(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態における情報通信装置(10)の一例を示す概略構成図であって、この情報通信装置(10)は、使用者の会話状態に応じて、音声信号の生成および発信を制御する機能を有する。
【0012】
具体的には、情報通信装置(10)は、外部から入力される音声に基づく音声信号(S20)の生成、および発信すなわち音声信号の出力を行う音声信号出力部(20)と、外部、すなわち情報通信装置(10)周囲の二酸化炭素の濃度測定を行う濃度測定部(30)と、前記音声信号出力部(20)における前記音声に基づく音声信号の生成および発信を制御する音声信号制御部(40)と、を備える。
【0013】
音声信号出力部(20)は、図示しない内蔵マイクなどを備え、使用者からみると音声入力装置として動作する。例えば情報通信装置が携帯電話装置である場合には、使用者は音声信号出力部(20)を口元に近づけ、その内蔵マイクなどの音声入力部に向かって発声する。音声信号出力部(20)では、入力された音声に応じた音声信号を生成し、生成した音声信号を、音声通信の相手先装置に発信する。
【0014】
濃度測定部(30)は、情報通信装置(10)周囲の二酸化炭素濃度を測定する。本願実施形態では濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度に基づいて、使用者が会話中であるか否かを判定しているため、濃度測定部(30)は、音声信号出力部(20)の音声入力部近傍に設けられていることが望ましい。
音声信号制御部(40)は、濃度測定部(30)による測定情報に基づいて、使用者の会話状態を判定し、会話状態でないと判定したとき、音声信号出力部(20)による、前記音声信号の生成および発信を禁止する。
ここで、使用者から吐き出される呼気中に含まれる二酸化炭素、つまり、口や鼻から吐き出される呼気中に含まれる二酸化炭素により、人の口元付近の二酸化炭素濃度は、通常の大気中の二酸化炭素濃度よりも高くなる。
【0015】
図2は、人が発する呼気と、その二酸化炭素濃度(CO
2濃度)との関係を表したものである。横軸は口元からの距離x、縦軸は二酸化炭素濃度(CO
2濃度)を表す。
図2に示すように、発せられた呼気は拡散するため、二酸化炭素濃度は口元からの距離xに反比例して低下する。
一方、使用者が情報通信装置(10)を用いて音声通信を介して会話を行う場合、通常使用者は、音声信号出力部(20)の音声入力部近傍に口を近づけて発声する。
そのため、情報通信装置(10)の周囲(特に音声信号出力部(20)の音声入力部近傍)の二酸化炭素濃度は、通常の大気中の二酸化炭素濃度よりも高くなる。
【0016】
一方、情報通信装置(10)を用いて相手先と会話中、会話を中断して、WEB閲覧などの機能を実現する各種アプリケーションを利用するためディスプレイを参照する場合などには、情報通信装置(10)は、口元からある程度離れた、ディスプレイを参照しやすい位置にある。この場合、情報通信装置(10)の周囲の二酸化炭素濃度は、通常の大気中の二酸化炭素濃度と同等程度となる。
したがって、情報通信装置(10)周囲の二酸化炭素濃度の変化状況から、使用者が会話中であるか、或いは、例えばディスプレイを参照している状態など、会話中ではない状態であるかを判定することができる。
【0017】
また、呼気中に含まれる二酸化炭素濃度は、
図2に示すように、口元付近から少し離れた時点で急峻に低下し、通常の大気中の二酸化炭素濃度近傍の値に速やかに収束するため、この二酸化炭素濃度を検出することによって、情報通信装置(10)が使用者の口元にあるか否かを的確に検出することができる。
情報通信装置(10)では、この二酸化炭素濃度の変化を利用して、使用者が会話中であるか否かを判定する。
【0018】
次に、情報通信装置10の各部を説明する。
(情報通信装置)
第1実施形態における情報通信装置(10)は、前述の音声信号出力部(20)と、濃度測定部(30)と、音声信号制御部(40)と、を備えていれば特に制限されない。
情報通信装置(10)の具体例としては、携帯電話装置やスマートフォン、音声通信可能なタブレットPC等が挙げられる。本実施形態の情報通信装置(10)は、音声信号(S20)がそのまま外部の基地局やサーバー等に出力されるように構成されていてもよい。或いは、
図3に示す様に、音声信号(S20)を、デジタル変換された通信信号に変換して出力する通信信号出力部(50)をさらに備え、アナログ信号からなる音声信号(S20)を、デジタルの通信信号として送信するように構成されていてもよい。
【0019】
(音声信号出力部)
第1実施形態における音声信号出力部(20)は、外部から入力される音声に基づく音声信号を出力し、また、音声信号制御部(40)からの制御信号にしたがって、音声信号の生成および発信を禁止することが可能なものであれば特に制限されない。音声(アナログ信号)をアンプにより増幅して出力するものであってもよいし、或いは、音声をデジタル信号に変換する機能を備えたものであってもよく、すなわち前記
図3に示す通信信号出力部(50)の機能を音声信号出力部(20)に設け、音声信号出力部(20)においてデジタルの音声信号に変換し出力するものであってもよい。
