(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪第一の態様のレジストパターン形成方法≫
本発明の第一の態様のレジストパターン形成方法は、酸の作用により有機溶剤に対する溶解性が減少する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するレジスト組成物(以下、ネガ型現像用レジスト組成物ということがある。)を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を、前記有機溶剤を含有する現像液を用いたネガ型現像によりパターニングしてレジストパターンを形成する工程、を含む。
前記ネガ型現像用レジスト組成物は、放射線が照射(露光)されると、酸発生剤成分(B)から酸が発生し、該酸の作用により基材成分(A)の有機溶剤に対する溶解性が減少する。そのため、該レジストパターン形成方法においては、該ネガ型現像用レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜における露光部の、前記有機溶剤を含有する現像液(以下、有機系現像液ということがある。)に対する溶解性が減少する一方で、未露光部の有機系現像液に対する溶解性は変化しないため、該有機系現像液を用いたネガ型現像を行うことにより未露光部が除去されてレジストパターンが形成される。
本態様のレジストパターン形成方法は、該ネガ型現像用レジスト組成物の基材成分(A)として、酸の作用によりアルコール性水酸基を生じて親水性が増大する酸分解性基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)を有する樹脂成分(A1)を用いることを特徴とする。該ネガ型現像用レジスト組成物としては、後で説明する本発明の第三の態様のネガ型現像用レジスト組成物が使用できる。
【0014】
本態様のレジストパターン形成方法は、より具体的には、たとえば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に、前記ネガ型現像用レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。次に、該レジスト膜に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。該レジスト膜を、有機系現像液を用いて現像処理した後、好ましくは有機溶剤を含有するリンス液を用いてリンス処理し、乾燥を行う。
前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
また、場合によっては、現像処理、リンス処理または超臨界流体による処理の後、残存する有機溶剤を除去するために、ベーク(ポストベーク)処理を行ってもよい。
【0015】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
【0016】
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F
2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性が高く、特に、ArFエキシマレーザー用として有用である。
【0017】
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C
3HCl
2F
5、C
4F
9OCH
3、C
4F
9OC
2H
5、C
5H
3F
7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
【0018】
現像処理は、有機系現像液を用いて行う。
現像液に用いる有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤のなかから適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
ケトン系溶剤は、構造中にC−C(=O)−Cを含む有機溶剤である。エステル系溶剤は、構造中にC−C(=O)−O−Cを含む有機溶剤である。アルコール系溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤であり、「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。アミド系溶剤は構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系溶剤は構造中にC−O−Cを含む有機溶剤である。有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。たとえば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中の、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤いずれにも該当するものとする。また、炭化水素系溶剤は、炭化水素からなり、置換基(水素原子および炭化水素基以外の基または原子)を有さない炭化水素溶剤である。
各溶剤の具体例として、ケトン系溶剤としては、たとえば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0019】
エステル系溶剤としては、たとえば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、後述する一般式(1)で表される溶剤又は後述する一般式(2)で表される溶剤を用いることが好ましく、一般式(1)で表される溶剤を用いることがより好ましく、酢酸アルキルを用いることが更により好ましく、酢酸ブチルを用いることが最も好ましい。
【0020】
アルコール系溶剤としては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール、3−メトキシ−1−ブタノール等の1価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等の、水酸基を含むグリコールエーテル系溶剤;等が挙げられる。これらの中でもグリコールエーテル系溶剤が好ましい。
【0021】
エーテル系溶剤としては、たとえば、上記水酸基を含むグリコールエーテル系溶剤;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の、水酸基を含まないグリコールエーテル系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。これらのなかでも、水酸基を含むグリコールエーテル系溶剤、水酸基を含まないグリコールエーテル系溶剤等のグリコールエーテル系溶剤が好ましい。
アミド系溶剤としては、たとえば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
炭化水素系溶剤としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルヘキサン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1−メチルプロピルベンゼン、2−メチルプロピルベンゼン、ジメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼン、ジプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;が挙げられる。これらの中でも、芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。
【0022】
有機系現像液に用いる有機溶剤としては、下記一般式(1)または(2)で表される溶剤が好ましい。
R
00−C(=O)−O−R
01 …(1)
R
02−C(=O)−O−R
03−O−R
04 …(2)
[式(1)中、R
00およびR
01はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、水酸基、シアノ基またはハロゲン原子であり、R
00およびR
01は互いに結合して環を形成してもよい。式(2)中、R
02及びR
04はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、水酸基、シアノ基またはハロゲン原子であり、R
02およびR
04は互いに結合して環を形成してもよく、R
03は、アルキレン基である。]
【0023】
式(1)中、R
00およびR
01におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、その炭素数は1〜5が好ましい。該アルキル基は置換基を有していてもよい。置換基としてはたとえば水酸基、カルボキシ基、シアノ基等が挙げられる。
アルコキシ基、アルコキシカルボニル基におけるアルキル基として前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R
00およびR
01は、それぞれ、水素原子またはアルキル基が好ましい。
式(1)で表される溶剤の具体例としては、たとえば酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等を挙げることができる。
式(1)で表される溶剤としては、上記の中でも、R
00およびR
01が無置換のアルキル基であるものが好ましく、酢酸アルキルがより好ましく、酢酸ブチルが特に好ましい。
【0024】
式(2)中、R
02およびR
04は、それぞれ前記R
00およびR
01と同様である。
R
03におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、その炭素数は1〜5が好ましい。該アルキレン基は置換基を有していてもよい。置換基としてはたとえば水酸基、カルボキシ基、シアノ基等が挙げられる。また、該アルキレン基の炭素数が2以上である場合、該アルキレン基の炭素原子間に酸素原子(−O−)が介在してもよい。
式(2)で表される溶剤の具体例としては、たとえばエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、等が挙げられる。
【0025】
前記式(1)または(2)で表される溶剤はいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、他の溶剤と混合して用いてもよい。
該他の溶剤としては、使用する式(1)または(2)で表される溶剤に分離することなく混合できるものであれば特に限定されず、たとえば上述したエステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤等のなかから適宜選択できる。
【0026】
有機系現像液に用いる有機溶剤としては、現像に用いる溶剤のコスト削減の観点から、ハロゲン原子を含まない有機溶剤を用いることが好ましい。有機系現像液の総重量に占めるハロゲン原子を含まない有機溶剤の含有量は、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
有機系現像液に用いる有機溶剤の沸点は、50℃以上250℃未満が望ましい。
有機系現像液に用いる有機溶剤の発火点は、200℃以上が望ましい。
【0027】
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としてはたとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0028】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0029】
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
【0030】
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C6F13基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C8F17基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0031】
界面活性剤としては、非イオン性の界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
【0032】
有機系現像液を用いた現像処理は、公知の現像方法におり実施でき、該方法としてはたとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0033】
上記現像処理の後、乾燥を行う前に、有機溶剤を含有するリンス液を用いてリンス処理することが好ましい。これにより、良好なパターン形成ができる。
リンス液に用いる有機溶剤としては、たとえば前記有機系現像液に用いる有機溶剤として挙げた有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用できる。通常、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤およびエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を使用する。これらのなかでも、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましく、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種類がより好ましく、アルコール系溶剤が特に好ましい。
リンス液に用いるアルコール系溶剤は、炭素数6〜8の1価アルコールが好ましく、該1価アルコールは直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。具体的には、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。これらのなかでも、1−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−ヘキサノールが好ましく、1−ヘキサノールまたは2−ヘキサノールがより好ましい。
これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。ただし現像特性を考慮すると、リンス液中の水の配合量は、リンス液の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下さらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としてはたとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、前記と同様のものが挙げられ、非イオン性の界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、リンス液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法におり実施でき、該方法としてはたとえば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
【0034】
≪第二の態様のレジストパターン形成方法≫
本発明の第二の態様のレジストパターン形成方法は、酸の作用により有機溶剤に対する溶解性が減少する基材成分(A’)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B’)とを含有するネガ型現像用レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を、前記有機溶剤を含有する有機系現像液を用いたネガ型現像によりパターニングしてレジストパターンを形成する工程、を含む。
前記ネガ型現像用レジスト組成物は、放射線が照射(露光)されると、酸発生剤成分(B’)から酸が発生し、該酸の作用により基材成分(A’)の有機溶剤に対する溶解性が減少する。そのため、該レジストパターン形成方法においては、該ネガ型現像用レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜における露光部の、前記有機溶剤を含有する有機系現像液に対する溶解性が減少する一方で、未露光部の有機系現像液に対する溶解性は変化しないため、該有機系現像液を用いたネガ型現像を行うことにより未露光部が除去されてレジストパターンが形成される。
本態様のレジストパターン形成方法は、使用するネガ型現像用レジスト組成物が異なる以外は前記第一の態様のレジストパターン形成方法と同様の手順で実施できる。
本態様のレジストパターン形成方法においては、該ネガ型現像用レジスト組成物として、前記基材成分(A’)および酸発生剤成分(B’)に加えて、さらに、酸の作用によりアルコール性水酸基を生じて親水性が増大する酸分解性基を含む含フッ素化合物からなる添加剤(F’)を含有し、前記基材成分(A’)が、前記酸分解性基を有さないものを用いることを特徴とする。該ネガ型現像用レジスト組成物としては、後で説明する本発明の第四の態様のネガ型現像用レジスト組成物が使用できる。
【0035】
≪第三の態様のネガ型現像用レジスト組成物≫
本発明の第三の態様のネガ型現像用レジスト組成物(以下、単にレジスト組成物ということがある。)は、酸の作用により有機溶剤に対する溶解性が減少する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)とを含有するものであり、該レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を、前記有機溶剤を含有する現像液を用いたネガ型現像によりパターニングしてレジストパターンを形成する工程、を含むレジストパターン形成方法において、前記レジスト組成物として用いられる。
かかるレジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の有機溶剤に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜における露光部の、前記有機溶剤を含有する有機系現像液に対する溶解性が減少する一方で、未露光部の該有機系現像液に対する溶解性は変化しないため、該有機系現像液を用いたネガ型現像を行うことにより未露光部が除去されてレジストパターンが形成される。
【0036】
<(A)成分>
本発明において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物を意味する。
基材成分としては、通常、分子量が500以上の有機化合物が用いられる。分子量が500以上であることにより、充分な膜形成能を備えるとともに、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上の高分子化合物が用いられる。本明細書および特許請求の範囲において「高分子化合物」は分子量が1000以上の重合体を示し、高分子化合物を「樹脂」ということがある。
高分子化合物の場合、「分子量」はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
【0037】
[樹脂成分(A1)]
本態様において、(A)成分は、少なくとも、酸の作用によりアルコール性水酸基を生じて親水性が増大する酸分解性基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)を有する樹脂成分(A1)(以下、(A1)成分という。)を含有する。
(A1)成分は、構成単位(a0)に加えて、さらに、−SO
2−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位およびラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位(a2)を有することが好ましい。
(A1)成分は、構成単位(a0)に加えて、または構成単位(a0)および(a2)に加えて、さらに、前記構成単位(a0)に該当しない、酸の作用により親水性が増大する酸分解性基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有していてもよい。
(A1)成分は、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有してもよい。
(A1)成分は、さらに、酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)を有してもよい。
【0038】
(構成単位(a0))
構成単位(a0)は、酸の作用によりアルコール性水酸基を生じて親水性が増大する酸分解性基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで本明細書および特許請求の範囲において、「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を有さない炭化水素基であり、該炭化水素基は、飽和、不飽和のいずれであってもよく、飽和であることが好ましい。
「酸分解性基」は、酸(露光により(B)成分から発生する酸)の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。該α位の炭素原子に結合する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての炭素数1〜5のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
α位の置換基としての炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記「α位の置換基としての炭素数1〜5のアルキル基」の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
【0039】
酸の作用によりアルコール性水酸基を生じて親水性が増大する酸分解性基としては、たとえば、アルコール性水酸基の水素原子を酸解離性基で置換した基が挙げられる。
「酸解離性基」は、酸(露光により(B)成分から発生する酸)の作用により、少なくとも、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基である。本発明において、酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成するアルコール性水酸基よりも親水性の低い基であることが必要で、これにより、アルコール性水酸基の水素原子を酸解離性基で置換した基において該酸解離性基が解離すると、アルコール性水酸基が生じて親水性が増大する。結果、(A1)成分全体の親水性が増大し、相対的に、有機系現像液に対する溶解性が減少する。
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができ、たとえば後述する構成単位(a1)の説明で挙げる酸解離性基と同様のものが挙げられる。
酸解離性基としては、特に、レジスト組成物とする際の有機溶剤(レジスト溶剤)、有機系現像液等に対する溶解性がより向上することから、第3級アルキル基含有酸解離性基またはアセタール型酸解離性基が好ましい。
【0040】
(第3級アルキル基含有酸解離性基)
「第3級アルキル基」は、第3級炭素原子を有するアルキル基を示す。「アルキル基」は、上述のように、1価の飽和炭化水素基を示し、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)のアルキル基および環状構造を有するアルキル基を包含する。
「第3級アルキル基含有酸解離性基」は、その構造中に第3級アルキル基を含む酸解離性基を示す。第3級アルキル基含有酸解離性基は、第3級アルキル基のみから構成されていてもよく、第3級アルキル基と、第3級アルキル基以外の他の原子または基とから構成されていてもよい。
第3級アルキル基とともに第3級アルキル基含有基を構成する前記「第3級アルキル基以外の他の原子または基」としては、たとえばカルボニルオキシ基、カルボニル基、アルキレン基、酸素原子(−O−)等が挙げられる。
【0041】
第3級アルキル基含有酸解離性基としては、環状構造を有さない第3級アルキル基含有酸解離性基、環状構造を有する第3級アルキル基含有酸解離性基等が挙げられる。
「環状構造を有さない第3級アルキル基含有酸解離性基」は、第3級アルキル基として分岐鎖状の第3級アルキル基を含有し、かつ、その構造内に環状構造を有さない酸解離性基である。
分岐鎖状の第3級アルキル基としては、たとえば下記一般式(I)で表される基が挙げられる。
【0043】
式(I)中、R
21〜R
23は、それぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。該アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、一般式(I)で表される基の全炭素数は、4〜7であることが好ましく、4〜6であることがより好ましく、4〜5であることが最も好ましい。
一般式(I)で表される基としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等が好ましく挙げられ、tert−ブチル基がより好ましい。
【0044】
環状構造を有さない第3級アルキル基含有酸解離性基としては、上述した分岐鎖状の第3級アルキル基;該分岐鎖状の第3級アルキル基が直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基に結合してなる第3級アルキル基含有鎖状アルキル基;第3級アルキル基として該分岐鎖状の第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニル基;第3級アルキル基として該分岐鎖状の第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基等が挙げられる。
【0045】
第3級アルキル基含有鎖状アルキル基におけるアルキレン基としては、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数〜2のアルキレン基がさらに好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、たとえば下記一般式(II)で表される基が挙げられる。
式(II)中のR
21〜R
23は、前記式(I)中のR
21〜R
23と同様である。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)、tert−ペンチルオキシカルボニル基が好ましい。
【0047】
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、たとえば下記一般式(III)で表される基が挙げられる。
式(III)中のR
21〜R
23は、前記式(I)中のR
21〜R
23と同様である。
fは1〜3の整数であり、1または2が好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−ブチルオキシカルボニルエチル基が好ましい。
【0049】
上記の中で、環状構造を有さない第3級アルキル基含有酸解離性基としては、第3級アルキルオキシカルボニル基または第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基が、露光前後での有機系現像液に対するコントラストの観点から好ましく、第3級アルキルオキシカルボニル基がより好ましく、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)が最も好ましい。
【0050】
「環状構造を有する第3級アルキル基含有酸解離性基」は、その構造内に、第3級炭素原子と環状構造とを有する酸解離性基である。
環状構造を有する第3級アルキル基含有酸解離性基において、環状構造は、環を構成する炭素数が4〜12であることが好ましく、5〜10であることがより好ましく、6〜10であることが最も好ましい。
環状構造としては、脂肪族環式基が好ましい。「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などの脂環式炭化水素基が挙げられる。また、これらの脂環式炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されたものであってもよい。
【0051】
環状構造を有する第3級アルキル基含有酸解離性基が有する第3級アルキル基としては、例えば、下記[1]または[2]の基が挙げられる。
[1]1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該第3級アルキル基に隣接する原子と結合する炭素原子にアルキル基が結合して第3級炭素原子が形成されている第3級アルキル基。
