特許第5752868号(P5752868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5752868LCD‐TFTディスプレイの画素テスト方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5752868
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】LCD‐TFTディスプレイの画素テスト方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20150702BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20150702BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20150702BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   G02F1/1368
   G02F1/13 101
   G02F1/1343
   G09F9/00 352
【請求項の数】38
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2005-222584(P2005-222584)
(22)【出願日】2005年8月1日
(65)【公開番号】特開2006-85154(P2006-85154A)
(43)【公開日】2006年3月30日
【審査請求日】2008年7月29日
【審判番号】不服2014-3971(P2014-3971/J1)
【審判請求日】2014年3月1日
(31)【優先権主張番号】60/598667
(32)【優先日】2004年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10/977510
(32)【優先日】2004年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】アレックス ベンゼル
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ブルンネル
【合議体】
【審判長】 黒瀬 雅一
【審判官】 畑井 順一
【審判官】 吉村 尚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−003142(JP,A)
【文献】 特開2004−014207(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/109375(WO,A1)
【文献】 特開2001−273863(JP,A)
【文献】 特開2001−313322(JP,A)
【文献】 特開2001−185592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1368
G02F1/13
G02F1/1343
G09F9/00
H01L21/66
G01N23/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電部と絶縁ラインのみからなる不均一電極領域を備えたフラットパネルディスプレイ基板上のTFTデバイスの電子ビームテストを行う方法であって
前記絶縁ラインの少なくとも一部と前記導電部の少なくとも一部を覆うのに十分な面積を有する径が増大され、焦点がぼかされたビームを有する電子テストビームを形成し、
前記電子テストビームを前記不均一電極領域上に配向し、
前記電子テストビームが配向された前記不均一電極領域上から放出された平均化された二次電子を感知することを含む方法。
【請求項2】
前記電子ビームの面積は前記不均一電極領域の少なくとも50%である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電子ビームの面積は前記不均一電極領域の50%から90%の間である請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記形成される電子テストビームは円形である請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記形成される電子テストビームは楕円形である請求項1記載の方法。
【請求項6】
導電部と前記導電部上に形成された絶縁ラインのみからなる不均一電極領域を備えたフラットパネルディスプレイ基板上のTFTデバイスの電子ビームテストを行う方法であり、
前記絶縁ラインの少なくとも一方を部分的に覆い、前記導電部を少なくとも部分的に覆うのに十分な直径を有する径が増大され、焦点がぼかされた電子テストビームを形成し、
前記電子テストビームをフラットパネルディスプレイ基板の不均一電極領域上に配向し、
前記電子テストビームが配向された前記不均一電極領域上から放出された平均化された二次電子を感知することを含む方法。
【請求項7】
