッドは単独で使用でき、又は所望により多層積層型研磨パッドの一層として使用できる。例えば、研磨パッドはサブパッドと組み合わせて使用できる。サブパッドは任意の適切なサブパッドでよい。適切なサブパッドとしては、ポリウレタン発泡サブパッド(例えば、ロジャース・コーポレーション(Rogers Corporation)社製Poron(登録商標)発泡サブパッド)、含浸布サブパッド、微孔質ポリウレタンサブパッド、又は焼結ウレタンサブパッドが挙げられる。典型的には、サブパッドは本発明の研磨パッド基板を含む研磨パッドより柔軟であり、それ故に、より圧縮可能であり、研磨パッドより低いショアー硬度値を有する。例えば、サブパッドは35〜50のショアーA硬度を有することができる。幾つかの実施態様では、サブパッドは研磨パッドより硬く、圧縮性がより低く、またより高いショアー硬度を有する。所望により、サブパッドは溝、流路、中空部分、窓、開口部などを含む。本発明の研磨パッドをサブパッドと併用するときには、典型的には、研磨パッド及びサブパッドと同一の広がりを持ち、それらの間にある、ポリエチレンテレフタレートフィルムのような中間的なバッキング層が存在する。
【0040】
本発明の研磨パッド基板を含む研磨パッドは、多種の被処理物(例えば、基板又はウエハー)及び被処理物材料を研磨するときの使用に適する。例えば、研磨パッドは、メモリ記憶装置、半導体基板、及びガラス基板を含む被処理物を研磨するのに使用できる。研磨パッドで研磨するのに適した被処理物としては、メモリ又は剛体ディスク、磁気ヘッド、MEMSデバイス、半導体ウエハー、電界放出ディスプレー、及び他のマイクロエレクトロニクス基板、特に絶縁層(例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は低誘電体)及び/又は金属含有層(例えば、銅、タンタル、タングステン、アルミニウム、ニッケル、チタン、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム又は他の貴金属)を含むマイクロエレクトロニクス基板が挙げられる。
【0041】
本発明の好ましい態様は、スピノーダル分解、バイノーダル分解、又は溶媒‐非溶媒誘起の相分離法を利用して化学機械研磨(CMP)パッドを製造する方法である。この方法は順に、(a)そのために溶液に溶解させたポリマー樹脂を含むポリマー溶液の層を形成する工程、(b)ポリマー溶液の層に相分離を起こし、連続的なポリマーリッチ相及び連続的なポリマーリッチ相内に分散された連続的な液体溶媒リッチ相を製造する工程、(c)連続的なポリマーリッチ相を凝固させ、多孔質ポリマーシートを形成する工程、(d)多孔質ポリマーシートから溶媒リッチ相を除去する工程、及び(e)それからCMPパッドを形成する工程を含む。溶液中で起きる相分離はスピノーダル分解、バイノーダル分解、溶媒‐非溶媒誘起の相分離、又はこれらの組み合わせでよい。多孔質ポリマーシートは、20〜90%の範囲の多孔度を有し、0.01〜10μmの範囲の平均細孔直径及び、例えば多孔質材料中の細孔(例えば、気孔)の75%以上が平均細孔径から±5μm以下の、より好ましくは±3μm以下の細孔径分布を有する細孔径分布のような比較的狭い細孔径分布を有する細孔を含む。
【0042】
多孔質ポリマー材料を形成するバイノーダル及びスピノーダル分解法の詳細な説明は、A. Prasadら著"Part B Polymer Physics",ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(Journal of Polymer Science),1993年,第32巻,pp. 1819〜1835から入手できる。
【実施例】
【0043】
ポリマー‐溶媒混合物の液‐液相分離図の概略図を図1に示した。図1の相図は、温度(y軸)及びポリマーの体積分率(x軸)の関数としてポリマー‐溶媒混合物の相を示す。図1の相図では、ポリマーは、DBFを付けた曲線の外側のポリマーの温度及び体積分率の領域で完全に溶解する。ABC曲線の下の領域はスピノーダル領域と呼ばれ、一方でABC曲線及びDBF曲線の間の領域はバイノーダル領域と呼ばれる。相分離は、温度及び体積分率がDBF曲線内に落ちるときに起こる。