[2]1価の脂肪族環式基と、第3級炭素原子を有するアルキレン基(分岐鎖状のアルキレン基)とを有し、該第3級炭素原子が当該第3級アルキル基に隣接する原子に結合している第3級アルキル基。
前記[1]または[2]の基において、1価の脂肪族環式基としては前記環状構造の説明で挙げた脂肪族環式基と同様のものが挙げられる。
【0052】
前記[1]の基において脂肪族環式基に結合するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
前記[1]の基の具体例としては、たとえば下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
【0053】
【化4】
[式中、R
14はアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
【0054】
上記R
14のアルキル基としては、前記脂肪族環式基に結合するアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
上記式(1−1)〜(1−9)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
【0055】
前記[2]の基としては、たとえば下記化学式(IV)で表される基が挙げられる。
【0057】
式(IV)中、R
24は、置換基を有していてもよく有していなくてもよい脂肪族環式基である。該脂肪族環式基としては前記と同様のものが挙げられる。
R
25、R
26は、それぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。該アルキル基としては、前記式(I)中のR
21〜R
23のアルキル基と同様のものが挙げられる。
前記[2]の基の具体例としては、たとえば下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
【0058】
【化6】
[式中、R
15およびR
16は、それぞれ独立してアルキル基である。]
【0059】
式(2−1)〜(2−6)中、R
15〜R
16のアルキル基としては、前記R
14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
【0060】
環状構造を有する第3級アルキル基含有酸解離性基としては、たとえば、環状構造を有する第3級アルキル基;第3級アルキル基として該環状構造を有する第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニル基;第3級アルキル基として該環状構造を有する第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基等が挙げられる。
該環状構造を有する第3級アルキル基としては、たとえば上述した[1]または[2]の基が挙げられる。
該第3級アルキルオキシカルボニル基として具体的には、前記一般式(II)中の−C(R
21)(R
22)(R
23)部分を、環状構造を有する第3級アルキル基で置換した基が挙げられる。
該第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基として具体的には、前記一般式(III)中の−C(R
21)(R
22)(R
23)部分を、環状構造を有する第3級アルキル基で置換した基が挙げられる。
【0061】
第3級アルキル基含有酸解離性基としては、上記のなかでも、前記一般式(II)で表される基が好ましく、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)またはtert−ペンチルオキシカルボニル基が最も好ましい。
【0062】
(アセタール型酸解離性基)
アセタール型酸解離性基は、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性基と、当該アセタール型酸解離性基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
【0063】
【化7】
[式中、R
1’,R
2’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
【0064】
式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
R
1’,R
2’のアルキル基としては、上記アクリル酸エステルについての説明で、α位の置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R
1’,R
2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
【0065】
【化8】
[式中、R
1’、n、Yは上記と同じである。]
【0066】
Yのアルキル基としては、上記アクリル酸エステルについての説明で、α位の置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが例示できる。
【0067】
アセタール型酸解離性基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
【0068】
【化9】
[式中、R
17、R
18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり;R
19は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である。または、R
17およびR
19がそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であって、R
17の末端とR
19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
【0069】
R
17、R
18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特にR
17、R
18の一方が水素原子で、他方がメチル基であること、またはR
17およびR
18の両方が水素原子であることが好ましい。
R
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−ブチル基がさらに好ましく、エチル基またはn−ブチル基が最も好ましい。
R
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R
17及びR
19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R
19の末端とR
17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R
17と、R
19と、R
19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR
17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0070】
構成単位(a0)において、アセタール型酸解離性基の好ましい具体例としては、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−ブトキシメトキシ基、シクロヘキシルオキシメトキシ基、アダマンチルオキシメトキシ基、1−エトキシエトキシ基、1−n−ブトキシエトキシ基、1−シクロヘキシルオキシエトキシ基、1−アダマンチルオキシエトキシ基等が挙げられる。
【0071】
構成単位(a0)として、より具体的には、下記一般式(a0−1)で表される構成単位が挙げられる。
【0072】
【化10】
[式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;OZは前記酸分解性基であり;Y
1は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基であり;R
1は単結合または2価の連結基であり;aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、かつa+b=1〜3であり;d、eはそれぞれ独立して0〜3の整数である。]
【0073】
式(a0−1)中、Rのアルキル基、ハロゲン化アルキル基は、それぞれ、上記アクリル酸エステルについての説明で、α位の置換基として挙げたアルキル基、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
OZの酸分解性基としては前記と同様のものが挙げられる。具体的には、Zが前記酸解離性基(Oは酸素原子)であるものが挙げられる。Zとしては、第3級アルキル基含有酸解離性基またはアセタール型酸解離性基が好ましい。
【0074】
前記一般式(a0−1)中、Y
1は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基である。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
Y
1における脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
脂肪族炭化水素基が「置換基を有していてもよい」とは、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよいことを意味する。
Y
1における「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子と前記ヘテロ原子以外の基若しくは原子とを含む基であってもよい。具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基、アルキル基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基(低級アルキル基)、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
【0075】
Y
1が直鎖状、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である場合、炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。具体的には、鎖状のアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
【0076】
Y
1が環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)である場合、脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環(脂肪族環)の構造は、炭素および水素からなる環(炭化水素環)であることに限定はされず、その環(脂肪族環)の構造中に酸素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。また、「炭化水素環」は飽和、不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、多環式基、単環式基のいずれでもよい。脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。
また、当該脂肪族環式基としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいテトラヒドロフラン、テトラヒドロピランから2個以上の水素原子を除いた基等も挙げられる。
構成単位(a5)における脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましく、中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基が特に好ましい。
【0077】
R
1の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
炭化水素基が「置換基を有していてもよい」とは、当該炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよいことを意味する。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
前記脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
【0078】
前記脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH
2−]、エチレン基[−(CH
2)
2−]、トリメチレン基[−(CH
2)
3−]、テトラメチレン基[−(CH
2)
4−]、ペンタメチレン基[−(CH
2)
5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−C(CH
2CH
3)
2CH
2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。たとえば該脂肪族炭化水素基の水素原子の一部または全部を置換する置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0079】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該脂環式炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
該脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
該脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
該脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0080】
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
R
1における芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
該芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0081】
「ヘテロ原子を含む2価の連結基」におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基として具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−、−NH−、−NR
04(R
04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)−、−NH−C(=O)−、=N−等の非炭化水素基、これらの非炭化水素基の少なくとも1種と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。該2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい2価の炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0082】
R
1の2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、直鎖状のアルキレン基が特に好ましい。
R
1がアルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
R
1が2価の脂環式炭化水素基である場合、該脂環式炭化水素基としては、前記「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」で挙げた脂環族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該脂環式炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
【0083】
R
1がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−、一般式−A−O−B−、−[A−C(=O)−O]
m'−B−または−A−O−C(=O)−B−で表される基[式中、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
R
1が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アリール基(芳香族基)等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アリール基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−A−O−B−、−[A−C(=O)−O]
m'−B−または−A−O−C(=O)−B−中、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記でR
1における「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[A−C(=O)−O]
m'−B−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[A−C(=O)−O]
m'−B−で表される基としては、式−A−C(=O)−O−B−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CH
2)
a'−C(=O)−O−(CH
2)
b'−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエーテル結合またはエステル結合を含む基、が好ましく、前記式−A−O−B−、−[A−C(=O)−O]
m'−B−または−A−O−C(=O)−B−で表される基がより好ましい。
【0084】
前記一般式(a0−1)中、aは1〜3の整数であり、bは0〜2の整数であり、かつ、a+b=1〜3である。
aは1または2であることが好ましい。
bは0であることが好ましい。
a+bは1または2であることが好ましい。
dは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
eは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0085】
構成単位(a0)としては、前記式(a0−1)中のR
1が単結合または炭素数1〜3の直鎖状のアルキレン基であるものが好ましい。すなわち、下記一般式(a0−11)で表される構成単位が好ましい。
なかでも、下記一般式(a0−111)、(a0−112)又は(a0−113)で表される構成単位が好ましい。
【0086】
【化11】
[式(a0−11)中、R、OZ、Y
1、a、b、d、eはそれぞれ前記と同じであり、cは0〜3の整数である。]
【0087】
【化12】
[式中、R,OZ,b,c,d,eはそれぞれ前記と同じである。]
【0088】
【化13】
[式中、R,OZ,b,c,d,eはそれぞれ前記と同じである。]
【0089】
【化14】
[式中、R,OZ,a,b,c,d,eはそれぞれ前記と同じである。c”は1〜3の整数である。]
【0090】
式(a0−11)中、cは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
式(a0−113)中、c”は1〜3の整数であり、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
前記式(a0−113)におけるcが0の場合、アクリル酸エステルのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子は、環式基中の酸素原子に結合する炭素原子には結合していないことが好ましい。すなわち、cが0の場合、当該末端の酸素原子と当該環式基中の酸素原子との間には炭素原子が2つ以上存在する(この炭素原子の数が1である(すなわちアセタール結合となる)場合を除く)ことが好ましい。
【0091】
(A1)成分が含有する構成単位(a0)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中、構成単位(a0)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。10モル%以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、感度、解像性、LWR、EL等のリソグラフィー特性も向上する。
該割合の上限は特に限定されず、100モル%であってもよいが、基板密着性、感度、解像性、LWR、EL等のリソグラフィー特性を考慮すると、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。
【0092】
(構成単位(a1))
構成単位(a1)は、前記構成単位(a0)に該当しない、酸の作用により親水性が増大する酸分解性基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
「前記構成単位(a0)に該当しない」とは、「酸分解性基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位」あっても、前記構成単位(a0)に該当する構成単位は、構成単位(a1)には該当しないことを意味する。
構成単位(a1)における酸分解性基としては、酸の作用により分解してアルコール性水酸基を生じるもの以外であればよく、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを特に限定されずに使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基の水素原子を酸解離性基で置換したものが広く用いられている。かかる酸分解性基は、酸の作用により分解してカルボキシ基を生じる。
カルボキシ基の水素原子を置換する酸解離性基としては、カルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性基としては、たとえば前記構成単位(a0)の説明で挙げた第3級アルキル基含有酸解離性基における第3級アルキル基と同様のものが挙げられる。
アセタール型酸解離性基としては、前記構成単位(a0)の説明で挙げたアセタール型酸解離性基と同様のものが挙げられる。
【0093】
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
【0094】
【化15】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;X
1は酸解離性基であり;Y
2は2価の連結基であり;X
2は酸解離性基である。]
【0095】
一般式(a1−0−1)中のRは前記一般式(a0−1)のRと同様である。
X
1は、酸解離性基であれば特に限定されることはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
X
2は、式(a1−0−1)中のX
1と同様である。
Y
2の2価の連結基としては、特に限定されないが、前記構成単位(a0)の説明で、一般式(a0−1)中のR
1における2価の連結基として挙げたものと同様のものが挙げられる。それらのなかでも、Y
2の2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
【0096】
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
【0097】
【化16】
[式中、R、R
1’、R
2’、n、YおよびY
2はそれぞれ前記と同じであり、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性基を表す。]’
【0098】
式中、X’は、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基と同様のものが挙げられる。
R
1’、R
2’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR
1’、R
2’、n、Yと同様のものが挙げられる。
Y
2としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるY
2と同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0107】
本態様においては、構成単位(a1)として、下記一般式(a1−0−11)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−12)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−13)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。なかでも、式(a1−0−11)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−12)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。
【0108】
【化25】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R
21はアルキル基であり、R
22は、当該R
22が結合した炭素原子と共に脂肪族単環式基を形成する基であり、R
23は分岐鎖状のアルキル基であり、R
24は、当該R
24が結合した炭素原子と共に脂肪族多環式基を形成する基であり、R
25は炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。Y
2は2価の連結基であり、X
2は酸解離性基である。]
【0109】
各式中、R、Y
2、X
2についての説明は前記と同じである。
式(a1−0−11)中、R
21のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
R
22が、当該R
22が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族単環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、単環式基であるものと同様のものが挙げられる。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該モノシクロアルカンは、3〜11員環であることが好ましく、3〜8員環であることがより好ましく、4〜6員環がさらに好ましく、5または6員環が特に好ましい。
該モノシクロアルカンは、環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
また、該モノシクロアルカンは、置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基を有していてもよい。
かかる脂肪族単環式基を構成するR
22としては、たとえば、炭素原子間にエーテル基(−O−)が介在してもよい直鎖状のアルキレン基が挙げられる。
【0110】
式(a1−0−11)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−16)〜(a1−1−23)、(a1−1−27)、(a1−1−31)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)、(a1−1−27)、(a1−1−31)で表される構成単位を包括する下記(a1−1−02)で表される構成単位が好ましい。また、下記(a1−1−02’)で表される構成単位も好ましい。
各式中、hは、1または2が好ましい。
【0111】
【化26】
[式中、R、R
21はそれぞれ前記と同じであり、hは1〜3の整数である。]
【0112】
式(a1−0−12)中、R
23の分岐鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基で挙げた分岐鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、イソプロピル基が最も好ましい。
R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基の説明で挙げた脂肪族環式基のうち、多環式基であるものと同様のものが挙げられる。
式(a1−0−12)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−26)、(a1−1−28)〜(a1−1−30)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−12)で表される構成単位としては、R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−26)で表される構成単位が好ましい。