前記電子テストビームの直径は前記絶縁ラインの一方の幅の2倍から10倍の間である請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記電子テストビームの直径は前記絶縁ラインの一方の幅の4倍から8倍の間である請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記形成される電子テストビームは円形である請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記形成される電子テストビームは楕円形であり、前記形成された電子テストビームの直径は短軸に沿って計測される請求項6記載の方法。
【請求項11】
前記フラットパネルディスプレイ基板はマルチ−ドメイン・バーチカル・アライメント(MVA)ディスプレイ基板を備えている請求項6記載の方法。
【請求項12】
絶縁部と前記絶縁部により分離された第1電極と第2電極のみからなる不均一電極領域を備えたフラットパネルディスプレイ基板上のTFTデバイスの電子ビームテストを行う方法であり、
前記第1電極を少なくとも部分的に覆い、前記第2電極を少なくとも部分的に覆い、前記絶縁部を少なくとも部分的に覆うのに十分な直径を有する径が増大され、焦点がぼかされた電子テストビームを形成し、
電子テストビームをフラットパネルディスプレイ基板の不均一電極領域上に配向し、
前記電子テストビームが配向された前記不均一電極領域上から放出された平均化された二次電子を感知することを含む方法。
【請求項13】
前記電子テストビームの直径は前記絶縁部の幅の2倍から10倍の間である請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記電子テストビームの直径は前記絶縁部の幅の4倍から8倍の間である請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記形成される電子テストビームは円形である請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記形成される電子テストビームは楕円形であり、前記形成された電子テストビームの直径は短軸に沿って計測される請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記フラットパネルディスプレイ基板はイン・プレイン・スイッチングディスプレイ基板を備えている請求項12記載の方法。
【請求項18】
絶縁部と導電部のみからなる不均一電極領域を備えたフラットパネルディスプレイ上のTFTデバイスの電子ビームテストを行う方法であり、
前記不均一電極領域の20%又はそれ以下の第1面積を有する電子テストビームを形成し、
前記形成された電子テストビームを基板上の位置決めマーク上に配向して電子ビームの位置を調整し、
前記形成された電子テストビームが不均一電極領域の20%より大きな第2面積を有するように再形成し、
前記再形成された電子テストビームを不均一電極領域上で順次配向し、
前記再形成された電子テストビームが配向された前記不均一電極領域上から放出された平均化された二次電子を感知することを含む方法。
【請求項19】
前記形成される電子テストビームは円形である請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記形成される電子テストビームは楕円形であり、前記形成された電子テストビームの直径は短軸に沿って計測される請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記再形成される電子テストビームの第2面積は前記不均一電極領域の50%から90%の間である請求項18記載の方法。
【請求項22】
導電部と絶縁部のみからなる不均一電極領域を備える基板上のデバイスのテスト装置であって、
前記基板上に配置されたデバイス上に位置する電子ビームを備え、前記電子ビームは、前記電子ビームの電流を変化させることによって提供される設定可能なスポット領域を基板上に形成し、前記スポット領域は、前記絶縁部を少なくとも部分的に、及び前記導電部を少なくとも部分的に覆うように径が増大され、焦点がぼかされており、これによって前記スポットが配向された前記不均一電極領域から平均化された二次電子信号を引き出し、信号の干渉を最小化する装置。
【請求項23】
前記デバイスは前記不均一電極領域を有する薄膜トランジスタであり、前記スポット領域は前記不均一電極領域の少なくとも50%である請求項22記載の装置。
【請求項24】
前記スポット領域は前記不均一電極領域の少なくとも50%から90%の間である請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記スポット領域は円形である請求項22記載の装置。
【請求項26】
前記スポット領域は楕円形である請求項22記載の装置。
【請求項27】
前記不均一電極領域は導電部と絶縁ライン部とを有する請求項22記載の装置。
【請求項28】
前記スポット領域は直径を有し、前記直径は前記絶縁ラインの一方の幅の2倍から10倍の間である請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記スポット領域は円形であり、直径を有し、この直径は前記絶縁ラインの一方の幅の4倍から8倍の間である請求項27記載の装置。
【請求項30】
