(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、露光装置用の投影光学系の解像力を向上させる手法として、気体よりも屈折率の高い液体などの媒質で像空間を埋めることにより1を超えるような大きな像側開口数を確保する技術が知られている。一方、マイクロリソグラフィーにおいてチップコストを無視した微細パターン形成は成り立たず、現在最も有力な液浸リソグラフィシステムとして、投影光学系の像空間の限定された部分にのみ液体を供給排出する機構を設けた、いわゆる局所液浸システムが主流である。この場合、投影光学系の像空間において液体(浸液)が介在する範囲をできるだけ小さく抑えることが、基板ステージ(ウェハステージ)の巨大化の回避やアライメント光学系の精度の向上などに有利である。
【0007】
また、像側開口数が例えば1.2を超えるような液浸投影光学系では、ペッツバール条件を成立させて像の平坦性を得るという観点から反射屈折光学系の採用が望ましく、あらゆるパターンへの対応力の観点から有効視野領域および有効投影領域が光軸を含まない軸外視野光学系の採用が望ましい。反射屈折型で軸外視野型の液浸投影光学系を採用する場合、従来の屈折型の投影光学系よりも最大像高が大きくなる。その結果、投影光学系中の最も像側に配置される屈折光学素子の射出面を従来技術にしたがって光軸に関して回転対称な形状に形成すると、投影光学系の像空間において液体が介在する範囲が大きくなり、ひいては基板ステージの巨大化やアライメント光学系の精度低下などを招いてしまう。
【0008】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、たとえば反射屈折型で且つ軸外視野型であって、像空間において液体(浸液)が介在する範囲を小さく抑えることのできる液浸型の投影光学系を提供することを目的とする。また、本発明は、像空間において液体が介在する範囲を小さく抑えることのできる高解像な液浸投影光学系を用いて、基板ステージの巨大化やアライメント光学系の精度低下などを招くことなく、微細なパターンを高精度に投影露光することのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、第1面の像を液体を介して第2面に投影する投影光学系において、
前記投影光学系は、最も前記第2面側に配置された屈折光学素子を備え、
前記屈折光学素子の射出面は、前記第2面上の有効投影領域の形状に応じて、前記投影光学系の光軸に関して回転非対称な形状を有することを特徴とする投影光学系を提供する。ここで、「回転非対称な形状」とは、「無限回回転対称な形状以外の形状」を指す。
【0010】
本発明の第2形態では、第1面の像を液体を介して第2面に投影する投影光学系において、
前記投影光学系は、最も前記第2面側に配置された屈折光学素子を備え、
前記屈折光学素子の射出面は、前記投影光学系の光軸に関して2回回転対称な形状を有することを特徴とする投影光学系を提供する。
【0011】
本発明の第3形態では、第1面の像を液体を介して第2面に投影する投影光学系において、
前記投影光学系は、最も前記第2面側に配置された屈折光学素子を備え、
前記屈折光学素子の射出面は前記第2面上において直交する2つの軸線方向に関してほぼ対称な形状を有し、前記射出面の中心軸線と前記屈折光学素子の入射面の外周に対応する円の中心軸線と前記光軸とはほぼ一致していることを特徴とする投影光学系を提供する。
【0012】
本発明の第4形態では、第1面の像を液体を介して第2面に投影する投影光学系において、
前記投影光学系は、最も前記第2面側に配置された屈折光学素子を備え、
前記屈折光学素子の射出面は、前記投影光学系の光軸に関して1回回転対称な形状を有することを特徴とする投影光学系を提供する。
【0013】
本発明の第5形態では、第1面の像を液体を介して第2面に投影する投影光学系において、
前記投影光学系は、最も前記第2面側に配置された屈折光学素子を備え、
前記屈折光学素子の射出面は前記第2面上において直交する2つの軸線方向に関してほぼ対称な形状を有し、前記射出面の中心軸線と前記屈折光学素子の入射面の外周に対応する円の中心軸線とはほぼ一致し、前記射出面の中心軸線は前記2つの軸線方向のうちの一方の軸線方向に沿って前記光軸から偏心していることを特徴とする投影光学系を提供する。
【0014】
本発明の第6形態では、第1面の像を液体を介して第2面に投影する投影光学系において、
前記投影光学系は、最も前記第2面側に配置された屈折光学素子を備え、
前記屈折光学素子の射出面は前記第2面上において直交する2つの軸線方向のうちの一方の軸線方向に関してほぼ対称で且つ他方の軸線方向に関して非対称な形状を有し、前記屈折光学素子の入射面の外周に対応する円の中心軸線と前記光軸とはほぼ一致し、前記射出面の中心軸線は前記一方の軸線方向に沿って前記光軸から偏心していることを特徴とする投影光学系を提供する。
【0015】
本発明の第7形態では、第1面の像を液体を介して第2面に投影する投影光学系において、
前記投影光学系は、最も前記第2面側に配置された屈折光学素子を備え、
前記屈折光学素子の射出面は前記第2面上において直交する2つの軸線方向に関してほぼ対称な形状を有し、前記屈折光学素子の入射面の外周に対応する円の中心軸線と前記光軸とはほぼ一致し、前記射出面の中心軸線は前記2つの軸線方向のうちの一方の軸線方向に沿って前記光軸から偏心していることを特徴とする投影光学系を提供する。
【0016】
本発明の第8形態では、第1面の像を液体を介して第2面に投影する投影光学系において、
前記投影光学系は、最も前記第2面側に配置された屈折光学素子を備え、
前記第2面上において直交する2つの軸線方向を設定するとき、一方の軸線方向についての前記屈折光学素子の射出面の長さと、他方の軸線方向についての前記射出面の長さとは互いに異なる長さであることを特徴とする投影光学系を提供する。
【0017】
本発明の第9形態では、前記第1面に設定された所定のパターンからの照明光に基づいて、前記パターンの像を前記第2面に設定された感光性基板上に投影するための第1形態〜第8形態の投影光学系を備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0018】
本発明の第10形態では、所定のパターンを前記第1面に設定する設定工程と、
前記所定のパターンからの照明光に基づいて、第1形態〜第8形態の投影光学系を介して前記パターンの像を前記第2面に設定された感光性基板上に投影露光する露光工程とを含むことを特徴とする露光方法を提供する。
【0019】
本発明の第11形態では、第1形態〜第8形態の投影光学系を介して前記第1面に設定されたパターンの像を前記第2面に設定された感光性基板上に投影露光する露光工程と、
前記露光工程を経た前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
【0020】
本発明の第12形態では、第1面の像を第2面に形成する液浸対物光学系に用いられて、一方の光学面が液体に接する屈折光学素子において、
前記屈折光学素子の前記一方の光学面は、前記第2面上の有効投影領域の形状に応じて、前記液浸対物光学系の光軸に関して回転非対称な形状を有することを特徴とする屈折光学素子を提供する。
【0021】
本発明の第13形態では、第1面の像を第2面に形成する液浸対物光学系に用いられて、一方の光学面が液体に接する屈折光学素子において、
前記第2面上において直交する2つの軸線方向を設定するとき、一方の軸線方向についての前記屈折光学素子の前記一方の光学面の長さと、他方の軸線方向についての前記一方の光学面の長さとは互いに異なる長さであることを特徴とする屈折光学素子を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の典型的な形態にしたがう液浸型の投影光学系は、たとえば反射屈折型で且つ軸外視野型であって、最も像面側に配置された屈折光学素子の射出面が、像面上の有効投影領域の形状に応じて、光軸に関して回転非対称な形状を有する。具体的には、当該屈折光学素子の射出面は、たとえば像面上において直交する2つの軸線方向に関してほぼ対称な形状を有し、射出面の中心軸線と屈折光学素子の入射面の外周に対応する円の中心軸線とはほぼ一致し、射出面の中心軸線は上記2つの軸線方向のうちの一方の軸線方向に沿って光軸から偏心している。
【0023】
その結果、本発明の投影光学系では、最も像面側に配置された屈折光学素子の射出面が有効投影領域の形状に応じて回転非対称な形状に形成されているので、像空間において液体(浸液)が介在する範囲を小さく抑えることができる。また、本発明の露光装置および露光方法では、像空間において液体が介在する範囲を小さく抑えることのできる高解像な液浸投影光学系を用いているので、基板ステージの巨大化やアライメント光学系の精度低下などを招くことなく、微細なパターンを高精度に投影露光することができ、ひいては良好なマイクロデバイスを高精度に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。
