(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5750213
(24)【登録日】2015年5月22日
(45)【発行日】2015年7月15日
(54)【発明の名称】スペクトラム分析方法
(51)【国際特許分類】
G01R 23/173 20060101AFI20150625BHJP
【FI】
G01R23/173 F
G01R23/173 J
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2008-540303(P2008-540303)
(86)(22)【出願日】2006年11月2日
(65)【公表番号】特表2009-515197(P2009-515197A)
(43)【公表日】2009年4月9日
(86)【国際出願番号】US2006060496
(87)【国際公開番号】WO2007056673
(87)【国際公開日】20070518
【審査請求日】2009年2月18日
【審判番号】不服2014-12176(P2014-12176/J1)
【審判請求日】2014年6月25日
(31)【優先権主張番号】60/733,521
(32)【優先日】2005年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーナード・カイル・エル
【合議体】
【審判長】
森 竜介
【審判官】
中塚 直樹
【審判官】
関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−215794(JP,A)
【文献】
特開平7−318598(JP,A)
【文献】
特開2002−156397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 23/00-23/20
H04B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心のある周波数スペクトラムに関して信号のスペクトラム分析を行う方法であって、
実時間スペクトラム・アナライザ(RTSA)の取込み用の周波数ウィンドウであって、上記関心のある周波数スペクトラムよりは狭いものの、掃引なしで捕捉可能な所定の捕捉帯域幅を有する周波数ウィンドウを選択する処理と、
上記関心のある周波数スペクトラム内で上記RTSAのダウン・コンバータを複数の異なる周波数に、上記信号の特性に基づいた制御により連続的に同調させる処理と、
上記信号を受け、上記複数の異なる周波数の各々について、上記周波数を中心とし、帯域幅が上記周波数ウィンドウの上記捕捉帯域幅と等しい帯域において上記信号のパワー・データを取込む処理と、
上記RTSAの上記ダウン・コンバータの上記連続的同調の期間中に取り込まれた上記パワー・データから上記関心のある周波数スペクトラムの表現を構成する処理と
を具えるスペクトラム分析方法。
【請求項2】
上記特性は、パルス幅、パルス繰り返しレート、パルス・オフ/オン時間及びパルス衝撃係数中の少なくとも1つであり、上記方法は、上記信号の見積もりに基づいて、上記RTSAの上記ダウン・コンバータの上記連続的同調のタイミングを合わせることを含む請求項1記載のスペクトラム分析方法。
【請求項3】
RF信号のスペクトラム分析を行う方法であって、
上記RF信号の期待されるスペクトラム分布内で、該スペクトラム分布よりは狭いものの、掃引なしで捕捉可能な所定の捕捉帯域幅を有する周波数の第1範囲に実時間スペクトラム・アナライザ(RTSA)のダウン・コンバータを同調する処理と、
上記RF信号の特性に基づいて制御された時間間隔の間、上記RTSAのダウン・コンバータが上記周波数の第1範囲に同調されるように維持する処理と、
上記時間間隔の間、上記周波数の第1範囲内の上記RF信号のパワー・データを得るように上記RTSAを動作させる処理と、
上記時間間隔の終わりにて、上記期待されるスペクトラム分布内で且つこのスペクトラム分布よりは狭いものの、掃引なしで捕捉可能な所定の捕捉帯域幅を有する周波数の第2範囲で上記RTSAのダウン・コンバータを再同調し、この再同調を実行して上記周波数の第2範囲内の上記RF信号用のパワー・データを求める処理と
を具えるスペクトラム分析方法。
【請求項4】