【0020】
(濃度測定部)
第1実施形態における濃度測定部(30)は、外部の二酸化炭素の濃度の測定が可能なものであれば特に制限されない。また濃度測定部(30)における濃度の検知方式は、絶対値検知、相対値検知のどちらでもかまわない。具体的には非分散型赤外線分析法を用いたガスセンサや、ガス吸着、反応を用いたガスセンサを用いることが出来る。
【0021】
(音声信号制御部)
第1実施形態における音声信号制御部(40)は、前記濃度測定部(30)からの出力に基づいて、使用者の情報通信装置(10)を利用した会話状態を判定し、情報通信装置(10)が会話に用いられていないと判定した場合は、音声信号出力部(20)による前記音声信号の生成および発信を禁止することが可能なものであれば特に制限されない。
【0022】
音声信号の生成および発信を禁止する方法としては、音声信号出力部(20)の動作を停止させる方法、あるいは音声信号出力部(20)において音声の入力を禁止する方法、入力される音声に応じた音声信号の生成を停止する方法、あるいは、生成された音声信号の発信、すなわち音声信号出力部(20)からの音声信号の出力を禁止する方法などが考えられる。つまり、音声信号出力部(20)では、必ずしも音声信号の生成と発信の両方とを停止する必要はなく、音声信号自体を生成しないこと、または生成された音声信号を発信しないことなどにより、音声信号出力部(20)から音声信号が出力されることを回避することができればよい。
これらの処理を行う音声信号制御部(40)は、例えば、情報通信装置(10)に搭載される演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)や記憶装置、IC等により、実現される。
【0023】
なお、ここでは、音声信号制御部(40)からの制御信号に応じて音声信号出力部(20)を制御することにより、音声信号が相手先に送信されることを回避する構成としているが、例えば、
図3に示すように、通信信号出力部(50)を備えている場合には、音声信号制御部(40)により、通信信号出力部(50)による音声信号の送信を禁止することにより、音声信号が相手先に送信されることを回避するようにしてもよい。また、音声通信による通信処理を行うための図示しない通信処理部など、情報通信装置(10)から音声信号を最終的に出力する最終出力部において、音声信号の出力を禁止するようにしてもよく、要は、音声信号出力部(20)から出力された音声信号が、情報通信装置(10)から外部に出力されることを禁止することができればどのような方法であってもよい。
【0024】
図4は、情報通信装置(10)における処理手順の一例を示すフローチャートである。
情報通信装置(10)では、
図4に示す演算処理を、予め設定したタイミング、或いは、定周期で実行する。情報通信装置(10)では、まず通話中であるかを判定する(ステップS1)。この通話中であるかの判定は、例えば、使用者により、音声通信による通話開始操作および通話終了操作が行われたか、等に基づき判定する。この判定は、濃度測定部(30)において行うようにしてもよく、また図示しない上位装置において判定し判定結果を濃度測定部(30)に通知するようにしてもよい。
【0025】
そして、情報通信装置(10)では、通話中でないと判定されたときには、そのまま処理を終了する。
一方、通話中であると判定されたときにはステップS2に移行し、濃度測定部(30)は、二酸化炭素濃度を測定する。
そして、音声信号制御部(40)において、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度が、予め設定したしきい値より低いと判定されるときには会話中ではないと判断し、ステップS3からステップS4に移行して、音声信号出力部(40)に対し、音声信号の生成および発信を禁止する制御信号を出力する。一方、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度がしきい値以上であるときには会話中であると判断し、ステップS3からステップS5に移行して、音声信号出力部(20)に対し、音声信号の生成および発信を許可する制御信号を出力する。
【0026】
そして、通話中である間、ステップS1〜ステップS5の処理を繰り返し実行する。
前記二酸化炭素濃度の高さを判定するためのしきい値は、使用者が情報通信装置(10)の音声信号出力部(20)を口元に近づけていないときの二酸化炭素濃度、つまり会話中でないときの濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度と、会話中であるときの濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度とに基づいて設定される。例えば、会話中でないときの濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度にある程度重み付けを行い、情報通信装置(10)が使用者の口元付近にあるときには、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度が確実にしきい値を上回るような値に設定される。