図1では、X軸およびY軸がウェハWに対して平行な方向に設定され、Z軸がウェハWに対して直交する方向に設定されている。さらに具体的には、XY平面が水平面に平行に設定され、+Z軸が鉛直方向に沿って上向きに設定されている。
【0026】
本実施形態の露光装置は、
図1に示すように、たとえば露光光源であるArFエキシマレーザ光源を含み、オプティカル・インテグレータ(ホモジナイザー)、視野絞り、コンデンサレンズ等から構成される照明光学系1を備えている。光源から射出された波長193nmの紫外パルス光からなる露光光(露光ビーム)ILは、照明光学系1を通過し、レチクル(マスク)Rを照明する。レチクルRには転写すべきパターンが形成されており、パターン領域全体のうちX方向に沿って長辺を有し且つY方向に沿って短辺を有する矩形状(スリット状)のパターン領域が照明される。
【0027】
レチクルRを通過した光は、液浸型の投影光学系PLを介して、フォトレジストが塗布されたウェハ(感光性基板)W上の露光領域に所定の縮小投影倍率でレチクルパターンを形成する。すなわち、レチクルR上での矩形状の照明領域に光学的に対応するように、ウェハW上ではX方向に沿って長辺を有し且つY方向に沿って短辺を有する矩形状の静止露光領域(実効露光領域)にパターン像が形成される。
【0028】
図2は、本実施形態においてウェハ上に形成される矩形状の静止露光領域(すなわち実効露光領域)と基準光軸との位置関係を示す図である。本実施形態では、
図2に示すように、基準光軸AXを中心とした半径Bを有する円形状の領域(イメージサークル)IF内において、基準光軸AXからY方向に軸外し量Aだけ離れた位置に所望の大きさを有する矩形状の実効露光領域ERが設定されている。
【0029】
ここで、実効露光領域ERのX方向の長さはLXであり、そのY方向の長さはLYである。したがって、図示を省略したが、レチクルR上では、矩形状の実効露光領域ERに対応して、基準光軸AXからY方向に軸外し量Aに対応する距離だけ離れた位置に実効露光領域ERに対応した大きさおよび形状を有する矩形状の照明領域(すなわち実効照明領域)が形成されていることになる。
【0030】
レチクルRはレチクルステージRST上においてXY平面に平行に保持され、レチクルステージRSTにはレチクルRをX方向、Y方向および回転方向に微動させる機構が組み込まれている。レチクルステージRSTは、レチクルレーザ干渉計(不図示)によってX方向、Y方向および回転方向の位置がリアルタイムに計測され、且つ制御される。ウェハWは、ウェハホルダ(不図示)を介してZステージ9上においてXY平面に平行に固定されている。
【0031】
また、Zステージ9は、投影光学系PLの像面と実質的に平行なXY平面に沿って移動するXYステージ10上に固定されており、ウェハWのフォーカス位置(Z方向の位置)および傾斜角を制御する。Zステージ9は、Zステージ9上に設けられた移動鏡12を用いるウェハレーザ干渉計13によってX方向、Y方向および回転方向の位置がリアルタイムに計測され、且つ制御される。
【0032】
また、XYステージ10は、ベース11上に載置されており、ウェハWのX方向、Y方向および回転方向を制御する。一方、本実施形態の露光装置に設けられた主制御系14は、レチクルレーザ干渉計により計測された計測値に基づいてレチクルRのX方向、Y方向および回転方向の位置の調整を行う。即ち、主制御系14は、レチクルステージRSTに組み込まれている機構に制御信号を送信し、レチクルステージRSTを微動させることによりレチクルRの位置調整を行う。
【0033】
また、主制御系14は、オートフォーカス方式及びオートレベリング方式によりウェハW上の表面を投影光学系PLの像面に合わせ込むため、ウェハWのフォーカス位置(Z方向の位置)および傾斜角の調整を行う。即ち、主制御系14は、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系15によりZステージ9を駆動させることによりウェハWのフォーカス位置および傾斜角の調整を行う。
【0034】
更に、主制御系14は、ウェハレーザ干渉計13により計測された計測値に基づいてウェハWのX方向、Y方向および回転方向の位置の調整を行う。即ち、主制御系14は、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系15によりXYステージ10を駆動させることによりウェハWのX方向、Y方向および回転方向の位置調整を行う。
【0035】
露光時には、主制御系14は、レチクルステージRSTに組み込まれている機構に制御信号を送信すると共に、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、投影光学系PLの投影倍率に応じた速度比でレチクルステージRSTおよびXYステージ10を駆動させつつ、レチクルRのパターン像をウェハW上の所定のショット領域内に投影露光する。その後、主制御系14は、ウェハステージ駆動系15に制御信号を送信し、ウェハステージ駆動系15によりXYステージ10を駆動させることによりウェハW上の別のショット領域を露光位置にステップ移動させる。
【0036】
このように、ステップ・アンド・スキャン方式によりレチクルRのパターン像をウェハW上に走査露光する動作を繰り返す。すなわち、本実施形態では、ウェハステージ駆動系15およびウェハレーザ干渉計13などを用いてレチクルRおよびウェハWの位置制御を行いながら、矩形状の静止露光領域および静止照明領域の短辺方向すなわちY方向に沿ってレチクルステージRSTとXYステージ10とを、ひいてはレチクルRとウェハWとを同期的に移動(走査)させることにより、ウェハW上には静止露光領域の長辺LXに等しい幅を有し且つウェハWの走査量(移動量)に応じた長さを有する領域に対してレチクルパターンが走査露光される。
【0037】
図3は、本実施形態の各実施例における境界レンズとウェハとの間の構成を模式的に示す図である。
図3を参照すると、本実施形態の各実施例にかかる投影光学系PLでは、レチクルR側(物体側)の面が第2液体Lm2に接し且つウェハW側(像側)の面が第1液体Lm1に接する液中平行平面板Lpが最もウェハ側に配置されている。そして、この液中平行平面板Lpに隣接して、レチクルR側の面が気体に接し且つウェハW側の面が第2液体Lm2に接する境界レンズLbが配置されている。
【0038】
本実施形態の各実施例において、例えば1.1よりも大きい屈折率を有する第1液体Lm1および第2液体Lm2として、半導体製造工場等で容易に大量に入手できる純水(脱イオン水)を用いている。また、境界レンズLbは、レチクルR側に凸面を向け且つウェハW側に平面を向けた正レンズである。さらに、境界レンズLbおよび液中平行平面板Lpはともに、石英により形成されている。これは、境界レンズLbや液中平行平面板Lpを蛍石により形成すると、蛍石は水に溶ける性質(可溶性)があるため、投影光学系の結像性能を安定的に維持することが困難になるからである。
【0039】
また、蛍石では内部の屈折率分布が高周波成分を有することが知られており、この高周波成分を含む屈折率のばらつきがフレアの発生を招く恐れがあり、投影光学系の結像性能を低下させ易い。さらに、蛍石は固有複屈折性を有することが知られており、投影光学系の結像性能を良好に維持するためには、この固有複屈折性の影響を補正する必要がある。したがって、蛍石の可溶性、屈折率分布の高周波成分および固有複屈折性の観点から、境界レンズLbや液中平行平面板Lpを石英により形成することが好ましい。
【0040】
なお、投影光学系PLに対してウェハWを相対移動させつつ走査露光を行うステップ・アンド・スキャン方式の露光装置において、走査露光の開始から終了まで投影光学系PLの境界レンズLbとウェハWとの間の光路中に液体(Lm1,Lm2)を満たし続けるには、たとえば国際公開番号WO99/49504号公報に開示された技術や、特開平10−303114号公報に開示された技術などを用いることができる。
【0041】
国際公開番号WO99/49504号公報に開示された技術では、液体供給装置から供給管および排出ノズルを介して所定の温度に調整された液体を境界レンズLbとウェハWとの間の光路を満たすように供給し、液体供給装置により回収管および流入ノズルを介してウェハW上から液体を回収する。一方、特開平10−303114号公報に開示された技術では、液体を収容することができるようにウェハホルダテーブルを容器状に構成し、その内底部の中央において(液体中において)ウェハWを真空吸着により位置決め保持する。また、投影光学系PLの鏡筒先端部が液体中に達し、ひいては境界レンズLbのウェハ側の光学面が液体中に達するように構成する。
【0042】
本実施形態では、
図1に示すように、第1給排水機構21を用いて、液中平行平面板LpとウェハWとの間の光路中において第1液体Lm1としての純水を循環させている。また、第2給排水機構22を用いて、境界レンズLbと液中平行平面板Lpとの間の光路中において第2液体Lm2としての純水を循環させている。このように、浸液としての純水を微小流量で循環させることにより、防腐、防カビ等の効果により液体の変質を防ぐことができる。
【0043】
本実施形態の各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をzとし、頂点曲率半径をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をC
