(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、
図1を用いて半導体検査系の全体構成を説明する。半導体検査系は検査装置、電源ラック、制御ラック、画像処理ユニット、成膜装置、エッチング装置等から構成される。ドライポンプ等の粗引きポンプはクリーンルームの外に置かれる。検査装置内部の主要部分は、電子ビーム真空容器、真空搬送系、ステージを収容している主ハウジング、除振台、ターボ分子ポンプ等から構成されている。
【0021】
検査系を機能からみた場合、電子ビーム真空容器は主に電子光学系、検出系、光学顕微鏡等から構成される。電子光学系は電子銃、レンズ等、搬送系は真空搬送ロボット、大気搬送ロボット、カセットローダ、各種位置センサ等から構成されている。
【0022】
成膜装置、エッチング装置、洗浄装置(図示していない)は検査装置近くに並べて設置しても、検査装置に組み込んでも良い。これらは、例えば試料の帯電抑制のために又は試料表面のクリーニングに使用される。スパッタ方式を用いると、一台で制膜及びエッチングの両方の機能を持たせることができる。
【0023】
図示していないが、使用用途によってはその関連装置を検査装置近くに並べて設置するか、それらの関連装置を検査装置に組み込んで使用しても良い。或いは、それらの関連装置を検査装置に組み込んでもよい。例えば、化学的機械研磨装置(CMP)と洗浄装置を検査装置に組み込んでも良く、或いは、CVD(化学蒸着法)装置を検査装置に組み込んでもよく、この場合、設置面積や試料搬送のためのユニットの数を節約でき、搬送時間を短縮できるなどのメリットが得られる。同様に、メッキ装置等の成膜装置を検査装置に組
み込んでも良い。同様にリソグラフィ装置と組み合わせて使用することもできる。
【0024】
図2は、検査装置における電子光学系の一般的な構成を試料及び検出系との位置関係とともに示す図である。電子光学系は真空容器の中に設けられ、一次電子ビームを放出して試料SLに導き試料SLを照射する一次電子光学系(以下、単に一次光学系という)PRと、試料SLから放出されて二次電子ビームを検出系DTに導く二次電子光学系(以下、単に二次光学系という)SEとを備える。一次光学系PRは、電子ビームを検査対象である試料SLの表面に照射する光学系で、電子ビームを放出する電子銃1と、電子銃1から放出された一次電子ビームを集束する静電レンズからなるレンズ系2と、ウイーンフィルタすなわちE×B分離器3と、対物レンズ系4とを備え、電子銃1から放出される一次電子ビームの光軸は、試料SLを照射する電子ビームの照射光軸(試料の表面に垂直になっている)に関して斜めになっている。対物レンズ系4と試料SLとの間には電極5が配置され、この電極5は一次電子ビームの照射光軸に関して軸対称の形状になっていて、電源6によって電圧制御される。
【0025】
二次光学系SEは、E×B分離器3により一次光学系から分離された二次電子を通す静電レンズから成るレンズ系7を備えている。このレンズ系7は二次電子像を拡大する拡大レンズとして機能する。検出系DTは、レンズ系7の結像面に配置された検出ユニット8及び画像処理部9を備えている。
【0026】
本発明は、上で説明したような検査装置における検出ユニットの改良に関するもので、以下、図を参照しながら本発明に係る検査装置の実施の形態について詳述する。なお、全図を通じて、同一の参照数字は同一又は同様の構成要素を指すものとする。
【0027】
図3は、本発明に係る検査装置の第1の実施の形態を概略的に示す図で、電子センサを備える検出装置と光センサを備える検出装置とを一つの容器に配置した構成を有する。同図において、真空容器MCの内部に、CCD検出装置11とTDI検出装置12とが、CCD検出装置11のEB−CCD(electron bombardment charge coupled device)センサ13の方が試料に近い側にあるよう設置される。図において、CCD検出装置11及びTDI検出装置12の電子入射面は図面に対して垂直である。EB−CCDセンサ13は真空容器MCの外部に設けられた移動機構Mによって図の左右方向に並進移動可能に支持されている。これによって、EB−CCDセンサ13は電子ビームeを受け取る位置と電子ビームeをTDI検出装置12に直接入射させる位置とに選択的に移動することができ、CCD検出装置11とTDI検出装置12とを選択的に使用することが可能になる。なお、図示しないが、CCD検出装置11は、EB−CCDセンサ13に接続されたカメラ、コントローラ、フレームグラバー・ボード、PC等を備え、EB-CCDセンサ13の出力の取込み、画像表示、CCD検出装置11の制御が行われる。
【0028】
EB−CCDセンサ13は、二次元的に配列された複数の画素を備え、試料から放出された電子ビームeを受け取って試料の二次元画像を表す信号を出力する。EB−CCDセンサ13は、電子ビームeが直接入射すると、入射した電子ビームのエネルギーに対応したゲインを得る、つまり、電子増幅がなされてチャージの蓄積が達成されるセンサであり、このチャージが各画素毎に蓄積され、規定時間(例えば33Hz)にて読み出されて1フレームの二次元像の電気信号として出力される。例えば、EB-CCDセンサ13としては、画素数650(水平方向)×485(垂直方向)、画素サイズ14μm×14μm、1フレーム取得周波数33Hz、ゲイン100〜1000のものを用いる。このとき、EB―CCDセンサ13のゲインは入射電子のエネルギーで決まり、例えば入射エネルギー4keVの時にゲイン300を得ることができる。ゲインはEB―CCDセンサ13の構造により調整可能である。
【0029】
一方、TDI検出装置12は、試料から放出された電子ビームeを増幅するMCP14と、増幅された電子ビームを受け取って光に変換する蛍光板15と、蛍光板15から発せられた光を伝達するFOP16と、FOP16からの光信号を受け取るTDIセンサ17とを備える。TDIセンサ17の出力は、
図28の(B)に示すと同様に、ピン18を介してカメラ19に伝達される。なお、MCP14は電子増幅の必要があるときに設置されるものであって、省略されることもある。
【0030】
MCP14、蛍光板15、FOP16及びTDIセンサ17は1つのパッケージに形成され、TDIセンサ17の出力ピンはワイヤーボンディングその他の接続手段で、フィードスルー部FTのピン18に接続される。TDIセンサ17が高速で動作して画素数が大きい場合には、ピン18が多量に必要となり、例えば100〜1000本になることがある。カメラ19は画像取込みのための制御信号にしたがって画像信号の入出力を行う。なお、図示していないが、カメラ19の他に、カメラ19用の電源及びコントローラ、並びにカメラ19からの画像信号を取込んで処理する画像処理システムが設けられている。該画像処理システムにより得られた画像データを加工することで画像評価値を算出することができ、例えば欠陥検査に用いる場合には、欠陥部位、欠陥種、欠陥サイズ等の抽出処理とそれらの画面表示とを行うことができる。
【0031】
CCD検出装置11を使用する場合とTDI検出装置12を使用する場合とを選択的に実現する機構として、真空容器MCの外に移動機構Mが設置されてEB-CCDセンサ13と機械的に連結される。CCD検出装置11を使用する場合、移動機構Mを作動させてEB−CCDセンサ13の中心を電子ビームeの光軸位置に来るよう移動させる。この状態で電子ビームeをEB-CCDセンサ13に入射させ、試料の二次元像を表す画像信号を得ることができる。一方、TDI検出装置12を使用する場合には、EB-CCDセンサ13を移動機構Mによって電子光学系の光軸から離れた場所、例えば、電子像や電子軌道に影響のない距離(例えば5〜300mm程度)離れた位置に移動させる。これによって試料からの電子ビームeはEB−CCDセンサ13に邪魔されることなくTDI検出装置12のMCP14に入射する。なお、移動機構MをEB−CCDセンサ13と連結する部分にはチャージアップ防止用のシールドを設けることが好ましい(これについては後述する)。
【0032】
図4は、本発明に係る検査装置の第2の実施の形態を概略的に示す図である。
図3に示す移動機構Mは1軸方向(例えばX方向)に並進移動できるのみである。そこで、これに代えて、
