特許第5751173号(P5751173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5751173
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】パターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/095 20060101AFI20150702BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20150702BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   G03F7/095
   G03F7/039 601
   G03F7/004 503A
   G03F7/004 501
【請求項の数】11
【全頁数】94
(21)【出願番号】特願2012-536(P2012-536)
(22)【出願日】2012年1月5日
(65)【公開番号】特開2013-140268(P2013-140268A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2013年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−286384(JP,A)
【文献】 特開2012−098520(JP,A)
【文献】 特開2012−108182(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/074433(WO,A1)
【文献】 特開2013−033227(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/105556(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族基を有する繰り返し単位を全繰り返し単位の10モル%以上100モル%以下の範囲で含有すると共に、スルホニウム塩の酸発生剤基を有する繰り返し単位を1モル%以上30モル%以下の範囲で有し、酸の作用でアルカリ現像液に溶解可能となる高分子化合物をベース樹脂とする第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成する工程と、第1のレジスト膜上に、第1のレジスト膜を溶解させないエステル基を含有する炭素数6〜8の溶媒と、酸の作用でアルカリ現像液に溶解可能となる高分子化合物を含有する第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、高エネルギー線で露光し、ベーク(PEB)後、現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
第1のレジスト膜の露光波長に対する消光係数(k値)が0.1〜1.1の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
露光波長がArFエキシマレーザーによる193nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
第1のレジスト材料の芳香族基がベンゼン環であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
スルホニウム塩の酸発生剤基を有する繰り返し単位が、下記一般式(1)で示されるスルホニウム塩a1〜a3のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R5、R9は水素原子又はメチル基、R2は単結合、フェニレン基、−O−R13−、又は−C(=O)−Y−R13−である。Yは酸素原子又はNH、R13は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R3、R4、R6、R7、R8、R10、R11、R12は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のカルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよいアルキル基であるか、又は炭素数6〜12のアリール基もしくは炭素数7〜20のアラルキル基を表す。A1は単結合、−A0−C(=O)−O−又は−A0−O−C(=O)−であり、A0は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい。A2は水素原子又はCF3基である。X1は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R14−、又は−C(=O)−X2−R14−である。X2は酸素原子又はNH、R14は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数2〜16のアルケニレン基、−C64−C(=O)−O−CH(CF3)−CF2−基、又は−C64−C(=O)−O−CH2−CF2−基を示し、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦a1≦0.3、0≦a2≦0.3、0≦a3≦0.3、0<a1+a2+a3≦0.3の範囲である。)
【請求項6】
第2のレジスト材料のエステル基を含有する炭素数6〜8の溶媒が、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、酪酸エチル、2−エチル酪酸、イソ酪酸エチル、ピバル酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸イソプロピル、吉草酸メチル、イソ吉草酸メチル、プロピオン酸プロピル、蟻酸ヘキシル、蟻酸2−メチルペンチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸プロピル、メチル4−メチルバレート、イソ酪酸イソプロピル、吉草酸エチル、イソ吉草酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、ヘキサン酸メチル、酢酸ヘキシル、酪酸ブチル、酪酸sec−ブチル、イソ酪酸ブチル、酢酸2−メチルブチル、tert−ブチル酢酸エチル、2−エチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、3−メチル吉草酸エチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸イソブチル、イソ酪酸イソブチル、2−メチル酪酸イソプロピル、ヘプタン酸メチル、酢酸2−メチルペンチル、酢酸3−メチルペンチル、酢酸4−メチルペンチル、2−メチル酪酸プロピルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
第1のレジスト材料に用いられる高分子化合物が、上記一般式(1)で示される繰り返し単位a1、a2、a3に加えて、酸不安定基を有する繰り返し単位b、並びにヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−S−、及び−O−C(=O)−NH−から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位cを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
第2のレジスト材料に用いられる高分子化合物が、上記一般式(1)で示される繰り返し単位a1、a2、a3を含有せず、酸不安定基を有する繰り返し単位b、並びにヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−S−、及び−O−C(=O)−NH−から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位cを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
第1のレジスト材料に用いられる高分子化合物、及び第2のレジスト材料に用いられる高分子化合物が、下記一般式(2)で示される酸不安定基で置換された繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R15は水素原子又はメチル基、Z1は単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又は−C(=O)−O−、R16は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基又はラクトン環を有していてもよい。R17は酸不安定基である。0.1≦b≦0.8の範囲である。)
【請求項10】