nとし
たとき、以下の数式(a)で表される。後述の表(1)および(2)において、非球面形状に形成されたレンズ面には面番号の右側に*印を付している。
【0044】
z=(y
2/r)/[1+{1−(1+κ)・y
2/r
2}
1/2]
+C
4・y
4+C
6・y
6+C
8・y
8+C
10・y
10
+C
12・y
12+C
14・y
14+・・・ (a)
【0045】
また、本実施形態の各実施例において、投影光学系PLは、物体面(第1面)に配置されたレチクルRのパターンの第1中間像を形成するための第1結像光学系G1と、第1中間像からの光に基づいてレチクルパターンの第2中間像(第1中間像の像であってレチクルパターンの2次像)を形成するための第2結像光学系G2と、第2中間像からの光に基づいて像面(第2面)に配置されたウェハW上にレチクルパターンの最終像(レチクルパターンの縮小像)を形成するための第3結像光学系G3とを備えている。ここで、第1結像光学系G1および第3結像光学系G3はともに屈折光学系であり、第2結像光学系G2は凹面反射鏡CMを含む反射屈折光学系である。
【0046】
また、第1結像光学系G1と第2結像光学系G2との間の光路中には第1平面反射鏡(第1偏向鏡)M1が配置され、第2結像光学系G2と第3結像光学系G3との間の光路中には第2平面反射鏡(第2偏向鏡)M2が配置されている。こうして、各実施例の投影光学系PLでは、レチクルRからの光が、第1結像光学系G1を介して、第1平面反射鏡M1の近傍にレチクルパターンの第1中間像を形成する。次いで、第1中間像からの光が、第2結像光学系G2を介して、第2平面反射鏡M2の近傍にレチクルパターンの第2中間像を形成する。さらに、第2中間像からの光が、第3結像光学系G3を介して、レチクルパターンの最終像をウェハW上に形成する。
【0047】
また、各実施例の投影光学系PLでは、第1結像光学系G1および第3結像光学系G3が鉛直方向に沿って直線状に延びる光軸AX1および光軸AX3を有し、光軸AX1および光軸AX3は基準光軸AXと一致している。一方、第2結像光学系G2は水平方向に沿って直線状に延びる(基準光軸AXに垂直な)光軸AX2を有する。こうして、レチクルR、ウェハW、第1結像光学系G1を構成するすべての光学部材および第3結像光学系G3を構成するすべての光学部材は、重力方向と直交する面すなわち水平面に沿って互いに平行に配置されている。さらに、第1平面反射鏡M1および第2平面反射鏡M2は、レチクル面に対して45度の角度をなすように設定された反射面をそれぞれ有し、第1平面反射鏡M1と第2平面反射鏡M2とは1つの光学部材として一体的に構成されている。また、各実施例において、投影光学系PLは、物体側および像側の双方にほぼテレセントリックに構成されている。
【0048】
(第1実施例)
図4は、本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。
図4を参照すると、第1実施例にかかる投影光学系PLにおいて第1結像光学系G1は、レチクル側から順に、平行平面板P1と、両凸レンズL11と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、両凸レンズL13と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた両凹レンズL14と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL16と、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL17と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL18と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL19と、両凸レンズL110と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL111とにより構成されている。
【0049】
また、第2結像光学系G2は、光の進行往路に沿ってレチクル側(すなわち入射側)から順に、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL21と、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と、レチクル側に凹面を向けた凹面反射鏡CMとから構成されている。また、第3結像光学系G3は、レチクル側(すなわち入射側)から順に、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31と、両凸レンズL32と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL33と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL34と、両凹レンズL35と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた両凹レンズL36と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL37と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL38と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた負メニスカスレンズL39と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL310と、両凸レンズL311と、開口絞りASと、ウェハ側に平面を向けた平凸レンズL312と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL313と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL314と、ウェハ側に平面を向けた平凸レンズL315(境界レンズLb)と、平行平面板Lpとにより構成されている。
【0050】
第1実施例では、境界レンズLbと平行平面板(液中平行平面板)Lpとの間の光路および平行平面板LpとウェハWとの間の光路に、使用光(露光光)であるArFエキシマレーザ光(中心波長λ=193.306nm)に対して1.435876の屈折率を有する純水(Lm1,Lm2)が満たされている。また、境界レンズLbおよび平行平面板Lpを含むすべての光透過部材が、使用光の中心波長に対して1.5603261の屈折率を有する石英(SiO
2)により形成されている。
【0051】
次の表(1)に、第1実施例にかかる投影光学系PLの諸元の値を掲げる。表(1)において、λは露光光の中心波長を、βは投影倍率(全系の結像倍率)の大きさを、NAは像側(ウェハ側)開口数を、BはウェハW上でのイメージサークルIFの半径を、Aは実効露光領域ERの軸外し量を、LXは実効露光領域ERのX方向に沿った寸法(長辺の寸法)を、LYは実効露光領域ERのY方向に沿った寸法(短辺の寸法)をそれぞれ表している。
【0052】
また、面番号は物体面(第1面)であるレチクル面から像面(第2面)であるウェハ面への光線の進行する経路に沿ったレチクル側からの面の順序を、rは各面の曲率半径(非球面の場合には頂点曲率半径:mm)を、dは各面の軸上間隔すなわち面間隔(mm)を、nは中心波長に対する屈折率をそれぞれ示している。なお、面間隔dは、反射される度にその符号を変えるものとする。したがって、面間隔dの符号は、第1平面反射鏡M1の反射面から凹面反射鏡CMまでの光路中および第2平面反射鏡M2から像面までの光路中では負とし、その他の光路中では正としている。
【0053】
そして、第1結像光学系G1では、レチクル側に向かって凸面の曲率半径を正とし、レチクル側に向かって凹面の曲率半径を負としている。第2結像光学系G2では、光の進行往路に沿って入射側(レチクル側)に向かって凹面の曲率半径を正とし、入射側に向かって凸面の曲率半径を負としている。第3結像光学系G3では、レチクル側に向かって凹面の曲率半径を正とし、レチクル側に向かって凸面の曲率半径を負としている。なお、表(1)における表記は、以降の表(2)においても同様である。
【0054】
表(1)
(主要諸元)
λ=193.306nm
β=1/4
NA=1.32
B=15.3mm
A=2.8mm
LX=26mm
LY=5mm
(光学部材諸元)
面番号 r d n 光学部材
(レチクル面) 113.7542
1 ∞ 8.0000 1.5603261 (P1)
2 ∞ 6.0000
3 961.49971 52.0000 1.5603261 (L11)
4 -260.97642 1.0000
5 165.65618 35.7731 1.5603261 (L12)
6 329.41285 15.7479
7 144.73700 56.4880 1.5603261 (L13)
8 -651.17229 4.1450
