複数のワード線と、各々が複数の電荷蓄積部を有し前記ワード線の各々にゲート端子が接続されたMOSFET構造を有する複数のメモリセルと、前記メモリセルの各々のドレイン端子およびソース端子にそれぞれ接続された複数のビット線と、を含む不揮発性半導体メモリの前記メモリセル内の前記電荷蓄積部の各々に電荷を注入することにより注入電荷量に対応したデータ値を表す多値データを書き込むデータ書き込み方法であって、
同一のワード線に接続されている前記メモリセルのうちの隣接するもの同士の一方の前記ドレイン端子と他方の前記ソース端子とが接続され、
前記ワード線を介して前記複数のメモリセルの各々のゲート端子に共通のゲート電圧を印加して当該メモリセルの各々を書き込み対象とし、
前記書き込み対象とされた前記メモリセルのうちで、前記多値データにおける注入電荷量が最も多いデータ値のデータを書き込むべきメモリセルが有する前記複数の電荷蓄積部のうちの1の電荷蓄積部にデータを書き込んだ後に、前記書き込み対象とされた前記メモリセルのうちで、複数の他のデータ値のデータを書き込むべき2以上のメモリセルに前記ビット線を介して互いに異なる書き込み電圧を同時に印加して当該メモリセルの各々が有する前記複数の電荷蓄積部のうちの前記1の電荷蓄積部を除く他の電荷蓄積部に、互いに異なるデータ値の前記多値データを同時に書き込むことを特徴とする不揮発性半導体メモリのデータ書き込み方法。
前記注入電荷量が最も多いデータ値は"00"であり、前記互いに異なるデータ値は"01"及び"10"であることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体メモリのデータ書き込み方法。
前記電荷蓄積部への電荷注入は複数回の注入動作によって行われ、前記ゲート電圧は、各注入動作毎に段階的に電圧レベルが高くなるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の不揮発性半導体メモリのデータ書き込み方法。
前記電荷蓄積部への各注入動作後に、前記メモリセルのドレイン−ソース間電流値を検出し、前記ドレイン−ソース間電流値が所定値に達したときに電荷注入を終了させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の不揮発性半導体メモリのデータ書き込み方法。
複数のワード線と、各々が複数の電荷蓄積部を有し前記ワード線の各々にゲート端子が接続されたMOSFET構造を有する複数のメモリセルと、前記メモリセルの各々のドレイン端子およびソース端子にそれぞれ接続された複数のビット線と、前記ワード線を介して前記複数のメモリセルの各々のゲート端子にゲート電圧を印加するロウデコーダと、前記ビット線を介して前記メモリセルに書き込み電圧を印加するカラムデコーダと、を含み、前記電荷蓄積部に電荷を注入することにより注入電荷量に対応したデータ値を表す多値データを書き込む不揮発性半導体メモリであって、
同一のワード線に接続されている前記メモリセルのうちの隣接するもの同士の一方の前記ドレイン端子と他方の前記ソース端子とが接続され、
前記ロウデコーダは、前記ワード線を介して前記メモリセルの各々のゲート端子に共通のゲート電圧を印加して当該メモリセルの各々を書き込み対象とし、
前記カラムデコーダは、書き込み対象とされた前記メモリセルのうちで、前記多値データにおける注入電荷量が最も多いデータ値のデータを書き込むべきメモリセルの各々が有する前記複数の電荷蓄積部のうちの1の電荷蓄積部に当該データ値に対応した書き込み電圧を供給して当該メモリセルに対するデータ書き込みが完了した後に、複数の他のデータ値のデータを書き込むべきメモリセルの各々が有する前記複数の電荷蓄積部のうちの前記1の電荷蓄積部を除く他の電荷蓄積部に前記ビット線を介して互いに異なる書き込み電圧を同時に印加して当該メモリセルの各々に互いに異なるデータ値の前記多値データを同時に書き込むことを特徴とする不揮発性半導体メモリ。
前記注入電荷量が最も多いデータ値は"00"であり、前記互いに異なるデータ値は"01"及び"10"であることを特徴とする請求項5記載の不揮発性半導体メモリ。
前記電荷蓄積部への電荷注入は複数回の注入動作によって行われ、前記ゲート電圧は、各注入動作毎に段階的に電圧レベルが上昇していることを特徴とする請求項5又は6に記載の不揮発性半導体メモリ。
前記電荷蓄積部への各注入動作後に、前記メモリセルのドレイン−ソース間電流値を検出し、前記ドレイン−ソース間電流値が所定値に達したときに電荷注入を終了させることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1に記載の不揮発性半導体メモリ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。尚、以下に示す図において、実質的に同一又は等価な構成要素、部分には同一の参照符を付している。
【0023】
(第1実施例)
図3は、本発明の不揮発性半導体メモリを構成するメモリセル10の主要部を示す断面図である。本実施例では、メモリセル10をnMOSFETで構成した場合を例に説明する。
【0024】
メモリセル10は、p型のシリコン基板12の上面にSiO