【0044】
例えば、線Xで示された温度では、線XがスピノーダルABC曲線と交わる所で液‐液相分離が起こり、ポリマーリッチ液相及び溶媒リッチ液相が形成される。各相でのポリマーの凝固及び溶媒の除去により、説明された相によって決まる異なった細孔径を有するポリマー材料が得られる。比較的高いポリマー濃度(例えば、図1の点)では、ポリマーリッチ相から、比較的低いポリマー濃度を有する溶液から得られる細孔径に比べて比較的小さい細孔径が得られる。同様に、多孔度が比較的低い(例えば、0.01〜2μmの範囲の細孔径が20〜30%)比較的密度の高いポリマーシートが、比較的高いポリマー濃度(例えば、図1の概略図の点C)を有する材料からキャストされる。一方、図1の点Aのポリマー濃度での溶液からキャストされたポリマーシートは、比較的より高い多孔度(例えば、0.1〜5μmの範囲の細孔径が70〜90%)を有するであろう。さらに、界面張力が相形態を制御することで知られている。したがって、共通の界面活性剤をポリマー溶液に加えて、それにより所望の細孔径に制御することで界面張力を操ることができる。
【0045】
一実施例では、ポリスチレン(150,000の分子量)シートが、160℃で100ml量のシクロヘキサノール溶媒に溶解した6質量%のポリスチレンを含むポリマー溶液からキャストされた。経験的に決定したこのポリスチレン‐シクロヘキサノール系の相図を図2に示す。その溶液を55℃に急冷し、そこで10分間保ち、相分離を引き起こした。ポリマー相が凝固し、それにより熱可逆性ゲルが形成された。また溶媒を真空乾燥により除去し、0.1〜5μmの径の範囲の実質的に相互につながった細孔の連続網目及び75%の多孔度(すなわち、空隙容量)を有する多孔質ポリマーシートを得た。この手順で製造された多孔質ポリスチレンシートの顕微鏡写真を図3に示した。
【0046】
別のポリスチレンシートは、160℃で100ml量のシクロヘキサノール溶媒に溶解した30質量%のポリスチレンを含むポリマー溶液からキャストされた。その溶液を55℃に急冷し、そこで10分間保ち、相分離を引き起こした。ポリマーリッチ相が(熱可逆性ゲルを形成しながら)凝固した。また溶媒を真空乾燥により除去し、0.01〜2μmの径(1.2μmの平均細孔径)の範囲の実質的に相互につながった細孔の連続網目及び20〜30%の多孔度(すなわち、空隙容量)を有する多孔質ポリマーシートを得た。全ての場合に、バイノーダル及びスピノーダル分解法により得られた細孔径分布は比較的狭い(例えば、典型的には10μm未満)。この手順で作られた多孔質ポリスチレンシートの顕微鏡写真を図4に示した。これは相図のスピノーダル域内(すなわちスピノーダル分解)で得られた相形態の実施例である。
【0047】
別の実施例では、130℃で100mlの1‐ドデカノールに溶解した5質量%のポリエチレン(分子量=120,000)を100℃に急冷した。このサンプルは数分で凝固し、溶媒は真空乾燥により除去され、図3に示した多孔質ポリスチレンシートに類似した互いにつながった連続細孔構造が明らかになった。同じ冷却条件下での同じポリマーのより高い濃度(12質量%)では、シートの細孔構造は、ポリスチレンの図4に示したものと類似した。これは相図のスピノーダル及びバイノーダル域の間で得られた相形態の実施例である。
【0048】
本発明のこの態様の多孔質ポリマーシートは、実質的に相互につながった細孔の網目を特徴とする。液体溶媒リッチ相の少なくとも一部が細孔内に分散する。微孔質ポリマーシートは20〜90%の範囲の多孔度(すなわち空隙容量)を有し、0.01〜10μmの範囲(例えば、0.01〜5μm、0.1〜2μmなどの範囲)の平均細孔直径を有する細孔を含む。
【0049】