9* -678.61021 18.2979 1.5603261 (L14)
10 173.73534 1.0000
11 82.85141 28.4319 1.5603261 (L15)
12 122.17403 24.6508
13 -632.23083 15.8135 1.5603261 (L16)
14 -283.76586 22.9854
15 -95.83749 44.8780 1.5603261 (L17)
16 -480.25701 49.9532
17* -327.24655 37.6724 1.5603261 (L18)
18 -152.74838 1.0000
19 -645.51205 47.0083 1.5603261 (L19)
20 -172.70890 1.0000
21 1482.42136 32.7478 1.5603261 (L110)
22 -361.68453 1.0000
23 185.06735 36.2895 1.5603261 (L111)
24* 1499.92500 72.0000
25 ∞ -204.3065 (M1)
26 115.50235 -15.0000 1.5603261 (L21)
27 181.35110 -28.181928 107.57500 -18.0000 1.5603261 (L22)
29 327.79447 -34.9832
30 165.18700 34.9832 (CM)
31 327.79446 18.0000 1.5603261 (L22)
32 107.57500 28.1819
33 181.35110 15.0000 1.5603261 (L21)
34 115.50235 204.3065
35 ∞ -72.0000 (M2)
36 552.89298 -24.4934 1.5603261 (L31)
37 211.40931 -1.0000
38 -964.15750 -27.5799 1.5603261 (L32)
39 451.41200 -1.0000
40 -239.74429 -35.7714 1.5603261 (L33)
41 -171769.23040 -1.0000
42 -206.94777 -50.0000 1.5603261 (L34)
43* -698.47035 -43.1987
44 560.33453 -10.0000 1.5603261 (L35)
45 -116.92245 -46.5360
46 209.32811 -10.0000 1.5603261 (L36)
47* -189.99848 -23.6644
48* 1878.63986 -31.5066 1.5603261 (L37)
49 211.85278 -1.0000
50 -322.20466 -33.1856 1.5603261 (L38)
51* -1160.22740 -10.0172
52 -2715.10365 -22.0000 1.5603261 (L39)
53* -959.87714 -42.0799
54* 727.37853 -62.0255 1.5603261 (L310)
55 240.59248 -1.0000
56 -16276.86134 -62.1328 1.5603261 (L311)
57 333.64919 -1.0000
58 ∞ -1.0000 (AS)
59 -303.09919 -68.2244 1.5603261 (L312)
60 ∞ -1.0000
61 -182.25869 -77.6122 1.5603261 (L313)
62* -472.72383 -1.0000
63 -131.14200 -49.9999 1.5603261 (L314)
64* -414.78286 -1.0000
65 -75.90800 -43.3351 1.5603261 (L315:Lb)
66 ∞ -1.0000 1.435876 (Lm2)
67 ∞ -13.0000 1.5603261 (Lp)
68 ∞ -2.9999 1.435876 (Lm1)
(ウェハ面)
(非球面データ)
9面
κ=0
C
4=−7.9031×10
-8 C
6=8.6709×10
-12
C
8=−6.5472×10
-16 C
10=1.5504×10
-20
C
12=2.6800×10
-24 C
14=−2.6032×10
-28
C
16=7.3308×10
-33 C
18=0
17面
κ=0
C
4=4.7672×10
-9 C
6=−8.7145×10
-13
C
8=−2.8591×10
-17 C
10=3.9981×10
-21
C
12=−1.9927×10
-25 C
14=2.8410×10
-30
C
16=6.5538×10
-35 C
18=0
24面
κ=0
C
4=2.7118×10
-8 C
6=−4.0362×10
-13
C
8=8.5346×10
-18 C
10=−1.7653×10
-22
C
12=−1.1856×10
-27 C
14=5.2597×10
-31
C
16=−2.0897×10
-35 C
18=0
43面
κ=0
C
4=−1.8839×10
-8 C
6=5.6009×10
-13
C
8=−1.8306×10
-17 C
10=2.2177×10
-21
C
12=−2.3512×10
-25 C
14=1.7766×10
-29
C
16=−6.5390×10
-34 C
18=0
47面
κ=0
C
4=9.0773×10
-8 C
6=−5.4651×10
-12
C
8=4.4000×10
-16 C
10=−2.7426×10
-20
C
12=3.2149×10
-25 C
14=2.3641×10
-28
C
16=−1.3953×10
-32 C
18=0
48面
κ=0
C
4=3.0443×10
-8 C
6=−1.6528×10
-12
C
8=2.3949×10
-17 C
10=−4.4953×10
-21
C
12=3.0165×10
-25 C
14=−1.2463×10
-28
C
16=1.0783×10
-32 C
18=0
51面
κ=0
C
4=1.8357×10
-8 C
6=−4.3103×10
-13
C
8=−9.4499×10
-17 C
10=4.3247×10
-21
C
12=−1.6979×10
-25 C
14=8.6892×10
-30
C
16=−1.5935×10
-34 C
18=0
53面
κ=0
C
4=−3.9000×10
-8 C
6=−7.2737×10
-13
C
8=1.1921×10
-16 C
10=−2.6393×10
-21
C
12=−3.1544×10
-26 C
14=1.8774×10
-30
C
16=−2.3545×10
-35 C
18=0
54面
κ=0
C
4=1.9116×10
-8 C
6=−6.7783×10
-13
C
8=1.5688×10
-17 C
10=−6.0850×10
-22
C
12=1.8575×10
-26 C
14=−4.2147×10
-31
C
16=7.3240×10
-36 C
18=0
62面
κ=0
C
4=3.0649×10
-8 C
6=−2.3613×10
-12
C
8=1.5604×10
-16 C
10=−7.3591×10
-21
C
12=2.1593×10
-25 C
14=−3.5918×10
-30
C
16=2.5879×10
-35 C
18=0
64面
κ=0
C
4=−6.0849×10
-8 C
6=−8.7021×10
-13
C
8=−1.5623×10
-16 C
10=1.5681×10
-20
C
12=−1.6989×10
-24 C
14=7.9711×10
-29
C
16=−2.7075×10
-33 C
18=0
【0055】
図5は、第1実施例の投影光学系における横収差を示す図である。収差図において、Yは像高を、実線は中心波長193.3060nmを、破線は193.306nm+0.2pm=193.3062nmを、一点鎖線は193.306nm−0.2pm=193.3058nmをそれぞれ示している。なお、
図5における表記は、以降の
図7においても同様である。
図5の収差図から明らかなように、第1実施例では、非常に大きな像側開口数(NA=1.32)および比較的大きな実効露光領域ER(26mm×5mm)を確保しているにもかかわらず、波長幅が193.306nm±0.2pmの露光光に対して収差が良好に補正されていることがわかる。
【0056】
(第2実施例)
図6は、本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。
図6を参照すると、第2実施例にかかる投影光学系PLにおいて第1結像光学系G1は、レチクル側から順に、平行平面板P1と、両凸レンズL11と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた両凹レンズL14と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL16と、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL17と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL18と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL19と、両凸レンズL110と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL111とにより構成されている。