このしきい値は、例えば予め設定され、音声信号制御部(40)が読み出し可能な図示しない記憶領域に記憶され、音声信号制御部(40)はこの記憶領域に記憶されたしきい値を読み出すようになっている。
【0027】
そして、測定された二酸化炭素濃度がしきい値以上であるときには、二酸化炭素濃度が通常の大気中の二酸化炭素濃度よりも高いということであり、すなわち情報通信装置(10)が使用者の口元付近にあるとみなすことができる。よって、通話開始操作が行われ且つ情報通信装置(10)が口元付近にある状態であるため、使用者が会話をしているとみなし、会話中であると判定する。逆に、会話中でないとき、例えば相手先と会話をしている最中に、会話を中断し、情報通信装置(10)を口元から離し、情報通信装置(10)に設けられたディスプレイを目視している場合、あるいは操作画面を操作している場合には、濃度測定部(30)で測定される二酸化炭素濃度は、通常の大気中の二酸化炭素濃度と同等程度となる。そのため、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度がしきい値よりも低いときには、二酸化炭素濃度が通常の大気中の二酸化炭素濃度と同等程度であって、これはすなわち情報通信装置(10)が使用者の口元から離れた位置にある状態であるとみなし、会話中ではないと判定される。
【0028】
なお、ここでいう会話中とは、通話相手との会話において使用者が発声している状態、また通話相手の話を聞いている状態を含み、実際に発声していない状態であっても、通話相手と話をしており使用者が発声する可能性がある状態を含む。つまり、使用者の音声を、音声信号として相手先に出力しなければならない状態を会話中とし、ディスプレイを目視している場合など、使用者の音声を出力する必要のない状態を会話中ではないとしている。
【0029】
次に、第1実施形態における情報通信装置(10)の動作を説明する。
情報通信装置(10)では、
図4に示す演算処理を予め設定したタイミングで実行する。そして、通話中でないときにはそのまま処理を終了するが、通話中であると判定されたとき、つまり、使用者側から電話をかけたとき或いは、電話がかかってきたときなど通話開始操作が行われたときには(ステップS1)、濃度測定部(30)で二酸化炭素濃度が測定される(ステップS2)。
【0030】
このとき、使用者は、
図5(a)に示すように情報通信装置(10)の音声信号出力部(20)を口元に近づける。使用者の口元付近は、発声していなくても、前述のように使用者の呼気により二酸化炭素濃度が通常の大気中の二酸化炭素濃度よりも高い。
そのため、測定された二酸化炭素濃度がしきい値以上となる。そのため、音声信号制御部(40)において会話中であると判定され、音声信号出力部(20)に対して音声信号制御部(40)から音声信号の生成および発信を許可する制御信号が出力される(ステップS5)。
【0031】
そのため、音声信号出力部(20)は、使用者の発した音声に応じた音声信号を生成しこれを発信する。これによって、使用者は、情報通信装置(10)を用いて相手先と会話を行うことができる。
なお、
図5(a)は、情報通信装置(10)を用いて会話を行っている状態を示す。
図5(a)のように、会話中は、情報通信装置(10)が使用者の口元に近い位置、すなわち、通常の大気中の二酸化炭素濃度よりも濃度の高い領域に情報通信装置(10)があるため、濃度測定部(30)による二酸化炭素濃度の測定値がしきい値を上回り、音声信号制御部(40)は会話中であると判定され、音声信号の生成および発信が許可される。
【0032】
この状態から、使用者が会話を中止したとき、例えば、
図5(b)に示すように、情報通信装置(10)の画面操作を開始した場合など、通話中のまま使用者が情報通信装置(10)を口元から離すと、情報通信装置(10)が、使用者の口元からある程度離間した位置に移動するため、通常の大気中の二酸化炭素濃度の領域に情報通信装置(10)は存在する。そのため、濃度測定部(30)による二酸化炭素濃度の測定値は、通常の大気中の二酸化炭素濃度と同等となる。その結果、測定された二酸化炭素濃度はしきい値を下回り、会話中ではないと判定されて、音声信号制御部(40)から音声信号出力部(20)に対して音声信号の生成および発信を禁止する制御信号が出力される。
【0033】
これにより、音声信号出力部(20)では、音声信号の生成および発信を停止する。つまり、情報通信装置(10)から相手先に対して音声信号は発信されない。
なお、
図5(b)は、相手先との通話は終了せずにディプレイを目視している状態、例えば、ディスプレイ上の地図を参照している状態を示す。
図5(b)に示すように、情報通信装置(10)が、使用者の口元からある程度離れた位置にある場合、情報通信装置(10)周囲の二酸化炭素濃度は通常の大気中の二酸化炭素濃度と同等程度となり、しきい値を下回る。
【0034】
そのため、音声信号制御部(40)は会話中ではないと判定し、音声信号出力部(20)による音声信号の生成および発信を禁止する。
