特許第5753792号(P5753792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5753792
(24)【登録日】2015年5月29日
(45)【発行日】2015年7月22日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20150702BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20150702BHJP
【FI】
   G01N35/00 A
   G01N35/02 C
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-544178(P2011-544178)
(86)(22)【出願日】2010年10月25日
(86)【国際出願番号】JP2010006289
(87)【国際公開番号】WO2011067888
(87)【国際公開日】20110609
【審査請求日】2012年11月21日
(31)【優先権主張番号】特願2009-275044(P2009-275044)
(32)【優先日】2009年12月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】兼子 康雄
(72)【発明者】
【氏名】鴨志田 幸司
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−121491(JP,A)
【文献】 特開平07−159412(JP,A)
【文献】 特開昭62−172477(JP,A)
【文献】 特開2007−315785(JP,A)
【文献】 特開平11−353317(JP,A)
【文献】 特開2002−082119(JP,A)
【文献】 特開2007−240222(JP,A)
【文献】 特開2004−234459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料および試薬を用いて分析を行う分析部と、
前記分析部を制御する操作部と、
試料または試薬を収容する容器、または該容器を搭載する収容物に設けられ、収容する試料または試薬を識別するための識別情報を記録する情報記録媒体と、を備え、
前記操作部は、
前記分析部内に設置されていない前記容器または前記収容物に貼付された該情報記録媒体に記録された識別情報の読取りを可能とする読取り手段と、
前記識別情報に関連付けて分析に関連する情報を記憶する記憶手段と、
前記情報記録媒体に記録された識別情報を前記読取り手段で読取ったことに対応して、
該読取り手段で読取った識別情報に関連付けられた分析に関連する情報を、前記記憶手段
に記憶された情報の中から検索する検索手段と、
該検索手段により検索された分析に関連する情報を表示する表示手段と、を備え、
該検索手段により検索された分析に関連する情報が複数の場合には、目的詳細画面を表示すべき項目を一覧から選択可能な検索結果画面を前記表示手段に表示し、
該検索手段により検索された分析に関連する情報が単一の場合には、前記検索結果画面を表示することなく、前記目的詳細画面を直接的に前記表示手段に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
該表示手段に表示された検索結果画面及び目的詳細画面の各々において、表示画面を切換えるための切換手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記検索手段は、検索対象となる分析に関連する情報を指定する指定手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記検索手段の検索画面を呼び出すための呼び出しボタンを、表示画面に依存しない共通表示領域に表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記検索手段の検索画面を呼び出すための呼び出しスイッチが、前記識別情報読取り手段に設けられていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1記載の自動分析装置において、
検索対象となる試料に対する分析依頼に関連する情報を記憶した上位システムと接続するための通信手段を備え、