【0113】
式(a1−0−13)中、RおよびR
24はそれぞれ前記と同様である。
R
25の直鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14のアルキル基で挙げた直鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
式(a1−0−13)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−1)〜(a1−1−3)、(a1−1−7)〜(a1−1−15)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−13)で表される構成単位としては、R
24が、当該R
24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−1)または(a1−1−2)で表される構成単位が好ましい。
【0114】
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、前記式(a1−3)または(a1−4)で表される構成単位が挙げられ、特に式(a1−3)で表される構成単位が好ましい。
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、特に、式中のY
2が前記−A−O−B−、−[A−C(=O)−O]
m'−B−または−A−C(=O)−O−B−で表される基であるものが好ましい。
かかる構成単位として、好ましいものとしては、下記一般式(a1−3−01)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−02)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−03)で表される構成単位などが挙げられる。
【0115】
【化27】
[式中、Rは前記と同じであり、R
13は水素原子またはメチル基であり、R
14はアルキル基であり、yは1〜10の整数であり、n’は0〜3の整数である。]
【0116】
【化28】
[式中、Rは前記と同じであり、Y
2’およびY
2”はそれぞれ独立して2価の連結基であり、X’は酸解離性基であり、wは0〜3の整数である。]
【0117】
式(a1−3−01)〜(a1−3−02)中、R
13は、水素原子が好ましい。
R
14は、前記式(1−1)〜(1−9)中のR
14と同様である。
yは、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が最も好ましい。
n’は、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
式(a1−3−01)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−02)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位等が挙げられる。
【0118】
式(a1−3−03)中、Y
2’、Y
2” における2価の連結基としては、前記一般式(a1−3)におけるY
2と同様のものが挙げられる。
Y
2’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
Y
2”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性基であることが好ましく、上述した構成単位(a0)の説明で挙げた[1]の基(1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該第3級アルキル基に隣接する原子と結合する炭素原子にアルキル基が結合して第3級炭素原子が形成されている第3級アルキル基。)がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
wは0〜3の整数であり、wは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(a1−3−03)で表される構成単位としては、下記一般式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位が好ましく、中でも、式(a1−3−03−1)で表される構成単位が好ましい。
【0119】
【化29】
[式中、RおよびR
14はそれぞれ前記と同じであり、a’は1〜10の整数であり、b’は1〜10の整数であり、tは0〜3の整数である。]
【0120】
式(a1−3−03−1)〜(a1−3−03−2)中、a’は、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が特に好ましい。
b’は、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
tは1〜3の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−29)〜(a1−3−32)で表される構成単位が挙げられる。
【0121】
(A1)成分が含有する構成単位(a1)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、0〜50モル%が好ましく、5〜45モル%がより好ましく、10〜40モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、感度、解像性、LWR、EL等のリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0122】
(構成単位(a2))
構成単位(a2)は、−SO
2−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、構成単位(a2
S)という。)およびラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、構成単位(a2
L)という。)からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位である。
構成単位(a2)は、−SO
2−含有環式基またはラクトン環式基を含むことにより、当該(A1)成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の基板への密着性を高める。また、感度、解像性、LWR、EL等のリソグラフィー特性の向上に寄与する。
【0123】
・構成単位(a2
S):
構成単位(a2
S)は、−SO
2−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、−SO
2−含有環式基とは、その環骨格中に−SO
2−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO
2−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。−SO
2−含有環式基においては、その環骨格中に−SO
2−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
−SO
2−含有環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
−SO
2−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO
2−を含む環式基、すなわち−O−SO
2−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環であることが好ましい。
−SO
2−含有環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることが好ましく、4〜15であることがより好ましく、4〜12であることが特に好ましい。ただし、該炭素数は環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
−SO
2−含有環式基は、−SO
2−含有脂肪族環式基であってもよく、−SO
2−含有芳香族環式基であってもよい。好ましくは−SO
2−含有脂肪族環式基である。
−SO
2−含有脂肪族環式基としては、その環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO
2−または−O−SO
2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基が挙げられる。より具体的には、その環骨格を構成する−CH
2−が−SO
2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基、その環を構成する−CH
2−CH
2−が−O−SO
2−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基等が挙げられる。
該脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
該脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0124】
−SO
2−含有環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”(R”は水素原子又はアルキル基である。)、ヒドロキシアルキル基、シアノ基等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基のハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であることが好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
−SO
2−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される基が挙げられる。
【0125】
【化30】
[式中、A’は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、zは0〜2の整数であり、R
6はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、R”は水素原子またはアルキル基である。]
【0126】
前記一般式(3−1)〜(3−4)中、A’は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH
2−、−CH
2−O−CH
2−、−S−CH
2−、−CH
2−S−CH
2−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
zは0〜2のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
zが2である場合、複数のR
6はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
R
6におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記で−SO
2−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の「Ac」はアセチル基を示す。
【0132】
−SO
2−含有環式基としては、上記の中でも、前記一般式(3−1)で表される基が好ましく、前記化学式(3−1−1)、(3−1−18)、(3−3−1)および(3−4−1)のいずれかで表される基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(3−1−1)で表される基が最も好ましい。
【0133】
構成単位(a2
S)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−0)で表される構成単位が挙げられる。
【0134】
【化36】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R
5は−SO
2−含有環式基であり、R
29は単結合または2価の連結基である。]
【0135】
式(a2−0)中、Rは前記と同様である。
R
5は、前記で挙げた−SO
2−含有環式基と同様である。
R
29は、単結合、2価の連結基のいずれであってもよい。本発明の効果に優れることから、2価の連結基であることが好ましい。
R
29における2価の連結基としては、特に限定されず、たとえば、前記構成単位(a0)の説明中で挙げた一般式(a0−1)中のR
1における2価の連結基として挙げたものと同様のものが挙げられる。それらの中でも、アルキレン基、またはエステル結合(−C(=O)−O−)を含むものが好ましい。
該アルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。具体的には、前記Y
2における脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
エステル結合を含む2価の連結基としては、特に、一般式:−R
4−C(=O)−O−[式中、R
4は2価の連結基である。]で表される基が好ましい。すなわち、構成単位(a2
S)は、下記一般式(a2−0−1)で表される構成単位であることが好ましい。
【0136】
【化37】
[式中、RおよびR
5はそれぞれ前記と同様であり、R
4は2価の連結基である。]
【0137】
R
4としては、特に限定されず、たとえば、前記構成単位(a0)の説明中で挙げた一般式(a0−1)中のR
1における2価の連結基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
4の2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
該直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、前記Y
2で好ましいものとして挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
上記の中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、またはヘテロ原子として酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。
直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基またはエチレン基が好ましく、メチレン基が特に好ましい。
分岐鎖状のアルキレン基としては、アルキルメチレン基またはアルキルエチレン基が好ましく、−CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2−または−C(CH
3)
2CH
2−が特に好ましい。
酸素原子を含む2価の連結基としては、エーテル結合またはエステル結合を含む2価の連結基が好ましく、前記式−A−O−B−、−[A−C(=O)−O]
m'−B−または−A−O−C(=O)−B−で表される基がより好ましい。
なかでも、式−A−O−C(=O)−B−で表される基が好ましく、−(CH
2)
c−C(=O)−O−(CH
2)
d−で表される基が特に好ましい。cは1〜5の整数であり、1または2が好ましい。dは1〜5の整数であり、1または2が好ましい。
【0138】
構成単位(a2
S)としては、特に、下記一般式(a2−0−11)または(a2−0−12)で表される構成単位が好ましく、式(a2−0−12)で表される構成単位がより好ましい。
【0139】
【化38】
[式中、R、A’、R
6、zおよびR
4はそれぞれ前記と同じである。]
【0140】
式(a2−0−11)中、A’はメチレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましい。
R
4としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、または酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。R
4における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、前記で挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
式(a0−1−12)で表される構成単位としては、特に、下記一般式(a2−0−12a)または(a2−0−12b)で表される構成単位が好ましい。
【0141】
【化39】
[式中、RおよびA’はそれぞれ前記と同じであり、c〜eはそれぞれ独立に1〜3の整数である。]
【0142】
・構成単位(a2
L):
構成単位(a2
L)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、その環骨格中に−O−C(O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
構成単位(a2
L)におけるラクトン環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2
L)の例としては、たとえば前記一般式(a2−0)中のR
5をラクトン含有環式基で置換したものが挙げられ、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
【0143】
【化40】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R
29は単結合または2価の連結基であり、s”は0〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1である。]
【0144】
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記一般式(a0−1)におけるRと同様である。
R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
R”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
A”としては、前記一般式(3−1)中のA’と同様のものが挙げられる。A”は、炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−がより好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基またはジメチルメチレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
R
29は、前記一般式(a2−0)中のR
29と同様である。
式(a2−1)中、s”は1〜2であることが好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、R
αは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0150】
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−0)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−0)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、前記一般式(a2−0)、(a2−1)または(a2−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましい。
なかでも、前記式(a2−0−11)、(a2−0−12)、(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−2−12)、(a2−2−14)、(a2−3−1)、(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0151】
(A1)成分が含有する構成単位(a2)は1種であってもよく2種以上であってもよい。たとえば構成単位(a2)として、構成単位(a2
S)のみを用いてもよく、構成単位(a2
L)のみを用いてもよく、それらを併用してもよい。また、構成単位(a2
S)または構成単位(a2
L)として、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本態様においては、特に、構成単位(a2)として、少なくとも構成単位(a2
S)を有することが、本発明の効果に優れるため、好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、0〜70モル%であることが好ましく、20〜65モル%であることがより好ましく、25〜60モル%であることがさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、リソグラフィー特性が向上する。
【0152】
(構成単位(a3))
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)である。(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A1)成分の親水性が高まり、感度、解像性、LWR、EL等のリソグラフィー特性が向上する。
なお、構成単位(a3)は、前記構成単位(a0)〜(a2)には該当しない構成単位である。すなわち、「極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位」あっても、前記構成単位(a0)〜(a2)に該当する構成単位は、構成単位(a3)には該当しない。
【0153】
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、フッ素化アルコール基(アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基)等が挙げられる。これらの中でも、水酸基、カルボキシ基が好ましく、水酸基が特に好ましい。
構成単位(a3)において、脂肪族炭化水素基に結合する極性基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましく、1個が最も好ましい。
前記極性基が結合する脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0154】
前記「直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基」は、炭素数が1〜12であることが好ましく、1〜10がより好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。
該直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、水素原子の一部または全部が、前記極性基以外の置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。また、該直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子間にヘテロ原子を含む2価の基が介在してもよい。該「ヘテロ原子を含む2価の基」としては、前記構成単位(a1)の説明で、一般式(a1−0−2)中のY
2の2価の連結基として挙げた「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と同様のものが挙げられる。
前記脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状である場合、構成単位(a3)としては、下記一般式(a3−1)または(a3−2)で表される構成単位が好ましい。
【0155】
【化46】
[式中、Rは前記に同じであり、R
81は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、R
82は、ヘテロ原子を含む2価の基が介在してもよいアルキレン基である。]
【0156】
式(a3−1)中、R
81におけるアルキレン基は、炭素数が1〜12であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
式(a3−2)中、R
82におけるアルキレン基は、炭素数が1〜12であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6が特に好ましい。
該アルキレン基が炭素数2以上のアルキレン基である場合、該アルキレン基の炭素原子間に、ヘテロ原子を含む2価の基が介在してもよい。該「ヘテロ原子を含む2価の基」としては、前記構成単位(a1)の説明で、一般式(a1−0−2)中のY
2の2価の連結基として挙げた「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と同様のものが挙げられる。
R
82としては、特に、ヘテロ原子を含む2価の基が介在しないアルキレン基、またはヘテロ原子として酸素原子を含む2価の基が介在するアルキレン基が好ましい。
酸素原子を含む2価の基が介在するアルキレン基としては、−A−O−B−または−A−O−C(=O)−B−で表される基が好ましい。式中、A、Bはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、前記構成単位(a1)の説明で挙げた−A−O−B−または−A−O−C(=O)−B−におけるA、Bと同様のものが挙げられる。
これらのなかでも、−A−O−C(=O)−B−で表される基が好ましく、−(CH
2)
f−O−C(=O)−(CH
2)
g'−[式中、fおよびg’はそれぞれ独立に1〜3の整数である。]が好ましい。
【0157】
前記「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」としては、環状の脂肪族炭化水素基、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましい。また、該環状の脂肪族炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよく、多環式が好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基として、具体的には、たとえばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。たとえば単環式の脂肪族炭化水素基としては、炭素数3〜20のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式の脂肪族炭化水素基としては、炭素数7〜30のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記環状の脂肪族炭化水素基は、水素原子の一部または全部が、前記極性基以外の置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記脂肪族炭化水素基が、構造中に環を含む場合、構成単位(a3)としては、下記一般式(a3−3)、(a3−4)または(a3−5)で表される構成単位が好ましい。
【0158】
【化47】
[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、k’は1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、l’は1〜5の整数であり、s’は1〜3の整数である。]
【0159】
式(a3−3)中、jは1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−4)中、k’は1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−5)中、t’は1であることが好ましい。l’は1であることが好ましい。s’は1であることが好ましい。
式(a3−5)中、カルボニルオキシ基の酸素原子(−O−)は、ノルボルナン環の2位または3位に結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコール基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
【0160】