図4に示す第2の実施の形態は、移動機構Mを3軸(X、Y及びZ方向)に移動可能に構成し、EB−CCDセンサ13の中心を電子光学系の光軸中心に対して微調整できるように構成したものである。なお、電子光学系の光軸の調整を行うために、EB―CCDセンサ13の前段(試料側)に電子偏向機構を設け、電子ビームの位置を調整することも可能である。
【0033】
図5の(A)〜(C)は、本発明に係る検査装置の第3の実施の形態を概略的に示す図で、(A)は正面から見た図であり、(B)及び(C)は側面から見た図である。図示のように、この実施の形態における移動機構Mは1軸又は3軸方向の移動ではなく回転移動を利用する。なお、この実施の形態においては、電子増幅を必要としないので、TDI検出装置12はMCPを設けていない。
【0034】
図5の(A)において、必要な回路や基板等を内蔵する平板状のEB―CCDセンサ13の一端に回転シャフト21の一端が連結され、回転シャフト21の他端は移動機構Mに連結される。
図5の(B)及び(C)は、(A)に示す構成を移動機構Mの方から見た図で、CCD検出装置11を使用する場合には、EB−CCDセンサ13に電子ビームeが入射するよう、EB−CCDセンサ13のセンサ面が電子ビームeに垂直になるよう移動
される。TDI検出装置12を使用する場合には、(C)に示すように、移動機構Mによって回転シャフト21を回転させてEB−CCDセンサ13を電子光学系の光軸に平行になるよう移動させる。したがって、電子ビームeは蛍光板15に入射して光信号に変換され、該光信号がFOP16を介してTDIセンサ17に入射する。
【0035】
図5に示す回転を利用する移動機構は、
図3及び
図4で説明した1軸又は3軸方向の移動を利用する移動機構に比べ、サイズ及び重量を例えば1/2〜1/10まで低減することができるという利点がある。
【0036】
図6は、本発明に係る検査装置の第4の実施の形態を概略的に示す図で、第1及び第3の実施の形態における1つのEB−CCDセンサに代えて、2つのEB−TDIセンサを設け、これらのEB−CCDセンサとTDI検出装置12とのうちのいずれか一つを選択することができるようにしたものである。すなわち、移動機構Mは性能が異なる2つのEB−CCDセンサ13
1、13
2と連結されている。例えば、EB−CCDセンサ13
1は画素サイズが14×14μmであり、EB−CCDセンサ13
2の画素サイズは7×7μmであり、これらのEB−CCDセンサは画素サイズの大小によって異なる電子像分解能を有する。つまり、小さい方の画素サイズ(7μm)で得られた画像は、大きい方の画素サイズ(14μm)に比べて2倍以上の分解能を達成して電子像を得ることが可能となる。なお、EB−CCDセンサは2つに限られるものではなく、必要に応じて、3つ以上のEB−CCDセンサを設けてもよい。
【0037】
EB−CCDセンサ13
1、EB−CCDセンサ13
2及びTDI検出装置12の3つの装置が同一の真空容器MC内に設置された検査装置の使用例は以下のとおりである。EB−CCDセンサ13
1の画素サイズを14×14μm、EB−CCDセンサ13
2の画素サイズを7×7μmとすると、EB−CCDセンサ13
1は電子ビームの光軸調整、画像調整、電子像取得条件の抽出等に用いられる。次いで、移動機構MにてEB−CCDセンサ13
1を光軸から離れる位置に移動させ、電子ビームが蛍光板15に入射する様にする。蛍光板15で電子から変換された光信号はFOP16を介してTDIセンサ17に入射する。こうしてTDIセンサ17の出力を用いてカメラ19は連続的に電子像を撮像する。これによって、例えば、LSI用ウェーハの欠陥検査や露光用マスクの検査等を行うことができる。EB-CCDセンサ13
1により抽出された電子光学系の設定条件を用いて又はこれを参考にして、TDI検出装置12での撮像がカメラ19において行われる。こうした撮像は欠陥検査と同時に(つまりオンラインで)又は撮像後に(つまりオフラインで)行うことができる。
【0038】
欠陥検査においては、欠陥の場所、種類及び大きさ等の情報を得ることができる。TDI検出装置12での撮像と欠陥検査の後に、移動機構Mを再作動させてEB−CCDセンサ13
2を光軸位置に移動させてEB−CCDセンサ13
2による撮像を行う。この場合、TDI検出装置12での撮像による欠陥検査の結果が既に取得されており、欠陥の場所がわかっているので、欠陥の詳細な評価を行うためにEB−CCDセンサ13
2にて撮像を行う。このとき、EB−CCDセンサ13
2による小画素サイズ且つ高分解能の撮像に加え、画像取得電子数を増加させて、つまり、撮像時間を長くして電子像を取得することができる。撮像時間を長くして1画素当たりの取得電子数(電子数/画素)を増すと、微小な欠陥を一層鮮明に高コントラスト(MTFが高い条件)で電子像を撮像してデータを取得することが可能となる。これは、電子数/画素が高くなると、輝度変動等によるノイズ成分が低減されて、S/N比やMTFが向上するためである。このように、画素サイズの小さいEB-CCDセンサ13
2を用いて、欠陥部の詳細な評価、例えば、欠陥種、サイズ等の詳細な評価を行うことができる。欠陥種の詳細な評価ができると、どの工程で発生した欠陥であるか、同種の欠陥がどこに何個発生したか等の情報を工程プロセスにフィードバックをしてプロセスを改良することができる。
【0039】
輝度変動は、入射電子数の変動、電子−光変換量の変動、センサのノイズ・レベルの変動、統計ノイズ等に起因する。また、MCP等の電子増幅器がある場合には、電子増幅による電子数の変動も要因となる。これらの変動ノイズは、電子数を増加することによって低減することが可能であり、最良のノイズ変動レベルでは出力輝度値の平方根値程度に低減できる(例えば、700階調値のとき、ノイズ変動値700^0.5)。各検出装置での電子数/画素の一例を示すと、EB-CCDセンサ13
1では20〜10000個/画素、EB−CCDセンサ13
2では200〜200000個/画素、TDI検出装置12では10〜1000個/画素である。
【0040】
図6に示すように複数の検出器を切り換えて使用する機能が実現されると、同一の検査装置によって検査と欠陥の詳細評価とが可能となる。従来は、検査後、専用の分析装置(レビューSEM等)にウェーハを移動して欠陥種やサイズの詳細評価を実行していた。同一の装置で詳細評価が可能となると、欠陥検査の詳細評価とプロセス改良の短縮化・効率化が可能となる。
【0041】
なお、
図3〜
図5について説明したような、1つのEB-CCDセンサ13が設けられた場合においても、TDI検出装置12を用いた撮像による欠陥検査後に、欠陥の評価を行うことが可能であるが、この場合には、電子取得数/画素を大きくしてノイズの変動成分を小さくし、欠陥の評価を行う。これによって欠陥種やサイズの評価が求まり、専用の欠陥分析装置を使用しなくともよくなり、使用するとしても欠陥分析装置を低減することができ、プロセス改良と工程管理の効率化が実現できる。
【0042】
これまで説明した実施の形態においては、CCD検出装置11とTDI検出装置12とを切り換える機構は機械的な移動を利用するものであった。これに対し、
図7は、本発明に係る検査装置の第5の実施の形態を概略的に示す図で、切り換え機構として電子偏向器を利用するものである。この実施の形態も1つのCCD検出装置11と1つのTDI検出装置12を選択的に切り換えて使用するが、図示のとおり、CCD検出装置11は光軸(電子ビームeの軌道)から外れて、光軸と所定の角度をなして設置され、また、電子ビームeの軌道をCCD検出装置11とTDI検出装置12との間で切り換えるための偏向器41が光軸上に設置される。偏向器41の偏向角は例えば3〜30°である。
【0043】
この実施の形態においては、EB−CCDセンサ13は配線42及びフィードスルー・フランジ43を介してカメラ44と電気的に接続される。そこで、CCD検出装置11を使用する場合は、偏向器41にて電子ビームeの軌道を偏向して電子ビームeをEB-CCDセンサ13に直角に入射させる。入射した電子ビームeはEB−CCDセンサ13によって電気信号に変換され、配線42を介してカメラ44へ伝達される。一方、TDI検出装置12を使用する場合は偏向器41を動作させない。そこで、電子ビームeは蛍光板15に、又はMCP14を介して蛍光板15に直接入射する。蛍光板15に入射した電子ビームは光信号に変換され、FOP16を介してTDIセンサ17に伝達され、そこで電気信号に変換されてカメラ19に伝達される。