前記表示手段は前記上位システムから前記通信手段を通じて分析前に取得した情報を表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項6記載の自動分析装置において、
前記上位システムから取得した試料に対する分析依頼と自動分析装置に搭載された分析に必要となる消耗品の情報から分析可否を判定する判定手段を備え、
前記表示手段は、該判定手段による判定結果を表示することを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項7記載の自動分析装置において、
前記表示手段は、ユーザが試料に対する分析依頼情報を変更可能な手段を備え、
変更された分析依頼情報を前記上位システムへ送信し、記憶された分析依頼情報を更新
するよう指示可能な指示手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記読取り手段は複数の識別情報を連続して読取り可能であり、
前記検索手段は、読み取った複数の識別情報を複合的なキーとして検索を行うことを特
徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液,尿等の生体試料の測定を行う自動分析装置に係り、特に、分析結果などの分析に関する情報を表示する表示画面を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置にて各試料の分析を行う際は、予め患者から採取した試料を収容する試料容器毎に、試料をユニークに識別する識別情報を記録したバーコード等を貼付し、分析装置の操作部またはネットワークで接続された上位システムから取得した該識別情報に基づいて検査の依頼情報を入力し、分析装置上に設置されたバーコードリーダ等で読取り依頼された分析を行う。
【0003】
また、分析を行うために分析装置上で使用する試薬も近年では数百種類存在しているため、品質管理の面から、試薬の製造情報など試薬をユニークに識別する識別情報を記録したバーコード等を容器に貼付して管理し、分析装置上に設置されたバーコードリーダ等で読取って装置に登録することで分析に使用している。
【0004】
近年、自動分析装置は大形化や自動化が進み、検査技師は装置に試料を投入するだけで、試料容器に貼付された識別情報は、分析する直前に装置が自動的に読取る方式がとられている。また、検体取違えを防止する観点からも検査直前で識別情報を認識する必要性が本方式の一因となっている。更に識別情報の読取り手段は、物理的な配置および読取り精度の向上の観点から分析を行う分析部に固定化されている。また、検査試薬に関しても同様である。
【0005】
このように試料や試薬の容器に貼付された識別情報は、装置に投入,設置する際に投入,設置された収容物を認識するために読取る情報という限定的な利用形態であった。また、自動分析装置は大型化,高スループット化,異種検査の統合化が進み、検査を行う分析部を複数連結し、ネットワークで接続された1つの操作部で統合管理するモジュールアッセンブリ方式とよばれる自動分析装置が主流となってきている。
【0006】
この種の自動分析装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−281113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、分析結果の保証に関する意識の高まりから、自動分析装置は、基本的な患者試料の分析以外の、キャリブレーションや精度管理に関する機能が増加している。また、単なる固体装置からネットワークを利用して上位システムやリモートシステムと連携するシステム化が進んでいる。このため、自動分析装置の操作に必要となる画面の数が増加しており、構造も複雑化の一途を辿っている。このため、ユーザは必要な分析や分析結果の確認を行うために、多くの画面や複雑な画面構造を理解する必要があった。
【0009】
また、自動分析装置で使用する試料の識別情報は試料をユニークに識別する必要があり、大規模な病院等では数十桁の識別情報が必要となっている。同様に、分析で使用する試薬に関しても試薬の種類,製造ロット,梱包単位を識別するために数十桁の識別情報となっている。更には大規模な病院になると、分析した結果も数百件から数千件にも上る。このため、画面に表示された識別情報を1つ1つ目視で確認することは非常に困難であった。