(A1)成分が含有する構成単位(a3)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a3)としては、上記一般式(a3−1)〜(a3−5)のいずれかで表される構成単位を有することが好ましく、一般式(a3−3)または(a3−4)で表される構成単位を有することがより好ましく、一般式(a3−3)で表される構成単位を有することが特に好ましい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対し、1〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0161】
(構成単位(a4))
構成単位(a4)は、酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、レジスト溶剤や有機系現像液に対する溶解性が高まり、感度、解像性、LWR、EL等のリソグラフィー特性およびディフェクティビティが向上する。
「酸非解離性の脂肪族環式基」は、露光により(B)成分から発生した際に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る脂肪族環式基である。
該脂肪族環式基としては、酸非解離性であれば特に限定されず、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。該脂肪族環式基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、飽和であることが好ましい。具体的には、前記構成単位(a0)において脂肪族環式基の説明で挙げたモノシクロアルカン、ポリシクロアルカン等のシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよく、上記効果に優れることから多環式であることが好ましい。特に、2〜4環式のものが好ましく、中でも、トリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基およびノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種が、工業上入手し易いなどの点で好ましい。
酸非解離性の脂肪族環式基の具体例としては、たとえば、当該脂肪族環式基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合していない1価の脂肪族環式基が挙げられる。具体的には、前記構成単位(a0)の説明で挙げた式(1−1)〜(1−9)で表される基におけるR
14を水素原子で置換した基;環骨格を構成する炭素原子のみによって形成された第3級炭素原子を有するシクロアルカンの前記第3級炭素原子から水素原子を除いた基;等が挙げられる。
該脂肪族環式基には、置換基が結合していてもよい。該置換基としては、たとえば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基等が挙げられる。
構成単位(a4)としては、下記一般式(a4−0)で表される構成単位が好ましく、特に、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)で表される構成単位が好ましい。
【0162】
【化48】
[式中、Rは前記と同じであり、R
40は酸非解離性の脂肪族多環式基である。]
【0163】
【化49】
[式中、Rは前記と同じである。]
【0164】
(A1)成分が含有する構成単位(a4)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる場合、(A1)成分中の構成単位(a4)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位に対し、1〜30モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましい。
【0165】
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a0)〜(a4)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
該他の構成単位は、上述の構成単位(a0)〜(a4)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
【0166】
(A1)成分としては、構成単位(a0)および(a2)を有する共重合体が好ましい。該共重合体としては、たとえば、構成単位(a0)および(a1)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)および(a2)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)、(a2)および(a4)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)、(a2)、(a3)および(a4)からなる共重合体等が挙げられる。
【0167】
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000がさらに好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、有機系現像液に対する溶解性も良好である。また、該範囲の下限値以上であると、ドライエッチング耐性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0168】
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH
2−CH
2−CH
2−C(CF
3)
2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF
3)
2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、ディフェクトの低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
各構成単位を誘導するモノマーは、それぞれ、市販のものを用いてもよく、公知の方法に製造したものを用いてもよい。
【0169】
(A)成分において、(A1)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
【0170】
本態様のレジスト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)成分として、前記(A1)成分に該当しない、酸の作用により有機系現像液に対する溶解性が減少する基材成分(以下「(A2)成分」という。)を含有してもよい。
(A2)成分としては、特に限定されず、従来、アルカリ現像液を用いたポジ型現像プロセスに用いられている化学増幅型ポジ型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂)から任意に選択して用いればよい。たとえばArFエキシマレーザー用のベース樹脂としては、前記構成単位(a1)を必須の構成単位として有し、任意に前記構成単位(a2)〜(a4)のうちの1種以上をさらに有する樹脂が挙げられる。また、(A2)成分として、分子量が500以上4000未満の非重合体(低分子化合物)を配合してもよい。
(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0171】
本態様のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
【0172】
<(B)成分>
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
【0173】
【化50】
[式中、R
1”〜R
3”,R
5”〜R
6”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR
1”〜R
3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R
4”は、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはアルケニル基を表し;R
1”〜R
3”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R
5”〜R
6”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
【0174】
式(b−1)中、R
1”〜R
3”はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR
1”〜R
3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R
1”〜R
3”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R
1”〜R
3”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R
1”〜R
3”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
【0175】
R
1”〜R
3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
該アリール基は、置換基を有していてもよい。「置換基を有する」とは、当該アリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味し、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシアルキルオキシ基、−O−R
50−C(=O)−(O)
n−R
51[式中、R
50はアルキレン基または単結合であり、R
51は酸解離性基または酸非解離性基であり、nは0または1である。]等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0176】
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、−O−C(R
47)(R
48)−O−R
49[式中、R
47およびR
48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R
49はアルキル基であり、R
48およびR
49は相互に結合して一つの環構造を形成していても良い。ただし、R
47およびR
48のうち少なくとも1つは水素原子である。]が挙げられる。
R
47、R
48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
そして、R
47およびR
48は、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることが好ましく、R
47およびR
48がいずれも水素原子であることが特に好ましい。
R
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
R
49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
R
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10であることが最も好ましい。
具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R
48およびR
49は、相互に結合して一つの環構造を形成していても良い。この場合、R
48とR
49と、R
49が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR
48が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。
【0177】
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよい−O−R
50−C(=O)−(O)
n−R
51中、R
50におけるアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、その炭素数は1〜5が好ましい。該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
R
51における酸解離性基としては、酸(露光時に(B)成分から発生する酸)の作用により解離しうる有機基であれば特に限定されず、たとえば前記構成単位(a0)の説明で挙げた酸解離性基と同様のものが挙げられる。中でも、第3級アルキルエステル型のものが好ましい。
R
51における酸非解離性基としては、たとえば、置換基を有していてもよい直鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよい分岐鎖状のアルキル基(ただし第3級アルキル基を除く。)、酸非解離性の脂肪族環式基等が挙げられる。酸非解離性の脂肪族環式基としては前記構成単位(a4)の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。好ましい酸非解離性基としては、デシル基、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)メチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基が挙げられる。
【0178】
R
1”〜R
3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
該アルキル基は、置換基を有していてもよい。「置換基を有する」とは、当該アルキル基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味し、該置換基としては、前記アリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0179】
式(b−1)中、R
1”〜R
3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。該環は、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。また、該環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。たとえば環を形成する2つのうちの一方または両方が環式基(環状のアルキル基またはアリール基)である場合、それらが結合すると、多環式の環(縮合環)が形成される。
R
1”〜R
3”のうちの2つが結合して環を形成する場合、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。
R
1”〜R
3”のうちの2つが結合して形成される環の具体例としては、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、9H−チオキサンテン、チオキサントン、チアントレン、フェノキサチイン、テトラヒドロチオフェニウム、テトラヒドロチオピラニウムなどが挙げられる。
R
1”〜R
3”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つはアリール基であることが好ましい。
【0180】
式(b−1)で表される化合物のカチオン部のうち、R
1”〜R
3”が全て、置換基を有していてもよいフェニル基である場合、つまり当該カチオン部がトリフェニルスルホニウム骨格を有する場合の好ましい具体例としては、たとえば、下記式(I−1−1)〜(I−1−14)で表されるカチオン部が挙げられる。
【0183】
また、これらのカチオン部におけるフェニル基の一部または全部が、置換基を有していてもよいナフチル基で置換されたものも好ましいものとして挙げられる。3つのフェニル基のうち、ナフチル基で置換されるのは、1または2が好ましい。
【0184】
また、式(b−1)で表される化合物のカチオン部のうち、R
1”〜R
3”のうちのいずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成している場合の好ましい具体例としては、たとえば、下記式(I−11−10)〜(I−11−13)で表されるカチオン部が挙げられる。
【0185】
【化53】
[式中、R
9は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基または炭素数1〜5のアルキル基であり、R
10は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または水酸基であり、uは1〜3の整数である。]
【0186】
【化54】
[式中、Z
4は単結合、メチレン基、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、カルボニル基、−SO−、−SO
2−、−SO
3−、−COO−、−CONH−または−N(R
N)−(該R
Nは炭素数1〜5のアルキル基である。)であり;R
41〜R
46はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n
1〜n
5はそれぞれ独立して0〜3の整数であり、n
6は0〜2の整数である。]
【0187】
式(I−11−10)〜(I−11−11)中、R
9〜R
10において、フェニル基またはナフチル基が有していてもよい置換基としては、R
1”〜R
3”におけるアリール基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。また、R
9〜R
10におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、R
1”〜R
3”におけるアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
式(I−11−12)〜(I−11−13)中、R
41〜R
46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R
41〜R
46に付された符号n
1〜n
6が2以上の整数である場合、複数のR
41〜R
46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n
1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n
2およびn
3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n
4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n
5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n
6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
【0188】
式(b−1)〜(b−2)中、R
4”は、置換基を有していても良いアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。
R
4”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良い。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
R
4”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R
4”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R
4”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R
4”において、「置換基を有していても良い」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていても良いことを意味する。
R
4”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0189】
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q
1−[式中、Q
1は酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R
4”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0190】
X−Q
1−で表される基において、Q
1は酸素原子を含む2価の連結基である。
Q
1は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R
91−O−、−R
92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R
93−、−C(=O)−O−R
93−O−C(=O)−(式中、R
91〜R
93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
R
91〜R
93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH
2−];−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−]等が挙げられる。
Q
1としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R
91−O−、−R
92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−O−R
93−または−C(=O)−O−R
93−O−C(=O)−が好ましい。
【0191】
X−Q
1−で表される基において、Xの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0192】
Xにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
Xにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Xにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
「ヘテロ原子を含む置換基」(以下、ヘテロ原子含有置換基ということがある。)は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
【0193】
前記脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部を置換してもよいヘテロ原子含有置換基としては、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−等が挙げられる。−NH−である場合、そのHを置換してもよい置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜5であることが特に好ましい。
脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
【0194】
前記脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換してもよいヘテロ原子含有置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、−C(=O)−R
80[R
80はアルキル基である。]、−COOR
81[R
81は水素原子またはアルキル基である。]、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、酸素原子(=O)、硫黄原子、スルホニル基(SO
2)等が挙げられる。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのアルコキシ基におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状の何れであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。その炭素数は1〜30が好ましい。該アルキル基が直鎖状または分岐鎖状である場合、その炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜17であることがより好ましく、1〜15であることがさらに好ましく、1〜10が特に好ましい。具体的には、この後例示する直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基の具体例と同様のものが挙げられる。該アルキル基が環状である場合(シクロアルキル基である場合)、その炭素数は、3〜30であることが好ましく、3〜20がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、炭素数4〜12であることが特に好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。該アルキル基は単環式であってもよく、多環式であってもよい。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等を例示できる。前記モノシクロアルカンとして、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、前記ポリシクロアルカンとして、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。これらのシクロアルキル基は、その環に結合した水素原子の一部または全部が、フッ素原子、フッ素化アルキル基等の置換基で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
前記ヘテロ原子含有置換基としての−C(=O)−R
80、−COOR
81において、R
80、R
81におけるアルキル基としては、前記アルコキシ基におけるアルキル基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのハロゲン化アルキル基におけるアルキル基としては、前記アルコキシ基におけるアルキル基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が特に好ましい。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのハロゲン化アルコキシ基としては、前記アルコキシ基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルコキシ基としては、フッ素化アルコキシ基が好ましい。
前記ヘテロ原子含有置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、前記アルコキシ基におけるアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基が有する水酸基の数は、1〜3が好ましく、1が最も好ましい。
【0195】
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。不飽和炭化水素基としてはプロペニル基が特に好ましい。
【0196】
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)
2−、−S(=O)
2−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば以下の式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
【0197】
【化55】
[式中、Q”は、酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよいアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、mは0または1の整数である。]
【0198】
式中、Q”におけるアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましく、その炭素数は1〜5が好ましい。具体的には、メチレン基[−CH
2−];−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2−];−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−]等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基またはアルキルメチレン基が好ましく、メチレン基、−CH(CH
3)−または−C(CH
3)
2−が特に好ましい。