現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成した後にドライエッチングによって基板を加工することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成した後に基板にイオンを打ち込むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に露光波長に高い吸収を有し、スルホニウム塩の酸発生剤基と酸不安定基を有する第1のフォトレジスト膜を形成し、その上に第1のフォトレジスト膜を溶解させない炭素数6〜8のエステル基を含有する溶媒とする第2のレジスト材料を塗布して第2のフォトレジスト膜を形成し、露光、現像によって第1と第2のレジストパターンを同時に形成するパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CMOSデバイスのpウエルとnウエルを形成するためKrFレジスト膜をマスクにしてイオンを打ち込んで形成される場合があるが、レジストパターンの微細化の進行と共にArFレジスト膜が検討されるようになり、より微細化にはArF液浸リソグラフィーも提唱されている。イオンインプラントのためには、レジスト膜のスペース部分の基板面が現れている必要がある。レジスト膜の下に反射防止膜(BARC)層が存在すると、BARC層によってイオンがトラップされてしまうのである。しかしながら、BARC層無しでフォトレジスト膜をパターニングすると、基板反射による定在波が発生し、現像後のレジストパターンの側壁に強い凹凸が生じてしまう。定在波による凹凸をスムージングによって滑らかにするために、酸の拡散を大きくするための酸拡散し易い分子量の小さい酸が発生する酸発生剤(PAG)や高温PEBの適用が効果的とされている。KrF露光のイオンインプラントレジスト膜が解像する200〜300nmの寸法では酸拡散の増大によって解像性が劣化することがなかったが、ArF露光のイオンインプラントレジスト膜が解像する200nm以下の寸法では酸の拡散によって解像性が劣化したりプロキシミティーバイアスが大きくなったりするため、好ましいことではない。
【0003】
フォトレジスト膜自体に吸収を持たせることによって定在波の発生を防止するダイ入りレジスト材料は、最も古典的な方法であり、i線やg線のノボラックレジスト材料から検討されてきた。ArF露光に用いられる吸収成分としてはベンゼン環がベースポリマーへ導入されたり、ベンゼン環を有する添加剤の検討が行われている。しかしながら、吸収成分によって完全に定在波を防止することはできないし、吸収を大きくすると定在波は低減するもののレジストパターンの断面が台形のテーパー形状になってしまう問題が生じる。
【0004】
レジスト膜の上層に反射防止膜(TARC)を設けることも検討されている。TARCは定在波低減には効果があるが基板の凹凸によるハレーションの防止効果が無い。TARCの屈折率はフォトレジスト膜の屈折率の平方根が理想的であるが、ArFレジスト膜に用いられているメタクリレートの波長193nmにおける屈折率が1.7と比較的低いために、この平方根の1.30を達成できる低屈折率の材料が少ないなどの欠点がある。
【0005】
そこで、現像液に溶解するBARCの検討が行われている(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5039 p129 (2003)、非特許文献2:Proc. SPIE Vol. 6153 p61532P−1 (2006))。当初、現像液に非等方性に溶解するBARCが検討されたが、溶解が進行しすぎるとレジストパターンの下にアンダーカットが入り、溶解が足りないとスペース部分に残渣が残り、寸法制御性に難があった。次に検討されたのは、感光性のBARCである。BARCとして機能するには、反射防止効果とその上にフォトレジスト材料を塗布したときにフォトレジスト溶液に溶解しないこと、フォトレジスト膜とインターミキシングを起こさないことが必要である。BARC溶液を塗布後のベーク時に架橋することによってフォトレジスト溶液への溶解とインターミキシングを防止する。BARCにポジ型としての感光性の機能を持たせた場合、露光した領域はフォトレジスト膜と同様に現像液に溶解しなければならない。架橋したBARC膜は酸不安定基の脱保護によっても現像液に溶解しづらく、スペース部分に残渣が残る問題が生じている。
【0006】
従来型の架橋型BARCの場合は、レジスト現像後、ドライエッチングによってレジストパターンをマスクにして基板を加工するが、BARC膜を開けるためにレジストパターンが膜減りしてしまう問題があった。そこでエッチング速度の速いBARCが要求されてきた。BARC膜はエッチング耐性が殆ど期待できないため、基板加工のためのエッチング耐性向上はレジスト膜に要求されてきたが、レジスト膜の薄膜化によりエッチング耐性が低下してきている。基板加工のためのエッチング耐性をBARCに持たせようとすると、BARC膜を開けるときのレジストパターンのダメージが大きくなるジレンマが生じている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5039 p129 (2003)
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol. 6153 p61532P−1 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
イオンインプラント工程に用いられるフォトレジスト膜としては、開口した領域にイオンを打ち込むために現像後に露光部分の基板面が開口している必要がある。この場合、基板としてはシリコン基板が用いられるために基板からの反射が大きい。TARCは定在波を抑える効果があるが、定在波を完全に抑える最適な低屈折材料が存在しないために定在波が発生することと、基板に凹凸が存在するときの乱反射(ハレーション)を抑える効果がない。吸収成分入りレジスト膜は、吸収が強いと基板反射を抑える効果が高まるが、テーパー形状になり、テーパー形状が発生しないぐらいの少ない吸収の場合、基板反射を抑える効果が小さく、定在波による凹凸が発生する。BARCは吸収剤による光吸収と、最適な膜厚設定による入射光と反射光の相殺の2つの効果によって反射を抑えるために反射防止効果が非常に高いが、現像後にBARC面が現れてしまい、基板内部にイオンを打ち込むことができない。感光性のBARCはレジスト膜とのミキシングを防止するためにスピンコート後のベーク時の架橋によって露光部分のアルカリ現像液への溶解性が低下し、露光部分の基板面にスカム(残渣)が残る。基板面にスカムが残らない感光性のBARCを開発することが望まれている。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、露光部分の基板面にスカムが残らない寸法制御性に優れた感光性の反射防止膜としての効果が高い第1のフォトレジスト膜と、これの上に組み合わせる第2のフォトレジスト膜を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、下記パターン形成方法を提供するものである。
〔1〕
芳香族基を有する繰り返し単位を全繰り返し単位の10モル%以上100モル%以下の範囲で含有すると共に、スルホニウム塩の酸発生剤基を有する繰り返し単位を1モル%以上30モル%以下の範囲で有し、酸の作用でアルカリ現像液に溶解可能となる高分子化合物をベース樹脂とする第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成する工程と、第1のレジスト膜上に、第1のレジスト膜を溶解させないエステル基を含有する炭素数6〜8の溶媒と、酸の作用でアルカリ現像液に溶解可能となる高分子化合物を含有する第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成する工程と、高エネルギー線で露光し、ベーク(PEB)後、現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
〔2〕
第1のレジスト膜の露光波長に対する消光係数(k値)が0.1〜1.1の範囲であることを特徴とする〔1〕に記載のパターン形成方法。
〔3〕
露光波長がArFエキシマレーザーによる193nmであることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のパターン形成方法。
〔4〕
第1のレジスト材料の芳香族基がベンゼン環であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔5〕
スルホニウム塩の酸発生剤基を有する繰り返し単位が、下記一般式(1)で示されるスルホニウム塩a1〜a3のいずれかであることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R5、R9は水素原子又はメチル基、R2は単結合、フェニレン基、−O−R13−、又は−C(=O)−Y−R13−である。Yは酸素原子又はNH、R13は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R3、R4、R6、R7、R8、R10、R11、R12は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のカルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよいアルキル基であるか、又は炭素数6〜12のアリール基もしくは炭素数7〜20のアラルキル基を表す。A1は単結合、−A0−C(=O)−O−又は−A0−O−C(=O)−であり、A0は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい。A2は水素原子又はCF3基である。X1は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R14−、又は−C(=O)−X2−R14−である。X2は酸素原子又はNH、R14は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数2〜16のアルケニレン基、−C64−C(=O)−O−CH(CF3)−CF2−基、又は−C64−C(=O)−O−CH2−CF2−基を示し、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦a1≦0.3、0≦a2≦0.3、0≦a3≦0.3、0<a1+a2+a3≦0.3の範囲である。)
〔6〕