【0010】
また、従来の自動分析装置において一部の画面に用意された検索機能は、ユーザが手動で識別情報を入力する形態であり、転記時に人為的なミスにより検体の取り違いなど重大なリスクが発生する危険性があった。また、検索する範囲も表示している画面内を検索する単純なものであった。
【0011】
しかし、試料や試薬の識別情報は分析の依頼,結果,試薬管理,キャリブレーション,精度管理と多岐に渡る画面で共通して使用される情報かつ分析上の重要なキー情報であり、関連する全ての情報を得るためにユーザは関係する全ての画面を探索するなど多大な労力をかけていた。特に、使用環境として想定される検査室において、夜勤者やドクターなどの、通常は自動分析装置を扱わない不慣れなユーザが同様の探索を行う際の労力は計り知れない。
【0012】
本発明の目的は、分析で使用する試料および試薬の容器に貼付された識別情報を機械的に読取り、自動分析装置に記憶され各画面に表示される検査情報から、照会可能な検査情報を横断的、かつ自動的に検索、表示出力し、目的となる詳細画面に誘導する機能を備えた自動分析装置を提供することによって、作業効率の改善,人為的ミスの排除、および分析効率の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、バーコードリーダやRFIDリーダ等の試料および試薬の識別情報読取り手段を、分析を行う単一または複数の分析部を統合管理する操作部に備え、試料、または試薬の容器に貼付された識別情報を読取らせることで、操作部の検査情報記憶手段に記憶された検査情報から照会可能な検査情報を自動的に検索し操作部の画面上に検索結果として表示する機能を備えた。
【0014】
また、画面上に表示された検索結果から、ユーザが目的の検査情報を選択することで検査情報の詳細を表示する詳細画面に遷移する機能,詳細画面から検索結果に戻る機能を備えた。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、試料または検査試薬容器に貼付された識別情報を識別情報読取り手段によって機械的に読取るだけで、該試料に関する検査依頼情報や検査結果,該試薬に関する設定,試薬を使用した分析結果等を自動的に検索し照会することができ、複雑な画面構造の理解,画面の操作および端末からの手入力を無くし、作業効率の改善,人為的ミスを排除する分析装置を提供することができる。また、本発明を利用して目的画面に遷移した後に分析依頼や各種設定操作を行うことによって、単なる情報照会の目的だけでなく、分析操作補助機能として利用する効果が期待できる。更に、この情報照会を目的とした試料および試薬の識別情報読取り手段を、分析を行う単一または複数の分析部を統合管理する操作部のみに備えることにより、装置コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の自動分析装置を使用したワークフローと画面遷移の関係図。
図2】本発明の自動分析装置のシステム構成例。
図3】検査情報検索メニュー画面の例。
図4】検査情報の検索処理フローチャート。
図5】読取り識別情報と検索対象画面の対応マトリックス。
図6】検索対象設定画面の例。
図7】検索結果画面の例。
図8】照会目的となる検査情報詳細画面の例。
図9】分析可否判定処理フローチャート。
図10】分析可否確認画面の例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図2は、本発明による自動分析装置の実施例を示すシステム構成図である。分析する試料の容器には各試料をユニークに識別する試料ID201が貼付され、試料を複数搭載可能な試料ラックに搭載される。試料ラックには各試料ラックをユニークに識別する試料ラックID202が貼付される。試料を搭載した試料ラックは試料投入部203に設置され、設置された試料ラックは順に搬送ライン204に搬入され、試料に対する分析を行う単一または複数の分析部205に搬送される。各分析部へ搬送された試料ラックおよび試料ラックに搭載された試料のIDは分析部に備えられた試料識別IDリーダ206により読取られ、分析部は試料ラックおよび試料を認識し試料に必要な分析を行う。分析部は分析を行うために使用する複数の試薬を収納する試薬ディスク208を備える。分析に必要な試薬は各試薬をユニークに識別する試薬ID207が貼付され、ユーザによって分析に先立ち前もって試薬ディスクに設置される。