該アルキレン基は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい。その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−R
94−、−S−R
95−、−R
96−O−R
97−、−R
98−S−R
99−等が挙げられる。ここで、R
94〜R
99はそれぞれ独立にアルキレン基である。該アルキレン基としては、前記Q”におけるアルキレン基として挙げたアルキレン基と同様のものが挙げられる。中でも、−O−CH
2−、−CH
2−O−CH
2−、−S−CH
2−、−CH
2−S−CH
2−等が好ましい。
【0199】
これらの脂肪族環式基は、水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、−C(=O)−R
80[R
80はアルキル基である。]、−COOR
81[R
81は水素原子またはアルキル基である。]、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、酸素原子(=O)、硫黄原子、スルホニル基(SO
2)等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基としては、前記ヘテロ原子含有置換基としてのアルコキシ基におけるアルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
該アルキル基としては、特に、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのハロゲン原子、アルコキシ基、−C(=O)−R
80、−COOR
81、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基としては、それぞれ、前記脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換してもよいヘテロ原子含有置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
脂肪族環式基の水素原子を置換する置換基としては、上記の中でも、アルキル基、酸素原子(=O)、水酸基が好ましい。
脂肪族環式基が有する置換基の数は、1つであってもよく、2以上であってもよい。置換基を複数有する場合、該複数の置換基はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0200】
Xとしては、置換基を有していてもよい環式基が好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
【0201】
R
4”が置換基としてX−Q
1−を有する場合、R
4”としては、X−Q
1−Y
1−[式中、Q
1およびXは前記と同じであり、Y
1は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X−Q
1−Y
1−で表される基において、Y
1のアルキレン基としては、前記Q
1で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
Y
1として、具体的には、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
2CF
3)−、−C(CF
3)
2−、−CF
2CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2CF
2−、−CF
2CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
3)CF(CF
3)−、−C(CF
3)
2CF
2−、−CF(CF
2CF
3)CF
2−、−CF(CF
2CF
2CF
3)−、−C(CF
3)(CF
2CF
3)−;−CHF−、−CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2−、−CH(CF
3)CH
2−、−CH(CF
2CF
3)−、−C(CH
3)(CF
3)−、−CH
2CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2CF
2−、−CH(CF
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CF
3)CH
2−、−CH(CF
3)CH(CF
3)−、−C(CF
3)
2CH
2−;−CH
2−、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−CH
2CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−、−CH(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−等が挙げられる。
【0202】
Y
1としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2−、−CF
2CF
2CF
2CF
2−、−CF(CF
3)CF
2CF
2−、−CF
2CF(CF
3)CF
2−、−CF(CF
3)CF(CF
3)−、−C(CF
3)
2CF
2−、−CF(CF
2CF
3)CF
2−;−CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2−;−CH
2CH
2CH
2CF
2−、−CH
2CH
2CF
2CF
2−、−CH
2CF
2CF
2CF
2−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF
2−、−CF
2CF
2−、−CF
2CF
2CF
2−、又はCH
2CF
2CF
2−が好ましく、−CF
2−、−CF
2CF
2−又は−CF
2CF
2CF
2−がより好ましく、−CF
2−が特に好ましい。
【0203】
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
【0204】
式(b−2)中、R
5”〜R
6”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R
5”〜R
6”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R
5”〜R
6”のすべてがアリール基であることが好ましい。
R
5”〜R
6”のアリール基としては、R
1”〜R
3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R
5”〜R
6”のアルキル基としては、R
1”〜R
3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R
5”〜R
6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR
4”としては上記式(b−1)のR
4”と同様のものが挙げられる。
【0205】
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート、1−アダマンタンスルホネート、2−ノルボルナンスルホネート、d−カンファー−10−スルホネート等の、置換基を有していてもよいアルキルスルホネート、またはベンゼンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート等の芳香族スルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を下記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩も用いることができる。
【0206】
【化56】
[式中、pは1〜3の整数であり、v0は0〜3の整数であり、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、t3は1〜3の整数であり、R
7は置換基であり、R
8は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。]
【0207】
【化57】
[式中、p、R
7、Q”はそれぞれ前記と同じであり、n1〜n5はそれぞれ独立に0または1であり、v1〜v5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w5はそれぞれ独立に0〜3の整数である。]
【0208】
R
7の置換基としては、アルキル基、ヘテロ原子含有置換基等が挙げられる。アルキル基としては、前記Xの説明で、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。また、ヘテロ原子含有置換基としては、前記Xの説明で、脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部を置換してもよいヘテロ原子含有置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
R
7に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のR
7はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
R
8におけるアルキル基、ハロゲン化アルキル基としては、それぞれ、上記Rにおけるアルキル基、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
r1〜r2、w1〜w5は、それぞれ、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましい。
v0〜v5は0〜2が好ましく、0または1が最も好ましい。
t3は、1または2が好ましく、1であることが最も好ましい。
q3は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1であることが最も好ましい。
【0209】
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
【0210】
【化58】
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0211】
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
【0212】
また、前記一般式(b−1)または(b−2)において、アニオン部(R
4"SO
3-)を、R
7"−COO
-[式中、R
7"はアルキル基またはフッ素化アルキル基である。]に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)または(b−2)と同様)。
R
7"としては、前記R
4"と同様のものが挙げられる。
上記「R
7"−COO
-」の具体的としては、トリフルオロ酢酸イオン、酢酸イオン、CF
3CF
2CF
2COO
-、1−アダマンタンカルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0213】
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
【0214】
【化59】
(式(B−1)中、R
31、R
32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
【0215】
R
31、R
32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
R
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R
32のアルキル基、アリール基としては、前記R
31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
R
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
【0216】
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
【0217】
【化60】
[式(B−2)中、R
33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R
34はアリール基である。R
35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
【0218】
【化61】
[式(B−3)中、R
36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R
37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R
38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
【0219】
前記一般式(B−2)において、R
33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
R
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
R
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
R
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
【0220】
前記一般式(B−3)において、R
36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R
33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
R
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R
34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
【0221】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
【0223】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
【0224】
(B)成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0225】
<任意成分>
本態様のレジスト組成物は、任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有してもよい。
(D)成分としては、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよい。
(D)成分としては、通常、低分子化合物(非重合体)が用いられている。(D)成分としては、たとえば脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミンが挙げられ、脂肪族アミンが好ましく、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNH
3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、たとえば、アニリン、N,N−ジブチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2,2’−ジビリジル、4,4’−ジビリジルなどが挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
【0226】
本態様のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
【0227】
本態様のレジスト組成物には、さらに、所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
本態様のレジスト組成物は、添加剤として、特に、含フッ素化合物からなる添加剤(F)(以下、(F)成分という。)を含有することが好ましい。(F)成分を含有することにより、形成されるレジストパターンの形状(断面形状の矩形性、LWR等)が向上する。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、(F)成分は、フッ素原子を含有することで、レジスト膜を形成した際に、該レジスト膜の表面近傍に偏在する傾向がある。そのため、(F)成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、(F)成分を含有しない場合に比べて、表面の疎水性が高くなる。これが前記有機系現像液との親和性を向上させ、形状改善に寄与していると考えられる。
(F)成分としては、特に限定されず、これまでレジスト組成物の添加剤として公知の含フッ素化合物のなかから適宜選択して使用できる。
より具体的に説明すると、(F)成分は、高分子化合物(重合体)と、低分子化合物(非重合体)とに大別でき、いずれか一方を用いてもよく、それらを併用してもよい。
(F)成分として用いられる高分子化合物としては、たとえば、フッ素原子を含む構成単位(以下、構成単位(f1)という。)を有する高分子化合物(以下、(F1)成分という。)が挙げられる。(F1)成分としては、構成単位(f1)の1種又は2種以上からなる高分子化合物(単独重合体または共重合体);構成単位(f1)と、構成単位(f1)以外の他の構成単位、すなわちフッ素原子を含まない構成単位(以下、構成単位(f2)という。)とからなる高分子化合物(共重合体)等が挙げられる。
(F)成分として用いられる低分子化合物としては、たとえば、前記構成単位(f1)を誘導するモノマーが挙げられる。
(F)成分は、レジスト膜表面の疎水化によるネガ型現像液に対する溶解速度向上の点から、少なくとも(F1)成分を含有することが好ましい。
【0228】
本態様において用いられる(F)成分は、さらに、酸の作用によりアルコール性水酸基を生じて親水性が増大する酸分解性基を含むものであることが好ましい。これにより、(F)成分として該酸分解性基を含まないものを用いる場合に比べて、リソグラフィー特性を向上させることができる。
該酸分解性基としては、前記構成単位(a0)の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
(F)成分が(F1)成分である場合、該酸分解性基は、構成単位(f1)中に含まれてもよく、構成単位(f2)中に含まれてもよい。すなわち、(F1)成分は、前記酸分解性基を有し且つフッ素原子を含む構成単位(以下、構成単位(f1−0)ということがある。)を有してもよく、前記酸分解性基を有し且つフッ素原子を含まない構成単位(以下、構成単位(f2−0)ということがある。)を有してもよい。リソグラフィー特性を向上させる点から、少なくとも、構成単位(f2−0)を有することが好ましい。すなわち、(F1)成分は、構成単位(f1)と、構成単位(f2−0)とを有することが好ましい。このとき、構成単位(f1)として、構成単位(f1−0)を有してもよく、有さなくてもよい。
構成単位(f1−0)の例としては、たとえば前記構成単位(a0)に該当する構成単位のうち、構造中にフッ素原子を含むものが挙げられる。また、構成単位(f2−0)の例としては、たとえば前記構成単位(a0)に該当する構成単位のうち、構造中にフッ素原子を含まないものが挙げられる。
【0229】
構成単位(f1)の「主鎖」は、特に限定されず、たとえば、アクリル酸エステルから誘導される構成単位、主鎖が環状型の構成単位(以下「主鎖環状型構成単位」という。)、が好適なものとして挙げられる。これらの中でもアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」の定義は前記構成単位(a0)の説明で述べたとおりである。
「主鎖環状型構成単位」とは、単環または多環式の環構造を有し、該環構造の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が主鎖を構成する構成単位をいう。
以下、(F1)成分についてより詳細に説明する。
【0230】
[構成単位(f1)]
構成単位(f1)は、フッ素原子を含むものであれば特に制限されず、たとえば、側鎖にフッ素原子を含むものでもよく、主鎖にフッ素原子が直接結合しているものでもよい。なかでも、側鎖にフッ素原子を含むものが好ましい。
側鎖にフッ素原子を含む構成単位として好適なものとして、たとえば、下記一般式(f1−1−0)で表される基を側鎖に含む構成単位(以下、構成単位(f1−1)という。)、酸の作用により解離して親水基を生じる酸分解性基およびフッ素原子を側鎖に含む構成単位(以下、構成単位(f1−2)という。)、酸非解離性の炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を側鎖に含む構成単位(以下、構成単位(f1−3)という。)等が挙げられる。
【0231】
【化63】
[式(f1−1−0)中、R
8はフッ素原子を有する有機基である。ただし、−C(=O)−の炭素原子は主鎖に直接結合していないものとする。]
【0232】
(構成単位(f1−1))
構成単位(f1−1)は、前記式(f1−1−0)で表される基を側鎖に含む。
式(f1−1−0)中、R
8は、フッ素原子を有する有機基である。
「有機基」とは、少なくとも1つの炭素原子を含む基をいう。
R
8の構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。
R
8の炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10がさらに好ましく、炭素数1〜5が特に好ましい。
R
8は、レジスト膜の疎水性が高まることから、フッ素化率が25%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。「フッ素化率」とは、当該有機基における水素原子とフッ素原子との合計数に対するフッ素原子数の割合(%)をいう。
【0233】
R
8として具体的には、置換基を有していてもよいフッ素化炭化水素基が好適に挙げられる。フッ素化炭化水素基は、炭化水素基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基であり、置換基として、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基を有していてもよい。該置換基としては、たとえば炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
該フッ素化炭化水素基において、炭化水素基(フッ素化されていないもの)は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、なかでも脂肪族炭化水素基であることが好ましい。「脂肪族炭化水素基」は、芳香族性を有さない炭化水素基である。R
8における脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和のいずれでもよく、通常は飽和であることが好ましい。すなわち、R
8としては、フッ素化飽和炭化水素基又はフッ素化不飽和炭化水素基であることが好ましく、フッ素化飽和炭化水素基、すなわちフッ素化アルキル基であることが特に好ましい。
フッ素化アルキル基としては、下記に挙げる無置換のアルキル基(後述の置換基を有さないもの)の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
フッ素化アルキル基は、無置換のアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基であってもよく、無置換のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であってもよい。
【0234】
無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、また、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と、環状アルキル基との組み合わせであってもよい。
無置換の直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましい。具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等が挙げられる。
無置換の分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜8がより好ましい。分岐鎖状のアルキル基としては、第3級アルキル基が好ましい。
無置換の環状のアルキル基としては、例えば、モノシクロアルカン、またはビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のモノシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等のポリシクロアルキル基などが挙げられる。
無置換の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と、環状アルキル基との組み合わせとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
【0235】
R
8において、フッ素化アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましい。なかでも、疎水性向上の点から、下記一般式(VII−1)または(VII−2)で表される基が好ましく、式(VII−1)で表される基が特に好ましい。
−R
85−R
86 …(VII−1)
−C(R
87)(R
88)(R
89) …(VII−2)
[式(VII−1)中、R
85は無置換の炭素数1〜9のアルキレン基であり、R
86は炭素数1〜9のフッ素化アルキル基である。但し、R
85とR
86との炭素数の合計は10以下である。式(VII−2)中、R
87〜R
89は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であり、R
87〜R
89の少なくとも1つはフッ素化アルキル基である。]
【0236】
式(VII−1)中、R
85のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。また、その炭素数は1〜5が好ましい。
R
85としては、特に、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
R
86としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。なかでも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が好ましい。
式(VII−2)中、R
87〜R
89のアルキル基としては、エチル基またはメチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。フッ素化アルキル基は、該アルキル基の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換したものが挙げられる。
R
87〜R
89のうち、少なくとも1つはフッ素化アルキル基であり、全てがフッ素化アルキル基であってもよい。
【0237】
式(f1−1−0)で表される基は、当該構成単位の主鎖に直接結合しない。つまり、前記式(f1−1−0)中、−C(=O)−の炭素原子は、主鎖に直接結合しない。
ここで、「主鎖に直接結合する」とは、前記式(f1−1−0)における−C(=O)−の炭素原子と、たとえば当該高分子化合物の主鎖を構成する炭素原子(たとえばアクリル酸エステルから誘導される構成単位の場合、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂する前に当該二重結合を形成していた炭素原子を示し、前記主鎖環状構成単位の場合、その環構造の環上の炭素原子であって主鎖を構成するものを示す。)とが直接結合することを意味する。
【0238】
構成単位(f1−1)としては、有機溶剤への溶解性が良好であり、レジスト膜表面の疎水性がより高いことから、下記一般式(f1−1−1)で表される構成単位が好ましい。
【0239】
【化64】
[式(f1−1−1)中、Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Q
0は単結合又は二価の連結基であり、R
8はフッ素原子を有する有機基である。]
【0240】