【0044】
図8は、本発明に係る検査装置の第6の実施の形態を概略的に示す図で、CCD検出装置11及びTDI検出装置12は電子ビームを受け取る電子センサを備える。すなわち、CCD検出装置11はEB−CCDセンサ13を用い、TDI検出装置12も電子センサとしてEB−TDI(electron bombardment time delay integration)センサ51を用い、EB−TDIセンサ51に直接に電子ビームeを入射させる。この構成においては、CCD検出装置11は、電子ビームの光軸調整、画像撮像条件の調整と最適化を行うのに使用される。一方、TDI検出装置12のEB−TDIセンサ51を使用する場合には、既に説明したとおり、EB−CCDセンサ13を移動機構Mによって光軸から離れた位置
に移動させてから、CCD検出装置11を使用するときに求めた条件を使用して又はそれを参考にしてTDI検出装置12による撮像を行って、評価又は測定を行う。
【0045】
上記のとおり、この実施の形態においては、CCD検出装置11を使用するときに求めた電子光学条件を用いて又はそれを参考にして、EB−TDIセンサ51による半導体ウェーハの欠陥検査を行うことができる。TDI検出装置12による欠陥検査の後に、CCD検出装置11を使用して欠陥種や欠陥サイズ等の欠陥評価を行うことも可能である。
【0046】
EB−TDIセンサ51は電子ビームeを直接受け取って電子像を形成するために使用することができるよう画素を二次元的に配列した例えば矩形形状をしており、画素サイズは5〜20μmで、画素数は水平方向に1000〜8000個、スキャン方向に1〜8000個であり、ゲインは10〜5000であって、1kHz〜1MHzのラインレートで使用可能である。ゲインは入射電子のエネルギーにより決まる。例えば、入射する電子ビームのエネルギーが4kevのとき、ゲインを200〜900に設定でき、同一エネルギーのときは、センサ構造により、ゲインは調整可能である。このように、電子像を取得する装置でEB−TDIセンサを使用すると、連続で撮像することが可能となるばかりでなく、光を感知するTDIセンサに比べ、高いMTF(又はコントラスト)を得ることができ、高い分解能を達成できるという利点がある。
【0047】
実際には、この実施の形態においても、TDI検出装置12はパッケージの形に形成され、パッケージ自体がフィードスルーの役目を果たし、パッケージのピン18は大気側にてカメラ19に接続される。
図8に示すように構成すると、これまで説明した第1〜第5の実施の形態と比較して、FOP、ハーメチック用の光学ガラス、光学レンズ等による光変換損失、光伝達時の収差及び歪み、それによる画像分解能劣化、検出不良、高コスト、大型化等の欠点を解消することができる。
【0048】
図9は、EB−TDIセンサ51のセンサ面51′における画素P11〜Pijを示す平面図である。同図において、矢印T1はセンサ面51′の積算方向を示し、T2積算方向T1と垂直な方向、すなわち、ステージSの連続移動方向を示す。センサ51の画素P11〜Pijは、積算方向T1に500段(積算段数i=500)、ステージSの連続移動方向T2に4000個(j=4000)配置される。
【0049】
図10はEB−TDIセンサ51と二次電子ビームとの位置関係を概略的に示す図である。
図10において、ウェーハWから放出された二次電子ビームEBが或る時間だけウェーハWの同一個所から放出されるとき、二次電子ビームEBは、ステージSの連続移動に伴って、写像投影型光学系MO上の一連の場所a、b、c、d、e、・・・、iに対してaからiの順に順次入射する。写像投影型光学系MOへ入射された二次電子ビームEBは写像投影型光学系MO上の一連の場所a′、b′、c′、d′、e′、・・・、i′から順次放出される。このとき、EB−TDIセンサ51の積算方向T1へのチャージ積算移動をステージSの連続移動と同期させると、写像投影型光学系MOの場所a′、b′、c′、d′、e′、・・・、i′から放出される二次電子ビームEBはセンサ面51′の同一個所へ順次入射され、積算段数iだけチャージを積算することが可能である。このようにして、センサ面51′の各画素P11〜Pijはより多くの放射電子の信号を取得することができ、それにより、高いS/N比を実現し、且つ、二次元電子像を高速で得ることができる。写像投影型光学系MOは例えば300倍の倍率を有する。
【0050】
図11は、本発明に係る検査装置の第7の実施の形態を概略的に示す図で、図から理解されるように、
図7の第5の実施の形態における、光センサを備えるTDI検出装置12の代わりに、電子ビームを検出する電子センサを備えるTDI検出装置12を用いるようにしたものである。
【0051】
この実施の形態においても、CCD検出装置11のEB−CCDセンサ13は配線42及びフィードスルー・フランジ43を介してカメラ44と電気的に接続され、CCD検出装置11を使用する場合は、偏向器41にて電子ビームの軌道を偏向して電子ビームeをEB-CCDセンサ13に直角に入射させる。入射した電子ビームはEB−CCDセンサ13によって電気信号に変換され、配線42を介してカメラ44へ伝達される。一方、TDI検出装置12を使用する場合は、偏向器を動作させず、電子ビームeをEB−TDIセンサ51に直接入射させて電気信号に変換し、カメラ19に伝達する。
【0052】
図12は、本発明に係る検査装置の第8の実施の形態を概略的に示す図で、CCD検出装置11及びTDI検出装置12は共に光を検出する光センサを備え、電子ビームの偏向を利用して切り換えを行うよう構成されている。すなわち、CCD検出装置11は、EB−CCDセンサ13に代えて、光を検出するCCDセンサを備えている。CCD検出装置11は電子ビームを増幅するMCP61と、増幅された電子ビームを光に変換する蛍光板62と、蛍光板62から出てフィードスルー・フランジ43の透光部を透過した光を収束する光学レンズ63と、光学レンズ63で収束された光を電気信号に変換するCCDセンサ64と、該電気信号を用いて撮像を行うカメラ44とを備えている。
【0053】
なお、この実施の形態においては、TDI検出装置12とCCD検出装置11の2つの検出装置を一つの真空容器に設けているが、真空容器のサイズが許すならば、3つ以上の検出装置を設けてもよい。また、前述のとおり、MCP14、61は電子増幅を必要としないときには省略してもよい。
【0054】
電子ビームの軌道をTDI検出装置12とCCD検出装置11とに切り換えるために、この実施の形態は偏向器41を設ける。そこで、CCD検出装置11を使用する場合には、電子ビームeを偏向器41にて5〜30度程度偏向させて、MCP61を通して、又はMCP61を介することなく蛍光板62に電子を入射させる。ここで電子−光変換を行った後、光像情報は、フィールドスルー・フランジ43に設置されている光学レンズ63で収束されてCCDセンサ64に入射する。光学レンズ63とCCDセンサ64は大気中に設置されている。なお、光学レンズ63には、収差や焦点を調整するためのレンズ(図示せず)が設けられる。
【0055】
一方、TDI検出装置12を使用する場合は、偏向器41を動作させず、電子ビームeを直進させてMCP14に、又はMCP14を用いないときには蛍光板15に入射させる。蛍光板15により電子−光変換がなされ、該光情報がFOP16を介してTDIセンサ17に伝達される。
【0056】
図12に示す第8の実施の形態では、CCDセンサ64は大気側に設置され、TDIセンサ17は真空中に設置されている。これに対し、
図13に概略的に示す、本発明に係る検査装置の第9の実施の形態においては、TDIセンサ17とCCDセンサ64とが大気側に設置される。この実施の形態においては、CCD検出装置11の構成は
図12に示すものと同じであるので、ここでの説明は省略する。TDI検出装置12はMCP14、蛍光板15、光学レンズ71、TDIセンサ17及びカメラ19を備えている。偏光器41によって偏向されずに直進した電子ビームeはMCP14で増幅されて、又はMCP14を用いないときには直接に蛍光板15に入射して電子−光変換され、該光情報がハーメチック・フランジ72に設置された光学レンズ71によって収束されてTDIセンサ17に入射される。こうして、偏光器41によって電子ビームeの軌道を切り換えてCCD検出装置11′とTDI検出装置12とを選択的に使用することができる。