また、分析部は試薬ディスクに設置された各試薬を識別する試薬IDリーダ209を備える。必要な分析が行われた試料ラックは試料収納部210に搬送される。試料投入部,分析部,試料収納部はそれぞれネットワークケーブルでハブ211を介して自動分析装置の操作部PC212に接続される。操作部PCにはネットワークにて上位ホストシステム215に接続される。ユーザは上位ホストシステムまたは操作部PCから各試料に対する分析依頼(測定依頼)を行い、分析する試料を試料ラックに搭載し試料投入部へ設置する。分析依頼された情報はネットワークを介して分析部に送信され、分析部にて分析した結果は操作部PCおよび上位ホストシステムへ送信される。また、操作部PCは公衆回線を介してリモートシステム216に接続される。リモートシステムには自動分析装置で使用する試薬を使用した分析条件情報である分析パラメータ等の情報を蓄積しており、操作部PCからの要求により分析パラメータの配信を行う。配信された分析パラメータは操作部PCに記憶され、試料の分析時に分析部へ送信される。また、操作部PCは試料ID,試料ラックID,試薬IDを読取ることができる識別IDリーダ213を備える。ユーザは試料ID,試料ラックID,試薬IDを元に照会したい検査情報を検索するためのキー(ID)を入力するための入力デバイスとして該識別IDリーダを使用する。本自動分析装置で使用する試料ID,試料ラックID,試薬IDの具体的な実装はバーコードまたはRFIDなどが一般的である。また、各IDを読取る識別IDリーダもこれに対応する。また、操作部PCに備えられる識別IDリーダは、ユーザとして想定される検査技師が、読取る対象となる識別IDが貼付された試料や試薬を片手で持っている場合、または両手で持っている場合の二通りが想定されるため、ハンディ形状かつ識別IDリーダ固定スタンド217を備え、机上等に固定も可能な形状が好ましい。図1は、本発明による自動分析装置を使用した際の検査情報照会のワークフローと操作部PC上の画面遷移の関係図である。ユーザ101は操作部PC104上に表示された各画面102上に表示された検索ボタンまたは操作部PCに備えられた識別IDリーダ105に備えられた検索スイッチを押下することにより、操作部PC上に検索メニュー画面103が表示される。ここで操作部PCのモニタ画面はユーザとして想定される検査技師が手袋をしていることを考えると、キーボードやマウス操作は煩わしいため、タッチパネル機能を備えていることが望ましい。次にユーザは検索メニュー画面にて希望の検索方法を選択し、照会したい検査情報の対象となる試料ID106または試料ラックID107または試薬ID108のいずれかのIDを識別IDリーダにて読取る。自動分析装置は読取ったIDをキーに該当する検査情報を検索処理109にて検索する。次に検索した検査情報を検索結果画面110に表示する。ユーザが検索結果画面から目的の検査情報を選択すると、選択された検査情報の詳細となる目的詳細画面111を表示する。尚、検索処理109にて該当する検査情報が単一の場合は検索結果画面を表示することなく、ダイレクトに目的詳細画面を表示する。また、各々の画面には前の画面に戻るボタンを設け、検索画面と各画面を自由に遷移できるようにすることによって再度検索し直すことを不要とすることで操作性を良くすることができる。更に、識別IDリーダを常時読取り可能な状態にすることで、検索メニュー画面を表示することなく、識別IDの読取りから始められるワークフローも考えられる。以上のような情報の照会機能を設けることによって、複雑な画面構造を理解することなく容易な操作で目的の検査情報を照会することができる。
【0019】
尚、本発明の応用として、当該自動分析装置にネットワークで接続された図2に示す上位ホストシステム215またはリモートシステム216に前述の識別IDの読取り手段および検索手段を備えることも考えられる。
【0020】
