(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2延伸部は、前記平行領域よりも前記第1及び第2接続部から離れた領域において前記第1及び第2延伸部のそれぞれの先端部が近づくように延伸することを特徴とする請求項1に記載された発光素子。
前記第1及び第2延伸部は、当該先端部に向かうにつれて前記第1接続部と前記第2接続部とを結ぶ線からの距離が長くなることを特徴とする請求項2に記載された発光素子。
前記第1電極は、さらに、前記第1接続部から前記第2接続部側に延伸する第5延伸部と、前記第2接続部から前記第1接続部側に延伸する第6延伸部と、を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載された発光素子。
前記第1電極は、前記第1接続部と前記第2接続部とを結ぶ線を垂直二等分する直線に関して対称であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載された発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る発光素子について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を以下のものに特定しない。各図面が示す部材のサイズや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
[第1実施形態]
第1実施形態に係る発光素子100について、
図1及び
図2を参考にしながら説明する。
図1は、発光素子100を第1主面側からみた平面図である。
図2は、発光素子100のX−X断面図である。
【0010】
発光素子100は、第1主面11a及び第2主面11bを有する半導体部10と、第1主面11a上に配置された第1電極20と、第2主面11b上に配置された第2電極30と、を備える。発光素子100は、
図1に示すように、第1電極20は第1接続部21と、第2接続部22と、第1接続部から延伸する第1延伸部23と、第2接続部から延伸する第2延伸部24と、第1接続部から延伸し第1延伸部よりも第2接続部側に設けられた第3延伸部25と、第2接続部から延伸し第2延伸部よりも第1接続部側に設けられた第4延伸部26と、を備える。第1主面11aは第1延伸部23、第2延伸部24、第3延伸部25及び第4延伸部26が部分的に互いに平行となる平行領域を有する。第3延伸部25の第1接続部から平行領域までの距離は第1延伸部23の第1接続部から平行領域までの距離よりも長く、第4延伸部26の第2接続部から平行領域までの距離は第2延伸部24の第2接続部から平行領域までの距離よりも長い。そして、平行領域において第3延伸部25と第4延伸部26との距離は第1延伸部23と第3延伸部25との距離及び第2延伸部24と第4延伸部26との距離よりも短いことを特徴とする。
【0011】
ここで、「平行領域」とは、第1〜4延伸部が互いに対向し且つ平行して延伸する領域(
図1に示す第1領域)を指す。なお、「平行」とは、完全に平行である場合だけでなく、実質的に平行であるとして「平行」の範囲に含んでいるものとする。
【0012】
これより、平行領域における電流密度分布の偏りを小さくすることができる。この理由は以下の通りである。第1〜第4延伸部(23〜26)は、接続部からの距離が遠いほど電流量が低下するため、第1接続部から平行領域の第3延伸部に供給される電流量が、第1接続部から平行領域の第1延伸部に供給される電流量より小さくなる。同様に、第2接続部から平行領域の第4延伸部に供給される電流量が、第2接続部から平行領域の第2延伸部に供給される電流量より小さくなる。したがって、平行領域における第1〜第4延伸部が等間隔であると、第3延伸部と第4延伸部とで挟まれた領域の電流密度が、第1延伸部と第3延伸部とで挟まれた領域及び第2延伸部と第4延伸部とで挟まれた領域の電流密度より小さくなり、電流密度分布に偏りが生じてしまう。そこで、
図1に示すように、平行領域における第3延伸部と第4延伸部との間隔(間隔b)が、第1延伸部と第3延伸部との間隔(間隔a)及び第2延伸部と第4延伸部との間隔(間隔c)より狭くする。これより、第3延伸部と第4延伸部とで挟まれた領域の電流密度が増大し、第1延伸部と第3延伸部とで挟まれた領域及び第2延伸部と第4延伸部とで挟まれた領域の各電流密度と同程度にすることができる。この結果、