【0057】
また、第2結像光学系G2は、光の進行往路に沿ってレチクル側(すなわち入射側)から順に、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL21と、レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と、レチクル側に凹面を向けた凹面反射鏡CMとから構成されている。また、第3結像光学系G3は、レチクル側(すなわち入射側)から順に、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL31と、両凸レンズL32と、レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズL33と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL34と、両凹レンズL35と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた両凹レンズL36と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL37と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL38と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた平凹レンズL39と、レチクル側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL310と、レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズL311と、開口絞りASと、ウェハ側に平面を向けた平凸レンズL312と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL313と、ウェハ側に非球面形状の凹面を向けた正メニスカスレンズL314と、ウェハ側に平面を向けた平凸レンズL315(境界レンズLb)と、平行平面板Lpとにより構成されている。
【0058】
第2実施例においても第1実施例と同様に、境界レンズLbと平行平面板Lpとの間の光路および平行平面板LpとウェハWとの間の光路に、使用光(露光光)であるArFエキシマレーザ光(中心波長λ=193.306nm)に対して1.435876の屈折率を有する純水(Lm1,Lm2)が満たされている。また、境界レンズLbおよび平行平面板Lpを含むすべての光透過部材が、使用光の中心波長に対して1.5603261の屈折率を有する石英により形成されている。次の表(2)に、第2実施例にかかる投影光学系PLの諸元の値を掲げる。
【0059】
表(2)
(主要諸元)
λ=193.306nm
β=1/4
NA=1.3
B=15.4mm
A=3mm
LX=26mm
LY=5mm
(光学部材諸元)
面番号 r d n 光学部材
(レチクル面) 128.0298
1 ∞ 8.0000 1.5603261 (P1)
2 ∞ 3.0000
3 708.58305 50.0000 1.5603261 (L11)
4 -240.96139 1.0000
5 159.28256 55.0000 1.5603261 (L12)
6 1030.42583 15.3309
7 175.91680 33.4262 1.5603261 (L13)
8 1901.42936 13.4484
9* -313.76486 11.8818 1.5603261 (L14)
10 235.56199 1.0000
11 90.40801 53.3442 1.5603261 (L15)
12 109.36394 12.8872
13 -1337.13410 20.2385 1.5603261 (L16)
14 -314.47144 10.2263
15 -106.13528 42.5002 1.5603261 (L17)
16 -334.97792 56.0608
17* -1619.43320 46.3634 1.5603261 (L18)
18 -167.00000 1.0000
19 -568.04127 48.4966 1.5603261 (L19)
20 -172.67366 1.0000
21 637.03167 27.8478 1.5603261 (L110)
22 -838.93167 1.0000
23 264.56403 30.7549 1.5603261 (L111)
24* 3443.52617 72.0000
25 ∞ -237.1956 (M1)
26 134.07939 -15.0000 1.5603261 (L21)
27 218.66017 -33.2263
28 111.51192 -18.0000 1.5603261 (L22)
29 334.92606 -28.5215
30 170.92067 28.5215 (CM)
31 334.92606 18.0000 1.5603261 (L22)
32 111.51192 33.2263
33 218.66017 15.0000 1.5603261 (L21)
34 134.07939 237.1956
35 ∞ -72.0000 (M2)
36 1133.17643 -25.2553 1.5603261 (L31)
37 247.47802 -1.0000
38 -480.60890 -29.6988 1.5603261 (L32)
39 626.43077 -1.0000
40 -208.29831 -36.2604 1.5603261 (L33)
41 -2556.24930 -1.0000
42 -173.46230 -50.0000 1.5603261 (L34)
43* -294.18687 -26.4318
44 699.54032 -11.5000 1.5603261 (L35)
45 -106.38847 -47.9520
46 158.19938 -11.5000 1.5603261 (L36)
47* -189.99848 -27.6024
48* 487.32943 -34.3282 1.5603261 (L37)
49 153.21216 -1.0000
50 -280.33475 -39.4036 1.5603261 (L38)
51* -1666.66667 -17.3862
52 ∞ -22.0000 1.5603261 (L39)
53* -1511.71580 -40.3150
54* 655.86673 -62.2198 1.5603261 (L310)
55 242.88510 -1.0000
56 843.73059 -49.2538 1.5603261 (L311)
57 280.00000 -1.0000
58 ∞ -1.0000 (AS)
59 -291.92686 -61.1038 1.5603261 (L312)
60 ∞ -1.0000
61 -179.32463 -67.4474 1.5603261 (L313)
62* -438.34656 -1.0000
63 -128.42402 -52.4156 1.5603261 (L314)
64* -401.88080 -1.0000
65 -75.86112 -41.5893 1.5603261 (L315:Lb)
66 ∞ -1.0000 1.435876 (Lm2)
67 ∞ -16.5000 1.5603261 (Lp)
68 ∞ -3.0000 1.435876 (Lm1)
(ウェハ面)
(非球面データ)
9面
κ=0
C
4=−3.1753×10
-8 C
6=9.0461×10
-12
C
8=−1.0355×10
-15 C
10=1.2398×10
-19
C
12=−1.1221×10
-23 C
14=5.7476×10
-28
C
16=−1.1800×10
-32 C
18=0
17面
κ=0
C
4=−2.8399×10
-8 C
6=−3.0401×10
-13
C
8=1.1462×10
-17 C
10=4.0639×10
-22
C
12=−8.6125×10
-26 C
14=4.4202×10
-30
C
16=−9.9158×10
-35 C
18=0
24面
κ=0
C
4=2.1499×10
-8 C
6=−3.8861×10
-13
C
8=5.4812×10
-18 C
10=−2.1623×10
-23
C
12=−2.5636×10
-26 C
14=2.1879×10
-30
C
16=−6.5039×10
-35 C
18=0
43面
κ=0
C
4=−2.0533×10
-8 C
6=7.8051×10
-13
C
8=9.4002×10
-18 C
10=−2.1043×10
-21
C
12=7.8182×10
-25 C
14=−9.2007×10