図3は、検索メニュー画面の例である。検索メニュー画面301ではユーザが照会したい検査情報を選択する。当該画面内検索ボタン302は検索メニュー画面の起動元となる画面に表示された検査情報を対象とした検索を希望する場合に選択するボタンである。当該画面内検索ボタンには起動元画面が分かるように画面の名称を表示するか、または検索メニュー画面をダイアログ画面として表示する等によって、背景の起動元の画面が認識できるようにすることが好ましい。全検査情報検索ボタン303はシステムに記憶されている全検査情報を対象とした検索を希望する場合に選択するボタンである。設定情報検索ボタン304,測定依頼情報検索ボタン305,測定結果情報検索ボタン306は各検査情報を対象とした検索を希望する場合に選択するボタンである。これ以外にもユーザが希望すると想定される検索対象ボタンを追加してもよい。操作や情報の絞込みの観点から当該画面内検索ボタンの使用確率が高いと想定されるため、検索メニュー画面表示時はデフォルトで当該画面内検索ボタンを選択された状態とし、検索メニュー画面で操作することなく、IDの読取り操作に移行できるようにすることが好ましい。また、どのボタンをデフォルトとするかユーザが設定できるようにするとよい。閉じるボタン307は、押下すると検索メニュー画面を閉じ起動元の画面に戻るボタンである。
【0021】
図4は、検査情報の検索処理フローチャートの図である。401にて識別IDを読取ると、402にて読取りが成功か否か判定する。読取りが失敗した場合は403にて識別情報読取りエラーの表示を行う。読取りが成功した場合は404にて検索メニュー画面でユーザによって選択された検索方法を判定する。検索方法が当該画面内で検索の場合は405にて読取った識別IDをキーに検索メニュー画面の起動元画面に表示された検査情報を対象に検索処理を行う。また、全ての情報を検索する検索方法の場合には、406にて読取った識別IDをキーに、全ての検査情報を対象に検索処理を行う。また、対象情報を指定して検索する検索方法の場合は、407にて読取った識別IDをキーに指定された検査情報を対象に検索処理を行う。405または406または407の検索処理の結果、408にて該当する検査情報が存在するか否かを判定する。該当する検査情報が存在しない場合は、409にて該当情報なしのメッセージを表示する。該当する検査情報が存在した場合は410にて該当する検査情報が複数か単一かを判定する。複数の場合は411にて検索結果画面に表示する検索結果一覧情報を作成し、412にて検索結果画面を表示する。410にて該当する検査情報が単一の場合は413にてダイレクトに該当検査情報の詳細画面を表示する。
【0022】
尚、試料IDや試薬IDを連続的に読取ることで、読取った複数の識別IDを複合的なキーとして検索を行う検索方法も考えられる。更に画面に、ANDまたはORの論理条件を指定する手段を設けることで、多様な検索が可能となる。例えば、試料IDと試薬IDをAND条件で検索することにより、該試料にて該試薬を使用した測定結果を検索することができる。
【0023】
図5は、図4の407にて読取った識別情報をキーに指定された検査情報を検索する際の具体的な検索対象となる画面を決定するマトリックスである。指定検索対象501は図3の検索メニュー画面でユーザがボタンで選択した検索対象である。ユーザの目的502は501を選択したユーザの想定される目的である。読取り識別情報503は501の選択後にユーザが識別IDリーダで読取る各識別IDである。一般的に自動分析装置の分析対象となる試料には患者から採取した患者試料、装置のキャリブレーションを行う標準液試料、装置の精度管理を行う精度管理試料がある。また、各試料を搭載する試料ラックも専用に各々存在する。例えばユーザが検索メニュー画面にて測定結果を選択し、続けて識別IDリーダで患者試料ラックIDを読取らせた場合は、装置は本マトリックスに従い、当該ラック搭載試料に関する測定結果確認がユーザの目的であると判断し、患者試料を分析した結果を表示する患者試料測定結果画面504に表示される検査情報を検索対象とし処理を行う。このようなマトリックスを用いることによって、単純な意思選択および識別ID読取りを行うだけで、自動分析装置の複雑かつ多くの画面構造の理解および付随する操作、および数十桁にも及ぶ識別情報の入力を不要とし、多くの検査情報の中から容易に目的の検査情報を照会することができる。特にユーザとして想定される検査技師のほか、夜間勤務者やドクターなど、通常は自動分析装置を使用しない不慣れなユーザが目的の情報を照会する際は非常に効果的である。
【0024】