図3に示すように電流密度分布の偏りを小さくすることができる。
【0013】
以下、発光素子100を構成する主な構成要素について説明する。
【0014】
(半導体部)
半導体部10は、発光素子100における発光機能を果たす部材である。半導体部10は、
図2に示すように、半導体部10を挟んで対向する第1主面11a及び第2主面11bを有し、第1主面11aが光取出し面となる。また、半導体部10は、第1主面側から見て矩形とすることもできる。「矩形」とは、4つの角が実質的に直角である四角形を指し、正方形及び長方形が含まれる。本実施形態では1辺が約1mmの正方形である。半導体部10は、図示は省略したが、第1主面側から順に、第1半導体部、発光部、第2半導体部が設けられた構造を有する。
【0015】
発光部は、n型半導体である第1半導体部とp型半導体である第2半導体部とに挟まれており、第1半導体部及び第2半導体部から注入される電子及び正孔の再結合によって生成するエネルギーを光として放出する部位である。
【0016】
第1半導体部は、半導体部の第1主面側に形成され、第1電極と接続させるための部位である。また、第2半導体部は、半導体部の第2主面側に形成され、第2電極と接続させるための部位である。第1半導体部及び第2半導体部は、互いに異なる極性を有する。本実施形態では、第1半導体部をn型半導体、第2半導体部をp型半導体とする。
【0017】
第1半導体部の上面(すなわち半導体部の第1主面)には、
図2に示すように、凹凸部が形成されている。半導体部の上面に凹凸部を形成することで、光の全反射によって半導体部の外部に出射されない光を外部に取り出すことができ、光取出し効率を向上させることができる。なお、この凹凸部の深さは、光取出し効率を適切に向上させるという観点から、0.2〜3.0μmとすることが好ましく、1.0〜1.5μmとすることがより好ましい。
【0018】
半導体部を構成する材料については限定されず、種々のものを用いることができる。本実施形態では、半導体部を構成する材料として、In
xAl
yGa
1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)を用いた。
【0019】
(第1電極)
第1電極20は、第1主面11a側から半導体部10に電流を供給するための電極である。発光素子100では、第1電極20が、発光素子100が備える正負一対の電極のうち、負極であるn側電極として機能する。第1電極20は、
図2に示すように、半導体部10の第1主面側に形成され、半導体部10を介して第2電極30と対向している。第1実施形態における第1電極20は、
図1に示すように、第1接続部21及び第2接続部22と、第1〜第4延伸部(23〜26)とを備える。
【0020】
(第1接続部及び第2接続部)
第1接続部21及び第2接続部22は、導電性のワイヤ等の接続部材を経由して外部から電流が供給される部位である。
【0021】
図1に示すように、第1及び第2接続部は、矩形形状である第1主面において矩形の対向する一対の辺(12a及び12b)のうち一方の辺12aの両隅部に設けている。これより、導電性のワイヤが第1主面から放射される光を遮断することなく接続部から外部へ取り付けられる方向を広範囲にできるため、発光素子を設計する際の自由度を高くすることができる。
【0022】
第1及び第2接続部の形状は、本実施形態では四角形状であるが、角張った形状に限定されず、四角形状の角部が丸みを帯びた形状、円形又は楕円形にすることもできる。
【0023】
(第1延伸部及び第2延伸部)
第1延伸部23は第1接続部から延伸する部位であり、第2延伸部24は第2接続部から延伸する部位であり、共に第1主面内の外側の領域に電流を供給する電極である。
【0024】
第1主面が矩形であり、第1及び第2接続部が矩形の隅部に設けられている場合、第1領域において、第1延伸部は第1主面の辺12cと平行に延伸し、第2延伸部は、第1主面の辺12dと平行に延伸する(すなわち、第1及び第2延伸部は、直線状に他方の辺12bに向かって延伸する)のが好ましい。これより、他方の辺12b側に電流を供給でき、効率良く第1主面の広域に電流を供給することができる。
【0025】