【0057】
図14は、本発明に係る検査装置の第10の実施の形態を概略的に示す図で、CCD検
出装置11及びTDI検出装置12は共に光を検出する光センサを備え、これらの光センサを一つの容器内に配置すると共に、検出装置の切り換えを並進移動又は回転移動によって行うよう構成したものである。すなわち、CCD検出装置11のCCDセンサ64とTDI検出装置12のTDIセンサ17とは、一つの真空容器MC内に設置されている。この実施の形態においては、TDI検出装置12は
図12に示すものと同じであるから、ここでの重ねての説明は省略する。CCD検出装置11はMCP61、蛍光板62、FOP81及びCCDセンサ64を備えており、TDI検出装置12を使用するときにはCCD検出装置11は移動機構Mによって電子ビームeの光軸から離れるように(図においては右方向に)移動される。いずれの検出装置においても、その使用時には、電子ビームeをMCP14、61で増幅して、又はMCP14、61を用いることなく直接に蛍光板15、62に入射させて電子−光変換を行い、該光情報をFOP16、81を介してセンサ17、64に伝達して電気信号に変換し、カメラで撮像する。
【0058】
図15は、本発明に係る検査装置の第11の実施の形態を概略的に示す図で、切り換え機構として移動機構Mと偏向器41とを併用することによって5つの検出装置のうちの一つを選択することができるようにしたものである。
図15において、移動機構Mによって矢印の方向に並進移動する筒状のシールド・ブロック91に、第1の検出装置のEB−CCDセンサ92、第2の検出装置のEB−CCDセンサ93、第3の検出装置のEB−CCDセンサ94が取り付けられる。シールド・ブロック91の適所には、電子ビームeを通過させるシールド孔95が設けられ、シールド孔95を通過した電子ビームeが直進する軌道上に第4の検出装置のEB−TDIセンサ51が設けられる。さらに、偏向器41で軌道方向を偏向され且つシールド孔95を通過した電子ビームを受ける位置に第5の検出装置であるTDI検出装置12が設けられる。なお、シールド・ブロック91として、例えば直径1〜100mmの筒状構造を用いることができ、その材質はチタン、燐青銅、アルミ等の金属である。
【0059】
そこで、第1〜第3の検出装置のEB−CCDセンサ92〜94のいずれかで撮像するときには、偏向器41を作動させないままで移動機構Mによってシールド・ブロック91を移動させ、いずれかのEB−TDIセンサの中心を電子ビームeの軌道位置まで移動させればよい。第4の検出装置のEB−TDIセンサに電子ビームを入射させるときには、偏向器41を作動させず且つ移動機構Mによってシールド・ブロック91を移動させてシールド孔95を電子ビームが通過できる位置まで移動させる。また、第5の検出装置であるTDI検出装置12で撮像するときには、偏向器41を作動させ且つ移動機構Mによってシールド・ブロック91を移動させてシールド孔95を電子ビームが通過できる位置まで移動させればよい。
【0060】
この実施の形態において使用されるEB−CCDセンサ92〜94、TDIセンサ17及びEB−TDIセンサ51は、それぞれの使用目的に応じて、素子サイズ、駆動周波数及びセンサ・サイズ等の性能が異なっており、その一例を挙げると次のとおりである。
【0061】
第1のEB−CCDセンサ92:
画素サイズ14μm、フレーム・レート100Hz、センサ・サイズ3500×3500μm
第2のEB−CCDセンサ93:
画素サイズ7μm、フレーム・レート33Hz、センサ・サイズ3500×3500μm
第3のEB−CCDセンサ94:
画素サイズ3μm、フレーム・レート10Hz、センサ・サイズ3000×3000μm
EB−TDIセンサ51:
画素サイズ14μm、スキャン・レート100〜1000kHz対応、センサ・サイズ56×28mm
TDIセンサ17:
画素サイズ14μm、スキャン・レート1〜100kHz対応、センサ・サイズ56×28mm。
【0062】
上記のような複数のセンサの使用例を説明すると、EB−CCDセンサ92は電子ビームの電子光学系の調整、つまり、レンズ条件、アライナ条件、倍率、スティグ条件の最適化に用いられる。画像処理によりレンズ電圧、アライナ電圧、スティグ電圧等が制御されるが、このような制御や画像処理は自動制御機能が組み込まれたパーソナル・コンピュータを用いて全自動化されている。フレーム・レートが高いEB−CCDセンサ92を用いて高速の画像取込を行い、自動条件調整を行う。
【0063】
EB−CCDセンサ93は、通常、良く用いられる33Hzのフレーム・レートで動作するが、これは人間の目により充分判断できる速度である。そこで、その画像を見ながら、調整の確認作業や試料の観察、例えば,欠陥検査後の欠陥像の観察・評価等を行う。観察中に、微細な欠陥が見つかり、更に高分解能で観察・評価・欠陥分類を行いたいときには、EB−CCDセンサ94を用いる。EB−CCDセンサ94は画素が小さく高分解能であるが、フレーム・レートが低いので撮像に時間が掛かる。したがって、観察すべき部位を選択して撮像することが必要である。
【0064】
TDI検出器12とEB−TDIセンサの使い分けは、スキャン・レート(ライン・レート)が異なることで決まる。通常、TDIセンサのスキャン・レートは、それに対応する周波数が回路の周波数対応領域で限定される。また、低周波数と高周波数の両方を満足する駆動回路を設計することは困難である。そこで、高い周波数で高速に検査するためにEB−TDIセンサ51を使用し、低周波数の1〜100kHzで欠陥検査を行うときにはTDI検出装置12を用いる。しかし、高周波数と低周波数とにTDI検出装置12とEB−TDIセンサ51とのどちらを用いても支障はない。ただし、電子ビームが直接にセンサに入力するので、センサ温度はEB−TDIセンサ51の方が高くなる。また、EB−TDIセンサ51は熱的ノイズが比較的多くなるので、画像取得時間の小さい高周波数対応に適している。
【0065】
なお、
図15に示す第11の実施の形態においては、必要に応じて、任意の数の検出装置を一つの真空容器に設けることが可能である。例えば、シールド・ブロック91には、その長さと必要性に応じて1個以上のEB−CCDセンサを取り付けることが可能であり、また、EB−TDIセンサ51を有する検出装置とTDI検出装置12とのうちのいずれかを省略してもよい。
【0066】
図16は、本発明に係る検査装置の第12の実施の形態を概略的に示す図である。これまで説明した実施の形態のうち、第8と第9の実施の形態を除く全部の実施の形態においては、一つの真空容器MC内に複数の検出装置又はセンサを設置するものであった。この第12の実施の形態においては、一つの真空容器MCに真空空間を2つ設け、それぞれの真空空間に検出装置を配置するようにしたものである。すなわち、真空容器MCの一方の空間にTDI検出装置12のEB−TDIセンサ51を設置し、真空容器MCに連結された他の真空空間にCCD検出装置11のEB−CCDセンサが設置される。これを実現するため、
図16においては、真空容器MCの適宜の個所から突出するようにポート101を設け、その一端をゲートバルブ102を介して、他の真空空間を提供する真空容器MC′の一端に接続する。真空容器MC′の他端はフィードスルー・フランジFF′によって密封されている。他の真空空間を提供する真空容器MC′内にはEB−CCDセンサ13が設置され、EB−CCDセンサ13はフィードスルー・フランジFF′を通る配線42
を介して、大気側のカメラ44と接続される。
【0067】
図16においては、電子ビームを真空容器MC′に設置されているEB−CCDセンサ13に入射させるときは、偏向器41によって電子ビームeの進行方向を切り換えるとともにゲートバルブ102を開く。EB−CCDセンサ13からの出力信号は配線42を介してカメラ44に伝達される。
【0068】
このように、EB−CCDセンサ13を、EB−TDIセンサ51が配置された真空空間とは別の真空空間に設けると、EB−CCDセンサ13を交換するとき、ゲートバルブ102を閉じておけば、一方の真空空間が大気に開放されることがないという利点がある。ただし、センサ面への結像条件(距離や倍率等)が異なってくるので、偏向器41の前段にあるレンズ(図示せず)に印加する電圧を制御することにより、電子ビームの適切な結像条件を達成する必要がある。