図6は、図4の406にて読取った識別情報をキーに、全ての検査情報を検索する際の検索対象となる画面を設定する、検索対象設定画面の例である。全ての検査情報を対象とすると、条件によっては該当する検査情報が多く、検索結果画面にユーザの目的外の検査情報が多く表示され、視認性の低下、および検索する検査情報の母体数が多いことによる検索時間の増加が生じうる。この問題を解決するため、検索対象設定画面601は読取る識別IDの種別毎に検索対象とする画面をユーザが自由に設定可能とし、装置はこの設定に基づいて検索対象を絞り込むことにより、ユーザの意図した適切な検索を行えるようにすることができる。読取り識別IDリスト602は識別IDリーダで読取り対象となる識別IDの一覧を表示する。検索対象画面リスト603は602で選択された識別IDで検索する対象の画面一覧を表示する。画面一覧リスト604は自動分析装置の画面一覧を表示する。ユーザはまず602で設定したい識別IDを選択する。識別IDが選択されると、603に選択された識別IDで検索対象となる画面の一覧が表示される。次に、ユーザは604から検索対象として追加したい画面を選択し追加ボタン605を押下する。追加ボタンが押下されると603に604で選択した画面が新たな検索対象画面として追加表示される。また、検索対象から外したい画面がある場合は、603にて選択し、解除ボタン606を押下することで603から表示が外れ検索対象から除外される。ここで、検索対象と対象外の画面が認識し易くなるよう、604には検索対象となっていない画面のみ表示するとよい。最後にユーザは設定ボタン607を押下することによって検索対象の条件が設定される。603は602の識別ID毎に同様の操作で、検索対象となる画面を設定することができる。尚、図6の表示例では、患者試料IDでの検索対象は患者試料測定依頼画面,患者試料測定結果画面,患者属性設定画面の3画面の設定となる。
【0025】
図7は、検索処理の結果、該当する検査情報が複数存在した場合に表示される検索結果画面の例である。検索結果画面701には、識別IDリーダで読取った識別情報と、識別情報から検索した検査情報の一覧を表示する。読取り識別ID表示エリア702には読取った識別IDを、読取り識別ID種別表示エリア703に識別IDの種類を表示する。検索した検査情報は画面毎にまとめ、画面毎検索結果表示タブ704として表示する。よって、該当する画面が複数存在する場合は複数のタブとして表示される。
【0026】
画面毎検索結果表示タブには該当する検査情報の件数を付帯情報として表示する。画面毎検索結果表示タブ上には各画面の該当検査情報を検索結果表示リスト705として一覧を表示する。ユーザの意図として直近の検査情報を目的とする確率が高いため、表示する検査情報は日付の降順にソーティングして表示することが好ましい。さらに、リスト上の任意の見出し部分を押下することで、押下された見出しで昇順,降順を自由にソーティングできる機能を実装するとよい。図7の表示例では、患者試料ラックIDを読取り、ラックに搭載された5つの患者試料に関する測定結果を検索したケースである。ユーザは検索結果画面が表示されると、目的の検査情報を、画面毎検索結果表示タブおよび検索結果表示リストから探し選択する。検査情報の選択は、検索結果表示リスト上の表示をダイレクトに選択するか、またはリストに表示された全ての情報を選択する全選択ボタン706によって行う。検査情報が選択されると該当の検査情報が存在する詳細画面に遷移する。また、検索メニュー画面に戻って再度別な検索を行う場合は検索メニューボタン707を、検索結果画面を閉じる場合は閉じるボタン708を押下する。尚、自動分析装置の各画面からいつでも最新の検索結果を参照できるよう最新の検索結果は記憶しておく。また、実施した検索結果を過去一定数記憶し、過去に検索した検索結果を表示できるとよい。
【0027】
図8は、ユーザの照会目的となる検査情報の詳細を画面の例である。この例では図7の検索結果から検索結果表示リスト一行目の検査情報を選択したケースである。選択された検査情報が存在する患者試料測定結果画面801を表示し、検査情報802には検索結果画面で選択された目的の検査情報802を自動的に選択(フォーカス)した状態で表示する。また、これに連動して目的の検査情報詳細804を表示する。図8の例では、検索結果画面で選択した検査情報の測定結果を自動的に表示している。検査情報の表示に関しては、803のように視認性をよくするために測定結果表示リストの最上段に表示するよう表示処理を行うことが好ましい。検索メニューボタン805は検索メニュー画面を表示するためのボタンである。どの画面からでも検索メニュー画面が表示できるよう各画面の表示に依存しないグローバルな非画面依存表示領域807に配置されることが好ましい。検索結果ボタン806は検索結果画面を表示するボタンである。検索結果ボタンを押下すると、記憶されている最新の検索結果が表示される。検索結果ボタンも検索メニューボタンと同様にグローバルな非画面依存表示領域に配置されることが好ましい。