その結果、情報通信装置(10)の音声信号出力部(20)に、使用者の周囲の音声や雑音などが入力されたとしても、これら音声等に応じた音声信号は生成されない。すなわち、通話中、一時的に画面操作などを行う場合に、使用者が今いる場所の音声や雑音などが相手先に伝わることを回避することができる。
【0035】
また、このように情報通信装置(10)が使用者の口元からある程度離れた位置にある場合、使用者は自身が発した音声が相手先に届かなくても構わないと承知している状態であるから、音声信号が送信されなくても問題はない。
この状態から、再度相手先との会話を開始するために、使用者が情報通信装置(10)を口元に近づけると、口元周囲の二酸化炭素濃度は、使用者の呼気により通常の大気中の二酸化炭素濃度よりも高いため、しきい値を超える。そのため、音声信号制御部(40)では会話中であると判定し、音声信号の生成および発信の禁止を解除する制御信号が音声信号出力部(20)に出力される。
【0036】
これにより、音声信号出力部(20)は、音声信号の生成および発信の禁止を解除し、使用者が発した音声は、音声信号として相手先に送信され、情報通信装置(10)を利用した音声通信が再開される。
ここで、
図2に示すように、使用者の呼気による二酸化炭素濃度は使用者の口元にある程度近い範囲では、比較的高い。また、使用者は通常、情報通信装置(10)を耳に当ててから、会話を始める。したがって、相手先との会話を再開するために、使用者が情報通信装置(10)を口元にある程度近づけた時点で二酸化炭素濃度がしきい値を上回って音声信号の生成および発信の禁止が解除され、その後、使用者が会話を開始することになる。そのため、会話を再開した時点では情報通信装置(10)は音声信号の生成および発信を行う状態にあるため、会話を再開した時点から使用者が発した音声を音声信号として相手先に送信することができ、すなわち、通常の音声通信を行うことができる。
【0037】
そして、通話が終了し、通話終了操作が行われると、
図4のステップS1の処理で通話中ではないと判定されて、
図4に示す演算処理は終了される。
このように、使用者が会話中でない場合、すなわち、使用者が発声した音声を、音声信号として生成および発信する必要がない場合には、音声信号の生成および発信を停止するようにしたため、使用者の周囲の音声や雑音など、意図しない音が相手先に伝わることを回避することができる。そのため、使用者は、音声通信を行う場所などを選んで音声通信を行わなくともよくなり、その結果、使用者の利便性を向上させることができる。
【0038】
また、使用者が会話中でない間、音声信号出力部(20)による音声信号の生成および発信を禁止し、音声信号出力部(20)の動作を制限することで、音声信号出力部(20)の消費電力を低減することができる。すなわち、不要な電力消費を抑制することができる。
また、濃度測定部(30)の測定情報に基づいて、使用者が会話中であるかを判定し、会話中でないと判定した場合は、前記音声信号の生成および発信を自動的に禁止するため、使用者は、ボタン操作等の意図的な操作をすることなく音声信号の生成および発信を禁止することができる。すなわちミュートにすることができる。このように情報通信装置(10)をミュートにすることができるため、使用者周囲の雑音などの音が相手先に伝わることを的確に回避することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。
図6は、本発明の第2実施形態における情報通信装置(10)の一例を示す概略構成図である。
第2実施形態における情報通信装置(10)は、第1実施形態における情報通信装置(10)において、通話開始時の外部の二酸化炭素の濃度を初期濃度として記憶する初期濃度記憶部(60)を更に備える。なお、
図6では、通信信号出力部(50)を備えているが、
図1に示す通信信号出力部(50)を備えていない情報通信装置(10)であっても適用することができる。
【0040】
第2実施形態における音声信号制御部(40)は、濃度測定部(30)による測定情報と、初期濃度記憶部(60)に記憶された初期濃度とに基づき使用者が会話中であるか否かを判定する。
ここで、情報通信装置(10)による通話が開始される時点では、一般に情報通信装置(10)は使用者の口元から離間した位置に置かれる。つまり通話を開始する際、例えば
図5(b)に示すように、情報通信装置(10)を手に持ち、情報通信装置(10)のディスプレイを目視した状態で何らかの通話開始入力を手入力し通話開始操作を行う。そのため、通話開始操作時に、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度は、使用者の呼気による二酸化炭素濃度上昇の影響が低い値となる。
【0041】
使用者により通話開始操作が行われると、濃度測定部(30)は二酸化炭素濃度の測定を開始し、測定した二酸化炭素濃度を初期濃度として初期濃度記憶部(60)に記憶する。そして、音声信号制御部(40)では、この初期濃度記憶部(60)に記憶された初期濃度に基づき、使用者が会話中であるかを判定する。例えば、初期濃度記憶部(60)に記憶された初期濃度に基づきしきい値を設定し、しきい値を初期濃度記憶部(60)の所定の記憶領域に記憶する。そして、以後、音声信号制御部(40)は、この初期濃度記憶部(60)に記憶された初期濃度に基づくしきい値と、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度とを読み出して比較する。