2からなるゲート酸化膜22を介してポリシリコンからなるゲート電極24が形成されている。シリコン基板12表面のゲート電極24を挟む位置にn型不純物を高濃度に含有するソース領域16およびドレイン領域18が形成されている。ゲート電極24直下のシリコン基板12の表面領域はnMOSFETの動作時において電流路が形成されるチャンネル領域20である。チャンネル領域20とソース領域16およびドレイン領域18との間にはソース領域16およびドレイン領域18に隣接して比較的不純物濃度の低いn型のエクステンション領域26および28が形成される。このエクステンション領域26および28は、後述の第1および第2電荷蓄積部に効率的に電荷を注入するために設けられるものである。
【0025】
ソース側のエクステンション領域26の上部には第1電荷蓄積部30が設けられ、ドレイン側のエクステンション領域28の上部には第2電荷蓄積部32が設けられている。第1および第2電荷蓄積部30、32は、シリコン酸化膜301、シリコン窒化膜303、シリコン酸化膜303からなるONO積層絶縁膜により構成される。第1および第2電荷蓄積部30および32はそれぞれエクステンション領域26および28からゲート電極24の側壁に亘って延在している。これにより、電荷の蓄積および保持を確実に行うことができる。また、第1電荷蓄積部30と第2の電荷蓄積32は、物理的に連続せず、つまり互いに離間して形成されているので、各電荷蓄積部に対して別個独立に電荷を蓄積保持できるようになっている。
【0026】
次に、かかる構造のメモリセル10へのデータの書込み、読出し、消去の原理について説明する。尚、以下の説明においては、ドレイン側の第2電荷蓄積部32に対してデータの書込み、読出し、消去を行う場合を例に説明する。
【0027】
まず、第2電荷蓄積部32にデータを書き込む場合、ゲート電極24に正電圧(ゲート電圧(Vgw)と称する)を印加し、ドレイン領域18に正電圧(書き込み電圧(Vdsw)と称する)を印加し、ソース領域16を接地電位とする。これにより、ドレイン側のエクステンション領域28に電界が集中し、エクステンション領域28内部で衝突電離によるホットエレクトロンが発生する。ホットエレクトロンの一部は、エクステンション領域28と第2電荷蓄積部32を構成するシリコン酸化膜301との間に生じているエネルギー障壁を越えてシリコン窒化膜303に注入され、保持される。第2電荷蓄積部32に注入する電荷量を記録データに対応させることにより、第2電荷蓄積部32に4値(“00”“01”“10”“11”)のデータを書き込むことができる。例えば、データ“00”を記録する場合には注入電荷量を最大とし、データ“01”を記録する場合には注入電荷量を比較的多目とし、データ“10”を記録する場合には注入電荷量を比較的少な目とし、データ“11”を記録する場合には注入電荷量をゼロとする。本実施例の不揮発性半導体メモリ100は、第2電荷蓄積部32に注入する電荷量を各メモリセルのドレイン−ソース間に印加する書き込み電圧(Vdsw)を記録データに応じて変化させることにより、各電荷蓄積部30および32に4値(2ビット)のデータを記録するようにしたものである。
【0028】
次に、第2電荷蓄積部32に記録されたデータを読み出す場合には、ゲート電極24に正電圧(ゲート電圧(Vgr)と称する)を印加し、ソース領域16に正電圧を(読み出し電圧(Vdsr)と称する)を印加し、ドレイン領域18を接地電位とする。これにより、ソース領域16からドレイン領域18に向けて読み出し電流が流れる。読出し電流の大きさは第2電荷蓄積部32に保持されている電荷量に応じて変化する。すなわち、第2電荷蓄積部32に保持されている電荷量が多いほど読み出し電流は低くなる。従って、この読み出し電流の大きさを計測することにより、第2電荷蓄積部32に記録されたデータの判別が可能となる。
【0029】
次に、第2電荷蓄積部32に記録されたデータを消去する場合にはドレイン領域18に正電圧(Vde)を印加し、ゲート電極24に0又は負電圧(−Vge)を印加し、ソース領域16に正電圧(Vse)を印加する。これにより、ドレイン領域18の周辺で発生したホットホールが第2電荷蓄積部32に注入される。その結果、第2電荷蓄積部32に保持された電荷(電子)が中和され、データの消去を行うことができる。
【0030】
尚、ソース側の第1電荷蓄積部30に対してデータの書き込み、読み出し、消去を行う場合にはソース側に印加すべき電圧とドレイン側に印加すべき電圧を入れ替えことによりこれを行うことができる。
【0031】
図4に本実施例の不揮発性半導体メモリ100の全体構成を示す。不揮発性半導体メモリ100は、列方向に配列された複数のビット線BLおよびこれと交差して行方向に配列された複数のワード線WLが設けられている。ビット線BLとワード線WLの各交差部にはメモリセル10が設けられ、これらによってメモリセルアレイが構成される。各メモリセル10のゲート端子は、ワード線WLに接続され、ソース端子およびドレイン端子はそれぞれビット線BLに接続される。ドレイン側のビット線BLとソース側のビット線BLは対をなし、この1対のビット線間に書き込み電圧が供給されることにより各メモリセル10のドレイン−ソース間に当該書き込み電圧が印加されることとなる。
【0032】
ワード線WLの各々はロウデコーダ104に接続され、ビット線BLの各々はカラムデコーダ106に接続される。ロウデコーダ104およびカラムデコーダ106は、コントローラ108に接続される。
【0033】