【0028】
図9は、本発明を利用し、分析前に試料に対する分析依頼に関する情報を上位ホストシステムから取得し分析可否を判断する処理フローチャートである。従来の自動分析装置では、装置に試料を投入し、分析を開始することで装置内に備えられた図2に示す試料IDリーダ206で試料IDを読取り、上位ホストシステム215から試料に対する分析に関する依頼情報を取得していた。このため、分析前に試料に対してどのような分析が依頼されているか知る手段が無かった。このため、例えば分析対象の試料が小児検体等で採血量が微量である場合、他システムでの分析による消費や誤って試料を損失してしまい試料が不足している場合、または遠心分離等の分析前工程にて試料の濁り等の異常が発生した場合に、ユーザは分析依頼を参照し、そのままの分析依頼で分析を続行することが可能か判断することができなかった。また、同様の理由によって装置に備えられた分析で必要となる試薬を始めとする消耗品の残量が十分か否かを分析前に判断することができなかった。その結果、分析不可の場合にはユーザは一度分析に失敗し、再分析をすることとなり、多大な労力がかかっていた。この背景には、ユーザの検査規模が大規模になればなるほど、設置スペースの点から上位ホストシステムと自動分析装置が別室で稼動していること、業務分担の関係で上位ホストシステムで分析を依頼するユーザと自動分析装置で分析を行うユーザが別々なユーザであることが、問題の要因として挙げられる。
【0029】
本発明では上記に示す課題を解決するために、図9に示すとおり、ステップ901にて試料IDを読取ると、ステップ902にて自動分析装置にネットワークで接続された上位ホストシステム909から試料IDに関する分析依頼情報を取得する。ステップ903にて試料IDに対する分析依頼情報の有無を判定し、分析依頼が無い場合はステップ904にて分析依頼無しメッセージを表示する。分析依頼があった場合は、ステップ905にて自動分析装置内に記憶された分析パラメータ情報910をもとに、ステップ902で取得した分析依頼で必要となる試料および消耗品の量を計算する。次にステップ906ではステップ902で取得した分析依頼で必要となる消耗品に関して、自動分析装置内に記憶された消耗品残量情報911を取得する。ステップ907ではステップ905で計算した分析依頼に必要な消耗品量とステップ906で取得した消耗品残量を比較し、分析可能か否かを判定する。ステップ908では試料IDに対する分析依頼情報、ステップ905で算出した試料および消耗品の必要量、ステップ906で取得した消耗品の残量、ステップ907で判定した分析可否判定の結果を画面に表示する。
【0030】
このような処理を自動分析装置が行うことによって、ユーザは分析を開始しなくても事前に試料のIDを読取るだけでこれから行う分析が可能か否か確認することができ、事前に試料の再採取,分析依頼の見直し、消耗品の補充等の対処が可能となり、試料不足,試料異常,消耗品不足によって分析に失敗することを未然に防止することができる。更に、図9では1つの試料IDに対する基本的な処理を記述したが、ステップ901にて複数の試料IDを一括で読取り、ステップ902からステップ907を複数の試料IDに対して処理を繰返し、ステップ908にて複数の試料IDに関する情報を画面に表示することで、ユーザの作業効率を更に改善することができる。
【0031】
図10は、図9のステップ908にて表示する具体的な分析可否確認画面の例である。分析可否確認画面1001はユーザが読取った試料IDに関して上位ホストシステムから取得した分析依頼情報と分析可否判定結果の一覧を表示する。また、ユーザによって分析依頼を見直し、変更した分析依頼を上位ホストシステムへ送信する機能を備える。検体ID表示エリア1002には読取った試料IDを表示する。患者氏名表示エリア1002には当該試料IDに対して上位ホストシステムから取得した分析依頼情報から患者氏名を表示する。また、分析依頼情報表示エリア1005には上位ホストシステムから取得した分析依頼情報を表示する。