(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきものである。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による成膜装置10を示す概略断面図である。図示のとおり、成膜装置10は、複数のウエハWが上下方向に間隔をあけて重なるように複数のウエハWを保持するウエハボート21と、ウエハボート21が収容される反応管22と、反応管22が収容される外管23と、反応管22及び外管23を支持するマニホールド24とを有している。また、成膜装置10には、ウエハボート21に保持されるウエハWに対して原料ガスを供給する原料ガスノズル25と、例えば熱電対や測温抵抗体などの温度測定部が挿入され、この温度測定部を原料ガス等から保護する保護管26とが設けられている。原料ガスノズル25及び保護管26は、ウエハボート21と反応管22との間の空間においてウエハボート21に沿って延び、ウエハボート21を中心に互いに対照に配置されている。
また、成膜装置10には、外管23の外周を取り囲むように配置され、ウエハボート21に保持されるウエハWを加熱するヒータ27が設けられている。ヒータ27は、上下方向に配置される複数の分割ヒータを有することができ、各分割ヒータに対して電源装置(図示せず)が接続されている。なお、外管23の上方からウエハWを加熱する追加のヒータ(図示せず)を外管23の上方に設けても良い。
【0013】
ウエハボート21は、例えば石英ガラスから作製され、上蓋部21aと、下蓋部21bと、下蓋部21bに対して上蓋部21aを支持する例えば3本(
図1中には2本のみを図示)の支柱21cとを有している。支柱21cには複数のスリットが形成されている。複数のスリットの各々は、各支柱21cの対応するスリットが同じ高さに位置するように形成されており、これらのスリットによりウエハWが支持される。スリットの数及び間隔は、ウエハWのサイズや、1回の成膜プロセスで処理すべきウエハWの枚数や反応管22等のサイズに応じて決定することが好ましい。
また、ウエハボート21は、その下部においてペデスタル28に支持されており、ペデスタル28は、昇降プレート29上に固定されている。昇降プレート29は、図示しない昇降機構により上下動可能である。成膜に際しては、昇降プレート29が昇降機構により上昇し、マニホールド24の下面に対して例えばO−リングやメタルシールなどのシール部材を介して接する。これにより、外管23、マニホールド24、及び昇降プレート29により画成される空間(以下、内部空間という)と、その外側の空間とが隔離される。また、ウエハボート21を反応管22からアンロードするときは、昇降機構により、昇降プレート29ひいてはウエハボート21が下降される。
【0014】
反応管22は、有蓋の円筒状の形状を有し例えば石英ガラスから作製され、その下端部においてマニホールド24の内周に設けられたフランジ部に支持されている。反応管22の外側を取り囲む外管23は、有蓋の円筒状の形状を有し例えば石英ガラスから作製されている。また、外管23は、マニホールド24の上面に対して、例えばO−リングやメタルシールなどのシール部材を介して気密に取り付けられている。
【0015】
なお、反応管22には図示しない1つの又は2以上の開口が設けられ、この開口により、反応管22の内側の空間と外側の空間(外管23の内側の空間)とが連通する。また、マニホールド24には、排気管(図示せず)が接続され、排気管は、真空ポンプを含む排気装置に接続されている。この構成により、後述する原料ガスノズル25からウエハWに対して供給される原料ガスが、反応管22の開口と外管23の排気管とを通して排気される。また、排気管には圧力制御器(図示せず)が設けられ、これにより、反応管22内の圧力が調整される。
マニホールド24は、その上部フランジにおいて、図示しない複数のボルト及びナットによりベース部30に取り付けられている。これにより、マニホールド24は、反応管22及び外管23をベース部30に対して支持することとなる。
【0016】
原料ガスノズル25は、例えば石英ガラスから作製されており、マニホールド24に形成されたノズル導入部24aを通して、内部空間に至り、上方へ屈曲してウエハボート21に沿って延びている。ノズル導入部24aの端部には、例えばO−リングなどのシール部材24bと、シール部材を原料ガスノズル25に押しつけて気密性を維持するコネクタ24cとが設けられている。また、原料ガスノズル25のマニホールド24の外側の端部は、図示しない原料供給システムに接続されており、原料供給システムから原料ガスノズル25に対して原料ガスが供給される。さらに、原料ガスノズル25には、ウエハボート21に保持されるウエハWに向かって開口する複数の開口25aが形成されており、開口25aを通して原料供給システムから供給される原料ガスがウエハWに対して供給される。