前記スポット領域は楕円形であり、短軸に沿って計測される直径を有し、この直径は前記絶縁ラインの一方の幅の4倍から8倍の間である請求項27記載の装置。
【請求項31】
導電部と絶縁部のみからなる不均一電極領域を備えたフラット基板上に配置される薄膜トランジスタをテストするための電子テストビームであって、
電子テストビームは基板上にスポットを形成し、前記スポットは少なくとも前記絶縁部を部分的に覆い、前記導電部を部分的に覆うように径が増大され、焦点がぼかされた領域を有し、これによって前記スポットが配向された前記不均一電極領域から平均化された二次電子信号を引き出して、感知する装置。
【請求項32】
前記領域は直径を有するように調節され、前記直径は絶縁ラインの一方の幅の2倍から10倍の間である請求項31記載の装置。
【請求項33】
前記領域は円形となるように調節され、直径を有し、前記直径は前記絶縁ラインの一方の幅の4倍から8倍の間である請求項31記載の装置。
【請求項34】
前記領域は楕円形となるように調節され、短軸に沿って計測される直径を有し、前記直径は絶縁ラインの一方の幅の4倍から8倍の間である請求項31記載の装置。
【請求項35】
前記領域は前記不均一電極領域の少なくとも50%を覆うように調節される請求項31記載の装置。
【請求項36】
前記領域は前記不均一電極領域の50%から90%の間を覆うように調節される請求項31記載の装置。
【請求項37】
前記領域は円形となるように調節される請求項31記載の装置。
【請求項38】
前記領域は楕円形となるように調節される請求項31記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明はフラットパネルディスプレイの画素のテストに関する。特に、本発明の実施例は、不均一な電極領域に電子ビームを導くことによる画素のテストに関する。
【関連技術の説明】
【0002】
従来、コンピュータや他の電子製品に共通したディスプレイは陰極線管、即ち、CRTであった。CRTは、二十世紀の後半、パーソナルコンピュータ(PC)及びテレビの標準的なディスプレイとしての役割を果たしてきた。一般に、CRTは湾曲したガラスパネル上で操作され、画像を形成する。
【0003】
近年、アクティブマトリクス液晶ディスプレイ、即ち、LCDが商業的に開発されてきている。LCDはCRTと比べると、高画質、軽量、低電圧仕様及び低電力消費といったいくつかの利点を有している。LCDはフラットパネルディスプレイにとって有利であり、近年、計算機スクリーン、個人情報端末(PDA)スクリーン、携帯型コンピュータ(ノートブック)スクリーン、携帯電話ディスプレイ及び小型のコンピュータ及びテレビスクリーン等の多くの携帯型電子機器で商業化されている。更に、大型LCDディスプレイは、今や、消費者市場でフラットスクリーンテレビで採用されている。
【0004】
アクティブマトリクスLCDの1つのタイプは、TFT‐アレイ基板とカラーフィルタ基板の間にサンドイッチ状に挟まれた液晶物質を含んでいる。TFT‐アレイ基板は、各々が画素電極に連結された薄膜トランジスタ(TFT)のアレイを備えている。カラーフィルタ基板は異なるカラーフィルタ部分と共通電極を備えている。画素電極に一定の電圧が印加されると、画素電極と共通電極の間に電界が形成され、これによって液晶物質が配向され、特定の画素のために光が通過させられる。
【0005】
図1は、均一な画素電極を備えた液晶ディスプレイ100の1つの画素を示す概略図である。この図面は、現在、http://www.fme.fujitsu.com/products/displays/lcdvatech.htmlで入手可能な富士通株式会社のホームページから引用したものである。液晶物質120は、TFT‐アレイ基板110’とカラーフィルタ基板110”との間でサンドイッチ状に挟まれている。TFT‐アレイ基板110’は均一な画素電極112’を備えているので、特定の電圧が画素電極に印加されると液晶の分子は単一の方向に配向される。ディスプレイ100の光の強度は、液晶配向に対する観察方向に依存する。従って、均一画素電極を有するTFT‐LCDは有効視野角が狭いという欠点を有する。
【0006】
図2は、不均一電極を備えた液晶ディスプレイ200のピクセルの一実施例を示す概略図である。この図面は、現在、http://www.fme.fujitsu.com/products/displays/lcdvatech.htmlで入手可能な富士通株式会社のホームページから引用したものである。液晶物質220A及び220Bは、TFT‐アレイ基板210’とカラーフィルタ基板210”との間でサンドイッチ状に挟まれている。TFT‐アレイ基板210’は不均一電極212’を備えている。不均一電極は、導電部上に形成された絶縁ラインを備えている。絶縁ラインは、液晶物質を複数の方向に配向させる。その結果、ディスプレイ200は、観察者が異なる角度から観察した場合でも明るくなる。導電部上に形成された絶縁ラインを備えた不均一型電極を有するタイプのディスプレイは、マルチ−ドメイン・バーチカル・アライメント(MVA)ディスプレイと称される。
【0007】
図3及び図4は、液晶が領域A、B、C及びDで示される4方向に配向することができるMVAディスプレイの一例の概略図である。図4において、6個の画素が導電部220B、G及びR上に形成されている絶縁ライン218を有していることが判る。絶縁ライン218は、画素内の液晶を複数の配列方向に分割し、配列するために用いられる。