【0042】
そして、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度が、初期濃度に基づくしきい値以上であるときには会話中と判定し、音声信号の生成および発信を許可する制御信号を音声信号制御部(40)に出力する。音声信号出力部(20)は、音声信号の生成および発信を許可する制御信号を受信すると、音声信号出力部(20)が音声信号の生成および発信を停止しているときには停止を解除して、入力された音声に応じた音声信号の送信を行い、音声信号の生成および発信を行っている場合には、引き続き入力された音声に応じた音声信号の送信を行う。
【0043】
一方、音声信号制御部(40)は、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度が、初期濃度に基づくしきい値より低い場合には会話中ではないと判定し、音声信号の生成および発信を禁止する制御信号を、音声信号出力部(20)に出力する。
図7は、使用者が、通話開始操作を行って相手先と会話を行い、会話を中断してディスプレイを参照し、再度会話を行った後、通話終了操作を行った場合の、情報通信装置(10)の濃度測定部(30)周囲の二酸化炭素濃度の変化状況を表したグラフである。
【0044】
図7に示すように、使用者が時点t1で通話開始操作を行うと、濃度測定部(30)による二酸化炭素濃度の測定が開始される。使用者が通話開始操作後、情報通信装置(10)が口元に近づけると(期間T1)、情報通信装置(10)が口元に近づけられるにつれて、濃度測定部(30)周囲の二酸化炭素濃度は上昇する。会話中(期間T2)は、情報通信装置(10)は使用者の口元に位置するため、二酸化炭素濃度は略一定となる。そして、会話を中断し情報通信装置(10)を口元から離されると(期間T3)、これに伴い、二酸化炭素濃度は低下し、ディスプレイ参照中(期間T4)は、通常の大気中の二酸化炭素濃度近傍の値を維持する。そして、再度情報通信装置(10)が口元に近づけられると(期間T5)、これにつれて二酸化炭素濃度は上昇し、会話中(期間T6)は略一定の状態を維持し、通話を終了するため、情報通信装置(10)が口元から離されると(期間T7)、これに伴い二酸化炭素濃度は低下し、時点t2で通話終了操作を行うと、濃度測定部(30)による二酸化炭素濃度の測定が終了する。
【0045】
つまり、
図7の場合には、時点t1で通話開始操作が行われた後、二酸化炭素濃度の測定が開始された時点Aでの二酸化炭素濃度の測定値が初期濃度として、初期濃度記憶部(60)に記憶され、これに基づきしきい値が設定される。
例えば、上記第1実施形態におけるしきい値の設定方法と同様に、会話中でないときの濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度と、会話中であるときの濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度とに基づいて設定される。ここでは、初期濃度を、会話中でないときの二酸化炭素濃度の測定値としてしきい値を設定する。その結果、
図7中「TH1」で示すようにしきい値が設定される。
【0046】
このように、通話開始時に初期濃度を測定し、測定した初期濃度をもとに会話中であるか否かを判定するためのしきい値(TH1)を設定することによって、情報通信装置(10)の使用環境に対応したしきい値を設定することができる。したがって、より高精度に、会話中であるか否かを判定することができ、音声信号の生成および発信を、禁止するか否かをより的確に制御することができる。
【0047】
次に、初期濃度記憶部(60)について説明する。
(初期濃度記憶部)
第2実施形態における初期濃度記憶部(60)は、情報通信装置(10)の通話開始時の外部の二酸化炭素の濃度を初期濃度として記憶することが可能なものであれば特に制限されない。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)に代表される半導体メモリ等の主記憶装置や、HDD(Hard Disk Drive)に代表される磁気ディスクや、CD−ROMやDVD−ROMに代表される光ディスク、USBメモリや各種メモリーカード、SSD(Solid State Drive)に搭載されるフラッシュメモリ等の補助記憶装置を適用することができる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を説明する。
図8は、本発明の第3実施形態における情報通信装置(10)の一例を示す概略構成図である。
第3実施形態における情報通信装置(10)は、第1実施形態における情報通信装置(10)において、音声信号出力部(20)に音声が入力されたときの、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度を記憶する会話中濃度記憶部(70)をさらに備えたものである。なお、
