【実施例】
【0144】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【0145】
参考例1
(有機半導体素子用液状組成物1を用いた有機EL素子の製造)
緑色高分子発光材料1に、緑色高分子発光材料1の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物1を製造した。
【0146】
得られた有機半導体素子用液状組成物1を保管せずに、有機半導体素子用液状組成物1を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色高分子発光材料1(100nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0147】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0148】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0149】
次に、保管していない有機半導体素子用液状組成物1を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が100nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0150】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0151】
作製した有機EL素子は、緑色発光し、最大電流効率は31.0cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、120時間であった。
【0152】
参照例1
(有機半導体素子用液状組成物1の保管)
緑色高分子発光材料1に、緑色高分子発光材料1の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物2を製造した。
【0153】
得られた有機半導体素子用液状組成物2を褐色ガラス瓶に入れ、ニトリルゴムの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、2週間保管した。
【0154】
参照例2
(保管した有機半導体素子用液状組成物2を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物2を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色高分子発光材料1(100nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0155】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0156】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、それぞれ体積比で10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0157】
次に、保管した有機半導体素子用液状組成物2を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が100nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、それぞれ体積比で10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0158】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0159】
作製した有機EL素子は、緑色発光し、最大電流効率は25.4cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、137時間であった。
【0160】
参照比較例1
(有機半導体素子用液状組成物3の保管)
緑色高分子発光材料1に、緑色高分子発光材料1の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物3を製造した。
【0161】
得られた有機半導体素子用液状組成物3を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリプロピレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、2週間保管した。
【0162】
参照比較例2
(保管した有機半導体素子用液状組成物3を用いた有機EL素子の製造)
参照比較例1において保管後の有機半導体素子用液状組成物3を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物
1(20nm)/緑色高分子発光材料1(100nm)/Ba(5nm)/Al(80n
m)」
【0163】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0164】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0165】
次に、保管した有機半導体素子用液状組成物3を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が100nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、それぞれ体積比で10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0166】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0167】
作製した有機EL素子は、緑色発光し、最大電流効率は30.0cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、80時間であった。
【0168】
参照例3
(有機半導体素子用液状組成物4の保管)
緑色高分子発光材料1に、緑色高分子発光材料1の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物4を得た。
【0169】
得られた有機半導体素子用液状組成物4を褐色ガラス瓶に入れ、ニトリルゴムの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物4がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0170】
参照例4
(保管した有機半導体素子用液状組成物4を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物4を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色高分子発光材料1(100nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0171】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0172】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0173】
次に、保管した有機半導体素子用液状組成物4を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が100nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0174】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0175】
作製した有機EL素子は、緑色発光し、最大電流効率は30.1cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、121時間であった。
【0176】
参照例5
(有機半導体素子用液状組成物5の保管)
緑色高分子発光材料1に、緑色高分子発光材料1の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物5を製造した。
【0177】
得られた有機半導体素子用液状組成物5を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物5がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0178】
参照例6
(保管した有機半導体素子用液状組成物5を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物5を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色高分子発光材料1(100nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0179】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0180】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0181】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物5を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が100nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0182】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0183】
作製した有機EL素子は、緑色発光し、最大電流効率は30.3cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、123時間であった。
【0184】
参照比較例3
(有機半導体素子用液状組成物6の保管)
緑色高分子発光材料1に、緑色高分子発光材料1の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物6を製造した。
【0185】