上記RTSAのダウン・コンバータの連続的な上記同調は、上記RF信号のパルス幅、パルス繰り返しレート、パルス・オフ/オン時間及びパルス衝撃係数に基づいて同期されることを特徴とする請求項3記載のスペクトラム分析方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、総ての目的に対して参照される全内容がここに組み込まれ、2005年11月4日に出願された米国仮出願番号60
/733,521号の
利益を主張する。
【0002】
RF信号の周波数分析を行うために、スペクトラム・アナライザは長期にわたって使用されてきた。種々の形式のスペクトラム・アナライザが存在し、最新の種類の1つは、実時間スペクトラム・アナライザ(RTSA)である。最新のRTSA装置は、RF信号を周波数領域で略瞬間的に変化させるためにパワー計算を増強している。掃引型スペクトラム・アナライザと対照的に、周波数の比較的広い範囲をモニタできると共に、同時に更新できる。なお、掃引型スペクトラム・アナライザは、任意所定の瞬間にて比較的狭い帯域幅に単にわたる周波数領域情報をモニタする。
【0003】
スペクト
ラム事象を
実時間で観察可能にする
点で、RTSA装置は、最新のRF環境において非常に有用である。なお、最新のRF環境では、益々複雑となり、従来の掃引型スペクトラム・アナライザでは分析できない過渡特性が含まれるようになってきている。しかし、現在のRTSA装置では、帯域幅制限がある。よって、関心のあるスペクト
ラムの帯域幅が増加すると、RTSAの能力は、実時間スペクト
ラム表現を低下させる。
【0004】
本発明の概念は、次のようなものである。
(1)関心のある周波数スペクト
ラムに関して信号の
スペクトラム分析を行う方法であって;実時間スペクトラム・アナライザ(RTSA)取込み用の周波数ウィンドウであって、上記関心のある周波数スペクト
ラムより
は狭いものの帯域幅
を有する周波数ウィンドウを選択し;上記関心のある周波数スペクト
ラム内で上記RTSA
のダウン・コンバータを複数の異なる周波数に、上記信号の特性に基づいた制御により連続的に同調させ;上記信号を受け、上記複数の異なる周波数の各々に
ついて、上記周波数
を中心
とし、帯域幅が上記周波数ウィンドウの帯域幅と等しい帯域にお
いて上記信号のパワー・データを取込み;上記RTSA
の上記ダウン・コンバータの上記連続的同調の期間中に取り込まれた上記パワー・データから上記関心のある周波数スペクト
ラムの表現を構成する方法。
(2)上記特性は、パルス幅、パルス繰り返しレート及びパルス・オフ/オン時間/衝撃係数の少なくとも1つであり、上記方法は、上記信号の見積ったパルス幅、パルス繰り返しレート及びパルス・オフ/オン時間/衝撃係数に基づい
て上記RTSAの上記繰り返し同調のタイミングを合わせる概念1の方法。
(3)上記信号の見積ったパルス幅、パルス繰り返しレート及びパルス・オフ/オン時間/衝撃係数の少なくとも1つに基づいて上記RTSAの上記繰り返し同調のタイミング合わせは、初期パルス幅見積りと、略得た厳密なパルス幅、パルス繰り返しレート及びパルス・オフ/オン時間/衝撃係数の見積りを用いることを含む概念2の方法。
(4)上記周波数ウィンドウ及び上記複数の異なる周波数を選択して、上記関心のある全体の周波数スペクト
ラムを実質的にスパンする概念1の方法。
(5)上記繰り返し同調は、上記信号の特性の初期の見積りに基づいて初めにタイミングを合わせされ、次に、上記信号の特性の更新された見積りに基づいてタイミング合わせされる概念1の方法。
(6)上記関心のある周波数スペクト
ラムの表現を表示器に表示するステップを更に具えた概念1の方法。
(7)パワー・データの取込みは、上記帯域用のピーク・パワー・レベルの取り込みを含む概念1の方法。
(8)パワー・データの取込みは、上記帯域用の平均パワー・レベルの取り込みを含む概念1の方法。
(9)パワー・データの取込みは、上記帯域用の最小パワー・レベルの取り込みを含む概念1の方法。
(10)信号を受信するように構成された同調可能な受信器と;該同調可能な受信器に機能的に結合されたアナログ・デジタル変換器(ADC)と;該ADCから受信された時間領域デジタル信号