図8では、通信信号出力部(50)を備えているが、
図1に示す通信信号出力部(50)を備えていない情報通信装置(10)であっても適用することができる。
【0049】
第3実施形態における濃度測定部(30)は、音声信号出力部(20)に音声が入力されたとき、測定した二酸化炭素濃度を会話中濃度として、会話中濃度記憶部(70)に記憶する。測定した二酸化炭素濃度すなわち会話中濃度を会話中濃度記憶部(70)に記憶するタイミングは、音声が入力された任意のタイミングで一度取得しこれを記憶するようにしてもよく、また、音声が入力された任意の複数のタイミングで取得し、その取得結果に基づき動的に得られる値であってもよい。記憶用の二酸化炭素濃度(すなわち会話中濃度)を複数取得する場合、例えば音声信号出力部(20)が、所定レベル以上の音声信号を出力したタイミングに応じて濃度測定部(30)の出力を複数回取得し、それらの平均値を用いてもよい。つまり、会話中、ある程度大きな声で発生されたタイミング例えば
図7中に示す時点Bを、二酸化炭素濃度を測定するタイミングとして、音声信号のレベルが所定値以上であるときの濃度測定部(30)の出力を複数回取得する。そして、これらの平均値を、会話中濃度とするようにしてもよい。音声信号制御部(40)は、会話中濃度記憶部(70)に記憶された二酸化炭素濃度に基づき、使用者が会話中であるかを判定する。すなわち、会話中濃度記憶部(70)に記憶された会話中濃度に基づきしきい値を設定し、例えば会話中濃度記憶部(70)の所定の記憶領域に記憶する。この場合には、会話中濃度と、通常の大気中の二酸化濃度とをもとに、会話中でないときの二酸化炭素濃度の測定値がしきい値を下回るように会話中濃度に重み付けを行ってしきい値を設定すればよい。
【0050】
そして、音声信号制御部(40)は、会話中濃度記憶部(70)に記憶されたしきい値(例えば、
図7中のTH2)と、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度とを比較する。前記しきい値は、前記会話中濃度記憶部(70)に記憶される二酸化炭素濃度が更新される都度、しきい値を更新するようにしてもよく、或いは、使用者が会話中であるかの判定を行う都度、会話中濃度記憶部(70)に記憶された二酸化炭素濃度に基づきしきい値を設定し、このしきい値を用いて会話中であるか否かの判断を行うように構成してもよい。
【0051】
そして、音声信号制御部(40)は、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度が、会話中濃度に基づくしきい値以上である場合は会話中と判定し、音声信号の生成および発信を許可する制御信号を音声信号制御部(40)に出力する。一方、測定された二酸化炭素濃度が、会話中濃度に基づくしきい値より低いときには、会話中ではないと判定し、音声信号の生成および発信の禁止を指示する制御信号を、音声信号出力部(20)に出力する。
つまり、音声信号出力部(20)に音声が入力された時は、
図5(a)に示すように、情報通信装置(10)と使用者の口元とが近い状態である。そのため、その時の濃度測定部(30)からの出力は、会話中における二酸化炭素濃度を反映した値である。
【0052】
したがって、測定された二酸化炭素濃度を会話中の濃度として会話中濃度記憶部(70)に記憶し、記憶された会話中濃度に基づくしきい値よりも濃度測定部(30)で測定した二酸化炭素濃度が低下した場合には、会話中ではないと判定し、音声信号の生成および発信を禁止する。
この第3実施形態も、上記第2実施形態と同様に、使用環境に対応したしきい値が設定されるため、より高精度に会話中であるか否かの判定を行うことができ、音声信号の生成および発信の停止および解除を的確に行うことが可能となる。
【0053】
また、会話中に音声が入力されるイベントは、第2実施形態のように初期濃度を取得する場合に比較して回数が多い為、高精度な会話中判定が可能になる。また、会話中の濃度測定部(30)の出力を複数回取得して、その平均値をとることなどにより、会話中濃度記憶部(70)に記憶される会話中濃度が使用中に動的に導出される場合は、使用環境が変化した場合であってもそれに追従してしきい値が変化するため誤検知が少なくなる。
なお、会話中濃度に基づくしきい値が設定されるまでの間は、上記第1実施形態のように、予め設定したしきい値に基づき会話中であるか否かを判定し、会話中濃度に基づくしきい値が設定された時点で、これ以後、会話中濃度に基づくしきい値に基づき判定するようにしてもよい。
【0054】
あるいは、
図9に示すように、上記第2実施形態における初期濃度記憶部(60)をさらに設け、会話中濃度に基づくしきい値(
図7中のしきい値TH2)が設定されるまでの間は、初期濃度記憶部(60)に記憶された初期濃度、つまり、
図7中の時点Aにおける二酸化炭素濃度の測定値に基づきしきい値(
図7中のしきい値TH1)を設定しこれに基づき会話中であるか否かを判定し、例えば時点Bにおける二酸化炭素濃度の測定値である会話中濃度に基づくしきい値(TH2)が設定された以後は、このしきい値(TH2)に基づき判定するようにしてもよい。あるいは、上記第2実施形態における初期濃度記憶部(60)をさらに設け、会話中濃度に基づくしきい値(