【0008】
不均一電極を有するディスプレイの他のタイプは、イン・プレイン・スイッチング(IPS)ディスプレイと称される。このディスプレイはTFT‐アレイ基板上に形成された一対の電極を備えている。ある態様において、IPSディスプレイは指を組み合わせたような形状の一対の電極を用いている。液晶分子は基板に対し平行のままである。従って、ディスプレイの視野角は増大する。
【0009】
MVA型及びIPS型ディスプレイのサイズが増大すると、製造者は基板により多くの画素及びトランジスタを追加しなければならない。本技術分野における通常の知識を有する者は、通常サイズのカラーディスプレイでさえ数百万個のトランジスタを用いることができることを理解している。トランジスタに問題があると、ディスプレイ上に欠陥を有する画素が生じる。トランジスタの数が増大すると、ディスプレイ内で欠陥を有するトランジスタが生じる傾向が増大する。従って、大型LCDの製造者は、品質管理の一環として、ディスプレイにおける全て又はある割合の画素をテストするであろう。
【0010】
電子ビームテスト(EBT)は、製造プロセスの際、欠陥を監視し及び発見するために用いられることができる。典型的なEBTプロセスでは、画素内のTFTの応答がモニタされ、欠陥情報が提供される。例えば、EBTテストでは、特定の電圧が薄膜トランジスタに印加され、電子ビームが調査のために個々の画素電極に導かれる。画素電極領域から放出された二次電子が感知され、TFT電圧を決定する。
【0011】
テストに際し、電子ビームは、順次、TFT‐アレイの各々の画素電極上に位置される。この移動を行うため、基板は最初に電子ビームカラムの下方のテーブル上に配置される。基板領域(しばしば、サブディスプレイ領域と称される。)は、電子ビームカラムの下方を移動することができる。一旦、基板領域のサブディスプレイ領域がビームカラムの下方に位置すると、ビームは基板領域内で各々の画素電極上を順次移動する。この領域がテストされた後、テーブルは次の領域をテストするために移動する。新しいシステムでは、2〜4個のビームが平行に用いられ、これによって分離している基板領域が同時にテストされる。
【0012】
不均一電極を備えたディスプレイの電子ビームテストは、不均一電極の導電部及び絶縁部に起因する問題がある。従って、不均一電極を備えたディスプレイのテスト方法の改良が必要とされている。
【発明の要約】
【0013】
本発明は、導電部と絶縁部を有する不均一電極を備えた液晶ディスプレイの電子ビームテスト方法を提供する。本発明の方法によれば、ビームは不均一電極領域上で絞りが小さく、即ち、拡大又は「ぼかされる」ように、電子ビームの直径が増大される。ビームの直径は、ビームが不均一電極領域の導電部から二次電子を発生させるように増大される。テストビームは、円形、楕円形又は他の適した形状を有している。
【詳細な説明】
【0014】
図5は電子ビームテスト(EBT)システム500の一例の概略斜視図である。図示されているEBTシステム500は、1.9m×2.2mまでの及びこれを超える大きさの大型パネル基板をテストすることができる。このEBTシステム500は説明を目的としたものであり、いかなるサイズのいかなるEBTシステムも、ここで開示される方法を実施するために改良可能であると理解されるべきである。
【0015】
一般に、電子ビームテストシステム500は、プローバ貯蔵アセンブリ520と、プローバ搬送アセンブリ530と、ロードロックチャンバ540及びテストチャンバ550を含んでいる。プローバ貯蔵アセンブリ520は、使用及び回収を容易にするため、テストチャンバ550の近傍で1又はそれ以上のプローバ550を収容している。好ましくは、プローバ貯蔵アセンブリ520は、図1に示されるように、テストチャンバ550の下方に配置されており、これによって汚染がなく効果的な操作のために必要なクリーンルームの空間が減少される。プローバ貯蔵アセンブリ520は、好ましくは、テストチャンバ550に近い寸法を有しており、テストチャンバ550を支持しているメインフレーム510上に配置されている。プローバ貯蔵アセンブリ520はメインフレーム510の周りに配置された棚522を含んでおり、これによって1又はそれ以上のプローバ550が支持される。プローバ貯蔵アセンブリ520は、使用されていないときに貯蔵エリアを封止し貯蔵されているプローバ505を保護することができる引込み可能なドア524を含んでいても良い。
【0016】
プローバ搬送アセンブリ530は、プローバ505をプローバ貯蔵アセンブリ520とテストチャンバ550との間で搬送するため、テストチャンバ550の近傍に配置されたモジュラーユニットである。プローバ搬送アセンブリ530は2個又はそれ以上の垂直支持部材310A,310B(2個が図示されている)に連結された基部305を含んでいる。必要な場合、アセンブリ530の移動を容易にするため、ホイール又はキャスター315を基部305の底面に設けてもよい。
【0017】