【0017】
なお、原料供給システムは、ウエハWに成膜する薄膜に応じた原料ガスが充填されるガスシリンダ(図示せず)を有し、ガスシリンダと原料ガスノズル25とを接続する配管には圧力制御器(例えばレギュレータ)や流量調整器(例えばマスフローコントローラ)が設けられており(ともに図示せず)、これらにより、原料ガスは流量制御されて原料ガスノズル25へ供給される。
【0018】
保護管26は、例えば石英ガラスから作製されており、マニホールド24に形成された保護管導入部24dを通して内部空間に至り、上方へ屈曲してウエハボート21に沿って延びている。保護管導入部24dにもシール部材24bとコネクタ24cとが設けられ、これにより気密性が維持される。保護管26の内部には、例えば複数本(
図1には1本のみを図示)の熱電対26bが挿入されている。各熱電対26bの測温端は、高さ方向における異なる位置に配置されており、これによりウエハボート21の長さ方向の温度分布を求めることができる。熱電対26bは、図示しない温調器に接続されている。熱電対26bの測温結果に基づいて上述の分割ヒータの各電源装置が制御され、これによりウエハボート21に保持される複数のウエハWを均一に加熱することができる。
【0019】
図2は、成膜装置10の概略一部上面図であり、ウエハボート21、反応管22、及び保護管26の位置関係を示している。図示のとおり、反応管22には、ウエハボート21に対して窪んだ溝部22aが形成されている。溝部22aは、本実施形態においては反応管22の下端から上端にまで延びている。溝部22aにより反応管22の内面が外側に窪むため、保護管26を配置するスペースを広げることができる。すなわち、反応管22に溝部22aを形成することは、反応管22とウエハボート21との間の空間が狭い場合に有効である。また、溝部22aを設けることにより反応管22とウエハボート21との間の空間を狭くすると、原料ガスノズル25から供給される原料ガスがウエハWの間の空間に入り込み易くなり、成膜効率が向上する。
【0020】
また、保護管16の上端付近(
図1参照)には、2つの突起部26aが設けられている。これらの突起部26aは、本実施形態においては、保護管26の中心に対して約120°の角度間隔で配置されている。突起部26aの形状は、図示のような半球状に限らず、柱状(円柱状、角柱状)であっても良く、ピン状であっても良い。なお、突起部26aと反応管22の内面との接触面積を小さくする観点から、突起部26aが柱状の形状を有する場合、先端部が丸くなっていると好ましい。また、突起部26aの大きさは、溝部22aの深さや幅、保護管26の外径、及び反応管22とウエハボート21との間の間隔などに基づいて決定して良い。本実施形態においては、突起部26aの高さ(保護管26の外面からの突起量)は約4mmである。
なお、本実施形態においては、2つの突起部26aの先端部が溝部22aの内面に接しており、しかも2つの突起物26aの角度間隔が約120°であることから、保護管26の反応管22の内面に沿う方向の位置ずれを効果的に抑制できる。
【0021】
成膜装置10を用いてウエハWに薄膜を成長する場合には、まず、成膜装置10に併設されるウエハ搬送機構(図示せず)により、反応管22からアンロードされたウエハボート21に対しウエハキャリアからウエハWが搭載される。次に、ウエハボート21が反応管22の内部へロードされ、内部空間(外管23、マニホールド24、及び昇降プレート29により画成される空間)が所定の圧力に排気されるとともに、不図示のパージガス供給ノズルから例えば不活性ガスが供給され、内部空間がパージされる。ヒータ27により、ウエハWを所定の成膜温度(例えば500℃から600℃)に加熱した後、原料ガスノズル25から例えばジシラン(Si
2H
6)を供給すると、ウエハWの熱によってジシランが熱分解することによりウエハW上にアモルファスシリコン薄膜が成膜される。所定の膜厚を有するアモルファスシリコン薄膜が成膜された後、ジシランの供給を停止し、ウエハWの加熱を停止し、内部空間を不活性ガスでパージした後に、ウエハボート21が反応管22からアンロードされる。この後、搬送機構により、ウエハボート21から例えばウエハキャリアへウエハWを取り出すことにより、成膜プロセスが終了する。
【0022】