に関する捕捉前の実時間処理を行うように構成され、上記同調可能な受信器の動作により選択された周波数帯域を通じて上記実時間処理を実行するデジタル信号プロセッサ(DSP)と;上記同調可能な受信器及び上記DSPと機能的に結合された制御器及びメモリとを具え;上記制御器及びメモリは;上記同調可能な受信器が、関心のある周波数スペクト
ラム内の複数の異なる帯域の各々に連続的に同調され、上記帯域の各々が上記関心のある周波数スペクト
ラムよりも狭い帯域幅を有し;上記DSPが上記複数の異なる帯域に対して、上記メモリに蓄積されるべき受信デジタル信号の上記各帯域内の時間領域サンプルを発生し;上記複数の異なる帯域の各々に対して、相対的時間領域サンプル用のパワー・レベルを得るように構成され;上記制御器は、上記複数の異なる帯域の各々に対して得た上記パワー・レベルから、上記関心のある周波数スペクト
ラム用の上記受信デジタル信号の周波数トレースを描くように構成されている電子測定器。
(11)上記制御器は、上記受信デジタル信号の特性に基づいて上記同調可能な受信器の上記連続的同調を制御するように構成されている概念10の電子測定器。
(12)上記特性は、上記受信デジタル信号のパルス幅、パルス繰り返しレート、及びパルス・オフ/オン時間/衝撃係数の少なくとも1つである概念11の電子測定器。
(13)上記受信デジタル信号の上記パルス幅、パルス繰り返しレート、又はパルス・オフ/オン時間/衝撃係数に基づいて決まる時間間隔に対する複数の異なる帯域の各々への上記同調を、上記同調可能な受信器が維持するように上記制御器を構成した概念12の電子測定器。
(14)RF信号のスペクト
ラム分析を行う方法であって;上記RF信号の期待されるスペクト
ラム分布内で、かかるスペクト
ラム分布より
は狭いものの帯域幅
を有する周波数の第1範囲に実時間スペクトラム・アナライザ(RTSA)
のダウン・コンバータを同調し;上記RF信号の特性に基づいて制御された時間間隔の間、上記RTSA
のダウン・コンバータが上記周波数の第1範囲に同調されるように維持し;上記時間間隔の間、上記周波数第1範囲内の上記RF信号のパワー・データを得るように上記RTSAを動作させ;上記時間間隔の終わりにて、上記期待されるスペクト
ラム分布内で且つこのスペクト
ラム分布より
は狭いものの帯域幅
を有する周波数第2範囲で上記RTSA
のダウン・コンバータを再同調し、この再同調を実行して上記周波数の第2範囲内の上記RF信号用のパワー・データを求める方法。
(15)上記周波数の第1範囲及び第2範囲のパワー・データを求めることは、上記周波数範囲の各々にて最小パワー・レベルを求めることを含む概念14の方法。
(16)上記周波数の第1範囲及び第2範囲のパワー・データを求めることは、上記周波数範囲の各々にてピーク・パワー・レベルを求めることを含む概念14の方法。
(17)上記周波数の第1範囲及び第2範囲のパワー・データを求めることは、上記周波数範囲の各々にて平均パワー・レベルを求めることを含む概念14の方法。
(18)更に、上記RTSAを上記期待されるスペクト
ラム分布内の複数の追加周波数範囲に連続的に再同調し、かかる追加周波数範囲のパワー・データを得る概念14の方法。
(19)更に、上記RF信号のスペクト
ラム表現を発生して、上記周波数用に得た上記パワー・データを組み合わせる概念18の方法。
(20)上記RTSA
のダウン・コンバータの
連続的な同調は、上記RF信号のパルス幅、パルス繰り返しレート及びパルス・オフ/オン時間/衝撃係数に基づいて同期
される概念18の方法。
(21)関心のある周波数スペクト
ラムのRF信号にスペクト
ラム分析を行う方法であって;実時間スペクトラム・アナライザ(RTSA)を用いて、上記関心のある周波数スペクト
ラム内の異なる周波数位置にて複数のゼロ・スパン・パワー・レベルの測定を行い;上記ゼロ・スパン・パワー・レベルの測定の各々に対して;(a)上記RTSAを上記周波数位置に同調すると共に、上記関心のある周波数スペクト
ラムよりも狭いRTSA捕捉帯域幅を用い;(b)ある時間間隔の間、上記同調された周波数位置に上記RTSAの同調を維持し;(c)上記時間間隔の期間中に上記周波数位置のパワー・レベルを測定して、該パワー・レベルを蓄積する;ことを連続して実行し;上記関心のある周波数スペクト
ラム内の上記異なる周波数位置用に測定したパワー・レベルから、上記関心のある周波数スペクト
ラムの周波数領域トレースを構成する方法。