プローバ搬送アセンブリ530は、その一端が支持部材310A,310Bに連結されているリフトアーム320を含んでいる。支持部材310A,310Bの各々は、リフトアーム320と係合するための凹トラック312(1個のみが図示されている。)を含んでいる。凹トラック312の一方又は双方は、線形アクチュエータ、空気圧シリンダ、水圧シリンダ、磁気ドライブ、ステッパ又はサーボモータ又は他の種類の移動装置(図示せず)を収納していても良い。凹トラック312は、搬送装置(図示せず)と共働して、リフトアーム320の垂直方向の移動をガイドして可能にしている。リフトアーム320は、プローバ505を回収し及び配送するため、テストチャンバ550又は貯蔵アセンブリ520内に挿入されるように構成されている。
【0018】
ロードロックチャンバ540は、テストチャンバ550に隣接して配置され、これに連結されている。これらのチャンバ540、550は、テストチャンバ550を介して連結されているポンプ(図示せず)により、典型的には真空状態に保持されている共通雰囲気を共有している。ロードロックチャンバ540は、テストチャンバ550と典型的には大気圧下のクリーンルームである外部との間で基板を搬送する。ロードロックチャンバ540は、システムの仕様により、加熱又は冷却、及び加圧又は減圧されることが可能な分離された処理空間としても作用することができる。従って、ロードロックチャンバ540は、基板を外部の汚染物質に露出することなくテストチャンバ550内外に搬送することができる。
【0019】
4個のEBTカラム525A、B、C、Dが図5に示されている。EBTカラム525A/B/C/Dはテストチャンバ550の上面に配置されている。起動時には、テストに際して電極を励起するため、カラムは基板上の電極に電子のビームを照射する。
【0020】
画素のテスト及び図示されているEBTテストシステム500の作用及び構成に関する追加的な細部は、2004年12月21日に発行された継続中の米国特許出願第6,833,717号に開示されている。この出願の名称は、「集積基板搬送モジュールを備えた電子ビームテストシステム(Electron Beam System with Integrated Substrate Transfer Module)」である。この出願は引用により全体として本明細書に一体化される。
【0021】
テストの間、基板はテーブル上のビーム下に位置しており、ビームはTFT‐アレイの電極を順次テストするように移動する。MVA型ディスプレイのEBTテストに際し、TFT‐アレイ基板上に形成された絶縁体ラインが電子の応答と干渉することが観察されている。例えば、図4において、MVA型ディスプレイのEBTテストに際し、電子ビームは絶縁体ライン218の間で露出している導電部220B/G/R上の電子を励起することが好ましい。しかしながら、ビームは導電部ではなく主として絶縁体ライン218の1つ上に無意識のうちに配向されることもあり、これによって導電領域からの電子応答と干渉する。同様に、IPSディスプレイの導電ラインの指状構造が電子応答と干渉することが観察されている。例えば、ビームは主として対になっている電極間に形成された絶縁部に配向されることがあり、これによって電子応答と相互干渉することが見出されている。いずれの場合も、ビームが絶縁部上のみに位置しているときに検出された二次電子信号は、ビームが導電部上に位置するときとは異なる。
【0022】
不均一電極領域内での電子ビームの位置により、異なる電子シグナルの値が発生する状態を回避することが好ましい。従って、本発明の方法では、本質的に平均化又は混合された信号を発生させる拡大された又は「焦点がぼかされた」テストビームを用いる。即ち、テストビームの直径を増大させることにより絶縁部の信号干渉が実質的に減少される。
【0023】
図6は不均一電極領域600の一実施例の概略斜視図である。不均一電極領域600はMVA型ディスプレイにおける単一画素を表すためのものである。絶縁ライン618が導電部622、624上に形成されている。図示されている不均一電極において、導電部624は絶縁ライン618の間に露出している。
【0024】
MVA型ディスプレイにおける不均一な電子ビームの応答の問題を克服するため、電子ビームの直径は、絶縁ライン618の幅よりも2〜10倍(又はそれ以上)増大され、即ち、「ぼかされる」。1の態様において、電子ビームの直径は、絶縁ライン618の幅よりも約4倍から約8倍の間へ増大させられる。非制限的な例において、絶縁ライン618の幅は約10μmである。この場合、電子ビームの直径は約20μmから約100μmの間へ増大される。電子ビームの直径を増大させることにより、絶縁ライン618の比例的な荷電が減少され、電極励起における絶縁ライン618の効果が実質的に平均化される。
【0025】
図6において、電子ビーム625は、テストの際に、不均一電極600の一部上に配向されていることが示されている。ここで、電子ビーム625は、一般的な円形である。ビーム625は種々の絶縁ライン618の幅よりもかなり大きい直径を有している。
【0026】
他のビーム構成を採用することも可能である。図7は不均一電極領域700の他の実施例の概略斜視図である。ここで、電子ビーム725は一般的な楕円形状である。ビーム725の直径はその短軸に沿って計測される。
【0027】