第1及び第2延伸部は、平行領域よりも第1及び第2接続部から離れた領域(
図1に示す第2領域)において、第1及び第2延伸部のそれぞれの先端部が近づくように延伸する(すなわち、第1延伸部は延伸方向を変え第2延伸部側に延伸し、第2延伸部は延伸方向を変え第1延伸部側に延伸する)ことが好ましい。これより、第2領域の広範囲に電流を供給することができる。
【0026】
さらに、第1及び第2延伸部は、それぞれの先端部に向かうにつれて第1接続部と第2接続部とを結ぶ線からの距離が長くなるように延伸する(すなわち、第1延伸部は、第2延伸部側に延伸しつつ他方の辺12b側に延伸し、第2延伸部は、第1延伸部側に延伸しつつ他方の辺12b側に延伸する)ことが好ましい。これより、接続部から最も離れた位置に配置される延伸部の先端部に短い距離で電流を供給することができるため、延伸部の先端部に供給される電流が低下してしまうことを抑制できる。
【0027】
第1及び第2延伸部は、第2領域において湾曲して延伸方向を変えるのが好ましい。これより、湾曲する部分における電流密度が過度に高くなることを抑制することができる。
【0028】
第1及び第2延伸部は、第2領域において第1及び第2延伸部の先端部が離間することが好ましい。これより、第1及び第2延伸部の先端部を繋げる場合と比べて、第1主面を覆う第1及び第2延伸部の面積を減らすことができるため、第1主面からの光取出し面積が向上する。
【0029】
なお、本実施形態では、第1及び第2延伸部は、
図1に示すように第1及び第3領域における直線状に延伸する部位と第2領域における湾曲して延伸する部位とで構成されているが、第2領域の部位を設けなくても良い。
【0030】
(第3延伸部及び第4延伸部)
第3延伸部25は、第1接続部から延伸し第1接続部よりも第2接続部側に設けられた部位であり、第4延伸部26は、第2接続部から延伸し第2接続部よりも第1接続部側に設けられた部位であり、共に第1主面内の内側の領域に電流を供給する電極である。
【0031】
第3延伸部は、第1接続部から第2接続部側に一旦延伸し、延伸方向を他方の辺12b側に変え延伸する。また、第4延伸部は、第2接続部から第1接続部側に一旦延伸し、延伸方向を他方の辺12b側に変え延伸する。なお、第3及び第4延伸部は、第1領域まで延伸するのが好ましいが、第1領域を通り超えて第2領域まで延伸することもできる。
【0032】
第1接続部が第1主面の隅部(又はその近傍)に設けられる場合、第1接続部近傍において第1延伸部と第3延伸部とが直交することが好ましい。これより、第1接続部近傍の電流集中を緩和することができる。第2及び第4延伸部についても同様である。
【0033】
第3及び第4延伸部は、平行領域に延伸するまでに(すなわち、第3領域にて)延伸方向が湾曲して変わることが好ましい。ここで、第3領域とは、平行領域よりも第1及び第2接続部に近い領域を指す。直角に延伸方向を変えた場合と比較して、第一に、延伸方向が変わる部分で電流密度が過度に高くなることを抑制できる。第二に、延伸部の先端部までの距離を短くでき、先端部に供給される電流量が低下することを抑制できる。第三に、第3及び第4延伸部における延伸方向の変わる部分で挟まれた領域と第3及び第4延伸部の先端部で挟まれた領域との電流密度差を小さくできる。第三の効果の理由は以下の通りである。第3及び第4延伸部の延伸方向が変わる部分は、第1及び第2接続部の近くに位置するため、接続部から供給される電流量が多い。そのため、延伸する方向が直角に変わり、延伸方向が変わる部分同士の距離と先端部同士の距離とが同じである場合、延伸方向が変わる部分同士で挟まれる領域と先端部同士で挟まれる領域との電流密度差は大きくなる。そこで、延伸方向を湾曲して変えることで、延伸方向が変わる部分同士の距離が先端部同士の距離より広くすることができる。これより、延伸方向が変わる部分同士で挟まれる領域の電流密度が過度に高くなることを抑制でき、第3及び第4延伸部における延伸部が変わる部分同士で挟まれた領域と第3及び第4延伸部の先端部同士で挟まれた領域との電流密度差を小さくすることができる。
【0034】
図1に示すように第1及び第3延伸部が第1接続部で二手に分かれて延伸しているのが好ましい。第1接続部近傍において第1及び第3延伸部が重なるように同一方向に延伸した後分岐すると、その分岐部分で電流集中が生じると共に、各延伸部の先端部に供給される電流量が少なくなるため、電流密度分布に偏りが生じてしまう。そこで、第1及び第3延伸部を第1接続部で分岐させることで、上記の課題を解決することができる。第2及び第4延伸部でも同様である。