上述の成膜プロセスにおいては、成膜中に保護管26の外面が反応管22の内面に接触すると、保護管26の外面や反応管22の内面にも薄膜が成膜するため、薄膜により保護管26が反応管22の内面に張り付いてしまう場合がある。この場合、ウエハWの温度を下げる際に、保護管26に比較的大きな応力が働くことが、本発明者らの検討により判明した。ここで、本発明者らが調べた応力の原因について
図3を参照しながら説明する。
【0023】
図3(a)は、成膜装置10の据え付け後やメンテナンス後など、外管23、反応管22、及びウエハボート21が室温のときのマニホールド24、保護管導入部24d、及び保護管26を示す図である。図示のとおり、保護管導入部24dはマニホールド24からほぼ水平に延びており、したがって保護管26はマニホールド24に対して水平に挿入される。そして、保護管26は、内部空間において上方へ折れ曲がっている。
【0024】
一方、
図3(b)は、例えば成膜中など、外管23、反応管22、及びウエハボート21が加熱されたときのマニホールド24、保護管導入部24d、及び保護管26を示す図である。図示のとおり、マニホールド24が熱で変形することにより、保護管導入部24dは下向きに角度θで傾く。実測の結果、本実施形態による成膜装置10においては、ウエハWの温度を400℃まで加熱したとき、マニホールド24の温度は約195℃となり、保護管導入部24dの傾き角度θが約0.35°となっていることが分かっている。保護管導入部24dが傾くと、保護管26もまた傾き、その結果、保護管26は、ウエハボート21と反応管22との間の空間において、反応管22の内面に向かって傾くこととなる。
【0025】
ここで、保護管26に突起部26aが設けられていないと仮定すると、反応管22側へ傾いた保護管26は、溝部22aの内面(以下、便宜上、反応管22の内面と記す)に沿って撓み、広い範囲で保護管26の外面と反応管22の内面とが接触することになる。そうすると、成膜中には、反応管22や保護管26に堆積する膜によって、保護管26の外面は反応管22の内面に対して比較的強固に張り付く場合がある。ここで、成膜終了後にヒータ27によるウエハWの加熱を中止すると、マニホールド24の温度も低下していく。これにともない、保護管導入部24dが水平方向(
図3(a))に戻っていく。そうすると、外面が反応管22の内面に張り付いている保護管26に曲げ応力が働くこととなる。
【0026】
次に、保護管導入部24dの傾き角度θのときに、保護管26にどの程度の曲げ応力が働くかを測定した結果について説明する。この測定においては、マニホールド24を加熱することにより保護管導入部24dを傾ける代わりに、マニホールド24を傾けることにより保護管導入部24dを傾け、保護管26に働く荷重をプッシュプルゲージにより測定した。得られた荷重と、保護管26の撓み量及び形状とから保護管26に働く曲げ応力を求めた。なお、保護管26の直立部(ウエハボート21と反応管22との間の空間における部分)の長さは約1350mmであり、保護管26の水平部(保護管導入部24dにより支持される部分)からの高さが150mm、300mm、450mm、及び1330mmの位置での曲げ応力を求めた。
【0027】
曲げ応力の測定結果を
図4に示す。
図4のグラフから分かるように、保護管導入部24dの傾き角度θが大きくなるに従って、保護管26に働く曲げ応力は直線状に大きくなる。また、曲げ応力の大きさは、保護管26の直立部の下方ほど大きいことが分かる。具体的には、保護管26の直立部の下端から150mmの位置において保護管26に働く曲げ応力は、下端から1330mmの位置において保護管26に働く曲げ応力の約6倍も大きい。
【0028】
以上の結果から、保護管26が、成膜中に例えば中央部付近で反応管22の内面に張り付いてしまった場合には、降温時にマニホールド24が元の形状に戻ることによって保護管26が反応管22から離れる方向へ比較的大きな曲げ応力が働くことになる。そうすると、張り付いた部分よりも下の位置において保護管が破損してしまうおそれがある。
【0029】
しかし、本実施形態においては、保護管26の上端(先端)部に突起部26aが設けられているため、昇温時に、マニホールド24の熱変形によって保護管26が反応管の内面に向かう方向に傾いたとしても、反応管22の内面には突起部26aが接触するに過ぎず、保護管26の外面が反応管22の内面に接することがない。このため、保護管26の外面や反応管22の内面に膜が成膜された場合であっても、保護管26の外面が反応管22の内面に張り付いてしまうのを避けることができる。