(22)上記異なる周波数位置の各々に対して、更に、同調を開始するタイミングを制御し、上記同調を位置する期間を制御し、両方の場合に、上記制御が、上記RF信号のパルス幅、パルス繰り返しレート及びパルス・オフ/オン時間/衝撃係数に基づく概念21の方法。
(23)両方の場合に、上記RF信号から発生したトリガと独立して、上記制御を実行する概念22の方法。
(24)上記制御は、上記周波数領域トレースの更新レートを増加させる概念22の方法。
【0005】
図1は、掃引型スペクトラム・アナライザ10を図として示す。アナライザ10のフロント・エンド12は、被分析信号を受信する入力14を含む。このアナライザのフロント・エンドは、ミキサ22に供給される出力を有する調整可能な掃引発生器16も含んでおり、ミキサ22は、被分析入力信号を受ける。ミキサ22の周波数、IFフィルタ/RBWブロック24によりろ波される。ミキサ22及びフィルタ24は、RFのダウン・コンバージョンを行い、その結果の信号は、(例えば、増幅器30により)増幅され、(例えば32により)包絡線検波され、ビデオBW34にてビデオろ波される。その結果の信号は、表示器36に、典型的には、表示のy軸に表示される。すなわち、RFフロント・エンドは、関心のある周波数範囲にわたって掃引される。この回路は、掃引における各周波数にてRFパワーをろ波し、検波し、表示する。
【0006】
典型的には、アナライザは、非常に広い周波数帯域にわたってRF
パワーを測定できる連続的な周波数掃引を提供するように構成される。優れた周波数適用範囲の他に、アナライザ10の典型的な実施例は、高いダイナミック・レンジと、良好な局部発振器位相ノイズ性能を有する。
【0007】
しかし、掃引型スペクトラム・アナライザは、総てのアプリケーションにとって理想的ではない。アナライザのフロント・エンドにおける周波数前置選択器とIFフィルタ/分解能帯域幅とは、狭帯域であるので、アナライザは、任意所定時点でデータの非常に小さな帯域幅のみを表す。掃引型スペクトラム・アナライザは、RF信号周波数成分の実時間測定を提供できない。すなわち、たとえ観察した
周波数帯域幅が非常に広いとしても、特定時点にて、掃引がその時点に位置する周波数のみを測定できる。複数の掃引の間の分析されない無効な期間が、特に、バースト、周波数ホッピングなどの過渡現象を示す信号に対して問題となる。
【0008】
図2は、ここでは実時間スペクトラム・アナライザ(RTSA)と関連したスペクトル分析を行う異なる形式の装置を図的に示す。アナライザ10と同様に、図示のアナライザ(概略的に40で示す)は、入力RF信号の周波数又は周波数範囲を分析するために、ミキサ42及びフィルタ44を有するフロント・エンドRFダウン・コンバータ41を有し、入力RF信号を受け、(46により)同調可能である。フロント・エンド・ダウン・コンバータ41は、測定機器の周波数範囲(例えば、8GHz)の任意の信号をIF信号にダウン・コンバージョンするように構成されている。従来のアナライザと対比すると、RTSA40のフロント・エンドは、ステップ状に同調され、RTSAのIF帯域幅は、一般的には従来のSAよりも広い。すなわち、関心のあるスペクトルにわたり掃引する代わりに、周波数範囲をカバーするように、アナライザのフロント・エンドが個別に同調される。すなわち、掃引型スペクトラム・アナライザは、比較的狭い帯域幅に同調されるが、関心のあるスペクトルにわたって掃引される。一方、RTSAは、掃引することなく、関心のあるスペクトルをカバーするように同調されるフロント・エンドを有する。
【0009】
よって、RTSAは、掃引型スペクトラム・アナライザ10よりも非常に広い捕捉帯域幅を有する。RTSAにおいて、高速アナログ・デジタル変換器50を用いて、RTSAの全捕捉帯域幅にわたって、IF信号(即ち、ダウン・コンバータの下流)をサンプリングし、デジタル化する。これは、ADCから出力するRF信号のつなぎ目のない時間領域表現を発生する。捕捉の前に、DSP52は、サンプル・レート変換や、時間領域での平坦さ及び位相補正の如き実時間処理を実行する。RTSAアーキテクチャにより、RF信号をデジタル化し、時間的に隣接したサンプルをメモリに蓄積することにより、時間的なギャップがなくつなぎ目なく入力信号を捕捉できる。後述の如く、装置で可能な最大値よりも低いレベルにて、RTSAの捕捉帯域幅を設定することがしばしば望ましい。また、実時間捕捉及びフロント・エンド処理により、時間領域、周波数領域及び変調領域にて同時にRF信号を分析できる。また、RTSAは、メモリ54及び表示器56を典型的には含んでいる。ゼロ・スパンFPGA60を設けてもよく、これは、ろ波された時間領域表現の発生と、実時間での信号パワー計算とを容易にするように構成されている。