【0069】
以上説明したように、第1〜第12の実施の形態においては、EB-CCDセンサ、TDIセンサ、EB-TDIセンサ及びCCDセンサが真空容器内に設置されているため、高コントラスト、高分解能で画像取得ができ、且つ、従来手法と比較すると光伝達損失が無いので高スループット、低コスト化が実現される。
【0070】
画素数に関しては、第1〜第12の実施の形態に用いられているTDIセンサ、CCDセンサ、EB−TDIセンサ、EB−CCDセンサの画素数は任意に選択してよい。通常用いられる画素数を以下に示す。
【0071】
CCDセンサ:
640(横)×480(縦)、1000(横)×1000(縦)、2000(横)×2000(縦)
EB−CCDセンサ:
640(横)×480(縦)、1000(横)×1000(縦)、2000(横)×2000(縦)
TDIセンサ:
1000(横)×100(縦)、2000(横)×500(縦)、4000(横)×1000(縦)
、4000(横)×2000(縦)
EB-TDIセンサ:
1000(横)×100(縦)、2000(横)×500(縦)、4000(横)×1000(縦)
、4000(横)×2000(縦)。
【0072】
上記画素数は一例にすぎず、上記の画素数の中間の値や更に多い画素数を用いることも可能である。TDIセンサとEB−TDIセンサの場合、縦方向に積算する(スキャン)のが通常であるが、入力信号が充分多い場合には縦方向に1画素であってもよい(例えば2000×1)。また、TDIセンサとEB−TDIセンサの場合、ライン・レート(積算方向の移動速度)は1kHz〜1MHzであるが、通常は10〜500kHzがよく用いられる。CCDセンサとEB-CCDセンサのフレーム・レートは1〜1000Hzであるが、通常は1〜100Hzが用いられる。これらの周波数は電子光学系の調整やレビュー観察等の用途により、適切な値に選択される。
【0073】
真空容器MCの中に設置されるセンサの画素サイズが大きい場合、センサの駆動・信号、制御信号及び出力信号を伝送するピンや共通のピン等のピンの数が多くなる。例えば、ピン数が100〜500程度になる場合もある。このようにピン数が多くなると、フィードスルー・フランジとの接続に通常のコンタクト・ソケットを用いることが困難となり、また、通常のコンタクト・ソケットでは挿入圧力が高く、100g/本を超えてしまう。
センサのパッケージを固定するとき、挿入圧力が1kg/cm
2を超えると、パッケージが損傷する可能性がある。例えば、4cm
2程度の固定用抑え部材であれば、4kg/4cm
2以下の抑え圧力にする必要がある。ピン数が100で100g/本の挿入圧力を要するとすると、抑え圧力は10kgとなり、パッケージの破損が生じる。そこで、パッケージとフィードスルー・フランジのピンを接続する接続ソケットに、ばね等の弾性体を有する接続ソケットを用いることが重要である。この弾性体を組み込んだ接続ソケットを用いると、5〜30g/本の挿入圧力で使用でき、パッケージが損傷することなく固定でき、駆動信号や出力信号も問題なく伝達できる。また、センサを真空中で使用する場合、ガス放出が問題となる。そこで、接続用ソケットにガス抜き用の穴を形成し且つその内外に金メッキが施されているものを用いるのがよい。
【0074】
なお、センサは通常はセラミック・パッケージに設置され、セラミック・パッケージの配線パッドにワイヤーボンド等で所要の配線を接続する。セラミック・パッケージは内部に配線が組み込まれており、接続用のピンが裏面(センサ面とは逆の面)に設けられている。この接続ピンはフィードスルー・フランジのピンに接続部品により接続される。フィードスルー・フランジの外側(大気側)のピンはカメラに接続される。
【0075】
ここで、これまで説明した実施の形態において使用される移動機構Mについて説明する。
図17は、EB−CCDセンサ13に並進移動を行わせるための移動機構を概略的に示している。この移動機構Mは、真空容器MCの適所に形成された開口111の中を通る筒状または空洞の角柱部材であるシールド・ブロック112を備え、シールド・ブロック112の中にEB−CCDセンサ13と回路基板113が設けられる。シールド・ブロック112には、EB−CCDセンサ13のサイズと同等又は0.5〜1mm程度のシールド穴114が形成されており、そこを通して電子ビームがEB−CCDセンサ13に入射する。シールド穴114はノイズカット・アパーチャの役目を行い、不要な電子を除去する。シールド・ブロック112は、絶縁部分に電子ビームが当たってチャージアップを生じ、正常な動作が妨害されるのを防ぐために設けられる。
【0076】
シールド・ブロック112の一端は、開口111の周囲を囲むように設けられたベローズ115に固定されたフィードスルー・フランジ116に連結される。そこで、回路基板113から出る配線42はフィードスルー・フランジ116のフィードスルー部117を介してカメラ118に接続される。配線42はシールド・ブロック112の中空部を通るよう設置され、電子ビームが当たるのを防止するように考慮されている。これは、電子ビームが当たると配線42にチャージアップが生じ、電子ビームの軌道を変化させる等の悪影響が生じるからである。
【0077】
フィードスルー・フランジ116の一端はボールスクリュー機構119と連結され、ボールスクリュー機構119の端部には回転モータ120又は回転ハンドルが接続される。更に、フィードスルー・フランジ116の両端部は真空容器MCから突設されたガイドレール121と結合されている。したがって、回転モータ120を作動させ又はハンドルを回すと、ボールスクリュー機構119が真空容器MCの壁面に対して垂直な方向において並進し、それに伴って、フィードスルー・フランジ116がガイドレール121に沿って移動するので、シールド・ブロック112及びその中のEB−CCDセンサ13と回路基板113が並進移動する。この結果、EB−CCDセンサ13に電子ビームを入射させる場合と、EB−CCDセンサ13を移動させてTDI検出装置12に電子ビームを入射させる場合とを選択的に実現することができる。
【0078】
次に、
図18は、回転モータの代わりにエア・アクチュエータ機構を用いて並進移動を行わせる移動機構Mの構成を概略的に示す。
図17において説明したように、真空容器MCの適所に形成された開口111の中を通るシールド・ブロック112の中にEB−CC
Dセンサ13と回路基板113が設けられる。シールド・ブロック112には、EB−CCDセンサ13に電子ビームを入射させるためのシールド穴114が形成される。また、シールド・ブロック112の一端は、開口111の周囲を囲むように設けられたベローズ115に固定されたフィードスルー・フランジ116に連結される。回路基板113から出る配線42はフィードスルー・フランジ116のフィードスルー部117を介してカメラ118に接続される。更に、EB−CCDセンサ13を移動させてTDI検出装置12に電子ビームを入射させるためのシールド穴114′が、シールド・ブロック112の適所に形成されている。
【0079】
一方、開口111に対向する壁面にも開口131が形成され、開口131を囲むように、中空の円筒部材132が突設され、その一端に、エア・アクチュエータ機構133が取り付けられたフランジ134が固定される。エア・アクチュエータ機構133はシールド・ブロック112の端部に連結されたピストン135を備え、ピストン135はオーリング又はオムニシール136により真空シールされた状態でフランジ134に対して移動可能にされている。また、エア・アクチュエータ機構133は、ピストン135を図面の左又は右の方向に移動させるために気密室137に圧縮空気を導入し又は排気するための孔138を備える。
【0080】
したがって、エア・アクチュエータ機構133が作動して圧縮空気を孔138を通して気密室に導入・排気してピストン135を右方向へ移動させると同時にシールド・ブロック112がガイドレール121に沿って同方向へ移動し、電子ビームをTDI検出装置12に入射させる位置にシールド穴114′が移動する。逆に、EB−CCDセンサ13に電子ビームを入射させるには、ピストン135を左に移動させ、シールド・ブロック112のシールド穴114を電子ビームの光軸位置に置けばよい。エア・アクチュエータ機構133は空気圧力0.1〜0.5MPaで動作可能であり、例えば電磁バルブにより圧縮空気の導入・排気方向を切り替えてピストン135に圧力差を発生させ、アクチュエータ動作が行われる。これにより、EB−CCDセンサ13に電子ビームを入射させる場合と、EB−CCDセンサ13を移動させてTDI検出装置12に電子ビームを入射させる場合とを選択的に実現することができる。