得られた有機半導体素子用液状組成物6を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリプロピレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物6がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0186】
参照比較例4
(保管した有機半導体素子用液状組成物6を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物6を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色高分子発光材料1(100nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0187】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0188】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0189】
次に、保管した有機半導体素子用液状組成物6を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が100nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0190】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0191】
作製した有機EL素子は、緑色発光し、最大電流効率は30.0cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、25時間であった。
【0192】
参照比較例5
(有機半導体素子用液状組成物7の保管)
緑色高分子発光材料1に、緑色高分子発光材料1の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物7を製造した。
【0193】
得られた有機半導体素子用液状組成物7を褐色ガラス瓶に入れ、耐熱性ポリエチレンの表面をポリプロピレンでコーティングしたパッキン(マルエム社製、ギヤーパッキン(HRPPハイシート)、型番No.02)で褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物7がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0194】
参照比較例6
(保管した有機半導体素子用液状組成物7を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物7を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色高分子発光材料1(100nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0195】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0196】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0197】
次に、保管した有機半導体素子用液状組成物7を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が100nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0198】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0199】
作製した有機EL素子は、緑色発光し、最大電流効率は30.9cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、91時間であった。
【0200】
参照比較例7
(有機半導体素子用液状組成物8の保管)
緑色高分子発光材料1に、緑色高分子発光材料1の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物8を製造した。
【0201】
得られた有機半導体素子用液状組成物8を褐色ガラス瓶に入れ、シリコーンゴムのパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物8がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0202】
参照比較例8
(保管した有機半導体素子用液状組成物8を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物8を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色高分子発光材料1(100nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0203】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0204】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0205】
次に、保管した有機半導体素子用液状組成物8を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が100nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0206】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0207】
作製した有機EL素子に12Vまで電圧を印加したところ、発光輝度は10cd/m
2に満たず、8,000cd/m
2の輝度では発光しなかった。
【0208】
参考例2
(有機半導体素子用液状組成物9を用いた有機EL素子の製造)
緑色高分子発光材料2に、緑色高分子発光材料2の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物9を製造した。
【0209】
得られた有機半導体素子用液状組成物9を保管せずに、有機半導体素子用液状組成物9を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色高分子発光材料2(100nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0210】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0211】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0212】
次に、保管していない有機半導体素子用液状組成物9を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が80nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0213】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0214】
作製した有機EL素子は、緑色発光し、最大電流効率は10.8cd/Aであった。また、初期輝度12,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、215時間であった。
【0215】
参照例7
(有機半導体素子用液状組成物10の保管)
緑色高分子発光材料2に、緑色高分子発光材料2の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物10を製造した。
【0216】
得られた有機半導体素子用液状組成物10を褐色ガラス瓶に入れ、ニトリルゴムの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0217】
参照例8
(保管した有機半導体素子用液状組成物10を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物10を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色高分子発光材料2(80nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0218】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0219】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0220】
次に、保管した有機半導体素子用液状組成物10を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が80nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0221】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0222】
作製した有機EL素子は、緑色発光し、最大電流効率は10.5cd/Aであった。また、初期輝度12,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、210時間であった。
【0223】
参照比較例9
(有機半導体素子用液状組成物11の保管)
緑色高分子発光材料2に、緑色高分子発光材料2の濃度が1.4wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物11を製造した。
【0224】
得られた有機半導体素子用液状組成物11を褐色ガラス瓶に入れ、耐熱性ポリエチレンの表面をポリプロピレンでコーティングしたパッキン(マルエム社製、ギヤーパッキン(HRPPハイシート)、型番No.02)で褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物11がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0225】
参照比較例10