式(f1−1−1)中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rのアルキル基又はハロゲン化アルキル基は、前記一般式(a0−1)中のRのアルキル基又はハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
前記式(f1−1−1)中のR
8は、フッ素原子を有する有機基であり、上記式(f1−1−0)におけるR
8と同様のものが挙げられる。
前記式(f1−1−1)中、Q
0は、単結合又は二価の連結基である。
Q
0における二価の連結基は、たとえば、置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む基等が好適なものとして挙げられる。
【0241】
「置換基を有していてもよい炭化水素基」において、「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
Q
0における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
ここでいう脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。かかる脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
Q
0における、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基[−(CH
2)
2−]、トリメチレン基[−(CH
2)
3−]、テトラメチレン基[−(CH
2)
4−]、ペンタメチレン基[−(CH
2)
5−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)
2−、−C(CH
3)(CH
2CH
3)−、−C(CH
3)(CH
2CH
2CH
3)−、−C(CH
2CH
3)
2−等のアルキルメチレン基;−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH(CH
3)−、−C(CH
3)
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−等のアルキルエチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状(直鎖状、分岐鎖状)の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0242】
Q
0における、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個を除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。
単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0243】
Q
0における、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、1価の芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた2価の芳香族炭化水素基;
当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;
ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等でかつその芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基;等が挙げられる。
なかでも、前記2価の芳香族炭化水素基が好ましく、フェニル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基、ナフチル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基が特に好ましい。
前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0244】
上記のなかでも、Q
0における、置換基を有していてもよい炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基がより好ましく、メチレン基、エチレン基、−CH(CH
3)−、テトラシクロドデカニル基から水素原子をさらに1つ除いた基、フェニル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基が特に好ましい。
【0245】
「ヘテロ原子を含む基」において、ヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む基としては、たとえば、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR
05(R
05はアルキル基)−、−NH−C(=O)−、=N−等の非炭化水素基、該非炭化水素基と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。該2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
ヘテロ原子を含む基としては、前記非炭化水素基と2価の炭化水素基との組み合わせがより好ましく、具体的には、前記非炭化水素基と上記脂肪族炭化水素基との組み合わせ、上記脂肪族炭化水素基と前記非炭化水素基と上記脂肪族炭化水素基との組み合わせが特に好ましい。
【0246】
構成単位(f1−1)の好適なものとしては、たとえば、下記一般式(f1−1−10)又は一般式(f1−1−20)で表される構成単位が挙げられる。
【0247】
【化65】
[式中、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは二価の有機基であり、A
arylは置換基を有していてもよい二価の芳香族環式基であり、X
01は単結合又は二価の連結基であり;R
8はそれぞれ独立してフッ素原子を有する有機基である。]
【0248】
式(f1−1−10)または(f1−1−20)中、R
8は前記と同様のものが挙げられる。それらのなかでも、フッ素化炭化水素基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がさらに好ましく、−CH
2−CF
3、−CH
2−CF
2−CF
3、−CH(CF
3)
2、−CH
2−CF
2−CF
2−CF
3、−CH
2−CH
2−CF
2−CF
2−CF
3、−CH
2−CH
2−CF
2−CF
2−CF
2−CF
3が特に好ましい。
Rにおけるアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、ハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記Rのアルキル基の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基がより好ましい。
一般式(f1−1−10)中、Xは、二価の有機基である。Xとしては、置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む基等が好適なものとして挙げられ、それぞれ、上記Q
0の二価の連結基についての説明における、置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロ原子を含む基と同様のものが挙げられる。
【0249】
一般式(f1−1−20)中、A
arylは、置換基を有していてもよい二価の芳香族環式基である。A
arylとして具体的には、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環から2個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
A
arylにおける芳香族環式基の環骨格としては、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環又はナフタレン環が特に好ましい。
A
arylにおいて、芳香族環式基が有してもよい置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。A
arylの芳香族環式基が有してもよい置換基としては、フッ素原子であることが好ましい。
A
arylの芳香族環式基としては、置換基を有さないものであってもよく、置換基を有するものでもよく、置換基を有さないものであることが好ましい。
A
arylにおいて、芳香族環式基が置換基を有するものである場合、置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよく、1つ又は2つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
一般式(f1−1−20)中、X
01は、単結合または二価の連結基である。該二価の連結基としては、上記Q
0の二価の連結基についての説明で挙げた、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む基が好適なものとして挙げられ、具体的には、炭素数1〜10のアルキレン基、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−C(=O)−、又はこれらの組み合わせなどが好ましく、−O−と炭素数1〜10のアルキレン基との組み合わせ、−C(=O)−O−と炭素数1〜10のアルキレン基との組み合わせがより好ましい。該炭素数1〜10のアルキレン基としては、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキレン基が挙げられ、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、炭素数4〜10の環状のアルキレン基が好ましい。
【0250】
前記一般式(f1−1−10)で表される構成単位の中で好適なものとして、下記一般式(f1−1−11)〜(f1−1−16)で表される構成単位が挙げられる。
また、前記一般式(f1−1−20)で表される構成単位の中で好適なものとして、下記一般式(f1−1−21)〜(f1−1−26)で表される構成単位が挙げられる。
【0255】
前記一般式(f1−1−11)〜(f1−1−16)、(f1−1−21)〜(f1−1−26)中、RおよびR
8はそれぞれ前記と同じであり;R
51〜R
52はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基であり;R
53〜R
54はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であり;a1、a2、a3、a5、a7、a9、およびa11〜a13はそれぞれ独立して1〜5の整数であり;a4、a6、a8、およびa10はそれぞれ独立して0〜5の整数であり;a14〜a16は0〜5の整数であり;b1〜b5はそれぞれ独立して0または1であり;R
9はいずれも置換基であり、e1は0〜2の整数である。A
1は、炭素数4〜20の環状アルキレン基である。
【0256】
式(f1−1−11)〜(f1−1−16)、(f1−1−21)〜(f1−1−26)中、Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−1−11)中、a1は1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。
式(f1−1−12)中、a2、a3は、それぞれ独立して、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
b1は、0であることが好ましい。
式(f1−1−13)中、a4は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1が最も好ましい。
a5は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
R
9の置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、低級アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、ハロゲン化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。低級アルキル基としては、前記Rで挙げた低級アルキル基と同様のものが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化低級アルキル基としては、前記Rで挙げたハロゲン化低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
e1は、0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
b2は、0であることが好ましい。
式(f1−1−14)中、a6は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1が最も好ましい。
a7は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
b3は、0であることが好ましい。
R
9およびe1は、それぞれ前記と同様である。
【0257】
式(f1−1−15)中、a14は、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、0または1が最も好ましい。
R
51〜R
52は、それぞれ独立して直鎖、分岐鎖状または環状の炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、nップロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tertーブチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられ、これらの中でも炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4が特に好ましく、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
R
53〜R
54は、それぞれ独立して水素原子または直鎖、分岐または環状の炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。R
53〜R
54における直鎖、分岐または環状の炭素数1〜10のアルキル基としては、前記R
51〜R
52と同様である。
式(f1−1−16)中、A
1は、炭素数4〜20の環状アルキレン基であり、炭素数5〜15の環状のアルキレン基が好ましく、炭素数6〜12の環状のアルキレン基がより好ましい。具体例としては、上述した置換基を有していていもよい炭化水素基における「環状の脂肪族炭化水素基」に例示したものが挙げられ、かかる環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0258】
式(f1−1−21)中、a8は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1が最も好ましい。
a9は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
b4は、0であることが好ましい。
R
9およびe1は、それぞれ前記と同様である。
式(f1−1−22)中、a10は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0または1が最も好ましい。
a11は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
b5は、0であることが好ましい。
R
9およびe1は、それぞれ前記と同様である。
式(f1−1−23)中、a12は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
R
9およびe1は、それぞれ前記と同様である。
式(f1−1−24)中、a13は、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
R
9およびe1は、それぞれ前記と同様である。
式(f1−1−25)〜(f1−1−26)中、a15、a16は、それぞれ、0〜3が好ましく、0〜2がより好ましく、0または1が最も好ましい。
R
51〜R
52、およびR
53〜R
54は、それぞれ前記と同様である。
R
9およびe1は、それぞれ前記と同様である。
【0259】
以下に、上記一般式(f1−1−11)〜(f1−1−16)、一般式(f1−1−21)〜(f1−1−26)で表される構成単位の具体例を示す。
【0260】
【化70】
[式中、R
αは水素原子またはメチル基を表す。]
【0261】
【化71】
[式中、R
αは水素原子またはメチル基を表す。]
【0262】
【化72】
[式中、R
αは水素原子またはメチル基を表す。]
【0263】
【化73】
[式中、R
αは水素原子またはメチル基を表す。]
【0264】
【化74】
[式中、R
αは水素原子またはメチル基を表す。]
【0265】
構成単位(f1−1)としては、前記一般式(f1−1−11)〜(f1−1−16)および(f1−1−21)〜(f1−1−26)のいずれかで表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、前記一般式(f1−1−11)〜(f1−1−13)、(f1−1−21)および(f1−1−22)のいずれかで表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、前記一般式(f1−1−11)および(f1−1−22)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が特に好ましく、前記一般式(f1−1−11)で表される構成単位が最も好ましい。
【0266】
(構成単位(f1−2))
構成単位(f1−2)は、酸の作用により解離して親水基を生じる酸分解性基およびフッ素原子を側鎖に含む構成単位である。構成単位(f1−2)を(F)成分が有すると、露光部における、前記ネガ型現像用レジスト膜の前記ネガ型現像液に対する溶解速度が未露光部よりも減少して、ネガ型現像液に対する溶解速度の差がつくため、解像性等のリソグラフィー特性が向上する効果が得られる。
「酸分解性基」は、上述したとおり、酸(露光により(B)成分から発生する酸)の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
構成単位(f1−2)は、前記構成単位(f1−0)、すなわち前記構成単位(a0)のように、親水基としてアルコール性水酸基を生じる構成単位であってもよく、前記構成単位(a1)のように、親水基としてアルコール性水酸基以外の親水基を生じるものであってもよい。アルコール性水酸基以外の親水基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基等が挙げられる。
酸分解性基としては、たとえば、前記親水基の水素原子を酸解離性基で置換した基が挙げられ、なかでもカルボキシ基の水素原子を酸解離性基で置換した基が好ましい。すなわち、前記酸解離性基の解離により生じる親水基としては、カルボキシ基が好ましい。
「酸解離性基」は、上述したとおり、酸(露光により(B)成分から発生する酸)の作用により、少なくとも、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基であり、該酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する親水基よりも親水性の低い基である。
酸解離性基としては、特に限定されず、KrFエキシマレーザー用、ArFエキシマレーザー用等のレジスト組成物用の樹脂において多数提案されているもの中から適宜選択して用いることができこのような酸解離性基として、たとえば前記構成単位(a0)の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。本発明において好ましいものとして、第3級アルキル基含有酸解離性基(第3級アルキル基、第3級アルキルオキシカルボニル基、第3級アルコキシカルボニルアルキル基等)、アセタール型酸解離性基等が挙げられる。これらの中でも、第3級アルキル基およびアセタール型酸解離性基から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
構成単位(f1−2)において、フッ素原子は、酸解離性基に含まれても酸解離性基以外の基に含まれてもよい。フッ素原子を含む酸解離性基の例として、前記構成単位(a0)で挙げた酸解離性基を構成する水素原子の一部または全部をフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換した基が挙げられる。
【0267】
構成単位(f1−2)としては、有機溶剤への溶解性が良好であり、レジスト膜表面の疎水性がより高いことから、酸の作用により解離して親水基を生じる酸分解性基およびフッ素原子を側鎖に含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
構成単位(f1−2)として具体的には、前記構成単位(a0)における酸解離性基の水素原子の一部または全部をフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換したもの、前記構成単位(a1)における酸解離性基の水素原子の一部または全部をフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換したもの、が挙げられる。
これらの中でも、前記構成単位(a1)における酸解離性基の水素原子の一部または全部をフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換したものが好ましい。また、該構成単位において、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換される水素原子の位置は、主鎖から離れているほど好ましく、少なくとも側鎖末端(主鎖から最も離れた位置)の炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていることが特に好ましい。
構成単位(f1−2)の好ましい具体例を以下に示す。
【0270】
上記の中でも、構成単位(f1−2)としては、式(f1−2−13)、式(f1−2−14)、式(f1−2−19)、又は式(f1−2−20)で表される構成単位が好ましく、式(f1−2−19)又は式(f1−2−20)で表される構成単位が特に好ましい。
【0271】
(構成単位(f1−3))
構成単位(f1−3)は、酸非解離性の炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を側鎖に含む構成単位である。
該フッ素化アルキル基としては、特に限定されず、たとえばKrFエキシマレーザー用、ArFエキシマレーザー用等のレジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているフッ素化アルキル基の中から適宜選択して用いることができる。
前記側鎖における該フッ素化アルキル基において、好ましくは炭素数1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
該フッ素化アルキル基が直鎖状、分岐鎖状の場合、炭素数は1〜8であることがより好ましく、1〜5であることがさらに好ましい。
該フッ素化アルキル基が環状の場合、炭素数は4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。たとえば、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタン、ノルボルナンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
上記のなかでも、酸非解離性のフッ素化アルキル基としては、環状のフッ素化アルキル基であることが好ましく、多環状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
また、該フッ素化アルキル基中の水素原子は、その一部がフッ素原子で置換されていてもよく、全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記フッ素化アルキル基としては、本発明の効果が良好であることから、下記一般式(f1−3−0)で表される基が特に好ましい。
−(CH
2)
m'−X
20 ・・・(f1−3−0)
[式(f1−3−0)中、X
20はフッ素化された脂肪族多環式基であり、m'は0または1である。]
【0272】
前記式(f1−3−0)中、X
20のフッ素化された脂肪族多環式基としては、上述したうちのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。特に、アダマンタン、ノルボルナンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。脂肪族多環式基のフッ素化率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、100%であってもよい。
前記式(f1−3−0)中、m'は、0または1である。
【0273】
構成単位(f1−3)としては、有機溶剤への溶解性が良好であり、レジスト膜表面の疎水性がより高いことから、酸非解離性の炭素数1〜20のフッ素化アルキル基を側鎖に含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。このような構成単位としては、たとえば、前記構成単位(a4)における酸非解離性の脂肪族環式基における水素原子をフッ素原子で置換したものが挙げられる。
以下に、構成単位(f1−3)の好ましい具体例を示す。
なお、下記式(f1−3−14)〜(f1−3−17)におけるFは、アダマンタン骨格のすべての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアダマンチル基になっていることを意味する。
【0275】
上記の中でも、構成単位(f1−3)としては、前記式(f1−3−11)〜式(f1−3−17)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、式(f1−3−11)又は式(f1−3−12)で表される構成単位を含むことが特に好ましい。
【0276】
(F)成分中に含まれる構成単位(f1)は1種でも2種以上でもよい。
(F)成分は、構成単位(f1)として、上記の中でも、構成単位(f1−1)〜(f1−3)から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、構成単位(f1−1)〜(f1−2)から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
(F)成分中の構成単位(f1)の割合は、(F)成分を構成する全構成単位の合計に対して、20〜90モル%が好ましく、30〜85モル%がより好ましく、40〜80モル%がさらに好ましい。構成単位(f1)の割合が前記範囲の下限値以上であることにより、レジストパターンの形成において、レジスト膜の疎水性がより高くなる特性がより向上する。上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスが良好となる。
【0277】
[構成単位(f2)]
構成単位(f2)は、フッ素原子を含まない構成単位である。
構成単位(f2)としては、構成単位(f1)を誘導する化合物と共重合可能な化合物から誘導される構成単位であればよく、特に限定されない。
(F)成分中に含まれる構成単位(f2)は1種でも2種以上でもよい。
構成単位(f2)としては、これまで化学増幅型レジスト用のベース樹脂の構成単位として提案されているものが挙げられ、たとえば、以下の構成単位(f2−0)〜(f2−4)等が挙げられる。
【0278】
構成単位(f2−0):酸の作用によりアルコール性水酸基を生じて親水性が増大する酸分解性基を有し且つフッ素原子を含まない構成単位。
構成単位(f2−1):前記構成単位(f2−0)に該当しない、酸の作用により親水性が増大する酸分解性基を有し且つフッ素原子を含まない構成単位。
構成単位(f2−2):−SO
2−含有環式基を有し且つフッ素原子を含まない構成単位からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位。
構成単位(f2−3):極性基含有脂肪族炭化水素基を有し且つフッ素原子を含まない構成単位。