コントローラ108には、各メモリセルに対するデータの書込み、読み止しおよび消去を制御する演算部108Aと、記録データを一時的に記憶する一時記憶部108Bと、後述するデータ書き込みプログラム等を記憶した不揮発性記憶部108Cと、が設けられている。コントローラ108は、不揮発性半導体メモリ100に記録すべきデータが外部より入力されると、データ書き込みプログラムを実行してロウデコーダ104に対して記録先のアドレス情報およびワード線WLに印加すべき電圧に関する情報を含む制御信号を供給する。また、カラムデコーダに対しては、記録先のアドレス情報および記録データに対応したビット線BLに印加すべき電圧に関する情報を含む制御信号を供給する。
【0034】
ロウデコーダ104は、コントローラ108より供給される制御信号に基づいてワード線WLを選択し、選択した1のワード線WLにゲート電圧(Vgw)を供給する。本実施例の不揮発性半導体メモリ100によるデータ書き込み処理おいては、各メモリセルのゲート端子には、記録データの値にかかわらず共通のゲート電圧(Vgw)が供給される。
【0035】
カラムデコーダ106は、コントローラ108より供給される制御信号に基づいて少なくとも1対のビット線BLを選択し、選択したビット線BLに接続されたメモリセルのドレインソース端子間に書き込み電圧(Vdsw)を供給する。各メモリセルのドレイン−ソース端子間には、記録すべき4値のデータ毎に異なった電圧レベルの書き込み電圧(Vdsw)が供給されることとなる。すなわち、各メモリセルに注入される電荷量はビット線BLを介して供給されるドレイン−ソース間電圧(Vdsw)によって制御される。本実施例の不揮発性半導体メモリ100によるデータ書き込み処理においては、共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルに対して、ビット線BLを介して互いに異なる電圧レベルの書き込み電圧電圧(Vdsw)をドレイン−ソース間に印加することにより、互いに値の異なるデータを同時に書き込むことができるようになっている。
【0036】
次に、本実施例の不揮発性半導体装置100によって行われるデータ書き込み動作について
図5および
図6を参照しつつ説明する。
図5は、本実施例に係る不揮発性半導体メモリ100によるデータ書き込み処理の流れを示すフローチャート図である。
図6は、共通のワード線に接続された2つのメモリセル10aおよび10bにデータ書き込みを行う場合の各ステップを示した図であり、不揮発性半導体メモリを構成するメモリセルアレイの構成の一部が示されている。
【0037】
本実施例に係るデータ書き込み処理は、ワード線WL毎に行われ、選択された1のワード線WLに接続されたメモリセルがデータの書き込み対象となる。選択された1のワード線WLに接続された全てのメモリセルに対して書き込み処理が完了すると、新たなワード線WLが選択される。そして当該新たに選択されたワード線WLに接続されたメモリセルが書き込み対象となる。かかるワード線の順次選択および書き込み処理は、記録すべきデータの記録が完了するか、メモリセルアレイ上の全てのメモリセルに対して書き込みが完了するまで繰り返し行われる。具体的なデータ書き込み方法について以下に詳述する。
【0038】
コントローラ108は、不揮発性半導体メモリ100に記録すべきデータが外部より入力されると、不揮発性記憶部108Cに記憶しているデータ書き込みプログラムを実行する。不揮発性半導体メモリ100の各構成部分は、このデータ書き込みプログラムに従って動作する。
【0039】
データ書き込み処理の第1ステップS1は、外部より順次入力される記録データを本実施例の不揮発性半導体メモリ100への書き込みに対応させるために行われる入力データの分割処理である。コントローラ108の演算部108Aは、順次供給される入力データの一部(例えば、1のワード線WLに接続されたメモリセルの記憶容量に相当するデータ量のデータ)を一次保存部108Aに保存する。演算部108Aは、入力データを一次保存部108Aから順次取り出してこれを2ビット毎のデータ片に分割するとともに、分割された各データ片にメモリセルアレイ上の記録先を示すアドレス情報を付加して一次保存部108Aに保存する(ステップS1)。
【0040】
データ書き込み処理の第2ステップS2は、データ“00”の先行書き込み処理である。本実施例では、
図6に示すワード線WL1に接続されたメモリセル10aおよび10bのソース側の第1電荷蓄積部30aおよび30bにデータ“00”を書き込むものとする。コントローラ108は、分割された2ビットのデータ片のうち、読み出し電流の大きさが最も低いデータ“00”のみ一次保存部108Aより抽出し、これらのデータに付随するアドレス情報によって示される記録先のメモリセルに書き込み処理を行うべく、ロウデコーダ104およびカラムデコーダ106に制御信号を供給する。
【0041】
ロウデコーダ104は、コントローラ108より供給された制御信号に含まれるアドレス情報によって示されるデータ書き込み先のメモリセルに対応するワード線WL1に所定のゲート電圧(Vgw)を所定の書き込み時間だけ印加する。すなわち、ロウデコーダ104は、制御信号に基づいて、ワード線WL1を介してメモリセル10aおよび10bのゲート端子にゲート電圧(Vgw)を印加する。
【0042】