図7中のしきい値TH2)が設定されるまでの間は、初期濃度記憶部(60)に記憶された初期濃度(
図7中の時点Aにおける二酸化炭素濃度の測定値)に基づきしきい値(
図7中のしきい値TH1)を設定し、会話中濃度(例えば、
図7中の時点Bにおける二酸化炭素濃度の測定値)が測定された後は、初期濃度と会話中濃度との両方に基づいてしきい値を設定してもよい。
【0055】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を説明する。
図10は、本発明の第4実施形態における情報通信装置(10)の一例を示す概略構成図である。
第4実施形態における情報通信装置(10)は、第1実施形態における情報通信装置(10)において、音声入力モードを判定する音声入力モード判定部(80)をさらに備えたものである。なお、
図10では、通信信号出力部(50)を備えているが、
図1に示す通信信号出力部(50)を備えていない情報通信装置(10)であっても適用することができる。
【0056】
第4実施形態における音声信号制御部(40)は、会話中であるか否かだけでなく音声入力モード判定部(80)が判定する音声入力モードに基づいても音声信号の生成および発信の停止制御を行う。
ここで、人が発する音声を入力する音声入力装置、すなわち音声信号出力部(20)を複数備える情報通信装置は、複数の通話モードを持つ場合がある。具体的には、上記第1から第3実施形態のように、音声信号出力部(20)を口元に近づけて発声する場合など音声信号出力部(20)のそばの音声を入力する通常モードや、携帯電話装置やスマートフォンが備えるスピーカフォンモードのように、音声信号出力部(20)から離れた周囲の音声を入力するスピーカフォンモードや、有線または無線の外部マイクを設け、この外部マイクで集音した音声を音声信号出力部(20)に入力する外部マイク入力モード、などがあげられる。
【0057】
例えばスピーカフォンモードの場合、情報通信装置(10)が使用者の口元におかれない状態で会話が行われる状況が発生することがある。そのため、このような状況においては、上記第1から第3実施形態における情報通信装置(10)において、音声信号の生成および発信を停止しない。
つまり、使用者の口元と情報通信装置(10)本体とが離れた位置にある場合、
図7のディスプレイを参照している場合(期間T4)と同様に、情報通信装置(10)本体に設けられた濃度測定部(30)で測定される二酸化炭素濃度は通常の大気中の二酸化炭素濃度と同程度となる。そのため、二酸化炭素濃度に基づき会話中であるか否かを判定するようにした場合、音声信号制御部(40)は、スピーカフォンモードで会話中であるにもかかわらず、二酸化炭素濃度の測定値がしきい値を下回った時点で音声信号の生成および発信を停止する制御を行ってしまう。
【0058】
このため、第4実施形態における情報通信装置(10)では、音声信号制御部(40)は、音声入力モード判定部(80)での判定結果から現在の音声入力モードを認識し、二酸化炭素濃度に基づき使用者が会話中であると判定される場合であっても、スピーカフォンモードである場合には、音声信号の生成または発信を停止する制御を行わない。
すなわち、音声信号制御部(40)は、濃度測定部(30)で測定された二酸化炭素濃度に基づいて使用者が会話中であるか否かを判定し、使用者が会話中であると判定されるときには、音声入力モードがいずれのモードであるかに関係なく、音声信号の生成および発信を許可する。一方、測定された二酸化炭素濃度に基づいて使用者が会話中ではないと判定される場合には、現在の音声入力モードが音声信号出力モードに該当するモードであるかを判定する。この音声信号出力モードとは、二酸化炭素濃度に基づいて使用者が会話中であると判定される場合であっても、情報通信装置(10)が音声信号を出力しなくてはならないモ―ドであって、例えば、スピーカフォンモードや、外部マイク入力モードがあげられる。逆に、音声信号出力モードに該当しないモードとしては通常モードがあげられる。
【0059】
なお、各音声入力モードが音声信号出力モードであるか否かを表すモード情報は、予め設定されて情報通信装置(10)の所定の記憶領域に格納されており、音声信号制御部(40)は、所定の記憶領域に格納されたモード情報を用いて現在の音声入力モードが、音声信号出力モードに該当するか否かを判定するようになっている。
そして、現在の音声入力モードが通常モードである場合など、音声信号出力モードに該当するモードでないときには、二酸化炭素濃度に基づき会話中であると判定されるときには音声信号の生成および発信の禁止を行う。そのため、通話中、使用者がディスプレイなどを目視している状態では、使用者の周囲の雑音などが相手先に伝わることを回避することができる。
【0060】
一方、現在の音声入力モードがスピーカフォンモードであるときなど、音声信号出力モードに該当するモードであるときには、二酸化炭素濃度に基づき会話中であると判定されるとき、つまり、