【0035】
第1接続部から第1延伸部の先端部までの長さは、第1接続部から第3延伸部の先端部までの長さよりも長く、第2接続部から第2延伸部の先端部までの長さは、第2接続部から第4延伸部の先端部までの長さよりも長くすることができる。この場合、第1延伸部の先端部と第2延伸部の先端部との距離(
図1に示す間隔d)は、第3延伸部の先端部と第4延伸部の先端部との距離(
図1に示す間隔b)より短いことが好ましい。これより、第1及び第2延伸部の先端部同士で挟まれる領域の電流密度が高くなり、第3及び第4延伸部の先端部同士で挟まれる領域との電流密度差を小さくできる。
【0036】
第1電極20は、第1主面側から見て、第1接続部と第2接続部とを結ぶ線を垂直2等分する直線(すなわち、一方の辺12aの中点と他方の辺12bの中点と結ぶ線)に関して対称であることが好ましい。これより、前記した直線を基準にして電流密度分布を均等にできる。ここで、「対称である」とは、完全に対称である場合だけでなく、多少のずれがあっても実質的に対称であるとして「対称」の範囲内とする。
【0037】
なお、第1電極20は、第1及び第2接続部を矩形の対角に位置する2つの隅部(又はその近傍)に設けることもできる。この場合、第1及び第3延伸部は、第2及び第4延伸部と対向し第2及び第4延伸部と逆方向に延伸することで、第1電極20が第1主面の中心点を基準にして点対称にすることもできる。
【0038】
第1電極20の厚さは限定されないが、導電性の観点から、例えば0.1〜5μmとすることが好ましい。また、第1電極20の材料としては、Ni、Au、W、Pt、Ti、Al等を用いることができ、本実施形態では、Ti/Pt/Auの多層膜を用いた。なお、「Ti/Pt/Au」は、
図2に示す発光素子100の断面図において下側から順にTi、Pt及びAuが積層されていることを指す。
【0039】
(第2電極)
第2電極30は、第2主面側から半導体部10に対して電流を供給するための電極である。発光素子100では、第2電極30は、発光素子100が備える正負一対の電極のうち、正極であるp側電極として機能する。第2電極30は、
図2に示すように、半導体部10の下面(第2主面11b)側に形成され、半導体部10を介して、第1電極20と対向している。
【0040】
第2電極30は、
図2に示すように、第2電極直上に第1電極20が形成されない程度に設けられるのが好ましい。第1電極と第2電極との位置関係をこのような関係とすることで、第1電極20と第2電極30との間を流れる電流が半導体部10内を膜厚方向に最短で流れることがなく、電流が面内に広範囲に分散されるようになる。従って、半導体部内で比較的均一に発光するようになり、光取出し効率が向上する。
【0041】
また、第2電極の面積は、第1電極の面積よりも大きく形成することが好ましい。発光素子は、第1及び第2電極の面積をこのような関係とすることで、電流を注入する領域の面積を大きくすることができ、発光効率が向上させることができる。また、発光による熱の放熱性も向上させることができ、発光素子の放熱性を改善することができる。
【0042】
第2電極の厚さは限定されないが、導電性の観点から、例えば0.05〜0.5μmとすることが好ましい。また、第2電極の材料としては、Ni、Au、W、Pt、Ti、Al、Ir、Rh、RhO、Ag等を用いることができ、本実施形態では、Ag/Ni/Ti/Ptを用いた。
【0043】
(支持基板)
支持基板40は、第2電極30、第2保護膜70及び接合層50を介して半導体部10を支持するためのものである。支持基板の厚さは限定されないが、放熱性の観点から、例えば50〜500μmとすることが好ましい。
【0044】
支持基板の材料としては、Si、SiC、AlN、AlSiC、Cu−W、Cu−Mo、Cu−ダイヤ等の金属とセラミックの積層体等を用いることができる。そしてその中でも、安価でチップ化のしやすいSiを用いることが好ましい。
【0045】
(接合層)
接合層50は、支持基板40に第2電極30及び第2保護膜70を接合するとともに、支持基板40を介して第2電極30と後記する裏面メタライズ層80とを電気的に接続するための導電性の層である。接合層50は、