測定項目1007には当該試料に対して依頼された測定項目を表示する。また、依頼された測定項目毎に図9の分析パラメータ情報910から取得した試料の必要量を検体必要量表示エリア1008に、試薬の必要量を試薬必要量1009に表示する。試薬残量表示エリア1010には図9の消耗品残量情報911から取得した測定項目毎の試薬の残量を表示する。分析可否表示エリア1011には試薬の必要量と残量から分析可能か否かを判定した結果を表示する。検体必要量合計表示エリアには当該試料に依頼された全ての測定項目で必要となる合計の検体量を表示する。当該自動分析装置のユーザは表示された測定項目,検体必要量および試薬の必要量,残量,分析可否を確認し、当該実試料の量,状況,試薬の残量から上位ホストシステムから依頼された内容で分析可能か否かを判断する。その結果、不足している試料,試薬の補充を行う。また、補充が不可能な場合は、依頼された分析内容を変更可能とするため、分析依頼設定チェックボックス1006を設ける。例えば、当該試料が小児検体であった場合に採血量が微量であり、上位ホストシステムから依頼された全ての測定項目が分析できないため、診断上優先度の高い測定項目のみ測定するよう、優先度の低い測定項目の分析依頼を外すよう設定する。尚、分析依頼設定チェックボックス1006のデフォルト表示は全て測定するよう設定された状態とする。また、ユーザが分析依頼の設定を変更した理由を入力できるようコメント入力エリア1004を設ける。更に、自動分析装置側で変更した分析依頼情報を上位ホストシステムへ送信し、上位ホストシステム内の分析依頼情報を更新するためのホスト送信ボタン1013を設ける。これにより、当該自動分析装置と上位ホストシステムで記憶する当該試料に対する分析依頼情報の整合性を確保することができる。尚、図9の説明でも記述したとおり、複数の試料IDを一括して読取り、複数の試料IDに関する情報を当該画面に表示することで、ユーザの作業効率を更に改善することができる。
【符号の説明】
【0032】
101,214 ユーザ
102 各画面
103 検索メニュー画面
104,212 操作部PC
105,213 識別IDリーダ
106,201 試料ID
107,202 試料ラックID
108,207 試薬ID
109 検索処理
110,701 検索結果画面
111 目的詳細画面
203 試料投入部
204 搬送ライン
205 分析部
206 試料IDリーダ
208 試薬ディスク
209 試薬IDリーダ
210 試料収納部
211 ハブ
215,909 上位ホストシステム
216 リモートシステム
217 識別IDリーダ固定スタンド
301 検査情報検索メニュー画面
302 当該画面内検索ボタン
303 全画面検索ボタン
304 設定情報検索ボタン
305 測定依頼情報検索ボタン
306 測定結果情報検索ボタン
307,708 閉じるボタン
401〜413,901〜908 フローチャートステップ
501 指定検索対象
502 ユーザの目的
503 読取り識別情報
504,801 患者試料測定結果画面
601 検索対象設定画面
602 読取り識別IDリスト
603 検索対象画面一覧リスト
604 画面一覧リスト
605 追加ボタン
606 解除ボタン
607 設定ボタン
702 読取り識別ID表示エリア
703 読取り識別ID種別表示エリア
704 画面毎検索結果表示タブ
705 検索結果表示リスト
706 全選択ボタン
707,805 検索メニューボタン
802 検査情報
803 目的の検査情報
804 目的検査情報詳細
806 検索結果ボタン
807 非画面依存表示領域
910 分析パラメータ情報
911 消耗品残量情報
1001 分析可否確認画面
1002 検体ID表示エリア
1003 患者氏名表示エリア
1004 コメント入力エリア
1005 分析依頼情報表示エリア
1006 分析依頼設定チェックボックス
1007 測定項目表示エリア
1008 検体必要量表示エリア
1009 試薬必要量表示エリア
1010 試薬残量表示エリア
1011 分析可否表示エリア
1012 検体必要量合計表示エリア
1013 ホスト送信ボタン
図1
図2
図3
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図6
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図8
図9
図10