構成単位(f2−4):酸非解離性の脂肪族環式基を有し且つフッ素原子を含まない構成単位。
構成単位(f2−0)〜(f2−4)は、それぞれ、アクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが好ましく、それらの具体例としては、たとえば、前記構成単位(a0)〜(a4)(ただし構造中にフッ素原子を含むものを除く。)が挙げられる。
【0279】
上記の中でも、構成単位(f2)として、少なくとも構成単位(f2−0)および構成単位(f2−1)から選ばれる少なくとも1種を有することが好ましく、構成単位(f2−0)を有することが特に好ましい。これにより、リソグラフィー特性が向上する。
また、これらの構成単位に加えて、さらに、構成単位(f2−3)を有することも好ましい。これにより、リソグラフィー特性が向上する。
【0280】
(F)成分が構成単位(f2−0)および構成単位(f2−1)から選ばれる少なくとも1種を有する場合、(F)成分は、構成単位(f2−0)のみを有してもよく、構成単位(f2−1)のみを有してもよく、それらの両方を有してもよい。また、構成単位(f2−0)または構成単位(f2−1)として、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(F)成分が構成単位(f2)として構成単位(f2−0)を有する場合、該構成単位(f2−0)としては、上記の中でも、一般式(a0−1)で表される構成単位が好ましく、一般式(a0−111)、(a0−112)または(a0−113)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、一般式(a0−111)で表される構成単位が特に好ましい。
(F)成分が構成単位(f2)として構成単位(f2−1)を有する場合、該構成単位(f2−1)としては、上記の中でも、一般式(a1−1)又は(a1−3)で表される構成単位が好ましく、一般式(a1−1)で表される構成単位がより好ましく、一般式(a1−1−02)で表される構成単位が特に好ましい。
(F)成分中の構成単位(f2−0)および構成単位(f2−1)の合計の割合は、(F)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜80モル%が好ましく、5〜70モル%がより好ましく、10〜60モル%がさらに好ましい。これらの構成単位の割合が上記範囲の下限値以上であると疎水性が向上し、上限値以下であると、リソグラフィー特性が良好であり、また、他の構成単位とのバランスが良好となる。
【0281】
(F)成分が構成単位(f2−3)を有する場合、(F)成分中に含まれる構成単位(f2−3)は1種でも2種以上でもよい。
構成単位(f2−3)としては、上記一般式(a3−1)〜(a3−5)のいずれかで表される構成単位が好ましく、一般式(a3−3)で表される構成単位が特に好ましい。
(F)成分中の構成単位(f2−3)の割合は、(F)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましい。構成単位(f2−3)の割合が上記範囲の下限値以上であるとリソグラフィー特性が良好である。
上限値以下であると他の構成単位とのバランスが良好となる。
【0282】
本態様のレジスト組成物において、(F1)成分としては、構成単位(f1)のみからなる共重合体、構成単位(f1)および構成単位(f2)からなる共重合体が挙げられ、具体的には、1種の構成単位(f1)からなる重合体(以下、重合体(F11)という。)、2種以上の構成単位(f1)からなる共重合体(以下、共重合体(F12)という。)、少なくとも1種の構成単位(f1)と少なくとも1種の構成単位(f2)とからなる共重合体(以下、共重合体(F13)という。)等が挙げられる。これらのなかでも、共重合体(F13)が好ましい。
共重合体(F13)としては、構成単位(f1)と構成単位(f2−0)とを有する共重合体、構成単位(f1)と構成単位(f2−1)とを有する共重合体、構成単位(f1)と構成単位(f2−0)と構成単位(f2−3)とを有する共重合体、が好適なものとして挙げられる。これらの共重合体において、構成単位(f1)としては、構成単位(f1−1)〜(f1−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、構成単位(f1−1)〜(f1−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0283】
(F)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されず、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、4000〜25000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(F)成分は、当該(F)成分を構成する各構成単位を誘導するモノマーを、たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)等のラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることにより得ることができる。
【0284】
本態様のレジスト組成物に含まれる(F)成分は1種でも2種以上でもよい。
レジスト組成物中、(F)成分の含有量は、当該(F)成分と前記(A)成分との合計(100質量%)に対する(F)成分の割合として、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。該割合が低いほど、リソグラフィー特性が向上する。
該割合の下限は、特に限定されず、0質量%であってもよい。すなわち、本態様のレジスト組成物は(F)成分を含有しなくてもよい。ただし(F)成分を配合することの効果を充分に得るためには、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。
【0285】
本態様のレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
【0286】
≪第四の態様のネガ型現像用レジスト組成物≫
本発明の第四の態様のネガ型現像用レジスト組成物は、酸の作用により有機溶剤に対する溶解性が減少する基材成分(A’)(以下、(A’)成分という。)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B’)(以下、(B’)成分という。)とを含有するものであり、該レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を、前記有機溶剤を含有する現像液を用いたネガ型現像によりパターニングしてレジストパターンを形成する工程、を含むレジストパターン形成方法において、前記レジスト組成物として用いられる。
かかるレジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、(B’)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A’)成分の有機溶剤に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜における露光部の、前記有機溶剤を含有する有機系現像液に対する溶解性が減少する一方で、未露光部の該有機系現像液に対する溶解性は変化しないため、該有機系現像液を用いたネガ型現像を行うことにより未露光部が除去されてレジストパターンが形成される。
本態様のレジスト組成物は、前記(A’)成分および(B’)成分に加えて、さらに、酸の作用によりアルコール性水酸基を生じて親水性が増大する酸分解性基を含む含フッ素化合物からなる添加剤(F’)(以下、(F’)成分という。)を含有し、かつ前記(A’)成分が、該酸分解性基を有さない以外は、前記第三の態様のレジスト組成物と同様であってよい。以下、本態様のレジスト組成物についてより詳細に説明する。
【0287】
<(A’)成分>
(A’)成分としては、酸の作用によりアルコール性水酸基を生じて親水性が増大する酸分解性基を有さないものであれば特に限定されず、従来、アルカリ現像液を用いたポジ型現像プロセスに用いられている化学増幅型ポジ型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂)から任意に選択して用いればよい。(A’)成分としては、樹脂を用いてもよく低分子化合物を用いてもよい。
【0288】
(A’)成分として好ましいものとしては、前記構成単位(a0)に該当しない、酸の作用により親水性が増大する酸分解性基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)を有する樹脂(以下、(A1’)成分という。)が挙げられる。
(A1’)成分は、構成単位(a1’)に加えて、さらに、−SO
2−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位およびラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位(a2’)を有することが好ましい。
(A1’)成分は、構成単位(a1’)に加えて、または構成単位(a1’)および(a2’)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3’)を有してもよい。
(A1’)成分は、さらに、酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4’)を有してもよい。
【0289】
構成単位(a1’)としては、前記構成単位(a1)と同様のものが挙げられる。
(A1’)成分が含有する構成単位(a1’)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1’)成分中、構成単位(a1’)の割合は、当該(A1’)成分を構成する全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0290】
構成単位(a2’)としては、前記構成単位(a2)と同様のものが挙げられる。
(A1’)成分が含有する構成単位(a2’)は1種であってもよく2種以上であってもよい。たとえば構成単位(a2’)として、−SO
2−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位のみを用いてもよく、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位のみを用いてもよく、それらを併用してもよい。
(A1’)成分中、構成単位(a2’)の割合は、当該(A1’)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2’)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0291】
構成単位(a3’)としては、前記構成単位(a3)と同様のものが挙げられる。
(A1’)成分が含有する構成単位(a3’)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1’)成分中、構成単位(a3’)の割合は、当該(A1’)成分を構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
【0292】
構成単位(a4’)としては、前記構成単位(a4)と同様のものが挙げられる。
(A1’)成分が含有する構成単位(a4’)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a4’)を(A1’)成分に含有させる際には、(A1’)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4’)を1〜30モル%含有させることが好ましく、10〜20モル%含有させることがより好ましい。
【0293】
(A1’)成分は、構成単位(a1’)、(a2’)および(a3’)を有する共重合体であることが好ましい。かかる共重合体としては、たとえば、上記構成単位(a1’)、(a2’)および(a3’)からなる共重合体、上記構成単位(a1’)、(a2’)、(a3’)および(a4’)からなる共重合体等が例示できる。
【0294】
(A1’)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1’)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH
2−CH
2−CH
2−C(CF
3)
2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF
3)
2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
【0295】
(A1’)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、(A1’)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0296】
<(B’)成分>
(B’)成分としては、前記第三の態様のレジスト組成物の説明で挙げた(B)成分と同様のものが挙げられる。
(B’)成分としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本態様のレジスト組成物における(B’)成分の含有量は、(A’)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0297】
<(F’)成分>
(F’)成分は、酸の作用によりアルコール性水酸基を生じて親水性が増大する酸分解性基を含む含フッ素化合物からなる添加剤である。(F’)成分を含有することにより、前記第三の態様において(F)成分を含有する場合と同様、形成されるレジストパターンの形状(断面形状の矩形性、LWR等)が向上する。
(F’)成分が有する該酸分解性基としては、前記構成単位(a0)の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
(F’)成分としては、該酸分解性基を含むものであれば特に限定されず、これまでレジスト組成物の添加剤として公知の含フッ素化合物のなかから適宜選択して使用できる。(F’)成分として具体的には、たとえば前記(F)成分のうち、該酸分解性基を有するものが挙げられる。(F’)成分は、高分子化合物(重合体)でも、低分子化合物(非重合体)でもよく、それらを併用してもよい。
(F’)成分として用いられる高分子化合物としては、たとえば、前記構成単位(f1−0)を有する高分子化合物、前記構成単位(f1)および構成単位(f2−0)を有する高分子化合物等が挙げられる。より具体的には、構成単位(f1−0)からなる重合体(以下、重合体(F11’)という。)、少なくとも1種の構成単位(f1−0)と、構成単位(f1−0)以外の他の構成単位(f1)とを有する共重合体(以下、共重合体(F12’)という。)、少なくとも1種の構成単位(f1)と少なくとも1種の構成単位(f2−0)とを有する共重合体(以下、共重合体(F13’)という。)等が挙げられる。これらのなかでも、共重合体(F13’)が好ましい。
共重合体(F13’)としては、構成単位(f1)と構成単位(f2−0)とを有する共重合体、構成単位(f1)と構成単位(f2−0)と構成単位(f2−3)とを有する共重合体、が好適なものとして挙げられる。これらの共重合体において、構成単位(f1)としては、構成単位(f1−1)〜(f1−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、構成単位(f1−1)〜(f1−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
(F’)成分として用いられる低分子化合物としては、たとえば、前記構成単位(f1−0)を誘導するモノマーが挙げられる。
【0298】
(F’)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されず、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、4000〜25000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F’)成分の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(F’)成分は、当該(F’)成分を構成する各構成単位を誘導するモノマーを、たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)等のラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることにより得ることができる。
【0299】
本態様のレジスト組成物に含まれる(F’)成分は1種でも2種以上でもよい。
レジスト組成物中、(F’)成分の含有量は、当該(F’)成分と前記(A’)成分との合計(100質量%)に対する(F’)成分の割合として、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。該割合が低いほど、リソグラフィー特性が向上する。
該割合の下限は、本発明の効果を充分に得るためには、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。
【0300】
<任意成分>
本態様のレジスト組成物は、さらに、任意の成分として、含窒素有機化合物(以下、(D’)成分という)を含有してもよい。
(D’)成分としては、前記第三の態様のレジスト組成物の説明で挙げた(D)成分と同様のものが挙げられる。
(D’)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
【0301】
本態様のレジスト組成物は、さらに、任意の成分として、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、(E’)成分という。)を含有してもよい。
(E’)成分としては、前記第三の態様のレジスト組成物の説明で挙げた(E)成分と同様のものが挙げられる。
(E’)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
【0302】
本態様のレジスト組成物には、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0303】
本態様のレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S’)成分という。)に溶解させて製造することができる。
(S’)成分としては、前記第三の態様のレジスト組成物の説明で挙げた(S)成分と同様のものが挙げられる。
(S’)成分の使用量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
【0304】
上記第三の態様または第四の態様のネガ型現像用レジスト組成物によれば、有機溶剤を含有する現像液を用いたネガ型現像プロセスにより微細なレジストパターンを形成できる。
また、レジストパターンを形成する際の感度、露光量マージン(EL)等のリソグラフィー特性も良好で、形成されるレジストパターンは、LWR(ラインワイズラフネス)等のラフネスの小さい形状の良好なものである。ELは、露光量を変化させて露光した際に、ターゲット寸法に対するずれが所定の範囲内となる寸法でレジストパターンを形成できる露光量の範囲、すなわちマスクパターンに忠実なレジストパターンが得られる露光量の範囲のことである。ELは、その値が大きいほど、露光量の変動に伴うパターンサイズの変化量が小さく、プロセスの余裕度が向上するため好ましい。LWRは、レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した際に、ラインパターンの線幅が不均一になる現象で、パターンが微細化するほどその改善が重要となる。ELの改善効果は特に構成単位(a2)を有する場合に優れている。
また、(A)成分が、露光時にアルコール性水酸基を生成する構成単位(a0)を有することで、従来のようにカルボキシ基を生成するものを用いる場合に比べて、レジスト膜の露光部の膜減りを抑制できる。また、形成されるレジストパターンのエッチング(たとえばシリコン基板のエッチングに用いられるCF系ガスによるドライエッチング)耐性も良好である。特に構成単位(a0)として前記一般式(a0−1)で表される構成単位を有する場合、なかでもY
1が脂肪族環式基である場合、露光後にY
1がポリマー側鎖に残存しているため、エッチング耐性が特に優れたものとなる。また、露光時にアルコール性水酸基を生成する構成単位(a0)を有することで、酸の拡散を抑制出来るためリソグラフィー特性が向上する。
さらに、該Y
1が脂肪族環式基である場合、耐熱性も向上し、露光後、PEB等のベークを行った際の熱だれやレジストパターン形状の劣化を抑制できる。
また、第三の態様のレジスト組成物がさらに前記(F)成分を含有する場合、または第四の態様のレジスト組成物の場合、形成されるレジストパターンの形状(LWR、断面形状の矩形性等)がさらに向上する。また、液浸露光適性も向上する。
【実施例】
【0305】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本実施例では、化学式(m0−1)で表される単位を「化合物(m0−1)」と記載し、他の式で表される化合物についても同様に記載する。
後述する(A1)成分合成例および(A1’)成分合成例で用いたモノマー(化合物(m0−1)〜(m0−4)、(m3−1)、(m2−1)〜(m2−4)、(m1−1)〜(m1−4))を以下に示す。これらのうち、化合物(m2−1)は後述するモノマー合成例1にて合成した。また、化合物(m0−2)は後述するモノマー合成例2にて合成した。
なお、NMRによる分析において、
1H−NMRの内部標準および
13C−NMRの内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。
19F−NMRの内部標準はヘキサフルオロベンゼンである(但し、ヘキサフルオロベンゼンのピークを−160ppmとした)。
【0306】
【化78】
【0307】
[モノマー合成例1]
500mlの3つ口フラスコに、窒素雰囲気下、下記アルコール(1)20g(105.14mmol)、エチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩30.23g(157.71mmol)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)0.6g(5mmol)のTHF溶液300mlを入れ、そこに、氷冷下(0℃)で下記前駆体(1)16.67g(115.66mmol)を加えた後、室温で12時間撹拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、50mLの水を加えて反応を停止した。反応溶媒を減圧濃縮し、酢酸エチルで3回抽出して得られた有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム、1N−HCl水溶液の順で洗浄した。減圧下、溶媒留去して得られた生成物を乾燥させ、目的の化合物(m2−1)を得た。
【0308】
【化79】
【0309】
[モノマー合成例2]
16.18g(64.15mmol)の3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを200gのテトラヒドロフランに溶解し、16.23g(160.37mmol)のトリエチルアミンを加え5分間攪拌した後、35g(160.37mmol)のジtertブチルジカーボネートと0.784g(6.415mmol)の4−ジメチルアミノピリジンを加え60℃に加熱し5.5時間反応させた。反応終了後濃縮し、水/TBME(tertブチルメチルエテール)、0.1N HCl水溶液/TBME、水/TBMEにて抽出し、TBME溶液を減圧濃縮して目的とする(m0−2)を27.57g(60.92mmol)得た(収率95%)。
【0310】
[(A1)成分合成例1]
温度計、還流管、窒素導入管を繋いだセパラブルフラスコに、30.00g(89.17mmol)の化合物(m0−1)、25.02g(79.08mmol)の化合物(m2−1)を38.34gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を13.46mmol添加し溶解させた。
これを80℃に加熱した68.70gのMEKに、窒素雰囲気下、4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を1時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。
得られた反応重合液を大量のn−ヘプタンに滴下して重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、メタノール、MEKにて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物1を53.6g得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は10,500であり、分子量分散度(Mw/Mn)は2.47であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=51.9/48.1であった。
【0311】
【化80】
【0312】
[(A1)成分合成例2]
モノマーとして前記化合物(m0−1)および(m2−2)を所定のモル比で用いた以外は前記(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物2を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は10,400であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.85であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=53.2/46.8であった。
【0313】
【化81】
【0314】
[(A1)成分合成例3]
モノマーとして前記化合物(m0−2)および(m2−1)を所定のモル比で用いた以外は前記(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物3を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は12,200であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.70であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=56.4/43.6であった。
【0315】
【化82】
【0316】
[(A1)成分合成例4]
モノマーとして前記化合物(m0−1)、(m2−1)および(m1−1)を所定のモル比で用いた以外は前(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物4を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は9,600であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.98であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=24.6/51.1/24.3であった。
【0317】
【化83】
【0318】
[(A1)成分合成例5]
モノマーとして前記化合物(m2−3)、(m1−1)、(m3−1)および(m0−1)を所定のモル比で用いた以外は前記(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物5を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7,100であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.54であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n/o=31.5/34.7/18.5/15.3であった。
【0319】
【化84】
【0320】
[(A1)成分合成例6]