カラムデコーダ106は、コントローラ108より供給された制御信号に含まれるアドレス情報によって示されるデータ書き込み先のメモリセルに対応するビット線BL間に記録データ“00”に対応する所定の書き込み電圧(Vdsw)を印加する。すなわち、カラムデコーダ106は、制御信号に基づいてメモリセル10aおよび10bの各ソース端子に接続されたビット線BLにデータ“00”に応じた書き込み電圧(Vdsw)を印加するとともに、これらのメモリセルの各ドレイン端子に接続されたビット線BLを接地電位とする。これにより、メモリセル10aおよび10bのドレイン−ソース端子間にデータ“00”に応じた書き込み電圧(Vdsw)が印加され、第1電荷蓄積部30aおよび30bには一定量の電荷が注入されることとなる。
【0043】
各メモリセルに対して第1回目の電荷注入が完了すると、コントローラ108は、電荷注入が行われた書き込み対象のメモリセル10aおよび10bの読み出し電流を確認すべく、ロウデコーダ104およびカラムデコーダ106に制御信号を供給する。
【0044】
ロウデコーダ104は、コントローラ108より供給された制御信号に含まれるアドレス情報によって示されるデータ読み出しの対象となるメモリセル10aおよび10bに対応するワード線WL1にデータ読み出しのための所定のゲート電圧(Vgr)を印加する。
【0045】
カラムデコーダ106は、コントローラ108より供給された制御信号に含まれるアドレス情報によって示されるデータ読み出し対象となるメモリセル10aおよび10bに対応するビット線BLに所定の読み出し電圧(Vdsr)を印加する。具体的には、メモリセル10aおよび10bのドレイン端子に接続されたビット線BLに所定の読み出し電圧(Vdsr)を印加するとともに、ソース端子に接続されたビット線BLを接地電位とする。これにより、メモリセル10aおよび10bのドレイン−ソース間に読み出し電流が流れる。
【0046】
コントローラ108は、ビット線BLを介して得られる読み出し電流の値を計測し、この読み出し電流値がデータ“00”に応じた所定値に達しているかどうかを判定する。コントローラ108は、読み出し電流の値が所定値に達していないと判定した場合には、第2回目の電荷注入処理を行うべく、ロウデコーダ104およびカラムデコーダ106に制御信号を供給し、これに応じて行われるメモリセル10aおよび10bの第1電荷蓄積部30aおよび30bに対する第2回目の電荷注入が完了すると、再度読み出し電流の計測および判定を行う。かかる電荷注入処理と読み出し電流の確認処理は、読み出し電流の値がデータ“00”に応じた所定値に達するまで複数回に亘って行われる。コントローラ108によって読み出し電流が所定値に達したと判定されるとデータ“00”の書き込み処理が完了する。
【0047】
このように、各メモリセルに対するデータの書き込み処理は、電荷注入処理と読み出し電流の確認処理とを交互に繰り返し行うことで、書き込み対象の電荷蓄積部に対してデータ“00”に応じた電荷量の電荷注入が行われるのである。かかる書き込み方法によれば、記録データに対応する電荷量を一括で注入する場合と比較して、読み出し電流のセル間ばらつきを低減することができ、書き込みおよび読み出し精度の向上を図るとともに、過剰な電荷注入を防止して電流ウィンドウを確保することができる。
図6(a)は、メモリセル10aおよび10bの第1電荷蓄積部30aおよび30bへのデータ“00”の書き込み処理が完了した状態を示している。
【0048】
データ書き込み処理の第3ステップS3は、データ“01”および“10”の同時書き込み処理である。コントローラ108は、データ“01”および“10”を一次保存部108Aより抽出し、これらのデータに付随するアドレス情報によって示される記録先のメモリセルに書き込み処理を行うべく、ロウデコーダ104およびカラムデコーダ106に制御信号を供給する。尚、電荷蓄積部に電荷が蓄積されていない状態がデータ“11”に対応するため、データ“11”を書き込む場合には、具体的な処理を行うことを要しない。本実施例においては、
図6に示すワード線WL1に接続されたメモリセル10aのドレイン側の第2電荷蓄積部32aにデータ“01”を、メモリセル10bのドレイン側の第2電荷蓄積部32bにデータ“10”を書き込むものとする。
【0049】
この場合、ロウデコーダ104は、制御信号に基づいてワード線WL1に所定のゲート電圧(Vgw)を所定の書き込み時間だけ印加する。一方、カラムデコーダ106は、制御信号に基づいてメモリセル10aのドレイン端子に接続されたビット線BLにデータ“01”に対応する所定の書き込み電圧(Vdsw)を印加し、ソース端子に接続されたビット線BLを接地電位とする。また、ロウデコーダ104は、これに並行してメモリセル10bのドレイン端子に接続されたビット線BLにデータ“10”に対応する所定の書き込み電圧(Vdsw)を印加し、ソース端子に接続されたビット線BLを接地電位とする。これにより、メモリセル10aおよび10bのドレイン−ソース端子間にそれぞれデータ“01”および“00”に応じた書き込み電圧(Vdsw)が同時に印加され、第2電荷蓄積部32aおよび32bには一定量の電荷が注入されることとなる。
【0050】
各メモリセルに対して第1回目の電荷注入処理が完了すると、コントローラ108は、電荷注入が行われた書き込み対象のメモリセル10aおよび10bの読み出し電流を確認すべく、ロウデコーダ104およびカラムデコーダ106に制御信号を供給する。
【0051】