【0010】
実時間でのスペクトル・データの処理能力と、一連の比較的狭帯域の時間領域のパワー測定を用いた広帯域分析の実行能力とにより、種々の設定において利点を有するように
図2のRTSAを用いることができる。RTSAを用いて、非常に広い周波数領域分布を分析できる。いくつかの場合において、周波数領域分布は、RTSAの最大捕捉帯域幅よりも広くなるだろう。例えば、狭いパルス幅のあるパルス状RF信号は、広い周波数領域の分布を生じることができる。
【0011】
例えば、RTSA装置の最大捕捉帯域幅を110MHzと仮定する一方、関心のある周波数範囲を500MHzの広さとする。かかる場合、RTSAは、実時間にて、一度に全範囲を捕捉できない。
【0012】
よって、全スペクトルに対する周波数領域表現を捕捉するために、求めるべき所望スペクトルの複数の異なる部分にRTSA40を同調することが望ましい。つぎに、複数の異なる周波数における信号パワー情報を組合せて、関心のある比較的広いスペクトルに対する周波数領域トレースを形成する。この方法において、RTSAは、掃引型スペクトラム・アナライザと同様な方法で動作する。特に、スペクトルの異なる位置にアナライザを同調して、スペクトルの対応位置に対する周波数情報(例えば、信号パワー・レベル)を得る。
【0013】
1つのアプローチは、関心のある周波数範囲にわたって段階的にRTSAを連続的に同調させることを含む。各同調した位置にて、RTSAは、周波数帯域でのピーク・パワー・レベルの如き、その位置でのパワー情報を得る。しかし、広い周波数範囲にわたるスペクトル成分を含む過渡信号の正確なスペクトルを発生するために、関心のある信号特性(例えば、RFパルス)が存在するとき、所望スパン(ステッチ)のキャッシュ部分を捕捉しなければならない。
【0014】
信号特性が存在する時を参照しないで段階的な同調方法を用いる結果、遅いスペクトル取込みとなる。取り込むべき全スペクトルに介して迅速にRTSAがステップすると、任意の所定同調において、同調帯域幅における成分を含むRF信号の部分が発生しないことが可能である。いくつかの場合、所定帯域に対して、分析する信号の対応する帯域内周波数成分とRTSAタイミングが一致する前に、RTSAは、関心のあるいくつかの時点の全スペクトルを介して循環しなければならない。
【0015】
他のアプローチは、RTSAのタイミングを被分析信号に同期させようとする外部トリガの使用を含んでいる。典型的には、被分析信号を用いて外部トリガを発生させるが、信号源にアクセスする必要がある。代わりに、外部トリガを発生するか、受信信号の分析に基づいて推論するが、このアプローチは、追加的なハードウェアが必要であり複雑となる。しかし、用いると、全スペクトルにわたってパワー情報を得るために必要な時間を最短とするために、外部トリガを用いて、RTSAを知的に同調させてもよい。外部トリガが可能であり実行できるならば、それは、以前の非同期例に対する改善となる。この改善は時間短縮の結果であり、その帯域内で生じる周波数成分の関係パワー情報を得るために、所定帯域にRTSAを同調させなければならない。
【0016】
外部トリガの代わりに、スペクトラム・アナライザが内部トリガを発生してもよい。例えば、周波数マスク・トリガ又はパワー・トリガの如き既存の内部トリガを用いて、これを達成してもよい。いくつかの場合、これは、複数の可変周波数マスク又はパワー・トリガ・レベル(スペクトルの各ステッチ・セグメントに対するだけの数)を必要とする。さらに、信号特性に応じて、スパン内のいくつかの周波数は、トリガされる信号パワーを実際に含まないかもしれない。多くの設定において、この方法は、典型的なRTSA構成におけるたった1つのRF信号経路の存在により大幅に制限される。
【0017】
図3及び