図11に示すように、二酸化炭素濃度の測定値がしきい値を下回る場合でも、音声信号の生成および発信を許可する。そのため、使用者の口元から情報通信装置(10)が離れた位置にある状態で、使用者がスピーカフォンモードで情報通信装置(10)に向かって話しているときには、情報通信装置(10)の音声信号出力部(20)に入力された音声が音声信号として出力されるため、二酸化炭素濃度に基づき会話中ではないと判定されるときでも、スピーカフォンモードでの会話を行うことができる。
【0061】
このように測定された二酸化炭素濃度から会話中ではないと判定される場合でも、スピーカフォンモードなどの音声信号出力モードの場合には、音声信号の生成または発信を停止しないようにすることによって、使用者がスピーカフォンモードなどで会話中であるにも関わらず、音声信号の生成および発信が停止され、相手先に音声信号が送信されなくなり会話が不可となることを回避することができる。すなわち、会話中でないとの誤検知やこの誤検知に基づく誤動作を抑制することができる。
【0062】
なお、ここでは、会話中であっても、スピーカフォンモードや外部マイク入力モードであるときに、音声信号の生成および発信を停止しないようにした場合について説明したが、これらスピーカフォンモードなどに限るものではない。要は、会話中における情報通信装置(10)の位置が、通常モードにおける情報通信装置(10)の位置とは異なる位置にある入力モード、すなわち情報通信装置(10)が使用者の口元から離れた位置にある入力モードの場合には、会話中であっても、音声信号の生成および発信を停止しないようにすればよい。
【0063】
なお、音声信号の生成および発信を停止しないようにする方法として、
図10中に実線で示す様に、音声信号制御部(40)が、音声入力モード判定部(80)の判定結果に基づき、音声信号の生成および発信を停止するか否かを判定する方法に限るものではない。例えば、音声入力モード判定部(80)が、スピーカフォンモードなどの音声信号出力モードであるときには、音声信号制御部(40)から出力される音声信号の生成および発信の停止を指示する制御信号を、強制的に音声信号の生成および発信を許可する制御信号に切り替える方法が考えられる。また、
図10中に破線で示すように、音声入力モード判定部(80)が、音声信号出力モードであるときには、音声信号出力部(20)から送信される音声信号の生成および発信を強制的に禁止する方法が考えられる。
【0064】
(音声入力モード判定部)
次に、音声入力モード判定部(80)について説明する。
第4実施形態における音声入力モード判定部(80)は、音声入力モードの判断が可能であれば特に制限されない。具体的には外部マイクの接続の有無や、スピーカフォンモードの選択の有無などに基づいて判定することが可能である。
【0065】
なお、第4実施形態において、音声信号出力部(20)または音声信号制御部(40)は、音声入力モード判定部(80)が判定する音声入力モードに基づき、更に、濃度測定部(30)による濃度測定を停止するように構成してもよい。つまり、スピーカフォンモードや外部マイク入力モードなどの音声信号出力モードであるときには、二酸化炭素濃度に基づき会話中と判定される場合でも、音声信号の生成および発信を停止しないため、二酸化炭素濃度に基づく会話中であるか否かの判定を行う必要はない。したがって、音声信号出力モードである場合には、濃度測定部(30)による濃度測定を停止しても問題はない。このような構成とすることで、濃度測定部(30)において不要な濃度測定が行われることを回避することができ、すなわち、消費電力を低減することができる。
【0066】
なお、このように、濃度測定部(30)における濃度測定を停止するように構成した場合、通話中、
図11に示すように、通常モードからスピーカフォンモードに切り替え、再度通常モードに切り替えた場合、以前通常モードで記憶していた二酸化炭素濃度に基づくしきい値、つまり、時点t1で通話開始操作を開始した後、時点Aで測定された初期濃度に基づくしきい値TH1を用いて会話中であるか否かの判断を行うと、現在の二酸化炭素濃度環境がしきい値設定時と異なる可能性があるため、誤検知する可能性がでてくる。
【0067】
例えば、スピーカフォンモードに切り替えた状態で、部屋を移動した場合等、通常モードの際のバックグラウンドの空間が以前のしきい値(
図11では、しきい値TH1)を決定した空間と異なる可能性があるためである。
これは、音声入力モードの切り替えの際に、初期濃度記憶部(60)、会話中濃度記憶部(70)に記憶されたしきい値をリセットすることで、誤検知を回避することができる。
【0068】
二酸化炭素の濃度情報、すなわちしきい値をリセットする方法としては、
図10中に二重線で示す様に、音声入力モード判定部(80)から濃度測定部(30)に対しリセットを指示する制御信号を入力し、濃度測定部(30)により、各濃度記憶部(60)、(70)で記憶するしきい値をリセットする方法があげられる。リセットされた後のしきい値(TH3)を設定する方法としては、予め設定した所定のしきい値を設定する方法や、第3実施形態に記載の会話中濃度に基づいてしきい値を設定する方法や、スピーカフォンモード時に取得した二酸化炭素濃度を初期濃度として扱い、第2または第3実施形態に記載した初期濃度を用いたしきい値を決定する方法が採用できるがこの限りではない。