ロウデコーダ104は、コントローラ108より供給された制御信号に含まれるアドレス情報によって示されるデータ読み出しの対象となるメモリセル10aおよび10bに対応するワード線WL1にデータ読み出しのための所定のゲート電圧(Vgr)を印加する。
【0052】
カラムデコーダ106は、コントローラ108より供給された制御信号に含まれるアドレス情報によって示されるデータ読み出し対象となるメモリセル10aおよび10bに対応するビット線BLに所定の読み出し電圧(Vdsr)を印加する。具体的には、メモリセル10aおよび10bのソース端子に接続されたビット線BLに所定の読み出し電圧(Vdsr)を印加するとともに、ドレイン端子に接続されたビット線BLを接地電位とする。これにより、メモリセル10aおよび10bのドレイン−ソース間に読み出し電流が流れる。
【0053】
コントローラ108は、ビット線BLを介して得られる読み出し電流の値を計測し、この読み出し電流値がデータ“01”および“10”に応じた所定値に達しているかどうかを判定する。コントローラ108は、読み出し電流の値が所定値に達していないと判定した場合には、第2回目の電荷注入処理を行うべく、ロウデコーダ104およびカラムデコーダ106に制御信号を供給し、これに応じて行われるメモリセル10aおよび10bの第2電荷蓄積部32aおよび32bに対する第2回目の電荷注入が完了すると、再度読み出し電流の計測および判定を行う。かかる電荷注入処理と読み出し電流の確認処理は、読み出し電流の値がデータ“01”および“10”に応じた所定値に達するまで複数回に亘って行われ、読み出し電流値がコントローラ108によって所定値に達したと判定されるとデータ“01”および“10”の書き込み処理が完了する。
【0054】
このように、各メモリセルに対するデータ“01”と“10”の書き込み処理は、上記したデータ“00”の場合と同様、電荷注入処理と読み出し電流の確認処理とを交互に繰り返し行うことで、書き込み対象の電荷蓄積部に対してデータ“01”および“10”に対応する電荷量の電荷注入が行われるのである。このような書き込み方法によれば、記録データに対応する電荷量を一括で注入する場合と比較して、読み出し電流のセル間ばらつきを低減することができ、書き込みおよび読み出し精度の向上を図るとともに、過剰な電荷注入を防止して電流ウィンドウを確保することができる。
【0055】
また、本実施例においては、各メモリセルのドレイン端子およびソース端子に接続されるビット線BLに印加する書き込み電圧(Vdsw)を記録データに応じて変化させることにより4値のデータを記録するようにしたので、共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルに対して同時に書き込み処理を行うことが可能となる。このようにして、ワード線WL1に接続された全てのメモリセルに対するデータ書き込み処理が完了する。
図6(b)は、メモリセル10aの第2電荷蓄積部32aへのデータ“01”の書き込み処理と、メモリセル10bの第2電荷蓄積部32bへのデータ“10”の書き込み処理が完了した状態を示している。
【0056】
データ書き込み処理の第4ステップS4は、全入力データの書き込み処理が完了したか否かの判定処理である。コントローラ108は、不揮発性半導体メモリ100に記録すべき全入力データの書き込み処理が未完了であると判定した場合には、ステップS5に進み、全入力データの書き込み処理が完了したと判定した場合には、データ書き込み処理を終了する。
【0057】
データ書き込み処理の第5ステップS5は、メモリセルアレイ上の全てのワード線が選択済みであるか否かの判定処理である。つまり、本ステップでは、メモリセルアレイ上の全メモリセルに対して書き込み処理が既に完了しているか否かの判定を行う。コントローラ108は、未選択のワード線WLが存在すると判定した場合には、ステップS1に戻り、データ書き込み処理を継続する。この場合、新たなワード線の選択がなされ、これに接続された各メモリセルが書き込み対象となり、上記ステップS1からステップS3までの処理を経てデータ書き込み処理が行われる。本ステップにおいて、コントローラ108は、全てのワード線WLが選択済みであると判定した場合には、データ書き込み処理を終了する。
【0058】
図7は、上記第2および第3ステップにおけるデータ書き込み処理において、各メモリセルに印加される各種電圧の時間推移を例示したものである。
図7(a)はワード線WL1を介して各メモリセルのゲート端子に印加されるゲート電圧(Vgw)の時間推移を示している。
図7(b)はビット線BLを介して各メモリセルのドレイン−ソース端子間に印加される書き込み電圧(Vdsw)の時間推移を示している。図中の各プロットは、データ書き込みの際に行われる複数回に亘る電荷注入処理の際の各電圧値を示しており、四角形のプロットはデータ“00”の書き込みの際の印加電圧を示し、丸形のプロットはデータ“01”の書き込みの際の印加電圧を示し、X字形のプロットはデータ“10”の書き込みの際の印加電圧を示している。
【0059】
図7(a)および(b)からも読み出し電流の最も低いデータ“00”の書き込みが先行して行われているのが理解できる。データ“00”の書き込みは、図中において例示するように、10回に亘る電荷注入により完了する。このとき、ワード線WL1には、9V〜10Vのゲート電圧Vgwが注入回数を重ねる毎に順次ステップアップするよう印加される。一方、メモリセル10aおよび10bのソース−ドレイン端子間には、ビット線BLを介してデータ“00”に対応する6.5V一定の書き込み電圧(Vdsw)が印加される。