【0081】
更に、
図19は、回転移動を利用した移動機構である。真空容器MCの壁面の適所に開口111が形成され、それを囲むように円筒部材141が突設される。円筒部材141に対して回転できるように筒状シャフト142がベアリング143によって支持され、また、筒状シャフト142はシール部材144によって円筒部材141を真空シールする。オムニシールはテフロン製のシール部材であり、動摩擦係数が小さいので、回転や並進等の移動を伴ったシール部材144に有効である。また、ベアリング143を用いることにより筒状シャフト142の回転を安定させることができるとともに回転軸の変動を小さく抑えることができる。
【0082】
筒状シャフト142の中にEB−CCDセンサ13、回路基板113、配線42が設置されている。筒状シャフト142の端部はフランジ状であり、その外周にギア145が取り付けられている。該フランジに、Oーリング又はICF真空シール構造146を介してフィードスルー・フランジ116が取り付けられ、フィードスルー・フランジ116にカメラ118が接続される。なお、ICF真空シール構造の場合は、ICF用のシール部材が用いられて真空シールされる。筒状シャフト142内の配線42はフィードスルー・フランジ116の接続用の複数のピンにより中継されてカメラ118に接続される。
【0083】
筒状シャフト142の端部のフランジに設けられたギア145に対応してギア147が設けられ、ギア147はロータリー・アクチュエータ148によって駆動される。そこで、ロータリー・アクチュエータ148の回転軸が回転すると、ギア147が回転して、ギ
ア145を回転させる。ギア145の回転角度はロータリー・アクチュエータ148の角度調整により可能であり、90度や180度等の所望の規定の角度のアクチュエータを使用することができる。例えば、ギア比を1:1とすると、ロータリー・アクチュエータ148の回転角度は90°でよい。このように、90回転させることにより、EB-CCDセンサ13とTDI検出装置12のいずれかに電子ビームを選択的に入射させることができる。
【0084】
ここまでは、検出装置を中心に、その構成や選択的使用のための機構を説明してきた。以下、こうした検出装置を備えた検査装置の全体的な構成を、電子光学系を含めて、
図20〜
図23を用いて説明する。これらの図において、検出ユニットDUには第1〜第12の実施の形態のいずれか一つが設けられ、検出ユニットDUの前段に電子光学系が設けられる。検出ユニットDUは二次元の像を形成する機能を有することが好ましい。このためには、二次元の電子の像を表す電子ビームを受け取って二次元像を形成する検出装置を用いる必要がある。既に説明したとおり、検出装置には、電子が直接入射するEB−CCDセンサやEB−TDIセンサを用いるものと、入射した電子が光に変換されてCCDセンサやTDIセンサで検出されるものとがある。
【0085】
まず、
図20に示す検査装置は、電子発生源と写像光学系と複数の検出装置を含む検出ユニットとを合体させた例である。電子銃151から放出された一次電子ビームはレンズ152、アパーチャ153、154、レンズ155をこの順に通過してE×Bフィルタ156に入射する。E×Bフィルタ156で進行方向を偏向された一次電子ビームは、レンズ157、アパーチャ158、レンズ159、160を通過して、XYZθステージSの上に載置されたウェーハWの表面に照射される。ウェーハWは例えば直径300mmのSiウェーハであり、その表面に半導体回路製造工程途中のパターン構造が形成されている。ステージSはX、Y、Zの直交する3方向への移動とθ方向即ち回転移動とが可能であり、ウェーハWは静電チャックによってステージSに固定される。
【0086】
ウェーハWの表面から放出される電子ビームはウェーハ表面に形成されたパターンの形状を反映した二次元の電子像を表す。ウェーハWから放出された電子ビームはレンズ160、159、アパーチャ158、レンズ157通過し、E×Bフィルタ156で曲げられることなく直進してレンズ161、アパーチャ162、レンズ163、アライナ164を通過し、検出ユニットDUに導入される。こうして検出ユニットDUに導入された電子ビームは、第1〜第12の実施の形態において説明した複数の検出装置のうち、選択された検出装置に入射する。なお、アパーチャ158、162はノイズカット動作を行う。
【0087】
なお、それぞれのレンズに印加される電圧は、放出された電子が規定の倍率で結像する条件に設定されている。また、焦点調整、歪み調整、アライナ調整、アパーチャ位置調整及びE×B条件調整は、光軸調整として行われる。レンズ157、159はダブレットレンズであって両テレセントリックであり、低収差且つ低歪みを実現する。このレンズ系により、5〜1000倍の拡大率を実現することができる。歪みの補正はスティグ(図示せず)で行い、基準ウェーハを用いて定期的に調整条件を算出しておく。アライナ及びアパーチャ位置を調整するには、使用する規定倍率に対して予め求めておいた値が使用され、E×B調整は、電子源151の電圧、つまり、一次電子ビームのエネルギーに対応して予め求めておいた値を用いて行われる。
【0088】
ウェーハが酸化膜や窒化膜のパターンを有する場合には、光学系の歪の補正のみでは不十分なので、取得した画像より評価点をサンプリングして位置ズレを評価し、歪み補正を行う。例えば、水平度、垂直度、座標位置等に関して、CADデータやレビューSEM像と比較して評価を行ってもよい。その後、ダイ・ツー・ダイ、セル・ツー・セル等の欠陥検査を行うことができる。ダイ・ツー・ダイの欠陥検査では、ダイの中に検査領域を設定
し、同じ検査領域について他のダイの取得像と比較して欠陥の有無や種類を判定する。
【0089】
なお、ウェーハWから放出される電子ビームは、二次電子、反射電子、後方散乱電子、オージェ電子のいずれかであってよい。これらの電子はそれぞれエネルギーが異なるため、取得したい電子のエネルギでの結像条件を選んで電子像を取得する。シミュレーション等により、結像のための電圧条件を予め算出しておくことができる。
【0090】
検出ユニットDUにおけるウェーハWの像の検出は、まず、ウェーハWの所定位置を検出できるようステージSを移動させ、次いで、その位置における倍率に対応した視野、例えば200×200μmの領域の像を例えば倍率300倍にて検出することにより行われる。この動作を高速で繰り返すことで、ウェーハWの複数の場所を検出する。画像比較を行う場合も同様で、ウェーハW上の比較したい領域が検出ユニットDUによって検出できるようステージSを移動させて画像を取得する動作を繰り返し、取得されたデータどおしを比較する。こうした検査工程を通じて、ゴミ、導通不良、パターン不良、パターン欠落等の欠陥の有無や、状態判定、種類分別を行うことができる。
【0091】
図20に示す検査装置の具体的な動作条件の一例は次のとおりである:
真空容器MC内の動作時の圧力 1×10−6〜1×10−4Pa、
ステージ移動速度 0.1〜100mm/s
ウェーハへの照射電流密度 1×10−5〜1×10−1A/cm
2、
照射電子ビームのサイズ 500×300〜10×5μmの楕円形、
倍率 10〜2000、
検出ユニットへの入射電子量 10pA〜1mA、
検出ユニットへの入射エネルギー 1〜8keV。
【0092】
照射電流密度は、検出ユニットDUの出力をフィードバックすることによって制御される。CCD検出装置及びTDI検出装置の出力が飽和値の50〜80%になる様に制御すると、これら検出装置の入出力関係が線形性を維持できる範囲(すなわち、リニアリティのズレが3%以下の範囲)で使用できるので、精度のよい画像評価が行える。特に、バックグランド・ノイズを差し引くシェーディング処理等を行うと、線形性の悪いところでは処理効果が低く、逆に擬似欠陥を発生することがある。なお、検出ユニットDUの出力ではなく、画像処理システムによる画像評価値等を用いて照射電流密度を制御することもできる。画像のコントラスト、最大輝度、最小輝度、平均輝度等により照射電流密度を制御すると、安定した画像取得に効果的である。また、比較する画像の輝度やコントラストを規格化して、つまり同一条件にして、安定した画像比較を行うことも可能である。