図2に示すように、支持基板40の上部に形成される。
【0046】
接合層の厚さは限定されないが、接合性及び導電性の観点から、0.5〜5μmとすることが好ましい。また、接合層の材料としては、Ti、Pt、Sn、Au、Ag、Cu、Bi、Pb、Zn等の金属材料及びこれらの合金を用いることができる。本実施形態では、TiSi
2/Pt/Au/AuSn/Au/Ptの多層膜を用いた。なお、「TiSi
2/Pt/Au/AuSn/Au/Pt」は、支持基板40上にTiSi
2、Pt、Au、AuSn、Au及びPtが順に積層されていることを指す。
【0047】
(第1保護膜)
第1保護膜60は、半導体部10及び第1電極20を、電流のショートや埃・塵の付着等による物理的ダメージから保護するための部材である。第1保護膜60は、
図2に示すように、半導体部10の第1主面11a及び側面に形成される。但し、第1保護膜60は、第1及び第2接続部の開口部の上部では開口されており、第1及び第2接続部が外部に露出されるように構成される。なお、第1保護膜60は、
図2では第1電極20の側面と隣接しているが、第1電極20と間隔を空けて設けることもできる。
【0048】
第1保護膜の材料は限定されず、種々のものを用いることができる。本実施形態では、SiO
2を用いた。第1保護膜の厚さは限定されないが、例えば0.2〜0.5μmとすることが好ましい。
【0049】
(第2保護膜)
第2保護膜70は、半導体部10及び第2電極30を、電流のショート等による物理的ダメージから保護するための部材である。第2保護膜70は、
図2に示すように、接合層50上における第2電極30に隣接する領域に形成される。なお、第2保護膜70は、
図2では第2電極30の側面と隣接しているが、間隔を空けて設けることもできる。
【0050】
第2保護膜の厚さは限定されないが、例えば0.2〜0.5μmとすることが好ましい。また、第2保護膜の材料としては、Ti、Al、Pt、SiO
2、ZrO
2等を用いることができ、本実施形態では、Ti/SiO
2/Ti/Ptの多層膜を用いた。
【0051】
(裏面メタライズ層)
裏面メタライズ層80は、発光素子100と外部とを電気的に接続する電極として機能する層である。裏面メタライズ層80は、
図2に示すように、支持基板40において接合層50が形成されている側と対向する側に形成される。
【0052】
裏面メタライズ層の厚さは限定されないが、導電性の観点から、例えば0.5〜0.8μmとすることが好ましい。本実施形態では、裏面メタライズ層を構成する材料として、Au/Pt/TiSi
2の多層膜を用いた。
【0053】
なお、本実施形態に係る発光素子100は、支持基板40、接合層50、第1保護膜60、第2保護膜70及び裏面メタライズ層80を備える構成としているが、これらの部材を備えなくても本発明の効果を得ることができる。
【0054】
[発光素子の製造方法]
以下、第1実施形態に係る発光素子100の製造方法について説明する。発光素子100の製造方法は、半導体部形成工程と、第2電極形成工程と、第2保護膜形成工程と、接合層形成工程と、貼り合わせ工程と、第1電極形成工程と、第1保護膜形成工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
<半導体部形成工程>
半導体部形成工程は、異種基板上に半導体部10を形成する工程である。半導体部形成工程では、サファイア等からなる異種基板上の表面に、所定の半導体材料、ドーパントなどを含むガスを供給して、第1半導体部、発光部及び第2半導体部の順に形成させ半導体部10を形成する。
<第2電極形成工程>
第2電極形成工程は、半導体部10上に第2電極30を形成する工程である。第2電極形成工程では、半導体部10の第2半導体層上の表面に、レジストを用いて第2電極30に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で電極材料を積層することによって、第2電極30を形成する。
<第2保護膜形成工程>
第2保護膜形成工程は、半導体部10上に第2保護膜70を形成する工程である。第2保護膜形成工程では、半導体部10の第2半導体部上の表面に、レジストを用いて第2保護膜70に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で絶縁膜材料を積層することによって、第2保護膜70を形成する。