【0060】
そして、データ“00”の書き込み完了後にデータ“01”および“10”の書き込み処理が同時に行われているのが理解できる。データ“01”および“10”の書き込みは、図中において例示するように、20回に亘る電荷注入により完了する。このとき、ワード線WL1には、7.5V〜10Vの電圧が注入回数を重ねる毎に順次ステップアップするようにゲート電圧Vgwが印加される。一方、メモリセル10aのドレイン−ソース端子間には、ビット線BLを介してデータ“01”に対応する5.5V一定の書き込み電圧(Vdsw)が印加され、これと同時にメモリセル10bのドレイン−ソース端子間には、ビット線BLを介してデータ“10”に対応する5.1V一定の書き込み電圧(Vdsw)が印加される。
【0061】
このように、本発明の不揮発性半導体メモリのデータ書き込み方法は、ワード線WLを介してメモリセルのゲート端子に印加されるゲート電圧(Vgw)を各データ間で共通とし、ビット線BLを介してメモリセルのドレイン−ソース端子間に印加される書き込み電圧(Vdsw)を記録データに応じて異ならせることにより、各データに対応した電荷量の電荷注入を行う。本実施例のようにワード線WLを順次選択してデータ書き込みを行う方式において、かかる方法により4値のデータの書き込み処理を行うことにより、選択された1のワード線WLに接続されたメモリセルには、ビット線BLが独立して設けられているので、1つのワード線WLの選択期間内に複数のメモリセルに対して異なる値のデータを同時に書き込むことが可能となり、従来と比較して書き込み時間の短縮を図ることができる。
【0062】
尚、本実施例では、複数回に亘る電荷注入においてゲート電圧Vgwを順次ステップアップするように印加しているが、これは以下の理由によるものである。すなわち、複数回に亘る電荷注入において、印加するゲート電圧Vgwを固定化すると、電荷蓄積部に電荷が蓄積されていくにしたがって、書き込み時のトンネル酸化膜に加わる電界が減衰し、電荷蓄積部への電子の注入量が注入回数を増す毎に減少し、その結果、読み出し電流の変化量も飽和してしまうためである。本実施例のように電荷注入回数が増す毎に印加するゲート電圧Vgwをステップアップさせることにより、トンネル酸化膜に加わる電界が一定となるように書き込みがなされることとなるので、効率的に電荷注入を行うことができ、書き込み時間の短縮を図ることが可能となるのである。
【0063】
また、例えば、1つのメモリセル10aの2つの電荷蓄積部30aおよび30bにそれぞれデータ“01”および“10”を書き込む場合には、複数回に亘る電荷注入処理と読み出し電流の確認処理は、2つの電荷蓄積部に対して交互に行われることとなる。また、電荷注入に際してメモリセルに印加される書き込み電圧(Vdsw)は、1つのメモリセル内の2つの電荷蓄積部間で電荷注入回数が等しくなるように適切な値に設定されている。例えば、本実施例ではデータ“01”と“10”とが共に20回の電荷注入によって書き込み処理が完了するように、データ“01”を書き込む際の書き込み電圧Vdswは5.5Vに設定され、データ“10”を書き込む際の書き込み電圧Vdswは5.1Vに設定されている。このように、1つのメモリセル内の2つの電荷蓄積部にそれぞれデータを書き込む際に電荷注入回数を揃え且つ2つの電荷蓄積部に対して交互に書き込み処理をなすことにより、ミラー側の読み出し電流の変動を相互に回避することが可能となる。
【0064】
図8は、メモリセルに印加するゲート電圧(Vgw)を記録データに応じて異ならせることにより4値のデータ書き込みを行う従来の方法によって上記した場合と同じデータをメモリセル10aおよび10bに書き込む場合において、各メモリセルに印加される各種電圧の時間推移を示したものであり、本発明の実施例に係る
図7と比較するために示されたものである。すなわち、
図8は、
図2に示される書き込み状態を得るために行われる電圧の印加の手順を示したものである。
図8(a)はメモリセルのゲート端子に印加されるゲート電圧(Vgw)、
図8(b)はメモリセルのドレイン-ソース端子間に印加される書き込み電圧(Vdsw)の時間推移示している。各プロットの種類と記録データとの対応関係は
図7の場合と同様である。
【0065】
図8(a)および(b)に示すように、読み出し電流の最も低いデータ“00”の書き込みが先行して行われているのが理解できる。データ“00”の書き込みは、10回に亘る電荷注入により完了する。このとき、ワード線WL1には、データ“00”に対応する9V〜10Vのゲート電圧Vgwが注入回数を重ねる毎に順次ステップアップするように印加される。一方、メモリセル10aおよび10bのソース−ドレイン端子間には、ビット線BLを介して6.5V一定の書き込み電圧(Vdsw)が印加される。
【0066】
データ“00”の書き込み処理が完了するとデータ“01”の書き込みが行われる。データ“01”の書き込みは、20回に亘る電荷注入により完了する。このとき、ワード線WL1には、データ“01”に対応する7.5V〜9.4Vのゲート電圧Vgwが注入回数を重ねる毎に順次ステップアップするよう印加される。一方、メモリセル10aのドレイン−ソース端子間には、ビット線BLを介して6.5V一定の書き込み電圧(Vdsw)が印加される。