第2のレジスト材料のエステル基を含有する炭素数6〜8の溶媒が、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、酪酸エチル、2−エチル酪酸、イソ酪酸エチル、ピバル酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸イソプロピル、吉草酸メチル、イソ吉草酸メチル、プロピオン酸プロピル、蟻酸ヘキシル、蟻酸2−メチルペンチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸プロピル、メチル4−メチルバレート、イソ酪酸イソプロピル、吉草酸エチル、イソ吉草酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、ヘキサン酸メチル、酢酸ヘキシル、酪酸ブチル、酪酸sec−ブチル、イソ酪酸ブチル、酢酸2−メチルブチル、tert−ブチル酢酸エチル、2−エチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、3−メチル吉草酸エチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸イソブチル、イソ酪酸イソブチル、2−メチル酪酸イソプロピル、ヘプタン酸メチル、酢酸2−メチルペンチル、酢酸3−メチルペンチル、酢酸4−メチルペンチル、2−メチル酪酸プロピルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔7〕
第1のレジスト材料に用いられる高分子化合物が、上記一般式(1)で示される繰り返し単位a1、a2、a3に加えて、酸不安定基を有する繰り返し単位b、並びにヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−S−、及び−O−C(=O)−NH−から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位cを含有することを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔8〕
第2のレジスト材料に用いられる高分子化合物が、上記一般式(1)で示される繰り返し単位a1、a2、a3を含有せず、酸不安定基を有する繰り返し単位b、並びにヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−S−、及び−O−C(=O)−NH−から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位cを含有することを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔9〕
第1のレジスト材料に用いられる高分子化合物、及び第2のレジスト材料に用いられる高分子化合物が、下記一般式(2)で示される酸不安定基で置換された繰り返し単位を含有することを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
【化2】
(式中、R15は水素原子又はメチル基、Z1は単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又は−C(=O)−O−、R16は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基又はラクトン環を有していてもよい。R17は酸不安定基である。0.1≦b≦0.8の範囲である。)
〔10〕
現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成した後にドライエッチングによって基板を加工することを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔11〕
現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像してレジストパターンを形成した後に基板にイオンを打ち込むことを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
【0011】
このようなパターン形成方法を適用することによって、基板からの反射を抑えることができ、現像後のフォトレジストパターン断面の定在波による凹凸の発生を防ぎ、現像後の露光部の基板面をスカムの発生が無く寸法制御性高く開口させることが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少なくとも、芳香族基を有する繰り返し単位が、全繰り返し単位中10モル%以上100モル%以下の範囲であり、スルホニウム塩の酸発生剤の繰り返し単位を1モル%以上30モル%以下の範囲で有し、かつ酸によってアルカリ現像液に溶解可能となる高分子化合物を含む第1層目のポジ型レジスト材料を基板上に塗布して第1のレジスト膜を形成し、第1のレジスト膜上に第1のレジスト膜を溶解させない炭素数6〜8のエステル基を有する溶媒とする第2のポジ型レジスト材料を塗布して、第2のレジスト膜を形成し、露光中に生じる基板からの反射による定在波やハレーションの影響を無くして露光し、ベーク(PEB)後、現像液を用いて前記第1と第2のレジスト膜を同時に現像することによって、現像後に基板面を開口させることができる。
本発明の第1層レジスト膜は芳香族基を多く有しているために、第2層のレジスト膜よりもエッチング耐性が高い。第2層のレジスト膜を第1層レジスト膜と組み合わせることによって、第2層のレジスト膜単独の場合よりも現像後のレジストパターンをマスクにして基板をエッチング加工したり、イオンを打ち込んだりするときの耐性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明のパターン形成方法の一例を表す断面図であり、Aは基板上の被加工層上に第1レジスト膜を形成した状態、Bはその上に第2レジスト膜を形成した状態、Cはこのレジスト膜を露光した状態、Dは現像した状態、Eはレジストパターンをマスクにして被加工層をエッチングした状態を示す。
図2図2は、本発明のパターン形成方法の他の例を表す断面図であり、Aは基板上に第1レジスト膜を形成した状態、Bはその上に第2レジスト膜を形成した状態、Cはこのレジスト膜を露光した状態、Dは現像した状態、Eはレジストパターンをマスクにして基板にイオンを打ち込んだ状態を示す。
図3】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.3にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
図4】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.4にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
図5】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.5にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
図6】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.6にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
図7】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.7にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
図8】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.8にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
図9】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を1.9にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
図10】本発明の第1層目のレジスト膜のn値を2.0にし、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射率を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者は、Si等の高反射基板でパターニングを行うイオンインプランテーション用のフォトリソグラフィーにおいて、基板からの反射を防いでかつ露光部を開口させるために、DBARCを用いたときのような開口部分の残渣が発生しないパターニング方法及びこれに用いるフォトレジスト材料の鋭意検討を行った。
【0015】
本発明者は、第1のポジ型レジスト材料としては、露光波長に強い吸収を有するポジ型レジスト材料を用い、その上に第1レジスト膜を溶解させない炭素数6〜8のエステル基を有する溶剤とする第2のポジ型レジスト材料を塗布し、露光と現像によって第1と第2レジストのパターンを同時に形成する。これにより、基板からの反射と定在波の発生によってレジストパターン側壁に凹凸が発生することを抑え、露光した部分の基板面を残渣の発生無く開口することが可能であることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、第1層目のレジスト膜は、DBARCのように架橋しないため、露光部分にスカムが発生することがない。第1層目のレジスト膜はBARCと同じぐらいの吸収を有するが、架橋がない分だけコントラストを向上させることができ、テーパー形状を防止しスカムの発生を防止することができる。