【0093】
図21は、
図20において説明した検査装置における電子ビームの代わりに、UV光、UVレーザー光及びX線のうちのいずれか一つを用いるよう構成した例を示している。具体的には、電子銃151、レンズ152、155及びアパーチャ153、154の代わりに、例えば、UV光でウェーハWを照射するためのUV光発生源171が設けられる。これにより、UV光が一次ビームとしてウェーハWの表面に入射し、そこから放出される光電子を図示した電子光学系のレンズやアパーチャ等により拡大して検出ユニットDUに入射させ、ウェーハW上のパターンの画像を検出する。
【0094】
UV光発生源171からのUV光は、実際には、中空ファイバによってウェーハWまで伝達され、ウェーハWの中心付近の視野領域、例えば直径300μmの領域を照射する。なお、X線やUVレーザー光を一次ビームとして用いた場合も同様であって、照射されたウェーハWから放出された光電子を利用して、ウェーハW上のパターンの電子像を得ることができる。
【0095】
一方、
図22は、1次ビームとして、電子銃151からの一次電子ビームとUVレーザー発生源181からのUVレーザー光との2種類のビームを併用してウェーハWの表面を照射する構成とした例を示している。この例においては、既に
図20及び
図21について説明したところから理解されるように、電子銃151から放出された一次電子ビームは、E×Bフィルタ156により電子光学系の光軸に沿って進行するように偏向されてウェーハWを照射する。ウェーハWから放出された電子ビームは電子光学系を直進する。これと併用されるUVレーザー光も一次ビームとしてウェーハWの表面に入射し、そこから放出される光電子を図示した電子光学系のレンズやアパーチャ等により拡大して検出ユニットDUに入射させ、ウェーハW上のパターンの画像を検出する。UVレーザー光としては、YAGの4倍波又はエキシマレーザー光が用いられ、中空ファイバによってウェーハWの表面に導入される。
【0096】
これまで
図20〜
図22を用いて説明した検査装置において、レンズ160は制御電極として動作する。ウェーハWが表面に酸化膜や窒化膜を多く含む構造の場合、電子ビームを照射すると、表面の酸化膜等でチャージアップが起こり易い。このため、ウェーハWの表面からの放出される電子ビームの軌道が曲がり、又は、ウェーハWと例えばレンズ159等の電極との間に放電を生じる場合がある。この影響は特に
図20〜
図22に示す写像光学系において大きい。これは、写像光学系の場合、照射電子ビームが矩形や楕円形状をしているので、SEM方式と比較して広い領域に一度に電子ビームが当たるためである。SEM方式では、収束された電子ビームがスキャンされるため、チャージアップの緩和が起こり、比較的少量のチャージアップで済む。しかし、上述した理由により、写像光学系では、チャージアップが発生し易く、その影響が大きい。
【0097】
ウェーハWとレンズ159との間で放電が起こるのは、レンズ160の電位は低く且つ自由に変化させることができるのに対し、レンズ159には15〜30kVという高く且つ変動できない電圧が印加されているからである。この場合、ウェーハWの表面のレンズ電界分布はレンズ159に印加される電圧とウェーハWに印加される電圧(例えば−3kV)とで決まり、例えば1〜3kV/mmである。そこで、レンズ160は、該レンズに印加される電圧を調整することにより、ウェーハWの表面での電界分布を調整するために用いられる。レンズ160の電圧調整により、ウェーハWの表面での電界分布を0.1〜1kV/mmに調整することができ、放電を抑制することができる。これは、正の電界分布を弱めることにより、ウェーハWの表面から放出される電子の初期加速度を緩めて、つまり、放出電界強度を弱め、放電に寄与する電子の放出を弱くすることができるからである。
【0098】
実際、放電は角部や電界強度の強い個所で電子が放出され易い状態が作られているために生じると考えられる。例えば、絶縁膜が正にチャージアップし、その絶縁膜の中に、下層に導通した微細なプラグ構造がある場合を考えると、プラブは基板電位(例えば−3kV)であり、その周りが正にチャージアップした絶縁物である。プラグの表面の直径が100nmであり、チャージアップが+10Vであれば、プラグの平均電界強度は100kV/mmとなる。さらに、プラグと絶縁物との境界部の微細な隙間や凹凸形状における電界強度が上がって、例えば10
8〜10
9V/mmを超えると、電子の放出が起こり、放電が発生し易くなる。
【0099】
次に、
図23は透過型の検査装置の例を示している。
図20〜
図22に示す検査装置はウェーハに電子ビームやUV光、UVレーザー光を照射し、ウェーハから放出される電子を用いるものであるが、
図23に示す検査装置は、試料を透過して得られた電子を利用して試料の検査を行う。すなわち、電子銃151より放出された電子ビームは、レンズ191とアパーチャ192を通過して、ズームレンズ193、194に入射する電子の角度と電子量が制御される。これらのズームレンズによりアパーチャ195に対する入射角度が
調整される。アパーチャ195で電子量が調整された電子ビームはレンズ196によって光軸に平行にされて試料SLを照射する。なお、ズームレンズ193、194に印加する電圧を調整することにより、ズーム倍率が例えば1〜200倍に変更され、試料SLを照射する電子ビームのサイズが例えば直径5〜1000μmまで制御される。
【0100】
試料SLを通過もしくは透過した電子ビームは、レンズ197、198、200、201、203とアパーチャ199、202を備える2次光学系によって拡大されて検出ユニットDUに導入される。レンズ197は試料SLとの電界強度を調整する電極である。レンズ198、200はダブレットレンズであり、両テレセントリック条件を満足するので低収差の電子像を実現する。レンズ201、203は電子像を拡大するためのレンズである。レンズ203は電子ビームが検出ユニットDUのセンサ、蛍光板又はMCPの表面に結像するように調整される。アパーチャ199、202は収差と検出ユニットDUに導入する電子の量とを制御する。
【0101】
試料SLは、半導体ウェーハや半導体素子のほか、露光用のマスク、ステンシル・マスク、微細構造を有するマイクロマシン、MEMS部品等の任意のものであり得る。試料SLの材質やパターン形状等の試料毎の特性に応じて、試料SLを照射する電子ビームのエネルギーを所要の値にする必要がある。電子ビームに試料SLを透過させるには、高いエネルギーが必要となり、50〜1000keVにもなる場合も有る。試料SLに孔やスリット等の開口や隙間が存在する構造である場合、その開口や隙間を通過した電子ビームを撮像するのであれば、電子銃151は10〜10000eVの電子を発生させることが必要である。例えば、電子銃151から5keVのエネルギーの電子ビームを発生して試料SLを照射したとする。このとき、試料の電位は−4kVとすると、電子ビームは1kevで試料SLに入射する。試料SLを通過した電子ビームは試料SL上のパターンを反映しており、検出ユニットDUに導入される。
【0102】
以上説明した検査装置において、CCDセンサ又はEB−CCDセンサを用いる際、ステップ・アンド・リピートの機能を利用して試料の観察、欠陥検査、レビュー観察、測定、評価を行うことができる。以下、
図24を用いて、ステップ・アンド・リピートの機能について説明する。
図24の(A)はウェーハWと複数のダイ211の配置関係を概略的に示している。図に示すように、ノッチ212が右にある。ダイ211は複数のパターンを含んでいて、セルパターン・エリアとランダムパターン・エリアとがあり、したがって複数の種類のセルとランダムパターン・エリアとが存在する。ダイのサイズは、プロセスのウェーハによって異なるが、通常、1×1mm〜30×30mm程度である。
【0103】