【0067】
データ“01”の書き込み処理が完了するとデータ“10”の書き込みが行われる。データ“10”の書き込みは、20回に亘る電荷注入により完了する。このとき、ワード線WL1には、データ“10”に対応する6.5V〜8.4Vのゲート電圧Vgwが注入回数を重ねる毎に順次ステップアップするよう印加される。一方、データ“10”を書き込むべきメモリセル10aのドレイン−ソース端子間には、ビット線BLを介して6.5V一定のドレイン−ソース間電圧(Vw)が印加される。
【0068】
このように、印加するゲート電圧Vgwを記録データに応じて異ならせることにより4値のデータ書き込みを行う従来の方法においては、異なる値のデータを記録する場合にはワード線WLに印加するゲート電圧Vgwを記録データに応じて変更する必要があることから、1つのワード線WLの選択期間内に複数のメモリセルに対して異なる値のデータを同時に書き込むことができず、書き込み時間の増大を招く結果となる。
【0069】
一方、本発明の不揮発性半導体メモリのデータ書き込み方法によれば、4値のデータの書き込みに際して、メモリセルのゲート端子に印加するゲート電圧Vgwを各データ間で共通とし、メモリセルのドレイン−ソース端子間に印加する書き込み電圧(Vdsw)を記録データの値に応じて異ならせることとし、1つのワード線WLの選択期間内に複数のメモリセルに対して異なる値のデータを同時に書き込むようにしたので、従来の書き込み方法と比較して書き込み時間の短縮を図ることが可能となる。
【0070】
また、読み出し電流が最も低いデータ“00”を先行して書き込み、これ以外のデータ“01”および“10”を後から書き込むこととし、各データの書き込みに際しては電荷注入を複数回に刻んで行うこととしたので、読み出し電流のセル間ばらつきを押さえ、電流ウィンドウを確保することができる。すなわち、読み出し電流が最も低いデータ“00”を先行して書き込むので、その後同一メモリセルの他方の電荷蓄積部に書き込まれるデータ“01”および“10”の読み出し電流が後発的に変動してしまうのを防止できる。一方、データ“00”の読み出し電流は、同一のメモリセルのミラー側の電荷蓄積部に後から書き込まれるデータ“01”および“10”によって読み出し電流が低下することになるものの、4値のデータのうち読み出し電流が最も低いため電流ウィンドウを狭くすることにはならないので問題はない。後に書き込みがなされるデータ“01”および“10”は、読み出し電流の確認を行いながら複数回に刻んで書き込みがなされるので、読み出し電流のセル間ばらつきが低減させることができ、十分な電流ウィンドウを確保することができる。
【0071】
(第2実施例)
本発明の第2実施例に係るデータ書き込み方法について以下に説明する。
図9は、本実施例に係る不揮発性半導体メモリ100によるデータ書き込み処理の流れを示すフローチャート図である。
図10は、共通のワード線に接続された3つのメモリセル10a、10bおよび10cにデータ書き込みを行う場合の各ステップを示した図であり、不揮発性半導体メモリを構成するメモリセルアレイの構成の一部が示されている。
【0072】
本実施例に係るデータ書き込み処理は、第1実施例同様ワード線WL毎に行われ、選択された1のワード線WLに接続されたメモリセルがデータの書き込み対象となる。選択された1のワード線WLに接続された全てのメモリセルに対して書き込み処理が完了すると、新たなワード線WLが選択される。そして当該新たに選択されたワード線WLに接続されたメモリセルが書き込み対象となる。かかるワード線の順次選択および書き込み処理は、記録すべきデータの記録が完了するか、メモリセルアレイ上の全てのメモリセルに対して書き込みが完了するまで繰り返し行われる。具体的なデータ書き込み方法について以下に詳述する。
【0073】
コントローラ108は、不揮発性半導体メモリ100に記録すべきデータが外部より入力されると、不揮発性記憶部に記憶しているデータ書き込みプログラムを実行する。不揮発性半導体メモリ100の各構成部分は、このデータ書き込みプログラムに従って動作する。
【0074】
データ書き込み処理の第1ステップS11は、外部より順次入力される記録データを本実施例の不揮発性半導体メモリ100への書き込みに対応させるために行われる入力データの分割処理である。コントローラ108の演算部108Aは、順次供給される入力データの一部(例えば、1のワード線WLに接続されたメモリセルの記憶容量に相当するデータ量のデータ)を一次保存部108Aに保存する。演算部108Aは、入力データを一次保存部108Aから順次取り出してこれを2ビット毎のデータ片に分割するとともに、分割された各データ片にメモリセルアレイ上の記録先を示すアドレス情報を付加して一次保存部108Aに保存する(ステップS11)。
【0075】
データ書き込み処理の第2ステップS12は、データ“00”“01”および“10”の同時書き込み処理である。本実施例では、
図10に示すワード線WL1に接続されたメモリセル10aのドレイン側の第2電荷蓄積部32aにデータ“00”を、メモリセル10bのドレイン側の第2電荷蓄積部32bにデータ“01”を、メモリセル10cのドレイン側の第2電荷蓄積部32cにデータ“10”を書き込むものとする。尚、電荷蓄積部に電荷が蓄積されていない状態がデータ“11”に対応するため、データ“11”を書き込む場合には、具体的な処理を行うことを要しない。