【0016】
前記第1及び第2のポジ型レジスト材料は、化学増幅ポジ型レジスト材料であり、少なくとも第1のポジ型レジスト膜は、第2のポジ型レジスト材料の溶剤に溶解しないことが必要である。第1のポジ型レジスト膜の溶解性は、第1レジスト膜上に第2レジスト材料の溶媒に用いる溶液を10〜30秒間ディスペンスし、その後スピンドライとプリベークによって溶液を蒸発させ、ディスペンス前後の第1レジスト膜の膜厚変化を測定することによって求めることができる。この時の膜厚変化として、20nm以下である必要があり、好ましくは10nm以下であり、更に好ましくは6nm以下である。
【0017】
第1のポジ型レジスト材料のベースポリマーとして、酸発生剤基となるスルホニウム塩とラクトンを主要な密着性基として有している場合、炭素数6〜8のエステル基を有する溶剤には溶解しなくなる。第2のレジスト材料としては、炭素数6〜8のエステル基を有する溶剤を用いることによって、第1層のレジスト層と、第2層のレジスト層とのミキシングを防止する。炭素数6〜8のエステル基を有する溶剤に溶解するためには、第2レジスト材料用のベースポリマーとしては酸発生剤基となるスルホニウム塩を共重合しないことが必要である。更に、炭素数6〜8のエステル基を有する溶剤への溶解性を向上させるためには、弱酸性のヒドロキシ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。弱酸性のヒドロキシ基とは、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基で表されるヘキサフルオロアルコール基、スルホンアミド基、あるいはフェノール基である。フェノール基は波長193nmにベンゼン環の強い吸収があるため第2のレジスト材料用のベースポリマーとしては用いることができないが、ナフトール基であれば吸収最大波長が長波長側にシフトするために適用することができる。
【0018】
更に詳述すると、第1のポジ型レジスト材料は、全繰り返し単位のうち、10〜100モル%、好ましくは15〜90モル%、更に好ましくは18〜80モル%の繰り返し単位が芳香族基を含有し、またスルホニウム塩の酸発生剤基を有する繰り返し単位を1〜30モル%、好ましくは2〜28モル%、更に好ましくは3〜25モル%の割合で有する高分子化合物をベース樹脂とするものである。
【0019】
第1のレジスト材料にベース樹脂として用いる高分子化合物において、スルホニウム塩の酸発生剤基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(1)で示されるスルホニウム塩の繰り返し単位a1〜a3が好ましく、これらの1種又は2種以上の繰り返し単位を共重合することができる。
【化3】
(式中、R1、R5、R9は水素原子又はメチル基、R2は単結合、フェニレン基、−O−R13−、又は−C(=O)−Y−R13−である。Yは酸素原子又はNH、R13は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R3、R4、R6、R7、R8、R10、R11、R12は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。A1は単結合、−A0−C(=O)−O−又は−A0−O−C(=O)−であり、A0は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよい。A2は水素原子又はCF3基である。X1は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R14−、又は−C(=O)−X2−R14−である。X2は酸素原子又はNH、R14は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又は炭素数2〜16のアルケニレン基、−C64−C(=O)−O−CH(CF3)−CF2−基、又は−C64−C(=O)−O−CH2−CF2−基を示し、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦a1≦0.3、0≦a2≦0.3、0≦a3≦0.3、0<a1+a2+a3≦0.3の範囲である。)
【0020】
上記一般式(1)中のスルホニウム塩を有する繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化4】
【0021】
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0022】
更には、下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα,β位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【化5】
【0023】
一般式(K−1)中、R102は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ラクトン環、又はフッ素原子を有していてもよい。
一般式(K−2)中、R103は水素原子、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよい。
【0024】
上記一般式(1)中のスルホニウム塩を有する繰り返し単位a2、a3を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】
第1のレジスト材料としては、フォトレジスト材料としての機能だけでなく、反射防止膜としての機能が必要である。露光波長が波長193nmのArFエキシマレーザーの場合、吸収基としてはベンゼン環が最も好ましく用いられる。ベンゼン環は酸不安定基として有していてもよいし、密着性基として有していてもよいし、重合性基に直結したスチレン類として有していてもよい。また、上記式(2)の繰り返し単位に含まれていてもよい。ベンゼン環を有する繰り返し単位のモル数としては、全重合単位100モル%に対して20〜100モル%の範囲である。
【0032】
ベンゼン環の導入方法については、酸不安定基として導入してもよいし、フェノール基を有するヒドロキシスチレンのような密着性基としてでもよいし、スチレンやインデンのような無極性の繰り返し単位、クマリンやクロモンのような剛直性を上げる密着性基として導入してもよい。また、上記のように式(1)の繰り返し単位に導入してもよい。更には下記一般式(2)中の繰り返し単位bのような酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する繰り返し単位の中のZ1やR16中、あるいはR17の酸不安定基中に導入してもよい。
【化13】
(式中、R15は水素原子又はメチル基、Z1は単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又は−C(=O)−O−、R16は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基又はラクトン環を有していてもよい。R17は酸不安定基である。0.1≦b≦0.8の範囲である。)
【0033】
第1のレジスト材料及び第2のレジスト材料にはポジ型レジスト材料として機能するために、上記一般式(2)で示される酸不安定基で置換されたカルボキシル基を有する繰り返し単位bの繰り返し単位を有することが好ましい。
【0034】
繰り返し単位bを得るためのモノマーとしては、下記に示す酸不安定基で置換されたメタクリレート、アクリレート、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸等のモノマーである。
【化14】
(式中、R15〜R17、Z1は前述の通りである。)
【0035】
繰り返し単位bを得るためのモノマーとしては、具体的には下記のものが示される。
【化15】
ここでR15、R17は前述の通りである。
【0036】
一般式(2)中、R17で示される酸不安定基は種々選定されるが、第1レジスト材料、第2レジスト材料共に同一でも異なっていてもよく、特に下記式(A−1)、(A−2)で示される基、下記式(A−3)で示される3級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【化16】
【0037】
式(A−1)において、R30は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(A−3)で示される基を示し、三級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。a1は0〜6の整数である。
【0038】
式(A−2)において、R31、R32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R33は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0039】
【化17】
【0040】
31とR32、R31とR33、R32とR33とは結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR31、R32、R33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、好ましくは環の炭素数は3〜10、特に4〜10である。
【0041】
上記式(A−1)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0042】
更に、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
【化18】
【0043】