本方法の幾つかの実施態様では、ポリマーシートは20〜30%の範囲の平均多孔度を有する。他の実施態様では、ポリマーシートは70〜90%の範囲の平均多孔度を有する。比較的高い多孔度(例えば、70〜90%の範囲)を有するパッドは、特に電気化学的CMP(e‐CMP)法に有用である。本発明のこの実施態様のCMPパッドの細孔は連続し、相互につながっている。連続細孔構造はCMPスラリー流量及び研磨中に生じた破片の除去を高める。細孔径の比較的狭い分布は65nm又はより低い節(node)で方向性(directivity)を減らす。比較的高い密度(低い多孔度)のパッドを形成する能力も中低そり及び浸蝕を減らすのに寄与する。
【0050】
本方法は、ポリマー溶液中の濃縮ポリマー樹脂を選択すること、溶媒の溶媒極性によってポリマーの溶解度パラメータを基準にした溶媒を選択すること、相分離の条件(例えば、温度)を選択することなどにより容易に制御できる多孔度及び細孔径を有する微孔質CMPパッドを提供する。
【0051】
好ましくは、ポリマーシートは、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ナイロン、弾性ゴム、弾性ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアリーレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、これらのコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選ばれるポリマー樹脂を含む。より好ましくは、ポリマーシートは熱可塑性ポリウレタンを含む。
【0052】
本発明のこの方法の態様に使われる適切な種類の溶媒の例は、エステル、エーテル、アルコール、ケトン、ニトリル、アミン、芳香族炭化水素、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。本発明のこの方法の態様に使われる好ましい溶媒は、従来技術としてよく知られている極性非プロトン溶媒及び水素結合性溶媒(例えば、N‐メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン、及び前記の任意の組み合わせ)である。溶媒は、限定されるものではないが、蒸発、溶媒交換、真空下の溶媒ストリッピング、凍結乾燥、及びこれらの任意の組み合わせを含む従来技術として知られる方法により微孔質ポリマーシートから除去できる。
【0053】
好ましい実施態様では、ポリマー溶液は、80℃を超える温度でNMP又はDMFに熱可塑性ポリウレタン樹脂(1〜50質量%)を溶解させることにより調製される。次に、80℃未満の温度にポリマー溶液の相を冷却することにより相分離が引き起こされる。MEK、THF、及びDMAのような他の水素結合性溶媒も適切である。
【0054】
溶媒リッチ相を除去する工程は、蒸発、溶媒交換、真空下の溶媒ストリッピング、凍結乾燥、及びこれらの任意の組み合わせによるような従来技術として知られている任意の使いやすい方法により行うことができる。
【0055】
本発明の方法の好ましい実施態様では、ポリマー溶液は1〜50質量%の、より好ましくは5〜20質量%のポリマー樹脂を含む。
【0056】
ポリマー溶液中のポリマー及び溶媒の溶解度パラメータ、(例えば、希釈剤が溶媒交換による溶剤の除去に使われるときの)ポリマー‐希釈剤相互作用の強さ、ポリマー溶液中の初期ポリマー濃度、相分離を起こすのに使われる温度低下率などのパラメータに応じて、相分離は液‐液相分離や液‐固相分離になり得る。幾つかの実施態様では、ポリマーは凝固の間又は前に、少なくとも部分的に、晶出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】ポリマー‐溶液混合物の相図(例えば、温度の関数のポリマー体積分率)である。
図2】ポリスチレン(PSのM=150,000)/シクロヘキサノール系の実験的に決定した相図である。
図3】12時間の室温での真空乾燥に先立って、10分間で55℃でのシクロヘキサノール中6質量%のポリマー濃度で相分離法により製造されたポリスチレン多孔質シートのSEM顕微鏡写真である。
図4】24時間の室温での真空乾燥に先立って、10分間で55℃でのシクロヘキサノール中30質量%のポリマー濃度で相分離法により製造されたポリスチレン多孔質シートのSEM顕微鏡写真である。
図1
図2
図3
図4