【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、内部に液が貯留される容器と、容器に前記液を供給する供給路と、容器の内部に貯留された液を排出する排出路と、供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節する流量調節機構と、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達しているか否かを検知する第1のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さよりも低い第2の高さに達しているか否かを検知する第2のレベルスイッチと、第1のレベルスイッチの検知結果と、第2のレベルスイッチの検知結果とから、供給路により容器に供給される液の供給量と排出路により容器から排出される液の排出量との差であるΔWを演算する演算手段と、演算手段で演算されたΔWが0に収束するように、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節させることにより、容器の内部に貯留された液の液面の高さを制御する制御手段とを備えた液面制御装置である。
【0009】
この構成によれば、内部に液が貯留される容器と、容器に液を供給する供給路と、容器の内部に貯留された液を排出する排出路と、供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節する流量調節機構と、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達しているか否かを検知する第1のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さよりも低い第2の高さに達しているか否かを検知する第2のレベルスイッチとを備える液面制御装置において、演算手段が、第1のレベルスイッチの検知結果と、第2のレベルスイッチの検知結果とから、供給路により容器に供給される液の供給量と排出路により容器から排出される液の排出量との差であるΔWを演算し、制御手段が、演算手段で演算されたΔWが0に収束するように、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節させることにより、容器の内部に貯留された液の液面の高さを制御する。このため、供給量及び排出量の変化等の外乱に対する追従性がより良く、より精度の高い液面制御が可能となり、無駄な調整を低減することができる。
【0010】
この場合、容器の内部に貯留された液の液面が前記第1の高さよりも高い第3の高さに達しているか否かを検知する第3のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さよりも低い第4の高さに達しているか否かを検知する第4のレベルスイッチとをさらに備え、演算手段は、第1のレベルスイッチの検知結果と、第2のレベルスイッチの検知結果と、第3のレベルスイッチの検知結果と、第4のレベルスイッチの検知結果とからΔWを演算することが好適である。
【0011】
この構成によれば、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さよりも高い第3の高さに達しているか否かを検知する第3のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さよりも低い第4の高さに達しているか否かを検知する第4のレベルスイッチとをさらに備え、演算手段は、第1〜第4のレベルスイッチの検知結果からΔWを演算するため、さらに精度の高い液面制御が可能となる。
【0012】
また、演算手段は、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの時間Tにより、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの容器の内部の液の変化量Vを除した値として、前記ΔW=V/Tを演算し、制御手段は、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量をΔW以上増減させることにより、ΔWが0に収束するようにすることが好適である。
【0013】
この構成によれば、演算手段は、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの時間Tにより、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの容器の内部の液の変化量Vを除した値として、ΔW=V/Tを演算し、制御手段は、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量をΔW以上増減させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0014】
また、第3のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達していることを検知したときは、制御手段は、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なうことが好適である。
【0015】
この構成によれば、第3のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達していることを検知したときは、制御手段は、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なう。このため、容器のオーバーフローを確実に防止することができる。
【0016】
また、第4のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達していないことを検知したときは、制御手段は、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なうことが好適である。
【0017】
この構成によれば、第4のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達していないことを検知したときは、制御手段は、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なう。これにより、容器内の液が全て排出されてしまうことを確実に防止することができる。
【0018】
また、流量調節機構は排出路に設けられたポンプであり、制御手段は、ポンプの現在の回転数をR
0、予め設定されたポンプの最低回転数をR
MIN、予め設定されたポンプの最高回転数をR
MAX、1≦k≦2である任意の定数をk、ポンプの1回転当りの液の排出量をωとして、下式(i)〜(vi)に示す目標回転数Rに前記ポンプを制御することが好適である。
(1)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第1のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達したことを検知したときは、ΔW>0として、
R=R
0+k×ΔW/ω (i)
(2)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第2のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さに達しなくなったことを検知したときは、ΔW<0として、
R=R
0+k×ΔW/ω (ii)
(3)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達したことを検知したときは、
R=R
MAX (iii)
(4)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達しなくなったことを検知したときは、
R=R
MIN (iv)
(5)現在の回転数R
0がR
0=R
MAXで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達しなくなったことを検知したときは、前記ΔW<0として、
R=R
MAX+k×ΔW/ω (v)
(6)現在の回転数R
0がR
0=R
MINで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達したことを検知したときは、前記ΔW>0として、
R=R
MIN+k×ΔW/ω (vi)
【0019】
この構成によれば、流量調節機構は排出路に設けられたポンプであり、制御手段は、ポンプの現在の回転数をR
0、予め設定されたポンプの最低回転数をR
MIN、予め設定されたポンプの最高回転数をR
MAX、1≦k≦2である任意の定数をk、ポンプの1回転当りの液の排出量をωとして、下式(i)〜(vi)に示す目標回転数Rにポンプを制御する。
【0020】
すなわち、(1)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第1のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達したことを検知したときは、ΔW>0として、R=R
0+k×ΔW/ω (i)とする。これにより、液面が上昇して第1の高さに達したときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量をΔW以上増加させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0021】