【0030】
また、成膜によって突起部26aが反応管22の内面に張り付いてしまった場合には、保護管26は、その先端部において突起部26aを介して反応管22の内面に固定されることとなるが、
図4に示すように保護管26の先端部に働く応力は比較的小さいため、保護管26の破損を回避することができる。また、反応管22の内面に突起部26aが張り付いたとしても、保護管26の外面が張り付く場合とは異なり、接触面積が低減されるため、降温時には、反応管22の内面から外れ易い。そうすると、保護管26の先端部は自由端となるため、保護管26に曲げ応力は働かなくなる。
【0031】
ここで、マニホールド24の保護管保持部24dが傾くことにより、保護管26がどのように撓むかについて行ったシミュレーションについて説明する。
図5(a)に、このシミュレーションに用いたモデルを示す。保護管26の直立部の長さは1350mmであり、保護管26の太さは約12mmである。また、保護管26と反応管22との間の間隔は、保護管22の下端部において約8mmとし、保護管26の先端部において約4mmとした。すなわち、保護管26の直立部は、反応管22の内面に向かって僅かに傾いている。また、突起部26aが設けられている場合は、突起部26aの位置は、保護管26の先端から20mmの位置とした。また、突起部26aの高さ(保護管26の外面からの突出量)は約4mmとした。すなわち、突起部26aは反応管22の内面に接触していることとした。(言い換えると、突起部26aにより、保護管26の先端部は、反応管22の内面から約4mm離れている。)
また、このシミュレーションにおいては、マニホールド24の保護管導入部24dの傾き角度θを約1.0°とした。この傾き角度の場合に、反応管22が無いと仮定すると保護管26がどの程度傾斜するかを
図5(a)中に点線で模式的に示す。
【0032】
図5(b)に、保護管26がどのように撓むかを計算した結果を示す。参照符号Wで示すように、突起部26aによって保護管26の先端部の位置は固定されており、保護管26の先端部と下端部の間では、反応管22の内面に向かって膨らむように撓んでいる。しかし、反応管22の内面に最も近い位置(高さが約1050mmの位置)においても、保護管26と反応管22の内面との間には約2.5mmの間隔がある。すなわち、保護管26の先端部に、約4mmの高さを有する突起部26aを設けることにより、保護管26が反応管22の内面に接するのを回避することができる。
【0033】
また、比較のため、突起部26aが設けられていない保護管26を、その先端部が反応管22の内面に接するように配置した場合において、マニホールド24の保護管保持部24dが約1.0°傾いたときについても検討を行った。その結果、
図5(b)に参照符号WOで示すように、計算上、反応管22の内面の位置を超えて保護管26が撓むことが分かった。そうすると、突起部26aが設けられていない場合には、保護管26は、約750mmの高さから上端までの範囲に亘って反応管22の内面に接触し得ると考えることができる。このように接する場合には、成膜中に、保護管26は広い範囲で反応管22の内面に張り付いてしまう可能性がある。しかも、約750mmの高さから上端までの範囲で保護管26が反応管22の内面に張り付いてしまった場合には、保護管26は、反応管22の内面に比較的強固に張り付く一方、その下方で保護管26に働く曲げ応力は比較的大きいため(
図4参照)、保護管26が破損する可能性が高くなる。
以上の検討から、保護管26に突起部26aを設ける効果が理解される。
【0034】
以上、実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、添付の特許請求の範囲の記載に照らして、種々に変形又は変更することができる。
【0035】
例えば、上記の実施形態においては、反応管22には、保護管26に沿って外側に窪んだ溝部22aが形成されているが、溝部22aは必ずしも必要ではなく、例えば
図2に対応する上面図である
図6(a)に示すように、溝部の無い反応管22に対して、突起部26aが設けられた保護管26を配置しても良い。
【0036】
また、突起部26aを1つだけ保護管26に設けても良い。ただし、上述のとおり、溝部22aとの関係で、反応管22の内面に沿った方向における保護管26の位置ずれを抑える観点から、2つの突起部26aを設けると好ましい。また、2つの突起物26aの角度間隔は、約120°に限られることなく、保護管26の外面が反応管22(溝部22a)の内面に接触しないようにすることができる限りにおいて、適宜決定して良い。