図24の(B)及び(C)に示すように、こうしたパターンの中で、検査、測定又は評価を行いたいパターン部分をケアエリア213と呼び、このケアエリア213の中で、特に注目したい部分を特定部位214と呼ぶことにする。特定部位の中には、例えば、パターン・サイズが小さくてプロセスが困難であり、プロセス期間に欠陥が出やすい部位、欠陥検査を行った後の欠陥がある部位、積層のプロセスにおいて下層との位置ズレを評価する部位、又は、電子光学系の歪や収差を評価するターン部位等が含まれる。上記のような特定部位に対して、CCDセンサ又はEB−CCDセンサを用いて、ステップ・アンド・リピートを行い、必要な画像比較、ズレレ評価、詳細観察等を行う。
【0104】
セル部のケアエリアの欠陥検査では、セル部における繰り返しパターン部のパターン同士を相互に比較する。例えば、倍率を50〜1000程度として、試料面上の5×5〜500×500μmの視野を、撮像時間10〜100分で観察することができる。一つの静止像(CCD像又はEB−CCD像)を取得すると、規定距離だけ観察領域を移動させ、同じパターンを同様に取得する。繰り返しパターンであれば、連続する次のパターンの撮像を行う。このようにして、同じパターンの撮像を複数、通常は3枚以上取得し、得られた
象の比較を行う。比較の結果、1つだけ異なったパターン又はコントラスト等があると、その部分を欠陥とみなす。このような検査を撮像と同時に(オンラインで)、又は検査像の撮像後に(オフラインで)行い、欠陥部位の座標と種類の分類を行う。
【0105】
ランダム・パターンの欠陥検査の場合、各ダイのケアエリアのランダム・パターン同士の比較を行う。その場合には、1つのダイのランダム・パターンのケアエリアを撮像する。なお、これには、一度に複数の静止像を取得する手法と、一枚ずつ取得する手法とのいずれを用いても良い。次に、他のダイのケアエリアのランダム・パターンに移動して撮像を行う。このようにして3枚以上の静止像を取得し、対応するパターンどおしを比較し、1枚だけに存在する異常を見出すことで、パターン欠陥、ゴミ、コントラスト異常等を検知する。この検査により欠陥の座標や欠陥の種類の分類をオンラインまたはオフラインにて行うことができる。これは、ステップ・アンド・リピートによるダイ・ツー・ダイ検査と呼ばれる。
【0106】
他に、プロセスにおける下層との位置ズレを評価するのに用いる場合もある。この場合は、下層とその上に積層された上層とにアライメント・マークが付される。これらアライメント・マークの重なり度合の測定、例えば、重心位置のズレ、代表長さの中心部相互のズレ等の測定によって位置ズレを評価する。この評価は、例えば、下層は配線構造でCMP後に、上層はレジスト形成後に、又は、レジスト被覆及び露光後に行われる。
【0107】
アライメント・マークの例を
図25に示す。(A)は、上層と下層とに設けられた十字型のアライメント・マークで、長さ15μmの長方形を十字型に重ね合わした形状をしている。これらのアライメント・マークの重なり度合で、下層と上層の重心位置や縦横の長さから算出したパターン中心位置等の代表位置のズレ量を求め、上下層の比較を行う。(B)は、下層に付された20μm四方の正方形のアライメント・マーク222と、上層に付された7μm四方の正方形のアライメント・マーク223とが重なり合った状態を示している。この場合も、同様に重心位置のズレやダイ行長さからマークの中心位置を算出して位置ズレの評価を行う。なお、アライメント・マークのサイズは
図25に示す値に限られるものではなく、もっと小さなサイズ、例えば、トータルサイズが1×1μmのものでもよい。
【0108】
このようなアライメント・マークが1枚のウェーハに10〜50個程度設けられる。それぞれのアライメント・マークについてズレ量を算出し、ズレ量に相対的な方向性が存在すれば(例えば、左方向に全体的にズレが大きいときは)、その補正をするように露光位置の調整を行う。このように、ステップ・アンド・リピートの機能を用いると、CCDセンサ又はEB−CCDセンサの方がTDI検出装置に比べて分解能及びMTFが高く、画素当たりの取得電子数が多い状況で画像取得できる場合に、CCDセンサ及びEB−CCDセンサの特徴を生かして、高精度の欠陥検査、レビュー検査、位置ズレ検査等を行うことが可能である。
【0109】
ここで、以上説明してきた検査装置を用いて行う半導体デバイス製造方法の一例について、
図26及び
図27のフロー図により説明する。半導体デバイス製造方法は、
図26に示すように、主工程として、ウェーハを製造するウェーハ製造工程231又はウェーハを準備するウェーハ準備工程、露光に使用するマスクやレチクルを製作するマスク製造工程236又はマスクを準備するマスク準備工程、ウェーハに所要の加工を行うウェーハ・プロセッシング工程232、ウェーハ上に形成されたチップを1個ずつ切り出して動作可能にならしめるチップ組立工程233、チップ組立工程で製作されたチップを検査するチップ検査工程234、及び、検査に合格したチップから製品(半導体デバイス)を得る工程235を含む。なお、ウェーハ製造工程231、ウェーハ・プロセッシング工程232及びリソグラフィ工程232
3は周知のものであるので、ここでの説明は省略する。これら
の主工程は、それぞれ幾つかのサブ工程を含む。
【0110】
半導体デバイスの性能に決定的な影響を及ぼす主工程はウェーハ・プロセッシング工程232である。この工程では、設計された回路パターンをウェーハ上に順次積層し、メモリやMPUとして動作するチップを多数形成する。ウェーハ・プロセッシング工程232は、図の点線で囲まれた部分に示すようなサブ工程を含む。すなわち、ウェーハ・プロセッシング工程232は、絶縁層となる誘電体薄膜や配線部或いは電極部を形成する金属薄膜等をCVDやスパッタリング等を用いて形成する薄膜形成工程232
1、金属薄膜やウェーハ基板を酸化する酸化工程232
2、薄膜層やウェーハ基板等を選択的に加工するマスクやレチクルを用いてレジストのパターンを形成するリソグラフィ工程232
3、例えばドライ・エッチング技術を用いてレジスト・パターンにしたがって薄膜層や基板を加工するエッチング工程232
4、イオンや不純物を注入・拡散する工程232
5、レジスト剥離工程、加工されたウェーハを検査する検査工程232
6を含む。なお、ウェーハ・プロセッシング工程232は必要な層数だけ繰り返して行われる。本発明に係る検査装置を検査工程232
6に適用することにより、微細なパターンを有する半導体デバイスでもスループットよく検査することができ、全数検査が可能になるので、設計どおりに動作する半導体デバイスを製造することができて製品の歩留まりが向上し、欠陥製品の出荷が防止される。
【0111】
図27は、
図26のリソグラフィ工程232
3で行われる工程を示している。リソグラフィ工程232
3は、前段の工程で回路パターンが形成されたウェーハ上にレジストを被覆するレジスト塗布工程241、レジストを露光する露光工程242、露光されたレジストを現像してレジスト・パターンを得る現像工程243、現像されたレジスト・パターンを安定化するアニール工程244を含む。
【0112】
以上、本発明に係る検査装置について、その各種の実施の形態を図面を参照しながら説明してきたが、本発明はこうした実施の形態に限定されるものではない。例えば、これまで説明した実施の形態では真空容器内にセンサや電子光学系が配置されているが、CCDセンサ、TDIセンサ等のセンサが動作できる環境であれば、必ずしも真空容器を用いる必要はない。
【0113】
また、
図3〜
図7図12、
図14、
図15図17〜
図19にはFOPを1段で使用している実施の形態を示したが、FOPは1段に限られるものではなく、複数段のFOPを用いることも可能である。例えば、MCPと組み合わされて用いられる蛍光剤のコートされたFOPと、TDIセンサに接着されたFOPとを密着させた2段のFOPを用いることができる。こうすると、組立の精度と効率が向上する。つまり、蛍光剤をコートされたFOPをTDIセンサに接着したとすると、FOPの蛍光剤にコンタミや接着剤が付着したとき、洗浄が困難になる。また、接着後に蛍光剤をコートする場合には、蛍光剤がTDIセンサ自体にコートされないように、特別の工程と工夫が必要になる。更に、分解能や耐放電性能に影響がでないよう、蛍光剤のコートされたFOPとMCPの平行度等の組立精度には高度の厳密さが求められる。こうした煩雑さは、上記の2段のFOPの使用によって解消される。複数段のFOPを用いたときも同様である。