ここで、R37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基、R38は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。
また、R39は互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
a1は上記の通りである。
【0044】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−112のものを例示することができる。
【化19】
【0045】
【化20】
【0046】
【化21】
【0047】
【化22】
【0048】
【化23】
【0049】
【化24】
【0050】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0051】
また、下記一般式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化25】
【0052】
式中、R40、R41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R40とR41は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR40、R41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b1、d1は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、c1は1〜7の整数である。Aは、(c1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0053】
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c1は好ましくは1〜3の整数である。
【0054】
一般式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(A−2)−113〜(A−2)−120のものが挙げられる。
【化26】
【0055】
次に、式(A−3)においてR34、R35、R36は、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R34とR35、R34とR36、R35とR36とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、炭素数3〜20の脂環を形成してもよい。
【0056】
式(A−3)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0057】
また、三級アルキル基としては、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に挙げることもできる。
【化27】
【0058】
式(A−3)−1〜(A−3)−18中、R43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。R44、R46は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R45は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のフェニル基等のアリール、炭素数2〜20のアルケニル基を示す。
【0059】
更に、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるR47を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。
【化28】
【0060】
式(A−3)−19、(A−3)−20中、R43は前述と同様、R47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、又はフェニレン基等のアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。e1は1〜3の整数である。
【0061】
特に、式(A−3)の酸不安定基としては、下記式(A−3)−21に示されるエキソ体構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位が好ましく挙げられる。
【化29】
(式中、R15は水素原子又はメチル基、Rc3は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。Rc4〜Rc9及びRc12、Rc13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、Rc10、Rc11は水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示す。Rc4とRc5、Rc6とRc8、Rc6とRc9、Rc7とRc9、Rc7とRc13、Rc8とRc12、Rc10とRc11又はRc11とRc12は互いに環を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与する基は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。またRc4とRc13、Rc10とRc13又はRc6とRc8は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0062】
ここで、一般式(A−3)−21に示すエキソ構造を有する繰り返し単位を得るためのエステル体のモノマーとしては特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0063】
【化30】
【0064】
更に、式(A−3)に示される酸不安定基としては、下記式(A−3)−22に示されるフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの酸不安定基を挙げることができる。
【化31】
(式中、R15は前述の通りである。Rc14、Rc15はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。又は、Rc14、Rc15は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成してもよい。Rc16はフランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基から選ばれる2価の基を示す。Rc17は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0065】
フランジイル基、テトラヒドロフランジイル基又はオキサノルボルナンジイル基を有する酸不安定基で置換された繰り返し単位を得るためのモノマーは下記に例示される。なお、Acはアセチル基、Meはメチル基を示す。
【0066】
【化32】
【0067】
【化33】
【0068】
繰り返し単位bの酸不安定基R17としては、下記一般式(A−3)−23で示されるものであってもよい。
【化34】
(式中、R23-1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。m23は1〜4の整数である。)
【0069】
式(A−3)−23で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位bを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化35】
【0070】
繰り返し単位bの酸不安定基R17は、下記一般式(A−3)−24で示される酸不安定基であってもよい。
【化36】
(式中、R24-1、R24-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは水素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、又は炭素数6〜10のアリール基である。R24-3、R24-4、R24-5、R24-6は水素原子、あるいはR24-3とR24-4、R24-4とR24-5、R24-5とR24-6が結合してベンゼン環を形成してもよい。m24、n24は1〜4の整数である。)
【0071】
式(A−3)−24で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位bを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化37】
【0072】
【化38】
【0073】
【化39】
【0074】
繰り返し単位bの酸不安定基R17は、下記一般式(A−3)−25で示される酸不安定基であってもよい。
【化40】
(式中、R25-1は同一又は異種で、水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、m25が2以上の場合、R25-1同士が結合して炭素数2〜8の非芳香環を形成してもよく、円は炭素CAとCBとのエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基から選ばれる結合を表し、R25-2は炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。円がエチレン基、プロピレン基のとき、R25-1が水素原子となることはない。m25、n25は1〜4の整数である。)
【0075】
式(A−3)−25で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位bを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化41】