(保管した有機半導体素子用液状組成物11を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物11を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物1(20nm)/緑色高分子発光材料2(80nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0226】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0227】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物1を溶解させ、キシレン溶液1を作製した。このキシレン溶液1における高分子化合物1の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液1をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0228】
次に、保管した有機半導体素子用液状組成物11を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が80nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0229】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0230】
作製した有機EL素子は、緑色発光し、最大電流効率は10.0cd/Aであった。また、初期輝度12,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、175時間であった。
【0231】
参照例9及び参照比較例11
緑色高分子発光材料2の代わりにサメイション社製緑色高分子発光材料「Green1300」を用いる以外は
参照例7と同様にして有機半導体素子用液状組成物を製造し、保管する。保管後の有機半導体素子用液状組成物を用い、
参照例8と同様に有機EL素子を製造する(
参照例9)。また、緑色高分子発光材料2の代わりにサメイション社製緑色高分子発光材料「Green1300」を用いる以外は
参照比較例9と同様にして有機半導体素子用液状組成物を製造し、保管する。保管後の有機半導体素子用液状組成物を用い、
参照比較例10と同様に有機EL素子を製造する(
参照比較例11)。作製される素子は、ともに緑色発光する。そして、それらの有機EL素子の特性を
参照例8と同様にして測定すると、少なくとも初期輝度12,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)について、
参照例9の有機EL素子には
参照比較例11の有機EL素子と比較して顕著な向上が観察される。
【0232】
合成例1
(高分子化合物3の合成)
窒素雰囲気下、9,9−ジオクチル−(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フルオレン(21.218g)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン(5.487g)、N,N−ビス(4−ブロモフェニル)−N’,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(16.377g)、N,N−ビス(4−ブロモフェニル)−N−(ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−3−イル)−アミン(2.575g)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat(登録商標)336、アルドリッチ社製)(5.17g)と溶媒となるトルエン(400ml)の混合物を約80℃に加熱した後に、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(56.2mg)、17.5重量%炭酸ナトリウム水溶液(109ml)を加え、オイルバスで更に加熱しながら、還流下で、約6時間攪拌した。
【0233】
次に、ベンゼンボロン酸(0.49g)、を加え、オイルバスで更に加熱しながら、還流下で、約2時間攪拌した。
【0234】
水層を分液により除去した後に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(24.3g)をイオン交換水(240ml)に溶解した溶液を加え、85℃に加熱しながら2時間攪拌した。
【0235】
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水(約520ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(約52ml)で2回、イオン交換水(約520ml)で2回、順次洗浄した。有機層をメタノールに滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させることにより、固体を得た。
【0236】
この固体をトルエン(約1240ml)に溶解させ、予めトルエンを通液したシリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液し、得られた溶液をメタノール(約6200ml)に滴下し高分子化合物を沈殿させ、ろ取、乾燥させることにより、高分子化合物3(26.23g)を得た。
【0237】
高分子化合物3のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、Mn=7.8×10
4、Mw=2.6×10
5であり、ガラス転移温度は115℃であった。出発原料の仕込み比より、高分子化合物3は、下記式で示される構成単位をモル比62.5:30:7.5で有する高分子化合物と推定される。
【0238】
【化1】
【0239】
合成例2
(高分子化合物4の合成)
不活性ガス雰囲気下、2,7−ジブロモ−9,9−ジ(オクチル)フルオレン(9.0g、16.4mmol)、N,N’-ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチル-2,6−ジメチルフェニル)1,4−フェニレンジアミン(1.3g、1.8mmol)、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル-1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジ(4−ヘキシルフェニル)フルオレン(13.4g、18.0mmol)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(43.0g、58.3mmol)、酢酸パラジウム(8mg、0.04mmol)、トリ(2−メトキシフェニル)ホスフィン(0.05g、0.1mmol)、トルエン(200mL)を混合し、混合物を、90℃で8時間加熱攪拌した。次いで、フェニルボロン酸(0.22g、1.8mmol)を添加し、得られた混合物を14時間撹拌した。放冷後、水層を除去し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を添加し撹拌した後、水層を除去し、有機層を水、3%酢酸水で洗浄した。有機層をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた後、濾取したポリマーを再度トルエンに溶解させ、シリカゲル及びアルミナのカラムに通液した。ポリマーを含む溶出トルエン溶液を回収し、回収した前記トルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを50℃で真空乾燥し、高分子化合物4(12.5g)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた高分子化合物P1のポリスチレン換算の重量平均分子量は3.1×10
5であり、分子量分布指数(Mw/Mn)は2.9であった。
【0240】
高分子化合物4は仕込み原料から求めた理論値では、下記式:
【0241】
【化2】
【0242】
で表される構成単位と、下記式:
【0243】
【化3】
【0244】
で表される構成単位と、下記式:
【0245】
【化4】
【0246】
で表される構成単位とが、50:45:5のモル比で含まれる共重合体である。
【0247】
参照例10
(有機半導体素子用液状組成物12の保管)
正孔輸送材料である高分子化合物3に、高分子化合物3の濃度が0.8wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物12を製造した。
【0248】
得られた有機半導体素子用液状組成物12を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物12がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0249】
参照例11
(保管した有機半導体素子用液状組成物12を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物12を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物
3(20nm)/高分子化合物4(65nm)/Ba(5nm)/Al(80n
m)」
【0250】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0251】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物12を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0252】
次に、キシレンに発光材料である高分子化合物4を溶解させ、キシレン溶液2を作製した。このキシレン溶液2における高分子化合物4の濃度を1.3重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液2をスピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が65nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0253】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0254】