「ぼかされた」ビームのサイズは、画素電極領域自体の面積との比較により計測されてもよい。本発明の方法の一実施例において、ビームの面積は、テストされる不均一電極領域の少なくとも約50%のサイズを有するように増大される。図8は他の不均一電極領域800の概略図である。2本の隣接したライン818が不均一電極領域800上に示されている。画素領域は一般的なものであり、ライン818は絶縁性又は導電性のいずれであってもよく、ライン818の間の隣接領域は各々導電性又は絶縁性のいずれであってもよい。図8より、電子テストビーム825が不均一領域800上に配向されていることが判る。ビーム825はライン818及びライン818に隣接している領域の双方の部分を覆っている。ビーム825は導電部から二次電子を発生させるのに十分な直径を有している。更に、ビーム825が同一のTFT‐アレイ内の異なる不均一電極に移動したときに電子信号が実質的に同一になるように、ビームは十分な直径を有している。
【0028】
図8において、ビーム面積は不均一電極面積全体の少なくとも50%である。1の実施例において、ビーム825の面積はライン818から隣接するライン818までの距離と同程度であっても良い。ある態様においては、電子ビームは調査される不均一電極領域800の約50%から90%の間の面積を有している。
【0029】
図9は、IPS型セルのような他の不均一電極領域900の概略図である。不均一電極領域900は、指を組み合わせたような構造を形成する一対の電極918’、918”を備えている。電極918’、918”の間の幅は、絶縁部924を横切る幅と定義される。
【0030】
電子テストビーム925は不均一電極領域900上に配向されている。ビーム925は、少なくとも電極918’、電極918”及び電極918’、918”の間の絶縁部924の部分を覆っている。ビーム925が同一のTFT‐アレイ内の異なる不均一電極に移動したときに電子信号が実質的に同一となるように、ビームは十分な領域を有している。
【0031】
電子ビーム925の直径は、電極918’、電極918”の一方の幅の直径より2倍から10倍(又はそれ以上)増大しており、又は「ぼかされている」。1の態様において、電子ビームの直径は、電極918’、918”の一方の幅より約4から8倍の間で増大されている。電子ビームの直径を増大することにより、絶縁部924の比例荷電が減少し、電極励起において絶縁部924の効果を実質的に平均化することができる。
【0032】
本発明の方法の他の実施例において、最初に基板上の位置/配列マーク上を走査するため、焦点が絞られたビームが用いられる。ビーム下でのディスプレイ基板の位置は、典型的には、基板ローディング誤差、テーブル位置決め誤差及び他の誤差によりずれており、ビーム位置決め制御は誤差マージンを有しているので、基板上の位置/配列マーク上の走査によりこれらの位置決め誤差が低減し、基板に対するビームの位置を矯正することができる。例えば、ビームを不均一電極領域の面積の約20%又はそれ以下の面積に絞ることができ、その後電子ビームは位置/配列マーク上で走査される。その後、ビームは、フォーカスレンズ内の電流を変化させることにより、及び/又は磁気フォーカスコイル内の電流を変化させることによりぼかされる。電子ビームは、不均一電極の面積の約20%より大きな面積又は本明細書で開示されている他のサイズまでぼかされてもよい。その後、ぼかされたビームは、TFT‐アレイのターゲットとなる不均一電極領域上に順次配向される。
【0033】
本発明は、主としてMVA型及びIPS型ディスプレイとの関係で説明されている。しかしながら、本発明はこれらのタイプのデバイスに限定されるものではなく、これらのデバイスは単に説明のためのものにすぎない理解されなければならない。この点、本明細書中で説明された方法は、ディスプレイが不均一型電極を有している他のタイプのテストデバイスでも有用である。
【0034】
上述した説明は本発明の実施例を対象としているが、本発明の他の実施例はその基本的範囲から逸脱することなく案出することができ、その範囲は特許請求の範囲に基づいて決定される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の上述した構成の詳細な理解と上記部分で要約されている本発明の具体的な説明は実施例を参照することにより得られるものであり、これらは添付図面に記載されている。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施例のみを記載したものであり、従って、本発明は同等に効果的な実施例を含むものであり、図面は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1】不均一画素電極を備えた液晶ディスプレイの1の画素を示す概略図である。
図2】不均一電極を備えた液晶ディスプレイの1の画素の一実施例を示す概略図である。
図3】〜
図4】液晶が4方向に配向しているMVAディスプレイの一例の概略図である。
図5】電子ビームテスト(EBT)システムの一例の概略斜視図である。
図6】不均一電極領域の一実施例の概略斜視図である。
図7】不均一電極領域の他の実施例の概略斜視図である。
図8】他の不均一電極領域の概略図である。
図9】他の不均一電極領域の概略図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9