図4を参照すると、RTSA装置を用いる別のアプローチを示している。上述の装置の実施例に関連して、典型的な方法を主に説明する。しかし、これら方法を異なる装置及び/又はこれら装置の組合せと共に用いることが明らかである。
【0018】
これら方法を種々の異なる設定に用いてもよいが、これらは、過渡信号のスペクトル表示を展開させる際に特に有用であることが証明されており、ここでは、関心のある周波数範囲は、RTSAが用いる捕捉帯域幅を超えている。これは、RTSA装置の最大捕捉帯域幅能力よりも広い帯域幅の関心スペクトルの結果として生じる。例えば、いくつかのRTSAは、110MHzの最大捕捉帯域幅を有する。したがって、ここで説明した方法例を、500MHzスペクトル分布の信号を分析する装置と共に用いることができる。かかる状況において、RTSA装置をゼロ・スパン・モードにて用い、被試験信号のパルス繰り返しレート又はある他の特性に基づいてイントラ・スペクトル同調及び再同調を同期させてもよい。さらに、いくつかの場合には、RTSAの捕捉帯域幅を装置の最大捕捉能力未満に意図的に設定することは、有利である。つぎに、捕捉帯域幅が所望スペクトル分布よりも狭い範囲までは、この方法を有利に用いて、高い分解能でスペクトルを分析する。
【0019】
上述の方法でRTSAを用いるために、ゼロ・スパンFPGA60を用いてもよい。
図3の例において、DSP52からの出力を受け、RTSA装置が同調された周波数帯域における検出パワー・レベルに基づいてトレース・ポイントを発生する。ゼロ・スパン能力及びパワー検出機能を以下に詳述する。
【0020】
図4を参照する。102にて、この方法は、先ず、関心のあるスペクトル事象を検出する、又はこの事象でトリガすることを含む。RTSA装置内で実施されている周波数依存マスクにより、かかる検出を付勢してもよい。関心のある事象が生じると、この方法は、104に示すように、捕捉制御ルーチンに入ることを含む。しかし、多くのアプリケーションではトリガ・ステップを省略できることが理解できよう。実際、後述の如く、上述の方法の1つの利点は、トリガ又は任意の特定スペクトル事象に独立した広帯域分析を効率的に実行できることを利用できることである。
【0021】
捕捉制御期間中、106に示すように、取込みウィンドウを選択する。また、取込みウィンドウは、周波数ウィンドウ又は捕捉帯域幅ともいう。上述の如く、いくつかの場合には、これは、単に、RTSA装置の最大捕捉帯域幅である一方、他の場合には、所望分解能又は他の考察により示されるように、より狭い周波数ウィンドウを用いてもよい。
【0022】
108にて、RTSA装置を次に関心のあるスペクトル内の位置に同調する。典型的には、各同調がある時間間隔で維持される。さらに詳細に後述するように、パルス幅などの試験信号の特性に基づいて、この間隔(例えば、特定の周波数ポイントに対してパワー測定を行う期間)を制御してもよい。捕捉制御期間中(即ち、関心のあるスペクトル内の異なる周波数位置への同調、及び各同調が維持される時間間隔)、各同調された位置に対するパワー・データを得て(110)、その結果の捕捉データを用いて、関心のあるスペクトルの表示を更新させてもよい(112)。
【0023】
図に示すように、捕捉は、典型的には、関心のあるスペクトルの異なる位置(帯域)へのRTSA装置の複数の連続した同調を含んでいる。副スペクトル帯域用の同調を選択し、順序づけ、及び/又は任意所望の同調スキームとなるまでの時間を計ってもよい。例えば、同じ時間量だけ各同調位置を維持して、関心のあるスペクトルにわたってRTSAをステップ状に連続的に同調してもよい。代わりに、分解能及び/又は帯域は位置に従属しているので、いくつかの周波数にて、その結果のスペクトルの分解能は、他の位置よりも高いか又は低い。このタイミングは、スペクトルの位置に応じて変化するかもしれない。更に、低から広周波数帯域又はその逆のステップの代わりに、ステッチ処理の総てのパワー・レベル・トレースを取り込むために、関心のあるスペクトルのまわりで同調がジャンプするかもしれない。
【0024】
典型的には、タイミング、分解能及び/又は他のパラメータを選択して、所望のスペクト
ラムを効率よく発生する。実際に、1トレース更新につきたった1回のスパンにおける各位置にRTSAを同調させることによりスペクト
ラムを発生させるか、又は、そうでなければ、関心のある