作製した有機EL素子は、青色発光し、最大電流効率は6.5cd/Aであった。また、初期輝度5,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、36時間であった。
【0255】
参照比較例12
(有機半導体素子用液状組成物13の保管)
正孔輸送材料である高分子化合物3に、高分子化合物3の濃度が0.8wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物13を製造した。
【0256】
得られた有機半導体素子用液状組成物13を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリプロピレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリプロピレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物13がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0257】
参照比較例13
(保管した有機半導体素子用液状組成物13を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物13を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/高分子化合物4(65nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0258】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0259】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物13を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0260】
次に、キシレンに発光材料である高分子化合物4を溶解させ、キシレン溶液2を作製した。このキシレン溶液2における高分子化合物4の濃度を1.3重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液2をスピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が65nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0261】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0262】
作製した有機EL素子は、青色発光し、最大電流効率は6.5cd/Aであった。また、初期輝度5,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、30時間であった。
【0263】
参照例12
(有機半導体素子用液状組成物14の保管)
発光材料である高分子化合物4に、高分子化合物4の濃度が1.3wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物14を製造した。
【0264】
得られた有機半導体素子用液状組成物14を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物14がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0265】
参照例13
(保管した有機半導体素子用液状組成物14を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物14を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/高分子化合物4(65nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0266】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0267】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0268】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物14を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が65nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0269】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0270】
作製した有機EL素子は、青色発光し、最大電流効率は6.5cd/Aであった。また、初期輝度5,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、36時間であった。
【0271】
参照例14
(有機半導体素子用液状組成物15の保管)
発光材料である高分子化合物4に、高分子化合物4の濃度が1.3wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物15を製造した。
【0272】
得られた有機半導体素子用液状組成物15を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、容器外部の温度が45℃の環境下、有機半導体素子用液状組成物15がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0273】
参照例15
(保管した有機半導体素子用液状組成物15を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物15を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/高分子化合物4(65nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0274】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0275】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0276】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物15を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が65nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0277】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0278】
作製した有機EL素子は、青色発光し、最大電流効率は6.7cd/Aであった。また、初期輝度5,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、35時間であった。
【0279】
参照例16
(有機半導体素子用液状組成物16の保管)
発光材料である高分子化合物4に、高分子化合物4の濃度が1.3wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物16を製造した。
【0280】
得られた有機半導体素子用液状組成物16を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は窒素とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物16がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0281】
参照例17
(保管した有機半導体素子用液状組成物16を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物16を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物
3(20nm)/高分子化合物4(65nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0282】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0283】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0284】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物16を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が65nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0285】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0286】
作製した有機EL素子は、青色発光し、最大電流効率は6.4cd/Aであった。また、初期輝度5,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、34時間であった。
【0287】
参照比較例14
(有機半導体素子用液状組成物17の保管)
発光材料である高分子化合物4に、高分子化合物4の濃度が1.3wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物17を製造した。
【0288】
得られた有機半導体素子用液状組成物17を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリプロピレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリプロピレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は空気とした。500nm以下の波長の光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物17がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0289】