-29
C
16=3.6742×10
-33 C
18=0
47面
κ=0
C
4=9.8639×10
-8 C
6=−6.7359×10
-12
C
8=6.8579×10
-16 C
10=−6.1604×10
-20
C
12=5.1722×10
-24 C
14=−2.9412×10
-28
C
16=8.6688×10
-33 C
18=0
48面
κ=0
C
4=4.3101×10
-8 C
6=−3.2805×10
-12
C
8=5.6432×10
-17 C
10=−9.2345×10
-22
C
12=1.0713×10
-25 C
14=−9.9944×10
-30
C
16=1.8148×10
-33 C
18=0
51面
κ=0
C
4=2.5839×10
-8 C
6=−1.8848×10
-12
C
8=−4.9271×10
-17 C
10=4.4946×10
-21
C
12=−7.2550×10
-26 C
14=4.9237×10
-31
C
16=−2.4260×10
-35 C
18=6.2565×10
-40
53面
κ=0
C
4=−4.7449×10
-8 C
6=−2.3075×10
-13
C
8=1.0475×10
-16 C
10=−2.1805×10
-21
C
12=−9.0530×10
-26 C
14=4.6274×10
-30
C
16=−6.4961×10
-35 C
18=3.4402×10
-41
54面
κ=0
C
4=2.0328×10
-8 C
6=−7.7439×10
-13
C
8=1.6217×10
-17 C
10=−3.5531×10
-22
C
12=8.2634×10
-27 C
14=2.6232×10
-31
C
16=−2.0989×10
-35 C
18=4.0888×10
-40
62面
κ=0
C
4=2.5121×10
-8 C
6=−2.0342×10
-12
C
8=1.2906×10
-16 C
10=−5.4455×10
-21
C
12=1.2885×10
-25 C
14=−1.4600×10
-30
C
16=3.2850×10
-36 C
18=0
64面
κ=0
C
4=−2.8098×10
-8 C
6=−3.9565×10
-12
C
8=3.1966×10
-16 C
10=−2.7246×10
-20
C
12=1.8266×10
-24 C
14=−8.6244×10
-29
C
16=2.1570×10
-33 C
18=0
【0060】
図7は、第2実施例の投影光学系における横収差を示す図である。
図7の収差図から明らかなように、第2実施例においても第1実施例と同様に、非常に大きな像側開口数(NA=1.3)および比較的大きな実効露光領域ER(26mm×5mm)を確保しているにもかかわらず、波長幅が193.306nm±0.2pmの露光光に対して収差が良好に補正されていることがわかる。
【0061】
このように、本実施形態の投影光学系PLでは、境界レンズLbとウェハWとの間の光路中に大きな屈折率を有する純水(Lm1,Lm2)を介在させることにより、大きな実効的な像側開口数を確保しつつ、比較的大きな有効結像領域を確保することができる。すなわち、各実施例では、中心波長が193.306nmのArFエキシマレーザ光に対して、約1.3の高い像側開口数を確保するとともに、26mm×5mmの矩形形状の実効露光領域(静止露光領域)ERを確保することができ、たとえば26mm×33mmの矩形状の露光領域内に回路パターンを高解像度で走査露光することができる。
【0062】
上述の各実施例では、反射屈折型の光学系中の往復光学素子(L21,L22)の1つのレンズ面の形状誤差がローカルフレアの発生に対して通常のレンズ面の2倍の影響を及ぼすことに着目し、1つのレンズ面で2倍のローカルフレアが発生してしまう往復光路から非球面を外すことにより、すなわち往復光学素子の全てが非球面形状に形成された光学面を含まないように構成することにより、ローカルフレアの低減を図っている。そして、上述の各実施例では、光が2回通過する往復光路部分に結晶材料を配置しないことにより、すなわち第2結像光学系G2中の往復光学素子(L21,L22)の全てを非晶質材料(本実施例では石英)により形成することにより、ローカルフレアのさらなる低減を図っている。また、上述の各実施例では、第2結像光学系G2中の凹面反射鏡CMの反射面の形状誤差もローカルフレアの発生に対して片道光路中のレンズ面の2倍の影響を及ぼすため、凹面反射鏡CMの反射面を球面形状に形成することによりローカルフレアのさらなる低減を図っている。
【0063】
本実施形態の液浸投影光学系PLでは、反射屈折型の光学系を採用しているので、大きな像側開口数にもかかわらずペッツバール条件をほぼ成立させて像の平坦性を得ることができるとともに、有効視野領域(実効照明領域)および有効投影領域(実効露光領域ER)が光軸を含まない軸外視野型の光学系を採用してレンズ開口(瞳)中の遮光部を有しないようにしているため、あらゆるパターンへの対応力を確保することができる。しかしながら、本実施形態のような反射屈折型で軸外視野型の液浸投影光学系PLでは、最も像側(ウェハW側)に配置される屈折光学素子としての液中平行平面板Lpの射出面を従来技術にしたがって光軸AX3(すなわち基準光軸AX)に関して回転対称な形状に形成すると不都合が発生する。
【0064】
図8は、最も像側に配置される屈折光学素子の射出面を従来技術にしたがって回転対称な形状に形成したときの不都合を具体的に説明するための図である。
図8を参照すると、液浸投影光学系PL中において最も像側(ウェハW側)に配置される屈折光学素子としての液中平行平面板Lpの入射面は、光軸AXを中心とした円30に対応する外周を有する。言い換えると、液中平行平面板Lpの入射面は、互いに直交する2つの軸線方向に関してほぼ同じ長さを有する。実際には、液中平行平面板Lpの入射面の外周の一部にオリエンテーションフラット等の切欠が設けられたり、入射面の外周が多角形状に形成されたり、入射面と面一にホールド用のタブが設けられたりすることがあるが、いずれにしても液中平行平面板Lpの入射面の外周に対応する円30の中心軸線は光軸AXと一致している。
【0065】
一方、液中平行平面板Lpの射出面を有効な結像光束が通過する領域として定義される有効射出領域31は、ウェハW上において光軸AXを含まない矩形状の実効露光領域(静止露光領域)ERに対応するように、光軸AXから一方向(Y方向)に偏心し且つ長方形の隅角部が丸まったような形状を有する。従来技術では、液中平行平面板Lpの射出面が有効射出領域31の回転非対称性とは無関係に光軸AXに関して回転対称な形状(無限回回転対称な形状)、言い換えると互いに直交する2つの軸線方向に関してほぼ同じ長さを有する形状に形成されるので、液中平行平面板Lpの射出面は光軸AXを中心として有効射出領域31を内包するような大きな円32に対応する外周を有することになる。その結果、従来技術では、投影光学系PLの像空間において液体Lm1が介在する範囲が大きくなり、ひいては基板ステージ(9〜11)の巨大化やアライメント光学系(不図示)の精度低下などを招く。
【0066】
図9は、本実施形態の各実施例における液中平行平面板の構成を概略的に示す図である。
図9において、(a)は液中平行平面板Lpの底面図であり、(b)および(c)は液中平行平面板Lpの側面図である。
図9を参照すると、本実施形態の各実施例において液中平行平面板Lpの入射面Lpaは円40に対応する外周を有し、この入射面Lpaの外周に対応する円40の中心40aは光軸AX(AX3)からY方向に偏心している。ちなみに、破線41で示す参照円は、光軸AXを中心として円40に内接する円である。言い換えると、液中平行平面板Lpの入射面Lpaは、互いに直交する2つの軸線方向(XY方向)に関してほぼ同じ長さを持つように形成されている。
【0067】
液中平行平面板Lpの射出面Lpbにおける有効射出領域42は、X方向およびY方向に関してほぼ対称で且つ長方形の隅角部が丸まったような形状を有し、有効射出領域42の中心42aは入射面Lpaの外周に対応する円40の中心40aと一致している。液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、有効射出領域42の周囲に僅かなマージン領域を確保して有効射出領域42を内包するようなX方向およびY方向に関してほぼ対称な形状を有し、射出面Lpbの中心Lpbaは有効射出領域42の中心42aおよび入射面Lpaの外周に対応する円40の中心40aと一致している。別の観点でみると、液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、光軸AXに関して1回回転対称な形状を有する。なお、
図9(a)において射出面Lpbを包囲する領域であってハッチングの施された部分Lpcは、射出面Lpbの外周から光入射側に延びる傾斜面である。
【0068】