【0037】
また、突起部26aは、保護管26にではなく、
図6(b)に示すように反応管22の溝部22aに設けても良いし、溝部22aの無い反応管22の内面に設けても良い。これらの場合、1つの突起部26aを設けても良いし、複数個(好ましくは2つ)の突起部26aを設けても良い。さらに、保護管26と反応管22の内面との双方に設けても良い。
【0038】
また、上記の実施形態においては、保護管26は、その先端部に設けた突起部26aが反応管22の溝部22aの内面に接するように配置されるが、室温時において突起部26aが溝部22aの内面に接しないように保護管26を配置しても良い。このように配置することは、昇温時において、保護管26の外面が溝部22aの内面により確実に接しないようにできる点で有利である。
ただし、突起部26aと溝部22aの内面とが離間していると、場合によっては保護管26が振動し、突起部26aが溝部22aの内面に衝突し、パーティクルが発生するおそれがある。これを防ぐためには、突起部26aを溝部22aの内面に接しておくことが好ましい。
また、保護管導入部24dの上下方向の位置によっては、保護管26が反応管22の内面から離れる場合がある。この場合、マニホールド24の熱変形により保護管26が反応管22の内面に向かって傾いていくと、保護管26内の熱電対26aとウエハボート21との距離が変化する。この距離が変化すると、ウエハボート21に保持されるウエハWの温度が見かけ上変化することとなり、ウエハ温度の再現性が悪化するおそれがある。しかし、保護管26の突起部26aが反応管22(又は溝部22a)に予め接するように保護管26を配置しておけば、保護管26とウエハボート21との間隔の変化を低減することが可能となる。したがって、突起部26aの反応管22(又は溝部22a)への離接は、状況に応じて決定して良い。
【0039】
また、突起部26aの位置は、保護管22の先端部に限られず中間部でも良い(反応管22の内面の中間部でも良い)。これは、中間部に設けられた突起部26aによっても、保護管26が反応管22の内面に直接に接するのを避けることができるためである。このため、保護管26の外面が反応管22の内面に張り付いてしまうのを防ぐことができる。また、中間部に設けられた突起部26aが、反応管22の内面に張り付いたとしても、突起部26aと反応管22の内面との接触面積が小さいため、突起部26aは反応管22の内面から外れ易い。本発明者らの実験によれば、保護管26における下端から約700mmから約800mmまでの位置に突起部26aを設けた場合であっても、保護管26が突起部26aを介して反応管22の内面に強固に張り付くことはない。
【0040】
また、上記の実施形態においては、外管23の内側に反応管22を設け、反応管22の内側にウエハボート21、原料ガスノズル25、及び保護管26が配置されている。このため、外管23の内面に薄膜が成膜するのを低減することができる。一方、反応管22の内面には薄膜が成膜するが、反応管22は外管23に比べて小型であるため、内面に成膜した薄膜を除去するためのクリーニングを行う際の取り扱いが容易である。また、複数の反応管22を用意し、適宜交換する場合においても、複数の外管23を用意し、適宜交換する場合に比べてコストを低減できる。
【0041】
また、反応管22を用いずに、外管23の内面に沿って保護管26が延びるように保護管26を配置しても良い。言い換えると、外管23を反応管として用いても良い。この場合であっても、上記の実施形態の効果・利点が発揮されることは明らかである。
【0042】
また、長さ(高さ)の異なる複数本の保護管26を設け、それぞれに1本の熱電対を挿入しても良い。この場合であっても、各保護管26に対して突起部26aを設けることが好ましい。
【0043】
また、成膜装置10においてウエハWに成膜される薄膜は、アモルファスシリコン膜に限られず、例えば酸化シリコン膜や窒化シリコン膜などであっても良い。
【0044】
なお、反応管22に形成された溝部22aの深さ(窪み量)や幅は、使用する保護管26の外径に合わせて適宜決定して良い。また、窪み形状は、円形状の断面(上面形状)に限らず、方形状の断面を有していても良い。溝部22aの断面形状が方形状の場合には、保護管26には、方形状の溝部22aの各面に対応して3つの突起部26aを設けることが好ましい。
【0045】
上述した、保護管26の長さや直径、及び突起部26aのサイズ等は、例示にすぎず、薄膜を成膜するウエハWのサイズ、1回の成膜プロセスあたりのウエハ枚数に応じて、各成膜装置において適宜決定して良いことは勿論である。