参照比較例15
(保管した有機半導体素子用液状組成物17を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物17を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/高分子化合物4(65nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0290】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0291】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0292】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物17を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が65nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0293】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0294】
作製した有機EL素子は、青色発光し、最大電流効率は6.6cd/Aであった。また、初期輝度5,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、24時間であった。
【0295】
合成例3
(赤色燐光ドーパント5の合成)
下記式で示される赤色燐光ドーパント5は、特開2006−188673に記載の方法に従って合成した。
【0296】
【化5】
【0297】
実施例1
(有機半導体素子用液状組成物18の保管)
赤色燐光ドーパント5を5重量%、高分子化合物4を95重量%の割合で混合した混合発光材料6に、混合発光材料の濃度が1.3wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物18を製造した。
【0298】
得られた有機半導体素子用液状組成物18を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は大気とした。また、褐色ガラス瓶にアルミホイルを巻きつけ、光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物18がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0299】
実施例2
(保管した有機半導体素子用液状組成物18を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物18を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/混合発光材料6(70nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0300】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0301】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0302】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物18を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が70nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0303】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0304】
作製した有機EL素子は、赤色発光し、最大電流効率は7.3cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、98時間であった。
【0305】
比較例1
(有機半導体素子用液状組成物19の保管)
赤色燐光ドーパント5を5重量%、高分子化合物4を95重量%の割合で混合した混合発光材料6に、混合発光材料の濃度が1.3wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物19を製造した。
【0306】
得られた有機半導体素子用液状組成物19を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリプロピレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリプロピレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は大気とした。また、褐色ガラス瓶にアルミホイルを巻きつけ、光を遮光し、室温(23℃)環境下、有機半導体素子用液状組成物19がパッキンに接触する状態で、18時間保管した。
【0307】
比較例2
(保管した有機半導体素子用液状組成物19を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物19を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/混合発光材料6(70nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0308】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0309】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0310】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物19を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が70nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0311】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0312】
作製した有機EL素子は、赤色発光し、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、47時間であった。
【0313】
参考例3
(有機半導体素子用液状組成物20を用いた有機EL素子の製造)
赤色燐光ドーパント5を5重量%、高分子化合物4を95重量%の割合で混合した混合発光材料6に、混合発光材料の濃度が1.3wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物20を製造した。
【0314】
得られた有機半導体素子用液状組成物20を保管せずに、有機半導体素子用液状組成物20を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/混合発光材料6(70nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0315】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0316】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0317】
次に、保管していない有機半導体素子用液状組成物20を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が70nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0318】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0319】
作製した有機EL素子は、赤色発光し、最大電流効率は7.4cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、97時間であった。
【0320】
実施例3
(有機半導体素子用液状組成物21の保管)
赤色燐光ドーパント5を5重量%、高分子化合物4を95重量%の割合で混合した混合発光材料6に、混合発光材料の濃度が1.3wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物21を製造した。
【0321】
得られた有機半導体素子用液状組成物21を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は大気とした。また、褐色ガラス瓶にアルミホイルを巻きつけ、光を遮光し、室温(23℃)環境下、2週間保管した。
【0322】
実施例4
(保管した有機半導体素子用液状組成物21を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物21を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/混合発光材料6(70nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0323】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0324】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0325】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物21を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が70nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0326】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0327】
作製した有機EL素子は、赤色発光し、最大電流効率は7.0cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、92時間であった。
【0328】
実施例5