<接合層形成工程>
接合層形成工程は、半導体部10、第2電極30及び第2保護膜70上に接合層50を形成する工程である。接合層形成工程では、半導体部10、第2電極30及び第2保護膜70上に、スパッタリング等で導電膜材料を積層することによって、接合層50を形成する。
<貼り合わせ工程>
貼り合わせ工程は、半導体部10を備える異種基板と支持基板40とを貼り合わせる工程である。貼り合わせ工程では、前記した接合層50が形成された支持基板40を用意し、支持基板40の接合層と異種基板の接合層とを貼り合わせ、互いに接合する。そして、異種基板を除去する。なお、貼り合わせ工程後、支持基板40の厚みを薄くすることで発光素子を小型化することもできる。
<第1電極形成工程>
第1電極形成工程は、半導体部10上に第1電極20を形成する工程である。第1電極形成工程では、半導体部10の第1半導体層上の表面に、レジストを用いて第1電極に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で電極材料を積層することによって、第1電極10を形成する。そして、レジストを除去することによって、第1電極20が形成されていない領域を形成する。なお、第1電極20を形成する前に、半導体部10の上面に凹凸(ディンプル加工)部を形成することもできる。
<第1保護膜形成工程>
第1保護膜形成工程は、半導体部10上に第1保護膜60を形成する工程である。第1保護膜形成工程では、半導体部10上の表面に、スパッタリング等で絶縁膜材料を積層することによって、第1保護膜60を形成する。そして、第1保護膜60のうち第1電極20の第1及び第2接続部(21、22)に相当する領域を除去し、第1及び第2接続部(21、22)を露出させる。
【0055】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る発光素子200について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、発光素子200を示す平面図である。発光素子200は、発光素子100と比べて、第1電極の配置のみが異なる構成である。
【0056】
発光素子200の第1電極120は、
図4に示すように、第1及び第2接続部(21、22)と、第1及び第2延伸部(23、24)と、第3及び第4延伸部(125、126)と、第5及び第6延伸部(127、128)とを備える。
【0057】
図4に示すように、第1、第3及び第5延伸部(23、125、127)は第1接続部から延伸し、第5延伸部127は第2接続部側に延伸するのが好ましい。これより、第1接続部から延伸する延伸部の数が増え、より大きい電流が接続部に供給されても電流を効率よく延伸部に分散させることができる。同様に、第2、第4及び第6延伸部(24、126、128)は第2接続部から延伸し、第6延伸部128は第1接続部側に延伸するのが好ましい。
【0058】
第1、第3及び第5延伸部(23、125、127)は、第3延伸部125が第1延伸部23と第5延伸部127との間に配置され、第1接続部から等角度で延伸するのが好ましい。これより、第1接続部近傍において第1延伸部と第3延伸部とで挟まれる領域と第3延伸部と第5延伸部とで挟まれる領域との電流密度差が小さくできる。同様に、第2、第4及び第6延伸部(24、126、128)は、第4延伸部126が第2延伸部24と第6延伸部128との間に配置され、第2接続部から等角度で延伸するのが好ましい。
【0059】
さらに好ましくは、
図4に示すように、第1、第3及び第5延伸部(23、125、127)は、第1延伸部23が第1主面の辺12cと平行する方向に延伸し、第5延伸部127が第1主面の辺12aと平行する方向に延伸し、第3延伸部125が第1延伸部23の延伸方向と第5延伸部127の延伸方向との中間の方向に一旦延伸した後他方の辺12bに向かって延伸するのが良い。また、第2、第4及び第6延伸部は、一方の辺12aの中点と他方の辺12bの中点とを結ぶ直線に関して、第1、第3及び第5延伸部と対称になるように延伸するのが良い。これより、
図5に示すように第1主面全域に電流が効率良く行き渡り、電流密度分布の偏りを小さくすることができる。