【0076】
【化42】
【0077】
【化43】
【0078】
【化44】
【0079】
【化45】
【0080】
繰り返し単位bの酸不安定基R17は、下記一般式(A−3)−26で示される酸不安定基であってもよい。
【化46】
(式中、R26-1、R26-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。m26、n26は1〜4の整数である。)
【0081】
式(A−3)−26で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位a1を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化47】
【0082】
【化48】
【0083】
繰り返し単位bの酸不安定基R17は、下記一般式(A−3)−27で示される酸不安定基であってもよい。
【化49】
(式中、R27-1、R27-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。m27、n27は1〜4の整数である。Jはメチレン基、エチレン基、ビニレン基、又は−CH2−S−である。)
【0084】
式(A−3)−27で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位bを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化50】
【0085】
【化51】
【0086】
【化52】
【0087】
繰り返し単位bの酸不安定基R17は、下記一般式(A−3)−28で示される酸不安定基であってもよい。
【化53】
(式中、R28-1、R28-2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。Rは前述の通り。m28、n28は1〜4の整数である。Kはカルボニル基、エーテル基、スルフィド基、−S(=O)−、又は−S(=O)2−である。)
【0088】
式(A−3)−28で示される酸不安定基によって置換された繰り返し単位bを得るためのモノマーは、具体的には下記に例示される。
【化54】
【0089】
【化55】
【0090】
【化56】
【0091】
【化57】
【0092】
【化58】
【0093】
本発明において、第1層目及び第2層目のレジスト膜を形成するレジスト材料のベース樹脂を形成する高分子化合物としては、一般式(2)で示される繰り返し単位bに加えて、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−Y1−(Y1は硫黄原子又はNHである。)から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位cを共重合することができる。繰り返し単位a1、a2、a3と繰り返し単位cを共重合することによって、第2層目のレジスト溶液の炭素数6〜8のエステル基を有する溶剤、具体的には、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、酪酸エチル、2−エチル酪酸、イソ酪酸エチル、ピバル酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸イソプロピル、吉草酸メチル、イソ吉草酸メチル、プロピオン酸プロピル、蟻酸ヘキシル、蟻酸2−メチルペンチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸プロピル、メチル4−メチルバレート、イソ酪酸イソプロピル、吉草酸エチル、イソ吉草酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、ヘキサン酸メチル、酢酸ヘキシル、4−sec−ブトキシ−2−ブタノン、酪酸ブチル、酪酸sec−ブチル、イソ酪酸ブチル、酢酸2−メチルブチル、tert−ブチル酢酸エチル、2−エチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、3−メチル吉草酸エチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸イソブチル、イソ酪酸イソブチル、2−メチル酪酸イソプロピル、ヘプタン酸メチル、酢酸2−メチルペンチル、酢酸3−メチルペンチル、酢酸4−メチルペンチル、2−メチル酪酸プロピルから選ばれる溶剤への溶解性が殆ど無くなり、第2レジスト材料をディスペンスしたときに第1レジスト膜が溶解したり、第2レジスト膜とインターミキシングしたりすることが起こらなくなる。
【0094】
ヒドロキシ基、カルボキシル基、ラクトン環、カーボネート基、チオカーボネート基、カルボニル基、環状アセタール基、エーテル基、エステル基、スルホン酸エステル基、シアノ基、アミド基、−O−C(=O)−Y1−(Y1は硫黄原子又は−NH−である。)から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位cは、具体的には下記のものが示される。
【0095】
【化59】
【0096】
【化60】
【0097】
【化61】
【0098】
【化62】
【0099】
【化63】
【0100】
【化64】
【0101】
繰り返し単位cとして、第1層目のレジスト材料に用いられる高分子化合物としては、下記に例示されるフェノール性水酸基を有する繰り返し単位を共重合することができる。これらの中で、ナフトールを有する繰り返し単位は第2層目のレジストに適用することもできる。
【0102】
【化65】
【0103】
【化66】
【0104】
【化67】
【0105】
フェノール性水酸基は、モノマーの段階では酸不安定基やアシル基で保護しておき、重合後に酸やアルカリ水溶液で脱保護してヒドロキシ基にしてもよい。
【0106】
炭素数6〜8のエステル基を有する溶媒とする第2層目のポジ型レジスト材料に用いられるベースポリマーは、αフルオロヒドロキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有することによって溶解性が向上する。
αフルオロヒドロキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル基を有するモノマーとして、具体的には下記のものが示される。
【0107】
【化68】
【0108】
【化69】
【0109】
【化70】

【0110】
【化71】
【0111】
更には、下記に例示するスルホンアミド基を有する繰り返し単位として共重合することもできる。これによっても第2層レジスト用ポリマーの炭素数6〜8のエステル溶剤への溶解性が向上する。
【0112】
【化72】
【0113】
更に、第1レジスト材料、第2レジスト材料共にエッチング耐性を向上するために、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、ビニルフルオレン、ビニルフェナントレン、ビニルクリセン、ビニルナフタセン、ビニルペンタセン、ビニルアセナフテン、ビニルフルオレン、インデン、アセナフチレン、クマリン、クロモン、無水マレイン酸、マレイミド、ビニルカルバゾール等の繰り返し単位dを共重合することもできる。
【0114】
第1のポジ型レジスト材料としては、繰り返し単位a1、a2、a3の内の少なくとも一つと、b、cの繰り返し単位を必須とし、場合によっては繰り返し単位dを共重合してもよい。第2のポジ型レジスト材料としては、b、cの繰り返し単位を必須とし、場合によっては繰り返し単位dを共重合してもよく、繰り返し単位a1、a2、a3は何れも含まない。
【0115】
第1のポジ型レジスト材料に用いられる高分子化合物の共重合比率としては、0≦a1≦0.3、0≦a2≦0.3、0≦a3≦0.3、0<a1+a2+a3≦0.3、0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.8、0≦d≦0.3、好ましくは0≦a1≦0.25、0≦a2≦0.25、0≦a3≦0.25、0.02≦a1+a2+a3≦0.25、0.15≦b≦0.75、0.15≦c≦0.75、0≦d≦0.25の範囲である。
【0116】
第2のポジ型レジスト材料に用いられる高分子化合物の共重合比率としては0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.8、0≦d≦0.3、好ましくは0.15≦b≦0.75、0.15≦c≦0.75、0≦d≦0.25の範囲である。
【0117】
1層目のレジスト膜は、芳香族基を多く含んでいるためにエッチング耐性が高く、イオン打ち込みの時の遮断性が高く、それぞれのマスクとしての高い機能を有する。2層目のレジスト材料は、通常のArFレジスト材料並みのエッチング耐性しかないが、1層目のレジスト材料と組み合わせることによって高い耐性を得ることができる。
通常のBARCの場合は、レジストパターンをマスクにしてドライエッチングによってBARC膜を加工するために、エッチング速度が速いことが必要である。よってBARC膜にエッチング耐性は殆ど無い。本発明の1層目のレジスト材料は、BARCと同じ反射防止効果を有し、現像液によってパターンが形成されるためにドライエッチング加工による上層レジスト層のダメージの心配が無く、しかもエッチング耐性が高い。
【0118】