モノマーとして前記化合物(m2−3)、(m1−2)、(m3−1)および(m0−1)を所定のモル比で用いた以外は前記(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物6を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6,200であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.55であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n/o=33.6/35.7/15.4/15.3であった。
【0321】
【化85】
【0322】
[(A1)成分合成例7]
モノマーとして前記化合物(m2−3)、(m1−2)、(m3−1)および(m0−3)を所定のモル比で用いた以外は前記(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物7を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6,200であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.55であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n/o=33.6/35.7/15.4/15.3であった。
【0323】
【化86】
【0324】
[(A1’)成分合成例1]
モノマーとして前記化合物(m1−3)および(m2−1)を所定のモル比で用いた以外は前記(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物1’を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は5,800であり、分子量分散度(Mw/Mn)は2.17であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=50.8/49.2であった。
【0325】
【化87】
【0326】
[(A1’)成分合成例2]
モノマーとして前記化合物(m1−3)および(m2−2)を所定のモル比で用いた以外は前記(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物2’を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6,800であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.92であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m=48.8/21.2であった。
【0327】
【化88】
【0328】
[(A1’)成分合成例3]
モノマーとして前記化合物(m2−4)、(m1−3)および(m3−1)を所定のモル比で用いた以外は前記(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物3’を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6,400であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.79であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=37.7/41.8/20.5であった。
【0329】
【化89】
【0330】
[(A1’)成分合成例4]
モノマーとして前記化合物(m2−3)、(m1−1)、(m1−4)および(m3−1)を所定のモル比で用いた以外は前記(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物4’を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は6,600であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.42であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n/o=23.3/16.0/38.9/21.8であった。
【0331】
【化90】
【0332】
[(A1’)成分合成例5]
モノマーとして前記化合物(m3−1)、(m2−1)および(m1−1)を所定のモル比で用いた以外は前記(A1)成分合成例1と同様にして、目的物である高分子化合物5’を得た。
この高分子化合物について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は9,600であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.98であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求められた共重合組成比(下記構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、l/m/n=20/30/50であった。
【0333】
【化91】
【0334】
<実施例1〜7、比較例1〜5>
表2に示す各成分を混合、溶解してレジスト組成物を調製した。
【0335】
【表1】
【0336】
表1中、[ ]内の数値は配合量(質量部)であり、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
(A)−1〜(A)−7:前記高分子化合物1〜7。
(A)−1’〜 (A)−5’:前記高分子化合物1’〜5’。
(B)−1:下記構造式(B)−1で表される化合物。
(D)−1:N,N−ジブチルアニリン。
(S)−1:PGEMA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
【0337】
【化92】
【0338】
<リソグラフィー特性の評価>
前記実施例1〜7および比較例2〜5のレジスト組成物について以下の手順でリソグラフィー特性を評価した。
[ネガ型現像によるレジストパターン形成]
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。該有機系反射防止膜上に、前記レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、100℃で60秒間のPABを行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。次に、該レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、ライン幅200nm、ピッチ400nmのラインアンドスペースのレジストパターン(以下、LSパターンという。)をターゲットとするフォトマスクを介して照射した。その後、表2に示すPEB温度で60秒間の条件でPEBを行い、さらに23℃にて、酢酸ブチルで30秒間現像し、その後30秒間、1−ヘキサノールを用いてリンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、実施例1〜7、比較例5のレジスト組成物を用いた例では、レジスト膜の未露光部が溶解、除去されてライン幅200nm、ピッチ400nmのLSパターンが形成されていた。
比較例2〜4のレジスト組成物を用いた例では、LSパターンが解像しなかった。その原因としては、所定の現像時間内では未露光部が完全には溶解しなかったこと、または未露光部だけでなく露光部も溶解してしまったこと、が考えられる。
【0339】
[感度評価]
感度として、前記[レジストパターンの形成]にてライン幅200nm、ピッチ400nmのLSパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm
2)を求めた。結果を表2に示す。
【0340】
[LWR(ラインワイズラフネス)評価]
測長SEM(走査型電子顕微鏡、商品名:S−9220、日立製作所製)により、前記Eopで形成されたライン幅200nm、ピッチ400nmのLSパターンのライン幅を、ラインの長手方向に5箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を、LWRを示す尺度として算出した。その結果を表2に示す。該3sの値が小さいほど線幅のラフネスが小さく、より均一な幅のLSパターンが得られたことを意味する。
【0341】
[EL評価]
ライン幅200nm、ピッチ400nmのLSパターンのラインがターゲット寸法(ライン幅200nm)の±5%(190nm〜210nm)の範囲内で形成される際の露光量を求め、次式によりEL(単位:%)を求めた。その結果を「5%EL」として表2に示す。
EL(%)=(|E1−E2|/Eop)×100
[E1は、ライン幅190nmのLSパターンが形成された際の露光量(mJ/cm
2)を示し、E2は、ライン幅210nmのLSパターンを形成された際の露光量(mJ/cm
2)を示す。]
【0342】
【表2】
【0343】
上記結果に示すとおり、(A)成分として高分子化合物1〜7をそれぞれ配合した実施例1〜7のレジスト組成物によれば、現像液として酢酸ブチルを用いたネガ型現像により、ライン幅200nm、ピッチ400nmのLSパターンを高感度に形成でき、その際のELも充分に大きい値であり、該LSパターンのLWRも小さかった。これらのうち、LWRは、2元共重合体を用いた実施例1〜3が優れており、また、ELは、3元〜4元共重合体を用いた実施例4〜6が優れていた。
一方、比較例2〜4では前記LSパターンを形成できなかった。また、比較例5は、化合物(m0−1)の代わりに(m3−1)を用いた以外は同じモノマーを略同一の比率で用いて得た高分子化合物5’を(A)成分として用いたにもかかわらず、実施例4に比べて、LWRおよびEL、特にELの値が小さかった。
【0344】
<エッチング耐性評価>
前記実施例1〜4および比較例1〜2、5のレジスト組成物について以下の手順でエッチング耐性を評価した。
8インチのシリコンウェーハ上に、前記レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、100℃で60秒間のPABを行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。次に、該レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA=0.60,δ=0.75、オープンフレーム)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、20mJ/cm
2の露光量にて照射(全面露光)した。その後、110℃で60秒間の条件でPEBを行い、さらに23℃にて、酢酸ブチルで30秒間現像し、その後、100℃で30秒間の条件でポストベークを行った。
次に、前記レジスト膜が形成されたシリコンウェーハを、プラズマエッチング装置(SUMCO社製、装置名:SUMCO Reactive Ion Etching System RIE−10NR)を用いて、CF
4ガス(23sccm)、CHF
3ガス(20sccm)およびArガス(150sccm)の混合ガスによるエッチング(圧力:0→40Pa、エネルギー:500W、温度:25℃、処理時間:いずれも10秒間)を行った。
エッチングの前(現像後)およびエッチング後の基板の断面をSEMにより観察し、レジスト膜の膜厚(Å)を測定し、エッチング前後の膜厚の差(現像後−エッチング後)を算出した。その結果を表3に示す。「現像後−エッチング後」の値が小さいほど、エッチング耐性が高いことを示す。
【0345】
【表3】
【0346】
上記結果に示すとおり、本発明のレジスト組成物によれば、有機溶剤を含有する現像液を用いたネガ型現像プロセスにより微細なレジストパターンを形成でき、その際のリソグラフィー特性(感度、LWR、EL等)も良好であった。また、形成されたレジストパターンのエッチング耐性も良好であった。
【0347】
<実施例8〜
12、参考例13〜21>
表4に示す各成分を混合、溶解してレジスト組成物を調製した。
これらのレジスト組成物について、後述する<リソグラフィー特性の評価(2)>を行った。その結果を表4に併記する。
【0348】
【表4】
【0349】
表4中、[ ]内の数値は配合量(質量部)であり、(S)−1は前記表4中の(S)−1と同じであり、その他の各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
(A)−11:下記構造式(A)−11/(A)−12で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m/n/p=45/35/10/10、Mwが7,000、Mw/Mnが1.66の共重合体。
(A)−12:下記構造式(A)−11/(A)−12で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m/n/p=35/35/10/20、Mwが7,000、Mw/Mnが1.52の共重合体。
(A)−13:下記構造式(A)−13/(A)−14で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m/n/p=35/35/10/20、Mwが7,100、Mw/Mnが1.46の共重合体。
(A)−14:下記構造式(A)−13/(A)−14で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m/n/p=45/25/10/20、Mwが6,900、Mw/Mnが1.50の共重合体。
(A)−15:下記構造式(A)−15で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m/n/p=35/35/10/20、Mwが7,200、Mw/Mnが1.48の共重合体。
(A)−16:下記構造式(A)−16で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m/n/p=35/35/10/20、Mwが6,900、Mw/Mnが1.46の共重合体。
(A)−17:下記構造式(A)−17で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m=50/50、Mwが12,500、Mw/Mnが1.50の共重合体。
(B)−2:下記構造式(B)−2で表される化合物。
(B)−3:下記構造式(B)−3で表される化合物。
(B)−4:トリフェニルスルホニウムd−カンファー−10−スルホネート。
(F)−1:下記構造式(F)−1で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m=78/22、Mwが13,800、Mw/Mnが1.50の共重合体。
(F)−2:下記構造式(F)−2/(F)−3で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m=70/30、Mwが26,600、Mw/Mnが1.51である共重合体。
(F)−3:下記構造式(F)−2/(F)−3で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m=50/50、Mwが26,600、Mw/Mnが1.51である共重合体。
(S)−2:PGEMA。
上記のうち、(A)−11〜(A)−17、(F)−1〜(F)−3の共重合組成比は、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求めた値であり、MwおよびMw/Mnは、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の値である。
(A)−11〜(A)−17は、それぞれ、使用するモノマーの種類およびそれらのモル比を変更した以外は前記(A1)成分合成例1と同様の手順で合成した。
(F)−1〜(F)−3の合成と、該合成に用いた、構成単位(f1)に対応するモノマーの合成は、特開2010−032994号公報または特開2010−113319号公報の[実施例]の記載に準じて行った。
【0350】
【化93】
【0351】
【化94】
【0352】
<リソグラフィー特性の評価(2)>
[ネガ型現像によるレジストパターン形成]
有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚85nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記各レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、100℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、表記載の膜厚のレジスト膜を形成した。
次に、該レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S308(ニコン社製;NA(開口数)=0.92、Cross pole with polano)により、幅50nmのスペースが等間隔(実施例8〜10はピッチ130nm、実施例11〜
12、参考例13〜21はピッチ150nm)に配置されたスペースアンドラインのレジストパターン(SLパターン)をターゲットとするフォトマスクを介して、前記第一のレジスト膜に対してArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、表記載の温度で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて酢酸ブチルを用いて13秒間の溶剤現像を行った。その後、100℃で40秒間のポストベーク処理をした。
その結果、前記第一のレジスト膜に、幅50nmのスペースが等間隔(ピッチ130nmまたは150nm)に配置されたSLパターンが形成された。
ターゲットのSLパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm
2)は表4に示した。
【0353】
[LWR(ラインワイズラフネス)評価]
前記Eopで形成されたライン幅50nm、ピッチ130nmまたは150nmのSLパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧800V、商品名:S−9220、日立製作所社製)により、ライン幅を、ラインの長手方向に400箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を求め、5箇所の3sについて平均化した値を、LWRを示す尺度として算出した。この3sの値が小さいほど、その線幅のラフネスが小さく、より均一幅のSLパターンが得られたことを意味する。結果を表4に示す。
表4に示すとおり、実施例8〜
12、参考例13〜21のレジスト組成物を用いて形成されたレジストパターンは、いずれもLWRが9以下と小さかった。また、(F)成分の有無以外は同じ組成である実施例11と
参考例13、20〜21との対比から、(F)成分を配合することで、矩形性が向上することが確認できた。
【0354】
<実施例22
、参考例23〜32、比較例6>
表5に示す各成分を混合、溶解してレジスト組成物を調製した。
これらのレジスト組成物について、後述する<リソグラフィー特性の評価(3)>を行った。その結果を表5に併記する。
【0355】
【表5】
【0356】
表5中、[ ]内の数値は配合量(質量部)であり、(A)−11、(B)−2〜(B)−3、(F)−1〜(F)−2、(S)−2はそれぞれ前記表4中の(A)−11、(B)−2〜(B)−3、(F)−1〜(F)−2、(S)−2と同じであり、その他の各略号は以下の意味を有する。
(A)−18:下記構造式(A)−18/(A)−19で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m/n=45/35/20、Mwが7,500、Mw/Mnが1.60の共重合体。
(A)−19:下記構造式(A)−18/(A)−19で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m/n=45/45/10、Mwが7,500、Mw/Mnが1.60の共重合体。
(A)−20’:下記構造式(A)−20’で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m/n=45/35/20、Mwが7,500、Mw/Mnが1.60の共重合体。
(F)−4:下記構造式(F)−4で表され、Mwが8,200、Mw/Mnが1.50である重合体(ホモポリマー)。
(F)−5:下記構造式(F)−5で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m=78/22、Mwが13,800、Mw/Mnが1.50の共重合体。
(F)−6:下記構造式(F)−6で表され、Mwが23,000、Mw/Mnが1.65である重合体(ホモポリマー)。
(F)−7:前記構造式(F)−2/(F)−3で表され、共重合組成比(該構造式中の各構成単位の割合(モル比))がl/m=70/30、Mwが22,900、Mw/Mnが1.60である共重合体。
上記のうち、(A)−18、(A)−19、(A)−20’、(F)−4〜(F)−7のMwおよびMw/Mnは、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の値であり、(A)−18、(A)−19、(A)−20’、(F)−5、(F)−7の共重合組成比はカーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求めた値である。
(A)−18、(A)−19、(A)−20’はそれぞれ、使用するモノマーおよびそれらのモル比を変更した以外は前記(A1)成分合成例1と同様の手順で合成した。
(F)−4〜(F)−7の合成と、該合成に用いた、構成単位(f1)に対応するモノマーの合成は、特開2010−032994号公報または特開2010−113319号公報の[実施例]の記載に準じて行った。
【0357】
【化95】
【0358】
<リソグラフィー特性の評価(3)>
[ネガ型現像によるレジストパターン形成]
有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記各レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、100℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、表記載の膜厚のレジスト膜を形成した。
次に、該レジスト膜に対して、ArF露光装置NSR−S302A(ニコン社製;NA(開口数)=0.60、2/3Annular)により、スペース幅130nm/ピッチ260nmのSLパターンをターゲットとするフォトマスクを介して、前記レジスト膜に対してArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、110℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて酢酸ブチルを用いて16秒間の溶剤現像を行った。その後、100℃で60秒間のポストベーク処理をした。
その結果、実施例22
、参考例23〜32のレジスト組成物を用いた例では、レジスト膜の未露光部が溶解、除去されて、幅130nmのスペースが等間隔(ピッチ260nm)に配置されたSLパターンが形成された。
一方、比較例6のレジスト組成物を用いた例では、SLパターンは形成されたが、スペース部(未露光部)が完全には抜けきらず、ラインパターン間が一部つながっていた。
ターゲットのSLパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm
2)は表5に示した。
【0359】
[断面形状評価]
前記Eopで形成されたライン幅130nm、ピッチ260nmのSLパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧800V、商品名:S−9220、日立製作所社製)により、断面形状を観測した。その結果を表5に示す。
表5に示すとおり、実施例22
、参考例23〜32のレジスト組成物を用いて形成されたレジストパターンの断面形状は矩形性が良好で、特に(F)成分を配合することで矩形性が向上していた。
一方、比較例6のレジスト組成物を用いた場合、レジスト膜の未露光部の表層付近が部分的に残り、ラインパターン上部がつながっていた。
【0360】
<
参考例33〜36>
表6に示す各成分を混合、溶解してレジスト組成物を調製した。
これらのレジスト組成物について、後述する<リソグラフィー特性の評価(4)>を行った。その結果を表6に併記する。
【0361】
【表6】
【0362】
表6中、[ ]内の数値は配合量(質量部)であり、(B)−3、(F)−1はそれぞれ前記表4中の(A)−11、(F)−1と同じであり、その他の各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
(A)−21:下記構造式(A)−21で表され、Mwが6900、Mw/Mnが1.71の共重合体。
(A)−22:下記構造式(A)−22で表され、Mwが7000、Mw/Mnが1.7の共重合体。
(A)−23:下記構造式(A)−23で表され、Mwが8600、Mw/Mnが1.79の共重合体。
(A)−24:下記構造式(A)−24で表され、Mwが7100、Mw/Mnが1.7の共重合体。
式(A)−21〜(A)−24中、( )の右下の数値は共重合組成比(モル比)を示す。
(B)−5:下記構造式(B)−5で表される化合物。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−3:PGMEA/シクロヘキサノン=90/10(質量比)の混合溶剤。
上記のうち、(A)−21〜(A)−24の共重合組成比は、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_
13C−NMR)により求めた値であり、MwおよびMw/Mnは、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の値である。
(A)−21〜(A)−23は、それぞれ、使用するモノマーの種類およびそれらのモル比を変更した以外は前記(A1)成分合成例1と同様の手順で合成した。
【0363】
【化96】
【0364】
【化97】
【0365】
<リソグラフィー特性の評価(4)>
[ネガ型現像によるレジストパターン形成]
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、90秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚85nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、
参考例33〜36のレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、表6に示す温度で60秒間の条件でPABを行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次に、ArF液浸露光装置NSR−S308F(ニコン社製;NA(開口数)=0.92;Cross pole(in/out:0.76/0.95) with/polano)により、マスクパターン(6% Att−PSM)を介して、前記レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、表6に示す温度で60秒間のPEBを行い、さらに23℃にて酢酸ブチルで13秒間現像処理を行い、振り切り乾燥を行った。その後、100℃で40秒間のポストベークを行った。
その結果、いずれの例においても、ホール直径65nmのホールが等間隔(ピッチ:130nm)に配置されたコンタクトホール(CH)パターンが得られた。
ターゲットのCHパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm
2)は表6に示した。
【0366】
[断面形状評価]
前記Eopで形成されたホール直径65nm、ピッチ130nmのCHパターンについて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧800V、商品名:S−9220、日立製作所社製)により、断面形状を観測した。その結果を表6に示す。
表6に示すとおり、
参考例33〜36のレジスト組成物を用いて形成されたレジストパターンの断面形状は矩形性が良好であった。
【0367】
[解像性評価]
前記Eopにおける限界解像度(nm)を、走査型電子顕微鏡S−9220(Hitachi社製)を用いて求めた。その結果を「解像性(nm)」として表6に示す。