スペクトラムを発生するのに必要な時間を短縮する戦略を用いることは、しばしば望ましい。
【0025】
いくつかの設定において、入力信号の特性に基づいてRTSA同調のタイミングを設定することにより、 効果的なスペクトル発生を行える。例えば、被分析のパルス状RF信号のパルス幅、パルス繰り返しレート、パルス・オフ/オン時間/衝撃係数に基づいてRTSAのタイミングをトリガ又は同期させてもよい。例として、パルス繰り返しレートは、再同調用の決定要素である一方、パルス幅を時間間隔制御に用いてもよいが、実施例はこれらのアプリケーションに限定されない。さらに、108で実行したRTSA同調(即ち、「捕捉制御」)を、パルス幅(例えば、初期の信号分析から求めたパルス幅の見積り)に基づく時間の間、維持してもよい。RTSAが特定の位置に同調されている間、実際に、このシステムが同調周波数帯域に対応する信号成分を受信することを、RTSA同調の捕捉制御に基づくパルス幅によって確実にする。換言すれば、生じるその帯域に対応するスペクトル事象の充分に長い時間間隔の間にわたって所定帯域の同調を維持することが、パルス幅に基づく捕捉制御により確実になる。また、典型的にはパルス幅制御を実施するので、スペクトル事象が生じるのに必要な期間よりも短い間にわたって同調を維持して、所望スペクトルの発生に必要な時間を最小にする。
【0026】
よって、所望スペクトルを一緒にステッチする連続同調は、(a)捕捉帯域幅を選択すること、(b)RTSAが所望位置に同調された時間を選択すること、及び/又は(c)例えば、ステッチからステッチまでの増加、減少、単なる増加又は減少ではなく、ランダム又はある制御されたスキームにより同調が生じる順序又はシーケンスを選択することを含む。
【0027】
110で得たパワー・データは、(1)その期間中の帯域でのピーク・パワー・レベルを得ること、(2)その帯域での最小パワー・レベルを得ること、(3)その帯域での平均パワーを得ることの1つ以上を含んでもよい。
【0028】
112に示すように、パワー・レベル・データを求めて、表示されたスペクトルを更新してもよい。更に又はその代わりに、総てのパワー・レベルを求めた後に、114に示すように、関心のあるスペクトルの総ての取込みパワー・データを組合せて、関心のあるスペクトルを互いにステッチしてもよい。
【0029】
図4を参照して説明した補足機能を更に述べる。RTSA同調の同期は、分析信号について更に情報を得る時間に対してダイナミックに適合してもよい。例えば、パルス幅の大雑把な見積りを用いて、パルス幅に基づく時間間隔制御を初めに実行してもよい。その信号に関して更に情報を得るので、より正確な見積りが得られて、RTSA同調同期に調整できる(例えば、更新した見積りを用いることにより)。さらに、同調は、初めは完全にトリガされずに、予め設定された再同調レートにて関心のあるスペクトルを単に循環してもよい。このモードの期間中、信号に関するいくつかの情報が得られる。あるポイントでは、充分な情報が得られて、パルス幅、パルス繰り返しレート、パルス・オフ/オン時間/衝撃係数などを見積もることができ、このポイントにて、見積りを用いてRTSA同調のタイミングを制御できる。
【0030】
本実施例及び方法の実現を特に示し説明したが、本発明の要旨及び範囲を逸脱することなく、多くの変更が可能なことが当業者には理解できよう。この説明は、ここで述べた要素の総ての新規で自明でない組合せを含むことが理解でき、請求項は、これら要素の新規且つ自明でない組合せに対するこの又はその後のアプリケーションにも適用できる。請求項では、「1つ」又は「第1」要素又はこれらと均等なものを引用しているが、かかる請求項が1つ又はそれ以上の要素の結合を含み、2つ以上のかかる要素を必要としない又は排除するものでないことを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、掃引型スペクトラム・アナライザを表す図である。
【
図2】
図2は、実時間スペクトラム・アナライザ(RTSA)を表す図である。
【
図3】
図3は、改善された広帯域幅RTSA分析を容易にするため、
図2のアナライザに関連して実現できるゼロ・スパンFPGAコンポーネントを示す図である。
【
図4】
図4は、RTSA装置を用いて広帯域幅スペクトル分析を行う方法の一例を示す。