【0076】
コントローラ108は、分割された2ビットのデータ片“00”“01”および“10”を一次保存部108Aより抽出し、これらのデータに付随するアドレス情報によって示される記録先のメモリセルに書き込み処理を行うべく、ロウデコーダ104およびカラムデコーダ106に制御信号を供給する。
【0077】
ロウデコーダ104は、コントローラ108より供給された制御信号に含まれるアドレス情報によって示されるデータ書き込み先のメモリセルに対応するワード線WL1に所定のゲート電圧(Vgw)を所定の書き込み時間だけ印加する。すなわち、ロウデコーダ104は、制御信号に基づいて、ワード線WL1を介してメモリセル10a、10bおよび10cのゲート端子にゲート電圧(Vgw)を印加する。
【0078】
カラムデコーダ106は、制御信号に基づいてメモリセル10aのドレイン端子に接続されたビット線BLにデータ“00”に対応する所定の書き込み電圧(Vdsw)を印加し、ソース端子に接続されたビット線BLを接地電位とする。また、ロウデコーダ104は、これに並行してメモリセル10bのドレイン端子に接続されたビット線BLにデータ“10”に対応する所定の書き込み電圧(Vdsw)を印加し、ソース端子に接続されたビット線BLを接地電位とする。また、ロウデコーダ104は、これに並行してメモリセル10cのドレイン端子に接続されたビット線BLにデータ“10”に対応する所定の書き込み電圧(Vdsw)を印加し、ソース端子に接続されたビット線BLを接地電位とする。これにより、メモリセル10a、10bおよび10cのドレイン−ソース端子間にそれぞれデータ“00”“01”“10”に応じた書き込み電圧(Vdsw)が同時に印加され印加され、第2電荷蓄積部32a、32bおよび32cには一定量の電荷が注入されることとなる。
【0079】
各メモリセルに対して第1回目の電荷注入が完了すると、コントローラ108は、電荷注入が行われた書き込み対象のメモリセル10a、10bおよび10cの読み出し電流を確認すべく、ロウデコーダ104およびカラムデコーダ106に制御信号を供給する。以降の処理については、上記した第1実施例と同様であるのでその説明は省略する。
【0080】
図10は、かかる全データの同時書き込み処理によって、メモリセル10aの第2電荷蓄積部32aにデータ“00”が書き込まれ、メモリセル10bの第2電荷蓄積部32bにデータ“01”が書き込まれ、メモリセル10cの第2電荷蓄積部32cにデータ“10”が書き込まれた状態を示している。
【0081】
図11は、上記第2ステップS12における全データの同時書き込み処理において、各メモリセルに印加される各種電圧の時間推移を例示したものである。
図11(a)はワード線WL1を介して各メモリセルのゲート端子に印加されるゲート電圧(Vgw)の時間推移を示している。
図11(b)はビット線BLを介して各メモリセルのドレイン−ソース端子間に印加される書き込み電圧(Vdsw)の時間推移を示している。図中の各プロットは、データ書き込みの際に行われる複数回に亘る電荷注入処理の際の各電圧値を示しており、四角形のプロットはデータ“00”の書き込みの際の印加電圧を示し、丸形のプロットはデータ“01”の書き込みの際の印加電圧を示し、X字形のプロットはデータ“10”の書き込みの際の印加電圧を示している。
【0082】
図11(a)および(b)からもデータ“00”、“01”および“10”の書き込みが同時に行われているのが理解できる。各データの書き込みは、図中において例示するように、20回に亘る電荷注入により完了する。このとき、ワード線WL1には、8V〜10Vのゲート電圧Vgwが注入回数を重ねる毎に順次ステップアップするよう印加される。一方、メモリセル10aのドレイン−ソース端子間には、ビット線BLを介してデータ“00”に対応する6.5V一定の書き込み電圧(Vdsw)が印加され、これに並行してメモリセル10bのドレイン−ソース端子間には、ビット線BLを介してデータ“01”に対応する5.5V一定の書き込み電圧(Vdsw)が印加され、更にこれに並行してメモリセル10cのドレイン−ソース端子間には、ビット線BLを介してデータ“10”に対応する5.1V一定の書き込み電圧(Vdsw)が印加される。
【0083】
このように、本実施例の書き込み方法によれば、共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルに対して具体的な書き込み処理を要する全てのデータ(“00”“01”“10”)を同時に書き込むこととしたので、書き込み時間の更なる短縮を図ることができる。つまり、本実施例では、第1実施例に係るデータ書き込み方法に対してデータ“00”の先行書き込みを行うステップを省略したものであり、これにより、共通のワード線にWLに接続された全てのメモリセルに対して並行して書き込み処理を行うことが可能となるので、より効率的なデータ書き込みを行うことができる。
【0084】
尚、上記各実施例においては、本発明を1つのメモリセル内に2つの電荷蓄積部を有する不揮発性半導体メモリに適用した場合を例に説明したが、1つのメモリセル内に1つ又は3つ以上の電荷蓄積部を有する場合でも適用可能である。また、各電荷蓄積部に4値(2ビット)以上のデータを書き込む場合でも適用可能である。