本発明のパターン形成方法に用いられる第1及び第2レジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物は、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)やジメチルホルムアミド(DMF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料現像後の熱架橋における架橋効率が低下することがあり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0119】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料のベースポリマーとなる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0120】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては必要な繰り返し単位a1、a2、a3、b、c、dを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加え加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよく、酸不安定基を酸触媒によって一旦脱離し、その後保護化あるいは部分保護化してもよい。なお、上記ベース樹脂を構成する高分子化合物は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0121】
本発明のパターン形成方法に用いる第1層目及び第2層目のポジ型レジスト材料は、化学増幅ポジ型レジスト材料として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。第1層目のポジ型レジスト材料は酸発生剤を共重合しているために酸発生剤を添加してもしなくても構わないが、第2層目のポジ型レジスト材料は酸発生剤を添加する必要がある。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。
【0122】
本発明のレジスト材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか一つ以上を含有することができる。
【0123】
第1層目のレジスト材料用の有機溶媒の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載されている化合物を用いることができ、特に、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類から選ばれる1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
【0124】
第2層目のレジスト材料用の有機溶媒として炭素数6〜8のエステル基を含有する溶媒の具体例としては、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、酪酸エチル、2−エチル酪酸、イソ酪酸エチル、ピバル酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸イソプロピル、吉草酸メチル、イソ吉草酸メチル、プロピオン酸プロピル、蟻酸ヘキシル、蟻酸2−メチルペンチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸プロピル、メチル4−メチルバレート、イソ酪酸イソプロピル、吉草酸エチル、イソ吉草酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、ヘキサン酸メチル、酢酸ヘキシル、4−sec−ブトキシ−2−ブタノン、酪酸ブチル、酪酸sec−ブチル、イソ酪酸ブチル、酢酸2−メチルブチル、tert−ブチル酢酸エチル、2−エチル酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、3−メチル吉草酸エチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸イソブチル、イソ酪酸イソブチル、2−メチル酪酸イソプロピル、ヘプタン酸メチル、酢酸2−メチルペンチル、酢酸3−メチルペンチル、酢酸4−メチルペンチル、2−メチル酪酸プロピル等が挙げられ、これらから選ばれる1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
【0125】
第1層目のレジスト材料用と第2層目のレジスト材料用の塩基性化合物としては特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]、界面活性剤としては段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類としては段落[0179]〜[0182]に記載されている材料を用いることができる。
【0126】
なお、酸発生剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部であることが好ましい。有機溶剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。また、塩基性化合物の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
【0127】
ここで、本発明のパターン形成方法について説明する。
図1に示すパターニング方法において、基板10上の被加工層20上に第1レジスト膜31を塗布、形成する(A)。その上に第2レジスト膜32を塗布、形成する(B)。第1、第2レジスト材料の塗布後、ベークを行うことによって溶剤を乾燥させ、第1と第2レジスト膜間のミキシングと、第2レジスト材料を塗布したときの第1レジスト膜の溶解を防止する。ベーク温度は60〜180℃、特に70〜150℃の範囲が好ましく用いられる。第1レジスト膜の厚みは5〜100nmの範囲であり、反射防止効果の高い膜厚を選択することが好ましい。その後、露光(C)、現像(D)及びエッチング(E)を行う。
【0128】
従来から提案されているDBARCを用いるパターン形成方法の場合は、図1における第1レジスト膜がDBARC膜に相当する。DBARCを用いる場合は、DBARCを塗布後、200℃程度の高温のベークによる架橋反応によってその上にレジスト溶液を塗布したときの溶解やミキシングを防止する。しかしながら、架橋反応によって、現像液への溶解性が著しく低下し、スペース部分の残渣が発生する問題点を有している。
【0129】
BARCを用いたパターン形成方法においては、BARCには感光性がないために、レジスト膜現像後においても露光部が溶解することがない。露光部の被加工基板面を開けるために、現像後のレジストパターンをドライエッチングによって開口させるので被加工基板を加工する前の段階でレジスト膜の膜厚が減少している。
【0130】
図2に示されるパターニング方法においては、現像までは図1と同じである(但し、被加工層は形成しない)が、その後イオンを打ち込み、開口部の基板面にイオンが注入される(E)。BARCを用いたパターン形成方法を用いて、BARCをドライエッチングで開口させようとすると、基板面の表面が酸化されてしまい、イオンを打ち込んでもイオンが酸化膜で止まってしまう。イオン打ち込みのためのパターニングにおいては、現像後に基板面を開口させておく必要がある。
【0131】
図1のパターン形成方法の場合、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工層20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜が挙げられる。
【0132】
本発明においては、上記被加工層に直接又は珪素含有中間層を介して第1のポジ型レジスト材料、その上に第2のポジ型レジスト材料による第1及び第2のレジスト膜を形成するが、第1のレジスト膜の厚さとしては、5〜100nm、好ましくは10〜100nm、特に20〜50nmであることが好ましく、基板反射が最低になる膜厚を選択することが望ましい。第2レジスト膜の膜厚は20〜300nm、好ましくは30〜250nmの範囲である。第1及び第2レジスト膜は、スピンコート後の露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
【0133】
次いで、露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカンなどの屈折率が1以上で、露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。レジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよく、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
第1及び第2層のレジスト材料として、レジスト表面の撥水性を上げるための添加剤を加えてもよい。このものは、フルオロアルコール基を有する高分子体であり、スピンコート後のレジスト表面に配向して表面エネルギーを低下させ、滑水性が向上する。このような材料は、特開2007−297590号公報、特開2008−122932号公報に示される。
【0134】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポジュアーベーク(PEB)する。
【0135】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0136】
ここで第1層目のレジスト膜のn値を1.3〜2.0と0.1ステップで変化させ、k値と膜厚を変化させたときのレジスト膜の下方からの反射を計算した結果を図3〜10に示す。露光は波長193nmのArFドライ露光のNA0.85、2/3輪帯照明である。