すなわち、本実施形態の各実施例において、液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、ウェハW上において直交する2つの軸線方向すなわちX方向およびY方向に関してほぼ対称な形状を有する。また、射出面Lpbの中心軸線Lpbaと入射面Lpaの外周に対応する円40の中心軸線40aとは一致し、射出面Lpbの中心軸線LpbaはY方向に沿って光軸AXから偏心している。そして、ウェハW上の実効露光領域ER(すなわち投影光学系PLの有効投影領域)の中心軸線(重心軸線)は、射出面Lpbの中心軸線Lpbaとほぼ一致している。言い換えると、射出面Lpbの一方の軸線方向(Y方向)についての長さと、他方の軸線方向(X方向)についての長さとが互いに異なっている。
【0069】
以上のように、本実施形態では、液中平行平面板Lpの射出面が有効射出領域42の光軸AXに関する回転非対称性とは無関係に光軸AXに関して回転対称な形状に形成される従来技術とは異なり、液中平行平面板Lpの射出面LpbがウェハW上において光軸AXを含まない実効露光領域ER(すなわち投影光学系PLの有効投影領域)の形状に応じて光軸AXに関して回転非対称な形状に形成されている(互いに直交する2つの軸線方向(XY方向)での射出面Lpbの長さが異なるように形成されている)ので、投影光学系PLの像空間において液体(浸液)Lm1が介在する範囲を小さく抑えることができる。本実施形態の露光装置では、像空間において液体Lm1が介在する範囲を小さく抑えることのできる高解像な液浸投影光学系PLを用いているので、基板ステージ(9〜11)の巨大化やアライメント光学系の精度低下などを招くことなく、微細なパターンを高精度に投影露光することができる。
【0070】
図10は、本実施形態の第1変形例にかかる液中平行平面板の構成を概略的に示す図である。
図10において、(a)は液中平行平面板Lpの底面図であり、(b)および(c)は液中平行平面板Lpの側面図である。
図10を参照すると、第1変形例にかかる液中平行平面板Lpの入射面Lpaは、光軸AX(AX3)を中心とした円50に対応する外周を有する。言い換えると、液中平行平面板Lpの入射面Lpaは、互いに直交する2つの軸線方向(XY方向)に関してほぼ同じ長さを持つように形成されている。液中平行平面板Lpの射出面Lpbにおける有効射出領域51は、X方向およびY方向に関してほぼ対称で且つ長方形の隅角部が丸まったような形状を有し、有効射出領域51の中心51aは光軸AXからY方向に偏心している。
【0071】
液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、有効射出領域51の一方の長辺側および両方の短辺側に僅かなマージン領域を確保しつつ他方の長辺側に比較的大きなマージン領域を確保して有効射出領域51を内包し、X方向およびY方向に関してほぼ対称な形状を有する。
図10(a)において射出面Lpbを包囲する領域であってハッチングの施された部分Lpcは、射出面Lpbの外周から光入射側に延びる傾斜面である。
【0072】
すなわち、第1変形例にかかる液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、X方向およびY方向に関してほぼ対称な形状を有する。別の観点でみると、第1変形例にかかる液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、光軸AXに関して2回回転対称な形状を有する。また、射出面Lpbの中心軸線Lpba(
図10では不図示)と入射面Lpaの外周に対応する円50の中心軸線50a(
図10では不図示)と光軸AXとは一致している。そして、ウェハW上の実効露光領域ER(すなわち投影光学系PLの有効投影領域)の中心軸線(重心軸線)は、射出面Lpbの中心軸線Lpba(すなわち光軸AX)からY方向に偏心している。言い換えると、射出面Lpbの一方の軸線方向(Y方向)についての長さと、他方の軸線方向(X方向)についての長さとが互いに異なっている。
【0073】
図10の第1変形例においても
図9の実施形態と同様に、液中平行平面板Lpの射出面Lpbが、ウェハW上において光軸AXを含まない実効露光領域ER(すなわち投影光学系PLの有効投影領域)の形状に応じて、光軸AXに関して回転非対称な形状に形成されている(互いに直交する2つの軸線方向(XY方向)での射出面Lpbの長さが異なるように形成されている)ので、投影光学系PLの像空間において液体(浸液)Lm1が介在する範囲を小さく抑えることができる。
【0074】
図11は、本実施形態の第2変形例にかかる液中平行平面板の構成を概略的に示す図である。
図11において、(a)は液中平行平面板Lpの底面図であり、(b)および(c)は液中平行平面板Lpの側面図である。
図11を参照すると、第2変形例にかかる液中平行平面板Lpの入射面Lpaは、光軸AX(AX3)を中心とした円60に対応する外周を有する。液中平行平面板Lpの射出面Lpbにおける有効射出領域61は、X方向およびY方向に関してほぼ対称で且つ長方形の隅角部が丸まったような形状を有し、有効射出領域61の中心61aは光軸AXからY方向に偏心している。言い換えると、射出面Lpbの一方の軸線方向(Y方向)についての長さと、他方の軸線方向(X方向)についての長さとが互いに異なっている。
【0075】
液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、有効射出領域61の周囲に僅かなマージン領域を確保して有効射出領域61を内包するようなY方向に関してほぼ対称でX方向に関して非対称な形状を有し、射出面Lpbの中心(重心)Lpba(
図11では不図示)は有効射出領域61の中心61aの近傍(Y方向に沿った近傍)に位置している。
図11(a)において射出面Lpbを包囲する領域であってハッチングの施された部分Lpcは、射出面Lpbの外周から光入射側に延びる傾斜面である。
【0076】
すなわち、第2変形例にかかる液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、Y方向に関してほぼ対称で且つX方向に関して非対称な形状を有する。言い換えると、射出面Lpbは、一方の軸線方向(Y方向)についての長さと、他方の軸線方向(X方向)についての長さとが互いに異なるように形成されている。また、入射面Lpaの外周に対応する円60の中心軸線60a(
図11では不図示)と光軸AXとは一致し、射出面Lpbの中心軸線(重心軸線)LpbaはY方向に沿って光軸AXから偏心している。そして、ウェハW上の実効露光領域ER(すなわち投影光学系PLの有効投影領域)の中心軸線(重心軸線)は、射出面Lpbの中心軸線(重心軸線)Lpbaとほぼ一致している。別の観点でみると、第2変形例にかかる液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、光軸AXに関して1回回転対称な形状を有する。
【0077】
図11の第2変形例においても
図9の実施形態と同様に、液中平行平面板Lpの射出面Lpbが、ウェハW上において光軸AXを含まない実効露光領域ER(すなわち投影光学系PLの有効投影領域)の形状に応じて、光軸AXに関して回転非対称な形状に形成されている(互いに直交する2つの軸線方向(XY方向)での射出面Lpbの長さが異なるように形成されている)ので、投影光学系PLの像空間において液体(浸液)Lm1が介在する範囲を小さく抑えることができる。
【0078】
図12は、本実施形態の第3変形例にかかる液中平行平面板の構成を概略的に示す図である。
図12において、(a)は液中平行平面板Lpの底面図であり、(b)および(c)は液中平行平面板Lpの側面図である。
図12を参照すると、第3変形例にかかる液中平行平面板Lpの入射面Lpaは、光軸AX(AX3)を中心とした円70に対応する外周を有する。言い換えると、液中平行平面板Lpの入射面Lpaは、互いに直交する2つの軸線方向(XY方向)に関してほぼ同じ長さを持つように形成されている。液中平行平面板Lpの射出面Lpbにおける有効射出領域71は、X方向およびY方向に関してほぼ対称で且つ長方形の隅角部が丸まったような形状を有し、有効射出領域71の中心71aは光軸AXからY方向に偏心している。
【0079】
液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、有効射出領域71の周囲に僅かなマージン領域を確保して有効射出領域71を内包するようなX方向およびY方向に関してほぼ対称な形状を有し、射出面Lpbの中心Lpbaは有効射出領域71の中心71aと一致している。
図12(a)において射出面Lpbを包囲する領域であってハッチングの施された部分Lpcは、射出面Lpbの外周から光入射側に延びる傾斜面である。
【0080】
すなわち、第3変形例にかかる液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、X方向およびY方向に関してほぼ対称な形状を有する。また、射出面Lpbは、一方の軸線方向(Y方向)についての長さと、他方の軸線方向(X方向)についての長さとが互いに異なるような形状を有する。また、入射面Lpaの外周に対応する円70の中心軸線70a(
図12では不図示)と光軸AXとは一致し、射出面Lpbの中心軸線LpbaはY方向に沿って光軸AXから偏心している。そして、ウェハW上の実効露光領域ER(すなわち投影光学系PLの有効投影領域)の中心軸線(重心軸線)は、射出面Lpbの中心軸線Lpbaとほぼ一致している。別の観点でみると、第3変形例にかかる液中平行平面板Lpの射出面Lpbは、光軸AXに関して1回回転対称な形状を有する。