(有機半導体素子用液状組成物22の保管)
赤色燐光ドーパント5を5重量%、高分子化合物4を95重量%の割合で混合した混合発光材料6に、混合発光材料の濃度が1.3wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物22を製造した。
【0329】
得られた有機半導体素子用液状組成物22を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は大気とした。また、褐色ガラス瓶にアルミホイルを巻きつけ、光を遮光し、室温(23℃)環境下、8週間保管した。
【0330】
実施例6
(保管した有機半導体素子用液状組成物22を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物22を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/混合発光材料6(70nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0331】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0332】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0333】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物22を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が70nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0334】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0335】
作製した有機EL素子は、赤色発光し、最大電流効率は7.0cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、99時間であった。
【0336】
比較例3
(有機半導体素子用液状組成物23の保管)
赤色燐光ドーパント5を5重量%、高分子化合物4を95重量%の割合で混合した混合発光材料6に、混合発光材料の濃度が1.3wt%となるように、有機溶媒としてキシレンを加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物23を製造した。
【0337】
得られた有機半導体素子用液状組成物23を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリプロピレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリプロピレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は大気とした。また、褐色ガラス瓶にアルミホイルを巻きつけ、光を遮光し、室温(23℃)環境下、8週間保管した。
【0338】
比較例4
(保管した有機半導体素子用液状組成物23を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物23を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/混合発光材料6(70nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0339】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0340】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0341】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物23を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が70nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0342】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0343】
作製した有機EL素子は、赤色発光し、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、31時間であった。
【0344】
参考例4
(有機半導体素子用液状組成物24を用いた有機EL素子の製造)
赤色燐光ドーパント5を5重量%、高分子化合物4を95重量%の割合で混合した混合発光材料6に、混合発光材料の濃度が2.0wt%となるように、有機溶媒としてシクロヘキシルベンゼン80体積%、4−メチルアニソール20体積%で混合した混合有機溶媒を加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物24を製造した。
【0345】
得られた有機半導体素子用液状組成物24を保管せずに、有機半導体素子用液状組成物24を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/混合発光材料6(70nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0346】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0347】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0348】
次に、保管していない有機半導体素子用液状組成物24を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が70nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0349】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの
厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板
を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0350】
作製した有機EL素子は、赤色発光し、最大電流効率は6.8cd/Aであった。ま
た、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%とな
るまでの時間(輝度半減寿命)は、71時間であった。
【0351】
実施例7
(有機半導体素子用液状組成物25の保管)
赤色燐光ドーパント5を5重量%、高分子化合物4を95重量%の割合で混合した混合発光材料6に、混合発光材料の濃度が2.0wt%となるように、有機溶媒としてシクロヘキシルベンゼン80体積%、4−メチルアニソール20体積%で混合した混合有機溶媒を加え、大気雰囲気下、室温にて溶解し、有機半導体素子用液状組成物25を製造した。
【0352】
得られた有機半導体素子用液状組成物25を褐色ガラス瓶に入れ、ポリエチレンの表面をポリテトラフルオロエチレンでコーティングしたパッキンで褐色ガラス瓶の開口部を覆い、ポリプロピレン製の蓋を閉めて、褐色ガラス瓶を密閉した。その際、パッキンは、ポリテトラフルオロエチレンでコーティングした面が容器本体の開口部を覆い、開口端部に接するように配置した。容器内の雰囲気は大気とした。また、褐色ガラス瓶にアルミホイルを巻きつけ、光を遮光し、室温(23℃)環境下、2週間保管した。
【0353】
実施例8
(保管した有機半導体素子用液状組成物25を用いた有機EL素子の製造)
保管後の有機半導体素子用液状組成物25を用いて、以下の構成の有機EL素子を作製した。
「ガラス基板/ITO(150nm)/Baytron P(65nm)/高分子化合物3(20nm)/混合発光材料6(70nm)/Ba(5nm)/Al(80nm)」
【0354】
スパッタ法により厚みが150nmのITO膜(陽極)が形成されたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytorn P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの薄膜を形成し、さらにホットプレート上で200℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程は大気雰囲気下において行った。
【0355】
次に、キシレンに正孔輸送材料である高分子化合物3を溶解させ、キシレン溶液3を作製した。このキシレン溶液3における高分子化合物3の濃度を0.8重量%とした。次に大気雰囲気下において、キシレン溶液3をスピンコート法により正孔注入層上に塗布し、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において180℃、1時間加熱することによって薄膜を焼成し、正孔輸送層を得た。
【0356】
次に、保管された有機半導体素子用液状組成物25を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布し、膜厚が70nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において130℃、10分間加熱することによって薄膜を焼成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の形成工程及び焼成工程における圧力は大気圧とした。
【0357】
次に1.0×10
−4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、バリウムを約5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを約80nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機EL素子を作製した。
【0358】
作製した有機EL素子は、赤色発光し、最大電流効率は6.8cd/Aであった。また、初期輝度8,000cd/m
2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の50%となるまでの時間(輝度半減寿命)は、70時間であった。