第1層目のレジスト膜の露光波長に対する消光係数(k値)と膜厚の最適値はそれぞれのn値毎に異なっている。反射率が1%以下(図中の反射率0〜0.01の白い部分)の最も薄膜の領域は、n値が高い場合ほど薄膜になり、この時のk値は高くなっている。
第1層目のレジスト材料は、反射防止するための吸光剤を多量に含有するために、膜厚が厚くなるとテーパー形状になる。そのために第1層目のレジストの膜厚は、できるだけ薄膜にすることが必要である。例えば図6において、膜厚30〜50nmあるいは90〜120nmの範囲に反射率が1%以下になる領域が存在するが、この場合30〜50nmの領域の膜厚が好ましく用いられる。30〜50nmの範囲の中でもなるべく薄膜側の設定が好ましい。1層目のレジストの屈折率nとしては、高い方がより薄膜で反射率を1%以下にすることができる。
【実施例】
【0137】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)は溶媒としてテトラヒドロフランを用いたGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0138】
[合成例]
レジスト材料に添加される高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(ポリマー1−1〜1−11、ポリマー2−1〜2−5、比較ポリマー1−1,1−2)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフにより確認した。
【0139】
ポリマー1−1
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.73
【化73】
【0140】
ポリマー1−2
分子量(Mw)=8,700
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化74】
【0141】
ポリマー1−3
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化75】
【0142】
ポリマー1−4
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化76】
【0143】
ポリマー1−5
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.81
【化77】
【0144】
ポリマー1−6
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.85
【化78】
【0145】
ポリマー1−7
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化79】
【0146】
ポリマー1−8
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化80】
【0147】
ポリマー1−9
分子量(Mw)=9,600
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化81】
【0148】
ポリマー1−10
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化82】
【0149】
ポリマー1−11
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化83】
【0150】
ポリマー2−1
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.96
【化84】
【0151】
ポリマー2−2
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化85】
【0152】
ポリマー2−3
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.92
【化86】
【0153】
ポリマー2−4
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化87】
【0154】
ポリマー2−5
分子量(Mw)=7,600
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化88】
【0155】
比較ポリマー1−1
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化89】
【0156】
比較ポリマー1−2
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.86
【化90】
【0157】
[第1層レジスト材料の組成]
上記で合成した高分子化合物(ポリマー1−1〜1−11、ポリマー2−1〜2−5、比較ポリマー1−1,1−2)、酸発生剤、アミンクエンチャー、住友スリーエム(株)製界面活性剤;FC−4430が50ppm混合された溶剤を表1の組成で混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
ここで、比較レジスト1−3において、ポリマー1−1は酢酸イソアミルに溶解しなかった。
【0158】
下記表中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG(光酸発生剤)1〜4
【化91】
【0159】
塩基性化合物(アミンクエンチャー):Quencher1,2
【化92】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
CyH(シクロヘキサノン)
CyP(シクロペンタノン)
GBL(γ−ブチロラクトン)
【0160】
【表1】
【0161】
[第2層レジスト材料の組成]
上記で合成した高分子化合物(ポリマー2−1〜2−5)、酸発生剤、アミンクエンチャー、住友スリーエム(株)製界面活性剤;FC−4430が50ppm混合された溶剤を表2の組成で混合し、0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
【0162】
【表2】
【0163】
表1に示される第1層目のレジスト材料を8インチのシリコンウエハーに塗布し、120℃で60秒間ベークし、厚さ35nmの第1レジスト膜を作製した。J.A.ウーラム社の入射角度可変の分光エリプソメーター(VASE)で波長193nmにおける屈折率(n,k)を求め、その結果を表3に示した。
【0164】
【表3】
【0165】
表1に示される第1層目のレジスト材料を8インチのシリコンウエハーに塗布し、120℃で60秒間ベークし、厚さ35nmの第1レジスト膜を作製した。その上に表4に示す溶剤を20秒間静止ディスペンスし、1,500rpmで振り切った後100℃で60秒間ベークし、再度膜厚を測定し、ディスペンスによる膜減り量を求めた。結果を表4に示す。
【0166】
【表4】
【0167】
[実施例及び比較例]
露光実験
表1に示される第1層目のレジスト材料を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)ベーパープライムしたSi基板にスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを35nmにした。その上に表2に示される第2層目のレジスト材料をスピンコートし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを165nmにした。これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S307E,NA0.85、σ0.93、2/3輪帯照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて90nm,ライン180nmピッチのパターンを露光し、露光後、直ちに100℃で60秒間ベークし、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行って、90nmラインアンドスペースパターンを得、パターンの断面形状をSEMにて観察した。結果を表5に示す。
【0168】
【表5】
【0169】
実施例1〜11では、現像後に第1層目と第2層目の露光部分が同一寸法で溶解しており、第1層目とその上の第2層目のレジスト膜のパターンが形成されており、第1層目のレジスト膜の反射防止効果によって第2レジストパターンの側壁に定在波による凹凸の発生が見られなかった。
酸発生剤が共重合していないポリマーを含有する比較レジスト1−1を第1層目のレジスト膜として用いた場合、第2レジストをスピンコートした時に第1レジストと第2レジストが混ざってしまい、第1層目の反射防止効果が無くなってしまった。吸光成分が膜内で均一分散してしまい、テーパー形状となってしまった。
一方、吸収成分を全く含まない比較レジスト1−2を第1層目のレジスト膜として用いた場合、現像後の第2層目のレジスト側壁には、基板反射の定在波による凹凸が発生した。
第2層目のレジスト膜にPGMEA溶剤を用いた場合、第2層目のレジスト材料を塗布した時点で第1層目のレジスト膜を溶かしてしまい、第1層目と第2層目のレジスト膜の混合のために比較例1−1と同様の形状となってしまった。
【0170】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様の作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0171】
10 基板
20 被加工層
31 第1レジスト膜
32 第2レジスト膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10