【0081】
図12の第3変形例においても
図9の実施形態と同様に、液中平行平面板Lpの射出面Lpbが、ウェハW上において光軸AXを含まない実効露光領域ER(すなわち投影光学系PLの有効投影領域)の形状に応じて、光軸AXに関して回転非対称な形状に形成されている(互いに直交する2つの軸線方向(XY方向)での射出面Lpbの長さが異なるように形成されている)ので、投影光学系PLの像空間において液体(浸液)Lm1が介在する範囲を小さく抑えることができる。なお、第1変形例〜第3変形例に示す構成は一例であって、液中平行平面板Lpの入射面および射出面の構成については本発明の範囲内において様々な変形例が可能である。
【0082】
ところで、上述の実施形態では、境界レンズLbとウェハWとの間の光路中に平行平面板(一般にはほぼ無屈折力の光学部材)Lpが配置されているので、浸液としての純水がウェハWに塗布されたフォトレジストからのアウトガス等による汚染を受けても、境界レンズLbとウェハWとの間に介在する平行平面板Lpの作用により、汚染された純水による境界レンズLbの像側光学面の汚染を有効に防ぐことができる。さらに、液体(純水:Lm1,Lm2)と平行平面板Lpとの屈折率差が小さいため、平行平面板Lpに要求される姿勢や位置精度が大幅に緩和されるので、平行平面板Lpが汚染されても部材交換を随時行うことにより光学性能を容易に復元することができる。
【0083】
また、液中平行平面板Lpの作用により、境界レンズLbに接する液体Lm2のスキャン露光時の圧力変動やステップ移動時の圧力変動が小さく抑えられるので、比較的小さなスペースで液体を保持することが可能になる。しかしながら、上述の実施形態の構成に限定されることなく、平行平面板Lpの設置を省略した構成も可能である。この場合、最も像側(ウェハW側)に配置される屈折光学素子としての境界レンズLbに対して本発明を適用することができる。具体的には、境界レンズLbの入射面および射出面に対して、たとえば
図10の第1変形例、
図11の第2変形例、
図12の第3変形例などの構成を適用することにより、本発明の効果を得ることができる。ただし、
図9の実施形態では入射面の外周に対応する円の中心が光軸AXから偏心しているので、この構成を境界レンズLbの入射面に適用することはできない。
【0084】
また、上述の実施形態では、有効視野が光軸を含まない軸外視野型の反射屈折光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な液浸型の投影光学系に対して本発明を適用することができる。ただし、上述したように、軸外視野型の反射屈折光学系に本発明を適用することにより、像の平坦性を得ることができるとともに、あらゆるパターンへの対応力を確保することができる。また、各実施例に示すような3回結像型で軸外視野型の反射屈折光学系では、より光軸AXの近傍に実効露光領域ERを設定することができるので、最も像側(ウェハW側)に配置される屈折光学素子(平行平面板Lpまたは境界レンズLb)の回転非対称性を緩和することができ、光学系の製造に好適であるとともに装置構成の簡略化にも都合がよい。
【0085】
上述の実施形態では、境界レンズLbとウェハWとの間の光路中に充填される液体として純水(Lm1,Lm2)を用いたが、その代わりに、それよりも屈折率が高い液体(たとえば屈折率が1.6以上の液体)を用いても良い。このような高屈折率液体としては、たとえばグリセノール(CH
2[OH]CH[OH]CH
2[OH])やヘプタン(C
7H
16)等を用いることができる。また、H
+、Cs
-、K
+、Cl
-、SO
42-、PO
42-を入れた水、アルミニウム酸化物の微粒子を混ぜた水、イソプロパノール、ヘキサン、ヘプタン、デカンや、三井化学株式会社によるデルファイ(環状炭化水素骨格を基本とする化合物)、JSR株式会社によるHIF−001、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーによるIF131やIF132、IF175などを用いることができる。
【0086】
このような高屈折率液体を用いる場合には、投影光学系PLの大きさ、特に直径方向の大きさを抑えるために、投影光学系PLの一部のレンズ、特に像面(ウェハW)に近いレンズを高屈折率の材料で形成することが好ましい。このような高屈折率材料としては、たとえば酸化カルシウムまたは酸化マグネシウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、バリウム・リチウム・フローライド(BaLiF
3)、
ルテチウム・アルミニウム・ガーネット([Lutetium AluminumGarnet] LuAG)や、スピネル([crystalline magnesium aluminum spinel]MgAl
2O
4)などの結晶材料、あるいはこれらを主成分とする混晶を用いることが好ましい。
【0087】
これにより、実現可能なサイズのもとで、高い開口数を実現することができる。たとえばArFエキシマレーザ(波長193nm)を用いた場合にも、1.5程度、あるいはそれ以上の高い開口数を実現することが可能となる。また、露光光ILとして波長157nmのF
2レーザを用いる場合には、液体として、F
2レーザ光を透過可能な液体、たとえば過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体を用いることが好ましい。
【0088】
上述の実施形態の露光装置では、照明装置によってレチクル(マスク)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき
図13のフローチャートを参照して説明する。
【0089】
先ず、
図13のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、本実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。
【0090】
その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。なお、ステップ301〜ステップ305では、ウェハ上に金属を蒸着し、その金属膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチングの各工程を行っているが、これらの工程に先立って、ウェハ上にシリコンの酸化膜を形成後、そのシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチング等の各工程を行っても良いことはいうまでもない。
【0091】
また、本実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、
図14のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。
図14において、パターン形成工程401では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0092】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列されたりしたカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0093】
セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0094】
なお、上述の実施形態では、ArFエキシマレーザ光源を用いているが、これに限定されることなく、たとえばF
2 レーザ光源のような他の適当な光源を用いることもできる。ただし、露光光としてF
2レーザ光を用いる場合は、液体としてはF
2レーザ光を透過可能な例えばフッ素系オイルや過フッ化ポリエーテル(PFPE)等のフッ素系の液体を用いることになる。
【0095】
また、上述の実施形態では、露光装置に搭載される液浸型の投影光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な液浸型の投影光学系に対して本発明を適用することもできる。また、液浸対物光学系において一方の光学面が液体に接する屈折光学素子に対しても本発明を適用することができる。
【0096】
なお、上述の実施形態では、境界レンズLbおよび液中平行平面板Lpを非晶質材料の石英で形成したが、境界レンズLbおよび液中平行平面板Lpを形成する材料としては石英には限定されず、たとえば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなどの結晶材料を用いてもよい。
【0097】
また、上述の実施形態では、第1液体および第2液体として純水を用いたが、第1および第2液体としては純水には限定されず、たとえばH
+,Cs
+,K
+、Cl
-,SO
42-,PO
42-を入れた水、イソプロパノール,グリセロール、ヘキサン、ヘプタン、デカンなどを用いることができる。