また、(2)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第2のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さに達しなくなったことを検知したときは、ΔW<0として、R=R
0+k×ΔW/ω (ii)とする。これにより、液面が下降して第2の高さに達しなくなったときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量をΔW以上減少させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0022】
また、(3)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達したことを検知したときは、R=R
MAX (iii)とする。これにより、液面が上昇して第3の高さに達したときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量を最大値にさせる。このため、容器のオーバーフローを確実に防止することができる。
【0023】
また、(4)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達しなくなったことを検知したときは、R=R
MIN (iv)とする。これにより、液面が下降して第4の高さに達しなくなったときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量を最小値にさせる。このため、容器内の液が全て排出されてしまうことを確実に防止することができる。
【0024】
また、(5)現在の回転数R
0がR
0=R
MAXで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達しなくなったことを検知したときは、ΔW<0として、R=R
MAX+k×ΔW/ω (v)とする。これにより、これにより、最高回転数により液面が下降して第3の高さに達しなくなったときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量をΔW以上減少させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0025】
また、(6)現在の回転数R
0がR
0=R
MINで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達したことを検知したときは、ΔW>0として、R=R
MIN+k×ΔW/ω (vi)とする。これにより、これにより、最低回転数により液面が上昇して第4の高さに達したときに、制御手段は、排出路を通過する液の流量をΔW以上増加させることにより、ΔWが0に収束するようにする。このため、確実にΔWの発散を防ぐことができる。
【0026】
また、容器の内部に貯留される液は、粘性が100cP以上であるものとできる。
【0027】
本発明は、供給量及び排出量の変化等の外乱に対する追従性がより良く、より精度の高い液面制御が可能となり、無駄な調整を低減することができるため、粘性が100cP以上である粘性が高い液に対して効力を発揮する。
【0028】
また、レベルスイッチが静電容量計であることが好適である。
【0029】
この構成によれば、レベルスイッチが静電容量計であるため、高粘性の液の液面を検出するときに有利である。
【0030】
レベルスイッチがガスパージ式の温度計であることが好適である。
【0031】
この構成によれば、レベルスイッチがガスパージ式の温度計であるため、高粘性及び高温の液の液面を検出するときに有利である。
【0032】
また、本発明は、内部に液が貯留される容器と、容器に前記液を供給する供給路と、容器の内部に貯留された液を排出する排出路と、供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節する流量調節機構と、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達しているか否かを検知する第1のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さよりも低い第2の高さに達しているか否かを検知する第2のレベルスイッチとを備えた装置において、容器の内部に貯留された液の液面の高さを制御する液面制御方法であって、第1のレベルスイッチの検知結果と、第2のレベルスイッチの検知結果とから、供給路により容器に供給される液の供給量と排出路により容器から排出される液の排出量との差であるΔWを演算する演算ステップと、演算ステップで演算されたΔWが0に収束するように、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量を調節させることにより、容器の内部に貯留された液の液面の高さを制御する制御ステップとを含む液面制御方法である。
【0033】
この場合、装置は、容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さよりも高い第3の高さに達しているか否かを検知する第3のレベルスイッチと、容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さよりも低い第4の高さに達しているか否かを検知する第4のレベルスイッチとをさらに備え、演算ステップでは、第1のレベルスイッチの検知結果と、第2のレベルスイッチの検知結果と、第3のレベルスイッチの検知結果と、第4のレベルスイッチの検知結果とからΔWを演算することが好適である。
【0034】
また、演算ステップでは、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの時間Tにより、液の液面が近接するレベルスイッチ同士の一方が検知する高さから他方が検知する高さになるまでの容器の内部の液の変化量Vを除した値として、ΔW=V/Tを演算し、制御ステップでは、流量調節機構に供給路及び排出路の少なくともいずれかを通過する液の流量をΔW以上増減させることにより、ΔWが0に収束するようにすることが好適である。
【0035】
また、第3のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達していることを検知したときは、制御ステップでは、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なうことが好適である。
【0036】
また、第4のレベルスイッチが、容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達していないことを検知したときは、制御手段では、流量調節機構に、供給路を通過する液の流量を可能な最大値に調節させる制御、及び排出路を通過する液の流量を可能な最小値に調節させる制御の少なくともいずれかを行なうことが好適である。
【0037】
また、流量調節機構は排出路に設けられたポンプであり、制御ステップでは、ポンプの現在の回転数をR
0、予め設定されたポンプの最低回転数をR
MIN、予め設定されたポンプの最高回転数をR
MAX、1≦k≦2である任意の定数をk、ポンプの1回転当りの液の排出量をωとして、下式(i)〜(vi)に示す目標回転数Rに前記ポンプを制御することが好適である。
(1)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第1のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第1の高さに達したことを検知したときは、前記ΔW>0として、
R=R
0+k×ΔW/ω (i)
(2)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第2のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第2の高さに達しなくなったことを検知したときは、前記ΔW<0として、
R=R
0+k×ΔW/ω (ii)
(3)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達したことを検知したときは、
R=R
MAX (iii)
(4)現在の回転数R
0がR
MIN<R
0<R
MAXの範囲で、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達しなくなったことを検知したときは、
R=R
MIN (iv)
(5)現在の回転数R
0がR
0=R
MAXで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が下降することにより、第3のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第3の高さに達しなくなったことを検知したときは、ΔW<0として、
R=R
MAX+k×ΔW/ω (v)
(6)現在の回転数R
0がR
0=R
MINで、且つ容器の内部に貯留された液の液面が上昇することにより、第4のレベルスイッチが容器の内部に貯留された液の液面が第4の高さに達したことを検知したときは、ΔW>0として、
R=R
MIN+k×ΔW/ω (vi)
【0038】
また、容器の内部に貯留される液は、粘性が100cP以上であるものとできる。
【0039】
また、レベルスイッチは静電容量計であることが好適である。
【0040】
また、レベルスイッチはガスパージ式の温度計であることが好適である。